417 : ◇GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/10/29(水) 18:22:11.94 ID:LWth6hCg0
◆しすたーくえすと〜こころとここあの小冒険〜◆ 

――こころとここあの夢 森の中 

こころ「ここどこ?」 

ここあ「森のなかー!」 

こころ「にこにー? ママー? あんじゅちゃん?」 

ここあ「だれもいないにこぉ」 

こころ「どうしよう、ここあ」 

ここあ「わかんないにこ」 

魔法使い「可愛いお二人さん。私がすべきことを教えましょう☆」 

こころ「あんじゃちゃん!」 

ここあ「あんちゃんがいたー!」 

魔法使い「ち、違うよ! 私は今は魔法使いなの」 

ここあ「ちがうの?」 

魔法使い「そう。二人のお姉ちゃんのあんじゅちゃんは別人です」 

こころ「そっかー」 

ここあ「ざんねんにこ〜」 

魔法使い「代わりににこにーとあんじゅちゃんの居場所を教えてあげるにこ!」


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418 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:23:08.44 ID:LWth6hCg0
こころあ「ほんと!?」 

魔法使い「この道を真っ直ぐ行けば会えるよ。でもね、二人が通るのを邪魔する相手が居るんだ〜」 

こころ「じゃまはめっ!」 

魔法使い「そうだね。でも、二人の勇気があればどいてくれるよ。さぁ、頑張ってお姉ちゃん達の元へ辿り着いてね」 

ここあ「きえちゃった?」 

こころ「まほうニコ!」 

ここあ「まほうなのっ♪」 

二人は魔法使いの言う通りに森の中を歩きます。 

怖くないようにお互いに手を繋いで仲良しにこにこ姉妹。 

部分的に歌詞を間違えながらも、SMILEのお歌を歌いながら進んでいくと……。 

「きゅーっ!」 

恐怖の鳴き声と共に姿を現したのは――密林の大狸! 

大きくもないし、普通に可愛いたぬきの着ぐるみを着た穂乃果です。 

ここあ「たぬきさん!」 

こころ「森のなかにたぬきさんがいるにこ!」 

穂乃果「きゅーっ! 私はこの森に住む狸。ぽんぽこぽのかだよ。ぽこりんこっ!」 

ここあ「きゅ〜♪」
419 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:23:56.94 ID:LWth6hCg0
こころ「ぽこりんこ〜♪」 

穂乃果「あはは。このずっと先に二人のお姉ちゃん達が待ってるよ。でも、先に進むには問題に答えなきゃダメなんだ」 

こころ「もんだい?」 

ここあ「クイズのことかな?」 

穂乃果「うん。ちょっとしたクイズだね。三問正解したらこの先へ進めるからね。ファイトだよっ!」 

こころ「うん!」 

ここあ「がんばるにこ!」 

穂乃果「じゃあ第一問。私達スクールアイドルSMILEのリーダーは誰でしょうか?」 

こころあ「にこにーっ!」 

穂乃果「正解☆」 

穂乃果「じゃあ、続いての問題。穂乃果ちゃんは何を売っているお店の娘でしょうか」 

穂乃果「?パン ?お饅頭 ?イチゴ ?チョコレート」 

ここあ「いちご食べたい!」 

こころ「ここあ。きちんと考えるにこ!」 

ここあ「ごめんね。えっとね、なんだったっけ?」 

こころ「あまいのだった気がするの」 

ここあ「チョコレート?」
420 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:24:36.47 ID:LWth6hCg0
こころ「んーっと……あっ! おまんじゅう!!」 

穂乃果「二連続で正解☆」 

穂乃果「そうです。お饅頭を売ってる和菓子屋さんの娘です」 

ここあ「おまんじゅう!」 

こころ「あんこあまくておいしいにこ!」 

穂乃果「さぁ! 次は簡単にはいかないきゅーっ!」 

穂乃果「では三問目いくよ〜。恐竜はどこにいるでしょうか?」 

穂乃果「?ずっとずっと昔 ?ずーっと未来 ?夜の森の中 ?宇宙の向こう側」 

こころ「きょうりゅうさんどこー?」 

ここあ「きょうりゅうさんはね、おっきいの!」 

穂乃果「そうだよ。恐竜さんは大きくて可愛いんだよ。くぇ〜」 

ここあ「でもほんもののきょうりゅうさんみたことないにこ」 

こころ「こころも! だから?じゃないかも」 

ここあ「?は違うの!」 

穂乃果「じゃあ後は三つだね」 

こころ「うちゅうってお星さまがあるところ?」 

穂乃果「うん、そうだよ。お星様もお月様も太陽もあるところが宇宙なんだよ」
421 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:25:11.73 ID:LWth6hCg0
ここあ「うちゅうかー。お月さまにはうさぎさんがぴょんぴょん♪」 

こころ「じゃあきょうりゅうさんもいるのかなぁ?」 

ここあ「でもここあうさぎさんしかきいたことないにこ」 

こころ「じゃあ?もちがうにこ!」 

穂乃果「後は二つの内のどっちかだね。さぁ、どっちかな?」 

こころ「どっちかな?」 

ここあ「たぬきさんどっちー?」 

穂乃果「それを教えたらクイズにならないよ。もう少し頑張ってみよう」 

ここあ「そっか〜」 

こころ「きょうりゅうさんはどこにいるの?」 

ここあ「きょうりゅうさんはむかし? みらい?」 

こころ「どっちだろう?」 

ここあ「みらいだときょうりゅうさんいるってわからないよね」 

こころ「そうかも。じゃあ、むかしかな?」 

ここあ「ずっとずっとむかしー!」 

こころ「きょうりゅうさんはむかしにいるの!」 

穂乃果「凄いすごいっ! 二人共三連続正解だよ。そんな二人にはお饅頭をプレゼント☆」
422 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:25:54.35 ID:LWth6hCg0
こころ「ありがとー!」 

ここあ「おいしそうにこ! ありがとなの!」 

穂乃果「ううん。二人が頑張ったからだよ。この先にはこわ〜い森の魔女が住んでるから」 

穂乃果「気をつけて先を進んでね。それじゃあ、ばいばい。ぽんぽこりん♪」 

こころあ「ばいばーい!」 

こころ「このさきにまじょさんいるんだって」 

ここあ「おかしのおうちがあるのかな?」 

こころ「見てみたいニコ!」 

ここあ「ここあも見たいにこ!」 

二人はお饅頭を食べてから再び手を繋いで歩き出します。 

密林の大狸に出会った影響か、動物の鳴き声を奏でながら進みます。 

「やはりあやつでは行く手を阻む壁役にもなれませんでしたか」 

「尤も、穂乃果はSMILEで一番の新人。何故メンバーになれたかも不思議なくらいです」 

黒いローブを着た女性が道の真ん中で二人が来るのを待っていました。 

完全に痛い独り言を呟くのは――森の魔女! 

海未「この先を行きたくば私の出す問題に正解してみせなさい」 

ここあ「おかしのおうちはどこー?」
423 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:26:42.92 ID:LWth6hCg0
海未「え、おかしのお家ですか?」 

こころ「まじょさんのおうちおかしじゃないの?」 

海未「いえ、違います」 

ここあ「ざんねんにこぉ」 

こころ「見てみたかったにこぉ」 

海未「な、何やら物凄い罪悪感が……」 

海未「いえいえ! 森の魔女うみみ様ともあろうものが問題を出す前に負けていては狸以下です!」 

海未「森の魔女・別名蒼の神話の二つ名を持つ私は挫けません!」 

海未「ではお二人さん、いきますよ!」 

意気揚々とクイズを出した海未でしたが、大狸さんより簡単な問題であっさりと負けてしまいました。 

海未「私の番は省略ですか? あはは、良いんです。私はそういう損な役回りをするのが似合ってますから」 

海未「しかし、これでは私の方が口だけで一番弱い敵みたいではないですか」 

穂乃果「実際に海未ちゃんの方が直ぐに問題解かれちゃったじゃない」 

海未「うっ……穂乃果。居たのですか」 

穂乃果「ぽんぽこりん♪」 

海未「きゅ〜っ」 

こころ「おかしのおうちざんねんだったね」
424 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:27:25.16 ID:LWth6hCg0
ここあ「いってみたかったにこ」 

こころ「いつかいくにこ!」 

ここあ「うん♪」 

二人は笑顔で森の先へ歩いていきます。 

お菓子の家に行ってみたら何がしたいかを語り合います。 

ここあ「たべちゃダメなのかな?」 

こころ「たべちゃったらおうちなくなっちゃうよ」 

ここあ「こまっちゃうね!」 

「私の天使ちゃん捕まえたわ!」 

突然現れた金髪の蒼い目をした白いドレスを着た女の子――お姫様・エリーチカ! 

ここあ「エリーちゃん!」 

こころ「エリちゃんはっけんにこ!」 

絵里「二人共よくここまでこられたにこ。とっても偉いわ」 

こころあ「えへへ!」 

絵里「ここが最後の問題よ。私の問題に答えられたらにことあんじゅが待ってるの」 

こころ「そうなんだー」 

絵里「そうなの。何か先に質問とかある?」
425 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:28:13.91 ID:LWth6hCg0
こころ「エリちゃんはどうしておひめさまみたいなの?」 

ここあ「かわいいにこっ!」 

絵里「シスター王国のお姫様だからよ。他に何かあるかしら?」 

こころ「ううん、だいじょうぶー」 

ここあ「ここあもへいきー」 

絵里「ふっふっふ。では問題に移るわね。ジャジャン☆」 

絵里「第一問。私の実の妹の名前はなんでしょう?」 

こころ「アリサちゃん!」 

ここあ「アリサちゃんげんきかなぁ?」 

絵里「元気よ。あと百回も眠ったら日本に住むようになるわ」 

こころ「たのしみ!」 

ここあ「おにんぎょうさんあそびするやくそくなのー♪」 

絵里「その時はエリーチカお姉ちゃんも一緒に遊びましょうね」 

こころあ「うんっ♪」 

絵里「ふふっ。では第二問。チャチャチャン☆」 

絵里「私達六人姉妹の一番上のお姉ちゃんは誰でしょうか?」 

ここあ「にこにー!」
426 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:29:13.37 ID:LWth6hCg0
こころ「まって、ここあ。エリちゃんがいるよ」 

ここあ「そっか。エリーちゃんとにこにーどっちがお姉ちゃん?」 

こころ「たんじょびはにこにーがさき!」 

ここあ「でもあんじゅちゃんがエリーちゃんのほうが上っていってたかも?」 

絵里「こころちゃんとここあちゃんは本当に可愛いわねぇ」 

ここあ「そういえばいっかいだけにこにーがエリーちゃんをお姉ちゃんってよんでたの聞いたよ!」 

こころ「だったらエリちゃんがお姉ちゃんにこ!」 

ここあ「エリーお姉ちゃんにこ!」 

絵里「二問目も大正解よ。私は一番のお姉ちゃんだから一番甘えていいんだからね☆」 

ここあ「えへへ〜甘えるにこぉ」 

こころ「もぎゅっとするにこ♪」 

絵里「このまま森の中で幸せに暮らしたいけど、最後の問題をいくわ。ジャジャジャーン★」 

絵里「こころちゃんとここあちゃんはエリーチカお姉ちゃんのことをどう思ってますか?」 

こころあ「だいすきー!」 

絵里「ハラショー! 私もこころちゃんとここあちゃんのこと大好きにこ!」 

暫く二人とじゃれ合った後、絵里は二人を見送りました。 

海未「絵里……意外と言わせたがりなんですね」
427 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:30:00.18 ID:LWth6hCg0
穂乃果「問題というよりただの質問だったね」 

絵里「海未に穂乃果。……何のことだか分からないわ」 

海未「誤魔化されませんよ」 

穂乃果「明らかにぽんぽこぽのかが一番活躍してたよね」 

海未「……否定出来ません」 

絵里「こころちゃんとここあちゃんが可愛いから何でもいいわ!」 

海未「ダメなことを言ってるのに、随分と清々しい顔をしてますね」 

穂乃果「絵里ちゃんは海未ちゃんと違って自分に正直だもんね」 

海未「なんですかそれは?」 

穂乃果「あんなに嫌がってたのに、実際にやったら『穂乃果はSMILEで一番の新人』とか成りきってたよね」 

海未「なっ! あ、あれはっ」 

絵里「海未ってばそんな恥ずかしいことを言ってたの? ……ふふ、意外とお茶目さんなのね」 

海未「そのシスターズを見るような優しい目で私を見ないでください!」 

穂乃果「ぽんぽこりん♪」 

こころとここあは仲良くお喋りをしながら森を抜けました。 

広がっていたのは青空とお花畑。 

そして、にこにーとあんじゅの二人。
428 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:31:06.98 ID:LWth6hCg0
こころ「にこにー! あんじゅちゃーん!」 

ここあ「にこにーにあんちゃーん!」 

あんじゅ「二人共きちんとここまでこれて偉いにこ〜♪」 

にこ「おかえり! 今日はチーズハンバーグにこっ」 

こころあ「わぁーい♪」 

あんじゅ「今回の二人の小冒険はこれでおしまいです」 

にこ「なんで唐突にナレーション口調なのよ」 

あんじゅ「だって、そろそろ二人が目を覚ます時間だから」 

にこ「ああ、そういうことね」 

こころ「こころおきてるよ?」 

ここあ「ここあもきちんとおきてるの」 

にこ「ここは夢の世界よ。朝らしいから起きないとね」 

あんじゅ「こころちゃんここあちゃん。朝だよ〜起きて〜♪」
429 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:31:51.30 ID:LWth6hCg0
――矢澤家の朝食 

ここあ「ゆめでね、こころといっしょに森のなかをあるいたの!」 

こころ「きちんとさいごはにこにーとあんじゅちゃんに会えたんだよ!」 

にこ「二人共同じような夢を見たのね」 

あんじゅ「双子の奇跡かな? 今度私もにこと一緒の夢みよっと」 

にこ「見える訳ないじゃないの。それで、楽しい夢だったの?」 

こころ「うん! たぬきさんにあったんだよ」 

ここあ「まじょさんにもあったの。あとねあとね、おひめさまエリーちゃんにも会えたの!」 

あんじゅ「狸? 魔女? なんだか面白そう。にこと見る夢はどんなのが出てくるのかな?」 

にこ「見る前提で話を進めるんじゃないわよ。あんたと同じ夢見たら絶対に胃が痛くなるに決まってるわ」 

ここあ「にこにー。きょうのごはんはチーズハンバーグがいいにこ!」 

こころ「チーズハンバーグがたべたいニコ!」 

あんじゅ「お肉お肉〜♪ 今日は金曜日だし、きっとエリーお姉ちゃんも泊まりに来るね」 

にこ「絵里も週一で泊まりにくるのも恒例行事化してきたわね。よし、奮発してチーズハンバーグにしてあげるにこ!」 

にことあんじゅが同じ夢を共有する未来があるのかどうか……それは誰にも分からない。
430 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:33:26.24 ID:LWth6hCg0
>>398 訂正入れ忘れてました。一つ五百円のプリンです。 

◆アンチ先輩◆ 

初めて会った時は正直怖い思いをしたけれど、今では不思議と面白い先輩という位置づけになっています。 

この人が私のファンになってくれるまで頑張ろうと、変な対抗心もあります。 

ことり「先輩、こんにちは」 

先輩「……また来たの、南」 

ことり「また来ました!」 

先輩「わざわざ二年の教室に押しかけるとかどんだけ友達居ないのよ」 

憎まれ口を叩くツインテール……ではなく、ツーサイドアップの先輩は心底嫌そうな顔を浮かべます。 

でも本気で嫌ではないらしく、追い返されたりはしません。 

ことり「だから言ったじゃないですか。クラスに友達が居ないんです」 

先輩「英玲奈さんとかツバサさんとかと一緒に食べれば……いや、待ちなさい。それはそれでムカつくわ」 

ことり「ということで、一緒に食べに行きましょう」 

先輩「だからね、私はお弁当なの。分かる? 学食行く必要ないの。日本語理解できる?」 

ことり「はいっ! でも私お弁当作る時間ないので、学食に行かなきゃいけません。だから先輩も一緒に来てください」 

先輩「全く分かってないわよね。学食まで移動するだけで時間無駄な掛かるっていつも言ってるでしょ」
431 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:34:08.39 ID:LWth6hCg0
先輩「綺麗だし広いけど、UTX唯一の弱点は移動に掛かる時間が多いこと」 

ことり「芸能科なんですから、歩くこともまた健康の一つとして考えましょうよ」 

先輩「お昼終わったら次はハードなレッスンが待ってるから動きたくないの」 

ことり「準備運動にも匹敵しません。だから私と学食へ行きましょう」 

先輩「……南。あんたさー、初めて会った時は生まれたての雛みたいだった癖に強気よね」 

ことり「アンチ先輩をファンにするのが私の今の目標の一つだから」 

先輩「人をアンチ先輩とか変な別称つけてるんじゃないわ」 

ことり「ことりのファンになってくれれば、ファン先輩って呼ばせてもらいます♪」 

先輩「南は私をからかってる訳? 喧嘩売ってるなら買うわよ」 

ことり「では喧嘩は学食で売ります」 

先輩「……はぁ〜。分かった。行けば良いんでしょ行けば」 

何だかんだ良いながら食べかけていたお弁当を片付けて、一緒に学食に行ってくれます。 

ちなみに、ため息吐いた後に軽くそばかすを撫でるのがアンチ先輩の癖。
432 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:34:51.21 ID:LWth6hCg0
――学食 

学食はメニュー制ではなく、バイキング方式なので好きに取って食べられるのが魅力的。 
でも、これは生徒の事を思ってのことではないとアンチ先輩が教えてくれました。 
栄養面を自分で考えて摂取するという自立性と、食べ過ぎたりしないように制御する姿勢を作るためなのだそうです。 

先輩「距離があっても縮めればいいじゃん。わざわざ私のところまでこなくてもさー」 

ことり「迷惑ですか?」 

先輩「超迷惑!」 

ことり「それよりも今週のライブまた観にきてくれるんですよね?」 

先輩「そんなことで流すとか、メンタル面が成長したわね。スクールアイドルとしては良い傾向だけど」 

先輩「ライブは見に行くわよ。当然でしょ? 私は英玲奈さんに憧れているんだから」 

ことり「+南ことりのアドバイザーですよねっ」 

先輩「南の粗が目に付いて集中出来ないだけよ!」 

ことり「先輩の忌憚のない言葉はとてもありがたいです。今度クッキー焼いてきますね」 

先輩「クッキーなんて焼いてる暇があったら練習しなさいよ」
433 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:35:41.71 ID:LWth6hCg0
ことり「勝手なトレーニングは禁止されてますから。あ、イメトレとかは別ですけど」 

先輩「ふんっ」 

ことり「でも、どうして直す箇所が多い私がファンに受け入れられたんだろう。最近そんな疑問が浮かぶんです」 

先輩「メンタル強くなった割にはそういう細かいことを一々気にするのね」 

先輩「そういう若干目につくつたなさが回を重ねる毎に直っていくのもまた一つの応援要素なんでしょ」 

先輩「多くの人にとって欠点に映る筈の箇所が、あんたの魅力ってやつのせいでそう映らなくなっている」 

先輩「努力型のカリスマ性とでも言うのかしらね……。南の発する庇護欲がそう感じさせるんだと思うわ」 

先輩「欠点を魅力にする。最高の武器の一つじゃない。だからって甘えは許されないけどね」 

ことり「努力します」 

先輩「そう。努力があるからこそ魅力になる。怠惰になれば徐々にファンは消えるわ」 

先輩「これはわざわざ言う必要がないことだけどね。努力だけは認めるし」 

ことり「ありがとうございます♪」 

先輩「その嬉しそうな笑顔が無性に腹立つわ」
434 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:36:30.02 ID:LWth6hCg0
ことり「今日の放課後なんですけど、A-RISEの練習前に少し見てもらってもいいですか?」 

先輩「……強制的に見させるのに疑問符で訊いてくるんじゃないわ」 

ことり「だって先輩のアドバイス分かり易いですから。成長に絶対必要なんです」 

先輩「廊下であんたに因縁つけたことを本気で後悔してる」 

ことり「運命の出会いですね」 

先輩「運命なんて信じちゃいないけどさー」 

先輩「ま、南のお陰で英玲奈さんと会える口実が生まれることもまた事実だし。しょうがないわね」 

ことり「アンチ先輩は本当に後輩思いで素敵ですっ」 

先輩「いい加減その呼び方止めろっての」 

英玲奈ちゃんやツバサちゃんとは違う距離でアドバイスくれる先輩。 

お陰で今日も昨日の自分より一歩も二歩も前を歩く事が出来そうです。 

最高の私になれる為にも、もっともっと頑張りますっ♪
435 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:37:25.36 ID:LWth6hCg0
◆SMILE炎上◆ 

それは思い返すのも嫌になる出来事だったわ。 

スクールアイドルに限らず、やってはいけないブログの炎上。 

幸いにも評価を落とすというよりは、一時的なネタになっただけなのでまだいいけれど。 

勿論、原因となったのは私の愚妹。 
その出来事の産声を今でも覚えている―― 

あんじゅ「心を広くするための手段の一つとして本を読むことだと思うの」 

にこ「あんたはいつも唐突ね」 

海未「言っていることは正しいと思いますよ。私は武道の方を推しますが」 

絵里「自然を愛でるのもまた一つよね。私は花を見るの好きだし」 

穂乃果「みんな真面目だねぇ」 

海未「穂乃果は王子を目指すのならもう少ししっかりしてください」 

穂乃果「心の広さと強さは別物でしょ〜?」 

にこ「心が広いからこそ許容出来る範囲が増えるんだから、関係あるんだし別物じゃないでしょ」 

あんじゅ「珍しくにこ的には知的よりな発言♪」 

にこ「どうしてこれくらいで知的とか言われるのよ!」 

絵里「と、こんな風に直ぐに言い返すのは心が狭い証拠になるわね」
436 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:38:16.09 ID:LWth6hCg0
あんじゅ「流石エリーお姉ちゃん。ナイスアタック」 

絵里「あんじゅもナイスパスだったわ」 

にこ「ぐぬぬ!」 

海未「ふふっ。二年生組である三人は息ピッタリですね」 

穂乃果「一つだけ気になってたんだけど、見た目的にも性格的にもあんじゅちゃんの方がにこちゃんの姉じゃないの?」 

にこ「穂乃果はあんじゅのだらしなさを知らないからそんな戯言が言えるのよ」 

あんじゅ「その通りだよね★」 

にこ「あんたはあんたで少しは反省して進歩しなさいよ」 

あんじゅ「進歩してるよ。布団叩きをマスターしたもん」 

にこ「そんな事を誇ってる時点でおかしいのよ!」 

海未「そういう点は本当ににこに同情します。私にもだらしない穂乃果という幼馴染がいますので」 

穂乃果「えぇ〜!? そこで穂乃果の名前出されても困るよ。だって、家事くらい出来るもの」 

海未「出来てもしないのと出来ないの。ある意味で前者の方が性質が悪い場合もあるのですよ?」 

絵里「確かにそうね。穂乃果も一人暮らしを経験してみたらどうかしら?」 

にこ「完全にうちに入り浸ってるけど、一応あんじゅも一人暮らしよ」 

絵里「そういえばそうだったわね。完全に矢澤あんじゅでカウントしてたわ」
437 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:38:51.93 ID:LWth6hCg0
あんじゅ「うふふ♪」 

海未「そうだ、穂乃果もあんじゅを真似て私の家に入り浸ってもらって構いませんよ?」 

穂乃果「海未ちゃんのお家は居心地いいけど、入り浸ったら絶対に海未ちゃんと同じメニューとかさせられそうだし」 

海未「そうですね。母も父も穂乃果のことを気に入ってますから、今からでも遅くないと厳しく鍛えてくれるでしょう」 

穂乃果「全力で遠慮しておくよ!」 

にこ「あんたも一度海未の家に泊まって鍛えられてきたら?」 

あんじゅ「駄目ー。私はにこにーお姉ちゃんと一緒にいないと寂しくて死んじゃう妹だから」 

にこ「うさぎみたいなやつね」 

海未「兎が一匹では死んでしまうというのは俗説ですけどね」 

にこあん「そうなの!?」 

海未「もっとも一匹で居るよりは、複数で居た方が舐め合うことで衛生管理出来るそうです」 

海未「だから一匹だと早めに亡くなってしまう確立が高い為にそういう話が出来たのだと思います」 

絵里「海未は雑学の面でも優秀なのね」 

海未「いえ、たまたま知っていただけですので」 

あんじゅ「ということは! あんじゅはぁ〜兎よりか弱い存在ってことにこ〜♪」 

にこ「かつてあんた程にこの胃を傷つけたヤツはいないわよ。か弱いの意味を調べ直しなさい」
438 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:39:48.04 ID:LWth6hCg0
あんじゅ「か弱い。矢澤あんじゅの名称。又は非常に弱々しいさま。基本的に妹はか弱い」 

