1: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:36:27.46 ID:lD6HIUKZ0


リョウ「すまんロバート、お前とは付き合いも長いが、言ってる意味がわからん」

ロバート「まぁ聞けやリョウ。実はワイは以前から密かにアイドル事務所を作ってみたかったんや」

リョウ「そうなのか、初耳だな」

ロバート「誰にも言ってなかったからな」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482154587

引用元: ・【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」

2: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:38:30.66 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「それでやな、こないだのガルシア財団の定例会で思い切ってこの案をぶち上げたんや。日本でアイドル事務所を設立してみてはどうかっ!てな」

リョウ「ほう」

ロバート「幹部全員猛反対。親父なんかワイのことアホ呼ばわりやで」

リョウ「まぁしょうがないんじゃないか」

ロバート「まぁそれでもワイも男やからな。ほんならエエわい!ワイが勝手にやったるわって啖呵切ってもうたんや」

3: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:41:19.89 ID:lD6HIUKZ0


リョウ「……それで?」

ロバート「まぁそういうわけで財団からのバックアップは一切なし。それでワイは自分のポケットマネーでプロダクションを設立したんや」

リョウ「それいくらかかるんだ……」

ロバート「聞きたいか?まず東京の都心に土地買って、ハコを作って……」

リョウ「いや、もういい」


5: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:44:31.31 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「やから、基本的に予算がない。他所からプロデューサーも雇えんほどにな。そしてワイは社長として経営の方に専念せなアカンから動けない」

リョウ「……それで俺か?」

ロバート「そういう事や。いやでも全部お前にやらせる訳やないで?限られた資金の中から優秀な事務員も雇ったから、経理とか総務とかその辺はワイとその人に任せればエエ」


ロバート「せやから、お前に任せたいのはアイドルの女の子に付いてもらって送迎やらスケジュール管理やら心のケアやら、ようはお世話や」

6: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:47:42.38 ID:lD6HIUKZ0
リョウ「待て。……そこだ。ご存知の通り俺は今まで空手しかやってこなかった男だぞ?そんな男に年頃の女の子の世話が出来る訳ねぇだろう」

ロバート「いやいや。リョウ、お前はかつて師匠が失踪した後、状況がそうさせたとは言え、妹のユリちゃんを立派に育て上げたやろ。まぁ元々ユリちゃんは超絶可愛かったけど、それでもお前が育てたあの娘は今まさに世界の至宝とも言うべき可愛さを誇っとる。ワイの未来の嫁や」


ロバート「それはつまり、お前にはプロデューサーの才能があるっちゅうこっちゃ!」


リョウ「俺はただ、せめてユリには不幸な暮らしをさせたくなかっただけだ……」

7: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:51:42.62 ID:lD6HIUKZ0
リョウ「それに年頃の女の子なんてどう接すればいいのかわからん」


ロバート「何を言うてんねん、お前はキングに、それにあの藤堂の娘と、意外と女っ気があるやろ」



ロバート「それになんや、ワイにはお前が違う時空で乙女ゲーに攻略対象として出演しとるような気さえするんや……このワイを差し置いて」



リョウ「何を訳わからない事を言ってんだお前は……それにキングとはお互いにいいライバルというだけだし、藤堂のはあっちが俺を恨んでいるだけだ」

8: 名無しさん 2016/12/19(月) 22:54:10.35 ID:lD6HIUKZ0

リョウ「それに俺はこう見えて親父から道場を任された身だぞ?日本に行って道場を空ける訳にはいかんだろ」

ロバート「おお、その件やったら師匠からはもう了解を得とるで」

リョウ「な、なんだと!?親父が!?」

ロバート「ああ……」



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9: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:00:16.48 ID:lD6HIUKZ0
前日、道場にて


タクマ「ならん!!」

タクマ「道場が代替わりしてこれからという時に、日本に行って、その、アイドルの、プロ……なんとかだと?」

タクマ「せめて武者修行にでも行くというなら考えてやっても良かったものの……アイドルだと!?」

タクマ「軟弱という他はない!!」

ロバート「まぁまぁ師匠、これはワイだけやなくて極限流全体に取っても有益な話でっせ?」

タクマ「……む?」

10: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:04:19.36 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「まず、この事業で出た利益の5%は極限流に収めます」

タクマ「……」

ロバート「次に、極限流をスポンサー企業として、アイドルが露出した際には衣装に文字を入れたりして極限流をPRさせていただきます。いずれ日本で道場を開く時にはもう知名度抜群で入門希望者が後を絶たんでしょうなぁ」

タクマ「……」

ロバート「更に3つ目、これが重要。リョウを日本で事務所の経営に関わらせる事によって、将来の道場経営を盤石にさせます」

11: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:09:33.32 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「これまでは極限流は師匠の卓越した!天才的な!経営戦略眼によってここまで成長した訳やけど、リョウはズブの素人や。そんな素人が訳も分からんまま経営に乗り出したところで生き残れる訳あらへん。いくら本人の空手の腕が立っても、今の時代、そんな甘くありまへん」

タクマ「……うむ」

ロバート「そこで、お勉強が必要なわけです。偉大なる師匠に一歩でも近づくために」

タクマ「うむ」


ロバート「……それに、あまり大きな声では言えまへんけど、日本でリョウのええ相手でも見つかれば、それは……」

タクマ「……極限流の世継ぎの誕生という訳か」

ロバート「さっすが師匠!理解がはようて助かりますわ!」

12: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:13:47.90 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「極限流への収入と未来への開拓!まさに一挙両得ゆうヤツですわ!」

ロバート「さて。師匠、改めてこの、話……どないでっか?」

タクマ「……」

ロバート「……」

タクマ「ええい!ロバート、何を悠長にしておる!早く準備をせんか!」

ロバート「よっしゃ!」
ガッツポ



ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

14: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:18:08.17 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「師匠は「リョウ、何事も経験だ!道場は儂に任せて日本に行ってくるが良い!」って言うとったで」

リョウ(親父……騙されやがったな……)

ロバート「ほらほらぁ、師匠の了承まで得とんのやからはよ決めてまえや~」

リョウ「う~ん……しかしだなぁ……」

ロバート(意外と粘りよるな……ほなホンマはこの手は使いたくなかったけどしゃーない)

15: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:22:01.49 ID:lD6HIUKZ0
ロバート「……はぁ、お前が手を貸してくれへんなら、もうユリちゃんの手を借りるしかないなぁ」

リョウ「……なに?」

ロバート「なんせユリちゃんはあの可愛さや。日本でアイドルやればもう人気爆発!ファン激増やろなぁ」

リョウ「おい、待て」

ロバート「そうなるとユリちゃんに言い寄るヤツも大勢現れて、業腹ながらこのワイから誰か得体の知れないバカみたいなヤツがユリちゃんを奪っていってしまうかも。ワイは社長業で忙しい訳やし」

リョウ「おい。こら」

ロバート「あぁ、悲しいなぁ、でも他に手は無いんやしな~誰かがプロデューサーになってくれればユリちゃんに頼まんでもええんやけど」
チラッチラッ

16: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:27:45.38 ID:lD6HIUKZ0
リョウ「くっ……」

リョウ「わかった!良いだろう!ロバート、極限流に不可能は無い!」

ロバート「よっしゃ!お前ならそう言ってくれると思っとったで!」
ガッツポ

リョウ「だが、いくつか条件がある。それは飲んでもらうぜ?」

ロバート「よっしゃ、ワイも男や、可能な範囲なら条件、飲ませてもらうで」


ロバート「それなら早速準備して日本に発つで。目指すは超一流プロダクション、そして財団のアホ幹部と親父に目にもの見せてくれるんや!」


リョウ「俺はそっちはどうでも良い」

17: 名無しさん 2016/12/19(月) 23:30:28.64 ID:lD6HIUKZ0
リョウ・サカザキ
(ロバートに)人質に取られた妹を守るため 危険な業界
芸能界に乗りこむ・・・・


ロバート・ガルシア
リョウの親友、そして雇い主
リョウと共に(無理矢理)芸能界へ

芸能界で彼らを待ち受ける者は・・・


ART OF PRODUCE
龍虎のP

27: 名無しさん 2016/12/20(火) 09:49:13.87 ID:pNZivYssO
東京

ロバート「……ここを曲がったところや」

リョウ「……ここか」

ロバート「そう、ここが今日からのワイらの城、ロバートプロダクション」


ロバート「通称6810プロや!」

リョウ「……なんだその、6810ってのは」

ロバート「そらお前6(ロ)8(バー)10(ト)やがな」

リョウ「いや、なんで数字にするんだ」

ロバート「なんか業界のお約束らしい」

28: 名無しさん 2016/12/20(火) 09:57:21.08 ID:pNZivYssO
ロバートプロダクション・事務所

リョウ「さすがに新築だけあって中は綺麗だな」

ロバート「あったり前やんけ!なんせここに女の子を、アイドル達を迎えるんや、小汚い事務所なんか流行らんで!」

ガチャ
???「失礼します」

ロバート「おっ、もう来とったか、ほれ、リョウ、挨拶や」

リョウ「どうも……ロバート、彼女は?」

29: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:01:42.06 ID:pNZivYssO
ロバート「ほら、話とった事務員、千川ちひろさんや」

ちひろ「ロバート社長からお話しは伺ってます、事務員の千川ちひろです。これからよろしくお願いしますね、プロデューサーさん?」
ペコッ

リョウ「ああ、これはご丁寧に……リョウ・サカザキです。俺もロバートからお話しは伺ってます。大変優秀な方だと」

ちひろ「ふふ、ありがとうございます。ご期待に添えるように頑張りますね」

30: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:09:12.09 ID:pNZivYssO
ロバート「まぁ話とった通り、大体の事務作業や経理業務なんかはこのちひろさんを頼らせてもらうことになるから、お前にはアイドルのプロデュースの方に専念してもらうで」

リョウ「千川さん、よろしく頼みます。……それでロバート、そのアイドルとも今日顔合わせするのか?」

ロバート「え?」

リョウ「ん?」

ロバート「いや、おらんで?」

31: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:13:47.88 ID:pNZivYssO
リョウ「そうか、じゃあいつ顔合わせするんだ?」

ロバート「え?」

リョウ「は?」

ロバート「ウチのプロ、まだアイドル一人もおらんで?」

32: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:18:31.91 ID:pNZivYssO
リョウ「いや、お前は一体何を言っているんだ」

ロバート「いやいや、別に一言も言うてないやろ、所属アイドルがおるなんて」

リョウ「いやいやいや、本当に何を言ってるんだお前は、アイドルいないのにプロダクション作ってどうする気なんだお前は」

ロバート「いやいやいやいや、そんなんスカウトしてきたらエエがな」



リョウ「スカウト?」

34: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:22:55.18 ID:pNZivYssO
ロバート「せや、ここは日本の中枢都市東京。人は、女の子は星の数ほどおる」

ロバート「その中からこれぞ!って女の子を説得して6810プロに連れてくるんや」

リョウ「誰が?」

ロバート「そんなんお前に決まっとるがな」

リョウ「いやいやいやいやいや」

35: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:27:32.37 ID:pNZivYssO
リョウ「そんなの無理に決まってるだろ!それこそお前がやるべきだろそれは!」

ロバート「何言うてんねん、アイドル発掘もプロデューサーの重要な仕事の一つやで?」

ロバート「それにワイはこれでもガルシア財団の次期当主なんや。街中で女の子に声かけてる所パパラッチに抜かれてみぃ、面白おかしく記事書かれて全部終わりやでホンマ」

ロバート「大丈夫やって、道場に人勧誘してきたことあったやろ?あんな感じやから大体」

36: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:35:25.73 ID:pNZivYssO
リョウ「お前……覚えてろよ……」

ロバート「あっ、こんな話しとる場合やなかった。ちょっとこれから色々手続きがあるから、リョウ、お前は早速街でナンパ……もとい、スカウトをしてきてくれ!」

リョウ「マジでどうなっても知らねえからな」

ロバート「ほんなら夜になったらまた事務所に集合や!頼んだで!」
ダッ

37: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:42:15.43 ID:pNZivYssO

リョウ「はぁ……」

ちひろ「ふふふ……大丈夫ですよプロデューサーさん」

リョウ「え?」

ちひろ「ロバート社長はああ見えてすごくプロデューサーさんの人を見る目に期待してるみたいですよ?「リョウが選んでくる娘なら多分間違いないやろ」って仰ってました」

ちひろ「それに、私もまだ少ししかお話ししてないですけど、プロデューサーさんの誠実そうな人柄、伝わりますよ」


リョウ「買いかぶりですよ……ですが、期待を受けているなら応えざるを得ない」

ちひろ「あっ、それと、社長からこれを渡すように言われてます……はい」
スッ

38: 名無しさん 2016/12/20(火) 10:48:29.18 ID:pNZivYssO
リョウ「これは……スーツ?オレンジの……」

ちひろ「ものすごく目立ちますけど、思い入れのある色だって聞いてます。だから、社長が特別に用意させたみたいで……」

リョウ「あいつ……」

リョウ「……」



リョウ「いやしかし目立ちすぎるだろこれは……」

51: 名無しさん 2016/12/21(水) 00:31:13.93 ID:yr7I3jxS0
リョウ「それじゃあ行ってきます」

ちひろ「ふふ、スーツ、お似合いですよ。それと、人が沢山通るところだったら、駅前が効率がいいと思います」

リョウ「ああ、何から何までありがとうございます……駅前か、行ってみよう」


駅前広場
ワイワイガヤガヤ



リョウ(ここが駅前か……確かに人が沢山いるな……)

52: 名無しさん 2016/12/21(水) 00:39:04.21 ID:yr7I3jxS0
リョウ(女の子もたくさんいるが、手当たり次第に、という訳にはいかんだろう、これぞ!って言ってたしな)

リョウ(……ううむ、しかし俺にはどの娘にアイドルの才能があるかなんて全然わからん……どうしたものか)

リョウ(……)




~回想~


ロバート「大丈夫やって、道場に人勧誘してきたことあったやろ?あんな感じやから大体」


~回想終わり~

53: 名無しさん 2016/12/21(水) 00:45:09.69 ID:yr7I3jxS0
リョウ「……よし、これで行くか」

リョウ「……」
ジー

リョウ「……」
ジー

リョウ「……」
ジー




リョウ「……」

54: 名無しさん 2016/12/21(水) 00:53:44.25 ID:yr7I3jxS0
夜・事務所


ガチャ
ロバート「おう、お疲れリョウ!スーツ似合っとるやないか(笑)首尾はどうやった?」

リョウ「ダメだな、てんでなっちゃいない」

ロバート「お?なんやなんや、エラい気合い入っとるやないか、声かけたんか?」

リョウ「声をかけるまでにもいってない。それとも手当たり次第、声をかけた方がいいか?」

55: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:00:41.55 ID:yr7I3jxS0
ロバート「お、おお?いや、誰でも良い訳やないからな、お前が納得するような娘に声かけてくれたらエエで」


リョウ「そうか……まったく、最近の若い娘というのは全然なってない」

ロバート「……ちなみに声をかける判断基準はどんなや?」

リョウ「体幹、歩き方、上半身・下半身の筋肉の総量……」

ロバート「待たんかい」

56: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:15:01.45 ID:yr7I3jxS0
ロバート「なんやねん!?お前は空手家をスカウトしようとしてたんか?」

リョウ「いや、しかしお前が道場に勧誘する時と同じようにしろと……」

ロバート「勧誘の手段の話や!誰が勧誘の基準を空手に合わせろ言うたんや!アホ!」

リョウ「だ、だめか……」

57: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:19:40.42 ID:yr7I3jxS0
翌日

ロバート「ええか、リョウ。スカウトするのは空手家候補やなくてアイドル候補や。判断基準も強くなりそうか、やなくて人気が出そうかやで。頼むでホンマ」

リョウ「わかった、わかった、何度も聞いた。行ってくる」


駅前広場
ワイワイガヤガヤ

リョウ(……)

58: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:25:55.75 ID:yr7I3jxS0
リョウ(むぅ、ロバートはああ言ってはいたが、筋肉はともかく、歩き方や体幹は重要だと思うんだがな)

リョウ(アイドルも結局人に見られる仕事なんだから、顔とかだけでなく、雰囲気というか、動きが綺麗かどうかは大事なはずだ)

ワイワイガヤガヤ

リョウ(……中々いないもんだな、そんな女の子は)



???「……」
スタスタ

リョウ(むっ?今のは……)

59: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:29:46.49 ID:yr7I3jxS0
リョウ「ちょっとすまない、そこの君、髪の長い……」

???「……はい?私ですか……?」

ピピー
警察「はい、そこの人ー、ちょっとごめんなさいね、あんたこのお嬢さんの知り合い?」

リョウ「え?いや、俺は……」


60: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:35:57.81 ID:yr7I3jxS0
警察「お嬢さん、この人知り合い?」

???「え?いえ、今初めて会ったばかりで……」

警察「なに、お兄さん知らない女の子に話しかけてなにしようっての?近くに交番あるから、ちょっと一緒に来てくれる?」

リョウ「ま、待ってくれ、俺は……」

リョウ「……」



リョウ(そういえば俺、事務所のプロデューサーと証明できるもの持ってないぞ)


61: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:41:35.43 ID:yr7I3jxS0
夜 事務所


ロバート「いや~すまんすまん。そういえばお前に名刺も携帯も持たせてなかったな」

リョウ「全く……千川さんが迎えに来てくれるまでずっと俺は交番内で針の筵だったんだぞ」

リョウ「終いには不法入国者じゃないのか、パスポートを出せと言われるしな」

ロバート「やからすまんって……せやけど、オレンジのスーツに金髪のあんちゃんが若い女の子に話しかけてたら、そら人さらいかなんかかと思うわな」

62: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:47:00.80 ID:yr7I3jxS0
ロバート「まぁでも名刺も急いで作らせたし、携帯も持たせるから明日からは大丈夫や。操作方法は教えてもらったか?」

リョウ「正直よくわからんが電話の掛け方は覚えたぞ」

ちひろ「ええ、メールはまだ難しいかも知れませんが、電話はもう大丈夫だと思います」

ロバート「よっしゃ、これからはなんかあったらワイか千川さんに連絡するんやで」



リョウ「まるで子供の使いだな……」


63: 名無しさん 2016/12/21(水) 01:58:22.80 ID:yr7I3jxS0
リョウ「そういえば今日警察に捕まる前、綺麗な娘がいた」

ロバート「お?……いや、綺麗ってあれか?拳筋が綺麗とか上腕二頭筋が綺麗とかそういう話やないよな?」

リョウ「違う違う……歩き方が綺麗だった。ありゃきっと何かスポーツやってる」

ロバート「そ、そうか……で、顔は?」

リョウ「美人だった」


ロバート「そ、そうか!それなら明日はその娘がいたらまた勧誘を続けるんや。もちろん他に逸材がいたらそっちも忘れずにな」


72: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:05:58.70 ID:yr7I3jxS0
翌日

駅前広場
ワイワイガヤガヤ

リョウ(さて、昨日の娘には今日も会えるだろうか)

2時間後

リョウ(……!)

???「……」
スタスタ

リョウ(居た。歩き方ですぐにわかるな)

リョウ「……(よし、昨日の警察はいないな)」
キョロキョロ

73: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:09:59.92 ID:yr7I3jxS0

リョウ「もしもし、すまない、そこの君、髪の長い」

???「あっ、あなたは、昨日の……」

リョウ「ああ、昨日は申し訳ない。ちょっと警察にな……」


???「あの、私に何の御用でしょうか?その……いかがわしい勧誘でしたら、お断りします」

74: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:14:28.99 ID:yr7I3jxS0

リョウ「いや、違うんだ、きみ……」


リョウ「極限流に入門しないか?」


???「きょくげん……え?」



リョウ「……コホン。間違えた」

75: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:24:09.76 ID:yr7I3jxS0
リョウ「改めて、アイドルをやってみないか?」
スッ

???「あ、アイドル?あっ、お名刺、ご丁寧にありがとうございます……」


???「ロバートプロダクション、プロデューサー、坂崎……亮、さん」

???「えっ、じゃあ本当に芸能関係の方なんですか?」

???(てっきり怖い仕事関係の方かと……)

76: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:34:24.26 ID:yr7I3jxS0
リョウ(名刺良く見てなかったが何で日本名表記なんだ?)


