1: 名無しさん 2018/10/08(月) 02:44:42.654 ID:4C7XFVuo0
元勇者「キミのことは好きだから、楽に殺してやろうと思っていたのに。立ちあがるんなら、仕方ないよね。」

元勇者「ボクの思い通りにならない手足なら……取っちゃわなきゃ。ほら、動かないで。」

元勇者「……ふふ、もう声をあげることすら出来ないくらい、衰弱してるんだ…。それでも、まだ死のうとしない…。」

元勇者「気が変わった。そんなに生きていたいなら、ずーっと生きてればいいよ。ボクが手伝ってあげる。」

元勇者「ほら、これで少しは元気が出た?…………当たり前じゃないか。ボクは勇者なんだよ?魔法で傷を癒すくらい、容易いことだよ。」

元勇者「……手足がもがれても、体力が有り余ってるなんて……くくっ、おかしいね。気持ち悪いなぁ、くふふっ…。」

元勇者「……ねぇ、面白いね。キミ、すごく面白いよ。ほんと、好きだなぁキミ。大好きだよ。」

元勇者「本当はもう少し早めに伝えておければ、こんなことにはならなかったんだろうけど……まあ……終わっちゃったものは仕方ないよね。」

元勇者「一度おかしくなっちゃったものは、おかしいまま進まなきゃいけないんだ。それは、分かるよね?」

元勇者「だから、もうボクに優しい言葉はかけないで。待ってるよとか、信じてるとか、そういうの……もう、聞いてるだけで辛いんだよ。」

元勇者「聞くだけで、暴れ回りたくなる。ボクのこの力を、ただただ破壊のためだけに用いて……周りを、静かにさせたくなるんだ。」

元勇者「本当にボクのことを想ってくれるなら、もうボクになにも期待しないで…。どうせボクはもとには戻れない。ボクのこと、殺してくれよ。」

元勇者「まあ…………キミにはもう、無理なことだけど。」

引用元: ・元勇者(♀)「へぇ……まだ立ち上がるんだ。残念だな。」

2: 名無しさん 2018/10/08(月) 02:45:23.095 ID:4C7XFVuo0
みたいなアンニュイなボクっ娘いいよね

10: 名無しさん 2018/10/08(月) 02:59:37.021 ID:4C7XFVuo0
元勇者「おはよう。よく眠れた?……そんなわけないよね。手足がなくなった違和感で、発狂しそうだったんだろう?」

元勇者「いっそのこと、発狂して狂人にでもなった方が楽だったかもね。だって、キミはこのまま一生死ねないんだから。」

元勇者「うん。一生。ボクはすでに永遠の命を勝ち得たけど、実はそれを与える力も授かったんだ。だから、キミも永遠。不老不死、ってやつなのかな。」

元勇者「あれからまた少し考えてみてね。キミのことは殺すよりも、生かしておいた方が楽しいってことが分かったんだ。」

元勇者「殺してしまうのは楽だし、面白いけど…………どうしてだろうね。キミのことを殺すのは、嫌なんだ。」

元勇者「今まであれだけ、人を殺してきたのに、おかしいよね。やっぱり、ボクはキミに特別な感情を抱いているのかもしれない。」

元勇者「……今となっては、もう、どうでもいいことだけど…。」

元勇者「それはそうと、お腹減ったでしょ。食事を用意したよ。……大丈夫。生かしてあげるって言ったでしょ。死ねるなんて思わないでよ。」

元勇者「はい、あーん。……どうしたの。食べてくれないの?ほら、美味しいよ。あーん。」

元勇者「……不老不死とは言ったけど、栄養を摂らないとあちこちが痛くなって苦しいだけだよ。今の体を維持するためにも、食事は摂らないと。」

元勇者「はい、あーん。…………はあ、面倒だな。わからず屋には、お仕置きだね。…………。」

元勇者「……大丈夫。今のキミにとっては痛いだけだから。死ねないから、どんなに傷をつけても痛いだけ。苦しいだけ。」

元勇者「でも、それは嫌だよね?だったら、ボクの言う通りにしなきゃ。ボクのこと怒らせたら、また刺すからね。分かった?」

元勇者「はい。それじゃあ、あーん。」

19: 名無しさん 2018/10/08(月) 03:08:28.183 ID:4C7XFVuo0
先日「ボクっ娘はクールな感じは出るけどヤンデレ・メンヘラ感は出ない」と言われたのでどうやったらメンヘラ感出るかなと妄想したら出た

