1: 名無しさん 2018/09/14(金)11:55:05 ID:MJF

※キャラ崩壊してます
 
 少し百合してます

千聖さんは慕われたい』と同じ世界の話です

引用元: ・【バンドリ】りみりんは傷心中

2: 名無しさん 2018/09/14(金)11:56:57 ID:MJF

――花咲川女子学園 中庭――

牛込りみ「…………」

りみ「……はぁ」

花園たえ「ん? あれ、りみ」

りみ「あ、おたえちゃん……」

たえ「どうしたの、ベンチで黄昏て? 最近、あんまり元気ないよね」

りみ「うん……」

たえ「よいしょっと」トスン

りみ「……おたえちゃん?」

たえ「もうすっかり涼しくなったね。私、金木犀の匂いって好きだなぁ」

りみ「……うん」

たえ「でもまりなさんは『いい匂いなんだけど、どうしてもトイレの匂いだって思っちゃうんだよなぁ』って言っててね、なんでだろう?」

りみ「……さぁ」

3: 名無しさん 2018/09/14(金)12:00:15 ID:MJF

たえ「ウサギもトイレって覚えるんだ。でもすごくはしゃいでる時とかはうっかりトイレの場所を忘れちゃうんだよ」

りみ「…………」

たえ「だからトイレもコミュニケーションの1つなんだよ」

りみ「……そうなんだ」

たえ「うん」

りみ「…………」

たえ「空が綺麗だと歌いたくなるね」

りみ「…………」

たえ「いざーゆけー、はなーぞーのでんきぎたーぁーとべー♪」

りみ「…………」

4: 名無しさん 2018/09/14(金)12:01:39 ID:MJF

たえ「ふんふんふーん♪」

りみ「…………」

たえ「海、楽しかったなぁ。ギター弾きながら水に足浸けてみたいな。バタ足とかしながら」バタバタ

りみ「…………」

たえ「うーみーはーひろーいーなーおおきーいーなー♪」

りみ「…………」

たえ「ジャカジャーン♪」

りみ「……ねぇ、おたえちゃん」

たえ「うん?」

りみ「どうして隣にいてくれるの?」

たえ「あ、ごめん、うるさかった?」

りみ「ううん、そんなことはないけど……」

たえ「よかった」

りみ「……うん」

5: 名無しさん 2018/09/14(金)12:02:35 ID:MJF

たえ「りみ、ウサギみたいだから」

りみ「え?」

たえ「え?」

りみ「え、えっと……どういう意味?」

たえ「そのままの意味だよ?」

りみ「……そう」

たえ「うん。放っておけないなって」

りみ「……そうなんだ」

たえ「そうなんだ」

りみ「…………」

たえ「……天高く、秋の夕暮れ、ウサギ雲」

たえ「オレンジ色のウサギ……プロ野球のチームにいたような気がする」

りみ(おたえちゃんはいつもと何も変わらない様子で、今度は赤くなり始めた空をぼんやりと眺めていた)

りみ(それに少しだけ、強張っていた身体の力が抜けた気がした)

りみ(おたえちゃんの横顔をちらりとうかがってから、私は思い切って言葉を絞り出す)

6: 名無しさん 2018/09/14(金)12:03:41 ID:MJF

りみ「あの、おたえちゃん」

たえ「うん?」

りみ「……少し、話……聞いてもらってもいい?」

たえ「うん、いつでも、いつまでも聞くよ」

りみ「ありがとう」

たえ「どういたしまして」

りみ「…………」

たえ「…………」

りみ「……あのね」

たえ「うん」

りみ「憧れてた人がいてね」

たえ「うん」

7: 名無しさん 2018/09/14(金)12:04:45 ID:MJF

りみ「最初はちょっと怖い人だな、って思ってたんだけど、本当は全然そんなことなくて」

たえ「うん」

りみ「私のことを本気で考えて叱ってくれて……すごく優しくて、頼りになる人なんだなって」

たえ「うん」

りみ「その人のことをずっと考えちゃってて、憧れてて……でも、その人にはすごく仲良しな人がいたんだ」

たえ「うん」

りみ「この前、一緒にお茶したんだけど……仲良しな人のことを話すときは、見たことがない素敵な表情で、楽しそうに喋るの」

りみ「私もそうなりたいなって……その人にとっての、そういう存在になりたいなって」

りみ「でも……きっとその仲良しな人以外は、その人にとって特別になれないんだなってすぐに分かっちゃって、でもそんなに簡単に割り切れなくて……」

たえ「……うん」

りみ「何してるんだろうな、ってね……ちょっとだけ、考えてたんだ」

たえ「……そっか」

8: 名無しさん 2018/09/14(金)12:05:34 ID:MJF

りみ「…………」

たえ「…………」

りみ(少しだけ落ち込んだような声で相づちを打って、おたえちゃんは口を噤んでいてくれる)

りみ(私はその空気に安心して、頭の中を何度も巡っていた気持ちを吐き出した)

