615 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2014/12/29(月) 22:47:22.68 ID:9ppT85cs0
◆この中に二人、――がいる!◆ 

――学園祭以前 二年生の教室 

先生「では、今回は最後に前回の授業でやった小テストを返します。解説等は次の授業で行います」 

先生「それと、不思議なことですがこのクラスには二人、同じ名前を持つ子が居るみたいです」 

にこ「椎名先生ってば何言ってるのかしら。まだ若いのに可哀想ね」 

あんじゅ「にこってば失礼だよ。先生って確か今年までは四捨五入すれば三十歳なんだから」 

にこ「なんだ、意外と若くはないのね」 

あんじゅ「流石に失礼過ぎるよ〜」 

にこ「ま、でも年齢を気にしすぎる人の方が一気に劣化するからね。内部から劣化する方がマシなのかしら?」 

あんじゅ「椎名先生に聞こえちゃうよ」 

にこ「大丈夫大丈夫。やましい気持ちがなければ例え聞こえたって構わないもの」 

あんじゅ「にこってば時々無駄に自信過剰だよね」 

にこ「ふっふーん!」 

あんじゅ「しかも無意味な場面でのドヤ顔。流石にこにー」 

にこ「にこくらいになればどんな時にカメラを回されても大丈夫なのよ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409602583 
616 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:48:04.86 ID:9ppT85cs0
あんじゅ「うんうん。そうだよね」 

にこ「なんで痛い子を優しく見守るモードになってんのよ!」 

あんじゅ「にこお姉ちゃんはすごいなー」 

にこ「目が完全に笑ってるわよっ」 

先生「――さて、残るは問題の名前が同じ二人ですね」 

にこ(やれやれ、予想通りにことあんじゅのテストが返ってこないわね。小テストとはいえ真面目にやんなさいよね〜) 

にこ(あんじゅってばどんだけ私が好きなのよ。全く、懐かれるのも苦労するわ) 

あんじゅ(よく分からないけど、にこが何かのフラグを立てた音が聞こえたにこ♪) 

先生「本来なら高校生にもなって自分の名前を間違えるなんてミスは零点にするところです」 

先生「今回は学園祭が近いので多めに見ておきます。では名前を呼ばせてもらいますね」 

先生「まずは優木あんじゅさん」 

にこ「――」 

先生「二人目は矢澤あんじゅさん」 

にこ「えぇっ! 先生っ! 矢澤にこと矢澤あんじゅじゃないんですか?」 

先生「どうすればそうなるんですか。いえ、今回のあんじゅさんが二人になる意味も分かりませんけどね」
617 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:48:35.96 ID:9ppT85cs0
あんじゅ「うふふ。にこってば名前を改名しちゃうくらいあんじゅのことが好きなんだねぇ☆」 

にこ「ちっがうわよ! そもそもあんたが矢澤あんじゅ矢澤あんじゅ言うからつい間違えたのよ!」 

あんじゅ「椎名先生。にこはこのように私のことが大好き過ぎて間違えちゃったんで許してあげて欲しいにこ〜♪」 

にこ「人生最大の失態にこ〜!」 

あんじゅ「学園祭に向かってラストスパートに良い励みになるね!」 

にこ「私のテンションは駄々下がりよ〜!」 

――隣のクラス 

絵里(授業中なのに隣からあの子達の賑やかな声が聞こえてくるわね。なんで姉妹揃って漫才してるのかしら?) 

絵里「……」 

絵里「なんでやねん」 

先生「はい? 今、誰か何か言いましたか?」 

絵里「気のせいではないでしょうか? 誰も何も言ってません」 

女子(今さっき絢瀬さんからありえない単語が聞こえた気がするけど……気の所為よね) 

絵里(来年はにことあんじゅと同じクラスになれるといいんだけど) チャンチャン★
618 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:49:04.27 ID:9ppT85cs0
――学園祭一日目 UTX学院 のんたん 

副会長「来場者数も去年より多いみたいだし、順風満帆ね」 

希「今日は随分とご機嫌だね」 

副会長「それはそうよ。生徒会は常日頃から仕事をしているけど、その結果が目に見える形で出るのはこういう時だけ」 

副会長「だから私だって素直に喜ぶわ。これだけ盛り上がる学園祭は全国で他にないわ」 

希「ちなみに副会長は他の学校の学園祭に行ったことあるの?」 

副会長「あるわけないじゃない。そんな暇があるなら勉強でもしてるわ」 

希「そういうところが副会長の憎めない可愛さやんね」 

副会長「何よそれ。くだらないこと言ってないで迷子の子とか怪しい人とか見落とさないでよ」 

希「分かってるって。でも、本当に来客数が多いね」 

副会長「A-RISEのライブ会場入り一時間前くらいになれば更に増えるでしょうね」 

副会長「過去最大になるかもね。ラブライブ優勝の効果は絶大ね」 

希「確かにそうだね。音ノ木坂は大丈夫かな?」
619 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:49:32.90 ID:9ppT85cs0
副会長「くすっ。珍しく嫌味が利いてるじゃない」 

希「嫌味やないよ。一週間ズレてれば来客数も大きく変わった筈だし」 

副会長「私見としてだけど、そこまで変わらないんじゃない? あそこ生徒数が少ないから出し物も少ないんでしょ」 

希「人数が少ないからって内容が悪いって考えるのは早計だよ」 

副会長「オトノキは敷地が広くてもそれに見合う生徒数が居なければ逆に閑散として映るでしょうね」 

副会長「私なら学園祭に拘らずに何かの催しと合併させて持て成す人数をどうにか増やして乗り切るわね」 

副会長「というか、そういう努力をするのが有能な生徒会の役目でしょ」 

希「自信過剰だけど発想は優秀だよね。ただ、逆に言えばそれは生徒を信じていないとも思われる手段」 

副会長「学校あっての生徒なのだから、まず考えるべきは学校の繁栄でしょう?」 

希「それは正しいのかもしれないけど、でもそれだけが正しさとは限らないよ」 

副会長「前会長のあの人みたいなこと言うのね。少し不愉快だわ」 

希「不愉快で思い出したんだけど、去年の今は生徒会から外されてたよね。副会長は何をしてたん?」
620 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:50:26.52 ID:9ppT85cs0
副会長「……家に居たわ」 

希「サボってたの?」 

副会長「熱出して寝込んでたのよ。性質が悪くて一週間も苦しんだわ」 

希「ということは当日に催す側になったことはないんだね」 

副会長「それが何よ?」 

希「音ノ木坂の生徒会長は明日の二日目に出し物に参加するそうだよ。カレー屋さんだって」 

副会長「そんな情報に何の意味があるのよ」 

希「副会長も一度くらいは体験してみたらどうかなって」 

副会長「私は生徒会の仕事があるのよ。……もしかして、私を生徒会から追い出すっていう遠回りの宣言かしら?」 

希「副会長みたいな有能な人間を手放せる程、ウチは万能じゃないよ」 

副会長「……ならいいのよ。取り敢えず出し物に出るのは興味ないわね」 

希「ふぅん。そうなるとUTXの副会長は音ノ木坂の会長より経験値が低いってことになるね」 

副会長「今聞き捨てならないこと言ったわね」
621 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:51:07.27 ID:9ppT85cs0
希「気にすることはないんよ。別に学園祭の出し物を提供する側になったことがないから劣ってるって訳でもないし」 

希「ただ、学園祭の裏で準備しながら当日に出す側として参加出来るのは生徒会の準備が完璧ってことだと思うんだよ」 

希「そうでなければ明日も今日と同じように、何かあったときの場合に見回りに徹してた筈だし」 

副会長「つまり何、こう言いたいの? 私達UTXの生徒会はオトノキの生徒会に劣っていると!」 

副会長「それは違うわよ。ただ私は万全を期す為に敢えて見回りをしているだけよ。参加しようと思えば参加出来ていたわ」 

希「後出しジャンケンと一緒で今からなら何とでも言えるし」 

副会長「私があんな小さい学院の生徒会長なんかに劣ってないって来年証明してやるわ!」 

希(会長も副会長の性格を熟知してれば追放なんてしなくてもやっていけたんになぁ) 

希(副会長の最大の魅力はここやね。分かり易いくらいに素直。簡単に乗ってくれること) 

希「せやったらウチと来年一緒に何か催し物でも出よっか。生徒会長と副会長二人で出るのは信頼の証やんな」 

副会長「いいわよ。あなたと一緒っていうのは正直嫌な予感するけど、でもそれで証明されるなら望むところよ」 

希「それじゃあ、後からやっぱり劣ってるのを認めるから参加しないなんて取り消しはなしだからね」 

副会長「口が裂けてもそんなこと言わないわ」
622 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:51:39.60 ID:9ppT85cs0
希「ふふふ」 

希(ちょっと強引だったけど、これで夢を叶える第一歩は完了。次はA-RISE。そして、難関である音ノ木坂の攻略) 

希(絵里会長は合同学園祭を検討してくれると言ってくれたけど、それを待つだけじゃ実現は難しいと思う) 

希(もう一押し出来るスピリチュアルな何かを期待したいところやね。今は焦らずにいよう) 

副会長「この辺も問題なさそうね。本部に連絡入れたら次の場所へ移動しましょう」 

希「そうだね。そうそう、知ってると思うけど向こうの会長はスクールアイドルもやってるんだよ」 

副会長「そんな暇があるのは素直に羨ましいわね。行事がなければすることないくらいなのかしら」 

希「どんな学校であれ、楽を出来る生徒会なんてないよ。特に音ノ木坂は生徒会の人数も少ない」 

希「それでも余裕を作れるのは効率を極め、ない筈の時間を捻出している結果だよ」 

希「生徒会の人数は比べ物にならないくらい多いけど、運動したりする時間は……ウチ等じゃ無理だね」 

副会長「……運動、ねぇ」 

希「無理なことを勧めても時間の無駄やったね。ごめんごめん」 

副会長「私は東條さんと違って運動に割く時間くらい作れるわ」
623 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:52:10.20 ID:9ppT85cs0
希「だったらウチと一緒に運動していこうか。先に根をあげた方が負け」 

副会長「勝負する理由がないんだけど?」 

希「副会長が勝ったらその時点でウチは生徒会長を降りるよ」 

副会長「……そんな餌じゃパンチが弱いわ。その座はもっときちんとして手に入れるものだからね」 

副会長「賭けるなら表参道にあるお気に入りのカフェで奢りくらいでしょ」 

希「副会長は変なところでフェアだよね」 

副会長「学校行事で意見が分かれて、それで東條さんの意見を押し通して失敗したのなら私が会長の座を遠慮なく奪うわ」 

希「そうなる前に満期を迎えて、時期生徒会長になる後輩の子に座を譲ってみせるよ」 

副会長「その日が訪れる前日まで私は目を光らせるからね。油断しないことよ」 

希「んふふ。その前に是非とも副会長にはお気に入りカフェでウチに奢る屈辱を味わってもらいたいなー」 

副会長「それは絶対にありえないわね」 

希「二人して根をあげずで終わりじゃつまらないし、来年の学園祭までに根をあげなかった場合もウチの負けでいいよ」 

副会長「へぇ……。じゃあ先に言っておくわ、御馳走さま。さ、無駄話はここまでよ」 

希「うん、次に行こうか」
624 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:53:11.02 ID:9ppT85cs0
――音ノ木坂学院 三年生の階 廊下 

少女「うぇーん! ママいないのぉ!」 

三年生「弱ったわね。ね、お姉ちゃんにお名前教えてくれるかな? そうすれば一緒にママを――」 
少女「――ママーーッ!」 

三年生「お願いだから泣き止んで。おかし、そうだおかしを買ってあげるから」 

少女「ママがいないー!」 

三年生「一体どうすればいいのよぉ」 

にこ「迷子ですか?」 

三年生「あ、SMILEのにこちゃん。そうなのよー。でも、この子名前も教えてくれないし、泣き止まないしでお手上げよ」 

にこ「私に任せて下さい」 

三年生「助けてくれたら私のブログでSMILE絶賛するわ」 

にこ「青く晴れた日に〜森の中で出会ったパンダさ〜ん♪」 

少女「ママぁ……ひっぐ、えぐっ」
625 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:53:43.27 ID:9ppT85cs0
三年生「この懐かしい歌って、童謡の森のパンダさん?」 

三年生(SMILEで一番歌が下手って話だったけど、凄い上手い) 

にこ「元気な笑顔で〜お礼の歌贈ります〜♪」 

少女「……パンダさん」 

にこ「あなたも私と一緒に歌いましょう。二番から、ね?」 

少女「うん!」 

にこ・少女「大きな切り株の上〜一緒に踊りましょう♪」 

三年生「あっと言う間に泣いてた女の子が歌っちゃうなんて……最上級生の面子丸潰れね」 

三年生「だけど良かった。泣いた烏はもう笑顔だもの。後はこの子の逸れたお母さんが直ぐに見つけるだけね」 

にこ「あなたは歌が上手ね。私の名前はにこにこにーのにこちゃん。お名前教えてくれるかな?」 

少女「あーちゃんはあいなっていうの」 

にこ「あいなちゃんね。苗字は分かるかな?」
626 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:54:26.20 ID:9ppT85cs0
少女「とくい」 

にこ「とくい? なんか妙にしっくりくる苗字ね。じゃなかった、とくいあいなちゃんね」 

にこ「じゃあ、ママの居る所までお姉ちゃんが連れて行ってあげるから、逸れないようにおてて繋ごうね」 

少女「うんっ! えへへ〜にこちゃんのおててママよりちっちゃい!」 

にこ「にこちゃんはこれからもっと大きくなるのよ。あーちゃんと一緒でね」 

少女「あーちゃんね、ママみたいにおっきくなったら、パパとケッコンするんだよ」 

にこ「そっか〜。……パパに優しくしてあげてね」 

少女「あーちゃんはいいこだからやさしいねって、パパいつもほめてくれるの。えへ〜♪」 

にこ「本当にいい子ね。よしよし♪」 

にこ「先輩、悪いんですがとくいさんを放送で分かり易い中庭に今から一緒に向かう旨を伝えてもらっていいですか?」 

三年生「うん、それくらいは是非私にさせて。その子の笑顔守ってあげて」 

にこ「お約束します。じゃあ、あーちゃんのお歌を一緒に歌いながら歩きましょうか」 

少女「あーちゃんのおうた?」
627 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:55:03.26 ID:9ppT85cs0
にこ「あーちゃんは今〜ママと離れてるけど〜笑顔で会いに行く〜にこにこにーの笑顔で〜ママに会いに行く〜♪」 

少女「きゃあっ! あーちゃんのおうたなの!」 

にこ「ふふ。さ、一緒に歌いながらママの所に行くにこ!」 

少女「うん☆」 

にこ・少女「あーちゃんはいま〜ママとはなれてるけど〜♪」 

モブ子「何あれ、可愛い〜。背景にお花畑が見える」 

モブ美「あの二人、年の差が十は離れている筈なのにそれを感じさせないのが凄いわね」 

モブ江「お二人共。和んでませんであーちゃんのお母さんらしき人を探すのが先決でしょう」 

にこ「ママにあいにいく〜♪」
628 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:55:33.60 ID:9ppT85cs0
――中庭 にこ 

ママ「あーちゃん!!」 

少女「あっ、ママ〜! まいごになっちゃだめ〜」 

ママ「ごめんね。あーちゃんの手を離してることに気付かなくて」 

少女「にこちゃんがいっしょにおうたうたってくれたんだよ!」 

ママ「ありがとうございました。それから御迷惑を掛けて申し訳ありませんでした!」 

にこ「好奇心旺盛の年頃ですから、気をつけてくださいね」 

少女「ママきをつけるの〜」 

ママ「ごめんなさい。あーちゃんも本当にごめんね。昔の友達とお話に夢中になっちゃって駄目なママね」 

にこ「もしかして卒業生ですか?」 

ママ「ええ、卒業したのは八年も前ですけど。この子も大きくなったので母校を見せてあげようかと思いまして」 

少女「ママがまいごになっちゃったけど、がっこうたのしいよ♪」 

にこ「うふふ。そっか、それなら良かったわ。あ、これグラウンドの陸上部がやっいてるたこ焼きの屋台のチケットです」
629 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:56:08.29 ID:9ppT85cs0
にこ「良かったらあーちゃんと仲良く食べてください」 

ママ「そんなっ! ご迷惑掛けたのに更に物を貰うなんて」 

少女「たこやきたべた〜い♪ でも、あーちゃんたこさんはいらないの」 

にこ「くすっ。中のたこさんは食べないの?」 

少女「うん! だからママにあげるんだっ」 

にこ「ママが受け取ってくれないからあーちゃんにあげるね。たこ焼きの屋台で出せばくれるからね」 

少女「にこちゃんありがとー! ママーたこやきたべるの!」 

ママ「うん、たこ焼き食べようね。本当にありがとうございます」 

にこ「お礼を言われることじゃありません。あーちゃんが素直に育ってるのは両親が素敵な人だって証拠ですから」 

にこ「それじゃあ、お姉ちゃんはそろそろ行くにこ。あーちゃんはママと楽しんでいってね。ばいばい」 

少女「うん♪ にこちゃん、ありがとうね。ばいばーい!」 

ママ「本当にありがとうございました! 母校にこんな素敵な生徒が居てとても嬉しいです」 

にこ(……うちのおっきい迷子も、あの子くらい素直なだけなら可愛いんだけどねー) 

にこ「くしゅん!」 

にこ「……絶対に今のは愚昧に噂されて出たくしゃみね」
630 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:56:38.15 ID:9ppT85cs0
――UTX学院 劇場 A-RISE 

ツバサ「ラブライブ優勝したあの日より完璧な出来ね」 

英玲奈「自分で言うと自信過剰に思われるかもしれないが、今ラブライブの決勝だとしても絶対に優勝出来る」 

ことり「でも、私少し怪しかった箇所があったから、本番はちょっと不安かも」 

英玲奈「その辺は大丈夫だろう。ことりは練習の時に発揮出来ない分まで本番で引き出せるからな」 

ツバサ「そうね。本番が完璧なライブになったなら、明日はSMILEが出すカレー屋さんに行って来ていいわ」 

ツバサ「逆に、一つでも駄目な点があるんなら……今夜は帰れず、明日も当然練習になるから覚悟なさいね」 

ことり「リターンに対してリスクが大きすぎるんですけど」 

ツバサ「そうかしら? SMILEのカレー屋よ。正直、私も行きたいくらいだもの。テイクアウトはないのかしら?」 

英玲奈「食中毒の問題が発生する恐れがある為、テイクアウトはないだろう」 

ことり「ツバサちゃんも一緒に行けばいいんじゃない?」 

ツバサ「それが出来ないから言ってるの。そうね、いい機会だからことりさんに聞かせてあげる……」
631 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:57:09.94 ID:9ppT85cs0
ことり(にこさんとの過去を直接ツバサちゃんが聞かせてくれた。ことりのこと本当に認めてくれたみたいで嬉しい) 

ツバサ「だからにこにーに会うのは次のラブライブの本戦。それ以外であってはならないの」 

英玲奈「ツバサはこう見えてもロマンチストな面がある」 

ツバサ「そんなんじゃないわ」 

ことり「ツバサちゃん照れてる。可愛い〜♪」 

英玲奈「ああ、可愛いな」 

ツバサ「どうやら二人共かなり余裕があるみたいね。明日は今日とはまるで違う振り付けにでもしましょうか?」 

ことり「ぴぃっ! ごめんなさい」 

英玲奈「流石に今からでは厳しい」 

ツバサ「だったら無駄口利かずに新曲の練習だけもう一度していくわよ」 

ことり「はいっ」 

英玲奈「分かった」 

ツバサ「ミュージックスタート!」
632 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:57:39.56 ID:9ppT85cs0
――音ノ木坂学院 美術準備室 妹達 

あんじゅ「くしゅっ!」 

ここあ「あんちゃんかぜー?」 

あんじゅ「ううん、にこに噂されただけだと思う」 

こころ「にこにーはあんじゅちゃんだいすきだからうわさもおおいにこ!」 

あんじゅ「そうそう。にこにーは私のこと大好きだから。こないだなんてテストの答案に矢澤あんじゅって書いてたんだよ」 

亜里沙「噂とくしゃみに何の関係があるんだろう?」 

ここあ「えっとね、ひとにうわさされるとくしゃみがでるんだよ」 

亜里沙「ハラショー!」 

あんじゅ「まぁ、日本に昔から伝わる迷信だから本当は関係ないけどね」 

亜里沙「そうなんだ。亜里沙、ビックリしちゃった」 

あんじゅ「亜里沙ちゃんは素直で可愛いね。エリーちゃんが妹大好きになるのもしょうがないね」
633 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:58:19.64 ID:9ppT85cs0
亜里沙「そう言われるとなんか照れますね」 

こころあ「にこにーもいもうとだいすき?」 

あんじゅ「当然だよ! にこにーお姉ちゃんはここに居る四人の妹が大好きニコ☆」 

ここあ「えへへ!」 

こころ「にこにーはいつもやさしくてだいすきー!」 

亜里沙「亜里沙も入ってるの?」 

あんじゅ「うん。にこは懐に入れた時から妹を大切にしてくれるよ。だから絵里ちゃんに対するみたいに甘えていいんだよ」 

亜里沙「なんだか照れちゃいますね。SMILEにお姉ちゃんが二人も居るだなんて」 

あんじゅ「待って待って。ここに居るのは言わばシスターズだけど、私も一応この中ではお姉ちゃんだから」 

あんじゅ「だから亜里沙ちゃんのお姉ちゃんはSMILEに三人も居るんだよ。グループの半数以上!」 

亜里沙「亜里沙感激! 早く日本にきて良かった!」 

ここあ「ここあもアリーちゃんとはやくあえてうれしい!」 

こころ「こころもアリサちゃんとあえてうれしいの!」
634 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:59:07.79 ID:9ppT85cs0
亜里沙「ここあちゃん、こころちゃん。ありがとう……亜里沙本当に嬉しい!」 

あんじゅ(姉妹って本当にいいなー。家族がこんなに温かいものだなんて、にこに拾われなかったら知らないままだった) 

亜里沙「勿論あんじゅお姉ちゃんとも逢えて嬉しい!」 

あんじゅ「うふふ。気分がいいからこのまま休憩が終わる前に三人と一緒に出し物でもしてこよう」 

あんじゅ「皆いい子だからあんじゅお姉ちゃんが遊ばせてあげるにこ〜♪」 

ここあ「あんちゃんとあそぶにこ!」 

こころ「がくえんさいたのしいにこ!」 

亜里沙「亜里沙こんなに楽しいの初めてかも」 

あんじゅ「亜里沙ちゃん。その台詞はエリーお姉ちゃんの前では言わない方がいいかも」 

あんじゅ「きっと今までお姉ちゃんと過ごしたロシアでの時間は楽しくなかったの? とか泣き出しちゃうから」 

亜里沙「はぁーい」 

あんじゅ「あとあんじゅお姉ちゃんだと長いだろうから、普通にあんじゅちゃんでもいいからね」 

亜里沙「うん! あんじゅちゃん」
635 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 22:59:38.42 ID:9ppT85cs0
――UTX学院 りんぱな 

凛「二日間しか開催しないのが勿体無いくらい凄いニャー!」 

花陽「本当に凄いよね。生徒数が年々増えてるのも納得の盛り上がり……ちょっと人が多すぎて怖いけど」 

凛「人が多いくらいで気後れしてちゃダメだよー。アイドルを目指すなら人の多さに気分を上げていかないと!」 

花陽「う、うん。そうなんだけどUTXっていうのもあるし」 

凛「それに来年からはかよちんが通う学校なんだし、変な気後れもなしだよ」 

花陽「まだ決まった訳じゃないというか、願書もまだ出してないよ」 

凛「大丈夫だいじょーぶ! 凛と違ってかよちんは成績優秀だから平気だよ」 

花陽「……成績よりも、初めての面接が緊張して何も言えないかもしれないから」 

凛「先生が言ってたけど、面接の練習を学校でもしていくって言ってたし、凛も練習手伝うから」 

花陽「うぅ〜何度やってもきっとあがっちゃうよ」 

凛「凛がいつも言ってるでしょ? かよちんはもっと自信を持つべきだって」 

花陽「うん。凛ちゃんが毎朝公園で発生練習手伝ってくれるから授業で指されても聞こえる声は出せるようになったし」
636 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:00:23.88 ID:9ppT85cs0
花陽「今の調子で受験本番までに面接でも緊張しないように、声が出るようになれればいいなって思ってるんだけど……」 