絵里「そうね、妹は姉が守らないといけないくらいにか弱い存在だわ!」 

にこ「……絵里、あんたは妹が関わると急に頭悪い発言をするようになるわね」 

絵里「あら、にこってば無粋ね。好きな人の為に泥を被ることが出来るのは素敵なことなのよ?」 

穂乃果「言ってることは正直どうかと思うけど、でもそれ以上になんだかカッコ良い!」 

海未「どこがですか」 

あんじゅ「流石エリーお姉ちゃん。にこにーに爪の垢を飲ませてあげたいよ!」 

にこ「面倒だからあんたも乗るんじゃないわよ。いつまでも脱線してないで、何か言いたかったんじゃなかったの?」 

あんじゅ「あっ、そうだった。あのね、ブログで色々とお勧めを書いていこうと思うの。どうかな?」 

穂乃果「お勧めって何のお勧めなの?」 

あんじゅ「最初は本が良いなって思ってて。テーマをそれぞれ決めて書いていくの」 

にこ「ふぅん。良いんじゃない? 好きな人と同じ好きを共有できるのって嬉しいものね」 

穂乃果「そうだね! 海未ちゃんやことりちゃんと一緒に食べるパフェとか一人で食べるより美味しいし」 

海未「素敵な試みだと思います。私も賛成です」 

絵里「じゃあ、今日のブログから始めましょうか。丁度あんじゅが担当だしね」 

にこ「ただこういうのってずっと続けると無理やり感が出てくるから」
439 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:40:26.48 ID:LWth6hCg0
にこ「最初にお勧めする物がなくなったら終了って書いておきなさいよ?」 

あんじゅ「了解!」 

ここまでは美談と言える展開だったかもしれないわ。 

別名『悲劇の前の和やかさ』とでも題してこのシーンを名画として後世に残したいくらいだわ。 

この二日後、ブログは炎上した……。 

にこ「ちょっとあんじゅ! あんた何を勧めたのよ!」 

あんじゅ「本ブームの時に一番衝撃的な展開だった本を勧めてみたんだけど……ねぇ?」 

にこ「……ねぇ? じゃないわよ! ……ねぇ? じゃないわよ!」 

あんじゅ「うふふ。にこってば二回も繰り返してるよ」 

にこ「そんな細かいことはいいのよ。ブログが炎上しちゃってるじゃない!」 

あんじゅ「そうなるとは薄々分かってたんだけど。いざそうなると驚きだね★」 

にこ「ふざけんじゃないわよ! 一体何を勧めたの? その内容を説明しなさい!」 

あんじゅ「説明するから落ち着いて。えっとね『人形屋敷の殺人』っていうミステリ本だよ」 

あんじゅ「普段本を読まないにこでも屋敷シリーズと言えば聞いたことあるんじゃない?」 

にこ「ないわよ」 

あんじゅ「……あっ。そう、だよね。にこにそんな話をする友達って居なかったもんね」
440 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:41:21.13 ID:LWth6hCg0
にこ「だから友達くらい居たっての!」 

あんじゅ「強がるにこに私の心は闇模様」 

にこ「どんな闇模様ってどんな模様よ」 

あんじゅ「誰も教えてくれる人が居なかったにこに私が説明してあげるね」 

あんじゅ「屋敷シリーズっていうのは普通のミステリと違って、色々と邪道な内容の物語なの」 

あんじゅ「普通のミステリ好きなら怒りそうな内容を平気で使ってくるんだよ。私はそこが良いんだけど」 

にこ「つまり奇をてらった作品ってことね。で、その人形屋敷はどんなのだったの?」 

あんじゅ「うん、ある男の人が殺人事件が起こった事を主人公に電話で話すところから始まるの」 

あんじゅ「でね、殺人犯に怯えながら早く来て欲しいってお願いするの」 

あんじゅ「……で、色々あって犯人はその男の人でね。主人公に電話してたっていうのは妄想だったの」 

にこ「は?」 

あんじゅ「だから、全部その男の人の妄想で、でも殺人だけは本当に起こしてたって話なの」 

あんじゅ「読み終わった後の置いてけぼりにされた感が半端なくて、この思いを誰かと共有したいって思ったから」 

あんじゅ「今回こういう気持ちを皆で共有出来て私は嬉しい♪」 

にこ「」 

あんじゅ「あの物語を読んだお陰で、もう大概の物語が許せるって思えるようになったよ」
441 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:42:29.57 ID:LWth6hCg0
にこ「あんたばっかじゃないの! そういうのはせめて身内で共有するから許されるのよ!」 

にこ「そんなトンデモ展開の本を勧められて、わざわざ購入して読んだ人の気持ち考えなさいよ!!」 

にこ「そりゃブログだって炎上するわよ。寧ろしない方がおかしいじゃない!」 

あんじゅ「でも言うでしょ? 赤信号、皆で渡れば怖くない……あ、車がっ」 

にこ「なんで最後に不吉な言葉が追加されてるのよ。あんたはスクールアイドルとしての自覚がないの!?」 

あんじゅ「最初から来年ラブライブに出場することを目標としてるんだから、今年は話題作り」 

あんじゅ「注目を浴びてから新曲や新しい試みで更に注目とファンを増やす。それが邪道シスターズのやり方だよっ」 

にこ「……はぁ〜。あんじゅはブレないわねぇ」 

あんじゅ「うふふ♪」 

にこ「炎上が収まってからファンが減ってたら、あんたにカレーはもう作らないからね」 

あんじゅ「大丈夫だよ!」 

にこ「自信満々ね。何かまだ策があるってこと?」 

あんじゅ「にこのカレー食べたいから土下座でも何でもして許してもらうから!」 

にこ「…………あ、そう」 

あんじゅ「寧ろ今から土下座PVを製作しなきゃ!」 

にこ「いや、逆効果だから止めなさいよ。嘘だから、カレー作ってあげるから」
442 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:43:23.97 ID:LWth6hCg0
私達の心配を他所に、ファンはSMILEらしいと大らかな心でネタとして受け入れてくれた。 

だが、被害に遭ったのはファンだけではなかった。 

基本的に真面目系メンバーである二人もまた今回の被害者。 

絵里と海未の制裁により、あんじゅは暫く普段とは違う意味で甘えん坊になったわ。 

あんじゅ「にこだけが私の味方だよぉ」 

にこ「いつもの変な鳴き声使う余裕もないのね」 

あんじゅ「夢の中まで絵里ちゃんと海未ちゃんが追いかけてくるの」 

にこ「仕方ないわねぇ……眠れるまで子守歌を歌ってあげるわよ」 

あんじゅ「うん、ありがと。にこおねーちゃん」 

にこ「やれやれ。今のあんじゅはここあより甘えん坊ね。安心しなさい」 

にこ「にこにーの魅力的な歌で素敵な夢世界にいざってあげるわ」 

あんじゅ「んふふ。誘うだよ」 

にこ「ふっふーん! 今回は本当にわざとよ。誘拐の後にうって書いていざなうよね?」 

あんじゅ「うふふふふ。にこにー大好き☆」
443 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:44:12.18 ID:LWth6hCg0
希『夢を叶えるスクールアイドル』 

成長するに連れ、見えなくなってしまったウチの世界 
そう言ったら大げさだけど、他の人には見えてなかった不思議な存在達 
今でもきっとそこに存在して、ここに居るよと鳴いているのかもしれへんな 

音ノ木坂学院に入学したてで理事長から廃校の知らせを聞かされたそんなある日 
ウチの前に一人……いや、一神様って方がもしかしたら正しいのかもしれない 
目を閉じたまま、佇む花のような不思議な香りをする少女の神様が現れた 

「素敵な夢を見たくない?」 

透き通っていながらも温かみの感じる声色 
いや、口は一切動いてないから声色というのも違うのかもしれんね 

「幸せな夢を叶える、そんな存在になってみない?」 

神様っぽいその存在の言葉にウチはただ沈黙する 
不思議な存在と会話するのは初めてではない 
天狗とも話したことがあるし、会話と言えないかもしれないけど小龍とも話したことがある 

ウチが言葉を出せないのは、胸に広がる初めての感覚に戸惑っていたから 
少し自慢の大きな胸が弾むかのように何かの予感を感じていた 
今までとは違う何かが始まることに期待するかのように
444 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:45:08.52 ID:LWth6hCg0
「これは一つの可能性。この先、起こりえる未来」 

視界が移り、卒業式の後であろう光景が目の前に広がった 
進学予定の音ノ木坂学院の制服を着た、今よりももっと大きい胸をした自分がそこに居た 
あの時の卒業式とは違う、一人輪に入れない異端な存在ではなく、周りに人が居る 
中でも自分と同じ色のリボンをした少女が二人 

一人は魅力的な金髪さんで、胸も現在のウチよりも大きくて背も高い 
少女漫画で主人公の少女が憧れる先輩みたいな感じやね 
もう一人は対照的に背が小さくて、眼鏡を掛けたツンっとした女の子 
秀才っぽい雰囲気も微かにするけど、小悪魔的な匂いの方が強い 

音ノ木坂はリボンの色で学年を表すので、この二人も一緒に卒業ってことやんね 
他の子は青いリボンが三つと赤いリボンが三つ 
ということは廃校は撤回、もしくは延長して後輩が出来た証 

九人が少し寂しそうに、でもそれ以上にとても幸せそうに何かを話して笑い合う 
友達が出来てもあくまで一歩外側の存在であってウチが、輪の中で笑ってる 
心のどこかでありえないと思って諦めていた光景がそこに在った 

気が付けば元の場所に戻っていて、神様の姿もそこにはなかった 
人はこういうのを厳格とか白昼夢って呼ぶんやろうけど、ウチは違う 
神様がくれたプレゼントなんだって思うんよ 

希「叶え、幸せな夢――!」
445 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/10/29(水) 18:46:11.71 ID:LWth6hCg0
大好きな父を失い、その悲しみの余り夢を失った矢澤にこ 
家族の前でしか笑うことができなくなり、学校では人付き合いから逃げるように勉強に力を入れる 
学力の上昇と引き換えに、視力を落として中学二年から眼鏡を掛けるようになった 

絢瀬絵里はバレエのコンクールの最中に足を怪我し、その怪我が治るも精神的なダメージにより踊ることが出来なくなる 
踊れなくなったことで、負い目を感じるようになり、中学三年からは一人日本へ引っ越した 
憂いを帯びた表情から大人びて映り、思春期の中学生には近寄りがたい存在となり、友人は出来ずに中学を卒業した 

そんな二人は運命に導かれるように音ノ木坂学院に入学を果たす 
直後に知らされる廃校問題 

二人にとっては些細な問題であり、自分達には関係がなかった 
しかし、一人の少女の介入によって運命は動き出す 

希「ウチの占いによると、三人が力を合わせれば廃校はひとまずなんとかなりそうなんよ」 
希「で、一つの提案としてスクールアイドルっていうのをやってみぃひん?」 

悲しみに捕らわれたにこ 
踊ることに恐怖する絵里 
臆することもなく、二人をあの幸せな夢の結末へ誘おうとする希 

にこ「……私はそういうの興味ありませんから」 
絵里「私も踊りとかそういうの駄目なの。ごめんなさいね」 

言葉以上に拒絶を示すその闇を宿す瞳 
でも、希は希望を照らす月であり、太陽であり、光にもなれる存在 

希「夢は諦めたらおしまいなんよ? だからウチは必ず皆が幸せになれる夢を叶えてみせる!」 

数えきれないくらいあるであろう未来の可能性 
だけど希が目指すのはたった一つのゴール 
それだけを信じて奮闘する 

廃校を覆し、訪れるであろう残り六人の後輩達との出会いを信じて 
笑顔で一緒に卒業できる最高の明日を青春の思い出とする為に! 

次回作は↑な感じの物語が書きたいなー。眼鏡秀才にこにー現る! 
時間の都合上今回はおまけだけ。本編(梅雨の話)は後日更新すると思います。
446 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/10/29(水) 21:01:15.52 ID:CoPZ5B6AO
次回作も見てみたいけどこの話が終わっちゃうのも嫌だな〜… 

乙です
447 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/10/29(水) 22:02:34.12 ID:KqpOwsbKo
乙 
ただただ期待
448 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/01(土) 01:18:00.20 ID:isNPp9l6O
乙乙 
こころあがすごく可愛かった 
更新が待ち遠しい!
449 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/04(火) 21:13:28.78 ID:akcXq4Vr0
次回作もこれの続きも楽しみ
450 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/05(水) 23:08:06.24 ID:rUkqFysb0
乙乙
451 : ◇GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/11/08(土) 19:32:15.13 ID:8j1qyaz90
◆梅雨入り◆ 

――二年目 六月 音ノ木坂 理事長室 にこあん 

にこ「取材、ですか?」 

理事長「そうです。秋色さんぽって御存知かしら?」 

にこ「いいえ。あんじゅは知ってる?」 

あんじゅ「ううん、知らないよ」 

理事長「そうですか。愛読者の多く居る、この周辺にスポットをあてた無料のタウン誌なのですが」 

にこ「無知ですみません」 

理事長「いえ、学生だと手に取ったりしないのかもしれません」 

あんじゅ「というか存在すら知りませんでした」 

にこ「秋葉に住んでいるとはいえ、寄る場所とか決まってるからね」 

理事長「SMILEにとっては当然ですが、学校にとっても良い宣伝になります」 

にこ「悪い面もない。これで金銭が関わってたら裏があることを疑う美味しい話ですね」 

あんじゅ「ただより怖いものはないって言うけどね」 

にこ「今回は関係ないでしょ。それよりどうしてSMILEにそんな話が掛かったんでしょうか?」
452 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:33:04.27 ID:8j1qyaz90
にこ「自分で言うのもなんですが、ラブライブ完全圏内の上位グループにはまだ届いていないのですが」 

理事長「下町商店街や地域活動の活性化に一役買っている存在として注目されているようですよ」 

理事長「実際に学校へ感謝の電話等も入ったりしてます。生徒会長である絢瀬さんに話を聞いてませんか?」 

にこ「聞いてません」 

あんじゅ「なるほど。そういうのにこの耳に入れるとドヤ顔して調子に乗るから黙ってたんだねぇ」 

にこ「実に腹立たしいわね。後で絵里を問い詰めなくちゃ」 

理事長「ふふふ。相変わらず仲が良いようですね」 

あんじゅ「はいっ。SMILEの半分は姉妹ですから」 

にこ「人にドヤ顔とか言っておきながら、あんたが今ドヤ顔してるんじゃないわよ」 

あんじゅ「うふふ♪」 

理事長「それで如何かしら?」 

にこ「いい話ですけど、なんだかスクールアイドルというより地域復興団体へのインタビューみたいですね」 

あんじゅ「いいんじゃないかな? 普通と違うことこそが邪道シスターズの生き様だし」 

にこ「ま、確かにね。生き様は言い過ぎだけど」 

あんじゅ「それに今回の話は悪名じゃなくて名誉での宣伝になるしね」
453 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:33:34.40 ID:8j1qyaz90
にこ「そうね。SMILEとしてはこの話を喜んで受けたいと思います」 

理事長「では取材の日時等はこちらで話し合いをする形でいいかしら?」 

にこ「はい、その辺の段取りは面倒かもしれませんが学院側に一任します。あの、一つだけ質問いいですか?」 

理事長「何かしら?」 

にこ「生徒会長である絵里に話を通せば早かったんじゃないですか?」 

理事長「絢瀬さんがこういう判断は全てリーダーにお願いしますと言われてね」 

にこ「なるほどね」 

あんじゅ「一応にこがリーダーだもんねっ」 

にこ「一応じゃないわよ。満場一致でリーダーでしょうが!」 

あんじゅ「高確率で絵里ちゃんが選択される気がする〜。だけど私は勿論にこにーに投票するからね★」 

にこ「人を不安にさせておきながら、自分は見方アピールするんじゃないわよ。あざといっての」 

あんじゅ「最近にこがちょっとだけ鋭くなってきて寂しいにこぉ」 

理事長「ふふっ。先ほど言ってましたが、二人は本当に姉妹のようですね」 

あんじゅ「うふふ。よく言われます」 

にこ「このでっかい妹だけでなく、最近は姉まで無駄に増えましたけど」
454 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:34:13.86 ID:8j1qyaz90
あんじゅ「そんなこと言うと生徒会室でエリーお姉ちゃんがくしゃみするよ」 

にこ「どうでもいいわよ。理事長には前回の件といいその後のお寿司といい、本当に頭が下がります」 

理事長「学生の内は大人に迷惑かけるのは当然のことよ。ただ理由もなく甘えるのは駄目ですけど」 

あんじゅ「妹が姉に甘えるのは良いですよね?」 

にこ「あんたは何を訊いてるのよ!」 

理事長「二人は同い年ですし有りだと思いますよ。私も学生時代に友人に凄く甘えられましたから」 

あんじゅ「やっぱり甘えられると嬉しいものなんですか?」 

理事長「そうですね。信頼の証みたいなものですから」 

あんじゅ「よしっ! これからはもっと甘えるね!」 

にこ「待ちなさいよ。あんたの甘えるは普通の人と違って、私の胃にダメージを与えるから却下よ!」 

あんじゅ「まぁまぁ☆ 今回は少し変わった感じにするから」 

にこ「いや、意味分かんないわよ」 

理事長「青春ですね」
455 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:35:16.02 ID:8j1qyaz90
――同日 放課後 SMILE部室 

にこ「ということで、後日私達SMILEに取材が来るわ!」 

穂乃果「おぉ〜! なんだかわくわくしちゃうね。うちも時々雑誌の取材がきたりするけど」 

あんじゅ「穂乃果ちゃんのお家のお饅頭美味しいもんね」 

海未「ええ、穂むらの饅頭は絶品です」 

穂乃果「まぁ、お父さんは答えないからお母さんが取材を受けるだけなんだけど」 

絵里「有能な方は黙することの価値を知っているのよ。それに、お喋りが過ぎると色々ボロを出すからね」 

にこ「なんで私を見るのよ」 

絵里「深い意味なんてないにこ〜」 

にこ「明らかに他意がありますって語尾じゃないの!」 

あんじゅ「そうやって反応してたら本当に他意があるみたいに思われちゃうよ? ドンと構えるにこ〜♪」 

絵里「何か思うところがあるのかと思われちゃうわよ」 

にこ「ぐぬぬぬ! なんて胃に悪い姉妹なのかしら」 

穂乃果「にこちゃんは愛されてるねぇ」
456 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:36:14.83 ID:8j1qyaz90
海未「かなり歪んだ愛ですけど……。ところで取材の話なのですが、全員が受けるのですか?」 

にこ「当然でしょ。音ノ木坂学院スクールアイドルSMILEはこの五人なんだから」 

海未「……そう、ですか」 

穂乃果「あはは。海未ちゃんは恥ずかしがり屋さんだから取材受けたくないんだね」 

海未「正直受けたくありません」 

穂乃果「だいじょーぶ大丈夫。何かあっても穂乃果が海未ちゃんをフォローしてあげるから」 

海未「そういう時の穂乃果の信頼度は溺れてる時の藁以下だと思うのですが……」 

穂乃果「海未ちゃん酷いよ〜」 

海未「日頃の行いの所為です」 

絵里「くすっ。穂乃果はだらしないところが目に付くものね」 

にこ「愚昧より断然マシだと思うわ」 

あんじゅ「じゃあ穂乃果ちゃん。私とだらしない対決でもしようか!」 

穂乃果「負けないよ!」 

絵里「その勝負は勝ったらダメでしょ」
457 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:36:52.08 ID:8j1qyaz90
穂乃果「おっと、そうだった」 

にこ「勝負する前にあんじゅの負けだからする意味ないわよ。取材の件は理事長から絵里に伝えてもらうからよろしくね」 

絵里「ええ、任されたわ」 

あんじゅ「取材楽しみだね。どんな事を聞かれるんだろう」 

海未「とても不安です」 

にこ「そんな不安になることないわよ。アイドル雑誌の取材って訳じゃないんだから。簡単な質問だけでしょ」 

穂乃果「それでもドキドキするよね!」 

あんじゅ「楽しみだよねっ」 

海未「二人のお気楽振りが今は羨ましいくらいです」 

絵里「もっと人気が出れば本物の取材とかもくるかもしれないわよ?」 

海未「……人気、出なくていいです」 

にこ「ラブライブに出場するのが目的な以上人気を蔑ろにする発言はダメよ。もっと自信持ちなさい」 

絵里「海未は人に自慢出来るくらいの能力があるんだし。後は気の持ちようよ」 

にこ「SMILEは海未が居なければ新曲が作れないわ。いつも言ってるけど少しは自信持ちなさい」
458 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:37:41.64 ID:8j1qyaz90
海未「スクールアイドルを始めてから少しは自信が付いたつもりなのですが」 

にこ(ラブライブ出場の鍵になるのは意外と海未の自信をどうやって付けさせるかに掛かってるかもね) 

穂乃果「でも私としては海未ちゃんは自信がないくらいがいいかなー。じゃないと怖いことになりそう」 

あんじゅ「怖いこと?」 

穂乃果「自信の付いた海未ちゃんって穂乃果にとっては最終兵器みたいな感じになりそうだから」 

あんじゅ「んー?」 

にこ「つまりは今以上に穂乃果に対して厳しくなる可能性が高くて恐ろしいってことね」 

絵里「海未の想いに応えた王子と同一人物とは思えないわ。穂乃果はもう少ししっかりしないとね」 

あんじゅ「目標とする王子様になるにはもっと頑張らないとダメだよ」 

にこ「あんたが言うとどんな良い言葉でも雲のように流れていくにこ!」 

あんじゅ「流れる雲は誰にも掴めない。でもあなたのハートを捕らえて離さない。矢澤あんじゅでーす♪」 

にこ「何よそれ。なかなか良いじゃない」 

あんじゅ「ふっふーんっ!」 

穂乃果「海未ちゃんもMCの時の台詞とか考えないとだね」
459 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:38:19.12 ID:8j1qyaz90
絵里「その場の空気によってアドリブで言えるともっと良いんだけどね」 

海未「私には性格的に厳しいです」 

絵里「そろそろ慣れてもいいと思うんだけど、生まれ持った物をどうにかするのは難しいわね」 

絵里(でもね、海未。人は切っ掛けがあれば変われるのよ。私のようにそれを貴女にも経験して欲しい) 

にこ「少しインタビューを受ける練習をしましょうか。皆始めてのことだからきっと緊張すると思うし」 

あんじゅ「賛成! お姉ちゃん達のインタビューは私に任せて★」 

にこ「あんたに任せたら関係ない質問で完全下校時間オーバーよ。私の時は絵里に任せて、他は基本私がするわ」 

あんじゅ「にこにー横暴。私やりたいこれ要望。でも健気な妹は我慢するのそれ辛抱!」 

にこ「なんで唐突に似非ラップなのよ」 

あんじゅ「言葉遊び大好きだからラップ面白いなって。にこをからかう一興になるかと思うんだけど」 

にこ「却下よ! ラップアイドルなんて流行らないわ」 

あんじゅ「……にこぉ」
460 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:38:57.17 ID:8j1qyaz90
――部室 穂乃果覚醒! 

にこ「……う〜ん」 

穂乃果「にこちゃんは何を悩んでるの?」 

にこ「次の衣装のデザインが思いつかなくてね。作詞よりは思いつくんだけど、枯れた感じがするわ」 

にこ「あんたの幼馴染のことりみたいにデザインに向いてればね。私は作る方が得意だから」 

穂乃果「にこちゃんって器用だよね。最初はほとんど全部担当してたんでしょ?」 

にこ「全部って訳でもないけど、出来る人がやらないと形にならないでしょ?」 

穂乃果「それはそうだけど」 

にこ「適材適所っていうよりも、やりたいって思う人が皆を引っ張らないとね。見返りは目に見えない物だからね」 

にこ「その見えない物をどう受け取るのか。今後どう活かしていくのか。穂乃果も少しは考えてみなさい」 

穂乃果「うーん、言ってることは分かるような分からないような」 

にこ「きっと穂乃果はまだ燻ってるのよ。何か切っ掛けがあれば今よりずっと上を目指せると思う」 

穂乃果「にこちゃんにとってのキラ星ちゃんみたいな?」 

にこ「そうね。ま、最近だと愚昧とシスコン姉もそうだけど。スクールアイドルになったからには上を目指して欲しい」
461 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:39:36.79 ID:8j1qyaz90
にこ「例え今この時に結果が出なくても構わない。いつか辛い時に支えになってくれればそれでいいの」 

にこ「アイドルって言うのは希望なの。落ち込んだ時に笑顔をくれる。安心させてくれる。ドキドキする」 

にこ「それってつまりは生きるってことだと思うのよ。だから希望なの。絶望すらも吹き飛ばす笑顔と同じ魔法よ」 

穂乃果「得る物は見えないけど、でも暇を持て余してた日々より今は断然楽しいよ!」 

にこ「そう言ってくれれば誘った甲斐もあるってもんよ」 

穂乃果「私もね、今より頑張りたいなって思うんだ。だけど、どうしてかやる気が加速してくれないの」 

穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃんを守れる王子様になりたいんだけどなー」 

にこ(やる気の問題。でも、穂乃果は元々元気系で一直線に進むタイプなのよね) 

にこ(スクールアイドルっていう新しいスタートを切ったら突き進むかと思ったんだけど何が原因なのかしら?) 

