※渋谷凛「アイドルサバイバルin仮想現実」(前編)

485: 名無しさん 2014/03/12(水) 06:32:59.55 ID:2DlnZ3UqO
~~~~~~~~~~~~ 
チャプター 
緒方智絵里 


緒方智絵里「あ、」 



智絵里「......り、凛、ちゃん...?」 



智絵里「.........ど、どうしよう...ぼ、ボットの人たちと、一緒に巻き込んじゃった...」 



智絵里「この能力、一度、使っちゃうと...わたしじゃ.......どうしようもないのに......」 



ゲーム開始39分経過 

報告事項なし 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


引用元: ・渋谷凛「アイドルサバイバルin仮想現実」

486: 名無しさん 2014/03/12(水) 06:34:15.14 ID:2DlnZ3UqO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ERROR!



仮想現実空間運営用自律ボット

CHIHIROより池袋晶葉へ


以下、一点のエラーが観測されました。早急な対処をお願いします


1、プレイヤー「渋谷凛」およびボット「橘ありす」「結城晴」「福山舞」からの信号がロストしました



仮想空間稼働39分経過


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

487: 名無しさん 2014/03/12(水) 06:36:58.94 ID:2DlnZ3UqO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~










智絵里「...まだまだ......がんばらないと......」


「...仕事を取ってきてくれた...プロデューサーが......悲しみます...そんなの...いや、です」


「......まゆちゃんも...がんばってるんだから......わたしも...もっともっと」


「だから......ごめんね?......凛ちゃん」










「朽ち果てて?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

488: 名無しさん 2014/03/12(水) 06:40:34.48 ID:2DlnZ3UqO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

緒方智絵里 佐久間まゆ

のチャプターが99.9%まで復元完了しました


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下
【ERROR!】 

渋谷凛 

のチャプターが一部存在しません。早急に復旧作業を行ってください

1、諸星きらり
2、三好紗南
3、小日向美穂


次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS上条春菜
6、VS梅木音葉



画像、やさしいコメントありがとうございました

491: 名無しさん 2014/03/12(水) 09:17:05.96 ID:WNyvYzxA0
3
6

492: 名無しさん 2014/03/12(水) 09:38:17.67 ID:J+JvU/Ej0

2、4

493: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:37:33.79 ID:AJqDKbxe0

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チャプター
小日向美穂




退屈してませんでした

といえば嘘になっちゃう

プロデューサーくんモード、えっと長いからくまさんモードでいいや、で私は散歩していた

この状態になってから、私はどちらかというと退屈だったかな?


見渡す限り知らない建物ばっかりで、初めて訪れた街に一人でお仕事に行った時のことを思い出しちゃいます。


あのときは緊張して周りにいる人に道も訊けなかったし、

みんなも私なんかには目もくれず一目散に行き交っていたから話しかけづらかった

なんだか自分以外の人は人間じゃなくてただ歩いているだけの別の生き物に見えてすごく怖かった。


ちひろさんは、そういうのを都会の無関心とか雑踏の空白とかいう単語で説明してたかな

その後、人の多い街を一人で出歩くとき気をつけなくちゃいけないポイントを色々教えてもらったんだ

494: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:38:16.48 ID:AJqDKbxe0


今はあの時と真逆、誰もいなかった


くまさんモードでずっと歩いていたから移動距離自体はたいしたことないとは言え、これでも30分くらい歩いていたんだ

もしかしたら晶葉ちゃんの言ってたボット?はいないんじゃないかな、とか思ったけど私に似た子が出てきたのにそれはないよね。

じゃあ別のプレイヤーさんのとこに集中してるとか?


遠くに見える高層ビル、あの向こう側では今も現在進行形で激しい空中戦が繰り広げられていたり___!!

さすがに空中戦はないか、比奈さんから借りた漫画で人がビュンビュン空を飛んでたけど、ここがゲームだからって、いくらなんでもね・・・


回想、回顧はおしまい




まゆ「いま・・・このぬいぐるみ・・・しゃべりませんでしたかぁ?」





げ、現状と向き合わなきゃ・・・

うう・・・怖いよぅ・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

495: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:38:55.00 ID:AJqDKbxe0

まゆ「なるほど、わかりましたぁ。ごめんなさいねぇ美穂さん、お腹かっさばこうとして」

美穂「う、うん」

い、今のはスルーしていいのかな・・・?

ま、まぁ未遂だから・・・


まゆ「それにしても・・・変身能力ですかぁ、あずきちゃんもそんな能力でしたねぇ」


美穂「あずきちゃん?・・・あずきちゃんも来てるの?」


まゆ「ええ、はいボットとしてですけどね。小さな鞠のようなものに変身して狭い隙間から逃げられてしまいましたぁ・・・」


美穂「そ、そうなんだ、確かにあの電車の中では見なかったもんね・・・」


私はなぜかまだくまさんモードを解いていない

そのまま、まゆさんの膝の上に乗せられちゃってる

まゆさんは近くにあった室外機に腰掛けてて、

でもちゃんとハンカチみたいなのを敷いてから座るあたり流石だなぁ・・・私はよく公園のベンチや野原でも寝っ転がってお昼寝してたのに

まゆ「ええ、次会ったときは仕留めてみせますよぉ・・・?」

美穂「まゆちゃん、やる気十分なんだね」

まゆ「ええ、今のまゆは殺る気に満ちてますよぉ?」

ん?イントネーションがちがうような・・・訛り?

496: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:39:59.68 ID:AJqDKbxe0


美穂「電車といえば、・・・私はまゆちゃんと幸子ちゃんの三人で乗り合わせたよね? 六人のうち三人まではわかるけど残りは誰なんだろ?」


たしか晶葉ちゃんはキュートは6人って言ってたよね?

クール、パッションも気になるけど、やっぱり同じジャンルの子のほうが気になるかな?


まゆ「ああ、キュートでしたらあとは智絵里さん、杏さん、そして美玲ちゃんでしたかねぇ」


まゆちゃんが私の耳を触りながら、あ、ちがうよ!?へ、変な意味じゃなくて!

くまさん状態の私の耳をもふもふしながら教えてくれた


美穂「へえ、そうなんだ・・・ってまゆちゃんどうして知ってるの?」


まゆ「つい十分ほど前に智絵里さんと会ったんです、」

「そのあと少しばかりの情報交換と、アイテムのやりとりをしたんですよ」

美穂「そっか・・・アイテムって例えば?」


まゆ「例えばこれですよ武器の類」

まゆさんが私の右耳から離した手に小振りなナイフを構える

今まで見ないようにしてたけどスカートのリボンの装飾にはびっしりと刃物が挟んである

しかもよく見ると何丁かピストルもリボンで巻きつけられていた

さっきから、まゆちゃんの膝に乗せられたお尻がチクチクするけど気にしないようにしてたのに・・・

497: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:41:13.37 ID:AJqDKbxe0

まゆ「あとは、ごくわずかですけど回復アイテムに似たものもあるそうなんですよね、まゆは持ってませんけど」

美穂「そうなんだ、私も頑張らないとなぁ・・・」

まゆ「?・・・美穂ちゃんも頑張っているじゃないですかぁ」

まゆちゃんが私のくまさんをよしよししながら笑顔でそう言ってくれる、でも心当たりはない

美穂「え?・・・わ、私なんてまだまだだよ!?、今もやっとまゆちゃんに会えたとこだもん!」


まゆ「いいえぇ?美穂さん、こうやって早々と能力も手に入れて行動を開始してるじゃないですかぁ」

美穂「で、でも、これも偶然見つけたものだし・・・そういえばまゆちゃんはどんな能力なの?」



まゆ「・・・・・・それが、まゆ、まだ能力がないんです。あちこち回ってるんですけどねぇ」

美穂「そうなんだ、えっと、き、キーアイテム・・・?っていうのが見つからないってこと?」

まゆ「はい、そうなんです・・・やはり通常武器でまゆの非力をカバーするにも限界がありますから、何か能力が欲しいのに」

美穂「そうなんだ」

まゆちゃんの声がちょっとだけ沈んだ

だからこんなに包丁とか持ってるんだ・・・

それを聞いてから改めて見てみるとまゆちゃんの凶器まみれの服は弱い体を守る鎧に見えてくる





そうだよ・・・まゆちゃんは簡単に人を傷つけたりしない、いい子だもん

498: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:42:35.90 ID:AJqDKbxe0


まゆ「キーアイテムらしきものを見つけたと思ったら、まゆのじゃなくて智絵里さんのでしたねぇ・・・」

美穂「智絵里ちゃん?」

まゆ「はい、さっき言っていたアイテムのやり取り、というのもまゆが智絵里ちゃんにそれをあげたことなんです」

美穂「じゃあ、智絵里ちゃんもその、能力?っていうのがあるんだ・・・」


智絵里ちゃんの能力、か・・・

あの子おとなしいから、空を飛んだり手から波動拳を出してる姿は想像つかないなぁ・・・



・・・・・・あれ?


美穂「えっと、じゃあなんでまゆちゃんは智絵里ちゃんとは離れちゃったの?」


一緒にいたほうが強い仲間もできていいことだと思うんだけどな・・・


まゆ「智絵里さんにもそれは頼まれたんですが・・・まゆにはまだ、コレといった決め手もないので、足を引っ張りかねませんし」

まゆ「それに智絵里さんの方もまだこの世界に慣れていないようで、怯えきっていましたからね。臆病なのはともかく、共倒れは避けたいですから」


美穂「・・・・・・?、えっと、い、色々考えてるんだね?」


499: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:43:23.19 ID:AJqDKbxe0


まゆ「でも、ポテンシャルで言えば智絵里さんの方がまゆより上でしょうから、例えユニットを組んでもまゆはお荷物です」

美穂「そ、そんなことないよ!!まゆちゃん頑張ってるもん!」

まゆ「そうですか・・・うふふ、励ましてくれるんですか、優しいくまさんですねぇ」

美穂「わぷっ」

まゆちゃんにぎゅっとされた

なんだか、まゆちゃん嬉しそう。私もあったかくていい気持ちになる


まゆ「じゃあ、まゆはとりあえず町外れにでも向かってみようかと思います。あとついでに智絵里さんも探してみようかと」

美穂「じゃ、じゃあ、私もついてく!」

まゆ「いいですよ、こちらこそよろしくお願いします」

美穂「は、はい!よろしくお願いします!」








こうして硬く鋭い金属に身を包んだ少女と、

柔らかい綿と布の体を持つ少女は手を組んだ。



ユニット登録はまだ済ませてないが、いずれはするのだろう



500: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:44:33.54 ID:AJqDKbxe0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まゆ「そういえば、智絵里ちゃんにはまゆ、かなり厳しいこと言ってしまったんですよねぇ・・・」

美穂「そうなんだ・・・」

まゆ「あまりに臆病で、真剣に取り組む様子が見られなかったので、つい・・・。嫌われてなければいいんですけど」

美穂「だ、大丈夫!嫌われてても私も一緒に謝るから!」

美穂「で、でもまゆちゃんみたいな良い子が人にひどいこと言うとも思えないんだけど・・・どんなこと言ったの?」

まゆ「えっと・・・」








まゆ「まゆが知る限りで、プロデューサーさんがこの仕事を形にするためにどれだけの勤務時間と手間をかけたか、バーチャルに関して身につけざるを得なかった専門知識の量と、その勉強に割いた時間、その間においてプロデューサーさんが体調を崩した期間と回数」



まゆ「そういうことを全部、余すところなく教えてあげたあとに『あなたはこのプロデューサーさんの努力を裏切るつもりですか?』って言っちゃったんです・・・」


美穂「(ど、恫喝に近い・・・)」


501: 名無しさん 2014/03/12(水) 12:46:12.77 ID:AJqDKbxe0






まゆ「(でも別にまゆは嫌われてもいいんです、この企画がちゃんとしたモノになりさえすれば)」




まゆ「(智絵里さん?まゆを嫌ってもいいから・・・・・・ベストは尽くしてください)」




まゆ「(事故とは言え、まゆもあなたの能力は経験しています、だからわかります)」






__あなたがその気になれば、勝てる相手はいません__





ゲーム開始27分経過

佐久間まゆ ボット撃破数3体に到達

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

503: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:24:38.38 ID:ZXgRqrN5O

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チャプター
大和亜季&小関麗奈

ゲーム開始20分時点



周子(ボット)「いやー、やっと出番かー、待ちくたびれたよほんと」


周子(ボット)「あ、もちろんあたしがいるのにいつ気づくのかって意味ね」




ダンボールがそこかしこに転がっている部屋で三人の人間が対峙している


プレイヤー、大和亜季に小関麗奈

ボット、塩見周子


麗奈と亜季は動けない、いきなりの展開に動けない

504: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:27:18.73 ID:ZXgRqrN5O

二人で誰もいない部屋に入り、物色と調査を開始した。

いつの間にか二人のはずが三人になっていた、その三人目は亜季だった。

二人に増えた亜季はしかし、ユニット登録の画面が出せなかった偽物を暴かれた

そして塩見周子がそこにいた。



この小さな部屋に隠れていたのか


既に店のシャッターを開ける時から近くにいたのか


それとも商店街で二人がユニットを組んだ直後にはもういたのか


実はユニットが組まれたことも知っていて、それですぐそばで自分たちを見ていたのか


もしかしたらこのゲームが始まった段階で二人を影から見張っていたのか





いつから居たのか、どこまで行動を共にしていたのかが全くわからない




まるっきり化かされた気分だ。

505: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:28:53.15 ID:ZXgRqrN5O


麗奈「このアタシにイタズラしようなんていい度胸じゃない!!」


亜季「麗奈、落ち着いて・・・これは悪戯などではなく既に戦闘です」



周子(ボット)「んー、そんなピリピリしなくてもいーのに」


二人から向けられる、敵意というよりは警戒の色が濃い視線を躱すように周子が部屋の中をゆるっと移動する

足元には大小様々な箱が転がっているのに足を引っ掛ける気配はない、積まれた箱も崩れたりぐらついたりすることもない

まるで誰も通ってなどいないかのように、しかし周子は部屋の中をのんびりさまよう


窓からの光以外照明のない薄暗い部屋の中、周子の胸元のバッジから出る赤い光が人魂のように尾を引いた。


亜季「麗奈、その銃は私が、あなたはこちらを」

麗奈「う、うん・・・」


視線は外さずに武器の交換が行われ、亜季の手元にゴツいショットガン、麗奈の手に比較的扱いやすいハンドガンが渡る

そしてそれを敵に向けて構えた

506: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:30:13.54 ID:ZXgRqrN5O

周子(ボット)「もー、いくらボットとプレイヤーが敵同士だからってカリカリしすぎじゃない?」

亜季「先程のご自身が行った奇襲を顧みてもそう言えますか?」

周子(ボット)「奇襲って・・・、言葉がぶっそーだよ」

麗奈「はん!このレイナサマに変なことした自分を後悔なさい!!」

周子(ボット)「へー、ふーん、まぁ確かに麗奈ちゃん大混乱だったもんねー? いいもの見れたなー」

麗奈「んなっ!?」


周子はボットとしてオリジナルの性格の大部分がトレースされ、

そこにプレイヤーを倒す、という闘争意志のようなものが加えられている。

その影響でオリジナルと違ってその発言には悪意めいたものが混じりがちになっていた

一応他のボットにはオリジナルとそう変わらない内面の持ち主もいるにはいる、


周子(ボット)「うーん・・・麗奈ちゃんかわいーからつい意地悪したくなっちゃうね」


だが、周子はその悪意すら武器に使うことに決めていた

507: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:32:06.30 ID:ZXgRqrN5O


麗奈「だ、だれが・・・かわいいよっ!!」

亜季「れ、麗奈!?」


パアァン!!


部屋の中ゆえに銃声が壁中に反響して音の出処を迷わせる


麗奈「・・・あ」


渡されたはいいものの銃の扱いを知らない素人の麗奈はその小さな指を引き金にかけたまま持っていた

それをそのまま周子に向けていた、そして周子がそれを気にする素振りも見せなかった。

亜季は麗奈に目をやる隙を周子に見せるまいとしていた。


だから麗奈の誤射を予測できた者はいない



周子(ボット)「あらま、えっと・・・ナイスショット?」



胸に穴を開けられた周子も含めて

508: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:33:37.71 ID:ZXgRqrN5O


周子(ボット)「いや・・・言っとくけどあたし、ちょっとした・・・偵察のつもりだったんだけど・・・」



半袖シャツにホットパンツ、ラフな格好をした周子の胸元、赤いバッジの斜め下に同じくらい赤い色のシミができている、

心臓にヒット、とはいかずとも人間なら確実に重要な臓器を傷つけている位置だ

その証拠に、周子の声もしぼんで弱々しくなっていく


ゲームの中では銃器の類は持ちやすいよう軽く設定されている、それに反動も現実のものより小さめだ

だから麗奈でも構えさえしっかりしていれば止まった的には当てられる。

今回は誤射だった上に周子がゆっくり動いていたが、それでも大ダメージだろう


周子(ボット)「これ、ちょっとマズいんだけど・・・」


周子が体に空いた穴の縁を恐る恐るなぞる

509: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:34:48.46 ID:ZXgRqrN5O

麗奈「やば・・・撃っちゃった・・・やっちゃってよかったのコレ!?」

亜季「結果オーライです、麗奈。しかしあなたは銃の扱いをよく知る必要がありますな、今のは危なすぎます」


麗奈「う、・・・わかってるわよ・・・もう絶対失敗なんてしないわ!!」









周子(ボット)「ほんとに?」





体に穴を開けたまま発されたにもかかわらずはっきりとした声が部屋に響く

510: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:36:56.31 ID:ZXgRqrN5O



周子(ボット)「麗奈ちゃんに、教えてあげよっか?」



周子(ボット)「あたし相手に失敗すると、どーなるか」




変化は一瞬


麗奈「な、なにあれ・・・」

亜季「し、尻尾にしか見えませんが・・・防弾性の繊維でしょうか・・・」



ぽふっ


まるでダムによってせき止められていた水がダムに空いた小さな隙間から一気に吹き出すように

周子の背後から白い尻尾が出現した。


本数は三本、そのどれもがふさふさとした毛並みを誇るようにパタパタと動いている、狐の尻尾のような形だ

暗い部屋の中でも毛の一本一本までもがつややかに輝いているように見えた

511: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:38:54.96 ID:ZXgRqrN5O

周子(ボット)「いやーいきなり撃ってくるなんて驚かされたね、ま、これでおあいこかな」



周子の体を覆い尽くさんばかりに大きく広がった毛先が、周子の体をなぞったと思ったときには麗奈が付けた傷は消えていた。

血の染みたような跡どころか服に空いた穴までない



麗奈「んな、なんなのよコイツ!」

亜季「・・・ボットとはなんでもありなのですか」



目の前の異変に驚きばかりが先行する

だが、二人の頭の中の冷静な部分ははっきりとわかっていた



いつ、どこで現れたかすらも不明瞭な、
霧のような相手に生半可な攻撃が当たるはずがない


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

512: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:40:30.70 ID:ZXgRqrN5O
~~~~~~~

周子(ボット)「あのさ、」


周子(ボット)「一応このあたしに当たったのは本当なんだけど、あんなふうに体に穴があいて、血が出たりすると思う?」


周子(ボット)「晶葉ちゃんがそんな、ホントに子供のトラウマになりそうなリアルなゲームにすると思ったの?」


周子(ボット)「いや、仮にそうなってたとしてもアイドル第一のPさんが止めるよね?」



理解が追いついていないように見える二人を前に周子が諭すように喋りかける


周子から生えた尻尾はまるでそこだけ別の生き物のように各々が周子の肌を撫で回すようにパタパタとふられていた


亜季「だったら・・・さっきのあなたの様子はなんだったでありますか!!」


周子(ボット)「ん?なんだと思う?あててみて」


尻尾の動きは相変わらずに、周子は亜季と麗奈を意地悪っぽく見つめる

513: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:41:59.67 ID:ZXgRqrN5O

いつの間にか亜季に変身し

狐のような尻尾を生やし

重傷が跡形もなく消える

共通点があるようには見えない

亜季「・・・・・・・・・」

麗奈「・・・・・・・・・」

二人は答えない、ただ構えた銃を向けるだけだ

だが今となってはそれが意味がある行為なのか自信がない


周子(ボット)「......はい、シンキングタイムしゅーりょー」


周子(ボット)「そんな難しく考えることないのに...何が起きたか分からなかった?」


周子(ボット)「うーん、まだこの世界に慣れてないみたいだね、こんなに何でもありなのに・・・」


周子の黒目がちな瞳が細められる。

笑っているようにも狐の顔を真似ているようにも見えた

514: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:45:05.69 ID:ZXgRqrN5O




周子(ボット)「もう言っちゃうとね」






周子(ボット)2「さっきまでのは、ぜーんぶ夢と幻」






周子(ボット)3「ここは仮想の現実、なんでもありの幻想の幻実」



周子(ボット)4「だったら『仮想の中で仮想を作る』能力だってあると思わない?」



一際大きくしっぽが振られたあと、

そこには新たに三人の塩見周子がいた。



515: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:47:49.95 ID:ZXgRqrN5O

麗奈「っはあ!?」

亜季「ボットが、四体・・・!?」



周子(ボット)4「だからそんなんじゃないって、ただの幻だよ」


周子(ボット)3「あたしたちの中の三人はただの嘘っぱち」


周子(ボット)2「ホントのあたしはどれだろうね、当ててみてよ」


周子(ボット)「・・・どう? 麗奈ちゃん」






  これでも絶対失敗しないって言える?









ゲーム開始21分経過

小関麗奈&大和亜季VS塩見周子(ボット)

継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

516: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:52:26.77 ID:ZXgRqrN5O
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
神谷奈緒


大体十分くらい経った


爆弾みたいな衝撃を肩に喰らい

緑の氷柱みたいなナイフで襲われ

黄色いイガ栗のトゲを浴びせられ

水色と赤色の薄い板を叩きつけられてから

・・・
・・


_____________

 神谷奈緒  75/100


_____________

_____________

 梅木音葉+ 97/100


_____________

517: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:54:04.45 ID:ZXgRqrN5O

もう正直よくわからん

音葉さんの音を使った攻撃、

それはその場で発生する音を武器に変えてるみたいだ

だから次に何が来るか読めない、いや、自分の立てた音なのにと言われても・・・


例えばあたしが無理な動きで音葉さんの攻撃を避けたとき、

次の瞬間、靴裏と地面が擦れる音(スキール音だったっけ?)をダーツの矢みたいにして投げてくるし

こっちから反撃してやろうと素手で殴りかかろうと駆け出したときは、

その走り出すために地面を強く踏み込んだ音をカナヅチみたいにして殴りつけてきた


挙げ句の果てに、だったらあたしが動かなければ音葉さんも武器が作れないんじゃね?

と思ってその場に仁王立ちして待ち構えたところ音葉さんはいきなり口笛を吹き始めた。

口笛で余裕をアピールしてあたしをを挑発してんのかと思ったら、この口笛が楽器の演奏かよってくらいすげえ上手だった

で、もう予想は付いたかもしれねえけど、その口笛の音も武器にしやがった。

見た目はガラスで出来たレイピア、

あたしの音でできた武器より数倍綺麗だった

518: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:55:50.97 ID:ZXgRqrN5O

奈緒「なんっ・・・なん、だよ!?・・・わっけわかんねぇ・・・!」


ぜえぜえと肩で息をしながら音葉さんを見る


音葉(ボット)「疲労、弱音、少しばかりの諦念の色......やはりまだ完全には諦めてくれないのですね」


見ると音葉さんの手からは鞭みたいな紐が出てきていた。

色は灰色で、なんていうか鮮やかさのない、くすんでくたびれた色だ。たしかに疲労を表してるっぽい色だ



ヒュンッ



音葉さんがその場から動かず、腕だけを横に振った

灰色の鞭がそれにならってこっちに唸りを聞かせながら迫ってくる


あたしはもうろくに動けないので辛うじて腕を上げてそれを防いだ、

だが腕にはビリビリと衝撃が伝わる、そりゃ腕だって体の一部だし

519: 名無しさん 2014/03/13(木) 00:59:49.14 ID:ZXgRqrN5O

逃げようにもここは山の中の道路で一本道、ガードレールの向こうは小さいけど崖があって、

逃げ道としてはできれば選びたくない


ただ、この能力による攻撃、一つ一つのダメージは実は大したことない



奈緒「はぁー、はぁー、・・・悪いけどなぁ、音葉さん・・・手数だけでチマチマこられても・・・はぁー・・・」


音葉(ボット)「..........?...」


あ、むり疲れすぎて声も出ねえ、スタミナはそんなに減った感覚はないけど疲れはそれと関係ないのかもしれない




奈緒「それに・・・音葉さん、攻撃が・・・どんどん・・・弱く、なってきてるぜ・・・?」


音葉(ボット)「.........そのようですね...あなたの音が弱くなってきていますから...」


奈緒「・・・あたしのスタミナを削り切るのと・・・音葉さんの攻撃が、な、何の意味もないような弱いものになるのと・・・どっちが早ぇかな・・・」

520: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:01:39.57 ID:ZXgRqrN5O

これが未だにあたしが勝負を投げない理由。

この得体の知れない回避不能の攻撃は無限に続くわけじゃない。

音葉さんはちょくちょく自分の音を武器にしていたが、連発はできないらしい

それに一度使った武器は次々に消えていっちまうみたいだ。


だからこれは我慢比べだ。


ゲーム内の世界だからか、あたしの体は今のところ目に見える傷はない。骨折やカスリ傷もない、ただしびれてるだけだ


だから心が折れなきゃ問題ない。思い返せば音葉さんもなんかそこは褒めてくれてた。


そうだ音葉さんとのバトル展開になってからどれくらい経ったんだ?


あたしは・・・そうだよ、加蓮!加蓮を呼び止めようとして邪魔されたんだった!

521: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:05:37.48 ID:ZXgRqrN5O

しかしなんであのタイミングで。

音葉さんが「足止めが役目」みたいなことを言ってた時から思ってたが、やっぱり、ボットたちは手を組んでるのか・・・?


奈緒「なぁ・・・音葉さん、あんたらには仲間とかがいるのか・・・?」

答えが返ってくるとは思ってないが質問してみる


音葉(ボット)「(...疑問、ではなくほぼ確信している...だから音に震えがない...隠しても意味はなさそう...ですね)」


音葉(ボット)「(...むしろ、現状を教えることで諦めさせることができれば、彼女を倒すことさえ可能になるかもしれません...)」





音葉(ボット)「...戦力外の、いえ...《戦力外たちの宴》でしたか...」

奈緒「・・・?」


音葉(ボット)「私たち、一部のボットが与している組織の名前です」


奈緒「・・・!やっぱりか・・・!」

522: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:07:02.60 ID:ZXgRqrN5O

音葉(ボット)「主に直接戦闘にむかない能力を持つボットたちを、何人かのチームにすることで一個戦力として確立させようとしている組織で、設立メンバーも同じく戦闘力のないボットでした」


音葉さんはさらりと説明してのけたけどあたしは思ったよりも不利な状況に思考が停止しかけた

まじかよ、まだこのゲームが始まってから一時間と経ってないだろ、なんでそんなに敵の足並みが揃ってるんだよ!?


