797: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:27:06.78 ID:IBZFFyZFo
戦士「えっ!?」
賢者「はっ!?」
僧侶「へっ!?」
勇者「明日の魔王との決戦の前に、話しておこうと思って」
戦士・賢者・僧侶「遅い!!」
賢者「はっ!?」
僧侶「へっ!?」
勇者「明日の魔王との決戦の前に、話しておこうと思って」
戦士・賢者・僧侶「遅い!!」
引用元: ・地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」
798: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:29:51.00 ID:IBZFFyZFo
戦士「お前、今までは本気じゃなかったのか!?」
勇者「そんな事は無い」
戦士「! そうだよな! 何せ、伝説の剣も持ってるし!」
勇者「……その事なんだけどな」
勇者「……戦士」
勇者「明日は、お前がコレを使ってくれ」
戦士「やめろよ勇者! 伝説の剣を差し出すなよ!」
勇者「そんな事は無い」
戦士「! そうだよな! 何せ、伝説の剣も持ってるし!」
勇者「……その事なんだけどな」
勇者「……戦士」
勇者「明日は、お前がコレを使ってくれ」
戦士「やめろよ勇者! 伝説の剣を差し出すなよ!」
799: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:32:42.22 ID:IBZFFyZFo
賢者「勇者、貴方……本当に武道家なの?」
勇者「ああ、実は」
賢者「でも、伝説の鎧を装備出来てるじゃないの」
勇者「……ああ、これな」
勇者「……伝説の鎧」
勇者「正直、重くて動きにくいと思ってたんだ」
賢者「謝って! 手に入れるため苦労した私達に謝って!」
勇者「ああ、実は」
賢者「でも、伝説の鎧を装備出来てるじゃないの」
勇者「……ああ、これな」
勇者「……伝説の鎧」
勇者「正直、重くて動きにくいと思ってたんだ」
賢者「謝って! 手に入れるため苦労した私達に謝って!」
800: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:35:36.24 ID:IBZFFyZFo
僧侶「ほ、本当に武道家なんですか!?」
勇者「ああ、ごめんな」
僧侶「だ、だって! 伝説の盾もあんなに使いこなして!」
勇者「……ああ、あれか」
勇者「……実を言うとな」
勇者「見えないように、コッソリ手で捌いてたんだ」
僧侶「使いこなしてたのは、盾じゃなく体って事ですか!?」
勇者「ああ、ごめんな」
僧侶「だ、だって! 伝説の盾もあんなに使いこなして!」
勇者「……ああ、あれか」
勇者「……実を言うとな」
勇者「見えないように、コッソリ手で捌いてたんだ」
僧侶「使いこなしてたのは、盾じゃなく体って事ですか!?」
801: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:40:58.94 ID:IBZFFyZFo
戦士「だが! お前は、剣も使えるだろう!?」
勇者「使えなくは……無いけれども」
戦士「だろ!? 今まで、剣で敵を倒してきたじゃないか!」
勇者「……ああ、それは」
勇者「……こう、パッと剣から手を離してな」
勇者「ドカッと殴って、死んだ所を追撃で斬ってたんだ」
戦士「お前、そんな曲芸を今までやってたのかよ!?」
勇者「使えなくは……無いけれども」
戦士「だろ!? 今まで、剣で敵を倒してきたじゃないか!」
勇者「……ああ、それは」
勇者「……こう、パッと剣から手を離してな」
勇者「ドカッと殴って、死んだ所を追撃で斬ってたんだ」
戦士「お前、そんな曲芸を今までやってたのかよ!?」
802: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:44:49.70 ID:IBZFFyZFo
賢者「ねえ……伝説の鎧、邪魔なの?」
勇者「邪魔って程じゃ……無いけれども」
賢者「邪魔なのね!? あの苦労は何だったの!?」
勇者「……それには感謝してる」
勇者「……だから、ほら」
勇者「傷がつかないよう大事に保管しないと……な?」
賢者「決戦に着ていくつもりは無いって事ね!?」
勇者「邪魔って程じゃ……無いけれども」
賢者「邪魔なのね!? あの苦労は何だったの!?」
勇者「……それには感謝してる」
勇者「……だから、ほら」
勇者「傷がつかないよう大事に保管しないと……な?」
賢者「決戦に着ていくつもりは無いって事ね!?」
803: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:50:34.34 ID:IBZFFyZFo
僧侶「じゃ、じゃあ……私をかばってくれた時も!?」
勇者「こう、クルッと回し受けしてた」
僧侶「伝説の盾が役に立った事は無いんですか!?」
勇者「……いや、そんな事は」
勇者「回し受け出来ない攻撃とか、あるしな」
勇者「そういう時は……ほら、丈夫だし」
僧侶「傘感! いえ、正しい使いみちなんでしょうけど……傘感!」
勇者「こう、クルッと回し受けしてた」