りみ「……勝手だよね。善意で助けてくれたのに、勝手に憧れて、勝手に裏切られた気持ちになって、塞ぎ込んで……」

りみ「みんなにも気を遣わせちゃってるよね。ごめ――」

たえ「私には謝らないでいいよ」

りみ「え……?」

9: 名無しさん 2018/09/14(金)12:06:24 ID:MJF

たえ「迷惑じゃないよ。りみが悩みごとを話してくれたんだもん。私は嬉しいし、こうやって隣に居られるのが楽しい」

りみ「おたえちゃん……」

たえ「それにね、淋しい時とか悩んでる時ってね、誰かが傍にいるだけでも違うんだ。ちょっとだけ楽になれるんだ」

たえ「そう……えーっと、知り合いの先輩が言ってた」

りみ「……知り合いの先輩……そっか……」

たえ「だから、りみの隣に私がいればりみも淋しくなくなって、私もりみの隣にいるのが楽しいから、Win-Winの関係だね」

りみ「……ありがと、おたえちゃん」

たえ「ううん。むしろ私の方がありがとう、だよ」

たえ「りみ、本当にウサギみたいだから」

りみ(優しい笑顔を浮かべて、おたえちゃんはそう言う。私はそれに少しだけ心が軽くなったような気がした)

10: 名無しさん 2018/09/14(金)12:08:08 ID:MJF

りみ「どの辺りがウサギみたいなの?」

たえ「えっとね、ウサギって寂しいと死んじゃうって言うでしょ?」

りみ「うん」

たえ「あれって、病気になってても何でもないように振る舞うせいなんだ」

りみ「そうなの?」

たえ「うん。それでね、飼い主が気付かないうちに弱っちゃって、ウサギがお留守番している間に死んじゃったりするんだ」

たえ「だから、独りで淋しくて死んじゃったんだって、きっとみんな思うんだ」

りみ「そうなんだ……」

たえ「りみと一緒だ」

りみ「え?」

11: 名無しさん 2018/09/14(金)12:08:46 ID:MJF

たえ「りみ、自分のこと話すの苦手だから。きっと色んなことを考えて、色んな悩みを持ってるんだろうなって」

りみ「…………」

たえ「だから放っておけないんだ。私にりみの悩みとか、考えてること、全部教えて欲しいっていつも思ってる」

たえ「えへへ、だから嬉しいな。りみの悩みが聞けて」

りみ「……そっか」

たえ「うん」

りみ「…………」

たえ「ふんふふーん♪」

12: 名無しさん 2018/09/14(金)12:09:41 ID:MJF

りみ「……おたえちゃんは優しいね」

たえ「え、そう?」

りみ「すごく優しいと思うな」

たえ「そっか」

りみ「うん」

たえ「……ふへへ」

りみ「え?」

たえ「あ、麻弥さんの口癖が……」

りみ「どうしたの?」

たえ「ちょっと嬉しくて、つい」

りみ「嬉しい?」

たえ「うんっ。好きな人に褒められたらみんな嬉しいよ」

りみ「…………」

りみ(おたえちゃんが何ともないように放った言葉を聞いて、私はびっくりしてしまう)

13: 名無しさん 2018/09/14(金)12:10:42 ID:MJF

たえ「ん? りみ、固まっちゃったけどどうかした?」

りみ「え、えっと……おたえちゃん、いま好きって……」

たえ「うん。私、りみのこと大好きだよ」

りみ「そ、それって……」

たえ「えへ、嬉しいな。りみに優しいって言われるの、きっと世界中の誰に言われるより嬉しいよ」

たえ「大好きな人の傍にいられて、さらに頼られるのってすごく素敵なことだと思うんだ」

りみ「……うぅ」

たえ「あれ? 大丈夫、顔が真っ赤だよ、りみ?」

りみ「だ、大丈夫……」

たえ「そう? ならよかった」ニコ

14: 名無しさん 2018/09/14(金)12:11:20 ID:MJF

りみ「…………」

たえ「ふんふんふふふーん♪」パタパタ

りみ(おたえちゃん……ご機嫌で足をパタパタさせてる……)

りみ(好き……大好きって……どういう意味、なのかな……)チラ

たえ「うん? 私の顔に何かついてる?」

りみ「う、ううん……」

たえ「そっか。よかった」

りみ「……うん」

15: 名無しさん 2018/09/14(金)12:12:32 ID:MJF

りみ「…………」

りみ(おたえちゃんは何でもないように笑う)

りみ(いつもと変わらない笑顔だけど、どうしてかそれがちょっとだけ眩しく見えた)

りみ(『好き』)

りみ(おたえちゃんの言う『好き』ってなんだろう)

りみ(私の持っている好きは、千聖先輩に感じたものとおたえちゃんに抱いてるものとだと、少し形が違っているような気がする)

りみ(前者はお姉ちゃんに対して近いもの。憧れであって、近付きたい存在)