音葉(ボット)「もちろん一人でも戦える人はいますが、私たちの真骨頂は戦闘よりも作戦行動ですから」


奈緒「作戦・・・?」


音葉さんの口からやたらと不穏な言葉ばかり出てくる


音葉(ボット)「トライアドプリムスを結成させないこと、などですかね」


奈緒「・・・・・・は?」

523: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:08:37.11 ID:ZXgRqrN5O

音葉(ボット)「この広く虚ろな世界に生きるボットはひどく不安定です。どのような戦力がどんな戦況を生み出すかわかりません。」

音葉(ボット)「だからこそ貴方たち三人にユニットを組ませるわけにはいかない、最優先で対処すべき相手なのです。」

奈緒「ユニットって・・・ここゲームの中なのに・・・」

音葉(ボット)「だとしても、現実での強力な人間関係が仮想では無意味...ということにはなりません...」




音葉(ボット)「今も...ほかのメンバーには...私たちの仲間が、向かっています」


奈緒「ってことは、凛や加蓮にも音葉さんみたいなのが・・・?」


音葉(ボット)「............」

奈緒「...?」

音葉さんはちらりと視線だけを横に、どこか遠くを見るように動かした

524: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:10:47.62 ID:ZXgRqrN5O

音葉さんの視線の先には、やはりどこかで鳴っている音が見えているのだろうか




音葉(ボット)「...凛さんはもう少し時間が掛かるかもしれませんが」

「...加蓮さんはそろそろ.......倒されるでしょうね」



奈緒「!!?」


音葉(ボット)「...音に気づきませんでしたか?...彼女にも私に少し遅れて戦闘員が向かっていたのですよ...?」





その言葉を聞いて私は吹っ切れた。

もしかしたら音葉さんはあたしを絶望させようとしていたのかもしれないがあたしは逆に奮い立った



ガードレールを踏み越える

525: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:12:43.38 ID:ZXgRqrN5O

別に崖といっても火サスみてぇな切り立った崖じゃねえ、しっかりコンクリートで舗装された壁の、精々20メートル程の崖だ

足から落ちれば大丈夫、のはず

それにさんざん学んだじゃねえか、

この世界に骨折はねぇ、

痛みの代わりにめちゃくちゃ痺れるだろうが、

走ることさえできれば加蓮のところに行ける!!!


と、考えたのが落ちてる最中のことで、あたしは飛び越えた時は何も考えてなかった

助けに行こうとか、仲間のピンチに駆けつけてやる、とかそんなご大層な思考もなかった


というか20メートルでも人は余裕で死ねるだろ・・・





でも脊髄反射であたしはスタートダッシュを踏み切った



奈緒「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

526: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:13:48.29 ID:ZXgRqrN5O
~~~~~~~~~~~~~~~



あたしは一応、最後の知恵として空中から真っ直ぐ落ちるんじゃなくて、

崖の若干斜めの壁を転がり落ちることで落下ダメージを減らそうとしていた、

たぶん即死級のダメージではなくなるはず、たぶん!


音葉さんからしたら、あたしはさぞ滑稽だろう、ギャグアニメみたいに崖を転がりながら落ちてるんだから




ガツッ

527: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:15:25.45 ID:ZXgRqrN5O


回転する視界の中



『ガツッ』





そんなふうに
  
  あたしは壁のどこかに

引っかかり、


   壁からはじかれ
壁から離れて


自由落下   を



このままじゃ


地面にまっすぐ落ち



あ、ミスったかも


ごめん加___

~~~~~~~~~~~~~~~

528: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:16:36.21 ID:ZXgRqrN5O
~~~~~~~~~~~~~~~~


暗黒


暗黒


暗黒


暗黒


音葉(ボット)「...やはり...あなたは最後まで諦めませんでしたか...」





奈緒「・・・・・・・・・あれ?」


あたしは落ちてなかった


それどころか空中に浮いている


音葉さんの声が間近で聞こえた

その方向を見る









奈緒「・・・・・・・・・天使?」

529: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:17:52.80 ID:ZXgRqrN5O

丁度お姫様でも抱えるみたいにあたしを空中で支えていた



背中から翼を生やして



一瞬、天使かと思ったがその翼はべつに神話とか絵画に出てくるあの天使のものには似ても似つかなかった


まず赤い


それに生えているというより、まるで音葉さんの背中から二方向に吹き出しているかのように流動している


それにまるで赤一色の巨大な花火みたいで


それを背景にしている音葉さんもどこか神々しかった



え、こんなすごいのも出せたのかよ・・・

弱くなってねえじゃん

530: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:19:11.82 ID:ZXgRqrN5O

音葉(ボット)「...聞こえますか? 音が燃えるような色......強い行動の意志...どこまでも進むという力強さを持つ音」



「...拓海さんのバイクの音です...」



ブオオオオオオオオオオオオオオン・・・




あたしの耳にかすかに遠くから響くバイクの排気音が聞こえた。


なるほど、この音を使ったのか、


でもなんで音葉さんはあたしを助けたんだ?

531: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:21:00.18 ID:ZXgRqrN5O



奈緒「音葉さ・・・な、なんで・・・あたし・・・」



崖を転がり落ちて背中も腹も腕もしびれてるし、助かったと思ったせいで落ち着いて声が出せない



音葉さんはじっとこっちを見ている、あたしはその腕の中のままだ



バイクの排気音に別の音が混じった気がした



音葉さんはまだあたしの質問に答えない

533: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:22:55.99 ID:ZXgRqrN5O

でもようやく、口を開いた


音葉(ボット)「...この音を...待っていました...」



パキン


多分効果音がつくならこんな感じ


あたしの目の前、丁度お姫様抱っこ状態のあたしの腹の上に小さな石が浮いていた


キラキラとオレンジ色に光っている小ぶりだがダイヤモンドみたいだ


これも音葉さんの能力で出てきた音なのか?あたしのよりもひょっとすると音葉さんのよりも綺麗かもしれない

534: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:23:50.95 ID:ZXgRqrN5O



奈緒「・・・これ、なんの音なんだ?」



音葉さんはその綺麗なオレンジの石をじっくり眺めるとあたしを見た


音葉(ボット)「......純粋で濁りの無い音...迷いなき意志のみが奏でる音色...」






音葉(ボット)「......これは加蓮さんのもの...」


加蓮・・・?

535: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:25:26.21 ID:ZXgRqrN5O






音葉(ボット)「加蓮さんの殺意です」








次の瞬間、

オレンジ色のダイヤは

銃弾のように

あたしめがけて_____



_____________

 神谷奈緒   3/100


_____________

_____________

 梅木音葉+ 97/100


_____________


ゲーム開始35分

神谷奈緒VS梅木音葉(ボット)

継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

537: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:27:53.26 ID:ZXgRqrN5O
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ついにやっちまった


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

【ERROR!】 

渋谷凛 

のチャプターが一部存在しません。早急に復旧作業を行ってください

1、白坂小梅
2、佐久間まゆ
3、堀裕子

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS上条春菜


《棟方愛海の個人的アイドルサバイバルin仮想現実》

(安価+6までに過半数の投票で閲覧可能。別の安価との同時投票は有効)

6、棟方愛海(ボット)&白菊ほたる(ボット)&望月聖(ボット)&高森藍子(ボット)


画像コメントありがとうございました

540: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:29:55.60 ID:A+2Rgux4o



541: 名無しさん 2014/03/13(木) 01:30:01.78 ID:USad7Po40
3
5

545: 名無しさん 2014/03/13(木) 21:44:21.30 ID:wq880jQP0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チャプター
白坂小梅




マキノ(ボット)「...度し難いわね」


遊佐こずえ(ボット)「...ふわぁ...」



八神マキノは現在二つの問題を抱えていた


時系列的にはゲーム開始から27分


場所は屋敷、ほんの数分前まで小梅たちが物資を調達していたところだ


ちなみに彼女は生身である

仮想現実において生身という言葉も使い方がおかしいので正しく説明すると、このマキノは本体だった。

彼女いわく幽体離脱、意識だけを遥か遠くに跳躍させる能力

跳躍した意識は便宜上、仮初のボットの姿を持ち第三者からも一応視認はできる。


だが飛鳥曰く、”蜃気楼” ありす曰く”出来の悪いホログラム”


その程度のクオリティしかないボットなので、マキノはこの能力を偵察と交渉にしか使わないと割り切っていた


交渉、彼女たちの組織を組み立てるに当たっての構成員の勧誘である、ありすがピックアップした場所にいるボットの元へ即座に跳び、話をつける

546: 名無しさん 2014/03/13(木) 21:46:08.45 ID:wq880jQP0

そのマキノが仮初のボットではなく本体のボット、戦闘力もなくプレイヤーに出くわせば敗北必至の状態でここにいる



まずその目的はボット、遊佐こずえの勧誘に成功したため、身動きの取れない仮初の体ではなく本体自ら迎えにいくことだった

何人かはこちらが指定したポイントまで自力で来てくれたのが、それが出来ない年少のボットは誰かが直接出向く必要があったのだ


こずえ(ボット)「...マキノ...こんどは......ほんもの...なのー?」

マキノ「ええそうよ、さっきまで貴方のところにいたのは私の...ダミー、みたいなものね。貴方と一刻も早く話がしたかったから送ったのよ」

こずえ(ボット)「...こずえと...おはなし...するー?」

マキノ(ボット)「一度、私たちが拠点にしている支部に着いたら、になるわね」


さて、とマキノは視線を足元に向ける


今頃は凛のもとに向かっているであろうありすの能力で見つけた気になるボットの反応は二つ

一つは頼りなくふらふら歩き回っていた遊佐こずえ

もう一つは逆にいつまでたっても動こうとしない反応だった

マキノはそのもう一つを見極めるためにこずえを迎えにいった足でここに来ていた




小梅(ボット)「      」



こずえ(ボット)「...こうめ...ねてるのー?」

マキノ(ボット)「...もし本当にそうなら、辻褄は合うんでしょうけどね」


547: 名無しさん 2014/03/13(木) 21:46:39.85 ID:wq880jQP0


スタミナがゼロになりとっくに消滅しているはずのボット、白坂小梅

それがまるで埋葬されるのを待つかのように静かに横たわっていた

一つの明確な異常である。


マキノ(ボット)「プレイヤーのほうの小梅さんの能力かしら...いやそれにしては意味がわからない、分析できそうなところも見当たらないわ...」


こずえ(ボット)「......?」


マキノ(ボット)「......まあいいでしょう、こずえさん?改めて私たちと来てくれないかしら」


正直マキノとしてはこの事態は非常に気持ち悪い、解決しておきたいものなのだが

だからといって非力な自分がぼんやりとしたこずえをいつまでもこんな所に立ち止まらせておくわけにはいかない


こずえ(ボット)「......うんー...」


こずえはマキノの手を握る、マキノはそれを握り返した


まず屋敷から出て拠点を目指そう、

548: 名無しさん 2014/03/13(木) 21:47:26.43 ID:wq880jQP0


拠点には今は飛鳥がいたはずだ、というか彼女はあそこからほとんど動いていない


あずきは今確か、ありすが連れ出してしまっていたはずだ

あの六人も事務所の方を守っているし

ほかの面子もトライアドプリムスの分断に動いていた



ついさっきまではありすとマキノと飛鳥の三人、

その少し前は拓海と音葉の二人もいた、

そのちょっと前は晴と舞の二人組み

さらに前は事務所の防衛部隊の六人


でもその前は八神マキノ一人しかいなかった



マキノ(ボット)「仲間集め...論理的な判断から私が始めたことだったけれど...ずいぶん賑やかになったものね」




マキノ(ボット)「いえ、物思いにふけっている場合ではないわね、行くわよこずえさん」



消えない死体に並ぶもう一つの問題にして謎、遊佐こずえ



”完全になんの能力も持たないボット”である彼女の手を引き、マキノは屋敷をあとにした



消えるはずの死体が在り

存在するはずの能力が無い


ないはずのものがあり、あるはずのものがない


マキノが対処すべき問題は想像以上に大きい


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

551: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:03:21.46 ID:wq880jQP0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

事務所前道路


小梅「と、ところで、なんで...じ、事務所だったん、だろう...ね?」


輝子「フヒ?」

幸子「どういう意味です小梅さん?事務所じゃ何かだめなんですか?」


小梅「えっと...ほ、ホラーゲームとか...だと、重要なあ、アイテム、があるのは...もっと、大きくて、ぶ、不気味な館、だから...」


輝子「でも、キノコあった...私にはとっても重要...あ、でもわ、私だけか...フヒ...」


幸子「いえいえ輝子さん、貴方のアイテムはボクらにとっても行動の目安として大きなヒントになりましたからね!そのキノコはボクらにとっても重要でしたよ!!」


輝子「さ、さっちゃん...ありがとう......って、このキノコが言ってる」


幸子「!?」

552: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:04:04.16 ID:wq880jQP0


三人は事務所へ続く斜面を下っているところだった。

いくら車が無いとはいえ車道を渡るのは憚られ歩道を使っている


幸子「しかし何故、事務所があるのか、ですか、やはりボクらから見て一目で特別な場所とわかるので、目印にしやすいと晶葉さんが判断したのでしょう」


小梅「や、やっぱり、そうなの、かな...目印って...なん、の、だろ?」


幸子「まぁこの世界のことですから輝子さんのようにレアなキーアイテムとか、そんなとこでしょうね」


輝子「フヒヒ、み、みんなで、い、一緒に...能力使えると、う、うれしい...」


小梅「も、もし...他の、人たちの分も..あ、.アイテムが、あったら...もっていって、あげよう?」


幸子「ふふーん!すばらしいアイデアですね!皆さんがカワイイボクらに泣いて感謝するさまが目に浮かぶようです!!」

553: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:05:21.57 ID:wq880jQP0

彼女たちは知らない

人がその身の奥に持つ悪意を

この場合厳密な定義では人間ではないかもしれないが、



有り余る量の財宝を前にしたときに人がとる反応は二つ



自分の裁量に応じて所持するか

あるいは一つ残らず独占するか


小梅の提案は前者、


そして晶葉がプログラムした敵意という概念

それは闘争への意思と悪意を生み、

ボット達が持つ悪意は後者を選択していた




カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

554: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:08:07.92 ID:wq880jQP0


最初にそれを見つけたのは輝子だった


他の二人より少しだけ猫背だったからこそ、その奇妙な置物が目に入ったのだ


輝子「......フヒ?」


歩道の脇、排水溝、もし雨が降ったなら水が流れ込んでいたであろう細長いスペース


現実ならごみが詰まっていたり、そもそもかなり汚い場所なのだが仮想の中ではお飾りらしく、きれいなものだった


しかし、その「きれい」はあくまで「清潔な」という意味であって、


輝子「な、なに...これ......ほ、星?の...お、置物?」


星が瞬くような「綺麗」ではない


輝子が覗き込んだ排水溝の蓋同士の隙間


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ



DVDディスクほどの大きさで、黄色くて星型の”何か”


それが排水溝を埋め尽くすように大量に隠されていた



携帯電話のバイブレーションのように振動しながら、周りのものを引っ掻いて



輝子「!!......さ、さっちゃん!うめちゃん!」


輝子は明らかな異常を察して近くの二人に呼びかけた



その声の”振動”を感知して《ミツボシ効果》が発動してしまうとは知らずに

555: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:09:52.78 ID:wq880jQP0

カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカンッ!!!




あるものは他の星を押しのけ、あるものは排水溝の蓋を弾き飛ばし


癇癪球が破裂するようにいくつもの星型が炸裂した


この場合の「星」とはデフォルメされた星マークのように五つのトゲを持ったもので、


この場合では攻撃的でしかない形だった



輝子「ひあ!?」


その大部分がその星を覗き込むように見ていた輝子を直撃する

この世界がゲームであり、製作者が池袋晶葉である以上、過剰なダメージエフェクト、例えば流血や肉体損壊は起きない

だが「刺さる」などの現象自体は、リアルに再現されていた


小梅「...え...」

幸子「輝子さん!?」


突然の悲鳴とそれをかき消す破裂音に二人が振り向く


二人が見たのは星輝子の背中、


それがこちら向きに倒れてきた、


顔が見える、驚いたままの顔だ


次に見たのは星の形をした何か、


輝子の
首に肩に鎖骨に胸に二の腕に肘に肋骨に鳩尾に腹に腕に手に脛に膝に


びっしりと突き刺さった星型の何か、


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

556: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:15:21.76 ID:wq880jQP0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《ミツボシ効果》の能力によって生み出される星型のオブジェクト


この一つ一つの星にはスピーカーとマイクに似た機能がついている


一つでも星が振動を感知すれば、その振動がほかの星にもワイヤレスで伝播していく仕組みだ



この能力のタチが悪いところは、

星たちがスピーカーさながらに伝える度に振動を際限なく大きくしていくことだ



二つを離れた所に置いておけば、まるでワイヤレスの糸電話のように一方の地点で発生した物音を知ることができるセンサーになる




だが一箇所に密集させておいて置かれると最悪だ、


密着した星と星と星が互いの振動を無限ループ式に増幅してしまう




そしてこの星は、振動がある境界を越えた瞬間、爆ぜる

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

557: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:16:19.47 ID:wq880jQP0

小梅「しょ、しょーちゃ...」


幸子「輝子さん!!」


不意打ち気味に殴り上げられたように

輝子の軽い体は打ち上げられ、背中から落下した

そしてその時輝子が受けた衝撃も

輝子の体中を行き渡った振動として星達は感知する

仰向けに倒れ伏した輝子を起点に、刺さっていた星が射出される

もちろん星が抜けたあとの輝子の体に刺された痕などは無い

問題はそこから飛び散った星たちの行方である

四方八方に四散した星は輝子に駆け寄った二人にも襲いかかった


幸子「うわわっ!??」

小梅「ひっ...!」

まるで黄色い手裏剣のように、振動によるエネルギーを回転に変えながら流星が迫る

だが輝子と違いワンクッション挟んだおかげか、振動は弱まり、星が体に突き刺さることはなかった

一つは咄嗟に顔を覆った小梅の長い袖を巻きこみ、

一つは幸子の額にクリーンヒットした

幸子「あいたっ!」

小梅「あう...」

558: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:18:16.93 ID:wq880jQP0
《ミツボシ効果》の爆発的攻撃力は密集してこそ意味がある、

一度飛び散ればその威力は次第に弱まっていく、だから大きなダメージにはなってないだろう

大打撃を喰らった輝子もなんとか気絶することもなく背中をさすりながら上半身を起こした


輝子「...ひ、ひどい目にあった...」

全身に痺れが走っている、それも体の内側を直接侵すような痺れだ

小梅「しょ、しょーちゃん!」

運良くほぼダメージのなかった小梅が輝子にしがみつく

小梅「だ、だだ大丈夫?い、痛く、ない...!?」

輝子「お、おおう...たぶん...だいじょう、ぶ、フヒヒヒ...」

本気で自分を心配してくれている小梅の背中をさするだけの余裕をみせ、

輝子はできるだけいつもどおりの笑みを浮かべた

幸子「ふん!ボクのカワイイ顔を狙うどころか輝子さんたちまで危険にさらすなんて!これは許せません!!」

幸子も完全に不意を打たれ他にもかかわらずいつもの調子を取り戻していた

頬を膨らませ、わかりやすく怒りを表している

559: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:19:03.69 ID:wq880jQP0

輝子「...も、問題ない、よ...さっちゃん、そんなに痛く、ない」

小梅「...ほ、ほんと?...だいじょう、ぶ?」

幸子「輝子さんに大事ないならそれでいいですが、なんですか!このイヤガラセは!カワイイボクへの妬みですか!」

あたりを見渡す、これを仕掛けた輩がいるはずだ、だがそれらしき人影は周囲には見当たらない


幸子「ふふん、こんなちまっこい罠でボクらを嵌めたつもりですかね!こんなの全然聞いてませんよーだ!」





??「そうでやがりますか」


声が聞こえた

輝子「!」

小梅「?」

幸子「む!?」


ズンッ


そして力強く地面をけるような音が三人の耳に届く

560: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:19:44.17 ID:wq880jQP0

??「ふっふっふ、罠にはしっかりはまってるでごぜーますよ、幸子おねーさん」


ズンッ!


??「未央おねーさんののーりょくは、だめーじをあたえることには不向きでやがりますが、」


ズンッ!!


??「おかげで、近づく隙が出来たでごぜーますよ!!」


ズズンンンンッ!!!!!


地を揺るがす足音が振動を呼び、また地面に転がった星が震え始めたが、それどころではない


輝子「なにか...くる?」

小梅「え...」

幸子「こ、今度はなんですか!」


足音の聞こえてくる方向、三人が見つめる先には道路沿いのビルのうちの一件、

隣の建物より少し背が高い、その影に隠れる位置から音が地面を伝わって響いてくる


ズズンンン・・・


足音が止まる

「それ」はたった今三人の姿を認め、三人もまた「それ」を見上げた

561: 名無しさん 2014/03/13(木) 22:21:08.93 ID:wq880jQP0




見上げるような巨体、そしてある意味見飽きた巨体





この時代なら博物館に行かなくとも教育番組のチャンネルを回せば見られるその姿




かつての地球で猛威を振るったウロコの暴君





名前なんて9歳児でも知っている








仁奈(ボット)「ティラノサウルスのきもちに、なぁるでぇすよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」









雄叫びをあげるそれは、もはや着ぐるみではなかった


ゲーム開始44分

輿水幸子&星輝子&白坂小梅

VS

本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)

《ミツボシ効果》《U=パーク》《M・M・E》発動中


継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

564: 名無しさん 2014/03/13(木) 23:54:41.21 ID:rxG2uuDXo
遊佐こずえ(11)
no title

no title

565: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:18:57.88 ID:3UoAsq0yO

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
三好紗南

ゲームをプレイしていると、数時間があっという間に過ぎていく

退屈な時間ほど過ぎるのは長いと言うけど、じゃあゲーマーは退屈知らずの人種なんだろうか


べきっ


ぽいっ



ビシッ



紗南「・・・・・・・・・」



ターーーーン・・・

566: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:22:34.73 ID:3UoAsq0yO

あたしがむしり取った筐体のパーツが見えない何かにはじかれるように部屋の隅に飛んでいった


そのあと遅れて狙撃音が届いた

ライフルとかの弾は音速を超えるから、近くだとわからないけど遠く離れると弾の衝突と耳に狙撃音が届くまでにラグが生じる

そんなことをたしか亜季さんが言ってたっけ

で、そのあとそのラグの長さとライフル弾の種類を見極めれば相手のいる距離がわかる?とかなんとか


理屈はわかる、あたしも中学生だし、理科で音が届く時間と距離がどうたらこうたら・・・


紗南「・・・やだ、また現実逃避してた。やばい、やばいよあたし」

べきっ


ぽいっ



ビシッ



紗南「・・・・・・・・・」



ターーーーン・・・

退屈はゲーマーを燻り殺す

567: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:23:49.64 ID:3UoAsq0yO

本来ならここは遠く離れた狙撃手について対策を練るとかするべきなんだけど

どうしようもない、あたしの能力が教えてくれたのが相手は名狙撃手春菜さんってことだけ、


その狙撃の腕は今、あたしの目の前で起きたことが証明してる


あたしの手のひらに収まるようなちっこい筐体の部品を空中で打ち抜くレベル


多分ちょっとでも頭を覗かせたらそこから撃ち抜かれていく

べきっ


ぽいっ



ビシッ



紗南「・・・・・・・・・」



ターーーーン・・・

あたしはもう動けない、でも動きたい

ゲームもせずじっとしているのが苦痛で仕方ない、

568: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:30:27.28 ID:3UoAsq0yO

さっきからの緊張とかストレスが薄れてきてる。

なんであんなにビクビクしてたんだろうって思えてきた

それより退屈がやばい、頭の底をグラグラ火にかけられているような気になってくる


筐体のライフル弾が当たって削れた部分に指を入れる、力を込めるとパキッとちいさい破片が取れた

放り投げる、


ビシッ!


ターーーーン・・・



もういっそのこと


筐体の影から出てみようかな、思いっきり走れば弾も当たらないかも

いや走りだしたと見せかけて逆方向に逃げるとか、あ、いけるんじゃない?





紗南「わかってる、わかってる・・・多分あたし、怖がりすぎて頭おかしくなってる・・・」

569: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:34:40.23 ID:3UoAsq0yO

いけるわけないじゃん、何考えてんだあたし

両手でググッと頭を抑える、フロアの冷たい床に付け続けてたお尻が痛い

テスト前日にむりやり教科書の中身を詰め込んだ後みたいに頭がぼんやりする


なにか変化が欲しい、

今が何分経ったのかもわからない、10分?20分?それよりもっと?


紗南「・・・・・・・・・・」


離れたところに転がったゲーム機はあたしが触れない限り変化しない



ああ、春菜さん、弾切れ起こしたりしてないかなぁ・・・

どっちにせよここからじゃわからないんだけど

570: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:36:47.98 ID:3UoAsq0yO

紗南「・・・・・・・・・・・・」


紗南「・・・・・・・・こんなの」


紗南「こんなのクソゲー過ぎるよ!!!」


スナイパー1体に足止めされてそのあと延々ジリ貧で時間が経つの待ってるだけじゃん!!


敵兵が攻め込んでくるとか!!味方から救援物資が来るとか!!


援護爆撃とか!!救急キットとか!!ゲームならそういうイベント起こるべきでしょ!!


両手で床面をバンバン叩く

あたしもゲーマーの一人、台バンとかはしない、代わりに床に手のひらをガンガン叩きつける

571: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:39:04.12 ID:3UoAsq0yO


緊張、ストレス、退屈、恐怖、そんなのが混ざっておかしくなって、変なスイッチが入ってるのは自覚してる


でもこのままじゃ精神が焦げ付いちゃうような、

だんだん何も考えられなくなっていくような

何も覚えてられなくなるような、

時間とともに何かを落としていくような、

漠然とした予感が湧いてきていた


それがあたしをグラグラ揺さぶる



力いっぱい叩いているのに床からはペチペチと情けない音しか響かない


紗南「あーーー!!もーーー!!!」


たまらずバリケードにしてもたれかかっていた小さい筐体に後頭部で頭突きをする

572: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:41:44.65 ID:3UoAsq0yO

あんまり痛くな__


ガタ、バタン!!


背後で倒壊音がした、

周りが明るくなった、

背中に当たっていた硬い筐体の感覚が離れた


・・・は?


まってよ、


今の頭突きで・・・?


今の頭突きなんかで筐体が倒れたの!?


こんなちっこいあたしの頭突きで!?


あたしは床に座り込んだまま後ろを振り向く、
筐体がこんなに軽いなんてそんな




あたしが背もたれにしていた筐体は穴だらけだった。

573: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:43:28.07 ID:3UoAsq0yO


ライフルの弾痕じゃない


筐体の外装ははがされ、基盤がむき出しだし、

ボタンやスティックも全部引っこ抜かれてる

画面に至ってはひび割れどころか画面を覆うガラスすらない


いつの間にこんなに壊されてたの・・・


そこであたしは気づく、

あたしの足元にびっしりとゴミが落ちていることに

ゴミじゃないあたしがひび割れたとこから少しずつむしり取った小さな破片だ







でもどう考えてもゲーム筐体が傾いて倒れるくらいまでむしった覚えがない


紗南「・・・これやばい」

574: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:45:49.73 ID:3UoAsq0yO

あたしは一体どれくらい前からここにいる?


紗南「・・・・・・あたし自分が何してたか覚えてない」


ゲーマーのあたしはいつの間にゲーム筐体を壊し始めた?


変化は訪れた


あたしの最後の砦の崩壊によって


穴だらけの窓ガラスからは明るい日差しが__


紗南「って!!?ここ無防」


あたしは反射的その場から飛び退いた


ゲーム機の方向に飛んでいく



紗南「いったぁあ!?」


あたし自身が放り投げていた破片がヘッドスライディングの要領で突っ込んだあたしの胴体にやたら刺さる

575: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:48:14.70 ID:3UoAsq0yO


ゲーム機を手に取り振り向く、


あたしがいるのはゲームコーナーを抜けた、フロアから出るエレベーター行きの通路にかかった部分


いくらこのビルが全面ガラスだからとはいえ、ここは安全領域のはず、外からは完全な死角だし


紗南「へへ、まさかバリケードをぶっ倒して気を引くとは思わなかったでしょ・・・」


多分普通に駆け出してたらやられてた


これはラッキーだったのかな、さてこのビルから逃げ出そう

春菜さんがこのビルに踏み込んでくるかもしれないし



さっき撃たれた左腕の痺れもいつの間にか消えていた



紗南「さ!なんだかうまくいったし逃げよっ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

576: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:50:02.58 ID:3UoAsq0yO

ついさっきまで軽い錯乱状態だったことも忘れて紗南は元気に行動を再開する


ゲーム機を抱え直し、地面にうつ伏せに倒れていた姿勢を起こす、


あとはエレベータに乗り込めば、


だが紗南はそのまま駆け出そうとして転んだ


右足がふらついたのだ


紗南「いたた、緊張とかで膝が笑ってるや・・・」


と、もう一度起き上がろうとして理解する


紗南「あたしの、右足」


痺れて動かない、膝ではなく足全体が


この痺れは知っている、さっきも体験した


紗南「・・・撃たれた?」


ビリビリとしびれている、このゲームにはプレイヤーに弾痕や切り傷はつかない


だから気づかなかった、さっきの瞬間、足を打たれたことに

577: 名無しさん 2014/03/14(金) 01:52:52.41 ID:3UoAsq0yO

自分が動けないように楔を打たれたことに


紗南「やばい、なんかやばい!!」


紗南は左足だけで立とうとして、それも失敗すると床を這うように移動を始めた

イモムシのような動きにためらいはない、


上条春菜はあの状況でも弾を当ててきた


そこまでの能力による技術、このまま自分を逃がすはずがない


そう時間をおかずこのビルに入ってくるだろう

579: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:13:05.38 ID:3UoAsq0yO
>>577のあと


紗南はさっきまで狙撃手に怯え筐体の影に閉じ込められていた


片足の動かない紗南は、今度はこのビルそのものに閉じ込められかけている


細くて非力な両腕で床面を押し、懸命に自身を運ぼうとしている

その動きは見ていて退屈なほどに遅い、


もしこのフロアに誰かが来たら逃げきれない






___________

 三好紗南+ 65/100 
 

_____________



ゲーム開始25分経過

三好紗南VS上条春菜(ボット)

継続中