にこ(海未の時を思い出してみましょうか。穂乃果と違って無理やりに引き込んだのにやる気は十分) 

にこ(海未にあって穂乃果にないもの。……あっ、盲点ね。あんじゅか絵里が居たら呆れられてもしょうがないわ) 

にこ(SMILEで唯一穂乃果だけが役割を持ってない。だからエンジンが掛かりきらないのね) 

にこ(親族の集まりに何も知らない一人が紛れ込んでたら、そりゃ社交的でも普段通りには盛り上がれないわよ) 

にこ(といっても穂乃果に任せられる担当ってないのよね。いや、待って今正に私が直面してる問題があるじゃない)
462 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:40:29.93 ID:8j1qyaz90
にこ「穂乃果。あなたこれ描いてみない?」 

穂乃果「えぇっ!? ことりちゃんのはずっと見てきたけど、描いたりはしてなかったんだよ?」 

にこ「絵はそこまで上手くなくても平気だから、衣装デザインチャレンジしてみなさいよ」 

穂乃果「うーん……ま、いっか。二人じゃ練習にならないもんね」 

にこ「一応三人居るけどね。絵里は生徒会、海未は家の用事。そこのお馬鹿は完全に熟睡中」 

あんじゅ「すー……すはー」 

穂乃果「昨日寝たの遅かったの?」 

にこ「携帯小説に嵌ったとかで、朝方まで読んでたみたいよ。朝起こすのが大変だったんだから」 

穂乃果「あははっ。あんじゅちゃんは何にでも興味を示すんだね」 

にこ「いいことではあるけどね。知識がない人間はある人間の発想には届かないから」 

穂乃果「にこちゃんが言うとなんか色々な意味で説得力が増すね!」 

にこ「どういう意味ニコ!」 

穂乃果「てへへ♪」 

にこ「あんじゅみたいに笑って誤魔化すんじゃないわよ。とにかく描いてみなさい」 

穂乃果「えー。それって冗談じゃなくて本気で言ってるの?」
463 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:41:30.80 ID:8j1qyaz90
にこ「寧ろSMILEのメンバーは優秀な者の集いだからね。これくらいして貰わないと困るわ」 

あんじゅ「んふふ〜にこにーは何故リーダーになれたのか不思議なくらいだから……すぴー」 

にこ「なんてムカつく夢みてるのよ!」 

穂乃果「まぁまぁ。夢の中でもお姉ちゃん思いってことだよ」 

にこ「夢の中のにこくらい心穏やかにさせてあげたいのよ」 

穂乃果「とかいいながら優しい顔してるよ。本当ににこちゃんって生粋のお姉ちゃんだよね」 

にこ「ダメな妹の所為で最近そういうの言われ慣れたわ。無駄口叩いてないでチャレンジしてみなさい」 

穂乃果「はぁい。でもいざデザインって言われてもどんな風に描いていけばいいのか分からないんだけど」 

にこ「表側と裏側だけ描いてくれれば側面とかは私がどうにかするから」 

穂乃果「うーん」 

にこ「どうすれば分からないなら、ことりがデザインしてる時を思い出せば良いんじゃない?」 

穂乃果「あっ、そっか! ことりちゃんを思い出せば……むむっ。なんとかやれそうな気がしてきた!!」 

にこ「頑張ってみなさい」 

――― 
―― 
464 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:42:15.82 ID:8j1qyaz90
あんじゅ「夢で良かった〜。にこが不治の病に掛かって、崖の上にある闇医師の診療所で依頼するんだけど」 

にこ「あーもういいから。あんたの夢の話なんてどうでもいいっての」 

あんじゅ「四千万円だって言われて、どうしようもなくて。どんどんにこが衰弱していって」 

あんじゅ「言葉もにこにこ〜ってしか喋れなくなって。それはそれで可愛くて」 

にこ「衰弱してる人間に可愛いとか何を失礼なこと抜かしてるのよ」 

あんじゅ「とにかく良かった〜。にこはツンとした言葉を吐いてるからこそにこだしね。ツンデレにこにー♪」 

にこ「ツンデレとかいつの時代の流行よ? それに私はツンじゃないわ。私ほど素直な女の子も居ないでしょ」 

あんじゅ「素直だったら『にこはぁ〜あんじゅが大好きにこ〜』とか言ってる筈だよ?」 

にこ「あんたの中で私はどんなキャラなのよ」 

あんじゅ「タイトル風にするなら【素直になれない系女子〜私、ツンデレじゃありませんから〜】だよっ」 

にこ「訊くんじゃなかったと心底後悔する瞬間をありがとう」 

あんじゅ「お礼を言われる程のことじゃないよ♪」
465 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:43:03.86 ID:8j1qyaz90
にこ「本当にそうね!」 

穂乃果「出来たー! 衣装デザインなんて初めてだけど、なんとかなったと思う。見てみて!」 

にこ「ご苦労様。どれどれ……へぇ〜。可愛い衣装ね。アイドルに興味なかった子とは思えないわ」 

穂乃果「アイドルを意識したというよりは、ことりちゃんが好きそうな衣装を意識したんだ」 

あんじゅ「あっ、可愛い。にこのデザインとはまた違って新鮮かも☆」 

にこ「ちょっとこの辺とか作るのは大変だけど、可愛い衣装の為の苦労は惜しまないわ」 

にこ「次の衣装はこれで決まりね」 

穂乃果「本当にそれでいいの?」 

にこ「海未のこと言えないわね。もっと自信持ちなさい。これは胸を張っていいレベルの出来よ」 

あんじゅ「絵心は正直こころちゃんの方が上手だけど」 

にこ「私にさえ分かればそれでいいんだからこれくらいでいいのよ。変に上手く描こうとして時間掛かったら本末転倒よ」 

にこ「ということで、本日よりSMILEの衣装デザインを穂乃果に一任することにするわ。よろしくね」
466 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:44:04.02 ID:8j1qyaz90
穂乃果「私がSMILEの衣装デザイン担当?」 

にこ「一年生だからって甘えさせないわよ? 海未だって作詞担当してるんだから」 

あんじゅ「ちなみに私はにこのメンタルケアを担当してるんだよ」 

にこ「嘘吐いてるんじゃないわよ。あんたの担当は作曲でしょうが」 

あんじゅ「これでメンバー全員がそれぞれの役目を持ってるんだね」 

にこ「そういうこと。で、穂乃果返事は?」 

穂乃果「うん! 私やるよ。ことりちゃんからデザインのアドバイスとか聞いて可愛い衣装描いてみせる♪」 

にこ(いい笑顔。これで穂乃果のやる気は心配なさそうね) 

にこ「可愛くなかったら遠慮なく却下するから覚悟なさい」 

穂乃果「望むところだよっ。にこちゃんが唸るくらいのことりちゃんブランド式穂乃果を魅せてあげる」 

あんじゅ「にこにー部長は通常時は敗北しかしないから、穂乃果ちゃんにとっては安心安全な勝負だね★」 

穂乃果「そうだね☆」 

にこ「納得するんじゃないわよ!」
467 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:45:07.77 ID:8j1qyaz90
――UTX学院 学食 ことり 

先輩「で、今日は何よ?」 

ことり「えっ?」 

先輩「なんか嬉しそうだけど何かあった?」 

ことり「流石アンチ先輩。隠し事は出来ないですね」 

先輩「隠すつもりならその満面の笑みをどうにかしなさいよ。誰だって気付くわよ」 

ことり「私の一番の友達が音ノ木坂でスクールアイドルやってるんです」 

先輩「オトノキにスクールアイドルなんてあったのね」 

ことり「知りませんか? SMILEっていうグループなんですけど」 

先輩「A-RISE至上主義の私は余り他のスクールアイドルに詳しくないのよ」 

ことり「知ってますか? 私もA-RISEのメンバーなんですよ」 

先輩「私をからかってるの? 特待生ぼっちさん」 

ことり「はぅん。でも誰でも友達は一人から増えていくと思うんです。アンチ先輩は大事な一人目ですから」 

先輩「ま、友達ではないけど南の努力は私にとって刺激になるから必要ね」 

ことり「先月より評価が上昇してますね。これは来年になったらことりの大ファンになってます!」 

先輩「来年も南がA-RISEに残ってる保障はないけど」 

ことり「うふふっ。先輩は一日に何回憎まれ口を吐かないといけない病気なんですかぁ?」
468 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:45:53.67 ID:8j1qyaz90
先輩「ふんっ。言うようになったわね。その調子でもう少しインタビューの応え方を勉強しなさい」 

先輩「あれじゃ『私はいい子です』っていうのをアピールしてるみたいで応援する気が減るわ」 

先輩「南の場合その声があってこそ言葉に魔が宿るんだから。インタビュー受けするような物を学びなさい」 

ことり「でも正しいやり方みたいなコメントを勉強するのってちょっと違う気がするんです」 

先輩「違うって何が?」 

ことり「例え応援する気が減ったとしても、私は自分の言葉をファンの人に伝えたいんです」 

ことり「自分で考えて拙くてもいいから、ありのままの言葉を届けたいんです」 

先輩「ふーん。テンプレよりも自分の言葉、か。ネットに浸ってる子達には頭悪いと思われる選択かもね」 

先輩「でも、南はそれで良いのかもしれない。個性を大事にしてこそのアイドルだし、あんたらしい」 

ことり「ありがとうございます」 

先輩「でも南ってそういうちぐはぐっていうか、弱々しい反面強力な面も兼ね備えてるわよね」 

ことり「私の幼馴染二人の影響だと思います」 

先輩「人の良い面を吸収して成長する。もしかしたらあんたの一番の武器はそこなのかも」 

ことり「そうでしょうか?」 

先輩「自分より優れた人間に嫉妬するんじゃなくて、逆にその魅力を取り入れる。最高じゃない」 

先輩「諦めない限りいつまでも最高を目指せる。天性のアイドル体質なのかもね」 

ことり「ありがとうございますっ」
469 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:46:58.46 ID:8j1qyaz90
先輩「私は直ぐに嫉妬しちゃうから本当に羨ましいわ」 

ことり「でも先輩は嫉妬しても何だかんだ優しいじゃないですか」 

先輩「優しいって人間は人に絡んだりはしないって」 

ことり「私に友達を作る切っ掛けを与えてくれたんだって、今はそう思ってます」 

先輩「……で、話戻すけどオトノキでスクールアイドルやってる子がなんだって?」 

ことり「そうでした。穂乃果ちゃんって言うんですけど、穂乃果ちゃんが衣装デザイン担当になったそうなんです」 

先輩「え、オトノキって衣装デザインとか自分でやってるの?」 

ことり「A-RISEの衣装は私がデザインしてるんですけど」 

先輩「そういえばそうね」 

ことり「普通の学校だと衣装も曲も振り付けも全部自分達で用意するみたいです」 

先輩「へー。で、なんで衣装デザインになったら嬉しいわけ?」 

ことり「ふふふ♪ 自分の好きな事を好きな人が共有してくれるのって最高じゃないですか」 

先輩「今までで一番嬉しそうだったわ」 

ことり「一番力にならなきゃいけなかった時に力になれなかった分、今回は力になれるのも嬉しい要素の一つなんです」 

先輩「なんだかよく分かんないけど、浮かれてこけたりするんじゃないわよ」 

ことり「はぁい!」
470 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:48:07.32 ID:8j1qyaz90
――取材終了後 部室 SMILE 

あんじゅ「取材の話がきた時はてっきりにこのドジフラグかと思ったけど、何もなく終わっちゃったね」 

にこ「なんて失礼なこと考えてたのよ」 

絵里「私もいざ取材になったら一番緊張して噛み噛みになるのかと思ったけどね」 

にこ「あんた等はどんだけ失礼なのよ」 

穂乃果「海未ちゃんも思ってたより平気だったね」 

海未「あれくらいでしたら問題ありません。私も成長している証拠ですね」 

にこ「海未の力じゃなくて緊張させないプロの力だけどね。取材慣れてるだけはあるわ」 

海未「」 

穂乃果「次は普通のスクールアイドル雑誌に取材されてみたいね」 

あんじゅ「もしそうなったら皆でにこにーポーズだね☆」 

海未「絶対に嫌です!」 

絵里「にこの全てを否定されたわね」 

にこ「なんであのポーズが私の全てになってるのよ。バカなこと言ってないで練習始めるわよ」
471 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:49:23.30 ID:8j1qyaz90
穂乃果「よぉ〜し! 今日も頑張ろう!」 

あんじゅ「最近の穂乃果ちゃんはやる気十分だね」 

海未「昔からスイッチが入るとこんな風になるんです。これこそが穂乃果という感じですね」 

にこ「やる気がある分には問題ないわ。それよりも問題なのは入梅して雨ばかりのこの天気よ」 

あんじゅ「お洗濯が外に干せないもんね」 

にこ「せめて自分で干すようになってから言いなさい。あんたが出来るの布団だけでしょ」 

あんじゅ「うん、布団だけ。でも布団はマスターしたからね。履歴書に掛けるよ!」 

海未「書けませんよ」 

あんじゅ「残念にこぉ」 

にこ「あんじゅ、あんたは本当に脱線女王ね。こっちの話が終わるまで黙ってなさい」 

にこ「で、最近雨ばかりの所為で体力作りが心もとないと思うのよ。外を走る訳にもいかないし」 

絵里「足元が滑り易くなってるから、これで強行して怪我したら正に本末転倒よね」 

海未「そうですね。それに風邪を患う可能性も高いですし」 

穂乃果「やる気があれば風邪もひかないし、こけたりもしないよ。くるくるくるくる〜♪」
472 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:50:29.91 ID:8j1qyaz90
にこ「根性論は却下よ。海未と絵里の意見が正しいわ。ということで、今日は階段ダッシュをするわ!」 

海未「階段ダッシュ……ですか?」 

にこ「ええ、そうよ。空き教室の多いあっちの階段なら人も居ないし迷惑にもならないでしょ」 

絵里「生徒会長としては事前に許可を――」 
にこ「――貰ってるわよ。ほら、これが条件よ」 

穂乃果「さっすがにこちゃん! 部長さんだけあるね。仕事が速いよ」 

海未「よく許可なんて下りましたね」 

絵里「これを許可と言うのはかなり強引ね。あんじゅの策かしら?」 

あんじゅ「……」 

にこ「もう喋ってもいいわよ」 

あんじゅ「復活! エリーちゃん、その通りだよ」 

海未「どういうことですか?」 

にこ「先生にはこの階段を掃除をするから人を近づけないように配慮するってことにしてるわ」 

にこ「階段付近に空き教室から椅子を運んで清掃中の札を貼っておくの。これで貸切の即席練習場の出来上がりよ」 

あんじゅ「勿論きちんと掃除はするから先生にとっては嘘も真実なんだよ」
473 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:52:57.74 ID:8j1qyaz90
穂乃果「邪道シスターズかっこいい〜」 

海未「やれやれ。相変わらず手段を選ばない人達ですね」 

絵里「今更でしょ? もう許可が下りてるのだからしなきゃ損だわ。用意して今日の練習を始めましょう」 

穂乃果「よ〜しっ! 久しぶりに思いっきり体動かすよっ」 

にこ「湿気でかなり蒸し暑いから汗が大量に出ると思うのよ。だから、適度に休憩代わりの掃除を入れるからね」 

にこ「足元踏み外したりして怪我をしたらいけないからね」 

あんじゅ「それに今日の練習は中距離というよりフルマラソンのようなイメージで走ってね」 

にこ「持久力をつけることがライブには必要不可欠だからね」 

あんじゅ「水分補給もいつもより多めに入れていくからね。脱水症状を甘くみないようにしないとダメだよ」 

穂乃果「うん!」 

海未「邪道ですがやるからには真っ直ぐ。本当に性質が悪いです」 

絵里「ふふっ。でも次はどんな裏の手で誤魔化すのか楽しみだわ」 

海未「自分にとって常識の外からの一手ですからね。ただ、今回は正直助かりました」 

絵里「どういうこと?」
474 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/08(土) 19:53:56.66 ID:8j1qyaz90
海未「穂乃果は本当に一直線に進むので、こうやって練習出来ないと雨の中でも勝手に走ってたと思います」 

海未「それで風邪を引いてしまい、二歩進んでから三歩下がるようなことをしていたかと」 

絵里「穂乃果ってそこまでする無茶をしちゃう子なの?」 

海未「ええ。常識に捕らわれてくれないという意味では、完全に邪道よりですので」 

絵里「二人には私から気を配るように伝えておくわね。SMILEは一人掛けても駄目だから」 

海未「お願いします。でも、不思議ですね」 

絵里「何がかしら?」 

海未「いけないことをするって言うのが少しドキドキして楽しいと感じてしまう自分が居るんです」 

絵里「癖になってきてる証拠よ。何だかんだ言って、海未の邪道シスターズ入りも近そうね」 

海未「ですからそれはありえません」 

絵里「……にこぉ」 



遅れました。恐らく今月が終わるまではかなり不定期で量も少なめかと思います。取り敢えず今回で物語は折り返し! 

二年目秋の物語につづく! ついにプロローグ以来出番のなかったあの子の出番!?

482 : ◇GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/11/14(金) 23:06:40.73 ID:JMOOc4YQ0
◆最終回風のにこと最後の一年◆ 

――二年目九月 放課後 教室 

にこ「……もう秋ね」 

あんじゅ「何だか色々イベントがあって、あっと言う間に夏が終わっちゃったねぇ」 

にこ「そうね。沢山のことがあって、色々と成長出来た。あんじゅには色々と感謝してるわ」 

にこ「もしあんじゅと出会ってなかったら、あの時に誰も残ってくれなくて一人でいじけて、きっと腐ってたと思う」 

にこ「こうして今もスクールアイドルで居られるのもあんじゅのお陰よ。ありがとう」 

あんじゅ「ど、どうしたの? 普段ならとっても嬉しいんだけど、何だか心が不安でそわそわしちゃうんだけど」 

にこ「私の素直な気持ちよ」 

あんじゅ「秋の所為なの? センチメンタルな季節がにこをおかしくさせちゃってるの?」 

にこ「掛け替えのない今という瞬間をこうして楽しめる。大人になって振り返ったら笑顔になれる」 

にこ「最高の宝物よ。いつか子どもが出来たとしても自慢出来るくらい素敵な時間をありがとう」 

あんじゅ「本当にどうしたの? 最終回みたいだよ。もしかして第一部完という名の打ち切り!?」 

にこ「何の話よ?」
483 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:07:33.80 ID:JMOOc4YQ0
あんじゅ「それはこっちの話だよ! にこってば今正気なの?」 

にこ「相変わらず失礼な奴ね。人に尋ねる言葉として相応しくない単語が混じってるじゃない」 

あんじゅ「だってこの後きっと『にこは走り出しちゃったのよ。この神田明神の男坂を!』とか言って終わりそう」 

にこ「はぁ?」 

あんじゅ「それか交通事故にあって意識が戻らなくなるようなフラグなのかな?」 

にこ「人が素直になってるんだから、あんたも素直になって受け取りなさいよね」 

あんじゅ「受け取り拒否! それなら『あんじゅ大好きにこ!』って言われた方が断然嬉しい」 

にこ「しょうがないわね〜。あんじゅ大好きにこっ!」 

あんじゅ「えぇっ!? 何これ! 前に言ってた夢をシンクロしようってフラグが今立ってるの? ザ・夢オチ!?」 

にこ「あんたが言われたら嬉しいとか言った癖に全然嬉しそうじゃないじゃない」 

あんじゅ「絶対に夢だよ。起きたらこころちゃんとここあちゃんに話してあげよっと☆」 

にこ「夢な訳ないでしょうが。これから全てが始まっていくんだからしっかりしなさいよ」 

あんじゅ「寧ろしっかりするのはにこなんだってば。本気で動揺を隠せないよ〜」 

にこ「普段は素直になれとか言う癖にやっかいな性格だわ」 

あんじゅ「にこの素直な発言は会場の外まで吹き飛ばされちゃうくらいのパンチ力があるって分かったよ」
484 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:08:25.37 ID:JMOOc4YQ0
あんじゅ「だから余り素直にならない方がにこはにこらしいなって思うよ」 

にこ「複雑過ぎるわ!」 

あんじゅ「はぁ〜……とっても怖かった。胸がドキドキを越えてバクバクしちゃってたもん」 

にこ「はいはい。それは悪るうございましたね」 

あんじゅ「お詫びに夕食はお肉がいいにこ〜♪」 

にこ「そうね。今日はあんじゅの好きなカレーにでもしましょうか」 

あんじゅ「キュンキュン♪ 訂正するね。素直なにこにーはとってもいいと思いますっ!」 

にこ「カレーが絡むと素直な発言も喜んで受け取るわけね」 

あんじゅ「決めた! にこは将来カレー屋さんを経営しようよ。私看板娘するから」 

にこ「人の将来をあんたの思いつきで決めようとするんじゃないニコ!」 

あんじゅ「食後の運動を兼ねて絵里ちゃんのダンス教室を隣に配置すれば完璧だね」 

にこ「絵里まで巻き込んで完璧からより遠ざかってるじゃない」 

あんじゅ「邪道シスターズは永遠に!」 

にこ「その台詞こそ最終回じゃない。今年のラブライブも終わったからこれからは気を引き締めなさいよ」 

あんじゅ「A-RISEの見事な優勝だったね」
485 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:09:14.10 ID:JMOOc4YQ0
にこ「ええ、賛美の言葉は世の中に沢山あるけど、本物を見た時に搾り出せる言葉はたった一つのシンプルな言葉」 

あんじゅ「知的キャラにチェンジしようとしても無駄にこ!」 

にこ「茶化すんじゃないわよ。来年のラブライブで私達の高校生活の全てが問われるわ」 

あんじゅ「高校生活の全ては言い過ぎだよ。スクールアイドルで得た全てが正しいかな」 

にこ「……色々なことがあった。悲しいことも、悔しいことも」 

あんじゅ「嬉しいこともあったし、忘れられないくらいドキドキした徹夜もあったよね」 

にこ「スクールアイドルをしなきゃ得られなかった思い出。その全てが今の私を与えてくれた」 

にこ「だから誰よりも輝きたい。ラブライブという最高の舞台で。結果よりも成果を魅せたい」 

あんじゅ「うん」 

にこ「私自身が一等星を目指す必要はない。私達はグループなんだから。仲間が居るんだから」 

にこ「四等星だって構わない。肉眼で見えなくったって心の目で輝きを魅せてやるわ!」 

あんじゅ「ずっと訂正入れたいなって思ってたんだけど、環境と視力で四等星も見えるんだよ?」 

にこ「……」 

あんじゅ「うふふ」 

にこ「さ、練習行きましょうか」
486 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:10:13.42 ID:JMOOc4YQ0
あんじゅ「あ〜にこってばいきなり通常モードに戻ったにこ〜」 

にこ「うっさいわね!」 

あんじゅ「にっこにっこにー♪」 

にこ「なんてムカつく妹なのかしら。もう少しその口を減らしなさいよね。寧ろ黙ってなさい」 

あんじゅ「女の子を静かにさせる唯一の方法って知ってる?」 

にこ「知らないわよ」 

あんじゅ「キスだよキス。だからにこってばエッチなことを言ってるんだよ」 

にこ「その発想するあんじゅがエッチなんでしょ!」 

あんじゅ「にこってば大きな声でエッチなんて単語使うのはスクールアイドル失格にこ〜」 

にこ「ぐぬぬ! なんて卑劣な性格なのかしら」 

あんじゅ「にこが元気出たみたいだから卑劣大歓迎★」 

にこ「……はぁ〜やれやれ。別に元気がなかった訳じゃないわよ」 

あんじゅ「にこの魅力は今この瞬間を楽しむことだよ。気負うと空回りするんだから、気楽に行こうよ」 

にこ「能天気おバカな愚昧に言われたくない台詞ね」 

あんじゅ「エリーちゃんに教わるよりあんじゅの方がマシにこ〜って泣きついてきた夏休みの宿題消化中のにこにー」
487 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:11:09.27 ID:JMOOc4YQ0
にこ「うっ! 嫌なこと思い出させるんじゃないわよ」 

あんじゅ「ああいうところはこころちゃんとここあちゃんに通じる可愛さがあるよね」 

にこ「そんなことで可愛いって言われて喜ぶバカは居ないわよ!」 

あんじゅ「来年の夏休みも宿題手伝ってあげるからね」 

にこ「あんたの手なんて借りなくても来年は一人で乗り切ってみせるわ。見てなさい!」 

あんじゅ「にこってばソレは完全にフラグだよ。間違いなく八月三十一日に泣いちゃうフラグだよ」 

にこ「泣かないわよ!」 

あんじゅ「にこにこ〜って言いながら一生懸命あたふたするにこ。涙で問題が読めないにこぉ」 

あんじゅ「あんじゅに手伝ってもらってればこんなことには……にこっにこ〜にこにこぉ。にっこにこ?」 

にこ「もはや最後は日本語になってないじゃない」 

あんじゅ「大丈夫だよ、にこ。私は言葉を失くしたにこでも面倒みてあげるからね」 

にこ「意味わかんないっての!」 

あんじゅ「つまりにこはあんじゅがお世話してあげないと駄目な子にこ♪」 

にこ「あんたの面倒みてるの私でしょうが!」 

あんじゅ「持ちつ持たれつ。姉妹って良いね☆」
488 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:11:52.36 ID:JMOOc4YQ0
にこ「持たれかかってるだけで何を抜かしてるのよ! こころだって最近は料理を手伝ってくれるのに」 

