※ハルヒ「キョンTUEEEEE!!!!!」シリーズリンク

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 18:35:57.17 ID:OoL9qyur0

ハルヒ「さあ!!!!!」 

キョン「野球大会に出るのか」 

ハルヒ「野球大会に出……やめなさいよ!!! それ!!!」 

古泉「野球大会ですか。体を動かす機会と言うのはこれのことですか」 

ハルヒ「そっ!! いいでしょ、野球大会!!!」バッ 

朝比奈「第九回市内アマチュア野球大会参加募集のお知らせ……?」 

ハルヒ「そう!! あたし市内でこんな大会あるって知らなかったわ!!」 

ハルヒ「ここは一つ、SOS団の団結を高めるためにも出場すべきだわ!!」 

キョン「ハルヒ、出るのはいいが野球は何人でやるのか知っているのか?」 

ハルヒ「知らない! 5人でもやろうと思えばできるでしょ?」 

キョン「最低でも9、いや10人は必要だな」 

ハルヒ「そっか……キョン!!」 

キョン・キョン「「なんだ?」」 

ハルヒ「増えな……準備がいい!!!!」 

朝比奈「そ、そっちに驚くんだ……」 

長門「ユニーク」 


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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 18:38:23.54 ID:OoL9qyur0

ハルヒ「その時のコスプレはなにがいいかしらねー……やっぱチアかしら?」

朝比奈「すすす、するんですかぁ!?」

キョン「やれやれ……」

古泉「こうしてると、つい先日世界崩壊の危機だったことが夢のように感じますねぇ」

キョン「実際、アイツの中では夢だったということで完了してるだろ」

古泉「そのようで」

キョン「まぁ、元通りってやつだ。終わりよければすべて良し」

古泉「SOS団の活躍はこれからでしょう?」

キョン「活躍と言うか迷惑というか……」

ハルヒ「ちょっとキョン!! 早くあと、5に……4人メンツそろえる準備しなさい!!!」

キョン・キョン「「おいおい、俺たちは五人だからあと5人いるんじゃないか?」」

ハルヒ「6人!!! 今6人いる!!! わざわざ増えてから言わなくていいじゃない!!!!」

キョン「俺が増えるのはいいが、どうせならちゃんと10人集めてやりたくないか?」

ハルヒ「とはいっても他誰がいるのよ?」

朝比奈「あっ、わたしの友達で良ければ一人……」

ハルヒ「でかした!! これであと……4人!!」

キョン・キョン「「だからー」」

ハルヒ「いやこっちがだからー、だから!!!!」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 18:40:37.11 ID:OoL9qyur0

長門「……一人、呼べる」

ハルヒ「有希が? 意外ね」

キョン「失礼な、長門はお前より友達多いぞ?」

ハルヒ「ぐっ……確かにあたしも呼べそうな知り合いはいなかったわ……負けた」

長門「勝ち」

キョン「これであと3人、だな」

ハルヒ「ふーたーりー?」

キョン「分かった分かった、最悪俺が二人になって一人ベンチに置いとけばいいとして」

ハルヒ「それが最善」

キョン「いや最善。じゃないが……あと2人」

ハルヒ「あれでいいじゃない。国木田君と……なんだっけ、あいつ!」

キョン「おいおい、お前は中学一緒だっただろ? ったく……谷山だろ?」

ハルヒ「そうそれ!」

古泉「どちら様でしょう……?」

ハルヒ「これでメンツは揃ったわね!!!」

キョン「人数だけな」

ハルヒ「それじゃあ、優勝向けて……ふぁい!!!」

ハルヒ「やー!!!!」

キョン「おー」

朝比奈「おーっ!」

古泉「おー」

長門「おー……」

ハルヒ「みんな合わせてよ!!!!」

キョン「お前が外してんだよ」

朝比奈「や、やー?」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 21:57:08.49 ID:DqIY0sE+0

ハルヒ「そうと決まれば今度の日曜に向けて猛特訓よ!!!」

キョン「日曜……明後日か、随分急だな」

ハルヒ「努力は時間ではなく質よ! 質!!!」

キョン「どっちにしろ努力不足になるとは思うんだけどな」

朝比奈「あ、あのぅ猛特訓って……?」

ハルヒ「そりゃもちろん! 野球の猛特訓って言ったらあれでしょ!!」

長門「千本ノック」

ハルヒ「千ぼ……有k、いや、待って、今のは隙を与えたあたしが悪いわね」

キョン「なんか、甘いな」

長門「余韻が少ない」

キョン「なー。激昂してくれるほうが面白いよな」

長門「……」コクリ

古泉「涼宮さんは玩具ではありません……」

ハルヒ「と に か く!! 今から千本ノックにいくわよーっ!!」

朝比奈「い、今からですかぁ!?」

ハルヒ「当っ然!! 時間は待ってはくれないのよ!!!」

キョン「さっき時間よりも質って言ってたよな、おい」

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:00:58.61 ID:DqIY0sE+0

キョン「おい、ハルヒ―」

ハルヒ「なによ?」

キョン「猛特訓っつったって、まさか野球部に押し入り道具を貸せと脅し、挙句の果てにグラウンドの使用権まで渡せとか言うんじゃないだろうな」

ハルヒ「具体的!?!?!? あたしそんな顔に書いてある!?!?」ヤキュウブニオシイリドウグヲ……

古泉・朝比奈「「書いてあるーッ!!?!?!?!?」」ガーン

ハルヒ「あらホントー!!?!?!!!?!?」ガーン

キョン「言っておくが、人様に迷惑を掛けるのはNGだからな」

ハルヒ「なによぅ……」フキフキ

ハルヒ「…………じゃあどうすればいいのよ!?」バーン!!

キョン「開き直んな、こっちが聞きてえよ」

古泉「あのー、でしたら」

古泉「僕の知り合いに、専用グラウンドを持っている野球好きの方がいまして」

古泉「もしよければ交渉してみましょうか?」

ハルヒ「…………」

キョン「…………」

古泉「……あ、あれ?」

古泉「何故、そんな微妙な反応を……?」

キョン「……だって、なぁ?」

ハルヒ「ええ……古泉君!!」

古泉「は、はい」

ハルヒ「都合が良すぎる!!!!!」バーン!!

古泉「えぇ!?」

ハルヒ「野球がしたい時に偶然専用グラウンドを持っている知り合いがいるですって!! ご都合主義もいいところよ!!!」

古泉「(彼の分身の都合のよさは良しとするんですか!!?!?!?)」

ハルヒ「でもお願いしてみて頂戴!!!」ドーン!

古泉「(しかし全力で乗っかる!! 涼宮さんらしいですね……)」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:03:17.76 ID:DqIY0sE+0

古泉「許可がでました」

キョン「早いな。電話待ちでもしてたのかよ」

古泉「……」

キョン「睨むなよ」

ハルヒ「それじゃさっそく移動よ!!! あ、その前に……」

ハルヒ「みくるちゃん!! 有希!!!」

朝比奈「ふぇ?」

長門「呼べる」

ハルヒ「その呼べる友達って今……そう、有希は呼べる、と」

朝比奈「あっ、今一緒に練習するってことですかぁ? あ、聞いてみますね」

ハルヒ「……なにかしら」

ハルヒ「みくるちゃんすら少し察しが良いように見えるわ」

キョン「おい、失礼だぞ。実際朝比奈さんは察しがいいんだ」

ハルヒ「……そうかしら? 毒されているのかしらね」

キョン「?」

長門「?」

ハルヒ「あんたら二人の超能力じみた察しの良さに、ね!!!」

キョン「誉められた?」

長門「叙勲もの」

ハルヒ「勲位はく奪ものよ!!」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:06:30.83 ID:DqIY0sE+0

朝比奈「あっ、はい。そう、そうで……分かりました、はぁい」

朝比奈「行けるみたいです。今から」

ハルヒ「なんだ、高校生って案外みんな暇なのね」

キョン「その暇の代表みたいなやつが何言ってんだ。あと失礼だから暇とか言うな」

ハルヒ「それで、古泉君! そのグラウンドまではどのくらいの距離があるの?」

古泉「そうですね、距離的にはさほど遠くはありませんが、車を手配してくれてるみたいです」

ハルヒ「……」

キョン「……」

古泉「ぜ、善意で」

ハルヒ「そっ善意なら仕方ないわ!」

キョン「ああ、善意なら仕方ないな」

古泉「……」

キョン「だから睨むなよご都合主義マン」

古泉「どの口が言いますか……」

ハルヒ「それじゃ、お友達が来しだい、車で向かいましょ!!」

ハルヒ「ねぇ二人共! お友達ってどんな人? 頭から茶色の触角が生えてたりする人?」

キョン「そんな人と俺は友達にならないし、そいつは人じゃない」

ハルヒ「アンタには聞いてないの! で、で、どんな人??」

朝比奈「え、えーっと……しょ、触角は生えてないですけど、明るくて元気がいい人ですよぉ」

ハルヒ「なーんだ、あたしみたいな人か」

キョン「お前意外と自己評価高いなおい」

ハルヒ「それで、有希の方は!?」

長門「朝倉涼子」

ハルヒ「……えっ?」

長門「朝倉涼子」

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:09:30.66 ID:DqIY0sE+0

朝倉「……こ、こんにちはぁ」

鶴屋「よろしくっさ!!!」

ハルヒ「驚いたわ……まさか有希がうちのクラスの朝倉さんとお友達だったなんて……」

ハルヒ「世界は狭いわね」

キョン「事の単位が狭すぎるだろ」

朝倉「キョン君ーちょっといいかしら?」

キョン「どした、朝倉」

朝倉「……ちょっと! 急に長門さんに『今日ヒマ?』って言われたから来たのに!!」ボソボソ

朝倉「野球の練習ってどういうことよ!!」ボソボソ

キョン「長門ってそんな誘い方するんだ……」

朝倉「どこに食いついてんのよ!!」

ハルヒ「……あんたたち、仲いいのね」ジイ

朝比奈「!!!(ラブコメの波動ッ!?)」バッ!

古泉「長門さん!!」

長門「分かってる」キィ

朝比奈「ままま、まだ現世に居ますよぉ!」

古泉「現世……」

鶴屋「あっはっは! みくるぅー! アンタ面白いキャラしてんだねー!」

朝倉「涼宮、さん……? あ、キョン君って何だか話やすいから、ついつい……」

ハルヒ「……こいつ、詐欺師よ」

朝倉「詐欺師……?」

ハルヒ「詐欺師でマジシャンでメンタリストでとにかくわけわかんないやつなの!」

ハルヒ「話やすいとかマジないから!!」

朝倉「……ええっと」

キョン「意味わからん対抗意識燃やすのやめろ。擁護してんのか揶揄してんのか分からん」

古泉「揶揄でしょうに……」

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:12:27.64 ID:DqIY0sE+0

ハルヒ「とりあえず……出発!!」

キョン「まて、ハルヒこの人数じゃ何人か車からあぶれちまう」

ハルヒ「キョン、飛ぶ、以上!」

キョン「おっけー! でもまだあぶれるぞ」

朝倉・古泉「「(おっけーなのはおっけーなんだ……)」」

ハルヒ「……!」

ハルヒ「じゃああた―――」

長門「わたしも降りる」

キョン「お、長門も飛ぶのかー」

ハルヒ「……」

朝倉「す、涼宮さんすごい形相だけど……?」

ハルヒ「……飼い犬同士の微笑ましい光景を見てる感じ!!」グヌヌ

朝倉「苦渋を舐めているようにしか見えないんだけど……」

朝比奈「飼い犬……」

ハルヒ「新鮮ね!! この光景は!!」グギギ

朝倉「辛酸かと……」

ハルヒ「……あなた、中々ね」

朝倉「(なんかSOS団の選考基準らしきものをクリアしたっぽい?)」

キョン「じゃ俺と長門は現地でキャッチボールでもして待ってるから」

ハルヒ「先着く前提なのね、分かったわ! 少しでもうまくなってなさい!」

ハルヒ「それじゃ車組はのりこんでさっさと行くわよ!!」

朝比奈「古泉君」

古泉「はい、なんでしょう?」

朝比奈「車、女の子ばっかりですね!」

古泉「……え?」

28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:16:10.62 ID:DqIY0sE+0

ブーーーーーーーーーーーン!!!


