提督「」高雄「」愛宕「」シリーズ 目次

1: 名無しさん 2015/08/17(月) 23:59:26.70 ID:tVxWbop6O

< しかいない >





提督「はずだったんだけどなぁ……」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………人口増えたと思ったら気付けば減ったりしてるし」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………好きなんだ、思った以上に。……帰ってこいよ、俺が壊れる前に」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439823566

引用元: ・【艦これ】提督「俺と」愛宕「私と」高雄「私」

3: 名無しさん 2015/08/18(火) 00:03:09.16 ID:TrcVwDqMO

こちらでもお願いします

ありがとうございました

11: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:05:41.93 ID:O1s9I9SbO

< まぁ、なんとかなるものだけれど >





漣「あー……」

叢雲「どうしたの? 」

漣「……彼氏欲しい」

叢雲「つくればいいじゃない。今は無理かもしれないけど戦争が終わってからでも」

漣「そこで問題が一つ」

叢雲「……」

漣「漣ってまぁ美少女でしょ? 」

叢雲「そ、うね。漣がそう思うなら」

漣「引っ掛かるなぁ。……男の人引っ掛けようと思えば多分今でもできるよ? 」

叢雲「ええ」

漣「でも漣の男の基準ってご主人様だから。地味にハードル高くない? 」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「……彼氏、諦めなさい。それか姉妹でも染めるとか」

漣「諦めるのはいいとして女の子かぁ……アリとか思った自分が嫌だなぁ」


12: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:06:46.82 ID:O1s9I9SbO

< ついでにロリっぽい >





漣「というかかなり蓄えがあって美少女で性格も明るめって相当優良物件でしょ? そのはずでしょ、ねぇ? 」

叢雲「そうね」

漣「なーんで男いないのかなー。おかしーなー」

叢雲「まぁ、単純にいないからよね。
陸軍とは殆ど接点ないし、海軍内でもまともな接触は指揮官クラスじゃないと無いし」

漣「で、その指揮官クラスって大体既婚者で中年以上なんだよねぇ」

叢雲「あいつも中年と言えば中年だけど」

漣「ご主人様はまぁ……まだ青年と言い張っても許されるスタイルと容姿だし」

叢雲「……許されるだけで中年なのは否定しないのね」

漣「…………本格的に姉妹か、それともその辺のショタでも」

叢雲「やめときなさい。それならあいつに無理矢理迫って既成事実つくる方が大分いいわ」

漣「……叢雲ちゃんは? 」

叢雲「私? 私は一人でも生きていけるだろうし」

漣「だろうし? 」

叢雲「きっとあいつも拒まないから。寂しくて堪らなくなったらそれとなく、ね」

漣「……………………彼氏欲しい」


13: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:07:50.59 ID:O1s9I9SbO

< 人肌恋しいとかその辺も >





叢雲「そもそもどうして彼氏欲しいとか言い出したのよ。別に困ってないでしょう」

漣「や、なんとなくでも欲しいものじゃない? 普通」

叢雲「私、普通じゃないから」

漣「ふーん……? 」

叢雲「普通であろうとする必要性も感じないし。別に男がいたってどうせ」

漣「どうせ? 」

叢雲「大きなガキが増えるだけよ」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「……実感が篭ってるね」

叢雲「込めてるんだから当たり前、よ」


14: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:09:09.75 ID:O1s9I9SbO

< 夏の終わりの始まり >





叢雲「八月十八日の誕生石はフレッシュウォーターパール。
石言葉は“ 意欲 ”、“ 努力 ”、“ 我慢強さ ”、“ 一生懸命 ”、よ」

提督「……半分、半分でいいから手伝ってくれ」

叢雲「書類の読み込みと理解をどうやって手伝えばいいのよ」

漣「そうですよー。漣たちも断腸の思いで紅茶飲んでるんですからねー? 」

叢雲「それに、リンゲルマン効果って知ってる? 」

提督「……社会的手抜きか」

漣「働きアリは三人いれば一人位で十分ですもんね」

提督「…………」

叢雲「でもよかったじゃない。あれだけの犠牲を払った作戦でここ所属の人員が誰一人欠けなくて」

提督「……ま、俺のおん……部下だからな」

叢雲「聞かなかったことにするわ。……その頑張りに報いるためにも、頑張りなさい」

提督「それ言われると…………俺にもコーヒー淹れてくれ」

叢雲「仕方ないわね」

15: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:10:44.13 ID:O1s9I9SbO

< それなりに興味深い >





叢雲「今日の誕生花は立葵。花言葉は“ 豊かな実り ”、“ 単純な愛 ”、“ 熱烈な恋 ”、“ 高貴 ”、よ」

漣「そういえばご主人様」

提督「ん? 」

漣「高雄さんと愛宕さん、どっちを先に堕としたんですか? 」

提督「なーんかアクセントが違うような気が」

漣「そこは気にしないで」

提督「……………………高雄だよ」

漣「え、意外です」

提督「っても単に最初に寝た方がってだけだからな。大した違いはない」

漣「やっぱりあれですか? 熱烈というかしつこい攻勢で」

提督「や、別に。積み重ねたものをお互いに守ろうと思っただけだ。なにかイベントがあったわけではない」

漣「はぁ」

提督「案外熱烈なのは恋じゃなくて愛なんだよね。恋は愛のエッセンスみたいなものでさ」

漣「…………」

叢雲「……なに? 」

漣「いやぁ……コイバナのときって叢雲ちゃんは黙ってるなぁ、とか思ったり」

叢雲「ま、そうね。私より経験あるんだから。私が言うことはないもの」

漣「なるほど? 」

16: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:11:34.11 ID:O1s9I9SbO

< 同じくらいということはつまり >





提督「今日は八月十八日の政変の日だが」

叢雲「ふーん……」

漣「なるほど……」

提督「興味うっす。表情死んでるし」

叢雲「だって……ねぇ」

漣「うん」

提督「…………」

叢雲「…………」

漣「…………」

提督「……仕方ない。それなら我が地元の素晴らしさを」

叢雲「幕末の混乱、私嫌いじゃないわ」

漣「一応帝国海軍も関わりというか色々あるしね」

提督「」

叢雲「……じょ、冗談よ? どっちも同じくらいの興味はあるし」


17: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:12:50.41 ID:O1s9I9SbO

< 的確な >





愛宕「基地のバックアップだけど」

高雄「ええ」

愛宕「叢雲ちゃんと漣ちゃんだったんだって。さっき加賀さんにきいてきたわ」

高雄「へぇ……横須賀で何度か会ったことはありますが」

愛宕「キャリアの最初からの付き合いよね、あの人の」

高雄「まぁ、仲はよさそうでしたが」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……なんとなくだけど叢雲ちゃんのおかげで三人とも生きてると思うわ」

高雄「あぁ……ほぼ確実にそうでしょうね」



18: 名無しさん 2015/08/18(火) 22:15:21.57 ID:O1s9I9SbO

< 夢見る少女は皆お姫様 >





提督「今日のカクテルはシャルトリューズムース。
カクテルワードは“ 自分の価値観を向上させる情熱家 ”、だ」

叢雲「ふぅ……甘い」

漣「この時期にホットグラスっていうのもよくわかりませんねー。美味しいですけど」

提督「あぁ。……シャルトリューズも安価に手に入る。いい時代になった」

叢雲「最終的な製法は少数の修道士しか知らない、だったわね」

提督「そこらら辺もなんちゃってリキュールとは違うところかな。Queen、というかReine」

漣「はい? 」

提督「この国の発音ならレーヌ、かな」

漣「はぁ。……フランス語? 」

叢雲「そうね。どちらかというと女王というニュアンスよりは王妃寄りのものだけど」

提督「お詳しいですね、Princesse」

叢雲「そうでもないわ、Prince charmant」

漣「…………ご主人様は兎も角どうして叢雲ちゃんが理解できてるんだろう」

24: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:08:20.24 ID:Nhg6pm+MO

< 最近寝起きが物足りない >





提督「おはよう」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「? …………反応が無いっておかしいな、とか思った俺がおかしいのか、そうか」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………明日、明日までだから。頑張れ俺、帰ってくるまでの辛抱だ、うん」


25: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:09:34.51 ID:Nhg6pm+MO

< 晩酌だって同じだね。そこに愛があるから >





提督「おはよう」

叢雲「ええ」

提督「……コーヒー苦い」

叢雲「ブラックが好きなんでしょ? 」

提督「あぁ」

叢雲「……ココアでも淹れる? 」

提督「いや…………砂糖入れなくても甘くなるんだな。最近やっと気付いたよ」

叢雲「はぁ? 」



26: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:11:06.72 ID:Nhg6pm+MO

< まぁ、乗るのも吝かではない >





叢雲「八月十九日の誕生石はイエローカルサイト。
石言葉は“ 優雅 ”、“ 純粋 ”、“ 優しさ ”、“ 素敵な笑顔 ”、よ」

提督「純粋ね……叢雲は戦艦になりたいとか思わないのか? 」

叢雲「はぁ? なんで戦艦になる必要があるのよ」

提督「なりたくない? 俺はなりたいぞ」

叢雲「意味わからないんだけど」

提督「扶桑とか好きなんだよ。愛宕とかとは違ったよさがある」

叢雲「ふーん……? 」

提督「他にはない、オンリーワンみたいなのに弱いんだ」

叢雲「…………」

提督「乗ってみたいしなぁ。無理だけど」

叢雲「……まだ、足りないのね、この絶倫変態男」

提督「え? 」

叢雲「は? 」

提督「あぁ、そうか…………艦橋の話だぞ、変態ちゃん」


27: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:11:37.89 ID:Nhg6pm+MO

< 俳句の日 >





漣「ドーモ。提督=サン。謹んでハイクを詠め! 」

提督「お前は何を言ってるんだ」

漣「軍規を乱し少女を弄ぶ提督=サンに慈悲は無い! 」

提督「弄んでねぇよ……」

漣「ハイク! ハイク! 」

提督「…………」

漣「ハイク! ハイク! 」

提督「……さざなみよ、にわかせいかつ、いつまでよ」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……あ」

提督「あ? 」

漣「アイエエエ!? 」

提督「はぁ……楽しそうでいいな、お前は」


28: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:12:10.18 ID:Nhg6pm+MO

< バイクの日 >





漣「さーて、バイク売・る・な・ら」

提督「やめろ」

漣「漣をにわかとか言った罰ですよー」

提督「ふざけんな。話にノってやっただけでなんで恋人売り払わなきゃならないんだ」

漣「恋人って……」

提督「単車は恋人なんてありふれてるから。マジで」

漣「はぁ。……でも恋人を売り払うって表現がさらっと出てくるあたり考えたことも? 」

提督「あぁ? なに、今日は俺に喧嘩売る日なのかなぁ? 」

漣「べっつにー? 」

提督「……幌筵にでも飛ばしてやろうか、漣くん」

漣「えっ」

提督「…………」

漣「……アイエエエ!? 左遷!? 左遷ナンデ!? 」

提督「本当に飛ばすぞ、おい」


29: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:12:53.80 ID:Nhg6pm+MO

< 恋人であり、部下であり、時に妻であり、そして >





漣「でも単車が恋人なら高雄さんたちは? 」

提督「そりゃ高雄だよ」

漣「はぁ? じゃあ、漣は」

提督「漣」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……なんか非常に深いことを言われたようですけど」

提督「おう」

漣「なにも考えてないだけですよね」

提督「まぁな。……でも本当に高雄は高雄だし、愛宕は愛宕だよ。漣は漣だし。それ以外を考えようとは思わない」


30: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:14:17.78 ID:Nhg6pm+MO

< あなたのいる処へ還ります >





愛宕「やっと帰れるのね」

高雄「それでも想定されたものよりは大分早いけれど」

愛宕「一日離れるだけでも寂しいんだから。ね? 」

高雄「まぁ、確かに」

愛宕「……ふふ、会ったら最初になんて言おうかしら」

高雄「そんなもの」

愛宕「そんなもの? 」

高雄「……ただいま、と。それだけです」

愛宕「なるほどね。……早く帰りたいわぁ~ 」


31: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:15:11.68 ID:Nhg6pm+MO

< 汚職などをしていないという意味では >





叢雲「今日の誕生花はカンナ。
花言葉は“ 妄想 ”、“ 永続 ”、“ 快活 ”、“ 情熱 ”、“ 熱い思い ”、よ」

漣「漣としてはご主人様の想いが長く続いてるっていうのは信じられないんだよね」

叢雲「そう? 手の早さとだらしなさは兎も角として後腐れはなさそうだけど」

漣「ふーん……信頼してるね」

叢雲「別に。……ただ」

漣「ただ? 」

叢雲「基本的に曲がったことは好まないじゃない。そこは……いいところだと思うわ」

漣「そう。……ま、漣も同意、だけど」


32: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:16:15.26 ID:Nhg6pm+MO

< 深くは訊かない >





提督「長期休暇の終わりといえば学生時代は恐ろしいものではあったんだが」

漣「休暇なんてありませんしねー。そもそも殆どお休みみたいなものですけど」

提督「だって帝都とか行きたくねぇし。
高級軍人なんて通常の執務終わらせたらあとは遊ぶか会議かだぞ」

漣「はぁ」

提督「お前らの存在って特殊だからな。
外に出にくいのはデメリットだが、指揮官として結果を出せば殆ど失脚の可能性がないのはありがたい」

漣「接近し過ぎて問題起こす人とか逆に道具扱いする人いますもんね」

提督「あぁ」

漣「……漣も、ご主人様だけを指揮官にしたいって思ったことが」

提督「…………」

漣「…………」

提督「……そう、か」

漣「はい」


33: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:16:55.47 ID:Nhg6pm+MO

< 思わず頬を緩ませて >





加賀「やっと、やっと帰れるのね」

明石「ですね」

加賀「やっと……感慨深いものがあるわ」

明石「なかなかに厳しい戦いでしたしね。……疲れました」

加賀「あなたがいたからこそ厳しさも軽減されたのよ」

明石「……はい」

加賀「…………」

明石「…………」

加賀「…………料理、お酒、つまみ……ふふ」

明石「あれぇ? シリアスなお話じゃないんですか……この流れ」



34: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:17:29.73 ID:Nhg6pm+MO

< 徹夜程度では網羅できないと思う >





提督「今日のカクテルはカフェショコラミルク。
カクテルワードは“ 進むべき道を知っているニュータイプ ”、だ」

漣「ニュータイプ? 」

提督「言っておくがガンダムのことわからないからな」

漣「じゃあ一緒に観ましょうよ。ご主人様ならきっと気に入りますよ」

提督「構わないが」

漣「さっすが少将閣下。話がわっかるー」

提督「閣下はやめとけ。……今日は徹夜だな」

漣「え? 」

提督「ん? 」


35: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:18:07.85 ID:Nhg6pm+MO

< 割と面倒な >





雲龍「思ったんだけれど」

天城「はい」

雲龍「今日は俳句の日とかバイクの日だったじゃない」

天城「そうですね」

雲龍「昨日は戦闘とかでそれどころじゃなかったけれど」

天城「ええ」

雲龍「もしかしてパイパ」

天城「姉様」

雲龍「…………最近、ちくちくしてきたわ。時間なくて」

天城「……その情報、いらないです」


36: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:19:02.95 ID:Nhg6pm+MO

< それはそれで >





Littorio「剃っているのですか? 」

天城「……なぜわざわざ掘り起こすのです」

雲龍「ええ。その方が喜ぶと思って」

Littorio「なるほど? こちらの方は処理が甘いときいていました」

雲龍「私もそうきくけれど……人それぞれでしょう、結局」

Littorio「考えてみれば確かに」

雲龍「……天城はボーボーかもしれないけれど? 」

Littorio「えっ……天城? 」

天城「違います! 天城も淑女としてしっかりと整えておりますから! ボーボーじゃないですからぁ! 」

雲龍「…………」

Littorio「……へぇ」

天城「」

雲龍「……………………天城ったら、ふふ」


37: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:20:05.96 ID:Nhg6pm+MO

< さすがに一人では許可できない >





提督「あー……次のディスク入れるか」

漣「はいー、これです」

提督「ん」

叢雲「……まだよくわからないわね」

漣「なんとなくでいいんだよ、楽しめれば」

提督「またにわかの権化みたいな……」

漣「もういいですよにわかで。有明にも行ってませんしー? 」

叢雲「行けないでしょ。どう考えても」

提督「行きたいなら許可くらいなんとかしてやったのに」

漣「えっ」

提督「おう」

漣「…………ふ、冬はお願いしますね」

提督「いいぞ。その代わり一緒に行ってくれるやつは自分で探しておけよな」


38: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:22:07.55 ID:Nhg6pm+MO

< 新人でも染めよう >





漣「え、ご主人様は来てくれないんですか? 」

提督「さすがにな。要港部の責任者になる予定なんだぜ? 」

漣「でも休暇くらい自由に」

提督「今年はここ離れないぞ、俺」

漣「あ、そうですか……」

提督「あと離れるなら高雄たちとどっか行くし、京都か箱根あたりに」

叢雲「一応言うけど私も嫌よ。年末はゆっくりしたいの」

漣「…………誰かここにいます? 付き合ってくれる人」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………俺だな、一番可能性高いのは」

漣「そんなぁ……」



39: 名無しさん 2015/08/19(水) 22:22:52.61 ID:Nhg6pm+MO

< 砲塔ガン積とか艦橋とかね >





愛宕「Love Indulge? 」

高雄「宕の場合“ ほしいまま ”、“ 大きく揺れ動く ”、
よりは“ 石の洞穴 ”、の方がメジャーな意味だと思うのだけれど」

愛宕「愛宕、っていう単語には高い処だとか高貴な者の棲む場所、燃える火って意味があるのよ? 」

高雄「それで? 」

愛宕「それに洞穴、なんていう意味は似つかわしくないんじゃない? High maleさん。……ふふ」

高雄「…………」

天城「……Heavenly castle? 」

雲龍「Cloud dragon、ね」

時雨「DrizzleだとかSprinkleだとか沢山あるね、僕は」





扶桑「…………なぜFusoは世界で通じるのかしら」

山城「そ、それは姉さまが世界で認められているということですよ! えっと……スタイルとか! 」


48: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:04:59.96 ID:qTQeDLanO

< 爽快な気分で >





叢雲「八月二十日の誕生石はグリーンジャスパー。
石言葉は“ 活力 ”、“ 意欲 ”、“ 積極的 ”、よ」

提督「ふはははは! 唸る活力! 漲る意欲ぅ! 」

漣「やる気出てますねぇ……」

提督「ヒトナナマルマルまでに何もかも終わらせる。終わらせねばならぬぅ」

叢雲「執務にやる気あるのは嬉しいことだけど……うるさい」

提督「んー? 手が止まってるぞ叢雲」

叢雲「はいはい。……あんたが早くそれを終わらせても高雄さんたちは早く帰ってこないのよ」

提督「なんか言ったか? 」

叢雲「……別に」

漣「昨日は夜吐いたりしてなかったみたいだし。本当に好きなんですね。…………妬けてしまうくらいに」


49: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:06:09.76 ID:qTQeDLanO

< 先行き不安 >





愛宕「Littorio、明石を最優先に護衛し帰還、か」

高雄「先日と同じね」

龍田「あなたたちとはまた暫く会えないわね~ 」

愛宕「仕方ないわよ。……でも式には呼ぶから安心して? あの人龍田のこと好きだから」

龍田「あらあら……もう奥様気分? 」

愛宕「んー? 」

龍田「…………ふふ」

愛宕「…………ふふ」

龍田「…………」

愛宕「…………」

龍田「…………ま、呼ばれなかったら怒るけど。あの人に」

愛宕「ええ」

高雄「…………はぁ」





瑞穂「……これから向かう基地とはどのようなところなのでしょうか」

天城「ははは……決して悪いところではないですよ? お酒とかお酒とかありますし」


50: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:08:04.97 ID:qTQeDLanO

< 転校初日の戸惑いみたいな >





時雨「君たちは運がいい。提督のところで鍛錬を積めるんだから」

江風「ンっ、でも女たらしとかいう噂が……」

時雨「そう……君はどう? 海風」

海風「海風は……ええと……実を言うと江風と同じです」

時雨「ふーん……あまり気が進まない? 」

海風「そういうわけでは……海風はどのような指揮官であれ命令には従うつもりです」

江風「江風はどうかな? あンまいけすかないやつなら……きひひ」

時雨「なるほど。……でもね提督は好かれるに足る理由を持っているよ。それだけは覚えていてほしい」

江風「ふーん……? ま、時雨さんが言うなら信じるけど」

海風「……海風も」

時雨「あぁ。今はそれでいい。……願わくば、君たちが僕や春雨のような感情を持たないでいられますように。
そう、願っておくよ」


51: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:08:52.46 ID:qTQeDLanO

< もうすぐそばに >





叢雲「今日の誕生花はアーティチョーク。花言葉は“ 警告 ”と“ 安全 ”、よ」

提督「汚れは無し、糊も効かせたし、問題ないな? 」

漣「カッコいいですよー。これなら高雄さんたちも惚れ直しちゃいますよ」

提督「サンキュー」

叢雲「……無駄に」

提督「うん? 」

叢雲「……様になってるわ。私が言うんだから誇ってもいいわよ」

提督「おう、ありがとう」

漣「警告するなら」

提督「ん? 」

漣「……会ってすぐキスとかしないでくださいね? 新入りの方も来たりするんですよ? 」

提督「いや、さすがにしねぇよ。……………………たぶん」


52: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:09:30.68 ID:qTQeDLanO

< 夏の終わり、あるいは始まり >





提督「神奈川勢かぁ」

叢雲「そうね」

提督「第二の故郷的ななにかだから嬉しいと言えないこともないな」

叢雲「ふーん……」

漣「漣も横須賀なら行ったことありますけど……故郷ね」

提督「一番長くいるのってシーレーン? 」

叢雲「その辺の拠点ね。でも故郷って長くいた場所のことではないでしょ? 」

提督「じゃあ……大阪? 」

叢雲「私という存在に藤永田はあまり関係ないわ。……そうじゃなくて」

提督「うん? 」

叢雲「…………あんたの処に来ると、帰ってきたって思うわ」

提督「……そうか」

叢雲「ええ。…………私の司令官はあんただけだから。そういうことよ」


53: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:10:19.52 ID:qTQeDLanO

< 住み慣れた我が家へ >





愛宕「ふぅ……やっと着いたわね」

高雄「あの岸壁にいるのがあの人と叢雲さんたちでしょうか」

愛宕「そうね。……ん? 」

高雄「どうしたの? 」

愛宕「あそこ……陸軍側のあんなところに、船なんてあった? 」

高雄「? ……記憶にありませんね」

愛宕「よく分からないけど叢雲ちゃんたちが乗ってきたのかしら」

高雄「それは陸路かヘリだと思うけれど……それにあれは陸軍航空隊側の」

愛宕「……警戒しておく? 」

高雄「その方が無難でしょうね。加賀さんに出してもらいますか? 」

愛宕「いいわよ。私と高雄が見ておけば。加賀さんも雲龍たちも偵察機回収し始めてるし」

高雄「ふむ。……旗艦様に従いましょうか」

愛宕「そうしておいて」


54: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:11:15.45 ID:qTQeDLanO

< 鉄の魔女 >





『観戦武官を安全海域でロストとか洒落にならない』



まず、その言葉があった。

冗談粧した言葉ではあったけれどそれはあの人の言葉だった。

それはとても大切な言葉で、絶対に守らなければならない言葉。

だから。



「ーー愛宕ッ……! 」



停泊していた見慣れない船から全国で手配されている艦娘が現れた時。

そしてその数人がLittorioや明石、経験の浅い海風たちを狙って砲撃を始めた時には。

高雄の怒声を無視して身体が勝手に動いていた。

艤装を展開して盾にするのでは間に合わない。

Littorioたちも気が緩んでいたのか動きがどうしても遅れている。

ならば、ヒトではないこの身を差し出すほかない。

その判断は間違っていないはずだ。むしろその果断さを褒めてほしい。



「愛宕ッ……! おいッ……! 」



それは一瞬のことだった。

伸ばした腕を中心に艤装を無理矢理高速展開させた。

まともな運用を最初から捨てた腕を硬化させるだけの展開。

その結果、敵の思惑は外れてこちらの被害は軽微なものだった。

そう、とても軽微な。



「愛宕! ダメッ!いいのです、もういいですから! 」



Littorioの声が聞こえた。自分の後ろで、なにか上擦った声の悲鳴をあげている。

…………

意識は、ある。

片腕は、動く。

艤装は、正常。



私は高雄型の二番艦であり、あの人の、女であり、最後の盾だ。

その誇りは、最高の誉れであって、ここで退くのをよしとはしなかった。


55: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:12:46.88 ID:qTQeDLanO

< 鋼の烈女 >





「クッ、海風、江風両名は艤装を展開し愛宕以下を守れッ! 」

「りょ、了解ッ」

「加賀以下空母は高速で逃走する船舶を追尾、私をサポートしてッ! 」

「承知」



私の、手落ちだった。

あの時、不審な船舶を視認した時点で総員に警戒を伝えるべきだったのだ。

その判断の結果が愛宕の負傷。

無理矢理硬化させたものの砲弾にぶち当たれば細い物体は弾け飛ぶのが道理。

愛宕の右腕は千切れ飛び肩から先は艤装の残骸と肉片が僅かにぶら下がるのみとなっていた。



「み、瑞穂は」

「瑞穂は提督に今までの指示を伝達。次の指示を仰ぎなさい」

「はい! 」



これで後は敵の船舶に全力を傾けられる。

確認した敵は三人。その数は例の少将配下で行方不明となっていた数と一致する。



私は、高雄型の一番艦、高雄。

そして、姉だ。

妹の仇は姉が討たねばなるまい。

それに、あの人の目の前で無様な姿を晒して終わりでは女が廃る。

…………

幸い補給は万全で装備も頗る快調である。

しかし……敵は、本当に運がいいと思った。

なぜなら。



苦しまずに、逝けるのだから。

56: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:15:41.87 ID:qTQeDLanO

< 女と男と、そして >





「…………馬鹿」

「ふっ……褒めては、くれないのね」

「…………」



叶うことならば、全力で抱き締めて、無事を確認したかった。

あるいは減らず口を叩くその紫に変色した唇を塞いでやりたかった。

しかしそれでは彼女の身を艇した行動が無駄になってしまう。



「ーー……と、高雄さんが」

「ご苦労。……叢雲、行け。高雄のサポートは任せた」

「承知したわッ」

「明石、今すぐ愛宕の治療は行えるか」

「もちろんです! さ、基地の中へ」

「あぁ。漣、先行して部屋を用意しておけ。
Littorioは愛宕の肩を支えろ」



指示を、出した。

出したはずだが、全く実感を伴わないそれはなにか別世界のもののようで。

欠損した愛宕の肩を隠すために軍服を掛けてやって、やっとーー



「…………クソッ……! 」



己の手抜かりと失敗の重大さを認識することができた、いや、認識させられてしまった。

愛宕の、身を艇して誇りを守った女の身体は酷く、冷たかった。

57: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:17:08.59 ID:qTQeDLanO

< 不愉快な廊下 >





明石「…………ふぅ、終わりました」

提督「……そうか」

明石「……まぁ、提督も分かっているでしょうけど私たちはあの程度で死にはしませんよ」

提督「……あぁ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………腕自体は今日中に完全に修ふ」

提督「治癒、だ」

明石「失礼。……治癒できますが一応明日まで麻酔を掛けてあります」

提督「そうか」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……高雄さんからは? 」

提督「……先程敵の無力化に成功したと連絡があった。持つべきは優秀な部下だな」

明石「……それで? 」

提督「駆逐二名は海の底。元少将と彼の腹心である軽巡は捕縛したそうだ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………あぁ、そうだ。お前がいてよかった。ありがとう、明石」

明石「いえ、そもそも私たちの所為で負った傷ですし。
できることなら一瞬で治したいですよ、私は」


58: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:17:58.26 ID:qTQeDLanO

< 蚊の鳴くような声で >





漣「……今日は蚊の日らしいですよ」

提督「…………それで? 」

漣「……それだけです」

提督「そうか」

漣「はい」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣(……蚊でもなんでもいいから空気変えてよ……お願いだから。こんなご主人様見てられないよぉ……)


59: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:18:55.62 ID:qTQeDLanO

< 不要な経験 >





提督「今日のカクテルはブレイブブル。
カクテルワードは“ 人生経験により味わい深い知識人 "、だ」

高雄「そうですか」

提督「あぁ」

高雄「……肝心のカクテルがありませんが」

提督「飲む気になれない。飲みたいなら用意するが」

高雄「……いえ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………やっぱ飲もうかな。気が紛れるなら」

高雄「……お付き合い、させてください」


60: 名無しさん 2015/08/20(木) 22:20:10.36 ID:qTQeDLanO

< 夜の湿った作戦会議 >





提督「…………それにしても」

高雄「ええ」

提督「ここであきつ丸が出てくるとはな。特務なんて忘れてたよ」

高雄「……しかし、あなたも予想していたでしょう? 作戦開始の遅れは少将殿らを泳がせる為のものだ、と」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………彼と腹心の身柄は陸軍だったな」

高雄「業腹な話ですが……致し方ありませんね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………明日、あっちに行こう。俺や捕縛したお前が締め出されるなんて意味不明だしな」

高雄「意味の分かりやすい謎ではありますが。……愛宕も連れて行きますか? 」

提督「着いてきたがるだろうよ。……寝ていてもらいたいものだがな」


66: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:04:56.74 ID:Q1qc7uvdO

< 朝、馴染みのない病室で >





愛宕「……綺麗な身体ね、我ながら」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………一晩で腕が修復される生物、か」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………これでも人間扱いするの? したがるの? 届かない夢を見せ続けるの? ねぇ……それとも夢を見ているのは、あなたなの? 」


67: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:05:28.31 ID:Q1qc7uvdO

< 愛 コンタクト >





提督「よう」

愛宕「あら……」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………おかえり。随分と予想外の帰還だったが」

愛宕「…………ただいま。あなたの下に帰ってきたんだから、許してほしいわ」

68: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:06:31.52 ID:Q1qc7uvdO

< あなたが笑顔を見せてくれるから朝が始まる >





提督「そうだな……おはよう」

愛宕「おはよう」

提督「…………」

愛宕「……ん? 」

提督「…………触っても? 」

愛宕「もちろん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………動けるな? 」

愛宕「え、ええ」

提督「……これからお前の腕を吹き飛ばした軽巡を見に行く。来たいだろ? 」

愛宕「そうね。治るとはいっても痛かったもの」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………夜、確かめさせろ」

愛宕「……ふふ、帰ってきたって気がするわね。そういう反応されると」

69: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:07:25.00 ID:Q1qc7uvdO

< 暗い顔ではつまらないから >





愛宕「おはよ。心配掛けちゃったわね」

高雄「いえ……私こそ」

愛宕「いいわよ。私の方がLittorioたちに近かった、それだけのこと」

高雄「…………」

提督「……そうだ。俺はあの船に気付きもしなかったからな。高雄の手落ちではない」

愛宕「それはそれで言いたいこともあるけど……そういうことにしておきましょうか」

提督「あぁ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……あきつ丸には会えなかったが一応なんとか話はつけた。
元少将にも忌々しい軽巡にも俺たちだけで会う」

愛宕「そ」

高雄「……他の二人も沈めない方がよかったかもしれませんね」

提督「気にするな。俺なら全員沈めてたさ。お前の判断は冷静だったと思うぜ」

高雄「…………」

愛宕「…………もう、沈めた子もいるのね。仕方のないことだけど」

70: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:08:09.17 ID:Q1qc7uvdO

< さてさて、どのような事情だろうか >





提督「あ? 面会は明日にしろ? 」

「そうです。提督閣下にはそうお伝えしろと」

提督「……あきつ丸か、それとも別の上官か」

「……お答えできかねます」

提督「…………」

「…………」

提督「…………」

「…………」

提督「…………約束破るなんて、これがデートの約束ならヤバかったぞ」

「そのようなものではありませんので」

提督「ふん、そうかい。……帰るぞ」

高雄「ええ」

愛宕「ざーんねん。折角着替えてきたのに」


71: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:09:38.79 ID:Q1qc7uvdO

< 黒幕は誰だろうか >





提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……何故だと思う? 然程時間を掛けない尋問すらできないだろう面会を反故にしたのは」