凛「思うだけじゃなくて、そうなれるように頑張ろう!」 

花陽「うんっ!」 

凛(……でもね、かよちん。少しだけ、本当に少しだけかよちんが失敗すればいいなって思っちゃうんだよ) 

凛(凛悪い子だよね。そうすれば一緒に音ノ木坂に通えるって考えちゃうんだ) 

凛(ごめんね、本当にごめんね。……だって、やっぱり一緒に居たいんだよ) 

花陽「凛、ちゃん?」 

凛「あっ、次はどこに行こうか?」 

花陽「花陽は凛ちゃんが行きたいなって思う所でいいよ」 

凛「うーん、じゃあ、今度は五階の縁日に行こうか」 

花陽「UTXの規模だと本物の縁日と遜色ない物になりそうだよね。ちょっと楽しみだなー」 

凛「亀すくいとかあるかな? 凛は金魚より亀が得意ニャー!」 

花陽「くすっ。そうだよね、いつも一回で三体くらい取っちゃうもんね。あれ、亀さんは三匹かな?」
637 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:00:57.96 ID:9ppT85cs0
凛「どっちでもいいよ! さ、逸れないように手を繋いで縁日にいっくよ〜!」 

花陽「うん! 学園祭のライブチケット取れなかった分、この悔しさを楽しさに変えちゃおう!」 

花陽「あぁ゙〜! でもやっぱり観たかったよ〜。新曲連続披露するって話だったし、是非とも生で聞きたかった」 

花陽「お母さんに携帯電話借りて、家の電話と自分の携帯電話の三つでチケット予約開始時間から頑張ったのに……」 

花陽「どうして花陽の電話は繋がらなかったのぉぉぉ!」 

凛「アイドルのことになると暴走するかよちんも凛は好きだにゃー。でも、注目の的になってる」 

凛「か〜よちん! ここだと目立つから、全てを忘れる為に縁日で遊ぼう」 

花陽「ハッ! はなよってば……恥ずかしい。だ、誰かたすけてー!」 

凛「あははっ。かよちんってば助けを求めたらもっと注目集めるにゃ〜」 

花陽「ひぅっ!」 

凛「くすくすっ。取り敢えず、あっちに休憩コーナーがあるみたいだから一旦そこで休もう?」 

花陽「う、うん。本当にごめんね」 

凛「気にすることなんてないよ。凛とかよちんの仲なんだから!」
638 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:01:30.32 ID:9ppT85cs0
――音ノ木坂学院 一年生の階 廊下 絵里 

亜里沙「お姉ちゃん! 遊びに来たよー」 

こころ「エリちゃんだー!」 

ここあ「エリーちゃんにこ♪」 

絵里「三人とも無事に辿り着けたのね。ちょっとだけ心配してたのよ?」 

亜里沙「もーお姉ちゃんは大げさだよ」 

こころ「がっこうまでまよわずこれたんだよ」 

絵里「そっか、もっと大切な妹達を信じるべきだったわね。学園祭はちゃんと楽しんでる?」 

ここあ「きてからね、にこにーとあんちゃんにあってきたの!」 

こころ「いろいろあってたのしいにこ♪」 

亜里沙「あんじゅちゃんに射的とヨーヨー釣りさせてもらったよ」 

絵里「……ふふふ。なんだか、去年の夏休みのライブが終わった後を思い出す台詞ね」 

亜里沙「会長さんは元気なの?」 

絵里「ええ、元気そうよ。ただ京都の大学だから学園祭に遊びに来ることは出来ないみたいだけど」
639 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:02:05.25 ID:9ppT85cs0
ここあ「とうきょう?」 

こころ「ここあとうきょうじゃなくてきょうとだよ。きょうとはとおくにあるんだよ」 

亜里沙「亜里沙も知ってる! 京都って鹿もいるんだよね!」 

ここあ「シカちゃんかわいいーでもキツネさんのほうがもっとかわいい♪」 

こころ「こころはうさぎさんのほうがすきにこ♪」 

絵里「ふふっ。鹿がいるのは京都じゃなくて奈良よ」 

亜里沙「奈良と京都は違うの?」 

絵里「奈良県とも繋がってるけどね。大仏があって鹿がいるのが奈良。古都のイメージが色濃く残るのが京都ね」 

亜里沙「琴って日本の楽器だったっけ? お婆ちゃまに聞いたことがあるわ」 

絵里「古い都って書いて古都よ。地理の勉強は帰ってからにしましょう。こころちゃんとここあちゃんが退屈しちゃうから」 

亜里沙「あっごめんね!」 

こころ「だいじょぶー」 

ここあ「おべんきょうはたいせつってママがよくいってるにこ」 

絵里「でもにこって勉強は残念ながら得意じゃないのよね。主にあんじゅが面倒みてるからどうにかなってるけど」
640 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:02:50.81 ID:9ppT85cs0
ここあ「にこにーはべんきょうがすべてじゃないっていってるよ」 

こころ「ママとにこにーどっちがただしいんだろうねー?」 

ここあ「ねー」 

亜里沙「お姉ちゃんどっちが正解なの?」 

絵里「難しいわね。基本的にお母さんの言い分が正しいんだけど、にこの言うことも間違ってないのよ」 

亜里沙「正反対みたいだけど両方あってるの?」 

ここあ「ふしぎにこ〜」 

こころ「どうして?」 

絵里「今はまだ難しいかもしれないけど、一つの言葉が正しいって訳じゃないの」 

絵里「いくつもの可能性があったりするから面白いのよ。邪道が正解である場合だってあるしね」 

絵里「小難しい話はおしまい。お姉ちゃんがケーキ奢ってあげるわ。行きましょう」 

こころ「やったぁ! エリちゃんありがとー♪」 

ここあ「エリーちゃんだいすきにこ☆」 

亜里沙「お姉ちゃん、ありがとう!」 

絵里「学園祭を思う存分楽しみましょう」
641 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:03:21.46 ID:9ppT85cs0
――UTX学院 A-RISEライブ後 ことり 

ツバサ「文句なしの出来栄えだったわ。答えを焦らすまでもなく完璧だった」 

英玲奈「やはりことりは本番に強い。練習での危なっかしい部分等微塵も感じさせなかった」 

ことり「でも、デビューの時より緊張してたから、気付いたら終わってたって感じだったけど」 

ツバサ「頭が真っ白でも最高の結果が残せたっていうのは、骨の髄までみっちり染み込んでる証拠よ」 

英玲奈「練習してきた全てがことりの力になっているという証明でもある」 

英玲奈「どれだけ苦しくても根をあげないことりだからこそ、私達は最高のライブをすることが出来る」 

ツバサ「そうね。これは本気で来年はファンの間で南ことりリーダー説が流れちゃうかもね」 

ことり「そんな説は流れないよ!」 

英玲奈「なんなら私がブログで『南ことり下克上宣言』とでも載せれば面白いかもしれない」 

ことり「ひっ! そんな嘘載せないで」 

ツバサ「あら、それは素敵な提案ね。私も同じ記事にすれば完全な信頼度を誇ることになるわ」 

ことり「本当にそれはやめてっ!」 

ツバサ「んふっ♪ 冗談よ。でも、ことりさんが怠けることがあれば容赦なく下克上宣言しちゃうわ」 

英玲奈「ことりが天狗になったり胡坐を掻くようなことが想像出来ないが、もしもの時はそうしよう」
642 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:03:57.31 ID:9ppT85cs0
ことり「これからも毎日気が抜けません」 

ツバサ「でも、この後の打ち上げは存分に気を抜いて楽しみましょう」 

ことり「うん!」 

英玲奈「明日、音ノ木坂に行くのはツバサの許可が出たが遅刻は厳禁だ」 

ことり「遅刻なんてしないよぉ」 

ツバサ「ふふ。遅刻したら明日の打ち上げはことりさんの奢りで焼肉でも食べにいきましょう」 

英玲奈「それはいい。ことり、二分の遅刻ならたまにはいい」 

ことり「冗談なのに二分って数字がとっても現実的で笑えない」 

ツバサ「それを現実にしない為にも、今回は十五分前行動を心がけないと駄目よ?」 

ことり「うん。念の為にも音ノ木坂から走ってくるつもり」 

英玲奈「明日に限りタクシーより走った方が早いか。ただ、走りすぎて疲れたという言い訳はなしだ」 

ツバサ「ダンスのキレが悪かったら打ち上げの前に反省会が待ってるからね」 

ことり「それは素直に嫌だなぁ」 

ツバサ「んふふっ♪ 全てはことりさん次第だもの。今日より完璧にこなせば褒め言葉しか出てこないわ」 

英玲奈「その時はのぼせるくらいに褒めよう」 

ことり「はぅん! それはそれで嫌かも」
643 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:04:29.98 ID:9ppT85cs0
――にこの部屋 同じ布団にて... にこあん 

にこ「ねぇ、いい加減寝かせてよ。すっごい眠いんだけど」 

あんじゅ「にこが自分でぶったお詫びするって言ったんだよ?」 

にこ「だからこうしてあんたが寝付くまで話に付き合ってるでしょ。でも限界よ。今何時だと思ってんのよ〜」 

あんじゅ「夜中の三時半だね」 

にこ「夜中も夜中、真夜中よ。明日は二日目で今日より出るの早いんだからね」 

あんじゅ「でも眠れないんだもん」 

にこ「カレーがなくなるまで営業するから、ほとんど休憩なしになるんだから寝なさいよ」 

あんじゅ「こんなに楽しみで眠れないの初めて。本当ににこのカレー屋さんが学園祭で出来るんだよ? 楽しみ過ぎ☆」 

にこ「あんじゅにカレーを食べさせてしまった過去のにこを恨んでやりたいわ。割とマジで」 

あんじゅ「にこのカレーを私が食べるのは素敵なディスティニーだったんだよ」 

にこ「この際、不敵なディスでいいわよ」 

あんじゅ「返しが雑で悲しいにこ〜」 

にこ「眠くて頭が回らないのよ」
644 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:05:20.56 ID:9ppT85cs0
あんじゅ「愛情があれば眠くても妹に対して満足良く返しが出来るよ!」 

にこ「愛情を求めるなら私の体を気遣って寝かせなさいよねぇ……ふわぁ」 

あんじゅ「苦しみは姉妹で分かち合うものなんだよ」 

にこ「それは苦しめてる原因が自分達にない場合に使える言葉よ。元凶が言っても白々しいだけにこ」 

あんじゅ「白々しいって白がいっぱいで雪みたいだよね。冬も近いし何か冬っぽい曲作ろうか」 

にこ「んー、例えばー?」 

あんじゅ「人肌恋しくなるから……失恋ソングとか★」 

にこ「ちょっと! なんでスクールアイドルが失恋ソングなんて歌わなきゃいけないのよ!」 

あんじゅ「あ、にこの元気が戻った」 

にこ「変なこと言うから眠気が少し飛んじゃったじゃない」 

あんじゅ「それは良かったにこ♪」 

にこ「よくないわよ。失恋ソングも却下」 

あんじゅ「人がやらないことをするのが私達邪道シスターズでしょ?」 

にこ「ライブをするのはSMILEよ」
645 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:05:51.78 ID:9ppT85cs0
あんじゅ「でもにこにー真剣に考えてみてよ。私達はアイドルだから恋愛しないけど、普通の子は恋がメインなんだよ?」 

あんじゅ「恋をするってことは成就と失恋は表裏一体。例え成就しても好きな相手から別れを告げられるかもしれない」 

あんじゅ「スクールアイドルのファン層は基本が女子中高生。SMILEはちょっと特殊だから新曲で女子高生も獲得しよう」 

にこ「……ふむ。一理どころか千里くらいありそうね」 

あんじゅ(ど、どうしよう。今のってにこ流の冗談なのかな? それとも眠いから間違えただけ?) 

あんじゅ(うん、今回だけはスルーしてあげよう) 

にこ「明日の打ち上げの席で海未に話てみましょう。でも、恋愛ソング以上に難しそうね」 

あんじゅ「そうだね。リアルな繊細さを表現した詩にしないと逆に反感買っちゃいそうだもんね」 

にこ「絵里が見た目通りの恋愛経験豊富なら失恋のことも聞けるけど……」 

あんじゅ「こういう時こそ大人の意見を取り入れるべきじゃないかな? 商店街の人とかママとか」 

にこ「うーん、肉親のそんな生々しい話は流石に聞きたかないわ。商店街の人達に聞くのがベスト」 

にこ「失恋という感情は今も昔もそう変わらない筈だしね」 

あんじゅ「うふふ。にこが失恋してるところを想像すると笑えるにこ♪」 

にこ「勝手に何失礼な想像して、しかも笑ってるのよ!」
646 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:06:29.55 ID:9ppT85cs0
あんじゅ「にこにこぉ〜にこっにこ……にこぉ」 

にこ「だからどんな泣き方してんのよ私は!」 

あんじゅ「驚く時も『にこにこっ!?』だと可愛いかも」 

にこ「いくらにこだってそんな変な驚き方しないわ」 

あんじゅ「えぇ〜その方が断然可愛いって」 

にこ「可愛いの前にただの変態じゃない。アイドルじゃなくて芸人になっちゃうわ」 

あんじゅ「滑り芸人にこにー現る!」 

にこ「現れないわよ。SMILEのリーダー舐めんじゃないわ!」 

あんじゅ「にこを舐めたら甘い味しそう。ぺろぺろ」 

にこ「そっちの舐めるじゃないから変な擬音入れるんじゃないわよ」 

あんじゅ「今思ったけどぺペロンチーノとぺろぺろちゅっちゅは似てる!」 

にこ「あっ本当だ……って、全然似てないニコ!」 

にこ「ていうか、六時前に集合だから最低五時十五分には起床なのよ。もう四時じゃない。いい加減寝るわよ」 

あんじゅ「まだ眠くないの」
647 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:07:02.11 ID:9ppT85cs0
にこ「にこが眠りたくなるように話をしてあげる。猿夢って言ってね」 

あんじゅ「それって逆に眠りたくなくなる話だよ!」 

にこ「もう本当に眠気が限界なのよ」 

あんじゅ「もう少しお話しよ〜よっ」 

にこ「抱きついてくるんじゃないわよ。冬と違ってまだ暑苦しいのよ」 

あんじゅ「にこの体温は温かいから眠気を誘うにこ〜」 

にこ「暑いけどそのままでいいわ。だから寝なさいよ」 

あんじゅ「……うん」 

にこ「そういえば猿夢で思い出したんだけど、怖い夢って現実と夢の区別が付かない状態だからこそよね」 

にこ「もし、そのまま夢が現実になったらある意味死ぬのと同じくらいの恐怖よね」 

にこ「今までの自分の全否定っていうかさ、記憶を全て持ってるのに記憶喪失みたいな状態になるんだもの」 

にこ「今朝の夢がなんか凄い夢だった気がするからそう思うのかもね。……もうほとんど覚えてないけどさ」 

にこ「ねぇ、聞いてるの?」 

あんじゅ「すー……はー」 

にこ「って、もう寝てるし。……はぁ、馬鹿らしい。私も寝るわ。おやすみ、我がままな妹」
648 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:07:38.78 ID:9ppT85cs0
◆文化祭二日目・ニコ屋開店!◆ 

穂乃果「すっごいよ! 開店までまだ十分はあるのにもう十人以上が並んでる!」 

絵里「思った以上にSMILE効果……ううん、私が入る前から続けてきたあんじゅのブログ効果が出たみたいね」 

あんじゅ「えっへん!」 

にこ「無駄にハードル上げて私の腕をディスられるのは勘弁だけどね。甘口だから大人向けじゃない問題もあるし」 

あんじゅ「大丈夫だよ。にこのカレーを悪く言う人類なんて存在しないから」 

海未「スケールが大きすぎますが、初めから甘口であることは告知済みですから大丈夫ですよ」 

絵里「そうね。そういうのでクレームつける人が居たら、最初から会話が成立出来ない可哀想な人だけよ」 

にこ「ネットではよく居るけどね。現実では遭遇したくないわ」 

穂乃果「クレームのお客さんの対応なら私に任せて。お母さん直伝の対応があるから」 

あんじゅ「おぉ〜。流石老舗のお饅頭屋さんの娘だね」 

穂乃果「だからお饅頭屋じゃなくて和菓子屋だよ。ちなみにね、子供の頃の夢はお花屋さんだよ!」 

海未「懐かしいですね。その割には小学二年生の時に家で育てて観察日記を付ける朝顔を枯らしてましたよね」 

穂乃果「あれは違うんだよ! 雪穂がジュース掛けたのが悪いんだよ。悪気がない分、怒れなかったけど」
649 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:08:08.93 ID:9ppT85cs0
にこ「本当に小さい子って自分の好きな物が栄養になるって勘違いしちゃうもんね」 

絵里「可愛い姉妹エピソードね。亜里沙は意外とそういうのないのよね」 

海未(覚えてないような出来事を姉さんも覚えていて、誰かにこうして聞かせていたりするのでしょうか?) 

海未(そう考えると小さい頃の自分のしたことというのは、防ぎようのない恥ずかしい過去ですよね) 

にこ「小さい頃の夢ねぇ。絵里と海未はなんとなく分かるだけど、あんじゅだけは思いつかないわね」 

あんじゅ「私?」 

海未「そうですね。あんじゅだけは正直予想もつきません」 

穂乃果「穂乃果は分かるよ。可愛いお嫁さん!」 

にこ「あんじゅがそんな単純な訳ないでしょ。マフィアのボスを裏から操る娼婦よ!」 

絵里「どうしてそんな黒いのが子供の夢なのよ」 

あんじゅ「懐かしい! にこってばまだあの時のこと根に持ってたの?」 

にこ「海未と出会って一年って話の時にふと思い出しただけよ。根に持ってた訳じゃないわ」 

穂乃果「なになに。何があったの? もしかして、にこちゃんは昔マフィアに所属してたとか?」 

にこ「んなわけないでしょ! マフィアなら海外に住んでた絵里の方が似合ってるわよ」
650 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:09:07.30 ID:9ppT85cs0
絵里「マフィアグループ・邪道シスターズ。全てを纏め上げるドン・エリーチカ」 

海未「グループ名の所為で激しくマフィアのイメージが崩壊してしまいます」 

あんじゅ「邪道シスターズの頭脳。百$から大組織を運営出来るようになるまでの資金を増やした切れ者・アンジュリカ」 

穂乃果「なんかカッコ良いよ、あんじゅちゃん! ううん、アンジュリカちゃん!」 

海未「……」 

あんじゅ「ほら、次は次女のにこの番だよ」 

絵里「さぁ、バシッと決めてやりなさい!」 

にこ「あんじゅのことを言えないくらい絵里もテンション高いじゃないの……やれやれ」 

にこ「立ち上げメンバーでありながら、今でも荒れる表舞台に立って組織を先導し続ける実力者・ニコフィラ」 

穂乃果「なんだか変わってる名前だけど、外国で咲いてる花の名前みたいで素敵だよ、ニコフィラちゃん!」 

海未「――」 

にこ「ふっふーん!」 

絵里「さすがね、にこ。こういう振りは完璧にこなせるところがアイドルよね」 

あんじゅ「うんうん。それでこそ私達のにこにー♪」
651 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:09:38.06 ID:9ppT85cs0
にこ「当然でしょ。寝不足だろうとにこは失敗しない女なのよ」 

穂乃果「昨日は思いっきり失敗してたけどね」 

絵里「さ、気合も入ったことだし、少し早いけどお客さんを入れて水だけでも先に出しておきましょうか」 

海未「――待って下さい!」 

にこ「ど、どうしたのよ。何か不備でもあった?」 

あんじゅ「ニコ屋に不備はありません!」 

にこ「いや、その謳い文句はあんたが勝手に唱え始めただけでしょ。で、何があったの?」 

海未「……和を大事にするのが日本の心。今日くらいは私も仕方ないので和に加わろうと思います」 

絵里「どういうことかしら?」 

海未「規律を正し、不正を罰する。邪道の中にも正義あり。人情持って我が道進む邪道シスターズの良心・ウミンディーネ」 

絵里「ついに海未も私達邪道シスターズの仲間入りってことね!」 

あんじゅ「組織力がグンと増したね」 

穂乃果「ウミンディーネ! なんだか水を司る精霊みたい。海未ちゃんに似合ってるよ!」 

海未「ふふふ。今日だけですよ、今日だけ」
652 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:10:13.95 ID:9ppT85cs0
にこ(すっごい満たされた笑顔してるんだけど……。海未ってこういう悪ノリが実は誰よりも好きなんじゃないかしら?) 

にこ(もし海未がカラオケ大会で優勝した場合は、何か明るい戦隊物みたいな歌を作詞してあげようかしら) 

にこ(何ですかこの曲は! 恥ずかしいです! センターというだけで恥ずかしいのに、どうしてこんな曲なんですか!) 