あんじゅ「ほら、私は作曲担当だからね。安易に指を怪我してピアノ弾けなくなると困るし」 

あんじゅ「にこの美味しい料理をブログに挙げる使命があるし!」 

にこ「……言い訳させたら勝てる気がしないわ」 

あんじゅ「うふふ。ほら、早く部室行こうよ。みんながにこにー部長の登場を待ちわびてるよ」 

にこ「この遣る瀬無さは練習にぶつけるしかないわね。よーし、今日も練習頑張るわよ!」 

あんじゅ「うん! 目指せラブライブ出場! こうして私達のスクールアイドルロードは始まっていく……。第一部完!」 

にこ「面倒だから突っ込まないからね?」 

あんじゅ「でもこうして反応してくれるにこ大好き♪」 

にこ「はいはい。私も大好き大好き」 

あんじゅ「う〜るる〜。雑な返しに妹涙」 

にこ「ふふっ。さ、今日も頑張るにこよ!」
489 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:12:35.05 ID:JMOOc4YQ0
◆読書の秋◆ 

あんじゅ「秋と言えば読書だよね!」 

にこ「読書限定って訳じゃないけど、何をするにも適した季節よね」 

海未「そうですね。秋を機会に書道をして集中力を高めるのはどうでしょうか?」 

あんじゅ「書道? いいね。私も中学生に上がるまでは習ってたよ」 

穂乃果「えぇ〜。書道は書き直しが出来ないから私は好きじゃないなー」 

海未「だからこそ集中出来るのではないですか。やり直せるという考えは甘えを生みますからね」 

にこ「だったら海未は暫く書道から離れた方がいいわね」 

海未「どういうことですか?」 

にこ「海未はもう少し甘えた方がいいからね。学園祭が終われば絵里がそろそろ本気出すんじゃない?」 

あんじゅ「絵里ちゃんは隠れ熱血だからね。攻略難易度MAXな海未ちゃんに燃え上がりそう」 

穂乃果「海未ちゃんを攻略!?」 

海未「何ですかそれは……」 

あんじゅ「攻略されると見事にエリーお姉ちゃんの妹ハーレム入り」 

海未「ありえません!」
490 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:13:18.04 ID:JMOOc4YQ0
にこ「私は攻略されてないけどね」 

穂乃果「でも、にこちゃんも絵里ちゃんのことお姉ちゃん扱いしてるよね?」 

にこ「空気の読めるにこは絵里の自尊心を満足させてあげてるのよ」 

穂乃果「あははっ。面白い冗談だね♪」 

にこ「何で冗談扱いなのよ!」 

あんじゅ「素直じゃないにこが攻略されてる時点で、海未ちゃんも赤信号だよ」 

にこ「攻略されてないって言ってるでしょ」 

海未「私はにこと違って単純ではありませんから」 

にこ「誰が単純よ。っていうか、あんたたちリーダーに対して最近態度がぞんざい過ぎよ!」 

あんじゅ「まぁまぁ。にこにー部長はマスコット(笑)だからね」 

にこ「その笑に悪意しか感じないわ。これは一度にこの素晴らしさを――」 
あんじゅ「――私には海未ちゃんが絵里ちゃんをエリーと呼ぶ未来が見えるよ!」 

海未「エリーって、そもそも絵里に流れてるのはアメリカ人の血ではなくロシア人なんですよね?」 

穂乃果「にこちゃん。どんまい、だよ!」 

にこ「穂乃果、あなたって良い子ね。SMILEの唯一の良心になるかもしれないわ」 

海未「エリーって呼び方はロシア人らしくないのではないですか?」
491 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:13:58.03 ID:JMOOc4YQ0
あんじゅ「そうなの?」 

海未「感覚的な問題なのかもしれませんが」 

あんじゅ「それだとロシア人らしい名前ってどんなの?」 

海未「エリーナでしょうか?」 

あんじゅ「エリーナか〜。なんか絵里ちゃんっぽくないね」 

海未「……話を戻しましょうか。にこがマスコット扱いの件ですが」 

にこ「よりによってそこに戻すんじゃないにこ! 戻すのなら読書の秋でしょ!」 

あんじゅ「そうだったね。読書の秋だしブログでお気に入りの本をお薦めするのなんてどうかな?」 

にこ「却下よ!!」 

海未「炎上したことを忘れたのですか?」 

穂乃果「あれはあれで忘れられないって意味では良い思い出だよね」 

あんじゅ「だよね。昔から言うもんね。喉元過ぎればにっこにっこにー♪」 

にこ「そんなこと言ったこともないわ」 

穂乃果「喉元過ぎればうっみうっみうー♪」 

海未「なっ、なんですかそれは! やめてください、まるで私が言ったみたいで恥ずかしいですから!」
492 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:14:34.50 ID:JMOOc4YQ0
あんじゅ「私のネタが穂乃果ちゃんに美味しく頂かれちゃったにこぉ」 

にこ「海未の今の気持ちは痛いほど分かるわ。でも、アイドルとしてうっみうっみうーはありかも」 

海未「うみうみうーなんてなしです! 絶対になしです!」 

穂乃果「凛々しい海未ちゃんが可愛いこと言うのはギャップがあって受けると思うんだけどなー」 

あんじゅ「エリーちゃんと一緒だったら更に威力が増すかも」 

にこ「次の新曲で曲間で何か可愛いポーズをやれる様にして欲しいわね」 

穂乃果「じゃあ今度の曲はうみちゃんと絵里ちゃんのWセンターだねっ」 

あんじゅ「曲名はクールビューティーかな?」 

にこ「それはないわ。もっと捻りなさいよ。……ブルーを入れたいところね」 

穂乃果「ブルーライト音ノ木なんてどうかな?」 

海未「全部却下です!」 

にこ「ま、新曲の話は絵里も交えて後にしましょうか。今の海未には冷却期間も必要だろうし」
493 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:15:10.49 ID:JMOOc4YQ0
あんじゅ「そうだね。でも、心のメモ帳にしっかり保存」 

海未「絶対に忘れてください!」 

にこ「それはフリ……なんでもないにこ」 

あんじゅ「それでね、脱線しちゃったけど話し戻すね。お薦めの本を――」 
にこ「――だから却下って言ってるでしょうが、この愚昧!」 

あんじゅ「今回は本気なのっ! にこのカレーに賭けて誓うから」 

穂乃果「賭けるのがカレーって」 

海未「物凄く締まらないですね。せめて神に誓うくらいしないと」 

にこ「それは命を賭けると同意ってことよね? 本気で作らないからね」 

あんじゅ「うん!」 

穂乃果「えぇっ!? 海未ちゃん、にこちゃんのカレーってそれほど凄いものなの?」 

海未「いえ、分かりません。確かに絵里も美味しいと絶賛してましたが……そこまでとは思いませんでした」 

穂乃果「そんなに美味しいなら、海未ちゃん食べた瞬間、目や口から光線出しちゃいそうだよね」 

海未「私にそんな機能はありません」
494 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:15:46.11 ID:JMOOc4YQ0
穂乃果「あるのは稀にする変顔だけかー」 

海未「そんなこともしません!」 

穂乃果(無自覚だったなんて、驚きの事実!) 

にこ「……どうやら本気みたいね。分かったわ。やってみなさい。正し、お勧めの本は一人一冊まで」 

にこ「人に薦める程の本がある人だけ。取り敢えず私と穂乃果はパスってことで」 

海未「懸命な判断です」 

穂乃果「穂乃果は本読むよ!」 

海未「少女漫画だけではないですか。男性ファンも居るんですよ? そういう購入し辛いのは駄目です」 

にこ「あの炎上あってからの再び本を薦める意味。きちんとあるんでしょうね?」 

あんじゅ「私を誰だと思ってるの? 邪道シスターズの策略家矢澤あんじゅだよ!」 

にこ「……今の言葉で物凄く不安になったけど、あんたを信じるわ。期待を裏切るんじゃないわよ?」 

あんじゅ「あんじゅにお任せだよ★」
495 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:16:32.25 ID:JMOOc4YQ0
――二日後... 

にこ「凄い反響ね。前回が嘘のようだわ」 

絵里「『騙されたと思って読んでみたら感動した』『同じ作者とは思えない』『良かった!』」 

海未「『最高でした』『あんじゅちゃん信じてた!』『屋敷の理由が素敵でした』」 

穂乃果「本当に絶賛ばかりだね。今度はどんなお話薦めたの?」 

あんじゅ「ふっふーん! 前回の薦めた屋敷シリーズの次回作である『時計屋敷の殺人』だよ」 

あんじゅ「今のところだけど屋敷シリーズで一番綺麗な物語でね、作者の良心なんじゃないかなって思ってるの」 

海未「よく同じ作者の、しかも同シリーズを薦められましたね。読んだファンも凄いですが……」 

絵里「あんじゅのことを信じて裏切られたファンが、今度は良い意味で裏切ったってことね」 

にこ「期待せずに読んだだろうから感動もより増したってことね。最初からここまで狙ってたの?」 

あんじゅ「私を誰だと思ってるの?」 

にこ「はいはい、私の邪道な妹矢澤あんじゅよ。邪道なことさせたら天下一ね」 

あんじゅ「うふふふふ♪」 

海未「……薦めようとしてた本があるのですが、この絶賛の後で挙げるのは無理ですね」 

穂乃果「今回はあんじゅちゃんの一人勝ちだね」 

絵里「あんじゅは私の自慢の妹ですもの。これくらいやれる子なのよ」 

あんじゅ「にこもエリーお姉ちゃんみたいに絶賛してくれてもいいんだよ?」 

にこ「しょうがないわねぇ。今日はカレーにしてあげるわ」 

あんじゅ「にこにーお姉ちゃん最高☆」
496 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:17:08.77 ID:JMOOc4YQ0
◆生徒会長同士 in UTX学食◆ 

絵里「お互いに生徒会長という立場ですから、来て頂いたお客さんを満足出来る学園祭にしたいですね」 

希「同い年で同じ立場なんだし、いい加減敬語やめへん?」 

絵里「そうね。今は生徒会長という以前に生徒同士という交流だし」 

希「これで気兼ねなく本音で喋れる」 

絵里「それで今日はどういう用件なのかしら?」 

希「学園祭のことで提案があってね」 

絵里「学園祭? 流石に今月末に行われるから今からだと流石に時間が間に合わないわよ」 

希「今年のじゃない。来年の話なんだけど」 

絵里「来年の?」 

希「共同でイベントとかやりたいんよ。日付が被れば一日目をUTXで、二日目を音ノ木坂でって出来るやん?」 

絵里「気持ちは分からないでもないけど、うちとUTXじゃ規模が違い過ぎるのよね」 

絵里「劣等感を感じるっていうと言葉が過ぎる気がするけど、やる気を削られるのは確かだと思うの」 

絵里「情けない事を言うわ。これは生徒会長としての立場からの意見なんだけど、リスクに対する見返りがないわ」 

希「尤もな意見だと思う」
497 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:18:12.04 ID:JMOOc4YQ0
絵里「だからその提案を受け入れることは出来ない。学校側の総意というならば理事長の判断に委ねることになるけど」 

希「学校の総意じゃなくて、これはウチの恩人が遺した夢」 

希「こちらも簡単に諦める訳にはいかない。A−RISEがそちらでライブをするとなれば十分な見返りがあると思うけど」 

絵里「A−RISEのライブをうちで!?」 

希「今回のA−RISEのライブチケットは三分で売り切れだったし、場所が違っても同じ結果を出すと確信してる」 

希「UTXが音ノ木坂と交流があることを示せばそれだけで音ノ木坂に注目も集まる筈だし」 

希「学院の名前を宣伝するにはこれ以上ないチャンスやと思うけど」 

絵里「それだと逆にこちらが切るカードがないわ。取引は対等でなければ成立しない。施しというなら遠慮なく断るわよ」 

希「ふふっ。カッコ良いね。ウチの右腕の副会長に通じる強さを感じる」 

希「施しなんかじゃないよ。これはただのウチの我がままなんよ」 

絵里「さっき言ってた恩人の人が関係している個人的なことだって言い張るわけ?」 

希「事実その通り。だから今日のことは副会長に内緒にしてるの」 

絵里「……どちらにしろ、私にとっては施しにしか思えない」 

希「意外と頑固だね」 

絵里「ええ、そうかも。私の妹達ならその提案を更に上手く調理するんだろうけどね」
498 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:19:08.65 ID:JMOOc4YQ0
絵里「私の安易な行動が後の音ノ木坂学院の生徒会に悪影響を与えるかもしれないから」 

絵里「施しに思われるような事実は残せないの」 

希「なるほど。でも、ウチもこればかりは譲れない」 

絵里「私も妥協出来ないわ」 

希「……」 

絵里「……」 

希「それなら何かで勝負して決めるっていうのは?」 

絵里「とぼけてる訳ではないし、忘れてるってことはないわよね」 

希「んー?」 

絵里「私は貴女に一つ借りがある筈よ。その借りを返すように要求すればスムーズに事を運べるじゃない」 

希「春のことりちゃん誘拐をアシストした時のこと言ってるん?」 

絵里「ええ。あの時、貴女が来てくれなかったら計画が破綻してた恐れがあるから」 

希「あれはこっちにもことりちゃんの成長というメリットあったし、そういうのを引き合いに出すのはフェアじゃないよ」 

希「対等な関係じゃないと一緒に学園祭を行う意味がないしね」 

絵里「……今回は私の負け、ね。そこまで言われたら拒むことなんて出来ないわ」
499 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:19:50.60 ID:JMOOc4YQ0
絵里「生徒会長としてでなく個人として東條生徒会長の意見、音ノ木坂に持って帰って返答を用意させてもらうわ」 

希「では絢瀬生徒会長の吉報を待たせてもらおうかな」 

絵里「音ノ木坂の理事長は話の分かる人だから、期待を裏切らないことを約束するわね」 

希「これは借りを返してもらった訳じゃないんだよね?」 

絵里「ええ、そうなるけど……もしかしてまだ要求があるの?」 

希「ウチは欲張りなんよ。どうせなら音ノ木坂のスクールアイドルSMILEもこちらでライブをしてもらいたい」 

絵里「UTXでSMILEがライブ」 

希「そうや。後々まで語り継がれるくらいの学園祭にする。ウチの母校を最高に輝かせる。それが今のウチの夢!」 

絵里(これは……少し問題ね。来年のラブライブがいつ行われるかによって変わってくるわ) 

絵里(SMILEとA−RISEが一緒の舞台に立つということはにこの再会も意味することになるし) 

絵里(ラブライブの開催が学園祭より前ならいいけど、後になったら……断るしかなくなるわね) 

絵里「ライブの方は妹の事情があって、来年にならないと約束出来ないわ」 

希「妹さんの事情?」 

絵里「そう。あの子が居なかったら私は今も冷たい闇の中に居たかもしれない」 

絵里「弱い姉と違って諦めても尚、上を向くことの出来る自慢の妹。からかうとすっごく面白いのよ」
500 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:20:28.54 ID:JMOOc4YQ0
希「是非ともその妹さんとも会ってみたいなー」 

絵里「私も会わせてあげたいわね。色んな出会いが更にあの子達を成長させるでしょうし」 

希「意外とシスコンだったんだね」 

絵里「ええ、可愛い妹達に囲まれてるからね。必然的に溺愛しちゃうのよ」 

希「一人っ子のウチには分からん感情かな」 

絵里「そんなことないわよ。家族っていうのは増えるものなのよ?」 

希「色々と意味深な台詞やね。もしかして婚約者的な彼氏とか居るん?」 

絵里「彼氏? どこから出てきたのか分からないけど、彼氏なんて居ないけど?」 

希「そうなん?」 

絵里「ええ」 

希(家族が増えるって結婚を意味してるのかと思ったけど、ウチの深読みし過ぎただけやったね) 

絵里(どうして家族が増えることに彼氏が出てくるのかしら? 不思議な思考回路の持ち主ね) 

絵里「とにかく、返事は学園祭の準備が始まる前には出来ると思うけど、時間が掛かることだけは先に言っておくわ」 

希「了解。さて、学校関係の話は置いておいて、ただ交流を深める会話でもしよっか」 

絵里「そうね。同い年で生徒会長やってるもの同士、息抜きは大切だものね」 

希「じゃあ、最初は占いなんてどう? ウチ占い得意なんよ」 

絵里「占い? 面白そうね。普段は信じないタイプなんだけど、記念にやってもらおうかしら。お願いね」
501 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:21:12.97 ID:JMOOc4YQ0
◆ことほのうみの午後◆ 

穂乃果「ことりちゃん。こんな感じかな?」 

ことり「うん。穂乃果ちゃんって才能あるのかも。すっごい上手だよ」 

海未「ことりは穂乃果に対してフィクターが掛かり過ぎです。私にはまだまだ未熟にしか見えません」 

穂乃果「海未ちゃんが虐めるよー」 

海未「虐めてません。事実を述べただけです」 

ことり「絵の上手さがデザインを左右するって訳じゃないんだよ?」 

穂乃果「そうだよ! にこちゃんだって同じようなこと言って穂乃果に一任してくれたんだから」 

海未「それって暗に穂乃果は絵が下手であることを認めていますよね?」 

穂乃果「そう言えばそうだよね! どうなの、ことりちゃん!?」 

ことり「はぅん」 

海未「ふふふっ」 

穂乃果「も〜笑い事じゃないよ。むぅ〜」 

海未「そんな風に頬を含まらせる辺りは昔のまま成長を感じさせませんね」 

ことり「それこそが穂乃果ちゃんの魅力だから」
502 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:21:49.82 ID:JMOOc4YQ0
海未「そうですね。普通なら成長と共に捨ててしまう幼さを魅力として備え続ける。それこそが穂乃果です」 

穂乃果「全然褒められた気がしないってば」 

ことり「海未ちゃんは穂乃果ちゃんに対してはわざと素直に言わないことが多いから」 

穂乃果「つまり、本当は心の底から穂乃果のことを絶賛してるんだね!」 

海未「してません。そう思われたいのなら、もう少し他の人にも通じるような絵を描いてみせてください」 

穂乃果「そんなこと言われたって、こないだから絵の勉強を始めたんだからしょうがないでしょ」 

海未「こないだって梅雨の話ではないですか」 

穂乃果「デザインは衣装を作るにこちゃんにだけ伝われば良いじゃない」 

ことり「そうかも。私達の目的は頭の中に浮かんだ形を絵に残すことだからね」 

穂乃果「だよね、そうだよね! ほら、海未ちゃんってば無駄に力を入れすぎなんだよ」 

海未「穂乃果はある意味で力を入れるべき箇所と手を抜く箇所。それを察するのが上手な気がします」 

ことり「それはあるかも。だからこそ、力を入れるところでは全力で行えるんだよねっ」 

穂乃果「えっへん!」 

海未「ただ手を抜きすぎるのも問題です。というかですね、学問に手を抜くべきではありません!」 

穂乃果「ひぃっ!」
503 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:22:49.35 ID:JMOOc4YQ0
海未「こないだの数学の小テスト何点だったか覚えてますか? 十五点ですよ、十五点!」 

ことり「三十点満点とか?」 

海未「五十点満点です!」 

穂乃果「だっ、だって。只でさえ算数の頃から苦手だったんだよ? 高校に入ってから余計に難しくなるし」 

海未「どちらかと言えば穂乃果は理系の方が得意なのに、どうしてそんなに数学に弱いのか」 

穂乃果「穂乃果だって好きで苦手な訳じゃないよ」 

ことり「穂乃果ちゃんはやれば出来る子だもん。これからに期待だよ♪」 

穂乃果「そうだよね。穂乃果はやれば出来る子」 

海未「それは出来るのにやらないという最低な人間とも取れるのですが?」 

穂乃果「海未ちゃんの意地悪〜」 

ことり「ふふっ。海未ちゃんは声高らかに穂乃果ちゃんのことを自慢したいから頑張って欲しいんだよ」 

海未「ことりっ! 何を適当なことを言ってるのですか!?」 

ことり「ことりは素直にならない海未ちゃんの本音を代弁してあげたんだよ?」 

海未「それはことりの本音ではないですか!」 

ことり「うん! 勿論私の本音でもあるよ」
504 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:23:52.91 ID:JMOOc4YQ0
穂乃果「よ〜しっ! 勉強面も二人の自慢の王子様になるべく頑張るよ!」 

ことり「穂乃果ちゃんカッコ良い〜♪」 

海未「その威勢がどれ程続くことか……。では、今から穂乃果の勉強会ということにしましょうか」 

穂乃果「え゙ぇ……」 

ことり「そうだね。苦手科目って自分一人だと息詰まって進まなくなっちゃうもんね」 

穂乃果「ほ、ほのかは……その、一人でも頑張れるよ?」 

海未「目を泳がせながら言っても説得力がありません。さ、教科書を出してください」 

穂乃果「教科書? そ、そうだ! 学校に置いてきちゃって」 

海未「そうだなんて前置きを言ってる時点で嘘ですね」 

ことり「穂乃果ちゃんは素直だから」 

穂乃果「う〜るる〜」 

海未「あんじゅの泣き声を真似ても駄目です」 

穂乃果「ほむぅ」 

ことり「穂乃果ちゃんかわいいっ♪」 

海未「アイドルと違って勉強に可愛さは必要ありません」
505 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:24:55.52 ID:JMOOc4YQ0
穂乃果「学園祭に必要な衣装なんだよ!?」 

海未「今回の和風カレー屋の衣装はにこのお婆様が製作してくれるという話なのですが?」 

穂乃果「ら、ライブの為に……」 

海未「にこの話を聞いてましたか? 今年の学園祭はライブをしないと言われたではないですか」 

ことり「えっ、学園祭なのにライブやらないの?」 

海未「ええ、宣伝するには他にないくらいのイベントですが学園の為に裏方に回るそうです」 

ことり「学園の為に裏方ってどういうこと?」 

穂乃果「スクールアイドルだけが注目されて生徒数を維持出来たとしたら問題なんだって」 

ことり「えっと?」 

海未「来年後輩が入ってくる保障はありません。音ノ木坂を延命させるだけでは意味がない、ということです」 

穂乃果「他の部活の出し物とか手伝って、音ノ木坂の魅力を一つひとつ理解して欲しいんだって」 

海未「生徒会長の絵里ではなくにこが言い出したことに感動しました。最初はじぶたれ者かと思いましたが」 

海未「今日も後輩の私達には創作の為の休日として、自分達は生徒会を手伝っているそうです」 

ことり「色々とすごい先輩達なんだね」 

穂乃果「凄くなかったら海未ちゃんを引き入れることなんて出来ないよ。あと、王子様に変身ライブとかね」
506 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:26:03.99 ID:JMOOc4YQ0
ことり「ふふっ。あれは一生の思い出になったよね」 

海未「そうですね。高校生活であのインパクトを超える日がくるとは思えないくらいです」 

穂乃果「何言ってるの海未ちゃん。まだ一年生の半分が過ぎたくらいなんだよ? いっぱい楽しいことが待ってるよ☆」 

海未「個性的なメンバーが揃っていますから若干心配ではありますが。少しだけ、楽しみでもあります」 

ことり「いつか一緒にライブ出来たらいいなぁ」 

海未「出来ますよ。うちのリーダーは邪道ですから。型破りということではスクールアイドル一で間違いないかと」 

穂乃果「邪道シスターズに常識は通用しないからね」 

ことり「それなら楽しみ。その時の衣装は穂乃果ちゃんと海未ちゃんの三人でデザインしてみたいな♪」 

海未「どうしてそこに私の名前まで挙げるのですか? 正直ファッションは私の門外漢です」 

ことり「女の子なんだからそんなこと言っちゃ駄目だよぉ」 

穂乃果「お姫様になるんだからフリフリプリティー衣装とか提案出来る様に今からファッションの勉強をしよう!」 

海未「そうやって誤魔化そうとしても駄目ですよ。穂乃果の勉強が何より優先です!」 

穂乃果「うっ……誤魔化せなかった」
507 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:27:16.04 ID:JMOOc4YQ0
ことり「穂乃果ちゃんは数学を、海未ちゃんはファッションを、ことりは二人の先生をするよ」 

海未「そんなっ」 

穂乃果「やりたくないよー」 

ことり「SMILEの先輩達は今も頑張ってるんだよね? だったら穂乃果ちゃんと海未ちゃんも頑張ろうよ」 

海未「それを言われたらやるしかありませんね」 

穂乃果「そうだね。お互い苦手ジャンルだけど結果出して見返そう!」 

海未「誰を見返すつもりですか」 

穂乃果「……」 

ことり「昨日までの自分を、じゃないかな?」 

穂乃果「そうだよ! さっすがことりちゃん。良い事言うね」 

ことり「ありがとう」 

海未「日進月歩ですね。昨日の私に笑われないように精進しましょう」 

穂乃果「うん! ふぁいとだよ!」
508 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:28:36.85 ID:JMOOc4YQ0
◆私の先輩◆ 

(先輩の夢) 