高雄「さて……このままずるずると時間を浪費して内々に処理するつもりだとか」

提督「それなら今日までには帝都に移送すると思うが……愛宕は? 」

愛宕「うーん……思った以上に捗ってないんじゃない? 尋問が」

提督「俺たちが会う前に情報は全て得ておきたい、と」

愛宕「うん、それしか思いつかないわ」

高雄「そうですね……私もそのように考えます」

提督「…………」

愛宕「……なにか思い当たるの? 」

提督「……いや、ないとは思うが……あるような気もする」

高雄「はぁ」

愛宕「…………」

提督「…………ま、考えても仕方ないことだ。……飯でも食うか」


72: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:11:15.21 ID:Q1qc7uvdO

< セカンドコンタクト >





提督「……昨日はすまなかったな、時間が取れなくて」

瑞穂「い、いえ、瑞穂こそ何もお役に立てず」

江風「そンなこと言うなよ。それだと合流したときにはもう敵が無力化されてた江風たちも無能みたいじゃン? 」

瑞穂「でも」

江風「あン? 」

提督「やめておけ。江風の言う通りだ。
それとも……高雄の判断になにか問題があったとでも? 」

高雄「…………」

瑞穂「……いえ」

海風「あの……愛宕さんは」

提督「問題ない」

愛宕「大丈夫よぉ~。まだまだ沈めない理由があるもの」

提督「だそうだ」

海風「そうですか……よかったです」

愛宕「ふふ……ありがとね? 」


73: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:13:14.82 ID:Q1qc7uvdO

< もちろんボケです >





提督「まぁ、いい。……自己紹介でも、どうぞ」

瑞穂「はい。水上機母艦、瑞穂、推参致しました。
どうぞよろしくお願い申し上げます」

提督「ん」

瑞穂「お役に立てるよう頑張りますね! 」

提督「程々に頼むよ」

海風「改白露型一番艦となる、海風です。
提督、どうぞよろしくお願いします! 」

提督「ん」

江風「海風の姉貴と同じ改白露型の江風だよ。よろしくな! 」

提督「はいよ」

江風「あ、それと、名前の読み方、間違えンなよ? 」

提督「そこまで馬鹿ではないよ、俺は」

江風「そうかい」

提督「あぁ」

瑞穂「…………」

海風「…………」

江風「…………」

提督「…………ん? 」

高雄「……あなたの自己紹介を待っているのですよ、皆さん」

提督「え、マジ? 俺の自己紹介とかいらなくない? そのうち酒飲んだときにでも言おうかと」

高雄「あのですね、私や愛宕相手とは違うんですよ」

愛宕「…………馬鹿なの? 馬鹿よね。……知ってるけど」


74: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:14:41.69 ID:Q1qc7uvdO

< 改めまして >





提督「えー、ここの責任者で、一応提督です。
好きなものは酒と車と女の子。出身は北海道。
北海道のことならなんでも訊いてください。以上、解散」

瑞穂「は、はぁ」

江風「て、適当過ぎンじゃねぇかな、さすがに」

海風「あの、お名前とかは」

提督「ん? 名前は____。提督でも司令官でもそこの人でも呼び方は自由だよ」

海風「ありがとうございます? 」

提督「歓迎会は明日」

江風「お? いいねぇ。さっすがじゃン? 」

提督「、じゃだめだ。やっぱ明後日」

江風「うン? 」

提督「明日は別の主役がいるからな……悪いがお前らの分は明日以降だ。
質問が無ければ各自自室に下がっていいぞ」





愛宕「……明日ってなんかあった? 」

高雄「Littorioの進す、誕生日ですね」

愛宕「あぁ……そういうこと。それは外せないわねぇ」


75: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:15:31.43 ID:Q1qc7uvdO

< あなたがやれと言うから >





高雄「八月二十一日の誕生石はジェット。
石言葉は“ 意欲 ”、“ 熱心 ”、“ 敏感 ”、“ 冒険心 ”、“ 個性的 ”、そして“ ワイルド ”」

提督「おおう……懐かしい光景だ」

高雄「何日か空けていただけでしょう……代わりはあなたが? 」

提督「いや」

叢雲「私よ。本物の担当が帰ってきて嬉しいわ」

高雄「そうでしたか。……お疲れ様でした、本当に」

叢雲「いつもしている人程じゃないわ」

高雄「……それでも、です」

叢雲「……そう」

高雄「…………」

叢雲「…………」

提督「…………なにこの疎外感。よくわからないプレッシャーを感じるんだが」



76: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:16:47.45 ID:Q1qc7uvdO

< 微笑ましく見えたり >





高雄「今日の誕生花は金水引。花言葉は“ 感謝の気持ち ”」

愛宕「この人のお世話、ありがとね? 」

叢雲「別に。それなりに慣れてたから」

漣「ですよー。叢雲ちゃんはご主人様のお世話なんて慣れっこなんですよー」

叢雲「漣の言い方だと変な意味に聞こえるけど……そうね」

愛宕「ふふ……」

叢雲「……なに? 」

愛宕「なんでもないわよ? ……ふふ」

叢雲「…………」

愛宕「……これからも見ていてあげてね? 馬鹿だけど悪い人じゃないから」

叢雲「…………」

愛宕「…………」

叢雲「…………仕方ない、わね。私でいいなら、時々見ておくわ」

愛宕「お願い。……………………ふふ」


77: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:17:56.02 ID:Q1qc7uvdO

< 震える身体をそっと抱き寄せて >





提督「今日のカクテルはブルショット。
カクテルワードは“ 人を助け思いやる人間味のある人 ”、だ」

愛宕「ふーん……人間であることと人間味は違うけれど、ね」

提督「…………」

愛宕「まぁ、思いやりが? ないとは? 言わないけど? 」

提督「…………俺は何も言わないよ、言えない。言う資格も無いと思う」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……死ぬかと思ったわ」

提督「……あぁ」

愛宕「化け物のまま死ぬのかって、人ならざるヒトのまま死ぬのかって。怖かった」

提督「……あぁ」

愛宕「…………本当に、怖かったんだから」

提督「…………あぁ」


78: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:18:38.37 ID:Q1qc7uvdO

< 袖で隠れた部分というのも、そそる >





提督「……やっぱり腕側気にしてるか? 」

愛宕「……もしかしたらまだ治ってないところあるかもしれないし」

提督「気にしないけどなぁ、俺は」

愛宕「私が気にするのよ」

提督「……女の子だな」

愛宕「知ってるでしょ? 」

提督「あぁ」

愛宕「……はふ、温かくて安心する」

提督「お前になにもしてやれなかった身体でよければいくらでも貸してやる」

愛宕「そ」

提督「…………」

愛宕「……生きてるわね」

提督「あぁ。鼓動が聴こえるよ、お前の生きている音が」


79: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:19:34.15 ID:Q1qc7uvdO

< 幾つもの確認を積み重ねて >





提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………身体、動くか? 」

愛宕「もう……心配しょ…………どうかしらね」

提督「ふーん……? 」

愛宕「……まともに動くか、試しておきたいわぁ」

提督「なるほど? 」

愛宕「…………ちゃんと前のままか、確かめて? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……あぁ。…………仕方ないな、これは。しっかりしないと」

愛宕「ええ、仕方ないこと、だから、ね」


80: 名無しさん 2015/08/21(金) 23:22:00.20 ID:Q1qc7uvdO

< 察する力もきっとすぐに鍛えられる >





瑞穂「そういえば……お見舞いとかしなくてもよろしいのでしょうか」

天城「あー……はい。別に構わないと思いますよ、愛宕さんはそういうの気にしませんし」

瑞穂「はぁ」

天城「それに……」

瑞穂「はい」

天城「もしどうしても気になるのなら、明日の朝にした方がよいでしょうね」

瑞穂「まぁ……もう夜も遅いですしね」

天城「ええ」

瑞穂「うーん……でも一言だけでも」

雲龍「…………今行ったら面白いものが見れると思うわ」

天城「……面白いと思うのは姉様だけです。……いいのよ、瑞穂は」

瑞穂「? 」

天城「…………」

雲龍「あの人と愛宕、二人で遊んでるわ」

瑞穂「あ、そういう……明日にしておきますね、天城さん」

天城「賢明な、判断です」



85: 名無しさん 2015/08/22(土) 22:53:32.41 ID:HVZgIc2KO

< そんな感想 >





提督「ん…………朝」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「……無意識に腕庇ってた気がするなぁ。乱暴にしてるつもりはないんだけど」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「……ま、凍ったものをゆっくり融かしていくのも悪くない、か」


86: 名無しさん 2015/08/22(土) 22:54:33.80 ID:HVZgIc2KO

< 夢に理由を求めるな >





提督「ふぁ……」

愛宕「ん…………ふあぁ」

高雄「……随分と寝不足のようで」

提督「お前は楽そうだな」

高雄「日付けを跨ぐ前には就寝しましたから」

愛宕「へぇ、一人でシたりしなかったの? 」

高雄「……あなたたちが何をしているか分かっていて一人ですると惨めになると思わない? 」

愛宕「私は気にしないけど……そう」

提督「………………………Zzz」

高雄「? ……あなたは立ったまま寝ようとしないでください」

提督「……はっ、ヒヨコ、ヒヨコはどこだ」

愛宕「……ヒヨコ? 」

87: 名無しさん 2015/08/22(土) 22:58:16.57 ID:HVZgIc2KO

< 扉の前で問答など >





提督「それで? 今日は問題無しか? 」

「こちらの鍵束を。くれぐれも無謀なことはしないように」

提督「はっ……馬鹿にされたもんだね。……行くぞ」

高雄「…………」

愛宕「…………ふぁあ」

提督「……気が抜けるな、お前見てると」

愛宕「あなたが寝かせてくれなかったからぁ。それになんとかなるでしょ、たぶん」

高雄「……緊張感というものも必要ですよ、何事にも」

愛宕「んー……大丈夫よぉ」

高雄「はぁ」

提督「…………軽巡様に会ってみるか、まずは」

愛宕「幸せ充填されてるし……よし。気合入れたわ」

高雄「相当に簡単な気合ですね……あかさぁ、鍵は私が」


88: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:01:13.71 ID:HVZgIc2KO

< 薄暗い鉄格子の奥に >





提督「よお、気分はどうだ」

「……大佐、いや今は少将だったか」

提督「そうだ。……元気そうだな」

「元気? あなたにはそう見えるのか? これが」

提督「まともに会話ができれば元気でいいだろ。それに、元気溌剌とした囚人ってのもおかしいものだ」

「はは、違いない。……しかし、片腕を失い、もう一方を磔にされていて元気だと言われるとはね、予想外だよ」

提督「……あの腕、お前か? 」

高雄「さて……私も必死でしたからね。わかりかねます」

「何を言う。そちらの妹の意趣返しに至近距離で吹き飛ばしただろうが。既に私を無力化できる状態だったろうに」

高雄「…………」

提督「…………治療がないのはお前を弱らせておくためか」

「だろうな。逃げるつもりなど最早無いのだが」

提督「…………その辺も含めて幾つか訊きたいことがある。まさか拒否なんてしないよな? 」

89: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:03:42.29 ID:HVZgIc2KO

< 何かが足りない >





「で? あなたは私に何を訊きたい。然程の情報は持っていないと思うがね」

提督「あぁ、まず……お前は何故真っ先にLittorioを狙った」

「というと? 」

提督「最大戦力を陥とすためなら俺であれば加賀を狙う。
それが逃走を楽にもするだろう」

「長距離射程の砲撃は恐ろしいものだ。
それがあるから私たちも散開せずに逃走したのだ。
艤装を犠牲にしても各々で砲撃を弾く方が余程安全だからな」

提督「……ではなぜ俺を狙わなかった。
あの状態であれば俺を人質にでもすればよかっただろう。
軽巡クラスのお前に駆逐二人。
こちらは叢雲と漣しかいなかったのに」

「足元は見ない主義か? それとも陸軍は嫌いとか? 基地航空の威力を軽視しない方がいい」

提督「……それなら」

「ふむ……いや、待て。時間が勿体無い」

提督「あ? 」

「あなたが何を言おうとそれには答えられない。……一応提督、あの方が命じたと言っておこうか」

提督「…………」





愛宕「……ふふ、真剣な顔カッコいー」

高雄「……怒られますよ。この状況で」

愛宕「あぁら、ごめんなさい。失敗失敗…… 」


90: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:07:14.08 ID:HVZgIc2KO

< 人形が誰で、傀儡は誰だろう >





提督「……それなら」

「あぁ」

提督「お前たちの、少将殿の目的はなんだ? 国家擾乱、なんて愉快なことをしようとした目的は」

「目的? 目的なら知っているはずだ。
腑抜けた帝都を一新し横須賀の君が牛耳る帝国軍の再編、そう発表しただろう? 横須賀の君は」

提督「…………」

「…………」

提督「…………何人かの高級軍人が捕縛されたが」

「……あぁ」

提督「……まだ、いるんだろう? 捕まっていない、本来の黒幕が」

「…………黒幕、ね。三流芝居並の単語じゃないか」

提督「茶化すなよ。……おかしいだろう? お前たちがいつまでたっても官憲に見つからなかったこと」

「…………」

提督「それに陸軍の基地であり俺たちの目と鼻の先であるあそこに何事もなくお前たちが侵入できたこと」

「…………」

提督「なにより、俺たちが旧要港部を包囲したとき、どこからその作戦が暴露たんだよ。そもそもどうやって逃げおおせた? 」

「…………」

提督「なぁ……これはさ、陸と海の、両方の高級軍人しか手にできない情報がないと不自然なんだよ」

高雄「……あるいは、あなたが少将殿の監視と誘導をする為の」

愛宕「スパイ。いいえ……誰か別の人間が少将閣下に与えた、ガラテア」

「……愛宕、お前は少将閣下をピグマリオンだと思うのか? 」

愛宕「……わからない、わからないけど……あなた、なぜ少将閣下を逃がさなかったの?
最後まで船に乗せてないでいいところで足止めに残ればよかったのに」

「ーーーー」

高雄「……Littorioを狙う、という命令を受け入れながら、身柄はあなたの下に。
確かに随分と都合がいいわね、あなたがスパイだとするならば」


91: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:10:28.71 ID:HVZgIc2KO

< 知ることの不幸せと共に >





「…………」

提督「…………」

「…………」

提督「…………」

「…………少将殿」

提督「なんだ」

「時間が無い故説明不足は致し方ないが……あなたを権力や覇権に興味が無い存在として忠告しよう」

提督「……褒め言葉、ではないな。つーか質問に」

「褒めてるさ、ある意味では。……それと、そちらの二人を手懐けた手腕も評価しよう」

高雄「手懐けた、手懐けた、ですか……」

愛宕「ふふ……」

提督「…………」

「…………呉も佐世保も舞鶴も、横須賀も特務も、特にあきつ丸を信用するな」

提督「……はぁ? お前がそれ言うのは当たりま」

「黙れ! 」

提督「…………」

「大声を出してすまない……私から見て横須賀の君は真にこの国を憂える存在だ。そして救う力もあろうよ」

提督「…………」

「だが……そんなものは存在しない。そもそも救う、ということが現時点では不可能なんだ」

提督「あのさ……」

「そしてこれは横須賀の君が誰より理解している」

提督「…………」

「……いつまで経っても減らない敵、その敵と似通った私たち、
それにどちらもいつどこから現れたか判然としない、不思議だとは思わないか? 」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

「……私もその正確な答えまでは知らない。
もう少しのところで知れたはずだが……いや、それはどうでもいいか」

提督「…………」

「それを知っているのは恐らく横須賀の君やあきつ丸たち特務、
それから一部の高級軍人だけだ。私は彼らを信用するなと言っている」

提督「…………」

「…………世界各地で現れた敵が暴れまわっているのに、この国のシーレーンが大部分機能している点、
あなたもおかしいとは思わなかったかな? 」

提督「……………………」

「…………」

提督「…………」

「……ま、ゆっくり考えていればいいさ。あなたがこのまま権力に興味を示さなければどうということもないのだからな」


92: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:12:57.42 ID:HVZgIc2KO

< 幕引きは、いずれやってくるものだけれど >





提督「…………」

「……それと、少将閣下は確かに陸軍と海軍の不満を抱えた人間のグループにいいように使われただけだ」

提督「……あ、あぁ」

「私が彼を裏切ったことはないよ。私の何にもおいて大切な存在だ。
神がいるのならそれに誓ってもいい」

提督「…………」

「……愛している、そう言った方が説得力があるかな、あなたには」

愛宕「わーお……」

高雄「…………」

提督「…………」

「…………妻子のある身故、身も心もあの人は受け取ってはくれなかったが、それでいい」

提督「…………」

「……私は十分にあの人から受け取ったんだ。
今までの全ての行動、私の信条を捨ててまでLittorioという外国艦を狙ったのもそれへの恩返し」

提督「…………」

「あなたにそれを信じろとは言わない。しかし…………私を含めて、全ての部下があの人に従ったんだ。
決して下らない欲望を理想と勘違いしたクズどもにじゃない」

提督「…………」

「それだけは、覚えていてほしい。……あなたの愛が、あなたへの愛がどのようなものかはわからないが」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………覚えて、おこう」

「あぁ……そうしてくれると、嬉しいよ、少将閣下。…………あなたと、平穏なときに、平穏な場所で会ってみたかった」


93: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:13:51.97 ID:HVZgIc2KO

< さてさて、会見を終えまして >





提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………あの男」

高雄「……ええ」

提督「……軽巡のあいつが言っていた通りだったな」

愛宕「予想通りの男。国家擾乱を世直しとして認識している男」

提督「…………新しい情報は無し、か」

高雄「……横須賀もなにもかも信用するな、ですか」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………あの娘と、少将殿、どうなるでしょうか」

提督「……分かり切ったことを訊くな。それとも本気で訊いているのか? 」

高雄「いえ……忘れてください」

愛宕「……………………愛している、か。……私に、あの状態でそれを言えるかしら。あの柔らかな笑顔で」


94: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:15:15.81 ID:HVZgIc2KO

< この感情は、人らしさを備えているだろうか>





高雄「八月二十二日の誕生石はホワイトコーラル。
石言葉は“ 素直 ”、“ 大胆 ”、“ 優しさ ”、そして“ 自信満々 ”」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……ねぇ、高雄」

高雄「? 」

愛宕「自信を持って、あの人を愛してるって言える? 」

高雄「はぁ……言える、はずですが」

愛宕「……私の愛は本当にあの人と同じ? ヒトの愛は、人の愛と同じなの? 」

高雄「それは……」

愛宕「軽巡の娘の愛は、本当に愛だったの? 化け物の呻き声とかじゃないの? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ごめんなさい、忘れて」


95: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:17:21.66 ID:HVZgIc2KO

< 感情の在り処 >





高雄「…………愛宕は」

愛宕「え? 」

高雄「あの人を愛したいの? 」

愛宕「それは……当たり前よ。愛したいのに愛が本物か悩む位には愛したいわ」

高雄「……ふふ、ふ、ふふふ」

愛宕「た、高雄? 」

高雄「失礼……それなら、ですね」

愛宕「うん」

高雄「…………愛したいと、好きでありたいと願うことこそが、愛じゃないかしら」

愛宕「ーーーー……! 」

高雄「それがあの人と、人間と同じかはわからないけれど……少なくとも私はそれを、私だけの感情だと思うわ」

愛宕「…………」

高雄「…………それがたとえ汚らしい化け物の欲望でも、あの人が受け容れてくれる感情なら、私は私を信用する」

愛宕「…………」

高雄「…………だから……あなたの疑問は、下らない戯言よ、きっと。
たまには、頭の堅い姉の言葉に従ってみてもいいんじゃない? 」

96: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:18:10.23 ID:HVZgIc2KO

< それから少し経って >





高雄「今日の誕生花は夕霧草。花言葉は“ 優しい愛 ”」

提督「んー……」

愛宕「ふふ……」

高雄「…………」

提督「……暑くない? 」

愛宕「暑いわねぇ」

高雄「ええ」

提督「…………だよな、うん」

愛宕「当然よね~ 」

高雄「そうね」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………それなら何故ソファにわざわざ三人で座ってるんだ? 」

愛宕「んー……人恋しいってやつ? 」

提督「まだ昼過ぎだぞおい……」

高雄「…………あなたの優しい温かさを、感じたくなったんですよ。それ以外に、何か重要なことでも? 」

97: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:18:50.93 ID:HVZgIc2KO

< ここから導き出される結論とは >





瑞穂「三大欲求とは何でしょうか? 」

高雄「睡眠、食欲、それと性欲ですね」



瑞穂「三大欲求とは何でしょう? 」

愛宕「性欲と睡眠と食欲でしょ? 」



瑞穂「三大欲求とは? 」

加賀「食欲、睡眠、性欲ですね」



瑞穂「三大欲求は? 」

提督「ん? 俺と勉強でもする? 一つの行動で全部理解できるコースがあるけど」

瑞穂「……いえ、結構ですわ」





天城「ね? 」

瑞穂「…………なるほど」

雲龍「私には訊かないの? 」

98: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:21:25.46 ID:HVZgIc2KO

< 水泳が終わって >





愛宕「ぼんやり見ていられる番組があるといいわねぇ~ 」

高雄「そうね」

天城「陸上というとあまり縁がありませんけれど」

雲龍「かといって水泳に縁があるかというと違うじゃない? 」

愛宕「そうね。…………それは兎も角何故あの流れで女が集まってテレビなの? 」

高雄「それは……仕方ないでしょう」

愛宕「うーん……どう考えてもおかしいわ。今頃熱いキスでもしてる勢いだったのに」

高雄「…………あの人、ですから」

愛宕「うん。……でもそれが万能の答えってのも酷い話よね、大概」


99: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:22:21.96 ID:HVZgIc2KO

< 積み重ねたものに嘘は吐けないから >





提督「今日のカクテルはビスコタアイス。
カクテルワードは“ 人を心の底から思いやれるテクニシャン ”、だ」

Littorio「……Littorio、我儘ですけれど心配していたのです」

提督「うん? 」

Littorio「あなたの下に、この日いることができるかどうかを」

提督「あぁ。なるほど? 」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「……あなたのこと、好きです。なによりも、なによりも」

提督「…………驚く、べきかな」

Littorio「いえ……その方がショックですよ。愛も恋も、一瞬を楽しむものではありますけれど、ね」

100: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:23:30.82 ID:HVZgIc2KO

< 綺羅綺羅と輝く瞳に映るのは >





提督「……飲みたいものとかあるか? 」

Littorio「ん……」

提督「ん? 」

Littorio「……あなたを」

提督「…………」

Littorio「そろそろ、Littorioも一度祖国へ帰らねばなりません」

提督「……そうか」

Littorio「その前に、一つ大きなモノを頂いていきたいのです」

提督「……また戻ってくるんだろ? 」

Littorio「そのつもりです。しかし」

提督「……必ずしも戻ってこられるとは限らない」

Littorio「そういうことです」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………夜景でも見に行こうと思ってたんだが」

Littorio「ふふ……要りませんよ。あなたの瞳にLittorioを見るのが、Littorioにとって至高の景色ですから」

提督「……見たこともないのに」

Littorio「わかります。……それが美しくなければLittorioにはこの世に望みがなくなってしまいますし」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………参ったね、本当に」


101: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:25:12.34 ID:HVZgIc2KO

< 新参者は見た >





江風「うわーお……」

海風「どうしたの? ……ぁ」

漣「あっついキスですねぇ……ディープ過ぎて胸焼けしそう」

叢雲「……見境無しね、本当に」

漣「羨ましい? 」

叢雲「……別に」

江風「しっかし……高雄さん、愛宕さん、それから明石さん? 」

海風「加賀さんと雲龍さんもだとか」

瑞穂「まぁ……」

江風「……すげぇな。うン。すげぇ」

瑞穂「むしろ天城さんだけ手を付けてないのは……」

江風「…………」

海風「…………」

瑞穂「…………」

叢雲「…………単にムードがなかったとかその辺よ。深い意味なんてあったら天地がひっくり返っても驚かないわ」

102: 名無しさん 2015/08/22(土) 23:26:49.87 ID:HVZgIc2KO

< 枕の上は、夢を語らう場所かもしれない >





「……帰りたく、ないんだっけ」

「ええ……LittorioをLittorioという存在として欲してくれる、受け容れてくれる方がいませんから」

「……それはお前が大した人数と会っていないから」

「でしょうね。Littorioも祖国の人々を殊更嫌っているわけではありません」

「…………」

「でも……思ったより貧乏性なんです」

「うん? 」

「見つけた愛を捨てて、歩き出すことなんて、できないんですよ、Littorioには」

「…………」

「それに、キープしたまま遊び呆けていられる程度の愛なら、必要ない、ね? 」

「…………そうだな」

「…………」

「…………」

「…………あなたが、祖国に来てくれるのならいいのですけれど」

「…………悪い」

「……ふふ、戯れですよ。寝台で大人の女が男に語る夢のような」

「…………夢、か」

「ええ。…………今夜は佳い夢が見られそうです」

「だといいな。…………朝に」

「ええ」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………温かいって、いいものですね。地中海とはまた、違った…………ーーーー」

107: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:12:16.33 ID:FHu3fd9AO

< 語らうには短く、紡ぐにも足りなくて >





Littorio「…………__さん。Buongiorno.」

提督「うん、おはよう……………………なに? 」

Littorio「……D'ora in poi voglio sempre stare al tuo fianco.」

提督「……Anche se siamo cosi lontani guardiamo la stessa luna.」

Littorio「あらあら……」

提督「……うん」

Littorio「どこにいても同じ月を見ているとは言いますけど」

提督「あぁ」

Littorio「恋人って見つめ合うもの、お互いしか見ていないもの、違いますか? 」

提督「違いない。……だからといってずっと側にはいてやれないが」

Littorio「…………恋人では、ないですものね」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……Buongiorno.signorina」

Littorio「…………おはよう、ございます、提督」


108: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:13:00.22 ID:FHu3fd9AO

< 違う、そうじゃない >





提督「元少将と軽巡の彼女、明日の朝移送だってよ」

愛宕「ふぅん……」

高雄「……そうですか」

提督「ま、だからといって何かあるわけでもないが……なんか言いたいことでもあるか? 」

愛宕「あると言えばあるけど……彼女に何か言える程、私偉くないもの」

高雄「あれは私たちには到達できない位置ですからね。……愛に殉じると言えば聞こえはいいけれど」

愛宕「あら、愛なんて個人のものでしょう?
殉じる、でいいじゃない。少なくとも彼女の中ではそうなんだし」

高雄「愛とは二人、あるいは複数のものです。
一人で抱える愛は愛足りえないと思いますが」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………俺は二人とも好きだぜ? 」


109: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:13:33.17 ID:FHu3fd9AO

< 好み >





提督「ブルートレイン、か」

高雄「三月にも見ましたね、ニュース」

提督「ん。……乗ったことないし割とどうでもいいんだけどな」

愛宕「ふーん? 」

提督「俺は電車より航空機が好きだ」

愛宕「へぇ……よくわからない拘りね」

加賀「ふ、当然のこと。空を翔けるものが地を這うものに負けるはずがありません」

高雄「はぁ」





提督「ま、一番好きなのは車と単車だけどな。地面舐めるレベルの車とかいいじゃねぇか」


110: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:14:30.59 ID:FHu3fd9AO

< 独特なものの方が喜ばれる >





高雄「八月二十三日の誕生石はブルナイト。
石言葉は“ 魅力的 ”、“ 愛らしさ ”、そして“ 独特 ”」

愛宕「昨日は時間なかったから、はい」

雲龍「あ、私も。天城と一緒に、だけど」

Littorio「? 」

愛宕「プレゼント。黄楊の櫛なんて見たことないんじゃない? 」

雲龍「私と天城は風呂敷ね。……スカーフで使ってもいいって天城は言ってたわ」

Littorio「Grazie.……本当に何と言えばいいか……」

愛宕「言わなくてもいいわよ。好きでしてるんだし、ね? 」

高雄「ええ。……万華鏡は英語だとカレイドスコープだったかしら。聞いたことはある? 」

Littorio「ありますよ。……ありがとう、高雄。大事にしますね」

高雄「いえ」





Littorio「…………帰りたくなくなってしまいますね、この感じだと」


111: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:14:57.78 ID:FHu3fd9AO

< 死してなお、とは言うけれど >





高雄「今日の誕生花は菩提樹。花言葉は“ 夫婦愛 ”、“ 結ばれる ”、そして“ 約束 ”」

愛宕「菩提ね……お墓ってどうするのかしら」

高雄「沈んだ娘は確か共同墓地でしたか」

愛宕「墓石だけしかないけどね。……別に骨になってまで一緒に入りたいとも思わないわね」

高雄「ええ。然程興味はありませんよ、私も」

愛宕「……嫁を同じ墓に入れたくないとかあるんでしょ? 世の中」

高雄「そう聞きますが……どうです? 」

提督「んー? ……俺の親自体興味なさそうなんだよな死後とか……ま、その時はその時だって。俺はまだ死ぬつもりねぇし」

愛宕「そうね」


112: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:16:12.90 ID:FHu3fd9AO

< 騒げや騒げ >





提督「えー、瑞穂、海風、江風の歓迎会とSN方面での祝勝会です。騒げ! 」

明石「おめでと、です」

愛宕「おめでとー。騒げっ」

江風「こンなときも適当なンだな……あ、江風はそのカルーアってのがいい」

叢雲「飲み過ぎるんじゃないわよ? 」

漣「酔わせて持ち帰りたいときの常套手段カルーアじゃないですかー」

江風「ン、ン、はっ、美味いじゃン? テートク、江風にもそれ注いでくれよ」

提督「ん? はいよ」

叢雲「聞いちゃいないわね。イッキってね……」

江風「ありありー。ふっ……これも美味いなぁ……なにこれ? 」

天城「伊佐美という芋ですね。味わって飲みましょう」

明石「味わぅ? 天城さんがそんなこというと笑い話にもなりませんね」

天城「……え? 」

愛宕「いや、そんな何を言っているの? みたいな顔できないでしょあなた」

113: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:17:32.24 ID:FHu3fd9AO

< 一人で楽しめるなら、それで >





提督「今日のカクテルはビスコタミルク。
カクテルワードは“ 努力で自分をより高めようとする女帝 ”、だ」

天城「ちょ、姉様、ブラ、ブラ」

雲龍「ブラブラ? 付いてないわよ? 」

天城「違いますっ。ブラしてないですよね姉様」

雲龍「? 問題でも? 」

天城「ありすぎですよぉ。黒ですけどTシャツなんですから」

雲龍「透けないし……なにもないときにいくらなんでも勃ったりしないわ」

提督「え、マジ? 疲れたときとか勃たないの? 」

天城「あなたは黙っててください。天城は姉様と話してるんです」

提督「えぇ……俺にもブラトークさせろよ」

高雄「はいはい……あなたはこっちで新人さんと親睦を深めましょうね」

提督「お、ブラトークか? ショーツか? 」

高雄「そんなわけ」





加賀「ふ……連夜の宴、悪くないですね」

明石「加賀さんは相変わらずですね……悪いことじゃないですけど」

114: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:18:59.02 ID:FHu3fd9AO

< 男としては興味が尽きない>





提督「お姉ちゃん、何カップ? 」

海風「か、カッ……」

高雄「今日は酔うの早いですね……答えなくていいですから」

海風「は、はぁ」

提督「ちなみに高雄のは」

高雄「ばか。やめておかないと」

提督「やめておかないと? 」

高雄「切り取ってお手洗いに流しますよ? 」

提督「わーお、時事問題絡めるぅ」

愛宕「高雄もほら、酔ってるから。普通ならオシオキよね? ベッドで」

提督「おー、楽しみー」

高雄「切り取るのがですか? ふふふ……」

提督「へっ? 」





海風「……ま、魔境ですかここは」

江風「姉貴ぃ、どした? きひひっ」

海風「…………江風……もう取り込まれてる」


115: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:20:04.84 ID:FHu3fd9AO

< メリハリがあると言ってほしい >





提督「と、いうのはボケ、ちょっとした海軍ジョークだが」

明石「本当ですかそれ」

提督「どう? 上手くやってけそう? 叢雲とかいい訓練役だと思うけど」

海風「は、はぁ……皆さんいい人ばかりだとは思いますけど」

提督「一番上が信用できない? 」

海風「い、いえ。先日の指揮など的確で、堂々としていましたし、皆さん信頼しているようですので」

提督「そう? 」

愛宕「すぐ調子に乗るからあんまり褒めちゃダメよ? 」

海風「はぁ」

提督「……ここにいる間は俺の家族だと思ってるから。
なにかあったら俺に相談してくれると嬉しい」

海風「提督……」





明石「あの一瞬でキリッ、ってやるやつ破壊力高過ぎでしょ……海風ちゃーん、騙されちゃだめですよー」

雲龍「明石みたいに? 」

明石「そう、私みたいに。…………あれ? 」


116: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:21:38.12 ID:FHu3fd9AO

< 常識人を気取る人たち >





天城「ふふ……あなたは天城の仲間のような気がします」

瑞穂「はぁ……」

天城「あら、空いていますね。……どうぞ」

瑞穂「あ、ありがとうござい、ます」

天城「はふ……あぁ、この酒盗がよく合うのです、日本酒に」

瑞穂「天城さんも、空いてます」

天城「ありがとう。いただきます」

瑞穂「…………ふふ、でも天城さんがいれば安心です。
最初はどうなることかと思いましたけれど」

天城「私こそ。瑞穂さんがいればこそここでも自分を失わずにいられるというものです」

瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「…………ふふ」

天城「…………はふ、あぁ、瓶が空ですね。提督ー」

提督「へい」


117: 名無しさん 2015/08/23(日) 21:22:35.13 ID:FHu3fd9AO

< どんな境地だ >





Littorio「ここの問題は」

高雄「ええ」

Littorio「あの人と寝ると確実に暴露るということですね。暗黙の、というか」

高雄「まぁ……確かに」

Littorio「だからなんだという気もしますけれど……少し、面映ゆいです」

高雄「なるほど。あぁ、でもよかった。Littorioはこちら側ですね」

Littorio「……ちなみにそちら側とは誰の」

愛宕「うん? 」

雲龍「なに? 」

高雄「……言うまでもないでしょう」

Littorio「……さすがにLittorioもあの境地までは……」

124: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:14:05.56 ID:dJaVYu7WO

< ある意味当然の >





江風「頭いてぇ……」

海風「……記憶が途切れてる」

江風「ンー……ひでぇやこれ…………なンかいつの間にか人類最速とやらが決まってるじゃン? 」

海風「ヒト最速ではありませんが、ね」

江風「姉貴、それは酷ってもンさ。人間にも江風たちにも」

海風「そう……」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………水、くれよ。水道のじゃなくてキンッキンに冷えたやつ」