~~~~~~~~~~~~~~~

578: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:05:35.21 ID:3UoAsq0yO

~~~~~~~~~~~~~~~

仮想空間内町外れの一戸建て



棟方愛海(ボット)「揉ませてください」


白菊ほたる(ボット)「え、えええぇ...?」






580: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:18:33.02 ID:3UoAsq0yO

愛海(ボット)「本当におねがい!この世界無駄に広いから全然出会いがなかったんだよ!」

「やっとあえたんだから!お願いほたるちゃん!!このとおり!あたしを幸せにして!」


ほたる(ボット)「え、あの...幸せとか、そ、そういうのは、...私、疫病神だから...」


愛海(ボット)「そんなことないよ大丈夫!なんだったらあたしのテクでほたるちゃんも幸せにしたげるから!」


ほたる(ボット)「そういうのは...その、えっと...あぅ、恥ずかしいこと言わないでください...」


愛海は、仮想空間なら胸をもんでも捕まることはないと張り切っていた

それでまずこの街全体を一周しようとして町外れに出たところ、人気のないところに見えにくいように建てられていた家を見つけていた

581: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:21:12.76 ID:3UoAsq0yO

ほたる(ボット)「ところで、どうして私なんかを...?」


愛海(ボット)「だって・・・」


ほたる(ボット)「?」


愛海はちらりと周りを見渡す


壁紙が剥がれたり、棚が倒れたりしているなど荒れ放題の室内、


窓ガラスにもヒビが入っっているものや、そもそもガラスがはまっていない窓もある、


人気のない仮想空間内では悪い意味で生活感がある


まるで強盗が入り込んだ跡のような風景だ


壁際、綿の飛び出したソファの上では金髪の小柄な少女が寝息を立てている


望月聖(ボット)「......すぅー,,,」

582: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:28:49.02 ID:3UoAsq0yO

愛海(ボット)「ほたるちゃんたち、ずっとこんなとこいるんでしょ?
だからほたるちゃんに、あたしからなんか出来ることないかなぁって、考えたら、もう揉むしかないかなって」


ほたる(ボット)「あの、...そういうの結構です...から、私はこれでいいんです...」

隣の部屋から物音がする、戸棚に食器でも入れているのか、カチャカチャと小さく陶器がぶつかる音が聞こえる


そしてそこから愛海やほたるより少し年上の、どこかふんわりとした雰囲気の少女が顔を出した


高森藍子(ボット)「ふぅ、やっと見つかりました!」


愛海(ボット)「あ、藍子さん何探してたの?ティーカップ?」


藍子の手には紅茶などを飲む時に使うようなカップが2つほどと、それを乗せる用の小皿が一枚だけ抱えられていた


藍子(ボット)「うん、これ?...この家の中からなんとか使い物になりそうなものを探してたんです」

583: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:31:13.22 ID:3UoAsq0yO

藍子(ボット)「ほら、ここ...すごく散らかってて、いろんなものがダメになってるから...」


そう言って困ったようにはにかむ藍子の手の中のカップもよく見るとフチが欠けていたり、ヒビが入っている

愛海(ボット)「...........」


おそらくかなり妥協して、妥協に妥協を重ねてやっと使えると判断したのだろう


仮想空間でありながらあまりに理不尽、

どうしてここだけこれほど内装が荒んでいるのか

584: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:33:45.56 ID:3UoAsq0yO


愛海(ボット)「やっぱりわかんないよ...なんでみんなこんなとこいるのさ...?」

ほたる(ボット)「?...す、すみません...」


聖(ボット)「ん...むにゅ...?」


藍子(ボット)「................」




愛海(ボット)「このだだっ広い世界でなんでわざわざ廃墟みたいなボロ小屋を選んだの?」


ほたる(ボット)「えっと、その...私がいると、みなさんにご迷惑が...」


愛海(ボット)「それ、さっき聞いた!」

585: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:36:01.07 ID:3UoAsq0yO

都会的な町並みと違って完全に廃墟然とした外観の建物に踏み入ってみると、なんと三人ものボットがその廃墟を住処にしていたこと

愛海は最初、それを不思議に思って訳を訊いてみたのだ


藍子(ボット)「あのね?愛海ちゃん・・・?だからさっきも言ったと思うんだけど・・・」



愛海(ボット)「それも聞いた!」

「『閉じ込められてる』って何なの!?ほたるちゃんも聖ちゃんも藍子さんも何も悪いことしてないじゃん!!」


そういうわけだった

詳しいことは頑なに教えてくれないが、三人はこの建物に閉じ込められていると口をそろえて言うのだ

586: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:39:34.08 ID:3UoAsq0yO

同じボット、仲間でありながら自分たちより雑に扱われている事実が愛海は腑に落ちないのだ

事実この家は妙な力が働いていて、来客だった愛海は出入りが可能なのだが、ほたる達には扉が開かないらしい


聖(ボット)「...くぅくぅ...」

藍子(ボット)「うーん、私もよくは知らないんですよ、気づいたらここから出られなくて」

ほたる(ボット)「えっと、すみません...私も」


しかし三人はそのことになんの感想もないらしいのだ、

オリジナルの性格のせいだろうか、この現状に諦めをつけていた

その理由も愛海にはわからない

587: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:40:56.71 ID:3UoAsq0yO

愛海(ボット)「あーーもーー!!わかった!」


ほたる(ボット)「!?」

愛海(ボット)「あたしが三人をここから出してあげる!!その方法を見つけてきたらおっぱいもましてね!!たっぷり一時間!!」


聖(ボット)「...え」

藍子(ボット)「え?」

ほたる(ボット)「ぇ...」


全く意味がわからない

なぜ三人がこんな場所を受け入れられるのか

そもそもこの場所がなんなのか

自分がどうしてこの三人を助けたいのかもわからない


とりあえず、まったくもって何一つ理解可能な要素のないままに愛海の個人的な戦いは始まった


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

588: 名無しさん 2014/03/14(金) 06:43:03.47 ID:3UoAsq0yO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
紗南が初戦から大変なことに


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、双葉杏
2、堀裕子
3、佐久間まゆ

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS上条春菜

書き込み中寝落ちしてすいませんでした

591: 名無しさん 2014/03/14(金) 07:10:05.96 ID:Zgz8L5Xmo
14

592: 名無しさん 2014/03/14(金) 08:36:14.81 ID:+nc8Etwxo
24

593: 名無しさん 2014/03/14(金) 20:41:46.85 ID:M5nfCqEQo
棟方愛海(14)
no title

no title


白菊ほたる(13)
no title

no title


望月聖(13)
no title

no title


高森藍子(16)
no title

no title

594: 名無しさん 2014/03/14(金) 23:38:32.24 ID:qwRRkAnh0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チャプター
双葉杏



愛海(ボット)「ねぇねぇ、杏さん!これどう思う!?」


・・・杏と杏のパチモンが惰眠を貪ってたら

やけに神妙な表情をした愛海が来たんだけど

寝そべったベンチから見上げたその体にはボット(だったっけ?)であることをあらわすバッジが付いてる


あれ、これ敵じゃね?


でもなんか愛海はこれといった攻撃行為を行ってこない、そもそもゲームとか言われても杏にはまだピンと来てない


杏(ボット)「あれ、愛海じゃんどうしたのさ、杏のオリジナルを倒すなら今だよー」


杏「そのオリジナルを売るとは何事かー!、杏はここでのんびりするんだもんね」


それにいわゆるチュートリアルとやらで杏のところにやってきた敵っぽいのともこれといった争いは起きてない

寝っ転がっているからか杏の口からは、緊張感の欠片もない声しか出ない

595: 名無しさん 2014/03/14(金) 23:40:40.99 ID:qwRRkAnh0


愛海(ボット)「いやーその杏さんのぐうたらさを見込んで相談に乗って欲しいんだけどさ」



杏「飴の量しだいでは相談に乗ってやらないこともないよー」



愛海(ボット)「飴かぁ・・・、あ!・・・ちょっと待って!」


そう言って愛海はポケットをあさると中からキャンディをだした、仮想空間なのに嗜好品まであるなんて晶葉頑張ったんだなぁ



愛海(ボット)「なんか拾ったんだけど、回復アイテムらしいから大事に食べてね!」


杏(ボット)「あーいいなぁ、愛海、杏も一個ちょーだい」


愛海(ボット)「ごめん。もうこれ一個しかない」


愛海がくれたのは随分派手な色のキャンディで、確かイベントが迫ってる忙しい時期にプロデューサーがこれと同じのを食べてたのを見たことがある



杏「んー、うまうま」


ゲーム内でもこんなふうに飴を味わえるとは、ますます現実に帰るのがめんどくさいね!


杏「さて、じゃあ愛海、おっぱい絡み以外で相談に乗ろうじゃないか」


一応の誠意として杏は話を聞くために体を起こした、背中はベンチにべったりもたれてるけど



愛海(ボット)「えっとさ、あたしの仲間、もちろんボットなんだけど、廃墟みたいなとこに閉じ籠ってて、どうしたらいいと思う?」


杏(ボット)「なにそれ、杏以外にも怠けてるボットがいたの?」




愛海(ボット)「いや、そういうんじゃなくて、本人たちは閉じ込められてるって言って、しかもそれを受け入れてるんだよ」



杏「・・・なに、監禁?」



杏(ボット)「この世界に何かを閉じ込める場所なんてあったっけ?」



愛海(ボット)「うん、変な廃墟なんだ。あたしは入ったり出たりできるんだけどその子達は出入りできなかったんだ」

596: 名無しさん 2014/03/14(金) 23:42:18.32 ID:qwRRkAnh0
杏「・・・なんか物騒な話だね、」


愛海はベンチの上で杏が体を起こして出来たスペースに座った


杏(ボット)「というか、なんで閉じ込められてるのさ」

愛海(ボット)「うーん、それは教えてくれなかった」


杏「閉じ込められたってのはいつから?」

愛海(ボット)「詳しくは教えてくれなかったな、ゲーム開始して直ぐだったらしいけど」


杏(ボット)「というかなんでこのゲームのために作られてこのゲーム内で閉じ込められたの?」



杏「たしかにおかしいよね、あ、この飴なんか溶けるの早い...愛海、おかわり」

愛海(ボット)「・・・もうないんだって、杏さん」

杏(ボット)「というか貴重な回復アイテム浪費しちゃったよ、杏のモデル」




杏「別に問題ないでしょ一個くらい、別に誰もスタミナで困ってる人なんていないでしょ」

杏(ボット)「まぁ杏たちもこんだけのんびりしてるし、他の誰かがドンパチしてるとも思えないね」




愛海(ボット)「いや杏さんたち、雑談もいいけど相談のってよ!」


愛海が不満そうに言うけど、杏はものの相談相手には向かないことぐらい承知していて欲しいなそこは

597: 名無しさん 2014/03/14(金) 23:43:34.00 ID:qwRRkAnh0

愛海(ボット)「杏さんも結構ひきこもりがちだし、その現実をゆるく受け止めてる感じがするし、もっとこう、思い当たる節とかないの?」

愛海(ボット)「飴一つ分でいいからあたしに知恵を貸して!ついでに胸も貸して!」


杏「知恵ねぇ・・・・・・あと胸は貸さない」




なんというか、杏としてはこんな未知の世界に連れてこられただけでもお腹いっぱいなのにそんなよくわかんない話されてもな・・・





杏「あと、愛海・・・ひとつだけ異議ありだよ・・・」





愛海(ボット)「異議?」

杏(ボット)「・・・一つでいいのか」



杏は態勢こそだらけたままだけど表情だけはキリッとしたつもりで愛海に宣言した





杏「杏は引きこもっているのではない!これは・・・印税生活へ向けた、

充電期間だよ!!」



どやぁ


598: 名無しさん 2014/03/14(金) 23:46:39.12 ID:qwRRkAnh0


愛海(ボット)「じゅ、充電期間?」

杏「そう、そのとおり、杏は来るべき日のために英気を養っているのさ・・・!」





愛海(ボット)「・・・充電、充電かぁ・・・」



杏(ボット)「どしたの愛海?」



愛海(ボット)「充電・・・」



愛海はその場で杏の言葉をぼそぼそと繰り返すと突然立ち上がった



愛海(ボット)「杏さん!あたしなんかとっ掛かりみたいなの掴めたかも!」



杏「おー、よく分からないけどやったねー、じゃあもういっかい寝よっと」

杏は愛海が立ち上がったことで再び出来たスペースに頭を横にした


愛海(ボット)「じゃあ、あたしは行かなきゃ!またね!杏さんたち!」



杏「また飴見つけたら持ってきてねー」

杏(ボット)「うーん、愛海も戦わないのか・・・杏今のところ仕事してるボットを見てないような気がする」


愛海はそのままこっちに手を振って何処かへ駆け出して行った


うーん、なんだったんだろ



ゲーム開始30分経過

報告事項なし

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

599: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:20:53.76 ID:1xY+x1YV0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~










周子(ボット)「んー、・・・・・・・やだ♪」











廃屋のひと部屋に拒絶の声が小さく鳴った

600: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:21:36.92 ID:1xY+x1YV0





ほたる(ボット)「で、でも...それだと周子さんも...」


藍子(ボット)「そうですよ・・・場合によっては周子さんだけの被害では済まないんですよ!?」






荒み放題の家の荒れ果てた部屋の中、形だけをなんとか保ったテーブルを三人の少女が囲んでいる


ほたると藍子が並んで周子と向かい合って議論をしている形だ。

その議論はどうやら双方の納得いくものとは程遠そうだが、




だが、心配と不安、若干の憤りを含んだ四つの瞳を向けられてなお周子は余裕を崩さない




テーブル同様脆い椅子の背もたれに容赦なく体重をかけて足を組み、リラックスした姿勢のままだ



601: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:22:07.27 ID:1xY+x1YV0

周子(ボット)「というか、逆に聞きたいんだけどさ、ほたるちゃんたちの方はそれでいーの?」


ほたる(ボット)「それは、そうですよ...私たちじゃ...晶葉さんにご迷惑が...」


周子(ボット)「いや、聞いてなかったの?晶葉ちゃんはさ、この世界に起きる不確定要素の調査が目的だって言ってたじゃん、何を遠慮してるのさ」


藍子(ボット)「それにしたって、限度がありますし...」


一向に埒の明かない論を重ねている状態に、

周子を椅子ごと包むようにうねっている尻尾がやや毛羽立っていた

その本数は三本


周子(ボット)「限度っていわれてもねぇ...」

周子はテーブルの上に置かれたティーカップを取る、

それを口元まで持っていったところで、ふと気が変わったように手を止める


周子(ボット)「どっちかというとあたしは紅茶より緑茶派かな」


そう言って尻尾を毛先だけ振る、

すると手品のようにティーカップが湯呑に変わり、

中の液体の色も濁った緑色に変化した

602: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:22:41.14 ID:1xY+x1YV0


藍子(ボット)「見れば見るほど、すごい能力ですね...」

周子(ボット)「んなわけ無いでしょ、こんなのただの嘘っぱちなんだから」

自身の能力の賞賛を軽くいなし、改めて湯呑に口をつけ中身をすする



周子(ボット)「......やっぱり味は紅茶のままかー」

あくまでマイペースを保つ周子にほたるは最後の確認として声をかける

ほたる(ボット)「やっぱり、行って......しまうんですか?」

周子(ボット)「うん、ほたるちゃん達と違ってあたしはこの家から出られるし、つまりCHIHIROがあたし程度の能力じゃ、大したことないと判断したってことでしょ」

藍子(ボット)「でも、それでも周子さんの能力は制限されたままなんでしょう?」

二人共不安げな表情だ。本気で周子を心配しているのだろう


周子(ボット)「いくら制限付きだからって、あたしはそれが取れるまでなんて待ってられないし」

周子(ボット)「なんていうんだろ、オリジナルから引き継いだあたしの性格に、敵意?....みたいなのが染みこんでるのね、まあ多分ボットとして戦うように追加された感情なんだろうけど」


ほたる(ボット)「.......?」

藍子(ボット)「たしかにボットの中には戦闘に向かない性格のボットに一時的な闘争心を足してあるそうですが」

周子の尻尾がふっさふっさと大きく揺れている

603: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:27:00.98 ID:1xY+x1YV0

周子(ボット)「そーゆーこと、あたしにはあって、藍子ちゃんたちにはない、その段階でもう話なんてできないよ」

周子(ボット)「ひたすら能力を使いたくて堪らないあたしと、なるたけ最小限の能力の使用でコトを済ませたいそっちとじゃね」


周子は湯呑を机に置く、するとそれは瞬きする間にティーカップに戻っていた

周子(ボット)「じゃ、あたしは行くから、聖ちゃんが起きたらよろしく言っといてよ」

テーブルの横、ほたると藍子の横を通り過ぎていくとき、

故意にやったのか、尻尾が二人の頬をくすぐった


ほたる(ボット)「せめて...能力が完全になるまでは...やられたり...しないで、くださいね?」

藍子(ボット)「そうですよ...!もし周子さんに何かあったら、ここであなたを止められなかったのを後悔してしまいますし、ほたるちゃんが悲しみます」


丁度、扉を開けた周子の背中に二人がつぶやいた周子は気軽に返事する


周子(ボット)「大丈夫だって、......あたしはあやかし狐だよ?」


扉が閉まる直前もう一度部屋の中に目を向ける。

ほたると藍子、そして目を覚ましたらしい寝起きの聖と目があった










周子(ボット)「そっちこそ『夜』が来るまでにやられないようにね?」




そしてこのあと周子は麗奈たちと出会う

604: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:48:48.89 ID:1xY+x1YV0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
大和亜季&小関麗奈



周子(ボット)4「じゃん!マシンガーン!」


周子(ボット)3「じゃあ、あたしハンドガンでいいや」


周子(ボット)2「ええー?...銃って使うの難しくない?...あたしはシンプルに刀にしーとこ」


周子(ボット)「んー、あたしはどうしよっかなー」






四つの声と四つの武器が蠢く

四人の周子たちが思案めいた言葉を漏らすたびに何もない空間に当たり前のように銃刀が顕現していた



周子(ボット)「ん?亜季さんと麗奈ちゃんはもう武器決まってるんだし、来るなら来ていいんだよ?」




麗奈「アンタ...何よその能力...武器まで出せるとか反則じゃない!?」


亜季「いえ落ち着いて、麗奈、あれも周子の幻覚能力に違いありません」





周子(ボット)「ん、そうだね、武器も偽物だよ」

605: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:49:33.44 ID:1xY+x1YV0








周子(ボット)2「一つを除いてね」








バン!


二人の周子が引き金を引いた、銃器を手にしていた二人だ


麗奈「ひゃっ!?」

麗奈のそばにあったダンボール箱がビックリ箱の中身のように上に跳ね上がった


だが二人に被害はない

亜季「っと!・・・仮想内の仮想などと嘯いたところで射撃能力はたいしたことないでありますな!」

606: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:51:08.14 ID:1xY+x1YV0


それに今の発砲音でハンドガンの方が本物であることがわかった


少なくともマシンガンの連射音ではない



亜季「麗奈!私の後方へ!!」


麗奈「! わかったわ!」


亜季はショットガンの射程外へ麗奈が移動したかしないかの瞬間、引き金を引いた


狙いはハンドガンを持つ一人、本物の一人


人体をえぐり飛ばす威力が、その一人の周子を中心に水平に降り注いだ





周子(ボット)3「えぷっ」




散弾は他の周子の腕や肩などにも命中する





周子(ボット)「いたっ!」


607: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:51:58.14 ID:1xY+x1YV0

だが本命、ハンドガンを構えた周子が後ろの壁まで吹き飛ぶ、

その姿にはさっきのような嘘の「流血メイク」はない、

撃たれて血を流さないほうが手応えがあるというのもあべこべだが、とにかくハンドガンを持った周子は完全に息絶えた








周子(ボット)4「なんてね」




倒れたはずの周子が煙のように消える



608: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:53:07.86 ID:1xY+x1YV0








周子(ボット)5「あたしがハンドガンを持っていたとしてもさー」





そして新たに周子が現れた



周子(ボット)2「それはそのしゅーこが持ってるように”見えた”だけだよ」


周子(ボット)「ほんとはハンドガンを持ってたのは、このあたしだったかもよ?」


周子(ボット)4「いやそれどころかハンドガンじゃなくて玩具のエアガンだったのかもよ?」


周子(ボット)5「あっちゃあ、じゃあ亜季さん、無駄撃ちだったかもねぇ?」




四人の周子がころころ笑う、



尻尾がその間をゆらゆらと嘲るように左右に揺れた




609: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:54:14.43 ID:1xY+x1YV0



周子(ボット)「じゃ、つぎの攻撃いってみようか?...まず、あたしと」



周子(ボット)2「次に、あたしと」



周子(ボット)4「そんでもって、あたしと」



周子(ボット)5「おまけに、あたし」




周子(ボット)「全員がハンドガンだったら、どうやって見抜くのかな?」




四つの同じ顔

四つの同じ姿

四つの同じ尾

四つの同じ銃


一つの悪意




ゲーム開始23分経過

小関麗奈&大和亜季VS塩見周子(ボット)

継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

610: 名無しさん 2014/03/15(土) 00:56:22.26 ID:1xY+x1YV0
~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日はちょっと短めの文章でした


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、諸星きらり
2、堀裕子
3、小日向美穂

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS上条春菜
6、VS 本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)


画像コメントありがとうございました


613: 名無しさん 2014/03/15(土) 01:00:49.80 ID:O4O9DGlDO
3
6

614: 名無しさん 2014/03/15(土) 01:00:51.57 ID:pdbhvKcuo


616: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:17:20.99 ID:1xY+x1YV0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
小日向美穂


      __   
__  __  __  __
  __      __



...?



まゆ「美穂さん、どうかしました?」

美穂「ん、なんでもない...」



頭の上の方からまゆさんの声が聞こえて、そっちに首を向ける

まゆちゃんと私は今、とりあえず二人で街の外側を目指している

もちろんどっちが外への道かなんてわからないけど、建物の高さが低い方、標高自体は低いけど山みたいなのが見える方向に歩いてる

なぜかまゆちゃんはくまさんモードこと、プロデューサーくん状態の私を胸に抱えたまま移動している

確かに私の今の体重はぬいぐるみと同じだけどその気になればぬいぐるみのまま動けるし、人間の体に戻ることもできるんだけど、

そうなった場合私を吸い込んでいたプロデューサーくんは私が持ち運ぶことになるけど



あまりにも当然の流れで抱きかかえられているので私からは何も言えない

617: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:18:13.86 ID:1xY+x1YV0

まゆ「たまに、銃声が聞こえてきますねぇ・・・」


美穂「うん、模擬戦闘って、やっぱりピ、ピストルなんだね・・・うぅ、怖くなってきたよぉ・・・」


まゆ「そうですねぇ、智絵里さんを探しつつ、街を探索しつつ、ついでに何人か倒していきましょうか・・・」


美穂「ええぇっ!?」


まゆちゃんはたまに好戦的な発言をするから考えが読めない時がある

でも言葉は物騒だけど私を抱きしめる腕はあったかい

      __   
__  __  __  __
  __      __



ぬいぐるみの私の耳に銃声が聞こえた

今までのと違ってかなり近い

まゆちゃんも気づいたみたいで、ピタリと足を止めた


まゆ「今度は随分近くで銃声が聞こえましたねぇ・・・」


美穂「うん、ピストルの音以外にもなにか聞こえるね・・・なんだろうこの音」

まゆさんが警戒心を高めたのが私の体に回された腕越しに伝わる


というかまだ私くまさんモードなんだけど・・・戻ったほうがいいよね?


まゆ「?・・・それと美穂さん、今はまだぬいぐるみの方でいてくださいねぇ?」


美穂「ど、どうして?このままじゃ、わ、私邪魔にならない!?」


まゆ「いえ、この状態なら、二人でも同時に動けますし、逃げる時にうっかりはぐれる可能性も下がるでしょうから」


まゆちゃんはそう言って私を抱えたままビルの隙間に身を隠した

もちろん私はなされるがまま・・・ほ、ほんとに邪魔になってないのかな・・・?

618: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:19:11.81 ID:1xY+x1YV0

      __   
__  __  __  __
  __      __


まゆ「ふむ、妙ですねぇ」

美穂「・・・まゆちゃん?どうしたの?」


息を殺して周りを伺いながらまゆちゃんが小さい声でつぶやく、完全に密着してるぬいぐるみの私じゃないと聞こえないくらいちっちゃい声だった



まゆ「誰かと誰かが戦っているにしては、静か過ぎません?」

美穂「うーん・・・私はよくわからないけど、確かにさっきの一発が聞こえてからは、銃声はしないね、他の変な音が聞こえてるけど・・・なんだろこれ?」

まゆ「変な・・・音?」


まゆちゃんが不思議そうに言う、表情は私の位置からは見えない

美穂「うん、なんて言ったらいいかわかんないけど・・・」

      __   
__  __  __  __
  __      __



美穂「あ、また聞こえたよ?」

まゆ「?・・・えっと、まゆにはわかりませんねぇ、どんな音なんですか?」

美穂「・・・ごめん、どう表現したらいいかわかんないけど、遠くから呼ばれてる感じがするんだ・・・」

まゆ「そうですか・・・ぬいぐるみ仲間からの交信ですか?」

美穂「えっ、あ、いや、どうなんだろ・・・」



うーんなんなんだろ


619: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:22:32.64 ID:1xY+x1YV0


銃声の方はさっき一発聞こえたっきりで静かになったまま

でもなんとなくしか方向がわからないから、ここに隠れているのが正解なのかはわからない


まゆ「とにかく、移動しませんとねぇ、ここで隠れていても外にはいけませんし・・・」

美穂「でも、どの道を通ったら安全かわからないや・・・ど、どうしよう・・・?」


私たちがかろうじてわかるのは私たちの進行方向上のどこかの建物のあたりから聞こえてきたということだけ

ここは後ろに下がったほうがいいのかな・・・うぅ、地図がないとどう行けばいいのかわからないよう・・・


      __   
__  __  __  __
  __      __


まゆ「どうします?このまま路地裏に引いて裏道から迂回します?」


美穂「うーん、でもピストル相手だともし狭いところで出くわすと逃げられないし・・・」


      __   
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  __      __


美穂「こっち・・・かな?」

まゆ「!・・・横道ですか、たしかに裏道よりは広いですねぇ・・・いいかもしれません」

620: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:23:42.30 ID:1xY+x1YV0

私がくまさんの手で指差したのは(このぬいぐるみには指がないから、手で示した、かな?)今いる日陰の、狭い道から車道をはさんで向こう側に見える道、

広過ぎる道でも、ピストルで狙われると逃げられないのは一緒だし、車二台分くらいの幅なら、いざ!ってときでも大丈夫かなぁって思ったんだけど、

半分位は直感だった気もするけど