リョウ「ああ、出来たばかりの事務所なんだがな」

リョウ「きみ、名前はなんて言うんだい?」

???「あっ……すみません、失礼しました」


美波「私、新田美波といいます。大学生です」


リョウ「美波さんか。いい名前だ」

リョウ「立ち話もなんだし、そこいらの……喫茶店にでも入って話をさせてくれないか?」

77: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:40:46.37 ID:yr7I3jxS0
喫茶店

リョウ「すみません、緑茶を2つ……置いてない?じゃあ、ホットコーヒーを2つ」

美波「あ、ありがとうございます……えっと、坂崎さんはどうして私に声をかけてくれたんですか?」


リョウ「ああ……君、何かスポーツやってるだろう?しかも結構ハードなヤツだ」

78: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:46:06.29 ID:yr7I3jxS0
美波「は、はい……大学でラクロスサークルに入ってます。でもどうしてそれを?」

リョウ「歩き方が美しかった。体幹がしっかりしてる証拠だな。それに動きに無駄もない。美しく歩けるってことはそれだけで人を惹きつける素質があるってことだよ」

リョウ(本当に極限流に勧誘したいくらいだ)

美波「あ、ありがとうございます……なんだかまっすぐ目を見てそんなこと言われると、照れちゃいますね」

79: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:51:35.80 ID:yr7I3jxS0

リョウ「……だが、正直に話すとウチはまだ出来たばかりで所属アイドルがまだ一人もいない」


リョウ「つまり、これから本当に手探りの挑戦が始まる訳だ」

美波「そう、なんですか……」


リョウ「美波さん、きみは今幾つだ?」

美波「あ、19歳です。……もう、坂崎さん、いきなり年齢を尋ねるのは……」

リョウ「!?……ああ、失礼だったな、すまない。どうも俺はやっぱり女性の扱いというものを心得てないらしい」

80: 名無しさん 2016/12/21(水) 10:55:52.61 ID:yr7I3jxS0
リョウ「だが、さっきも言った通り本当に先行き不透明な事務所だ。しかも君も未成年なんだし、親御さんにも相談した方が良い」

リョウ「まぁそれも、今の時点で君が少しでもアイドルって仕事に興味を持っててくれれば、の話だけどな」


美波「……」

美波「わかりました。私、ぜひアイドルのお仕事、挑戦してみたいです!」

81: 名無しさん 2016/12/21(水) 11:02:32.13 ID:yr7I3jxS0
リョウ「!良いのか?即答してくれなくても、ご両親にも相談した方が……」


美波「もちろん、両親にも相談はしますけど、私、挑戦したいってお願いするつもりです」


リョウ「そうか、それはこちらも願ったり叶ったりだが……元々アイドルに興味があったのかい?」


美波「いえ、今まで考えたこともありませんでした」

82: 名無しさん 2016/12/21(水) 11:09:22.74 ID:yr7I3jxS0
美波「だけど私、今は色んなことに挑戦したいんです。さっき坂崎さんが正直に話してくれた、挑戦のお話し……それで私の可能性を見てみたくなったんです」

リョウ「そうか……自分の可能性を知るために挑戦、求道者なんだな、君は」

美波「……それに、坂崎さん、少し怖い人かと思ったけど、話してみるとすごく真面目そうな感じですし……」

美波「ですから、私、アイドル挑戦してみたいですっ!」

83: 名無しさん 2016/12/21(水) 11:14:04.43 ID:yr7I3jxS0




リョウ「じゃあ、ご両親に話して、もしOKならその名刺の番号にかけてくれ。もしくは事務所の住所に来てくれても良い」


美波「はい、今日はお話し聞かせてもらえて良かったです。ありがとうございました」

リョウ「こちらこそ……あ、美波さんは先に出ていてくれ、ここは俺が払うから」


美波「えっ……じゃあお言葉に甘えちゃおっかな、ご馳走様です、坂崎さん」

84: 名無しさん 2016/12/21(水) 11:19:14.45 ID:yr7I3jxS0
リョウ「なに、たかだかコーヒーの一杯……」

店員「ホットコーヒー2杯で、2,160円になります」

リョウ「……なんだって?」

リョウ「こ、コーヒー2杯で、2,160円!?」

リョウ「じゃ、じゃあ一杯で1,000円てことか!?そ、そんな馬鹿な……」

85: 名無しさん 2016/12/21(水) 11:24:25.16 ID:yr7I3jxS0
美波「あ、あの、坂崎さん?だ、大丈夫ですか?」

リョウ「だ、大丈夫……大丈夫だ……」
ガサガサ

リョウ「……」
プルルル
リョウ「……」

リョウ(ロバートにも千川さんにも繋がらない……!)

86: 名無しさん 2016/12/21(水) 11:29:19.30 ID:yr7I3jxS0
店員「あ、あの、お客様?」

リョウ「……」

リョウ「……すまない、美波さん」

美波「は、はい?」


リョウ「お金貸してくれないか……?」


美波(……や、やっぱり大丈夫かなこの事務所……?)

94: 名無しさん 2016/12/21(水) 19:55:02.90 ID:yr7I3jxS0
夜 事務所

ロバート「はぁ……」

ちひろ「ふぅ……」

リョウ「……」

ロバート「喫茶店に連れ込んだまでは褒めといてやるわ。まるで熟練のナンパ師のようや。流石乙女ゲー経験者や」

リョウ「だからなんなんだその乙女ゲーってのは……し、しかし誰も電話に出てくれないから……」

95: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:01:18.56 ID:yr7I3jxS0
ロバート「けどお前、スカウト中の女の子に借金てお前……情けなさ過ぎて涙出るでホンマ」

ちひろ「さすがにちょっと……」

リョウ「だ、だが!コーヒー一杯で1,000円もするんだぞ!?確かにちゃんと値段を確かめてなかった俺が悪いが、1,000円だぞ!?信じられるか!?豪勢なメシが食えるぞ!」

96: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:06:25.92 ID:yr7I3jxS0

ロバート「東京やったら大体そんなもんやろ……まぁサウスタウンの片田舎でタダ同然のやっすいコーヒーしか飲んだことないリョウには信じられへんか」

リョウ「そもそも喫茶店でコーヒーを飲むことが殆どない」

ロバート「はいはい……田舎モンのリョウが頑張って女の子の前でナウでヤングなシティー派を気取った結果やんなこれは。はいはい、よう頑張りました」

ちひろ(ナウでヤング……死語?)

97: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:13:03.45 ID:yr7I3jxS0
ロバート「はぁ……けどその女の子……美波ちゃんやっけ?連絡かけて来いひんやろな……契約前にプロデューサーが借金頼んでくるとか、どんな事務所やねんって話やで」

ロバート「それで来てくれたらその娘は菩薩か慈愛の母神かなんかやで」

リョウ「ううむ……」

ロバート「まぁ過ぎたモンはしゃーない、明日からは一応接待費を少し持たしたる
から、それでスカウト続けてくれや。……もう、ほんと頼むで」


リョウ(最初から持たしてくれてれば良かったんじゃないか……)

98: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:23:34.47 ID:yr7I3jxS0
翌日

リョウ「名刺、持った、電話、持った、サイフ、持った」

ちひろ「あっ、プロデューサーさん、ネクタイ曲がってますよ……これで良し、と」
キュッ

リョウ「ああ、すまない千川さん」

100: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:28:03.19 ID:yr7I3jxS0
ちひろ「いえいえ……あれ?事務所の前に女の子が立ってますよ?」

ロバート「なに?どれどれ……ほほー、エラい別嬪さんやん!リョウ、この際や、スカウトしてまえ!いや、リョウには荷が重いか、ワイ直々に口説き落として……」

リョウ「あれは……美波さん?」

ロバート「え?」
ちひろ「え?」

101: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:34:37.02 ID:yr7I3jxS0
夜 事務所


ロバート「オホン、あー。えー」
ロバート「それでは記念すべき我が6810プロ、アイドル一期生誕生を祝しまして……カンパーイ!」

リョウ・ちひろ・美波「かんぱーい」

102: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:42:12.87 ID:yr7I3jxS0
ロバート「いや~それにしてもホンマ仰天したで!まさかあの流れでウチの事務所に来てくれるとは!」

美波「結局、パパを説得するのに時間かかっちゃいましたけど……最後は私が押し切っちゃいました」

リョウ「……勧誘した俺が言うのもなんだが……本当に良かったのかい?」


美波「ええ、良いんです!た、確かにお金の事は驚きましたけど……坂崎さんのお話しを聞いたときの胸の高鳴り、坂崎さんに感じた誠実さ……嘘じゃないって、胸を張れますから!」

103: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:50:05.54 ID:yr7I3jxS0
ロバート「ホンマになぁ……いきなり借金せびってくるようなヤクザみたいな男にこれだけ信頼を置いてくれるなんて、美波ちゃんは女神……そう!6810プロの女神や!」

美波「も、もう……そんな、やめてください」///

ロバート「くっあーーーーーーーっ!!この初々しい反応!めっちゃテンションあがってきた!」

ロバート「こんなエエ娘をスカウトしてこれるとは、これはリョウに任せたワイの慧眼やろなぁ」

104: 名無しさん 2016/12/21(水) 20:56:19.27 ID:yr7I3jxS0
ロバート「よっしゃ、今夜は飲むでぇ!もしもし、カーマンか?大至急事務所にあの秘蔵ワイン持ってきてや!」


リョウ「俺はそんなに飲めんぞ……」

美波「あの、私未成年ですので……」

ロバート「ええええ!?そないな悲しいことあるかぁ……?ちひろさんは!?ちひろさんは付き合ってくれるよなぁ!?な!?」

ちひろ「もう、しょうがないですね……程々にですよ、社長?」



ロバート「よっしゃ!!ほんなら今夜はワイの奢りや!飲んで食って、派手にやったるで!」

114: 名無しさん 2016/12/22(木) 08:31:42.97 ID:VYCZHmYL0



ロバート「う~ん……ユリちゃん……ユリちゃん……」
グター

ちひろ「ああ、社長……もうこんなになるまで飲んで……」

リョウ(……千川さんも同じくらい飲んでなかったか?)


ちひろ「プロデューサーさん、社長は私がお世話しておきますから、美波ちゃんを駅まで送ってきてくれませんか?」

リョウ「そうだな、これ以上は時間が遅くなってしまう」


美波「あ、でもまだお片付けが……」

115: 名無しさん 2016/12/22(木) 08:36:48.55 ID:VYCZHmYL0
ちひろ「美波ちゃん、大丈夫ですよ。後は私がやっておきますから」

美波「でも……悪いですそんな」

リョウ「美波さん、大丈夫だ。君を送った後で俺も手伝うから」

美波「……それじゃあ、すみません、よろしくお願いします」



ロバート「う~ん、お尻は……お尻はアカンユリちゃん……」

116: 名無しさん 2016/12/22(木) 08:41:15.11 ID:VYCZHmYL0
路上

リョウ「美波さん、今日は急に悪かった。ロバートがどうしてもパーティ開きたいって聞かなくてな」

美波「いえ、とっても楽しかったです。みなさん本当に良い人たちで……坂崎さんと社長さんはもうお付き合い長いんですか?」

リョウ「ああ、もうガキの頃からの付き合いだよ」

117: 名無しさん 2016/12/22(木) 08:48:17.87 ID:VYCZHmYL0
美波「やっぱりそうなんですか。ふふ、なんだか親友って感じでとても良かったです」

リョウ「……そうかい?まぁ確かにあいつはあの通りお調子者な所はあるが、信頼してる。それに、お互い刺激しあえる良いライバルだ」

美波「親友であり、ライバルですか。……とっても素敵だと思います、そういうの」



チンピラ「はいはいはい!そこまで!お二人さん、男女仲良くご帰宅中かい!?」
パンパンパン

118: 名無しさん 2016/12/22(木) 08:53:55.62 ID:VYCZHmYL0
チンピラB「か~っ!良いなぁオイ、俺たちゃこの通り野郎3人でむさ苦しくてしゃーないんだよ!野郎伝説ってか!アハハ!」

チンピラC「そういうわけだからさぁ、お姉ちゃん、この寂しい野郎たちを慰めてくんない?」


リョウ「……」

美波「な、なんですか?大きな声を出しますよ……!」
ビク

119: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:00:16.00 ID:VYCZHmYL0
チンピラ「……お?暗くてよく見えなかったけど、お姉ちゃん激マブくね?」

チンピラB「おお、ホントだすげえ!こりゃツイてるぜ!」

チンピラC「おう、男の方は痛い目見たくなけりゃさっさと帰れや」
シッシッシ


リョウ「帰るのはお前たちの方だ。今なら聞かなかったことにしとくぜ?」

美波(さ、坂崎さん!?)

120: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:05:21.77 ID:VYCZHmYL0
チンピラ「んだ、コイツ?おい、もうめんどくせぇからやっちまおうぜ」

チンピラB「そうだな……女の前でカッコつけたかったんだろうが、バカなやつだな、おめぇ!」
バッ

美波「!!」



チンピラB「……」
フラッドサッ

121: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:10:32.05 ID:VYCZHmYL0
チンピラ「……あん?」

チンピラC「おい、何ふざけてんだよ急に倒れて」

リョウ「なんだか知らんが、そいつは気分が悪いんじゃないか?病院に連れて行ってやったらどうだ」

チンピラ「なんだコラ、てめえ何かしやがったのか、こら……」
ドサッ

チンピラC「な、ななな、なんだこりゃあ!」



美波「……!!」

122: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:15:05.05 ID:VYCZHmYL0
リョウ「お前ら飲みすぎだよ。お前、元気なら2人の面倒みてやれ」

チンピラC「は、はひ……」

リョウ「行こう」

美波「は、はい」





リョウ「夜の東京ってのは俺が思ってたより危険みたいだな」

美波「あ、あの、坂崎さん、ありがとうございます」

123: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:19:49.62 ID:VYCZHmYL0
リョウ「ん?いや、さっきのはあいつらが勝手に酔いが回ってきて潰れただけだろう、礼を言われるようなことはしていないよ」


リョウ「それより、駅まで着いたが、本当にここまでで良いのか?家まで付いてた方が……」

美波「いえ、住んでいるところは駅から降りてすぐなので……坂崎さん、本当に今日はありがとうございました。……それと、美波で、良いですよ」


リョウ「ん?」

124: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:23:57.57 ID:VYCZHmYL0
美波「呼び方。さん付けは、なんだか他人行儀みたいですし」

リョウ「そ、そうか。じゃあ、美波。おやすみ」

美波「はい。おやすみなさい、坂崎さん」





美波「……」

美波(さっき、ちょっとだけ見えちゃった……坂崎さんの手が怖い人たちの顎にほんの少しだけ触れるの)

美波(あの人……ホントはすごい人なのかも……)

125: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:28:18.48 ID:VYCZHmYL0
事務所

ガチャ
リョウ「戻ったぞ……ん?」

ロバート「……ほんでな、ユリちゃんの素晴らしいところその221なんやけどぉ…」
グビグビ
ちひろ「……は、はい……」
ゲッソリ


リョウ「どういう状況なんだこれは……」

127: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:33:23.34 ID:VYCZHmYL0
翌日

ガチャ
ロバート「お~~~っす……はぁ、頭いったいわ……」
ガンガン


ちひろ「おはようございます……昨夜は社長、お楽しみでしたので」


リョウ「おはよう……ったく、飲みすぎだぞロバート。あの後も大変だったんだからな、千川さんに礼言っとけよ」

128: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:38:25.60 ID:VYCZHmYL0
ロバート「ちひろさん、えろう、すんまへん!」


ロバート「あっ、それはそうとなリョウ。昨日の晩、美波ちゃん送っていく時なんやチンピラに絡まれたらしいな?」

リョウ「お前、ちゃんと聞いてたのか……あんなぐでんぐでんだったのに……」

ロバート「アホ、社長いうのはな、どんな状況にあっても大事な情報は聞き逃さない、忘れないヤツがなれるんや」

130: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:46:36.54 ID:VYCZHmYL0
ロバート「……せやけどな、リョウ。まぁ当たり前の話やけど、今後お前は一切喧嘩禁止や」

リョウ「……だが、ロバート、昨日の晩は」

ロバート「あ~わかっとるわかっとる。大方チンピラ共が一方的に美波ちゃんを狙ってカラんできたんやろ?別嬪さんやしな、あの娘」


ロバート「せやけど、お前は今はプロデューサーや。もし相手が100%悪いとしても、それをお前が殴り倒したなんて話が業界に知れ渡ったら、それで迷惑が掛かるのは美波ちゃんたちお前の担当アイドル達や」

リョウ「……」

131: 名無しさん 2016/12/22(木) 09:52:32.02 ID:VYCZHmYL0
ロバート「それでなくてもお前はそんな風貌なんやから……とにかく外聞には気を遣え。ええな?」

リョウ「……ああ」

ロバート「そんで、まぁ昨日の夜みたいな事が起こった時の事やけど、今後は夜アイドル達が外出る時にはカーマンを護衛に就ける」

リョウ「……いいのか?確か財団の力は今回使えないはずじゃなかったか」

ロバート「そこは問題あらへん。カーマンは現在の肩書上はワイ個人の直属や。まぁ、といっても本人も親父への報告もあるやろうからなんでも頼み放題という訳にはアカンけど、有事の護衛くらいは大目に見られるやろ」

132: 名無しさん 2016/12/22(木) 10:00:00.30 ID:VYCZHmYL0
ロバート「ほんで、カーマンがいない時にカラまれたら、基本的には逃げるか、警察を頼れ。もう身分証明できるものを持ってて、契約したアイドルと一緒にいる以上、流石にいきなり連行されることはないやろ」


リョウ「わかった。そうしよう」


ロバート「ああ。……おっと、リョウ、見損なうなよ?ワイもお前がそんな自分勝手に喧嘩して回るような奴とは思ってへん。あくまで、アイドル達のためや」

リョウ「ああ、わかってる。今日も引き続き街でアイドルをスカウトって事で良いのか?」


ロバート「ああ、そうやな。とりあえずプロダクションとしてはあと4名……計5名のアイドルを抱えたいと思っとる。そのための人員確保、頼んだで、リョウ」

141: 名無しさん 2016/12/23(金) 00:36:57.39 ID:3/J8LNdw0
駅前広場


リョウ「ちょっとそこの君……アイドルに興味は無いか?」

女の子「ごめんなさい、急いでるので」


リョウ「ちょっとそこの君……アイドルに興味ないか?」

女の子「ナンパならどっか行ってよ。アイドル?私にはそんなの無理だから……」



リョウ「そこの君……アイドルになってみないか?」

女の子「ヤダー、なにそれナンパ?俺だけのアイドルになってくれないかってか?キモーイ」


142: 名無しさん 2016/12/23(金) 00:40:15.06 ID:3/J8LNdw0
リョウ「そこのお嬢さん……アイドルに……」

女の子「ひぃ……やめてくださいごめんなさい!!」
ダッ


リョウ「……」



リョウ「極限流に入門しないか!?」

女の子「キャアアアア」


143: 名無しさん 2016/12/23(金) 00:45:01.92 ID:3/J8LNdw0
リョウ「……だ、だめだ……誰も話をロクに聞いてくれない……」

リョウ「やはり美波をスカウト出来たのは奇跡だったのか……」




???「……おい?あの金髪ヤロー……」

???「ああ、あのド派手なオレンジスーツ……間違いねーよ」


144: 名無しさん 2016/12/23(金) 00:53:50.50 ID:3/J8LNdw0
リョウ(う~ん……どうしたものか……)

チンピラ「おい!そこのオレンジヤロー!」
ブルンブルン

リョウ「!!……お前らは……」

リョウ(バイクで……)

チンピラB「昨日の夜はズイブン世話になっちまったなァ……あぁん!?」
ボボボボ


リョウ(なんてこった……ついてないな……)

145: 名無しさん 2016/12/23(金) 00:57:53.00 ID:3/J8LNdw0
リョウ「あ~……何かな?初対面じゃないかな?」

チンピラC「てめェ、自分の恰好見てとぼけろや!てめェみてーのが2人も3人もいてたまるか!」
ブルンブルン

チンピラ「昨日の夜のねえちゃんはいねえみてぇだな……残念だがまぁとりあえずお前をぶちのめせればそれで良い」

チンピラ「アニキ!やっちまってください!」



アニキ「俺の可愛い後輩たちが世話になったみたいだな」
ボボボボ

146: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:06:18.87 ID:3/J8LNdw0
リョウ(でかいな)

リョウ「おい、こんなしょうもない事やってないで、極限流に入門しないか?」

チンピラ「は?」
チンピラB「なに訳わからないこと言ってんだこいつ」

アニキ「なにをいってんのかわからないが、俺にボコボコにされるか、有り金全部出すか、昨晩一緒にいたっていう女を呼べ」

リョウ(なるほどな……これはロバートの言うとおりだ……俺が迂闊だったな)

リョウ(……美波たちに迷惑をかけちまう)

147: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:12:47.37 ID:3/J8LNdw0
チンピラC「言っとくがこっちはバイクだ!逃げられるなんざ思わねぇことだな!」

リョウ(……しょうがねぇな)

リョウ「金は出せないし、あの娘を呼ぶこともできない」

アニキ「ほう……じゃあ俺様のサンドバッグになるってことで良いんだな……良い度胸だコラァ!!」
ドゴッ
リョウ「!」

148: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:18:23.62 ID:3/J8LNdw0
チンピラ「ヒュー!決まったぁ!アニキの即殺ボディブローだーーー!」

チンピラB「はい死んだ!死んだよこれ!」

アニキ「……!!!」

アニキ(か、かてえ……!)