海風「うん。何か入れておいてくれてるでしょうか。冷蔵庫なんて初めて開け……」

江風「……どした? 」

海風「…………ミネラルウォーターとお茶と炭酸と」

江風「うン? 」

海風「……焼酎とリキュール三本入ってる」

江風「ンッ……ふふ、はははっ、そいつはなンとも愉快な話で」


125: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:16:52.65 ID:dJaVYu7WO

< 次は酔い過ぎないように >





江風「きっと水とか炭酸も酒を割るためのやつなンだろうなぁ」

海風「……きっとね」

江風「ま、これからは江風と姉貴の自由だけど……つーかさ」

海風「うん」

江風「姉貴、本当に記憶無いのか? 」

海風「え? なにか大変なことでもしてました? 」

江風「いや、言ってもいいかわかンないンだけどさ」

海風「ええ」

江風「この部屋にどうやって戻ったきたか本当に覚えてないのか? 」

海風「…………? 」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………」

海風「……ぁ」

江風「うン。あー……お姫様抱っこってやつ? どうだった? 」

海風「はぅ…………ぅ、海風はなんということを……あぁ。海風がいていい場所ではないのに」

江風「…………江風もさ、複雑な気分だったよ。姉貴が上官の男に抱き抱えられてるのを見るのは」

海風「あぁ……ごめんなさい、ごめんなさい……高雄さん、愛宕さん…………あぁ、海風はなんて」

江風「あっちは全然気にしないと思うけどなぁ……ダメなはずなのに」

126: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:18:31.54 ID:dJaVYu7WO

< 経験でなんとかしてきた >





叢雲「…………」

漣「お? なーにやってんの叢雲ちゃーん」

叢雲「……海風と江風の訓練メニュー考えてんのよ。司令官様に頼まれてね」

漣「なるほどー。や、叢雲ちゃんが教官役だなんてきっついなー。
最初が厳しいと後が楽かもだけどさ」

叢雲「……そう? 」

漣「うん。叢雲ちゃんは違う? 漣なんて座学の内容殆ど忘れちゃったし」

叢雲「…………そうね、確かに」





提督「てことで実戦、座学ともに叢雲が教育係りだから」

江風「りょーかい」

海風「はい! 」

提督「あと……叢雲が言ってたんだが漣も参加するってさ。
楽な方から始めたなら厳しいものはもっと為になるとかなんとか」

127: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:19:23.24 ID:dJaVYu7WO

< 割と死活問題なのだが >





高雄「八月二十四日の誕生石はラァーバ。
石言葉は“ 洗練 ”、“ 行動力 ”、“ 前向き ”、“ 野生的 ”、そして“ 輝ける存在 ”」

雲龍「輝ける……ハゲ? 」

愛宕「あの人のお父様とかお爺様ってどうなのかしらね」

高雄「今のところ生え際も頭頂も問題無さそうですが」

雲龍「でも、突然クるって聞くわ。頭って」

愛宕「うーん……」

高雄「まぁ、別に然程気にしませんけど……」

雲龍「ちょっと気になるわよね」





提督「え? アルバム? あぁ、この前買ったし海風たちとも撮……は? 俺と家族の? なんで? 」

128: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:19:53.17 ID:dJaVYu7WO

< 失望するわけではないけれど >





高雄「今日の誕生花は金盞花。花言葉は“ 失望 ”、“ 別れの悲しみ ”、そして“ 乙女の美しい姿 ”」

愛宕「フッサフサだったわねぇ」

高雄「ええ。しかし……やたら似てましたね。お父様に」

愛宕「カッコよかったわぁ。あの年齢なのに」

雲龍「あれで一途とかちょっと……」

愛宕「…………」

高雄「…………」

雲龍「…………」

提督「…………いや、父さんは尊敬してるけどさ。普通俺の前でそういうこと言う?
つーか雲龍にそんなこと言う資格なくないか? なぁ」


129: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:21:26.94 ID:dJaVYu7WO

< 理解はできるが納得できない >





雲龍「あ、でもあれだけ似てるということは……」

愛宕「あんなダンディになるってことね」

高雄「また女性絡みの問題を起こしそうな」

提督「あのさ。君ら幾らなんでも俺のこと酷く言い過ぎじゃない?
一番言いたくない言葉だけど相手が普通の人間ならこういうことにはなってないぜ? 」

雲龍「当たり前じゃない」

愛宕「馬鹿なの? 」

高雄「救い難い言い訳の酷さですね」

提督「えぇ……風当たりヤバ過ぎ」


130: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:22:20.81 ID:dJaVYu7WO

< 恋は事故とかなんとか >





提督「今日のカクテルはパラダイス。
カクテルワードは “ 無償の愛に溢れた律儀なパイオニア ”、だ」

雲龍「愛、愛を頂戴」

提督「……ほら、天城」

天城「どう考えても姉様は姉妹愛以外のものを欲していますけれど」

雲龍「愛欲、愛欲が溢れ出しそうなの」

提督「溢れ出させとけよ。俺の愛は無償じゃねぇの」

雲龍「溢れ出す先はあなただけなんだけれど? 」

提督「……ほら、天城」

天城「あのですね。なんでもかんでも姉様のことを天城に押し付けるのはやめていただけますか? 」

提督「……」

雲龍「一度手を出したのが間違いだったわね」

提督「お前が言うなよ…………間違いだとは思わないけど」

131: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:23:04.82 ID:dJaVYu7WO

< 加賀美人とかあった気がする >





加賀「今日は愛酒の日よ」

提督「お、おう……」

加賀「これは飲まないといけないわ。ええ」

提督「昨日も一昨日も大概飲みまくっただろ」

加賀「あれで足りると思うの? 」

提督「……愛酒の日ってのはあくまでも若山牧水の誕生日に因んでるだけだぞ。
河童忌みたいなもんで」

加賀「それで? 」

提督「…………俺の肝臓死ぬんだけど」

加賀「バーテンダー役か酌夫でもしていればいいでしょう」

提督「酌夫ってお前な……」

加賀「……それとも」

提督「ん」

加賀「私を…………飲んでみる? 」


132: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:24:26.00 ID:dJaVYu7WO

< だから酒を減らせとあれ程 >





瑞穂「Littorioさん、でよろしいのでしょうか」

Littorio「ええ、それで合ってますよ」

瑞穂「先日はお誕生日おめでとうございます」

Littorio「ありがとう。あなたのときはLittorioにも祝わせてね? 」

瑞穂「いえ。贈り物も用意できず瑞穂の至らなさを痛感致しましたわ。
……祝っていただけるならとても嬉しいことですけれど」

Littorio「仕方ないわ。Littorioのことなんて殆ど知らなかったでしょうし」

瑞穂「そうですけれど……これから、瑞穂のことよろしくお願い致しますね」

Littorio「ええ。こちらこそ」





Littorio「あれがヤマトナデシコというやつなのですね。……Littorio、感激でした」

明石「そ、そうですか……ははは。よかったですね」

天城「」


133: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:26:41.09 ID:dJaVYu7WO

< そういう宣言が実行されたためしは、さて >





加賀「っほ、う…………出し過ぎよ」

提督「……悪い」

加賀「…………こうして何度か経験すると」

提督「あぁ」

加賀「…………いえ、やはり不味いわね。既製品の弁当に入っているキャベツ未満よ」

提督「なんだよそのたとえ……風呂行こうか」

加賀「……ええ」

提督「ん」

加賀「……ありがとう」

提督「いいえ。……お嬢さん軽いですね」

加賀「重いとでも思っていたの? 」

提督「そりゃあれだけ食え痛ぇっ」

加賀「…………たまには、虐められるのもいいのじゃなくて? 」

134: 名無しさん 2015/08/24(月) 22:27:54.47 ID:dJaVYu7WO

< 生も、そして死すら私だけのものではなく >





愛宕「なんだかこのままでもいい気がしてきたわ」

高雄「? 」

愛宕「あの人を二人占めはできなくなったけど……」

高雄「優先はしてくれますしね。……それでいいかどうかはわかりませんが」

愛宕「三人でいたときはここで三人一緒に朽ちていくのかー、なんて思ってた」

高雄「ええ」

愛宕「……このまま賑やかにいて、いつか人間の身体で死んでいけるかもしれないなって最近思うの」

高雄「…………」

愛宕「そんな望み叶いそうもないから嫌だったけど……信じてみてもいいかもしれない」

高雄「…………そう」

愛宕「…………どうせなら人らしく死んでみたいわ。ヒトデナシにはできない死に方を」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………ま、私はあの人がいればそれでいいです。
あの人が死んだときにはどのみち死ぬ予定でしたので」

愛宕「高雄が強いだけよ……私にはできないかもしれないもの。
あの人と生きた想い出ごと自分を殺すなんて」


139: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:30:06.36 ID:+tFw7DPOO

< それでいいのか >





瑞穂「……備え付けの冷蔵庫のお酒や冷凍庫のロックアイスは普通なのでしょうか」

天城「? 」

雲龍「普通ではないと思うけれど……あなたはいい加減自覚なさい」

天城「はぁ」

瑞穂「お酒は好きなのですけれどやはりどなたかと楽しむものと思います」

雲龍「そう……天城? 」

天城「……なんです」

雲龍「淑女を目指すなら瑞穂を目指した方が早そうね」

瑞穂「あ、あの、瑞穂は天城さんには程遠く」

雲龍「ふふ……そうね」

天城「…………」

雲龍「……ん? 」

天城「……………………て、提督は認めてくださいますからっ」


140: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:30:44.91 ID:+tFw7DPOO

< そういうことが前提の >





愛宕「過去か未来に行けるとして」

提督「どっちに行きたいかって? 」

愛宕「ええ」

提督「そうだな……お前は? 」

愛宕「それは断然過去よぉ。ちいさいあなたに会いたいし」

提督「ふーん……その場合淫行で捕まるのはお前だけだが」

愛宕「虜にしてしまえばどうということもないわ」

提督「できんの? 」

愛宕「できないと思うの? 」

提督「…………俺も過去にしようかな。金髪痴女に注意しろって忠告しとく」


141: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:31:22.31 ID:+tFw7DPOO

< 九月は予約が多過ぎる >





明石「んー……怠い」

雲龍「……そうね」

明石「…………さっさと九月二日になってほしいようななってほしくないような」

雲龍「ふーん……? 」

明石「予約してたゲームの発売日なんですよ。今やってるやつの続編」

雲龍「へぇ……」

明石「早くやりたいですけど始めると他のこと手につかなくなりますしねぇ。難しい問題です」

雲龍「そう……私にはこのコソコソするののどこが楽しいかわからないのだけれど」

明石「どこがって言われると私もわかりませんけど……ランボープレーでもします? 」

雲龍「別に。……明石の隣で何もしないでいるの、好きだから」

明石「そうですか」

雲龍「ええ」


142: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:32:43.06 ID:+tFw7DPOO

< 閉じ込めて、縛り付けて、それでも足りない >





提督「予想通り、というべきか。
元少将も腹心も帝都に送られたようだ」

愛宕「そう」

提督「新聞でも大々的に……ふん」

愛宕「あなたの名前が出てもいいのに」

提督「まぁ、一応捕縛の流れではな……俺からすれば出ない方がいいんだが」

愛宕「インタビュアーとか来たとこ見てみたかったわ」

提督「そんなこと言われてもね」

高雄「……この人が他人の目に触れるのはあまりよろしくないと思いますが」

愛宕「インタビュアーに手を出したり? 」

提督「出さねぇよ……お前らより美人なインタビュアーなんて見たことないし」


143: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:33:46.02 ID:+tFw7DPOO

< 踊れ、舞え、そして叫べ >





高雄「八月二十五日の誕生石はファイアアゲート。
石言葉は“ 律儀 ”、“ 真面目 ”、そして“ 現実思考 ”」

加賀「現実的に考えて」

高雄「ええ」

加賀「元少将の目論みが成功する可能性は低かったはず」

高雄「不可能だとしてもやらなければならないという意志が存在する、と提督は」

加賀「そう。確かにそれは理解できる感情だけれど」

高雄「……」

加賀「何か私たちには理解できない鬼札があったのか、それとも……」

高雄「…………深海の敵性生物がキーになる。元少将の腹心はそう言っていました」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「…………私やあなたも所詮は駒ということね。
誰の掌か分からない舞台で踊るのは嫌なものだけれど」


144: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:34:21.92 ID:+tFw7DPOO

< 全員の煩悩を目の当たりにしている >





高雄「今日の誕生花はアンスリウム。
花言葉は“ 情熱 ”、“ 煩悩 ”、“熱心 ”、そして“ 炎のような輝き ”」

提督「煩悩ランキングトップは不動の雲龍として」

高雄「はぁ」

提督「最下位って誰だ? 海風とか新入りは除いて」

高雄「私、と言いたいところですけれど」

提督「ないない。知ってるか? マゾのMは満足のMなんだぞ」

高雄「別にSだとかMだとか偏っては」

提督「そうか? 」

高雄「……明石さんでは? 天城さんはお酒の分少し多いような」

提督「んー……ま、同意、かなぁ」

高雄「…………ちなみにあなたは? 」

提督「俺? 俺は四位だと思うよ、異論はあるかもだけど」

高雄「はぁ。…………四位? 」


145: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:35:04.44 ID:+tFw7DPOO

< これでも本気には程遠い >





江風「…………死ぬ」

海風「…………」

漣「なんで、なんで漣まで……」

叢雲「今日やったところは明日の始めにテストするから。復習も頑張りなさいね」

江風「……げぇ」

海風「…………はい」

漣「それはもしかして漣も……? 」

叢雲「当たり前じゃない。漣は先輩として勿論一位よね? 満点の同着一位が理想だけど」

江風「……実戦の方が楽な気がする」

海風「……ですね」

叢雲「実戦の方が楽でいいじゃない。それのなにが問題なの? 」

江風「……問題ないです、はい」

海風「…………まぁ、糧にはなりますね。十分以上に」

叢雲「戦場で十分なんて言葉、考えないようにね。その為の座学だからここでは構わないけど」

漣「…………ご主人様ぁ、恨みますよぉ。なんなんですかこれ」


146: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:35:41.02 ID:+tFw7DPOO

< 誤魔化すのが下手、という演出 >





江風「テートクの酒の好みってなンなンだ? 」

提督「甘い方が好きかな。苦味も好きだけど」

江風「ふぅン」

提督「苦味にも種類があるだろ? 苦い味はいいけど口の中に纏わりつく苦さはあんまり好きじゃない」

江風「なるほどな」

提督「江風は? カルーアとかの方が好きか? 」

江風「ン、ガキっぽいかもしれないけど……江風も甘い方が好きさ。そりゃね」

提督「酒にガキも大人も……ないこともないけどないぞ」

江風「ンっ、どっちさそれ」

提督「…………酒なんて飲む相手によって味も意味も変わるんだよ」

江風「そっか。……江風とは何を飲むンだい? 」

提督「お前に合わせるよ。江風とは同じものを飲みたい」

江風「へぇ……」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………」

江風「……江風は、好みかい? 」

提督「…………好きだぜ? 江風みたいな女の子」


147: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:36:58.05 ID:+tFw7DPOO

< 欲しがりレディ >





提督「今日のカクテルはビスコタホットチョコレート。
カクテルワードは“ ナイーヴな心と美徳な精神を宿す神秘主義者 ”、だ」

雲龍「んん……口の中がくどい」

提督「これはこれで冬にはいいもんだが……残暑にはきついかもな」

雲龍「舐めとってくれる? 」

提督「面倒。お前の舌欲しがりなんだもん……」

雲龍「忍耐だたか美徳だとかはとうに諦めたのよ」

提督「えぇ……」

雲龍「……それとも、身体に直接おしえ込む? それでもいいのよ」

提督「そういう意味では落第生じゃん」

雲龍「感度的な意味では優等生よね? 」

提督「まぁ……お腹押し込んだときの反応とか最高だね」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………ぅ」

提督「いや、なんで赤く……お前の基準わからねぇよ」


148: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:38:01.87 ID:+tFw7DPOO

< 見敵必殺 >





江風「ヒュー、今日は雲龍さんか」

瑞穂「英雄色を好むと言いますが……うーん……」

海風「あの、夜に口笛を吹いちゃいけないとかっていいません? 」

江風「ンっ、ダメだった? 」

瑞穂「確かに地方によっては蛇が出るだとか泥棒を呼ぶなどの言い伝えがあるようですね」

江風「へぇ……やるねぇ」

海風「まぁ、ここに蛇とか泥棒さんが出たところで……」

瑞穂「……蹂躙されて終わりでしょうね」

江風「提督の部屋に押し入った日には……あーあ、見るも無残ってやつだね」

海風「少しそれに興味が……怖いからしないですけど」



149: 名無しさん 2015/08/25(火) 22:38:30.54 ID:+tFw7DPOO

< 甘く香る魅惑の谷間 >





雲龍「張るわ」

提督「あ? 」

雲龍「……大きく、見えない? 」

提督「……血管浮き出てるね」

雲龍「張ってるの。吸えば出てきそうなくらい」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………もっとえっちく誘えないの? 下品過ぎない? 」

雲龍「あなたが欲しいだけだもの。自分のことしか考えてないの」

提督「……まぁ、お前だからそれでも盛り上がれるけどさぁ」

雲龍「ルックス? 面食い? 」

提督「違うよ。お前だからギリ様になるってこと」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………雰囲気ってやつ、おしえてくれない? 」

提督「……………………まずはキスから始めようか。優しく、初めて触れるように」


156: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:33:12.69 ID:kEUdDkoKO

< 誰にともなく言い訳を >





雲龍「ん……ん? 」

提督「…………Zzz」

雲龍「……ショーツ下敷きに……ん、重い」

提督「…………Zzz」

雲龍「力尽くなら回収できそうだけれど……気持ちよさそうに寝てるし」

提督「…………ふぁ……Zzz」

雲龍「…………」

提督「…………Zzz」

雲龍「…………もう少し、もう少しだけですから」

提督「…………Zzz」


157: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:33:59.03 ID:kEUdDkoKO

< 女子力、ではなく >





提督「んあ…………」

雲龍「…………Zzz」

提督「胸板枕とか女力たけぇな」

雲龍「…………Zzz」

提督「…………つーか、背中のヌメヌメ……なんだ? 」

雲龍「…………Zzz」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………ショーツか……改めてこれエグいデザインだ……ひえー」

雲龍「……ん…………Zzz」

提督「……雲龍も寝てるときは可愛らしいんだが」

雲龍「…………」

提督「なーんで、普段は欲望に忠実過ぎるんだか。別に言う程下品だとも思わないけどさ」


158: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:34:36.26 ID:kEUdDkoKO

< 翻って女子力というものは >





高雄「あら……これは? 」

愛宕「んー? あぁ、全国のデートスポットでも調べておこうかなって。
雑誌見て想像するだけでも楽しいし」

高雄「なるほど……私は大和ミュージアムなど行ってみたいですが」

愛宕「それ楽しいとは思うけど……デート向きじゃないわねぇ」

高雄「あの人は楽しんでくれそうじゃない」

愛宕「高雄。私はあくまでデートらしいデートがしたいのよ? 」

高雄「そう……」

愛宕「手帳にもほら……行きたいところと何がしたいか書いたり、ね? 女子力女子力ぅ~ 」

高雄「はぁ」

愛宕「ヒトデナシでも女の子は女の子なのよー」


159: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:35:26.65 ID:kEUdDkoKO

< まぁ、基本衣装だと思う。プレイ的に >





叢雲「…………ふむ」

愛宕「で、そういうわけだから1914年の開戦までは駆逐艦による効果的な戦術は他より優先度が低かったわけ」

漣「…………」

愛宕「蒸気艦の時代からあんまり進化する間や経験ってものが足りなかったのね」

江風「…………」

愛宕「だけど同時期に目覚ましい発展を遂げた潜水艦対策だとかで潜在的能力に気付いていた人もいたわ」

海風「…………」

叢雲「うん。……よし、やるじゃない。三人とも満点よ」

漣「……そりゃ叢雲ちゃんに弱み握られたこと考えるとね」

江風「…………つーか、教師風のスーツ着てきたり普段のノリ的に適当かと思ったら」

海風「……愛宕さんの講義ってガチのやつなんですね。
なんでWW1以前の戦術史なんてやってるんでしょうか」

叢雲「採点終わり。……代理ありがとう。これからは私が引き継ぎます」

愛宕「はーい。…………さて、あの人で……あの人と遊んできますかぁ、ふふっ」



160: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:36:00.77 ID:kEUdDkoKO

< 休肝日、とは違うが >





提督「……で、女教師スタイルなのか」

愛宕「そ。似合うでしょ? 」

提督「異様にな。……そんな短いの着てたら同僚教師に嫌われそうだけど」

愛宕「女の嫉妬なんて褒め言葉みたいなものよぉ。
ちゃんとした人はそんなことしないし」

提督「や、はしたなさとかね」

愛宕「着れるんだからいいのよ。圧倒的に似合ってれば」

提督「んん……」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………特別授業、しちゃ」

提督「いません」

161: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:41:28.66 ID:kEUdDkoKO

< ある意味で冷静に加わる >






高雄「八月二十六日の誕生石はイエロージャスパー。
石言葉は“ 冷静 ”、“ 自然体 ”、そして“ 落ち着き ”」

提督「俺からすると自然体って柔道用語なんだが」

海風「提督は柔道を? 」

提督「あぁ。帯もちゃんとあるぞ」

海風「なるほど」

高雄「軍人としては基本のスペックですが」

提督「ちょっとは褒めてよたかおーん。長門にも勝ったんだぞー」

海風「提督って実は凄い人なんですね」

提督「おう。海風はちゃんと褒めてくれていいな」

高雄「……」

雲龍「私に寝技をおしえてくれてもいいのよ? みっちりと」

高雄「……どこから湧いてきたんですかあなたは」

海風「じゅ、柔道のお話は……」

提督「トーク引っ掻き回し過ぎじゃないかね君ィ……切欠は俺かもしれないけどさ」


162: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:41:54.28 ID:kEUdDkoKO

< 魅力的な朝が日々の活力となって >





高雄「今日の誕生花は松虫草。
花言葉は“ 風情 ”、“ 魅力 ”、そして“ 朝の花嫁 ”」

提督「朝の? 」

高雄「朝の」

雲龍「処理するってこと? 朝勃」

提督「お前さ」

高雄「相変わらず全開ですね……」

提督「あれだろ。美味しくてかつ素朴な朝餉をつくってくれるってこと」

雲龍「おおう……いいわね」

提督「お前はどちらかというと花婿みたいなもんだしな」

雲龍「ええ」

高雄「……雲龍さん、否定の余地もないんですか」


163: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:42:41.10 ID:kEUdDkoKO

< 喧嘩を売ってるのかあんた >






明石「不肖明石、やっと仲間ができた気分です」

江風「はぁ。なンで? 」

明石「やたらと美味しい料理のできる皆さんに囲まれて日々悔しく思っていたのです」

江風「はーン……確かに江風もまともなものつくれないけどさ」

明石「瑞穂さんは明らかにできそう。海風さんもできるはず」

江風「…………」

明石「ふふふ……しかし、そこに現れたのはあなた、江風さんでした。
私の悔しさもこれで緩和されるというもの」

江風「…………」

明石「これで、これで……くぅー……改めてよろしくお願いね?
私とあなた、なんとかして皆さんを唸らせるお料理をつくれるようになりましょう! 」

江風「お、おう……」





海風「え? おにぎり? あれと同じにはなりたくない? せめて簡易なものは? え……? 」

164: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:43:26.67 ID:kEUdDkoKO

< あり過ぎる察し力 >





提督「今日のカクテルはウンダーベルクソーダ。
カクテルワードは“ 人間愛を感じさせるゴージャスな女性 ”、だ」

漣「ゴージャスな女性ってなんですかね……お金持ち? 」

提督「セレブ妻みたいな」

愛宕「ゴージャスボディ? 」

提督「ん……うん」

漣「あ、漣席を外しましょうか? 」

提督「必要ない。今日は早寝する」

愛宕「えぇ……」

提督「えぇ……じゃねぇよ。身体休ませろ」

漣「道理ですけど自分から酷使していってるのご主人様ですよね」

愛宕「ねぇ? 」

漣「ね? 」

提督「くっそ……………………腹立つのに反論できない。
つーか女教師スタイルなら休ませとけよ」


165: 名無しさん 2015/08/26(水) 22:44:06.02 ID:kEUdDkoKO

< 明らかに誤解 >





Littorio「はふ……お風呂はいいものですね」

瑞穂「この国以外では身体を清める為の場所という印象が強いようですけれど」

Littorio「ええ。でもLittorioもここにきて色々と経験しまして。
入浴の為の入浴もよいものだと」

瑞穂「なるほど……嬉しいものですね。
まるで瑞穂たちが認められたようで」

Littorio「……最初は浴場に違和感を覚えたりもしましたけれど。
まぁ、それもいい思い出です」

瑞穂「はぁ」

Littorio「…………」

瑞穂「…………」

Littorio「…………」

瑞穂「……これで露天などあれば。そして猪口と月でもあれば最高なのですが」

Littorio「はぁ。情緒というものでしょうか……………………瑞穂も天城もまさにこの国の女性を体現した方なのですね」


170: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:29:56.70 ID:1zAg9OQbO

< 割とそれなりにいつも通りの朝 >





愛宕「ん……ねむねむ」

提督「……おう」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……二度寝したいわ」

提督「……高雄がなぁ」

愛宕「高雄は堅いものねぇ。身体は柔らかいのに」

提督「あれで解すのに苦労もしたわけだが……ふぅ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………今日はお味噌汁にさつまいも入れるって言ってたわぁ」

提督「いいな」


171: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:31:03.32 ID:1zAg9OQbO

< 女の子の話ではない >





提督「いや、でもさ」

天城「はぁ」

提督「究極の酒なんて飲んでしまったらその先一生それ以外には不満足なんだぜ?
仮に飲んだとしてそれを認識なんてしない方がいい」

天城「しかしいつかはそうなってしまうものでしょう。
まさか死の間際に誰もが最高の結果を得られるわけではありませんし」

提督「いやいや。最高なんてのは気分や雰囲気次第で変わるもんだよ。そうあるべきだ」

天城「……」

提督「たとえコンビニの安酒でも自分には合わない洋酒でもさ。
俺は時々飲んでみたくなるよ。
それを飲むことによって自分の好きなものの素晴らしさも分かるし」

天城「分かるような分からないような」





高雄「……お酒の話ですか。私はてっきり」


172: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:31:35.37 ID:1zAg9OQbO

< 思い出したような勧誘 >





加賀「あなたたち、弓を引いてみる気はないかしら」

江風「弓? 」

加賀「ええ。体術の鍛錬と同じで戦闘での直接的な恩恵は少ないけれど、
集中力や忍耐などを高める効果があるわ」

叢雲「いいですね。私はやりたいわ」

江風「……パス」

海風「……同じく」

漣「加賀さんと叢雲ちゃんとか息詰まり過ぎでしょ……漣もパスで」

加賀「失礼な」

叢雲「私も初心者なんだから」

加賀「……雲龍あたり連れてきますか」

叢雲「ですね」


173: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:32:10.34 ID:1zAg9OQbO

< 224DDH >





提督「いずも型二番艦、かがだってよ」

加賀「そう……」

提督「あぁ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……妹? 」

加賀「さぁ……従姉妹か又従姉妹のようなものだと思うけれど」

提督「そうか。……まぁ、父親も母親も違うようなものだもんな」

加賀「…………」

提督「……旧国名続きだな」

加賀「…………それだと赤城さんとは並べないのだけれど。かがが私だとは思わないけれど」


174: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:32:54.56 ID:1zAg9OQbO

< 人は見かけに云々とかいうテンプレ >





高雄「八月二十七日の誕生石はアパタイトキャッツアイ。
石言葉は“ 好奇心 ”、“ 前向き ”、“ 挑戦的 ”、そして“ 行動的 ”」

漣「ご主人様あれでエリートなんですよね」

高雄「兵学校のハンモックナンバーも上位ですしね」

漣「……それで何故あんな性格なんでしょう」

高雄「というかあの性格で何故勉強ができるのか」

漣「…………」

高雄「…………」

漣「……カンニングとか? 」

高雄「まさか。私もあの人の能力は見てますから。滅多なことは」


175: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:33:38.19 ID:1zAg9OQbO

< そして確認へ >





叢雲「ん」

提督「うん? なんだこれ」

叢雲「海風たちにつくったテストよ。
漣があんたにやらせないのは不公平って言うから」

提督「そんなわけあるかよ……叢雲がつくったのか? 」

叢雲「ええ。難しくも簡単でもないけど絶対に外せないのしかないわ。当然……余裕よね? 」

漣「ご主人様ー、それ漣たちは三人とも満点でしたからね?
できないと漣たち未満ですよ! 未満! 」

提督「お前たちはしっかり講義受けて復習もしただろうが……一時間? 」

叢雲「ええ」

提督「お前はどれくらいで一周した? 」

漣「んー、30分くらいですかね。ざっとやってから穴を埋めていくタイプなので」

提督「そうか。……じゃあ俺は三十分でいいぞ」

叢雲「別に時間は普通でいいんだけど……ま、司令官のお手並み拝見、ということね」


176: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:34:18.23 ID:1zAg9OQbO

< 自信 >





愛宕「で、今解答してるわけ? 」

高雄「そのようで」

漣「ふっふっふ……」

愛宕「……自分を褒めるみたいだけど余裕だと思うわ」

高雄「同じく」

漣「いえいえ……ご主人様もブランクはあるわけでしょう? 」

愛宕「うーん……」

高雄「……現役軍人は日々の研鑽も積んでいるのですよ。あの人ですら」

漣「むむ……」





提督「叢雲ー。終わったぞ」

叢雲「もういいの? これで間違ってたらかなり間抜けよ? 」

提督「抜かせ。その程度の問題江田島に比べればなんてことねぇよ」

177: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:35:16.99 ID:1zAg9OQbO

< 結果 >





叢雲「……はい。採点終わり」

漣「…………」

提督「ふん。俺にかかればこんなもんよ」

叢雲「やるじゃない。この程度理解できないと私の司令官とは認められないくらいだけど……褒めてあげるわ」

提督「おう。もっと褒めていいぞ」

漣「…………」

江風「……まぁ、テストっていっても小テスト程度の分量だもンな。うン、うン……」

海風「二十分……二十分であれを解くんですか……はぁ」

提督「テストの時間ってのはな、半分は見直しと難問を解く時間なんだよ。
スラスラやって分からないのはどうせ考えたってできないんだから。
時間かけるだけ無駄だ。最後の足掻きは後回しにしとけ」