僧侶「伝説の盾が役に立った事は無いんですか!?」
勇者「……いや、そんな事は」
勇者「回し受け出来ない攻撃とか、あるしな」
勇者「そういう時は……ほら、丈夫だし」
僧侶「傘感! いえ、正しい使いみちなんでしょうけど……傘感!」
804: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:53:19.22 ID:IBZFFyZFo
戦士「お、お前は伝説の剣に選ばれたんだろう!?」
勇者「……あー」
戦士「その剣を引き抜いて、勇者になったんだ!」
勇者「……実は、さ?」
勇者「刺さってた台座が普通の岩だったから、さ」
勇者「……あ、誰にも言うなよ?」
戦士「砕いたんだな!? 台座の岩を砕いたんだな!?」
勇者「……あー」
戦士「その剣を引き抜いて、勇者になったんだ!」
勇者「……実は、さ?」
勇者「刺さってた台座が普通の岩だったから、さ」
勇者「……あ、誰にも言うなよ?」
戦士「砕いたんだな!? 台座の岩を砕いたんだな!?」
805: SSまとめマン 2018/11/26(月) 21:58:37.23 ID:IBZFFyZFo
賢者「あの時の苦労は何だったの……!」
勇者「ごっ、ごめん……ごめんて」
賢者「謝らないで! 明日は、皮の鎧でも着るつもり!?」
勇者「……あ、いや」
勇者「皮の鎧もアレだし……」
勇者「少し前に買った、お気に入りの布の服で行こうかな、って」
賢者「決戦に、そんなカジュアルな感じで臨むつもり!?」
勇者「ごっ、ごめん……ごめんて」
賢者「謝らないで! 明日は、皮の鎧でも着るつもり!?」
勇者「……あ、いや」
勇者「皮の鎧もアレだし……」
勇者「少し前に買った、お気に入りの布の服で行こうかな、って」
賢者「決戦に、そんなカジュアルな感じで臨むつもり!?」
806: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:03:23.47 ID:IBZFFyZFo
僧侶「で、でも! 伝説の盾は役立つんですね!?」
勇者「まあ……時には」
僧侶「絶対! 絶対、明日の決戦は役に立ちます!」
勇者「……そう、かな」
勇者「左手に持った盾で、攻撃を塞ぐよりも……」
勇者「左のジャブで、攻撃させる暇を与えない方が……」
僧侶「左のジャブで、平和な世界を勝ち取るんですか!?」
勇者「まあ……時には」
僧侶「絶対! 絶対、明日の決戦は役に立ちます!」
勇者「……そう、かな」
勇者「左手に持った盾で、攻撃を塞ぐよりも……」
勇者「左のジャブで、攻撃させる暇を与えない方が……」
僧侶「左のジャブで、平和な世界を勝ち取るんですか!?」
807: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:06:36.78 ID:IBZFFyZFo
戦士「岩を砕いたんなら、お前は勇者じゃないのか!?」
勇者「あ、それは大丈夫だ」
戦士「わかってるのか!? 伝説の剣の重みを!」
勇者「……勿論だ」
勇者「この……伝説の剣が、俺に語りかけてきた」
勇者「――もう貴方が勇者で良いよ」
勇者「ってな」
戦士「伝説の剣、軽い!!」
勇者「あ、それは大丈夫だ」
戦士「わかってるのか!? 伝説の剣の重みを!」
勇者「……勿論だ」
勇者「この……伝説の剣が、俺に語りかけてきた」
勇者「――もう貴方が勇者で良いよ」
勇者「ってな」
戦士「伝説の剣、軽い!!」
808: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:10:50.04 ID:IBZFFyZFo
賢者「どれ!? どの布の服!?」
勇者「この服だ」
賢者「これは、体に張り付くような服で……動きやすそうね」
勇者「……それだけじゃない」
勇者「体にフィットして、動きを阻害しないだけじゃない」
勇者「この布の服、なんと……汗の吸収性も凄いんだ」
勇者「更に――通気性も、抜群だ」
賢者「運動着じゃないの!!」
勇者「この服だ」
賢者「これは、体に張り付くような服で……動きやすそうね」
勇者「……それだけじゃない」
勇者「体にフィットして、動きを阻害しないだけじゃない」
勇者「この布の服、なんと……汗の吸収性も凄いんだ」
勇者「更に――通気性も、抜群だ」
賢者「運動着じゃないの!!」
809: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:15:43.34 ID:IBZFFyZFo
僧侶「じゃあ、剣も盾も! 鎧すら要らないんですか!?」
勇者「まあ……うん」
僧侶「勇者様は、身一つで決戦に臨むと!?」
勇者「……いや、違う」
勇者「俺には、皆という仲間が居る」
勇者「仲間との絆が……最大の武器だ」
僧侶「勇者様……!」
僧侶「……」
僧侶「あ、違う! 結局、勇者様は身一つですよね!?」
勇者「まあ……うん」
僧侶「勇者様は、身一つで決戦に臨むと!?」
勇者「……いや、違う」
勇者「俺には、皆という仲間が居る」
勇者「仲間との絆が……最大の武器だ」
僧侶「勇者様……!」
僧侶「……」
僧侶「あ、違う! 結局、勇者様は身一つですよね!?」