ことり「アンチ先輩のクラスは学園祭で何をやるんですか?」 

先輩「いい加減アンチ抜きなさいよ。これだけ言われ続けるとまるで私が粘着アンチみたいでしょ?」 

先輩「私はあんな精神疾患じゃないし。寧ろ粘着で言えば南でしょう。学年違うのに毎日毎日」 

ことり「私には先輩をファンにする義務がありますから」 

先輩「勝手に思い込むことを義務とかいう辺りが本気で粘着アンチっぽくて怖いんだけど」 

ことり「……でも、粘着されるって栄光なことだと思うんですよ」 

ことり「だってそれってある意味で愛されてるも同じじゃないですか」 

先輩「はぁ? 何言ってるのよ。南はファーストライブ前にあれだけアンチスレが立ってたじゃないの」 

ことり「でも今は分かったんです。あれもまた愛情表現の一つだったんだって」 

ことり「だってほら、こうして先輩も私と仲良しになってくれたじゃないですか」 

ことり「粘着するっていうことは相手を強く意識しているって意味ですから。素晴らしいことです」
509 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:29:17.00 ID:JMOOc4YQ0
先輩「」 

ことり「相手に粘着することこそが生きているというアピールになるし、相手も自分を意識してくれる」 

ことり「普通にしてたら私の生を知りもしない人が自分を刻み込んでくれる。これ以上の正義ってないじゃないですか!」 

ことり「感動よりも悲劇の方がより大きな衝撃を与えるんです、だから傷つけた方が自分を刻み込める」 

先輩「な、何言ってるの? 相当疲れてるんじゃないの? 英玲奈さんに言って早退した方がいいわ」 

ことり「意味が分かりません。どうして先輩は正義を理解出来ないんですか?」 

ことり「どうして同意してくれないんですか? 先輩ってもしかして頭がおかしいんですか?」 

先輩「どう考えても南の方が狂ってるわよ!」 

ことり「私は正義です。私の発言こそ意味をなすんです。他の人の言葉に価値はありません」 

ことり「私の言葉こそが絶対なんです。だから私の発言だけ聞いていればいいんです!」
510 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:30:02.36 ID:JMOOc4YQ0
――休日 秋葉 メイド喫茶 

先輩「っていう恐ろしい夢を見た」 

ことり「先輩の中の私の印象が伺えて悲しくなるんですけど」 

先輩「別に今は南のこと悪く思ってないし、思ってたらわざわざ休日に足を運ばないわ」 

ことり「練習が早く終わったので日頃の感謝を込めて誘った甲斐がありました」 

先輩「場所が普通の喫茶店だったら素直にその感謝を受け取るところだったんだけどね」 

ことり「だってここのメイド服可愛いじゃないですか。こういう衣装も大好きなんですよ」 

先輩「全国一位のスクールアイドルがメイド喫茶とか……どうなのかしらね」 

ことり「良いじゃないですか。私は元々被服科の特待生なんですから。これも勉強の内ですよ」 

先輩「物は言い様ってことね。ま、ケーキは普通より若干美味しいから許すけど」 

ことり「それで先輩。さっきの夢の話なんですけど、きっと私のファンになる兆候だと思うんです」 

先輩「どいうこと?」 

ことり「アンチ先輩からファン先輩にチェンジする時がくるんです!」 

先輩「……ポジティブね」 

ことり「ポジティブじゃないとアイドルなんてやってられませんよ」
511 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:30:54.48 ID:JMOOc4YQ0
ことり「自分のアンチスレを覗くとそれはもう精神をガリガリ削られちゃいます」 

先輩「見なきゃいいでしょ」 

ことり「怖い話って夏じゃなくてもふと読みたくなることってありませんか?」 

先輩「季節外れだからこそ読みたくなる時あるわよね。逆に夏場は特番とかやるから読もうとはしないけど」 

ことり「それと同じです。ふと気になって覗いてダメージ受けるんです」 

ことり「直せない領域の話題を見るとどうしようもないですし……」 

先輩「怪談と違ってダメージを受ける前提なんだから、やっぱり見ない方がいいでしょ」 

ことり「好奇心って抑えきれない感情の一つだと思います」 

先輩「良い顔して言うことじゃないんじゃない?」 

ことり「一番の友達の影響ですから!」 

先輩「ま、何を誇るのかは個人の自由だけど」 

ことり「それで先輩のクラスは学園祭で何をするんですか?」 

先輩「私のとこはアイスクリーム屋だって。秋でも需要はあるって押し切られて」 

ことり「でも確かに需要はあるんじゃないですか。コンビニのおでんって夏場が一番売り上げが良いらしいですし」 

先輩「どうだかねー。余ったら自分達で処分するのが目的だと思うけど。腹でも下せばいいのよ」
512 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:31:49.46 ID:JMOOc4YQ0
ことり「それはそれで学園祭として思い出に残るから良いんじゃないですか?」 

先輩「本人にとって忘れたくなる思いでかもしれないけど。南は?」 

ことり「私のクラスは自作した衣装の展示ですっ」 

先輩「被服科だから当然か。販売とかしないの?」 

ことり「二日目の四時以降に希望者が居れば販売するみたいです。私はライブがあるから見れないですけど」 

先輩「A−RISEのライブはUTXのメインイベントだからね。仕方ないでしょ」 

ことり「これできっとまたクラスメートとの溝が深まりそうです」 

先輩「歌ってる時の南なら溝なんて飛んで関係ないって笑いそうだけど」 

ことり「ライブ中は頼りになる先輩二人が居るから」 

先輩「いつまでも甘えてられないわよ。卒業ってゴールがあるんだから」 

ことり「……それが一番不安です。英玲奈ちゃんもツバサちゃんも先輩も居なくなっちゃう」 

ことり「そうしたら私はファンの前できちんと歌えるのかなって」 

先輩「卒業までの約一年半で強くなれば良いだけの話でしょ。新しいメンバーだって増えるんだろうし」 

ことり「新しいメンバー? そっか、考えもしなかった」 

先輩「そして、南が三年になる時はリーダーとして引っ張って行くことになるでしょうね」
513 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:32:37.92 ID:JMOOc4YQ0
先輩「ラブライブ連覇したであろうUTX代表のスクールアイドル」 

先輩「三年連続優勝を経験した初めてのスクールアイドルとして名を刻むか否かは努力次第ね」 

ことり「……はぅん。大きなプレッシャーを与えないでください」 

先輩「プレッシャーの中で輝けるのがトップアイドルの宿命よ」 

ことり「そうなれるように努力します。先輩はどうしてスクールアイドルになろうと思ったんですか?」 

先輩「何よ唐突に」 

ことり「先輩って口とは裏腹にアイドルに対する思いは真摯じゃないですか」 

先輩「時々私に対して喧嘩売ってるわよね?」 

ことり「本当のことを言ったまでです」 

先輩「……ま、南ならいっか。努力してるし、A−RISEになくてはならない存在だし」 

先輩「単純な話なんだけどね、私ってほらそばかすがあるでしょ?」 

ことり「はい」 

先輩「これの所為で小学の高学年から中学生にかけてからかわれたりしたのよ」 

先輩「まぁ、その頃の男子の言葉なんて価値なんてないものだけどね」 

先輩「当時の私としては大きなダメージでね、悔しくて悔しくてしょうがなかった」
514 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:33:33.47 ID:JMOOc4YQ0
ことり「その所為で先輩は歪んだ性格に」 

先輩「これは自前よ!」 

ことり「そ、その性格の所為でそういう事を言われてたんじゃないですか?」 

先輩「それもあると思うけど、真相は今となっては分からないからね」 

先輩「続けるわ。それで見返しやりたいって思って、それには一番簡単なのがスクールアイドルかなって」 

先輩「我ながら甘くみてたわ。スクールアイドルなら一番設備が良いUTXに入れば良い」 

先輩「そこでスクールアイドルになればそれで絶対に見返せる!」 

先輩「今思うと相当ストレスで冷静な判断が出来てなかったのよ」 

先輩「芸能科に入ったけど、私じゃスクールアイドルにはなれなかった」 

先輩「なのに、南は入学して直ぐに私がなりたかったスクールアイドルになってさ、完全な逆恨み」 

先輩「せめて中学の冬休みから猛練習してたって知ってればあんな風に突っかかったりしなかったんだけど」 

ことり「前にも言ったじゃないですか。お陰で先輩とこうして友達になれたんですって」 

ことり「自分の欠点をズバズバ言ってくれる人って初めてで、お陰でずっと早くスクールアイドルとして形になってます」 

先輩「アイドルっていうのは私みたいなのじゃなくて、南みたいのがお似合いだからね」 

先輩「性格も悪いし、そばかすもあるし、ね」
515 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:34:30.39 ID:JMOOc4YQ0
ことり「性格はともかく、そばかすは気にすることないです!」 

先輩「性格も否定しなさいよ」 

ことり「性格は個性じゃないですか。私は先輩のその性格好きですよ」 

先輩「ありがと。……そばかすってさー、今はレーザー治療で治せるのよ」 

ことり「え、そうなんですか?」 

先輩「治してみたいと思ったし、それを両親に言ったこともある。詳しく調べてくれたわ」 

先輩「だけど、私は結局その治療を受けることをしなかった。何故だか分かる?」 

ことり「いいえ」 

先輩「自分じゃなくなる気がして。あくまでありのままの自分で勝負したいって思ったの」 

先輩「そうじゃなきゃ、まるで過去の自分から逃げたみたいで一生後悔する」 

先輩「もし治せばA−RISEに入れた過去があったとする。そうだとしたら凄い悩んだと思う」 

先輩「でも結局私は今を選んだと思う。結果は出せなくても自分のまま生きる今を」 

ことり「先輩はカッコ良いです。私の自慢のアンチ先輩ですっ」 

先輩「いつまでもアンチ言うんじゃないわよ」 

ことり「だったら素直な自分になってことりのファンになってください♪」
516 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:35:25.58 ID:JMOOc4YQ0
先輩「だったらもっと人を魅了するアイドルになりなさい」 

ことり「はいっ! ……先輩は、将来はアイドルになりたいって思ってますか?」 

先輩「どう、かしらね。今はそういうの考えてない」 

ことり「もしアイドルになるのでしたら、是非衣装は私に依頼してください。素敵な衣装を作ってみせます」 

先輩「ま、その時はお願いするわ」 

ことり「じゃあ、未来のアイドルが生まれることを祈って。乾杯しましょう。何を飲みますか?」 

先輩「乾杯ねぇ。って、ここジュースが滅茶苦茶高いじゃない! 何よこのぼったくり料金!」 

ことり「メイド喫茶ですから。料金割高です」 

先輩「これだけあったらもっと美味しいケーキ食べに行けたじゃない!」 

ことり「良い話聞けたので今日は私が奢ります」 

先輩「年下にお金出させる訳にはいかないわ。私が奢るわよ」 

ことり「だったらこの特製パフェ頼んでもいいですか?」 

先輩「三千五百円ってアルバム買ってもお釣りがくる値段のパフェとかありえないわ」 

ことり「一度頼んでみたかったんです。すいませ〜ん!」 

先輩「……ま、いっか。この話したの初めてだし。記念に、ね」
517 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:36:27.25 ID:JMOOc4YQ0
◆切っ掛け・真姫ダイアリー part1◆ 

夏休み前に出した進路は音ノ木坂学院。 

これは担任を大きく驚かせるに十分な内容だった。 

ママの母校というのが理由であり、私としては別段行きたい学校なんてなかったからそれでも良かった。 

昔と比べると大分生徒数が減っているそうで、色んな面で頼りない。 

でも、学ぶ意思があればどこであっても関係ないわ。 

大学受験の時に不利になる可能性もあるけど、完璧な真姫ちゃんにとってそんなの些細なこと。 

……そう思ってた。 

でも、私を変える出来事が起こった。 

家族以外に大きな影響を与えられたのは初めてで、どう表現したらいいのか分からなくて日記に書くのが今になったわ。 

ことの始まりは夏の照りつける季節。 

今の私と違って、まだ友達が居なかった時の話。 

私に目標を与えてくれた出会いをくれたのは、今私の唯一無二の友達であるまこちゃん。 

尾崎まこ――私のクラスメートであり、友達になる前から私のことを『真姫ちゃん』と呼んでいた子。 

話す切っ掛けになったのはプールの時間。
518 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:37:03.27 ID:JMOOc4YQ0
勿論、人付き合いに関心のなかった私から話掛けたなんてことはない。 

まこちゃん……うん、本人に対してそんな風に呼んだことはないけど、日記の中くらいこれで呼ばせて欲しい。 

夏休みが始まるということもあり、私も気分が晴れていた。 

着替えが面倒で泳ぐのがそんなに好きじゃない(カナヅチじゃないわよ!)プールが最後っていうこともあった。 

授業は半分だけで、残りは自由時間と体育教師のサービスでクラスは沸いた。 

私は当然プールサイドに上がって影になってる場所を見つけて腰を掛けた。 

風は熱風で水の中の方が涼しいけれど、二十分くらいの時間だからとぼけっとしてようと思ってた。 

そんな私の横に腰掛、声を掛けてきたのがまこちゃんだった。 

第一声は志望校についての話題だった。 

私みたいに優秀な子がどうして音ノ木坂を希望するのか疑問に思ったみたい。 

私を総合病院の一人娘という特別な目でみないまこちゃんは今の学校では少し浮いていた。 

浮いていたと言っても実際にクラスで浮いてるのは私の方で、まこちゃんは誰とでも仲良く出来る子だ。 

親に言われて他の私立の女子高に通うことになったらしく、音ノ木坂に通うと言った私を羨ましがった。 

少し天然入ってるなと感じたけど、天真爛漫という言葉が似合うとてもいい子。 

それが切っ掛けになって、夏休み入るまで何度となく話し掛けられて、初めて友達同士で連絡先を交換した。
519 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:37:38.37 ID:JMOOc4YQ0
恥ずかしい話、何度も意味もなく携帯電話のアドレス帳を見ては笑っていた。 

今思い出しても恥ずかしい。 

何だかんだ言っても私は友達が欲しかったんだって、気付いた。 

でも、名前を呼んでくれる彼女に対して先ほども書いたけど名前を呼べる素直な私はまだ居ない。 

そして、私にとって大きな問題となるメールが入った。 

夏休みの中盤だったとある日の午前。 

私の住んでいる所とまこちゃんの済んでいる所の丁度中間くらいの場所で集まってどこか遊びに行かないかという誘い。 

それだけだったら時間に都合を付けて二つ返事とはいかなくても、了承の意を返せたと思う。 

だけど、一つの単語が私の指を固めた。 

自転車で集合して、色々回ろうという旨の部分。 

何度読んでも自動車ではなく(これは年齢的に当然だけど)自転車である。 

せっかく誘ってくれたけど、私はまこちゃんに対して断りのメールを送った。 

理由は簡単、私が自転車に乗ることが出来なかったから。 

って、これを読んでるのは私なんだから分かるわよね。 

その夜、悔しさに少しだけ泣いた。
520 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:38:23.84 ID:JMOOc4YQ0
小学校三年生の頃、自転車を買ってもらったのに、練習するのが恥ずかしくて結局倉庫入り。 

もし、あの時羞恥心に負けずに練習して乗れるようになっていれば私はまこちゃんと遊びに行けた。 

ううん、本当はそれだけが理由で泣いた訳じゃない。 

素直に自転車に乗れないことを話して、電車に乗って駅で合流して遊ばないかと言えば良かったのに……。 

でも、私のプライドが邪魔をして素直になることが出来なかった。 

この所為で学校でも友達が出来ないというのに、まこちゃんを見習って素直になれれば良いのに。 

次の日、私は倉庫に入って自転車を探した。 

一台の自転車を見つけた。 

前籠付きの普通の買い物用自転車。 

スポーツ店でヘルメットとサポーターとグローブを購入した。 

怪我は出来るだけしたくないし、指は絶対に怪我をしたくないから。 

勿論、薬局にも寄って怪我をした時の為に色々購入した。 

準備は万端! 

この日から悔しさをバネに、私の自転車練習が始まった。 

これが私の運命を大きく変えることになるとは、この時の私は思いもしなかった。 

なんて、小説でありきたりな文を引用して、今日の日記はここで止めておこう。 

小説と違って、自分のことなので結末を知ってるからドキドキはしないんだけどね。
521 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:39:26.65 ID:JMOOc4YQ0
◆おまけ・ぱなよちゃん頑張る!◆ 

学生で一番の長期休みである夏休み。 

時刻は現在多分五時半くらい。 

外は既に明るく、暑さを感じさせないこの時間帯は走るに申し分のない環境。 

花陽「……はぁはぁ」 

凛「夏の朝の空気はすっごくきもちいいにゃー!」 

呼吸をするのが精一杯で走る私と違い、凛は元気に溢れていた。 

私と凛ちゃんが走り始めてまだ一週間。 

体育以外で自主的に運動することがなかった私にとって、体力のなさを自覚するに十分の時間だった。 

お米が好きなにとって、次の季節は体重が増量する危機もある。 

体力を付けて、体重を減らすだけでは駄目。 

誘惑に打ち勝つくらいの心の強さも鍛えなきゃ! 

使命感に燃える中、もう一つの問題を自覚する。 

子どもの頃からの夢を叶える為にUTX学院を志望することを大切な幼馴染である凛に告げること。
522 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:40:32.07 ID:JMOOc4YQ0
臆病な自分が顔を出し、伝えなくちゃいけないという勇気を握り潰す。 

今日が駄目だからまた明日。 

その日その日を誤魔化して、いつまでも逃げられないと分かっているのに今日もまた逃げる。 

現在スクールアイドルの全国二位であるA−RISE。 

私がUTXに入ったところで何かが大きく変わることなんてないと思う。 

これが漫画だったらシンデレラガールのようにA−RISEのメンバーになるんだろうけど……。 

現実がそんなに甘くないことくらい分かる。 

私がスクールアイドルになれるのなら、一緒に付き合ってくれている凛ちゃんこそがスクールアイドルになれる。 

運動神経は中学校じゃトップクラスで、見た目もとっても可愛い。 

幼い頃から猫が好きな影響で語尾に『にゃ』がつくのがチャームポイント。 

それに比べて私は何もない。 

ただただ幼い頃からアイドルに憧れて、アイドルになりたいとそう思ってただけ。 

でも、南ことりさんを見てから、加入したファーストライブを見てから決めた。 

自分の夢の為に努力して、結果がどうあれ未来の自分が頑張ったねって笑ってくれるように。
523 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/14(金) 23:41:28.16 ID:JMOOc4YQ0
今更遅いかもしれないけど、それでも努力した今だけはずっと残る。 

自信が持てない今の私が、未来の自分を支える自信の源になれるように。 

願わくば憧れのことりさんに一歩でも近づけることを信じて。 

凛「かよちん、体勢が少し崩れてる。それだと無駄に体力使っちゃうよ!」 

花陽「……う、うん」 

凛「苦しい時こそ姿勢を正して前を向こう♪」 

花陽「うん!」 

笑顔を向けてくれる大切な凛ちゃんのように眩しい存在になりたい。 

自信を持って声を出せるように、俯かないで前を向こう。 

苦しい時こそ姿勢を正して前を向く。 

凛ちゃんの励ましの言葉をしっかりと胸に刻んで、筋肉痛で痛む足に鞭を打つ。 

どうかこの夏休みが終わるまでに凛ちゃんに伝えられている自分でありますように……。 



まこちゃんは真姫ちゃんのSid。アンチ先輩は漫画版1話に登場してます。 
これからゴールまで季節を飛ばせないので2スレ目にいく可能性濃厚かもしれません。 

ネクストストーリー……ハッピーハロウィン! 更に深まる秋の物語につづく! あの子も帰国!

531 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/11/22(土) 11:47:36.73 ID:qfP/w3XW0
※エリチカはマンション暮らしだと発覚しましたが、この世界では二階建てのお家に住んでます。 

◆四女の帰還◆ 

――ロシア 以前姉に教えられた諺という存在を忘れてるアリチカ... 

亜里沙「明日から日本! お姉ちゃん達と一緒に頑張る」 

お婆様「私は日本で大切な人と出逢い、大切なことを学んだのよ」 

亜里沙「大切な人ってお爺ちゃま?」 

お婆様「ええ、でもあの人だけじゃなかった。数多くの人達と出逢ったの」 

亜里沙「亜里沙も日本で色んな人と仲良く出来るかな?」 

お婆様「それはアリーチカ次第よ」 

亜里沙「お婆ちゃまは大丈夫とは言ってはくれないの?」 

お婆様「そこはこれからの行動次第ですもの。甘えちゃ駄目よ」 

亜里沙「はぁーい」 

お婆様「エリーチカの言うことをよく聞いくのよ?」 

亜里沙「うん! 亜里沙ね、亜里沙ね、音ノ木坂の生徒になったらスクールアイドルになるの!」
532 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/11/22(土) 11:48:27.41 ID:qfP/w3XW0
お婆様「ふふふ。何度も聞いて耳に蛸が出来ているよ」 

亜里沙「耳にタコが!?」 

お婆様「そういう諺が日本にはあるんだよ。本当はもう一年日本についてしっかり教えたかったのだけど」 

亜里沙「亜里沙が我がまま言ったから……ごめんなさい」 

お婆様「いいんだよ。可愛い子には旅をさせろと言うからね」 

亜里沙「もしかして、今のもことわざなの?」 

お婆様「そうだよ」 

亜里沙「面白い! 亜里沙、いっぱいことわざも勉強してくるね」 

お婆様「電話を受けるのが楽しみだわね」 

亜里沙「ことわざだけじゃなくて、日本について学んだことたっくさん伝えるから」 

お婆様「楽しみにしているわ」 

亜里沙「えっへへ」 

お婆様「良い機会だし、少し聞いてくれるかしら?」 

亜里沙「何でも話して。お婆ちゃまの話大好きだから!」
533 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:49:07.30 ID:qfP/w3XW0
お婆様「ありがとう。私はね、エリーチカのように賢い人間ではなかったわ」 

亜里沙「そんなことない! お婆ちゃまはお姉ちゃんと同じくらいかしこいもの」 

お婆様「そんなことあるのよ。私は本当の意味で時間の大切さを知ったのは人生も折り返しを越えてから」 

お婆様「……あの人と逢えなくなる日々が始まってから」 

亜里沙「おばあちゃま」 

お婆様「エリーチカは違ったわ。アリーチカのお陰でもあるけど、今という時間を堪能している」 

お婆様「大切な人を失わなくても気付くことが出来て、限りある時間を後悔のないように過ごしているわ」 

亜里沙「……」 

お婆様「アリーチカも日本で多くの人達と出逢って、様々な経験をして、そのことに気付いて欲しい」 

お婆様「本当に大切な物っていうのは厄介な物でね、人に言われただけでは本当の理解は得られないの」 

お婆様「辛いこともあるでしょう、苦しいことだってあるでしょう。時には泣くことだってあるかもしれないわ」 

お婆様「それでも、その経験がアリーチカの中で意味を成すものになることを信じているわ」 

亜里沙「お婆ちゃま」 

お婆様「多くを知り、多くを経験することで自分の世界は大きく大きく広がるの」
534 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:50:07.11 ID:qfP/w3XW0
お婆様「辛いことを知っている分だけ笑顔は深みを増すのよ」 

亜里沙「深み?」 

お婆様「素敵な笑顔になるってこと」 

亜里沙「亜里沙も素敵な笑顔を浮かべられるスクールアイドルになるわ!」 

お婆様「そうなる為にはしっかりと自分を支えてあげられる心を持つことね」 

亜里沙「心で支えられるの?」 

お婆様「ええ、そうよ。心は体に収まりきれない程大きくなりえる物だから」 

お婆様「目には見えないけれど、しっかりと成長しているのよ?」 

亜里沙「ハラショー!」 

お婆様「ふふふ。さぁ、明日は朝早いのだから、もうお休み」 

亜里沙「今日はお婆ちゃまと一緒に寝てもいい?」 

お婆様「勿論よ。特別に子守唄を聞かせてあげましょうね」 

亜里沙「うん!」
535 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:50:48.45 ID:qfP/w3XW0
――日本 絢瀬家 SMILE 

絵里「雪穂さんまで来てもらって申し訳ないわね」 

雪穂「いいえー。絵里さんの妹……いや、実の妹さんは同い年なんですよね?」 

絵里「ええ。生まれは日本なんだけどずっとロシアで暮らして来たの」 

絵里「日本語はお婆様のお陰できちんと喋れるんだけど、知識の方がとても不安で……」 

絵里「だから同い年でしっかりしてる雪穂さんと友達になって貰えたら心強いと思って」 

あんじゅ「亜里沙ちゃんってとっても良い子なんだよ」 

にこ「絵里と違って天然入ってるけど、優しくて良い子よ」 

雪穂「友達になるのが楽しみです!」 

海未「にこが素直に良い子なんて言うなんて、それ程素晴らしい子なんですか?」 

絵里「ええ、とっても良い子よ」 

穂乃果「よく考えたら絵里ちゃんの妹だもんね。良い子に決まってる」 

にこ「海未の失礼な発言はスルーするとしても、穂乃果の言葉には納得出来ないわ」 

穂乃果「え、なんで?」
536 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:51:20.99 ID:qfP/w3XW0
にこ「あんたはやる気スイッチ入らないと全然堕落モードだったのに、雪穂ちゃんはしっかり者じゃない」 