アニキ「て、てめえら!ボサッと見てねえで全員でシメちまうぞ!」
チンピラC「!?……は、はいアニキ!」

ボコッガッドカッ

149: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:23:45.72 ID:3/J8LNdw0
アニキ「ゼー、こ、この野郎、ゼハー、ヒュー……」

リョウ「……」
ペッ

チンピラB「か、かてぇ……なんだこいつは……砂鉄かなんかで出来てんのか」
ゼーハー

アニキ「ち、ちくしょう、いい加減[ピーーー]やコラァ!」
グワ

ブブブブ
???「おう、いい加減その辺にしときな!」
ザッ

151: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:27:57.95 ID:3/J8LNdw0
チンピラC「な、なんだテメェは!?」

???「ハッ、てめえらみたいな無抵抗の一人を寄ってたかってフクロにするようなクソヤロー共に名乗る名なんて無ぇよ」

アニキ「おうお嬢ちゃん……無関係なんだから首を突っ込んでくんなよ……!」

???「確かに無関係だよ。だがよ、コイツがオメーらになにしたか知らねえが、ヤキなら十分入れたはずだ。お前らがコイツをフクロにするとこ、ずっと見てたんだぜ?」

152: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:34:49.10 ID:3/J8LNdw0
アニキ「お嬢ちゃんいい加減に……」

アニキ「……よく見てみたら、可愛い顔してんじゃねえか。どうだ?コイツを許す代わりに俺の女になるってのは……」
スッ

???「ハッ……」

???「ナメんじゃねぇ!!」
ズゴッ

アニキ「-----------!!!」

チンピラ「き、金的ーーー!」
チンピラB「あ、アニキーーー!!」

153: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:40:03.08 ID:3/J8LNdw0
拓海「この向井拓海、テメエみてぇなクソのスケになるほど墜ちちゃいねえ!いっぺんタマァ潰して出直してきやがれ!」

アニキ「」

チンピラC「け、結局名乗ってんじゃねえか!」

チンピラ「ちきしょう、引き上げだ!!向井拓海、そのツラと名前覚えたぞコラァ!」

チンピラB「俺たちゃ泣く子も黙る最凶グループ、腐礼最愛(ぷれいもあ)の一員だぜ!終わったなお前らぁ!」
ブブブブブ

154: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:45:42.92 ID:3/J8LNdw0
拓海「ケッ、去り際までうるせえ奴らだ」

リョウ「すまない、ええっと向井さん?助けられちまったな」

拓海「……あん?別にあんたを助けたわけじゃねえよ。あいつらがただ目障りだっただけだ……ていうかあんたそもそも全然堪えてねぇじゃねえか」

リョウ「もしそうだとしても、助かった。ありがとう」
スッ

拓海「……なんだこりゃ、名刺……?」

155: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:51:12.63 ID:3/J8LNdw0
拓海「……ふーん、あんた、アイドル事務所のプロデューサーやってんのか。その厳つ過ぎる風貌でどんな仕事やってんのかと思えば」

リョウ「ああ、助けてもらっていうことでもないが、君、アイドルに興味は無いか?」

拓海「へっ……そんなもんに興味があるように見えるかよ?今のアタシはコイツ(バイク)と、喧嘩……それにしか興味はねえよ」

拓海「喧嘩は良い。相手をぶちのめしてる間は、嫌な事を全部忘れさせてくれる……」


リョウ「……改めて、助けてもらって言う事じゃないが、誰彼構わず喧嘩を仕掛けるのは関心しないな?……憎しみを相手にぶつけるだけの拳は、いずれ自分も周りも傷つける」

156: 名無しさん 2016/12/23(金) 01:58:29.37 ID:3/J8LNdw0
拓海「あぁ!?テメェも周りの大人達と同じこと言うのかよ!あんだけ殴られてお返しの1発も返せねぇ腰抜けが!!」

拓海「良いか!?拳ってのは殴るより殴られる方が痛ぇんだ。それでも喧嘩してんだから、余計な事を言うんじゃねぇよ!」


リョウ「それは違う。君はまだ殴る本当の痛みを知らないだけだ。君は喧嘩が強いのかもしれないが、それは本当の強さじゃない。殴る方と殴られる方、両方の、その本当の痛みを知らないうちは、な」


拓海「なんだよ、それ……なんだよ殴る方の痛みって……訳わかんねーよあんた……」

157: 名無しさん 2016/12/23(金) 02:03:26.33 ID:3/J8LNdw0
拓海「……なぁ、あんた。本当はさっきの奴らなんて、何とも無かったんだろ?アタシだって、長い事喧嘩やってんだから、わかる。あんた、相当強えんだろ。なんでやり返さなかったんだ?」

リョウ「大事なものを守るためだ」

拓海「大事なものを……守る……?」

拓海「その大事なモンってのはてめーの身や面子よりも大切だってのか……なんなんだよそりゃ……」

158: 名無しさん 2016/12/23(金) 02:08:20.17 ID:3/J8LNdw0
リョウ「それが知りたければウチの事務所を一回見に来い。すぐにわかる」

拓海「……ケッ、誰が見に行くか、そんなもん!」
バッ

拓海「あいつら……紅蓮合理(ぐれごりー)とか言ってたか、あいつらの仲間がまだ近くにいるかも知れねぇ。このまま殴り返さねえつもりなら、せいぜい死なねぇよう気をつけろよオレンジ野郎!」
ブルルルルル

リョウ「……行っちまったか。なんだかんだ言ったって優しいじゃねえか。だったら判ってるはずだ、殴る方の痛みも、殴られる方の痛みも」

159: 名無しさん 2016/12/23(金) 02:15:18.77 ID:3/J8LNdw0
夜・事務所

ちひろ「……はい、これで手当て終わりましたよ」

リョウ「すみません、千川さん」

ロバート「全くいつの時代のチンピラやっちゅうねん。まさか日本に来てまでジャックみたいな奴らの話を聞かされるとは思わんかったわ」

リョウ「ロバート、それは違うぞ。今日の連中は信念も何もない唯の無法者だったが、ジャックには誇りがあった。どちらかというと、向井拓海、彼女の方がジャックに近いだろう」

160: 名無しさん 2016/12/23(金) 02:19:05.66 ID:3/J8LNdw0
ロバート「へいへい、そらすんまへん」

ロバート「しかし、そのプリキュア?クレイモア?やっけ、そんな奴らが居るならしばらくは街中でのスカウトは避けた方がエエかもな」

ロバート「それと、軽傷とはいえお前もケガしてるし、美波ちゃんもしばらく試験期間で事務所に出て来れんらしいし、明日はオフにしたるわ」


リョウ「良いのか?俺は別にこんなケガはケガの内に入らないぜ」


161: 名無しさん 2016/12/23(金) 02:23:10.40 ID:3/J8LNdw0
ロバート「こっち(東京)に来てからずっと働き詰めやったし、いくら体力バカのお前でもボチボチ疲れも溜まっとるやろ。エエから気にせんと明日は休めや」

リョウ「しかし、アイドルの人員数が……」

ロバート「ああ、それやけどな。スカウト以外でもアイドルを雇う計画を進めとる。それは決まったらまた連絡するわ」

ロバート「まぁとにかく休めるうちに休んどいた方がええで。今後はもっと忙しくなるんやからな」

179: 名無しさん 2016/12/24(土) 00:21:21.44 ID:X7e6mi/70
翌日

事務所内 
レッスンルーム

リョウ「……」
コホー

リョウ「……」


リョウ「破ッ!」
ズン

リョウ「……」
コホー

180: 名無しさん 2016/12/24(土) 00:25:15.81 ID:X7e6mi/70
リョウ「……千川さん、どうぞ」

ちひろ「……気付いていらしたんですね、すみません、お邪魔してしまって」

リョウ「いや、良いんです。千川さんも今日は非番でしょう?何かありましたか?」

ちひろ「ええ、少し整理しておきたい書類がありましたので」



ちひろ「それよりもプロデューサーさんはわざわざ鍛錬される為に休日に事務所まで?」

リョウ「ああ、いや、俺ここに住んでるんですよ」

ちひろ「え?」

181: 名無しさん 2016/12/24(土) 00:30:11.01 ID:X7e6mi/70
リョウ「おや?言ってなかったっけな、ここの仮眠室で普段寝泊まりしてます」

ちひろ「そ、そうだったんですか」


ちひろ(道理で朝事務所に行くと必ずプロデューサーさんが一番乗りな訳ですね……住んでるんですもの……)


ちひろ「……あれ?そういえばこのレッスンルームの端の方って……何か床が違いますね」


リョウ「ええ、この部分だけ、空手道場と同じ物を使ってます」

182: 名無しさん 2016/12/24(土) 00:35:16.33 ID:X7e6mi/70
リョウ「ロバートにプロデューサーになるのを請われた時、幾つかの条件を出しました。これがそのうちのひとつです」

リョウ「プロデューサーになったとはいえ、鍛錬を欠かす事は出来ません。なので朝起きた後と夜寝る前……一日最低2回はここで鍛錬です」

ちひろ「プロデューサー業務に加えて鍛錬ですか……す、すごくハードですね……」

リョウ「むしろ全然足りないくらいです。時間が限られている分、集中して質を上げなきゃならない」

ちひろ「……あっ、じゃあ事務所の前に停めてある大型バイク、あれも」


リョウ「ええ、あっちからの持ち込みです。あれがロバートに出した条件のふたつ目」

183: 名無しさん 2016/12/24(土) 00:41:53.30 ID:X7e6mi/70
夕方



ブルルルルルルル
リョウ(久方ぶりのバイクだな。どこも悪くなっていないようで良かった)


ブルンブルン
リョウ(ん?後ろから、バイクの集団が……)
リョウ(やる気か、面白い……相手になってやるぜ!)

184: 名無しさん 2016/12/24(土) 00:54:27.32 ID:X7e6mi/70
ボボボボボボ
ブルンブルン

???A「な、なんだぁあのアメリカン!はええ!」

???B「アメリカンの癖に曲がり良すぎだろ!フツー擦るだろ!」

???C「こ、これじゃあ張り合えんのはウチじゃあ……」

ブルンブルン
???「面白え!アタシがブチ抜いてやるよ!」

???A・B・C「そう、姉御だけ!」

185: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:03:01.87 ID:X7e6mi/70
ブルンブルンブルンブルン
リョウ(なんだ?一台だけ突出してきて……!?)


???「うぉりゃあああああ!!」
ギャギャギャギャ

リョウ「バカな!死ぬぞ、無茶だ!」

???「……んりゃあああああ!!!」
ズギャアアアアア

???A「……倒れない!」

???B「出たぁ!姉御の超必殺技、『ほぼ直角爆裂ドリフト』だあああ」

???C「ブチ抜いたーーーー!!姉御の勝ちだーーー!!」

???「イィーーーーヤッハァァァーーー!!」
ズギャアン

186: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:08:32.62 ID:X7e6mi/70
リョウ「なんて奴だ……」
ブロロロ


???「……よう、アタシには及ばないものの、中々いい走りだったぜアメリカン」

リョウ「ああ、負けたよ」
リョウ(女性だったのか……というより凄い恰好だな)

???「ああ、熱い勝負だったぜ……よっと」
バサッ

拓海「あ~~あっちぃ」
パタパタ

188: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:17:53.72 ID:X7e6mi/70
リョウ「き、君は……!」

拓海「あん?」

リョウ「……」
カポ

拓海「……!!て、てめェは!昨日のオレンジ野郎!」

子分A「姉御、知り合いっすか」

189: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:29:56.55 ID:X7e6mi/70


拓海「……まさかアンタもバイク乗りだったなんてな。言えよ」

リョウ「ああ……君はこの、レディース?のリーダーを務めてるのか」

拓海「ああ、改めて自己紹介するぜ、特攻隊長向井拓海だ」

リョウ「ああ、改めて、俺は極限りゅ……ロバートプロダクション所属プロデューサーのリョウ・サカザキだ」


拓海「……?何で名前と苗字逆に言うんだ?芸名か?胡散くせーの」


リョウ(……なるほど、そういう事か)

190: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:35:04.43 ID:X7e6mi/70
拓海「それにしてもマブいバイクだな。アメリカンは詳しくねぇけど、手が込んでるってのだけは理解(わか)る」

リョウ「……そ、そうか!?実はなこのバイク、昔捨ててあったのを拾って少しずつレストアしていってだな……!」

拓海「マジかよ!?それどんだけ手が込んでんだよ」
ワイワイ

子分B「……なんだか気が合うみてーだな」

子分C「だな」

191: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:43:21.54 ID:X7e6mi/70


拓海「……っとずいぶん話し込んじまったな、もう夜だぜ」

リョウ「おっとそうだな、すまない、つい熱が入っちまった」

拓海「気にすんなよ。アタシたちはもう熱い勝負をした仲だろ?まぁ……ダチってヤツだ!バイク乗りに根っから悪いヤツはいねぇしな!」ニカッ


リョウ「!……この流れで言うのは気が引けるが、昨日渡した、名刺の件……ちょっと考えてみてくれないか?」

192: 名無しさん 2016/12/24(土) 01:49:19.52 ID:X7e6mi/70
拓海「あー……アイドルか。……わりいけどやっぱ遠慮しとくよ。まぁアンタがそんなに熱心に誘ってくるんだ、興味が全く無い訳じゃねえんだけどさ……でもやっぱ、今のアタシは、こいつらと一緒に走るのが一番楽しいんだよ」

リョウ「……そうか、野暮言ったな。だが、名刺は取っておいてくれ。そして……いつか話だけでも聞きたくなったら、連絡をくれ」

拓海「ああ、そうさせてもらうぜ……ん?なんだありゃ?」

ブンブンブンブンブンブン
リョウ「大量の……バイクの集団?」

198: 名無しさん 2016/12/24(土) 10:29:18.61 ID:Fdi8RCl6o
外伝では私服姿も見せてるんだよな

no title

201: 名無しさん 2016/12/25(日) 00:17:11.21 ID:iIstGOX50
ブンブンブンブンブンブン
キキッ

アニキ「……」

拓海「てめえは、昨日の!」

アニキ「探したぜ……向井拓海さんよぉ」

202: 名無しさん 2016/12/25(日) 00:25:05.36 ID:iIstGOX50
拓海「……ずいぶんお早い再登場じゃねぇか。こんなに人数引き連れてもうお礼参りに来たのかよ」

アニキ「ケッ……昨日のあの不意打ちで勝った気になってんのか。……だが、この人数差でお前らフクロにしたところで何も面白くねぇ」

拓海「なんだと……」

アニキ「そこで、だ。改めて向井、テメェにタイマンを申し込む……今度は不意打ちなしの正々堂々、だ……そうすりゃ本当はどっちが強ぇのか解るだろう」

拓海「!?」

リョウ「!」

203: 名無しさん 2016/12/25(日) 00:33:42.41 ID:iIstGOX50
子分A「う、嘘だ!てめぇらタイマンとか言っといて、私らフクロにする気だろうが!」

チンピラ「ウチのアニキがそんな姑息な手使うワケねーだろうが!」

チンピラB「そうだ、黙ってろドブスが!」


子分A「ど、ドブ……」


204: 名無しさん 2016/12/25(日) 00:40:23.47 ID:iIstGOX50
アニキ「ああ、もちろん怖いなら断ってくれても良いんだぜ?……そうすりゃ今後テメェはタイマンから逃げたチキンとして、二度とでけえ顔出来なくなるだけだ」

拓海「……」

拓海「……誰が逃げっかよ。タイマン上等だコラァ!買ってやるよ、その喧嘩!」

子分B「あ、姉御!?」

子分C「絶対罠ですぜこりゃあ!」

205: 名無しさん 2016/12/25(日) 00:48:07.39 ID:iIstGOX50
アニキ「おいお前ら聞いたか!?今受けると言ったな!?間違いなく!」


うおおおおお!聞いた!間違いなく!

やっちまえ!やっちまえ!やっちまえ!


アニキ「はっはっはっは!ここで受けると宣言しちまったから……もう逃げられねぇだろ?お前にも面子があるもんなぁ、特攻隊長?」

拓海「ただ、テメー、正々堂々のタイマンって約束は守れよ。族(ゾク)を名乗ってる以上はな……!」

アニキ「へっ……安心しろよ、お前と俺のタイマンには手を出させねぇ……約束は守るぜ」

206: 名無しさん 2016/12/25(日) 00:53:56.06 ID:iIstGOX50
アニキ「場所を変えるぜ。ここは他のライダーの目についちまう……もっと人目のつかない場所によぉ」

拓海「上等だコラァ!」

リョウ「待て!……もともとこの件は俺とあんた達の問題だったはずだ。彼女たちは関係ないだろう」

アニキ「……テメェは昨日の……!だが、もうてめぇに用は無ぇ、部外者は帰んな」

リョウ「部外者だと……!?」

207: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:02:01.47 ID:iIstGOX50
拓海「……そうだぜ。腰抜けは大人しく帰んな」

リョウ「拓海……!?」

拓海「これはアタシが受けたタイマンだぜ?……邪魔するってんなら、今、この場でアタシがアンタをぶちのめすぞ」

リョウ「お前……」



拓海「……結局さ、アタシらはバカなんだよ。ブレーキってモンを知らず、言葉ってモンを知らず、面子が何より大事で、拳でしか話せねぇ」

208: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:08:16.46 ID:iIstGOX50
リョウ「……」

拓海「だが、アンタは違うんだろ?守るべきモンがあるんだろ?……だったら、やっぱりハナからアタシみてぇなモンと関わったらいけなかったんだよ」

リョウ「……」

アニキ「おう、いつまで待たせやがる!まさか怖気づいたか!」
ブルンブルン

209: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:14:10.58 ID:iIstGOX50
拓海「うるせえ!言われなくとも今から行ってやるよ!……じゃあな、サカザキさんつったか、もう会うことも無ぇだろうが……声かけてくれて、嬉しかったよ」

リョウ「拓海……!」

拓海「おう!待たせたな!さっさと案内しやがれ、テメェの墓場によ!」

アニキ「へっへっへっへ、案内する、俺たちの後についてきな!」
ブンブンブンブンブンブン
ブンブンブンブンブンブン

210: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:22:23.65 ID:iIstGOX50
街中

リョウ「……はぁ……」
ショボーン

チャラ男「アレ?お前今日こっちに顔出していいの?……プリクラ……だっけ?あっちの方でなんか楽しい集会があるって言ってたじゃん」

ヤンキー「腐礼最愛(ぷれいもあ)だよ!」

リョウ「!」

211: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:27:39.21 ID:iIstGOX50
チャラ男「そう!それそれ、なんか今日一大イベントっつってたじゃん」

ヤンキー「そうそう、なんかウチのボスが昨日女に不意打ちでやられたらしいんだけどよ、もう大激怒!人気の無ぇとこに腐礼最愛総勢30人以上で連れ込んで、めちゃくちゃにしてやるつもりらしい」

リョウ「……!!!」
ギリギリギリ


212: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:33:54.85 ID:iIstGOX50
チャラ男「ヒエ~!こええなお前んとこのボス!けどなんでお前参加しねぇの?」

ヤンキー「ああ、その女なんだがよ、かなりマブいらしくてさ、どうせぶちのめした後はボスが独占しそうなんだよ。それだったら、こっちの合コンの方がまだ俺にはチャンスがありそうだよな~!」

チャラ男「ギャハハハ!お前、利口だな~!……ん?なんだアンタ」

リョウ「……」

ヤンキー「んだテメェ、俺らになんか用……うっ!?」
ガシッ

リョウ「……どこだ!」

213: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:42:09.43 ID:iIstGOX50
ブーンブーン
ロバート「ん?着信……リョウからか……もしもし、ワイや」
ピッ

リョウ『ロバート……カーマンは何処にいる?』

ロバート「カーマン?親父への報告の為にイタリアに戻っとるが」

リョウ『そうか……ならしょうがない。切るぞ』

ロバート「ちょ、待てぇや!その感じ……揉め事やな?」

リョウ『……向井拓海が危ない』

214: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:48:22.54 ID:iIstGOX50
ロバート「向井って……あのお前を助けたヤンキー娘か。警察は?」

リョウ『警察はだめだ。下手すりゃ彼女も捕まっちまう』

リョウ『俺のせいで彼女が危険だ。乗り込んで助ける』

ロバート「待て待て待て、落ち着け!お前今どこや?」

リョウ『街外れだ。場所は聞き出した、止めても行くぞ』

215: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:50:00.28 ID:iIstGOX50
ロバート「……誰も行くなとは言っとらん。本当はむしろ急かしたいくらいやけど、しかし今、ワイは社長で、お前はプロデューサーや。お前、美波ちゃんの信頼を裏切るんか?」


リョウ「……ッ、だが、俺は……!」


ロバート「……冗談や。まぁどうせお前は止めても行くやろうし……リョウ、今からすぐにそっちに向かう。……ほんで、渡すもんがある」

リョウ『……渡すもの……?』

216: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:53:07.66 ID:iIstGOX50
街外れ
廃工場

拓海「はぁ、はぁ、はぁ」

アニキ「ぜぇ、ぜぇ、このアマ……!」

チンピラA「……マジかよ。あの女、タイマンでアニキと互角にやりあってやがる」

アニキ「……おい!お前ら!アレだ!!」

拓海「!!」

217: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:56:17.54 ID:iIstGOX50
チンピラB「へいアニキ!」
ザッ
チンピラC~G「へっへっへ」
ザザッ
子分A、B、C「あ、姉御~!」

拓海「てめぇ!子分たちを囲ませて……!」

拓海「どういうつもりだ!絶対に手は出させねぇ約束だろうが!」

218: 名無しさん 2016/12/25(日) 01:59:56.95 ID:iIstGOX50
アニキ「ああ、だからあいつらに俺たちのタイマンには手を出させてねぇ……アレはあくまでタイマンとは無関係に、俺の後輩たちがお前の子分たちと喧嘩を始めただけなんだよ!」