にこ(とか言いながら実際にライブ本番になるとノリノリになりそうだしね。念の為に作詞頑張ってみましょう) 

穂乃果「穂乃果も邪道シスターズの仲間になりたい!」 

絵里「それは嬉しいんだけど、穂乃果って邪道とは正反対の位置にいるのよね」 

あんじゅ「悪を滅ぼす天真爛漫ってイメージだよね」 

穂乃果「え〜! 皆一緒なのにずるいよ〜。にこちゃん! リーダーなんだから穂乃果のも考えて!」 

にこ「なんで私なのよ。穂乃果って名前も外国人向けじゃないから無理よ」 

あんじゅ「名前からして駄目だなんてこれは運命だよ」 

絵里「対立する役っていうのも重要な役目よ。怪盗と警察みたいな関係も素敵なのよ?」 

あんじゅ「そうだね。犯人が存在しないと探偵小説も成り立たないからね」 

穂乃果「ウミンディーネちゃ〜ん! 穂乃果も仲間に入れてよ〜」 

海未「大切な幼馴染である穂乃果を邪道シスターズのメンバーにすることは私には出来かねます」 

穂乃果「意地悪〜!」
653 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:10:45.17 ID:9ppT85cs0
にこ「さ、そろそろ開店時間よ。お昼は入りきらないことがもしかしたらあるかもしれないから、その時はあんじゅ」 

あんじゅ「うん、接客しながら外の様子もきちんとするよ」 

絵里「外の看板に書いてあるけど、会計前にきちんと十分で回してくれるようにお願いしてね」 

海未「穂乃果はうっかりして説明を忘れないでくださいね」 

穂乃果「ふーんだ!」 

海未「子供でないのですからいじけないでください」 

絵里「にことあんじゅが『邪道シスターズVS太陽の使者穂乃果』のお話を作ってくれるわよ」 

にこ「何勝手な約束してんのよ、こういう時こそ長女がどうにかすべきでしょ! 頼りにならない長女なんて要らないわ」 

絵里「お姉ちゃんっていうのは可愛い妹の成長を期待して試練を与えるものなのよ」 

あんじゅ「愛の鞭上等だよ! 期待してね、穂乃果ちゃん」 

穂乃果「うん! それなら私も邪道シスターズじゃなくても我慢できるよ。期待してるね♪」 

海未「……仕方ないのでその時も私は邪道シスターズのメンバーということで許可を出しましょう」 

にこ「誰もそんな許可取ろうとすら思ってないけど」 

海未「仕方ないないですからね! 和の心は必要です!」 

絵里「絶対に出番が欲しいのね。海未が素直になる日はもう目の前ね」 

にこ「もうなんでもいいわ。……脇道に逸れ過ぎよ、ニコ屋開店するにこ!」
654 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:11:27.47 ID:9ppT85cs0
※今年最後の更新なので本編と関係ないIFストーリー。読み飛ばしても問題ありません。 

◆正しいお正月の過ごし方◆ 

参加者・SMILE&ことり&こころありゆき 

穂乃果「コタツと羽根布団は人類が開発した最高の宝物だよねぇ」 

海未「いくらお正月とはいえだらしがないですよ。コタツの表面は顔を載せる物ではありません」 

穂乃果「今日くらいはいいじゃない。ことりちゃんと海未ちゃんも一緒にダラダラしちゃおうよ〜」 

ことり「そうだね。今日くらいはいいかなぁ」 

海未「ちょっとことり!」 

にこ「穂乃果の言う通りよ。今日くらいはいいじゃないの」 

あんじゅ「お正月最高〜ヌクヌクしててにこみたいにあったかいにこ〜」 

こころ「みかんおいしいよ。にこにーとあんちゃんにもむいてあげるにこ♪」 

あんじゅ「ありがとう、こころちゃんは天使にこ〜」 

ここあ「こころずるい!」
655 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:12:00.52 ID:9ppT85cs0
絵里「私も蜜柑食べたいわ。誰か剥いてくれないかしら?」 

亜里沙「お姉ちゃん、私が剥いてあげるね」 

絵里「……あ、ありがとう」 

絵里(そうじゃないのよ、今のはここあちゃんへのアシストだったの) 

雪穂「ね、ここあちゃん。私はいつもお姉ちゃんに蜜柑を剥いてもらってたから上手に剥けないんだー」 

雪穂「だからよかったら私の分を剥いてくれないかな?」 

ここあ「うん! いいよ、ここあきちんとむけるからユッキーはすこしまっててね!」 

雪穂「うん、ありがとう。待ってるね」 

穂乃果「えー雪穂ってば蜜柑も剥けな――もごご」 

海未「穂乃果、貴女は馬鹿なんですか!? もう少し考えてから口を開いてください」 

穂乃果「え、え? どうして穂乃果怒られてるの?」 

ことり「穂乃果ちゃんの分の蜜柑をことりが剥いてあげるから、余り気にしないで」 

海未「そうやってことりが甘やかせるのも悪いのですよ」 

にこ「あんた達は親子かっての。穂乃果が空気を読めないのなんて最初からでしょ」
656 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:12:31.31 ID:9ppT85cs0
絵里「その発言を迷わずにこが使うことがそもそも……」 

あんじゅ「待って、エリーお姉ちゃん。にこは敢えて空気の読めないことがどういうことか教えてるんだよ!」 

にこ「うっさい姉妹ね。正月くらい人をダシにするんじゃないわよ」 

ここあ「はい、むけたよ!」 

雪穂「わ〜ありがとうね。お姉ちゃんよりずっと綺麗に剥けてるよ。食べるのが勿体無いくらい」 

ここあ「えへへ!」 

こころ「こころもむけたよ。はい、こっちはにこにーのぶん。こっちはあんじゅちゃんのぶん」 

あんじゅ「ありがとう。はむ……自分で剥くよりこころちゃんが剥いてくれた方が美味しく感じるにこ☆」 

にこ「こころ、ありがとう。私達は一つで十分だから、自分の分を食べなさい」 

こころ「うん!」 

亜里沙「お姉ちゃん美味しい?」 

絵里「ええ、美味しいわ。ほら、亜里沙も一緒に食べましょう」 

亜里沙「うん。日本は寒くないけど、こたつは素敵っ」 

雪穂「寒くないかな? 私としては十分寒いけど」
657 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:13:01.86 ID:9ppT85cs0
海未「仕方ありません。ロシアと比べたら真冬の北海道でも比べられないくらいですからね」 

ことり「はい、海未ちゃんの分もどうぞ」 

海未「ありがとうございます。穂乃果ではないですが体から力が抜けてしまいますね」 

絵里「お正月くらいは力を抜かないと、いざという時に失敗しちゃうかもしれないわよ?」 

ことり「あ、英玲奈ちゃんも似たようなこと言ってたよ」 

穂乃果「海未ちゃんは力を抜くことと、穂乃果に優しくする回数を増やすのが今年の目標だね」 

雪穂「お姉ちゃんに厳しくする回数を増やして、こんなこと言えなくなるようにしちゃってください」 

海未「雪穂に頼まれては仕方ないですね」 

穂乃果「ことりちゃ〜ん!」 

ことり「海未ちゃんも雪穂ちゃんももう少し優しくしてあげようよ」 

にこ「中学までと違ってアイ活とデザインしてる訳だしね。余り厳しくするのは可哀想よ」 

穂乃果「にこちゃんって時々天使に見える!」 

こころあ「にこにーてんし!」 

穂乃果「よし! 次の衣装はにこちゃんだけ羽を生やそう!」
658 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:13:38.13 ID:9ppT85cs0
にこ「恩を仇で返すんじゃないわよ!」 

絵里「その場合黒い羽がいいわよね。白い羽を海未に付けたら面白そうね」 

穂乃果「ぷっ!」 

ことり「っ!」 

海未「どうしてそこで私が出てくるんですか! 二人して噴出さないでください!」 

亜里沙「羽を生やしても普通に踊れるのかな?」 

あんじゅ「見た目だけじゃなくて、実用面でも問題あるかもね。でも、バザーとかの会場でするライブならありかも?」 

にこ「ないわよ!」 
海未「なしです!」 

雪穂「でも、冬だからこそ羽が生えた衣装って見栄えるかもね。冗談とかじゃなくて」 

ここあ「てんしにこにーみてみたいにこ!」 

こころ「こころもはねのはえたおようふくきてみたいにこ☆」 

ここあ「あっ、ここあもここあも!」 

亜里沙「SMILEの皆さんの羽を生やした壮大なステージ。亜里沙、見たいです!」 

絵里「……い、妹達が見たいと言うならやるしかないわね」
659 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:14:11.31 ID:9ppT85cs0
穂乃果「ことりちゃん。因果応報って言葉の意味を今知った気がするよ」 

ことり「どちらかというと口は災いの元だと思うけど」 

海未「嫌ですよ。本気で嫌ですからね。私はそんなステージ衣装になるなら辞退しますから!」 

雪穂「嫌なことから逃げる為に和を乱すのは海未さんらしくないんじゃないですか?」 

亜里沙「全員揃ったステージが見たいです!」 

こころ「みんなてんしなの!」 

ここあ「はねがはえてかわいいー」 

海未「……ぐ、穂乃果。冬休みの残りは毎日勉強漬けですからね」 

穂乃果「」 

ことり「穂乃果ちゃん、ファイトだよ!」 

にこ「これって私達も大きなダメージな上に、作るのが無駄に難しそうね」 

あんじゅ「でもほら、こういう時こそ腐ってるお姉さんなら作り方とか知ってる友達居る気がする」
660 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:14:46.24 ID:9ppT85cs0
にこ「内田のお姉さんなら……確かに」 

絵里「でも羽生えた衣装で踊ったら恥ずかしくて生徒会長なんてやってられないわよ」 

あんじゅ「でもバレエならそういう衣装でもありな気がするんだけど」 

絵里「バレエはミュージカルとは別物なのよ?」 

雪穂「大変そうですけど、私も期待してます。皆さんのおもしろ――こほん。素敵な衣装」 

にこ「雪穂ちゃんはスクールアイドルになるなら、グループに必要な小悪魔になりそうね」 

絵里「邪道シスターズに欲しい人材だけど、生まれてくるのが一年遅かったわね」 

あんじゅ「そうだね。……来年のお正月を越えたら卒業なのよね」 

絵里「そうね。にことあんじゅに出会えなければこんな温かいお正月は過ごせなかった。本当に感謝してるわ」 

あんじゅ「エリーちゃんが感謝してるのと同じくらい私達も感謝してるんだよ」 

にこ「そうそう。だからいつまでも他人行儀なこと言ってるんじゃないわよ。私達は姉妹でしょうが」 

絵里「ふふっ。そうね、二人共今年もよろしくね」
661 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2014/12/29(月) 23:15:36.99 ID:9ppT85cs0
にこ「こちらこそ、よろしく。今年も頑張りましょう」 

あんじゅ「お姉ちゃん達、よろしくね!」 

穂乃果「これだけ多いんだし何かゲームやろうよ、ゲーム!」 

ことり「でもこれだけ多いとやれるゲームとかないんじゃないかな?」 

海未「双六にしても駒が足りませんし」 

雪穂「二つに分けてもちょっと多いですよね」 

こころ「トランプがいいにこ♪」 

ここあ「トランプやりたいー!」 

絵里「チーム戦かグループ戦にすればトランプでも十分楽しめるわね」 

にこ「トランプ二つ混ぜて何か出来れば一緒に楽しめるんじゃない?」 

あんじゅ「――それだよっ! 流石にこ! 新しいゲームを考えたよ。ルールはね、」 

こうして、賑やかなお正月は時間を忘れて過ぎていく……。 チャンチャン★ 


次回……次こそは終わろう、学園祭! 

百合症候群も落ち着いたので今まで通りの更新間隔を目指します。来年の完結までお付き合い下さい。
662 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2014/12/29(月) 23:36:01.87 ID:JHfdsrbpo
乙!来年もよろ
663 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2014/12/30(火) 10:53:04.73 ID:kazuYE4AO
ぶっちゃけ今年見たラブライブSSの中でもトップクラスの良作だと思うわ
664 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2014/12/30(火) 17:56:18.45 ID:Nx69pJR/0
初めスレタイ見たときは欝物だと思ったんだがそんなことはない甘甘な物語だし本当にここ最近で最高のスレだと思うわ 
665 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/03(土) 13:55:28.67 ID:32GpgoXwo
オッツー!
666 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/01/09(金) 22:42:36.36 ID:RQ9T3wow0
◆ニコ屋来店ありがとうにこっ!◆ 

――10:13 

にこ「お婆ちゃんいらっしゃいませ! 御来店ありがとうにこっ!」 

あんじゅ「お婆ちゃんいらっしゃいにこ♪」 

お婆ちゃん「二人共今日も元気だねぇ」 

にこ「見てみて! お婆ちゃんの作ってくれたこの衣装。似合ってる?」 

あんじゅ「にこってば世界一似合ってるよ!」 

にこ「ありがとう♪ って、あんたに聞いてないわよ! でも、あんじゅだって似合ってるわよ。流石私の妹ね!」 

あんじゅ「うふふ」 

「くすくすっ」 

「SMILEって漫才も出来るのね」 

海未「何か要らない誤解が生まれてるんですが」 

絵里「今日くらいはいいじゃない。等身大の女子高生なんだって、今以上に深い親しみが出ると思うし」 

穂乃果「あんじゅちゃんはいつものことだけど、にこちゃんがあんな子供みたいにはしゃぐのって珍しいよね」
667 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/01/09(金) 22:43:25.27 ID:RQ9T3wow0
絵里「それほどお婆様に対しての信頼がある証拠よ。この中では当然ながら一番にこと過ごした時間が長いから」 

海未「相手が私の家もお世話になっている呉服屋の店主というのが驚きでした」 

穂乃果「このニコ屋の制服とっても素敵だもんね」 

絵里「着れるなら二十歳の成人式もこの衣装で出たいくらい」 

海未「少し浮いてしまいますが、私もその気持ちは分かります」 

にこ「お婆ちゃん、こっちこっち。この特等席に座ってて。直ぐにカレー持って来るから」 

あんじゅ「ちなみにニコ屋は全席特等席だけどね!」 

にこ「気分の問題よ! この失礼な愚昧の発言は忘れて」 

お婆ちゃん「ふぇっふぇっふぇ。この年で孫が増えるっていうのも、嬉しいものだね」 

あんじゅ「じゃあ、もう一人の孫も呼ばないとね。エリーお姉ちゃん! にこの代わりにカレー持ってきて」 

絵里「あら、私ももう孫の仲間入りでいいのかしら? ちょっと、待っててね。直ぐにお持ちするわ」 

海未「絵里、とても嬉しそうですね」 

穂乃果「絵里ちゃんって家族愛がとっても深いよね。外国人って感じがするよ」 

海未「四分の一がロシア人の血が流れているだけで、立派な日本人なのですが」 

穂乃果「こういうのは血の濃さよりも気持ちの問題でしょ?」
668 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/01/09(金) 22:44:03.47 ID:RQ9T3wow0
海未「馬鹿なことを言ってないで、外のお客さんの整列とどれくらい待ちそうか報せてきて下さい」 

穂乃果「……うぅ〜」 

海未「ふふっ。ことりが来店したら構ってくれますから、それまで頑張ってください」 

穂乃果「はぁ〜い♪」 

「すいません。お水いただけますか?」 

海未「只今お持ちしますので少々お待ち下さい」 

絵里「お待たせしました。特製ラブにこカレーです」 

にこ「何その名前!?」 

あんじゅ「甘口だから誰でも食べれる優しいにこの愛情たっぷりカレー!」 

お婆ちゃん「そうさね。にこちゃんの料理は愛情が入ってるから、自分で作るより美味しいんだよ」 

にこ「恥ずかしいこと言わないでよ。それに料理の腕はまだまだ修行しないとお婆ちゃんには追いつかないニコ!」 

あんじゅ「今よりにこのカレーが美味しくなったら私のほっぺた落ちちゃうよ」 

絵里「え゙っ!?」 

お婆ちゃん「昔の人は美味しい物を食べるとほっぺたが落ちるって表現してたんだよ」
669 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/01/09(金) 22:44:49.56 ID:RQ9T3wow0
絵里「そうなんですか。……あんじゅなら何でもありかと思っちゃった」 

あんじゅ「絵里ちゃんってば酷いよ〜」 

にこ「普段の行いが悪いんでしょうが。布団だけじゃなくて、洗濯物任せられるようになりなさいよ」 

あんじゅ「だから何でも出来るようになるとにこが寂しがるから遅々とした成長なんだよ」 

絵里「意外と的を射てる異見よね」 

お婆ちゃん「にこちゃんは面倒見るのが好きな子だからねぇ」 

にこ「それは好きな人だけよ。つまりお婆ちゃんの面倒は見たいけど、あんじゅは普通にただ面倒なの」 

お婆ちゃん「そうかいそうかい。でも、家族以外にこんなに面倒見るのはあんじゅちゃんが初めてだけど」 

にこ「こんな面倒で常識外れが居なかっただけにこ!」 

お婆ちゃん「そういうことにしておこうかね」 

あんじゅ「うんうん。今日だけは訂正せずにおいてあげましょう♪」 

にこ「なにそれ!? まるでにこの本心は違うみたいに聞こえるじゃない」 

絵里「こうしてにこのツンデレ説が広まっていくのね」 

にこ「馬鹿長女! あんたもしれっとした顔して『その時、歴史は動いたんです』みたいに解説してるんじゃないわ」
670 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:45:26.00 ID:RQ9T3wow0
「くすくすっ」 

「SMILEって本当にブログ通りのアットホームなグループなのね」 

海未(きちんとしている私もその一味として確認されてしまうのですね。恥ずかしいです) 

お婆ちゃん「あんじゅちゃんと出会ってから本当にいい顔をするようになって、わたしは安心だよ」 

にこ「だーかーらっ! あんじゅは関係――」 
あんじゅ「――その時、にこの頭では二人の運命の出会いを思い出して言葉を途切れたのでした」 

にこ「途切れたんじゃなくて、あんたが遮ってるんでしょ!」 

絵里「二人の出会いって曖昧にしか語らないけど、実際はどんなだったの?」 

にこ「ダンボールに入ってたあんじゅを拾ったのが始まりね」 

あんじゅ「うふふ」 

絵里「何よ、姉妹なんだから教えてくれたっていいじゃない」 

にこ「いつまでも騒いでたらお客さんに失礼よ。お婆ちゃんはカレーを堪能してね」 

あんじゅ「学園祭も楽しんで行ってくれると嬉しいな」 

絵里「絶対にいつか教えなさいよ。……皆さん、お食事中にお騒がせしました」 

海未(これで誰一人不満が漏れずに笑顔が生まれる。それがにこ達の魅力。穂乃果に似ていますね) 

海未(だからこそ、私もこのSMILEの空気が好きなんでしょう。困ったことです)
671 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:46:03.93 ID:RQ9T3wow0
――10:45 

雪穂「お姉ちゃん。遊びにきたよー」 

穂乃果「あっ、雪穂。みんなもいらっしゃい」 

亜里沙「こんにちは。学園祭って楽しいです」 

こころ「えへへ〜。あいにきたにこ♪」 

ここあ「あそびにきたの!」 

絵里「いらっしゃい。亜里沙、こころちゃん、ここあちゃん、雪穂さん」 

あんじゅ「妹が関わる時のエリーちゃんの反応速度の速さに普通に驚いちゃう」 

海未「音もなく瞬時に入り口に向かってましたね。父の動きに近いものがありました」 

あんじゅ「短距離走には自信があるけど、今の速さには勝てない」 

海未「室内の移動速度と短距離走では別物ですから。そういえば今思い出したんですが」 

海未「あんじゅは薙刀を嗜んでいたんですよね。今度うちの道場で少し手合わせしてみませんか?」 

あんじゅ「え、海未ちゃんも薙刀出来るの?」 

海未「齧った程度ですので指南をお願いしたいのと、剣道と薙刀で試合等してみたいですね」
672 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:46:45.50 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「少しブランクあるけど面白そうかも。にこを賭けて勝負だね!」 

海未「いえ、にこは要りませんし賭けません」 

あんじゅ「じゃあにこにーは私の物だね★」 

ここあ「にこにーはここあのものー」 

こころ「こころのものだよ!」 

あんじゅ「いらっしゃい。ここあちゃんにこころちゃん」 

こころ「あんじゅちゃんもうみちゃんもかわいい☆」 

ここあ「とってもにあってるにこ♪」 

あんじゅ「ありがとう。二人は今日も可愛いにこ〜」 

海未「そうですね。とても元気で可愛いです」 

こころあ「えへへ〜」 

にこ「亜里沙と雪穂ちゃん、家に寄って二人を連れてきてくれてありがとうね」 

亜里沙「ううん、全然気にしないで!」 

雪穂「一緒にこれて私は嬉しいし。昨日は一緒にこれなかったですから」
673 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:47:24.61 ID:RQ9T3wow0
にこ「ありがとう。昨日のA-RISEのライブはどうだった?」 

雪穂「ことりさんが加入したあのライブ以来だったんですけど、私の知ってることりさんとは別人のようでした」 

にこ「キラ星――リーダーのツバサはどうだった?」 

雪穂「そうですね、英玲奈さんもことりさんも素晴らしいの一言でしたが、一際輝いていたのがツバサさんですね」 

雪穂「背は決して高い訳ではないのに、歌も踊りもカリスマ性も凄かったです」 

亜里沙「亜里沙はSMILEの方がすっごいと思うけどなー」 

雪穂「うん、SMILEも好きだけどね」 

にこ「亜里沙も一度A-RISEのライブを体験してみればレベルの違いを感じるわ。お世辞にもSMILEが勝ってる部分がないから」 

亜里沙「そんなことない!」 

にこ「そう言ってくれると嬉しいんだどね、本当にまだまだなのよ」 

亜里沙「でも!」 

絵里「でも、だからこそSMILEはまだまだ伸びる可能性が高いのよ。A-RISEに勝る部分は潜在意識の高さね」 

海未「そうですね。にこは憧れの気持ちが強いので評価が高すぎますが、私は初めから諦める努力はしません」 

穂乃果「ラブライブの本戦に進んで、一番輝いて一位になっちゃうかもしれないもんね」 

にこ「ラブライブってのはそんな簡単じゃないわ」
674 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:48:01.87 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「メンバー二人になってから今の順位まで上がるのだって簡単じゃなかったでしょ?」 

あんじゅ「邪道な手は使えないけど、優勝が出来ないって決まってないよ」 

こころ「こころがおうえんしてるにこ!」 

ここあ「えへへ〜みんながんばってるからだいじょーぶにこ!」 

亜里沙「私もお姉ちゃん入る前から応援してきたんだよ。だから優勝して欲しい!」 

雪穂「優勝してくれれば音ノ木坂に入学した時に同級生も増えるだろうし、期待してます」 

にこ「……そうね。応援には応えないとスクールアイドル失格ね。来年のラブライブに向けて頑張るわよ!」 

パチパチパチ! 

「SMILE応援してるよー!」 

「がんばってねー」 

「私、SMILEが好きだから再来年はオトノキを受験するんだよ!」 

にこ「……っ」 

絵里「ふふっ。涙なんて浮かべてる場合じゃないわよ。今日は今日でこれから忙しくなるんだから」 

あんじゅ「にこにーは時々脆くなるから放っておけないにこ!」 

にこ「目の届かない所に置いておくと何仕出かすか分かんないあんたに言われたくないニコ!」
675 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:48:38.11 ID:RQ9T3wow0
――11:30 

ミカ「穂乃果、手伝いにきたよ」 

ヒデコ「大繁盛してるみたいだねー」 

穂乃果「あれ? ミカだけじゃなくてヒデコも来てくれたんだ。クラスの方は大丈夫なの?」 

ミカ「SMILEのメンバーには昨日大いに助けられたからって、うちのクラスにも他から助っ人きてくれて」 

ヒデコ「だから次も複数の人がこっちに手伝いにこれると思うよ」 

穂乃果「いや〜助かる助かる。ありがとうね」 

ミカ「お礼なんていいからいいから。誰と変わればいいの?」 

穂乃果「えっとね……にこちゃ〜ん! 助っ人が二人来てくれたんだけど、誰から休憩に入ればいいの?」 

にこ「海未と穂乃果から――」 
絵里「――にことあんじゅが先よ。リーダーから休んでくれないと休み難いのよ」 

あんじゅ「じゃあ、先に休憩入るね。にこ、カレー頂戴♪」 

にこ「切り替え早っ!」 

海未「ファンの人がくることを考えて、折りたたみ椅子を使って前で食べてください」
676 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:49:15.32 ID:RQ9T3wow0
にこ「この為に用意してたのね」 

あんじゅ「ほら、にこってば早く早く!」 

にこ「はいはい。じゃあ、先に休憩させてもらうわ」 

穂乃果「ミカは呼び込み兼外のお客さんの列整理をお願いね。ヒデコはカレーの方をお願い」 

ヒデコ「ご飯の量とカレーの配分は?」 

絵里「丁度いいわ。にこ、見せてあげて」 

にこ「ええ、目測だけど余り差が出るようだと不平等になるから気をつけて」 

ヒデコ「はい。普段家でも手伝ったりしてるんで大丈夫だと思います」 

にこ「……よっと。これくらいね。配分的にはご飯6のカレー4」 

ヒデコ「分かりました」 

あんじゅ「にこにー! 私はカレー6のご飯4ねっ♪」 

にこ「わざわざ言われなくったって分かってるわよ。……はい、人目があるんだからゆっくり食べるのよ」 

あんじゅ「うん!」
677 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:49:52.21 ID:RQ9T3wow0
にこ「口を汚したまま食べるんじゃないわよ?」 

あんじゅ「……うん!」 

にこ「水もきちんと飲みながら上品に食べなさい」 

絵里「はいはい。人前だからってお姉ちゃんぶらないの。にこの分持ってきたから、仲良く二人で食べてなさい」 

にこ「誰もお姉ちゃんぶってないわよ」 

あんじゅ「お姉ちゃんだからそっちはいいんだけど、にこは人目を気にしすぎだよ」 

にこ「あんじゅもスクールアイドルなんだから少しは人目を意識しなさいよ!」 

あんじゅ「気取ったりするのはSMILE流じゃないでしょ? あくまでも等身大の私を見せるべきだよ」 

にこ「他の時なら上品さが出たりもするけど、カレーとなるとおちびちゃん達と変わらない食べ方するじゃない」 

あんじゅ「ニコ屋のカレーが商品化された暁には、CMは絶対に私がするからね! これは誰にも譲らない!」 

にこ「子供みたいなこと言うんじゃないわよ」 

あんじゅ「だってまだ子供だからねっ」 

にこ「そんなことで目を輝かせるんじゃないわ。いただきます」 

あんじゅ「いただきまーす♪」
678 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:50:44.61 ID:RQ9T3wow0
――五分後... 