叢雲「調子に乗るのまで許した覚えはないわよ。……ま、漣たちも頑張んなさい。
これに得意気な顔をされ続けたくなければ」

漣「…………圧倒的敗北感なんですけど……なんなのこれ。ねぇ」

提督「まぁ、漣は長く実戦でシーレーン防衛に努めてたわけだしな。
理論なんてのはあくまで俺みたいな戦えないやつのものだと考えてもいいさ」

漣「この上情けまでかけられるとは……なんたる不覚……バタッ」

叢雲「…………」

提督「…………」

漣「…………」

叢雲「……倒れたフリをしてもこのあとの講義はなくならないけど? 」

漣「……ですよねー」


178: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:36:04.25 ID:1zAg9OQbO

< しっぽりと >





高雄「今日の誕生花は浜木綿。
花言葉は“ どこか遠くへ ”と“ あなたを信じます ”」

愛宕「宇宙とか深海だとか……あの人しかいない場所に行きたいと思ったことはあるわね」

高雄「……しかし周囲がいてこそのあの人なのだし」

愛宕「独り占めしたいときって周りは見えないものよ」

高雄「そう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………小旅行でいいのよ。箱庭じゃなくて、ちいさな旅館で、私と高雄と、あの人で」

高雄「……年末にでもねだりなさい。なんとかなるかもしれないわ」

愛宕「んー……あの人の立場悪くはしたくないんだけど……どうかしらね」


179: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:36:45.49 ID:1zAg9OQbO

< 本気のチューってどんな味? >





愛宕「氷結? 」

提督「そう、氷結」

愛宕「……レモン味? 」

提督「初キスなんて忘れたよ。……氷結の味? 」

愛宕「あんまり飲んだことないからわからないわ」

提督「初キスは? 」

愛宕「あなたの味」

提督「…………」

愛宕「…………ふふ、本気のキスと同じ味ね」

提督「……飲も飲も。氷結はないけど」

180: 名無しさん 2015/08/27(木) 22:38:36.29 ID:1zAg9OQbO

< 気分転換がいつしか目的へ >





提督「今日のカクテルはティアレ。
カクテルワードは“ 感性を磨いて美しく表す生ける伝説 ”、だ」

明石「感性を磨くってなんですかね」

提督「想像力みたいなものじゃないの。
芸術とかセンスみたいな」

明石「はぁ。私も最近発想が凝り固まってきたんでなんとかしたいんですけど。
どうにかなりませんかねその辺」

提督「単車でも乗ってこいよ。貸してやるぞ」

明石「私としてはそれもいいですけどあなたと行きたいです」

提督「……何もない日の深夜になるが」

明石「むしろ……その方がいいです」

提督「…………考えておくか。そのうちな」

明石「期待してますよ。そのうちが早めになることを」


186: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:29:40.10 ID:8GOMRrLzO

< 三重 >





提督「ゆるキャラ……萌えキャラ……んん」

愛宕「私はどっちでも、というかどうでもいいと思うけど」

提督「まぁ、不快に思う人もいるんだろ。俺は知らないけど」

愛宕「そもそも従来のキャラクターのデザインが、ねぇ? 」

提督「ノーコメント…………伊勢神宮なら行ったことあるな」

愛宕「ふーん……? 」

提督「だからなんだって話だが」

愛宕「愛宕神社は? 」

提督「そっちはない」

愛宕「むぅ……どうでもいいはずなのになんだか複雑」

提督「はぁ。……伊勢とも会ってないなぁ。呉だったか、今は」


187: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:30:54.93 ID:8GOMRrLzO

< 輝ける君の行動は完璧に……犯罪 >





高雄「八月二十八日の誕生石はピンクコーラル。
石言葉は“ 社会性 ”、“ 決断力 ”、“ 説得力 ”、“ 切れ者 ”、そして“ 慈しむ愛 ”」

提督「どうもね、僕は源氏が好きになれないわけですよ」

高雄「はぁ。光の君、ですか」

提督「女の子を自分好みに調きょ……教育したいのは理解できる」

高雄「できるんですか」

提督「もちろん。だけど俺としては思い通りにならない大人を自分好みにしていく方が断然いいと思うんだ」

高雄「……なんとも言えませんね」

提督「慈しみ? No! 慈しむのは落とした後に存分に! 」

高雄「…………まぁ、これでさらにロリコンだとどうしようもありませんし」

提督「や、源氏はむしろ年上好きだったような」

高雄「そういうお話ですか? 」

提督「違う? あれ? 」



188: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:31:57.56 ID:8GOMRrLzO

< 軍刀を杖にして >





江風「ふーン……あンまり変わらないンだな」

提督「そんなに前のことじゃないしな」

江風「あぁ」

漣「お? なにしてーんの」

海風「あぁ、提督たちがここに着任したときに三人で撮った写真を見ていたんです」

漣「ほう……ほう」

江風「……ン? 」

海風「? 」

漣「……前に漣と叢雲ちゃんと三人で撮ったことあるんですよ」

海風「は、はぁ」

漣「今も持ってるけど……いやぁ、成長してますね! 貫禄ってやつですかー? 」

提督「あぁ? うるせぇな。お前に育てられた覚えなんて殆どねぇよ、ばーか」


189: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:32:42.14 ID:8GOMRrLzO

< 実力とかそういうのは関係ないっぽいかも! >





加賀「秋津洲……? 」

瑞穂「という先輩がいると聞いたのですけれど」

加賀「……私も名前は聞いたことがあるわ。確か私がここに来てから横須賀に着任したはず」

瑞穂「千歳さんや千代田さんには戦時ではありましたがご挨拶を済ませましたので秋津洲さんにも、と」

加賀「そう……」

瑞穂「ええ」

加賀「…………」

瑞穂「…………」

加賀「……艦歴としてはあなたが先輩なのではなくて? 」

瑞穂「瑞穂は瑞穂ですので。加賀さんも加賀さんでしょう? 」

加賀「……そうね」

瑞穂「…………」

加賀「…………」

瑞穂「…………先輩……」


190: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:33:13.64 ID:8GOMRrLzO

< たまには真面目な話でも >





高雄「今日の誕生花は千日紅。
花言葉は“ 永遠の命 ”、“ 安全 ”、そして“ 心の愛 ”」

提督「百日紅とは違うのか? 」

高雄「千日紅は南米原産、百日紅は東アジア原産だそうです」

提督「へぇ」

高雄「どちらも長く花が咲いていることから付いた名ですが……。
千日紅は一年草、百日紅は落葉中高木で全く別のもの」

提督「あ、そんなに関係ないんだな」

高雄「ええ。花無十日紅などでこの国でもポピュラーな百日紅とはまた違いますよ、千日紅は」

提督「そうか。……お前はきっといつまでも咲いてるよ、綺麗なままね」

高雄「それはあなたの側だからです。花に大切なのは住み良い環境ですから」

提督「そう…………そうありたいものだな、いつまでも」


191: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:33:53.09 ID:8GOMRrLzO

< 互いに瞑目して何を思うのか >





提督「今日のカクテルはキューバリブレ。
カクテルワードは“ 愛情や暖かさに満ちた世界観の持ち主 ”、だ」

高雄「こちらには慣れましたか? 」

海風「はい。ちょっと驚いたこともありましたけど……提督も皆さんも優しい方ばかりで」

提督「ちょっと、ね」

高雄「ちょっとで済んだのが驚きだと思いますが」

海風「でも…………よく考えてみればヒトとしての海風に人らしい常識など不要なものでしょうし」

提督「……ん」

高雄「……」

海風「……? 」

提督「……俺は海風を特別扱いもしないけどさ、なにか区別するつもりもないよ」

海風「……しかし、違うものを無理矢理同じだと思い込むことこそ危険なことではないでしょうか」

提督「っ…………きついね、海風」

海風「あぁ、いえ、提督になにか楯突くわけでは」

提督「…………」

高雄「…………」

海風「…………」


192: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:34:23.54 ID:8GOMRrLzO

< 一方で >





加賀「バケツプリンというものを試してみました」

瑞穂「はぁ。しかし何故二つも? 」

加賀「色々な楽しみ方ができるでしょう? あなたたちもどう? 」

江風「ンっ、じゃあちょっとだけ」

加賀「そのスプーンとナイフでカットしなさい。取り皿はそれよ」

愛宕「やたら立派ねぇ……フルーツ缶でも持ってこよっと」

天城「……胸焼けしそうです」

雲龍「プリンもいいけど……杏仁豆腐がよかったわ」

Littorio「これがゲイシャ、フジヤマ、サムライに続くこの国の……! 」

明石「違います」


193: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:35:18.89 ID:8GOMRrLzO

< なにやら漂う >





提督「ん、んー……飲もうか」

高雄「また、酔いで誤魔化すような」

提督「別に? 誤魔化すようなことないし? 」

高雄「……左様で」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……なんでしょうこの甘い、というか甘ったるい匂い」

提督「さぁ……見に行こうか。くだらないことなんて忘れてさ」


194: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:36:16.67 ID:8GOMRrLzO

< 品、なんてものは気にしない >





提督「馬鹿だろお前」

加賀「何故? 」

提督「そんな大量につくって保ぞ……」

加賀「保存が、何かしら」

提督「……太るぞ。三段腹甲板に」

加賀「ふっ……なにを馬鹿な」

提督「いやぁ? わかんないぞ? 一航戦加賀も五航戦に負けるときがきたりしてな」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……今日は全身運ど」

提督「はーい。訓練プールの鍵はこちらでーす」

加賀「チッ」


195: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:37:38.26 ID:8GOMRrLzO

< と、言いつつ着たみたりなんかして >





提督「陸上……エロいな! 」

愛宕「ブルマでも履く? 」

提督「どんとこい、ハーイル、ブルマ! 」

高雄「ドイツ語を扱っている者としてその発音は」

提督「……ブルマ、ブルマだからいいんだよ」

高雄「何を言ってるんです」

愛宕「ごたあ? 」

提督「そう、ごたあ」

高雄「……この変態が。馬鹿め、と言って言って言いまくりたいですわ、変態」



196: 名無しさん 2015/08/28(金) 22:38:43.92 ID:8GOMRrLzO

< あるとき、こんな出来事 >





提督『ふぁ……お前って目三つもあったっけ? 』

叢雲『馬ッ鹿じゃないの。酔い過ぎよ、ほら』

提督『と、言って好物のいなり寿司出してくれる叢雲ちゃんやさしー』

叢雲『うっさいわね。早く食べないと捨ててくるわよ、あんたを』

提督『わーお……ん。美味いよ』

叢雲『……』

提督『……さんきゅ』

叢雲『……そう』

提督『…………』

叢雲『…………』

提督『…………そういえば』

叢雲『なによ』

提督『俺の嫁になる条件にいなり寿司が美味いってあるの言ったっけ? 』

叢雲『初めて聞いたわよ。しかもどれだけ上からなの』





愛宕「はい、どうぞー」

提督「ん? おっ、いいねぇ、実に俺好みの」

叢雲「…………もう嫁云々なんて意味ないじゃない、ばか」

提督「うん? なんか言ったか? 」

叢雲「……別に。早く食べなさいよ。酔って味がわからなくなる前に、ね」

202: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:29:51.21 ID:asoWUK5/O

< 健全な、というか >





提督「ん……」

愛宕「うん? 」

提督「や、柔道やってるじゃん」

愛宕「そうね」

提督「こうやって自分より歳下の選手が頑張ってると俺もまたやりたくなるなって」

愛宕「今から始める? 」

提督「まさか。身分偽ってお前が出た方がいいだろ。ハーフ扱いとかで」

愛宕「んー……でも私は柔道よりバレーの方がいいわ。
あんまり他の人に触られたくないもの」

提督「あぁ……」

愛宕「ええ」

提督「…………バレーの方がエロいしな、うん」

愛宕「……ああいうのもいいの? ふーん……」

203: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:30:46.53 ID:asoWUK5/O

< その羞恥がまた >





提督「まぁ、一番エロいのはテニスだな。定番だけど」

愛宕「私も着た覚えあるわ、あれ」

提督「あれはでもちゃんと三人でテニスしただろ? プレイの為だけじゃないし」

愛宕「ん、んー? 」

提督「そりゃあ一杯運動して汗みずくになったらヤるだろ。なんの問題もない」

高雄「本当にそうでしょうか……」

提督「あぁ。……次点でバレーとかラクロスかな、うん」

愛宕「着てる方も面白いし私はいいんだけど」

高雄「……あなた以外の方に見られるのは少し、恥ずかしいです」


204: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:31:23.26 ID:asoWUK5/O

< ハイレベル >





高雄「八月二十九日の誕生石はグリーンアメジスト。
石言葉は“ 欲望 ”、“ 愛情 ”、“ 夢追い人 ”、そして“ 現実主義者 ”」

天城「……何故姉様はあんなにも欲望に忠実になってしまったのでしょうか」

高雄「さぁ……割と思ったことは言うタイプでしたし」

天城「提督があまりとやかく言わないからなのかどうなのか」

高雄「面倒がりますからね。他人に何かをさせるの」

天城「……姉様が幸せならそれでいいのですけれど」

高雄「幸せなのじゃないですか。あの様子だと」





雲龍「……あなたが望むのなら私、なんだってできるわ」

提督「嬉しい言葉だけどさ…………お前の望みの方が業深くねぇかな」

205: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:32:20.04 ID:asoWUK5/O

< 永遠に永遠に、百日紅が枯れるまで >





高雄「今日の誕生花は百日紅。花言葉は“ 雄弁 ”と“ 愛嬌 ”」

Littorio「雄弁は銀、と聞きましたけれど」

高雄「沈黙は金、ですね。しかし銀というのは十分ハイレベルだと思いますよ」

Littorio「確かに」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「……高雄といると無言でも心地良くて好きです、とても」

高雄「ありがとう。私もよ、Littorio」


206: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:33:46.61 ID:asoWUK5/O

< ノらないつれない >





提督「おい、そこの鉄面皮」

加賀「……私? 」

提督「他に誰がいるよ」

加賀「見えてはいけないものがあなたにだけ見えているのかと」

提督「お前くらい美人な幽霊なら見えてもいいな」

加賀「……なに? 」

提督「あぁ。今日は何日だ? 」

加賀「八月の二十九日ね」

提督「つまり? 」

加賀「つまり? 」

提督「焼肉の日だ! よっしゃあ! 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「ふっ、さすがに気分が高揚します」

207: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:34:27.66 ID:asoWUK5/O

< 戦闘(焼肉)糧食 >





愛宕「あら……海風って」

海風「? 」

愛宕「男らしいというか……大きなのをつくるのね」

海風「いけなかったでしょうか……? 」

愛宕「んーん、加賀さんなんてその方がきっと喜ぶわ。そのちいさな手でよく握れるなって」

海風「愛宕さんは綺麗に均等に握るんですね」

愛宕「ええ。これは慣れみたいなものよ。お酒飲みながらつまみやすいように」

海風「はぁ」

愛宕「……さっさと握っちゃいましょうか。お肉、始まっちゃうわ」

海風「ですね」


208: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:35:14.65 ID:asoWUK5/O

< この肉は私が育てていたのです! >





提督「さっきスマホの広告でさ」

高雄「はい」

提督「諦めかけているダイエッターに! みたいなのがあったんだ」

高雄「ダイエッター? 」

提督「そ、ダイエットし続けるとか逆に肥満のプロじゃんって思ったよ」

高雄「なるほど」

提督「うん」

高雄「…………」

提督「……そろそろ焼けてくるな。戦争だ! 」

加賀「ふふ、負けないわ」

明石「……肉の前でダイエットの話したり生肉の山見てキラキラしたり……なんなんですかねこの人たち」


209: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:36:05.35 ID:asoWUK5/O

< お腹が普通レベルの人 >





提督「今日のカクテルはディサローノミルク。
カクテルワードは“ 真面目で頑固な気質の親分肌の持ち主 ”、だ」

江風「ンっ……食べ過ぎた」

提督「大丈夫か? 早めに風呂入って寝とけよ」

江風「りょーかい。……なンで加賀さんはあんなに入るんだろ」

提督「そりゃお前当基地の七不思議みたいなもんでね」

江風「真面目な人だと思ってたけど結構ボケるし」

提督「あれでなかなかイベントも好きだしな。……ウーロンと緑茶どっちにする? 」

江風「緑茶で。……風呂入るの面倒だなぁ。肉の臭い付いちゃってるから入るンだけどさぁ」


210: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:36:57.08 ID:asoWUK5/O

< 肝臓や頭やセンスが普通じゃない人たち >





天城「ん……少し、暑いですね」

提督「フローズンカクテルでも出そうか」

天城「お願いします」

加賀「……雲龍、コルク抜き取って」

提督「いやいやいや、俺に抜かせろよ」

雲龍「抜く……? 卑猥ね」

提督「あ? 基本的にワインは男が注ぐもんだろうが」

愛宕「それでは私にも注いでくださる? バーテンダー」

高雄「あぁ私にも」

雲龍「私に注いで……? 」

天城「姉様……」

瑞穂「酒豪がしゅーごー……フフッ、フ、フフ……」

Littorio「……瑞穂? 」


211: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:37:34.72 ID:asoWUK5/O

< 今では笑い話にも >





海風「皆さん楽しそうですね」

明石「楽しいんじゃないです? 私も楽しいですし」

海風「はぁ」

明石「海風ちゃんは楽しくない? 」

海風「たの、しいですけど……海風たちがこんなに楽しくていいんでしょうか」

明石「はっはーん……なるほどなるほど」

海風「? 」

明石「天城さん、先輩として出番ですよ。
中二病的葛藤の悩みを持つ者の」

天城「失礼な。天城は大真面目に悩んでいたのですよっ。もうっ……」


212: 名無しさん 2015/08/29(土) 21:38:49.51 ID:asoWUK5/O

< 普通の反応なのだが >





提督「いや……俺は自分の部屋の風呂でいいって」

明石「ダメですよぉー……今日は私とお風呂ですよ、お風呂」

加賀「私もいるけれど」

提督「つーか怠いんだよ……寝させろって」

明石「私と加賀さんと浴場で遊んでから寝ても遅くないですって」

加賀「私も……? 」

提督「食いまくった後の腹とか見せたくねぇよ。腹筋で抑えてるっていってもさぁ」

明石「まぁまぁ。はい、とうちゃーく。お風呂でーす」



瑞穂「……」

提督「あ……」

明石「? あ、瑞穂さんだー」

瑞穂「い、いやっ、見ないでっ、お願いですからっ、どうしているんですかぁっ! 」

提督「や、俺の所為じゃな、やめ、物投げんじゃねぇっ、つーかこれブラじゃねーかお前。ちょっとあったかいてぇっ」

瑞穂「変態変態変態変態変態! もうっ、もうっ……」

加賀「…………なんだか新鮮な反応をするわね、あなた」

221: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:35:37.61 ID:Rp+87AZDO

< 計り知れない温度差 >





明石「あー……あー……あぁ……」

雲龍「どうしたの? 」

明石「や……昨日の夜にですね……またお酒で失敗したんです」

雲龍「ふーん……私たちがまだ飲んでたとき? 」

明石「たぶん。あんなよくわからないテンションで浴場に連れていくとか……しかも手繋いでたし」

雲龍「? 」

明石「……瑞穂さんも巻き込んじゃったし……あぁ。提督のこと誤解してたら……んん」

雲龍「…………どこが失敗なの? 」

明石「……………………普段の雲龍さん並だった、というのは失敗の部類なんですよ、一般の感覚なら」

222: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:36:57.38 ID:Rp+87AZDO

< 理解もできない納得もできない >





明石「というか雲龍さん誰と飲んでたんですか?
加賀さんとは結局一緒にお風呂入りましたけど」

雲龍「高雄姉妹とLittorioね。もちろん天城も」

明石「はぁ」

雲龍「それにあの後加賀さんも戻ってきたけれど? 」

明石「え、えぇ……私がお風呂上がって部屋に戻ったのって00:00過ぎてたんですけど」

雲龍「そうね」

明石「タフ過ぎる……レベルが違いますね」

雲龍「また天城が寝てたから私が部屋に連れて行ったわ。きっと覚えてないけれど」

明石「なるほど」

雲龍「……私ばかり問題児扱いされるのは違うと思うの」

明石「いや、単に雲龍さん姉妹が問題児なだけだと思いますが。
天城さんの酔い潰れは雲龍さんの免罪符にはならないでしょ」


223: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:38:16.60 ID:Rp+87AZDO

< 弱々しい姿には勝てない。勝とうとも思わない >





提督「ふぃ……超さっぱりとした目覚め」

愛宕「…………頭痛い」

高雄「…………」

提督「お前らが二人ともって珍しいな。しかも俺がまともって」

愛宕「ガールズトークが長引いて」

提督「ガールズ? 」

愛宕「……BBAとでも言いたいのかしらぁ~? 井戸端会議? 」

提督「いや、別に。……睨むんじゃねぇよ」

高雄「……後から来た加賀さんが一番飲んでましたからね。
あれに合わせたのが間違いでした」

提督「そりゃそうだろ。精々天城レベルに抑えとけ」

高雄「ええ」

提督「愛宕もな」

愛宕「んん…………私梅粥がいいー」

提督「あ? 」

愛宕「……ダメ? 」

提督「…………断るわけないだろ。待ってな」

224: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:39:05.40 ID:Rp+87AZDO

< 何故か全員分 >





加賀「それで今朝は粥なのね」

提督「おう。お代わりもあるぞ」

天城「ふ……染みますね」

明石「そんな青白い顔でよく余裕な感じ出せますね」

天城「嗜みです、淑女の」

加賀「……少しだけ、生姜が多い気がするわ」

提督「えぇ……確かにちょっと余ってたから全部入れたけどさぁ。
なんでそんなの食べただけでわかるの……」

加賀「当然でしょう? 私、味には少し拘りがあるの」

提督「……少し、少しか」

海風「はぁ……おいし」

江風「ン、そうだな」

漣「ママの味ですぅ……これから鬼のお勉強が始まる娘への愛ぃ」






叢雲「ふーん……? 鬼で悪かったわね。…………ふん」


225: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:41:18.67 ID:Rp+87AZDO

< 愛とは愛を確かめてゆくことでしか >





高雄「八月三十日の誕生石はオーシャンジャスパー、
石言葉は“ 幸せ ”、“ 好奇心 ”、“ 神秘的 ”、そして“ 拘り ”」

江風「幸せなンです? 高雄さンは」

高雄「? 幸せ、ですよ」

江風「本当に? 無理してるだとかじゃなくて? 」

高雄「…………」

江風「…………」

高雄「……あなたは、誰かを好きになったことがありますか? 」

江風「いや、江風は生まれたばっかだからさ。
海風の姉貴くらいしかまともに感情を向けたこともないよ」

高雄「そう。……誰もが、とは言いませんが」

江風「ン」

高雄「愛とは、堕ちてゆくことに似ているのです。
そして、堕ちてゆくことはとても気持ちいい」

江風「ンー? 」

高雄「私は極端な話をすればあの人さえいれば他はどうでもいいの。
愛宕さえ、きっとあの人と天秤には掛けられない」

江風「…………」

高雄「あの人は私が向けた愛よりも大きなモノを必ず返してくれるの。
それはあなたや他の方から見れば共依存の醜態だとしても……私にとって代えるものがありません」

江風「…………」

高雄「…………これで、いいでしょうか」

江風「あ、あぁ、そっか、江風が訊いたンだった。…………江風も羨ましいよ、高雄さんのこと。
江風もそンな強さとか、愛ってやつがいつか欲しいな」

高雄「……お勧めはできません。私とてあの人と別の出会い方をしていれば……別の道もあったでしょうからね」


226: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:41:49.90 ID:Rp+87AZDO

< 白い奨励と黒い警告 >





高雄「今日の誕生花は秋の麒麟草。花言葉は“ 奨励 ”と“ 警告 ”」

Littorio「随分と本音を洩らしたものね、高雄」

高雄「……本音、かどうかはわかりませんよ。
嘘には自分自身を騙すものもあるでしょう? 」

Littorio「だとしても。Littorioは高雄のあの方への愛に疑いなど持ちたくありませんね」

高雄「……そう」

Littorio「あの方に抱かれたのはLittorioの自由だけれど……高雄がいるから遊びだと思えるのです」

高雄「奪うというのなら試してみても」

Littorio「戯れを。……高雄が本気だと思っていなければ奪いますけれど、ということです」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「……いっそあなたがあの人を虜にしてしまえば新しい道へ行けるかもしれませんね、私も、愛宕も」

Littorio「……そうなれば赦しませんよ。高雄も愛宕も、あの人も。
澱んだ世界にありながらただ朽ちてゆくことをよしとしないその姿が、堕落との線上にある姿が、
あなたたちのあなたたちたる所以なのですから」


227: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:42:42.34 ID:Rp+87AZDO

< 何か理由があるのなら知りたい >





提督「なんか車関係で色々あるみたいだけどさ」

瑞穂「はぁ」

提督「ドイツ語をやっててドイツで生活もしていた身からするとね」

瑞穂「はい」

提督「どうもフォルクスのVをファウで読むならワーゲンのWはヴァかせめてバって読むべきだと思うんだ」

瑞穂「? 」

提督「フォルクスってのは国民だとか民族って意味で、
ワーゲン、というかヴァーゲンは車って意味で単語を二つくっつけてるんだ」

瑞穂「つまり片方の単語を別々の読み方で読んでいるのが気に入らない、と? 」

提督「そう。もしかしたら理由があるのかもしれないけどさ」

瑞穂「んん…………提督はドイツ語に堪能なのですね」

提督「そうでもないけど」

瑞穂「いえ、尊敬致します。さすがです」

提督「そ、そう? いやぁ、まぁ俺もちょっとはそう思」

明石「何ノせられてるんですかもう……単純なんだから。
というか瑞穂さんも反応に困ったからって簡単に褒めたりしない」


228: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:43:32.61 ID:Rp+87AZDO

< なんだこのボーンは! >





愛宕「なぁに? 」

高雄「……鎖骨ですが」

愛宕「これはぁ? 」

高雄「……頤」

愛宕「こ・れ・は? 」

高雄「…………唇ですが。もう既に骨でもなんでもない」

愛宕「柔らかいものねぇ~ 。確かに骨じゃないわぁ~ 」

高雄「…………それで? 」

愛宕「んー? 」

高雄「何故私に絡むの? 無駄に暑苦しい」

愛宕「…………海風に取られちゃった」

高雄「はぁ……」

愛宕「…………悪いわね。酔ってもいないのに」

高雄「別に。不出来な妹を慰めるのも姉の役目ですから」

愛宕「ふーん……? 」

高雄「…………」

愛宕「……おねーえちゃん☆ 」

高雄「…………はぁ」

229: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:45:38.80 ID:Rp+87AZDO

<目標なんて気付いたら背にあるくらいで >





提督「今日のカクテルはジンジャージンジャー。
カクテルワードは“ 経験を積み重ね目標達成に近付く努力家 ”、だ」

海風「提督は」

提督「おう」

海風「今、なにか目標を持っていますか? それに向かって努力していますか? 」

提督「んー……とりあえず海風たちを一人も欠けさせないことは目標だが」

海風「はい」

提督「そんなものは理想論だからな。一応帝国軍人として最小限の損失で敵を倒すのが目標、かな」

海風「はぁ」

提督「ただ……見て分かる通り大した努力はしてないね。
俺、高雄と愛宕さえいればあとはどうでもいい部分あるし」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………ま、今は海風にカクテル楽しんでもらうことかな。目標」

海風「…………」

提督「可愛い女の子を楽しませるのは人生の目標だからね」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………ふ、ふふ、これは……高雄さんたちも気が気ではないでしょうね。誑し、ってやつでしょうか」

提督「や、海風みたいな魅力的な娘が相手ならこれくらい仕方ないよ。
浮気とかでなくて、美的感覚や親しみって意味で、さ」

230: 名無しさん 2015/08/30(日) 21:47:01.98 ID:Rp+87AZDO

< 甲斐性とは何か >





海風「…………」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………言いたいことがあるなら、聞くよ」

海風「……私事で提督のお時間をいただくわけには」

提督「構わない。夜は長いんだからさ。
世の中の大体のことは一晩で済まされるんだぜ? 」

海風「…………」

提督「…………」

海風「……長いからこそ、その刻を無為に過ごしているような気がするんです」

提督「うん? 」

海風「海風は、兵士でしょう」

提督「あぁ」

海風「兵器である、とは思いません。
海風には逃げる意志も、自死する自由も残されている」

提督「……」

海風「しかし海風は戦いたい。これは確かな意志として、あります」

提督「……それならここで鍛錬積んだ後は前線にでも行きなよ。誰も止めないぜ? 」

海風「…………戦う以上に、海風は江風やあなたと生きてみたい。そう思うのです」

提督「…………」

海風「戦いたいという意志よりも、幸せになりたいという意志が強い。
海風は……海風は存在意義を捨ててもいいのでしょうか」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………俺はそれに答えはあげられないな」

海風「……そう、ですか」

提督「一緒に遊んで一時的に有耶無耶にはできるけど」

海風「それは……」

提督「俺は海風の自由だと思うよ。
ただね、俺がなんと言っても海風には納得できないはずだ。
生き方の答えなんて自分を騙すやり方を見つけないと辿り着けないからさ」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………ふぅ、思ったよりも、物事を考えているのですね。見直しました」

提督「馬鹿にされちゃ困るね。これでも男の甲斐性は人一倍持ってるんだ」


235: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:05:35.08 ID:DZw0dbwKO

< ピンヒールのOLとかリアルで見たら感動すると思う >





提督「んあー、就活がしたいよたかえもーん」

高雄「私は青くもありませんし不思議なポケットも持ち合わせていませんが」

提督「タイトスカートでもパンツスーツでもいいからリクルート女子とお話したいよー」

高雄「何を馬鹿な。一回りは離れているでしょうが」

提督「恋愛にも火遊びにも年齢は関係ないじゃん? 」

高雄「……私や愛宕にも着せたくせに」

提督「それはまぁ……でもリクルートじゃなくてOLスタイルだしなぁ」

高雄「どう違うと」

提督「あとお前らはいい意味でも悪い意味でも慣れてるんだよ。
初々しさとかはない」

高雄「また注文の多い……」

提督「欲望に果てなんてないからなー……なんかこんなこと言ってたらエロいことしたくなってきた」

236: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:06:15.38 ID:DZw0dbwKO

< 純情ビッチ、程までいかなくても >





高雄「八月三十一日の誕生石はアルマンディンガーネット。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 純潔 ”、“ 穏和 ”、そして“ 心豊か ”」