キョン「行ったか、それじゃ俺らもシュン!!ってなもんで」

長門「どこに行く?」

キョン「どこってそりゃ……どこだ?」

キョン「グラウンドしか聞いてなかったな、やれやれ」

キョン「まぁ、分からんことはないが、ここは空から車を追って行くのがいいか」

長門「わたしは飛行はできない」

キョン「させてやるよ」ギュッ

長門「……」ギュッ

キョン「そーら、空へ飛び立つぞ」

長門「うまい」

キョン「……うまくないからスルーしてほしかったんだがな」

長門「そう」

キョン「それじゃ、のんびり行きますか」

長門「そう」
















鶴屋「それでみくるったらねーっ!!」

ハルヒ「うわぁ! 知られざるみくるちゃんの情報がどんどん出てくるわ!」

朝比奈「つ、鶴屋さんストップストップだってぇ!!」

鶴屋・ハルヒ「「あっはっはっは!!!」」

朝倉「(もの凄いタッグが完成した瞬間ね……)」

鶴屋「それで……朝にゃんだっけ!?」

朝倉「朝にゃん!? いえ、あたしは朝倉涼子と……」

鶴屋「じゃあ朝にゃんだ!!」

朝倉「は、はぁ……」

鶴屋「朝にゃんはハルにゃんと同じクラスなのかいっ?」

ハルヒ「そうよ、彼女あまり話さないから喋ったことほとんどないけどっ!」

鶴屋「あー……」

朝倉「(待って!! 喋らないのあなた!! 話しかけても答えてくれないのあなた!! てか気まずい! この空気は気まずい!!)」

ハルヒ「……あれ?」

朝比奈「……うぅ」

古泉「……でしたら、これを機に親睦を深められては如何かと」

朝倉「(おー、ナイスフォロー……ってなんであたしが空気とか気にしてるんだろ?)」

鶴屋「そうっさね!! 試合が終わればみんな仲良し!! 今日の敵は明日の友っさ!!」

古泉「いえ、みんな同じチームですが……」

30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/07(月) 22:18:34.34 ID:DqIY0sE+0

ハルヒ「ついた!?」

古泉「ええ、つきました」

ハルヒ「キョーン!! 有希ー!! どこにいるのーっ!?」

キョン「ここだ」シュン!!

長門「ここ」

ハルヒ「うひゃぁ!! び、びっくりさせないでよ! 今ついたとこなの?」

キョン「ああ、ゆるりゆるりゆるゆりと空を満喫してた」

朝倉「今変なワードが……」

ハルヒ「先に練習しときなさいっていったじゃない」

キョン「イメトレはバッチリだ! なっ長門?」

長門「……」コクリ

ハルヒ「そっ、ならそのイメトレの成果見せてもらおうじゃない!」

キョン「どんとこい」

古泉「さあ、道具一式も準備済みです。思う存分練習したまえと持ち主の方から激励もいただきました」

ハルヒ「グラウンドを貸してくれた人のためにも、次の野球大会は優勝するわよ!!!」

キョン「ああ、任せとけ!! 七大会連続MVPの俺がいるんだからな」

ハルヒ「そう!!…………そう?」

ハルヒ「……アンタ、この大会出たことあんの?」

キョン「というか、元々の主催者俺だし」

ハルヒ「……九年前からある大会だけど?」

キョン「おう」

朝比奈「……」

古泉「……」

長門「……」

鶴屋「ううん?」

ハルヒ「…………練習するわよーッ!!!!」

キョン「おおーっ!!!」

古泉・朝比奈「「(理解するのをあきらめたーっ!!!!!!)」」

44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 23:43:03.52 ID:pd+XHSHb0

ハルヒ「さて、キョン!! まずはアンタから千本ノックの餌食となりなさい!!」

朝比奈「え、餌食ですか!?」

キョン「望むところだ、さきにくたばっちまうのは目に見えてるがな」

ハルヒ「戯言を!!!」キィン!!

キョン「なんの!」パシッ!!

古泉「……さて、我々も自主練に励むと致しましょうか」ニッコリ

鶴屋「おおう!! それじゃあ二人組作ってー!! みくるーっ!! こっちおいでーっ!!」

朝比奈「はぁい」

朝倉「長門さん、一緒にやりましょう?」

長門「……」コクリ

古泉「…………おや?」

鶴屋「そいじゃみくるっ!! まずはキャッチボールから始めるっさ!!」

朝比奈「よ、よろしくお願いしまぁす!!」

朝倉「長門さん、あたしたちもそうします?」

長門「……」コクリ

古泉「……おやおや」

古泉「…………」

古泉「……新川さーん!!! 戻ってくることはできませんかーっ!!?!?」

45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 23:47:37.10 ID:pd+XHSHb0

ハルヒ「ホッ! ハッ! アッ!!」キンキンキン!!!

キョン・キョン「「なんのなんの」」シュバババババ

ハルヒ「増えんな!!!」

鶴屋「いっくよー!! そーれ!」ポイッ

朝比奈「あ、あわわわ、えいっ」パスッ

鶴屋「うまいうまい!! やるじゃんみくるぅ!!」

朝比奈「え、えへへ」

朝倉「なるほど……あんな感じにやればいいわけね……」

朝倉「長門さーん、投げますよー」

長門「……」コクリ

鶴屋「朝にゃん、意外と遠いから少し強めに投げてみるといいっさ!」

朝倉「あ、はい。強め強めに、と……えいっ」ブン!!!

朝倉「あ」




ゴォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!




長門「……」バッシィィィイイイイイィィイイン!!!!!!

朝倉「……入った、入りましたよね! これってあれですか? ストライク!?」

鶴屋「す、すごい球投げるっさね朝にゃん、うん、でもあれは紛れもないストライクっさ!!!!」

朝倉「やったぁ!!」

朝比奈「長門さん、て、手大丈夫ですか?」

長門「問題ない」プスプス

朝比奈「ぐ、グローブから煙が……」

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 23:51:34.17 ID:pd+XHSHb0

キョン「どしたどしたぁ、もう休憩かハルヒ!!」

ハルヒ「こ、このスタミナお化けめ……あたしも相当タフだと自負してたのに……」ハァハァ

キョン「情けないな、どれ、俺が打つのを代わってやろう。次はハルヒが捕れ」

ハルヒ「鬼畜!!!! 今あたし疲れてるの見てそう言ってんの!!?!? だとしたら紛れもなく鬼畜!!!!」

キョン「俺はただハルヒが疲れたから代わってやろうと……」

ハルヒ「なら休ませて!!! 優しさのつもりなら今は放っておいて!!!」ゼェゼェ

キョン「ったく、しょうがねえな」

キョン「おーい、朝倉ぁ」

朝倉「ん? ノックは終わったのキョン君」

キョン「ノッカーがグロッキーなドラッガーになってしまってな」

朝倉「ドラッガーに!!?!?」

ハルヒ「きゃ、脚色すんな!!!」ハァハァ

キョン「な、怪しい息切れを起こしてる」

朝倉「た、確かに」

ハルヒ「お、お願いだからこれ以上訂正のツッコミをさ、せないでくれる!!?!?」ゼェゼェ

キョン「まぁ、ああいう状態だから一旦中断というわけだ」

朝倉「ふーん」

キョン「どうだ朝倉もバット使ってみるか?」

朝倉「ボールを打てばいいの? 簡単そうね」

キョン「ふっふっふ、この大会において未だ防御率0.00の俺の球を打てるとでも?」

朝倉「どれぐらいすごいのか知らないけど……受けてたとうじゃない!」

長門「プレイボール」

48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 23:55:21.66 ID:pd+XHSHb0

ハルヒ「」ゼェゼェ

古泉「(大丈夫でしょうか……)」

鶴屋「キョン君ー! 朝にゃん!! どっちも頑張れー!!」

朝比奈「ふぁ、ファイトぉ!」

古泉「(いつの間にか誰も練習らしい練習をしていませんね)」

古泉「(……まぁ、僕は初めからやってないんですが……)」

古泉「……ははっ」

朝比奈「ひっ」

鶴屋「みくる、怯えちゃだめっさ」












キョン「よし、長門もう肩はあったまった。座ってくれ」パシッ

長門「そう」スッ

キョン「さあ朝倉、見事俺の球を打ち、豪華客船0泊1日の旅の招待券をGETなるかな?」

朝倉「豪華客船を日帰りって意味あるのそれ?? まぁ、とにかく……」

朝倉「二 度 も、キョン君に負けるわけにはいかないわ!」ゴォオ!

朝倉「ここらでリベンジ、させてもらうからね!」

キョン「望むところ!! さあ朝倉打席に―――」


「ちょっと待ったぁ!!!」


キョン「なっ、お前は―――っ!!?」

ハルヒ「代打、あたし!!!!」

キョン「涼宮、ハルヒ――――――ッ!!?!?」

朝倉「……え、なにこの茶番」

古泉「……復活早いですねぇ、上の方ではゼェゼェ言ってたはずなんですが……」

朝比奈「う、上の方……??」

鶴屋「みくる、ダメっさ。彼は今電波を受信しているだけなんだから」

朝比奈「???」

49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 00:01:35.91 ID:1t7KFX0y0

キョン「まさか……『代打、あたし』を言いたいだけのために出てきて……?」

ハルヒ「んなわけあるか!! スタミナ勝負で負けた分、きっちりこの場でお返ししてやるわ!!」

キョン「別に勝負だったつもりはないが……」

ハルヒ「……朝倉さん」

朝倉「えっ、は、はい?」

ハルヒ「キョンにリベンジをしたいのはあなただけじゃないわよ。まずはあたしが、リベンジを果たしてくる!」

ハルヒ「それが、今のあたしに求められるリーダー性なのよっ!!!!」グッ

朝倉「……すごい」

朝倉「(何言ってるのか分からない)」

ハルヒ「リベンジがしたいならまずはベンチであたしのリベンジを見てなさい」

ハルヒ「それで、少しでも参考になればいいのだけど」フフン

キョン「なんだ、ハルヒのやつさっきから朝倉につってかかって……」

キョン「次期クラス委員長の座でも狙ってんのか?」

朝倉「ま、まぁそういうことならお先にどうぞ……」

ハルヒ「フフン、ありがと」

朝倉「(涼宮さんのこのキャラはなんなのかしら?)」

ハルヒ「さっ、キョンいつでもいらっしゃい。あたしの胸を借りるつもりで遠慮なくきなさい」

キョン「エロハルヒ」

ハルヒ「そういう意味じゃないわ!!!」

キョン「さっきからえらい余裕ぶっこきやがって……その余裕、いつまでもつかな?」

ハルヒ「団長たるもの、余裕の一つや二つ持ってなきゃ務まらないわ」ユッサユッサ

ハルヒ「……ん?」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「ホントに『余裕』持ってたなんだこれーっ!!?!?!?」

朝倉「よ、余裕をもってる……」

キョン「持たせてみた」

50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 00:07:23.63 ID:1t7KFX0y0

キョン「ウダウダ言ってても始まらん、いくぞ第一球!」ザッ

ハルヒ「来い!」グワッ!

キョン「フン!!」ポイッ!

ハルヒ「はーっはっは!! なによそのボールは!! 大口叩いた割に大したことないじゃない!! 一発でスタンドインよ!!」

朝倉「(投球の間によく喋るなぁ)」

ハルヒ「はーっ!!」ブン!