穂乃果「ウミンディーネちゃ〜ん」 

海未「その変な呼び方は忘れて下さい!」 

穂乃果「お腹が減って力が出ないよぉ」 

海未「知りません。というか、にことあんじゅが休憩入りしたばかりじゃないですか」 

穂乃果「あんじゅちゃんの美味しそうな食べっぷりはもはやテロだよ!」 

海未「大げさなことを言わないでください」 

絵里「いえ、あながち大げさでもないわ。アレはCMのスカウトがあってもおかしくないわ」 

海未「視界の端にすら入れなければどうということはありません」 

穂乃果「ということは、視界に入れると海未ちゃんでもお腹が減るってことだよね?」 

絵里「大和撫子の海未のお腹すら刺激するあんじゅの食べっぷり。流石あんじゅね」 

海未「変なことで私の名前を出さないで下さい」 

穂乃果「あのウミンディーネすらも魅了する、ニコ屋のカレー! あんじゅ感激♪」
679 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:51:21.27 ID:RQ9T3wow0
穂乃果「ミカ〜お腹が空いて力が出ないよぉ」 

ミカ「私に言われてもマッチョな虎じゃないからどうしようもないって」 

穂乃果「……ほむぅ」 

絵里「マッチョな」 
海未「虎?」 

にこ「明日は片付けで明後日は休み。頭を切り替える意味でも練習は休みにしましょうか」 

あんじゅ「じゃあさ、皆でゲームでもしようよ」 

にこ「ゲーム? カラオケ大会じゃなくて?」 

あんじゅ「皆でゲームして遊んで絆を深めるの」 

にこ「時としてゲームは友情すら壊すらしいけどね。何のゲームするの? 邪道ポーカーはなしよ」 

あんじゅ「う〜ん……信頼ゲームなんてどうかな?」 

にこ「信頼ゲーム?」 

あんじゅ「仲間の思考を読んで、更に裏を掻いたりする必要も出てきて面白いと思うよ。ルールはね、」 

にこ「待ちなさい。あんたの口から《信頼》なんて単語が出てくる時点で嫌な予感しかしないわ」
680 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:52:02.17 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「どうして? 私ってば自分で言うのもなんだけど、自分以上ににこのことを信頼してるよ★」 

にこ「その発言自体が胡散臭いわ。隙あればあんたの手の平の上で踊らされてる恐れがあるもの」 

あんじゅ「それは必要に駆られての話だよ。普段のあんじゅは〜にこのプリティな妹にこ〜」 

にこ「そもそも、あんたが考えたゲームに乗った時点で恐ろしい結果しか待ってなさそうだから却下よ!」 

あんじゅ「う〜るる〜」 

にこ「普通にゲーセンでも行けばいいじゃない。たまには無駄遣いしないとね」 

あんじゅ「自分達で作ったりするからより面白いと思うんだけどなー」 

にこ「気持ちは分からないでもないけど、あんたがあの手この手でルールの抜け道を突いてきそうだからねぇ」 

あんじゅ「ゲームで勝つのは運否天賦じゃないんだよ。ルールを熟知して、その穴を見つけた者が必然的に勝つからね」 

にこ「そういう邪道なしでやるから盛り上がるんじゃない」 

あんじゅ「ざわざわ系女子だって人気出ると思うんだけど」 

にこ「意味分かんないわよ。ほら、口周り汚れてるわよ……よしっと」 

あんじゅ「えへへ。ありがとうにこ♪」
681 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:52:47.74 ID:RQ9T3wow0
にこ「あんたは本当に悪い意味でギャップだらけよね」 

あんじゅ「にこの妹だからね!」 

にこ「なんでそこを強調すんのよ! まるでにこが駄目な子に思われちゃうでしょ!」 

あんじゅ「……もう少し勉強頑張ろうね」 

にこ「うっぐ! そ、それは反則よ。社会で必要な勉強なんて小学生までじゃない。今習ってるのを使わないし」 

あんじゅ「自分に興味ないことでもしっかりと覚えられる人間こそ社会が求める人材だよ」 

あんじゅ「忍耐力が強い人間じゃないと直ぐに辞めちゃうんじゃないかって思って採用を見送られるかもしれないし」 

あんじゅ「それに、勉強は簡単に言えば脳の容量の差は確かにあるけど、要領こそが一番必要になるからね」 

あんじゅ「そんな言い訳をするなら、にこはもうカレー屋を経営するしかないよ!」 

にこ「なんであんたはちょっと良い事言われた気がした直ぐ後に、自分でぶち壊す発言すんのよ!」 

あんじゅ「今回はふざけるつもりじゃなかったんだけど、欲望は止められなかったにこぉ」 

にこ「どんだけ私のカレー好きなのよ!」 

あんじゅ「地球サイズくらいかも。好きって凄いよね。目には見えないし形もない。でも大きさは計り知れない」 

にこ「そんな地球サイズの好きは滅んでしまえばいいニコ!」 

あんじゅ「にこパンチでも私のカレー愛は壊せないにこ!」
682 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:53:43.22 ID:RQ9T3wow0
にこ「そんな必殺技ないわよ。やるならラブにこビンタ――あっ」 

あんじゅ「」 

にこ「ごめんってば! もうしないわよ。ラブにこビンタはもう永久封印するわ!」 

あんじゅ「……うん」 

にこ「そんな怯えた顔するんじゃないわよ。明日はあんじゅの好きな物を作ってあげるから」 

あんじゅ「じゃあ、カレーがいい!!」 

にこ「どんだけ好きなのよ」 

あんじゅ「あ、そうだ! カレー屋さん特集でカレーとハンバーグと目玉焼きっていう組み合わせもあったんだよ」 

にこ「分かったよ。だからこれ以降の上乗せはないからね」 

あんじゅ「うん!」 

にこ「現金な妹ね」 

あんじゅ「そうだ、にこパンチで思ったんだけどさ」 

にこ「んー?」 

あんじゅ「にこにお髭が三本生えると猫になるんだね」 

にこ「髭が三本でねこ?」
683 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:54:28.57 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「NIKOのIにお髭三本生えてEになってNEKOになるんだよ」 

にこ「あ、確かに。これはもしや猫キャラをやれっていう天の声!?」 

あんじゅ「でも間違いなく猫が天敵の一つのうさぎだよね。天気がいいから草をはむはむするにこ〜」 

あんじゅ「この草美味しいからあんじゅにも教えてあげるにこよ! でも食べ終わったらどんな草か忘れちゃったにこ!?」 

絵里「ぷっ」 

にこ「そこっ! 何笑ってるのよ」 

絵里「今のはちょっと反則よ。頭の中で再現されちゃったもの。兎というよりうさにこって新しい生物だけど」 

あんじゅ「うさにこいいね!」 

にこ「よくないわよ!」 

穂乃果「次の衣装は決まりだね。にこちゃんはうさにこっと……忘れないようにしないと」 

にこ「忘れなさい!」 

海未「正直、うさにこを忘れろという方が難しいと思いますよ」 

にこ「……にこぉ」 

あんじゅ「にこにこっ♪」
684 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:55:14.13 ID:RQ9T3wow0
――13:25 (海未と穂乃果休憩中) 

にこ「まさか商店街の人達だけじゃなくて、わざわざ佐藤のお姉さんまで来てくれるなんて」 

絵里「あの人を見るとあの貫徹した夜を思い出すわね」 

あんじゅ「あの日は眠かったけど、わくわくしたね」 

にこ「あんたは眠気に負けて思いっきり寝てたじゃない」 

絵里「膝で眠るあんじゅを布団に移そうかと思ったら『このままでいいわ。妹が頑張ったご褒美にこ』とか言ってたわね」 

にこ「捏造されてる!? そんな甘い言葉は使ってなかったわよ」 

絵里「似たようなこと言ってたじゃない」 

あんじゅ「初耳だよ。にこってば眠ってても優しいなんて姉の鏡だね」 

にこ「別にそんなんじゃないわ。頑張った子にはきちんとご褒美あげるのが私のやり方なだけ」 

あんじゅ「えー、でも毎日ご褒美ないよ?」 

にこ「あんたのどこが毎日頑張ってるのよ! もう少し色々と頑張んなさいよ」
685 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:55:50.36 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「頑張ってるよ。明後日何をしようかなって、プランだっていくつも考えてるし」 

にこ「そういうのを頑張ってるとは言わないの。自分が楽しみたいからじゃないの」 

絵里「明後日の振り替え休日に何かするの?」 

にこ「適当に遊ぶってしかまだ考えてないけどね。絵里も空いてるなら遊ばない?」 

絵里「今のをお姉ちゃんに直して甘えるようにもう一度」 

にこ「明後日のお休みに絵里お姉ちゃんと遊びたいにこ〜♪ って、何でわざわざそんな誘い方しなきゃいけないのよ!」 

絵里「妹の誘いを断る姉なんて存在しないわ!」 

あんじゅ「海未ちゃんと穂乃果ちゃんはどうかな?」 

穂乃果「ん? カレー美味しいよ。お母さんのより美味しいかも!」 

海未「穂乃果の家のカレーも私は好きですよ。和風のカレーは食べる機会が少ないですから」 

あんじゅ「にこ!」 

にこ「分かったわよ。今度和風のカレーを作ってあげるわよ」 

あんじゅ「にこ大好き!」
686 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:56:53.52 ID:RQ9T3wow0
にこ「あんたの好き程軽い好きもそうそう存在しないわね」 

海未「にこのこのカレーも本当に美味しいです。刺激物が余り得意ではないので甘口なのも嬉しいですし」 

海未「穂乃果と違って普段から甘口しか食べれない訳ではありませんが」 

穂乃果「海未ちゃんは炭酸が苦手だもんね。って、なんでそこで穂乃果のことを出すの!?」 

海未「いえ、別に他意はありません」 

穂乃果「絶対にあるよね!」 

あんじゅ「まぁまぁ、穂乃果ちゃん落ち着いて。海未ちゃんって炭酸苦手なの?」 

海未「まったく飲めない訳でもありませんが、好んで飲みたいとは思えません。体に良いこともありませんし」 

絵里「こころちゃんとここあちゃんは好きそうよね」 

にこ「たまにしか飲ませないけどね。クリームソーダが子供だし好きみたい」 

あんじゅ「私も好きだよ。飲み物の上にアイスっていう発想が素敵だよね」 

絵里「あんじゅの感性は独特ね。で、話を戻すんだけど海未と穂乃果は明後日の休みは何か予定入ってる?」
687 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:57:30.22 ID:RQ9T3wow0
穂乃果「特に決まってないかな。でも家にいると絶対にお店を手伝わせられるから避難する予定だよ」 

海未「ということですので、午前中から穂乃果が家に来るみたいです」 

穂乃果「寧ろ前日から逃げてた方が確実かも!」 

海未「私はそれでもいいですよ」 

絵里「二人も姉妹みたいな関係よね」 

海未「私の家と穂乃果の家は本当に近いですから。穂乃果の家出コースは必然的に私の家になってました」 

穂乃果「明るい時間帯だとことりちゃんのお家に行ったりもしたけどね」 

にこ「高坂家って思ってたより複雑な関係でもあるの?」 

海未「いえ、本当に些細なことで家出するのが穂乃果だったんですよ。あんこ飽きたから家出したとか」 

絵里「ふふっ。穂乃果らしいわね」 

にこ「心配して損した」 

あんじゅ「にこってば優しい〜♪」 

穂乃果「ありがとうね、にこちゃん。最近は家出なんてしてないよ」
688 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:58:09.41 ID:RQ9T3wow0
海未「そうですね。というより、私とことりがスクールアイドルをしてて家出する隙がなかっただけでしょうが」 

穂乃果「そんなことないよ〜。ということで、明後日は海未ちゃんと遊ぶよ。UTXも振り替え休日は明後日になるのかな?」 

穂乃果「もし同じでA-RISEの練習もなければことりちゃんも一緒かも!」 

絵里「じゃあ、よかったら私達邪道シスターズも合流して遊ばない?」 

にこ「さらっとその単語を使わないで欲しいんだけど」 

あんじゅ「邪道シスターズ!」 

にこ「使うなっての!」 

穂乃果「あははっ。ことりちゃんがどうなるか分からないけど、一緒に遊ぼう。いいよね、海未ちゃん?」 

海未「ええ、断る理由はありません。何をする予定なんですか?」 

絵里「誰も案がない場合は明日の片づけしながら考えましょう。特に何かしなくても喋るだけでもいいし」 

海未「そうですね。……私は別にトランプでも構いませんよ?」 

穂乃果「穂乃果とことりちゃん相手だとほぼ負けるから、にこちゃんが居ると嬉しいんだよね」 

あんじゅ「にこってば人気だねっ」 

にこ「複雑すぎて全然嬉しくないわ!」
689 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 22:59:12.67 ID:RQ9T3wow0
――14:30 (絵里休憩中) 

ことり「穂乃果ちゃーん! 海未ちゃん! 遊びに来たよ」 

穂乃果「ことりちゃん! いらっしゃ〜い!!」 

ことり「きゃっ!」 

海未「食事してるのですから突然抱きついて埃をたててはいけません」 

穂乃果「ごめんごめん。本当に来てくれたのが嬉しくて。四時からライブなんでしょ?」 

ことり「うん。でもメールでも報せたけど、昨日のライブが良かったからツバサちゃんの許可が出たんだよ」 

海未「流石私達の誇りですね」 

穂乃果「うんうん。ことりちゃんならデザイナー兼アイドルも出来ちゃいそう」 

ことり「ことりはそんな器用じゃないから」 

「あれってA-RISEの南ことり!?」 

「そういえば聞いたことがあるわ。ことりとSMILEの海未と穂乃果は幼馴染だって」 

「私、ことりのファンでもあるからチケット取れたのが昨日だけである意味得したかも♪」 

にこ「ことり効果で穏やかになってた流れがまた盛り返すかもしれないわね」
690 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:00:04.77 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「ちょっと疲れたから穏やかなままで終わりでもよかったのに〜」 

にこ「確かに体が重いわね。それもこれもあんじゅの所為だけど」 

あんじゅ「私とにこは一進一退だからしょうがないよ」 

にこ「それを言うなら一心同体でしょ。相当疲れてるみたいね」 

あんじゅ「にこの口から一心同体なんて言われる日がくるなんて嬉しいにこっ♪」 

にこ「この私が言わせられたっていうの!?」 

あんじゅ「よしっ! にこのお陰で元気が戻ったよ」 

にこ「ぐぬぬ! 何故か負けた気分がするわ」 

穂乃果「ささ、こっちへどうぞ。特等席だよ!」 

海未「にこと同じこと言わないでください。全席特等席なんですから」 

ことり「ふふふ。あ、穂乃果ちゃん。ちょっとその制服触ってもいい?」 

穂乃果「いいよー」 

ことり「ありがとう。……生地自体は普通なんだ。でも、全然そう思えないくらい綺麗な仕上がり」 

ことり「縫い目もミシンじゃ出せない細かさ。ここなんて芸術品みたい。これってにこさんが作ったの?」
691 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:00:48.72 ID:RQ9T3wow0
穂乃果「ううん。にこちゃんのお婆ちゃんだよ」 

海未「私の両親が贔屓にしてる呉服屋の店主です」 

ことり「へぇ〜すごいなぁ。やっぱりプロの人はレベルが桁違い」 

海未「ですがことりはデザインの方がメインですから」 

ことり「でも、自分でデザインしたからには自分で作ってこそっていうプロの人もけっこう居るんだよ?」 

穂乃果「ことりちゃんはそういう譲らない頑固さが昔からあるよね。穂乃果は好きだけど」 

海未「そうですね。ことりの強さの根本の一つかもしれません」 

ことり「そういわれると恥ずかしいなぁ」 

海未「恥ずかしがることではありません。胸を張って誇るべきですといつも言ってるではないですか」 

穂乃果「そうそう。自信がついたことりちゃんは誰よりも輝くと思うよ。でも、今の王子様は穂乃果だからね!」 

ことり「はい!」 

海未「といっても、王子らしいことはまだ何もしてませんが」 

穂乃果「うっ! ……だ、だってまだ何もイベントがないっていうか、何をどうすればいいのか分からないし」 

ことり「穂乃果ちゃんは手を取って引っ張ってくれればそれだけで王子様だよ♪」 

穂乃果「なら簡単だね」
692 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:01:51.41 ID:RQ9T3wow0
海未「どうでしょうか? SMILEの中だと個性が強すぎて穂乃果すら最先端を走れてないイメージですし」 

穂乃果「はぅん」 

海未「ことりの真似をしても駄目です」 

ことり「えぇっ! 私そんな風に言うかな?」 

海未「自覚なかったのですか?」 

穂乃果「凹む時はけっこうこんな風に鳴くよ。ことりちゃん可愛い♪」 

ことり「そうなんだー。じゃあ、海未ちゃんも何か鳴いたりしないのかな?」 

海未「なっ! どうしてそこで私が出てくるんですか?」 

ことり「だってほら、穂乃果ちゃんも可愛い鳴き声持ってるし」 

穂乃果(穂乃果の鳴き声は少女漫画のほむほむちゃんの真似なんだけど、内緒にしておこう) 

絵里「にこー、エリーチカお姉ちゃんお水が欲しいわ」 

にこ「面倒な長女ね。一人で休憩が寂しいからって変な指名するんじゃないわよ」 

絵里「来年になったら一人か三人メンバーを増やしましょう。二人組で余ると可哀想だもの」 

にこ「今更何言ってるのよ。でも、メンバーを増やすのは賛成。潜在能力を秘めた子がいいわね」 

にこ「春からラブライブ予選が始まる頃までに化ければ順位上昇に繋がる筈だから」
693 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:03:03.26 ID:RQ9T3wow0
絵里「新入生がどれくらい入ってくれるかが問題ね。入学してくれる子が多ければ可能性も上がるし」 

にこ「そうね。こればかりはどれだけ音ノ木坂が魅力的に映るかに掛かってるから」 

絵里「今年も音ノ木坂体験を実行するみたいだから、去年よりも期待出来るかもしれない」 

にこ「……取らぬ狸は無に等しい。過度な期待はよしておきましょう。もしもの時が辛いもの」 

絵里「それもそうね。例え願書出す子が多くても、入学する生徒数とイコールで結べるわけでもないしね」 

にこ「海未みたいに粉掛けられる子がいればいいけど、そんな偶然は二度はないわ」 

絵里「ふふっ、それはそうよ。寧ろそんな偶然を無理やり運命にしたことこそが邪道だもの」 

絵里「生徒会が忙しくなければ私も是非参加したかった」 

にこ「物好きねぇ」 

穂乃果「それにしても今やことりちゃんのスレッド凄いよね。三日経たずに1スレッド消化されてるし」 

ことり「それは今学園祭の時期だからだよ」 

海未「いえ、その前から大体そのペースでしたよ。過剰な内容が書き込まれていることもあるので余り開きませんが」 

穂乃果「あぁ〜まぁ、ね。ことりちゃん可愛いからしょうがないよ」 

ことり「あ、はは……」 

穂乃果「ことりちゃんは自分のスレって読んだりするの?」
694 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:04:00.05 ID:RQ9T3wow0
ことり「ううん。こないだまでアンチスレは時々読んじゃったりしたんだけどね」 

ことり「昨日のライブの後に私が尊敬する先輩がね、もうそういうの見ない方がいいってアドバイスくれたの」 

ことり「もし読みたい衝動が出たなら、私が南に駄目だしメール出してあげるって」 

海未「……そんな人のどこを尊敬出来るのですか」 

穂乃果「海未ちゃんより口が悪いよ!」 

海未「ほ〜の〜か〜!」 

穂乃果「ひぃっ!」 

ことり「くすっ。口は少し悪いかもしれないし、性格もちょっと歪んでるかもしれないけど」 

ことり「でも、私にとっては尊敬してる先輩なんだぁ」 

海未「ことりは穂乃果といい、その先輩といい、変な人に惹かれるのですね」 

穂乃果「海未ちゃんだって変わってるのに」 

海未「穂乃果、何か言いましたか?」 

穂乃果「何にも言ってないよ!」 

ことり「ふふふ。勿論誰よりもことりが尊敬してるのは穂乃果ちゃんと海未ちゃんだよっ♪」
695 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:04:42.31 ID:RQ9T3wow0
――15:25 

海未「ことりは時間に間に合うでしょうか?」 

穂乃果「ついつい盛り上がっちゃって時間を忘れちゃったねぇ」 

海未「不覚でした。お客さんの対応もにこ達に任せきりでしたし」 

にこ「別にいいのよ。普通に会話してるだけでも十分アイドルの素顔っぽくて良かったもの」 

絵里「そうね。ライブやPVでは決して見れない素顔だものね」 

あんじゅ「ありのまま過ぎるくらいが丁度いいんだよ!」 

にこ「そうね。もうお客さんも少なくなってくるだろうし、今から気取ったって意味ないわ」 

海未「……そうですね。しかし、ここでは無意識に甘えている自分が居るのを痛感します」 

絵里「頼りになる姉が三人も居るからね」 

海未「いえ、姉ではなく先輩の間違いです」 

絵里「海未のガードは柔らかくなったと思っても固いわね」 

穂乃果「海未ちゃんは元々人見知りだったから」 

あんじゅ「でも確実にその距離を詰めて行ってるよね。でも、海未ちゃんがお姉ちゃんと呼ぶ未来は想像できないなー」 

穂乃果「そうだね、妹扱いを受け入れてもお姉ちゃんとは呼ばないと思うよ」
696 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:05:43.45 ID:RQ9T3wow0
海未「妹扱いも受け入れませんよ」 

あんじゅ「にこはたまにエリーちゃんをお姉ちゃんって呼ぶよね。にこにー部長はチョロイ★」 

にこ「誰がよ! 愚昧にチョロイとか言われたくないわ」 

絵里「あんじゅが居なければ絶対に使わなかった気がするけど」 

あんじゅ「つまりにこの弱点は妹である矢澤あんじゅ。証明終了――」 

穂乃果「おぉ! 何かキリッとしててカッコ良い♪」 

にこ「胃が痛むという意味では間違いなく弱点にこぉ」 

あんじゅ「にこの意地悪〜!」 

にこ「本当のことでしょ!」 

海未「ふむ。ですがにこが胃薬を服用しているところを見たことはありませんね」 

絵里「なんちゃって胃痛だからね」 

穂乃果「あれだよね、胸キュン! あれがにこちゃん胸がないから胃で感じちゃうから痛むって表現なんだよね」 

あんじゅ「斬新だね! その発想は今までなかったよ。胃キュン★」 

にこ「誰が胸がないのよ。しつれいね!」 

海未「そうです。今のは失礼です!」
697 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:06:20.71 ID:RQ9T3wow0
絵里「あっ」 
海未「なんですか今の漏れた小さな『あっ』て言葉は!」 

にこ(やっぱり海未も胸の大きさがコンプレックスなのね。私より背があるから同じくらい目立つだろうし) 

海未「あたかも私もにこ動揺に胸でなくて胃が疼くみたいな反応! 断じてそんなことはありません!!」 

海未「穂乃果っ証明してください!」 

穂乃果「えぇっ! どうやって証明するの!」 

海未「取り敢えず私の胸を疼かせてみてください!」 

穂乃果「えぇぇっ!?」 

あんじゅ(いつも巻き込む側の穂乃果ちゃんが見事に逆に巻き込まれてる。これは記念すべき大火傷させなきゃ!) 