雲龍「Littorioは失ったわけだけれど」

Littorio「また直接的な」

雲龍「でも人口が増えたからか純潔率は上がったわよね」

明石「さらに言うとその相手が全員同じという」

Littorio「よく考えなくても酷い状況ですね。
その全員が同じところで生活しているというのはいっそ笑えますけれど」

高雄「…………あなたたちには純潔と純粋が別物であることを理解してほしいですね」


237: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:08:12.40 ID:DZw0dbwKO

< 予習復習は大事ですね >





漣「…………」

提督「お、やってるな」

漣「……どうもー」

提督「叢雲の教育はさすがだな。江風と海風もしっかり成長できそうだ」

漣「そりゃよかったですね……ふぅ。そりゃご主人様は楽ですもんね。勉強しなくていいんだから」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……最近は干物な妹というものがですね」

提督「俺、干物妹より普通の干物の方が好きだけど」

漣「チッ…………ま、ご主人様の妹なんて心労で死にそうなんで嫌ですけど」


238: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:09:31.82 ID:DZw0dbwKO

< 堕ちてゆく誘惑 >





天城「ホテルオークラ東京、ですか」

提督「あ、俺行ったことあるぞ、友達の結婚式で」

天城「なるほど? 」

提督「あれはいい式だった。あいつも幸せそうだし」

天城「ふふ……提督とは逆ですね」

提督「あ? 高雄も愛宕も幸せにするつもりだが? 」

天城「あなたは共に堕ちる共犯者が欲しいだけでしょう」

提督「悪いかよ。幸せに純度とか濃度なんてものは無いの。
程度とか深度があるだけで」

天城「……そうですか」

提督「あぁ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………天城も幸せになりたいのですけれどね。普通に」

提督「…………」

239: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:10:26.86 ID:DZw0dbwKO

< そういう表情ができるなんて、ずるい >





高雄「今日の誕生花はハイビスカス。花言葉は“ 艶美 ”と“ 繊細美 ”」

提督「今日のカクテルはネグローニで、
カクテルワードは“ 人を楽しませる変わらぬ愛の持ち主 ”、なわけだが」

愛宕「美しきは愛ってこと? 」

提督「然り。美しさ、の部分はカッコよさとか優しさ、でもいいな」

愛宕「ふぅん」

提督「誰かの為に綺麗になりたいっていう気持ちは既に一つ綺麗になった証ってことさ。
ただ単独で存在する美しさはただそれだけだ」

愛宕「つまりあなたがカッコよく見えなくなったときはお互いに冷めてきたってことなのね」

提督「そう。愛ってね、必ず最初なんだ。
何かあるから冷めるんじゃない。冷めたから何か変わったと気付くのさ」






高雄「……………………突っ込みどころが無いというのもなにか……いえ、不満なんてありませんけれど」

240: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:11:21.60 ID:DZw0dbwKO

< 知らないものを知ろうとして >





提督「人は皆手を伸ばすんだ」

愛宕「頤に? 指を? 」

提督「唇って女の子の心の扉だと思う」

愛宕「ん……んぅ…………」

提督「……ん」

愛宕「…………男の人の唇って扉の鍵だと思うわ」

提督「……そうか」

愛宕「うん」

提督「……もう一回」

愛宕「……ん」

241: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:11:50.76 ID:DZw0dbwKO

< もちろんいる >





明石「提督に似合う眼鏡ってどんなのだと思います? 」

加賀「眼鏡? サングラスじゃなくて? 」

明石「や、サングラスは異様に似合ってたんでもういいんです。眼鏡ですよ、眼鏡」

加賀「でも視力は悪くないはずよ、彼」

明石「伊達眼鏡とかもありますし」

加賀「……鋭角の銀フレームだとか」

明石「いいですねー。私は黒眼鏡とかも案外可愛らしいような気がします」

加賀「そう」

明石「…………」

加賀「…………眼鏡トークが弾むヒトなんているのかしら」


242: 名無しさん 2015/08/31(月) 22:12:44.29 ID:DZw0dbwKO

< 辛口評価はオプションではなく通常です >





明石「こんな感じですか? 」

叢雲「そんな感じだけど……塩の入れるタイミング早くなかった? 」

明石「だいじょぶだいじょぶ。分量が同じならなんとかなるはず」

叢雲「はぁ? 料理は化学とか言ってたヒトのやることじゃないわよそれ」

明石「いやぁ……はは」

叢雲「…………」

明石「…………」

叢雲「……食べてみなさいよ。味見もだけど最後に味を確かめてみるのも大事よ」

明石「……食べてみない? 叢雲ちゃん」

叢雲「明石が食べて悪くなければいいわ」

明石「…………ん」

叢雲「…………」

明石「…………あれ、しょっぱい……」

叢雲「そう」

明石「…………食べてみてくれない? 」

叢雲「イヤ。それはしょっぱいかもしれないけど私の評価は甘くないんだから」

248: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:07:53.97 ID:hpbc2fypO

< そんなこと言って減らしたら、ねぇ? >





提督「ついに今年も九月、か」

愛宕「時間が経つのは早いわねぇ~ 。まだまだ夏の気分よ」

高雄「そうね」

提督「突然だが俺は今月の目標を立てた」

愛宕「? 」

提督「今月はヤるのを月の半分にする。疲れた、怠い、太陽が黄色そう」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……いっそ四分の一程度にしては」

提督「えっ」

愛宕「えっ」

高雄「……はぁ」


249: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:08:24.82 ID:hpbc2fypO

< ! >





高雄「九月一日の誕生石はタンザナイト。
石言葉は“ 優美 ”、“ 繊細 ”、“ 親切 ”、そして“ 人間愛 ”」

愛宕「まーた……」

高雄「人間愛、ですか。……ま、博愛という気持ちに似たものと思えば」

愛宕「博愛でも変わらないわよ。私たちにその辺の人間を守ろうっていう意志があると思うの? 」

高雄「……国家として、ならば」

愛宕「それはあくまで私たちの生まれ方に由来した感情でしょう?
私、っていう存在が不特定多数を慈しんでいる、なんてことはないわ」

高雄「…………」

愛宕「友の為に、愛の為に、ある意味でそれが“ 人間の愛 ”の限界かもしれないけれど、ね」

高雄「……人間愛を持った人間などいない、ということですか」

愛宕「そういうのって耳に心地良いでしょう?
理想だとか愛に人間だとか平等っね皮被せるの」

雲龍「皮? 被ってなかったわよね? 」

高雄「」

愛宕「」

雲龍「……あら……ん? 」


250: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:09:40.11 ID:hpbc2fypO

< 気付いた >





漣「思ったんだけど」

叢雲「なによ」

漣「叢雲ちゃんと漣の立場っていうかそういうのって同じくらいだよね? 」

叢雲「そうね。階級も、戦歴も、然程変わらないわ」

漣「それならたまには漣が講師役でもいいんじゃない?
勉強に参加することはもう諦めたからさ、ね? 」

叢雲「…………その程度のことに気付くのに何日か必要だったのに? できるの? 」

漣「」

叢雲「あいつが私に任せた理由はそういう部分でしょ。
私も司令官も漣が無能だとは思ってないわよ」

漣「そ、それなら今更復習しなくても」

叢雲「それはダメよ。現在の自分を常にブラッシュアップすることは必要なの」

漣「えぇ……だるーい」

叢雲「一応軍人でしょ…………ま、最終的に判断するのはあいつだから。頼んでみたら?
私も感情的に嫌ってわけじゃないし」

251: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:10:29.19 ID:hpbc2fypO

< 、ので頼んでみた >





提督「ん? いいぞ」

漣「えっ」

提督「ん? 講師役したいんだろ? 」

漣「ま、まぁ」

提督「叢雲も別の視点で復習してみたらいい」

叢雲「そうね。悪くないわ」

漣「そ、そう……あれ、本当に認められちゃったし」

提督「じゃ、明日な。俺も高雄あたりと少しくらい見に行くわ」

漣「え……え、明日? 」

叢雲「私の進めた続きを一日分引き継ぐだけじゃない。
レジュメなんていらないし明日は確認テストもお休みでいいわ」

江風「マジ? やったじゃン」

海風「でも復習はちゃんとしようね? 」

提督「ま、お前はちゃんと叩き込んでおけよ、内容」

漣「」

提督「…………」

叢雲「…………」

漣「…………は、嵌められたぁっ」

叢雲「人聞きの悪いことを」

252: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:11:09.27 ID:hpbc2fypO

< 唐突に始まる >





高雄「今日の誕生花は桔梗。
花言葉は“ 優しい愛 ”、“ 誠実 ”、“ 変わらぬ愛 ”、そして“ 従順 ”」

愛宕「優しい愛をくれる誠実だったあなたはいつしか」

雲龍「いつしか? 」

愛宕「永遠に変わらぬ変化の無い愛の渦へ堕ちたわ。
そして……私もそれに疑問を持たず従順に従うようになってしまいましたの」

雲龍「それで? 」

愛宕「終わりだけど? 別にこれ以上波乱とか必要ないでしょう」

雲龍「……まぁ、ハッピーエンドだものね」

愛宕「ええ。これも一つの解だから」

高雄「身につまされる、というかそのまま私たちというか……いえいえ」

愛宕「今のところはそんなことないけれどね」

明石「はぁ……………………ハッピー? え? 」


253: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:11:48.67 ID:hpbc2fypO

< そう、たとえばみずほフィナ……瑞穂ではない >





江風「エンブレムねぇ」

瑞穂「大変なことですよね。広告をつくった企業だとか関係者は」

明石「撤去前に写真撮ったりしたら記念ですよねー。マイナスですけど」

漣「エムブレム? 」

江風「ン、エンブレムだろ」

漣「エムブレム? 」

江風「……はぁ? 」

瑞穂「できることなら瑞穂もお力になりたいのですけれど……生憎とイラストなどは」

254: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:13:00.83 ID:hpbc2fypO

< 噴火の如き拳 >





提督「おおっ、霧島の怒りが鎮まってきたのか! 」

高雄「いや、桜島でしょう……」

提督「やっほーう、俺たちが飲んだお陰だぜ! 」

加賀「これはまた飲まねばなりませんね」

高雄「いやいや……」

提督「いいから。ほら」

高雄「ん……いただきます」

加賀「私にも」

提督「はいよ」

天城「天城にもいただけますか」

提督「ん」

明石「あ、私もー」

漣「漣もー」

愛宕「あたごんもー」

提督「お前ら……つーか、さらっとあたごんとか言うんじゃねぇよ」

255: 名無しさん 2015/09/01(火) 22:13:48.20 ID:hpbc2fypO

< 月初めの >





提督「今日のカクテルはイタリアンアイスティー。
カクテルワードは“ 物事に手応えを感じる本格的な人 ”、だ」

高雄「一体何に対して本格的なのか」

提督「そりゃ……えー、ミステリとか? 」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……ん……ぃゃ…………ぅん……誤魔化せると、思って」

提督「いや? 本格的に女体を研究しようかと」

高雄「女体、とか言……うなぁっ……」

提督「ん……」

高雄「! ……ん…………~~……ーーーー」

提督「……いい声、いい顔」

高雄「ーーーー……! 」


259: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:51:43.21 ID:ijWfnuYyO

< 一限が終わりました >





漣「」

提督「お前さ……もう少し手加減してやれよ。質問し過ぎ」

叢雲「あら、あの程度は答えた上で私に新しい問題を出すところだと思うけど? 」

漣「」

提督「いやいや……教官いじめにも程があるだろ」

叢雲「でもあんたなら答えられるでしょ? 」

漣「……」

提督「当然だろあの程度。馬鹿にしてんのか? 」

漣「」

海風「あっ」

江風「ンっ」

高雄「やれやれ…………ま、似たもの同士、と言えば多少はマシに聞こえますか」


260: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:52:34.45 ID:ijWfnuYyO

< その悲観だって妄想の類だからね >





高雄「九月二日の誕生石はグレイセミバロックパール。
石言葉は“ 妄想 ”、“ 流行に敏感 ”、そして“ 創造的破壊 ”」

漣「……漣の考えでは叢雲ちゃんは兎も角海風ちゃんたちに問題を解いてもらうつもりだったんですが」

高雄「その前に叢雲さんが質問してくる、と」

漣「あれ絶対昨日から考えてましたよね。
ご主人様と共謀した陰謀ですよあれはぁ」

高雄「しかし……なんとか答えていたでしょう?
あれならば然程問題は無いと思いますけれど」

漣「……ま、高雄さんもあっち側ですよね、そりゃ」

高雄「はぁ。……午後の講義、頑張ってね」

漣「はい。……………………漣もご主人様のサポート役だったんだけどなぁ、どうしてこんなに差が付いたんだろ」


261: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:53:33.90 ID:ijWfnuYyO

< ちゃんと教育係できるかも! >





高雄「今日の誕生花は鶏頭。花言葉は“ お洒落 ”、“ 感情的 ”、そして“ 警戒 ”」

瑞穂「あの」

提督「ん? 」

瑞穂「瑞穂も先日から叢雲さんの講義を受けさせていただいてますけれど」

提督「おう。わかんないところでもあったか? 訊くなら夜に寝室で頼む」

瑞穂「お戯れを。……演習はどのようにすればよいでしょうか。
もちろん連携訓練は可能でしょうが」

提督「あぁ、お前と同じタイプのやつがいない、ってこと? 」

瑞穂「はい。千歳さんや千代田さんなどがいれば」

提督「んー……あんまり考えてなかったな」

瑞穂「はぁ」

提督「……そのうちなんとかしたいが……今は無理だな。千歳も千代田も」

瑞穂「そう、ですか」

提督「悪いな」

瑞穂「いえ、気になさらずに……あっ」

提督「ん? 」

瑞穂「あの、秋津洲さんという方もダメなのでしょうか?
確か現在はどの作戦にも従事せず横須賀にいると」

提督「…………」

瑞穂「……? 」

提督「…………可哀想なこと言うんじゃねぇよ、な? 」

瑞穂「はぁ? 」

262: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:54:11.58 ID:ijWfnuYyO

< 筋肉で無理です >





雲龍「レジ袋水着……? 」

明石「世の中よくわかりませんね。世の中というか男性の趣味というか」

雲龍「そうね」

明石「……まさか雲龍さんはやったりしませんよね? 」

雲龍「残念だけれどできないと思うわ。物理的に」

明石「あぁ……胸が」

雲龍「明石は? 」

明石「できたって嫌ですよ……まぁ、たぶん私もできませんね。物理的に」

雲龍「そう……」

明石「ええ」

雲龍「…………江風とか」

明石「それは絵面的に無理でしょう。犯罪ちっく過ぎます」

雲龍「……」

明石「……」

雲龍「……提督なら」

明石「えっ」


263: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:55:28.77 ID:ijWfnuYyO

< 修理という発想もなかなか >





愛宕「ぱんぱかぱーん! なんとなくだけどパンを焼いてみましたー」

提督「ぱんぱかパンか」

瑞穂「ふっ、ふふふ……」

Littorio「瑞穂……Littorioは少し心配です」

明石「いつの間にかパン焼いてるとか……この基地の設備も愛宕さんもとんでもないですね」

愛宕「ジャムとバターはここに置いておくわね。
ちゃんとスプーンはそれぞれ使うこと」

提督「はいよ」

瑞穂「ぱんぱ、ぱんぱっか……ふ、ふっ……」

Littorio「…………あの、えっと、修理とか」

明石「無理に決まってんじゃないですかこんなの。
パンでも食べて収まるの待ってるしかないです、たぶん」


264: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:56:21.61 ID:ijWfnuYyO

< ウイスキーが、お好きでしょ♪ >





提督「今日のカクテルはクロンダイクハイボール。
カクテルワードは“ 気持ちにムラがなく信用を集める元気者 ”、だ」

愛宕「ウイスキー、というかハイボールっていいわよねぇ」

提督「そうだな」

愛宕「堅過ぎず、砕け過ぎず、ぶりっ子過ぎず、ね? 」

提督「いや、うーん? 居酒屋イメージも割と」

愛宕「そう? 」

提督「まぁ、グラスとか雰囲気で大分変わるけど……ぶりっ子ってなんだ? 」

愛宕「ファジーネーブルとか」

提督「お前それそれなりの人間に喧嘩売ってんだろ。
俺だって嫌いじゃないぞあれ」

愛宕「私も好きよ? 」

提督「ありがとう」

愛宕「あなたもでしょ? 」

提督「あぁ」





明石「…………いつ話がすり替わったんですあれ」

265: 名無しさん 2015/09/02(水) 22:56:54.60 ID:ijWfnuYyO

< この後気持ち良くなって気持ちよくなって悪化した >





提督「……踏んでください」

高雄「は? 」

提督「踏んで……グリグリして」

高雄「……ついにそこまで」

提督「…………長時間座ってて腰痛いんで踏んでください」

高雄「あ、そういう……」

提督「……踏んでください」

高雄「……ベッドまで行きましょうか。
踏みつけるより腰を乗せて指を使った方がいいでしょう」

提督「ん」

269: 名無しさん 2015/09/03(木) 22:23:00.09 ID:0lcx10JGO

< もらい笑いすらしない >





高雄「九月三日の誕生石はブラックダイヤモンド。
石言葉は“ 愉快 ”、“ 優雅 ”、“ 前向き ”、“ 社交的 ”、そして“ 子供心 ”」

Littorio「子供心で思い出したのですけれど……瑞穂のユーモアセンスが心配です」

瑞穂「はぁ」

明石「いや、子供心って……あんなの子供ですら笑わないでしょう」

瑞穂「でも……笑ってしまうものは笑ってしまうのです」

明石「んん……まぁ、誰の迷惑になってないですし」

Littorio「しかしですね……ユーモアは個人の大切な資質なので」

雲龍「つまらないシャレは止めなシャレ? 」

瑞穂「ふっ、ふふふふふ」

Littorio「……本当ですよ。でも雲龍はその唐突な飛び出し方を止めましょうね」

270: 名無しさん 2015/09/03(木) 22:24:03.34 ID:0lcx10JGO

< L4U >





高雄「今日の誕生花はサルビアブルー。
花言葉は“ 永遠にあなたのもの ”」

提督「俺もだよ」

高雄「私があなたのものだと宣言した覚えはありませんが」

提督「俺以外で満足できるわけないだろ? 」

高雄「……そんなことは」

提督「わかるさ。俺はお前を離すつもり、ないからな」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……あなたも、私のものですからね? 」

提督「当然。お前の為ならなんだって、ってやつさ」


271: 名無しさん 2015/09/03(木) 22:24:45.42 ID:0lcx10JGO

< なんとはなくタグとか目に入る >





提督「下着メーカーにカクテルみたいな名前のところあるよな」

愛宕「ん……? あぁ、ピーチの」

提督「そ、ピーチの」

愛宕「ピーチフィズとか? 」

提督「うん。そんなの」

愛宕「……」

提督「……いや、それだけだが」

愛宕「はぁ……ま、私そこのはあんまり買ってないけど」

提督「だよな」

愛宕「そうそ……なんでわかるの? 」


272: 名無しさん 2015/09/03(木) 22:26:46.84 ID:0lcx10JGO

< 引き続きまして >





提督「大きいサイズだと可愛いデザインのが無いって言うけど」

愛宕「ええ」

提督「海外のを通販すれば割とあるよな」

愛宕「そうね。一回頼んじゃえば後はそれを基準に選べるし」

提督「まぁ、その辺は多少難しい時代でもあるけど」

愛宕「んー……? 」

提督「ん? 」

愛宕「よく考えると私がまともに海外から通販してるのって下着と洋服だけね」

提督「ん? それで? 」

愛宕「着飾るために戦闘しているともいえるというか……ヤる為に殺っているような」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……も、問題ないだろ、な? 」

愛宕「そ、そうね」

273: 名無しさん 2015/09/03(木) 22:28:01.06 ID:0lcx10JGO

< 酔ってるって自分で言うとき >





提督「今日のカクテルはイェーガーシューター。
カクテルワードは“ 数多くの分野で活躍する才能の持ち主 ”、だ」

江風「よく考えるとテートクって多才だよな」

提督「そうか? 」

江風「ン、高雄さンにはあンま褒めるなって言われたけど……酒飲んでるからな」

提督「なるほど」

江風「…………」

提督「…………」

江風「……海風のこと、頼ンだぜ? 」

提督「……江風、お前のことは? 」

江風「ンっ、江風は……今のとこは海風の姉貴がいればいいから。
テートクみたいな面白いやつがいればなおよし」

提督「そうか。……お前、幸せだよ。海風のこと、大切にしてやれよ? 」

江風「当たり前。テートクこそ、傷付けンなよ? 」


274: 名無しさん 2015/09/03(木) 22:28:42.66 ID:0lcx10JGO

< グラスを手にすると思い出す >





龍田『ふふ……提督~? 』

提督『うん? 』

龍田『色々と噂がありますけれど~。天龍ちゃんに手を出したら、わかってますよね~? 』

提督『手が落ちる、ね。……じゃあ、お前ならいいのか? 』

龍田『わ、私? 』

提督『天龍には悪いが……俺はお前の方が好きだよ。龍田』

龍田『…………』

提督『ま、そんなことしたら高雄に殺されるかもしれないけどな、ははは』





龍田「…………天龍ちゃんがいなかったら、なーんて考えちゃうとはねぇ~ 。
あんなに大切なんだもの、捨てられないわよ、天龍ちゃんへの気持ち」


277: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:41:58.05 ID:fvRKMftdO

< 実際食くらいしか…… >





提督「先週から江田島の同期が北海道旅行に行ってるんだよ」

加賀「はぁ」

提督「だから色々とおすすめとかおしえといたわけ。
動物園とかラーメン以外のものの方が楽しいだろ? 」

加賀「動物園は行ったことがないのでわかりませんが……ラーメンはお願いします」

提督「高雄あたりに頼めっての。……で、何箇所か勧めたら今週の半分くらい雨っていう」

加賀「何の問題もないかと」

提督「特産食ってりゃ満足なら東京で金払えば食えんだよ。
旅行の楽しみは別の部分だと思うね」

加賀「はぁ。そうでしょうか。やはり私としては北海道の魅力は食のーー」

提督「お、おう……」





提督「食い下がるなぁ。お前らしいけど、さ」


278: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:42:30.89 ID:fvRKMftdO

< 地元ーク >





提督「札幌、観光、とくれば思い起こされるのは時計台なわけだが」

天城「あの残念観光スポットと名高い……? 」

提督「そうそれ。……まぁ、納得の評価だな」

天城「はぁ」

提督「でも俺は結構好きなんだよね。
内部では時計台の改築とか職人を解説した動画とか視れてさ。
万人受けはしないだろうけど悪くない」

天城「なるほど」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……露骨につまんなそうですね、お姉さん。
これで終わるんでその表情やめてください」


279: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:43:06.29 ID:fvRKMftdO

< 初めてまともに喋った、という >





高雄「九月四日の誕生石はタートイスシェル。
石言葉は“ 積極的 ”、“ 向上心 ”、“ 集中力 ”、そして“ 想像力 ”」

海風「あの、雲龍さん」

雲龍「なに? 」

海風「雲龍さんって積極的ですよね? なんか……コツとかありますか? 」

雲龍「……私、積極的? 」

海風「はい。特に……提督に対しては」

高雄「……積極的にも種類があると思いますけれど」

海風「その……海風も提督とお話したいのです」

高雄「…………」

雲龍「…………」

海風「…………」

高雄「…………そんなに、ですか? 」

海風「……はい。海風にとっては初めての男性ですので」

雲龍「あ、私もよ? 」

海風「そうなんですか? 」

高雄「……………………これ、誤解ですよね、きっと」

280: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:43:34.97 ID:fvRKMftdO

< 色褪せた世界で >





高雄「今日の誕生花はリューカデンドロン。
花言葉は“ 物言わぬ恋 ”」

愛宕「生き別れ? 」

高雄「……に、聞こえますね」

愛宕「あの人が死んだ後、か」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………太陽ですら直視できるわね、きっと」

愛宕「ん……あの人がそもそも太陽みたいな人だものね。
明るいものには慣れちゃってるし。
暗い世界では生きていけないわよね」


281: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:44:17.12 ID:fvRKMftdO

< りんごなほっぺ >





提督「今日のカクテルはジャックター。
カクテルワードは“ 心の仲間を求める白雪姫 ”、だ」

明石「白雪姫といえばリンゴですよ」

提督「ん、まぁ……」

明石「カルヴァドスお願いしまーす」

提督「へい」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……ほい、ロックでいいよな」

明石「もちです。提督も一緒に飲みましょ? 」

提督「ん……」

明石「ん……ん? 」

提督「……明石の口から飲ませてよ。グラス出すの面倒だ」

明石「や、や、や……さっきまで飲んでたでしょもー……」

提督「ん」

明石「……………………んー」


282: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:44:47.17 ID:fvRKMftdO

< 女としての矜恃とかはないのか >





加賀「ふぅ……雲龍、この串、美味しいわ」

雲龍「え? あ、ありがとうございます」

Littorio「か、加賀が食べ物を、分ける……? 」

加賀「なにか? 」

雲龍「……美味しいですっ」

加賀「そう……」

Littorio「……ありえない。まさかそんなこと……」

江風「いや、Littorioさンがおかしいだろ……なぁ? 」

高雄「……残念ながら加賀さんがおかしいですね」

愛宕「鬼の霍乱? 」

提督「同意。……思うところないのか? お前は。大食い女とか」

加賀「ないけれど? 私が私自身の誇りを忘れなければ一航戦加賀の魂は生き続けますから」


283: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:46:58.58 ID:fvRKMftdO

< 回るのは、酔い。進むのも、酔い >





明石「はぁ……海風ちゃん」

海風「はい? 」

明石「えっちぃカラダしてますねぇ」

海風「は、はい……? 」

明石「こう……発育がエロい! 」

海風「…………」

愛宕「困惑してるじゃない……相手を選ばないと」

明石「や、でも私も雲龍さんレベルはきついですし」

愛宕「それは……」

海風「…………エロ……エロい……? …………………提督は喜んでくれるでしょうか」

愛宕「……あなたも大概酔ってるわよねぇ……」



284: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:47:41.16 ID:fvRKMftdO

< ノーコメントというコメント >





雲龍「風俗の話だけれど」

瑞穂「」

提督「あー……生活習慣とか衣食の話だな? 」

雲龍「セックスの話なんだけれど? ハメてヤっての風俗」

瑞穂「……」

提督「いや、お前さ……は? 」

雲龍「どんな風俗があるの? 愉しかったジャンルは? 」

提督「いやいやいや……愉しんだこと前提なのか」

雲龍「行ったことないの? 」

提督「…………あー」

雲龍「…………」

瑞穂「…………不潔、です」

提督「……おーいー……雲龍ちゃーん……誤解されまくりじゃねぇーか」

雲龍「? 」


285: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:51:19.15 ID:fvRKMftdO

< 絡み酒にも許せる範囲が >





天城「たこわさです」

高雄「ありがとうございます」

愛宕「どーもー」

天城「いえいえ……」

高雄「…………」

愛宕「…………」

天城「…………」

高雄「……かっら」

愛宕「…………というかこれわさびじゃなくて……たこから? 辛子じゃない? 」

天城「あ、あれ? 江風さんからいただいたのですが……」





江風「ン……お茶漬けが染みるぅ……」

提督「いやいやいや……お前それお茶漬けじゃなくてパフェだぜ? ありえねぇ酔い方すんじゃねぇよ」

江風「ふーン? 江風に口答えすンのかぁ? 」

漣「んがっ、ちがっ、漣の口に苺おしこまない、ぐへっ、せめてご主人様に、うぼぉ」



286: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:51:57.10 ID:fvRKMftdO

< そういう関係 >





提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………杏酒、ロックだ」

叢雲「……ありがと」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「……乾杯」

叢雲「ん、乾杯」


287: 名無しさん 2015/09/04(金) 23:52:38.54 ID:fvRKMftdO

< 素面じゃ言えないから >





提督「…………海風も江風も、瑞穂も。大丈夫か? 」

叢雲「……あんたよりはまともよ? 覚えも悪くない」

提督「まるで俺の覚えが悪かったような物言いだな」

叢雲「当然。あんたが一番馬鹿で……一番ばかだったわ」

提督「あ? 」

叢雲「……手のかかる。いいやつってことよ」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………お前はずっといやつで……いい女だ」

叢雲「は? 」

提督「……可愛らしい。愛したいってことさ」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………乾杯。愛すべきばかに」

提督「あぁ……愛すべき、淑女に、乾杯」


292: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:11:40.57 ID:X477vh7nO

< 割と茶飯事 >





雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………姉様、天城、シャワーを浴びたいのですけれど」

雲龍「……? 」

天城「……湯船に姉様がいらっしゃると落ち着かないのです」

雲龍「あぁ」

天城「はい」

雲龍「……つまり一緒に浴びたいというこ」

天城「姉様」

雲龍「? 」

天城「寝惚けるのも大概にしてくださいね? 本当に……。
そもそも姉様は何故天城の襦袢を着ているのですか。水浸しじゃないですかっ」


293: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:12:20.74 ID:X477vh7nO

< 耳許から心に響く >





雲龍「…………Zzz」

提督「……よく寝てますね、お姉さん」

天城「そうですね」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……ちょっといいか? 」

天城「は、はぁ。何を……? 」

提督「まぁまぁ…………雲龍」

雲龍「…………Zzz」

天城「…………」

提督「…………遊ばないか、お前の部屋で」

雲龍「……………………行くわ」

天城「…………」

提督「……本当に起きるかよ」

雲龍「……? 」

提督「…………じゃ。後はよろしく」

雲龍「それじゃ」

天城「はぁ。……………………は? 」


294: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:13:01.05 ID:X477vh7nO

< 三人寄れば姦しいとは言うけれど >





高雄「まぁ、執務をやっていただけるのであれば構いませんが」

愛宕「そうねぇ……私も同じかな」

天城「はぁ」

高雄「……しかし雲龍さんも大概朝に弱いですね。
実は夜間も夢遊病発症させていたりしませんか」

天城「さすがにそれは」

愛宕「眠そうな顔だものね。……エロそうな顔? 」

高雄「言いたいことはわかるけれど……」

愛宕「ね? ……天城もほら、コーヒーでも飲んで」

天城「ありがとうございます」

高雄「…………平和ですね」

愛宕「ね」

天城「……はい」


295: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:13:47.77 ID:X477vh7nO

< 抉じ開けた唇は優しく閉める >





提督「……どう? 眠気、覚めた? 」

雲龍「…………もっと眠くなったわ」

提督「そうか」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……ここで寝てるか? 俺は執務があるから昼食べに行くけど」