海未「そうですね。穂乃果という存在が雪穂にとっての反面教師という役目を果たしたということです」 

海未「にこや絵里を見習って下さい。妹の前では二人共実にしっかりしているのですから」 

穂乃果「ひぃんっ!」 

あんじゅ「初めは海未ちゃんの中で底辺だったにこの評価が今は随分と上がったね」 

絵里「それだけのことをにこはしてきたってことよね」 

海未「素直に尊敬に値する人物ですし、何気に苦労人ですからね」 

にこ「一番苦労を背負ってくるのがここに居るからね」 

あんじゅ「若い頃の苦労は買ってでもしろって言うよね? だからにこにーの為に運んで来るんだよ★」 

にこ「あんた事売り飛ばしてやりたいわよ」 

海未「と、口ではこんなことを言いながらも、にこはあんじゅの世話をし続けているんです。姉の鏡ですね」 

雪穂「うちのお姉ちゃんと変わって欲しいかも」 

穂乃果「雪穂ってば酷いよー。自転車乗る練習付き合ってあげたでしょ〜」 

雪穂「その借りはSMILE加入の際に返したでしょ」
537 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:52:10.13 ID:qfP/w3XW0
絵里「ふふふっ。海未とことりさんだけじゃなくて、雪穂さんも守れる存在にならないといけないわね」 

穂乃果「努力するよー」 

海未「語尾をだらしなく延ばして宣言しても説得力の欠片もありません!」 

穂乃果「今はデザインの練習で精一杯なんだもん」 

にこ「猪突猛進な一直線な性格っぽいし、一度に複数やらせるより、一つを極めさせた方が良いんじゃない?」 

海未「しかし!」 

あんじゅ「海未ちゃんが穂乃果ちゃんに期待するのは敬愛の証なのは分かるけどね」 

雪穂「素直にお姉ちゃんがだらしなさ過ぎるという可能性もあるかと思います」 

絵里「それはないわ。海未の性格からして敬愛という感情がなければ嫌われてまで正そうとはしないでしょう」 

穂乃果「そう言われると悪い気がしなくいね」 

雪穂「結局はお姉ちゃんがきちんとしてれば言う必要ないことだよね?」 

にこ「雪穂ちゃんは容赦ないのね」 

あんじゅ「それもまた愛情の一つだと思うよ」 

雪穂「愛情なんかじゃありません!」
538 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:52:58.73 ID:qfP/w3XW0
絵里「羞恥の余り言葉を無くした海未と同じくらい顔が赤くなっているわよ?」 

雪穂「もっもう! からかわないでくださいよ」 

絵里「ついついウチの次女を扱うみたいにしちゃったわ。ごめんなさいね」 

にこ「謝り方がおかしいでしょうが!」 

あんじゅ「愛され次女にこにー♪」 

にこ「ぐぬぬ!」 

雪穂「くすっ。お姉ちゃんに聞いてましたが、皆さん本当に仲が良いんですね」 

海未「にこがリーダーなんですけどね、弄られるのが定番となっています」 

にこ「お笑い軍団じゃないんだから弄られ役とか要らないっての!」 

あんじゅ「にこはぁ〜SMILEの弄られ系アイドルにこ♪ 矢澤にこにこって覚えてにっこにっこにー♪」 

にこ「そんなキャッチフレーズ嫌過ぎるわ! しかも物凄くダサいじゃない」 

絵里「そのダサさが妙ににこっぽくて私は良いと思うわ」 

穂乃果「そうだね。不思議な安心感みたいなのがあるっていうか、もっとダサくてもいいかなって思うよ」 

にこ「あんたら一度はリーダーに敬意を表してみなさーい!!」
539 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:53:41.48 ID:qfP/w3XW0
――絢瀬家前 チカ姉妹 

亜里沙「お姉ちゃん! 亜里沙帰って来たんだね!」 

絵里「一体何度その言葉を使う気?」 

亜里沙「だってだって嬉しいんだもの!」 

絵里「時差とそのテンションの問題で今日も眠るのが早そうね」 

亜里沙「今日はずっと起きてるの。だってみんなが遊びに来るのでしょう?」 

絵里「ええ、遊びに来ているわね」 

亜里沙「だったらおもてなししなきゃ!」 

絵里「難しい言葉を知ってるのね」 

亜里沙「きちんと亜里沙だって日本のことを勉強してきたんだから」 

絵里(胸を張るのは可愛いんだけど、色々と心配だから雪穂さんと同じクラスになれればいいわね) 

絵里「さ、家に入りましょう」 

亜里沙「うん!」
540 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:54:21.11 ID:qfP/w3XW0
絵里「ただいまー」 

亜里沙「?」 

こころあ「アリサちゃんおかえりにこ!」 

にこ「お帰りなさい。長旅ご苦労様ね」 

あんじゅ「お帰り〜無事に日本に辿り着いて安心したよ」 

亜里沙「お、お姉ちゃんどうしてもうみんなが居るの!?」」 

絵里「私は遊びに《来る》から《来ている》って途中からきちんと言い換えてたわよ」 

あんじゅ「うふふ」 

ここあ「おにんぎょうさんあそびするニコ!」 

こころ「やくそくしたにこ〜!」 

亜里沙「うん! お土産にロシアのお人形も送ったから、今度遊ぶ時にはそのお人形をプレゼントするね」 

こころあ「えへへっ。ありがとう!」 

にこ「はいはい、お人形遊びはまた今度にこよ。亜里沙は帰ってきたばかりなんだから焦らないの」
541 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:55:24.04 ID:qfP/w3XW0
あんじゅ「これからはずっと日本に居るんだからいつでも遊べるから大丈夫だよ」 

こころ「そっかー」 

ここあ「じゃあ、あしたあそぶの!」 

絵里「だったら今日は泊まっていくといいわ。それなら明日は朝から遊べるにこ♪」 

こころ「こころおとまりするにこ!」 

ここあ「ここあもおとまりするにこ!」 

絵里「四人で一緒にお風呂入りましょうね」 

こころあ「うん!」 

あんじゅ「絵里ちゃんの電光石火が決まったね」 

にこ「明日は日曜日だから良いんじゃない? たまにはにこにー離れも必要だわ」 

絵里「何を言ってるのよ。にことあんじゅは強制的に泊めるに決まってるじゃない」 

絵里「今日は久々に姉妹六人が全員揃ったのよ? 離れたら意味がないわ!」 

あんじゅ「絵里ちゃんが燃えてるね」
542 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:56:05.90 ID:qfP/w3XW0
にこ「やれやれ。うちの長女はこういうことになると穂乃果みたいに猪突猛進ね」 

あんじゅ「自分に素直っていうのはとっても良いことだよ。人生輝いてるって感じで」 

にこ「ま、そうかもね」 

あんじゅ「ということで今日はにこと一緒にお風呂入ろうっと♪」 

にこ「……脈絡が全く関係ないけど、たまにはにこの背中を洗わせてあげるにこ!」 

あんじゅ「真っ赤になるくらい洗うね★」 

にこ「怖いわよ!」 

絵里「それでね、亜里沙に紹介したい子が居るのよ」 

亜里沙「もしかしてSMILEの海未さんと穂乃果さん!?」 

こころ「それだけじゃないんだよ」 

ここあ「もうひとりいるの!」 

亜里沙「もう一人?」 

絵里「同い年の子では日本で初めての友達になるかもしれないわね。亜里沙が通う中学校の子なのよ」
543 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:56:41.32 ID:qfP/w3XW0
亜里沙「楽しみ!」 

絵里「じゃあ、リビングに行きましょう」 

亜里沙「うん!」 

ここあ「ここああんないするー」 

こころ「じゃあ、こころさきにいっておしらせするー」 

にこ「たまにはこんな休日も悪くないわね」 

あんじゅ「幸せだよね。時間って平等なのに一緒に過ごす人が居るだけで掛け替えのない価値が生まれる」 

あんじゅ「私、すっごく幸せ。生まれてきたことを毎日感謝しちゃうくらいに幸せ」 

にこ「あんじゅ」 

あんじゅ「うふふ。さ、私達もみんなに続こう!」 

にこ「ええ。眠るまでずっと幸せな一日にしましょう」 

あんじゅ「うん!」
544 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:57:16.51 ID:qfP/w3XW0
――その晩 雪穂の部屋 雪穂ダイアリー 

久々に日記を書きます。前回書いたのがお姉ちゃんがSMILEに入る頃なので、けっこう空いちゃいました。 

どうして日記って毎日書こうと思う割りに次の日から書かなくなっちゃうんだろう? 

多分だけど、日記を書こうとして書くことがないというのがまるでその日を全否定する行為に思えるから、なのかな? 

毎日の積み重ねがあるからこそ、今日という私が居る。 

なんて、小難しいことを書いてテンションを落とそうとしてる私が居ます。 

今日はなんとロシア育ちのクォーターの亜里沙と友達になりました。 

SMILEの絵里さんの妹で、絵里さんと違ってすっごく小柄で守ってあげたくなる雰囲気なの。 

海未さんは「穂乃果と似た雰囲気ですね」とかズレたことを言ってた。 

お姉ちゃんを守りたいなんて奇特なことを言うのはお姉ちゃんの幼馴染である海未さんとことりさんだけだと思う。 

亜里沙は老若男女関係なく誰もが守りたいって思うくらいな子なんだよ。 

だけど、にこさんとあんじゅさんの話によると絵里さんを加入させる為に去年、単身日本に来たんだって。 

中学二年生でたった一人姉の為にロシアから日本へ。
545 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:57:56.99 ID:qfP/w3XW0
……その話を聞いた時、一人の妹として凄いなって尊敬出来た。 

だって、私だったら流石に無理だと思うし。 

北海道とか沖縄くらいならなんとかなっても、海外に一人で行くなんて怖くて仕方ないから。 

そうそう、亜里沙は音ノ木坂を目指してるんだって。 

私の家はお婆ちゃんもお母さんもお姉ちゃんも皆音ノ木坂だから、必然的に私も音ノ木坂に入るつもり。 

別にお姉ちゃんが居るから音ノ木坂に入るつもりじゃないからね?って、誰に言い訳してるんだろう。 

スクールアイドルになりたいって可愛いのに綺麗と表現したくなる笑顔で私に告げた。 

その時、絵里さんに今度商店街のハロウィンイベントでライブをするから一緒に踊らないかって誘われちゃった。 

小さい子が参加するのから、大人まで自由に参加出来るんだって。 

楽しそうだから参加してみようかなって思ってます。 

ダンスなんて学校の行事でするものしか経験がないけど、お姉ちゃんが出来るなら私だって出来る筈! 

それでは、今日はこの辺で終わります。 

亜里沙が編入するクラス。どうか私と同じクラスになりますように!
546 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:58:35.02 ID:qfP/w3XW0
◆学園祭ライブ練習中◆ 

ツバサ「ラブライブ優勝で少しは調子に乗っちゃったりするかなって心配してたんだけど、そんなことなかったわね」 

英玲奈「ツバサは無駄に考えを巡らせる。私は最初から心配等していなかった」 

ツバサ「更に高みを目指そうと動きに磨きが掛かるなんてね」 

英玲奈「現状に満足していたら来年はことりにリーダーの座を奪われかねない」 

ツバサ「んふっ♪ それは望むところね」 

ことり「あの、そういうことは本人が居る所で話すべきことじゃないんじゃ?」 

ツバサ「ことりさんは発破掛ける方が伸びるでしょう?」 

英玲奈「プレッシャーを自分の前にある壁を越える波にする。ことりの強さの一つ」 

ことり「二人して買いかぶり過ぎ。私は日陰でのんびりするタイプだから」 

ツバサ「あら、それってA−RISEが日陰的存在だって言いたいのかしら?」 

ことり「違うよ! ツバサさんと英玲奈さんは私にとっては太陽だから」 

英玲奈「月と称されることはよくあるが、太陽と言われたことは一度もないな」 

ツバサ「私はあるけど、本物の太陽に並ぶ逸材を知っている。だから私は星の方がいいわ」
547 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:59:08.70 ID:qfP/w3XW0
ツバサ「それに、ファンの人達がくれるサイリュームも夜空を遍く星のようで、一体感が生まれるわ」 

英玲奈「それにしては随分と光が強いようだが?」 

ツバサ「星の持つ明るさと距離によって輝きが違うんだからいいじゃない」 

ことり「素直に太陽でいいと思うけど」 

ツバサ「どうやら練習メニューをもっとハードにして良いみたいね」 

ことり「ぴぃっ!」 

英玲奈「それは大人気ない。が、完成度をより上げるにはそれもありだ」 

ことり「なしだよ! だって、今回の学園祭で新曲連続で公開するんだよ? 覚えるのだけでも精一杯です」 

ツバサ「しっかりと付いてきてるんだからもっと自信持ちなさい」 

英玲奈「ことりの存在は芸能科の生徒には大変刺激的らしい。弱音を吐いている暇はない」 

ツバサ「それもそうよね。被服科の特待生が芸能科を差し押さえてメンバーに居るんだもの」 

英玲奈「何かあれば私達に言ってくれ」 

ことり「大丈夫」 

ツバサ「それもそうね。私と英玲奈二人では成し得なかったラブライブ優勝を見事果たせたのだから」
548 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 11:59:40.35 ID:qfP/w3XW0
ツバサ「これで絡むようなお門違いの思考をした子はここには居ないわよね」 

英玲奈「UTXは一貫した実力主義。そういう考えをしている者が居れば自然と辞めているだろう」 

ことり(そう言えばアンチ先輩と一緒に居たリボンの先輩ってあれ以降見てないなぁ) 

英玲奈「実力と上を目指す強い想い。そして何より信念がなければステージには上がれない」 

ことり「あの、私は?」 

ツバサ「私もそれに同意するわ。でも、もっと多くの機会があればって思うの」 

英玲奈「多くの機会とは?」 

ことり(私は全部揃ってなんてないんだけど……) 

ツバサ「ことりさんだって運命が交わらなければ発見することが出来なかった訳でしょ?」 

ツバサ「生徒数に関係なくスクールアイドルになれるのは極僅か。だけど、それだけが道じゃないと思うの」 

ツバサ「スクールアイドルを経由せずともアイドルや芸能人になる人は当然居る。その為のチャンスをもっとあげたい」 

英玲奈「劇場をもっと有効活用させたいということだろうか?」 

ツバサ「ええ、こういうのは生徒会が考えることだと思うんだけどね。ことりさんはどう思う?」 

ことり「私、ですか?」
549 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:00:15.11 ID:qfP/w3XW0
ツバサ「ええ。どう思うか、率直な意見を聞きたいの」 

ことり「私もツバサさんと同じ意見。強い信念を持って芸能科で私以上に努力してきた人達が居ます」 

ことり「自分という存在を光り輝かせる為に本当に努力して、努力して、努力して……」 

ことり「上手く言葉が纏まらないけど、今よりも多くの機会があって当然かなって思うの」 

ツバサ「そうよね。私達が在校してる時点で変われるなんて思ってないけど、変えていけたら最高よね」 

英玲奈「こういう発想を口に出来ることがツバサのカリスマ性だろうな。そして、それに同意出来たことりも」 

ことり「私はそんなんじゃないよ!」 

ツバサ「んふふっ♪ さ、そろそろ練習再開しましょうか。完璧なライブにしないとね」 

英玲奈「ああ。来てくれたお客さん全てを満足させる出来栄えにしよう」 

ことり「そうだね!」 

ツバサ「特にことりは二日目に音ノ木坂に遊びに行きたいって余裕発言をするくらいだものね」 

英玲奈「それ程自信があるということだろう」 

ことり「穂乃果ちゃん達がカレー屋さんするから是非って誘ってくれたから」 

英玲奈「完璧にこなせていれば何も問題はない」
550 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:00:48.58 ID:qfP/w3XW0
ツバサ「去年の私達にはない心のゆとり。からかうつもりじゃないけど、本当に大きな器よね」 

ことり「そんなことないよ!」 

英玲奈「デザイナーとしてかアイドルか。将来どちらでその名を馳せることになるのか。それが今から楽しみだ」 

ツバサ「面白いわね。英玲奈、賭けでもする?」 

英玲奈「やめておこう。どうせ同じ方に賭けることになる」 

ことり「それってどっちなんですか!?」 

英玲奈「ふふ。秘密だ」 

ことり「ツバサさんはどっちに賭けようって思ったの?」 

ツバサ「英玲奈が秘密にするんなら、当然私も秘密♪」 

ことり「二人してからかわないでよぉ〜」 

英玲奈「いや、両方を叶えるということもありえるか」 

ことり「ありえないから!」 

ツバサ「自分で自分の可能性を潰しては駄目よ。夢は大きく持てばそれだけ自分を成長させてくれる」 

ツバサ「夢ほど素敵なものなんてこの世界には多くないのだから」 

ことり「……夢」 

ことり(卒業しちゃう前にアンチ先輩と一緒の舞台で歌えたら良いな。これが私の今の夢の一つです)
551 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:01:29.13 ID:qfP/w3XW0
◆切っ掛け・真姫ダイアリー part2◆ 

今日ママに音ノ木坂ではなくUTXに入学したいと思っていることを伝えた。 

本当の意味では初めて言った我が侭かもしれない。 

だからだろうけど、今だ胸のドキドキがしている。 

ママにはあんな強気の言葉を返したけど、これまでこんなにも不安になったことはない。 

学力面で自信はあるけど、メンタル面は強くはないんだってことを今回の件で改めて知らされた。 

UTXに入れば私も南ことりの様に強くなれるのかしら? 


日記を読み返したら、物語風に締めて続きを書いていない。 

その後に日記を書いてたのがママにUTXを受験することを報告した日。 

受験が忙しかったからって我ながらあんまりだと思う。 

無事にUTXに入学も決まったことだし、これからは毎日とはいかなくても数日毎に書いていきたい。 

記念日でもあるし、物語風に書いてた日記の続きを書いておこうと思う。 

自転車の練習は何度も転んで何度も諦めそうになった。
552 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:02:01.69 ID:qfP/w3XW0
その度にまこちゃんへの返事を思い出し、小学生の時とは違って強い意思で立ち向かう。 

なんて、過ぎた今だから書けることで、実際はサポーターとか付けててても痛くて嫌になった。 

それでも夏休みが明けてから、今度は私から誘うという目標がより力を与えてくれる。 

目撃者の数を極力減らしたいから、自転車の練習の為に明朝に行っていた。 

お陰で練習後の勉強は午後になるまで余り頭に入ってこなかった。 

悔しさと痛みが溢れていたから……。 

頭脳は自分で言うのもなんだけど、とても優秀だ。 

大学は女子医大に入り、将来的にはお医者さんとなってパパの跡を継ぐのだから優秀でないと話にならないんだけど。 

運動神経の方は余りよろしくはない。 

元看護婦のママから病院は体力勝負ということで、筋トレをするように言われてる。 

だから体力面には少しだけ自信あり! 

……うん、そんな風に言える程じゃない。 

元々が普通の子よりも体力が低かったから、今だって普通に届くかどうかくらいだもの。
553 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:02:39.06 ID:qfP/w3XW0
結局、私は小学三年生の頃から成長していなかった。 

再び自転車に乗ることを諦めたの。 

だって、何度も何度も練習したって上手く乗れないんだもの! 

諦めてから夏休みが明けるまで、逃げるようにピアノを弾いた。 

得意な曲でも度々失敗することもあり、今思うと相当参ってたんだと思う。 

特にまこちゃんからメールが来る度に返事をする指が震えた。 

罪悪感とまた逃げ出したことに泣きたくなったし、堪えられずに泣いて以降はずっと泣くことになった。 

夏休みが明け、無駄に小麦肌になった生徒も居る中、まこちゃんは白い肌のまま。 

それを見て何故か私はほっとした。 

帰りのHRが終わり、まこちゃんが変わらない笑顔のまま私に声を掛けてきた。 

だけど、私はそっけない返事をするだけで目を逸らすことしか出来なくかったわ。 

すっごい臆病でこれほど自分を嫌いになることがあるなんて思いもしなかった!! 

私だったらそんな相手に声を掛け続けるなんて絶対に無理! 

それなのに、まこちゃんは気にしないみたいに、度々声を掛けてくれた。
554 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:03:16.78 ID:qfP/w3XW0
元々毎日話す間柄という訳でもなかったから毎日ではなかったけど、気に掛けているのは感じていた。 

十月も半ばに近くなって、漸くもう一度だけチャレンジしようと臆病な自分と向かい合った。 

睡眠不足になるくらい追い詰められてたから、他に選択がなかっただけでもあるんだけど。 

そのお陰というのも変な話だけど、無駄に緊張していた力が抜けて「えっ?」と声を漏らすくらい簡単に乗れた。 

ごめん、少し美化したわ。 

ふらふらとしてたけど、今までと違ってきちんと乗れた。 

補助輪付きの自転車に乗ったことがない私にとって、人生初の自転車を運転出来た。 

あの時の喜びは寝不足だったことを忘れるくらいのインパクトがあった。 

一度止まってから再びこぎ始めた。 

先ほどと同じふらふらとはしてたけど、きちんと乗れたの。 

でも、寝不足だった所為で正常な判断というものが出来てなかったのね。 

ま、これもお陰というには迷惑を掻けちゃったんだけど、お陰で私の目標が出来たから許して欲しい。 

私は南ことりと出逢うことになる。 

この時は知らなかったんだけど、UTX学院の学園祭二日目。 

私は嬉しさの余り、まこちゃんから電話だから今日はここまでにしておくわ。
555 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:03:55.48 ID:qfP/w3XW0
◆花陽と凛の生きる道◆ 

凛「かよちんすっごい! これなら音ノ木坂に入ったら陸上部でもやっていけるよ!」 

花陽「凛ちゃんってば大げさだよ」 

凛「本当だってば」 

真っ直ぐな笑顔が眩しくて、太陽を直下した時のように思わず目を瞑ってしまった。 

今日は夏休み最終日。 

私も凛ちゃんも夏休みの宿題は計画的にやっておいたのでもう既に終わってる。 

ううん、UTXに進学することを伝えるっていう最大の宿題がまだ残ってる。 

話さなきゃ話さなきゃと思えば思うほど、言葉が出なくなっちゃう。 

こういう意気地のないところが昔からまるで成長していない。 

アイドルだったらこういう時こそ自ら前に出て、ハッキリと自分の想いを告げるんだろうなぁ。 

『ファイトだよ!』 

ことりさんがファーストライブでくれた言葉。 

臆病な私にはとっても勇気を与えてくれる優しくて元気になる魔法。 

凛「かよちんはやる気さえ出せば誰にも負けないにゃ♪」
556 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:04:49.30 ID:qfP/w3XW0
花陽「は、花陽は……全然だよ」 

凛「凛はかよちんが自信を持てば無敵だって思ってるよ。アイドルでだってナンバー1になれるよ!」 

本気で言ってくれるのが分かって、だからこそ泣いちゃいそうになる。 

涙をグッと堪えて覚悟を決める。 

今日という日に言えなければ、きっと私はUTXへの入学を諦めると思う。 

お母さんとお父さんにも、先生にも絶対に言い出せない。 

真っ先に凛ちゃんに伝えたいと思ったのは私だもの。 

何度も繰り返すことりさんの魔法。 

そして、凛ちゃんがくれた今までの魔法の数々。 

一人では何も出来ない私が初めて一歩を踏み出す勇気を下さい。 

花陽「凛ちゃん。あのね、その……大切な話があるの」 

凛「なになに? 凛と一緒に陸上部に入る決意しちゃった? そうだったら嬉しいな」 

花陽「――ごめんなさい!」 

凛「え、何が?」 

花陽「花陽は音ノ木坂学院にはいけません」
557 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:05:36.74 ID:qfP/w3XW0
凛「どっどういうこと!? もしかしてかよちんのお父さんがリストラされちゃったとか!」 

花陽「ううん、違うよ。そうじゃないの」 

思わず俯いてしまう。 

『苦しい時こそ姿勢を正して前を向こう』 

凛ちゃんの一番の魔法が臆病な私を打ち砕く。 

姿勢を正して前を向いた時、今まで感じたことのないくらいの恐怖から涙が零れた。 

凛「なんで泣いてるの? どうして音ノ木坂にいけないの? 凛、バカだからきちんと説明してくれないと分からないよ」 

花陽「あのね、私UTX学院に進学したいの」 

酷い涙声できちんと伝わったかも分からない。 

それでも言い終わった時に足がおかしいくらいにガクガクと震えた。 

凛ちゃんに伝えられたという気持ちより、伝えてしまったという心境。 

凛「UTX?」 

花陽「私やっぱりアイドルになりたい。なれなくても、せめて努力はしたいの」 

凛「」 

花陽「凛ちゃんは花陽のこと応援してくれる?」 

凛「――」
558 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:06:09.07 ID:qfP/w3XW0
凛「もっ、もちろんだにゃー! かよちんの夢を誰よりも応援してきたのは凛だもん!」 