あんじゅ「ほら、穂乃果ちゃん。大きな声で『生まれる前から愛してる』って想いを込めて告白してっ、早くするニコ!」 

穂乃果「えっ、あ、うん? 海未ちゃん! 生まれる前から愛してる!」 

花陽「〜〜〜〜っ!?」 

凛「カレー屋さんじゃなくて舞台劇だったのかにゃ?」 

海未「――」 

にこ「ニコ屋はカレー屋さんにこ♪ いらっしゃいませ。当店は看板に出てたとおり甘口専用ですがよろしいですか?」
698 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:07:08.66 ID:RQ9T3wow0
凛「うん! 甘口でもかよちんが是非食べたいって。何でもアライフの南ことりが――」 

にこ「――A-RISEにこ!」 
花陽「――A-RISEだよ!」 

凛「そうそう、A-RISEにゃ。南ことりも食べに来てたんだよね?」 

にこ「ええ、そうよ。うちのメンバーの二人が幼馴染だからね」 

花陽「そ、そうなんですか」 

凛「凛もかよちんとは幼馴染なんだよ」 

にこ「そうなの。それでは、こちらに座って待ってて。直ぐにお持ちします」 

絵里「……にこって、意外と肝が据わってるっていうか、切り替えが早いわね」 

あんじゅ「そうだね。でも、今は海未ちゃんの硬直反応が」 

海未「」 

穂乃果「海未ちゃん?」 

海未「次の深呼吸は愛してるをフレームを入れましょう」 

あんじゅ「微妙ににこっぽい言い間違いになってるよ」 

絵里「これが胃キュンの影響……。はっ、つまりにこが普段変な間違えするのは常に胃キュン状態だから?」
699 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:07:44.95 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「その新説は面白いかも☆」 

穂乃果「次の新曲は愛してるのフレーズ、だよね?」 

海未「そう言いましたが何か?」 

穂乃果「あ、うん」 

あんじゅ「海未ちゃんのリアクションは微妙だね。場の空気で勝手に乗ってくる方が面白い」 

海未「何失礼なことを言っているのですか? それよりも接待をしないといけません」 

絵里「え、接待?」 

あんじゅ「恥ずかしがり屋の海未ちゃんには穂乃果ちゃんの愛してるだけでもかなり脳を揺さ振ってるみたいだね」 

あんじゅ「元に戻ったようで全然戻ってないね。勝負の前にこれをすれば……うふふ」 

凛「なんだかよくわからないけど、凛はA-RISEよりこっちのグループの方が雰囲気好きだなー」 

花陽「すごく身近に感じられるよね。年離れた妹さんが居るからカレーが甘口限定なところが花陽はすごく好き」 

凛「なるほど。だから甘口限定なんだ。かよちんはスクールアイドルになると詳しいね」 

花陽「アイドルが好きなだけだから。SMILEは一気に上がってきたグループじゃなくて、じわじわ順位を上げてるんだよ」 

凛「へ〜」 

花陽「でも、ことりさんと幼馴染っていうのは初耳だった。もっとSMILEの情報を集めなきゃ!」
700 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:08:49.22 ID:RQ9T3wow0
凛「燃えてるかよちんも凛は好きだニャ〜」 

海未「カレーの残り具合から考えても、そろそろラストスパークしないといけませんね」 

あんじゅ「……寒いギャグを連発されてるみたいでこれは勝負に勝つためでも使わない方がいいかも」 

絵里「胃キュン恐るべしね」 

にこ「変なの見せちゃったし、職員室で渡せばクッキー貰えるチケット。良かったらどうぞにこ」 

凛「ありがとう!」 

花陽「あの、ありがとうございます。それで……そのぉ」 

にこ「何かしら?」 

花陽「ことりさんと幼馴染なのは海未さんと穂乃果さんですか? 学年も同じですし」 

にこ「ええ、そうよ。幼馴染っていうのが羨ましくなるくらい仲がいいわ。お二人さんみたいにね」 

花陽「ありがとうございます」 

凛「凛とかよちんは大の仲良しだからね! 誰にも負けないよ」 

にこ「羨ましいわ。でもま、変な姉妹が最近増えたから人生ってのは分からないけど」 

あんじゅ(にこぉ♪)
701 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:09:25.87 ID:RQ9T3wow0
――16:30 

穂乃果「ありがとうございましたーっ!」 

海未「あんなに量があったのに見事に完売ですね」 

絵里「SMILEの知名度と地域密着。そして、ずっと続けてきたあんじゅのブログと何よりもにこの腕前の成果ね」 

にこ「……ふわぁ」 

あんじゅ「はぁ〜」 

絵里「二人ともお疲れ様。学園祭終了まで一時間あるし、終了式が始まる十八時の少し前に起こすから休んできたら?」 

にこ「……ん、でもあらいものあるし」 

海未「洗い物くらい私達でやりますよ。あんじゅと違ってきちんと出来ますから」 

穂乃果「そうだよ。寝不足で怪我でもしたら大変だもん」 

絵里「余りお姉ちゃんに甘えてくれないんだから、こういう時くらい素直に甘えなさい」 

にこ「うん」
702 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:10:13.28 ID:RQ9T3wow0
あんじゅ「にこ〜」 

にこ「あんじゅ」 

あんじゅ「ねむるにこぉ」 

にこ「んー」 

海未「床に座って眠るのはお腹を冷やす……っと、もう眠ってしまいましたか」 

絵里「以前もそうだったけど、あんじゅはにこを胸に抱き寄せて眠るのね」 

穂乃果「少しでも快適に眠って欲しいって証拠だね」 

海未「そうですね。あんじゅや絵里なら枕代わりにもなりますからね」 

絵里「ど、どうしてそこで声が低くなるのかしら?」 

海未「別に、普通ですが?」 

穂乃果「遊んでないで二人が起きる前に洗い物しちゃおうよ。お鍋は重いから二人で持たないとね」 

絵里「一応安全の為にも一人はここの片付けにしましょう」
703 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:10:50.26 ID:RQ9T3wow0
海未「では私と穂乃果で洗い物をしてきましょう。まだ穂乃果は元気が余ってますから」 

穂乃果「うん! 元気が取り得だからね」 

絵里「それじゃあお願いしようかしら。何かあったらメールなり電話なりして」 

海未「分かりました。それでは、穂乃果そっちを持ってください」 

穂乃果「うん……っしょ。じゃあ、行ってくるね」 

海未「お客さんがまだ居るので、人が少ないコースを通りましょう」 

穂乃果「了解っ。いってきま〜す」 

絵里「いってらっしゃい」 

にこ「……すはー」 

あんじゅ「……すー……すー」 

絵里「ふふっ。二人共寝顔はそっくりなくらいに天使ね」 

絵里「最高の学園祭ももうすぐ終わり。二人に出会えたお陰で人生で誇れる思い出が作れた」 

絵里「そうだ。今日みたいな記念日は皆で活動日誌をつけるのもいいわね。二人が起きたら提案してみましょう」 

絵里「とにかく感謝してるわ。これからもよろしくね、私の可愛い妹たち」
704 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:11:30.07 ID:RQ9T3wow0
◆切っ掛け・真姫ダイアリー part3◆ 

続き書いておかないと忘れちゃうかもしれないから早速書くわ。 

って、この真姫ちゃんが忘れるなんてありえないけどね! 

そう、私はついにふらふらだけど自転車に乗ることに成功した。 

今は凄く後悔してるんだけど、その時は達成感の所為で冷静じゃなかったのよ。 

だから乗れるようになっただけで自転車をマスターしたとか思っちゃったわけね。 

今はもう本当に自転車マスターしたわよ。 

でも、逆に言えば勘違いのお陰で私は新しい目標を手に入れたとも言えるわ。 

南ことりにとっては不幸な出来事だっただろうけどね。 

マスターしたと思ったら川原なんて走ってるのが勿体無くなった。 

小さい子だって普通に街中を走ったりしてるじゃない? 

だから私も街中を自転車で走りたくなったの。 

思い立ったらって、私らしくもなく行動的になった理由はやはりまこちゃんの誘いへの後悔。
705 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:12:19.36 ID:RQ9T3wow0
それはだって一年でも早くマスターしてれば普通に遊びに行けただものね。 

その後悔は今も残ってるけど話を進めましょう。 

練習に熱が入りすぎてたのと、私って行事に疎いからUTX学院の学園祭二日目って知らなかったのよ。 

駅前を通って、街中を走ってたの。 

人が多かったのに皆が避けてくれたから普通に走れてるって思ったんだけど、怖くて大げさに避けてたのよね。 

今思うと顔から火が出そうだわ。 

でもね、避けようがない場合もあるわよね。 

曲がり角でこっちはスピードを下げれずに進んで、向こうも走ってたから。 

相手が南ことりでなかったら大怪我させていたかもしれないと思うとゾッとするわ。 

って、いい加減面倒だからことりって書くわ。 

ぶつかりそうな瞬間、ことりが体を逸らしてくれたお陰で直接的な接触は避けられた。 

当然無理な体勢で避けた所為でことりは倒れて、私も急ブレーキに体制を崩して倒れたわ。 

でも、ヘルメットやサポーターのお陰で怪我はなかった。 

直ぐにことりに駆け寄って痛みを覚えてたから足を見たのよ。
706 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:13:02.03 ID:RQ9T3wow0
無理な体勢で足に力を入れたから捻ったように腫れていた。 

救急車は大げさとはいえ、タクシーを呼んでパパの病院に連れて行こうとした。 

「これから大事な用事があるの。だから、病院にはいけない」 

「何を言ってるのよ!」 

あれ程大きな声で人に何かを言ったのは初めて。 

なんとしてでも病院に連れて行こうと思ったんだけどね、頑固過ぎて私が根負けした。 

自転車を止めて、ことりに肩を貸してUTXまで連れて行ったの。 

その最中に何度も謝ったけど、自分の方が悪いと言って受け入れてくれなくて、どれだけの頑固者なのよ! 

それどころか「私の方が走ってたから」って謝ってくるんだもの。 

ある意味罪悪感を責められてるみたいで胸が痛んだわ。 

自分のことよりこけた私の心配してくるし、ことりの人の良さを心身ともに痛いくらい伝わってきた。 

UTX前に行くとお祭り騒ぎで驚いた。 

「名前、教えなさいよ」
707 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:13:41.29 ID:RQ9T3wow0
「私は南ことり。あなたは?」 

「真姫。西木野真姫」 

別れる時に自己紹介っていうのもなんだか妙な気持ちだけどね。 

でも、私は相手の名前を知りたかったし、自分の苗字を教えたかった。 

「西木野病院の娘。私が原因だから用事ってのを終わったら絶対に西木野病院に着なさい」 

「私が連絡入れておくし、治療費とかは全部こっちで持つから絶対よ!」 

「そんなっ!」 

何か言ってたけど、全部聞き流してそこで別れた。 

病院の娘っていうのは本当は誰かに言うのは好きじゃなかったんだけど、今回ばかりは感謝した。 

でもね……病院にも連絡を入れて、私も自転車で病院に行って来るのを待ってたのよ。 

なのにことりのやつってばこなかったの! 

この真姫ちゃんが夜まで待ってたのに来なかったのよ! 

これは私への挑戦だと受け取ったわ。 

それで、家に帰ってからUTX学院のホームページを見たらそこで再会したわ。
708 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:14:22.69 ID:RQ9T3wow0
UTX学院の注目のスクールアイドルA-RISE。 

そのメンバーの一人が南ことり。 

勿論、こんな一方的な再会なんかじゃ許さないわ。 

だから、この時決めたの。 

学院の内容も芸能科があるから、普通科でも音楽関係の授業にも力入れてるみたいだし。 

私がお医者さんになるのは決まってるとしても、その前にことりに借りを返さないと気が済まない! 

悔しさから生まれた新しい目標。 

翌日からも自転車の練習をよりしたわ。 

だからマスター出来た。 

これが私がUTX学院を目指すことになる切っ掛け。 

といっても、絶対に未来の私もこの日のことを忘れるとは思えないんだけど。 

念には念を入れるというより、ことりと再会する日を日記にも刻んでおきたかったのが本当のところ。 

次はまこちゃんと友達になれたことでも書きましょう。 

未来の私はもう再会してるのかしら? 

楽しみだわ!
709 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:15:07.40 ID:RQ9T3wow0
◆反省◆ 

ツバサ「で、私と英玲奈に言うべき言葉は分かる?」 

ことり「ごめんなさい」 

英玲奈「正解とは言えないな」 

ツバサ「はぁ〜。ファーストライブの時の言葉を間違えたのかしらね」 

英玲奈「ライブ中に倒れさえしなければ無理を押してもいい。あれはそういう意味ではない」 

ツバサ「無理を押してライブに出て踊れない体になったらどうするの!」 

ことり「ごめんなさい」 

ツバサ「ことりさんの体はもう一人の者じゃないの。最悪歩けなくなったら将来どうするつもりなの」 

ことり「大げさだよ」 

英玲奈「大げさではない。こんな腫れた状態でライブをしていたら、そうなってもおかしくなかった」 

ツバサ「今回は運が良かったけど、次はないわよ? 今度こんな無理したらメンバーから外すわ」
710 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:15:45.28 ID:RQ9T3wow0
ことり「そんなぁ!」 

英玲奈「その反応はまた無理をする可能性があるということだろうか?」 

ことり「ちっ、違うけど……でも」 

ツバサ「こういう言い方したくないけど、ことりさんはあくまで芸能科じゃないの。被服科の特待生」 

ツバサ「優先すべきはそっちなのよ。私達の我がままでA-RISEに入ってもらっただけで」 

英玲奈「妹と同じように思っているが、だからこそA-RISE入りさせるんじゃなかったと少し後悔している」 

ことり「……」 

英玲奈「頼むから私に完全な後悔をさせないで欲しい」 

ことり「本当にごめんなさい」 

ツバサ「ことりさんにとって私と英玲奈はメンバーとして信頼もされてないってことよね」 

ことり「違う! 違います!」 

ツバサ「だってそうでしょ?」
711 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:16:25.80 ID:RQ9T3wow0
ことり「本当に違います」 

ツバサ「だったらどうして言わなかったの?」 

ことり「……言ったらライブを中止にすると思って」 

ツバサ「当然でしょ。スクールアイドルはファンが大切よ。だからこそ、よりメンバーが大切なの」 

ことり「……」 

ツバサ「もう、お願いだから本当に無茶しないでね?」 

ことり「ごめんなさい」 

ツバサ「ううん、私の方こそ強く言いすぎたわ。ごめんなさい」 

英玲奈「それ程ことりはA-RISEになくてはならないメンバーということだ」 

ことり「うん、ありがとう。今度からきちんと話すね」 

ツバサ「そうして頂戴。よし、後は先生が来るのを待つだけね。早く病院に連れていきたいわ」
712 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:17:09.36 ID:RQ9T3wow0
英玲奈「通ってる病院とかあるか?」 

ことり「ううん」 

ツバサ「だったらこういう怪我は南條病院ね」 

英玲奈「今月はウィークデイライブがないのだから、安静にすること」 

ことり「はぁい」 

ツバサ「ことりさんは見た目とは裏腹に爆弾みたいで心臓に悪いわ」 

英玲奈「刺激があるという意味では面白い」 

ことり「爆弾じゃないよぉ」 

ツバサ「そうなってくれることを祈るわ。あ、先生が来たみたいね」 

ことり(西木野真姫ちゃんには悪いけど、真姫ちゃんの所為じゃないから西木野病院じゃない方がいいと思うから) 

ことり(もしまたどこかで会うことがあったら、その時は謝ろう) 


ネクストストーリー……ハッピーハロウィン+a
713 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/09(金) 23:17:46.72 ID:RQ9T3wow0
大変遅くなりました。新年初更新ということでお年玉(?)企画! 
《直下1、2》で出たキャラクターメインで秋か冬の小話を書こうと思います。 

一人の場合なら出てきたキャラ(リボン先輩でもおじさん等)誰でもOK。 
二人〜三人選択なら不自然にならない『にこあん』『ことほのうみ』『A-RISE』『邪道シスターズ』みたいな感じで。 
複数の場合は『のみ』を入れるとそのメンバーだけしか出てこない小話になります。 
小話の希望があれば秋〜冬に相応しい単語を入れておくとその話になるかも……? 

※例 
◆単キャラ◆ 
かしこい・かわいい・かっこいいツバサ! = ツバサがメインのお話。 

◆複数キャラ◆ 
にこあん = にこあんメインのお話。 
邪道シスターズのみ = えりにこあんしか出てこないお話。 

◆+単語◆ 
○にこあんで《雪合戦》 = にことあんじゅメインで雪合戦!○ 

にこ「私のチームは絵里と穂乃果ね。機動力抜群だし、これは貰ったわ」 
絵里「単純な遊びである雪合戦だとあんじゅの策も入りようがないものね」 
穂乃果「雪合戦なんて懐かしいなー。海未ちゃんは強敵かも」 

あんじゅ「にこチームに負けないよ。我に策あり、故に勝利あり!」 
亜里沙「ロシアで雪合戦なんてなかったから楽しみ!」 
海未「雪合戦にまで邪道なんて要りません。今回は亜里沙を楽しませるのを目的にしましょう」 

◎にこあんのみで《雪合戦》 = にことあんじゅ二人だけの仁義なき戦い!◎ 

あんじゅ「にこを倒せって胸の傷が痛むニコ!」 
にこ「敗者の言葉なんて聞く耳を持たないわ。雪だるまの糧になるにこ!」 
あんじゅ「に〜こ〜!」 
にこ「あんじゅ〜!」 
あんじゅ「……にこの名前って可愛いからに〜こ〜って叫ぶと鳴いてるみたいで迫力なくすよね」 
にこ「ふっふーん! 世界一可愛い名前だから仕方ないわ」 
あんじゅ「うふふ、隙あり!」 
にこ「にこっ!?」 

安価↓1、2(キャラ名のない場合は安価下で拾うのもありだし、この企画はなかったことにしてもOK!)
714 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/09(金) 23:29:48.74 ID:NYCIBq3AO
最近影が薄いっぽいので希 
と誰か(誰でもいいので絡ませたら面白い話作れそうな人)
715 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[] 2015/01/09(金) 23:36:40.46 ID:i3O/9HEt0
うみえり
716 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/20(火) 10:39:35.68 ID:hTf8a8sl0
まだかな
717 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/21(水) 14:15:50.45 ID:1wHw80FQO
おいついた 
このままだと来年の合同文化祭はしこりが残りそうやな 
主にUTX側のぼやきのせいで
718 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/01/27(火) 13:02:25.14 ID:KjTXHxjX0
――ハロウィン当日 イベント待機室 

あんじゅ「に〜こ。恐怖を感じないとあの世に連れていくわよ?」 

にこ「うわっ! な、何よその顔!?」 

あんじゅ「この火傷跡は生前の残り。クリスマスの夜、とある男に油を掛けられ火を放たれて亡くなったの」 

あんじゅ「ハロウィンに相応しい亡霊。紅蓮女」 

にこ「何かの漫画?」 

あんじゅ「小説だよ。にこみたいな女性主人公が恐人という名の亡霊から望霊に生まれ変わる最高の物語!」 

にこ「にこみたいな? どんな素敵な主人公なのよ」 

あんじゅ「人間の友達が居なくて、小学生の教師なんだけど生徒を殴って失業しちゃうくらい素敵な女性だよ」 

にこ「どこが素敵よ! どうして私みたいなのよ!」 

あんじゅ「にこって私が放っておくと学校だと一人になってそうだし?」 

にこ「私の人脈舐めるんじゃないわ!」 

あんじゅ「ぺろぺろ♪」
719 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:02:59.49 ID:KjTXHxjX0
にこ「擬音で舐めてるんじゃないニコ!」 

あんじゅ「にこにこにー♪」 

にこ「ぐぬぬ!」 

あんじゅ「ちなみにフェレットが相棒なんだよ。ね、コタロー?」 

にこ「誰が小太郎よ! てか、そんなメイクしてたら子供が怯えるでしょ」 

あんじゅ「最近の子はこれくらいじゃ怯えないよ。でも、恐人としては驚かせた方がいいのかな?」 

にこ「くだらないことばっかしてるんじゃないわ。そもそも、誰がそんなメイクしたのよ」 

あんじゅ「佐藤のお姉さんのお友達。わざわざメイク道具持ってきてくれたんだよ」 

にこ「才能の無駄遣いって感じね。いや、大学生だから練習出来る機会があるのは喜ぶべきなのかしら?」 

あんじゅ「そうそう。だからウィンウィンな関係なんだよ☆」 

にこ「ハロウィンって亡霊とかありなんだっけ?」 

あんじゅ「ハロウィンのカボチャで有名なジャック・オ・ランタンも幽霊だよ」 

にこ「あのカボチャにそんなカッコいい名前があったのね」
720 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:03:36.98 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「確か悪戯小僧だった所為で、天国にも地獄にも行けずにカボチャのランタンを持って今も狭間を彷徨ってるんだよ」 

にこ「意外とディープな話ね」 

あんじゅ「ハロウィンの日は皆に混じって現世に現れてるかもしれないって話なんだー」 

にこ「織姫と彦星のぼっちヴァージョンね」 

あんじゅ「にこは安心してね。地獄に行きそうでも、私が天国まで連れてってあげるから★」 

にこ「死後まであんたに取り憑かれたくないわ」 

あんじゅ「それじゃあツンデレにお答えして来世も一緒にいようね!」 

にこ「せめて今度は胃に強い子に産んでってママにお願いするわよ」 

あんじゅ「うふふ」 

にこ「今思い出したけど、あんじゅはハロウィンに相応しい魔女コスがあったじゃないの。どうして着ないの?」 

あんじゅ「アイドルだもん。同じ衣装を二度着るのは抵抗あるの」 

にこ「抵抗って、あれは音ノ木坂のイベントだからほとんど身内にしか見せてないでしょうが」 

あんじゅ「そういう手抜きな考えをしていくと堕落アイドルになっちゃうよ?」
721 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:04:07.16 ID:KjTXHxjX0
にこ「あんたに堕落の烙印を押されたら私は日本を出ていくわ!」 

あんじゅ「どこに行こうか? ニュージーランドとかいいかも」 

にこ「……どんだけシスコンよ」 

あんじゅ「エリーちゃんと並ぶくらいかも」 

にこ「重症ね」 

あんじゅ「シスコンは一生付き合っていく病気だからね。にこは素直に諦めようよ。諦め系アイドルNIKO」 

にこ「なんでもアイドル付ければいいってもんじゃないわ!」 

穂乃果「二人はいつも漫才してるよね」 

にこ「よかった。穂乃果はオーソドックスの魔女スタイルね」 

あんじゅ「黒い三角帽子と同じく黒いマント。穂乃果ちゃん可愛いよ」 

穂乃果「えへへ! でも、これって去年から採用した穂むらのハロウィンスタイルなんだよね」 

にこ「ハロウィンスタイル?」 

穂乃果「ハロウィンは西洋の文化だけど、使える行事は使わないとね。だから和菓子だけどハロウィン風の作ってるんだ」
722 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:04:40.04 ID:KjTXHxjX0
にこ「そうなの? だったら穂乃果だけでも最後の出番だけにすればよかったかしら」 

あんじゅ「ローテーション組んでお手伝いにいけばよかったかな?」 

穂乃果「ううん、大丈夫だよ。ライブがあるのは事前に知らせてたから、今日は臨時のバイトを雇ってあるから」 

あんじゅ「ねぇねぇ、あんじゅお饅頭が食べたいにこ〜」 

にこ「そうね。帰りに買って帰りましょうか。こんな機会じゃないと余り買えないしね」 

穂乃果「二人共大丈夫だよ。穂むらの経営は常に黒字営業だし、時には箱詰めとかも手伝うくらいなんだから」 

にこ「挨拶するついでの買い物だから変な勘繰りするんじゃないわ」 

あんじゅ「そうだよ。メインは挨拶だから!」 

穂乃果「嘘だよ〜。だってあんじゅちゃんがさっき自分でお饅頭食べたいって言ってたもん」 

あんじゅ「その前の《ねぇねぇ》の部分に姉妹だと通じる挨拶するって意味を込めてたの」 

にこ「ああ、うんの呼吸ってやつね」 

あんじゅ(今あが一つ多かった気がするけど、今回は見逃してあげようかな) 

穂乃果「だったらたっぷりサービスするよ。こころちゃんとここあちゃんにも食べて欲しいから」
723 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:05:12.08 ID:KjTXHxjX0
にこ「いいわよ。そういうのは常連さんにしてあげなさい」 

あんじゅ「にこってばお姉さんみたい!」 

にこ「ふっふーん! お姉さんだもの」 

穂乃果「お母さんが常連さんとお世話になってる人にはサービスの心を忘れるなって言われてるから遠慮しないで」 

あんじゅ「穂乃果ちゃんってばお店の娘さんみたい」 

穂乃果「お店の娘さんだからね!」 

にこ「じゃあ、今回だけは甘えるわ。次からはそういうのいいからね?」 

穂乃果「にこちゃんが頼りにならない先輩になれたらサービスしないよ」 

あんじゅ「じゃあ次もサービスされちゃうね」 

穂乃果「うんうん。だから遠慮せずに一杯きてね」 

にこ「そんなこと言われたら遠慮するにこよ」 

穂乃果「じゃあさ、海未ちゃんみたいにたまにお店手伝ってよ。そうすれば遠慮しなくていいでしょ?」 

にこ「そうね。このお馬鹿にも人生経験積ませるのには持って来いでこっちからお願いしたいわ」
724 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:05:54.90 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「ニコ屋で経験積んだからバッチリだけど楽しそうだからしてみたい!」 

穂乃果「本当? 冗談のつもりだったんだけど、本当に手伝ってもらえると普通に助かるよ」 

にこ「任せなさい。それからさ、今度からはきちんと忙しい時期は先に言いなさいよ。練習軽くしてお店を手伝うから」 

穂乃果「うん、ありがとう!」 

あんじゅ「……ねぇねぇ」 

にこ「何よ?」 

あんじゅ「穂乃果ちゃんに優しくしたから次はあんじゅに優しくするにこ〜」 

にこ「ちょっと! そのメイクのまま顔を近づけるんじゃないわよ」 

あんじゅ「私、綺麗?」 

にこ「それって口裂け女でしょ?」 

あんじゅ「紅蓮女と口裂け女はきっても切れない関係なんだよ」 

穂乃果「ぐれんおんな?」 

にこ「愚昧の今のメイクのキャラクターだって。穂乃果ってば肝が据わってるわね、この顔怖くないの?」
725 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:06:24.84 ID:KjTXHxjX0
穂乃果「うーん……海未ちゃんの寝ている時に無理やり起こした時の方がよっぽど怖いから」 