雲龍「……寝てるわ。お昼もいらない」

提督「伝えとくよ」

雲龍「……ん。鍵、かけてって」

提督「うん? 外鍵持ってけってことか? 天城に渡せばいいのか? 」

雲龍「んん……こっち」

提督「ん……そっちの鍵は散々開けたからな……かからないかも」

雲龍「そういうときは、何度も、試せばいいのよ」

提督「…………ん、行ってきます」

雲龍「……いってらっしゃい」


296: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:14:55.19 ID:X477vh7nO

< おそよう >





提督「おはようございます? 」

高雄「こんにちは。いえ……おかえりなさい、ですか」

愛宕「朝帰りどころか朝出って」

提督「ん、そうだな」

高雄「そうだな、じゃないですよ……」

愛宕「これから執務できるの? 」

提督「しなきゃならない。それが嫌でもね」

高雄「それは当然です。ただそのクオリティやスピードが」

愛宕「ん? なに、欲求不満なの? 今夜は素敵なパーティしちゃう? 」

高雄「…………」

愛宕「これからの二試合目はやめてよね~ 、ふふ」


297: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:16:43.01 ID:X477vh7nO

< 一日中欲望が湧き上がる日とか >





高雄「九月五日の誕生石はゴールデンパール。
石言葉は“ 優雅 ”、“ 活発 ”、“ 陽気 ”、そして“ 楽しい気分 ”」

雲龍「……おはよう」

高雄「おはようございます。もうお昼過ぎですけれど」

雲龍「ええ。……ふぁ」

高雄「……楽しかったですか。朝から遊んで二度寝するのは」

雲龍「とても」

高雄「そうですか」

雲龍「…………」

高雄「…………」

雲龍「…………あの人は? 」

高雄「今頃愛宕と資料整理ですね。私はお休みですけれど」

雲龍「そう……」

高雄「…………ま、整理を始めて既に二時間ですからね。今頃何をしているやらわかりませんが」


298: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:17:14.02 ID:X477vh7nO

< 散った花弁は戻らないからこその >





高雄「今日の誕生花はコスモスピンク。
花言葉は“ 愛情 ”と“ 少女の純潔 ”」

雲龍「海風や江風のを散らせたりはしないのかしら」

高雄「……あるとすれば叢雲さんと関係した後じゃないですか。
彼女を差し置く、というのは考えにくいような」

雲龍「確かにそうね」

高雄「ええ」

雲龍「…………膜を再生させたら感度も元通りになっちゃうと思う? 」

高雄「知りませんよそんなこと……それにそれってただの耳年増じゃないですか……」


299: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:17:57.75 ID:X477vh7nO

< ヒトは皆主人公だから >





提督「今日のカクテルはカルーアリッキー。
カクテルワードは“ 人生で持ち味溢れるドラマのヒロイン ”、だ」

瑞穂「明石さんは毎週ドラマを観ているようですね」

提督「あぁ、大河な。……久坂ってもう死んだんだろうか」

瑞穂「先日は小倉城が落ちておりましたが」

提督「あ、余裕で死んでるな」

瑞穂「ですね」

提督「つーか、あいつもよく観るなぁ。尊敬の域だよ」

瑞穂「そう言われると観てみたくなるような」

提督「観なくていいよ。なんなら瑞穂は自分の人生の方が楽しめるはずだ」

瑞穂「はぁ」

提督「お前にはヒロインになれる資格があるからな。愛も戦争も仲間も、さ」


300: 名無しさん 2015/09/05(土) 21:20:41.62 ID:X477vh7nO

< 見た >





提督「はぁ……腰いてぇ」

叢雲「相変わらず盛っているのね」

提督「だって楽しいこと好きだもん」

叢雲「……ふん」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………資料室、なんで来たんだ? 」

叢雲「……漣たちの教材に使おうと思ったのよ。今日は結局持ち越しになったけど」

提督「…………悪いな」

叢雲「別に。そんなことよりあんたの盛ってる姿見た方が不愉快よ」


305: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:15:14.73 ID:bUmlHjt9O

< とある朝餉の席で >





提督「はぁ……朝のブラックがぁ俺を生かしてくれる~ 」

雲龍「ミルクはいらないの? 普通の方のことだけど」

提督「そりゃミルクはミルクだよ普通。……ブラックじゃないとダメなのよ」

雲龍「ふーん……」

提督「おう」

雲龍「…………ネット巡回してたんだけれど」

提督「あぁ」

雲龍「密林ってローション安いのね。初めて知ったわ」

提督「お、おう……そっすね」

瑞穂「……………………朝はコーヒー、というのも悪くないものですね」

江風「……だな。砂糖とミルクは必須だけど」

瑞穂「瑞穂はミルクだけですけど……そうですね」

提督「ほーらー……俺もドン引きされてるよちくしょう」

雲龍「いいじゃない、減るものじゃないし」

提督「信用減りまくりだよ……」


306: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:16:03.03 ID:bUmlHjt9O

< 行いとか性格とか >





江風「なーンであれでモテるンかな……」

瑞穂「……顔? 」

江風「確かにカッコいいけど……提督よりカッコいい人はいるじゃン? 」

瑞穂「まぁ、顔だけなら」

江風「筋肉とか優しさがそこまでいいかねー」

瑞穂「筋肉は……強さの象徴でしょう、安心だとか。
あとは単純に逞しさだとか。瑞穂も並には惹かれますよ」

江風「ンー……」

瑞穂「そもそも3高ですか? それを全て備えているのでは、一般論ですが」

江風「190位あるし、高級軍人だし……兵学校の席次良くて海大の甲種出てるンだっけ? 」

瑞穂「そのように聞いております」

江風「…………あれ、なンでモテてるか疑問だったンだっけ? 」

瑞穂「さぁ……」

307: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:16:43.40 ID:bUmlHjt9O

< 黙れば黙ったでトークが終わらない >





高雄「九月六日の誕生石はサーペンティン。
石言葉は“ 上品 ”、“ 高貴 ”、“ 女性的 ”、そして“ しなやか ”」

雲龍「私、口でする時は相手が腰振ってくるものだと思ってたわ」

高雄「…………今の石言葉から何故その発言が出てくるのです」

雲龍「女性的とか? 」

高雄「いやいや……大多数の女性に喧嘩売るつもりですか」

雲龍「でも思ってなかった? まさか頭撫でられたりするなんて思ってなかったわよ」

高雄「…………」

雲龍「……? 」

高雄「…………しなやかに、かわしたいものですね、このような会話」

308: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:17:10.41 ID:bUmlHjt9O

< 近頃面倒かもしれなくもない >





高雄「今日の誕生花はナスタチューム。花言葉は“ 愛国心 ”」

愛宕「愛国心より愛よね」

加賀「食事への愛ね」

天城「お酒です」

提督「女の子」

高雄「…………皆さん話逸らすの下手過ぎではないですか」

明石「ま、皆さん本心でしょうけどね」

309: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:18:00.29 ID:bUmlHjt9O

< 夜の三冠王とは聞くが>





提督「トリプルスリー、ね」

雲龍「高収入、高身長、高学歴? 」

提督「それは3高だろ」

雲龍「きつい、汚い、危険? 」

提督「3Dじゃねぇよ」

雲龍「……カッコいい、筋肉質、巨こ」

提督「おい」

雲龍「……でも大きくないと、っていうし」

提督「……俺が言うのもなんだけど満足させてあげられるサイズだと思うぞ」

雲龍「だってあなたは全部満たしてるもの。むしろ大き過ぎるかもしれないし……褒めてるのよ」

提督「お、おう……ありがとう」

雲龍「それに…………野球なんてわからないわ」

提督「なら無理に絡んでこなきゃいいだろ……」


310: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:18:27.93 ID:bUmlHjt9O

< 深く同意 >





提督「まぁ、その路線なら女の子の3Kは綺麗、巨乳、キスうま、だな」

雲龍「キス? 」

提督「上手いのと下手なのでは雲泥の差だぞ」

雲龍「ふーん……? 」

提督「キス上手くないとなんとなくスムーズにいかなかったりするしな」

雲龍「……なるほど」

提督「そういう子に時間かけて仕込むのもそれはそれでアリだけど」

雲龍「…………なるほど」

311: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:19:24.85 ID:bUmlHjt9O

< ふと気付けば >





雲龍「あそこであの人が寝ているわ」

天城「はぁ、珍しいですね」

雲龍「陽射しが丁度入ってて気持ちいいのね」

天城「あれでなかなかハードな生活ですし。お疲れなのでしょう」

雲龍「それでハードな性活もこなすって……凄いわ」

天城「求めているのは姉様でしょう……」

雲龍「ん……」

天城「…………」

雲龍「……一緒に寝てくる」

天城「起こさないようにしてあげてくださいね」





提督「……………………雲龍? 」

雲龍「…………Zzz」

312: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:20:32.13 ID:bUmlHjt9O

< 地域の皆さんとの交流 >





提督「そういや来週ここで遅めの花火やるから」

天城「はい? 」

提督「愛宕が見たいとかなんとか言ってたからな」

天城「はぁ」

提督「ま、運営とか屋台は陸軍に殆どお任せだけど」

天城「そんな職権濫用と天邪鬼を合わせたような……」

提督「俺はそういうやつだろ。……お前らでなんかやりたいなら一店舗くらいはできるぞ」

天城「天城はお祭り、というものに行ったことがないのですが……例えばどのような」

提督「射的とか金魚掬いは難しいだろうが……基本は焼きそばとか串とかその辺だな。食い物だ」

雲龍「あとはバナナとか? 」

提督「そうだな。……深い意味はないよな? 」

雲龍「ないわよ。私だっていつもいつもピンク色じゃないわ」

提督「お、おう……」

天城「…………そこで信じられない程のことをしているのが姉様なのですけれどね」

313: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:21:23.22 ID:bUmlHjt9O

< 進行やホワイトボードも。企画会議 >





江風「はいはーい。江風はたこ焼きやりたいでーす」

高雄「一つ目、たこ焼き、と」

海風「はい」

愛宕「どうぞー」

海風「折角海があるのですし……海のものを焼いたりなどは」

高雄「二つ目、海鮮焼き、と」

瑞穂「瑞穂はやはり綿あめやバナナなどお子様に喜んでもらいたいですね」

愛宕「綿あめとチョコバナナは別々でいい? 二つ同時にってのは難しいわ」

瑞穂「もちろんです」

高雄「三つ目、綿あめ、四つ目はチョコバナナ」

江風「あっ、それで思いついたけどバナナチョコは」

明石「チョコバナナでは? 」

雲龍「え? 」

天城「え? 」

海風「……バナナチョコかと」

愛宕「んー……どっちにするの? 」

加賀「食べられればどうということもないでしょう、呼び方なんて」

叢雲「まったくよ」

漣「まーた、きのこたけのこみたいな話を」





Littorio「楽しそうですね、皆さん」

提督「楽しいことはいいことよ。Littorioも何かやりたいことないのか? イタリア的なものでもいいんだぞ? 」

314: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:23:06.02 ID:bUmlHjt9O

< どう答えたものか >





提督「今日のカクテルはイェーガートニック。
カクテルワードは“ 都会的なセンスを持った叙情家 ”、だ」

明石「提督って田舎生まれでしたっけ? 都会の方でしたっけ」

提督「まぁ……都会かな。札幌のど真ん中だし」

明石「へぇ」

提督「つーかさ、都心と都会と田舎とど田舎は別だと思うんだよね。
帝都は既に普通の都会に収まらねねぇよ」

明石「なるほど? 」

提督「俺、帝都で札幌を田舎だと言い張る道民と都会だと言い張る帝都民見たことあるもん。
ぜってーあれは認識の差だね」

明石「それは……コンプレックスとかなんですかねぇ」

315: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:23:57.08 ID:bUmlHjt9O

< 言いたいことはぐっと飲み込んで >





提督「ガキの頃は初夜にウェディングドレスでヤれると思ってたんだよ」

雲龍「え、できないの? 」

愛宕「できないことはないだろうけど。レンタルじゃなければ」

提督「あれ着るの結構重労働だしさ。汚すのも嫌だろ? 」

雲龍「汚すのがいいんじゃないの? 」

提督「だからだよ。その後も大事にしておくんだから欲望には晒せない」

愛宕「十二単は昔から初夜も想定されてるらしいけど」

提督「マジ? 」

雲龍「……神前にする? 」

提督「んー……ん、悩ましいね。やっぱドレスの高雄見たいし」

雲龍「ええ」

愛宕「そもそもヴァージンロードもヴァージンで歩かないし。
私は自分が綺麗に着飾れてあなたの隣を歩ければそれでいいわよ」

高雄「…………そうね」


316: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:24:53.34 ID:bUmlHjt9O

< 黒の日@実話>





提督「高雄、今日の下着何色? 」

高雄「……黒ですが」

提督「へぇ……」

高雄「ん…………お風呂、まだ」

提督「……一緒にいこっか」

高雄「……はい」

提督「…………そ、首に手回して」

高雄「…………もう、つかまりました」

提督「ん」


317: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:25:54.90 ID:bUmlHjt9O

< これも本当の話 >





明石「……さらっと話しかけてさらっと答えていきましたね」

雲龍「うらやま……なんなのあれ」

明石「……一応私たちから見えない感じでしたけど」

雲龍「見えるの気付いててあれですものね」

明石「はぁ」

雲龍「…………あ、そうだ。今日って妹の日らしいわよ? 」

明石「だからなんだっていうんですか……兄妹プレイをするとでも? 」

318: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:26:24.73 ID:bUmlHjt9O

< 大体その辺が好き >





明石「吸血鬼、といえば」

漣「死なずの君? 」

雲龍「? 」

天城「ぼくが散ってしまってもきみは泣きもしないんだろ、とか」

雲龍「? 」

瑞穂「あぁ、それ提督の本棚にあったやつですね、瑞穂も読みました」

雲龍「……」

漣「他に……サッカーと蜘蛛が好きな」

雲龍「? 」

明石「ま、私は真祖の姫君とか好きなんですけどね」

雲龍「? 」

319: 名無しさん 2015/09/06(日) 21:28:04.36 ID:bUmlHjt9O

< こんな私はきっとふしあはせ >





海風「ふぁ……ねむい」

明石「ん? 彼氏と夜更か、夜遊びでもしたの? 」

海風「そんなわけ。いないの知ってるじゃないですか」

明石「まぁね。……本当なんで提督しかまともに関わりないんでしょう」

海風「作戦中の護衛艦の上でも事務的、というか必要最低限ですしね」

明石「私たちを嫌悪する人、恐れる人、逆にベタベタしたがる人、そんなんばっかですもんねー……」

海風「……はぁ」

明石「……なーんで提督しか、ねぇ」

海風「……でも明石さんも提督と、その」

明石「だから、ですよ。私だって一番になりたいんですよ?
あれだけ優しくてなんでもしてくれて……そんな人きっとあの人にしかもう出会えません」

海風「…………」

明石「…………」

海風「……何故あの人しかいないのでしょうね」

明石「まったくです」


325: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:10:51.48 ID:hi5b/jqPO

< 久し振りに吸ったりすると美味しく感じたり >





提督「…………フ-……」

高雄「……少し、肌寒いですね」

提督「一応暦では秋だからな。……着いてこなくてもよかったのに」

高雄「……あなたが、暖めてください」

提督「ん……」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ん…………フ-……。煙草を味わいやすい時期にはなったんだけどな。さみぃ」

高雄「……私も、一口だけ」

提督「……スイーツとかじゃねぇんだけど……ん」

高雄「ん……ぁ…………ゅる……っふ」

提督「…………」

高雄「…………殆どあなたの味でした」

提督「だろうね。……っふぅ…………戻るか。シャワー浴びないと」


326: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:11:36.18 ID:hi5b/jqPO

< 背でゆらゆら揺れる金糸を纏めて >





提督「……おはよう」

愛宕「おはよ」

提督「…………コーヒーくれ」

愛宕「はーい」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………どうぞ」

提督「さんくす。……新しいバレッタか? 」

愛宕「そ、羽のデザインなのよぉ~ 。なかなか可愛いでしょ? 」

提督「似合ってるよ」

愛宕「当然。似合わないものなんて滅多にないもの、私」

提督「そうだな……あぁ。心からそう思うよ」


327: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:12:17.49 ID:hi5b/jqPO

< そう言ってくれるのは知っているけれど >





高雄「九月七日の誕生石はヘソナイトガーネット。
石言葉は“ 元気 ”、“ 洗練 ”、“ 可愛い ”、そして“ ユーモア ”」

江風「ここにいるヒトは皆綺麗なヒトだけどさ」

海風「うん」

江風「可愛い、っていうと姉貴が一番だと思うんだ。
なんつーか……オンリーワンな属性? 」

海風「海風なんて……江風の方がずっと可愛いですよ? 」

江風「ンンっ……まぁ、江風もそこそこはイケてると思うけど」





提督「うん? なんだよそれ。お前は最高に可愛いよ。確かに綺麗さの方が先にくるかもしれないけど……なんかあったのか? 」


328: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:12:58.36 ID:hi5b/jqPO

< せめて甲斐性と言ってもらいたいね >





「でも……あなたは皆に好かれるから」

「そんなことないよ。横須賀でも俺を嫌ってる子はいただろ? 」

「…………」

「……俺はね、可愛い、自分で楽しめる相手じゃないと好きにならないよ。なれない」

「…………」

「酒と女の子に妥協はしないんだ」

「…………ふふ、クズめ、と言って差し上げますわ」

「仕方ない。お前がクズにしたんだぜ」

「……悪い、人」

「…………」

「……でも…………大好き。私を壊して、私を私にしてしまって」

「光栄だよ。お前にそんな風に思われて」

「…………」

「…………」

「…………愛って、きっと半分も伝わってませんよね」

「それでいいさ。だからこそ……繋がりたいと思うのさ」


329: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:13:35.77 ID:hi5b/jqPO

< その後のこと >





高雄「今日の誕生花はオレンジ。
花言葉は“ 微笑み ”、“ 愛情 ”、そして“ 花嫁の喜び ”」

愛宕「一緒に生きて一緒に死ぬこと? 」

提督「お前そりゃ妻の話だろ」

愛宕「うん? 」

提督「花嫁と妻ってたぶん別だよ。
花婿もそうだけど、新婚気分が抜けてからがやっと妻としてのスタートなんだ」

愛宕「なるほど……なるほど」

高雄「身体を許してからと暫く経ってからの違いのような」

提督「そうそ……いや、そう?違った? え? 」

高雄「……どう? 」

愛宕「高雄は? 」

提督「…………」

高雄「どうでしょうね……ふふ」

愛宕「わぁ……」

提督「え? え、なんなのなのその意味深顔……」

330: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:14:12.79 ID:hi5b/jqPO

< フリーダム >





加賀「なかなか上手いものね」

提督「加賀もできるだろ。鯖捌くくらい」

瑞穂「鯖を捌く……? ふふ」

提督「えぇ……」

加賀「…………できないとは言わないけれど。
あなたの方が上手いと思うわ」

提督「本当かよ」

加賀「ええ。瑞穂、あなたはどう? 」

瑞穂「ふ、ふふ……あぁ、瑞穂もできはしますけれど……提督の方がお魚を傷付けずに捌けると思います」

提督「そうか。……何食べたい? 」

加賀「龍田揚げか塩焼きが」

瑞穂「瑞穂もそれでお願い致します」

提督「そうか。待ってな」

加賀「さすがに気分が高揚します」

瑞穂「しかし……ふふふ……鯖を捌く、砂漠で、ふふ」

331: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:15:55.45 ID:hi5b/jqPO

< 浴衣グラ、おめでとう >





浜風「……変じゃ、ないでしょうか」

春雨「可愛いよ? ね? 」

時雨「あぁ、浜風はスタイルがいいからね。
浴衣は凹凸があるとメリハリが効くから」

浜風「しかし……一応サラシで潰しているのですが」

春雨「……それでそのレベルなんだ」

時雨「……僕は……くっ」

浜風「あればあったで不便もあるのですよ? 」

時雨「それは富もるものの言葉だよ」

春雨「姉妹で水着を着たときなんて……嫌になっちゃう」

浜風「はぁ……? 」



332: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:17:12.07 ID:hi5b/jqPO

< 堕ちてゆく自らを認めるのは難しい。そう、愛よりも >





提督「今日のカクテルはイタリアンスティンガー。
カクテルワードは“ 人を正しき方向へ導く新しいヒーロー ”、だ」

天城「反対は何と言うのでしょうね」

提督「そりゃ……悪しき方向へ道を誤らせるヒール? 」

天城「自分を顧みれば分かりやすいのでは? 」

提督「さすがにヒールではないつもりなんだけど」

天城「……正しき方向ではないでしょうけれどね」

提督「……俺の考えとは違うけどお前らが人らしく生きることを望まないならさ」

天城「望まないのなら? 」

提督「俺と快楽の内に堕ちるってのも一つの正解だろ。
天城も……酒と快楽の世界、好きだろう? 」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………元より天城はあなたのことは嫌いではありませんからね」

提督「左様で」

333: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:17:45.81 ID:hi5b/jqPO

< あなたこそ、そうですよ >





江風「昨日瑞穂と二人で色々と考えたンだけど」

愛宕「ええ」

江風「テートクってなンで存在できてるンだ?
女としてあれ以上ってなかなか望めなくない? 」

愛宕「さぁ……私に訊かれても」

江風「女関係でだらしなくても許されるって割と異常だと思うンだ」

愛宕「レベルだけは無駄に高いものねぇ」

江風「こう……ファンタジー的な存在のような」

愛宕「うーん……」

江風「…………」

愛宕「…………まぁ、一緒にいると夢見心地だったりするし。
確かにファンタジーみたいなものよね、あの人」


334: 名無しさん 2015/09/07(月) 22:21:23.07 ID:hi5b/jqPO

< 休肝……休精日? >





提督「ふぅ……今日は寝るぞ。寝るったら寝る」

愛宕「えぇ……つまんなーい」

提督「……Bくらいまでならいいけど」

愛宕「むぅ……」

提督「出すとね、疲れるんだよ? 男は」

愛宕「そこをなんとかぁ」

提督「甘え声でもだーめ」

愛宕「……気持ちよくしてあげるわよ? 」

提督「……高雄とヤってろよ」

高雄「私も今日はゆっくり寝たいのですけれど」

愛宕「……」

提督「……なんなら一人でも」

愛宕「いいわよ。別に……もしかしたら明日の朝足が濡れてるかもしれないけど」

提督「勘弁してくれよそれは」

343: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:35:23.80 ID:uxMPjxSjO

< 廊下でのとある一幕 >





明石「海風ーー……で、ーーーー…………所為……」

提督「まぁ、……海風…………仕方なーーーー……」

明石「…………提督も、ーーーー……嫌じゃ」

提督「んー…………く、ないけど。……ーー…………嫌、かなぁ」





海風「」

提督「お? 」

明石「廊下の真ん中で突っ立ってどうしたの? 」

海風「…………」

提督「…………」

明石「…………」

海風「…………短い間でしたが、お世話に、なりました」

提督「……Why? 」

明石「……? 」


344: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:36:22.67 ID:uxMPjxSjO

< 騎士、現る >





提督「あー……そういう? 」

明石「ふふ……海風ちゃんのこと、どうですか? 」

提督「どうって言われてもね……なんて言ってほしい? 」

海風「……海風は、ここにいても? 」

提督「当たり前だろ。俺、海風のこと、好きだよ。
可愛いし、優しいからね。陳腐な表現だけどこれがなかなか難しい」

海風「…………」

明石「でもこういことあるんですねー。なんというか名前が珍しいからでしょうか」

提督「そうだな。……海風で車と単車が錆びやすいって話をしてたんだよ。
好きな者同士それは嫌だなって話」

明石「提督は海風ちゃんみたいな子好きですからねー。
変な心配はしなくてもいいんですよ? 」

提督「顔色悪かったぜ? 大丈夫か? 」

海風「ぁ……………………はぅ」

提督「まぁ、海風の可愛いところを見れたと思えば……あっ、おい」

明石「走って行っちゃいましたねぇ……」

提督「行っちゃいましたねぇ、じゃねぇよ」





江風「おい、海風の姉貴泣かせたのはテートクかぁ? 」

提督「ほら面倒なのが来たじゃねぇか」

明石「ははは……」

江風「面倒ぉ? おい、姉貴が部屋から出てこなくなったじゃン。どうしてくれンだよ! 」



345: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:37:20.54 ID:uxMPjxSjO

< 嫌われたくない、ということ >





江風「はははははっ、なーンだ、そういうことかぁ」

海風「…………」

提督「悪いな、勘違いさせて」

海風「い、いえ……海風が恥ずかしい間違いを」

江風「いやー……まさか海風の姉貴がそんな乙女だとはね」

雲龍「乙女でしょ。あなたも」

江風「は? 」

海風「……海風も江風も男性経験は」

江風「はーン……テートク、相手してくれるかい? 」

提督「しないよ。江風がどうしてもというなら吝かではないけど……あぁ」

江風「そうかい。……でも姉貴は」

海風「やめて。海風が提督を煩わせるわけには」

提督「…………」

雲龍「…………」

江風「…………」

海風「…………忘れて、ください。ごめんなさい」

346: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:38:51.92 ID:uxMPjxSjO

< 重い >





高雄「九月八日の誕生石はパール。
石言葉は“ 堅実 ”、“ 持続 ”、“ 冷静沈着 ”、そして“ バランス ”」

天城「バランスを取っている、という意味では凄いのでしょうか」

高雄「バランスというか八方美人というか……」

天城「……これで回っているのならばそれも正解だとは思いますけれど」

高雄「あの人はそんなこと考えていないでしょう。
女性に強く出られたり逆に弱々しいところを見せられると放っておけない人ですから」

天城「高雄さんという方がいるのに」

高雄「…………そもそも私からして愛宕と三人でいることがベストだと思ってしまっていますから。
それはそれであの人とお似合いなのかもしれません」

天城「…………」

高雄「……ま、天城さんに理解してもらおうとは思いません、ら
私はあの人がいなければ生きていけない、そこまできていますから」

347: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:39:50.73 ID:uxMPjxSjO

< 欲しい、ヤりたい、愛したい、そして >





高雄「今日の誕生花は黄菊。花言葉は“ 長寿 ”と“ 幸福 ”」

加賀「今のところ」

高雄「はい」

加賀「私たちは長く生きてしまうわけだけど。意志に関わらず」

高雄「……ええ」

加賀「あの人がいなくなってしまって、果たして生きていけるのか」

高雄「さて…………私は生きるつもりはないのですけれど」

加賀「そう……強いのね」

高雄「いえ、弱いのです。あの人の優しさがなければ生きていることさえできない」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「……愛って、誰かを、自らを幸せにしたい、なりたいと思うということなのね」

高雄「ええ。私は、その中でも欲張りな方だと思いますけれど、ね」

348: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:40:37.18 ID:uxMPjxSjO

< オイルの臭いとかよくない? >





漣「ん? なにやってるんですか? 」

明石「えっと……新品のマッキーの匂いを嗅いでる? 」

漣「えっ……」

明石「どうしたの? 」

漣「ドン引きしてるんですよ……えぇ」

明石「え? マッキーとかのシンナー臭ってよくない? 」

漣「よくないですよ……気持ち悪い」

明石「えぇ……」

漣「いやいやいや……さすがにこれが少数派なわけないでしょ、ねぇ? 」


349: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:41:33.08 ID:uxMPjxSjO

< 秋らしく >





提督「秋刀魚はいいなぁ」

加賀「はい」

提督「まぁ、お前は何食っても言いそうだが」

加賀「私にも好みはあるのだけれど」

提督「鯖の味噌煮」

加賀「美味しいわね。お味噌のまろやかさが鯖にマッチして」

提督「鰹のたたき」

加賀「素晴らしい。炙った部分と生の部分の差が酒を止まらせないわ」

提督「ガリ」

加賀「絶対に必要よ。美味しい、というわけでもないけれど、でも絶対に必要な味」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………嫌いなもの、あるのか? 」

加賀「……………………健啖なのはいいことじゃない」

350: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:42:30.55 ID:uxMPjxSjO

< あぁ、彼女も美しい金糸を纏っていた >





提督「今日のカクテルはカルーアミルクマティーニ。
カクテルワードは“ 社会のルールを大切にする礼儀正しい人 ”、だ」

雲龍「ルールに反しているとは言わないかもしれないけれど……煙草女子ってどうなの? 」

提督「この国ではあまり歓迎されないもんなんじゃないの。体感だけど」

雲龍「でもあなたは嫌いじゃないのね? 」

提督「あぁ。あれはあれで悪くないものだよ。
キスって相手のことを知るためのものだからさ、煙草も一つのパーソナリティだし」

雲龍「ふぅん……」

提督「例えばだけど……バスコダガマのウィスキーって銘柄だったかな。
本人は付き合いで仕方なく吸ってたみたいだけど……カッコよかった」

雲龍「……昔の女の話、と」

提督「……キスも情熱的で……エロかったし」

雲龍「へぇ……私も吸おうかしら」

提督「やめとけ。止めはしないけど服や髪に臭い付くぞ」





Littorio「バスコダガマ、ですか。へぇ……」

高雄「? 」

Littorio「バスコダガマ、という銘柄はドイツのシガーなのです。心当たり、ありますか? 」


351: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:43:14.08 ID:uxMPjxSjO

< 割とリーズナブル。ダイマ >





提督「この前俺の友達の話したじゃん。江田島同期の」

加賀「北海道旅行をしに行った方のお話かしら」

提督「あぁ。そいつは家族で行ったみたいなんだけどさ。
北海道ワインの本社工場行ってきたんだと」

加賀「と、いうことは」

提督「まぁ……酒とつまみ送ってきたな」

加賀「早く」

提督「一応工場でしか販売してない非市販品らしいぞ。2055本限定みたいな」

加賀「早く」

提督「…………涎出てんぞ」

加賀「はっ……出てないじゃない」

提督「嘘だし」

加賀「…………」

提督「いた、痛っ、いてぇよつねるんじゃねぇ。注いでやるからそれやめろ」

352: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:45:45.58 ID:uxMPjxSjO

< 二世帯住宅にメリットはあるのか >





愛宕「私たちも三人でどこか行ったらお土産とか送るのかしら」

高雄「さぁ……そもそもどこかに行ければ、ですが」

愛宕「そこは夢見ておかないと」

高雄「はぁ。……送るんじゃないかしら。
お土産選びも楽しいものだと思うわ」

愛宕「なるほどねぇ」

高雄「……お母義様にも送らないと」

愛宕「なんなら同居? 」

高雄「私と愛宕と……時々加賀さんや明石さんが来て……いけると思う? 」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……おとなしく別居、ね」