長門「ストライク」パシッ

ハルヒ「……は? なんで、当たってないの?」

キョン「ハルヒ、俺がなんの変哲もない球を投げると本当に思ってたのか? 思ってたんならおめでたいな」

ハルヒ「なっ……これは……」

ハルヒ「『魔球』!!?」キラキラ

キョン「目をキラキラさせても教えてやらんからな」

ハルヒ「ま、魔球だなんて卑怯な!! あたしの探求心をくすぐる作戦にでるとは……恐るべし!!」ゴクリ

キョン「そこまでは謀ってねーよ、そーれ第二球」ポイッ

ハルヒ「しっかり、見……て?」

長門「ストライク、ツー」

ハルヒ「……魔球の王道、消える魔球……」プルプル

キョン「さーて追い込んだぞ、続く第三球!!」ポイッ

ハルヒ「くっ……次の魔球は……!!?」ポンッ

ハルヒ「!!!?!?」



バーカ



ハルヒ「ッ!!?!?!」ブンッ

長門「ストライク、バッターアウト」

キョン「第三の魔球、喋る魔球だ!」ドーン!

ハルヒ「それ魔球関係ないじゃない!!!! ただの喋るスローボールだったわよ!!?!? いや、それもただのってのはおかしいけども!!!」キーッ!

朝倉「……あっ、かませだったのね、涼宮さん」

ハルヒ「あ˝ぁ!?」

朝倉「なんでもない。あと、女の子がしちゃいけない声と顔してるわよ?」ヒクッ

51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 00:11:36.21 ID:1t7KFX0y0

キョン「さーて本命だ」

ハルヒ「だれが前座だ!!!!」

キョン「分かってんじゃねーか」

ハルヒ「朝倉さん、仇……とって頂戴ね」

朝倉「え、ええ……」

キョン「まだまだ続く俺の魔球劇場、炎上はないぜ!」

朝倉「あたしの一打で終わらせてあげます、不敗神話」

キョン「行くぞっ、第一球!!」ブンッ!

朝倉「当てる当てる……当てる!!」キッ……

キョン「まっがーれ☆」シュルルルルル

古泉「なっ!?」

朝倉「なっ!?」ブン!

長門「ストライク」

キョン「これならただの変化球の内に入るだろ」

朝倉「じょ、冗談じゃないわ……バットに当たってから先端まで滑るように転がって長門さんのミットに入った」

キョン「解説どーも。命名『打たれてからシュート』ギリファウルチップ扱いだな」

キョン「さーて第二球」ポイッ

朝倉「冷静に冷静に……れいせ、い」ブン

朝倉「…………」

朝倉「いつの間にかバットがない!!?!?!?」

長門「ストライク、ツー」

キョン「魔球、『消えるバット』」ドヤッ

朝倉「球関係ないじゃない!!!!!!!!」

52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 00:15:50.69 ID:1t7KFX0y0

キョン「さーて追い込んだぞ、俺の未来には朝倉が三振して第九回アマチュア野球大会優勝までが見えるぞ」

朝倉「早い早い。優勝までの過程がない。まるであたしが敵チームにいるみたいになってるわよ」

キョン「さぁ、止めだ。この球打てなきゃ明日の晩御飯は抜きだぜ」

長門「朝倉涼子、打って、必ず」グッ

朝倉「その脅し文句はキャッチャーに一番効いているんだけど……ていうかキョン君が決めることじゃないし」

キョン「いくぞぉ!! 魔球・改!! ウルトラスーパードメスティックファイブフィンガーマシンガン……」ググッ

朝倉「長い長い、小学生でももっと短いわよ」

キョン「球ぁ!!!!!」ポイッ

朝倉「最後だけ日本語カッコ悪っ!!!」ガーン

朝倉「でも……打つ!!!!」グッ

朝倉「ハァ!!」キィン!!

朝倉「や、やった―――」

キョン「うたれた事象を」

キョン「なかったことにする魔球――――――」

朝倉「―――え?」

長門「……ストライク・ゲームセット」

朝倉「そんな……確かに、打って……」

キョン「俺の最大の魔球だ。別名『ぬか喜び』」

朝倉「…………」

朝倉「だから球関係ないじゃないそれぇ!!!!!! ていうかしょうもないことに変な力つかわないでよ!!!!」

長門「朝倉涼子……あなたには失望した」

キョン「あーあ、長門の晩御飯がー」

朝倉「キョン君のせいでしょ!? ていうか長門さんも食べないつもりなの!!?!?」

ハルヒ「……」ジィ

鶴屋「みーんな、仲いいんだねえハルにゃん?」

ハルヒ「……ま、そうみたいね」

53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 00:18:40.27 ID:1t7KFX0y0

カァーカァー


キョン「おっ、もうこんな時間か……そろそろ帰ろうぜ、ハルヒ、朝倉も」

ハルヒ「ま、まだ……まだ」ゼェゼェ

朝倉「この、ままじゃ……二か月間、長門さんのごはんが……」

キョン「さすがにそんな鬼畜なこと望んでねーよ、てか長門がやばい」

長門「…………」

朝比奈「さ、さっきから長門さん一ミリも動いてないですけど……」

鶴屋「だるまさんがころんだかな?」

キョン「二人して結局俺から無安打、124三振か。残念だなぁ」

ハルヒ・朝倉「「うぐぐ……」」

キョン「まぁ、俺も大人げなかったとはいえ主力がこんなもんじゃ少し物足りないなぁ」

ハルヒ「……朝倉さん」

朝倉「……涼宮さん」

ハルヒ・朝倉・キョン「「「絶対日曜は活躍してキョン(君)を驚かせてやるんだから!!!!」」」

ハルヒ「アンタが言ってどうすんのよ!!!」

キョン「いやぁ、二人共同じこと考えてるって思って、つい……」

朝倉「キョン君、借りが増えたわね」

キョン「どんどん増やしたのは朝倉だけどな」

朝倉「この借りは、必ず……」グッ

キョン「試合で、試合でな? 間違っても俺に返すなよ?? 主に、ナイフとかでな、な??」

朝倉「なによその具体的な忠告は」

キョン「いやぁ、なんとなく」

ハルヒ「えー、ゴホン、みんな今日はもう遅いから解散とするわ!!」

ハルヒ「明日一日ゆっくりして明後日の試合に備えること!! 分かった!!?」

ハルヒ「それじゃあチームSOSファイ!!!」

ハルヒ「オー!!!!」

「「「「「「トーっ!!!!!」」」」」」

ハルヒ「なんでよ!!!?!?」

キョン「やっぱズレてんのはハルヒなんだよ、うん」

69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 23:42:46.44 ID:6Qv2RIm60

試合当日


ハルヒ「みなさん、おはようございます!! 本日、監督兼主将兼団長を務めさせていただきます、涼宮ハルヒです!」

鶴屋「いよっ、団長殿―!!」

ハルヒ「ありがとう、ありがとう!」

谷口「キョンよ……なんだこの茶番は?」

キョン「まぁそういってくれるな谷山君」

谷口「谷口ですけど??」

キョン「どっちでもいいじゃないか、そんなことは」

キョン「こんなにも麗しい女性達がイルノダカラー」

谷口「どっちでもよくない! よくないが! 確かに、ここの女子は皆レベルが高い!」

国木田「まさか鶴屋さんと知り合いだなんてね、驚いたよ」

谷口「ウチのクラスの朝倉に、学園一ともいわれる朝比奈さん、そして二年でも人気の鶴屋さん!」

谷口「まさに北高のミスコンが今にも始まらんばかりのメンツだな」

キョン「ま、始まるのは野球大会なんだがな」

谷口「もったいねぇ……ここまでの人間よんでおいてやるのが野球だなんてもったいねぇ!!」

国木田「もったいないなら自分で呼べばいいのに」

谷口「毒吐くな国木田ぁ! それが出来たらこんなとこにノコノコでてきやしねぇよ!!」

キョン「情けない宣言だな」

ハルヒ「それじゃあオーダー! 発表するわよ!!」

70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 23:43:43.90 ID:6Qv2RIm60

1番 センター  涼宮ハルヒ

2番 セカンド  古泉一樹

3番 ライト  朝倉涼子

4番 ピッチャー キョン

5番 キャッチャー長門有希

6番 ショート 鶴屋さん

7番 サード  谷口

8番 ファースト 国木田

9番 レフト 朝比奈みくる


ベンチ キョン

71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 23:46:34.52 ID:6Qv2RIm60

ハルヒ「以上!! 本日のオーダーです!」

古泉「二番ですか、頑張らせていただきます」

朝倉「あたし、上の方でいいのかしら? 全然キョン君の球打てなかったけど……」

キョン「俺じゃなきゃ余裕で打てるから安心しろ、なっ、長門?」

長門「……」コクリ

鶴屋「あっはっはー! 頑張るっさ!!」

谷口「国木田よ、気のせいか? キョンの名前が二つある気が……」

国木田「さあ? 分裂でもするんじゃないかな? なんてね」

朝比奈「す、するんです……」ボソッ

ハルヒ「キョン!! このあたしがマウンドと四番の座を譲ってあげた上に徹夜でオーダーまでくんだのよ?」

キョン「おう、割とまともなオーダーで感心したぞ。徹夜は意味わからんが」

ハルヒ「当っ然、勝つためならなんでもするわ! とにかく、あたしが言いたいのは……」

ハルヒ・キョン「「絶対勝つ!!!!!」」

キョン「分かってるさ、8大会連続MVP 8大会連続優勝がかかってるんだからな!!」

朝倉「むしろ第一回大会は誰がMVPだったのよ……」

キョン「第一回大会は俺は運営側だったから出てないぞ」

朝比奈「あぁ……」

古泉「それは9年前のこと……まぁ言うだけ無駄ですか」

ハルヒ「雑念は払え!! 弱者は去れ!! 強者のみが手にする勝利を渇望せよ!!!!」グッ!

朝倉「独裁者みたいなこと言ってるけど大丈夫?」

キョン「んなこと言い出したらいつもあんなもんだろ」

古泉・朝比奈「「あぁ……」」

72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 23:50:18.76 ID:6Qv2RIm60

ハルヒ「く、クジ……引いてきた、わ」プルプル

キョン「悪かったって。いつまでトラウマなんだよ」

ハルヒ「一回戦は上ヶ原パイレーツってとこよ!!」

キョン「上ヶ原パイレーツか……大会の常連、強豪だな」

古泉「しかし、去年の成績が1回戦負けとなっていますが……」

キョン「ああ、初戦が俺のチームだったからな」

キョン「十点差がつけばコールドゲーム。一回20分でコールドゲームだったぞ」

朝倉「どんな方法を……」

古泉「今年もあなたとあたるなんて……無念です」

キョン「いんや、やっこさんらはリベンジに燃えてるようだぜ?」



オォォォオオオオォォオオオオオオオオオオオ!!!!



古泉「…………神人?」

キョン「ちげーよ」

ハルヒ「さぁ一回表あたしたちが専攻よ!! 10点とって裏で試合終わらすわよ!!」

キョン「んな無茶な」

朝倉「一番できそうな人がなに言ってんのよ……」

鶴屋「あっはっはー! その心意気やよし!! お姉さん頑張っちゃうよー!!」

朝比奈「ボールが飛んできませんように、ボールが飛んできませんように……」ブツブツ

長門「不要な心配」

古泉「団長、士気を高める一言を」

ハルヒ「ずぇええええええええったい!!!! 勝つ!!!!!!!!」








「「「「「「「「「おーっ!!!!!!」」」」」」」」」







73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 23:54:28.12 ID:6Qv2RIm60

一回表

ハルヒ「さあ! 先頭打者ホームランよ!!!!」

朝比奈「す、涼宮さん頑張ってぇ!!」

古泉「相手のピッチャー、中々いい球をなげますねぇ」

谷口「ありゃあ130は出てんじゃねーか?」

国木田「さすが強豪だね」

キョン「……まぁでも―――」

キョン「打てない早さじゃない」


カキン!!