遠くからの銃声は聞こえない、行くなら今!・・・だよね

まゆ「じゃあ、目立たないようにいきますよ?」

まゆちゃんは私を抱えながら裏道を抜け、車道を小走りで横断していく

このまま行けば銃声の聞こえたどこかからは離れてるのかな、


ギィ


まゆ「!!」

美穂「わっ」

ちょうど進行方向上にあった建物の入口の扉が開いた、扉はこっちに開いていて、その影にいる人は見えない

ど、どど、どうしよう!!

回れ右して一旦となりの建物の中とかに避難したほうがいいのかな!?



??「・・・・・・・・・」



扉の影からその人がこっちに出てくる

まず足のつま先が見えて

前髪、

顔、

上半身




赤いバッジ




そしてその下、

胸元に抱えられていたのは






とっても長い形の銃___

621: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:26:10.83 ID:1xY+x1YV0

      __   
__  __  __  __
  __      __


??(ボット)「!」


その子も一瞬で扉の死角から来ていた私とまゆちゃんに気づく、

でも、相手からはまゆちゃんがぬいぐるみを持って走ってきてるようにしか見えてないと思うけど


??「っ!」

ぐっ、とそのボットの腕に力がこもったのが何故か分かった


銃身の、多分ピストルの弾が飛び出す長い筒が、

空気を切り裂くように素早くこっちを向いて___













美穂「だめぇ!!」




622: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:27:58.48 ID:1xY+x1YV0


まゆちゃんの腕を強く蹴って私はそのボットの銃の先っぽに飛びついた


ぬいぐるみの体から飛び出すみたいに人間に戻るとそのまま体をのしかからせて銃を抑えた

プロデューサーくんが抜け殻みたいに地面に落ちていく


??「へっ!?」


ぬいぐるみが飛び出してきて、それが人間になるとは思わなかったみたいで

しかもいきなり自分の手元に人間一人分の重みがかかったせいで銃の狙いはずっと下がって地面になった


美穂「ま、まゆちゃん!!い、今のうちに、逃げてぇ!!」

私の選んだ道のせいで敵に会っちゃったんだもん、!

私のせいだ!

だからここは私が何とかしてまゆちゃんだけでも・・・!


      __   
__  __  __  __
  __      __

623: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:29:07.37 ID:1xY+x1YV0

      __   
__  __  __  __
  __      __

      __   
__  __  __  __
  __      __







まゆ「お手柄ですよぉ・・・美穂さん」






上条春菜(ボット)「・・・・・・こふっ」




美穂「え・・・?」




まゆちゃんは

私が銃を抑えた隙を付いて逃げるんじゃなくて

逆に春菜ちゃんに近づいて





_細身のナイフで


_顎の下から上に向かって深々と






ゲーム開始32分経過

上条春菜(ボット)消失

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

624: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:34:00.72 ID:1xY+x1YV0

______________________
      MENU


→・プロデューサーくん 
  アクセス中

 ・ミニキノコ
  圏外

 ・ミニキノコ   
  圏外

______________________



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


______________________





・・・・・・コントロールモード・・・・・・

         終了します


______________________



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
______________________





 『サーチ』
 
→『コントロール』


______________________


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


625: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:34:37.64 ID:1xY+x1YV0


紗南「・・・はぁっ、はぁっ・・・あぁもう!」


最初のメニュー画面に戻ったゲーム機を持ったまま床に転がる


床は冷たいし片足はまだ痺れてて立てない



紗南「・・・ボットの調査、そして干渉が、あたしのゲームの、そんでもってあたしの能力・・・」


でも、春菜さんがこのビルに上がってきたら間違いなく詰む


紗南「こ、コントロールっていう割には、・・・ここに引き寄せただけじゃんか・・・!」


手元にあるのはゲーム機のみ、

あたしは最初サーチモードで春菜さんが近づいてないかを見るつもりだった。

でも、そこでもうひとつあった『コントロール』のアイコンをヤケになって選んだんだ

うまいこと行かなければもう終わり、くらいの気持ちで


そのあとのことは無我夢中でボタンを連打したりしてたから覚えてないけど、


このコントロールモードっていうのは、どうやら条件付きでボットを遠隔操作できるみたい、


メニュー画面を見る限り、人間以外のボットに限定されてるけど

626: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:35:09.26 ID:1xY+x1YV0

現実であたしがやってるゲームのキャラ操作とは全然違ったけどそれは今はいいや


問題は今頃この近くにいるプ、プロデューサーくん?とかいうボットがどうしてるかだ


あたしはサーチモードにした画面をジッと見つめる



プンッ
_________________

name: 小日向美穂

category: プレイヤー

skill: 
ボット「プロデューサーくん」に同化
及び操作可能、ただし耐久力は通常プ
レイヤーより大幅に低下する

_________________

プンッ
_________________

name: 佐久間まゆ

category: プレイヤー

skill: 
なし


_________________


あっちこっちに向けて、何度ゲーム機の角度を調整してもこの二人以外のデータは受信されなかった

つまり春菜さんはここから遠く離れたところに移動したか、

この二人に倒されたか・・・

627: 名無しさん 2014/03/15(土) 23:36:38.38 ID:1xY+x1YV0




紗南「・・・あたし、助かったの・・・?」





声に出すともうだめだ、

それを合図に一気に緊張がとけて体が脱力する

急速に安心感が湧いてきて、ほっとして

このまま眠ってしまいたくなる



でもここで安心し切るのはだめだ



紗南「もう、一人じゃ、やだよぉ・・・」



仲間が欲しい


ワンプレイヤーじゃ、あたしの心がもたない


多分、いや間違いなくあたしは美穂さんとまゆさんを自分の安全のために利用した


だからまずそれを一生懸命、あやまって


仲間にしてもらおう、あたしの能力なら損はさせない、と思うし


そろそろ足のしびれも頑張れば立つことぐらいはできるレベルに収まった


よたよたと立ち上がる、顔面から転びそうになって慌てて手をついた




今からボットに倒されるかもしれないと思った時よりも

このままじゃ孤独になると思った時の方が足に力が入り易かった



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

628: 名無しさん 2014/03/16(日) 00:48:39.24 ID:yyTaBTze0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
輿水幸子&白坂小梅&星輝子



仁奈(ボット)「仁奈は今!!ティラノサウルスでやがります!足元でフラフラしてると、踏んづけて食っちまいやがりますよ!」



輝子「フヒィァア!!?」


小梅「あわわ...」


幸子「ふ、ふふん!だ、だれが爬虫類の相手なんてするものですか!!こ、ここ小梅さん!輝子さん!事務所に逃げ込みますよ!」


ゴツゴツとウロコばった肌質

小さいながらも睨まれると立ちすくみそうになる爬虫類特有の眼

ずらりと並んだ鋭い牙、野太い爪

すべてがその存在がティラノサウルスであることを証明していて



それと同時にティラノサウルスの胸のあたり、二本の前足の中間ぐらいから仁奈の顔が見えていることが

これが仁奈の着ぐるみであり、その能力であることを証明していた



幸子「っていうかそれホントに着ぐるみですか!!?明らかに体に合ってないでしょう!!」

小梅「はぁ...はぁ...きょ、恐竜の体に...仁奈ちゃんの顔が、はぁ...く、くっついただけにしか...見えない」

輝子「フヒ お、おなじ、フヒ...おなじく」

629: 名無しさん 2014/03/16(日) 00:49:13.34 ID:yyTaBTze0



三人は恐竜から同じ方向、事務所に向かって逃げる。幸子以外は既に息切れを起こしていた


仁奈(ボット)「待ちやがるがいいです!!」


ズンズンと巨体を自慢するように足音を鳴らしながら三人の背後に迫る

普通ならとっくに追いついて追い越してもいい速度差なのだが、

仁奈は二、三歩進んでは止まり足元の三人にランダムに噛み付こうと首を突っ込んでいたので、

追いついては逃げられ、追いついては逃げられを繰り返していた


事務所までもう少し


小梅「はぁっ、はぁっ、あ、あそばれてる...気が、する...!」

輝子「ひ、ヒャアア!?アッブネェエエエエ!!」

幸子「なんなんですか!!なんなんですか!?・・・む!?」


三人のうち先頭を走る幸子がそれに気づいた。

道路脇、看板の影に隠されるようにして設置されていたあの忌々しい星型、


仁奈の起こした地響きのせいか振動を感知して震えているせいで隠し場所からはみ出していた



幸子「二人共!!ボクが仁奈さんを食い止めます!!全力で走ってください!」

幸子は足を止め振り返る、二人は幸子を追い越したところで戸惑ったように減速した



小梅「はぁ...えっ?」

輝子「くい、とめ...さっちゃん!?」


ズンッ!!!


仁奈(ボット)「がぁおぉおーー!」


幸子「いきますよ!!」

630: 名無しさん 2014/03/16(日) 00:51:04.81 ID:yyTaBTze0

幸子はヘッドスライディングのように飛び込んだ場所から、

その星型を掴むと立ち上がる間も惜しんで仁奈に投げつけた



幸子の小さい両手で一度につかめたのは精々3つ4つ、



仁奈(ボット)「うお!?未央おねーさんの勝手に使いやがりましたね!いけねーんですよ!!」



仁奈の猛進は止まらない



地面を強く踏む足、地をえぐる爪


そのすぐ横に幸子の投げた星が転がっていく


カアン!!!


輝子の声とは比べ物にならない振動、大型恐竜の鳴らす地響き

それが《ミツボシ効果》を直撃した

仁奈の足元で炸裂する


仁奈(ボット)「んなっ!!なんでやがりますか!!」


いくつかはその太い足に辛うじて刺さったが大ダメージには至らなかった


だが、そこに気を取られ一瞬、仁奈の走りが乱れてしまう



631: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:20:37.62 ID:yyTaBTze0


ティラノサウルスの前足はひどく短い

しかしこの恐竜は二本の足で獲物に一気に追いすがる

力強く踏み出される足が生む決して遅くない速度、

それは胴体の長さに並ぶとも劣らない長さの尻尾というバランサーあってこそだ


だが、それでも、

捕食のために特化したその走り方は不安定だったことに変わりはない


仁奈も同様に



仁奈(ボット)「わあああ!?でやがります!?」



地面を叩き割らんばかりの轟音を立てて転倒した


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所


卯月(ボット)「あー!!仁奈ちゃんこけちゃった!!未央ちゃんどうしよう!?」

未央(ボット)「なんだとー!この私の能力を利用するとは生意気なー!」

翠(ボット)「...これは、やはり油断してはいけないと、厳しく伝えるべきでしたね...」



 ガリリ  ジー

 ガリリ  ジー

雪美(ボット)「...........」


窓の近くで外の様子から目を離さない三人を横目に雪見は自分の能力をいじっている

黒猫の形に似た電話、古風なダイヤル式のそれに細っこくて白い指を差し込んでは回し、ダイヤルが戻ればまた回す


小春(ボット)「あれ、雪美ちゃん、なにしてるんですか~?」


それに気づいた小春がソファの、雪美の隣に座ってその手元を覗き込む

だがダイヤルがマイペースにガリりと回されてはジーと巻き戻っているだけで何もわからない

632: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:21:56.07 ID:yyTaBTze0

雪美(ボット)「......私...能力......あぶないの...知るだけ......」

「戦いで......何も...できない...」


そう言って雪美は手元の電話をいじりつづける

小春(ボット)「でも、雪美ちゃんはちゃんとできてるですよぉ~?」

そんな雪美に、小春は励ますつもりで頭を撫でた

ヒョウくん「・・・・・・」

小春の腕に抱えられたイグアナはいつもどおり神妙な顔をしている


雪美(ボット)「...私...試してみる......この能力...」

「ほかに...何が......できるか」


雪美の能力《黒猫電話》は主になにがしかの出来事に対して受身だ。

それにあくまで知らせるだけのものであり、対処まではできない

雪美はその自分の現状を打破しようとしているのだ

まずは一歩目として自分の能力の象徴、電話に何らかのアクションを試みている


小春(ボット)「わぁ~、雪美ちゃんすごいですぅ~」

雪美(ボット)「でも.......何も...おきない」

受話器も耳にあてたまま静かに指を動かし続ける

633: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:22:24.81 ID:yyTaBTze0

ガリリ ジー

ガリリ ジー

ガリリ ジー

ガリリ ジー

ガリリ ジー

ガリリ ジー

雪美(ボット)「.......おねがい...P...」


自分のオリジナルと魂が繋がっている、らしい人間の名前を呼ぶ


ガリリ ジー

ガリリ ジー




prrr...


雪美(ボット)「!!」

小春(ボット)「?」

ヒョウくん「・・・」

634: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:24:03.51 ID:yyTaBTze0


思いは実った

受信限定のはずの《黒猫電話》に何かが起きた

prrrrrrrrrrrrr


ガチャッ


雪美(ボット)「!......もしもし...」





受話器に意識を集中する


聞こえるのはノイズノイズノイズ


・・・””・!!!・・・」・!・__・



・・?・・・「・・・・・。・・・・・


ノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズ
ノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズ
ノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズ
ノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズ
ノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズ
ノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズノイズ



誰かの声



聞き覚えがある声


635: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:26:02.18 ID:yyTaBTze0



雪美(ボット)「・・・・・・・・・・・・」




雪美(ボット)「・・・・・・・・・・・・」












雪美(ボット)「・・・・・・あきは?・・・・・・」



ブツッ


ツー

ツー




ゲーム開始45分経過

佐城雪美(ボット) 能力獲得





輿水幸子&星輝子&白坂小梅

VS

本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)

《ミツボシ効果》《U=パーク》《M・M・E》発動中


継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

636: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:41:37.21 ID:45wU0EoEO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヒョウくんは厳密にはボットよりもアイテムっぽいカテゴリなので、(ボット)は無しです


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、諸星きらり
2、堀裕子
3、北条加蓮

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS 本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)


639: 名無しさん 2014/03/16(日) 01:52:27.34 ID:KxBkYF0s0
25

640: 名無しさん 2014/03/16(日) 02:02:00.11 ID:uRBz4Uwb0
3
4

643: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:44:37.43 ID:yyTaBTze0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
堀裕子


さて、きらりさんは、無事杏ちゃんと会えたのでしょうか


私のサイキック棒倒しの示した道をたどるならきっと間違いなくたどり着けるでしょう。

しかし、その道中で敵に襲われてしまうこともありますからね!気をつけてもらわないと!


裕子「ふーむ、模擬戦闘というには戦闘の相手が見当たりませんね・・・はっ!?」

分かりました!

こういう時こそ、さいきっくの出番ですね!



私は道の真ん中で立ち止まりました

この道は車一台分の幅しかないので迷惑になるかもしれませんが、幸いここにはバスや電車の類はありません

ふむ、電車といえば、となりに居合わせた紗南ちゃんと輝子ちゃんは元気でしょうか


裕子「さて、やはりここは、さいきっくダウンジングといきたいところですが・・・」


あいにく今の私はスプーン一本のサイキッカーです、ふむむ・・・


やはりもう一度サイキック棒倒しを・・・ですがどうせならここは別のサイキックを試したいところですね。

644: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:45:07.50 ID:yyTaBTze0


裕子「ぬぬ~、さいきっく沈思黙考!」

集中力を高めるため目を瞑ります

左手にスプーンを握り、右手を頭に当てて念を送り込みます

いでよ天啓!さいきっく思いつき!



裕子「はっ!・・・・・・こっちです!」


分かりました!

私は目を見開くと同時にびしっと指を向けます

この方向こそ私のサイキックの差し示す正しき道!








・・・壁ですか



裕子「・・・・・・・・・ふふふ」


ふふふ、超能力に頼りすぎるな、というサイキックからのさいきっく説教ですね!

645: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:45:47.03 ID:yyTaBTze0


その壁にはこれといった隠し扉もなく、ごく普通のコンクリート、といったところでしょうか

ゲームなのでコンクリとか、そういう表現ではなさそうですが・・・

ですが、こうなった以上は仕方ありません!


この壁を超えていきましょう!私にはもうひとつの能力があるのですから!


裕子「む~ん・・・」


右手を壁に当てます、冷たいのが手のひらから感じられますね


集中、集中、集中



裕子「さいきぃぃぃぃっく、力技ァ!!」





掌底打ち、とかなんとか有香さんが言ってましたね、ということは空手の技だったんでしょうか?

壁にくっつけた私の手のひらから蜘蛛の巣のようにヒビが走り出し壁が大きめのがれきに変わって崩れ落ちていきます


ガラガラと崩れた先はどこかの建物の敷地でしょうか、随分開けています


裕子「さて!」


私は足元のがれきをどけて進みます、

少しばかり手加減したせいかがれきの一つ一つは歩くのに邪魔な大きさです

もっと全力でやれば多分、粉々にできたのですが

裕子「よっと、ほいっと・・・」

646: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:46:33.72 ID:yyTaBTze0

がれきの荒々しい断面で足を切ったりしないように、

その上をひょこひょこと飛び跳ねて進んでいた私は自分の足元から注意を逸らせません


だから気づいたんでしょう




??「.........」




裕子「のわあ!?」




ボコボコしたがれき、そこに、こけたりしないように慎重に踏み出された私の靴、


そのちょうど横、まるで私の靴に入ったロゴマークを盗み見するかのように目がありました!





それはがれきの隙間からこちらを覗いている、などという意味ではなくそのままズバリ、

がれきにくっついた切れ長の瞼がぱっちり開き、その中からどう見ても人間のものとしか思えない生々しい瞳がこちらを見ていたのです


647: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:47:15.17 ID:yyTaBTze0

??「......そう、私の存在に気づいたのね...」


パチリと一度瞬きをしたあとその瞳は私の足元でしゃべり始めました

いえ、目は普通は喋りません、ですが無機物のがれきから目が生えている段階でその手の議論に意味はないでしょう


??「...もっとも...この世界において、存在するということ自体にどれほどの意味があるのか......それゆえに私は何物でもあって何者でもないのでしょう.....」



何言ってるのかよくわかりません、ですのでこの人がボットなのかプレイヤーなのかも分かりません!


??「...でも...私が私であることに変わりはないわ...たとえこの世界を構成するものが0と1の羅列だとしても......その中心を回り続けるものは...私なのだから.......」


目はこっちから視線をそらすことなく、だから私も自分のつま先を見つめるような姿勢を戻せません





??「あなたもまた......この世界に与えられた未知に...振り回されない自分を有しているのね......面白いわ...」





裕子「そ、そうですね!サイキックアイドルに不可能はありません!」

648: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:48:45.71 ID:yyTaBTze0



??「...そうね...どこまで変わらずにいられるかしら...」






そこで、すこし、目の、その輪郭が歪んだように見えました

まるで笑ったように見えました





??「......自分の映し身...危険と恐怖を容赦なく醸し出す火器......現実感を喪失させる異能......模擬戦闘などと銘打ちながら...これを遊びとして捉えている者のほうが少なくなってしまったわ...」



次に唇が目の下側に現れました、ちょうど福笑いで人の顔を形作ったような不格好さで、不気味です

それがやはりよく分からない言葉を紡いでいます



??「ある者は並大抵でない勇気を奮い...ある者は引き金を引くことの躊躇をなくし...ある者はこの世界そのものを歪ませる程の異能を得たわ...」



また唇が、少し離れたところの別のがれきから生えてきました、がれきに施された彫刻などではありません、生えてます


649: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:49:57.78 ID:yyTaBTze0


??「さて、堀裕子...」


また唇、三つ目


??「私がこれまで見つめてきた他の子たちは......この世界から何かを得て変わったわ...もちろん彼女達自身の軸を壊すことなく」


四つ 五つ 六つ目・・・・・・


肉づきの薄い唇が、入学式の日の桜の花びらのようにあちこちに

がれきだけではありません、私が壊していない地面にも壁にも、

私の足元に出現した最初の一つを中心に波紋のように広がっていきます


??「...あなたにプレゼントよ...これをどう使うか...この世界に...どう取り組むか...見せてもらうわ」





ぱかっ





淀みなくつらつらと言葉を続けていた唇が一斉に大きく口を開きました

右も左も前も後ろも、すべての唇が一斉に、

口の中は真っ暗です

すべての花びらがまるで一瞬で黒く闇をのぞかせる穴になったように錯覚した瞬間




地面が崩れていきました

650: 名無しさん 2014/03/16(日) 22:50:35.34 ID:yyTaBTze0



まるでその口の穴が地面そのもののキリトリ線になったように、


地面が私を中心とした大きな丸を描いて崩れ、私を乗せたまま下に落ちていきます


この地面の下には下水道でもあるのでしょうか、それとも何もないのでしょうか


私がサイキック思いつきで通ろうとした場所が頭上へと離れていきます


ぽっかり空いた穴から漏れる光が遠のきます


私は暗い場所に落ちていく


どんな暗闇もさいきっく自分紅葉を使えば明るく照らすことはできるでしょう


落下が終われば試してみますか





ゲーム開始33分経過

報告事項なし

651: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:05:01.30 ID:yyTaBTze0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

???「にゃあにゃあ、なにしてんのにゃあ?」





??「ちょっとした道案内......自分という存在の変換点へ誘導しただけよ......」


???「相変わらず、わっけわかんにゃいにゃあ・・・」


??「...この世界に来てなお...自分を曲げない者にであったの...そのままどこまで行けるか試してみたくなるのも仕方ないわ...」


???「知らんにゃ、でも自分を曲げないのはみくの特権にゃ!譲らないにゃ!この世界でもみくは自由気ままな猫ちゃんにゃ!」


??「...ボットの役目を堂々と放棄宣言するみくにゃんに失望しました。みくにゃんのファン辞めます」


???「やめるなだにゃあ!ボットのみくにファンなんていないけどやめるなだにゃああ!」





????「そろそろ、美玲、探しに行きませんか?...このままでは...その...逃げられてしまいます」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

652: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:06:03.57 ID:yyTaBTze0

チャプター
大和亜季&小関麗奈


麗奈「あああもおお!!イライラさせんじゃないわよ周子!!」


亜季「麗奈!おそらくそれが周子の狙いです、気を引き締めて!」


麗奈と亜季は今、互いに背中をつけあわせるようにして死角をなくすようにして戦っている

そうでもしないと、周子にはもはや対抗出来そうもないのだ


周子(ボット)5「あはは、おっかしいー」


一人の周子が天井から逆さまにぶら下がっている


周子(ボット)2「真剣になるのはいいけど、あたしたちの中の誰に対して気を引き締めるのかな?」


もう一人が積み上げられたダンボールの後ろからひょこっと顔をのぞかせる


周子(ボット)「ちゃんとあたしのこと見ててよね」


一人は片膝を立てたまま床に座っている


周子(ボット)4「でないと、撃っちゃうぞ♪」


一人は亜季に銃口を向けた

653: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:06:34.66 ID:yyTaBTze0


亜季「っつ!」


周子(ボット)4「なんちゃって」


その周子の手のひらから銃が消えた、

亜季の意識が一瞬、空白になる


周子(ボット)5「ざんねーん、こっちでしたー」


バン!


天井からぶら下がったように”見える”周子が麗奈にむけて発砲した


麗奈「ったぁ!?」


その銃弾は麗奈の足元をかすめ、致命傷にはならなかったがやはり二人を動揺させるには十分だった


周子(ボット)「麗奈ちゃんのびっくりした表情追加ー」


そういって

四人の周子がダンボールの間を漂うように、

亜季と麗奈を取り囲んで回り始める

654: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:07:33.98 ID:yyTaBTze0


周子の攻撃はさっきからこの調子なのだ


二人を惑わすようにあちこちから幻覚攻撃を仕掛けてはその合間に一発だけ銃弾を放つ、


しかもたまに撃つふり、ブラフの時もあるので全く動きが読めないのだ


周子が攻撃に使うハンドガン、ほぼ間違いなく最初この部屋で亜季の姿を真似ながらダンボール箱を物色していて見繕ったものだろう、

だとするなら替えのマガジンのなどは用意してないと見るべきか、いや周子相手だとそれすらも怪しい


こっちから決定的な一撃を与えられない、

しかしむこうも散々こっちを引っ掻き回しておきながらその隙をついてもまともに攻撃を当ててこない

それがさっきから続いている


麗奈「周子!いつまでふざけてんのよ!やるならパッパときなさいよ!」


亜季「(たしかに麗奈の言うとおり、周子はいつまでこうしているはずでありますか)」

ほとんどがブラフとは言え何回か発砲してきているのは事実なのだ、

弾切れがじきに訪れるはずだ

それに自分たちはユニット、スタミナは二人共に200、

普通に考えたらもっと積極的に攻撃を加えるべきだろう、

しかも周子の能力は相手の隙を開けることに特化してるといってもいいのだ




しかし周子は持久戦を選んだ。

じわじわと、集中力をちらしていく、敵対の現実感をぼやけさせていく

ぞわぞわと、戦闘意思を削いでいく、意識下に諦念をすり込んでいく


周子はじっくりと麗奈と亜季を観察しながら考える

・・・少なくとも、まだ能力が本調子じゃないしね、慎重にいっとかないと


655: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:08:19.05 ID:yyTaBTze0


麗奈「だぁーーーーー!!言っといてあげるわ!!アタシと亜季は今ユニットを組んでるのよ!!」