高雄「ええ」


353: 名無しさん 2015/09/08(火) 22:46:46.07 ID:uxMPjxSjO

< もちろん。溺れさせた責任、とってよね >





提督「女の子ってどうしていい匂いするんだろ」

雲龍「……いい、匂い? 」

提督「好きな子の匂いが悪いわけないだろ? 」

雲龍「…………」

提督「自分に自信持てよ。なにもお前が迫ったから仕方なく抱いたわけじゃないんだ」

雲龍「…………」

提督「…………雲龍、お前のこと、嫌いだと思うのか? 」

雲龍「……高雄程貞淑でもないし、愛宕程朗らかでもないわ」

提督「お前は貪欲で、俺が欲しいって伝わってくる。
それはお前にしかないものだ」

雲龍「……………………優しくしてくれるのね」

提督「本音だけどな。……誤魔化してほしい? 」

359: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:24:19.60 ID:i2cqgAXdO

< 秋 >





明石「加賀さんは……考えるまでもなく食欲」

漣「芸術だと天城さんとかですかね。琴できるって聞きました」

明石「スポーツは……スポーツ? 」

漣「スポーツ……」

明石「…………」

漣「…………」

明石「……夜戦ってことにしておきますか」

漣「いや、それはどの季節もじゃないですかー」

明石「しかも何人かいますしね……」

叢雲「……………………普通に戦闘とか演習とかいくらでもあると思うんだけど。馬鹿なの? 」



360: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:25:22.98 ID:i2cqgAXdO

< TPP。農業ではない >





明石「やっぱり私のスポーツの秋はスニークだと思うんです」

叢雲「なに言ってんのこの人」

漣「や、そんなこいつ馬鹿だろみたいな目で見られても」

明石「へっへー、GZもコンプした私に敵はないのですよー」

漣「漣はオープンワールドってあんまり好きじゃないんですよねー」

明石「そうなの? 」

漣「自由って押し付けられるものじゃないですし。
ゲームってむしろ楽しさを押し付けてほしいかなーって」

明石「なるほど」

叢雲「漣たちは普段が自由過ぎるものね」

明石「確かに」

漣「うん」

叢雲「…………そこは否定しておきなさいよ」


361: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:26:41.46 ID:i2cqgAXdO


< それでもきっと同じ空を見上げているから >





高雄「九月九日の誕生石はアンモライト。
石言葉は“ 敬愛 ”、“ 素直 ”、“ 独立 ”、“ 宇宙的 ”、そして“ 用意周到 ”」

叢雲「……素直、ね」

高雄「…………」

叢雲「素直であろうとすればする程孤独になっていく。
人間って、ヒトってそういうものよね」

高雄「……だからこそ、素のままの自分を晒せる相手を皆欲するのです」

叢雲「……ばかみたい。私も、あなたも、あいつも」

高雄「……今の私が馬鹿なら。私は馬鹿が好きです」

叢雲「……………………ん……素直になっていたら、なにか変わっていたのかしらね」


362: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:27:28.94 ID:i2cqgAXdO

< まて、それはおかしい >





高雄「今日の誕生花は白菊。花言葉は“ 真実 ”」

提督「実は俺高雄のことが好きだったんだ」

高雄「まぁ」

提督「ふふ……どうだ、驚いたろう」

高雄「それはもう。……私もあなたのことをお慕いしていますので」

提督「へぇ……」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………永遠に、真実であるといいですね」

提督「するんだよ。これは俺やお前がなんとかできる真実だからな」





雲龍「……何あの茶番」

天城「流れるようにキスを……あぁ、こちらに気付きましたね」

雲龍「ふん……どうせなら私も混ぜなさい」

363: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:28:06.38 ID:i2cqgAXdO

< 海賊道は甘くない >





提督「今日のカクテルはルジェストロベリーカイピリーニャ。
カクテルワードは“ 努力で自分をより高めようとする海賊王 ”、だ」

漣「海賊王って。ご主人様モロに海軍でしょ」

提督「なんとも言えないね。カクテルワードに文句言うわけには」

漣「はぁ。……ま、確かにやってることは海賊みたいなものですけど」

提督「いやいやいや……ここの基地から出撃した面子が資源確保に動いたことはないが」

漣「それはそれでダメなような……」

提督「いいんだよ。努力なんてしなくていいならしない方がね」

漣「はぁ」

叢雲「これ甘い……口直しになにか頂戴」

提督「へい」



364: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:28:50.45 ID:i2cqgAXdO

< フォークで食べたりすればなんとか >





瑞穂「ワイングラス片手にチータラとは」

加賀「ワインにはチーズが合うのだから然程おかしなことでも」

瑞穂「それが普通のチーズならその通りなのですけれど」

加賀「ふっ……私なら、チータラ片手でも絵になるでしょう? 」

提督「なるわけねぇだろ馬鹿。ほら……風呂入んぞ、風呂」


365: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:29:47.91 ID:i2cqgAXdO

< 夕餉は栗ご飯だった >





提督「今日は重陽の節句です」

天城「はぁ」

提督「なのでー、浴場一杯に浮かべる菊を用意しました」

叢雲「馬鹿でしょ。入った後誰が片付けるのよこれ」

提督「それは……それはなんとかなるだろ」

叢雲「はぁ……」

提督「これは皆さんの長寿と幸福を祈念する機会ですので奮ってご参加くださいね」





高雄「何をどう奮うのかしら」

愛宕「それは……水着? 」

高雄「……あの人しか得しないわね」

愛宕「それは、うん。そういうものでしょ」

海風「え? でも参加するのは確定してるんですか? え? 」

江風「姉貴。いい加減、慣れようぜ、な? 」

366: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:30:32.04 ID:i2cqgAXdO

< そんな気分 >





高雄「処理が面倒なので菊のお風呂は明日のお昼ということになりました」

提督「えぇ……」

高雄「仕方ないでしょう。せめて計画くらいは立てておいていただかないと」

提督「適当に網で掬えばいいじゃん」

高雄「そんな簡単なことでは」

提督「俺もう水着パーティ気分なんですけどー? 」

高雄「…………」

提督「ねーえー? 」

高雄「…………愛宕を呼んできます。部屋にいてください」

提督「ん? 」

高雄「……私も、楽しいことは好きですから」

提督「……うん? 」

367: 名無しさん 2015/09/09(水) 22:36:52.74 ID:i2cqgAXdO

< 愉快な戦艦ティータイム >






金剛「ンー……なんだか忘れられている気がするネー」

霧島「はぁ」

山城「むしろ姉さまのことを永遠に忘れてほしい男がいるわ」

扶桑「ちょっと山城……」

金剛「提督……Telephoneでもしようかナー」

霧島「……そういえば誕生日以外でしたことってありませんね」

金剛「だって提督の迷惑じゃないかなって思」

山城「かけなさい。むしろあの男の迷惑ならなんでもいいわ」

金剛「hahaha……山城は相変わらず扶桑が好きネー」

山城「それが私の誇りよ」

霧島「…………うちの姉妹にも似たようなのがいますけどさすがにこれは」

扶桑「いい子なのよ? あの人が関わらなければ」





371: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:32:53.15 ID:lGQfU0bvO

< コーデの切り替えはお早めに >





加賀「大分涼しくなってきたかしら」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………そういえば最近は一人寝ばかりね」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………新しいニットでも出しておきますか。ついでに下着も」

372: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:33:49.30 ID:lGQfU0bvO

< 賢者の衣装も悪くないと思うんだよね >





提督「……腰痛い」

愛宕「ふあ……ねむねむ」

高雄「…………久方振りに三人一緒の寝坊ね」

提督「……ん」

愛宕「……ここまできたらお昼まで寝てても」

高雄「それはダメよ。執務があるし」

提督「あるし? 」

高雄「菊風呂、するんでしょう? 」

提督「あー……」

愛宕「……やるの? 」

提督「なんかどうでもよくなってきた。
俺はなんで昨日あんなにやりたがってたんだろ」

愛宕「それはもちろんヤりたかったからでしょ」

高雄「なんなのそのドヤ顔……」


373: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:34:25.83 ID:lGQfU0bvO

< おおあめとくべつけいほー >





明石「はえー……鬼怒さんおにおこですねぇ。マジパナイ」

叢雲「むしろ鬼怒より利根じゃないの?
利根水系の方が荒ぶってるじゃない」

明石「新潟だと阿賀野さんもヤバいですね」

叢雲「そんなこと言ってたら瑞穂なんて毎年何某か怒ってることになっちゃうけど」

明石「……大丈夫ですかねあの辺」

叢雲「……さぁ。陸軍がなんとかするでしょ」

明石「…………私もなにかできるといいんですけどね」

374: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:34:59.84 ID:lGQfU0bvO

< TKG is God >





提督「うーん……久し振りに食べるがこの味、なかなかに侮り難いね」

愛宕「ま、実際は単に時間が無いからなんだけどねぇ~ 」

提督「いいじゃん。シンプルでも美味いのは素晴らしい」

愛宕「そうだけど」

加賀「鰹節に揚げ玉にしらす。このようなものでも味にアレンジを加えることができるのよ」

提督「あぁ」

瑞穂「……加賀さんもう三杯目なのですけれど」

加賀「なにか? 」

瑞穂「……いえ」

天城「この味覇というものは……なかなか素晴らしいものですね」

雲龍「確かに美味しいけれど…………どうして寝坊したか考えると……もう」

375: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:37:14.34 ID:lGQfU0bvO

< 突発性症候群 >





鈴谷「んあー! 」

龍田「どうしたの? 」

鈴谷「……鈴谷も彼氏ほしーい! 甘やかして愛してくれるイケメンがぁーっ」

龍田「……そんなの都合よくはいないわよ」

鈴谷「こんなとき提督がいればっ」

龍田「仮にいても一番じゃないけれど? 」

鈴谷「いいもーん。ていうか龍田こそいいの? 」

龍田「ダメな理由は? 」

鈴谷「…………」

龍田「…………」

鈴谷「……いや、鈴谷が言うのもおかしいけどなにもかもダメでしょ、ふつーに考えて」

龍田「そう? 」


376: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:38:03.06 ID:lGQfU0bvO

< さおりん……さん >





江風「霊長類最強の女、ねぇ」

Littorio「これだけ長い間勝ち続けるのも凄いですね」

江風「江風にも挑戦させてくンねぇかなぁ」

Littorio「勝てると、思いますか? 」

江風「勝てないと、思うのか? 」

Littorio「…………」

江風「…………」

Littorio「……ま、普通にやれば勝てるはずなのですけれどね」

江風「うン……やめとくよ、なンとなくだけど」


377: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:39:12.18 ID:lGQfU0bvO

< なにかを創造するような発想で >





高雄「九月十日の誕生石はアンドラダイトガーネット。
石言葉は“ 創造 ”、“ 妄想 ”、“ 努力 ”、“ 向上心 ”、そして“ 前向き ”」

愛宕「どう? 」

高雄「似合ってるわ。似合ってるけれど」

愛宕「そ、まぁ心配なんてしてないけど」

高雄「……室内でそんな布地の少ない水着を着ていると痴女みたいよ」

愛宕「あぁら、昨日の夜は高雄もよっぽど」

高雄「知りません」

愛宕「よっぽど痴女っぽい姿で」

高雄「知・り・ま・せ・ん」

愛宕「そう? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ふふ」

高雄「…………」

提督「……あのさ、目の前に俺いるんだけど、ねぇ。わかってる? 」

高雄「……今日の誕生花はミカエルマスデイジー。
花言葉は“ 華麗 ”、“ 魅惑 ”、“ 誘惑 ”、そして“ 追憶 ”」

提督「誤魔化し方下手過ぎんだろ……おい。つーかお前も目の前で脱ぎだすなよ。誘惑かよばか」


378: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:40:24.61 ID:lGQfU0bvO

< 菊の花程多くはない欲、だと思いたい >





提督「あー……菊風呂デーでーす。各自そこそこ楽しむことー。以上」

漣「やる気ひっく。昨日からなにがあったんですかご主人様」

提督「まぁ、ナニがね」

漣「……今月頭には半分に減らすとか言ってませんでしたっけ」

提督「それは……これからよ、これから」

漣「月末に我慢できるんですかね……」

提督「無理」

愛宕「無理ねぇ」

雲龍「無理ね」

高雄「…………」

漣「…………なんで増えてるの」

叢雲「…………ふん、馬鹿ばっかなんだから。まったくもう」

379: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:41:02.81 ID:lGQfU0bvO

< 大概女の子関係だけれど >





叢雲「そもそもどうしてこの時期に水着なんて……」

江風「とかいいながらちゃンと着てくるあたり、ね? 」

叢雲「だって参加しないと五月蠅いじゃない、司令官が」

海風「好かれてますものね、提督に」

叢雲「はぁ? それはあんたたちもじゃない。
どうでもいいやつへの冷たさを知らないから」

江風「知らないから? 」

叢雲「ただの太平楽よりももっと……」

海風「もっと? 」

叢雲「……いえ、いいわ。ここでは皆気にかけているようだし。
わざわざこんなこと言わなくても」

江風「……気になる言い方するなぁ」

海風「…………いや、でも叢雲ちゃんがそんな言い方するってよっぽどの。うん」

漣「それでいいと思いますけどね。
ご主人様の暗いところなんて山ほどあるんですし」

380: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:43:13.72 ID:lGQfU0bvO

< 結局そこに集約される >





提督「ほー……チューブトップ、ね」

Littorio「な、なんと地中海的な」

提督「ん? 嫌? 」

Littorio「そんなことは……Littorioだって」

提督「うん? Littorioだって、なんだ? お尻を半分以上出した水着を着ててなんだって? 」

Littorio「……ん、……はふ」

提督「…………ふぅ」

Littorio「……まったく。Littorioは高雄達ほど従順では、冷たっ」

高雄「……何か? 」

Littorio「…………会話中に水をかけるとはいい度胸してますね」

高雄「あぁ、ミスですよ、ミス」

Littorio「本来入浴中にそんなことあるわけ……ふふ」

高雄「どこからでもかかってきなさい? 」





愛宕「わーいっ」

明石「ちょ、ちょ、私が何したっていうんです、やめやめやめぇ」

愛宕「逃げ惑いなさーいっ。はははーっ」

明石「ひえー」

瑞穂「……自由過ぎませんか、さすがに」

加賀「楽しむ時は全力でいいのよ。なにより楽しんだあとの食事は特に素晴らしいものなのだし」

瑞穂「はぁ」


381: 名無しさん 2015/09/10(木) 23:44:25.42 ID:lGQfU0bvO

< さすがに水着を剥ぎ取ったのは反省している >





提督「今日のカクテルはホットモーツァルトミルク。
カクテルワードは“ 心理状態を上手く調節できる天才 ”、だ」

高雄「…………」

Littorio「…………」

提督「本気で遊ぶのはいいことだけどな」

愛宕「テンション下がり過ぎよね」

高雄「……寝てきます。疲れました」

Littorio「……Littorioも。いい加減瞼が」

提督「ご自由に。……結局俺もべっちゃべちゃにしやがって」

愛宕「ふふ……人気者だからぁ」

提督「叢雲とか本気で殺意向けてきてたじゃねぇか。
あんなもん普通は遊びで出すかよ」

愛宕「遊びだから出せるのよぉ」

提督「…………ま、明石よりはマシか。
あいつもう寝てるレベルでぐっすりじゃねぇか」

愛宕「ちょーっと遊び過ぎちゃったものねぇ」

提督「ちょっと? 」

愛宕「ちょっと」

提督「……あ、そう」

384: 名無しさん 2015/09/11(金) 22:19:54.58 ID:NxESiFGMO

< 別に他意はないかも >





高雄「九月十一日の誕生石はレインボーフラーライト。
石言葉は“ 自信家 ”、“ 内向性 ”、“ 社交的 ”、そして“ 頭脳明晰 ”」

提督「もしかして瑞穂ってさ」

加賀「ええ」

提督「秋津洲のこと滅茶苦茶凄いやつだと思ってないか。
頭脳明晰かつ戦績がー、みたいな」

加賀「あなたはそうではないというの? 秋津洲が」

提督「違うとは言わないけどさ……このまま会ったときどうなると思う? 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……秋津洲の努力に期待しましょうか」

提督「……ひでぇな。実際それしかできないんだけど」

高雄「…………私からすれば二人とも酷いと思いますけれど」

385: 名無しさん 2015/09/11(金) 22:20:50.99 ID:NxESiFGMO

< 健康第一ではあるのだが >





高雄「今日の誕生花はアロエ。
花言葉は“ 健康 ”、“ 信頼 ”、“ 迷信 ”、“ 苦痛 ”、そして“ 万能 ”」

天城「天城たちは人間ではないからいいとして提督はよく身体壊さずにいますよね」

提督「そうか? 」

天城「糖尿も痛風もないんでしょう? 」

提督「まぁ」

高雄「きっと早死にしますよ。ある日突然みたいな」

提督「苦しむよりはいいと思うけどなぁ……腹上死とか割と」

天城「はぁ……」

高雄「……私は嫌ですよそんなの。私以外の女にしてくださいね」


386: 名無しさん 2015/09/11(金) 22:21:45.01 ID:NxESiFGMO

< きっと最良の選択をしたのだと >





提督「今日のカクテルはゴッドファーザー。
カクテルワードは“ 物事を両面から見て取れるスペシャリスト ”、だ」

愛宕「疲れる生き方よね、それ」

提督「かもな」

愛宕「……それが嫌だったから横須賀と出世を諦めたのよね? 」

提督「いや? 単に俺があそこに値する人間じゃなかっただけさ」

愛宕「そ、あなたはそう思いたいのね」

提督「…………」

愛宕「……別にそれを弱いとは言わないけれど」

提督「…………今の時間が気に入らない? 」

愛宕「んーん、もし今でも私や高雄と会っていなければ出世してたのかって」

提督「さぁ……そんなの考える価値もないからな。もしか、なんて幸せを基準に考えるものだし」

387: 名無しさん 2015/09/11(金) 22:23:18.74 ID:NxESiFGMO

< 悪いとは言ってない >





提督「お前も大概アップル好きだな」

明石「提督も、コアントロー好きですね」

提督「ホワイトキュラソーっていったらこれだろ」

明石「……サイドカー、甘めになっちゃいますよ、かなりまろやかに」

提督「いいだろ、きついよりは。俺甘いの好きだし……煙草は甘いの苦手だけど」

明石「はぁ。……カルヴァドスってなんでこんなに美味しいんだろ」

提督「さぁ……アップルブランデーだとサイドカーもより甘くなるじゃん?
頬や肌が朱く染まった女の子と同じだね」

明石「下ネタ、酷いですよ」

提督「んー? 」

明石「……まったく」

提督「下ネタか? 女の子のそこが可愛い、って話だぞ」

明石「あなたが言うと大概下ネタに聞こえるので」

提督「えぇ……なにそれ」

393: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:43:47.94 ID:497kzsEAO

< 一日の始まりだけどね >





明石「…………あれ」

提督「…………Zzz」

明石「……あれ? 昨日は……まぁ、この状況から導き出される答えなんて一つだけど」

提督「…………Zzz」

明石「全く記憶に無い……」

提督「…………ん……? ……………………Zzz」

明石「ゃ……抱き締めないで……んぅ」

提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………ま、終わり良ければなんとやら、ですかね」


394: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:45:21.57 ID:497kzsEAO

< 浴衣は見るもの。着るものではない >





江風「花火は明日かぁ」

海風「やはり日曜日の方が近隣の方もいいでしょうし」

江風「あぁ、なるほど。……でもその花火が女のおねだり聞いて開催されてると知ったらどう思うンだろ」

海風「それは……」

江風「しかも運営は陸軍と住民に任せるとか」

海風「……でも江風だってずっと警備とかするよりは屋台回ったりする方がいいでしょ? 」

江風「ン、だけどそれをテートクがやってもいいのかってこと」

海風「…………」

江風「……ま、江風もテートクの立場ならそうするさ。
職権を濫用してまでなにかしてあげたいパートナーはいないけど」

395: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:46:01.72 ID:497kzsEAO

< 人間が一 >





加賀「空母が三」

明石「工作艦が一」

Littorio「戦艦が一」

加賀「重巡が二」

明石「駆逐が四」

Littorio「水母が一」

加賀「……バランス酷いわね。今更ながら」

明石「潜水艦は兎も角軽巡ゼロっておかしいでしょう」

Littorio「その前は駆逐もゼロでしたし。改善されたとも言えますけれど」





提督「え? だって軽巡でエロい子なんて…………あれ、沢山いる気がする」

396: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:46:51.59 ID:497kzsEAO

< 海風から搾取、と考えると >





高雄「九月十二日の誕生石はペリドット。
石言葉は“ 勇気 ”、“ 熟成 ”、“ 潜在力 ”、“ 感受性 ”、そして“ ナルシスト ”」

瑞穂「相応の能力を持っていさえすればナルシストには見えないものなのですね」

高雄「そもそも大体の場合においてナルシストとはレッテルに他なりませんから」

瑞穂「ええ。嫉みなどの所為が殆どで」

高雄「…………」

瑞穂「…………」

高雄「……ま、ナルシストに見えないからまともだとはなりませんが」

瑞穂「……ええ」





提督「ふははははっ、これで俺の六勝目だぜ! 強いイケメン頭もいい! 」

叢雲「……馬鹿なの? 大富豪程度でその面とか」

提督「あーん? 勝ってから言ってくれよ叢雲ちゃーん」

叢雲「…………漣、カードを切りなさい。今すぐに」

漣「はいはーい。……ずっと三位の漣も微妙ですね」

海風「……最下位、というか大貧民なんですけれど」



397: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:48:05.17 ID:497kzsEAO

< 龍だって恋をするのだから >





高雄「今日の誕生花は竜胆。花言葉は“ 的確 ”、“ 正義感 ”、“ 誠実 ”、“ 貞淑 ”、そして“ 淋しい愛情 ”」

Littorio「淋しい愛情も愛は愛なのですけれどね」

高雄「結局本人が満足できるかどうか、ということですか」

Littorio「……他人の愛を笑ってはいけないということでもあり」

高雄「まぁ、笑われてやめる愛に価値などないはずですけれど」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………しかし、時々自嘲することくらいは許してほしいものですね」



398: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:48:36.64 ID:497kzsEAO

< よく見る表現 >





愛宕「思わず恋をしてみたくなる。二十代女子に共感を呼んだラブストーリー」

明石「思わずしたくなるものなんですかね……」

Littorio「恋って気付けば落ちているものなのに」

明石「おおう……」

雲龍「落ち始めたら止まらないって誰かおしえてくれればよかったのに」

明石「おおう…………」

高雄「はっ、思わず恋をしたくなる映画を観るくらいなら落ちない方法でも考えている方がいいと思いますね」

提督「くぅー、辛辣だね。映画嫌い? 」

高雄「……」

明石「いや、どう考えても提督に言ってるでしょ……」



399: 名無しさん 2015/09/12(土) 20:49:07.41 ID:497kzsEAO

< むしろ父親の方が怖い >





提督「今日のカクテルはゴッドマザー。
カクテルワードは“ 他人の考え方を受け入れられる優美な人 ”、だ」

雲龍「お母様はお元気? 」

提督「たぶんな」

雲龍「そう……」

提督「あぁ」

雲龍「……母親になったことがないからわからないけれど」

提督「おう」

雲龍「息子があなたみたいなのってどういう気持ちなのかしら」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………い、一応高級軍人だし? 内面も悪どかったりはしないぜ? 」

403: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:32:35.72 ID:vKIuCWZTO

< 60円でお酒は買えない >





雲龍「……………………花火になったら起こして」

天城「いやいやいや、せめて朝食はしっかり摂りましょうよ」

雲龍「…………眠いのよ」

天城「……早起きは三文」

雲龍「の徳とか笑わせないで。60円にも満たないじゃない。
私やあなたの資産から考えてみなさい」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……どうしたの? 」

天城「いえ……そう言われると天城も何も言い返せないな、と」

404: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:33:19.37 ID:vKIuCWZTO

< 理想 >





雲龍「……あの人といつまでも繋がっていること」

加賀「あらゆる食べ物が瞬時に現れて給仕があの人。隣に赤城さん」

天城「…………」

瑞穂「…………」

提督「口移しで酒飲ませてくれる女の子がずっと隣にいることかなぁ。
柔らかいソファで、その子が高雄と愛宕なら最高だね」

江風「…………」

海風「…………」

高雄「…………業の深さ、底なしですよね」

愛宕「私はそれでいいんだけれどねぇ~ 」


405: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:34:12.18 ID:vKIuCWZTO

< まず制服をどうにか……しなくていいです >





高雄「九月十三日の誕生石はヘリオドール。
石言葉は“ 健全 ”、“ 穏やか ”、“ 優しい ”、そして“ バランス感覚 ”」

提督「高雄は俺に色々言うけど」

高雄「はぁ」

提督「お前が大体悪い。高雄のこと見て健全だとか言うやつがいると思うか? 」

高雄「私は健全だと思ってますけれど」

提督「……男で」

高雄「あなた以外の男性と関わるつもりがないので無意味なお話ですね」

提督「あ、そう」

高雄「ええ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………いやいやいや、誤魔化された気がするんだけど。
エロエロな女の子の所為なんだよー、男の馬鹿は。ねぇ? 」

406: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:35:30.46 ID:vKIuCWZTO

< 肉を切らせて骨を断つ~。ふふ >





高雄「今日の誕生花は彼岸花。花言葉は“ 諦め ”と“ 悲しい思い出 ”」

天城「諦めなさい。高雄さんと比べればどう足掻いてもあなたのそれは品の無いものとなります」

提督「雲龍が俺よりもヤバいように? 」

天城「ええ」

提督「加賀の食への探究心がヤバいように? 」

天城「え、ええ」

提督「天城の酒好きがヤバいように? 」

天城「え……ええ、そうです」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………天城が認めるんじゃなぁ。俺も認めないわけにはいかない」

高雄「ですね」

天城「……………………なにか一番負けたのは天城のような気が」



407: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:36:58.19 ID:vKIuCWZTO

< 蛙の子は蛙、みたいな。違うか >





叢雲「で、結局何の店も出さなかったのね」

漣「皆勝手に遊びたいのは変わらないもんねー。なにやりたいかもまとまらなかったし」

叢雲「まったく……飼い主に似る、というか上官に似る、ね」

漣「ははは……」

叢雲「……それが普通に思える自分が一番嫌」

漣「嫌? 本当に」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「…………ま、シーレーンに出ずっぱりよりはマシだけど? 」

408: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:37:56.78 ID:vKIuCWZTO

< 撫子は七変化したりするらしい >





天城「はい、このように」

Littorio「Grazie.……思ったよりきつくはないのですね」

天城「ええ。浴衣はあまり。……和服も着方を心得れば然程辛くはないのですが」

Littorio「そう……そのときはお願いね、天城」

天城「もちろん、お任せください」

Littorio「あぁ……それにしても天城がいればどんなものでも綺麗に作法通り身に付けることができそう」

天城「そんなことは。天城もまだまだ、ですよ」

Littorio「これが、この国の淑女。謙遜、というものでしょうか」

天城「いえ…………ふふ」

雲龍「…………よかったわね。瑞穂に勝てる部分があって」

409: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:38:46.72 ID:vKIuCWZTO

< 割と重い発言 >





Littorio「しかしこのように民族衣装、というものを着てみると祖国には無いのが悔しいですね」

天城「はぁ」

Littorio「まぁ、サルディーニャのものがそうだといえばそうなのですけれど」

天城「Littorioさんの邦には他に素晴らしいものがあるではないですか」

Littorio「……ヒトは、今あるもののその上を求めるものでしょう、いつでも」

天城「…………」

Littorio「……あなたも、最高のお酒のそのまた上を求めるでしょう? いつまでも」

天城「ん……? まぁ、そうですけれど……天城って誰からもそういうイメージなのでしょうか。提督だけなら兎も角」

410: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:39:47.58 ID:vKIuCWZTO

< この後もう一度撮り直しました >





提督「江風、もうちょっと真ん中寄れ」

江風「りょーかい」

提督「ん。……ま、こんなものか」

愛宕「じゃ、撮りましょうか」

高雄「全員浴衣というのもなかなか珍しいですね」

提督「なんてったって俺もだからな。天城に貰ったやつ」

愛宕「そう……あなたの見立て、素晴らしいわ」

天城「どういたしまして」

江風「テートクー、ちゃっちゃと撮って屋台行こーぜ! 」

提督「はいよ。……さて、この日この時この瞬間に何がしかを共有できることを嬉しく思います、パシャ」

高雄「は? 」

叢雲「まったくカメラ見てないんだけど」

明石「急過ぎですよー」

提督「もう一枚撮り直すって。…………間抜け面があったりするのって修学旅行とかで定番だろ? え、そんなの知らない? パシャ」


411: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:40:35.04 ID:vKIuCWZTO

< 聞かなかったことにしたい。そんなこともある >





江風「金魚って基地で飼ってもいいと思うか? 」

海風「さぁ……提督は何も言わないと思うけど」

江風「だよな。よし」

海風「頑張ってね」





加賀「あら……あなたたち何持ってるの? 」

海風「ははは……江風が張り切ってしまって」

江風「わりぃ……金魚、いらない? 」

海風「いらないですよね……」

加賀「聞くところによると金魚ってあまり美味しくないらしいわね。残念だけどいらないわ」

海風「…………お店に返してこよ? ね? 」

412: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:41:31.81 ID:vKIuCWZTO

< りんご飴、美味しいよね >





提督「ふぅ……花火はあと三十分くらいか」

愛宕「そうね」

提督「……口の中でリンゴが大渋滞してる」

愛宕「んふ……舐めとってあげま」



「あれだよ。この前片腕吹き飛ばされてたやつ」

「はーん? よくもまぁ吹き飛ばされても生きてんな」

「蜥蜴が蛸かって話だよな。……おれあの時丁度外出てたからさぁ。見たくもないもの見ちまったよ」

「そうか。……化け物の分際でよく人間面ができるな」

「ま、化け物に恥なんて概念は無いんだろ」

「違いない」



愛宕「ね、やめて」

提督「……何が? 」

愛宕「私は気にしないから」

提督「それで? 」

愛宕「…………言いたいこと、分かるでしょ? 」

提督「俺がどう思うかも分かるよな? 」

愛宕「…………」

提督「…………こういうときくらいカッコつけさせとけよ」

愛宕「…………」

提督「……男の子ってね、この一瞬の為に普段は女の子に頼り切りなんだ」

413: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:42:32.64 ID:vKIuCWZTO

< 花火はもう間近に >





瑞穂「はふ……人混みに慣れないとなかなか」

江風「お、瑞穂さンじゃン? 」

瑞穂「あら……どうしたの? 」

江風「や、テートクに声かけようと思ったら愉快なことになりそうでさ」

瑞穂「はぁ」

海風「何話してるんだろう……あんまり聞こえませんね」

瑞穂「いつの間に……四人? あまり愉快な雰囲気ではなさそうですけれど? 」

江風「さぁね。江風には愉快だと思っただけでさ。……焼きそば、食べる? 」

瑞穂「少しだけ、頂きましょうか」

海風「……愛宕さん、何かあったらちゃんと止めてくれるよね? 」

414: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:43:38.40 ID:vKIuCWZTO

< 腹心として >





高雄「……それで? 」

提督「姓名所属その他聞き出してぶん投げておいた」

高雄「ぶん投げておいたじゃないでしょうまったく……」

愛宕「高雄……私の為だから、ね? 」

高雄「……」

提督「ま、ちゃんと人の少ないところまで御同行願ってからだったから。
新聞にも載らないし噂にもならないはずさ」

高雄「そう願いたいものです」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………ま、姉として礼くらいはしておきましょうか。ありがとう」

愛宕「…………」

高雄「申し訳ありませんね、妹の為に手を煩わせてしまって」

提督「……気にするな。俺が勝手にやったことだし」



415: 名無しさん 2015/09/13(日) 21:44:58.37 ID:vKIuCWZTO

< 花火を見つめるその横顔を見つめる自分を横目で見るあなたを…… >





提督「今日のカクテルはフローズンストロベリーマルガリータ。
カクテルワードは“ 自分勝手な人を嫌う正直な人 ”、だ」

愛宕「自分勝手」

提督「お前が正直じゃなくてよかった」

愛宕「え? 」

提督「うん? 」

愛宕「……私、あなたにさえ愛してもらえれば他の人なんてどうでもいいわ」

提督「俺はよくない。お前を貶すやつを許すつもりはないね」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………__さん」