海未「誰が怖いですか?」 

穂乃果「うわぁぁっ!」 

あんじゅ「あっ、貞子だ!」 

にこ「ハロウィンって仮装もありだったわね。でも、なんか違う気がする」 

絵里「向こうだと吸血鬼とか狼男とか魔女がメインだものね」 

穂乃果「ビックリした。海未ちゃんって人を驚かせる才能があるよね」 

海未「全く嬉しくありません!」 

あんじゅ「ぐぬぬ! 恐人としてのプライドが傷ついたにこぉ」 

にこ「海未がそんなコスプレするなんて珍しいわね」 

絵里「私との勝負に負けた罰ゲームなのよ」 

あんじゅ「何で勝負したの?」 

絵里「邪道ポーカー。今度はあんじゅにリベンジするわ」
726 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:07:06.89 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「受けて立つよ!」 

穂乃果「海未ちゃんはカードゲーム弱いんだから、賭け事で戦っちゃ絶対に駄目だよ」 

あんじゅ「それは確かに言えるかも。前の時も顔に出てたし」 

絵里「ポーカーフェイスを出来るようになればいい勝負が出来るようになるわ」 

海未「」 

にこ「そんなこと言うんじゃないわよ。前にやった時は負けて泣くくらい情熱があったんだもの、挑戦したくなるのは仕方ないわ」 

にこ「結果としてこうしてコスプレさせられたのかもしれない。でも、私は海未のその心意気を買うわ」 

にこ「チャレンジせずに諦めるのが一番愚かしいことだものね。この思い出だって挑戦しなければ生まれなかった」 

にこ「後悔と一緒の思い出は色あせずにずっと残る。恥ずかしさを伴ったとしても、いつか笑い話に出来るわ」 

海未「にこっ!」 

にこ「っ!?」 

海未「感動しました! 私の気持ちを汲んでくれるのはにこだけです!」 

にこ「く、くるしっ」
727 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:07:38.47 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「にこが貞子に呪われてる。井戸に道連れにされちゃう」 

穂乃果「さすがに井戸は見かけないけどね」 

絵里「実物の井戸を是非一度は見てみたいわ」 

海未「私は初めてにこを姉と呼ぶ決意をしました。にこ姉さん!」 

にこ「そんなこと私は望んでないから! 取り敢えず、力を緩めなさいよ」 

絵里「……そんな、どうして私より先ににこを姉と認めるの」 

穂乃果「絵里ちゃんが変なところでショック受けて膝着いてるねぇ」 

あんじゅ「今回はしょうがないよ。にこって落ち込んだ時のお姉ちゃんオーラは最強だから」 

穂乃果「あの海未ちゃんがあんな風になるくらいだもんね。でも、理由が間が抜けてるけど」 

あんじゅ「人にとって些細なことでも、本人にとっては重大なことって往々にしてあるものだから」 

絵里「あの時負けていればよかったのかしら」 

穂乃果「海未ちゃんは顔に出るけど、勘は鋭いから。わざと負けたりしたら怒ると思う」 

絵里「……そう、そうよね」 

海未「こんなにも小さいのに、にこの心は青空のように広いのですね!」 

にこ「なんでもいいから、ちからぬいて」
728 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:08:11.34 ID:KjTXHxjX0
海未「思い返せばにこは元々あんじゅの手の平で踊らされていただけで、邪道というには随分と可愛らしかったです」 

海未「それなのに私は去年の今日を迎えるまで意地になって……自分が情けないです!」 

あんじゅ「穂乃果ちゃん。本当に海未ちゃんって勘がいいの?」 

穂乃果「たまーに抜けてる部分が海未ちゃんの魅力なんだよ。そういうところをことりちゃんとからかうと可愛い反応するんだー」 

あんじゅ「分かる! にこは逆に真面目な部分をからかうと可愛い反応して『にこにこっ!』って言うの」 

穂乃果「あははっ」 

絵里「……勝てば官軍なんて言ったの誰よ」 

海未「思えばにこは穂乃果を立ち直らせてくれただけじゃなく、私に本来ならありえない経験も積ませてくれて――」 

にこ「」 

海未「――日舞の時に万が一にも緊張することがない精神を鍛えさせてくれた。青春時代の財産になります」 

あんじゅ「あっ、そろそろ救出しないと本当にあっちの世界に連れて行かれちゃう」 

穂乃果「あっ、本当だ。海未ちゃん! 落ち着いてよ」 

海未「なんですか穂乃果? 今私はにこに感動を伝えているところなんです」 

穂乃果「そのにこちゃんが大変なことになってるから!」
729 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:08:51.52 ID:KjTXHxjX0
――十分後... 

にこ「エライ目に遭ったわ」 

海未「申し訳ありません」 

穂乃果「いやぁ〜面白いものを見れたよ」 

あんじゅ「にこ姉さん!」 

海未「……うぅ。忘れてください」 

絵里「どうして私じゃないのかしら?」 

穂乃果「海未ちゃんのカード弱さを緩和できるのはにこちゃんだけだからじゃないかな?」 

にこ「ちょっと! それって私がカードゲーム弱いみたいに聞こえるじゃない」 

あんじゅ「ここぞという勝負場以外だとにこはカードゲーム以外でも弱いよね」 

にこ「失礼ね!」 

穂乃果「でも逆に言えば普段は負けてるからこそ、応援したくなる気持ちも生まれるんだよね」 

あんじゅ「完璧な強さを絵里ちゃんとするなら、雑草根性で勝ち上がる泥まみれヒロインがにこだよね」
730 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:09:22.16 ID:KjTXHxjX0
穂乃果「だからこそ、本当に落ち込んだりした時に頼ろうと思ったらにこちゃんを頼っちゃうかも」 

絵里「……私、長女なのに」 

海未「実際、私もにこを頼りましたからね。カリスマとは違いますが、根っこの部分で信を置ける存在です」 

にこ「褒められてんのか貶されてんのか分かんないわ」 

海未「褒めているのですよ。こうして皆がにこに集まるのはにこの魅力なのですから」 

絵里「海未、私にはどんな魅力が――」 
穂乃果「――やめて絵里ちゃん! その質問は傷口を広げかねないよ」 

海未「それに今回は特別ゲストまで来ますし」 

にこ「特別ゲスト? 何よそれ、私聞いてないんだけど」 

あんじゅ「にこには秘密で進めたからね。というか、ゲストからの要望なんだけど」 

にこ「ハァ?」 

海未「後で分かりますよ。それより、にこと絵里は仮装しないのですか?」 

にこ「白い布でも被ってお化けにでもなるわ」 

あんじゅ「こんなこともあろうかと、ミカちゃん達に協力してもらって魔女コスを用意しておいたよ!」
731 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:09:57.35 ID:KjTXHxjX0
にこ「相変わらずの他力本願っぷりね」 

海未「あんじゅはにこの魅力をいい意味で吸収し、自分の魅力にしている証拠です」 

あんじゅ「ふっふーん! あん姉さんって呼んでもいいんだよ♪」 

海未「安売り出来る性格ではないので、今回はにこだけにしておきます」 

あんじゅ「……エリーお姉ちゃんじゃないけど、なんか悔しい」 

にこ「望む所に来ずに望んでない所に来るって人生っていうのは難しいものね」 

絵里「持つ者の余裕ってやつ!?」 

穂乃果「いつになく絵里ちゃんが熱い。本当に妹関係になるとキャラが変わるね」 

絵里「海未、よく考えましょう。にこが姉ならにこの姉である私は必然的に姉になるわ!」 

海未「それが通用するのは戸籍上関係がある場合だけです。この関係は心のあり方が重要になりますからね」 

絵里「言い返せないわ」 

にこ「というか、普通に考えて自分の一周年記念に駄々捏ねるやつを姉とは認めたくないでしょ?」 

あんじゅ「今日は珍しく正論が多いね」
732 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:10:56.42 ID:KjTXHxjX0
にこ「海未の記念すべき日だもの。あんな手で入らせた罪悪感があるのよ」 

あんじゅ「今日のにこは《キレイなにこ》なんだね」 

海未「ふふふ。今ではにこのお眼鏡に掛かったことを誇りに思えています。だから気にしないで下さい」 

にこ「でも当時中学生の海未を高校生二人があんな手を使ったのがね」 

海未「柄にないことを言いますが……運命、だったんだと思います。だからにこは邪道を突き進んで下さい」 

海未「私じゃ出来ない、想像もつかない道を一緒に歩みたいんです。私達は同じメンバーですから」 

にこ「……海未」 

海未「私が血の繋がりがないのに姉と認めた唯一の人物です。自信を持ってください」 

あんじゅ「今回の切っ掛けもしょうもないけど、いい話に聞こえる不思議」 

絵里「私はにこの噛ませ犬ね」 

あんじゅ「私はエリーちゃんをお姉ちゃんと思ってるよ☆」 

絵里「あんじゅはいい子ね」 

穂乃果「よく考えると私だけ誰の妹でもないんだよねー」 

海未「何を甘えたことを言ってるのですか。穂乃果は私とことりの王子様なのでしょう?」
733 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:11:33.82 ID:KjTXHxjX0
穂乃果「えぇっ!? 王子様って誰かを姉にしちゃいけないの?」 

海未「当然です。ですから絵里、穂乃果に何かをしたら許しませんからね」 

絵里「どうして私の好感度が明らかに下り坂に入ってるの?」 

にこ「そりゃ、有利な勝負挑んで勝ってればね。しかも、貞子のコスって救いがないわ」 

あんじゅ「私と同じ紅蓮女だったら救いがあったのにね!」 

にこ「同じよ! 知名度的に圧倒的貞子の勝ちだし」 

あんじゅ「A-RISEとμ'sのような感じかな?」 

にこ「上手い返しするじゃない」 

海未「でしたら気持ちでまず勝てると思わなければいけませんね。紅蓮女というのは分かりませんが」 

絵里「そうね。ラブライブを目指す以上A-RISEに勝つ気概でいないと。紅蓮女は知らないけど」 

穂乃果「そうだね! ことりちゃんが居るからって遠慮はしないで頑張ろう! ぐれんさんは知らないけど」 

あんじゅ「う〜るる〜。いい事言ったのに酷い仕打ちにあんじゅ涙」 

にこ「よしよし。にこが今度読んであげるから泣き止みなさい」 

あんじゅ「にこにー大好き! 流石私の自慢のお姉ちゃん!」
734 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:12:21.36 ID:KjTXHxjX0
にこ「さて、漫才はこれくらいにするわ。これからの予定をきちんと確認しましょう」 

絵里「ええ、そうね。まずは最初は小学生中学年までの小さい子組と一緒に踊るわ」 

にこ「今回は正式なライブではないから、もし小さい子が転んだりしたら近くに居るメンバーが助けてあげてね」 

穂乃果「了解だよ!」 

海未「任せて下さい」 

にこ「あくまでハロウィンを楽しみながらライブを体験するのが目的だからね!」 

絵里「商店街の活性化祈願も忘れちゃ駄目よ?」 

あんじゅ「勿論! 今度商店街ソングでも作って恩返ししたいね」 

海未「面白い発想ですね。スーパーで流れている感じの曲にすればいいのでしょうか?」 

穂乃果「教育番組の『ママと一緒に』のような童謡系の曲でもいいかもね」 

にこ「とってもいい案だわ。もしかすると商店街のどこかの店で日々使ってくれるかもしれないし」 

にこ「ママと一緒に買い物に来る子が増えれば必然的に将来もここに通ってくれるかもしれないからね」 

絵里「大人になってもSMILEの曲を使ってるお店があったら最高の宝物ね」
735 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:12:51.59 ID:KjTXHxjX0
海未「少し恥ずかしくもありますが」 

穂乃果「でも最高かも。うちも和菓子屋じゃなくて洋菓子屋なら店内に流しても違和感ないんだろうけどなー」 

にこ「メンバーの家のお店でSMILEの曲を使うのは普通にゴリ押しになるから、そうだったとしても止めるわ」 

あんじゅ「でも人気が出ればゴリ押しじゃなくて流行になるから良いと思うけど」 

にこ「まぁ、確かに。昔もTV番組から発生したアイドルグループが何枚売れたらデビューっていうのがあったわね」 

にこ「かなりの枚数を身内が買ってデビューして今もそのグループは代を変えて残ってるわ」 

穂乃果「つまりこれは和菓子屋でも使えるような和風っぽい曲にすれば穂むらでも流せるってことだね」 

海未「家が家ですから、私も和風の曲というのは興味がありましたから作ってみましょう」 

にこ「う〜ん、まぁ……海未が乗り気なら止めないけど。あんじゅは作曲出来そう?」 

あんじゅ「うーん、少し難しいかもだけど。でも、私はけっこう万能だから任せて!」 

にこ「果てしなく不安でしかないけど、試作って形で進めてみましょう」 

あんじゅ「どうして海未ちゃんの時と反応が違うの!?」 

にこ「胸に手を当てて答えを探してみなさい」 

あんじゅ「分かった。……ペタペタ。71!」
736 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:13:25.43 ID:KjTXHxjX0
にこ「誰がにこの胸に手を当てろって言ったのよ! しっ、しかもにこは74だし!」 

穂乃果「えっ? だって海未ちゃんが今74だよね?」 

海未「そうですね。でも、最近少しまた大きくなった気もするので75かもしれませんが」 

絵里「……にこ。そんなところで無駄に背伸びしなくてもいいのよ」 

にこ「その同情した目で私を見るんじゃないわよ! アイドルしかり、グラドルしかり3サイズの改変は当たり前なの!」 

あんじゅ「大丈夫だよ。ママはスタイルいいし、にこだって…………こころちゃんとこころちゃんは大丈夫だよ★」 

にこ「私の将来はこのままって言いたいわけ!?」 

絵里「可愛いからいいじゃない。なんか三十歳でも四十歳でもいつまでも若々しくあれそうで羨ましいわ」 

穂乃果「そうだね。穂乃果はお母さんみたいに将来はお腹が弛まないように気をつけなきゃ。よし、ダイエットだ!」 

海未「ほぅ。本気で言っているのなら私が特別メニューを組んであげますよ?」 

穂乃果「ひぃっ! 自分一人で頑張れないダイエットなんて意味がないよ。肝心なのは己の欲に勝てるかどうかだから」 

穂乃果「ここで海未ちゃんの手を借りて痩せても、将来太った時に頑張れないからね」 

海未「カッコいいこと言って逃げてますが、将来も一緒にいるんですから大丈夫ですよ」
737 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:13:58.95 ID:KjTXHxjX0
穂乃果「……幼馴染って時に足かせになるよね」 

絵里「贅沢なこと言わないの。私なんてロシアに長く居たからこの地に幼馴染なんて居ないんだから」 

あんじゅ「私も当然居ないよ。にこにはその質問しないでね? 傷口が開くから」 

にこ「なんでぼっちキャラを印象付けたいのよ!」 

あんじゅ「バザーでちっちゃくライブしたのが懐かしいね」 

にこ「無駄に回想シーン入れて私が居るよアピールしようとするんじゃないニコ!」 

あんじゅ「大事なのは過去以上に現在。そして、未来にこっ♪」 

絵里「本当にこの二人の出逢いが知りたいわ」 

海未「そうですね。拾ったとだけしか言わず、語ろうとしませんからね」 

穂乃果「もしかしてこの後、ラブライブ出場前に何かトラブルが遭って、そこで初めて語られるんじゃない?」 

海未「なんですか、そのドラマみたいな展開は……」 

絵里「そうなるとあんじゅかにこが突然アイドルを辞めるとか言い出すのかしらね?」 

海未「不吉過ぎます。古来より言霊という物があって、言うと実現してしまう可能性があるのですよ」 

穂乃果「現代訳だとフラグだね!」
738 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:14:29.37 ID:KjTXHxjX0
絵里「にこがいつも立ててるやつね。それでもめげずに失敗フラグを立てるにこは本当に可愛い妹だわ」 

海未「最近では皆を和ませる為にわざとしている気すらします」 

穂乃果「もしそうだったら昼アンコウだね」 

海未「それを言うなら昼行灯ですよ。もしそうだったらそれこそドラマの主人公です」 

穂乃果「芸人が主人公のドラマって視聴率取れるのかな?」 

にこ「ちょっと! 何でにこが芸人なのよ!」 

あんじゅ「これ以上ないくらいしっくりくるよね」 

絵里「有名大学出身の芸人だって多いし、元スクールアイドルの芸人がいてもいいと思うけど」 

海未「ライブで笑顔と元気を与えるのも、芸で笑顔と元気を与えるのも根本は同じではないですか」 

にこ「家元の娘がその台詞を言うとお母さんが泣くわよ」 

穂乃果「大丈夫だよ。海未ちゃんのお母さんはね、少し天然入ってるから」 

海未「穂乃果に言われるのもなんですが、その通りです。しかも穂乃果には甘いですし」 

海未「ですが、そんな母だからこそスクールアイドルをすることも認めてもらえたのですが」
739 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:14:59.94 ID:KjTXHxjX0
絵里「本当に運命を感じちゃうわね。来年度はどんな子が入ってくれるのかしら?」 

穂乃果「元気な子がいいな♪」 

海未「常識を持っている子であれば他に言うことはありません」 

あんじゅ「にこの胸にダメージがない子がいいかも」 

にこ「胸は関係ないでしょ!」 

絵里「つまり、入ってくれさえすれば大歓迎ってことね」 

にこ「綺麗に纏めてるけどね、実際に新入生が入ってくれるかどうかは分からないんだから」 

にこ「もし入ってこなくても落ち込むんじゃないわよ。そうなったら……ラブライブ出場も少し危なくなる」 

にこ「その時は何か手を考えるけど、覚悟はしておいてね」 

あんじゅ「そうだ、私新しいゲームを考えたんだ☆」 

にこ「なんでいつもいつも人が真面目になるとその空気をぶち壊すのよ、あんたは!」 

あんじゅ「これなら海未ちゃんでも絵里ちゃんと対等に戦えるかもしれないカードゲーム」 

にこ「って、スルー!?」
740 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:15:38.02 ID:KjTXHxjX0
海未「それで、そのゲームとはどんな内容なのですか?」 

穂乃果「あははっ。にこちゃんにはそういう顔の方が似合ってるよ。心配するより笑顔でいよう」 

絵里「そうね。今回はあんじゅの気遣いに甘えておきましょう」 

穂乃果「海未ちゃんは気遣いじゃなくて、本気でそのゲームを知りたがってるみたいだけど」 

にこ「海未の中では『義姉<カードゲーム』なのね。仕方ない気もするけど」 

穂乃果「ファイトだよ!」 

絵里「私も気になるわね」 

あんじゅ「既存のゲームでEカードってあるんだけど、そっちだと戦略が難しすぎて海未ちゃんには向かない」 

あんじゅ「あ、勿論戦略が下手って意味じゃないよ。顔に出ちゃうからね」 

海未「フォローありがとうございます。でも、そんなに私は顔に出ているのでしょうか?」 

穂乃果「小さい頃からずっとだよ!」 

あんじゅ「でも特訓すればなんとかなるよ。水を被ると女の子になる主人公だってなんとかなったもん」 

海未「はぁ?」
741 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:16:09.38 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「運否天賦だけだとゲームとして面白みが少ない。でも運の要素が入り込まないと海未ちゃんが不利」 

あんじゅ「なら勘と運と駆け引きを掛け備えたゲームにしてあげればいいんだよ」 

あんじゅ「名付けてQカード」 

にこ「一気に地雷臭がしたわね」 

絵里「つまり内容を知らないけど、Eカードっていうののパクリってことかしら?」 

穂乃果「でも海未ちゃんは目を輝かせてるよ」 

海未「Qカード! 正に女である私達がするに相応しいゲームですね!」 

あんじゅ「そうでしょ?」 

あんじゅ(QじゃなくてもAでもJでもKでも何でも良かったんだけどね) 

あんじゅ「J・Q・Kの三枚をそれぞれ用意して、相手のカードを切って裏にしたまま三枚並べるの」 

あんじゅ「そして、お互いに相手の三枚の内一枚を選んで自分だけが見ることが出来るの」 

あんじゅ「ここは勘と運を試される第一の門。ここでQを引き当てれば有利になるからね」 

あんじゅ「第二の門は言葉の駆け引き。相手に一枚引かせて、自分も引くんだけど、Qを引いたら負け」
742 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:16:39.39 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「お互いにQもしくはハズレで引き分け。如何にして見たカードの情報を頼りに相手を言葉で惑わすか」 

あんじゅ「勿論一回勝負だと運の要素が強すぎるから十戦はすることが前提だけどね」 

あんじゅ「ずっと相手に有利になる助言をして、最後に刺すのもありだし、逆に相手が勝手に自爆するかもしれない」 

あんじゅ「第三の門は己との勝負。深遠を覗くような恐怖が待つ状態の中で、自分を信じ続けられるかどうか」 

あんじゅ「信じたところで其れが正解という保障はない。暗い夜の海を泳ぐような死地を漂い続ける」 

あんじゅ「沖に上がれるのか、海の藻屑になるのか……それとも、相手が持つ木の板を奪って自分だけが助かるのか」 

あんじゅ「相手が見たカードを絶対に信じないっていうのも手だけど、そうなると確立が常に1/3から1/2に変わる」 

あんじゅ「どう戦い、どう惑わせるか。Qカード又の名を魔女の海!」 

海未「魔女の海!!」 

にこ「明らかに今考えましたって別名ね」 

穂乃果「でも海未ちゃんすっかり騙されてるよ」 

絵里「中二病だったっけ? それを刺激されたのね」 

あんじゅ「でも、やっぱり顔に出ると不利だから少し特訓が必要だけどね。上手くいけば表情すらも武器に変わるから」
743 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:17:20.05 ID:KjTXHxjX0
海未「あん姉さん! 貴女は最高です!」 

絵里「えぇっ! どうして私以外が姉と呼ばれてるの!?」 

穂乃果「これは仕方ないかなぁ。即興とはいえ海未ちゃんの為に考えたみたいだし」 

にこ「絵里は逆方向に暴走してるのが原因ね。小学生の男の子が好きな子をいじめるみたいな状態だもの」 

穂乃果「もしくは、餌を食べたいからってわんわん吼えて逆に餌をあげ難い状態にしてるって感じかな?」 

絵里「耳に痛いから例えるのやめてっ」 

あんじゅ「慣れれば五枚に増やして二枚見るとかにしてもいいしね。三枚が一番早くて分かり易いからお奨めだよ」 

海未「そうですね。欲せば先は闇とも言いますし、自分を冷静に判断し三枚がベストでしょう」 

にこ「で、これってさっきのフラグなのかしらね?」 

穂乃果「海未ちゃんはリベンジ出来ればそれだけで最高の勝利を味わえるし、絵里ちゃんが勝てば姉と呼ばせられるみたいな?」 

絵里「それは良いわね。姉より優れた妹なんて居ないという証明を出来るわ」 

穂乃果「……」 

にこ「そうね。ということだから、穂乃果も雪穂ちゃんに負けないように頑張りなさいよ」
744 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:17:55.23 ID:KjTXHxjX0
穂乃果「雪穂ってああ見えて勉強も出来るんだよねー」 

にこ「いや、見た目どおりだけど。眼鏡とか似合いそうだし」 

絵里「でも穂乃果。にこを見て分かるとおり、世の中勉強以外が出来ればなんとかなる場合もあるから」 

絵里「成績だけで上下を決めるのも愚かよ。だけど、それを言い訳にして勉強しないのは確実に愚者だけどね」 

にこ「ちょっと! だからどうしてそういうことの時に私の名前を上げるのよ!」 

絵里「にこはマスコット部長だから。それにからかわないと消えちゃいそうで怖いのよ」 

にこ「どんな存在なのよ!?」 

穂乃果「にこちゃんはいくつくらい赤点があるの?」 

にこ「流石に赤はないわよ。あんじゅと絵里がいるからね」 

絵里「当然よ。私と同級生でありながら赤点を取らせるなんて、生徒会長として許せないわ」 

穂乃果「へ、へー」 

にこ「その反応からして穂乃果は赤点があるのね?」 

穂乃果「……えっと、数学だけ」 

絵里「今日のライブが終わったら勉強をみてあげる」
745 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:18:26.89 ID:KjTXHxjX0
穂乃果「えぇー! いいよいいよ。ライブの後って疲れてるし、勉強とか明日からでいいし」 