麗奈が怒鳴る、

麗奈「スタミナだって二倍の200よ!それが二人!いつまでも時間稼ぎみたいにチマチマやったってアンタに有利になんてなんないんだからね!」

それはいわゆる示威的行為、逆に周子の方に自分たちとの戦力差を知らしめるつもりの発言だった



周子(ボット)4「ん?」

周子(ボット)5「・・・?」

周子(ボット)「あれー?」

周子(ボット)2「おやー?」


だが周子たちの反応は芳しくない





周子(ボット)「もしかして知らないの?...ユニットを組むことのデメリット」






亜季「・・・?」

麗奈「はぁ!?」



周子がダンボール箱の上に片足だけでバランスをとりながらポツリとつぶやいた

一人の人間の体重を空っぽの箱が支えられるわけないので、また幻だろう

だが、その発言までが嘘とは限らない

656: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:10:14.73 ID:yyTaBTze0

周子(ボット)「麗奈ちゃんと亜季さん、スタミナが二倍になったんだっけ?」


麗奈「そうよ!アタシたち二人のスタミナのところに200って書かれてたわよ!」

亜季「そうであります、周子のお得意の虚言も、ネタ切れでありますかな」



周子(ボット)「それってさ、なんで掛け算じゃなくて、足し算だとか考えないわけ?」




周子(ボット)「ユニットを組んでもメンバーのスタミナは増えないよ」




周子(ボット)「ただ、共有されるだけ」




周子(ボット)「一人で100だったものが二人で200になるだけ」



周子(ボット)「三人ならみんな合わせて300かな?」



麗奈「なによ!別にそれでいいじゃない!もったい付けるんじゃないわよ!」


麗奈は周子からの言葉に反駁する、周子の言葉が事実だとしても何がデメリットだというのか

だが、亜季は違った、亜季は理解した

亜季「・・・麗奈、この話そう単純じゃないであります・・・」

麗奈「なんでよ亜季、ユニットなら100以上のダメージ食らってもリタイヤにならないのはホントでしょ!?」




周子(ボット)「それはまぁ確かにメリットだね・・・少なくともプレイヤーを一人即死させるレベルの攻撃には耐えられようになるとは思うよ?」



周子(ボット)「でもさ、もしユニットの亜季さんか麗奈ちゃんが合計で200ダメージ受けたらどうなるか分かってる?」









周子(ボット)「スタミナを共有してるもう片方も、一緒にリタイヤだよ?」





657: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:11:17.41 ID:yyTaBTze0



ユニットは一蓮托生、力を合わせれば強くもなるが、それは諸刃の剣でもあった

その事実が周子の口から明かされた


亜季「・・・やはり・・・!」

麗奈「な、んで・・・晶葉はそういう説明をしてないのよ!!」


亜季の手に緊張感が走り、麗奈の頭に血がのぼる


二人の頭に軽い気持ちでユニットを組んだことを後悔する気持ちはない

だが、なんとなく頭の片隅にあった「ユニットを組んでいる余裕」は一気に消し飛んでいた




周子(ボット)「さぁさ、麗奈ちゃん、どんどん失敗できなくなってきたねぇ?」


周子は言う


ぽんぽんと


亜季と麗奈の肩に両手をおきながら


麗奈「っい!?」

亜季「また幻・・・!」



箱に座っていた周子はいつの間にか消えている


そしてゼロ距離、二人のすぐ横で三本の尻尾が揺れていた




麗奈「このっ・・・!」

亜季「舐めるなであります!」



背中合わせの麗奈と亜季が同時に振り返る、

658: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:13:19.50 ID:yyTaBTze0


周子はミスを犯した



亜季はそう確信した






周子の能力は、要は”見え方だけ”を変えるものだということは薄々感づかれていた。

もし幻覚で物理的なダメージを与えられるなら、わざわざ一丁の拳銃をちまちま使う必要などないのだから、

それに今までの分身もさんざん動き回っていたにもかかわらずダンボール箱が周子の足にぶつかることはなかった

だから周子の幻覚は映像のように触ることも触られることもできない類のもので、




つまり今肩に触れている手は本物の周子のもの




麗奈はそこまで考えてはいなかった

だが亜季は注意深く戦場を観察し、その考えに至っていた



だが、それを麗奈に口頭で伝えるわけにはいけない。

亜季は油断した周子から何らかの接触を待っていたのだ

そして時は今

659: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:14:30.67 ID:yyTaBTze0


亜季「(ここで逃すわけには・・・!)」


一気に体を回転させる、ダンボール箱が視界をよぎる


周子の体にショットガンを押し付ける

そのまま引き金を引く

これを一瞬でやるだけ




亜季は素手での近接格闘にも多少の心得はあった

だが、周子相手にそんなことはやってられない



幻覚を見せられる前に一気に___



ここで亜季の視界を白が覆い尽くす




亜季「ぶっ!?」


周子がその自慢の尻尾を亜季と麗奈の顔前で振ったからだ



一瞬の思考停止

一瞬の逡巡

一瞬の迷い



周子の悪意はその一点を狙っていた



じわじわと、ぞわぞわと相手を追い詰めながら





二人を致命的なミスをやらかす精神状態にしていた



660: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:17:12.79 ID:yyTaBTze0





周子(ボット)「ばぁん!!!!!!」





そして大声で驚かせる


麗奈「ひゃ!?」

亜季「っく!」


振り返った二人が同時に引き金を引く


急な旋回で安定しない態勢で、

視界が塞がれた状態で、

普通なら引かない状況で、引いてしまった



___その銃口が誤って仲間に向けられているとも知らず



パン!


ドォン!


661: 名無しさん 2014/03/16(日) 23:18:10.61 ID:yyTaBTze0


山に住む狐はよく旅人を騙したという話がある


化かして、石ころを木の実だと思わせたり

山道の同じところを何度もぐるぐると通らせたり



旅人が二人組の時などは、

その片方に化けて、喧嘩するよう仕向けたりもしたそうだ




麗奈のハンドガンの銃弾は亜季を貫き

亜季のショットガンの散弾は麗奈を抉る






威力の違う二種類の弾丸

だが二人のスタミナは_

______________

 小関麗奈  120/200


______________

______________

 大和亜季  120/200


______________



ゲーム開始25分経過

小関麗奈&大和亜季VS塩見周子(ボット)

継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

662: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:34:55.64 ID:xkyajF+50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

やあ、ボクだよ二宮飛鳥だ


今からマキノさんの能力の面白いところを紹介してあげよう

暇つぶしがてら聞いてくれると幸いだ


何度も言ったようにマキノさんの能力は擬似ワープ、とも言えるもの


その精度の程は知らないけど、マキノさんは自分が指定した位置に自分の仮初のボット、

あの蜃気楼のような存在を送り込み、その先からデータを受信している、

まあ一応受信だけでなく言葉を伝えるくらいなら出来るらしい


さて、これの面白いとこはこの仮初のボットを送り込んだ本体はどうなっているのか、なんだけどね


消えるんだよね、跡形もなく


ありすの能力、タブレットの画面という狭い庭にドットを使ってボットやプレイヤーの位置をマッピングする《ドットガーデン》にも映らないそうだ

これはよく考えるとマキノさんは一時的にこの世界から消えていることになるんじゃないかな、

だったらずっと蜃気楼でいれば無敵じゃないのかい?なんて言っては見たけどマキノさんいわく永続的には使えないらしい

時間制限、夢から覚める時間があるんだってさ


それにただでさえボクらボットは生身の人間と比べて不確かな存在だ、その上さらに蜃気楼になるなんてたまったものじゃないだろう


そう、時間が来ればマキノさんは能力を解いてこの拠点に現れるのだ


戻ってくるのだ

663: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:36:44.51 ID:xkyajF+50


こずえ(ボット)「...あすかー......なぁに、これぇー...?」


飛鳥(ボット)「・・・これはエクステだよ、ボクのオリジナルは校則の厳しい所で学んでいるらしくてね、それに対する些細な反抗という、待って待って待って待って引っ張っちゃダメだよやめてやめてストップ!ストップだこずえ!」 


こずえ(ボット)「...ふわぁ?...あすか...いたいのー?」


飛鳥(ボット)「確かにボクはイタい中二ではあるけど! そうじゃなくて、引っ張っちゃダメ!」



こずえは座っているボクの前に立ってボクのエクステをぐいぐい引っ張っている

確かに珍しいかもしれないけど引いちゃダメだ

でもボクの両手は現在繊細なチューニング作業中、

加蓮さんと拓海さんの戦闘の盗聴を止めるわけにはいかないから動けない



マキノさん早く戻ってきて



こずえだけ置いていかれても困る


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

664: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:37:40.70 ID:xkyajF+50


こずえ(ボット)「んぅ...?」


飛鳥(ボット)「・・・・・・触るのはいいけど引いちゃダメだよ?」


こずえ(ボット)「うんー......わかった...よー?...」


飛鳥(ボット)「疑問符はとって欲しかったな・・・」



ボクの必死の説得は実を結び、現在こずえはボクの膝の上に座ってエクステをいじっている

もちろん外したりはしないさ、つけたまま触らせているよ。だからこそ膝の上なわけだし

ボクのアイデンティティだからねそこは譲れない



遊佐こずえ、何の能力も持たないボット、というのはマキノさんから聞いた話だが

たしかにこの小さい子供は能力を使おうとする様子はない



こずえ(ボット)「....さらさらー...なのー」


飛鳥(ボット)「人工物の方が、得てして本物より手触りが良かったりするものさ」


こずえ(ボット)「あすかー...こずえは...さらさらー?」

飛鳥(ボット)「どうだろうね。なかなか特徴的な癖っ毛ではあると思うよ」



こずえに答えながら頭の中を走る声に耳を澄ませる



ああ、どうやら拓海さんが敗北したようだ



ボクは両手を下ろすと能力を解いた。これ以上聞くことはないだろう

拓海さんの能力、名前をつけようとしたら嫌がられたんだよね・・・

ちょっとだけ物思いにふける

665: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:38:29.40 ID:xkyajF+50


こずえ(ボット)「?...あすか......かなしいのー?...」


飛鳥(ボット)「さぁ、ボクはボットだからね、そういうのは分からないよ。あとボクのエクステ食べないでくれるかな?」


こずえ(ボット)「...あむー...」


飛鳥(ボット)「ちょ、」


よっぽどボクの髪からぶら下がる装飾品がお気に召したらしい


変わった子だ


これでオリジナルは11歳、ボクのオリジナルと3つしか離れてないのだから驚きだ



ボクは三年前の11歳のころ、どんな子供だったかな?

と、思い出そうとしたけどよく考えたらボットのボクはまだ生まれて三ヶ月と経ってなかった

たとえ三年前の記憶があっても、それはボットとしてのボクの個性を形成するためにオリジナルと晶葉さんが用意しただけのデータだ



個性



ボットたちにとっての個性とはなんだろうか?

666: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:39:10.15 ID:xkyajF+50


基本的な思考アルゴリズムにアイドルたちの人格データを組み込んだもの

それがボクたちの姿形、為人をかたどる1と0の塊


こずえ(ボット)「あむあむ...あすか...えくすて......すきなのー?」


飛鳥(ボット)「多分好きなんだろうね、でもヨダレまみれなのはいやかな」


ボクは本当にエクステが気に入っているのかな?

エクステ好きの性格に作られただけじゃないのかな?


あと、こずえ、

もうボクのエクステが半分以上口に含まれてるんだけど、そろそろいい加減にしてくれ


こずえ(ボット)「...んむんむ」


飛鳥(ボット)「やれやれ」


ボクは右手だけ宙に上げると、能力を行使する、まず適当に誰かの声を拾うことから始めよう

ちょっと自分の存在を疑うという嫌な思考に陥りかけたので現実逃避のついでだ

そういえばこの能力もボクらボットにとっては自分を構成する個性の一つだろう

じゃあ、それがないこずえは・・・



こずえ(ボット)「...もぐむぐ...」


飛鳥(ボット)「やめるんだこずえ。ぺってしなさい、ぺって」



こずえはボクの胸にもたれかかりながらエクステをボクの首元くらいまで口にふくみ始めていた


もうほんと勘弁して

667: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:39:51.62 ID:xkyajF+50




こずえ(ボット)「んむ?...んぺぇ...」

飛鳥(ボット)「・・・やっと吐き出したかい・・・ああよく考えたらボットに唾液なんてなかったね」


こずえ(ボット)「あすかー...のうりょく......つかってる...?」

飛鳥(ボット)「うん?そうだよ」


こずえはボクが不自然にあげた右手を見るとエクステを吐き出し、そう訊いてきた

ボクは普通に返答する


こずえ(ボット)「...のうりょくー...」

飛鳥(ボット)「まぁ、たいしたことない、ただの盗聴器だけどね、体がラジオなんだよ」



こずえ(ボット)「...ふーん...」




こずえはボクの首元に手を回し、ゆっくり抱きついてきた、

ボクの右胸のあたりに耳を当て、ボクの体がラジオであることを確かめようとしているようだ

668: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:40:39.86 ID:xkyajF+50

こずえ(ボット)「......ふわぁ...あすか...あったかいのー」


飛鳥(ボット)「はは、どうだい?ボクの能力が分かりそうかい?」


こずえ(ボット)「...んーんー...」


こずえは首を振ったけどその髪の毛も動いて首元がくすぐったい


こずえ(ボット)「ふわぁ......のうりょくー...」


こずえが耳元で囁く、こっちまで眠くなりそうだ

こずえの方はそのまま眠ってしまうつもりらしい、抱きついたまま離れなかった













こずえ(ボット)「.........いいなぁ......」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

669: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:41:13.76 ID:xkyajF+50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、諸星きらり
2、渋谷凛
3、緒方智絵里

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS 本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)



画像コメントありがとうございました

672: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:51:39.24 ID:ehqT8KQx0
25

673: 名無しさん 2014/03/17(月) 00:51:47.16 ID:3xrHiWXQo


676: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:34:53.88 ID:xkyajF+50
8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞
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∞8∞8チ8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8
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677: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:35:42.80 ID:xkyajF+50

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凛「・・・つ・・・」


だるいような、重いような

ついさっきまで熟睡していたところを無理に起こされたときみたいに頭がぼんやりする

目の前には真っ赤な空



凛「・・・・・・えっ!?」


慌てて起き上がった、何が起きてるの?

まず思い出そう、順番に


私は最初、武器になるものを求めて目に付く限りで一番大きなビルに入った

そこで、まるで尾行されてたみたいなタイミングで晴と舞が乱入してきたんだ

その後ありすに私のピアスを見せられて、それを追いかけることになった

多分ピアスを囮に私を罠に嵌めようとしてたんだろうけど、それでも私は追った


そのあとありすたちは私を罠にはめる前にビルから飛び降りて、

私も手近な机と一緒に飛び降りた、で、舞の小さい一輪車の上でピアスを取ろうとして

どこからかあずきが現れて、ピアスを持ったまま逃げちゃったんだ



ちがう、それよりももっと大事なことがあるだろう

私はビルから落ちたはずだ、少なくとも地上10階以上の高さからあのまま地面に叩きつけられていたはずだ


678: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:36:39.99 ID:xkyajF+50


私は周りの風景に目をやる


太陽の位置は見えないけど、空の色から今が夕暮れなのはわかる

私が倒れていたのはどこかの野原、草原みたいな場所で、地平線までずっと一面が真緑色だ


空は真っ赤で地面は緑色


ほかには何もない、遠くにビル群が見えるわけでも、山や小屋すら見えない


凛「もしかして、私・・・ゲームオーバー?」


そうだとするなら納得がいく、

ゲームに入るときは文明的な電車、ゲームから出るときは何もない草原で待機




凛「あーあ、結構頑張ったと思ったのにな・・・」


そのままゴロンと雑草の絨毯に背中を横たえても良かったけど、さっきまで寝てたみたいだし私は起き上がることにした


ついでだからこの野原がどのへんまで続いているのか気になったから見てみようと思ったのもあるかな


凛「へー、誰もいないね、私が一人目の脱落者だったのかな」


そう考えるとちょっとショック、私の頑張りはみんなのより負けてたってことだし


私の靴の下で草がしなっているのが靴裏を通して伝わってくる。

さっきまでコンクリートジャングルを走り回っていたから、ちょっと新鮮


凛「・・・・・・あれ?」


最初何かの板が立てられているのかと思った

草原の真ん中にポツンとつっ立った分厚い板


近寄ってみるとそれが扉だとわかった、でもほんとにただの扉ってだけでどこかへの入口には見えない



だってドア枠に戸がはまっているのが置かれているだけ、どこでもドアみたいなものだった

試しにドアノブを回してみたけど、鍵がかかっていた、いや鍵の意味はないと思うけど・・・



凛「・・・ワープゲート?」


この扉を開くと光に包まれてどこか別の場所に着いたりするのだろうか?

679: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:37:51.74 ID:xkyajF+50


ドアノブの上には鍵穴があった、

よく見ると全体的に細かい装飾品で飾られた扉は鍵穴の周りにもおしゃれが施されていた


この鍵穴の周りをふちどる模様は・・・ハートマークが4つ円を描くような、この草は


凛「・・・クローバー・・・?」

しかも四つ葉

思い浮かぶのはキュートアイドルの一人、緒方智絵里


なんだか違和感がある。

ここはゲームオーバーの人が来る場所のはずでしょ?

どうして一人のアイドルを連想させるようなものが・・・




凛「あれ・・・・・・・・・ありす?」



ドアノブの鍵穴から目線を上げたことで少し離れたところに誰かの背中が見えた


視界中にひろがる緑色の中、ポツリとありすの上着の、落ち着いた色だけが浮いている


私は慎重に近づいていく。どうやら倒れているようだけど、油断はできない

ありすにはゲーム内で一杯食わされてるからね、晴や舞にも気を付けないと、近くにいるかもしれない



こつん



足に何かがぶつかる、私の靴のつま先がタブレットを踏んでいた。

たしかありすが抱えていたものだ

その電源はまだ生きているらしく、画面には赤丸が1つと青丸が3つか4つほど表示されていた



凛「なるほどね、これで私を尾行できたんだ」



見た感じプレイヤーとボットの位置をGPSマップみたいに知ることができる能力、あるいはアイテムだったんだろう

まあ、ここには緑の草原と赤い空しかないからもう必要ないかな

680: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:38:39.41 ID:xkyajF+50


ありすの背中に視線を戻す、

あれ、よく見ると


凛「上着だけ・・・?」


ありすの上着だけが草原にかぶせるように落とされている

暑いから脱いだのかな、よく見るとその近くには晴のかぶっていた帽子があった

他にも舞が乗っていた一輪車、これはまた少し離れたところにあったのでありすの上着に近づいたときに見える位置に転がっていた


凛「ボットもゲームオーバーになるとここへ送られるのかな」


で、そのあと上着を脱いでどこかに行ったみたいだね、草しかないのに


いやここからは見えないけどもしかしたら斜面の向こうとかに何かあるのかな


どっちにせよ行儀悪いな、脱いだら脱ぎっぱなしなんて、

仕事に使った衣装をきちんと畳んでいた三人の姿を思い出す、

ああ、あれは現実の方のありす達だったね


私はなんの気無しにありすの上着を手でどかした、

もしかしたら、ありえないけど、あのピアスがあったりしないかなと思ったというのもある


すると上着に隠れるように、ありすの着ていた服一式がスカートも含めて落ちていたのがわかった


・・・ありす、いま全裸?


よく見ると晴の帽子の近くにもボーイッシュな、というかまんま男物の服がまとまって落ちているし

舞の身につけていた衣類も一輪車の下敷きになっていた


凛「なに?・・・ボットは服を残して消滅するの?」

あるいはどこかで三人が水浴びでもしてるの?

681: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:39:31.06 ID:xkyajF+50

ぶちっ



無造作に脱ぎ捨てられていた服を引っ張り上げようとしたとき

そんな音がした


凛「・・・・・・?」


服が重い、じゃなくて服に何かが引っかかっている



ぶちぶちぶちっ



紐が切れるみたいな音が連続する

服が地面に縫い付けられているのだろうか


凛「・・・ふんっ!」



ぶちちちちっ!



思いっきりありすの服を引き上げた

ありすの服にまとわりついていたものが一気に断ち切れていく




根っこ



細い細い根っこが


何本も何本も何本も何本も何本も何本も
何本も何本も何本も何本も何本も何本も
何本も何本も何本も何本も何本も何本も
何本も何本も何本も何本も何本も何本も



服の”中”から生えていた




ああ、違う、



地面から生えた根っこが

服の中に侵食していた



まるで服の持ち主を養分にするように

682: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:41:08.79 ID:xkyajF+50



おそまきながら私は悟った

ありすも晴も舞もどこにも行ってなかった

どこにも行けなかった

服を着てここにいた




でも服の中身は既に何も残ってない



凛「・・・・・・・・・・・・」




中身は多分もうこの世界にもない




私はその場にペタンと座り込む、呆気にとられていた

私の推測でしかないとはいえ、目の前の状況がその推測に疑わしさを感じさせない



地面に座り込んだおかげで私はやっと気づいた



この草原、野原、雑草


よく見ると全部、クローバーで出来ていた






ハートマーク型の三枚の葉をつけた小さな草が

地平線までの地面すべてを覆い尽くしている



私以外はみんなこのクローバーに、喰われていた



空は赤い、血のように



そして

座り込んだ私の足に、一本の細い根っこが絡みついた






ゲーム開始?分経過

【ERROR!】

683: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:42:11.65 ID:xkyajF+50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チャプター
輿水幸子&白坂小梅&星輝子


幸子「いまですよ!!」

小梅「う、撃っちゃう?」

輝子「ヒャッハァア!!よくもやってくれやがったなぁ!」


目の前には倒れふした恐竜こと市原仁奈、小梅と輝子はそこに銃を向けている

この隙に攻撃を加えるつもりなのだろう

幸子「ちょっと待ってください!下手に当ててもこの分厚い肌には効きそうもありません!」

小梅「じゃ、じゃあ仁奈ちゃんの顔を、撃つ......」

輝子「う、うめちゃん...こ、こわい」

幸子「た、確かにそこしか有効な一撃は与えられそうにありませんが・・・」


だが、倒せるのか?当てられるのか?

そもそも目の前の巨体はうつ伏せに倒れていて仁奈の顔の部分は見えない

このままでは何もできずに仁奈が起き上がるのも時間の問題だろう

その証拠にティラノサウルスは2本の足だけでなんとか起き上がろうともがき始めていた

仁奈(ボット)「よくもやってくれやがりましたね・・・・・・」


幸子「・・・!!二人とも!やっぱりここは一旦事務所に駆け込みますよ!」

小梅「え・・・?」

幸子「こんなデカブツ相手にしてたら下手すれば弾切れです!まだ事務所にいるかもしれない敵の方が倒せる可能性は高いです!」

輝子「じ、事務、所・・・?」


幸子「えぇ、おそらくこのタイミングでの攻撃の数々、誰かが事務所からボクらを遠ざけようとしているに違いありません!」


小梅「...あ!そ、そっか...」

684: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:42:54.68 ID:xkyajF+50


得体の知れない炸裂する星、そしてそれに乗じた力押しの強襲

今までほとんど接触のなかったボットから畳み掛けるような二連撃

明らかに狙ってきている


幸子「だから、仁奈さんが起きる前にボクたちの方から事務所を襲撃してやります!」

小梅「わ、わかった!」

輝子「フヒッ!」

仁奈(ボット)「に、逃げやがりますか!?」


一目散に自分から離れていく小さな三人に未だにうまく起き上がれないまま仁奈が吠えた

輝子「フハハハあばよ!」


ぱちーん!


ミニキノコ「?fff」

トコトコトコ

仁奈(ボット)「はい?」



はなれていく際にせめてもの仕返しと輝子が自身の能力によるキノコを向かわせた


仁奈(ボット)「こんなのがなんでやがりますか!」


パクッ

ミニキノコ「f!f」


だがそれはティラノサウルスの着ぐるみに飲み込まれた


輝子「ノォオオオオオオオ!!マイフレェンド!!」


幸子「何遊んでるんですか輝子さん!!」

小梅「は、はやく...」

685: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:43:43.35 ID:xkyajF+50


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




翠(ボット)「.........」



深呼吸


脱力


集中


弓を構える


腕を水平に



翠(ボット)「.........」



矢を添える


矢尻を握った手が耳元に来るまで引く


目線はまっすぐ


狙いを定めて


呼吸を止める




まずは止まった的から

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

686: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:45:27.51 ID:xkyajF+50

カランカランカランカランカランカラン!


次の異変に気づいたのは幸子だった


例えるなら流れ星、

さっき自分たちの妨害をしてきたあの星型のディスクが、地面を滑るようにこっちに向かってきたのだ


幸子「はぁ!?なんですかあの星、勝手に動く機能もついてるんですか!?」


小梅「...え?あ、前からも星...」

輝子「でも、今度はよ、よけられそう...」

事務所と、そこへ向かう幸子たちの間を地面を這いながら一直線に星は進む

てっきり地雷のように隠して使われると思っていたあの星が、意思を持ったかのように幸子たちを狙って直進してきている

だが、決してよけられない速度ではない


幸子「ふふん!どうやらボットの方も頼みの仁奈さんが倒れ、ネタ切れのようです、ねっ・・・と!!」

タイミングを見て走りながらジャンプ、幸子の小さな足の下を星が通り過ぎていく

小梅「うわっとと...」

小梅もぴょんと跳ねて星をスルーした

輝子「ヒャッハアアア!!クリアァ!」

星から攻撃を喰らっていた輝子も怖気づくことなく飛び越える


幸子「さぁ、また次の星が流れてくるまでに行きますよ!銃の準備はいいですね!」

輝子「お、おっけい...!」

小梅「は、ハンドガン...い、いつでも、撃てる」

幸子が振り返り、後続の二人が無事だったことを確かめ、攻撃の意思を新たにする

幸子「じゃあ行きますよ!!」

事務所まであと30メートル

そして前を向いてまた走り出そうとしたところで



カツッ!!




空気を切り裂く音を聞く暇もなく矢が一本突き刺さる

輝子「フヒイ!?」

小梅「さ、さっちゃん...!?」

687: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:46:02.46 ID:xkyajF+50


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


残心




翠(ボット)「・・・・・・・・・ふぅ」




止まった的は当てられた




次の動く的の相手もこれで問題はない




一息




次の矢を手に





残りは二射

