491: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:01:34.82 ID:dDW5kg4Eo
光の勇者(以下、勇者)「くそっ、離しやがれ!」 

大地の魔女(以下、地女)「ええい、離すものか!」 

勇者「離せっつってんのがわかんねえのか!」 

地女「離れるなと言っているのがわからんのか!」 


風の四天王(以下、風王)「……僕は、二人まとめででも構わないよ」 

風王「さあ、始めようか……!」 


地女「! 来るぞ、勇者!」 

地女「……――説教だ!」 

勇者「だから、なんで俺を巻き込むんだよおおおおお!?」





引用元: ・地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」

492: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:05:36.76 ID:dDW5kg4Eo
風王「僕が、どうして怒っているかわかるかい?」


地女「光の勇者よ、油断するな!」

地女「あれが、奴のいつもの手なのだ!」


勇者「お前、そんなに風の四天王に説教されてんのか!?」


地女「うむ! 領地が隣だからな!」

地女「……ああやって、ポロッと自白するのを誘っているのだ!」

地女「あの手に、何度してやられた事か!」


勇者「そりゃあ、心当たりが多ければしてやられるだろうよ!」


風王「……」

493: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:10:17.05 ID:dDW5kg4Eo
風王「それじゃあ、単刀直入に聞くよ」

風王「火の四天王の婚約発表の場をぶち壊したのは――」


地女「光の勇者が指示した事だ!」

勇者「オイコラてめえええええ!?」

地女「俺は、最初は反対していたのだ!」

勇者「いや、そりゃしてたけど……!」

地女「ぬうう、光の勇者め! 人の幸せを妬むなど!」

勇者「違うからな!? いや、そうだけど……違うぞ!?」


風王「……」

494: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:14:30.46 ID:dDW5kg4Eo
風王「方法は、勇者が決めたのかい?」


勇者「違う! コイツが決めた!」

地女「かぁっ! 一回、パス!」

勇者「……なんだよ、それ?」

地女「パスした事により、方法を決めたのはお前になったのだ」

勇者「ふっざけんなよ!? 一回って事は――」

地女「察しが良いな! 俺は、あと二回パスを残している!」

勇者「コイツだ! コイツが決めた!」


風王「……」

495: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:18:56.45 ID:dDW5kg4Eo
風王「……じゃあ、方法を決めたのも勇者で良いさ」


勇者「はあっ!? おい、なんだよそれ!」

地女「むっ!? 裁定に文句をつけるつもりか!?」

勇者「ったりめえだろ!? 俺じゃねえからな!」

地女「ええい! 光の勇者よ、見苦しいぞ!」

勇者「風の四天王! 裁きは公平に行え!」

地女「風の四天王! 人生は平等では無い!」


風王「……」

風王「…………そろそろ、良いかな?」


地女・勇者「……はい」

496: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:24:35.00 ID:dDW5kg4Eo
風王「君達、バレないとでも思ったのかい?」

風王「僕が――風の四天王が、見逃すとでも?」


勇者「いや、だけど……」

地女「その……なあ?」


風王「事が公にならず、今も呑気にしてられるのは……」

風王「……一体、どこの四天王のおかげだい?」


地女「……」スッ…

勇者「っふ!……っくく、おい……手ぇ上げるなよ……!」


風王「この僕が! 風の四天王が、隠蔽工作をしたからだよ!」

497: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:29:35.53 ID:dDW5kg4Eo
風王「方法は、他にいくらでもあっただろう!?」

風王「どうして、赤龍王を襲ったりしたんだ!」


地女「その、な?……つい、カッとなって」


風王「そもそも! 上手くいっていた筈だろう!」

風王「放っておけば、火の四天王は君から離れた!」

風王「――光の勇者、どうして彼を煽ったんだ!?」


勇者「いや、なんか……つい、と言うか」


風王「つい、じゃないんだよ! つい、じゃ!」

498: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:37:14.31 ID:dDW5kg4Eo
風王「僕の苦労がわかるか!?」

風王「……ああ、言ってもわからないだろうね!」

風王「本当に……これだから、男ってやつは!」


地女「……」

勇者「……」

地女「……なっ、恐ろしいだろう?」ボソボソ

勇者「ああ……何も言い返せない」ボソボソ


風王「っ!」キッ!


地女・勇者「……何でもありません」

499: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:42:27.25 ID:dDW5kg4Eo
風王「……僕が、どうしてそこまでしたかわかるかい?」


地女・勇者「……」


風王「……」


地女「……」

勇者「……おい」ボソッ

地女「……何だ」ボソッ

勇者「……何か言えって」ボソボソ


地女「――サッパリわからん!」


風王「君に、死んで欲しくないからだよ!」

風王「あのね、そのくらい分かって貰えるかな!?」

500: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:52:52.23 ID:dDW5kg4Eo
風王「だから……死なれちゃ、困るんだ」