今の凛ちゃんがどんな表情をしていたのか、視界が涙で歪んでいた私には分からない。 

それでも、声も普段通りだというのに凛ちゃんが泣いているのが分かった。 

なのに凛ちゃんは私を応援してくれると言ってくれた。 

私は凛ちゃんのこの応援に応えられる存在になりたい。 

スクールアイドルになりたい。 

凛「かよちんは世界で一番素敵な女の子だもん。絶対にアイドルになれるよ」 

凛「例え高校が別々になっても家は近くなんだし、これからも変わらないよ」 

花陽「そうだよね」 

凛「うん」 

蝉にも負けないくらい長い間、私は泣き続けた。 

凛ちゃんはそんな私の頭をずっとなで続けてくれた。 

だから余計に、涙は止まらなかった。 

私、絶対にスクールアイドルになるからね。
559 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:06:49.07 ID:qfP/w3XW0
◆笑顔が調味料なカレー屋さん・開店前◆ 

あんじゅ「幸せ届けるキュートなお店。にこの笑顔が調味料なカレー屋さん開店だよ♪」 

にこ「まだ開店してないわよ」 

海未「今日のあんじゅはとてもテンションが高いですね」 

穂乃果「笑顔がいつもの五割増しで輝いてるよね」 

絵里「それほどにこのカレーが好きで、多くの人に食べてもらいたいんでしょ。可愛い妹じゃない」 

あんじゅ「にこの一番の得意料理だしねっ!」 

にこ「私の一番得意なのはチーズハンバーグなんだけど」 

あんじゅ「真実は人の数だけ存在するんだよ★」 

穂乃果「おぉ〜子供探偵を真っ向から否定したね」 

海未「唯一無二なのは真実ではなく真理ですから」 

絵里「こうしてお店を出せるのは海未と穂乃果が入部してくれたお陰ね」 

海未「初めの内はにことあんじゅを恨んだりもしましたけど」 

穂乃果「私は皆に感謝してるよ! ことりちゃんに絵を見てもらってるから、来年には美術が得意科目になってるかも!」 

海未「穂乃果のその心意気だけは買います」
560 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:07:34.26 ID:qfP/w3XW0
あんじゅ「一日寝かせたカレーに予算の殆どを費やしたお米!」 

あんじゅ「今回使用するお米は都内の小中学校の給食で一番採用されてるお米なんだよ」 

にこ「お米をもっと安くして、良いお肉使いたかったんだけど」 

あんじゅ「家庭の味を再現してるんだからいつものカレーじゃないと駄目だよ!」 

あんじゅ「ブログで魅せたあのカレーがここにはある! って、ファンの子が大勢やってくるんだから」 

海未「本当にあんじゅのテンションが凄いですね。やる気モードの穂乃果にも劣らない感じです」 

穂乃果「いくら穂乃果だってあんなにテンション高くなったりはしないよー」 

海未「自覚がないところが穂乃果の恐ろしいところです」 

絵里「ふふっ。自分に素直になれるのは魅力の一つでしょ?」 

海未「甘やかし過ぎです」 

絵里「そんなことないわよ。ねー」 

穂乃果「ねー♪」 

あんじゅ「SMILE全員が大正浪漫溢れる和風衣装!」 

絵里「そういえば、どうして衣装が大正時代なのかしら?」 

海未「確かカレーライスの原型が出来上がったのが大正時代だった筈です」
561 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:08:13.07 ID:qfP/w3XW0
穂乃果「海未ちゃんって本当に物知りだよね」 

海未「たまたま知っていただけですよ」 

あんじゅ「最後の一杯を注文した方にはにこにー団扇をプレゼント!」 

にこ「もう秋なんだけど……というか、恥ずかしいから身内でそういう品を作らないで」 

あんじゅ「スクールアイドルがそんな些細なことで照れてちゃ駄目駄目だよ」 

穂乃果「あぁ〜穂乃果もブービー賞として、最後から二番目のお客さんに海未ちゃんうちわ用意すればよかったー」 

海未「そんな物を作っていたら二度と口を利かないところです!!」 

海未(にっこにっこにーってあんじゅが使うのがそもそもおかしな話です) 

海未(あんじゅなんですからあんあんあー……っ!?) 

穂乃果「どうかしたの? 海未ちゃん顔が赤いよ?」 

海未「何でもっないです!」 

にこ「本当に学園祭でカレー屋をすることになるなんてねぇ」 

あんじゅ「頑張ってフラグ立ててたからね。言霊のある国に生まれてあんじゅ幸せにこ〜♪」 

絵里「なるほどね。じゃあ、私も言霊を使おうかしら。海未と穂乃果も妹入りしますように」 

にこ「あんたはどれだけ妹ハーレム広げたいのよ!」
562 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:08:45.57 ID:qfP/w3XW0
絵里「ハーレムなんて俗な言い方しないでよ。人類皆姉妹っていうでしょ?」 

にこ「言わないわよ。こんなのが生徒会長とかやってる時点で音ノ木坂に未来はなさそうね」 

穂乃果「不吉なこと言っちゃダメだよー。絵里ちゃんの跡は海未ちゃんが引き継ぐから安泰だよ」 

海未「勝手なことを言わないでください」 

あんじゅ「でも、海未ちゃんってSMILEで一番のしっかり者だもんね。生徒会長が似合うと思うよ」 

絵里「えっ、私が一番じゃないの?」 

にこ「自分の発言を顧みなさいよね」 

絵里「にこぉ」 

にこ「そのにこの真似やめなさいよ!」 

あんじゅ「にこにこ〜♪」 

にこ「あんたもわざと便乗するんじゃないわよ! というか、私そんなこと言ったことないでしょ」 

穂乃果「うみうみ〜♪」 

海未「穂乃果っ!」 

あんじゅ「良い感じにリラックス出来たことだし説明していくね」 

海未「お願いします」
563 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:09:29.74 ID:qfP/w3XW0
あんじゅ「最初のお鍋は一日寝かしたカレー! 二日目は一日目より美味しい!」 

にこ「説明になってないわよ」 

あんじゅ「ブログでも宣伝したように、先着順になるけど、なくなるまでは一日寝かしたカレーが出ます!」 

穂乃果「十時って中途半端な時間からいきなりカレー食べにくる人って居るのかな?」 

絵里「ファンの数人は来てくれるんじゃないかしら。本格的に込むのは十一時半過ぎだと思うわ」 

あんじゅ「二人とも甘いよ! そんな考えじゃニコ屋の店員は務まらないニコ!」 

海未「名前が変わってるのですが」 

あんじゅ「長い名前よりニコ屋の方が言い易いでしょ?」 

にこ「人の名前使うなら私に許可取りなさいよ」 

あんじゅ「それでね」 

にこ「ってスルー!?」 

絵里「この流れも随分と懐かしい気がするわね」 

穂乃果「穂乃果は初めて見た」 

あんじゅ「朝一から多分多くの人が朝食を抜いて来店すると思うの。ここに来るまでの出店でお腹を刺激されながら」
564 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:10:10.50 ID:qfP/w3XW0
絵里「生徒数の少なさからそんなに多くの出店が出せる訳じゃないけど」 

あんじゅ「直ぐにお出し出来るように今から微熱で温めておかないとね!」 

海未「鍋を温める時に微熱という単語を使う人間を初めて見ました」 

穂乃果「普段から料理してなくても普通は使わないよね」 

にこ「テンション上がり過ぎて正常に回ってないのよ。あんじゅがミスしないように気を配ってね」 

海未「分かりました」 

絵里「レジ係は絶対に任せちゃ駄目ね」 

にこ「ええ、レジ係は絵里と海未の二人に任せるわ」 

あんじゅ「そしてこっちの鍋が今朝作ったカレーです!」 

にこ「全員その場に居たんだから知ってるわよ。あんた、少し仮眠取ったらどう?」 

あんじゅ「カレーを前にして眠るなんてありえないよ!」 

にこ「訳が分からないわよ」 

絵里「混乱してるから私が引き継ぐわね。基本的に休憩時間は有志の手伝いの人が来てくれた時になるわ」 

絵里「とはいえ、ファンの人がわざわざ足を運んでくれる訳だから私達が揃ってる方が良いと思うの」
565 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:10:41.54 ID:qfP/w3XW0
絵里「だから休憩は食事休憩程度の短い時間帯で乗り越えてもらうことになるわ」 

海未「元々そのつもりです。というか、お客さんが空いた時に食べれば移動すらしなくて済みますし」 

穂乃果「そうだね! 手軽に食べられるようにって、今日は穂むら特製お饅頭をお父さんが沢山容易してくれたんだよ」 

にこ「後でお礼にいかなきゃいけないわね」 

あんじゅ「私が言おうと思ってたことエリーちゃんが言っちゃった」 

にこ「よしよし。あんたはとにかく失敗しないで今日を乗り越えることだけ心配してなさい」 

あんじゅ「にこっ!」 

にこ「にこにこっ!」 

絵里「何だかんだ言ってにこも少しテンション高いわね」 

海未「というか、昨夜あんじゅが煩くて全然寝かせて貰えなかったらしいですよ」 

穂乃果「あーあんじゅちゃんのテンションは寝不足からもきてるんだねぇ」 

絵里「あんじゅとにこファンには悪いけど、三時くらいにどこかで仮眠取らせて貰った方がいいかもしれないわね」 

にこ「にこは大丈夫よ。体力には自信があるんだから」 

絵里「最後に加入した穂乃果より体力ないでしょうが。妹は素直にお姉ちゃんの言うことに従いなさい」
566 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:11:21.58 ID:qfP/w3XW0
にこ「本当に辛くなったら言うから、強制的な撤退はなしにして。ファンの為に頑張れないなんて寂しいもの」 

絵里「……きちんと自己報告するのよ?」 

にこ「SMILEとファンに誓うわ」 

絵里「ならいいわ。だけど、遠慮せずに言ってね?」 

にこ「大丈夫よ。一番心配なのはにこよりあんじゅでしょ」 

あんじゅ「私はにこと違って本当に体力あるから大丈夫だよ♪」 

海未「確かに普段は体力はあるのですが、そのハイテンションではどれくらい持つのか不安でしかありません」 

穂乃果「でもこういう不安がある方がイメージしてた学園祭って感じがして私は楽しみだなー」 

絵里「不謹慎だけど私も若干楽しいわ。去年はクラスの出し物とライブだけだったからそういうドキドキってなかったし」 

海未「気持ちは分からなくはないですが……」 

にこ「今日は一日楽しんだもの勝ちよ。来てくれるファンや普通のお客さんも楽しませれば最高の一日ね」 

あんじゅ「なんせ夢にまでみたカレー屋さんだもん! 将来の予行練習だねっ」 

穂乃果「将来? にこちゃんとあんじゅちゃんはカレー屋さんになるの?」 

にこ「なるか! あんじゅが勝手に言ってるだけよ」
567 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:11:56.19 ID:qfP/w3XW0
あんじゅ「フラグは立てておけば運命が勝手に回収してくれるんだよ」 

海未「あんじゅに押し切られてカレー屋を切り盛りしているにこが想像に容易いですね」 

穂乃果「じゃあそのカレーを使ったカレー饅頭を穂むらで売って宣伝するね」 

絵里「ふふっ。何だか楽しそうね。私はどうやって関わり合おうかしら?」 

海未「私は関わらないので何でも良いと思います」 

絵里「じゃあ、日舞とカレー屋を繋ぐ何かになりましょう」 

海未「そんなものありません!」 

あんじゅ「あったら素敵かも。SMILEの絆は未来もずっと潰えずに繋がっていくんだ♪」 

にこ「はいはい。で、十一時くらいにはうちのおちびちゃん達と亜里沙と雪穂ちゃんが来るのよね」 

にこ「面倒みてもらった上に、二人を学園祭に連れてきてもらえるなんて本当に感謝してるわ」 

絵里「どちらかと言うと亜里沙も連れてきてもらう側だから、雪穂さんに感謝するという意見は同じよ」 

穂乃果「雪穂は小さい子の面倒みたりするの昔から得意だからねー。特別に感謝する必要もないよ」 

海未「それに責任感も強いですし、店を手伝うこともあるので気配りも上手です」 

にこ「ママが仕事になった時は二人を連れてこれなくなると思ってたから、本当に感謝してるわ」
568 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:12:29.37 ID:qfP/w3XW0
穂乃果「だから良いってば。寧ろこころちゃんとここあちゃんと遊べて喜んでると思うよ。勿論亜里沙ちゃんもね」 

絵里「亜里沙が同じクラスになれたお陰で学校面でも心配が減ったし、縁は巡るものね」 

穂乃果「本来だったら普通の先輩後輩な関係で終わるだけだったかも知れないもんね」 

海未「縁とは本当に分からないものです。それで思い出しました。にこ、休日振り替えはカラオケに行きましょう」 

にこ「カラオケ? 別にいいけど、海未から誘ってくるなんて珍しいじゃない」 

海未「約一年前の借りを返しておこうかと思いまして」 

あんじゅ「そっか。海未ちゃんと出会ってもう一年になるんだね」 

にこ「にこの森のパンダさんに勝てると思ってるにこ?」 

海未「あの時はカラオケに慣れてませんでしたし、冷静さを欠いてましたからね」 

絵里「面白そうね。どうせなら皆で採点勝負しましょうよ。負けた人に罰ゲームありで」 

穂乃果「面白そうだから賛成!」 

あんじゅ「罰ゲームありなら絶対に負けないよ」 

にこ「海未が良いなら私はそれでも構わないわ」 

海未「私の辞書に敵前逃亡という文字はありません。受けて立ちます。正し、詳しいルールは私と絵里で決めます」
569 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:13:01.31 ID:qfP/w3XW0
あんじゅ「ルール決めるの私得意だよ?」 

海未「あんじゅが関わったら抜け穴だらけになりますから却下です!」 

あんじゅ「残念★」 

にこ「副賞として優勝者には次回の新曲でセンターっていうのはどうかしら?」 

穂乃果「更に燃えてくるね!」 

海未「そういう心理戦を仕掛けてくるからにこも信用がおけないんです。センターなんて恥ずかしい!」 

絵里(海未を勝たせるのも面白いかもとか思っちゃったわ) 

あんじゅ(ルールに抜け道あれば面白いんだけどな〜) 

穂乃果「一曲で決めるより複数の曲の合計の方がより盛り上がると思うんだけど、どうかな?」 

にこ「駆け引きがより複雑化して面白そうね」 

海未「そうですね。その方が地力の差が出ますから明確な決着が迎えられそうです」 

あんじゅ「それだけでも面白いけど、特別枠みたいのがあればもっと面白くなるかも」
570 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:14:19.97 ID:qfP/w3XW0
絵里「特別枠?」 

あんじゅ「一人一曲ランダムで決まったジャンルの歌を歌うみたいな感じだね」 

にこ「運の要素も兼ね備える必要がある、と言う訳ね」 

海未「にこの運気のなさは異常ですから、にこが良いのなら私は構いませんよ」 

にこ「誰が異常よ! にこはスピードくじ一枚買って一万円も当たったことがあるんだからね!」 

あんじゅ「懐かしいね。あれも一年前の秋だったよね。思い出した、海未ちゃんと出逢う前日だよ」 

海未「一生分の運をそこで使っていなければ良いのですが……」 

穂乃果「にこちゃんならありえるかも」 

絵里「否定出来ないわ」 

にこ「どういうことよっ!」 

絵里「カラオケ大会の詳しいルールは今日を乗り越えてからにしましょう。最終確認しましょう」 

あんじゅ「そうだね。食券のチェックにお釣り。きちんと再確認しよう。ニコ屋に不備という言葉はなしだよ!」 

穂乃果「ニコ屋に不備なし!」 

にこ「……もうニコ屋でいいわよ」
571 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:15:05.44 ID:qfP/w3XW0
※これは読み飛ばしてもなんの問題もありません。 

◆くだらなくも壮絶な闘い 〜Ver.邪道ポーカー〜◆ 

――高坂家 SMILE+ことり 

事の発端すら忘れてしまうくらい、白熱したポーカー対決。 

顔に出易い海未の笑顔に対し、自信満々に挑んで自爆するにこのお陰とも言える。 

しかし、そんなにこも持ち点が減り、無謀な特攻も出来ない状態。 

天井ありだけど、その天井まで張る点数がないのでは勝負にならない。 

にこ「仕方ないわね。今回は降りるわ」 

悔しさを露わにするも、見事にブタである手札ではどうしようもない。 

それに続くように、穂乃果とことりも降りる。 

その一番の理由が今日一番の笑顔を浮かべる幼馴染。 

海未「絵里とあんじゅは降りなくても良いんですか?」 

カードゲームでここまで白熱した経験のない海未にとって、今日は一生の記念日になるくらい幸福な日。 

穂乃果「いや〜ことりちゃんが来てくれたから大盛り上がりだよ」 

ことり「え〜そんなことないよぉ」 

にこ「そんなこともあるわ。あなたが居なければ殺伐としてた可能性が高いもの」
572 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:15:57.24 ID:qfP/w3XW0
穂乃果「そうだね。あの三人ってば本気度120%って感じだもんねぇ」 

ことり「た、確かに。凄い熱気だよね」 

あんじゅ「知っている? こういう局面で最初に余裕を見せた者は淘汰されるんだよ」 

絵里「その意見には同感ね。恥を掻く前に降りるのはどうかしら?」 

海未「愚問ですね。最高の運気に包まれている私に、降りる等という愚かしい選択はありません!」 

絵里「その余裕はアイスブルーと呼ばれた女王には通じはしないわ」 

海未「女王等、蒼の神話の前では埋もれるべき存在です」 

あんじゅ「にこにーの最愛の妹である矢澤あんじゅの前では全てが弱者★」 

にこ「……白熱はいいけど、あの意味不明なテンションは何なのかしらね」 

ことり「聞いたことがあるよ」 

穂乃果「知っているの? ことりちゃん!」 

ことり「うん。中二病という若い子が主に掛かる心の病気なんだって」 

にこ「どんな病状なの?」 

ことり「アニメや漫画のキャラクターになりきっちゃうみたいな感じかなぁ?」 

穂乃果「正に今の三人がその通りって感じだねっ」 

にこ「SMILEの恥だわ」
573 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:16:43.68 ID:qfP/w3XW0
リーダーの思いを知らず、三人のテンションは極限に達していた。 

海未「では私からオープンさせて頂きましょう。降れ付しなさい! 4カード!」 

今回ジョーカーは一枚制限である為、海未の4カードによりポーカー最強の手である5カードが潰える。 

圧倒的なまでの海未のドヤ顔。 

それでも尚、絵里とあんじゅの笑顔は崩れない。 

海未(手札をオープンするまでその仮初の笑顔を維持できたことを褒め称えましょう) 

海未(ですが、勝負は勝負。この勝負は私の勝ちです) 

絵里「さっきあんじゅが言ったでしょ? 余裕を見せた者が淘汰されるって」 

絵里が見せた笑顔は仮初ではなく、蒼の神話を打ち崩す現在最強の手札。 

海未「そ……そ、そんなっ!」 

あんじゅ「強運。ううん、もはや剛運と呼ぶべきだね」 

絵里「女王の前には神の軌跡なんて意味を成さないの。チェックメイト」 

海未「私の最強の手が……破れるなんて」 

ポタポタっと、海未の瞳から悔しさの余り涙が溢れ落ちる。 

にこ「ポーカー如きで泣いてるわよ」 

ことり「中二病とは魂のあり方。その状態で負けるということは自分を全否定されるのと同じなんです」
574 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:17:16.76 ID:qfP/w3XW0
穂乃果「あんなに悔しそうな海未ちゃん初めてみたかも」 

絵里「さ、次の勝負に移りましょう」 

絵里が当然のように言った言葉。 

本来であれば当然のこと。 

あんじゅ「エリーお姉ちゃん。勝負はまだ終わってないよ?」 

ロイヤルストレートフラッシュが二人被る事など本来ならありえない。 

しかし、相手は邪道シスターズの参謀・矢澤あんじゅ。 

絵里(もしかしてカードを仕組んだ? でも、ジョーカーを海未が掴んでる時点でもはや勝ちなんてない) 

絵里(何にしろ、山札の中にジョーカーが眠っていない今の状態では意味がないわ) 

絵里「強がりもそこまでいけば一つの特技ね。妹と言えど勝負の世界に情はなし」 

絵里「だけど、今ならその手札を公開せずに負けということにしてあげるわ」 

あんじゅ「知ってる? 漫画でこういう展開になった時は後手に回った方が有利なんだよ」 

絵里「これは現実よ。海未のように涙を流したくないのなら退きなさい」 

あんじゅ「勝てる勝負をふいにする意味がないにこ!」 

絵里「本気で言ってるの? 女王の前に道はないのよ」 

あんじゅ「道がなくても通るのが邪道シスターズの在り方だよ?」
575 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:18:18.64 ID:qfP/w3XW0
バチバチと見えない火花を散らす長女と三女。 

穂乃果「勝ちの目ってもうないよね?」 

ことり「その筈だけど……でも、虚勢であんな強気には普通なれないんじゃないかな?」 

にこ「いくらあんじゅとは言え状況が悪いわ。絵里の手がストレートフラッシュだったなら話は変わったけど」 

ことり「そうですよね。それならまだ勝ちの目があったのに……」 

穂乃果「でもでもっ逆に楽しみだよね!」 

空いた右手で髪を弄りながら不敵な微笑みを浮かべるあんじゅ。 

段々と未知なる恐怖に心を蝕まれ始める絵里。 

場の空気により、悔しさから流れていた涙が止まった海未。 


――決着の時が来た 


あんじゅ「最強のフルハウス★」 

あんじゅの手札は自分で言った通りフルハウス。 

普段は強めの手であるが、そこそこの頻度で出現する存在であり4カードよりも格下。 

当然、ロイヤルストレートフラッシュに及びもしない。 

絵里「なんだ、ただのフルハウスじゃない。てっきりジョーカーだけの5カードでもするのかと思ったわ」
576 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:19:18.23 ID:qfP/w3XW0
未知の恐怖から解放された絵里は、そんな風な軽口を叩く。 

あんじゅ以外の誰もが今回の勝負はアイスブルーである女王絵里が勝ったと思った。 

だが、未だにあんじゅの余裕の微笑みは崩れない。 

あんじゅ「エリーお姉ちゃん。きちんと私の手札を見て」 

絵里「何よ、何度見たってフルハウスじゃない。私の勝ちよ」 

あんじゅ「言ったよね? 最強のフルハウスだって」 

絵里「……なっ! これは!?」 

海未「まさかっ!?」 

絵里と海未が同時にあんじゅの企みに気付いた。 

あんじゅ「漸く分かったみたいだね。私の勝ちだよ、エリーお姉ちゃん♪」 

絵里「そうね、私の負けだわ。SMILEで行うポーカーではその手に勝る手はないわね」 

海未「その様ですね。迂闊でした」 

にこ「どんな手よ!?」 

フルハウスに勝る手でありながら負けを認めた二人に驚き、にこがあんじゅの手を見た。 

22255の普通のフルハウス。
577 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/11/22(土) 12:20:08.62 ID:qfP/w3XW0
あんじゅ「敢えてもう一度だけ言うわ。25252(最強)のフルハウス★」 

にこ「くだらなすぎるわよ! この一戦の降りてから今までの時間返しなさいよ!」 

穂乃果「なるほど! にこにこにー! だから最強なんだね」 

絵里「これを機に私達がするポーカーは邪道ポーカーと名付けましょう」 

海未「次は負けませんよ。邪道ポーカー掛かって来いです!」 

穂乃果「穂乃果も最強のフルハウス作ってみせるよ!」 

にこ「あんた達とはもう二度とポーカーなんてしないわよ!!」 

ことり「……SMILEって色々と凄いなぁ」 

こうして、無駄に白熱したポーカー対決は勝者有耶無耶で神経衰弱に移った。 

終わる頃にはこうした何でもない一日もいいものだなって思うのでした。 

にこ「私はそんなこと思ってないニコ!」 

あんじゅ「にこってば相変わらずツンデレにこ〜♪」 


色々と中途半端で申し訳ないですが次回送り+今度こそハロウィン!
578 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/22(土) 16:08:08.33 ID:hruqnWDho
579 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/22(土) 16:25:02.51 ID:8C1AlyTBO
おつ
580 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/22(土) 21:25:58.71 ID:7MhtAt+Y0
乙です! 
やっぱりSMILEは最高だな
581 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/11/22(土) 23:04:58.60 ID:TCLJ5ekyO
乙 
次回も待ち遠しい
582 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/12/05(金) 08:09:15.92 ID:Ss6ktC/V0
乙 
583 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/12/15(月) 16:54:09.79 ID:xjX94b4LO
続き楽しみ
584 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2014/12/17(水) 17:14:07.20 ID:4je2IwAi0
まだかしらね
585 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 04:56:28.55 ID:xMjwcbRV0
短いけどこっそりと再開します。 