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

688: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:47:15.26 ID:xkyajF+50

幸子「・・・・・・・・・あれ?」


矢は幸子には当たっていない。その足元より少しだけずれた地面に突き立っていた


小梅「よ、よかった、さっちゃん死んじゃったかと思った」

輝子「弓矢を使うアイドルって......み、翠さん?」


かといって自分のすぐそばに矢が突き立てばド肝を抜かれるだろう


幸子「ふ、ふふ、ふふん・・・!か、カワイイボクには矢もあああ、当たりませんょ!」


ここで威勢良く振舞うあたり彼女もただものではない

輝子「げ、限界ギリギリ...の、ロケでも、なんだかんだで無事な、さ、さっちゃんだもんね...」

小梅「い、いつも...体、張ってるもんね...」

幸子「ふ、ふん!さあもう事務所は目と鼻の先です!しかし弓矢というと翠さんですね。全く!ボクを狙おうとするなんて!」


そして幸子を先頭に三人はまた走り出す、早くしないと仁奈が起き上がってしまう


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

幸子を始めとした三人は、一つ誤解をしていた



水野翠の趣味は「弓矢」ではなく「弓道」であるということだ


彼女は武力をふるう武器ではなく、競技の道具として弓を引いている


ときに天然と称される彼女の性格は真面目にして実直、そして規律を重んじる



そんな水野翠をモデルにしたボットが、人間を狙って矢を放つわけがない



だから彼女は矢を外してなどいない

彼女は狙い通りの的に矢を当てていた



規律と反省と二律背反

《規律反背》

発動

689: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:48:44.10 ID:xkyajF+50
幸子「あれ?」

それに気づいたのも幸子が最初だった

というか最初に翠の能力の範囲内に踏み込んでいたのも幸子だった


小梅「さ、さっちゃん...?」


輝子「ど、どしたの...た、立ち止まって...」


幸子を追い越してしまった二人がそこで立ち止まり、振り帰る


幸子「・・・いや、よくわからないんですけど・・・足が・・・あれ?」


足が動かない、いや動きはするのだが、前に進もうとすると進まなくなる


小梅「あし...?」

輝子「フヒッ...さ、さっちゃん!?そ、それなに...?」

小梅「え...」

次に異変に気づいたのは輝子だった、幸子の足元を凝視している

小梅も遅れて気づく



それは的だった

弓道で用いられる、白地に黒線の同心円が描かれた的


直径にして1メートル程のそれが地面に出現している

先ほど地面に刺さった矢を中心に

幸子はその模様を踏んでいた


いや逆だ、

翠は、幸子がその的を踏むような位置に矢を放っていた



翠(ボット)「弓道の遠的競技においては、射手と的の距離は一般的には60メートル」



翠(ボット)「しかし幸子さんたちは射手、つまり私に対して距離が近づきすぎです。反省してください」



翠(ボット)「...そして、規則と規律を以て、きっちり60メートル先まで離れてください」

690: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:50:20.47 ID:xkyajF+50

ぐぐぐっ




幸子「わわっ!?」


小梅「!?」

輝子「フヒッ!?」


地面に描かれた的の模様が動き出す、

その上の幸子も同様に、引きづられるように地面を滑り出す

事務所から離れていく、直線距離にして60メートル地点を目指してズルズルと


幸子「ちょ、なんですかこれ!?足も地面から離れません!!」

小梅「さっちゃん!」

輝子「つ、捕まって...!」


二人を置いて一人後ろへ引っ張られていく幸子の手を慌てて掴む、

だが小梅と輝子が非力なのか能力が強力なのか、幸子はやはりズルズルと事務所から遠のいていく


三人まとめて離れていく

小梅「ん、ん~!!」

輝子「ファッキン!!止まりやがれコンチクショオオオオオオ!!」


幸子「ま、まってください!!このままじゃ小梅さんたちまで矢に狙われてしまいます!!一旦はなれ」




カツッ!



小梅「わっ...!」

輝子「う、うめちゃ」



カツッ!




最初に小梅のすぐ後ろに矢が刺さり、慌てて飛び退いた輝子の足元にもまるで影を地面に縫い付けるように命中した


幸子の時と同じように二人の足元にも的の模様がにじむように現れる

こうなっては足を踏ん張って幸子を引っ張り戻すことなどできない

ズルズルと三人仲良く引きづられていく

691: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:51:57.53 ID:xkyajF+50

幸子「わ、わわわわわ!」

小梅「...み、見えない、何かに、あ、足引っ張られてる...ホラーみたい...」

輝子「ファァァァァァァアァック!!!」



人がルールに沿って自発的に動くのではなく

ルールが人を強制的に動かすという不条理

規律を重んじるが故に生じる横暴 という二律背反



最初の一射は囮として《ミツボシ効果》の星を動かし

残りの三射で三人の動きを射止めた


幸子「ど、どうなってるんですか!何が起きてるんですか!」

小梅「ね、ねぇ、...じ、事務所から離れる、ってことは...」

輝子「こ、これ...や、やばいやつだ...フヒ」


事務所から離れていく。元いた所へ押し戻される


そしてその場所には









仁奈(ボット)「ふっふっふ・・・お帰りなさいでごぜーますよ!!」





ゲーム開始47分

輿水幸子&星輝子&白坂小梅

VS

本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)

《規律反背》《ミツボシ効果》《U=パーク》《M・M・E》発動中


継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

693: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:53:08.41 ID:xkyajF+50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ゲーム開始40分経過


音葉(ボット)「..................」


ふわりふわりと、燃え上がるように赤い翼を生やしたまま音葉は滞空している


視線は眼下二十数メートル、神谷奈緒が落ちていった先を見つめている


音葉(ボット)「(......加蓮さんの殺意の音、銃声が当たる前...奈緒さんは身を捻っていた)」


音葉(ボット)「(もしかしたら、致命傷は避けていたのかも...しれません...)」


崖の下は大した本数ではないとはいえ、何種類かの樹木が植えられ、上空からは葉に邪魔され様子が伺えない


厄介な場所な所に転げ落ちられた、木々の枝の鳴る音に遮られ奈緒が音を発しているのかも見えない




マキノ(ボット)「.........最後の一撃に加え、この高さからの垂直落下、まず助かりはしないでしょう」




音葉から少し離れた場所、さっきまで音葉と奈緒が戦っていた道路に当然のようにマキノがいた

その姿はホログラムのように頼りなく、その姿は背後の風景すら透けて見えていた

まさに蜃気楼だ、実体がない

694: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:54:04.48 ID:xkyajF+50


マキノ(ボット)「お疲れ様音葉さん。奈緒さんを倒したようね。本来の目的だった足止め以上の戦果だわ」



音葉(ボット)「...完全に、とどめがさせたわけではないので...もしかしたら...生きているのかもしれません...」

マキノ(ボット)「それならそれでかまわないわ。トライアドの結成自体は十分妨害できたのだから」

マキノ(ボット)「私は一度拠点に戻って、飛鳥さんから拓海さんの戦況を聞いてくるわ」


音葉(ボット)「...わかりました......私も戻ります.........」


そこで空中にいる音葉はマキノをじっと見つめた。うっすらと道路のアスファルト模様が透けて見えるマキノを

マキノ(ボット)「?...音葉さん...どうかしたの?」


音葉(ボット)「いえ...ただ、」

音葉(ボット)「...その姿の時のマキノさんから聞こえる音は、とても...視え辛くて、それが物悲しいと思っただけです......」


マキノ(ボット)「?...そう。たしかに論理的に考えて今の私は存在が希薄なのだから音も同じということなんでしょうね」


どこか悲しげに告げる音葉に対してマキノは理知的な表情を崩さず応える


マキノ(ボット)「では、私はこのまま失礼するわ。拠点で会いましょう?」


ブンッ、とマキノの姿がそこから掻き消える


音葉(ボット)「............」


拓海のバイクの排気音から生成した翼はまだ背中に残っている

やはりバイクも然ることながら拓海本来の持つエネルギーの大きさもあったのだろう

音葉が戦闘を行うにあたって、
音葉の能力が使える範囲内に音を届けられる拓海を送り込む。

だれの立案だったか。とにかくこれで拓海も無事に拠点に戻れば作戦は十全に成功なのだろう



695: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:55:18.70 ID:xkyajF+50


音葉(ボット)「......」


最後に奈緒の落ちていった小さな林を一瞥して、音葉は赤い翼をはためかせた


雑多な音にまみれたこの戦いはいつまで続くのだろう



音葉はそんなことを思いながら街の方向へ、ビル群へ向かって飛んでいく







ぐっ



一瞬、後ろから引っ張られたように感じた



音葉(ボット)「...?...」



体が動かない




力が抜ける



音葉(ボット)「......これは...」



何の音もない



胸、心臓のあたりに鈍いしびれ


696: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:56:24.63 ID:xkyajF+50


何の音もない




音葉(ボット)「...撃たれ...ました...?」



何も聞こえない



音も届かないほどの遠くからの攻撃、



銃声もすぐには届かない距離からの狙撃



背中から生えた翼が散り散りにバラけていくのが分かった



何も聞こえない



何の音もない




ぐっ



ぐっ



また後ろに引かれるような、

いや、前から後ろへ突き抜けていくような衝撃が二つ




音葉(ボット)「......何も...聴こえません...見えません」



落ちていく



奈緒とはまた違うところへ


小さくほどけた赤い羽を空へ撒き散らしながら


堕ちていく

697: 名無しさん 2014/03/17(月) 23:57:35.55 ID:xkyajF+50



ターーーーーーーーーーーーン・・・・・・



ようやく、

遅れて

音が音葉の耳に届いた





音葉(ボット)「_____ああ____」



その音が、音葉が最後に見た音になった



排気音の翼よりもずっとずっと赤い


銃声の殺意よりもずっと透き通っている


奈緒の不屈の声よりもずっと頑強だ


誰のものでもいい


宝石などでは例えられない音、


そんな殺意の銃声






音葉(ボット)「_________なんて、美しい____」



これほどの美しさ

是非、他の人にも見せたかった___



ターーーーーーーーーーーーーーーーン・・・




ゲーム開始43分経過

梅木音葉(ボット)消失


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

698: 名無しさん 2014/03/18(火) 00:04:23.83 ID:XGfqK98T0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
当たり所によっては割とすぐ死ぬ



次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、三好紗南
2、双葉杏
3、北条加蓮

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS塩見周子
5、VS 本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)


コメント本当に本当にありがとうございました

701: 名無しさん 2014/03/18(火) 00:07:11.71 ID:7c/88Ve6O
24

702: 名無しさん 2014/03/18(火) 00:07:18.02 ID:3Oz697aDO
35

704: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:11:36.11 ID:s1OnGM4k0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
双葉杏


??「..............はぁ」

私は自分のスタミナを確認します



また......維持コストがかかってるんですけど


私のスタミナ......ガンガン減ってるんですけど


このままでは私はプレイヤーと戦う前に自分の能力で自滅しちゃう流れなんですけど


何がボットですか。


かなり都合よく振り回されてる感が否めないです


晶葉さんは何を考えてこんな能力を私に与えたのでしょう


私はもっとのんびり、いえむしろ何もせず静かに仮想空間ライフを送りたかったです


ああ、またスタミナが勝手に減りました


早いとこ能力を使って回復しないと


能力の副作用のせいで減り続けるスタミナを能力で補充する。


これあれですよね、マッチポンプ?とかいうやつですよね



森久保乃々(ボット)「何なんでしょう......いえもう本当に」

705: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:12:07.85 ID:s1OnGM4k0



もたれかかった樹木のザラつきを後頭部で感じます

私は今、公園の茂みの中に座り込んでいます。身を隠しています



乃々(ボット)「......杏さん、ですか...」


茂みの間からベンチに無防備に寝っ転がった杏さんの姿が見えます

どうしてボットまで一緒になって寝ているんでしょうか


同じボットの私はこんなに色々悩んで迷って疲れているというのに



乃々(ボット)「...でも、杏さんに能力を使うわけにはいきませんし...」


まず間違いなく使っただけ私が損をする、


そうですね、せめてもう少し活動的なプレイヤーがいいですね、能力を使うなら




乃々(ボット)「............っぁ......」




また私のスタミナが減りましたね。お胸がチクチクします


これというのも私の能力のせいです


私の能力が最初、あんなものに自動発動したのがいけないのです


あんなものを取り込むから、こうして維持コストとして私が犠牲になるのです


早く条件にあったプレイヤー来ませんかね


え?もりくぼが自分の足で探しに行けって?



むぅーりー


706: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:12:55.21 ID:s1OnGM4k0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

杏「ところでさー」

杏(ボット)「なにー?」

杏「あんたさ、ほんとに何もしないでいいわけ?」

杏(ボット)「働けと?この杏に働けと?もう十分やったよ杏は」

杏「そーだっけ・・・」

杏(ボット)「ほら、オリジナルの杏に能力伝授したじゃん」

杏「いや、たまたまじゃん」


杏たちは別々のベンチに寝そべってい同じ空を見上げながらまどろんでた

ボットだかロボットだかに眠るなんてことがあるのか疑問だけど


杏(ボット)「ん、いやいや、ボットたちも戦うだけが能じゃないんだよ」

杏「は?」

杏(ボット)「たとえば練習用ボットは戦うことよりもプレイヤーをこの世界に慣れさせるほうが目的だし」

杏(ボット)「それに今にして思えば杏の仕事はオリジナルの方の杏に能力を与えるのが仕事だった気がする」

杏「さっきも言ってたけど、なんでそれが仕事なのさ。キーアイテム?・・・とかって自分で探すのがセオリーでしょ・・・」


杏(ボット)「んー、ほら。杏は怠けてキーアイテムなんて探さないと晶葉が判断したからじゃない?」

707: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:13:41.19 ID:s1OnGM4k0

杏「うあ、納得してしまった。プロデューサーも一枚噛んでるね、それ、」


会ったことないほかのプレイヤーよりいきなり有利だと思ったらこういうことか


「ちょっとオマケしてやるからちゃんと頑張れよ」


プロデューサーが呆れ半分にそう言ってくる顔が浮かんだよ今

こんな得体の知れない空間の中でもあの人の顔を思い出すのには苦労しない

割と長い付き合いだからなー・・・


・・・・・・・・・。




杏「・・・・・・・・・うあー」


ベンチに背中をこすりつけるようにしながら体を起こす

寝に入るトコだったから余計に重労働だよ


杏(ボット)「え、何、起きるの?やる気出したの?」

杏「んーにゃ、体起こしただけ」


・・・とりあえず、だよ

全く何もせずに寝ちゃうのだけは勘弁しといてあげよう


後頭部をベンチの背もたれの上に乗せる。自然顎が上がり、空を見上げる形になった


とりあえず、そうだね・・・誰かほかのプレイヤーが来たら運んでもらうことにしよう




足音



きらり「うっきゃー!!見覚えのある後頭部だと思ったらやっぱり杏ちゃんだにぃー!!」



マジか



きらり「ユッコちゃんの言うとおりに進んだら杏ちゃんに会えたにぃ!さいきっくぱわーすごいにぃ!!」



何してくれてんだあの似非サイキッカー

708: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:14:21.42 ID:s1OnGM4k0



杏の視界に逆さまに飛び込んできたのはプロデューサーに並んでよく見知った顔、きらり

いつの間に、とか、きらりもプレイヤーだったの、とかユッコがなにしたのか、とか

きらり一人現れただけで杏の頭にクエスチョンが複数突き刺さったけど、それもきらり本人にブッ壊された


きらり「わーい!杏ちゃーん!おっひさー!!」


杏「のわっ!?ちょ、ちょ、きらり!?いきなり後ろから持ち上げられると怖い!」


きらりは感極まったみたいに杏を持ち上げると自分の頭よりも高く掲げた。

さっきまで寝ていたベンチが遥眼下に落ちていくような錯覚

このままでは、流れるように強烈なハグが待っている

力加減さえしてくれればきらりのハグも結構気持ちいいんだけど、テンションマックスのきらりにそれは望めない


杏「違うから!!違うから!!もうホント違うから!!こっちがボット!!あっちが本物だから!!」


杏(ボット)「っは、はぁ!?何言ってんの!?」


きらり「にょ?」


もうひとつのベンチで唖然とこっちを見ていたボットの杏を指差す、きらりの視線もそっちを向く



きらり「・・・・・・・・・・・・・・・」



きらり「・・・・・・・・・・・・はぴ?」


杏がふたりいる光景を目の当たりにしてきらりの動きが止まる。思考停止みたい


杏はきらりの腕の中、いまならそれほど力もこもっていないから抱かれてる側としては割と居心地がいいね


きらり「にょわー!!!杏ちゃんが二人だにぃい!!ダブル笑顔だにぃ!」


ぐえっ



杏(ボット)「なん・・・だと・・・?」


きらり「ダブルでドーーーン、っだにょわーー!」


難しいことを考えるのはやめたらしく次の瞬間きらりは杏とボットの方の杏を両手で抱えていた

いや、ぶっちゃけ締め上げられてる

709: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:15:31.28 ID:s1OnGM4k0


杏「き、きらり・・・ストップストップ・・・ゲームだから痛くないけど締まってる締まってる・・・」

杏(ボット)「いたたたたたた・・・あ、」

杏「ちょ、あんた体消えてるけど!?」

きらり「にょわにょわ~杏ちゃん会いたかったにぃ♪」


きらりの絞め上げがダメージとして換算されているのかボットの体が消えかけていた

た、たしか練習用ボットは体力が少なめなんだっけ?


杏(ボット)「あ、杏はここまでだ・・・あとは任せた、ぞ・・・ガクッ」


杏「あ、杏うううううう!?」


きらり「にょ!?杏ちゃん一人になっちゃったにぃ?」


ようやく落ち着いたらしいきらりが杏を胸元に抱え直した、きらりと目線がかち合う


杏「えっと、さっきのは杏のボットだったから・・・だから消えたわけね」


きらり「そうだったのかにぃ・・・きらり、ひどいことしちゃった?」

杏「あーいや、あいつの役目はとっくの昔に終わってたはずだから、あれでよかったんだよ・・・」

きらり「?」

さらば、ボット杏、あんたは勤勉だったと杏が明日まで語り継いであげよう

杏「いや、なんでもない、じゃ、きらり行こっか。杏のことおぶってよ」

きらり「!・・・がってんしょーちにょわ!」

さて、えらい出来すぎなタイミングだったけど仲間もみつけたし、

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけプロデューサーの期待に応えて仕事してあげようかな







乃々(ボット)「きらりさんとか............ナイスタイミング、なんですけど」



ゲーム開始36分経過

双葉杏(ボット)消失

諸星きらり&双葉杏VS森久保乃々(ボット)

開始


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

710: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:16:27.22 ID:s1OnGM4k0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
輿水幸子&白坂小梅&星輝子


Make More Effort

縮めて M・M・E

二宮飛鳥はこれを「もっと頑張る」の英訳として能力名にした

まぁ中二の英語力ゆえにこういう結果になったのだろう


島村卯月の能力は極めて単純、普通、なんの変哲もないもの

それゆえにどんな使い方でもできるのだ


”他人の能力を強化できる能力”というのは


未央の《ミツボシ効果》は最初その名のとおり星型のディスクを三つしか出現させられなかったが《M・M・E》によりその限界量を大幅に超えて能力を行使できている

また仁奈の《U=パーク》も着ぐるみでありながら本物のティラノサウルスばりの力を振るうことができるのは卯月の能力に依るところが大きい

もしかしたら雪美の《黒猫電話》に何らかの変化が起きたことすらその能力の影響だたのかもしれない


ただし例外として《規律反背》で用いられる矢の本数を増やすことはできない

これはルールとして弓道の一試合に用いられる矢が二射または四射と定められていることによる

規律を重んじる能力がゆえに融通が利かないのだ


四本の矢を放ったあと次の矢を放つためには一度、能力をすべて解除する必要がある


翠は、一本は星型のディスクを滑らせることに

残りの三本は幸子と小梅と輝子に一本ずつ使っていた


これなら四本で十分だろう

711: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:17:24.10 ID:s1OnGM4k0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

卯月(ボット)「やった!!あの三人を捕まえたよ!!」

未央(ボット)「翠ちゃんナイス!」



矢を放つことに集中していた翠を邪魔しないように部屋の隅にいた二人が戻ってくる


翠(ボット)「ふぅ......ギリギリ四本で事足りましたね。」


窓際にいた翠が弓を下ろす


窓の外には地面に足を縫い付けられたようになった三人と、その三人を誰から順番に食べてやろうかとティラノサウルスの気持ちになって吟味している仁奈がいる


翠(ボット)「この能力がある間、対象は60メートルより近づくことも遠のくこともできません、ピッタリ60メートルで固定されます。逃走は不可能でしょう」


未央(ボット)「すごいよ翠ちゃん!やったね!初戦にして大勝利だよ!」

卯月(ボット)「さすが、未央ちゃんと翠ちゃん!」

翠(ボット)「い、いえ、雪美さんや卯月さんのサポートも欠かせない要素でしたよ」

卯月(ボット)「え?・・・え、えへへぇー♪」

小春(ボット)「私の出番がなさそうなのが残念です~」

未央(ボット)「あ!ごめんね小春ちゃん!でもこれからもっと強いプレイヤーが来るときにまた頼むね!」

小春(ボット)「はい~わかりましたです~!」

ヒョウくん「・・・・・・」


あとは仁奈が三人を屠ればまずは一勝だ。


卯月(ボット)「・・・・・・勝てたよね?」


ボットの一つ一つの能力は癖が強すぎて使えなくとも、

目的と協力しあえる仲間がいればプレイヤーを圧倒することも可能。


未央(ボット)「・・・・・・うん」


論理的に効率化を図ればどんな能力も何らかの使い道がある。


マキノから協力を提案されたとき、そう言われたのを思い出す


小春(ボット)「・・・・・・はい~」


現に今、あの三人は手も足も出せずにティラノの顎に噛み砕かれようとしている

712: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:18:42.54 ID:s1OnGM4k0




翠(ボット)「・・・・・・・・・?」




はずなのに







雪美(ボット)「.........あれ...なに...?」


いつの間にか雪美も窓のそばにいる、視線は窓の向こうに向けられている








だから事務所にいた全員にその声が聞こえた








仁奈(ボット)「な、なな、なんでやがりますかあああああ!!!???」






ゲーム開始48分

輿水幸子&星輝子&白坂小梅

VS

本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)

《規律反背》《ミツボシ効果》《U=パーク》《M・M・E》発動中


継続中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

713: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:21:19.02 ID:s1OnGM4k0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回へ続く 



次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下
1、渋谷凛
2、堀裕子
3、佐久間まゆ


次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS森久保乃々
5、VS塩見周子
6、VS本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)


《CHIHIROと能力》

(安価+6までに過半数の投票で閲覧可能。別の安価との同時投票は有効)

7、池袋晶葉&一ノ瀬志希


716: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:22:57.10 ID:Ip+HZDXDO
1 6 7

717: 名無しさん 2014/03/19(水) 00:22:58.14 ID:8UTQf2BNo



719: 名無しさん 2014/03/19(水) 01:19:50.93 ID:H5YpZhBXo
森久保乃々(14)
no title

no title

721: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:12:58.44 ID:8l6SmDUn0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
渋谷凛


ぶちっ


三つ葉のクローバーが無残に千切れて宙を舞う


凛「・・・っはぁ、はぁ・・・!」


絡みついた根を振りほどいた足とは逆の足にも根が張っている


それを振りちぎると同時に走り出す


クローバークローバークローバークローバー

どこまで行ってもそれしか目に入らない。空の赤色と補色関係の緑、

延々と見続けていると目がチカチカしてくる。だがほかに何もないのだからしょうがない


足を止めるとまた根が私めがけて動き出す。走っている間はただの植物なのに、このクローバーの根は止まっているものを養分にするようだ

ありすたちも最初は逃げ回ったのだろう、だけど限界が来た。体力の問題もあるんだろうけど、多分そう言うんじゃない


凛「どこまで行っても・・・クローバー畑しか、ない・・・」


風景になんの変化もない。こんな中、目的地もなく走り続けるなんて精神的に無理だ。ロボットなら出来たかもしれないけど、ボットたちが朽ちているのを見た限りダメだったんだろう


凛「っく、はぁ・・・」


大した距離を走った覚えはないけど、その場に疲れて立ち止まってしまう

722: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:13:43.92 ID:8l6SmDUn0


凛「おちつけ・・・別に、わざわざ走ることないんだし・・・歩こう」


ぶちちっ


ほんの一秒だけ足を止めて考えをまとめただけでもう両足に細い根がくっついていた


このクローバーには休ませる気が一切ない。

自分たちの上を動き回っている存在が完全に止まるまで追い回すつもりだろう

たしかそう、動物実験で兎だったか鼠を数時間にわたって眠らせないために、

ベルトコンベアみたいなところで動物を延々歩き続かせるというのがあったっけ?

私はいま仮想内だから肉体がない。

だけどあとどれくらい歩き続けられる?

一時間?十時間?一日?一年?


凛「このクローバーは・・・精神的にでも体力的にでも、私が疲れて動けなくなるまで私を追い立て続けるんだよね・・・」


まずわかっていることを口に出して確認する


凛「で、そのクローバーは今のところ、この世界すべてを覆っている・・・だから安全なエリアを探すのは難しい」

緑の大地、赤い空、クローバークローバークローバー

三つ葉、三つ葉、三つ葉


凛「そもそも・・・この世界は何?」


ビルもない、武器もない、青かった空は真っ赤、まさか第二ステージということはないでしょ

それに執拗なまでのクローバーの存在感、推測できる可能性の中で最も信憑性が高いのは



凛「・・・智絵里の能力、だよね・・・」



サッカーボールが巻き戻るだの、一輪車で壁を走るだの、尾行能力だの、鞠に変身できるだの

それどころの規模じゃない。

これはおそらく仮想空間の中に仮想空間をもう一つ作っているということなんだろう

もちろん晶葉じゃないからそれが有り得ることなのかは分からない。実はただ幻覚を見せられているだけで、私の本体(?)はまだビルから落ちたあとの地上に横たわっているという可能性もある

幻覚?そもそも仮想現実自体がハイクオリティの幻覚みたいなものだ。


だから問題はやはり脱出方法を探すことの一点だ