谷口「うえぇ!? 打ちやがったぞあの速球を!!」

国木田「長打コースだね、すごいね涼宮さん」

ハルヒ「いよっしゃぁああああああ!!!! 二塁打よっ!! 古泉君!!!」

キョン「古泉ー、無難なことするの得意だろー!」

古泉「もちろん、指示通りに」コツン

鶴屋「送りバント? うまく転がすもんだねっ!」

谷口「これで1アウト3塁、得点のチャンスだな。そして打席には……」

キョン「朝倉、当てにいけよー!」

朝倉「当てにいけって……キョン君の球は当たらないし、当たっても飛ばなかったんだけど……」

朝倉「……とりあえず、振ってみよう」

朝倉「えい」ブォッ!!!!

キョン「あ」




ゴッッ!!!!!!!

74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 23:58:11.14 ID:6Qv2RIm60

パラパラ


朝倉「……」

谷口「あ、あれ? ものすげぇ音がしたけど……ボールはどこだ?」

国木田「見当たらないね」

キョン「そりゃボールは跡形もなくなっちまったんだからな……」

朝倉「……あ、あはは。やりすぎた……」


……ファール


キョン「こぉら大嘘ついてんじゃねーぞ審判!!!」

谷口「てめー見えねえからって適当いってんじゃねーぞ」

国木田「やめなよ谷口、退場くらっちゃうよ」

谷口「俺だけ!!?」

キョン「こうなったら朝倉!! ぐうの音もでないほど完璧なアーチを描いてやれ!! 軽くな軽く!!」

朝倉「よ、よし。軽く軽く……えい」ブン!!


カッキィン!!!!


谷口「いい当たり! だけど……」

国木田「これは……」


ファール!!! ファール!!! ファァァアアアアアアアアアアアル!!!!!


キョン「見りゃ分かんだよ!!! 自信満々にこっち見ながらコールしてんじゃねーぞ!!!」ブーブー

谷口「さっきのコールでも同じ声出してみろよアンパイアぁ!!!」

キョン「谷口、よせ。退場をくらっちまうぞ」

谷口「だから俺だけなの!!? 俺お前の後に加勢してるだけなんだけど!!?!?」

75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/10(木) 00:02:11.47 ID:n6ub2Xdl0

朝倉「追い込まれた……」

キョン「朝倉、もうタイミングはあってるよな?」

朝倉「……ええ、いけるわ。次はスタンドよ!!」ギュッ

古泉「小指をギュッと」

朝比奈「?」

朝倉「さあ、これで……」

朝倉「ホームランよ!!! ッ!!?!?!???」ブン!!


ストライーク!!! バッターアウッ!!!


キョン「なっ、三振……ッ??」

朝倉「ば、バットが……ないっ!?!?」

キョン「ま、まさか相手のピッチャーも……『消えるバット』の……使い手!!?!?」

朝倉「そ、そんな……」

国木田「キョン、その手のバットはなんだい??」

キョン「お、こんなところにバットが……」

朝倉「…………」

朝倉「犯人キョン君じゃないのぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

キョン「いやぁ、追い込まれてるのみるとつい」

朝倉「つい、じゃないわよ!!!!!! 今あたしとキョン君味方だからね!!?!?! ただ自陣の邪魔しただけよキョン君!!!!」

キョン「分かってるさ、安心しろ朝倉。次のバッターは 俺 だぜ?」

朝倉「……」

キョン「先制点はこっちのもんさ」キラッ

朝倉「……自分が打ちたいだけじゃないのぉおおおおおおおおおおお!!!!」

朝倉「汚い! さすがキョン君汚い!! 七大会連続MVPの闇が見えた気がするわ!!!」

ハルヒ「キョン!!!! アンタ何やってんのよマジ!!!!!!」

76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/10(木) 00:06:21.82 ID:n6ub2Xdl0

キョン「さあ、団長殿もうるさいことだし、さっさとベンチに帰還してもらおうか」

キョン「俺のバットでな!」スッ

谷口「なんか……キョンのやつ打ちそうなオーラが半端ないぜ」

朝倉「(……気に入らなーい)」ブスー

朝比奈「キョンくーん!! ファイトー!!」

キョン「生憎、130のストレートとションベンカーブのみのピッチャーなんざ!」

キョン「プロにゃごろごろいるぜっ!!!!」カキン!!!

古泉「何故プロ基準で……ここはアマチュアですよ」

鶴屋「んんっ、大ファールだねっ!! 190mは飛んだね!」

谷口「プロでもそんな飛ばさねーぞ……」

キョン「勇み過ぎたか……だが、次は……先制ツーランだ!!」

朝倉「…………」

キョン「く、だ、け、散れぇええええええええええええええ!!!!?!!????」ブン!!!

古泉「! バットが、ない!??」

キョン「ま、まさか本当に……『消えるバット』使いなのか!?!?」

鶴屋「おんやぁ、朝にゃん、そのバットはなんだい?」

朝倉「……あら?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

キョン「朝、倉……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

朝倉「こんな所にあるわよ、キョン君のバット」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

キョン「お前……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

朝倉「……うふ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ











ハルヒ「じゃない!!!!! アンタら味方同士でなにやってんのよ!!!!!!!! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴじゃない!!!!!!」

ハルヒ「邪魔し合ってないでさっさと点をとれーっ!!!!!!!!!」ダンダン!

77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/10(木) 00:09:43.13 ID:n6ub2Xdl0

キョン「くそ、まさか敵はチームの中にいたとは……」

古泉「いや本当にまさかなんですけど」

朝倉「キョン君が言うセリフじゃないわよね」

キョン「よし、もうバットは離さん。確実にホームランだ!!」

朝倉「……」

キョン「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」カッキン!!!

ハルヒ「! やった!」

キョン「文句無しだろ!!! 完っ全に柵越え……ぇええええええええええ!?」


シュルルルルルルルルルルル!!!!


谷口「バックスピン!!?!?! 空中からもの凄い勢いで戻ってきやがった!!」

国木田「そしてそのままピッチャーのグローブに。アウトだね」

朝倉「……あらあらついてないわねキョン君」

キョン「いや俺はまだツイてるぞ」チラッ

朝倉「……そういう意味じゃないけど」

キョン「あーさーくーらー? よくもやってくれたなぁ?」

朝倉「お互いさまでしょ?? 得点のチャンスを先に潰したのはキョン君じゃない」

キョン「ほほう、俺に対立すると??」

朝倉「望むところよ、徹底的に邪魔してあげるわ」

キョン「ふっ、朝倉ごときにやられる俺ではな―――」ゴツン!!

キョン「痛い」

ハルヒ「だからアンタらは何やってんのよ!!?!?!?」

ハルヒ「先制のチャンスにトリックショーやってんじゃないわよ!!! てか朝倉さんもそれできたわけね!!! あとで教えてね!!!!!」

朝倉「と、トリック……?」

ハルヒ「アンタ達のせいで先制できなかったんだからキョン!! 先制されたらピッチャーのアンタの責任だからね!!」

キョン「前後の文がかみ合ってないが……俺が失点するとでも??」

朝倉「させてあげましょうか?」

キョン「できるならな」ニヤッ

ハルヒ「だからチームでなにやってんのよアンタら!!!! 敵分かる!!?!? 敵はアッチ!!?!? We are teammate!!!!!」

79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/10(木) 00:13:10.39 ID:n6ub2Xdl0

一回裏


キョン「しまっていこーっ!!」

「「「「「「「おー(!!!)」」」」」」」

キョン「若干一名の声が聞こえんが、いいだろう」

キョン「さぁって、まずは肩慣らし、一回はストレートだけで十分だ」スッ

キョン「そーっれ」ピュッ


ズッッバァァアアアアアアーーーーーーン!!!!!!!!!!


長門「……」シュゥゥウウウウウ……

谷口「ほぇ? 何の音? 花火か?」

朝倉「あの球なら打てるのになぁ……」

キョン「そーら、どんどんいくぞぉ」ピュッ


ズッッバァァアアアアアアーーーーーーン!!!!!!!!!!


長門「……」シュゥゥウウウウウ……

国木田「谷口、分かった。マタギが近くにいて熊を狩ってる時の発砲音だよ」

谷口「あぁなるほど、通りでこんな音が……」

キョン「そーれぃ」




ズッッバァァアアアアアアーーーーーーン!!!!!!!!!!

80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/10(木) 00:16:37.79 ID:n6ub2Xdl0

二回表


長門「……」アウッ!!

鶴屋「そりゃ!」ブン! アウッ!!

谷口「へあっ!」スカ! アウッ!!!

キョン「……古泉、長門がアウッ!! ってリアクションしたと思ったやつ何人いるかな?」

古泉「いませんよ、審判の声ですから……ていうかなんの話ですか?」

ハルヒ「こらーっ!! 点をとらんかーっ!!!!」

キョン「下位打線だし、仕方ないだろ?」

朝倉「そうよ、長門さんとかあまり運動しないし……」

ハルヒ「……そう思うんだったら」

ハルヒ「さっきの回!!! 邪魔し合わないで点とってたらどうなのよ!!!!?!?!?」

キョン・朝倉「「(朝倉)キョン君が悪い」」

ハルヒ「キィー!!!!」

朝比奈「す、涼宮さん落ち着いてぇ!!」

谷口「おいおい、チームワークねぇチームだな」

国木田「和を乱してる谷口が言っても……」

谷口「俺、和を乱すほど馴染んでねぇから」

国木田「あぁ……僕も」

81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/10(木) 00:20:56.10 ID:n6ub2Xdl0

キョン「秘儀、イリュージョン投法!!!」パーラッパラー!!

ハルヒ「効果音が豪華なだけで普通じゃない!!! 効果音はどこから!!?!?!?」

国木田「それっ」ブン! アウッ!!

朝比奈「ひえぇ!」アウッ!!

ハルヒ「そーりゃ!!」ブン!! アウッ!!

ハルヒ「……」

キョン「『消える魔球』か……」

ハルヒ「……手に持ってるボールは何?」

キョン「……おわぁ!?」

ハルヒ「わざとらしい!!!! あたしの邪魔までするなーっ!!!!! てかホントに何がしたいのよアンタ!!!」

キョン「まぁまぁ」

キョン「そんならこっちも『消える魔球』のお返しだ!!」ビュン!!

長門「自作自演」バシッ!!

キョン「ハルヒ!! 仇はとったぞ!!」

ハルヒ「誰から!!?!?! あたしの仇はアンタなんだけど!!?!?」

古泉「おっと」ブン! アウッ!!

朝倉「……はぁーっ!!」ブン!! アウッ!!

朝倉「……」

キョン「朝倉、バット忘れてたぞ」

朝倉「……そう、キョン君も気をつけてね」ゴゴゴゴ

キョン「抜かりはない」

キョン「はーっ!!!!!」ブン!!! アウッ!!