810: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:22:38.99 ID:IBZFFyZFo
戦士「……決戦前の緊張を和ますための、冗談だろ!?」
勇者「戦士?」
戦士「俺には信じられねえ! 武道家だって、証拠を見せてくれ!」
勇者「……わかった」
勇者「はぁぁぁっ……!」
勇者「アァッタタタタタタタタタ! ホワチャァッ!」
勇者「……どうだ? 今の拳の連打は」
戦士「確かに凄まじい、が……掛け声はそんな感じなのかよ!」
勇者「戦士?」
戦士「俺には信じられねえ! 武道家だって、証拠を見せてくれ!」
勇者「……わかった」
勇者「はぁぁぁっ……!」
勇者「アァッタタタタタタタタタ! ホワチャァッ!」
勇者「……どうだ? 今の拳の連打は」
戦士「確かに凄まじい、が……掛け声はそんな感じなのかよ!」
811: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:27:52.33 ID:IBZFFyZFo
賢者「……でも! 万が一、攻撃を受ける事もあるわ!」
勇者「賢者?」
賢者「不意をつかれたら、どうするつもり!?」
勇者「……その時は」
勇者「――硬っ!」
勇者「こうやって、己の生命エネルギーを高め、肉体を鋼と化す」
勇者「……伝説の剣なら、ギリギリ刃が通るかな」
賢者「伝説の剣でもギリギリなの!?」
勇者「賢者?」
賢者「不意をつかれたら、どうするつもり!?」
勇者「……その時は」
勇者「――硬っ!」
勇者「こうやって、己の生命エネルギーを高め、肉体を鋼と化す」
勇者「……伝説の剣なら、ギリギリ刃が通るかな」
賢者「伝説の剣でもギリギリなの!?」
812: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:34:48.90 ID:IBZFFyZFo
僧侶「本当に……武道家なんですね」
勇者「ごめんな、今まで黙ってて」
僧侶「でも、どうして今になって……?」
勇者「……それは」
勇者「明日の決戦で、誰も失いたくないから……」
勇者「伝説の剣は――戦士」
勇者「伝説の鎧は――賢者」
勇者「伝説の盾は――僧侶」
勇者「……こう、それぞれ装備して欲しいんだ」
戦士・賢者・僧侶「……」
勇者「ごめんな、今まで黙ってて」
僧侶「でも、どうして今になって……?」
勇者「……それは」
勇者「明日の決戦で、誰も失いたくないから……」
勇者「伝説の剣は――戦士」
勇者「伝説の鎧は――賢者」
勇者「伝説の盾は――僧侶」
勇者「……こう、それぞれ装備して欲しいんだ」
戦士・賢者・僧侶「……」
813: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:38:57.82 ID:IBZFFyZFo
戦士「ま……そういう事なら、しょうがねえか」
勇者「戦士」
賢者「あ、この鎧って体型に合わせて形状が変わるのね」
勇者「賢者」
僧侶「この盾があれば、庇われなくても大丈夫です!」
勇者「僧侶」
勇者「……皆!」
勇者「明日の決戦は……絶対に、生きて帰るぞ!」
戦士・賢者・僧侶「おーっ!」
勇者「戦士」
賢者「あ、この鎧って体型に合わせて形状が変わるのね」
勇者「賢者」
僧侶「この盾があれば、庇われなくても大丈夫です!」
勇者「僧侶」
勇者「……皆!」
勇者「明日の決戦は……絶対に、生きて帰るぞ!」
戦士・賢者・僧侶「おーっ!」
814: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:42:40.27 ID:IBZFFyZFo
・ ・ ・
魔王「その伝説の剣……貴様が勇者か!」
戦士「いいや! この剣は借りてるだけだ!」
魔王「何? ならば……伝説の鎧を装備している、貴様か!」
賢者「いいえ! 私のこの鎧も、借り物よ!」
魔王「? な、ならば……伝説の盾を持つ、お前か!」
僧侶「違います! この盾は、私のじゃありません!」
魔王「!?」
魔王「その伝説の剣……貴様が勇者か!」
戦士「いいや! この剣は借りてるだけだ!」
魔王「何? ならば……伝説の鎧を装備している、貴様か!」
賢者「いいえ! 私のこの鎧も、借り物よ!」
魔王「? な、ならば……伝説の盾を持つ、お前か!」
僧侶「違います! この盾は、私のじゃありません!」
魔王「!?」
815: SSまとめマン 2018/11/26(月) 22:48:42.51 ID:IBZFFyZFo
魔王「ぬうう、誰が勇者なのだ!」
勇者「魔王! 俺が勇者だ!」
魔王「何、貴様が!? ええい、何とカジュアルな!」
勇者「……行くぞ、魔王!」
勇者「人々の願いが乗った、この拳で!」
勇者「必ずお前を――」
勇者「――撲殺してみせる!!」
戦士・賢者・僧侶「せめて『倒す』って言って!?」
おわり
勇者「魔王! 俺が勇者だ!」
魔王「何、貴様が!? ええい、何とカジュアルな!」
勇者「……行くぞ、魔王!」
勇者「人々の願いが乗った、この拳で!」
勇者「必ずお前を――」
勇者「――撲殺してみせる!!」
戦士・賢者・僧侶「せめて『倒す』って言って!?」
おわり
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