提督「なんだ」

愛宕「浴衣、似合ってる? 」

提督「それはもう」


421: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:03:43.52 ID:aBHkkCHVO

< 朝には重い、夜にも重い >





雲龍「ジーンズにボタンシャツ? 」

提督「あ? ……怠ぃんだよ。昨日は疲れたし」

雲龍「別に悪いとは言ってないわ」

提督「そうか」

雲龍「……なかなか洒落たバックルね」

提督「どーも」

雲龍「……こう、端と端を掴んで引っ張ると」

提督「ばしーん? 」

雲龍「……叩いてほしいの。思いっきり。無機質な傷をあなたが刻んでくれれば、私」

提督「…………朝からディープ過ぎだよお前……俺はスパンキングも軽くが限界なのに」

422: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:04:30.14 ID:aBHkkCHVO

< べっちゃべちゃにはした >





雲龍「そもそも今怠いのって昨日ヤったからでしょう? 」

提督「何がそもそもなんだよ……」

雲龍「してないの? 浴衣の帯で絞めたり結んだり」

提督「俺は鬼畜外道じゃないの」

雲龍「本当……? 」

提督「いや、複数と関係してるって意味ではそうかもだけどさ」

雲龍「もうワンステップしない? 」

提督「しません」





高雄「…………よくもまぁ一晩で帯を滅茶苦茶にできますね」

愛宕「ふふ……浴衣と帯の洗濯って割と面倒よねぇ」

423: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:05:33.82 ID:aBHkkCHVO

< あれなんでだろうね >





江風「なーンで屋台の焼きそばってその場で食べないと不味いンだろ」

加賀「……食べられたものではありませんね」

江風「やっぱ雰囲気なのかなぁ」

加賀「いえ、やはり鮮度というものが」

江風「…………」

加賀「…………」

江風「……もしかして加賀さンの味覚って大して凄くな」

愛宕「余った焼きそばを堅焼きして餡掛けかけてみましたー」

加賀「やりました」

江風「…………ま、江風はその辺どうでもいいけど」


424: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:06:16.84 ID:aBHkkCHVO

< 意味深な笑みだけを残して何処かへ行きました >





雲龍「話は変わるけれど」

提督「是非とも変えろそうしろ」

雲龍「大和ホテルはラブホの淫語だと聞いたわ。快適で気持ちいい」

提督「隠語? つーか変わったか? あ? 」

雲龍「それでもいいけれど」

提督「いや、隠語が正しいだろ」

雲龍「そう? 」

提督「まぁ、それはいいや……どこで聞いたんだよそれ。
大和もまだ純真な方なんだから可哀想だろ。やめてやれ」

雲龍「ふっ、純真? 」

提督「あ? 」

雲龍「…………ふふ」

提督「…………なんなのこの子」


425: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:06:43.34 ID:aBHkkCHVO

< 壊れる心、生まれる感情 >





江風「ま、昨日のアレでなンとなくテートクが好かれる理由がわかった」

海風「うん」

江風「やったことっていったら止める彼女引き連れて陸の奴シメてきただけだけどさ」

海風「うん」

江風「あの表情だよな。文句無しにイケメンだよあれ。あれは惚れる」

海風「うん」

江風「…………」

海風「…………」

江風「……姉貴さ、テートクのこと好きだろ」

海風「うん……うん」


426: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:07:29.29 ID:aBHkkCHVO

< たとえ何が相手でも全力だけれど >





高雄「九月十四日の誕生石はブラッドストーン。
石言葉は“ 安定志向 ”、“ 冷静沈着 ”、“ 平和主義 ”、そして“ 中立 ”」

加賀「平和主義、ね。深海の彼女たちにもそのような思考があればよいのだけれど」

高雄「どうでしょうね。そのレベルの思考を駆使してもなお、私たちに刃を向けねばならないのかもしれません」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「……資源でも分け与えればいいのかしらね」

高雄「さぁ……私たちが無理をして進める戦争に着いてくるくらいには資源もあると思いますけれど」

加賀「……陸から攻めるから迎え撃つのか、海から迫るから迎え撃つのか」

高雄「分かりません。分かる必要も感じませんが」

加賀「…………人と人が争うこと、人とヒトが争うこと、ヒトとヒトのような何かが争うこと。
どれが一番平和に近いのかしらね」


427: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:08:22.69 ID:aBHkkCHVO

< あまり正しくない使い方 >





漣「最近思うんだよね」

叢雲「突然何? 」

漣「新しい言葉が流行っていうか広まったときとかにさ。当然アンチ的な人は湧くわけで」

叢雲「勝手に喋るのね」

漣「それに対して方言馬鹿にするのやめようよ、とか書き込む人がいるじゃないですか、ネットで」

叢雲「知らないわよそんなの」

漣「でもさ、そんなの普通知らないしあたかもそれが当然かのような返しはおかしいと思うの」

叢雲「……」

漣「それに方言としての意味と広まった意味って大抵ズレてる気がする」

叢雲「……つまり? 」

漣「対立煽りか有難迷惑なのか無自覚なのか分からないけど無駄に場の空気悪くしないで欲しいなって」

叢雲「ん……よくわからないけど漣が無視すればいいだけじゃないの? 自分でも煽り返してない? 」

漣「あーね」

叢雲「……私、その反応嫌いだわ。方言だとしても」

漣「それな」

428: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:09:03.52 ID:aBHkkCHVO

< つまりそういうこと >





提督「まぁ、九州出身の友達も同期もいるけど」

漣「あーね、とか使ってました? 」

提督「んー……あんまり使ってなかったかな。
俺の地元の友達もそうだけど方言的な言葉って結構隠そうとするものだし」

漣「なるほど」

提督「……ネットも大概にしろよ? 」

漣「その代わりご主人様が漣を楽しませてくれますか? 」

提督「は? 」

漣「ん? 」

提督「…………ネットも程々にな」

漣「……はぁ」

429: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:09:44.22 ID:aBHkkCHVO

< 自信を持たねばならない者と持ってはならないと思う者 >





高雄「今日の誕生花はマルメロ。花言葉は“ 魅力 ”と“ 誘惑 ”」

愛宕「いつでも迫られても、迫ってもいいような準備はしてるわよね」

高雄「……そうね」

愛宕「ま、そもそも私の魅力があればそれだけで誘惑になるけど? 」

高雄「あなたも大概自信家だこと」

愛宕「高雄も同じでしょ? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……なんとも言えませんね」

愛宕「そ、私は仮に私よりもあの人の好みな外見の女が現れても勝てる自信があるけど? 」


430: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:11:16.95 ID:aBHkkCHVO

< 厚岸に蒸留処ができるとかなんとか >





提督「今日のカクテルはジェントルマンズショコラ。
カクテルワードは“ 朗らかで人を咎めない寛大な人 ”、だ」

Littorio「Gentiluomo? 」

提督「名前の意味は知らない。単にウイスキーベースのチョコカクテルとしか」

Littorio「……甘い」

提督「そうだな」

Littorio「…………Littorioは甘い? 」

提督「さぁ……」

Littorio「Gentiluomoとして気にならない? 」

提督「気になる、けど。……紳士として見てくれるの? 」

Littorio「Littorioの好きになったたった一人がLittorioの紳士ですから」

提督「そ……甘い考えだね、好きな考え方だけどさ」

431: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:11:58.96 ID:aBHkkCHVO

< 秋の夜長に >





加賀「ふ……秋は秋刀魚ね」

叢雲「外に七輪と椅子出して秋刀魚って」

加賀「悪い? 」

叢雲「別に」

加賀「日本酒と焼酎ならあるわ」

叢雲「……レモンジュースあります? 」

加賀「そこに」

叢雲「……じゃあ焼酎で」

加賀「…………」

叢雲「…………」

加賀「……火を見てると安心しない? 」

叢雲「言いたいことはわかるけど……目を悪くしますよ」


432: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:13:24.69 ID:aBHkkCHVO

< 長くも短くもない夜がさらに短く >





Littorio「はふ……」

提督「ん……そろそろ酒やめて寝るか」

Littorio「ええ。……雨? 」

提督「最近結構酷いときは煩いが……寝れてる? 」

Littorio「そうですね……」

提督「…………」

Littorio「あまり気にはしていませんけれど……疲れていれば、寝やすいかもしれませんね。程よく、身体全体が」

提督「はーん……」

Littorio「それに、Littorioはやはりベッドや暖房よりも人肌が一番心地よいかと思います」

提督「……誘ってんの? 誘われるよ? 」

Littorio「どうぞ? 」

提督「……」

Littorio「? 」

提督「…………お風呂は一人がいい? それとも一緒に行ってもいい? 」

436: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:03:41.29 ID:liCCzJYjO

< 女の子×シーツ >





提督「…………」

Littorio「……おはよう? 」

提督「ん……おはよう」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………煙草吸ってくる」

Littorio「ここで吸っても構いませんよ」

提督「そう? 」

Littorio「ええ」

提督「…………ま、やめとくけど。部屋に臭い付くのは悪いし」

Littorio「Littorioはしっかりと提督の匂いを付けられてしまいましたのに」

提督「……俺の匂いって煙草と同列なわけ? 」

Littorio「そんなつもりは」

提督「……………………顔洗ってくる。煙草はいいや」

Littorio「どうぞよしなに」


437: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:05:14.67 ID:liCCzJYjO

< >





高雄『ほ、本当に、私でいいのですか? 』

提督『高雄以上の女の子なんていないよ』

高雄『…………ください、あなたを、あなたの気持ちを』

提督『あぁ』





高雄「……………………濡れてる、少しだけだけれど、本当に」

愛宕「…………Zzz」

高雄「…………」

愛宕「……ん…………Zzz」

高雄「…………死にたい。途轍もなく恥ずかしい」

愛宕「んふ……ふふふ…………Zzz」

高雄「……はぁ」


438: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:05:50.11 ID:liCCzJYjO

< ネジ……ネジをくれ >





明石「あれ……ネジが足りない」

雲龍「……大丈夫なのそれ」

明石「や、動きはしますよ、動きは」

雲龍「大丈夫じゃないじゃないそれ」

明石「……改修用のネジ使いますか」

雲龍「もっとダメでしょう、それは。横流しとかその辺の類じゃない」

明石「いやぁ」

雲龍「いくら私でも看過できな」

明石「いい艦載機差し上げますから、提督に許可もらって」

雲龍「…………仕方ないわね」

天城「いやいやいや……ありえないですよ姉様ぁ」


439: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:07:29.87 ID:liCCzJYjO

< むしろ肉食系 >





提督「なんでお前重巡なんだろ」

愛宕「柔順? 」

提督「重巡だろ」

愛宕「そう? ……知らないけど明石とかの方が」

提督「はぁ? 」

愛宕「え? 」

提督「……おっぱいとかスタイルの話なんだけど」

愛宕「はぁ? 」

提督「え? 」



440: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:08:13.66 ID:liCCzJYjO

< 思い出した >





提督「へーい、そこのパスタリアン」

Littorio「……せめてイタリアンと言うべきでしょう。
それはそれで失礼な話ですけれど」

提督「悪い。……俺ピザが食べたいよー。ピザリアン」

Littorio「……それはLittorioがおでぶだと言っているのですか」

提督「ちげーよ。お前のスタイルなんて昨日更新したばっかだし。デブはさすがに無理だし」

Littorio「更新って」

提督「ほら……触って撫でて摩って舐めて色々したでしょ」

Littorio「……」

提督「……」

Littorio「…………ピザでしたか。何を食べたいですか? 」

441: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:08:56.93 ID:liCCzJYjO

< 愛するって楽しいこと >





高雄「九月十五日の誕生石はパライバトルマリン。
石言葉は“ 愛情 ”、“ 純粋 ”、“ 穏和 ”、そして“ 正直者 ”」

明石「私、最近愛がどんなものかわかってきました」

高雄「愛とは? 」

明石「愛があるんだと思い込むこと。
そして思い込んだ愛を信じ続けること」

高雄「なるほど」

明石「まぁ、他にも努力とか胸キュンとかサプライズとかありますけどね……高雄さんは? 」

高雄「……愛は愛です。それ以上は無く、それ未満に価値はありません」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「……なんかもの凄い敗北感があるんですけど」

高雄「いえ……愛に勝ち負けなどありませんよ。少なくともわたしの愛には、ですけれど」


442: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:12:32.50 ID:liCCzJYjO

< お話しましょう? >





雲龍『新しい艦載機をくれるというの? 』

提督『あぁ』

雲龍『……戦闘後のお風呂にお酒にあなたに艦載機……悪くない日ね』






提督「あのぽわわんとしてそれでも自分を見失わなかった雲龍はどこへ? 」

雲龍「ここにいるけれど? 」

提督「…………はぁ」

雲龍「…………」

提督「……まぁ、お前のこと好きだけどさ。俺に無関心な雲龍も」

雲龍「…………釣った魚に餌を」

提督「違う。……違う、違うはずよ? 」



443: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:15:15.84 ID:liCCzJYjO

< 振り方が悪い >





雲龍「というかいくらなんでも私の信用が低過ぎると思うの」

提督「お前そりゃ」

天城「……姉様は少し胸に手を当てて考えてみては」

雲龍「? ……柔らかいわ」

提督「そうだな。知ってる」

天城「……もうっ」

雲龍「? 少し気楽にいきましょうよ」

提督「そうだな」

天城「…………」

444: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:15:53.65 ID:liCCzJYjO

< 柔らかい方が愉しいけど限度がね >





高雄「今日の誕生花はマリーゴールド。花言葉は“ 信頼 ”。…………なのですけれど」

Littorio「ごめんなさいね、あそこでそんな札を持っているとは思わなかったものだから」

加賀「あなた」

雲龍「はい」

加賀「……やるわね、勲章ものよ」

雲龍「はい。……はい」

提督「ブリッジねぇ……な、ブリッジしない? 」

天城「二人で、ですか? 」

提督「いや、天城がブリッジして俺がそれ見てんの」

天城「馬ッ鹿じゃないですか? するわけないじゃないですか」





叢雲「……できる? ブリッジ」

漣「たぶんできない。叢雲ちゃんは? 」

叢雲「頑張ればなんとか。……やらないけど」

漣「ふーん? ……今の子供ってマトリックスごっことかしないんだろうね。あれってブリッジではないけど」


445: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:16:48.42 ID:liCCzJYjO

< デブでも食ってろォ >





海風「……ピザ」

Littorio「あら、お嫌いでしたか? 」

海風「いえ、この時間に食べると太るなぁ、と」

Littorio「そのときはそのときです。努力は加算法なので後から努力してもどうとでもなります」

瑞穂「それはあまり太らない方の言葉なのでは」

Littorio「……Littorioは激しい運動をした後なので? 」

海風「……」

瑞穂「……」

Littorio「……割と押しに弱いですし。心も貸してくれますよ、戴けはしませんけれど」


446: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:17:22.70 ID:liCCzJYjO

< 生きた長さではなくて >





提督「今日のカクテルはドラマティックアロマ。
カクテルワードは“ 若き時代に戻る想いを持つ純粋な人 ”、だ」

加賀「戻りたい? 」

提督「純粋じゃねぇし、別に」

加賀「そう」

提督「お前は? もう一度やり直してみたくはないの」

加賀「どこからやり直せと。
仮に横須賀のあのときに戻ったとしても私があなたの麾下に入るのは高雄たちの後よ」

提督「あー、1942年の6月5日とか」

加賀「つまらないことを。それ以前に戻らねば結果は然程変わらないわ」

提督「……」

加賀「……」

提督「……好きだよ」

加賀「私もよ。……それで? 」

提督「……もし五分前に戻れたらさ」

加賀「ええ」

提督「きっと同じことを言って同じ返しをもらうだろうな」

加賀「そう、ね」

提督「…………それだけ。特に意味も無い」

加賀「……まだ若いのね。戻る必要を感じない程には」

447: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:18:23.66 ID:liCCzJYjO

< 馬鹿な方が楽しいからね >





漣「うへぇ……なにこの匂い」

加賀「黒霧島の牛乳割」

漣「え、えぇ……気持ち悪い味しそう」

加賀「案外と悪くはないのよ。もちろんロック程ではないけど」

雲龍「霧島のミルク割? 」

叢雲「どうして言い直す必要があるのよ……」

江風「馬鹿ばっか」

448: 名無しさん 2015/09/15(火) 22:19:02.85 ID:liCCzJYjO

< 馬鹿な……男、と女>





提督「馬鹿って言って? 」

愛宕「……マゾ? 」

提督「ちげーよ。……なんとなく馬鹿って言葉にもニュアンスがあるじゃん? 」

愛宕「ふーん? 」

提督「…………お前さ、本当馬鹿だよな」

愛宕「うん」

提督「……ばーか」

愛宕「うん」

提督「本当に……莫迦だな」

愛宕「うん。……最後の」

提督「あ? 」

愛宕「最後の……耳元で、抱き締めて言ってほしいな」

提督「ばーか」

452: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:04:39.74 ID:sprpO+VK0

< 失礼な >





海風「提督ってお幾つなんですか? 」

提督「こういうときは」

愛宕「ふふ……幾つだと思う? 」

海風「……三十代? 」

提督「雑把だけど当たり」

愛宕「若作り成功ね。きっと」

提督「いや、そこはお前普通に若々しいってことだろ。なぁ? 」

愛宕「そうかしら。努力しないと維持って難しいものよ? 」

提督「む……」

愛宕「……海風はどうして前半だと思ったの? 」

海風「見た目もそうですけど」

提督「おう」

海風「その……お盛んなので、ええと。落ち着く前なのかな、と」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………落ち着くと思うか? この後」

愛宕「さぁ? 」

453: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:05:23.72 ID:sprpO+VK0

< 特に隠してない >





明石「葬式に故人の愛人と子供が訪れてゴタゴタが、って聞くじゃないですか」

天城「そうですね」

明石「仮に私か他の誰かが研究を完成させて艦娘が人になり妊娠できたとしましょう」

天城「はい」

明石「その場合雲龍さんや加賀さんが弔問した場合はどうなるでしょう?
それに子供がいた場合とかは一体」

天城「…………」

明石「…………」

天城「…………まぁ、世間一般とは大きく異なる状況なのは確かですね」

明石「いがみ合ってるよりはマシですけどねぇ……うーん」


454: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:06:10.29 ID:sprpO+VK0

< 今までのテストが溜まったので >





叢雲「一位は漣、以上」

漣「よかった……よかったよご主人様ぁ」

提督「当然だろ。これで海風と江風に負けてみろ。一生ネタにするところだ」

漣「ひでぇ。慈悲ってもんがねぇ。多少は労ってくださいよー」

提督「はいはい凄い凄い……で、海風と江風の順位は? 」

叢雲「大して変わらないから省略。知りたい? 」

提督「別に。叢雲がどうでもいいと判断したんならどうでもいいことなんだろ」

叢雲「そうね」

漣「……つまり漣が一番できたってことはどうでもよくないと」

叢雲「単に当然のことだからよ」

提督「だな。自惚れんじゃねぇよ」

漣「…………ひでぇ」

455: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:06:57.04 ID:sprpO+VK0

< 置き土産 >





提督「なんか知らないけどリース業者が捨ててったぞこれ」

明石「はぁ」

提督「綿あめマシーン。本来の名前は知らないけど」

明石「それは見ればわかります」

提督「壊れたんだってさ。修理した方が高くつくから処理してくれって」

明石「へぇ……」

提督「…………直せ。直してください。お願いします」

明石「はぁ……まーた、面倒な」

提督「……この国のでもドイツのでも米帝のでも」

明石「はい? 」

提督「最高の機材、揃えてやる。対価は払う」

明石「おおう……いや、でも」

提督「ん? 」

明石「たかが綿あめマシーンでそんな……うーん」

提督「俺としては構わないっつーか帝都に貸し返せってだけだからな」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………あなたのお時間戴ければ……それで、いいかな? 」

提督「あ、そう……随分安いね」

明石「いえいえ……安いだなんてそんな」


456: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:08:36.38 ID:sprpO+VK0

< 行き着く答え >





高雄「九月十六日の誕生石はプレーナイト。
石言葉は“ 社交的 ”、“ 行動力 ”、“ 個性的 ”、そして“ 変わり者 ”」

明石「変わり者のびっくり箱こと当基地ですが」

高雄「はぁ」

明石「ここで一番個性的なのって誰でしょう。
自分で言うのもなんですけれど私の個性が埋もれるって割と凄いことだと思うんです」

高雄「……あの人では」

明石「ですよね」

高雄「種族の垣根を超えたと考えれば……あの人に言うと機嫌悪くしますけれど」





457: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:09:46.33 ID:sprpO+VK0

< 傷は癒えても記憶に遺る >





高雄「今日の誕生花は茜。花言葉は“ 媚 ”、“ 誹謗 ”、“ 傷 ”、“ 不信 ”、そして“ 私を想って ”」

Littorio「何か順番に意味でも? 」

高雄「いえ、単に覚えやすかっただけよ。
元がどんな順番だったかも覚えてないわ」

Littorio「そう……悲恋? 」

高雄「嫌われ者のお話にも聞こえるけれど」

Littorio「……」

高雄「……」

Littorio「……媚びるって、逃げてるんですよね。自分から、相手から」

高雄「そうね」

Littorio「そんな女、後ろ指を差されて誰からも信じられなくても当然ですよね」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………そう、ね。そういうことも、あるでしょう」

Littorio「…………」

高雄「…………」

458: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:11:38.27 ID:sprpO+VK0

< 悩みが無いなんてことは >





鈴谷「ふぁー、満足満足ぅ」

龍田「……カレーのときだけ異常な食欲よね」

鈴谷「鈴谷、カレーさえあれば生きていける女だもーん」

龍田「……まぁ、栄養的には死にはしないかしら」

鈴谷「そんな細かいことは知らなーい」

龍田「…………悩みなさそうね、鈴谷」

鈴谷「んー? ま、そうかもねー……ははは」

459: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:12:20.58 ID:sprpO+VK0

< 思わず >






提督「今日のカクテルはダーティマザー。
カクテルワードは“ 自分の世界観に引き入れるオールドタイプ ”、だ」

雲龍「オールドタイプ? 」

提督「保守的でもいい。ようは自分からは譲らない偏屈ってことだな」

高雄「そんな恣意的な」

雲龍「……夜は保守的? 」

提督「保守で結構。俺は十分に満足している。な? 」

高雄「……同意か否かと言われれば同意ですが」

雲龍「む……」

提督「そんなにディープな趣味してるなら街にでも行け。
許可くらい余裕で出せるぞ」

雲龍「それはダメ。ダメなのよ」

提督「……そうかい」

高雄「…………今一瞬嬉しそうな顔しましたよね」

提督「……」

高雄「……別にいいですけど」

460: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:12:51.39 ID:sprpO+VK0

< 味、濃いからね >





叢雲「私このお茶割ってやつがどうもダメね」

漣「緑茶嫌いだっけ? 」

叢雲「いいえ、むしろ好きな部類だけど……どうしてお茶で焼酎割ろうとしたのかしら」

漣「さぁ。水割りもお茶割もソーダ割もロックかストレートで飲めない人の為にできたんじゃない? 」

叢雲「味が苦手なのにわざわざお酒飲もうとする意味がわからないわ。
そんなに毎日酔わないといけない理由でもあるのかしら」

漣「どうだろうね」

叢雲「…………」

漣「…………」

漣「…………でも抹茶ミルクは飲むんだね」

叢雲「…………美味しいじゃない。カルーアみたいなもので一杯だけ時々飲みたくなるの」

461: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:13:22.72 ID:sprpO+VK0

< 不味い店でも責任者がいると思うと少し悲しい >





提督「天城とかが戦後小料理屋をやろうとしたとしてさ」

天城「はい」

提督「調理師免許とかってどうすんだ? さすがに軍はその辺誤魔化してはくれないぞ」

天城「普通に取ればいいと思いますけれど」

提督「天城が現役生混ざってんのか……まぁ、外見年齢は大丈夫だろうが」

天城「そもそも調理師免許より食品衛星責任者の方が重要かと」

提督「あ、そうなの? 」

天城「いえ……天城もうろ覚えなのですけれどね」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……それって幾らで貰えるんだ? 」

天城「いや、普通に講習受けますって。面倒がらないですから」


462: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:14:46.02 ID:sprpO+VK0

< 畜生×畜妾 >





雲龍「あの人の愛人? 情婦? のNo.って」

明石「そういう話やめましょうよ……ねぇ? 」

加賀「どうして? 」

明石「どうして、って……」

雲龍「正妻が二人いるから……三号さんが実質No.2? 」

明石「そんなレースとかじゃないんだから」

加賀「……そこは譲れません」

雲龍「……ふっ」

明石「…………はぁ」





瑞穂「Littorioさんは入らなくてもいいのですか? 」

Littorio「……入りたいと思いますか? あそこに」

瑞穂「……いいえ」

463: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:15:36.72 ID:sprpO+VK0

< 一方で >






江風「あンま大きな声では言えないけど」

海風「うん」

江風「仮にNo.つけるとしたらたぶン正妻二人の次って叢雲さンなンじゃないかな」

海風「…………」

江風「…………」

海風「……そうだね。繋がりとか、やり取りとか」

江風「だよな」


464: 名無しさん 2015/09/16(水) 22:16:02.61 ID:sprpO+VK0

< 共に寝、共に起き。これは何度目だったか >





加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………綺麗な朝焼けが見たいわ」

提督「そう」

加賀「……隣にあなたがいればもっといいわね」

提督「明日の朝起こしてやろうか? 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………私の部屋の窓、丁度東向きなの」

提督「……知ってる」


469: 名無しさん 2015/09/17(木) 22:10:24.33 ID:P0YOehKQ0

< 前向く努力を >





高雄「九月十七日の誕生石はダイオプテーズ。
石言葉は“ 努力 ”、“ 野心 ”、“ 前向き ”、そして“ 向上心 ”」

漣「てるてる坊主が何故か前向きにならない現象」

叢雲「単に漣が下手なだけでしょ」

漣「あれって靴紐が斜めになったりしちゃうのと同じだよね」

叢雲「だからそれも下手なだけよね」

漣「あ、そんなこと言ってたら顔下に描き過ぎちゃったじゃーん」

叢雲「……だから」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………叢雲ちゃんのてるてる坊主可愛い顔してるね」

叢雲「うっさいわね。下手よりいいでしょうが」

470: 名無しさん 2015/09/17(木) 22:10:58.22 ID:P0YOehKQ0

< 唸る豪運、猛る爆運 >





高雄「今日の誕生花は衝羽根空木。花言葉は“ 強運 ”」

Littorio「強運、ね」

高雄「なんとなくですが加賀さんでしょうか、なんとなくですが」

Littorio「まぁ、被弾が少なければ少ないほど戦力になる割合が多いですし」

高雄「ええ」

Littorio「…………」

高雄「…………」

提督「……俺だろ。お前に出会えてこういう関係になれたんだしな」

Littorio「…………それならば高雄も同じわけですけれど」

高雄「…………その、真顔で言われると……困ります」

提督「うん? 」

471: 名無しさん 2015/09/17(木) 22:11:51.93 ID:P0YOehKQ0

< 甘死 >





江風「おー、すっげー! 」

海風「ん……おいし」

明石「動力機関が殆ど死んでたんで全取っ替えしちゃいましたよー。
これは直すより買った方がいいですね」

提督「そうか。ありがとな」

明石「いえ、私もこういうの弄るの好きですから」

提督「ん」

江風「一回やってみたかったんだよなー、綿あめ限界まででっかくするの」

海風「わっ、それちょっと大き過ぎませんか? 」

江風「ンー、よゆーよゆー」

提督「…………お前なんでそんなつくるの上手いんだ? 」

明石「センスですかねぇ……割とコツいりそうですけど」

江風「ははっ、姉貴にもやるよ、ほら」

海風「あ、ありがとう……提督。はんぶんこしませんか? 」

提督「はいよ。……酒持ってこよ、口の中が事故起こしちまう」

472: 名無しさん 2015/09/17(木) 22:12:27.22 ID:P0YOehKQ0

< SAGA >





提督「今日のカクテルはチョコレートスリング。
カクテルワードは“ 好きなものに夢中になれる熱血屋 ”、だ」

愛宕「好きなものに熱中できないっていうのもよくわからないわねぇ」

提督「そうだな」

愛宕「好きなものがあり過ぎて手が回らないとか? 」

提督「ん……女の子、酒、車、単車、映画、読書……他になんかある? 」

愛宕「セックス。口説くのと戯れるのは別だと思うの」

提督「なるほど。……多い方じゃない? 」

愛宕「かも」

提督「…………どれかやめるって言われたら……単車かなぁ」

愛宕「えっ」

提督「うん? 」

愛宕「まだ……口説き続けるの? 」

提督「あぁ…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……意地でもやめるとは言わないのね」



473: 名無しさん 2015/09/17(木) 22:13:02.28 ID:P0YOehKQ0

< あって困るものじゃないから >





愛宕「…………」

提督「……寝よ」

高雄「着替えはいつものところに」

提督「さんきゅ」

雲龍「ね、このネグリジェどう? 」

提督「すげぇ好み、だけどこんなとこにそれ着て出てくんな」

明石「あの……来ます? 」

提督「行く。着替えてから行くから好きな酒用意しといて」

明石「はいっ」





愛宕「…………ま、もう口説く必要性とか微塵もない気がするけど」


477: 名無しさん 2015/09/18(金) 23:40:19.50 ID:jXvQdxUG0

< そんな期間があっては出会えなかったから >





高雄「九月十八日の誕生石はマンダリンガーネット。
石言葉は“ 元気 ”、“ 優雅 ”、“ 無邪気 ”、そして“ 人気者 ”」

Littorio「人の子には」

高雄「ええ」

Littorio「あの頃は無邪気だった、というような感慨があるとか」

高雄「そうね」

Littorio「……Littorioたちはそのような気持ちがありません」

高雄「……」

Littorio「それは、いいことだったのかもしれませんね。
もし無邪気な少女がいたとして、あのような環境ではきっと歪んでしまうだけですから」

高雄「……ちいさな少女にまで悪意を向ける者ばかりではないと思うけれど……そうね」

478: 名無しさん 2015/09/18(金) 23:41:05.99 ID:jXvQdxUG0

< イベント好き×尽くす女 >





鈴谷「今日は金曜日じゃーん? 」

時雨「そうだね」

鈴谷「ということはカレーじゃん」

浜風「は、はい」

鈴谷「でもいくら鈴谷でもこの量は食べられなーい」

春雨「……寸胴鍋一杯のカレーって初めて見ました。しかも三つ」

鈴谷「だーかーらー、今日は皆と一緒にカレーパーティをしたいと思いまーす」





龍田「……朝から厨房に籠ってると思ったら」

金剛「龍田ー? 早く貰いに行かないとどこかの空母とか戦艦に食べられちゃいマース」

龍田「はいはい。あなたもその戦艦じゃない」

金剛「No! 私はそんなに大食いじゃありマセーン」

龍田「……本当に? 」

479: 名無しさん 2015/09/18(金) 23:41:46.49 ID:jXvQdxUG0

< 積み重ねたものの発露 >





高雄「今日の誕生花は孔雀草。花言葉は“ 一目惚れ ”、“ ご機嫌 ”、そして“ 可憐 ”」

雲龍「……一目惚れ? 」

高雄「いえ、第一印象なんて覚えてもいませんね」

愛宕「私は覚えてるわよ? 手が早そうだなー、とか」

高雄「……それがわかっていて近付いたのね」

愛宕「悪い印象じゃなかったし。楽しいの好きだもの」

高雄「……そう。雲龍さんは? 現在を見る限り割と好みだったんですか? 」

雲龍「私は……私も全然一目惚れなんかじゃなかったわ。
時を重ねたからこその今、ってやつね」

高雄「……」

愛宕「……まぁ、一目惚れでこれでもどちらにせよ今が何か変わるわけじゃないけれどね」


480: 名無しさん 2015/09/18(金) 23:42:36.64 ID:jXvQdxUG0

< チョコは甘ければ甘い程いい >





提督「今日のカクテルはチョコレートプランターズパンチ。
カクテルワードは“ 困難な境遇にも立ち向かうしっかり者 ”、だ」

高雄「…………」

提督「……お疲れ」

高雄「…………今日は疲れました。資料整理を疎かにしていたツケですね」

提督「悪いな。殆どお前任せで」

高雄「本当に……ふぁ。眠い」

提督「……寝るか」

高雄「ええ」

提督「…………ちょっと、いい? 」

高雄「はぁ」

提督「…………悪い」

高雄「は? …………あぁ」

481: 名無しさん 2015/09/18(金) 23:43:24.80 ID:jXvQdxUG0

< したわ。 >





雲龍「クズの匂いが」

天城「はぁ」

雲龍「とても……魅力的ないい匂い」

天城「……はぁ」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……寝るわ。私と遊んでくれる暇はなさそうだし」

天城「はい……一人で寝れますか? 」

雲龍「……へぇ……一緒に寝てくれるの? 」

天城「まさか」

482: 名無しさん 2015/09/18(金) 23:43:53.88 ID:jXvQdxUG0

< 信用 >





提督「っ……ふ、ぅ…………」

高雄「…………ん、ん……………………出し過ぎ」

提督「…………飲んだ? 」

高雄「……ん」

提督「…………風呂いこっか」

高雄「……今夜は続けるのはちょっと」

提督「……了解」

高雄「……本当に? 」

提督「……ばーか。高雄の身体のことが一番だよ」

高雄「…………本当に? 」

提督「む……」