朝倉「……あれー? キョン君」

朝倉「腕、置き忘れてたわよ?????」

キョン「……抜かった!!!!!」

ハルヒ「んなわけあるか!!!!!! 真面目にやれぇえええええええええええ!!!!!!」





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103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 01:44:38.90 ID:+i46Ee360

キョン「……なんだかんだ、で最終回~♪」

ハルヒ「なんだかんだでじゃない!!!! 原因ははっきりしてるわよ!!!」

朝倉「涼宮さん、もしよかったら教えてもらえないかしら?」ハテ

ハルヒ「言うまでもなくあんたらよ!!! 自覚ないのが逆におどろくわ!!!」

キョン「まぁまぁ、幸い俺の好投で完全試合中なんだからいいじゃないか」

ハルヒ「0-0だから言ってんのよ!! このまま引き分けで終わったら両者敗退よ!?!??」

キョン「なんと」

朝倉「まぁ」

ハルヒ「だからちょっとは焦りなさいよ!!!!!」

キョン「仕方ない、ならこの最終回、本気で行くか!!!」

ハルヒ「遅い!!!!」

朝比奈「ま、前の回はキョン君でアウトだから……」

朝倉「次は長門さんね」

キョン「……よし、長門ガンバレ!!!!」

ハルヒ「既に人任せじゃないの!!!」

長門「……努力する」

朝倉「ああ、長門さん無理しちゃだめよ?? 絶対怪我しないでね??」オロオロ

ハルヒ「お母さんか」

長門「気をつける」コクン

104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 01:48:50.90 ID:+i46Ee360

キョン「長門ーっ!! 絶対出塁だぞー!!」

朝倉「ちょっとキョン君!! 長門さんのプレッシャーになるようなこと言わないでくれる!?」

キョン「朝倉が不甲斐ないから長門に頼まなきゃならなくなったんだろ?」

朝倉「それはキョン君が邪魔するからでしょ!? てかキョン君だって活躍してないし!」

キョン「それは朝倉が邪魔するからであって、投手面じゃ俺はパーフェクトだ」

ハルヒ「あーもう身内でもめんな!! ほら今は有希の応援!!!!」

キョン・朝倉「「長門(さん)頑張れー!!」」

ハルヒ「あんたらが頑張ってりゃこんなことには……」イライラ

古泉「す、涼宮さん落ち着いて」

鶴屋「あっはっはー!! 有希っこ! がんばれーっ!!」

長門「……」

ハルヒ「ピッチャー!! もし有希に球がかすりでもしたらそく乱闘よ!! 乱闘パーリィよ!!!」

キョン「ひゃっはーっ!!!! 乱闘だ乱闘だ!!!」

ハルヒ「黙って応援しろ!!」ゴツン

キョン「理不尽な……黙って応援しろとは一体……」

長門「……―――」カキン!

ハルヒ「振った!! 打った!!?」

朝倉「長門さんヒットよ!! すごいわ!!!」

キョン「さすが、俺が育てただけある」

古泉「あなたはどこのどなたなんですか」

朝比奈「だ、打球がとんでもないバウンドしてる……」

ハルヒ「見たか!! これが有希の……トリックプレーよ!!!!」バァーン!!

キョン「ハルヒ、それ意味違う」

105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 01:53:14.49 ID:+i46Ee360

ハルヒ「続けーっ!! 鶴屋さんー!!!!!」

鶴屋「あーっはっはーっ!!! あたしに任せとけーッ!!!」

朝比奈「鶴屋さんファイトーッ!!」

国木田「がんばれー」

キョン「鶴屋さんなら打つだろ」ズズッ

ハルヒ「……な、に、アンタは!! お茶のんで、くつろいでんだ!!!」ゴツン!

キョン「いや、鶴屋さんを安心させようと……」

ハルヒ「この状況でそんな態度とるアンタの頭が心配になるわ!!!!」

鶴屋「にょ、にょ、にょっ!! にょっろーん!!!!」カッキーン!!

キョン「ほら、打った」

ハルヒ「ナイス鶴屋さん!! これで1、2塁よ!! 次は……」

谷口「いよっし!! 俺がサヨナラホームランで歩いて帰してやるぜ!!!」

ハルヒ「これでワンナウトか……国木田君にはバントでもしてもらおうかしら」

キョン「いいか、国木田バントはボールさえ見てりゃなんとかなる」

国木田「うん、僕なりに善処してみるよ」

谷口「…………へっ、あーそーかい」

谷口「お約束の打つ前に自動ワンナウトってかい、まぁそんな態度とってられるのも今の内だぜ」

谷口「サヨナラホームランを打った俺を迎える暁には、両手に花で―――」

国木田「谷口、邪魔だよ。アウトになったらすぐどいてよ」

朝倉「いつの間に……」

谷口「はい、すいません」

古泉「本当に自動ワンナウトですね」

106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 01:57:24.29 ID:+i46Ee360

国木田「それっ」コツン!

ハルヒ「うまい!! 中々センスあるわねっ!!」

キョン「ああ、国木田も俺が育てた」

朝倉「はいはい、分かった分かった」

古泉「これで2アウト2、3塁。ですが……」

朝比奈「ひっ、こ、こここここでわたしですかぁ!!?!?」

ハルヒ「みくるちゃん、死んでもあたしに回しなさい」

朝比奈「そっ、そんなー!! 無理ですよぉ!!」

ハルヒ「やる前から諦めない!!! やってみないと分かんないでしょ!!」

朝比奈「で、でもぉ……」

キョン「ハルヒ、朝比奈さんが打席に立つ必要はない」

ハルヒ「……!! なるほど、賄賂ね!」ニヤッ

キョン「そう、それが七大会連続MVPの……違う違う」

キョン「というかこのタイミングでどんな発想だよ、恐ろしい。ニヤッじゃねーよ」

ハルヒ「じゃあ打席に立たなくていいってのはどういう意味よ??」

キョン「……」スゥ

キョン・キョン「「代打!! 俺!!!!!!」」バーン!!!

ハルヒ・朝倉「「絶対それが言いたかっただけでしょ!!!!!!!!!!」」

キョン・キョン「「一回言ってみたかったんだよ、これ」」

谷口「……本当に気のせいか?? どうみてもキョンが二人いるような……」

国木田「谷口谷口。イリュージョンだよイリュージョン」

谷口「へぇ、イリュージョン……ってイリュージョンなら納得していいのかこれ!?!?」

107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 02:02:42.73 ID:+i46Ee360

キョン「朝比奈さん、あとは俺に任せてください」

朝比奈「キョン君……ありがとう」

キョン「あいつは俺が育てた」

朝倉「むしろキョン君から生まれてるんだけど……」

ハルヒ「キョンー!!! 分かってるわよね!!?!??」

キョン「ああ、お前がサヨナラ打ちたいからって無理にお前に回すようなことはせず、俺のバットで決めてくるぞー!!」

ハルヒ「分かってるならその通りにしてよ!!!!! 最後ぐらいあたしに打たせてよ!!!!!!!」

キョン「へへっ、この絶好の好機、逃がしてなるものか」

キョン「朝倉はもう一人の俺が封じることにより、妨害は不可」

朝倉「……くっ!」

古泉「何故くっ、なんですか。まだ妨害する気だったんですか」

キョン「あとは思う存分……これまでの鬱憤を晴らすだけだ!!!!」グッ

キョン「来い!! 凡P!!!!!!!」

古泉「相手投手になんの恨みが……」

ハルヒ「あたしに回せ―!!!!!」

キョン「キョンキョンディフェンス」キョンキョンキョンキョンキョンキョン!!!!!!

朝倉「くッ!!!!! 単に邪魔!!!!!!!!」

谷口「……最終回だってのになんてバラバラなチームなんだ」

国木田「反乱因子の元に言われても」

谷口「元!!?!? 俺が元祖なのか!!?!?」

108: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 02:07:06.06 ID:+i46Ee360

キョン「カモンボーイ……」プクーッ

古泉「ガム風船膨らませて挑発……どこのメジャーリーガーですか……」

ハルヒ「打つなーっ!!! 打たずしてあたしに回せーっ!!!!」

キョン「残念だが……これでゲームセッ―――」ドゴッ

キョン「…………」



デッドボール!!



ハルヒ「ッッシ!!! 注文通り!!!!」

キョン「……おい凡P、お前一体誰にボールを当てていると思っているんだぁ?」

朝倉「いいからいいから、よかったじゃない、出塁出来て」ニッコニコ

キョン「その満面の笑みはなんだ。こちとらデッドボールを受けてだな……」

ハルヒ・朝倉「「早く行け(行きなさい)」」

キョン「……はぃ」

朝比奈「キョン君! ごめんなわたしの代わりにデッドボールになっちゃって……」

キョン「……ハッ!! てことは俺が代わりに立たなければ朝比奈さんがデッドボールに??」

キョン「許すまじ……そのような暴挙、アンパイアが許しても、この俺が許さ―――」

ハルヒ・朝倉「「は や く」」

キョン「……代走は……はぃ、すいませんダッシュで行きます。はい」

古泉「心中、お察しします……」

ハルヒ「んっふっふ、きたきたきたきたーっ!!!!!」

ハルヒ「千載一遇の大チャンス!!! このあたしが決めずして誰が決める!!!」

キョン「代打、お―――」ゴツン!!

ハルヒ「いっくわよーっ!!!!」

キョン「」プシュウゥウウウウゥウウ

朝比奈「あ、あわわ……」

109: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 02:12:44.66 ID:+i46Ee360

ハルヒ「キナイッ!!!!!」

谷口「なんだ今の奇声は……?」

朝比奈「涼宮さんファイト―!!!」

古泉「頑張ってください、涼宮さん」

鶴屋「ハルにゃーん!! あたしを歩いて帰しておくれ―っ!!」

ハルヒ「任せなさい!!! ホームラン打ってあたしが誰よりも早く帰ってみせるわ!!!」

キョン「普通にアウトだからそれ」

朝倉「……それで、キョン君の目にはもう結果が見えてるの?」

キョン「……結果? んなもん、試合始まった時点から見えていたさ」

ハルヒ「……」グッ!

朝比奈「涼宮さーん!!!!」

谷口「一発かましてやれーっ!!」

国木田「がんばれー!」

キョン「……」

キョン「さっさと決めてこい!!! ハルヒーっ!!!」

ハルヒ「言われなくてもーっ!!!!!!」グググッ!!!

ハルヒ「決めてやるわよっ!!!!!!」ガッ!!





















カッキィィィイイイイイイッィィイィイイイィイン!!!!!!

110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 02:17:34.40 ID:+i46Ee360

ハルヒ「…………」

キョン「で、見事なサヨナラホームランだったわけだが」

長門「……」

鶴屋「いやーまさか本当に抜かされるとはビックリっさ!!」

ハルヒ「……でしょ??」

キョン「でしょじゃねーっ!!!! アウトになるっつたろうが!!!! 何マジで走ってんだ!?!? フラグ回収はえーよ!!!!!」

キョン「アホなのか!!? せっかくのホームラン台無しにするアホなのかお前は!!?!?」

ハルヒ「……黙って聞いてれば」

ハルヒ「そもそもアンタが朝倉さんとバカなことやってなきゃコールドゲームだってできたんじゃないの!!?!?」

朝倉「ちょっと涼宮さん! あたしはただキョン君に妨害された被害者よ!!」

キョン「よく言うぜ! しまいにゃ『消えるキョン君』とか言って火星にまで飛ばしたくせによ!!」

古泉「帰ってこれるあなただからこそなんですが……」

ハルヒ「あーっ!! せっかく勝ててた試合なのに―っ!!!!」

キョン「あーあ、俺の連続V&MVPはここまでか」

朝倉「自業自得よ」

キョン「朝倉だけには言われたくない」

朝倉「だーかーらー元はと言えば―――!」

ハルヒ「いやだからアンタたちが―――!」

キョン「お前らだって―――!」


ギャー! ギャー!!