アニキ「可哀想にな?あの人数差だったら、あいつらフクロだ。二度と表歩けねぇ顔になるぜ……だが、俺がお前を華麗に圧倒していたら、あいつら俺を注目して手が止まるかもな?」

拓海「こんの……クソヤローがぁ!!」
グワ

219: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:02:44.90 ID:iIstGOX50
アニキ「おっと、こいつはまだまだ苦戦しそうだ……おいお前ら!しばらくは見ていてあんまり面白くねぇぞ!自分の喧嘩に集中しな!」

チンピラたち「へい!アニキ!」

拓海「ま、待て!クッソ……!」
スッ

アニキ「へっ……やっと大人しくなったか……オラ!」
ブン
拓海「ぐっ……」
ガッ

拓海「……」

220: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:05:15.94 ID:iIstGOX50
~~~~~~~~~~~~~

『憎しみを相手にぶつけるだけの拳は、いずれ自分も周りも傷つける』

『君はまだ殴る本当の痛みを知らないだけだ。君は喧嘩が強いのかもしれないが、それは本当の強さじゃない。殴る方と殴られる方、両方の、その本当の痛みを知らないうちは、な』

~~~~~~~~~~~~~


拓海(……よくわかんねーが……アイツの言う通りってことだったのか?)
ガッ

221: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:09:17.36 ID:iIstGOX50
子分A「姉御~!アタシらに構わず、そいつらを~!」

チンピラA「るせぇ!黙ってみてろ、テメェらの姉御がテメェらの為にやられるのをな!」

アニキ「へっへ、大分弱ってきたな。安心しろよ、この後はゆっくり可愛がってやる……」

拓海(ここまでか……アタシもヤキが回ったな……)

子分B「アネゴ~~~~~~!!!」

チンピラB「へっ、いくら叫んでもこんなとこ誰も来やしねえよ……」

ブルンブルン
キキッ

チンピラC「……!?アニキ、誰か来やした!」


222: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:12:26.19 ID:iIstGOX50
アニキ「なんだとぉ!?」

拓海「……!?」

カラーン

カラーン

???「お前たちは、バイク乗りの風上にも置けないな」

チンピラA「な、なんだこの音?あ、アイツ、下駄履いてやがんのか?」

223: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:16:31.71 ID:iIstGOX50
カラーン

カラーン

???「大人数で女を囲って、卑怯三昧」

チンピラ「下駄の上に……ライダースーツ……そんで……」

カラーン

カッ
???「もはや見逃せない。お前たちの根性を叩き直してやる」

拓海「天狗の……面?」

225: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:21:38.37 ID:iIstGOX50
アニキ「頭のおかしいトチ狂った恰好をしやがって!何モンだてめぇは!」

???「俺は……」

???「……」

Mr.BAIKU「俺の名は!Mr.BAIKU!」
ザッ

チンピラ「み、みすたー……」

拓海「バイクだと……?」

Mr.BAIKU(言っちまった……もう親父の事を言えねえなこれは……)

226: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:25:22.44 ID:iIstGOX50
Mr.BAIKU「爆音あるところに闘争あり!闘争あるところに闇があり!」

Mr.BAIKU「すべての闇と卑怯を制圧する、俺はバイクの守護者(ガーディアン)!」

Mr.BAIKU「無法者たち!この天狗の面を恐れぬのなら、かかってきやがれ!」



Mr.BAIKU(ちなみにバイクは英語でBAIKU……ではもちろんなく、motorcycleだ。bikeでもないぞ!)

227: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:26:08.48 ID:iIstGOX50
本編は今日はここまで、ちょっと番外編を

228: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:28:04.17 ID:iIstGOX50
クリスマス番外編
6810プロのクリスマス

リョウ「せっかくのクリスマスだからパーティを開きたいとロバートが言って聞かないので俺、ロバート、千川さん、美波の4人で事務所でささやかなパーティを開くことになった」


「メリークリスマース!」

229: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:29:32.28 ID:iIstGOX50
ロバート「いや~食った飲んだ!それにしてもごめんな美波ちゃん?せっかくのクリスマスやったのに誘ってもうて……先約とかなかったか?……彼氏とか」

美波「か、彼氏はいません!もう!……毎年クリスマスは家族と過ごすんですけど、今年は家族パーティは一日ずらすから行ってきなさいって母に言ってもらえたので」

ロバート「そうなんか!いやあ美波ちゃんとちひろさんのおかげで今年のクリスマスは楽しいでホンマ!リョウもそう思うやろ?」

リョウ「そうだな、例年通りだったら親父が「クリスマスなど我が家には無関係!」って言うせいでユリと隠れてチキン食うくらいだからな。今年は実に賑やかでいい」

230: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:32:00.19 ID:iIstGOX50
ロバート「せやせや……おっと、もうこんな時間か。それじゃあボチボチ、今回のメインイベント、プレゼント交換に入るで~!」

ちひろ「はい、それではルール説明をします。現在、テーブルの上にはみなさんそれぞれお持ち寄り頂いたプレゼントの箱、人数分の4つが置いてあります」

ちひろ「プレゼントの箱にはそれぞれ番号が振ってあり、くじを引いてその番号に対応するプレゼントを受け取るという流れになります」


ロバート「はい、ちひろさんごくろうさまやで!それでは早速クジ引いてみよー!」

231: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:35:08.78 ID:iIstGOX50
ロバート(大丈夫……リョウの奴以外は最悪自分のを引いても当たりや……つまり確率は75%……大丈夫……大丈夫や……)

美波「わ、私のプレゼントはあまり面白くないですから引いた人はごめんなさい!」

リョウ「いやいや、そんなことないだろう。ちなみに俺のも良いものだぞ」

ちひろ「楽しみですね♪」

ロバート「……よし、みんな引いたな。それじゃあ、まず1番引いた人!だ~れや!」

232: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:38:08.66 ID:iIstGOX50
リョウ「俺だな」

ロバート「ってお前かいな!まぁエエ……、1番の箱を開けるんや」

リョウ「……お、これは……万年筆?」

美波「あ……それ、私のです、ごめんなさい……誰が引くかわからないから、誰でも使える物が良いと思って……」

リョウ「いや、すごく良いものだ。ありがとう美波」

233: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:41:59.08 ID:iIstGOX50
ちひろ「プロデューサーさん、このタイプ確か結構高価だったはずですよ……大切にしてくださいね」

リョウ「そ、そうなのか!?参ったな、貰いっぱなしは悪いから、美波が俺の箱引いてくれてたら良いんだが……」

美波「い、いえいえ!本当に気にしないでください!喜んでもらえたのなら、それが一番ですから」

ロバート(い、いきなり確率が減りよった……し、しかしそれでもまだ確率は66%、こっちが有利なはずや!)


234: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:47:38.68 ID:iIstGOX50
ロバート「じゃあ、次、2番!引いたのだ~れや?」

ちひろ「あ、私ですね。これは……コイン?見たことない柄……」

ロバート「!それはワイの奴やな!」

リョウ「これってお前がいつも勝負の時に投げるやつか?家を出たときお前の親父さんに貰ったっていう……」

235: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:50:18.07 ID:iIstGOX50
ロバート「あぁ、まぁ正確にはそのレプリカやな。本物はさすがに渡せんけど、それでも特別に作らせたものやから時価総額でウン十万はするはずや」

ちひろ「!社長!本当にありがとうございます!大事にしますね!」
キラキラ


ロバート(ま、まぁエライ喜んでもらえたから良かったけど、これで残るは……)

リョウ「これでまだプレゼント貰ってないのは……ロバートと美波か」

美波「はい、そしてまだプレゼント当てられてないのは坂崎さんとちひろさんですね!」

236: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:53:25.85 ID:iIstGOX50
ロバート「ほんじゃ、3番!当てたのだ~れや?」

美波「あっ、私ですね」

ロバート(確率は2分の1……美波ちゃん、リョウのを当ててくれ!ワイはリョウのはいやや、ワイはリョウのはいやや、ワイはリョウのはいやや……)

美波「……あっこれってお菓子?すごいです、これ雑誌で見たことある、すごい有名なところのものですよね!?」

ちひろ「それは私のプレゼントですね!しかも美味しいだけじゃない、食べると体力と攻コスト・防コストが全回復しますよ、美波ちゃん♪」

美波「(コスト?)ありがとうございます、ちひろさん!」

237: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:54:51.61 ID:iIstGOX50
リョウ「……ってことは、ロバート、お前は俺のプレゼントだな」

ロバート「……」
ゲンナリ

リョウ「な、なんだその反応は!良いものだぞ!」

ロバート「いや~……もう最悪……今までの楽しかった時間が嘘のようや……」


238: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:56:42.23 ID:iIstGOX50
美波「社長さん、一体何が入ってるんです?気になります」

ロバート「ええ~……多分どうせロクでもない物やで……なにこれ重っ」
ズシ

リョウ「良いから早く開けてみろ!絶対良いものだから!」



ロバート「……」ガサガサ

ロバート「……」

美波「……」

ちひろ「……」

リョウ「どうだ!?」
フフン

239: 名無しさん 2016/12/25(日) 02:58:45.79 ID:iIstGOX50
ロバート「……おい、なんやこれは」

リョウ「見ればわかるだろう、鉄ゲタだ」
ドヤ

ちひろ「て……」

美波「鉄ゲタ……」

240: 名無しさん 2016/12/25(日) 03:02:27.84 ID:iIstGOX50
リョウ「こいつとは俺も長い付き合いでな、雨の日も、風の日も、雷の日もこれを履いて走ったものだ。ロバート、お前も身体が鈍っている頃だろう、丁度いい、これを履いて走ればすぐに体のキレを……ロバート?聞いてるか?」

ロバート「……ぬぅあああああああああ!!!」


美波「そのあと、お二人の怒声と叫び声と共に、ロバートプロダクションの聖夜は更けていくのでした……」

番外編 6810プロのクリスマス
おしまい

251: 名無しさん 2016/12/26(月) 00:36:03.11 ID:L3p1e8jl0
アニキ「へっ……もしかしてポリが嗅ぎ付けてきやがったかと思ったが、出てきたのは変態一人か」

アニキ「だが、変態一人と言えどもここを見られたからにゃあ生かして返さん。野郎ども!構うこたねえ!殺っちまえ!」

チンピラたち「ウオオオオオオオ!!」


Mr.BAIKU「来い!」


252: 名無しさん 2016/12/26(月) 00:41:50.31 ID:L3p1e8jl0
拓海「む、無茶だ!30人以上いるんだぞ!」

チンピラ「もう遅え!食らえやオラ……へぶっ」
ズバン

Mr.BAIKU「踏み込みが甘い!次!」

チンピラB「ドラァ!……ごはぁ!」
グシャ

Mr.BAIKU「そんな大振りが当たるか!次!」

253: 名無しさん 2016/12/26(月) 00:49:43.69 ID:L3p1e8jl0
チンピラC「な、なんだぁこいつはぁ!……ぎゃあ!」
ガン

Mr.BAIKU「腰が引けてるぞ!論外だ!次!」

な、なんだコイツは!つ、強え!化け物か!?

アニキ「な、なにやってんだお前ら!一斉にかからねえか!一斉に!」


254: 名無しさん 2016/12/26(月) 00:57:25.22 ID:L3p1e8jl0
チンピラたち「う、うおおおお!」
ドドドドド

Mr.BAIKU「固まってきたか!ならば!」

ドドドドド

Mr.BAIKU「極限流!暫烈拳!」
ズドドドドド

チンピラたち「うぎゃああああ!」

Mr.BAIKU「飛燕疾風脚!」
ズババ

チンピラたち「ああああああ!」

255: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:04:31.84 ID:L3p1e8jl0
拓海「す、すげえ……大量のチンピラたちがどんどんボロ雑巾に……!あれは!」

ブルンブルン
ボボボボボボ

チンピラZ「くたばれやコラァアアア!!」
ギャギャギャ

拓海「野郎!バイクで突撃するつもりか!」

256: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:08:30.38 ID:L3p1e8jl0
アニキ「いいぞ!やれ!」

Mr.BAIKU「……」
フゥ

Mr.BAIKU「来い!」

拓海「あ、あいつ!正面から迎え撃つ気か!?ぜってー死ぬぞ!」

258: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:15:42.64 ID:L3p1e8jl0
チンピラZ「しぃねえええええええ!!」
ギャギャギャ

Mr.BAIKU「……」
コホー
Mr.BAIKU「見切った!」

Mr.BAIKU「破ッ!」
ズドン!

グッシャアアン
チンピラZ「ぎゃああああああ!」

259: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:23:32.14 ID:L3p1e8jl0
アニキ「馬鹿なああ!走ってくるバイクを正面から殴ってぶっ飛ばすだとぉ!!あり得ねぇぇ!!」

Mr.BAIKU「皆伝、無頼岩!」

Mr.BAIKU(ぶっつけだったが成功して良かったぜ)



アニキ「あ……あ……」

260: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:30:23.00 ID:L3p1e8jl0
Mr.BAIKU「これであとはお前だけだ。覚悟は良いな」
ザッザッザ

アニキ「ち、ちくしょう!」
グイッ

拓海「いてッ……」

アニキ「テメェ!それ以上近づくな!このナイフが見えねえか!この女がどうなっても良いのか!」
チャキ

Mr.BAIKU「……!」

261: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:37:29.52 ID:L3p1e8jl0
拓海「テメェ……どこまで腐ってやがる……!おい、天狗マン!アタシに構うこたぁねえ!やっちま……」

Mr.BAIKU「お前。それ(ナイフ)を出すことがどういう意味かわかってるのか」

アニキ「なんだと……?」


Mr.BAIKU「武器を持った奴が相手なら俺もそれなりの対応をせざるを得ない、と言ってるんだ」


262: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:44:32.03 ID:L3p1e8jl0
アニキ「訳の分かんねえことを……!人質がどうなっても良いのか!」
グイ
拓海「クッ……!良い!やれ!足手まといは御免だ……!」

Mr.BAIKU「……。やれるものならやってみろ。もうこの間合いだったら俺の拳の方が速い」
スッ

263: 名無しさん 2016/12/26(月) 01:53:08.93 ID:L3p1e8jl0
アニキ「言ったなこの野郎がああああ!」
グワ
拓海「……!」

Mr.BAIKU「虎 煌 拳!」
ドン

ズドォン!

アニキ「ぎゃああああ!!」

アニキ(バカな……あの……距離から……)
ズシィィィン

アニキ「……」
ピク……ピク

265: 名無しさん 2016/12/26(月) 02:00:55.49 ID:L3p1e8jl0
Mr.BAIKU「安心しろ、加減しておいた。お前のような奴に全力で撃ったら、本当に死にかねないからな」



Mr.BAIKU「大丈夫か拓海?ケガは?」

拓海「!あ、ああ、大したことねーよ……それよりあんた……」

Mr.BAIKU「動けるならすぐに逃げた方が良い。もうじきここに警察が来る」

拓海「!!」

266: 名無しさん 2016/12/26(月) 02:04:58.54 ID:L3p1e8jl0
子分A「あ、姉御!そりゃやべえですぜ!早くずらからねえとアタシらもパクられちまう!」

拓海「わ、わかってるよ!その前に、ひとつだけ聞かせてくれ。あんたの言う……本当の強さって……一体何なんだ?」


Mr.BAIKU「……俺はそんな話君にした覚えはないが……君はもう、本当の強さが何か、わかっているよ」

拓海「……え?」

267: 名無しさん 2016/12/26(月) 02:08:23.28 ID:L3p1e8jl0
Mr.BAIKU「君は今回の件……ある男を助けるために行動した。連中が復讐に来た時も、彼を巻き込むまいとした。そしてさっきも君は仲間を守るために自分を犠牲にした」

拓海「……」

Mr.BAIKU「本当の強さとは、傷つけたいものを傷つける力ではない。守りたいものを守る力だ。それは殴る痛みを理解したときに初めてわかる。そして、殴られた痛みを知る者にしか、本当の殴る痛みはわからないんだ」

拓海「……!」

268: 名無しさん 2016/12/26(月) 02:14:05.13 ID:L3p1e8jl0
Mr.BAIKU「……っと、なんだか説教臭くなっちまったな。拓海、君はもう大丈夫だ。今後も自分の信念を貫け。……ただ、喧嘩は程々にな?」
バッ
ブロロロロロ

拓海「……アタシゃ天狗マンに名前を教えた覚えはねーよ。……あれでバレてねぇと思ってんだからなぁ……バカだよなぁ……はは」

子分B「姉御!早く!」

278: 名無しさん 2016/12/26(月) 16:59:48.16 ID:L3p1e8jl0
数日後


ロバート「お、こないだの件記事になっとるで。『大型珍走団グループメンバー一斉検挙、廃工場内にいたところを通報を受けた警察が検挙、恐らくグループ内で抗争中だったと見られる。」

ロバート「リーダー格と見られる男は凶器も所持しており、余罪を追及する方針。逮捕されたメンバーの一部は「天狗の仕業だ」などと意味不明な言動を繰り返しており、何らかの薬物を使用しているのではないかとして……』」

美波「あ、それ大学の方でも少し噂になってました。謎の天狗マンが怖い暴走族のグループを壊滅させたって」


279: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:03:07.05 ID:L3p1e8jl0
リョウ「へ、へ~、そんなこともあるんだな」

リョウ(おいロバート!だから俺は変装はヘルメットだけで良いと言っただろうが)
ヒソヒソ

ロバート(わかってへんなぁ、お前は元々が目立ちまくりやったんやぞ?やからそれ以上の存在感で上塗りする事によってお前の正体を隠したんや)
ヒソヒソ

美波「……?」

280: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:08:56.04 ID:L3p1e8jl0
ロバート「さっ!そんなんどうでもええからお仕事お仕事!そうや、美波ちゃん、今度の水曜なんやけど宣材写真の撮影が入って……」

ガチャ
ちひろ「プロデューサーさん!いますか!?」

リョウ「千川さん?そんなに慌ててどうしました」

281: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:15:06.34 ID:L3p1e8jl0
ちひろ「いえ、あの、事務所の前に停めてあるプロデューサーさんのバイクを凝視……と言うより睨み付けている女の子が居まして……」

リョウ「……まさか……」

ロバート「例の娘か?」

リョウ「おそらくは。ちょっと話をしてくる」

282: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:23:55.86 ID:L3p1e8jl0
拓海「……」
ジロジロ

リョウ「やっぱり君か。もうケガの具合は良いのか?」

拓海「ほ~?アンタはあの日峠で別れたのにアタシがケガしたの知ってんのか?なんでだろうな~?」

リョウ「……いや、噂……噂で聞いたんだ……」

拓海「……まぁいいや。ケガは大丈夫だよ。ていうかあんなもんケガの内に入んねえ」

283: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:27:10.86 ID:L3p1e8jl0
リョウ「そうか。それじゃあ今日は何の用だ?」

拓海「……え~っとさ、あれ……アレだよアレ」

リョウ「わからん」

拓海「……ああもう!わかれよ馬鹿野郎が!」

拓海「こないださ、言ったじゃねえか、本当の強さがわかってないって。その後、本当はわかってるて言われたけどさ……まだ、イマイチ理解できてねーんだよ」

リョウ「……」

284: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:32:36.62 ID:L3p1e8jl0
拓海「だからさ、その……頼む!アタシにその本当の強さってのを教えてくれ!この通りだ!」
バッ

リョウ「そ、それはアイドルになりたいって事か?それとも極限流ににゅうも」

ロバート「そこまでや。話は聞かせてもらったで」
ザッ

拓海「……ああ?誰だよおっさん」

ロバート「だ、誰がおっさんや!まだまだ24歳のピチピチのヤングタイガーじゃアホ!」

285: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:40:05.40 ID:L3p1e8jl0
拓海「なんだよピチピチって。言葉のセンスがおっさんじゃねえか」

ロバート「グッ……」

ロバート「まぁエエ……落ち着け。ほんでな、拓海ちゃん」

拓海「誰が拓海ちゃんだ!馴れ馴れしく呼んでんじゃねーぞぶっ飛ばすぞ!」


ロバート「ああもう黙って話聞けや!!進まんやないかい!!」

286: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:46:58.57 ID:L3p1e8jl0






ロバート「……という訳でや。その本当の強さってのを学ぶにはな。コイツ(リョウ)の下でやるのが一番や」

拓海「……面白えじゃねえか。良いぜ、その本当の強さってのをサカザキ、アンタから盗んでやる。その為なら何だってやってやるぜ!」

リョウ「拓海……」


ロバート「そうかい!ええ心掛けやな!ほんならちょっとここの書類に名前書いて、印鑑……母印でええわ」

拓海「ん?こ、こうか?」

リョウ「……」

287: 名無しさん 2016/12/26(月) 17:56:10.34 ID:L3p1e8jl0

都内の焼肉屋

拓海「か~ッ!!肉美味えええええ!」
ジュウウウ


ちひろ「あ、そこのお肉焼けてますよ」

拓海「お!悪いなちひろさん!……美味えええ!華瑠火(カルビ)最高おおおおお!!」

ロバート「契約決まって早々『おい!契約祝いに肉食わせろよ!あんた社長だろうが!』やからな……厚かましいにも程があるで……」

289: 名無しさん 2016/12/26(月) 18:01:04.94 ID:L3p1e8jl0
美波「……すみません、社長さん。私までご一緒させて頂いてしまって……」