――にこの夢 

あんじゅ「にこさん!」 

にこ「んぅ……あ、あんじゅさん。いきなり抱き締められたら、恥ずかしいにこぉ」 

あんじゅ「うふふ。ごめんなさい。だって、にこさんってとっても可愛いんですもの」 

にこ「っ!」 

あんじゅ「元気そうで何よりだわ。最近はA−RISEの練習が忙しいから逢えなくて寂しかった」 

にこ「にこも寂しかった。でも、これは恥ずかしいってば!」 

あんじゅ「いいじゃない。抱き締めて増える物はあっても減るものはないわ」 

にこ「にこの精神力が減ってるニコ!」 

あんじゅ「減る以上に回復してるから大丈夫よ」 

にこ「回復してない回復してない!」
586 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/12/22(月) 04:57:23.41 ID:xMjwcbRV0
あんじゅ「大丈夫よ。私のにこさん分は大幅に回復してるから」 

にこ「にこの分が回復してないんだってば!」 

あんじゅ「うっふふ。もう、にこさんってば照れ屋さんなんだから。久々の抱擁くらい堂々として欲しいわ」 

にこ「……うぅ。これが人目がまったくないならにこだってここまで恥ずかしくないわ」 

あんじゅ「女の子は他の人に祝福して欲しいって思う我が侭な生き物なのよ」 

にこ「にこも女の子よ!」 

あんじゅ「でも私の中でにこさんはもう完全に王子様だから」 

にこ「なんて理不尽!」 

あんじゅ「それで、音ノ木坂のスクールアイドルの調子はどうかしら?」 

にこ「ええ、こっちは順調よ。メンバーも増えて今は……うん、何人かしら。でも順調」 

あんじゅ「くすっ。メンバーの数くらい把握しておかなきゃ駄目でしょ? リーダーなんだから」 

にこ「そうね。ド忘れじゃ済まされない失態だわ」
587 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 04:58:13.85 ID:xMjwcbRV0
あんじゅ「他のメンバーに代わりにあんじゅがおしおきにこ〜♪」 

にこ「にこっ!? まっ、また抱き締めるのなしよ!」 

あんじゅ「だってにこさんってば柔らかくてずっと抱き締めたくなるんですもの」 

にこ「いやっ、せめてあっちの人の居ない所で――」 
あんじゅ「――さっきも言ったでしょ? 沢山の人に祝福されたいからダ〜メ」 

にこ「うぅ……にこぉ〜」 

あんじゅ「にこさん。今日も記念すべき一日にしましょう」 

にこ「き、記念すべき一日?」 

あんじゅ「だって今日は――」 

ゆさゆさ……ゆさゆさ…… 

あんじゅ「今日は楽しい学園祭にこっ♪ ほら、にこってば早く起きて起きてっ!」 

にこ「ギャーッ! ラブにこビンタっ!」 

ペシーン!
588 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 04:58:51.69 ID:xMjwcbRV0
――学園祭一日目 朝 矢澤家 

あんじゅ「にこってば酷いよぉ〜。起こしてあげたのにぶった〜」 

にこ「だから何度も謝ってるじゃない。寝ぼけてたのよ。恐ろしい悪夢を見てたのよ!」 

ここあ「あんちゃんかわいそうにこ。にこにーぶっちゃめっ!」 

こころ「あんじゅちゃんよしよし。いたいのいたいの飛んでけ〜!」 

あんじゅ「にこと違ってここあちゃんとこころちゃんは天使だよ〜」 

にこ「今日は学園祭当日で忙しくなるんだから機嫌直しなさいってば」 

あんじゅ「う〜るる〜」 

にこ「明日の為に作ってあるカレー夜に食べさせあげるから」 

あんじゅ「最近のにこは何でもカレーさえ与えておけば誤魔化せるとか思ってるニコ!」 

にこ(だってその通りなんだもの) 

あんじゅ「私が心が広いからそれで許してあげてるだけで、別にカレーが美味しいからじゃないんだから!」
589 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 04:59:28.52 ID:xMjwcbRV0
あんじゅ「だから今回もほっぺがジンジン痛いけど許してあげる」 

にこ「結局カレーに負けてるだけじゃない」 

あんじゅ「私が優しいからだもん。ねー」 

こころあ「ねー♪」 

にこ「ま、今回は完全に私が悪いから後でカレーとは別にお詫びでもしてあげるわよ」 

あんじゅ「約束だよ!」 

にこ「はいはい。でも、本当に赤くなってるわね。出る前に少しだけ化粧しましょう」 

こころ「おけしょう! こころもしたいー」 

にこ「こころはお化粧なんてしなくても十分可愛いから必要ないわよ」 

こころ「ママはおけしょうしなくてもきれーだよ?」 

にこ「大人は化粧と美容ケアは必需なのよ。こころが高校を卒業してから覚えるくらいで十分よ」 

にこ(何よりも化粧品って量が少ない癖に馬鹿みたいに高いの多いからね) 

あんじゅ「にこも今日は化粧してみたら? 学園祭の間くらいは許されるんじゃない?」
590 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:00:04.79 ID:xMjwcbRV0
にこ「その言葉を絵里に電話で言う勇気があるならしてもいいわよ」 

あんじゅ「……にこにーお姉ちゃんはそのままが可愛いにこ♪」 

ここあ「あんちゃん! ここあはかわいい?」 

あんじゅ「とっても可愛いよ。誘拐したいくらい!」 

にこ「誘拐って物騒ね。……しかも誘拐先がどうせここだから誘拐が成立しないわよ」 

あんじゅ「それもそっか。つまりこころちゃんとここあちゃんは気をつけなきゃダメだよ」 

こころ「きをつけてるよ!」 

ここあ「うん。しらないひとにはついていかないにこ!」 

あんじゅ「偉い偉い。今日は亜里沙ちゃんと一緒に来るから安心だけど、迷子にならないようにね?」 

こころ「ずっとおててつないでるからだいじょうぶニコ♪」 

ここあ「あんしんにこ〜♪」 

にこ「とはいえ、絵里と違ってまだ日本に慣れてない部分が多いから亜里沙だけだと少し不安なのよね」 

あんじゅ「にこってばダメだよ。家族を信じることもまた信頼の証なんだから。四女の亜里沙ちゃんを信じてよ」
591 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:00:38.26 ID:xMjwcbRV0
にこ「長女の妹は私達の妹って理論は暴論極まりないけど、音ノ木坂は風紀面も良いし安心かしらね」 

あんじゅ「商店街の人達も来てくれるみたいだから色んな意味で安心だよ」 

にこ「明日はお婆ちゃんもわざわざ足を運んでくれるみたいだし、気合も一入ね」 

にこ「そうだ、お小遣い渡してなかったわね。私とあんじゅだけじゃなくてSMILEのみんなからよ」 

にこ「三千円ずつあるからなくさないようにしなさい。後、絵里と穂乃果と海未に会ったらお礼言うのよ?」 

こころ「うん! にこにーとあんじゅちゃんありがとう☆」 

ここあ「こんなにたくさん。ありがとうにこ〜♪」 

あんじゅ「学園祭だからお祭りよりは安いけど、無駄遣いし過ぎないようにね」 

こころあ「はぁい!」 

にこ「三人分のお弁当を作ってあるから、中庭ででも食べて。そうすれば節約にもなるしね」 

あんじゅ「規模はUTXと違って小さいけど、楽しんで行ってね」 

ここあ「ここあはあしたもたのしみー」 

こころ「にこにーのカレーやさん!」 

にこ「明日は雪穂ちゃんも居てくれるから心配無用ね」
592 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:01:13.96 ID:xMjwcbRV0
あんじゅ「今日はUTXでA−RISEのライブ観に行くんだよね。チケットが取れたからって」 

にこ「本当は穂乃果と海未の為に取ったみたいだけど、学園祭があるからって友達と行かせることにしたみたいよ」 

あんじゅ「妹は常にお姉ちゃんのこと思ってるんだね。勿論私も!」 

にこ「あ〜はいはい」 

あんじゅ「反応がおざなり〜。そういえばさ、にこは今日どんな夢みたの?」 

にこ「ドタバタで半分以上忘れたんだけど、あんたがUTXの制服着てて、しかもA−RISEのメンバーとか」 

あんじゅ「私がA−RISE? 似合わないよ」 

にこ「そんでもって…………なんかとても理不尽な間柄だった気がするんだけど、忘れちゃったわ」 

あんじゅ「何それ! あんじゅってば打たれ損にこぉ」 

にこ「しょうがないでしょ。それよりもほら、化粧するんだから早く食べちゃいなさい。もう直ぐ出る時間よ!」 

あんじゅ「はぁい! 今日は皆にとって思い出に残る一日にしようね☆」 

にこ「当然よ!」
593 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:01:49.05 ID:xMjwcbRV0
――音ノ木坂学院 部室 

にこ「今日の作戦を最終確認するわ。まずは絵里!」 

絵里「私は一年生の出し物を中心に回っていくわ」 

にこ「生徒会長という立場だから安心感もあるし、年下大好きの絵里には適任よね」 

絵里「別に年下が好きな訳じゃないわ。失礼な妹ね」 

海未「そう思われても仕方ないのではありませんか? 現に私も姉と呼ばないかと誘われましたし」 

絵里「妹と年下は関係ないじゃない。にこもあんじゅも同い年なのよ?」 

穂乃果「よくわかんないけど、絵里ちゃんがちょっと変わり者だってことは分かったよ」 

絵里「」 

あんじゅ「うわぁ。穂乃果ちゃんの言葉はエリーお姉ちゃんのハートを一撃粉砕レベルで傷つけたね」 

にこ「忙しいから次は海未!」 

海未「私は室内系の運動部の方を重点に回ります」 

にこ「海未はしっかりとしているから安心して任せられるわ」 

海未「その信頼には応えてみせますよ」
594 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:02:25.10 ID:xMjwcbRV0
にこ「次は穂乃果ね」 

穂乃果「はいはーい! 私は外の運動部を回る予定だよ。外には屋台も出るし。クレープは要チェックだね♪」 

にこ「……海未、悪いけどなるべく外の方も気にしておいて」 

海未「ええ、最初からそのつもりですから安心してください」 

あんじゅ「海未ちゃんと穂乃果ちゃんは支え支えられての素敵な関係だね。私とにこみたい」 

にこ「ええ、間違いなくあんたが穂乃果で私が海未のポジションね。自覚あるならもう少ししっかりしなさいよねぇ」 

あんじゅ「とか言って〜。私が何でもこなすようになったら『少しはにこに頼りなさいよね』とか言うんだよねっ★」 

にこ「手が掛からないのならそのまま放逐するわ」 

あんじゅ「にこってば酷い。あ、酷いと言えばにこってば今朝起こしてあげたのに私のことぶったんだよー」 

絵里「DV!? 妹に手をあげるなんて姉失格よ!!」 

穂乃果「おぉ〜。絵里ちゃんの目に炎が浮かんでる」 

にこ「それは私が悪かったって謝ったでしょ。時間がないんだからぶり返さないの」 

絵里「にこは今という時間と自分が犯した罪のどちらが重要だと思ってるの!?」 

海未「そうですね、手をあげるというのは親しくても余程のことがない限りしてはいけない行為です」
595 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:03:02.19 ID:xMjwcbRV0
あんじゅ「あ、ごめんね。そんな大層な問題じゃないんだよ。にこが寝ぼけてただけだから」 

にこ「寝ぼけてたっていうか、悪夢から目覚めたらそこに悪夢の続きがあったみたいに誤解して手が出ちゃったのよ」 

絵里「そういうことなら今回だけは許すけど、妹は大切にしないと駄目だからね?」 

穂乃果(……今日の夜にでも雪穂には絵里ちゃんと余り話さないように念入りに注意しておかなきゃ) 

海未(どうやら穂乃果がまた変なことを考えてますね。どうせ雪穂への口止めとかその辺でしょう。やれやれ) 

にこ「あんじゅは美術部周辺でいいのよね?」 

あんじゅ「うん! ポスター製作でお世話になってる分は客引きで恩返しするよ。ステキナバショヨ。クルヨロシ」 

にこ「何で片言なのよ。怪しすぎるわ! っと、本当に時間がないわね。私は主に三年生のクラスを回っていくわ」 

にこ「今日の私たちは《特別派遣隊SMILE》よ。音ノ木坂の学園祭を大いに盛り上げて受験希望者を大量ゲットにこ!」 

あんじゅ「あ、そう言えば学院なのに学園祭なんだよね。学院祭って呼ばれないのは言い難いからかな?」 

海未「言われてみればそうですね」 

にこ「そんなのは明日の学園祭が終わった後にブログなり知恵袋なりで質問しておきなさい」 

絵里「今は私達が日々お世話になっている学院への恩返しすることと楽しませることを考えていきましょう」 

絵里「勿論、自分が楽しめなければいけないわ。最高に楽しんで足を運んでくれた方々にも笑顔になってもらいましょう」
596 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:03:38.23 ID:xMjwcbRV0
あんじゅ「さっすがエリーちゃん。最後はビシッと決めるね」 

海未「気が引き締まりました。足元をしっかりと踏みしめて事故の起きないように注意を怠らないようにしましょう」 

穂乃果「もしゴミが落ちてたら足を滑らせないように即拾うよ!」 

海未「私が言いたかったのは少し違う意味なのですが……ふふ。穂乃果らしくてそれはそれで良いですね」 

にこ(せっかく昨日決め台詞を考えたのに絵里に良いとこ全部奪われたわ。今日の運勢は大凶なのかしら) 

絵里「持ち場はあくまで目安よ。何かあった時は連絡を密に取り合って早期解決!」 

絵里「さ、にこ最後はビシッと決めて!」 

にこ「――」 

にこ(どうして考えてたこと全部被った後に振ってくるのよ! と、とにかく何か言わなきゃ……) 

にこ「しゅつど〜!」 

あんじゅ「にこにー。どんまい★」 

絵里「ま、にこらしいわね」 

海未「やれやれ。にこはムラが多いですね」 

穂乃果「声が裏返ってて可愛かったよ」 

にこ「あぁ〜もうっ! 可愛げの欠片もないやつらね! 学園祭一日目を始めるわよ!!」
597 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:04:14.23 ID:xMjwcbRV0
――美術部 あんじゅ 

元部員「客引きだけだって話だったのに急にこんなことお願いしちゃってごめんね」 

あんじゅ「ううん。ポスターやら宣伝やらでお世話になってるからね。モデルくらい快く引き受けるよ」 

元部員「いや〜しかしスクールアイドル人気って凄いね。こんなに集まるなんて」 

あんじゅ「SMILEは地元特化型アイドルだからそう感じるだけだよ。でも、念のための作戦が成功したね」 

元部員「本当なら絵を描いて渡すとかの方がいいんだけど、人数的にちょっと無理だしね」 

元部員「それを補うその場で出るこのカメラを用意するように言われた時はレトロ過ぎてちょっとって思ったけど」 

あんじゅ「時代に関係なく、使える物は全て使う。それが邪道シスターズ♪」 

元部員「あははっ。何そのダサいネーミング」 

あんじゅ「私とにこと絵里ちゃんの三人で形勢されてる秘密組織。ただ、にこは一度も呼んだことないんだけど」 

元部員「相変わらず独創的で羨ましいわ。私も絵にそういう個性が取り入れられればって思う」 

あんじゅ「漫画的な絵は私好きだよ。ファンの人からも可愛いって意見多くもらうし」 

元部員「アニ研だったら素直に喜ぶんだけどね。風景画専門だから嬉しいは嬉しいけどね」 

あんじゅ「言葉とは裏腹に満面の笑みになってるー」
598 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:04:51.38 ID:xMjwcbRV0
元部員「やっぱり絵のことで褒められるのは嬉しいのよ」 

あんじゅ「自分が好きなことで人に認めて貰えるのって最高だもんね」 

元部員「うん。スクールアイドルもそうだったら良かったんだけど……」 

あんじゅ「そんな顔しないでよ。元祖SMILE一日限りの復活がもうすぐ待ってるんだから」 

元部員「これだけ有名になった二人と踊るって拷問だけどね」 

あんじゅ「皆が二つ返事でOKしてくれたのすっごい嬉しかったよ。にこにーなんて家で思い出して泣いてたもん」 

あんじゅ「去年のハロウィンパーも記念すべき日だったけど、今年はそれ以上にこ〜って」 

元部員「にこ部長様はメンタル強い割りに泣き脆いところあるもんね」 

あんじゅ「そこが可愛いんだよ。私の自慢のお姉ちゃんだから!」 

元部員「そこでドヤ顔なのが信頼の証だね。さ、そろそろお客さんも待ってるし、記念撮影再開してもいいかな?」 

あんじゅ「うん。売り上げ貢献して、部費に加算して来年度以降の入部の子が快適に過ごせるようにしないとね」 

元部員「音ノ木坂貢献の数々は学院にSMILEの名を深く刻みそうだね」 

あんじゅ「ラブライブの歴史にだって刻んでみせるよ。最高の私達を多くの人に見て欲しいから」 

元部員「そうなれるように応援してるからね」 

あんじゅ「その前に今日という日を全力で過ごそう!」
599 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:05:32.62 ID:xMjwcbRV0
―― 一年生の教室 絵里 

一年生「絵里先輩が来てくれると思いませんでしたっ。感動です!」 

絵里「え、ええ」 

絵里(困ったわね。廊下で会ったり、クラスを覗くだけでこうやって騒がれると邪魔しにきたのと同じになるわ) 

一年生「学園祭でライブをしないのは残念ですけど、ハロウィンライブすっごい楽しみにしてます!」 

絵里「ありがとう」 

一年生「バザーでもライブしてくれるからバザーが開かれるのも楽しみなんですよ!」 

にこ「SMILEのファンでいてくれるの嬉しいけど、今日の主役はお客様だってことを忘れちゃ駄目にこ〜」 

一年生「あ、そうでした。興奮しちゃってすいませんでした! 業務に戻ります」
600 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:06:07.48 ID:xMjwcbRV0
絵里「ううん、にこの言うとおりだからこれからは気をつけてね。……にこ、助かったわ」 

にこ「念の為に様子見に来てよかったわ。一年生に注意し辛いようなら三年生の見回りと変えましょうか?」 

絵里「ううん。にこのお陰でさり気無い注意の仕方分かったからもう大丈夫」 

絵里「それに、出し物自体そこまで多くないし大丈夫。邪道シスターズ長女だもの。しっかりと名誉挽回させて」 

にこ「そういう発言しなければ海未よりも頼りに出来るんだけどねぇ」 

にこ「……でも、それこそがもはや私達の長女って感じだし。頼りにしてるわよ」 

絵里「ええ、エリーチカお姉ちゃんを信じなさい」 

にこ「はいはい。この階は完全に任せたわ。頑張ってね、絵里お姉ちゃん」 

絵里「ハラショー! 気合いを入れて頑張るわ」
601 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:06:44.80 ID:xMjwcbRV0
――グランド 穂乃果 

穂乃果「もぐもぐ……いや〜クレープが上手い!」 

海未「何をしてるのですか?」 

穂乃果「あ、海未ちゃん。このクレープ本当に美味しいよ。一口食べる?」 

海未「要りません。お昼にも早いこの時間に暢気にクレープを食べるなんて何を考えてるんですか!」 

穂乃果「足を運んでくれたお客さんの気持ちになる為には味わうことが必要だよ」 

穂乃果「お父さんだって朝一に作ったお饅頭はまず食べて確認することが必要だって言ってるもん」 

海未「おじさんの職人としての言葉を穂乃果の言い訳に引用しないでください」 

穂乃果「よく考えてよ海未ちゃん。明日はずっとカレー屋さんで働くことになるんだよ?」 

海未「そうですが、それが何か?」 

穂乃果「高校初めての学園祭を楽しむには今日しかないんだよ!」 

海未「……何の為ににこが一日目にライブをしなかったと思ってるんですか。きちんと話を聞いてたんですか?」 

海未「誰よりもラブライブに出たいという気持ちが強く、人気を上げるチャンスである学園祭」 

海未「それをふいにしてでも、SMILEだけで人気を集めるのではなく音ノ木坂全体が盛り上がるようにと……」 

海未「それなのにその想いを踏みにじるような行為、自分が恥ずかしくないのですか?」 

穂乃果「……うぅ。そう言われると悪いことしたなーって思います」
602 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:07:32.89 ID:xMjwcbRV0
海未「穂乃果が昔からこういうお祭り事が大好きなのは知っています。それを我慢しろというのが酷なのも分かります」 

海未「ですが、どうかきちんとにこの想いを胸に刻んでください。穂乃果もSMILEのメンバーなのですから」 

穂乃果「うん、ごめんなさい。じゃあ、半分残ってて勿体ないけどクレープは捨てるね」 

海未「いえ、その必要はありません。クレープを渡してください」 

穂乃果「え、うん。はい、海未ちゃん」 

海未「いただきます。もぐもぐ……確かに美味しいですね」 

穂乃果「――え?」 

海未「ん……ごっくん。こうして私もクレープを食べた以上穂乃果と同罪です。罪は二人で背負いましょう」 

穂乃果「海未ちゃんっ♪」 

海未「学園祭二日目が終わったら二人でにこに謝りますよ」 

穂乃果「うん!」 

海未「謝るというのに嬉しそうな顔をしないでください」 

穂乃果「えへへ! 昔から海未ちゃんは優しくて大好き!」 

海未「まったく。穂乃果は都合がいいんですから。では、私は校内に戻りますので、きちんと見回りお願いします」 

穂乃果「今度こそ真面目にするよ。ありがとう、海未ちゃん」 

海未「どういたしまして。今日はこれませんが、ことりもライブ頑張ってます。頑張りましょう」 

穂乃果「うん♪」
603 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:08:08.57 ID:xMjwcbRV0
―― 一階廊下 にこ 

ここあ「にこにー!」 

こころ「みつけたにこー!」 

にこ「おっと、廊下を走ったら危ないにこよ。二人共きちんとこれて偉かったわね、よしよし」 

亜里沙「にこさん、こんにちは」 

にこ「今日はこの子達のお守りをお願いしちゃってごめんね。大変じゃない?」 

亜里沙「二人共きちんと言うこと聞いてくれるから、全然大変じゃないです」 

ここあ「ここあいい子だもん」 

こころ「こころもしっかりものだもん」 

亜里沙「わざわざ私の分のお弁当まで用意してくれたみたいでありがとうございます」 

にこ「大した物じゃなくて申し訳ないけどね。もし苦手なものとか入ってたら残すなりこの子達に食べさせて」 

亜里沙「日本のご飯は何でも美味しいから大丈夫です!」
604 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:08:44.97 ID:xMjwcbRV0
こころ「にこにーのごはんはとってもおいしいニコ!」 

ここあ「きょうははんばーぐもはいってるにこ♪」 

亜里沙「お姉ちゃんからもにこさんのご飯は特に美味しいって聞いてますし、ブログの記事からも期待してます」 

にこ「絵里の言葉はともかく、ブログの方はうちの愚昧が大げさに書いてるだけだから変な期待しないで」 

亜里沙「ぐまいって何ですか?」 

にこ「ダメな妹って意味よ」 

こころ「……こころだめないもうと?」 

ここあ「……にこにーにきらわれたにこぉ」 

亜里沙「……あ、私もにこさんの妹でもあるし、何かおかしなことしちゃったかな」 

にこ「違うわよ! 三人はとっても可愛い妹よ! 愚昧はあんじゅの別の呼び方よ」 

こころ「あんじゅちゃんもいい子にこ!」 

ここあ「いつもあそんでくれるにこ〜♪」
605 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:09:29.47 ID:xMjwcbRV0
にこ「そうね、あんじゅも二人にとってはいいお姉ちゃんな 
のよね」 

亜里沙「くすっ。お姉ちゃんが言ってた通りです」 

にこ「何が?」 

亜里沙「にこさんは口ではあんじゅさんを悪く言うけど、誰よりも信頼してるって。今の笑顔で確信しました」 

にこ「絵里がそんなことを? ……べ、別にあんじゅのことなんて信頼してないわよ」 

亜里沙「それも知ってます! ツンデレってやつですよね!!」 

にこ「全然違うニコ!」 

ここあ「あんちゃんもにこにーはツンデレってよくいってるよ」 

にこ「ぐぬぬ!」 

こころ「あんじゅちゃんはどこー?」 

にこ「あんじゅは多分美術部に居ると思うわ。あっちの廊下を進んで、突き当たりに美術室があるから」
606 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/22(月) 05:10:10.13 ID:xMjwcbRV0
にこ「絵里は三階に居ると思うし、あんじゅに顔見せしたら甘えに行ってあげなさい。凄く喜ぶから」 

こころあ「うん!」 

亜里沙「じゃあお姉ちゃんに会った後に、お弁当の方美味しくいただかせてもらいます」 

にこ「ええ、楽しんでいってね。中庭が肌寒いようなら休憩用の教室もあるから、場所は絵里にでも案内させて」 

亜里沙「今日は天気もいいので中庭で食べようねって話し合いで決めたので」 

こころ「えんそくみたいでたのしみー♪」 

ここあ「おそとでごはんー!」 

亜里沙「私野外でご飯食べるの初めてなので楽しみです」 

にこ「あ、そっか。ロシアは恐ろしく寒い所だものね。普段と違うからより美味しくなる魔法が掛かるわよ」 

亜里沙「ハラショー! とっても楽しみです」 

にこ「あと、亜里沙も私の妹なんだから敬語なんて使わなくていいわよ」 

亜里沙「うん! ありがとう、にこお姉ちゃん♪」 


ネクストストーリー……学園祭+真姫切っ掛け編の完結