絵里「明日が必ずくると思うから時間の使い方を間違うの。汝死を思えって偉大な名言を実感しなさい」 

穂乃果「意味わかんないし!」 

絵里「商人の家系なのにどうして数学が苦手で平気でいられるの?」 

にこ「歴史の授業以外であきんどって使ってる人を初めてみたわ」 

海未「穂乃果の勉強の話ですか? いいでしょう。冬休みに入ってからと思ってましたが、きっちりと教え込みましょう」 

穂乃果「鬼が増えた! あんじゅちゃん助けて!」 

あんじゅ「穂乃果ちゃんの為になることだからね。私はにこの勉強みるから穂乃果ちゃんも頑張って」 

穂乃果「そんな〜。海未ちゃん一人でも辛いのに、絵里ちゃんまでなんて」 

絵里「大丈夫。私は海未より雨と鞭を使い分けるのは得意よ」 

にこ(その鞭で思い切りにこの心を抉ったけどね) 

あんじゅ(鞭で打った後に生き残ってる保障がないけどね) 

にこ「あんじゅが妹でよかったわ。あんたは勉強面では優秀だものね」
746 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:19:14.28 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「だから勉強面以外でも優秀だってば。そうだ、海未ちゃん。ダイエットじゃないけど朝練一緒にしてもいい?」 

海未「朝練ですか? 私の朝は早いですよ」 

あんじゅ「にこは私のことを怠け者みたいに勘違いしてるからね、見直させるの」 

海未「……手遅れ、ではないですか?」 

あんじゅ「手遅れじゃないよ! そうだよね、にこ?」 

にこ「にこの心は広いからね。頑張れる子はきちんと評価するわよ」 

海未「そうですか。では一緒に鍛練に励みましょう。三日坊主とかはやめて下さいね」 

あんじゅ「私を誰だと思ってるの? 邪道シスターズの矢澤あんじゅだよ!」 

海未「その名を使うということは覚悟があるということですね。分かりました」 

にこ「あんたに合わせて早くご飯とか作らないわよ」 

あんじゅ「体を動かしてから食べるから大丈夫」 

穂乃果「あんじゅちゃんってにこちゃんの妹だけあって意外とMなんだね」 

絵里「それくらい頑張ってにこに認めて欲しいって妹心よ。とびっきり可愛いじゃない」 

海未「頑張るからにはにこに認められるという曖昧な目標でだけでなく、明確な目標もあった方がいいです」
747 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:19:54.55 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「明確な目標……にこは何がいいと思う?」 

にこ「短距離は速いからね。短距離ナンバー1とかいいんじゃない。目標は常に大きくが重要よ」 

あんじゅ「そうだね! じゃあ、陸上部にすら勝てるような速くなるよ」 

絵里「うちの陸上部はそこまでレベルは高くないけど、だからって一般の子が敵うレベルでもないわよ」 

海未「日々鍛練を重ねているわけですからね。ですが、目標を高くするのはにこのいうとおり重要なことです」 

穂乃果「整頓されたグランドでタイム計るわけじゃないんだから絵里ちゃんは真面目に考え過ぎだよ」 

絵里「それもそうね。思い違いをしてたわ」 

あんじゅ「あ、何か今フラグが立った気がする」 

にこ「なんであんたと陸上部が争うなんて変なフラグが存在するのよ」 

海未「私はにことあんじゅが他校に乗り込んでゲリラライブしても驚きませんよ」 

穂乃果「そうだね。何をやっても違和感も感じないと思う」 

絵里「ゲリラライブは流石にやったら最悪退学だけど、路上ライブとかしてみるのもいいかもね」 

にこ「路上ライブ! そうね、そういえば路上ライブを経験してなかったわ」
748 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:20:34.25 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「何だか楽しそう☆」 

海未「……同じ目線で歌うというのは恥ずかしくて嫌なのですが」 

穂乃果「苦手を一つ克服すれば、己の理想に一歩近づいた証拠ですよ、海未!」 

海未「それは私の真似のつもりですか? そうですね、人に言って自分は出来ないのでは言葉の価値が下がります」 

にこ「人前で歌い始めて一年経つんだから、ライブ始まるまでは恥ずかしくても、いざ曲が流れれば気にならなくなるわよ」 

絵里「その緊張感や恥ずかしさもまた癖になるから厄介なのよ。後は結果を気にせず楽しめるかどうか」 

穂乃果「みんなして良い事言うね! よーし、なんだか燃えてきたー!」 

にこ「客観的に見れば貞子と紅蓮女と魔女が居るから滑稽でしかないけど」 

穂乃果「酷いよー。というか、そろそろにこちゃんと絵里ちゃんもお化粧くらいしようよ」 

絵里「今からとか時間がないからいいわよ」 

あんじゅ「にこは白粉塗って、赤い線を頬や瞼の上に引いてお面の白狐みたいにすると可愛いかも」 

にこ「あれって日本のだからハロウィンに似合わないと思うけど」 

あんじゅ「狼男の友達の白狐子ちゃんって設定にしたから大丈夫!」 

にこ「あんたの頭の中で設定変更されても世界には何の影響も出ないわ!」
749 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:21:11.81 ID:KjTXHxjX0
海未「でしたら絵里は狼女ですね。狼の耳と尻尾と手を付けてください」 

絵里「ひぃっ! 髪を倒して近づいてこないで。海未と分かってても改めてみると凄く怖いから」 

海未「しょうもんばっかりしてると、お化けが出ますよ?」 

にこ「しょうもん?」 

あんじゅ「確か水遊びみたいな意味だったかな。でも、貞子ちゃんって初期は裸だったって話だよ」 

穂乃果「え、風邪ひいちゃうんじゃない?」 

にこ「死んでるのに風邪もなにもないでしょう。しかも、裸ってあんまりね」 

あんじゅ「シリーズによって設定が変わるけど、衣装は白いのが定番になってるね」 

にこ「そりゃ、裸じゃ映像として放送出来ないでしょ」 

あんじゅ「ううん、SPドラマとして放送されたみたいだよ。裸の理由こそが殺された意味として明かされたとか」 

穂乃果「へぇ〜」 

にこ「目に見える物を後の伏線にする。マジシャンみたいな手ね」 

あんじゅ「私もいつかしてみたいな。にこを出汁にして♪」 

にこ「絶対に嫌よ!」
750 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:21:48.89 ID:KjTXHxjX0
絵里「ちょっと、三人で和んでないで海未を止めて。本当に心臓に悪いから」 

海未「……貞子から助かる方法は一つだけです」 

絵里「私貞子ってキャラしかしらないから助かる方法とか知らないから!」 

にこ「あぁ、怖いの苦手な絵里が貞子をチョイスしたのが不思議だったけど、観てないのね」 

あんじゅ「基本的に面白いのにね」 

穂乃果「私は映画の一つしか観たことないけど」 

絵里「どうやったら助かるのよ!?」 

あんじゅ「ビデオをダビングして他の人に渡さなきゃいけないんだけど……今更ビデオデッキなんて持ってる?」 

絵里「ビデオっていつの時代よ!」 

にこ「缶ジュースが110円で買えた時代ね」 

穂乃果「あっ、来年はにこちゃんに是非して欲しいコスプレを思いついた!」 

あんじゅ「なになに?」 

穂乃果「地獄少女っていう少女漫画の主人公なんだけど」
751 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:22:18.91 ID:KjTXHxjX0
あんじゅ「知ってる知ってる。『いっぺん死んでみる?』ってやつだよね」 

穂乃果「そうそう。長い黒髪だし、小柄だし、白い肌だし……これ以上ないマッチした組み合わせだよ!」 

にこ「ふぅん。漫画のキャラのコスプレね。ま、ファンサービスの一環としてならいいかもね」 

あんじゅ「バリバリの和服だからお婆ちゃんにお願いしよう!」 

にこ「あんたお婆ちゃんに甘えすぎよ!」 

絵里「なんなの! 今日は私の厄日なの?」 

海未「自業自得ですよ」 

絵里「うぅ〜!」 

あんじゅ「海未ちゃんそろそろ許してあげて。Qカードでエリーちゃんに勝ってその時何かコスプレさせればいいんだよ」 

海未「ふむっ。ですが、私はそういうのに詳しくないので何を着せればいいのか分からないのですが」 

あんじゅ「金髪を生かしたキャラだね。漫画って色んな髪の色してるけど外国人キャラの多くが金髪だから」 

あんじゅ「探せば色んなのがあるからじっくり考えよう。口癖も真似させれば雪辱して屈辱も晴らせて万々歳でしょ?」 

海未「そうですね。ですが、狼女にはなってもらいますよ?」
752 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/01/27(火) 13:23:06.82 ID:KjTXHxjX0
絵里「……それはいいけど、そんなの用意してないでしょ?」 

穂乃果「ううん、内田のお姉さんが色々そういうの用意してたの見たよ」 

絵里「余計なことを!」 

にこ「腐ってるけど、家族で仮装できるようにって提案だから余計なことじゃないわよ」 

絵里「この年で狼女。亜里沙とこころちゃんとここあちゃんが来るのに」 

あんじゅ「亜里沙ちゃんの反応は分からないけど、こころちゃんとここあちゃんなら絶対喜ぶよ。エリーちゃん可愛いって」 

にこ「間違いないわね。亜里沙だって普段とは違う絵里を見れれば喜ぶに決まってるわ」 

絵里「……そうかしら?」 

穂乃果「絵里ちゃんは素材がいいんだから、変になることなんてありえないよ」 

絵里「だったら狼女も悪くないわね」 

穂乃果「勿論海未ちゃんもすっごく似合ってるよ!」 

海未「全然嬉しくありません!!」 

ネクストストーリー……ハロウィンライプ+お年玉×2
753 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/27(火) 17:00:45.31 ID:xZVbuj/C0
おつ
754 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/27(火) 19:19:19.07 ID:TRRwPINAO
陸上部と争うというフラグからが先の展開が大体読めたような… 
途中に存在しないはずの「μ′s」の名前が出てきたのは単なる誤植? 

SMILEとA-RISEがダブル主人公みたいになってて二倍楽しい 
だいぶ先だろうけどラブライブでの対決が楽しみ
755 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2015/01/27(火) 19:59:57.49 ID:4jOFEnaRO
地獄少女か 懐かしいな 
人を呪わば穴ふたつ 
ん...?今回の絵理ちゃんかな?
756 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/02/01(日) 21:55:15.44 ID:HVaadGW00
※訂正 >>733 『μ's ⇒ SMILE』指摘ありがとうございます。 

――ハロウィン当日 イベント会場 

こころ「にこにー!」 

ここあ「あんちゃんー!」 

亜里沙「お姉ちゃ〜ん!」 

海未「ふふっ。なんだか微笑ましい光景です」 

穂乃果「本来ならそこに雪穂が居たんだけどね」 

海未「ことりなら分かりますが、クールな雪穂は走りよってはこないでしょう」 

穂乃果「……穂乃果って、妹の育て方間違えたのかなぁ」 

海未「そもそも雪穂に影響与えるよりも私やことりへの影響の方が強いですから仕方ない気もします」 

穂乃果「雪穂が年子なら四人で遊んでたかもしれないのにね」 

海未「今からでもお姉ちゃんっぽくなるという意見を出さない辺りが穂乃果らしいですね」 

穂乃果「えへへ!」 

海未「笑って誤魔化さないでください。頼りになるのかならないのか、分からない王子ですね」
757 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:55:54.66 ID:HVaadGW00
ここあ「あんちゃんおかおだいじょうぶ? いたくない?」 

あんじゅ「これはお化粧だから大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね。よしよし♪」 

ここあ「よかったにこっ♪」 

亜里沙「お姉ちゃん可愛い! どうして犬さんの耳つけてるの? あっ、尻尾まで!」 

絵里「自業自得というか、人を呪えば穴二つというか、因果応報というか……戒めよ」 

亜里沙「難しくて亜里沙分からない」 

絵里「つまりは自分の行いの所為でこんな恥ずかしい格好をしているの」 

亜里沙「全然恥ずかしくなんかないよ! とっても似合ってる!」 

絵里「に、似合ってると言われるのも微妙だけど。今日ばかりは喜んでおこうかしらね」 

海未「亜里沙、こんにちは。これは犬ではなく狼ですよ」 

亜里沙「海未さんこんにちは。そっか、狼さんなんだ」 

絵里「そうよ。亜里沙が悪い子になったら食べちゃうわ」 

亜里沙「きゃっ! お姉ちゃんこわ〜い♪」
758 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:56:25.36 ID:HVaadGW00
こころ「にこにーはそのままなの?」 

にこ「う〜ん、そうね。後で簡単に着替えすると思うわ。魔法使いかしらね」 

こころ「まほうつかい! こころもまほうつかいたい☆」 

にこ「本当の魔法は夢の中でしか使えないから、今日の夢でみんなで魔法でも使うにこよ」 

こころ「えへへーたのしみ!」 

ここあ「ここあもまほうつかえる?」 

あんじゅ「使えるよー。でもそうなると前衛が居なくなっちゃうよね。妹だから私は勇者になるよ」 

にこ「妹だから勇者って理論が分からないけど、別にいいんじゃない」 

あんじゅ「絵里ちゃんが熊で、穂乃果ちゃんが狸。それで海未ちゃんはお姫様だから妖精だね」 

にこ「なんで絵里が熊? 穂乃果の狸はいつかのこの子達の夢からって分かるけど」 

あんじゅ「姉妹の冒険と言えばっていう物語を当てはめるとどうしても絵里ちゃんが損をしちゃうの」 

ここあ「でもくまさんもかわいいにこ!」 

こころ「くまさんかわいいの♪」 

にこ「有名な人形があるくらい可愛いけど、損をするのが自分にしない辺りが勇者ねぇ」
759 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:56:59.30 ID:HVaadGW00
あんじゅ「にこにーお姉ちゃん(魔法使い)と一緒なら魔王だって退治しちゃうにこ★」 

こころ「まおう?」 

ここあ「まおうはこわいひとだよね?」 

あんじゅ「最近だと『魔王=恐怖の対象』というのも崩壊して可愛かったり可哀想だったりするけどね」 

絵里「つまり今の魔王はにこみたいな存在ってことね」 

あんじゅ「そうかも。残念な魔王も居るし」 

にこ「ちょっと! それだとにこが残念みたいに聞こえるでしょ!」 

海未「そうですね。どちらかというと最近残念度が増してるのは絵里ですよね」 

絵里「うっ!」 

亜里沙「お姉ちゃん、海未さんに何をしたの!?」 

穂乃果「海未ちゃんのジョークって重いから、SMILE内に亀裂が走ってるみたいに思われちゃうよ!」 

絵里「大丈夫よ。私は長女だからね、メンタルは常に誰よりも強くないとね」 

海未「私の姉になるにはQゲームで私を降してからですけどね。無論、負けませんが」 

絵里「ふふふ。絶対に勝って私の妹にしてみせるわ」
760 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:57:30.14 ID:HVaadGW00
亜里沙「なんだかお姉ちゃんとっても楽しそう」 

にこ「絵里があんな自信満々にしてるとフラグが立ってそうに見えちゃうのよね」 

あんじゅ「あぁ〜確かに。でもエリーちゃんが勝ってくれた方がシスターズの完成するんだよね」 

にこ「穂乃果だけ海未にストップされているから難を逃れたけどね」 

あんじゅ「それだとシスターズが悪いみたいじゃない。姉妹は最高の絆だもんねー」 

こころあ「うん!」 

にこ「とりあえずおちびちゃん達に振って同意を得るのは卑怯よ」 

亜里沙「亜里沙も姉妹は最高だと思う! 勿論お姉ちゃんだけじゃなくて、みなさんも含めて!」 

海未「ええ、亜里沙は遅れてきた私達の誇らしい妹です」 

あんじゅ「一緒にスクールアイドルとして活動が出来ない分、今日最高のライブをしようね」 

亜里沙「はい! SMILEのファン暦は長いからその想いも込めてライブするの!」 

にこ「そういえば絵里のSMILE入りを推したのは亜里沙と前会長だもんね」 

絵里「その時はまだスクールアイドルの存在自体私は知らなかったのよね。亜里沙に聞いて初めて知って……」
761 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:58:02.87 ID:HVaadGW00
亜里沙「お姉ちゃんってば最初は『アイドルの真似事』なんて酷いこと言ってたんだよ!」 

絵里「根に持ってたの? あれはまだ色々と余裕がなかったからしょうがないじゃない」 

海未「絵里がそんな風に言っていたなんて初耳ですね」 

あんじゅ「エリーお姉ちゃんは海未ちゃんより強敵だったくらいだしね。邪道な手なんて使える余裕がない頃だったし」 

にこ「ま、二人で我武者羅に頑張ってたからね。私達も余裕が今みたいになかったわ」 

穂乃果「その頃の二人に会ってみたかったかも」 

にこ「それを言うならこっちも同じよ。最初から今の元気な穂乃果ならあんな大掛かりな手を打たずにスカウト出来たのに」 

海未「一筋縄ではいかないのが穂乃果が作る運命なんですよ。だから人を惹きつけるんです」 

穂乃果「いや〜そんなに言われると照れるなぁ」 

海未「調子に乗って失敗することも含めての運命なので、調子に乗せないようにしてくださいね」 

穂乃果「」 

絵里「見事に上げてから落としたわね。亜里沙も調子に乗ると失敗し易いから気をつけるのよ?」 

亜里沙「大丈夫だよ、お姉ちゃん。日本にきてから勉強することが多くて、そんな暇ないんだから」 

こころ「ここあもすぐにちょーしのるからきをつけるにこ!」
762 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:58:42.65 ID:HVaadGW00
ここあ「そんなことないもん! こころのいじわる!」 

こころ「ほんとうのこといっただけだよ!」 

にこ「は〜いはい。二人共今日は喧嘩してるとこわ〜いお化けに連れて行かれちゃうわよ」 

あんじゅ「でも二人共ホラー系には耐久力あるから、貞子海未ちゃん見ても無反応だし」 

亜里沙「海未さんのそれって貞子さんだったんですか? 亜里沙、観たことある!」 

海未「ほぅ。亜里沙は絵里と違ってホラーは苦手ではないのですね」 

亜里沙「だって人が作ったものだもの。心霊写真とかの方がとっても怖いわ」 

穂乃果「今の発言は絵里ちゃんみたい。でも、絵里ちゃんはホラーは苦手だけどね」 

絵里「な、なによ、いいじゃない。暗い所やホラーが苦手だって」 

あんじゅ「そういえば絵里の暗所嫌いになった理由とかあったりするのかな。亜里沙ちゃん知ってる?」 

亜里沙「ううん、残念だけど知らないわ。お姉ちゃんは理由も教えてくれないの」 

海未「身内にすら弱さを見せられないのは臆病者ですよ」 

絵里「……海未が恐ろしく冷たい。私には井戸の底へ引きずり込む貞子に見えるわ」
763 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:59:17.90 ID:HVaadGW00
穂乃果「絵里ちゃん以外にもそう見えてるよ。でも、海未ちゃんが本気で怒ったときはこんなものじゃないし」 

あんじゅ「にこ、怖いもの見たさに怒らしたりたら駄目だよ。絶対に駄目だからね。絶対だよ!」 

にこ「そんな振りされたって絶対に怒らせないわよ」 

あんじゅ「にこの意気地なしにこぉ」 

にこ「あんたはSMILEを仲良くさせたいのか、それともギスギスさせたいのかどっちよ!」 

あんじゅ「雨降って地固まるって言葉もあるじゃない? ここあちゃんもこころちゃんもたまには雨降って欲しいよね?」 

ここあ「うん! ここあはあめすきだよ」 

こころ「こころもかささすのすきー」 

あんじゅ「今日のライブで綺麗に踊れたら私とにこが二人に可愛い傘買ってあげるね」 

こころあ「うれしいにこっ♪」 

こころ「こころはしましまがいいの!」 

ここあ「ここあはみずたまがいい!」 

あんじゅ「うんうん。一緒に買いに行こうねー♪」 

こころあ「ねー♪」
764 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 21:59:56.81 ID:HVaadGW00
にこ「勝手に約束してるんじゃないわよ。ま、たまにはそれくらいいいけど」 

海未(ふむ。では私は後でお菓子でもプレゼントすることにしましょう) 

にこ「にしても、去年とは比べ物にならないくらいに人が集まったわねぇ」 

あんじゅ「そうだね。参加型ライブだからっていうのもあると思うけど、SMILEの人気が上がったのが一番の理由だよ」 

絵里「今日を境に改めてラブライブに向けて全力を出していきましょう」 

海未「ええ、必ず想いをみんなに伝えて想いを叶えましょう」 

穂乃果「目指せ二十位以上だね!」 

にこ「……ラブライブ出場。スクールアイドルとしての集大成」 

にこ(絶対に届いてみせる。キラ星と私の差は縮まらなくても、A-RISEとSMILEの差は絶対に……!) 