ロバート「ああ~!いや!良いんや!美波ちゃんは良いんや!どんどん食うたって!きっと肉たちもその方が幸せや!」

リョウ「おい、ロバート。そこの肉焼けてるが食わないなら俺が食うぞ」
モグモグ

ロバート「お前ももうちょっと遠慮せんかい!」
スパン

290: 名無しさん 2016/12/26(月) 18:07:52.49 ID:L3p1e8jl0
拓海「……それにしてもほんとアンタ美人だよな。サラッサラの長い髪!色白の肌!男どもが放っとかねーだろ?」
モグモグ

美波「いや、そ、そんなこと……」///
カーッ

ロバート「フゥーーー!!出ました!美波ちゃんの女神反応(ヴィーナスリアクション)!!これだけで肉なしでもご飯何杯でもイケるわ!!」
ガツガツ

拓海「そうか、ならもうアンタは一生白飯だけ食ってろよ」

291: 名無しさん 2016/12/26(月) 18:15:13.98 ID:L3p1e8jl0


リョウ「……それにしても拓海。本当に良いのか?チームの方は……仲間たちには話したのか?」

拓海「ん?ああ、もちろん話してきたよ。そしたらあいつら、『ウチら、どこまでも姉御の応援します!ファンクラブ会員第1号です!』だってよ」

リョウ「……そうか。良い仲間だな、彼女たちは」

拓海「ああ。……まぁその後誰が会員1号かで殴り合いの喧嘩になってたけどな」

292: 名無しさん 2016/12/26(月) 18:20:17.91 ID:L3p1e8jl0
拓海「……まぁとにかくだ。アタシもやるからにはハンパはあり得ねえ。頂点(てっぺん)目指して走り抜けてやるぜ!夜露死苦ゥ!」

リョウ「……ああ、拓海。よろしく頼むぜ」

美波「よろしくね、拓海ちゃん」

ちひろ「拓海ちゃん、よろしくお願いしますね」

ロバート「6810プロの女神に続き、特攻隊長誕生か……ってどんな組織やねん」


拓海「なんか言ったか?」

297: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:13:46.46 ID:L3p1e8jl0
翌日


ガチャ
リョウ「美波、拓海とランニングから戻ったぞ」

美波「はぁ……はぁ……」

拓海「ゼー……ヒュー……き、キツ過ぎる……なんだこいつ……体に発電機かなんか入ってんじゃねェのか……」

298: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:17:38.98 ID:L3p1e8jl0
ロバート「おうお疲れ……ってなんやその有様!どんだけ走ったらそんななるねん!」

リョウ「その辺を軽く20㎞くらいだ」

ロバート「ドアホ!軽ないわ!ハードワークにも程があるわ!自分基準で考えるな!」

ちひろ「ちょ、ちょっと水を持ってきますね」


リョウ「だが、やはり良いぞ二人とも。基本的に体力はあるし、俺についてこようという根性もあった。逸材だ」

299: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:24:06.75 ID:L3p1e8jl0
リョウ「それはそうとロバート、近くの体育館で空手の大会をやっていた。丁度午前中のトレーニングも終わったし、メシを食ったらみんなで見に行かないか?」

ロバート「20㎞も走らせといて午前中もクソもあるかいな!今日はもう終わりや!」

美波「……あ、あの……ご一緒したいのはやまやまなんですけど……」

拓海「しばらく……動けねぇ……」

300: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:29:56.67 ID:L3p1e8jl0
体育館

リョウ「……これから女子の部の決勝か。やはり日本の空手は学生の部でもかなりハイレベルだな」


ロバート「せやな。みんな基本がしっかりしとる。指導者が良えんやろ」

リョウ「ああ……極限流道場日本支部を設立するのが今から楽しみだな」

301: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:36:24.27 ID:L3p1e8jl0
ロバート「ほんで決勝の組み合わせは……あちゃあ、こらまた極端な組み合わせやなぁ。右の方の子、180㎝くらいあるんちゃうんか?」

リョウ「左の方の子は……150あるか無いか、くらいか。だが決勝に来るくらいだからどちらも実力は確かなはずだ」

ロバート「せやな……それに、こんだけ身長差があれば一概に大きい方が有利とも言い切れへんしな。それに小さい方……けっこうカワイイ顔立ちしてはるで」

リョウ「神誠道場……名前は、中野、有香か」



有香「……押忍!行きます!」

302: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:43:56.25 ID:L3p1e8jl0
同じ頃
ロバートプロダクション

拓海「ああ~つっかれた。サカザキの野郎、トレーニング初日になんて事させやがる」

美波「そうだね……でも坂崎さんすっごく張り切ってたね?『久々の合同ランニングだ!』って」

拓海「ああ……詳しくは聞いてねえけど、あいつどっかで格闘技の指導でもやってたんだろ?」

美波「うん、私も詳しくは聞いてないけど……あと社長さんも、多分同門ってことなのかな」

拓海「正直サカザキはともかくあの社長が真面目に格闘技やってんの想像つかねぇよな。まぁ一緒に空手見に行くぐらいだからやっぱり関心はあんのか」

ピンポーン

303: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:50:32.85 ID:L3p1e8jl0
ちひろ「あら、お客さんみたいですね。はい、どちら様でしょう?」

???「突然で申し訳ない。ここは極限流の……じゃない、ロバートプロダクションの事務所で間違いないでしょうか」

ちひろ「はい、そうですけど……貴方は?」


???「単刀直入に言います。リョウ・サカザキは今どこに?」

304: 名無しさん 2016/12/26(月) 21:56:21.96 ID:L3p1e8jl0

美波「可愛い娘だね。坂崎さんがスカウトしてきた娘なのかな?」

拓海「どうだろうな……アタシにはな~んかどうも違う臭いがすんな……」


ちひろ「あの、あなたはプロデユーサーさんとどういう――」

???「ええい、まどろっこしい!リョウ・サカザキ!いるのはわかっているんだ。出てこい!」

???「再戦の約束、忘れたとは言わせないぞ!それとも――」



香澄「藤堂流――――この藤堂香澄に怖気づいたか!」

325: 名無しさん 2016/12/27(火) 23:58:01.33 ID:ueHzs0rw0
美波「と、藤堂流……」

拓海「藤堂香澄だと――――!?」

拓海「……んで、結局お前は何しに来たんだよ」


香澄「むっ……知れたこと!2年前グラスヒル・バレーで交わした再戦の約束を果たしに来たんだ!というか、日本に来ていたのならまずは私との約束を果たしにそちらから来るのが筋というものだろう!どうなっているんだ、極限流は!」


拓海「いや、こっちは事情を知らねえのに捲し立てられても訳わかんねーよ……」

326: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:01:56.26 ID:YoZHHDCx0


香澄「良いから、リョウ・サカザキを出せ!隠し立てしてもあなたたちの得にはならないぞ!」

香澄「それとも、極限流は負けを認めて我が藤堂流が最強である事を認めるということか!それなら仕方ないな!」

拓海「最強……?」
ピクッ

美波「……拓海ちゃん?」

327: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:06:32.22 ID:YoZHHDCx0
拓海「おう、お嬢ちゃん……そいつは聞き捨てならねえな。藤堂流だかランランルーだか知らねえが、今ここではアタシがサカザキの……まぁ……一番弟子?みたいなもんだ。いや、別に弟子になった覚えはねえが」

香澄「誰がお嬢ちゃんですか!私はもう18です!」

拓海(た、タメ(同い年)じゃねえか……)

拓海「と、とにかく!そのアタシを倒さずして最強を名乗るのは気が早え!そこのレッスンルームに来な!アタシがアイツの代わりに相手になってやるぜ!」

美波「た、拓海ちゃん!?ダメだよ!」

328: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:14:56.91 ID:YoZHHDCx0
香澄「ふん、何を言い出すかと思えば……見たところあなたは素人丸出しではないですか。素人相手に振るう拳など藤堂流にはありません!」

拓海「んだぁ?さっきあれだけデケー事吐いてたくせにビビってんのかぁ?それならサカザキが相手するまでもねぇ、とっと帰んな!軟弱なランランルー!」

香澄「むっ……貴様!黙って聞いていれば!藤堂流を愚弄するものは例え素人でも許しません!良いでしょう、その『れっすんるーむ』とやらに案内しなさい!身の程を教えてあげます」

拓海「上等だコラァ!こっちだ、ついてこい!」

美波「ま、待って!二人とも落ち着いて!……坂崎さん、早く帰ってきてください~……」

330: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:20:27.16 ID:YoZHHDCx0
レッスンルーム

香澄「……それでは、始めましょう。あなたは私に1発でも攻撃を当てられれば勝ち。私はあなたに『参った』と言わせれば勝ち。それで良いですね」

拓海「ああん……?えらくアタシに有利じゃねえかそれ?舐めてんのか?」

香澄「これくらいの『はんでぃきゃっぷ』でやっと勝負になると言ってるんです。……まぁそれでもあなたの攻撃は私には当たらないでしょうけど」

拓海「どこまでも舐め腐りやがって……後悔しても遅えぞオラァァァァ!」
ブチブチィ

美波「た、拓海ちゃん!アイドル!一応私たちアイドル候補生だから!」

331: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:26:10.63 ID:YoZHHDCx0
香澄「それでは……」
スッ

香澄「お願いします」
ザッ

美波(……!?あの娘、雰囲気が……)

拓海「ッシャア!行くぞオラァァ!」
ドドドド

拓海(決めた!泣かす!ぜってー泣かす!!幸いにもタメ(同い年)だ、遠慮するこたぁねー!)

拓海「ウラァァァ!喰らえや、愛怒流旋風脚ーー!」

香澄「……!」

332: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:32:05.21 ID:YoZHHDCx0
ドタン

拓海「……え?」

香澄「……」

美波「……!!」

拓海(な、なんだ?今投げられた……ていうかひっくり返されたのか?アタシは?)

香澄「……ふぅ、受け身もまともに取らないなんて、本当に素人なんですねあなたは」

美波「……き、綺麗……」

333: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:38:33.83 ID:YoZHHDCx0
拓海「……いや!たまたまだ!マグレだ!アタシは全然参ってねー!」

香澄「良いでしょう、いくらでもかかってきなさい!何度やっても無駄ですけど!」

拓海「うおおおお!」
ドドドド

拓海(まぐれだ!次こそは……)
拓海「喰らえええ!愛怒流爆裂拳ーー!」

ドタン

拓海「……」
拓海(またかよおおおお!!)


334: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:42:59.09 ID:YoZHHDCx0
香澄「あなたの動きには無駄が多すぎます」

拓海「まだまだァァァァ!うがああああ!!」

ドドドドド
ドタン
ドドドドドド
ドタン
ドドドドド
ドタン

335: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:47:09.13 ID:YoZHHDCx0
拓海「ゼヘー、ゼー、なんでだ……なんべんやっても触れさえしねー……」

香澄「はぁ、はぁ、はぁ……あ、あなたの体力と根性だけは……認めます……」

拓海「ああもう!負けだ!アタシの負けだ!参ったよ!」

香澄「……よ、よし!藤堂流の勝利だ!あっはっはっはっはっは!……へっくしゅっ……ふぅ……」

美波「よ、良かった……どっちもケガがないみたいで……」

336: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:54:10.48 ID:YoZHHDCx0
拓海「はぁ……参ったよ……アンタ、香澄っつったか?藤堂流だっけ、バカにして悪かったな」

香澄「わかってもらえれば良いのです……して、リョウ・サカザキは?」

美波「坂崎さんなら本当に外出中なの……多分近くの体育館にいると思うんだけど」


香澄「そうなのですか!?どうやらご無礼を働いてしまったのはこちらの方だったようです、申し訳ない……あ……」
グ~


美波「……ふふっ、たくさん運動してお腹空いたんだね。何か食べて行きますか?」

337: 名無しさん 2016/12/28(水) 00:58:47.79 ID:YoZHHDCx0




路上


ロバート「……いやあ、ホンマレベル高かったな。がっつり型の試合まで見てもうたわ」

リョウ「ああ、やはり空手はこの国で生まれた、というのが実感出来るようだった。俺たち極限流も負けていられないな」

338: 名無しさん 2016/12/28(水) 01:03:42.43 ID:YoZHHDCx0
ロバート「おいおい、燃えるのはわかるが、今はプロデューサーの方忘れたらアカンで?」

リョウ「わかっている。そういえば、あの女子学生の部の決勝の娘……」

ロバート「ああ、中野有香ちゃんな。彼女、惜しかったな。エエとこまで行ったんやけど、最後はリーチ差にやられてもうた感じやったな」

リョウ「だが、紙一重だった。それに見ているこっちの心が滾ってくるような熱い試合だった。……よし、ロバート!事務所に戻ったら久々に組手に付き合え!」

339: 名無しさん 2016/12/28(水) 01:08:13.07 ID:YoZHHDCx0
ロバート「よっしゃ、ええやろ!やけど、その後は書類仕事が残っとるからな?」

リョウ「うぐっ……わ、わかってるさ……ん?……なに!?」

ロバート「どした、リョウ……ん?何か向こうの方から女の子がお前の方睨み付けながらズンズン歩いてくるで」


リョウ「な、なんでここに……いや、ここは日本だから別におかしくはないのか……」

340: 名無しさん 2016/12/28(水) 01:11:08.31 ID:YoZHHDCx0
香澄「見つけたぞリョウ・サカザキ!ここで会ったが100年目!2年前の再戦の約束を今ここに!覚悟……よろしいな」
ザッ

リョウ「待て待て!藤堂の!」

ロバート「藤堂の?……ほーん、今まで話には聞いとったけど、この娘が竜白のおっさんの……あのおっさんに似ずけっこう可愛いやんけ」

341: 名無しさん 2016/12/28(水) 01:18:44.18 ID:YoZHHDCx0
香澄「お前!父様をバカにしたな!丁度良い、二人まとめてかかってこい!」


リョウ「……お前、口の周りに何か付いてるぞ」


香澄「……ハッ、これは先ほど事務所で美波さんに作っていただいたナポリタンの……大変美味しかった……じゃない!」

香澄「おのれリョウ・サカザキ!そうやって精神的な揺さぶりをかけて来るか!もう戦いは始まっているということか!」


342: 名無しさん 2016/12/28(水) 01:25:01.97 ID:YoZHHDCx0
リョウ「なにを言ってんだお前は……」

ロバート「ていうか美波ちゃんに作ってもらった?ウチの事務所でメシ食ってきたんか?」

香澄「あっ……それは……おのれ極限流!小賢しい揺さぶりばかりかけてこないで、正々堂々勝負をしろ!」


ロバート「……なんか聞いてた以上にアレな娘やな……」

???「待ちなさい!」
ダッ
リョウ「ん?」

343: 名無しさん 2016/12/28(水) 01:30:22.46 ID:YoZHHDCx0
有香「そこの人たち!良い大人が二人掛かりで女の子ひとり相手に喧嘩など、恥ずかしくないんですか!この中野有香、助太刀します!押忍!」

香澄「え。いや、私は……」

リョウ「事態は混迷を極めてきたな……」

ロバート「アタマ痛なってきた……」



有香「……え?」

353: 名無しさん 2016/12/29(木) 00:26:31.37 ID:wO+RFGaT0
事務所

有香「この度はあたしの勘違いで本当にご迷惑をお掛けしました!」
ペッコー

リョウ「いや、別に俺たちは君にまだ何をされたわけでもない。頭を上げてくれ」

有香「ですが!あたしの早とちりと思い込みのせいで何の云われもない方々に蛮勇を振るいかけてしまうなんて……ああ……」

ロバート「……今時珍しいかったい娘やなぁ」

リョウ「それだけご両親や師匠の教育がしっかりしてるんだろう」

354: 名無しさん 2016/12/29(木) 00:33:32.21 ID:wO+RFGaT0
拓海「……もう色々ありすぎて訳わかんなくなってきたんだけどよ、結局香澄とサカザキはどういう関係なんだ?」

リョウ「ああ、2年前グラスヒル・バレーって所に用事があったんだがな、その時にちょっと手合わせした事があったんだ。何でも失踪した親父さんの行方を俺が知ってるって思い込んでたみたいでな」

拓海「……思い込みで闘うって、もう完全に今日と流れが同じじゃねえか……」

美波「い、いや、今日のは拓海ちゃんもちょっと悪いと思うよ?」

355: 名無しさん 2016/12/29(木) 00:40:50.74 ID:wO+RFGaT0
リョウ「そういえばあれから結局、竜白のおっさんには会えたのか?」

香澄「あれからも父様は帰ってこない……母様は『心配要りません、どこかで元気にやっています』と言うんだが……」

美波「香澄ちゃんはお父さん子だったんだね?」

香澄「父様は偉大な藤堂流を生み出し、人格的にも優れた本当に立派な方でしたので!……なのに、3年前、サウスタウンでそこの極限流……リョウ・サカザキに敗れてから、失踪してしまった……」

356: 名無しさん 2016/12/29(木) 00:45:17.04 ID:wO+RFGaT0
拓海「マジかよ……サカザキ、お前のせいじゃねーか」

リョウ「いや、本当に俺は何も……ううむ、しかしこれは俺のせいということになるのか……」

香澄「……だが!今回の件は父様とは無関係!私は一武道家として2年前の再戦の約束を果たしに来たんだ!」

香澄「さぁ、もう十分お喋りは済んだだろう!覚悟、よろしいな」

357: 名無しさん 2016/12/29(木) 00:51:22.52 ID:wO+RFGaT0
リョウ「まぁ別に相手するのは構わんが、今は中野さん、君の事だ。確かにさっきも傍から見れば俺たちが藤堂のに絡んでるように見られても仕方なかった。ここはお互い事情を知らなかったって事でこの一件は水に流そうぜ?」

有香「で、ですが……」

拓海「そうだぜ、有香つったか?こいつらの厳つい風貌見りゃ誰だって勘違いするぜ。これでアイドル事務所の社長とプロデューサーってんだから笑わせるよな」

美波「そ、そんなことな……い……う~ん……」

リョウ「……美波、無理にフォローしようとしてくれなくても良いぞ」

359: 名無しさん 2016/12/29(木) 00:59:57.79 ID:wO+RFGaT0
有香「……アイドル?ここはアイドルの事務所だったんですか?」

ロバート「そう!ここはロバートプロダクション!今はまだアイドル2人だけやけどいずれは超一流プロダクションになる予定や」

有香「……アイドル……アイドルですか……」
ポー

ロバート「……!」
キュピーン

ロバート「……で、やな、有香ちゃん。実はワイと、このプロデューサーのリョウはさっき体育館でやってた空手大会を見てたんや。まぁ君の決勝からやけどな」

有香「……!」

360: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:06:04.79 ID:wO+RFGaT0
ロバート「惜しくも敗れはしたが、いや、ごっつエエ試合やった!あの体格差がある相手に、勝ってもおかしなかったわ。それに、君の試合はなんていうか、人を惹きつける何かが……」

有香「……そうでした」

ロバート「へ?」

有香「あたしは、敗れたばかりなのでした……お見苦しい試合をお見せしました。道場に戻って、師匠と反省点を見直さなければ……」
スクッ

361: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:11:46.36 ID:wO+RFGaT0
ロバート「い、いや、有香ちゃん、待ってえな!見苦しい試合なんてそんな……ひいては君にウチのアイドルになってもらいたいんやけど……」

有香「……お誘い頂いてありがとうございます……ですが、先ほど『勝ってもおかしくなかった』と仰られましたが、それでは何故勝てなかったのか。それは、単純に相手より鍛錬が足りなかったからです」

リョウ「……」

有香「そんな未熟者のあたしが、今空手以外の事を考えるだなんて、空手に対しての冒涜以外の何物でもありません。……失礼します、本当にこの度はご無礼致しました」

362: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:15:57.38 ID:wO+RFGaT0
拓海「本当、かってぇな」

美波「それだけ空手に真剣なんだと思う、きっと……」

ロバート「……なんや、誰かさんみたいやな」

リョウ「……否定はしないが、それでも彼女は少し力が入り過ぎているように見えるな」

363: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:20:21.66 ID:wO+RFGaT0
リョウ「それよりロバート、どうする?彼女の意志は固そうだが、スカウトは諦めるのか?」

ロバート「まぁ気長にやるしかないやろなぁ……別に最初の5人に間に合わなくとも、ゆくゆくはもっとアイドルも増やしてかなアカンのやし。彼女自身も元々アイドルには興味津々って感じではあったし」

香澄「……」

364: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:27:05.85 ID:wO+RFGaT0
数日後
神誠道場

師匠「……よし、今日はここまで!大柄な相手だからといって、自分の間合いに持っていこうと性急に距離を詰めすぎるな。切れる相手ならそこに1つも2つも罠を張ってあるからな」

有香「はぁ、はぁ……はい!ありがとうございました!」

師匠「……ところで、この前大会が終わった後、近くのアイドル事務所の方に行っていたみたいだな?」

有香「!!す、すみません!負けた後なのに早々に道場に戻らず……」

365: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:33:12.32 ID:wO+RFGaT0
師匠「いや、別に咎めている訳じゃあない。そこで何かいい話でも聞けたか?」