26: 名無しさん 2018/10/08(月) 03:25:31.948 ID:4C7XFVuo0
元勇者「どう?久しぶりに外の空気が吸えて、少しは気分も良くなった?」

元勇者「……どうしたの、そんな顔をして。まあ、無理もないか。見知った風景がこれだけ変わっていたら、それは驚くよね。」

元勇者「……ああ、そういえば。キミが弱っているあいだ、何が起こってたか分からないんだっけ。」

元勇者「キミが参加していた解放軍だけど。あれ、滅ぼしといたから。面倒だから放っておいたんだけど、いい加減目障りでね。」

元勇者「そうそう、見知った顔も何人かいたね。前にボクとキミとで旅をしていた……あれ、なんて言ったかな……ええと……思い出せないな。」

元勇者「それと、ボクとキミに倒されたはずの、あいつも……いたっけ。どうしてキミが、敵だったあいつと行動を共にしていたの?」

元勇者「そういうの、気分悪いな。キミはボクの仲間なのに、どうして一度剣を向けた相手と仲良くしてるの?生意気だよ、うざったいな。」

元勇者「そう。だから、イライラしたからあの女は念入りに刺しておいたよ。癒して刺して、繰り返して……ちょっとは気分も晴れたけど、もう二度としないでね。」

元勇者「……なんて。仲間だったボクに剣を向けることもあるんだから、逆もまたあることだってことは、分かってるんだけどね。それでも、嫌なものは嫌だから…。」

元勇者「……それで何の話だったかな…。ああ、解放軍の話か。うん、容易かったよ。声だけは大きかったけど、ボクを視界に入れた途端、みーんな動けなくなっていたよ。ほんと、みーんな。」

元勇者「だから本当に、すぐに片が付いた。おかげでこうして予定よりもはやく帰ってこれたわけだけど……どうかな。嬉しい?」

元勇者「まあ、嬉しいわけはないよね。キミの仲間が殺されたわけだから。そりゃあ気分は悪いだろうし、ボクに対する恨みや憎しみもあるだろう。」

元勇者「でも、そんなものを持っていたところで、キミはもうどうすることも出来ない。ボクの首を締めることも、引っ掻くことすら出来ない。」

元勇者「分不相応な憎しみは、はやく捨てることをお勧めするよ。そんなもの、持っているだけ毒だから。」

元勇者「……少し、冷えてきたかな。そろそろ戻ろうか。温かいココアでもいれよう。」

29: 名無しさん 2018/10/08(月) 03:37:43.782 ID:4C7XFVuo0
時折なにかに取り憑かれたように鼻息荒く顔面を舐めまわしてくる元勇者さん
泣いているようでもあり怒っているようでもある

31: 名無しさん 2018/10/08(月) 03:39:06.491 ID:38XSEo0u0
冷たい顔で気持ち悪いとか言ったら一瞬凄く泣きそうな顔になるけどすぐに冷たい顔になりそうでかわいい

33: 名無しさん 2018/10/08(月) 03:45:38.556 ID:4C7XFVuo0
>>31
元勇者「………っ…。」

元勇者「…………。」

元勇者「……ごめん、ね。」

元勇者「でも……キミは、そんな気持ち悪いやつの手元に一生いるんだよ。そんな人間の足元で、死ぬことすら出来ずに日々をなぞっていくんだよ。」

元勇者「ごめんね。でも、ボクはキミのこと、好きだよ。」