723: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:14:25.44 ID:8l6SmDUn0


私は歩きながらそう結論づける。ここはゲームオーバー後の世界じゃない

だから出口はある。ビルから落ちた私がどうなってこうなったのかはわからないけど



凛「私はまだ、終わってない」




しっかりと自分に宣言する。


私はクローバー畑の中にぐるっと大きく円を描くように歩いたあとその場所に着いた


凛「脱出に使えそうなのは、ここぐらいだよね」







どう見てもドアが枠と戸が突っ立ってるだけにしか見えないけど、仮想現実ならこの扉を開けたら出入り口、なんてことも十分ありうる

足を止めずに扉の周りを観察する

木製みたいだけど所々にあまり派手になりすぎないような金属製の装飾がされていて、

さっきは気づかなかったけどその一つ一つに四つ葉のクローバーの刻印みたいなのがついている

後ろに回り込む、このドアノブは前も後ろもドアノブに鍵がつけられているタイプだ、これじゃあどっちが入口かは分からない

鍵穴らしきところに穴の周りをふちどるようにやっぱり四つ葉のクローバー模様


凛「・・・・・・・・・」

歩きながら足元を見る、三つ葉のクローバーが私の靴に踏まれて、それでも気丈に起き上がっている


三つ葉 三つ葉 三つ葉 三つ葉


目の前の扉のシンボルは四つ葉


三つ葉ばかりの世界に一つだけ四つ葉をイメージした扉

扉の鍵穴にも四つ葉


凛「いや・・・」


凛「いやいや・・・」


凛「いやいやいや・・・まさかとは思うけど」

724: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:16:06.39 ID:8l6SmDUn0

足を止め、視線を上げる

見渡す限りクローバーだらけの世界


みたところ三つ葉しかない




凛「(でも、もしこの中に一本だけ四つ葉があったとしたら?)」




靴を登ってきた根が足首にまで絡みつき始めた





凛「(決まってる、その四つ葉はこの世界じゃ特別な意味を持つはず・・・)」




一瞬気が遠くなりかけたが思い直して足首に絡んだ根を振り切る


ぶちちちっ!





凛「(例えば、四つ葉のクローバーが脱出の鍵、具体的には扉の鍵になっているとか・・・)」





しかし根をちぎるために振り上げた足は次の一歩を進めない


まさかまさかと思うほどほかの可能性を信じられない、

もしそうだったと思うと足が震える、




凛「まさか、扉の鍵は四つ葉のクローバー・・・とか?」




地平線の向こうまで広がっているであろう三つ葉のクローバー畑の中で私はポツリとつぶやいた


第一問

24階建てのビルに入っている机の数を考えて答えよ

第二問

地平線まで視界を埋め尽くすクローバーの本数を考えて答えよ

第三問

その中から少なくとも一本以上、四つ葉を見つけ出せる可能性を考えよ



ゲーム開始?分経過

【ERROR!】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

725: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:16:41.44 ID:8l6SmDUn0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
輿水幸子&白坂小梅&星輝子


ジメジメしたところが良い

トモダチを増やすのが良い

自分達が成長するのも良い


私たちは足を授かり移動を知り


私たちは意志を授かり希望を知り


私たちは擬似の身にて繁殖を望む



ひだの間に音を感じる

傘が誰かの声に震える

柄が悲鳴を感じ取った


あの音を知っているあの声を知っているあの悲鳴を知っている


ジメジメしたところでも、トモダチを増やしているところも、成長しているときでも


あの声は私たちに注がれていた


ゆっくりと、愛を囁くようにかけられていた声が、今は恐怖に乱されている


なんとかしなくてはこの声の主には恩がある


愛情はトモダチを通して十分に受け取った


ジメジメとは言わずとも、今の私がいるところもそれなりの湿度と温度だ


恩に報いるには余りある


授かった足に力をこめろ、柄と傘とひだを震わせろ



まずは

この着ぐるみとやらを内から突き破ってみようではないか


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

_____________

726: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:17:11.84 ID:8l6SmDUn0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

_____________

 輿水幸子  210/300


_____________

_____________

 白坂小梅  210/300


_____________

_____________

 星輝子+  210/300


_____________




仁奈(ボット)「な、なな、なんでやがりますかあああああ!!!???」



身動きの取れない三人のうち、その一人輝子に噛み付いたまでは良かった

着ぐるみとはいえ《M・M・E》に強化された牙の威力は絶大だった

あとは何度か食んでいれば一人ずつ始末できたし、ユニットだったら一網打尽にできたはずだったのだ

翠の能力が発動している間、その体は60メートル地点で地面に固定されるので、噛み付いたとしてもそのまま地面から引っこ抜くことはできないが

逆に言えばどんな攻撃からも逃げられることはない。

《規律反背》《U=パーク》は一方的殲滅が可能な組み合わせのはずだった。


その着ぐるみが突き破られるまでは


幸子「輝子さん!大丈夫ですか!?いえ大丈夫じゃないですね!・・・あぁもうなんで足が動かないんですか!!」

小梅「...しょ、しょーちゃん...い、いまそっちに...あぅ、動けない...」

輝子「い、意外とジメジメしてたぜ...きょ、恐竜の、口の中ってのは」

幸子「実は割と元気なんですか!?」


ついさっきまでティラノの牙から致死級の攻撃をくらっていた輝子に二人が声をかける


そして次に、目の前で起きた激変に三人揃って目を向ける

727: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:17:43.31 ID:8l6SmDUn0



仁奈(ボット)「仁奈のキグルミに、なにがおきてやがりますかあぁあ!?」



ティラノサウルスそのものの巨体が悶えながら壁や地面をのたうち頭を打ち付けている


幸子たちは足を縫い付けられたままその情景を見守るしかない


幸子「あの、・・・あれって・・・」

小梅「しょー、ちゃんの.........」

輝子「フヒ...き、キノコ」







ビッグキノコ「FFFFFFFFF!」


仁奈(ボット)「ティラノのボディになんてことしやがりますかぁあ!??」


仁奈のティラノサウルス。

その喉元の布地をキノコが突き破っていた。

いや、ティラノの喉を食い破るような大きさはとてもキノコとは言えない

幸子「い、いつの間にあんなキノコ仕込んだんですか・・・?」

輝子「いや、えっと、あ...そ、そういえば...い、一匹だけ出したけど」

小梅「で、でも...な、なんでこのタイミング、で......?」

幸子「き、きっと輝子さんのピンチにキノコさんも本気を出したんでしょう!」

輝子「フ、フヒヒ、で、でもここから逃げられ...ない」

暴れる恐竜を前に三人は各々言葉を交わすしか出来ることがない

依然として足は動かないのだ。今に暴れる仁奈の尻尾が三人に振るわれてしまうかもしれない

自慢の着ぐるみを傷つけられてひどく動揺している。ボットとしては9歳児をモデルにしているのだから仕方ない


仁奈(ボット)「仁奈のティラノがぁあ!?」

仁奈(ボット)「こ、こうなったら!仁奈のとっておきの着ぐるみに着替えてやるでごぜーますよぉ!!」


だからいきなり事務所に向けて引き返し始めた、ティラノの体を振り乱しながら

それは相当の混乱の最中の判断だったとはいえ戦略的撤退だった




だが事務所からすれば見境なしの突進にしかならない

728: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:18:13.65 ID:8l6SmDUn0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ズンンン・・・・・・


未央(ボット)「ちょ、ちょっと!?いきなり変なきのこが生えてきたと思ったら仁奈ちゃん戻ってくるよ!?」


卯月(ボット)「あれって・・・こっち見えてないよ、ね?」


小春(ボット)「このままじゃティラノさん、事務所にぶつかっちゃいますよ~?」


雪美(ボット)「..........翠...!」


翠(ボット)「......仕方、ありませんか...」


ズンン!!


戦況は簡単に二転三転する

論理的判断だけではそれを予測するには足りなかった

ボットとはいえ中身は十代の少女と年齢一桁の子供、その揺り返しは大きい

圧倒的有利だったはずの状況から一転、味方が脅威となって自分たちを襲ってきていた



翠(ボット)「................」



その事実を重く受け止め、自分の未熟さを噛み締め、翠は口を開いた



翠(ボット)「......能力、解除...」



四射がリセットされる。そして翠の手に新たに四本の矢が現れた



ズンンンン!!!



仁奈(ボット)「に、に、仁奈のティラノを修理させてほしーですよぉお!!」



事務所に向かって巨大な恐竜が突っ込む

星型ディスクも何もかも蹴散らしながら、無我夢中で突進する


未央(ボット)「に、仁奈ちゃーーーん!!先に能力解除して!!」

卯月(ボット)「ああ!仁奈ちゃん聞こえてないよ!」

小春(ボット)「私の能力も間に合わないです~」

ヒョウくん「・・・」

雪美(ボット)「..........」


ズンンンンンンンンンンン!!!!!!!!


ティラノサウルスが転びかけながらも尻尾を他の建物に乱暴にぶつけながら無理にバランスをとって猛進する


その頑強な後足が事務所へ到達、否、衝突するまでの最後の一歩を踏み込んだ

729: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:18:46.45 ID:8l6SmDUn0





カツッ!!!







その恐竜の足元に矢が突き刺さる


《規律反背》再度発動




翠(ボット)「まさか、仲間に使うことになるとは.........仁奈さん...一度離れて、落ち着いてください」


膨大な運動エネルギーを持った突進が急停止する


仁奈(ボット)「な、なにしやがりますか!?」


首からキノコを生やしたティラノサウルスが後退していく。ビクともしないはずの古代の暴君が引っ張られていく





雪美(ボット)「...多分...輝子.......能力...持ってた...」

未央(ボット)「くぅ~!!油断した!!」

翠(ボット)「なんにせよ、まずは仁奈さんを介抱しないと...」

卯月(ボット)「え?幸子ちゃんたちは?」


翠(ボット)「............」

卯月(ボット)「?」

小春(ボット)「能力がリセットされた隙に逃げたみたいです~」



仁奈が引き戻された場所、さっきまで輝子たちに噛み付いていた場所には、

もう誰もいなかった





ゲーム開始50分

輿水幸子&星輝子&白坂小梅

VS

本田未央(ボット)&島村卯月(ボット)&水野翠(ボット)
&佐城雪美(ボット)&市原仁奈(ボット)&古賀小春(ボット)



プレイヤー側の戦闘放棄により続行不可能


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

730: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:19:35.76 ID:8l6SmDUn0


現実世界
チャプター
池袋晶葉&一ノ瀬志希




志希「泰葉ちゃんってね・・・たんぽぽみたいな匂いがするんだよ!」



晶葉「・・・・・・ここにいない人間の話をされてもな・・・」



そこは相変わらず薄暗く、

機材の山、コードの川、人が入れるサイズの大型カプセルの畑になっていた

唯一の光源、巨大なディスプレイと複数のサブ画面の前で晶葉は難しい顔を、

その後ろで座布団もしかず地面に寝そべりながら志希がゆるい顔をしている


志希「こうね、なんていうのかな?たんぽぽみたいに深く根を張ってる、というか簡単にはブレない、秘めたる心根、、そういう力強さを感じるんだよね・・・・・・泰葉ちゃんをハスハスすると♪」


晶葉「褒めるのはいいが事務所の先輩に何してるんだ君は」


志希「ん~?・・・コミニュケーション?」


晶葉「意思の疎通は双方の合意の上に成り立つものだぞ」


志希「じゃあ違うかー」


晶葉「おい、どうやって匂いを嗅ぎに行ったんだ合意じゃなかったのか!?」


志希「気分の上げ下げが激しくて自分を見失いそうになったときは泰葉ちゃんの匂いを嗅ぐといいね!」


晶葉「話をそらすな。そして誰に勧めているのだ誰に」

731: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:20:10.24 ID:8l6SmDUn0


そんなやりとりの間も晶葉は目の前の画面から目をそらさず、指はキーボードの打鍵を止めていない


そのまましばらくキーを打ち込む音が鳴り続ける






晶葉「・・・・・・ふぅ」


志希「おつかれー、ところで何してたの?」


一段落着いたらしい晶葉の肩に志希が顎を乗せた。晶葉は今更その程度のことには構ったりしない


晶葉「CHIHIROからいくつか不審なエラー情報が送られてきてな、こっちからいくつかコマンドを入力していたのだよ」

志希「えらー・・・?」


晶葉「ああ、プレイヤーが消えただの、ボットが消えないだのそんな内容だ。その程度のことは予想の範囲内だったから対処は易いがな」


志希「ふぃーん。・・・とゆーか、そもそもCHIHIROってなに?」


晶葉「うん?説明しなかったか?」

志希「いや、企業の人にしてたのは聞いてたけどー」

「・・・ああいう、肩書き重視の大人を相手にする用の、いちいち回りくどくて面倒な表現を使った説明じゃなくて、晶葉ちゃん自身の言葉で聞きたいなーって?」


晶葉「・・・そういう砕けた話は私の助手にしかしない」


志希「今は私が助手だよ♪・・・いやむしろ役割分担してるしー、いいじゃんいいじゃん」


志希はごろごろと猫のように晶葉の肩に顎をグリグリと押し付ける

晶葉も変に意地をはるつもりもなかったらしく、ひとつため息をつくと説明を始めた


晶葉「CHIHIROというのは、正式名称は割愛するが、仮想現実空間を観測するために私が1から作ったボットだ。」

「他のボットと違ってこいつにはアイドルの人格がトレースされてたりはしないが、こいつもれっきとした私の作品、ロボットの一つだよ」

「今回の企画にあたってはただ観測する他にもある程度の干渉を許可しているがな」


志希「干渉って何してるの?見てるだけのために作ったんじゃないの?」

晶葉「それは一応本来の役目ではあるのだが、今回は不確定要素のシュミレーションというのがある以上、見ているだけでは困るのだよ」

「世界を歪めようとする要素があれば逐次修正するか、現実にいる私たちに報告してもらわねばな」

志希「世界を歪める、というと」




晶葉「決まっている、ボットやプレイヤーが持つ能力のことだ」




「仮想現実における究極のイレギュラー、最上のバグ、不確定要素の代名詞」


「その使用による仮想空間への傷や後遺症を空間へ干渉し、是正しているのだよ、CHIHIROは」

732: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:20:43.38 ID:8l6SmDUn0

志希「へぇ、能力って晶葉ちゃんが作った道具じゃなかったの?」


晶葉「私が作ったのはキーアイテムだけだ。キーアイテムがどんな能力を開拓するのかは私にも分からん」


志希「?どゆこと?」

晶葉「簡単な話だ、不確定要素が見たいならその種を撒けばいい」


「キーアイテムは特定アイドル専用の、仮想空間の一部を改変するウイルスだ。」


「そのウイルスがアイドルと仮想現実の関係性を崩して作り変えることで能力は顕現する」



志希「・・・・・・おおう、つまり晶葉ちゃん、自分で自分の作ったものを壊そうとしてるわけ?」


晶葉「ばかいえ、あくまで不確定の何かを起こすきっかけのためだ、破壊ではない。取り返しのつかないレベルの崩壊を避けるためにCHIHIROと私が仮想内と現実から見ているのだよ」


志希「はへー、色々考えてるんだねー。」


晶葉「・・・それだけわかってもらえたら十分か。ちなみにこの仮想空間そのものにもなかなか面白い仕掛けがあってな・・・」



だんだん得意げになってきた晶葉が志希が聞いたこと以上の内容を説明しようとした。

が、一旦中断して画面を再確認する


そこには一つのアイコン


晶葉「ちょうどいい今私が説明しようとしていたことだ。みたまえ」


志希「ん?これって・・・」


それはCHIHIROからの、

仮想空間内の変化を報告するボットからの連絡だった

733: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:21:25.19 ID:8l6SmDUn0


































ゲーム開始60分経過


『夜』を開始します

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

734: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:25:20.84 ID:8l6SmDUn0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
泰葉ちゃんは出ませんごめんなさい



次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下
1、北条加蓮
2、緒方智絵里
3、小日向美穂


次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS森久保乃々
5、VS塩見周子

737: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:39:04.93 ID:dIB7t8Tj0
1
4

738: 名無しさん 2014/03/20(木) 00:39:57.70 ID:bL5Z5PlGo
24

741: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:26:01.20 ID:ag37QSz50


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チャプター
北条加蓮

ゲーム開始34分経過

_____________

 北条加蓮  80/100 


_____________



空が青い


仮想空間だからもっと奇抜な色でも面白かったかもしれないのに

まぁ、緑とか黄色の空じゃあ、こうやって縁側に座って見上げるには不合格だろうけど


加蓮「あー、つかれた」


拓海さんを倒してから大体十分後くらいに

アタシは休憩していた

住宅街から脱出することも考えたけど、銃弾のストックもないままにフラフラするのは危険だったから

手近な家、田舎に帰ればありそうな和風の木造建築に入り込むとその縁側で足のしびれが引くのを待ち、呼吸を整えた

都会っぽいところと田舎っぽいところが混在していて、そういう不自然なところがここが仮想であることを再認識させてくれる

ちなみに武器として拓海さんが使っていた木刀が残ったので、アタシはそれを頂戴してある


加蓮「んー・・・」


アタシはぐっと背伸びした後にアキレス腱のあたりを伸ばして、しびれが抜けたかを最終確認する




ターーーーーーーーーーン・・・



加蓮「!?」


どこか遠くから銃声、それもアタシのリボルバーとは質が違う、もっと間延びしたような、狙撃音だ。

思わず右手に銃を構えて腰を浮かせ、周りを警戒する。

742: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:26:35.17 ID:ag37QSz50

狙撃音はそのあと二回聞こえたけど、あたしの近くに何かが来ることはなかった


加蓮「・・・・・・・・・」


加蓮「・・・ふぅ、」


それでもしばらくは臨戦態勢のままにして、たっぷり十秒数えてから構えを解いた


加蓮「リボルバーどころかライフルまで使ってるの?この模擬戦闘。まさかバズーカとか戦車まで出てくんじゃないでしょうね・・・」


なんにしてもこの戦いはアタシの与り知らないところでもガンガン進んでる。

そろそろ復帰しないと置いてかれちゃうな。それは困る


加蓮「じゃあ、最後にこの家の中をちょっと漁らせてもらおうかな」


アタシは縁側を越えると屋内に引っ込んだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
家屋の壁を何かが走っている


ねずみや小虫のように、重力に引かれることもなく


それは見た目は一本の線、壁に入った切り込みのようだった


その切り込みがするすると壁を這い回りながらどこかへと進んでいく


ピタリ


やがてその切り込みは動きを止めた

そうしてみるとその壁にはまるで最初からそこに切り込みがあったように見えてくる


ぎぱっ


切り込みが内から割り開かれる


ぎょろっ


その中には瞳


壁から目が生えていた



「(..........見つけたわ...)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

743: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:27:24.06 ID:ag37QSz50


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

台所には包丁もあったけど、多分木刀の方がいざって時に使いやすそうだからパス


手当たり次第に引き出しを開けてたら銃弾の入った箱を見つけた、アタシのリボルバーにはサイズが合わない、もったいないけど持ち運ぶには重いのでここに置いていく


こたつの上にはミカンの代わりに飴玉が三つほど置かれていたので一応もらっておく


あとは最低限の「家っぽいもの」例えば風呂とかトイレとかの設備があるだけで怪しいものはなかった


加蓮「そこそこ大きい家だと思ったけど一階はもう調べ終わっちゃった、二階も何もなさそうだけど行っとこっと」


木造二階建ての階段を上がる、ポケットの中で飴玉がゴロゴロしてる


飴玉、とうことはこれって杏のキーアイテムだったりするのかな?でも三つもあるけど・・・


階段は短くすぐに二階に到着、物色開始


二階には寝室しかなかった、電気スタンドがあったけどそんなものは武器にはならない。

あとは何もないだだっ広い部屋が一つ。

時間の無駄だったかな。念のためこの部屋を一周してから引き上げようかな


加蓮「いくらリアルでもこんだけ殺風景な家だと現実味が薄れるなぁ・・・」


適当に家具のある部屋もあればこんなふうに何もない、ただ壁と床と窓だけの部屋もある。


アタシは天井に隠し扉でもないかと思いながらその部屋をぐるりと周り、締めに窓から外を眺めた。

周りには二階建て三階建ての住宅、その向こうにそれより少しだけ背の高いテナントビル。


視線を左にやればそれよりも遥かに背の高いビルディングの列が遠くに

右にやれば住宅街の終わりの方に小高い山が近くに見える、

山は一部が舗装されて道路にされていた



アタシは、なんとなく人心地付きたくなってさっき手に入れた飴の一つを手にとった

もしかしたらスタミナ回復アイテムだったりして

744: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:28:23.48 ID:ag37QSz50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





あまり序盤からプレイヤーの数を減らしたくはない




ボットとはいえ、見つけた端から全員各個撃破していくわけにはいかないのだから



こちらは3人、プレイヤーは18人だから単純に考えて六倍の戦力差



もちろん他のボットだっているでしょうけど、私たち以外のボット全員がやられる可能性もある



そう考えると無闇矢鱈と戦闘を行うのはやはり避けたい



『夜』がくればあまり悠長なことも言ってられないけれど、まだそれまでは時間がある。


動けるうちに動いておきましょう



理想は一網打尽


プレイヤーのスタミナと武器を削りながら追い込んでいく


そして少しずつ弱らせながら一箇所に集め、


一気に叩く



堀裕子はちょっとした気まぐれで地下に送ってみたから今は放置、

早坂美玲は逃げたきりまだ見つかっていない、捜索中




じゃあ、まずは目に付いたこのプレイヤーから行ってみましょうか

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

745: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:29:35.93 ID:ag37QSz50

加蓮「あっ」


包み紙をはがした時の弾みで飴玉が転がり落ちた


毒々しい色をした球が床に落ちる


飴玉が割れることはなかったけど、床に落ちた物を口にするのはやや抵抗がある


加蓮「あっちゃあ・・・」


仮想現実だからホコリとかバイキンの心配はしなくていいと思うんだけど

現実の方での生活の習慣としてやっぱりこれを口に入れるのは・・・


でも捨てっぱなしは良くないので一応拾おうと身をかがめた


加蓮「・・・実は貴重なアイテムだったりしてね」


膝を曲げず、体の柔らかさを使ってヒョイっと飴を素手で掴むつもりだった


コロッ


飴玉が床を転がってアタシの指先からずれた。拾い損ねる


加蓮「あれっ?」


コロコロコロ・・・


飴玉は引っ張られるみたいにアタシから離れて転がっていく


そのまま壁にぶつかるかと思ったら、飴はその手前で急停止する

よく見ると床の一部に小さい割れ目ができていて、そこに飴玉がはまりこんでいた


ぎゅぱっ


割れ目が広がった、

違う、割れ目じゃない

あれは口だ、唇の薄さからして女性のもの





加蓮「・・・って、はぁあああっ!??」

746: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:31:12.80 ID:ag37QSz50


床の上にいつの間にか出来た口が転がってきた飴玉を唇で挟んでいる!?

なんで!?


ばりっ ぼりっ ごりっ


そのまま「口」は飴玉に歯を立てると一気に噛み砕いてしまった


加蓮「壁の次は床から出てくるの!!?」


アタシはその唇に銃を向けた。

壁いっぱいの大きな口とかじゃなくて標準サイズの唇だし、アタシの足元に現れたわけじゃないからそんなに脅威じゃない


そのはずだけど、なんの予兆もない出現から考えて、

アタシが後手に回ってしまったしまったのは明白だろう



ぼりぼりぼりぼりぼりぼりっ


飴を噛み砕く音がここまで届く


??「...口は災いの元......なればこそ、それを敵視するのは何も間違ってはいないわ...」



??「でも残念ね...そっちは囮よ......」



銃を構えたアタシの腕が誰かにつかまれる

引き金にかけた指をがっちり押さえ込まれた


加蓮「・・・え?」

壁から生えた手に

・・・って、また壁から生えてくるパターン!?


壁はコンクリートの打ちっぱなしだったはずだ。

そこからコンクリートと同色の灰がかった細い女性らしい腕がこっちに伸びている

窓際にいたアタシは十分届く範囲だったんだろう


加蓮「ちょっ、は、はなしてよ!」


力任せに振り回してもまるでその腕そのものがコンクリート製になったみたいにビクともしない

こっちの腕がコンクリートに埋め込まれたみたい


??「...もうすこし......待っていて頂戴...現実の理から外れてなお、流れる時間に意味があるのならば、だけど...」


ぎょろり


アタシの手と銃をまとめて掴んでいる腕と壁の付け根、

その少し上の方に今度は目玉が生えた、この言葉はさっきから飴玉をかじっている口とは別の方向から響いてくる

747: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:32:17.17 ID:ag37QSz50


??「...今からあなたの仲間に会わせてあげるわ...」


??「......厳しい道程になるでしょうけど、それまで体力を尽きさせないようにね...」



ずずず・・・


アタシの平衡感覚が狂う

いや狂っているのはアタシの感覚じゃなくて、周りの方



??「......私にとってこの世界の物質に明確な差分は存在しない...全てが0か1のリズム」



そうだ!


飴玉が転がり始めた時に気づくべきだった!



??「そんな私にとって...それらのリズムの中に自分を介入させるのは造作もないこと......」



この床、この部屋、いやそれどころじゃない

多分この家ごと・・・



??「...貴方たちがこの世界で見てきた......無機物と定義される物体の内のいくつか......」



傾き始めてる!!



高峯のあ(ボット)「それはもう私の一部よ」




ずずずずずずずずずずず・・・・・・






ゲーム開始38分

高峯のあ(ボット)VS不特定多数のプレイヤー


開始、あるいは継続中


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

748: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:32:50.19 ID:ag37QSz50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チャプター
双葉杏&諸星きらり


パタン


きらり「にゅ?」


パタンパタン


杏「え?なに?」


パタンパタンパタン


未だに再会の喜びを噛み締めるきらり、なされるがままの杏


仲睦まじいとも言える二人の耳に妙な音が届く


パタンパタンパタンパタン


それは例えるならタイル

白と青で交互に並んだ1メートル四方の薄い板がどこからともなく現れて地面に敷かれ始めていた

軽い素材で出来ているらしい、耳障りというほどでもない音量でピッタリと地表を埋めていく


パタンパタンパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ



四角いタイルを使って大きく四角形を作り上げるように、部屋に敷かれたカーペットの模様のように青色と白色が交互に並んでいく


きらり「杏ちゃん?なんか、ぱたぱたーってなってるゆ?」

杏「そうだねー、あれ、これ杏たち包囲されてない?」




パタパタパタパタパタパタパタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ

749: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:33:24.81 ID:ag37QSz50


その通りだった。外側から正方形の辺に沿うように、さらにその幅を小さくしていくようにタイルは公園の地面を埋めていく