有香「……アイドルにならないか、とお誘い頂きました。しかし、こんな未熟な私が空手とアイドルの二足の草鞋など……考えられません……」


師匠「……有香、お前がこの道場に来てから大分経った。お前は人よりも小さな身体ながら、人一倍努力して、黒帯を取った。強さだってウチの道場で指折りだ。嬉しく思うよ」

有香「……」

366: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:38:26.76 ID:wO+RFGaT0
師匠「だがな、有香。人生というのは長い。お前の倍以上生きてる私が言うのだから、間違いはない。その中で、空手以外の選択肢というのも若いお前にはある。進む価値のある、別の道が」

有香「……師匠は、あたしに空手を辞めろ、と仰るのですか?」

師匠「そうではない。私は、可能性を閉ざしてほしくないだけだ。お前の空手愛は師として嬉しい限りだが、それが全てじゃない。……アイドル雑誌、お前が毎月買ってるのは知ってるぞ?」

有香「……!!?ち、ちが……これは空手の月刊誌と間違えて……!」

師匠「別に隠さなくても良い。何にも興味があるのは良い事だ。そんな折に、たまたま近くにアイドル事務所が出来て、しかも向こうからアイドルにならないか、と誘いを受けてるんだぞ?このチャンス、物にしないで如何とする」

367: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:46:32.84 ID:wO+RFGaT0
有香「……ですが……私は……」

師匠「……ははは、まぁ私も別に無理強いするつもりはない。こういう選択肢もあるぞ、とお前に伝えたかっただけだ。いずれにしても、後悔だけはせんようにな。今日はもう帰って良し!」

有香「……押忍。ありがとうございました……」

師匠「声が小さァい!もう一回!」

有香「……!押忍!!ありがとうございました!!!」

368: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:52:23.91 ID:wO+RFGaT0
有香自宅

有香「……はぁ……」


有香(アイドル……あたしの知らない、華やかな世界……)

有香(興味はある……というより興味津々……)

有香(けど、踏み出せないのは、きっと怖いからなんだ)

有香(憧れはある。幸運にも機会も与えられている)

有香(だけど、怖い。知らない世界だからってだけじゃない)

369: 名無しさん 2016/12/29(木) 01:56:20.65 ID:wO+RFGaT0
有香(どっちつかずになるのが怖いんだ。アイドルと空手。どちらか片方だけでも大変なのに、両方をやれる器量が私にあるなんて思えない)

有香(だからといって、空手を捨てるなんてあり得ない。……だけど……アイドルもやってみたい……)

『後悔だけはせんようにな』

有香「……」

有香「あ~!どうしたら良いのかわからない~!!」
ジタバタ

370: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:00:59.13 ID:wO+RFGaT0
翌日
路上

有香「……」
テクテク

香澄「おや、あなたは先日の!」

有香「あなたは、香澄ちゃん!その折は本当にご迷惑を……」

香澄「いえ、それはもう終わったこと!それよりお散歩ですか?」

有香「ええ、色々と頭が整理出来なくて……」

371: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:04:22.22 ID:wO+RFGaT0
香澄「ああ、昨日のアイドルの話ですか」

有香「ええ……やってみたい気持ちはあるのですが……どうにも踏み出せなくて」

香澄「……?やってみたいのならやってみれば良いじゃないですか?」

有香「そ、そう簡単に言いますが……」

香澄「簡単ではないですか。アイドルをやりたくないんじゃくてやりたいんでしょう?」

372: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:11:30.79 ID:wO+RFGaT0
有香「……!」

香澄「やりたくない事をやらなくていい方法で悩んでるのなら私にはどうしようもありませんが……むしろ教えてほしいくらいです。母様のお稽古……うう、いやだ……」

香澄「けど、やりたいことがやれる環境があるならばやってみれば良いじゃないですか。もしかして失敗したらどうしようとか考えてますか?」

有香「……そう、ですね。空手とアイドル、両立なんて私に……」

373: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:15:35.79 ID:wO+RFGaT0
香澄「迷ったらとりあえずやれば良いんです!とりあえずぶつかってみて、ダメかどうかはその後判断すればいいんです!それに、全力をぶつけてみる相手としては極限流は最適です。……認めたくはないですが、あのリョウ・サカザキという男はその程度の器量はあると私が保証しましょう」

有香「……!」

香澄「それに、武芸百般と言いますか、多芸は身を助くと言いますか……私が尊敬する父様の藤堂流も、元々様々な古武術や他流武術を取り入れて完成されたもの。ただ一つに邁進するのもけっこうですが、他流を知るのも無駄にはならないと思いますよ」

374: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:19:21.28 ID:wO+RFGaT0
有香「……香澄ちゃんはすごいですね」

香澄「いえ、凄いのは私では無く父様と、藤堂流です!……あ!有香ちゃん、お腹は空いてますか?」

有香「え?そういえば少し……」

香澄「だったら、ついてきてください!良いところにご案内します!」



公園
有香「……美味しいです!」

香澄「そうでしょうとも!あそこの肉屋さんのコロッケは絶品!私もしばしば学校帰りに買って食べるものです」

375: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:23:33.24 ID:wO+RFGaT0
拓海「ゼヘ、ゼヘ……あ、あれ?あそこの公園にいるの、有香と香澄じゃねえか……?なんか食ってやがる……」
ヒィヒィ

美波「あれ、本当だ……二人とも、お友達になったのかな……?」
ハァハァ


リョウ「……二人とも、もう少しで事務所だ。ラストスパート行くぞ!」
ドン

拓海「はぁああああああ!?またスピード上げんのかよ!ふざけんなこのやろおおお!!」

美波(ふたりともすごく良い顔で笑ってる……良い事、あったのかな?)


376: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:28:49.53 ID:wO+RFGaT0
夕方
事務所

ロバート「ほんじゃ、ストレッチしたら今日は終わりや。お疲れさん」

拓海「あ~……相変わらず死ぬほどキツいけど、いい加減ちょっと身体が慣れてきたな」

美波「そうだね……坂崎さん、私たちちょっとは体力がついてきましたか?」

リョウ「そうだな。元々ふたりとも基礎体力はあったみたいだから、同じ距離をずっと続けていれば慣れてもくるさ。よし、次からは距離を30㎞に……」

拓海「ざけんな!」

377: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:31:59.31 ID:wO+RFGaT0
リョウ「そういえばロバート。彼女たちのアイドルとしての鍛錬はどうするんだ?俺がしてやれるのは体力づくりくらいで、演技や歌唱といったところは全く手つかずだぞ?」

ロバート「ああ、その件やがな、今トレーナーと交渉しとる。なんでもアメリカ帰りらしくてな、契約がまとまり次第、来てもらうことになる。それまでは体力づくりや」

美波「そうですね。体力づくりも大事ですけど、せっかくアイドルになったんだから、色々なレッスン受けてみたいです!」

378: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:36:05.30 ID:wO+RFGaT0
ガチャ
ちひろ「社長、プロデューサーさん。お客様です」

ロバート「ん?誰や?」

有香「失礼します!押忍!」

リョウ「中野さん」

ロバート「事務所に来てくれたってことは……まさか?」

有香「その事なんですが……一度頂いたお誘いをお断りしておきながら厚かましいとは思いますが、この中野有香、テストをして頂きたく参りました!」

379: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:41:07.73 ID:wO+RFGaT0
ロバート「エエで、エエで!そんなんテストなんかいらん、大歓迎や!そしたらこの契約書にサインを……」

有香「いえ!待ってください!」

ロバート「え?」

有香「今まで数日間、悩みました。ですが、師匠が、そして香澄さんが、あたしの背を押してくれました」

有香「ですがあたしは未だ迷っています。どっちかだけを選ぶことなんてできない!」


有香「だから、見極めてほしいんです!本当にあたしがスカウトされるに足る人間なのか、最強のアイドルを目指すに足る人間なのかを!」

380: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:44:30.48 ID:wO+RFGaT0
有香「聞けばプロデューサーの坂崎さん、ですか?あなたは極限流という空手の達人だと、香澄ちゃんから伺いました」

リョウ(絶対あいつはそんな風に俺を紹介しないと思うがな……)

有香「空手の達人であり、プロデューサーでもある坂崎さんに、あたしがこの世界で闘っていけるか、判断をしてほしいんです!」

リョウ「具体的には……?」

381: 名無しさん 2016/12/29(木) 02:48:33.66 ID:wO+RFGaT0
有香「私と、組手をお願いします!」

リョウ「!」

ちひろ「?」

美波「!?」

拓海「!!?」

ロバート「!!!!!!!??????」

399: 名無しさん 2016/12/29(木) 23:46:12.61 ID:wO+RFGaT0
有香「その中で、私の中に可能性を感じて頂かなければ、アタシは大人しく空手に邁進します」

リョウ「……一つだけ聞かせてくれ。こう言っちゃあなんだが、どうしてそんな遠回りをするんだ?君は今一言なりたいと言えばアイドルになれるんだぞ」

有香「若輩者のあたしが生意気なようですが……こういう生き方しか知らないからです!」



リョウ「……よし、わかった。道着は持ってきてるな?着替えたらレッスンルームに来てくれ」

401: 名無しさん 2016/12/29(木) 23:52:28.72 ID:wO+RFGaT0
ロバート「ちょちょちょ!リョウ!どうする気なんや!」

リョウ「どうするも何も、彼女が望んだことだ。俺は応えるだけだ」

ロバート「……手を抜く気は……」

リョウ「ない。……だが、普通に組手をするのも違うような気はする」

ロバート「……わかった。もう任せるで……」



拓海「……なんか大変な事になっちまったな」

美波「どうしてこんなことに……」

402: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:00:19.45 ID:EnRgGATw0
レッスンルーム

有香「……」

拓海「……ずいぶん落ち着いてるように見えんな」

美波「場慣れしてるのかな……」

ガチャ
リョウ「待たせたな」

403: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:01:54.97 ID:EnRgGATw0
有香「……押忍!よろしくお願いします!」

拓海(……そういえば空手着着てんのを見るのは初めてか?ド派手なオレンジの道着だが……)

美波(……普段は頼れるけど少し抜けてる所もあるお兄さんって感じだったけど……)

美波(なんだか……雰囲気が……)

ロバート(アカン……完全に道場モードや……)

404: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:07:46.21 ID:EnRgGATw0
リョウ「始める前に確認だが、今回の組手は、俺からは一切手を出さない。防御に徹する。3分間の間で俺に中野さんの力を見せてくれ」

有香「……!押忍!」

美波「……これで有香ちゃんがケガすることはなさそうだけど……」

拓海「防御に徹するって……あいつ身体が鉄で出来てるってもっぱらの評判だぞ……」


リョウ「……じゃあロバート、開始の合図は任せる」

405: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:13:03.36 ID:EnRgGATw0
有香「……」

ロバート「……それでは、はじめ!!」


有香「押忍!行きます!」
ザッ

リョウ「……」
スッ

406: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:17:33.45 ID:EnRgGATw0
ロバート(構えはお互いオーソドックス……しかし……リョウからは手を出さないと宣言していたものの……)

有香「……!……!!」

ロバート(恐らくはもう有香ちゃんも感じているはずや……ちゃんと実力があるが故に……!)

リョウ「……」
ズ

有香(……打ち込むスキが!全く無い!)

407: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:21:22.72 ID:EnRgGATw0
有香(そして無言で構えているだけなのにこの……圧迫感……)

有香(強い……たぶん今まで見てきた人達の誰よりも……!)

拓海「なんでドンドン打ち込んで行かねーんだ……と言いてえトコだが……こいつは……」

有香「っぐ……」
ジリジリ

408: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:26:38.83 ID:EnRgGATw0
リョウ「……打ち込んでこないのか。その臆病さじゃあとても合格点はやれない」

有香「……!くっ……」

リョウ「……」
スッ

リョウ「オラオラァ!」
クイクイ

拓海(挑発!?)

409: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:31:24.26 ID:EnRgGATw0

有香「……ッ覇ァ!」
ブオ
リョウ「……」
スッ

有香(躱された!……まだまだ!)

有香「せい!やっ!はーーー!」
スバババババ

リョウ「甘い!」
パパパパパ

美波「全部、捌かれてる……!」

拓海「あ、当たらねえ!身体に……甘い攻撃にゃ見えねえぞ……!」


410: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:35:38.52 ID:EnRgGATw0
有香「はぁ……はぁ……!」
有香(キツい……!今まで延長闘ったってこんなに疲れたことは無かったのに……)

有香(時間は……まずい!もう1分を切る!)

有香(いやだ!アイドルを……諦めたくない!あたしの空手を……何も出せてない!)

有香「うあああああああ!」
ブオ


411: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:39:03.76 ID:EnRgGATw0
リョウ(そんな雑念の多い蹴りが……!)

リョウ「見切った!破ァ!」
ドン


拓海「ちょっ」

美波「有香ちゃん!」

ロバート「リョオオオオオオ!!!」

412: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:44:55.42 ID:EnRgGATw0
リョウ「……寸止めだ、当ててはいない」

有香「……!あ……!」
ヨロ ペタン


ロバート「リョウ!お前、自分から手は出さへん言うたやろが!」

リョウ「だから今のはカウンターだし、攻撃を当ててもいない」

ロバート「んな屁理屈を!もうええ!ここまでや!後はワイがお前の相手したる!」

リョウ「中野さん。君は普段の試合の時からそんなに雑念に塗れた状態で闘っているのか?」

有香「……!」

413: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:50:02.73 ID:EnRgGATw0
リョウ「こないだの大会の時の君はそんな風には見えなかった。大柄な相手を如何に攻略するか。その一点に研ぎ澄まされていた。だからこそあそこまで善戦したのだし、俺たちも胸を打たれた」

有香「……」

リョウ「だが、今の君はどうだ?確かに状況的には気が逸ってしまうのも仕方ないのかもしれない。だが、集中できていない、何の意図もない、魂の宿らない拳を何十、何百打たれようとも俺には絶対に届かない」

有香「……」

414: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:55:20.74 ID:EnRgGATw0
香澄「全く、偉そうな講釈を垂れているな極限流。いや、狂言流」

拓海「……おわ!お前いつの間に!」

香澄「有香ちゃんの様子が心配なので身に来ました。こうなったのは私のせいもあるので……」


リョウ「中野さん。いや、有香。まだ闘えるか。いや、闘いたいか?」

有香「……ぃたいです」

リョウ「聴こえないな」

有香「……闘いたい!アイドル、諦めたくないです!!」

415: 名無しさん 2016/12/30(金) 00:59:03.31 ID:EnRgGATw0
リョウ「よし。ならひとまずそのアイドルへの思いも、一旦捨てろ!そして、一撃だ。ただ一撃、拳を打つことにのみ集中しろ!それを俺は受ける。合否はそれで判断する」

有香「!」

リョウ「わかりやすくていいだろう。お前の魂の拳が、俺の魂に響けば合格。そうじゃなけりゃ不合格だ」

リョウ「立てるか?」

有香「……はい!」
スク

416: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:04:00.68 ID:EnRgGATw0
リョウ「……よし。ならお前の覚悟が決まった時に、拳を俺の腹に打ち込んで来い」

有香「……押忍!」

有香(集中、集中、集中……!アイドルへの思い、私を鍛えてくれた師匠への思い、そして、こうしてチャンスをくれた坂崎さんへの感謝の思い……全部捨てて……いや!全部を乗せて!それくらいの重さがないと、私の拳は届かない!)

有香「……!覇ァァァァア!!」

ズドン

ロバート「……!!」

香澄「……!!」

417: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:08:36.94 ID:EnRgGATw0
リョウ「……」

有香「……!ッハァ、ハァ……」
ガク

美波「有香ちゃん!」
拓海「有香!」

有香「待ってください、お二人とも……坂崎さん、どうですか……?」

リョウ「……お前の魂の拳、伝わった。俺は全部捨てろと言ったが、まさかひっくるめて乗せてくるとはな。恐れ入ったぜ、一本取られた」

418: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:11:43.94 ID:EnRgGATw0
有香「そ、それじゃあ……!」

リョウ「ああ、文句なし、合格だ。この一撃が撃てるなら、君はきっと最強のアイドルを目指せるよ」

有香「……!やった!ありがとうございました!押忍!」

ロバート(いやまぁ、正直今の一連の流れのどこにアイドル要素が?とは思うけどな……まぁ合格ならエエわ……しかし……さっきの一撃……)

419: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:15:33.12 ID:EnRgGATw0
拓海「有香!やったな!」

美波「おめでとう!有香ちゃん!」

有香「拓海ちゃん、美波さん!ありがとうございます!」

有香「香澄ちゃん!あたし、やりましたよ!」

香澄「ええ!お見事な一撃でした!本当に、驚くほどに……」


有香「……?」

420: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:19:15.65 ID:EnRgGATw0
拓海「っしゃあ、早速契約祝いの打ち上げ行こうぜ社長!肉!肉!」

ロバート「獣か!……今日は皆疲れとるやろ、正式契約も祝いもまた後日や。今日のところは解散や解散!ワイもこの後トレーナーとの交渉の詰めがあるからな」

拓海「チェッ……まぁしゃーねーか」


ロバート「……それとリョウ。ちゃんとケアしとけよ?」

リョウ「ああ」

421: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:24:15.52 ID:EnRgGATw0
路上

拓海「……いやあ、一時はどうなることかと思ったけど、決まってよかったな」

有香「ありがとうございます!……それにしても坂崎プロデューサー……あの人は並大抵の使い手ではありませんよ。さぞかし著名な空手家なのかと思いましたが、極限流空手……お恥ずかしながらあたしは聞いた事がありません」

美波「サウスタウンから来たって言ってたから、海外じゃあ有名なのかも?」

拓海「……ってなると、今まで地味に謎だったあいつらの過去が少しわかってきたな……」

422: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:28:19.28 ID:EnRgGATw0
美波「元々サウスタウンで空手……極限流空手っていうのかな?その先生をやっていて、それで同門で親友のロバート社長が日本でプロダクションを作るから、プロデューサーとしてお手伝いするために一緒に日本に来た……ってことなのかな」

拓海「……冷静にまとめると『なんで?』って感じの流れだな……」

美波「……ん、あれ?」

拓海「ん?どうした美波?」

美波「ごめんなさい、ちょっと事務所に忘れ物したみたい。取りに戻るから、ふたりは先に帰ってて?」

423: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:31:52.05 ID:EnRgGATw0
有香「あ、それでしたらあたしも師匠に報告をしに道場に行かなければいけません」

拓海「なんだよ、そうなのか……んじゃあ、今日はここで解散にすっか」

美波「うん、そうだね。それじゃあ、拓海ちゃん、有香ちゃん!またね!」

拓海「おう、またな」

有香「これからよろしくお願いします!押忍!それでは失礼します!」


424: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:34:45.81 ID:EnRgGATw0
事務所


美波「ええと、ロッカールームロッカールーム……」
スタスタ

リョウ「……藤堂の、色々有香に世話焼いてくれたみたいだな。すまない」

香澄「私は別に何もしていないし、友達の有香さんとお喋りしただけの事だ。お前に礼を言われる筋合いはない」

美波(坂崎さんと香澄ちゃん……?あっ……そういえば香澄ちゃんは元々坂崎さんと手合わせしに事務所に来たんだった……!)

425: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:38:26.53 ID:EnRgGATw0
リョウ「友達、か。これからも有香とはいい友人でいてくれ」

香澄「何度も言うが、勘違いするな。私は、この事務所の皆さんとは友好を結んだが、極限流と慣れあう気は一切ない」

リョウ「全く、ツレないな。じゃあ、今から一戦やる気か?」

美波(……!や、やっぱり……)

426: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:42:20.22 ID:EnRgGATw0
香澄「……見くびるな、リョウ・サカザキ!私が万全ではないお前に勝って喜ぶような卑怯者に見えるか!」

美波(……え?)

リョウ「……気づかれてたか」

香澄「気を扱う者なら、当然だ。恐らくロバート・ガルシアも気づいていただろう。さっきの有香ちゃんの最後の一撃……」

リョウ「……ああ、稚拙ではあるが……確かに、気を纏っていた」

美波(気……?)