谷口「なんつう騒がしさだ……いつもこんななのか?」

古泉「いつも、ですが、朝倉さんが加わったことにより少々パワーアップしているようです」

鶴屋「あっはっはーっ!! 楽しそうにょろね! みくるっ、あたし達も混ざってみるかいっ!?」

朝比奈「い、いいですよー! 骨も残らないから……」

鶴屋「骨も!?!? おったまげーっ!!!!」

長門「…………」

古泉「おや、どうかしましたか長門さん」

長門「これ、各チームの登録選手名簿」スッ

古泉「……おや、よく見ると、全チームに彼の、名前…………??」
























キョン「今年も優勝とMVPはいただきだな」ニヤッ

111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/11(金) 02:18:17.39 ID:+i46Ee360
ここまで。野球編、完。
ラストはタモさんが出てくるかんじで……

121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 02:46:29.65 ID:qjl/jwZt0
投下―

122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 02:49:36.49 ID:qjl/jwZt0

『キョン、今日は乞巧奠だね』

『きこうでん? ああ、あの中国の行事のことか』

『こっちじゃ七夕なんて言ったりするんだっけか?』

『そう、織女星と牽牛星が天の川を挟み最も輝く日だ』

『お前も中々風流じみたことを言うやつなんだな』

『何を今更。君と初めて会った時から僕は節句や行事に対しては重きを置いているよ』

『それで、今日がその日だからどうしたんだ?』

『心が読める癖に、相も変わらずこういうことに疎い男だね、君は』

『そりゃあな。興味のないことに意欲を注ぐつもりはない』

『くつくつ、実にキョンらしい回答だ』

『まぁそれでも今日ぐらいは僕の余興に付き合ってもらおうか』

『なんだ? 織女星と牽牛星に成り代わって願いを叶える仕事でもするのか?』

『まさか、彼らから一年に一度の仕事を奪ったりはしないよ』

『逢瀬に仕事を押し付けられるやつらにとっては、願ってもないことだと思うんだがな』

『とにかく、今日ぐらいは世に習って僕達も願い事をしようじゃないか』

『遠い遠い、銀河の双星にね』

『自分で叶えた方が早かろうに』

『キョン、あまり女性の提案を無下にするものじゃないよ』

『はいはい、分かりましたよっと。顔も知らぬ連中に己の願いを託すなんて気が知れんが』

『そう言わない。行事とは雰囲気を楽しむものなのだからね』

『愚痴を言ってちゃ、せっかくの七夕が台無しだろう?』

『分かったって、【この先、精々俺を楽しませてくれるようなやつが現れますように】これでいいだろ?』

『…………僕では不満なのかい?』

『いやそうじゃなくて……どうすりゃいいんだ……』

123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 02:53:20.49 ID:qjl/jwZt0

キョン「―――……」

ハルヒ「ちょっとキョン!! 今の話ちゃんと聞いてた!?」

キョン「ん、ああすまん。少し考え事をして七夕の願いを短冊に吊るすってことを聞き逃しちまった」

キョン「もっかい言ってくれ」

ハルヒ「言う必要がない!!!!」

古泉「願い事ですか」

朝比奈「うーん……なにをお願いしようかな……」

ハルヒ「みんないい!? 神様にお願いが届くのは16年後と25年後だからね!! その時の自分にあった願いをするのよ!!」

キョン「なるほど……【生きてますように】……っと」

ハルヒ「重い!!!! しかも最低でも16年間は自力で生きなきゃダメじゃない!! もうそれは今が切羽詰まった人の願いだから!!!」

長門「【ごはん】」

ハルヒ「単語ッ!!!!! さすがの神様も察せない!!!! ごはんをどうしたらいいのか分からない!!!」

朝比奈「【お裁縫がうまくなりますように】」

ハルヒ「……みくるちゃん!!!」

朝比奈「は、はいぃ!!」

ハルヒ「それでいいのよ」ヨシヨシ

朝比奈「あ、は、はい」

古泉「【家内安全】」

ハルヒ「うん、実に古泉君らしいお願い事だわっ!」

古泉「ありがとうございます」

キョン「【空を自由に飛びたいな】」

ハルヒ「それはもう実現済み!!?!??!? あんたは自分でできるでしょ!!!!!」

長門「【はい、タケコプター】」

ハルヒ「短冊で会話すんな!!!!!!!」

124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 02:57:37.89 ID:qjl/jwZt0

キョン「人の短冊にツッコミ入れてないで自分のを書いたらどうだ【お嫁さんになりたい!】」

ハルヒ「すでにアンタがツッコミ待ちの短冊見せつけてきてんじゃないの!!!! 小学生女子の願い事か!!!!」

朝比奈「えっ!? 【お嫁さんになれますように】」

キョン・ハルヒ「「(朝比奈さんは)みくるちゃんはそれでいい(んです)」」

朝比奈「え、えぇえぇええええ!!?」

ハルヒ「まったく、キョンにはみくるちゃんのような純粋さが足りないわ!」

キョン「だったらその純粋さとやらをお前はもってるのか?」

ハルヒ「あたりまえじゃない!! 誰よりも真摯な願い事をする自信があるわ!」ピラッ

ハルヒ「【世界をあたし中心に回して!】」

キョン「なにが真摯だ! 自己中心的すぎるだろ!! 間違ってないが!!」

古泉「……」コクリ

キョン「なんだ急に、長門リスペクトか?」

古泉「いえ……」

長門「【……】」

ハルヒ「あたしは大真面目に願い事をお願いしてるの!! その気持ちなら誰にも負けないわ!!!」

キョン「馬鹿言え、真面目に言って良い事と悪い事があるだろうが」

長門「【ある】」

ハルヒ「有希?? それホワイトボードかなんかと勘違いしてない?? さっきから」

長門「【ホワイトボードがほしい】」

ハルヒ・朝比奈「「欲しかったんだ!!!!!」」ガーン!

125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 03:02:08.55 ID:qjl/jwZt0

キョン「それにしても【そう言えば今朝鍵締めたっけ……?】」

キョン「往きに16年かかるなら復路にも16年かかって32年後に願いが叶うんじゃないか?」

ハルヒ「うん、それについては神様がなんとかしてくれるとして……」

ハルヒ「あの……さっきからキョンと有希の心の声が短冊に反映されてるような気がするんだけど……」

キョン「まっさかぁ【あれ? 顔洗ったあと水道止めたっけ?」

長門「そんなはずはない【ごはん】」

ハルヒ「うん普段二人共なに考えてるか分かりにくい分、今すっごい分かりやすい」

ハルヒ「ていうか案外キョンは不安事を抱えていたのね、顔には出さないだけで……」

キョン「別に不安に思ってることなんてないぞ? 【……鍵、大丈夫か??】」

ハルヒ「めっちゃ心配してるじゃないのぉおおおおおおおおお!!!!!!」

ハルヒ「すっごい鍵のこと心配してる!!!! めちゃくちゃ心の中では家帰って確認したがってる!!!!」

キョン「そ、そんなことはないぞ」アセアセ

ハルヒ「ここぞとばかりに焦ってんじゃないの!!! どんな仕組みで短冊に反映されんのよ!!!!」

朝比奈「あ、長門さん……」

長門「何? 【家……鍵……】」

朝比奈「い、いえ……なんでも」

古泉「異空間化された空間……とでもいいましょうか? 【あー帰って寝たい】」

ハルヒ「古、泉……君??」

古泉「ち、違います!!!! これは絶対、確実に彼の仕業!! 彼の仕業です!!! 断じてこのようなことを望んでるわけじゃ……」

キョン「その割には随分と慌てているようだが? 【しめしめ、古泉をはめてやったぞぉ!】」

古泉「あなたのせいです!!!! というかあなたの心の声もダダ漏れで犯人が自己申告してる状態ですから!!!」

長門「……【ユニーク】」

朝比奈「(い、言えばいいのに……」

126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 03:07:10.93 ID:qjl/jwZt0

ハルヒ「七夕……七夕かぁ」

古泉「何か、思い当たる節でも?」

ハルヒ「……大したことじゃないけど、まぁちょっとね」

朝比奈「…………」

ハルヒ「んー16年、16年かぁ……長いなぁ」

キョン「そうか? あっと言う間だぞ、16年なんて」

キョン「30分の深夜アニメを28万回ちょっと見るだけだぞ??」

古泉「何故そのような例えを……逆に長く感じてしまいますよ」

長門「3分でできる深夜に食べるカップ麺を280万回作れるだけ」

古泉「ですから……というかそれは深夜でなくてもいいのでは?」

ハルヒ「……んーよし! 願い事も書いたことだし、今日はこれで解散!!」

キョン「もう解散なのか?? 【よし、今日は早い!! さっさと帰ってパーリィだ!!】」

ハルヒ「頭の中がパーリィしてるやつもいることだし、ちょうどいいでしょ!」

ハルヒ「それじゃ! また明日ねー!!」バタン

古泉「それでは、僕もこれで【ひゃっはー!! 帰ってレッツ―――」

古泉「やめてください」

キョン「おーまた明日なー」

古泉「……では」バタン

キョン「……さて」

朝比奈「……」ソワソワ

キョン「……長門」

長門「……【何?】」

キョン「……俺達を頼むぞ」

長門「承知した【――――――】」スッ

キョン「おう、ありがたくもらっとくぜ」

長門「……」バタン

キョン「……ええっと、朝比奈さん」

朝比奈「……過去に、行きます」

キョン「……はい」

127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 03:11:38.60 ID:qjl/jwZt0

朝比奈「分かって、ましたよね? キョン君なら」

キョン「ええ、まぁ」

朝比奈「あたし、以前キョン君が涼宮さんと会ったという記録があるってことを知りました」

キョン「はい」

朝比奈「それを……その事実を今から作りに行く、はずです」

キョン「はずです、とは?」

朝比奈「その、わたしは下っ端の末端の……研修生みたいなものだから……」

朝比奈「ただのわたしの予測でしか言えないってことなの……」

キョン「なるほど、ならこれから具体的に何をしに過去に行くのかも分かっていない、と?」

朝比奈「……ごめんなさい、わたしなにも……」

キョン「朝比奈さんが謝ることじゃありません。適格な指示をださない上の連中が悪いんです」

キョン「まぁ、今分からないなら……行って分かることなんでしょう」

朝比奈「それは……多分……」

キョン「なら行くしかないですよ、さぁTPDDの準備を……あ」

朝比奈「……本当に何でも知ってるんですね、キョン君は」クスッ

キョン「あ、ATPX4869の準備を……」

朝比奈「……確かに、行くのは過去ですけど……小さくなる必要はないです」

キョン「すいません、間違えました【…………鍵】」

朝比奈「あ、あのぅ一旦キョン君の家に行って鍵の確認をしても!!」

キョン「い、いいんですよ! さぁ! Time Plane Destroyed Deviceの準備を!!」

朝比奈「ついにフルネームで言った!!! 禁則事項は!!?!?」ガーン!!!

128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/12(土) 03:15:11.57 ID:qjl/jwZt0

朝比奈「それじゃあ……いきます!」

キョン「その前に、朝比奈さん一ついいですか?」

朝比奈「はぇ? な、なんですか??」

キョン「TPDDをうまく利用するコツは時間平面理論を頭に思い描くこと」

朝比奈「???」

キョン「水面の波紋は時間跳躍に似ているところがあるのは知っていますよね?」

キョン「イメージが大切なんです。時間平面に水滴を垂らすような……」

キョン「それが、負荷を掛けない安全なTPDDの使用方法です」

朝比奈「…………」ポカーン

キョン「あ、さすがにTPDDの発明者とかじゃありませんよ?? 俺には必要ないものですから」

朝比奈「……い、いえ。でも、やっぱりびっくりして……」

キョン「俺に負荷が掛かることを心配してくれてるみたいだったんで……ちょっとしたアドバイスです」

朝比奈「わたし、そんな不安そうな顔してましたか……?」

キョン「いえ、そこに書いてありましたから」

朝比奈「?」

朝比奈「【時間跳躍がうまくいきますように】」

朝比奈「……もう!」

キョン「ははっ、冗談ですよ。俺のことは気にせず思いっきりやっちゃて下さい」

朝比奈「スー、ハー……はい! いきます!」

キョン「(久しぶりだな……TPDDで時間跳躍ってのも……)」

キョン「(……三年前、か)」

149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 14:51:38.81 ID:mkcSgWyF0

朝比奈「―――ふぇ??」

キョン「おはようございます、朝比奈さん。ちょうど膝が痺れてきたところです」

朝比奈「えっ、えっ、わひゃぁあああ!! ご、ごめんなさい!!!」バッ!!