角ばった螺旋を描くように、中空に突如発生した、としか言えない量のタイルがその中心のきらりと杏めがけて包囲網を狭めていった


杏「こ、これ絶対めんどくさいやつだよ!きらり脱出!」


きらり「おっつおっつばっちし!きらりん☆だーっしゅ!」


なんか知らんがヤバそう


自分たちが(正確には自分を担いでいるきらりが)踏んでいる地面を埋め尽くそうとしているタイル、

これが完成したらおそらくめんどくさい、杏はそう判断した


なんとなくタイルは踏まないほうがよさそう、きらりはひとっ飛びにタイルでできた包囲網の端を目指す


きらり「きらりーーーん・・・っジャーーーーーーーーーーンプ!!!」

杏「ぐえっ」


きらりが自分たちを囲むタイルを飛び越える、ドーナツ状にタイルで囲まれたエリアからその外に飛び出そうとする



カッコン


きらり「にょわっ!?」


だがもう遅かった

二次元的に二人を囲んでいたタイルは既に三次元での包囲に移ってしまった


次のタイルはただ地面に置かれるのではない、

突き刺さるように垂直に突き立ち、カーペットではなく壁を作り始めた

750: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:33:53.41 ID:ag37QSz50


何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も
何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も
何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も
何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も垂直に突き立っていく


タイル敷きの地面同様に青と白の模様だ

今にも安全地帯、タイルのない地面に届こうかというきらりの右足がタイルでできた壁にはじかれる



カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン
カッコン カッコン カッコン



きらり「にょ、にょわ~・・・」


杏「・・・もう杏しーらない・・・」


タイルでできた巨大な箱に二人は閉じ込められた、もはや空しか見えない

だが、さすがのきらりも空は飛べないのでそこから脱出するのは不可能そうだ


そして唯一出口らしい天井もタイルが埋め尽くしていく


杏「・・・これ閉じ込められた」

きらり「やばーい、真っ暗になっちゃうにぃ・・・」


日光がタイルに遮られていく


パタン


そして最後のタイル一枚分だけ開いたスペースから見えていた空も完全にシャットアウトされた

751: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:34:54.69 ID:ag37QSz50

杏「うわ、真っ暗、眠たくなってきたよ杏は」

きらり「杏ちゃん、ここで寝ちゃダメだにぃ!」


密閉された暗闇の空間、だがそれは以外にもすぐに終わった

タイルのうちの何枚かが照明のように淡く光り始めたからだ

にわかに箱の中が明るくなる。青色の灯りが二人の顔を闇から浮き彫りにする

そして明るくなったことでその変化にも気づいた


きらり「杏ちゃん、あれ見て?」

杏「ん、なに・・・・・・飴?」


ぼんやりと青色に染められた小さな空間の中、

六枚のタイルで出来た立方体のテーブル

その上に飴が置かれていた


さっきまではなかったものである


きらり「杏ちゃん・・・」

杏「あ、怪しすぎる・・・」


閉じ込められた場所で出された飴、

いくら杏でも自分たちを閉じ込めた犯人も、このタイルの仕組みも分からない中で口にしようとは思わなかった


タイルの壁、床、テーブル

タイルづくしの世界の中で唐突に現れた飴玉


杏「杏、密室クリアするゲームとかもしたことあるけど、こういうのは見たことないな・・・手がかりが飴一つって・・・」

きらり「でも杏ちゃん・・・食べちゃ、めっ!だゆ?・・・あっ!!」


暗転


きらり「にょにょ!?」


その瞬間、すべてのタイルの照明が消え、暗黒が戻った


点滅


杏「あれっ?」


だが一瞬の後、また灯りが灯る、次は白いタイルから発せられる清潔な光が二人を照らした


きらり「あっ!」


また変化が起きていた



きらり「飴、なくなっちゃったにぃ?」

752: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:36:41.67 ID:ag37QSz50



タイルのテーブルと一緒に飴玉がどこかに消えている

さっきの明滅の間に空間が変化していた


次に杏たちの目の前にあったのは二つのテーブル、またもタイルの立方体でできたものだ


杏「今度は台がふたつ・・・で、その上にあるのは」


一つのテーブルの上には黒光りする鉄塊

もう一つには鋭く尖った細い金属




光源の安定しない狭い密室、



そこに閉じ込められた二人の前に様々なものが差し出されるように現れる





最初に置かれていたのは飴だった









そして今、二人の前には銃と刀が置かれている



753: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:38:22.94 ID:ag37QSz50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




乃々(ボット)「もりくぼはなにもいりません」





乃々(ボット)「飴もムチも、アイテムも武器もいりません」



乃々(ボット)「なんでも持って行ってください」



乃々(ボット)「ただ静かに、誰にも邪魔されず暮らしたいだけです」



乃々(ボット)「そのためならなんだって差し上げましょう」



乃々(ボット)「もりくぼにとっては、そんなの、能力内にしまっておくだけでコストがかかるだけの重荷ですし」



乃々(ボット)「なんでもあげます。もりくぼは平穏のためなら全てをなげうちましょう」



乃々(ボット)「でも、あなたたちのスタミナは代わりに置いていってください。でないともりくぼは死んでしまいますから...」



_____________

 森久保乃々+ 87/100


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_____________

 双葉杏+  99/100


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_____________

 諸星きらり 99/100


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ゲーム開始37分経過


諸星きらり&双葉杏VS森久保乃々(ボット)

継続中


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

754: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:42:09.89 ID:ag37QSz50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
起承転結でいうと承


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、三好紗南
2、渋谷凛
3、神谷奈緒

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS森久保乃々
5、VS塩見周子
6、VS高峯のあ

757: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:48:09.56 ID:IumymNK40
3
6

758: 名無しさん 2014/03/21(金) 00:56:10.43 ID:aJn/7QHio
3 5

760: 名無しさん 2014/03/21(金) 08:57:02.46 ID:oxDy5yfJo
高峯のあ(24)
no title

no title

761: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:22:51.23 ID:yeUOdhdx0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
神谷奈緒


ボットたちの動きに齟齬が生じ始めていた


非戦闘的な能力しか持たないゆえにプレイヤーを分断する作戦をとった八神マキノ


強力な能力を有するがゆえにプレイヤーを一固まりにして大戦力で一気に叩く作戦を実行する高峯のあ


真逆とも言える作戦、どっちがプレイヤーたちに有効なのかは結果が出るまでわからない


だが少なくとも、

自分たちの作戦を推し進めるにあたって、強力な実行力を持っていたのは後者の陣営だった


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

住宅街が破壊されていく


膨大な質量に骨組みごと粉々に砕かれ、ごく普通の家屋ががれきへと転じていく


その巨大な物体は軌道上の家々を引き潰していく


そのさまは解体現場におけるブルドーザーの有無を言わせぬ破壊的行進に似ている


ただ今回に限って言うならその行進により住宅街にがれきで出きた太いラインを引いているのもまた家であったということか


おそらく和風の家屋、二階建てであったであろう建造物がまるで巨人のホッケーパックのように住宅街を滑りながら障害物となる他の住居を突き破っていく


まるでどこかを目指しているかのように一直線に、緩やかであるが決して速度を緩めることなく、破壊の行進を続けている


その家だけだはない、住宅街の外れ、都市郊外からも一件の3、4階建て程のビルが障害となる家をすりおろしながら動いている


このビルにも、先の日本家屋同様に中にはプレイヤーが閉じ込められたまま運ばれているのだろう




無機物と一体化する能力者、高峯のあ




寝返りを打つように、カメラに向けるポーズを変えるように、

彼女はこの仮想現実の地図を、破壊という画材で塗り替えていく


762: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:24:38.37 ID:yeUOdhdx0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その有様を黙って眺めているボットがいた。

彼女はプレイヤーを分断して各個撃破する気も、一網打尽にする気もなかった

ただどうせなら自分が納得する形、正々堂々としていて自分にも他人にも誇れる決着のつくような勝負を望んでいた


そんなボットが、最初に遭遇したプレイヤーが瀕死だったのは偶然か必然か




?「なんてゆうたか・・・日本の怪獣映画のなんかじゃあ、あの変な家よりもっとゴツい怪物が都会のド真ん中でビルとかなぎ倒していくんかのう」




標高的に周りより少しだけ高所となる地点、住宅街を見下ろせる位置に彼女たちはいた


一人は背が低く小柄な体躯で鉄柵に腰掛け、眼下の破壊行進を眺めている




手持ち無沙汰気味に膝に置かれた右手首には手錠がつけられている、

そして手錠の反対側には少女の手にはどう考えても不相応な大型銃がつながれていた

おそらくは、うっかり取り落とさないように銃と手首をつないでいるのだろうが

その不釣合いなサイズではまるで囚人につながれた鉄製の重しのようにも見えた


?「おうおうなんじゃ・・・あの家ども、こっちに来とるけん、逃げたほうがよさげかもしれんのう・・・」


そう言ってもうひとりの少女に声をかける

体を振り向かせた時に手錠の鎖がチャリリと鳴った

声をかけられたもうひとりは、鉄柵から少し離れたベンチにぐったりと体重をかけ力の入らない体で必死に意識を保っていた



奈緒「・・・あぁ、そうかも・・・でも、どこに、逃げるってんだ」









村上巴(ボット)「さぁ・・・何処にしたもんかのぅ、まぁうちも考えるけん・・・ワレのことやろ、必死こいて頭ひねらんかい、スタミナも空っ穴なんじゃろ?」

763: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:25:17.16 ID:yeUOdhdx0

梅木音葉との戦闘で即死は免れたものの虫の息と言っても過言でない状態で奈緒は言葉を返す


巴(ボット)「なんにせよ、ワレみたいなボロボロの相手なんぞお断りじゃ」



巴(ボット)「かといって見逃すゆうのも、やっとこさプレイヤー見つけた身ぃとしては癪やけん・・・奈緒さん、せめて半分くらいは回復してもらわんとな」



巴(ボット)「死にかけの相手にとどめさしただけ、そんなんうちの女が廃るけえの」


まるでもみじのように小さい掌に無理に大型銃を握り込み、巴はニッと笑った


ボットやプレイヤーの持つ能力は仮想空間にとってのイレギュラーである


そしてボット、村上巴


模擬戦闘という奸計と武力が蠢く戦争の場において決闘めいた古風な勝負のつけ方を望む彼女もまたボット全体にとってのイレギュラーだった


奈緒「・・・なあ、なんで、・・・あたしのこと助けて、くれたんだ?」


巴(ボット)「あぁ?寿命伸びただけで何を勘違いしとるんじゃ奈緒さん、そのうち、うちときっちりやりあってもらうけえの、今のうちに精々覚悟決めときいや」





ボットは蠢く

プレイヤーと共に






ゲーム開始40分経過

神谷奈緒VS村上巴(ボット)

開始延期


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

764: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:25:49.47 ID:yeUOdhdx0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
大和亜季&小関麗奈

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それはじっと待っていた

役に立つ時を、真の機能を発揮する時を

地面に横たわりながら、その手が触れる時をじっと待っていた

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

麗奈の体に散弾が食い込む、そして貫いた

もちろんこれはゲーム、その弾痕が痛々しく赤黒い穴を残すことはない

だが、その衝撃は13歳の体躯を容易に吹き飛ばす


麗奈「っぎ・・・!?」


背後は最悪なことに窓だった


この部屋に僅かながら光を取り込んでいた窓のガラスを突き破る


二階から麗奈の体が落ちていく


亜季「麗奈っ!!」

自身も脇腹のあたりを銃弾に貫かれながら亜季が自分の仲間の名を叫ぶ


同時に窓に向かってスタートダッシュを踏み込んだ


亜季「(麗奈から離れるわけにはいかない・・・!二階程度なら受身を取れば飛び降りられるであります!!)」


周子(ボット)「いや、させないけどね?」

その前に周子が立ちはだかった

策がうまくいったのが嬉しいのか、尻尾がパタパタと喜悦を表すように振られている


だが亜季は止まらない、所詮は幻影、物理的に食い止められるなら止めてみろ

そしたらそれが本物の周子だ、こっちから逆にCQCを叩き込んでくれる


周子(ボット)「ユニットは分断するほどやりやすいんだよねー、一人倒せばみんな倒したことになるし」


周子は動かない、

まだ自分の使う幻覚の有効範囲が視覚限定であることを見抜かれていないと高をくくっているのだろうか

余裕がその立ち姿から溢れていた


亜季「ふっ!!」


その体にタックルを決める、だが周子の体は煙のように散らされるだけで亜季に反作用が来ることはなかった

亜季は別にそのことに驚いたりしない、むしろ好都合だ

さぁ飛び降りろ、窓辺まで数十センチ

765: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:26:29.35 ID:yeUOdhdx0













周子(ボット)「ばぁん」


その数十センチの短い距離にいた本物の周子が引き金を引いた



パン!



彼女は自分の幻覚の姿の、ほんの少しだけ後ろに待ち構えていたのだ

幻影を亜季が通過してくることを見越して


銃弾はほぼ真正面から突っ込んできた亜季の額を少しずれ、こめかみを掠めた


亜季「くぁっ!!」


勢いを殺され、横に倒れこむ


下手すればそのまま即死だったが、やや前傾態勢だったためそれを免れたのだ


周子(ボット)「一体全体、何が嘘で何が本当なのかなー、あたしもわかんなくなってきたよ」


亜季「くっ・・・」


周子(ボット)「でも、これは実弾だから安心してね」


ダンボール箱を巻き込んで倒れた亜季を見下ろすようにしながらハンドガンを構える





周子(ボット)「じゃね♪」







766: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:27:54.26 ID:yeUOdhdx0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それは足音を感じ取った

自分に駆け寄る音だ

それはこの足音を知っている

それは足音の持ち主に拾い上げられた

小さな手が自分をしっかりと掴んでいる


それはキーアイテムだった


地面に放置されたままだったが、ついに今その真価を発揮した


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「こんの・・・バカギツネーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


周子(ボット)「!!?」


亜季「え!?れ、麗奈?」



ビシッ



窓に背中を向けていた周子の背中に軽い何かがぶつかった


窓の外、一階から投げつけられたのだ

周子は本物の自分の背中にあたり、床に落っこちたそれに目を向ける


周子(ボット)「・・・おもちゃ・・・厚紙?」


床の上には手作りのおもちゃに使われる部品のような、丸めた厚紙をテープで留めたようなものが落ちている

どう見ても丸めたゴミだ


麗奈「これでも喰らいなさい!!」


引き続き麗奈は手に持ったガラクタを二階の窓の中、周子に投げつける


二階から落とされたあと、拾ったのだろう

ダメージからの復帰の早さは驚嘆に値する

これも骨折のない仮想現実のなせるわざか



周子に投げたのはそのガラクタの一部



厚紙やガムテープで作られたジョークグッズの一種、


不発の、使い物にならなかったはずのガラクタ


麗奈のボットが使っていたオモチャ

767: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:28:28.91 ID:yeUOdhdx0


スペシャルレイナサマ砲

ボットが消えたあともその場に残り、だが麗奈本人からはスルーされていたそれ、


手近にあった投げやすいものだから、という理由だったが、それはついに麗奈に拾われた


小関麗奈のキーアイテム


ピコン


そして麗奈の能力が発動した



それは、ボットと違い不発などではなかった





今回はしっかり爆発した







本物の周子はこの瞬間、初めてダメージを受ける






ゲーム開始30分経過

小関麗奈 能力獲得

小関麗奈&大和亜季VS塩見周子(ボット)

継続中


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

768: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:48:55.89 ID:AH5LDOKiO

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ボットは消失したけどバズーカまで消えたとは書いてませんでした


次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下

1、佐久間まゆ
2、渋谷凛
3、星輝子

次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下

4、VS森久保乃々
5、VS塩見周子
6、VS高峯のあ

771: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:54:37.98 ID:FYFSzVI0o
14

772: 名無しさん 2014/03/22(土) 00:55:39.24 ID:DcOkrX8P0
25

773: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:04:15.53 ID:2MtHrapt0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
佐久間まゆ


まゆ「これで、音葉さんは倒せましたかねぇ」


手近にあった机や椅子を組み上げて作った銃座

そこに置いたスナイパーライフルのスコープから目を離し彼女はそばにいた二人に確認する


紗南「・・・えっと、うん・・・」


紗南は手元のゲーム機を横や縦に傾けて確認する

画面はサーチモード

さっきまではそこに梅木音葉の情報が表示されていた

あとはゲーム機が反応した直線上に銃を向け、照準を合わせ

まゆが引き金を引いただけ


サーチモードの効果範囲は非常に限定されている

だからゲーム上部の直線上にいるアイドルにしか反応しない

しかしそのおかげで紗南は春菜の位置に気づけたし、音葉がいる方角を探知できるのだから痛し痒しといったところか

遠い距離であるほど微調整が必要であるから簡単なことではないが

漠然と近くにいる、という情報だけでは遠距離狙撃などとても無理だったことを考えればやる価値はあった


美穂「なんていうのかな・・・紗南ちゃんらしい能力だね」


紗南を膝の上に載せた美穂が感心したように言葉をもらす

今はぬいぐるみの状態ではない人間の形態に戻っている

ぬいぐるみはというと紗南と同じように美穂が膝に抱いていた

774: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:04:41.41 ID:2MtHrapt0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

上条春菜を倒したすぐあと、そのボットが手に持っていたロングレンジ用の銃が持ち運べるかを確かめていたところに紗南が現れた

その様子はどうみても疲労困憊、長時間ストレスにさらされた者のそれ、

さらに謝られるわ、春菜を倒したお礼を言われるわ、の大わらわだった。



美穂「紗南ちゃん、もうそろそろ落ち着いた?」

紗南「うーん、まあ大分マシになった・・・」

紗南をぬいぐるみと一緒に抱きしめながら美穂がその顔を覗き込む

美穂「そっか・・・・・・よかった」



まゆ「それにしても、紗南ちゃんも能力があるんですか・・・まゆ、ちょっと焦っちゃいますねぇ」



ライフルは置いたまま、まゆは近くにあった椅子に腰掛ける

美穂「そんな焦らなくても・・・まゆちゃんは今でも十分強いよ?」

紗南「そうだよ、あたしなんてボット一人相手に大苦戦しちゃったし、ゲームっていう割にはかなりガチだもんこれ」


まゆ「うふふ、ゲームである前にお仕事ですから・・・手抜きは許しませんよぉ?」


美穂「ま、まゆちゃんが、許さないなんて言葉を使うとちょっと怖いかな・・・あはは」

紗南「・・・う」


まゆの服には相変わらず刃物が仕込まれている、それに美穂はまゆの容赦ない攻撃も目の当たりにしていた

いま、こともなげに音葉を狙撃したことといい、その外見と行動力に裏打ちされた言動は底知れぬ恐ろしさがあった


紗南「えっと、あっと・・・じゃあ!そろそろ次のボットとか探してみよっか・・・?」

美穂「そ、そうだね!」

まゆ「・・・?」


少しばかり肌寒くなった空気を払拭するように紗南がゲーム機のスイッチを入れる

使うのはもちろんサーチモード、コントロールモードはまだ使いこなせてないためしばらく使うことはなさそうだ

775: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:05:28.93 ID:2MtHrapt0


まゆ「あ、それでしたら・・・智絵里さんも探してくれません?」

紗南「智絵里さん?まぁプレイヤーも探せるけど・・・個人を指定して探したりは難しいよ?」

まゆ「いえ あくまでできたら、の話ですから・・・最優先はやはりボットですので」

美穂「まゆちゃん・・・」

紗南「えっと・・・」


ゲーム機からガリガリと稼動音が小さく鳴る

このあとしばらく角度を調整すればそのうちどこかしらの情報をキャッチする手筈となっていた

そして方向の探知からすかさず遠距離狙撃。美穂が体を張ったおかげでライフルの弾丸が余計に減ることはなかったため残弾にも余裕がある




偶然ではあったとはいえ、まゆたちはサーチアンドデストロイ、敵を見つけて即座に討つ装備を揃えていた






紗南「あっ!見つけたよ、画面が反応してる!」


美穂「もう!?・・・音葉さんを見つけた時より早いんだね」


まゆ「ということはもしかして、近くに来ているのかもしれませんね」


次なる接敵にやや浮き足立つ二人と対照的にまゆは気を引き締める












紗南「でた、次のボットはのあさんだよ!」



776: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:06:04.88 ID:2MtHrapt0




美穂「のあさんもボットなんだ・・・プレイヤーでもおかしくなかったけど」

まゆ「紗南さん、名前より先に能力を教えてください、対策を講じた上で攻撃します」


探索と特定は終了

まゆは椅子から腰を上げるとライフルに手を添えた、視線は窓の外に向けている



紗南「のあさんの能力は・・・えっと?『オブジェクトとの同化』・・・?」

美穂「?それってどういう・・・」

まゆ「いまいちピンときませんねぇ、ほかの説明文はないんですか?」


紗南はそのシンプルな一文が表示された画面を見て

美穂は紗南の肩越しにやはり紗南の手元を覗き

まゆは説明の不十分さに紗南の方を振り返った

だから




のあ(ボット)「.......こういうことよ...」




一歩出遅れた


まゆ「!」

美穂「きゃあっ!!?」

紗南「ぼ、ボット・・・!」


のあは、いつの間にかすぐそば、三人が視線を外していた窓のこちら側、ライフルの銃座に寄り添うように立っていた


ひゅんっ


のあが右手をほぼ垂直に振り上げるとそれだけでその右手の軌道上にあったライフルは銃座ごと真っ二つにされた


一瞬のことではっきりとはわからなかったが、それはまるでライフルにのあの右手が溶け合うように同化して、そして分離されたように見えた

その証拠に間近にいた三人の耳には破壊音も切断音も聞こえなかったし、ライフルもあっさりと二つに断たれ、まるで今まで接着剤でくっつけられていたのが取れたのかと勘違いしかけた

777: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:07:52.77 ID:2MtHrapt0


まゆ「(なるほど、こんなに近くいいればそりゃ反応しますよねぇ)」


左手を突き出しながらスカートのリボンに差し込んでいた刃物を指に引っ掛ける

流れるようにそれを握りこんだままのあに突き刺す


のあ(ボット)「...さすがね...」



しかしその刺突は皮膚で止まった

否、のあの体から突き出てきたコンクリ片のようながれきに食い止められ刃のほうが欠けてしまった


紗南「ひぇっ!?どど、どうなってんのそれ!?」

美穂「ま、まゆちゃ・・・」

体から不自然極まりない物体をはみ出させた、悪趣味な彫刻のような姿に二人はおののく


まゆ「っく・・・!」

まゆは攻撃を休めない、そもそも伸ばせなくても手の届きかねない距離、逃げるのは敗北に直結する

反対の手、そこに細身の、メスに似たナイフを2本まとめて握る、まゆの手は小さいがそれでも握れないことはなかった


それを至近距離で投擲する



のあ(ボット)「......この世界に実体はない...故に私にもまた実体という言葉は意味を持たないわ......」

「....私も世界も、所詮同じ紙に同じインクで描かれた絵でしかないのよ......」



だがそのナイフはのあの細い胴にぶつかるとそのままするりと体に吸い込まれてしまう


まゆ「効かな、い・・・?」


やはり能力がないと、自分はポンコツなのか___


美穂「まゆちゃん!!逃げるよ!」


ぐいっ、と後ろから手を引かれる、美穂と紗南が逃走を決意したらしい


だがやはり一歩遅かった

778: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:08:38.33 ID:2MtHrapt0


ベギギギギギギギギギギギ!!!!!!


のあを中心として爆発的に広がったひび割れが壁と天井を網羅する


紗南「て、天井が崩れるよ!」


三人で出口に殺到する

だが、防がれる、塞がれる

天井から降臨した物体によって



それは巨人の手

灰色の、生を感じさせない無骨な手


コンクリのがれきの手の平、

建物の骨組みとなる鉄骨でできた指

割れた蛍光灯が爪のように指先で尖っている




廃材を利用した芸術作品、と言っても通りそうな外見のそれは三人を床に押し付けた

三人にとっては天井が崩れてきたほうがマシだったろう、この手にはがれきの重さに何か得体の知れない膂力が加味されているのだから


美穂「あうぅ・・・ふぇ」

紗南「づ、づぶれる・・・」

まゆ「こんなの・・・むちゃくちゃです!」


絶妙に、潰れないように力加減をしながら、それでも限界ギリギリの圧力でスタミナを削る


のあ(ボット)「...今はまだ苦渋の中、地に伏していなさい...けれど...貴方たちはまだ、永遠の眠りにつく刻ではないわ」


うめき声を見下ろしながらのあは静かに立つ



ゲーム開始38分

高峯のあ(ボット)VS不特定多数のプレイヤー


開始、あるいは継続中

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779: 名無しさん 2014/03/23(日) 01:14:39.15 ID:2MtHrapt0


ベギギギギギギギギギギギ!!!!!!


のあを中心として爆発的に広がったひび割れが壁と天井を網羅する


紗南「て、天井が崩れるよ!」


三人で出口に殺到する

だが、防がれる、塞がれる

天井から降臨した物体によって



それは巨人の手

灰色の、生を感じさせない無骨な手


コンクリのがれきの手の平、

建物の骨組みとなる鉄骨でできた指

割れた蛍光灯が爪のように指先で尖っている




廃材を利用した芸術作品、と言っても通りそうな外見のそれは三人を床に押し付けた

三人にとっては天井が崩れてきたほうがマシだったろう、この手にはがれきの重さに何か得体の知れない膂力が加味されているのだから


美穂「あうぅ・・・ふぇ」

紗南「づ、づぶれる・・・」

まゆ「こんなの・・・むちゃくちゃです!」


絶妙に、潰れないように力加減をしながら、それでも限界ギリギリの圧力でスタミナを削る


のあ(ボット)「...今はまだ苦渋の中、地に伏していなさい...けれど...貴方たちはまだ、永遠の眠りにつく刻ではないわ」


うめき声を見下ろしながらのあは静かに立つ



ゲーム開始38分

高峯のあ(ボット)VS不特定多数のプレイヤー


開始、あるいは継続中

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