風王「そのためなら――何だってするさ」


地女「あー……つかぬ事を聞くがな?」

地女「……アレも見ていたのか?」


風王「……見たくなんてなかったさ!」

風王「けど、火の四天王の魔力があんなに高まったら……」

風王「……意識を集中せざるを得なかったんだよ!」


勇者「お前……凄いな」


風王「……うるさい、黙れ」

501: SSまとめマン 2018/11/14(水) 21:58:52.35 ID:dDW5kg4Eo
風王「アレが露見――水の四天王にバレていたら」

風王「水の四天王の事だ……」

風王「……きっと、火の四天王を手にかけていただろうね」


地女・勇者「……」


風王「そして――怒り狂った君は、水の四天王を殺しただろう」

風王「その怒りを鎮める事は……きっと不可能だ」

風王「それこそ……殺してしまわない限り」

風王「白羽の矢が立つのは……まあ、僕で間違いないかな」


地女・勇者「……」

502: SSまとめマン 2018/11/14(水) 22:07:07.52 ID:dDW5kg4Eo
風王「僕に……君は、殺せない」

風王「かと言って、殺されるのも御免だ」

風王「だって――僕は、君を手に入れたいんだから」


勇者「なあ……コイツが、何人に手を出してるか知ってんのか?」

地王「うむ!」

地王「俺が言うのも何だが……他に、良い男は居るぞ?」


風王「……かも知れない」

風王「いや……きっと、そうなんだろうね」


風王「――けど、僕は君が欲しいんだ」


地女「……風の四天王」


勇者「な、なあ……すまん、物凄く居辛いんだが……!?」

503: SSまとめマン 2018/11/14(水) 22:14:18.43 ID:dDW5kg4Eo
風王「終わり良ければ全て良し、って言うだろう?」

風王「……魔族の生は長いんだ」

風王「意中の相手に、過去に別の相手が居たなんて当たり前の事」

風王「……今は、それが偶然近い時期なだけ」


風王「――最後に、僕を選んでくれればそれで良い」


地女「……むう」


勇者「……!」

勇者(なんで俺が居るのにこういう空気出すんだよおおおお!!)

505: SSまとめマン 2018/11/14(水) 22:22:11.04 ID:dDW5kg4Eo
風王「……こんなに心の内を晒したのは、初めてだよ」

地女「あー……まあ、何だ」


地女「お前が、そこまで俺にこだわるのは……」

地女「――‘あの時’の事が、きっかけか?」


風王「……そうだね、‘あの時’からだよ」

風王「でなければ……体を許したりはしなかったさ」


地女「……むうう」


勇者「……!?」

勇者(‘あの時’って何だよ!?……なんて聞ける空気じゃねえ!)

506: SSまとめマン 2018/11/14(水) 22:32:58.81 ID:dDW5kg4Eo
  ・  ・  ・

地女「……風の四天王め」

地女「……」

地女「まさか……‘あの時’の事をそこまで……」

地女「……むううっ!」


地女「――答えは、いつまででも待つ」

地女「……と言われても! 俺は、どうしたら良いのだ!」

地女「光の勇者よ、助けてくれ!」


勇者「‘あの時’って何なんだよおおおおお!?」

507: SSまとめマン 2018/11/14(水) 22:46:35.29 ID:dDW5kg4Eo
  ・  ・  ・

風王「……」


風王(風を自在に操り、地に縛られた者達を蔑んでいた……あの時)

風王(僕は――君に破れた)

風王(気付いた時には……僕は地に転がり、君に見下されていた)

風王(敗北の屈辱を――恥辱を受けた)


風王「風が……地に負ける」


風王(有り得ないと信じられず……死を覚悟した)

風王(……いや、みっともなく……怯えた姿を見せた)

風王(そんな僕に……君は、手を差し伸べたんだ)


風王(――四天王として、俺と共に魔王様に仕えんか?)


風王(……なんて、満身創痍の姿で……笑いながら)

508: SSまとめマン 2018/11/14(水) 22:54:11.85 ID:dDW5kg4Eo
  ・  ・  ・

地女「光の勇者よ、俺が教えたとは……絶対に言うなよ?」

勇者「良いから、さっさと教えろ!」

地女「良いか? 絶対に言うなよ!?」

勇者「良いから言え! 気になるだろうが!」


地女「四天王になっての最初の命令が、奴の討伐だったのだ」

地女「もう、本当に運良く勝ててな! あれは豪運だった!」

地女「そうしたら、奴め……殺されると思ったのか、な?」

地女「まあ、なんだ……オシッコちびっちゃってな?」


勇者「あっ! これ、聞かない方が良かったやつだな!?」

509: SSまとめマン 2018/11/14(水) 23:19:04.30 ID:dDW5kg4Eo
  ・  ・  ・

風王「……!」ゾクッ!


風王(……ああっ、思い出すだけでも体が震える!)

風王(僕に、この感覚を与えてくれるのは君しか居ない!)

風王(……だから、絶対に君は死なせない)

風王(……生きて、僕に――)

  ・  ・  ・

地王『あー……なんだ……これで拭け、遠慮するな?』

  ・  ・  ・

風王「……!」ゾクゾクッ!


風王(――恥辱と、生の実感を与え続けてくれ!)

510: SSまとめマン 2018/11/14(水) 23:31:36.05 ID:dDW5kg4Eo
  ・  ・  ・

地女「……変に真面目で、プライドが高かった分……な?」

勇者「……歪んだのか」

地女「趣味嗜好は自由だが、奴は特殊でなぁ」

勇者「……まともな奴だと思ったのに……!」


地女「だからな……いくら俺でも、ちょっと責任を感じるのだ」

地女「まあ……これ以上は、な?」

地女「プライバシーというものは、大切にしなければいかん」


勇者「……ああ、そうだな」

511: SSまとめマン 2018/11/14(水) 23:47:18.28 ID:dDW5kg4Eo
地女「……だが、奴のお陰で助かったのだ!」

勇者「……まあ、今後は十分気をつけよう」

地女「うむ!」

勇者「風の四天王に関しては……まあ、頑張れ」


地女「……光の勇者よ」

地女「地属性の俺では……風属性の奴に、今はもう対抗出来ん」

地女「……いざという時は、頼むぞ」

地女「本当に責任は感じるが……ちょっと、本当に勘弁なのだ」


勇者「物凄くお似合いな気がしたが……」


勇者「……苦手属性は、しょうがねえよな」



おわり