キョン「いやあ、カワイイ寝顔が見れたんでいいんですけどね」

朝比奈「で、でもわたしなんで寝て……むしろキョン君はなんで起きて……」

キョン「あー俺が寝ててもよかったんですが……」

キョン「時間跳躍中にバグを発見しちゃいまして、放置しておくと二人共時間の断絶に落っこちてしまいそうだったんで……」

朝比奈「…………ぇええええええええええ!!?!?!?」

キョン「まぁ、そういうわけで途中からは俺が時間跳躍をやってたってわけです」

キョン「申し訳ないと思いながら時間酔いしちゃうかもしれないので朝比奈さんには眠っててもらいましたが……」

朝比奈「そ、それは全然いいんですけど……わたし、全然バグに気付かなかった……」

キョン「まず普通の時間跳躍じゃ見つかりません。というより普通じゃ対処ができないので」

朝比奈「……もしかしてキョン君がキョン君じゃなかったらわたし達、とんでもないことになってました?」

キョン「ええ、えらくとんでもないことになってました」

朝比奈「……ふ、ふぇええええええええええええ」

キョン「ああ、安心したのは分かりますが泣かないで……」

朝比奈「ひっく、スン、ご、ごめんなさい……」

キョン「まぁ、無事に三年前に来れてよかったというわけで」

朝比奈「スス、ありがとうキョン君……」

キョン「いえいえ」

150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 14:55:58.03 ID:mkcSgWyF0

朝比奈「そ、それでこれからなんですが……実は……」

キョン「ええ、南に下って公立中学前にいるアホな子供に協力するんでしたよね?」

朝比奈「え? え? な、なんですかそれ??」

キョン「なんですか、って朝比奈さんが言ったことですよ? ねぇ、朝比奈さーん!?」


ビックゥ!!


朝比奈「な、なんでそんな大声で……」ビクビク

キョン「すいません。まぁ、とにかく、できることも限られてますし、その通り動いてみましょう」

朝比奈「は、はい……公立中学校ですね」

キョン「ええ、もっと言えば不法侵入の中学生を注意しにいくとか」

朝比奈「……全然覚えがないです」

キョン「まぁ、行ってみれば分かるでしょう」

キョン「それじゃ行きましょう」チラッ

朝比奈「? なにか見えましたか??」

キョン「……いえ、俺の目には朝比奈さんしか映ってませんよ」

朝比奈「ふぇ!? どどど、どういう意味ですかぁ!!?!?」

キョン「……えーっと……そのままの意味? です」

朝比奈「え、えぇええぇええぇええ!!?!?」

























朝比奈(大)「……本当にそのままの意味でしたね……キョン君のバカ」

キョン「すいません」

朝比奈(大)「ッ!!?!?!?!??!?」ビックゥ!!!!!!!

151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:01:09.52 ID:mkcSgWyF0

キョン「さすがに三年前程度じゃここらの景観もなんら変わりませんね」

朝比奈「そうですね、チラチラと見覚えがあるものが……」キョロキョロ




ハルヒ「……」ヨジヨジ




朝比奈「……見覚えのある人が!!?!?!?」ガーン!!

キョン「なにやってんだの不良娘め」

ハルヒ「なにって、不法侵入よ!! みりゃわかるでしょ!!」

キョン「通報するぞ?」

ハルヒ「権力に屈しないわ」

キョン「かわいげのねぇガキだな」

ハルヒ「べー!!」

朝比奈「(……ちっちゃい涼宮さん、かわいい)」

ハルヒ「今門登ってんだから話しかけないでよ」

キョン「そんなことしなくても開いてるぞ」ガラッ

ハルヒ「えっ!? 嘘、ちょ、今門上って―――きゃっ!!」トスッ

キョン「重い」ポスッ

ハルヒ「……失礼ね!」ポカ

キョン「痛い、せっかくキャッチしてやったのに」

ハルヒ「落としたのもアンタでしょうが!!!」

朝比奈「……ハッ!! 危ない危ない、違う次元を超えてしまいそうでした……」

キョン「なにやってるんですか朝比奈さん……」

152: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:05:07.65 ID:mkcSgWyF0

ハルヒ「おっかしいわね、今日に限って警備のおっちゃんが閉め忘れてたのかしら?」

キョン「で、お前は夜の学校に侵入してなにをするつもりだったんだ?」

ハルヒ「宇宙人にメッセージを書くの!!」

キョン「アホなのか?」

ハルヒ「至って真面目よ!!」

ハルヒ「ちょうどいい労働力も手に入ったことだし、予定より早く終わりそうね!」

朝比奈「ちょ、ちょうどいい労働力って……」

キョン「俺たちのことか?」

ハルヒ「それ以外誰かいるの?」

キョン「110番すればあるいは」

ハルヒ「それは労働力じゃなくて権力だってば!!! 言っとくけど、アンタたちも共犯だからね」

キョン「お、俺達は脅されてやっただけだぁ!!」ビクビク

ハルヒ「丸腰の女子中学生に脅される男がどこにいんのよ!! ていうか門あけた実行犯はアンタでしょ!!!」

朝比奈「(こ、この頃から涼宮さんはキョン君に対しこういうスタンスなんだ……)」

ハルヒ「見て、夕方に倉庫から出して隠しておいたの」

キョン「これで校庭になんか書くのか?」

ハルヒ「そ! アンタあたしの指示する通りに動きなさい!」

キョン「えー……」

朝比奈「あ、あのぅわたしは……」

ハルヒ「……見てて!!」

朝比奈「は、はい……」

153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:10:34.10 ID:mkcSgWyF0

ハルヒ「だからもっと右だってば!!!」

キョン「ヨ―ソロー!!」ガラガラ

ハルヒ「そっち左!! お茶碗持つ手じゃなくてお箸持つ手だってば!!」

キョン「それは左利きの人を軽視した発言とみていいのか??」ピタッ

ハルヒ「面倒くさい!! アンタ面倒くさい!!! いいから言われたとおりに線引きなさい!!」

キョン「へいへい」ガラガラ

ハルヒ「そうそう、やればでき……てない!!! いくら不器用でもここまで酷くはならないわよ!!?!?」

キョン「芸術ってのはいつの世も理解されないものさ……」

ハルヒ「芸術性なんて求めてないわよ!!! あたしは宇宙人と交信したいだけなの!!!!」

キョン「なんだよ、それならあのマンションの―――」

朝比奈「キョン君!! それは禁則事項ですって!!!」

キョン「あ、すいません」

ハルヒ「ほら! 手が止まってる!!! 動け動けぇ!!!!」

キョン「ほら、お前も指示が止まってるぞ、喋れ喋れぇ!!!」

ハルヒ「口が開きっぱなしよ!!! 二つの意味で!!!! 指示通り動かないアンタが悪いんでしょうが!!!」

キョン「うるせえ!! この時間に大声出すんじゃねえ!! 近隣の方の迷惑考えろ!!!!!!」

ハルヒ「間違いなく今一番うるさいのアンタだから!!!!!!」

朝比奈「あ、あのもうすこし静かにした方がいいんじゃ……」

キョン「だぞ」

ハルヒ「アンタのことよ!!!」

156: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:14:01.44 ID:mkcSgWyF0

キョン「……で、これでいいのか?」

ハルヒ「誰かさんのせいで想定時間余裕でオーバーしちゃったけど」

ハルヒ「まぁ、こんなもんでしょ、うん」

キョン「そこは妥協するのかよ」

朝比奈「(なんて書いてあるんだろう……)」

ハルヒ「ねぇ、アンタ。宇宙人っていると思う」

キョン「だからあのマンショ―――」

朝比奈「キョン君」

キョン「さあ、いるんじゃねーの」

ハルヒ「未来人は?」

キョン「ここに」

ハルヒ「?」

朝比奈「……」

ハルヒ「……じゃ超能力者は?」

キョン「吐いて捨てるほどいるだろ」

朝比奈「その表現は大分失礼のような……」

キョン「大丈夫、古泉当てですから」ニコッ

朝比奈「それが失礼だと……」

ハルヒ「じゃあじゃあ、異世界人は??」

キョン「いるよ、きっといる」

ハルヒ「なんで根拠もなしにそんな自信があるのよ」

キョン「自分がちっぽけに感じる程この世は広いんだ。宇宙人や未来人、超能力者に異世界人」

キョン「そんぐらい、いたって普通だと思うだろ?」

ハルヒ「……ふーん」

157: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:19:32.80 ID:mkcSgWyF0

ハルヒ「まぁ、なんでもいいわ」

キョン「いいのかよ」

ハルヒ「その制服、北高よね」

キョン「おう、我が愛する北高がどうかしたか?」

朝比奈「(そんな愛校者でしたっけ??)」

ハルヒ「別に。アンタ名前は??」

キョン「別に、名乗るほどのもんじゃありません」フッ

ハルヒ「そういうのいいから」

キョン「じゃ、ジョン・スミスっつぅことで」

ハルヒ「なにそれ、バカみたい」

キョン「匿名希望だ。情報社会怖い」

ハルヒ「あなたの名前は??」

朝比奈「ふぇ!? わ、わた、わたし、ですかぁ!?!?」

朝比奈「え、えーっとぉ……ミラ・スミスです!!」

ハルヒ「……兄妹なの?」

キョン「婚約者だ」キリッ

朝比奈「ふぇぇええぇえぇえええええ!!?!?!?!?」

ハルヒ「……まぁ、どうだっていいんだけど」

キョン「それで、このメッセージは宇宙人もとい、織姫と彦星にゃ届きそうか?」

ハルヒ「……なんで分かったの?」

キョン「なんとなく。メンタリズムってやつだよ」

ハルヒ「……七夕だからでしょ」

キョン「あたり。さてはお前もメンタリストか!?」

ハルヒ「……バッカみたい」クスッ

158: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:23:43.22 ID:mkcSgWyF0

ハルヒ「帰る」

キョン「じゃあお邪魔します」

ハルヒ「なんでついてこようとしてんのよ」

キョン「そういう流れかと……『突撃! 不良娘ん家!!』的な」

ハルヒ「どんな流れだ!!! バカ言ってないでアンタらもさっさと帰れば?」

キョン「言われんでも、てか拘束してたやつが言うセリフかそれ」

ハルヒ「拘束だなんて人聞き悪い、合意の上の共同作業よ」

キョン「そうだったっけ?」

ハルヒ「そういうことにしましょ、それじゃ―――」

キョン「……いつの時代でも無礼な奴」

朝比奈「涼宮さんらしいと言えばらしいです」

キョン「まぁ、確かに」

朝比奈「それにしても……キョン君」

朝比奈「どうして涼宮さんにキョン君の~トリック?? 見せてあげなかったんですか??」

朝比奈「あれを見せてれば宇宙人や未来人がいる証拠になったかもしれないのに……」

キョン「トリック……まぁそうですね」

キョン「今はまだ、涼宮ハルヒが動くときじゃない。それは三年後までおあずけです」

キョン「それに、今見せたところで……きっと、またトリックって言われるだけですから」

朝比奈「トリックですよね??」

キョン「……」

朝比奈「え?? トリックですよね????」

キョン「……はぃ。時間跳躍も空を飛んだりするのも全部トリックです。はぃ」

159: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:27:51.31 ID:mkcSgWyF0

キョン「さて、これでミッションコンプリートなわけですが」

朝比奈「そ、そうなんですか??」

キョン「そうなんです、朝比奈さんの言ったことによると」

朝比奈「言ったかなぁ……?」

キョン「ついでにもう一軒、よってみましょう」

朝比奈「もう一軒??」

キョン「長門ん家」

朝比奈「な、長門さんの家……?」

キョン「恐らく、絶対。長門は家にいます」

朝比奈「あ、会ってどうするの……?」

キョン「……まぁ、どうってことないですが」

キョン「『三年後まで、よろしく』って伝えに行きましょうか」

朝比奈「え?? え???」

キョン「まぁ、頼むって伝えてありますしね」

朝比奈「は、はぁ……」

キョン「取りあえず、向かいましょうか」

キョン「ながとけ! へ!」

朝比奈「は、はい……」

キョン「……その前に校庭の落書き消しに戻ろうかな」

朝比奈「や、やめてあげてください!! な、なんでこんな時にだけ常識があるんですかぁ!!」

160: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:31:37.13 ID:mkcSgWyF0

キョン「と、向かう前にちょっと寄って行っていいですか?」

朝比奈「え? ここに、ですか??」

キョン「ええ、まぁ……」

キョン「頼まれ事ですよ―――」











キョン「708号室、っと」

朝比奈「何度見てもおっきいマンション……」

キョン「こんなところに一人ぐらしってのも中々いないですよね」

長門『……』

キョン「お、長門か俺だよ、俺」

朝比奈「キョン君、それ詐欺の手口ですよ……」

キョン「ハルヒによく言われます」

キョン「えー三年後からややあってここに来たんだが……」

キョン「長門、頼まれてたもの、買ってきたぞ」

朝比奈「???」



ピーッ



長門『入って』

朝比奈「ほ、本当に開いた……」

キョン「いやー三年後の約束を覚えてるなんてさすが長門だ」

朝比奈「覚えてるというか普通知らないんじゃ……」

キョン「そこら辺は長門パワーでちょちょいのちょいですよ」

朝比奈「…………やっぱりキョン君と長門さんには理解が追いつきません」

キョン「はは、よく言われます」

161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:35:23.16 ID:mkcSgWyF0

ピンポーン


キョン「なーがっとさん! あーそーぼー!!」

朝比奈「キョン君、静かに」

キョン「……はい」

長門「……」ガチャ

キョン「おっす長門、俺だよ俺」

長門「……」コクリ

朝比奈「分かるんだ!!」ガーン!