りみ(それじゃあ後者は……どんな色の『好き』なんだろう)

りみ(おたえちゃんはたまによく分からないことを言うけど、しっかりしてて、私もポピパのみんなも助けてくれる)

りみ(一緒にいると落ち着いて、どんなことでも相談できて、話を真摯に聞いてくれる)

りみ(『好き』。『大好き』。私のこの気持ちの名前は……)

りみ「あの、おたえちゃん」

りみ(考えていたことから逃げるように、私は口を開く)

16: 名無しさん 2018/09/14(金)12:13:54 ID:MJF

たえ「んー?」

りみ(おたえちゃんは優しくあやすような声を出して、私へ顔を向ける)

りみ(それに少しだけ凝り固まった気持ちが緩んで、どうしようもない本音が喉元までせり上がってくる)

りみ「……あのね?」

たえ「うん」

りみ「今だけでいいから……ちょっとだけ、甘えさせて欲しいな……」

たえ「ううん」

りみ「やっぱり、だめ……?」

たえ「そうじゃなくて、今だけじゃなくていいよ」

りみ「あっ……」

りみ(そう言ったかと思うと、おたえちゃんのスラリとした腕が私を優しく抱き寄せる)

りみ(私はされるがままにその腕の中にすっぽりと収められてしまう)

17: 名無しさん 2018/09/14(金)12:15:12 ID:MJF

たえ「りみだったらいつでも大歓迎だよ。いつまでだってこうしてられるから」

りみ「……うん」

りみ(おたえちゃんの胸元で微かに頷く)

りみ(その頭に温かな手がそっと乗った)

りみ(とくん、とくん)

りみ(おたえちゃんの穏やかな鼓動のリズムに合わせて、髪の毛が優しく梳かれる)

りみ(そのリズムに、柔らかな体温に、心がどんどん温かくなっていく)

りみ(気付いたら私はおたえちゃんの背中に手を回して、キュッと抱き着いていた)

たえ「やっぱりりみ、ウサギみたい」

りみ(頭の上から優しい声が降り注いできて、それが胸をくすぐる)

りみ「うん……」

たえ「大丈夫だよ。私はいつでも味方だから」

りみ「うん」

18: 名無しさん 2018/09/14(金)12:16:44 ID:MJF

りみ(好きってなんだろう)

りみ(おたえちゃんにあやされながら、さっきまで考えていたことが再び頭の中に浮かぶ)

りみ(答えは出そうにない。でも、もう考えなくてもいいや)

りみ「……好き」

りみ(どんな色かは分からないけど、好き)

りみ「私も……おたえちゃんが大好き」

たえ「うん。嬉しい」

りみ(囁くようにおたえちゃんが呟く)

りみ(おたえちゃんは私が好きで、私もおたえちゃんが好き)

りみ(だからもう好きの形なんて考えなくてもいいや)

りみ(それだけで……幸せだから)

19: 名無しさん 2018/09/14(金)12:18:07 ID:MJF


―少し離れたところ―

氷川紗夜「…………」

白金燐子「…………」

紗夜「……あのくらいであればとやかく言う必要はないんですけどね」

燐子「……そうですね……。どこか微笑ましい……ですから……」

紗夜「ピュアですね」

燐子「はい……非常にプラトニックだと……」

紗夜「だからこそ、余計にロゼリアの異常さが浮き彫りになってしまうのよね……」

燐子「…………」

紗夜「……ロゼリアと言ってしまうと白金さんと宇田川さんと私も括られてしまいますね。ごめんなさい、言い過ぎました」

燐子「いえ……」

20: 名無しさん 2018/09/14(金)12:19:54 ID:MJF

紗夜「…………」

燐子「…………」

紗夜「一昨日のことですが」

燐子「……はい」

紗夜「…………」

燐子「…………」

紗夜「……すみません、聞かなかったことにしてください」

燐子「また……友希那さんと今井さんですか……?」

紗夜「……ええ」

燐子「……あの、いいですよ……?」

紗夜「え?」

燐子「この前は……わたしが愚痴を聞いてもらいましたから……」

燐子「だから今度は……氷川さんの愚痴を……聞かせてください……」

紗夜「しかし、恐らく聞いていて気持ちのいい話ではありませんよ」

21: 名無しさん 2018/09/14(金)12:20:39 ID:MJF

燐子「なら……なおさらです……」

燐子「1人で抱え込んじゃ……ダメです……」

紗夜「…………」

燐子「それとも……わたしじゃやっぱり……頼りないですか……?」

紗夜「……いいえ。これ以上に頼れる人はいません」

紗夜「では……申し訳ありませんが、少し付き合ってください」

燐子「はい……喜んで……」

紗夜「またファミレスにでも行きましょうか」

燐子「そうしましょう……」


おわり

22: 名無しさん 2018/09/14(金)12:22:00 ID:MJF

甘やかされるりみりんが見たいと思っていたらどうしてかこうなりました。

大変申し訳ありませんでした。