427: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:46:35.07 ID:EnRgGATw0
リョウ「だが、いくら稚拙ではあっても、全く気を受ける準備をしていなかった身体には殊の外響いた……いつ、何時にあっても、油断大敵。俺もいい勉強になった」

香澄「ふん……自分からあんなに有香ちゃんを煽っておいて、思いのほか大きなダメージを喰らってしまうとは、情けないものだな極限流!」

リョウ「そう言われてしまうと返す言葉もないが……有香は鍛えれば空手の方もまだまだ伸びる。逸材だよ」

香澄「ふん……まぁそういう訳だ。お前が万全になった時、その時改めて再戦を申し込む。……あの時渡した鉢巻はちゃんと持っているな?」

428: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:50:06.42 ID:EnRgGATw0
リョウ「ああ、ちゃんとこっちにも持ってきてるよ」

香澄「よろしい……ならば次に会うときはその鉢巻を忘れずに持ってこい。良いか?絶対だぞ!絶対の絶対だぞ!」

リョウ「わかってるよ……約束だからな」

香澄「なら、いい。失礼する」
スタスタ

429: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:53:49.32 ID:EnRgGATw0
リョウ「……ああ見えて、義理堅いというか、真面目というか……あいててて……」

ガチャ
美波「……」


リョウ「……ん?美波、どうした?忘れ物か?」

美波「ええ……坂崎さん、上、脱いでください」

リョウ「お、おいおいどうしたんだ急に……いてて」

美波「じっとしててください……手当しますから」

430: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:56:09.41 ID:EnRgGATw0
リョウ(……参ったな、聞かれてたのか今の話……)

美波「……」
クルクル

リョウ「……美波」

美波「……はい?」
チョキチョキ

431: 名無しさん 2016/12/30(金) 01:59:06.17 ID:EnRgGATw0
リョウ「……すまないな」

美波「……私には気というものが何なのかは分からないですし、坂崎さんが物凄く強い人だっていうのは分かりますけど」

美波「……あまり、無理はしないでくださいね」

リョウ「ああ……気を付けるよ」

456: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:21:00.24 ID:dUTS+pg10
数日後


有香「……あった!ここです!ここのお肉屋さんですよ!」

拓海「……まぁ肉は肉だけどよ~」

美波「まぁまぁ拓海ちゃん……有香ちゃんたっての希望だし、香澄ちゃんのお墨付きだし、ね?」

ロバート「せっかくの契約祝いを街角の肉屋のコロッケが良いとは……無欲というか、庶民的というか……」

リョウ「良いんじゃないか、たまにはこういうのも」

457: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:26:52.05 ID:dUTS+pg10
公園
有香「ささ!みなさん、冷めないうちに食べましょう!」

拓海「……じゃあ食ってみるか……確かにいい匂いはするが……」
パクッ

拓海「……」
サクモグモグ

拓海「うめええええ!なんだこりゃあああ!」

美波「……美味しい!」

458: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:32:49.56 ID:dUTS+pg10
ちひろ「うん、油がしつこくなくて、お肉も香りがよくて美味しいですね」

ロバート「……こ、これが肉屋のコロッケちゅうもんか……なんや舐めとったわ……」

リョウ「文句なしにうまい」

有香「……!やりましたよ!お肉屋さん!香澄ちゃん」

459: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:37:50.93 ID:dUTS+pg10
有香「……改めまして、中野有香です!これから最強のアイドルを目指して頑張りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!押忍!」


拓海「体育会系だなオイ」

美波「有香ちゃんらしいね」

ロバート「よし、恒例の二つ名発表やけど、ほんなら有香ちゃんは6810プロの黒帯やな」

リョウ「恒例なのか……」

有香「……!その名を汚さぬよう、一層精進します!押忍!」

拓海「真面目か!」

460: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:44:09.06 ID:dUTS+pg10
夕方・解散後
事務所

リョウ「……みんな帰ったか」

ちひろ「……プロデューサーさん、お客様がいらっしゃってます」

リョウ「なに?参ったな、ロバートはもう帰っちまったが……」


ちひろ「それが、神誠道場というところのご師範だそうで、ご挨拶がしたいそうです」

リョウ「神誠道場?有香の?……わかりました、俺が会います」

461: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:50:16.17 ID:dUTS+pg10
師匠「どうも。この近くで神誠道場という小さな道場をやっている者です」

リョウ「初めまして、ロバートプロダクションでプロデューサーをやってます、リョ……坂崎亮です」

師匠「初めまして……なのですが、私はあなたの……あなた方の事を存じております。極限流の『無敵の龍』殿」

リョウ「……これは恐れ入ります。どこかで、極限流と?」

師匠「いえ、直にお目にかかるのはこれで2回目……1回目はこの前の空手大会の体育館です」

462: 名無しさん 2017/01/04(水) 00:55:53.42 ID:dUTS+pg10
リョウ「それは……とんだ無礼を」

師匠「いえいえ……私とて空手家の端くれ、遥かサウスタウンからであってもその武名は我々空手家の元には聞こえております」

師匠「なので、先日の大会の時もあなた方が体育館を訪れた時、一方的に見ていただけです。噂の極限流の『龍虎』がどんな人物なのかと」

リョウ「……それは、どうも」

師匠「そして恐らく、それは私だけではない。日本の武道会は今密かに騒がしくなっていますよ。極限流が突如日本に来た、とね」

リョウ「……」

463: 名無しさん 2017/01/04(水) 01:01:57.59 ID:dUTS+pg10
師匠「しかし、驚きました。ウチの道場からさほど離れていないところに、アイドルの事務所が出来たと。そしてそこで活動してるのはなんとあの極限流の二枚看板らしいと」

リョウ「……まぁ色々事情がありまして」

師匠「ええ、それはこちらも同じこと。私も心配していたのです。……ウチの大事な愛弟子を、素人が気まぐれに手を出したプロダクションに託して良いのか、と」


リョウ「……!」

師匠「……」

ピシ
ちひろ(か、カップに急にひびが……)

464: 名無しさん 2017/01/04(水) 01:05:30.60 ID:dUTS+pg10
リョウ「……師範どの、俺たちは……」

師匠「……ええ。ですがそれは私の杞憂だったようだ。どうやらあなた方は本気でいらっしゃるようだ。それならば、同業者という点で、かえって安心して有香を送り出せる」

師匠「……坂崎殿。どうか、有香を、何卒……!何卒宜しくお頼みします……!」
ザッ

リョウ「師範殿……確かに、承りました。こちらの方こそ、有香を、大事なお弟子さんを、お預かりさせて頂きます」
ザッ

465: 名無しさん 2017/01/04(水) 01:10:53.20 ID:dUTS+pg10
師匠「……ところで坂崎殿。有香は一体いつ頃デビュー出来る予定なのですかな?」

リョウ「え?い、いや、現時点ではまだなんとも……」

師匠「左様ですか……それでは!もし有香のデビューが決まったならば!すぐにお知らせを!すぐにですからな!」

リョウ「え、は、はい。え?」

師匠「ふふふ……楽しみだなぁ……それではこれで失礼します、坂崎殿」



リョウ(まさかここ(応接室)で一戦やる羽目になるかと思ったが……食えねえ人だなあの御仁は)

466: 名無しさん 2017/01/04(水) 01:19:48.55 ID:dUTS+pg10
東京・某所

???「フッ……極限流、日本まで来て何をやっているかと思えば、まさかアイドル事務所とはな」

???「大方、ロバート・ガルシアの気まぐれだろうが、随分と呑気なものだ」

???「……ハハハ、しかしアイドルか。なるほど、それもまた一興か。ハハハハハハ!」

475: 名無しさん 2017/01/04(水) 19:44:51.36 ID:dUTS+pg10
翌日
事務所

ガチャ
ロバート「おう、おはようさん!リョウ、おるか!?」

リョウ「おはよう、ロバート。そりゃいるよ。住んでるんだからな」

ちひろ「おはようございます、社長」

ロバート「ちひろさんもおはようさん!……それより、覚えてるか?以前話した、スカウト以外でのアイドルを雇う計画……」

476: 名無しさん 2017/01/04(水) 19:49:11.18 ID:dUTS+pg10
リョウ「ああ、聞いたな。……まさか?」

ロバート「せや!実はこっそり裏で進めとったんや。ロバートプロダクションアイドル募集企画!」

ロバート「ネットの芸能事務所の求人サイトとかで募集をかけててな……まぁ出来たばかりの無名振興事務所やから、めちゃくちゃ応募があったわけやないが、それなりの数の応募はあった。改めて、この国ではアイドルになりたいと願う女の子はたくさんおるっちゅうこっちゃな」

リョウ「いつの間に……」

478: 名無しさん 2017/01/04(水) 19:54:09.59 ID:dUTS+pg10
ロバート「ワイもただフラフラしとっただけやないっちゅうことや!送られてきた履歴書と写真でワイの方で大方の一次審査は済ませてある」


ロバート「2次審査……ていうか最終審査の面接に残ったのが5名……ほんで、今の6810プロはすでに3名のアイドルが所属……当初の計画として5名のアイドルを揃えて活動を始める予定やから、この5名の中から出来れば2名、最低でも1名は採用したいところやな」



ロバート「とは言っても一次審査の時点でワイの目によるある程度のビジュアル面での基準はクリアしとる娘ばかりや。なんで、後は実際の面接でその娘がやっていけるかを見極めることになる。そんで、その面接にはリョウ、お前も当然参加してもらう」


リョウ「面接か……限られた時間の中で、ほとんど知らない相手の人となりを判断するのはかなり難しいな……拳を交えれば一発なんだが」


ロバート「アホ!全員と組手する気か!……まぁそれはそうやけど、面接にはワイも参加する。そんで、二人で話し合って合否は決めたらエエ」

479: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:01:18.25 ID:dUTS+pg10
リョウ「そうか……で、面接はいつなんだ?」

ロバート「今日の午後からや。やから、それまでにこの5人の履歴書に目を通しとってくれや」
スッ

リョウ「今日なのかよ!急だな!ったく……」
ペラ

ロバート「どうせ期間空けたって別にお前の判断基準は変わらんやろ……それにこの募集費用やらなんやらでプロダクションの資金もかなり厳しくなってきとる。もうあまりゆっくり動いてもいられんのや」

リョウ「そういうことなら仕方ないな……」

ロバート「まぁこれも慣れへん仕事やろうけど、美波ちゃんも言うてたやろ、挑戦や挑戦」

480: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:08:02.85 ID:dUTS+pg10
午後
会議室
ロバート「それでは、自己紹介と自己PRを」

女の子A「はい!○○といいます!趣味は料理で、特技は日本舞踊です!」

リョウ「日本舞踊?」

女の子A「はい、幼いころから仕込まれてますので……」



ロバート「それでは、志望動機を」

女の子B「志望動機?実は募集を見て、勝手に親が応募して~」

女の子B「けど~、テレビで出てる女の子って~、ぶっちゃけアタシよりカワイイ娘いないし絶対イケるなって思って~」

リョウ「大した自信だな」

女の子B「は?」

481: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:13:38.15 ID:dUTS+pg10
ロバート「どうぞ」


女の子C「実はあたしモデルの経験あって、ルックスには自信あるんですよ」

女の子C「それにスタイルの維持にも普段から気を使っていますし、今朝も朝食はスープだけです」

リョウ「大丈夫か……もっとしっかり朝飯食って来いよ」

女の子C「スタイル維持の方が大事なんです!」



482: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:20:29.43 ID:dUTS+pg10
女の子D「テレビで見たアイドルの人が、観客の人をみんな笑顔にしてて……私もあんなふうになれたらなって憧れてっ!」

リョウ「憧れだけで出来る仕事じゃないかも知れないぞ」

女の子D「やっぱり、私みたいな子どもじゃ難しいですか……?」

リョウ「年齢は関係ないと思うぞ」

リョウ(しかし細いなこの子は……)

483: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:25:19.18 ID:dUTS+pg10
女の子E「どんな厳しいレッスンにも耐えられます!体力には自信がありますから!」

リョウ「おっ、元気良いな。普段から運動してるのかい?」

女の子E「はい!色々なスポーツをやってます!バスケにサッカー、野球にアメフト……」

リョウ「幅広いな」



リョウ(……わからん!)

ロバート「……はい、今日はおおきに。すぐに合否を発表するんで、30分ほど応接室で待っとってや」

484: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:33:53.89 ID:dUTS+pg10



リョウ「……ロバート、こういっちゃあなんだが全然わからなかったぞ」

ロバート「ルックスはワイが直々に写真を審査しただけあって皆カワいかったな。実物見ると印象ちがうのもおったが」

ロバート「ただまぁ、面接やからそんな自分にマイナスな事言う娘はそうそうおらんわな」

リョウ「しかし、ほとんどの娘とはちゃんと会話を出来た感じがなかったな……それは質問をする俺の方の技量不足のせいなんだろうが……」

ロバート「正直ワイも判断しかねるんやが、フィーリングやフィーリング……ん?電話か?」
プルプル

485: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:38:35.26 ID:dUTS+pg10
ロバート「はい、もしもし、ロバート・ガルシアですが……え?今からすぐでっか?……わかりました、向かいます」
ピッ

ロバート「……すまんリョウ、急用や。待たしとる子らには悪いけど、後日結果を連絡するからってんで今日のところは帰しといてくれ」

リョウ「お、おいロバート」

ロバート「詳しい事は帰ってから伝えるわ。ほなとにかく頼んだで!」
バタバタ


リョウ「……急に帰せって言われてもな……」

リョウ「……そうだ、せっかくだし少しくらいならいいだろう……」

486: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:43:49.70 ID:dUTS+pg10
応接室
ガチャ

リョウ「みんな待たせてすまないな」


女の子A「!いえ、結果が出たのですか!」

女の子B「ならさっさと発表して欲しいんですけど~」

リョウ「それなんだが、すまない。選考が難航しててな。結果は後日改めて連絡させてもらうことになる」

487: 名無しさん 2017/01/04(水) 20:50:17.98 ID:dUTS+pg10
女の子C「ええ……じゃあ今日はこのまま解散ですか?」

リョウ「ああ、それなんだが……せっかく来てくれたのにこのまま帰すのは悪い。なんで、今日はうちのレッスンを少し体験してもらおうと思う」

女の子E「!本当ですか!?レッスンはダンスですか、ボイスですか?」


リョウ「ああ……とりあえず事務所に貸し出し用のジャージがある。それにみんな着替えてくれ」

488: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:10:47.13 ID:dUTS+pg10
都内某所


ロバート「……そんな、余りにも急すぎるんとちゃいます?交渉も複数回重ねてて、もう最後の詰めの段階だったはずやで」

???「だから先ほどから何度も謝罪しているだろう……本当に申し訳ない」

ロバート「そんないくら口先で謝られても、ずっと交渉してきたウチを蹴って、後から交渉してきたプロダクションの方に行くなんて納得できへんわ」

489: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:14:27.50 ID:dUTS+pg10

ロバート「それもまぁ契約ごとやからしゃーないっちゃあしゃーないけど……一体ナンボ積まれたんです?」

???「契約内容の事は向こうとのこともある。当然明かすことはできない」

???「……だが、君の所のプロダクションに私が不義理を働いたのも事実だ」

???「信じてもらえないかもしれないが、金額で向こうに決めたわけではない、とだけ言っておく」

490: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:20:17.02 ID:dUTS+pg10
ロバート「はっ、どうだか……何にせよウチのボイストレーナー探しはまたイチからや。もうあまり時間もあらへんのに……」

???「それについても、私のツテを当たってみて、もし紹介できそうな者がいれば連絡させてもらう」

ロバート「……もう部外者のアンタにそこまでしてもらう義理はないけど、今のウチは藁にも縋りたい状況や。期待せんで待たしてもらいまっせ。ほな」


事務所
ロバート「……戻ったで~……全く由々しき事態やで……」

ちひろ「おかえりなさい、ロバート社長」

491: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:24:56.61 ID:dUTS+pg10
ロバート「……あれ?リョウは?」

ちひろ「プロデューサーさんなら、少し前にランニングに出られました。受験者の子たちと一緒に、体験レッスンだと言って」

ロバート「なん……やと……」
フラッ

ロバート「アカン!ちひろさん、なんで止めんやったんや!アイツはアホやぞ!そんな事したら、女の子全員……ハッ、携帯!まだ間に合う!連絡を……」
ピッ
プルルル

492: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:30:02.79 ID:dUTS+pg10
机の上の携帯「プルルルル」

ロバート「……」

ロバート「携帯しとらーーーーん!あのアホ、置いて行っとるーーーー!!!」

ロバート「ああ……もうダメやぁ……おしまいやぁ……」


ちひろ「あっ、社長、事務所の前にタクシーが停まりましたよ……」

ロバート「……まさか」

493: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:36:56.08 ID:dUTS+pg10
ガチャ
ツカツカ
女の子A「……」

女の子B「マジあり得ないしこの事務所」

女の子C「私はアイドルになりに来たんです。オリンピック選手なら他を当たってほしいです」

女の子E「アタシスポーツは観る専だし」
ゾロゾロ

ロバート(やっぱりーーーーー!!)

494: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:41:17.89 ID:dUTS+pg10
女の子A「あ、社長さん。丁度いいです、今回のお話、無かったことにさせて頂きます」

女の子B「アイツマジヤバくね?ていうかこの事務所あり得無くね?」

ロバート「あ、あ~、あのアホがなんかとんでもない事してしもたみたいやけど、ほんと普段はこんなことない……」

女の子E「ウソだ!あのプロデューサー、『今日はお試しだからいつもの半分の速さで走ろう』とか言ってたぞ!つまり普段はあの2倍の速さで延々走らされるんだ!ふざけんな!」

495: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:46:32.43 ID:dUTS+pg10
女の子C「とにかく、これはタクシー代の請求書です。払わないとは言わせませんよ?プロデューサーの方が『タクシー代は社長に請求してくれ』って言って私たちを乗せたんですから」

ロバート「おお……」
ヨロヨロ

女の子A「それではごきげんよう。2度と来ることはないでしょう」

女の子B「バーカ!一生流行んねーよこんな事務所!」

ロバート「……」

496: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:52:25.97 ID:dUTS+pg10
リョウ「……そうか、背の高さがコンプレックス……」
タッタッタ

女の子D「コンプレックスっていう程じゃないんですけど……私、可愛くなりたいんですっ。けど、背が高い子って可愛くないんじゃないかって」
タッタッタ

リョウ「女の子だもんな、俺たち男にはわからん、そういう悩みもあるだろうが……別に可愛い可愛くないに身長は関係ないだろう?本人の愛想の問題だと思うが」
タッタッタ

女の子D「はいっ、実は最近見たテレビに出てた、私よりも身長の高いアイドルの人が、すっごく可愛くってっ!可愛いに身長は関係ないんだ、私もあんな風になりたいって!」
タッタッタ

497: 名無しさん 2017/01/04(水) 21:57:59.95 ID:dUTS+pg10
リョウ「さっきの面接でも話してたな……というより、君がこんなに体力があるのに驚きだ。面接では話さなかっただろう?」

女の子D「実は、背の高さでちょっと不安だったんですけど、そのうえいっつも陸上部で走ってばっかりって知られたら、あんまり可愛いって思ってもらえないかもしれないと思って……」

リョウ「そりゃ困る。こっちはただでさえ面接の経験不足で、しかもあの短時間で君たちの人となりを見なきゃいけないんだ。その上隠し事までされたんじゃ、もう俺にはどうしようもないぞ」

女の子D「あっ……ごめんなさい……」
シュン

リョウ「それに、陸上やランニングは君が普段から本気で取り組んでることだろう?なんであれ、本気でやってることをマイナスに捉えるような奴はウチにはいないさ」

女の子D「……!」

498: 名無しさん 2017/01/04(水) 22:03:19.25 ID:dUTS+pg10
リョウ「……それに、君がこうして一緒に走ってくれたおかげで、しっかり話が出来た。少しだが、君の……乙倉悠貴さんだったかな?ユウキさんの人となりを知ることが出来たよ」


リョウ「他の娘たちは残念ながら早々にリタイアしてしまったから、イマイチ人となりを知ることが出来なかったが、後はロバートと話しをして合否を決めるしかないな」



リョウ「……それより、君について、身長よりも気になってたことがあるんだが……」

女の子D「はいっ?なんでしょう?」

499: 名無しさん 2017/01/04(水) 22:08:24.10 ID:dUTS+pg10
リョウ「……その、君は、しっかりメシを食ってるか?」

悠貴「え?」

リョウ「ユウキさん。事務所に帰る前に、メシ食っていこう。俺の奢りだ」

悠貴「???は、はいっ!ありがとうございますっ!」


悠貴「それと、悠貴って呼び捨てで良いですよっ!さん付けなんて、慣れてなくって、なんだか照れちゃいますっ!」

リョウ「そうか、じゃあユウキ!そこのファミレス寄って帰るぞ!」

悠貴「はいっ!」

512: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:08:42.46 ID:xYwaDdoS0
ファミレス

リョウ「思うに、君は良く走っているんだろう?それに対して食べる量が少ないと思うんだ」

リョウ「ユリが……妹が言っていたんだが、消費するカロリーに対して摂取するカロリーが少ないと人はどんどん痩せていくと」

悠貴「そうですね……他の友達の子たちと比べても食べる量は普通か、ちょっと少ないくらいかもしれませんっ!」

513: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:12:47.19 ID:xYwaDdoS0
リョウ「そうだろう?……まぁ、君は格闘家やプロスポーツ選手になりたい訳ではないだろうから無理して詰め込む必要はないが、ユウキは今13歳か?まだまだ育ち盛りなんだから、沢山食べるに越したことはない」

リョウ「それでも、沢山食べるのにはそれなりに訓練が必要だから、まずは好きな物でもいいから、食べる量を増やしていこう……と料理が来たな……む」

悠貴「?プロデューサーさん、どうしましたっ?」

リョウ「……いや、なんでもない。ユウキが頼んだのはハンバーグセットか。好きなのか?」

514: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:18:14.15 ID:xYwaDdoS0
悠貴「はいっ、というより大体のものは好物なんですけど……ただ……」