長門「入って」

キョン・朝比奈「「お邪魔します」」

長門「不束者ですが」

キョン「長門それ違う、俺らがいうセリフでもない」

長門「そう」

朝比奈「(あ、長門さんだこの人……)」

朝比奈「……あれ? 長門さんメガネなんてかけてましたっけ??」

キョン「ほんとだ」

長門「似合う?」

朝比奈「いえそうじゃなくて、みたことなかったから……」

長門「ならば不要」パァァアアアアア

朝比奈「あ、消えた」

朝比奈「…………あれ?」

朝比奈「ももも、もしかして未来の長門さんがメガネを掛けてないのってわたしのせい!!?!?」

朝比奈「どどどどうしよう!!!! か、過去を変えちゃったかも……」ブルブル

長門「……安心して」

朝比奈「ふぇ??」

長門「これは既定事項」

朝比奈「…………」

朝比奈「絶対違う!!!!!! でも、そういうことにしておいてください!!!!!」

長門「そう」

キョン「(なんか朝比奈さんの研修生としての一面を見た気がする……)」

162: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:38:29.59 ID:mkcSgWyF0

キョン「よう」

朝倉「あら?? どちら様??」

朝比奈「ふぇ!!? あ、朝倉さんが、いる??」

朝倉「あら、お二方はあたしのことご存じなの?? どこかで会ったかしら……」

キョン「同期すれば分かる」

朝倉「あら、そんなことまで…………キョン君!!?!?!?」

キョン「お、同期したか」

朝比奈「ど、どういう……」

朝倉「朝比奈先輩も……あなたたちこの時代でなにしたのよ?」

キョン「いやぁ既定事項なもんで」

朝比奈「で、です」

朝倉「そんな軽く言われても……長門さん知ってました?」

長門「知らない。今のわたしは待機モード」

朝倉「ですよね、あたしもそうなんですし」

キョン「まぁまぁ、いいじゃないか、俺は三年後の長門との約束を果たしに来たわけだし」

長門「わたしは、頼まれた」

キョン「おう、俺が頼んだんだ、この――――――」

キョン「おでんの具材で晩御飯を作ってくれってな」ガサッ

朝倉・朝比奈「「…………は?」」

キョン「これ」ピラ

朝比奈「あ、短冊……」

キョン「長門からもらった短冊です」




















長門【おでんが食べたい】



















167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:42:50.40 ID:mkcSgWyF0

朝倉「……これは?」

キョン「長門の願い事」

朝倉「そういうことじゃなくて……いやそういうことなの??」

キョン「ああ、だから俺は三年後から長門におでんを届けに来たわけだ」

キョン「頼み頼まれってやつだな。俺も朝比奈さんもちょうど腹が減ってることだし」

キョン「朝倉、おでんを作ってくれ」

朝倉「え、なんで急にあたし?? 長門さんが作るんじゃないの??」

キョン「バカだなぁ朝倉は」

朝倉「は?」

キョン「冗談だよ、マジで怒らないでくれ」

キョン「俺も長門もお前がいることを見越してのことだったんだぜ?」

キョン「それに面白いだろ? 16年後に叶うはずの願いを3年前に叶えるってのも」

朝倉「できれば3年後に叶えて欲しいんだけど」

キョン「まぁそう言うな、せっかくこの時代に来たんだ。宇宙人も未来人も俺も仲良くおでんを食べようじゃないか」

長門「異議はない」

朝倉「長門さんは食べたいだけでしょ。というかカテゴリー的にキョン君ってありなの??」

キョン「細かいことは気にするな、さぁさ、おでんの準備だ!!」

朝倉「なんでそんなやる気なのよ……」

朝比奈「あっ、わたし何かお手伝いを……」

朝倉「あ、お気になさらず、先輩はお客さんなんで座っててください」

朝比奈「で、でも……」

キョン「そうですよ、朝比奈さん。朝倉がやってくれるらしいので俺達は座ってお茶でも飲んでましょう」

長門「同意」

朝倉「あなたたちはもう少し遠慮というものを知ってもらいたいわ……」

朝比奈「あ、あわわ」

171: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:47:34.48 ID:mkcSgWyF0

朝倉「はい、お待ちどうさま」コトッ

キョン「おー、こりゃまたうまそうな……でもなんで夏におでん??」

朝倉「キョン君が作れって言うからでしょ!!!!」

キョン「言ったのは長門だぞ」

長門「食べたかった」

朝倉「自由すぎるわよ、あなたたち……」ハァ

朝比奈「あちち……」フーフー

キョン「朝倉は料理もできるのか、本当に万能だな」

朝倉「誉めても何もでないわよ」

長門「おでんはでる」

朝倉「はいはい……」

朝倉「それで、あなたたちは食べたら未来に帰るの?」

朝比奈「あ、はい。一応、この時代でやらなければならないことは終わったみたいなので……」

朝比奈「あとは、TPDDを使って未来に帰るだけです」

キョン「あー……そのことなんですが、朝比奈さん」

キョン「どうやら先ほどのバグが侵攻してるみたいで……」

キョン「TPDDを使っての時間跳躍は、無理みたいです」

朝比奈「…………えぇええええええええええええええええ!!?!?!?」

朝比奈「……と、思ったけどキョン君がいるから大丈夫??」

キョン「え、ええそのとおりなんですが、落ち着くのが早いですね」

朝比奈「頼りになるから……」

朝倉「利便性が半端ないものね、キョン君」

キョン「道具みたいに言うな」

172: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:50:47.92 ID:mkcSgWyF0

キョン・朝比奈・長門「「「ごちそう様でした」」」

朝倉「お粗末様です」

キョン「さって、それじゃあ……」

キョン「おやすみ」ゴロン

朝倉「帰りなさい」ゴスッ

キョン「痛い、冗談じゃないか……」

長門「……おそらく、時間平面上のバグはあなたたちへの妨害行為だと思われる」

朝倉「(急に真面目モード!?)」ギョッ!

朝比奈「えっ、妨害行為って……わたしたちの既定事項を妨げようとするってことで……」

朝比奈「かっ、過去改変を目論む人たちからの妨害、ってこと……?」

キョン「恐らくはそうでしょうね、そしてもちろんハルヒ絡みでもある」

キョン「俺と朝比奈さんがハルヒに出会うという既定事項を妨げようとする連中……覚えはないか?」

朝倉「さぁ? そんなこと言いだしたら多分山のようにいるわよ」

朝倉「涼宮さんを狙う人、物、組織なんてね」

朝比奈「……でも、時間平面に干渉することができる人たちっていうのは……」

長門「未来人である可能性が高い」

朝比奈「やっぱり……」

長門「しかし、未来人単独での行為とは思いにくい」

キョン「時間平面への空間閉鎖、情報閉鎖の跡が見られた、これは未来人の仕業ではないだろう」

朝倉「てことは……」

長門「未来人と手を組み、涼宮ハルヒを狙う組織が存在する」

朝比奈「…………」

キョン「まぁ、今のSOS団もそんな感じだしな」

173: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:54:53.87 ID:mkcSgWyF0

朝倉「それで、その妨害してくる相手はどうするの?」

キョン「どうするって、別になにも」

キョン「直接的な被害を受けたわけじゃないし、あっちがなにもしてこない以上こっちから手をだすっていうのはな」

朝倉「……キョン君はいつも後手なのね」

朝倉「それは時に間に合わなくあることだってあるのよ?」

朝倉「今回だって、キョン君じゃなきゃ朝比奈先輩もろとも時間平面の断絶に取り残されたっていうじゃない」

朝比奈「……」

キョン「だが、俺は俺だ。俺だから、後の先がうてる」

キョン「まだ敵対組織と決まったわけじゃないだろ? 友好的な関係が築けるかもしれない」

朝倉「……甘いわよ、キョン君」

朝倉「その甘さ、いつか寝首を掻かれるわよ? あたしとかに」

キョン「俺は甘いだけじゃなく強いからな」

朝倉「……ムカつく」

キョン「さて、いろいろ情報の共有も出来たことだし」

キョン「朝比奈さん、そろそろお暇しましょうか」

朝比奈「あ、はい」

キョン「邪魔したな、長門、朝倉。おでんごちそうさま」

長門「……」コクリ

朝倉「ええ、ええ、早く未来に帰ってくださいな」

キョン「……ま、これで自由に動けるってもんだろ」

朝比奈「……??」

朝倉・長門「「…………」」

キョン「それじゃあ二人共」

キョン「三年後まで、さようなら―――」シュン!!

朝倉「……ふん、どこまで知っているのかしら、あの男」

長門「恐らく、なんでも知っている」

朝倉「全く、その通りなんですけどね」





















ピンポーン!

174: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 15:59:58.84 ID:mkcSgWyF0

キョン「……」シュン!

朝比奈「あ、こんどは寝なくて大丈夫だったんですね」

キョン「ええ、来た道を戻っただけなんで」

長門「おかえり」

朝比奈「わっひゃぁ!!!! こ、ここ長門さんの家!?」

キョン「あ、座標を設定するのを忘れてました」

朝倉「……三年後から、こんにちは」

キョン「おう、朝倉世話になった」

朝倉「別に、お客さんをもてなすのは礼儀ですから」

キョン「そうだ、長門これ返すぞ」



長門【おでんが食べたい】



キョン「これは笹にでも吊るして織姫と彦星に叶えてもらえ」

長門「そうする」

朝倉「そんな願い事でいいんですか……? もう叶っちゃったやつですし……」

長門「いい」

朝倉「長門さんがいいならいいけど……」

キョン「ま、無事帰ってこれてよかったよかった。朝倉も心配してくれてありがとうな」

朝倉「べっ、別に心配してたわけじゃ……!」

キョン「じゃあ、信頼してくれてありがとう」

朝倉「……うぐぐ」

長門「時間平面上のバグは消失した」

朝倉「一旦手を引いたってトコかしら」

朝比奈「こ、これからも妨害工作みたいなことが起こってくるんでしょうか」

朝倉「ええ、おそらくは……でも」

朝倉「そこの人が、なんとかしてくれるみたいですよ?」

キョン「おう、七夕に誓ってなんとかしてみせるさ」

キョン「いつだって俺はこう言うさ―――」























キョン【みんな仲良く】

175: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/13(日) 16:00:59.14 ID:mkcSgWyF0
ここまで。
多分、笹の葉はこれで終わり。次はミステリック・サイン




                            引用元: ・ハルヒ「キョンTUEEEEE!!!!!」 キョン「退屈しないだろ?」