リョウ「ただ?」

悠貴「生野菜だけはちょっとニガテで……えへへっ」

リョウ「……本当なら好き嫌いなく食べるんだ!と言いたいところなんだが……それに関しては、俺もちょっとな」

悠貴「えっ、プロデューサーさんにもニガテな物があるんですかっ?大人なのにっ」

515: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:23:14.27 ID:xYwaDdoS0
リョウ「ぐっ……まぁ、俺は漬物全般がちょっとな……あの独特の臭みというか、後味というか……」

悠貴「……あっ!付け合わせのお漬物!だからさっき微妙なお顔したんですねっ!」

リョウ「び、微妙な顔なんてしてないぞ!……いや、したかもな」

リョウ「よし!それなら俺はこの付け合わせの漬物。ユウキは付け合わせの生野菜サラダ。お互いちゃんと残さずに食べること!」

516: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:27:52.26 ID:xYwaDdoS0
悠貴「は、はいっ!でも、もしどうしても食べられなかったら……」

リョウ「食べる前から食べられなかったときのことなんか考えるな!だが……」

リョウ「……その時は、行儀は悪いがサラダと漬物を交換だ。内緒だぞ」

悠貴「は、はいっ!」

517: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:35:07.96 ID:xYwaDdoS0
事務所
リョウ「戻ったぞ……。じゃあユウキ、シャワーを浴びたら着替えて、今日のところは解散だ。合否は改めて連絡するk」

ロバート「いや!悠貴ちゃん!待たすまでもない、君は合格や!おめでとう!」
ズイ

悠貴「えっ!?社長さんっ!?ホントですかっ!?」

リョウ「ロバート?合否はごじ」

ロバート「ああ!合格や!実は今のランニング、これが最終試験やったんや!だから、リタイアしてしまった他の娘は残念やけど不合格や」

リョウ「そ、そうなのか?俺はなにm」

ロバート「けど、見事悠貴ちゃんはやりきった!お見事!君こそウチのプロダクションにふさわしい!というわけで、ウチの事務所に入ってくれるよな!?な!?」
ズズイ

518: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:40:00.37 ID:xYwaDdoS0
悠貴「(しゃ、社長さん、ちょっと怖いですっ)は、はいっ!ぜひともよろしくお願いしますっ!」

ロバート「よっしゃ、今日はもう疲れたやろ、シャワー浴びて、後日正式契約や」

悠貴「はいっ!ありがとうございましたっ!プロデューサーさんも、ごちそうさまでしたっ!」
ペコ

リョウ「あ、ああ」

519: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:45:29.61 ID:xYwaDdoS0
リョウ「おいロバート、さっきの話、俺は聞いてないぞ。どういう……ロバート?」

ロバート「聞いてへんはこっちのセリフやぁ……!お前、どういうつもりやねん!なんで勝手にランニングに!今日は帰せ言うたやろが!」


リョウ「ああ、それなんだがな。やはりさっきの面接だけでは彼女たちの人柄を知るのに不十分だと思ってな。かといって、組手をやるわけにもいかんから、とりあえず軽くランニングにしたんだ」

ロバート「や・か・ら!!軽ぅない!軽ぅないんやお前の軽くは!お前、たまたま今集まっとる女の子たちがみんな基礎体力があったからって、世の女の子みんなそうやと思うなや!あの悠貴ちゃん以外はみんな怒って帰ってもうたわ!こんな訳わからんシゴキやってられへんって!」

520: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:51:36.22 ID:xYwaDdoS0
リョウ「な、なんだって……?じゃあさっきのユウキ以外不合格ってのは……」

ロバート「あっちの方からお断りされたって話や!不合格はどっちかというとこっちの方じゃ!ドアホ!」

リョウ「そうか……残念だ……」

ロバート「残念どころの話やないで……今回の募集で2名獲得できればプロダクションとして本格的に始動できたのに……」

ロバート「せめて一人は絶対に逃がすまいと悠貴ちゃんには即合格を伝えたけど、もし彼女がダメやったらもう終わりやで……」

521: 名無しさん 2017/01/06(金) 21:57:35.69 ID:xYwaDdoS0
リョウ「……今回の件に関しては俺の勇み足だった。それは謝る」

リョウ「だが、ユウキに関しては、間違いない人選だと断言できる。あいつは間違いなく伸びる」

ロバート「……ほう?まぁあの子に関しては面接でも光るものはワイも感じ取ったが、お前がそこまで言い切る根拠はなんや?まさかお前のランニングに付いて来れたから、なんて言うつもりやないやろなぁ?」

リョウ「まぁ体力もそうだが、性格の問題だ。さっき少し話しただけだが、彼女は本当に素直だぞ。それに向上心があるし、努力を厭わない。そういうやつは絶対に伸びる。それはもちろん導いていく俺たちが間違えなければ、だが」


522: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:06:26.98 ID:xYwaDdoS0
ロバート「……まぁお前がそこまで言うなら悠貴ちゃんの素質は確かなんやろ。やけど、5人目などうするんや。当然もう一回募集をかけて、なんてのは時間的にも資金的にも無理やぞ。……それに、よくないニュースもあるしな」

リョウ「よくないニュース?」

ロバート「以前話しとったアメリカ帰りのトレーナー。別のプロに横取りされた。トレーナー探しはまたイチからや」

リョウ「なんだって!?……じゃあ、まだレッスンは始められないのか……」

ロバート「ワイも急いで代わりを探しとるけど、ボイストレーナーかダンストレーナー、せめてどっちかは早急に決めたいところや……」

523: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:12:44.93 ID:xYwaDdoS0
ロバート「……まぁトレーナーの方はワイの方でなんとかする。リョウの方は最後の5人目、これはもうお前になんとかスカウトしてきてもらうしかない」

リョウ「……それについてだが、5人目にぜひ誘いたい娘がいる」

ロバート「なに……?お前にこっちでツテがあるんか?まさか藤堂の娘か……?」

リョウ「いや、違う。それに別にツテって程のものじゃない。前に街中で一回声掛けて断られたことがあるだけだ」

524: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:17:53.45 ID:xYwaDdoS0
ロバート「なんじゃそりゃ?ホンマに全然ツテやないやんけ、それに断られたって……こんな緊急の時に、そんなじっくり勧誘するヒマはないで。それとも、そんな食い下がりたいほどの逸材やったんか?」

リョウ「……どうだろうな。容姿は優れていたと思うが、それよりも彼女のあの眼……そればかりが思い浮かぶ。なんというか、あのまま放っておくことが、俺には出来ない。そんな眼をしていた」

ロバート「よくわからんけど……まぁスカウトに関してはもうお前に一任しとる。けど、あんまり入れ込みすぎたらアカンで?もし見込みがなさそうやったら次に切り替えていくんや」

リョウ「ああ、わかった」

525: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:22:07.36 ID:xYwaDdoS0
数日後
都内・バイキング

リョウ「さあ!着いたぞユウキ!ここは時間内ならどれだけ食ってもタダだ!沢山食べるんだ!」

悠貴「はいっ!たくさん食べられるように頑張りますっ!」

拓海「いや、ハズいテンションだな!……まぁ食い放題だからな、気持ちはわかる」

526: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:31:57.43 ID:xYwaDdoS0
美波「社長さん、今回の契約お祝いがバイキングなのは悠貴ちゃんの希望なんですか?」

ロバート「いや、なんかリョウが……とにかく腹一杯食える処が良いだろうって……まぁ確かに細いなぁとは思うけどな……」

有香「でも、悠貴ちゃんここに来る前のランニングでは一番坂崎プロデューサーについていけてました!その体力、私も負けていられません!」

リョウ「よし、ユウキ!とりあえず俺が食い物を皿に盛る!好きな物を言うんだユウキ!」

悠貴「あ、ありがとうございますっ!何があるか一緒に見に行きましょう!」

527: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:38:46.85 ID:xYwaDdoS0
拓海「……なぁ、なんかサカザキのヤツ、妙に悠貴には構うというか……世話を焼くというか……そんな感じしねぇ?」

美波「そ、そうかな?でも悠貴ちゃん、ちょっと話したけどすっごく素直で可愛くて、世話焼きたくなるのもわかるかな……」

悠貴「戻りましたっ!はい、みなさん、お飲み物ですっ!」

拓海「おっ!気が利くじゃねえか……ん?なんだこのジュース……」

有香「美味しいですが、飲んだことありませんね?」

528: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:47:39.87 ID:xYwaDdoS0
悠貴「ここのドリンクバー、色々種類があってっ!それでちょっと混ぜて作ってみましたっ!どうですかっ?」

美波「うん、美味しいよ、悠貴ちゃん!」

リョウ「待たせたな」
ドンッ

拓海「いや、盛りすぎだろ!それ全部悠貴に食わす気か!?」

リョウ「そ、そうか?育ち盛りだからこれくらいイケるかと思ったが……」

529: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:51:14.55 ID:xYwaDdoS0
悠貴「いえっ!プロデューサーさんにせっかくよそってもらいましたからっ!いただきますっ!」
パクパク

悠貴「うんっ!おいしいですっ!」
ニコッ

リョウ「……っ」

ロバート「……!」

美波「……っ」
キュン

530: 名無しさん 2017/01/06(金) 22:55:50.96 ID:xYwaDdoS0
悠貴「あ、ちひろさん、拓海さん、飲み物無くなってますよっ!注いできますね!」

ちひろ「あっ、悠貴ちゃん!今日の主役は貴方なんだから、そんなの気にしなくていいのに」

悠貴「良いんですっ!何か飲み物リクエストありますかっ?」

拓海「いや、特にねーよ。また悠貴ミックスで頼むぜ」

悠貴「はいっ!任せてくださいっ!」
パタパタ

531: 名無しさん 2017/01/06(金) 23:03:03.44 ID:xYwaDdoS0
拓海「なぁサカザキ……お前なんか悠貴に甘くねーか?いや、甘やかしたい気持ちはわかるけどよ。ロリコンなのか?」

リョウ「……!?そ、そうか!?そんなこと……ないだろう……」

リョウ「……ただ……まぁ……確かにユウキと話してると、ユリの……一番素直な頃の妹と話してるみたいな気持ちになってくるような……いや、いかんいかん……まだ修業が足りねぇな俺も……」

美波「わかります……素直な年下の兄弟って、ほんとに可愛くて……」

ロバート(リョウはまぁシスコン気味やからわかるけど……このワイも不意に胸をときめかされるとは……悠貴ちゃん、恐ろしい娘……!)

532: 名無しさん 2017/01/06(金) 23:11:11.09 ID:xYwaDdoS0
悠貴「それでは改めましてっ、乙倉悠貴ですっ!社長さんっ!ちひろさんっ!先輩のみなさんっ!そしてリョウさ……いえっプロデューサーさんっ!よろしくお願いしますねっ!」

有香「はい!よろしくお願いします!悠貴ちゃん!」

拓海「おう!よろしく!悠貴!」

美波「よろしくね、悠貴ちゃん」

ちひろ「悠貴ちゃん、よろしくお願いしますね」

533: 名無しさん 2017/01/06(金) 23:19:15.01 ID:xYwaDdoS0
ロバート「おう!ほんで、恒例の二つ名は……6810プロの『恐るべき13歳』やな」

悠貴「お、恐るべきっ!?私って、こ、怖いですかっ!?」

リョウ「いや、気にしなくていい……よろしくな、ユウキ」


リョウ(これでアイドルが4人……アイツはまだ、街にいるだろうか?)

543: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:14:45.49 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場

リョウ「ここ数日は姿を確認できなかった。もうこの街を離れた、なんてことはないだろうが……」

数時間後

リョウ「……」

リョウ(いないな……)


???「……」
コソッ

544: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:21:30.13 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場

リョウ「……」

???(あの人……今日もいる……誰に声をかけるでもなく……誰かを探してる?……まさか……いや、そんなはずないよね……学校行かなきゃ……)

数時間後

リョウ「……」

???(うわ……まだいる……もう諦めればいいのに)
コソッ

???(早く諦めちゃえば、楽なのに)


545: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:24:57.03 ID:mhtdpTgV0
リョウ「……」

リョウ「……」
フゥ
スタスタ

???(あっ、帰った)

???(……)

546: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:28:14.74 ID:mhtdpTgV0
事務所
リョウ「……戻った」

ロバート「おう、お疲れ、リョウ。首尾は?」

リョウ「……ここ数日、姿さえ見えない。引っ越した、なんてことはないとは思うんだが……」

ロバート「……なぁリョウ。スカウトをお前に任せたのはワイやし、お前の意向は反映させてやりたい。やけど、姿も見えないし、挙句一回断られて、会えたとしてもスカウトできる保証もないんやろ?……だったら、その娘は一旦保留してくれ、とお前に言わざるを得んわ」

547: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:35:01.02 ID:mhtdpTgV0
リョウ「……」

ロバート「お前がスカウトに行ってる間も、今事務所にいる娘は自主的にお前と普段走ってるコースをランニングしてくれてる。けど、もうじきそれも終わりや」

リョウ「……なに?」

ロバート「実は、今日、以前交渉していた例のアメリカ帰りのトレーナー、彼女から連絡があってな。彼女の友人が、ダンスの専門家でこそないけど、ダンスレッスンを見てくれるらしい。ウチのアイドル達はみんなまだダンス経験ゼロやからな。お願いすることにした」

リョウ「!」

548: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:42:20.60 ID:mhtdpTgV0
ロバート「その友人はもうすぐこっちに来てくれるらしい。……来てくれたら、それはつまり活動の本格的なスタートを意味しとる」


リョウ「……つまり、5人目を決めるのに、いよいよ時間がないってわけか」

ロバート「そういうことや。やから、本当はこんな事言いたないけど、もうハードルは落としてもいい。とにかく1人確保してもらいたいんや」

リョウ「……ロバート、あと一日。一日だけ俺にくれ。もし明日ダメだったら、お前の言う通りにする」

ロバート「……わかった。お前がそんなに入れ込むんはどんな娘か、ワイも興味あるしな。けど、明日一日だけやで」

リョウ「ああ、ありがとうロバート」

549: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:44:51.07 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場

リョウ「……」
キョロキョロ

???(今日もいる……やっぱり誰か探してる……)

???(……学校いこ)


550: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:48:49.93 ID:mhtdpTgV0
数時間後


???(今日は遅くなっちゃった……あの人はもう流石に帰ったかな)


リョウ「……」

???(……まだいる!)

???(……もう!)

551: 名無しさん 2017/01/08(日) 00:56:56.49 ID:mhtdpTgV0
リョウ(結局、いない、か)

???「ねぇ、アンタさぁ……毎日毎日誰を探してんの?」

リョウ「……いるんじゃねぇか」

???「……え?」

リョウ「君を探してた。もう一度話したくてな」

???(やっぱり……私を……)

552: 名無しさん 2017/01/08(日) 01:00:10.42 ID:mhtdpTgV0
???「……話って?アイドルの件ならもう断ったけど?」

リョウ「その件だ。改めて、アイドルに興味はないか?」

???「……しつこいな。嫌って言ったら嫌なんだってば!アイドルなんて、なれるわけないでしょ!?アタシはそんな人間じゃないんだから……」

リョウ「どうしてなれるわけないんだ?現に今君はスカウトを受けているじゃないか」

553: 名無しさん 2017/01/08(日) 01:03:17.73 ID:mhtdpTgV0
???「……アタシ、小さい頃から病弱でさ。長く入院してたし、学校も休んでばっかで、友達も少なかったし。何かにまじめに取り組んだこともなかった……」

???「アイドルになるなんて、テレビの中だけの夢物語。報われない努力なんて、するだけ無駄でしょ。それに、アタシはその価値も素質も、何もないから……」

リョウ「……本当に、そう思うのか?」

???「え……?」

554: 名無しさん 2017/01/08(日) 01:08:35.43 ID:mhtdpTgV0
リョウ「少なくとも俺には、君は燻っているように見える。言葉では何もかも諦めているようなことを言っているが、君は自分を諦めきれていないはずだ」

???「アタシの事、何も知らないくせに、随分知ったようなこと言ってくれるんだね。『自分の価値を自分で勝手に決めつけるな』ってやつ?」

リョウ「ああ、俺は君の事を何も知らない。だからこその、客観的な視点ってやつだ。俺は全然化粧とかに詳しいわけじゃないが、君のその爪も、髪型も、自暴自棄になってるやつのものではないと思うんだがな?」

???「……っ、別に勝手でしょ、アタシがどんな格好したって……」

リョウ「そうだな、すまん。俺はよく女心がわからないと言われるからな、許してほしい」

555: 名無しさん 2017/01/08(日) 01:13:53.68 ID:mhtdpTgV0
リョウ「だが、女心はわからずとも、それなりの数の人間と会ってきたんだ。その人間の心に火が点いてるのか、燻っているのか、それとも完全に消えているのか。それくらいはわかるつもりだ」


???「……」

???「……わかった、わかったよ。でもアタシさぁ、さっきも言った通り病弱だったから体力ないし、努力とか練習とか、気合と根性!とかそういうキャラじゃないんだよね。それでも良い?」

リョウ「こちらから誘っておいてなんだが、努力できない奴を置いておく余裕はウチのプロダクションには無いし、俺も一緒にやるつもりはない。それなら他を当たる」

???「ええっ!?」

556: 名無しさん 2017/01/08(日) 01:21:12.75 ID:mhtdpTgV0
リョウ「だが、君は今まで入院ばかりだと言っていたな?だったら、それは努力できないんじゃない、努力の仕方を知らないだけだ。だったら大丈夫だ。俺は歩く気のない奴を待つほど気は長くないが、歩みの遅さが気になるほど短気じゃない」

リョウ「歩こうという意思がある限り、俺は君の背中を押し続けてやれる」

???「……厳しいんだか、優しいんだか……」

???「……でも、アンタ今までアタシの周りにはいなかったタイプの大人だね。わかった、良いよ。アンタに言いくるめられてあげる。えっと……」

557: 名無しさん 2017/01/08(日) 01:24:20.19 ID:mhtdpTgV0
リョウ「改めて名刺を渡しておく。この前は返されたからな」
スッ

???「坂崎さん、ね」

加蓮「アタシは加蓮。北条加蓮。とりあえずよろしくって言っておくね、プロデューサーさん?」

リョウ「ああ、よろしく、北条さん」

567: 名無しさん 2017/01/08(日) 23:58:33.05 ID:mhtdpTgV0
事務所
リョウ「ここがウチの事務所だ。で、そこに座っているのが事務員の千川ちひろさん」

ちひろ「どうも、よろしくお願いします。プロデューサーさん、その娘が?」

リョウ「ええ、話していた娘です。名前は」

加蓮「北条加蓮。……どうも」

568: 名無しさん 2017/01/09(月) 00:07:07.98 ID:bLSphXJt0
ロバート「ほ~、その娘がお前がどうしてもって譲らんかった娘か。よろしくな加蓮ちゃん」

加蓮(譲らなかった……?)

加蓮「……誰?この人……」

リョウ「ああ、このロバートプロダクションの社長をやっている、ロバート・ガルシアだ」

加蓮「社長!?……正直、全然見えなかった。軽そうだし」

569: 名無しさん 2017/01/09(月) 00:12:17.12 ID:bLSphXJt0
ロバート「……いきなりご挨拶やな」

加蓮「それで、契約書は?今日はもう疲れたし、用事終わらせてさっさと帰りたいんだけど」

ロバート「お、おう」



加蓮「……はい、これでいいんだね?じゃあもう帰るよ」

570: 名無しさん 2017/01/09(月) 00:20:23.93 ID:bLSphXJt0
ロバート「あ、ちょい待ってや。ウチのプロでは伝統的に契約祝いとメンバーの親睦を深めるために歓迎会を開催するんや。で、新メンバーの希望で場所は決めるんやけど、どこがエエ?なんか食いたいモンがあるなら、それで……」

加蓮「別にいらない」

リョウ「……え?」

加蓮「アタシはそこのプロデューサーがアイドルにしてくれるって言うから来たの。別に他の人たちと馴れ合う気もないし、必要もない」

571: 名無しさん 2017/01/09(月) 00:31:24.88 ID:bLSphXJt0
ロバート「……おいおい、随分突っ張るやんけ。他のメンバーに顔見せだけでもしとこうと思わんか?これから一緒にやっていく仲間やで」

加蓮「別に顔見せならこの事務所でやれば済む話でしょ?どうしても何か開きたいならアタシ抜きでやってよ。んで、そこでアタシの紹介しとけばいいでしょ」

リョウ「……」

加蓮「もういいでしょ?じゃあ帰るから」

ロバート「……今日はもう暗い。車で送っていかせるから、少し待ってや」

加蓮「へぇ?一応そういう気遣いもできる事務所なんだ、ここ。じゃあ、それにはお言葉に甘えようかな」

ロバート「……もしもし、カーマンか?送迎頼むわ」

574: 名無しさん 2017/01/09(月) 00:37:44.33 ID:bLSphXJt0




ロバート「……リョウ、ホンマにあの娘がお前が入れ込んでた娘なんか?」

リョウ「なにか誤解を招きそうな言い方はやめろ……そうだ」

ロバート「なんや、今までの娘……特に直前が悠貴ちゃんだっただけに、とんでもなく毛色が違って感じるんやが……」


リョウ「俺も深く話したわけではないから確実なことは言えないが……情熱はあると思う」

ロバート「……まぁ今更言うてももう契約したし、時間もないし、あの娘はお前に任せる。くれぐれも、他の娘たちとトラブルにならんようにな……」