にこ「さ、今はハロウィンイベントに集中するわよ。まずは小さい子は私とあんじゅの出番からね」 

あんじゅ「うん! ここあちゃん、こころちゃん。がんばろうね♪」 

ここあ「がんばるの!」 

こころ「えへへ。がんばるー」 

にこ「じゃあ、そろそろ開始の挨拶といきましょう!」
765 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:00:27.44 ID:HVaadGW00
――開催挨拶 

にこ「今日は商店街のハロウィンイベント+SMILEのライブにこんなにも多くの人が集まってくれてありがとうにこ!」 

にこ「去年参加者は知ってるかもしれないけど、ライブ終了後はお菓子配りもあるから悪戯せずに待っててね」 

にこ「今回は特別企画としてSMILEのライブに多くの人が参加してくれます。日が近づくに連れて練習時間も増えた」 

にこ「でも、みんな最後まで諦めることなく練習に参加してくれて、今日を迎えられました!」 

にこ「ファンの人も知らない初期メンバーで贈る今日だけの特別ステージもあるから色んな意味で楽しんでね」 

にこ「それじゃあ、メンバーから各自挨拶してもらうわ。さ、あんじゅから横に挨拶していって」 

あんじゅ「にっこにっこにー♪ にこにーの妹矢澤あんじゅです!」 

あんじゅ「去年は四人だったけど、今年は五人+多くの方の参加でとっても楽しみにこ☆」 

あんじゅ「今日はミスも歌詞間違えも全部含めて正解だと思って広い心で楽しんでね! はい、エリーちゃん」 

絵里「みなさんこんにちは! 元気な挨拶ありがとう。SMILE皆のお姉さん《矢澤絵里》です」 

にこ「ちょっと! あんたまで矢澤って名乗ってるんじゃないわよ」
766 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:00:58.08 ID:HVaadGW00
あんじゅ「今度はテストの時に矢澤絵里って書いて先生にからかわれちゃうもんね」 

絵里「ふふっ。SMILEのブログを見てくれている人には分かるエピソードだけど、以前にこは――」 
にこ「――ちょっと! そんな話を今する必要ないでしょうが!」 

あんじゅ「知らない人が疎外感を覚えちゃうでしょ? にこは大人しくしてようねー」 

にこ「離しなさいよ、この愚昧!」 

絵里「にこは以前小テストの時に」 

海未(今までで一番観客数が多い気がします。どうしましょう、頭が真っ白になってきました) 

穂乃果(海未ちゃん。大丈夫だよ、何か失敗したら穂乃果がもっと大きな失敗して誤魔化してあげるから) 

海未(そこは失敗した瞬間にフォローして失敗を失敗と悟られないようにしてください) 

穂乃果(そんなの勿体無いよ。にこちゃんを見て学んだことだけどね、失敗は経験値をより多く貰えるんだよ) 

穂乃果(失敗を失敗として処理しないと、自分の中での感覚がぼやけちゃうの) 

海未(……失敗が自分の中でぼやける、ですか)
767 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:01:28.69 ID:HVaadGW00
穂乃果(そう。だからね、失敗は失敗のまま処理して自分の中で味わうの。恥ずかしさも後悔も全部自分の持ち味に) 

海未(流石穂乃果ですね。冒険の数は失敗の数を地で行くだけあります) 

穂乃果(そんなには失敗してないよ〜) 

海未(ふふふ。冗談ですよ、穂乃果はなんだかんだ王子なのですね。頼りになります) 

穂乃果(まぁね。いつでも頼りにしてくれていいんだよ) 

絵里「海未! 次の挨拶は海未だって言ってるでしょ!」 

海未「えっ、あっ、すいません!」 

絵里「緊張してるの?」 

海未「いえ、大丈夫です」 

海未(うぅ……穂乃果の所為で要らない失敗経験を積んでしまいました。穂乃果は笑ってますし) 

海未「みなさんこんにちは、園田――いえ、今日だけはこう言いましょう。矢澤海未です」 

海未「丁度一年前、この日に私は非公式ながらSMILEのメンバーとして初のライブを経験させて頂きました」
768 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:01:59.27 ID:HVaadGW00
海未「元々人前で何かをするというのが苦手な私を応援し、こうしてスクールアイドルを続けられるのは皆さんのお陰です」 

海未「リーダーであるにこの目標はSMILEがラブライブに出場することです。正確にはもう少しあるのですが」 

海未「私からの我がままです。今日が楽しめたのならこれからもSMILEの応援をよろしくお願いします!」 

穂乃果「海未ちゃんってば固いんだから〜。ではSMILE最後のメンバーである高坂穂乃果です!」 

穂乃果「今日はハロウィンということで実家の穂むらでは今も家族が一生懸命一丸となって頑張っていると思います」 

穂乃果「看板娘兼跡取り娘でありながらスクールアイドルやらせてもらってるので、穂むらの宣伝をさせてもらいます」 

穂乃果「応援でお腹空いちゃった人は是非老舗の和菓子屋穂むらでお買い求めください!」 

穂乃果「そして、SMILEとみんなで行うライブを楽しんでいってもらえたら最高です。私が一番楽しんじゃうかも!」 

穂乃果「特別ゲストもいるのでお楽しみにしててください」 

にこ(そういえばゲストっていうのが誰なのか聞いてなかったわね。ま、いっか) 

にこ「それじゃあ、最初は幼稚園生から小学二年生までの子と一緒に踊るので、失敗は目を瞑って応援してください」 

にこ「それでは、長くなりましたがこれより商店街が贈るハロウィンイベントを開催するにこ♪」
769 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:02:31.19 ID:HVaadGW00
――子供ライブ 参加者:にこあん 

にこ「みんなの衣装はお母さん、中には器用なお父さんに有志の方々が作ってくださいました」 

にこ「忙しい合間を縫って、今日という日の為だけに準備していただきありがとうございました」 

にこ「それじゃあみんな、一斉にありがとうございましたってお礼言おうね。恥ずかしくて言えない悪い子はいないかな?」 

「いないよー!」 

「きちんと、言えるの!」 

こころ「いいこだからいえるにこ☆」 

ここあ「ここあおれいいつもいえるいいこー♪」 

あんじゅ「うふふ。あんじゅもいい子にこ★」 

にこ「あんたには言ってないわよ。むしろ、感謝してるなら日頃からきちんとしなさいよね」 

あんじゅ「きちんとお礼言ってるよ?」 

にこ「お礼言うだけじゃなくて、子供じゃないんだから結果に繋がる行いっていうかね」
770 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:03:03.97 ID:HVaadGW00
あんじゅ「さぁ、みんなでせーので言おうね」 

にこ「って、舞台上でスルーするなニコ!」 

あんじゅ「うっふふ〜♪ じゃあいくっよー!」 

にこ「せ〜の!」 

『あ り が と う ご ざ い ま し た!!』 

「どういたしましてー」 

「家でもいつもお礼言えるようになってねー」 

「作ってよかった。とっても似合ってる!」 

絵里「凄いわね。小学生低学年までなのに、にこが全然浮いてないわ!」 

海未「それは言い過ぎです。確かに最近は身長を含めたスタイルが昔よりも欧米に近いものになってきたのは確かですが」 

海未「いう程にこは身長は低いという訳ではありませんよ」 

穂乃果「私とそんなに変わらないもんね」
771 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:03:33.72 ID:HVaadGW00
絵里「身長だけじゃないわ。あの幼いオーラよ! 亜里沙も雪穂ちゃんに比べれば幼いオーラ出てるでしょ?」 

絵里「妹補正抜きでもにこはそのオーラが人より大きいのよ。もっと幼いキャラ演じればピカ一だと思うけど」 

亜里沙「亜里沙、変なオーラなんて出てないよー」 

海未(亜里沙には悪いですがなんか納得してしまいました) 

穂乃果「絵里ちゃんは亜里沙ちゃんもにこちゃんも可愛いって言いたいんだよね」 

絵里「そのとおり! 守ってあげたくなるのよね」 

亜里沙「そうなんだっ♪」 

穂乃果「海未ちゃんも普段はこんな感じだけど、時々すっごい可愛い面を見せるんだよ」 

海未「ほっ、穂乃果?」 

穂乃果「人前ではきっと見せてくれない部分だから優越感を覚えるけど、でも人前で見せられたらもっと人気出るんだ」 

穂乃果「幼馴染とアイドルとしては悩みどころだねぇ」 

海未「そんな面なんてありません! ありえません! 穂乃果の妄想をあたかも真実みたいに語らないでください!」
772 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:04:04.21 ID:HVaadGW00
亜里沙「海未さんのお顔赤くなってて可愛いわ!」 

絵里「クスクス。お姫様だけにとっても可愛い面を秘めてるのは確かに分かるわ」 

穂乃果「でも、海未ちゃんの可愛さもあの純粋な光景には負けちゃうけどね」 

海未「あの姿に比較されては、誰も勝てませんよ」 

亜里沙「みんな精一杯でとっても可愛い。それに歌も上手ね。ハラショー!」 

穂乃果「本当に上手だよね。ハバジョー!」 

海未「それを言うならハラショーです」 

絵里「特に可愛いのは身内贔屓だけどこころちゃんとここあちゃんね。本当ににこにそっくり」 

亜里沙「髪型も同じだもんね。亜里沙も今日はお姉ちゃんと同じ髪型にすればよかったわ」 

穂乃果「むしろ、髪型だけじゃなくて同じ狼耳尻尾にすれば完璧だったかも」 

絵里「姉妹揃っては恥ずかしいわ」 

亜里沙「来年! 来年は一緒にするわ!」 

海未「これは亜里沙が本物のスクールアイドルになる頃には固定ファンが多く出来そうですね」
773 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:04:35.24 ID:HVaadGW00
穂乃果「海未ちゃんの時より時期も早いし、期待の新入生となりそうだね」 

亜里沙「うん! 音ノ木坂で海未さんと穂乃果さんとスクールアイドルになるの夢見てるの」 

絵里「入学してからずっとスクールアイドル。なんだかとっても羨ましいわ」 

亜里沙「……お姉ちゃん」 

絵里「でも、だからこそ今がとっても愛しいの。あのトウシューズも価値がより深まったのよ」 

穂乃果「こういう時の絵里ちゃんってすごい大人びて見えるよね」 

海未「そうですね。姉押しの時とは別人です」 

穂乃果「あははっ。でも個性あってこその人間だもん。だから好きになれるんだよ」 

海未「穂乃果らしくないことを言っても、大人っぽくは見えませんよ」 

穂乃果「それは残念だなー」 

海未「焦らずに私達のペースで大人になりましょう」 

穂乃果「うん!」 

絵里「こころちゃーん! ここあちゃーん! とっても可愛いわよ〜! ハラショー♪」
774 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:05:09.15 ID:HVaadGW00
――小学中高生 参加者:ほのうみえり 

絵里「今日までの練習の成果を出すだけよ。失敗しても気にしないで。それも大切な思い出だから」 

絵里「勿論、失敗しないで決めて見せた方が素敵だけどね」 

海未「プレッシャーを解きたいのか、発破を掛けたいのかどちらかにしてください」 

穂乃果「とにかくみんな、ファイトだよ!」 

絵里「来年は見てる子がこのステージで歌ってるのかもしれないから、応援してくれる子もしっかり見ててね」 

海未(冷静になると来年のこのステージで歌えるのかどうかも決まってませんが……いえ、SMILEなら勢いで決めそうですね) 

穂乃果「とにかく笑顔で応援してくれる子をもっと笑顔にするべく、元気に歌って踊ろう♪」 

絵里「じゃあ、曲の合図は海未お願い」 

海未「はい。みなさん心の準備はいいですか? それでは、ミュージックスタート!」 

にこ「一応SMILEとしてのライブで私とあんじゅがこうして見る側になる日がくるなんてね」 

あんじゅ「うん、なんだか感慨深いね」 

にこ「よく考えればSMILEの始まりも五人だし、新入生が誰も入らなくても頑張るにこよ」 

あんじゅ「そうだね。入らなければSMILEは五人のままが運命。入ってくれれば出逢う運命だったってことで」
775 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:05:42.85 ID:HVaadGW00
にこ「運命だらけで胡散臭いわね」 

あんじゅ「でも、何か考えないと駄目だよね。固定ファンを増やす為には常識を壊して注目を集めないと」 

にこ「そうね。だけど、考えてみてもファンを増やせるような奇策は既に使われ尽くしてる気もするのよ」 

あんじゅ「そうだよねぇ。劇に見立てた曲をしたのもあったみたいだしね」 

にこ「どんな邪道な手も確かな実力があれば受け入れられて評価されるから」 

あんじゅ「ワープ出来るような超能力があればライブ中ににこと場所を入れ替わったりするのにね」 

にこ「劇団か手品師からスカウトがくるか、何処かの組織にさらわれるわよ」 

あんじゅ「捕まってもワープで逃げるにこ!」 

にこ「想像すると非常に面倒ね。逆転の発想で新入部員勧誘で奇抜な手を打つのもありね」 

あんじゅ「なるほど。そっちの方が色々出来そうかも」 

にこ「だからって邪道な手はなしよ。アイドル好きな子が好ましいわ。思わず暴走しちゃうくらいの個性があれば尚良し!」 

あんじゅ「そんな熱い想いを持ってる子はお隣に行っちゃうんじゃない?」 

にこ「確かにUTXに流れるわね。でも、音ノ木坂に入ってくれる子がアイドルに情熱がないとは限らないわ」 

あんじゅ「敢えて逆境のSMILEに入って天下を取って伝説を残したいって野望娘がいるかもしれないし★」
776 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:06:14.58 ID:HVaadGW00
にこ「間違いなくそんな変な子はいないし、居ても入れたくないわね」 

あんじゅ「えー。拒める立場じゃないでしょ。誰でもウェルカムだよ」 

にこ「節操ないわね。でも、設備が充実してるわけでもないんだし、SMILE入りを目的に音ノ木坂に入る子は居ないと思う」 

にこ「一人でもいいから今回のライブを見て『よし! 音ノ木坂に入ろう!』なんて子が増えればいいんだけど」 

あんじゅ「でも、日曜日の清掃も若い子けっこう多くなったから生徒数も増えると思う」 

にこ「そんな甘く考えないの。若い子全員が現在の中学三年生って訳でもないんだから」 

あんじゅ「三クラスから増えればSMILE効果を信じたくなるね♪」 

にこ「その時は心が広い理事長と学校の為に日々頑張ってる長女のお陰よ。私達全員を含めるのは失礼よ」 

あんじゅ「にこって本人が居ない所ではリスペクトしてることを隠さないよね。隠れデレ☆」 

にこ「何よその変なの。本人に言うと威厳なしの顔で変なこと言い出すからよ」 

あんじゅ「にこに褒められると嬉しくなっちゃうんだよ。にこって時々しかデレてくれないから」 

にこ「にこはそんなに安い女じゃないからね」 

あんじゅ「そんな風にプライド高いキャラを演じてるけど、実際は繊細で自分に厳しいから。だから褒められると嬉しいんだよ」 

にこ「……」
777 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:06:46.14 ID:HVaadGW00
あんじゅ「うふふ♪」 

にこ「まったく。口が達者な妹だこと」 

あんじゅ「良い事ばかり言ってるとなんだか事故死とかで突然シリアス展開が待ってそうだよね」 

あんじゅ「綺麗な声してたでしょ。もう、喋ってくれないんだよ……にこぉ」 

にこ「なんで私が死んでるのよ!」 

あんじゅ「にこの想いを胸に、ラブライブでまさかの優勝!」 

にこ「しかもリーダー不在でA-RISEに勝つとかないわ!」 

あんじゅ「じゃあにこが居てくれればA-RISEに勝てるのかな?」 

にこ「……足のつま先と言わず、その手までは掴めるくらいには届きたいけど」 

あんじゅ「そんな弱気じゃ勝てるものも勝てないよ!」 

にこ「分かってはいるんだけど、やっぱり私にとってキラ星は誰よりも遠くて憧れのアイドルなのよ」 

にこ「小学生までの私の夢を代わりに叶えてくれるのが綺羅ツバサだからね」 

あんじゅ「……最近ね、私考えてることがあるの」 

にこ「ん、何よ?」
778 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:07:17.69 ID:HVaadGW00
あんじゅ「スクールアイドルをやってる間に、私がにこに夢を与えてみせるって」 

にこ「何それ。そんなこと考えてる暇があるなら、自分の夢をみつけなさいよ」 

あんじゅ「自分のことよりまずはにこのことにこ♪」 

にこ「夢を持てる程の強さをまだ私は持てない。あんじゅは姉のそんな部分を真似るんじゃないわよ」 

あんじゅ「にこは弱いからこそ誰よりも強くなれる。そう信じてるし、一緒に成長してみせる」 

にこ「あんたにはシリアスは似合わないわよ。変なこと言って空気を壊す方でしょ」 

あんじゅ「あんな素敵なライブ観てたらたまには素直になっちゃうよ」 

にこ「参加してくれるあの子達が高校生になる頃、きちんと音ノ木坂は存在してるかしら」 

あんじゅ「ラブライブで優勝なんてしちゃったらありえるんじゃないかな?」 

にこ「SMILEの目標をラブライブ出場じゃなくて優勝にしろって言いたいの?」 

あんじゅ「目標は常に大きい方がいいんでしょ?」 

にこ「うぐっ」 

あんじゅ「さ、次は私とにこと穂乃果ちゃんで中学生その1グループだよ」 

にこ「このモヤモヤを吹き飛ばすライブにするわ!」 

あんじゅ「うふふ。にこの輝きに負けないくらい輝いてみせるよ♪」
779 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:07:52.24 ID:HVaadGW00
――中学生グループ1 参加者:ほのにこあん 

にこ「にこの歌を聴くにこ〜!」 

あんじゅ「みんなー未来のスクールアイドルとしてハイテンションでライブをしよう♪」 

穂乃果「是非とも私達の母校となる音ノ木坂学院でスクールアイドルになってくれたら嬉しいな」 

にこ「それじゃあいくわよ! ミュージックステート!」 

ほのあん「ステート?」 

「ステートってなんですか?」 

「最先端の言い方かな?」 

にこ「ま、間違えたのよ。って、曲始まってるし! ほら、いくわよ!!」 

絵里「ふふっ。中学生じゃなくてにこが間違えてどうするのよ」 

海未「にこらしいですね。他の人ならリーダー失格ですが、にこだと不思議と安心します」 

絵里「そういう魅力のアイドルが居てもいいわよね」 

海未「ですがにこは将来アイドルになることは考えていないんですよね?」 

絵里「ええ、綺羅ツバサさんとの出会いでね」 

海未「それほどの相手とことりが同じグループで活躍しているというのが信じられません」
780 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:08:29.18 ID:HVaadGW00
絵里「でも実際に会ってみて分かったけど、画面越し以上の迫力があったわ」 

海未「そうですね。ですが私はにこの方がアイドルとしては長く愛されると思います」 

絵里「本当に毒されたわね」 

海未「最低評価から始まったので誰よりも加速度的に評価が深まったのかもしれません」 

絵里「あら、だったら私も最初は変な先輩で居れば良かったわ」 

海未「勘弁してください。高校生三人の中で活動するのは色々と緊張だってあったんですよ」 

絵里「全然そんな風に感じなかったけど。ライブ直前は別としてね」 

海未「そういうのを表に出さないくらいには鍛えてきましたから」 

絵里「海未って家元を継ぐ為に修行も積んでいるんでしょ? 大会とか無い訳だし結果が見えてこなくて嫌になったりしない?」 

海未「……一度だけ、自分では上手くいったと思ったのに母に色んなところを注意された時がありました」 

海未「初めてであり、唯一家出をしました。まぁ、行き先は穂乃果の家なのでバレバレだったんですが」 

絵里「へぇ〜。意外ね」 

海未「中学に上がる少し前の話ですから。まだまだ未熟だったんです」 

絵里「でも偉いわ。私ならそれよりもっと前に逃げ出そうとした筈だもの」 

海未「心の中で逃避するだけなら数え切れないくらいですよ。穂むらの娘として穂乃果と雪穂と暮らしてることを何度夢見たか」
781 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:08:59.87 ID:HVaadGW00
海未「それでも私は園田家の娘として生まれたからには、きちんと家を継いでみせます」 

絵里「普通は長女が継ぐものだけど、どうして海未の家は違うの?」 

海未「……絶対的な才能というものが姉には足りなくて」 

絵里「そうなの?」 

海未「ええ、私が幼い頃はそれでも期待されたのですが、流石に無理だと判断したようです」 

絵里「なるほどね。努力しても才能の限界までいけばその先にはいけないものね。私は才能の限界まで頑張れなかったけど」 

海未「ですが今の絵里なら笑顔で才能の限界まで努力を重ねられると思います」 

絵里「嬉しいこと言ってくれるじゃない。なんならエリーお姉ちゃんと呼んでも――」 
海未「――お断りします!」 

海未「私はそんなに安くないんです」 

絵里「……ほむぅ」 

海未「穂乃果の鳴き声を真似しても可愛くありません」 

絵里「バッサリいかれると本気で泣きたくなるわ」 

海未「泣くならライブの後にしてください」 

絵里「……にこぉ」 

海未(その鳴き方は少し可愛いですね)
782 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:09:33.37 ID:HVaadGW00
――中学生グループ2 参加者:うみえり 

凛「人がいっぱい」 

凛(かよちんは受験勉強で暇を持て余して知らず内にこんな所まできたけど、とっても人が多い) 

凛(若い子だけじゃなくて、お母さんくらいの人も一杯いるにゃ) 

凛(何があるんだろう?) 

凛「歌?」 

凛(かよちんが好きそうな歌だけど、ここって商店街だよね) 

凛(とにかく人ごみの中に突入してみよう!) 

ざわ・・・ざわ・・・ 

凛「ひょいっ、ひょい!」 

凛(人ごみの間を抜けるのは昔から凛の得意技! 人ごみの中にあったのは小さなステージ)
783 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:10:08.52 ID:HVaadGW00
凛(デパートの屋上にあるやつみたい。そこで歌っている大勢の少女達が居るね) 

絵里「いやぁ、流石年の差が少ないだけあっていつスクールアイドルになってもおかしくないくらい上手かったわね」 

海未「そうですね。お世辞抜きで去年の私より上手だったと思います」 

凛(言葉から察するにスクールアイドルと中学生。あっ、あの二人は最近どこかで見たことある気がする) 

凛(……どこだったかな? そうだ、カレー屋だ。音ノ木坂の文化祭で行ったカレー屋の店員) 

凛(そういえばスクールアイドルだったんだっけ。かよちんが好きなアライズよりはいい雰囲気だったけど) 

凛(でも、スクールアイドルなんか嫌い!) 

凛(スクールアイドルがなければかよちんがUTXにいくことなんてなかった) 

凛(凛と一緒に音ノ木坂に通って、何か一緒の部に入って楽しい三年間になる筈だったのに) 

凛(スクールアイドルなんてなくなればいいのに……) 

凛(さっさと家に帰ろう。こんな不愉快な場所に居たくない)
784 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:10:43.19 ID:HVaadGW00
――初期SMILE 

にこ「これが私達SMILEの原点のメンバー」 

あんじゅ「訳あってにこと私以外はメンバーから脱退しちゃったけど、常に私達を支えてくれています」 

にこ「ポスターもそうだし、音響やライトもやってくれるし、常に私達を応援してくれる最高のメンバー!」 

あんじゅ「この三人が居てくれなかったら今のSMILEも当然ありませんでした。温かい拍手をお願いします」 

元部員「ちょっと恥ずかしいからそれ以上持ち上げるのやめてって。ほら、二人してカチカチになってるし」 

にこ「本当に感謝してるのよ。SMILEのファースト曲である今から歌う《笑顔の魔法》も三人の為に作ったものにこ!」 

あんじゅ「スクールアイドルは引退してもいつまでもスクールアイドルにこよ☆」 

元部員「はぁ〜……やっぱりやめておけばよかったわ」 

にこ「カチカチでも歌いだしたら練習を思い出してしっかり動き出すし、声だって出るわ」 

あんじゅ「そうそう。だから容赦せずに始めるよ〜ミュージックステート♪」 

にこ「それヤメなさいよ!!」
785 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:11:16.75 ID:HVaadGW00
海未「なんだか不思議です。私達の居る場所は最初はあのメンバーで構成されていたのですね」 

絵里「そうね。二代目とでも言うべきかしら、私達が卒業しても三代目四代目とSMILEが続いていけば面白いわ」 

穂乃果「絵里ちゃん卒業しちゃうの?」 

絵里「当然でしょ。私もにこもあんじゅも先に卒業しちゃうわ」 

穂乃果「先輩が卒業するのを嫌だって思うの穂乃果初めて」 

海未「まだ一年あるんですから。今から寂しがっていては心が疲れてしまいますよ」 

絵里「卒業するまではたっぷりと甘えてくれて構わないし、色んな思い出を作りましょう」 

穂乃果「うん」 

海未「今はこの初代SMILEを見ながら、心を落ち着かせてください」 

穂乃果「うん、ごめんね」 

絵里「秋はセンチメンタルになる季節だもの。仕方ないわ」 

海未(……ですが穂乃果の言うとおり。私も初めて先輩の卒業を意識して寂しさを感じてしまいます) 

海未「……そんな日が訪れなければいいのに」
786 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:11:50.99 ID:HVaadGW00
――イベント待機室 にこあん 

にこ「ところで特別ゲストって結局誰なの?」 

あんじゅ「そろそろ言っても大丈夫かな」 

キャー! キャーッ! 

あんじゅ「流石だね。SMILEのお膝元でも大歓声」 

にこ「物凄い歓声じゃない。誰を引っ張ってきたのよ?」 

あんじゅ「いつまでも引っ張ってもなんだしね。特別ゲストの正体はA-RISE」 

にこ「A-RISE!? どうしてA-RISEが承諾したのよ。だってA-RISEはこういうイベント参加したことがないでしょ!」 

あんじゅ「うん、ほらSMILEにはことりちゃんの幼馴染が居るから」 

にこ「ことりだけなら分かるわ。でもA-RISEとして参加するなんてありえないでしょ!」 

あんじゅ「直接交渉に出たのは絵里ちゃんと海未ちゃんの二人なんだけど条件を出して承諾したんだって」 

にこ「てか、どんな度胸あればスクールアイドルの頂点を誘えるのよ!」 

あんじゅ「にこそんなに大声出してたら声を壊しちゃうよ」 

にこ「これが大声を上げずにいられないわよ!」 

あんじゅ「とにかく条件を聞いてくれれば納得すると思うよ」 

にこ「どんな条件出されたって納得なんて出来ないわ」
787 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:12:21.24 ID:HVaadGW00
――― 
―― 
― 

絵里「ということで交渉にきました」 

ツバサ「んふっ。オトノキの生徒会長って噂には聞いてたけど凄いのね」 

英玲奈「行動力と言うべきか無謀と批判されるべきことなのか。難しいところだ」 

ツバサ「どこかの誰かさんに似てるわね」 

ことり「どうしてそこで私を見るの?」 

英玲奈「十中八九今回の提案を手引きしたのはことりだろう」 

ツバサ「間違いないわね。はぁ〜大人しい顔してやることは本当にデンジャラスね」 

海未(不思議です。あのことりがUTXでは穂乃果のような認識を受けているなんて) 

ツバサ「独断で勝手に無茶されるよりはこうして仲介役となってくれる方がいいけどね」 

ことり「はぁい」 

絵里「ことりさんを最初に誘ったのは本当にSMILEですから、余りことりさんを攻めないでください」 

ツバサ「ええ、分かってるわ。ただ、この子はこないだ無茶したばかりだから少し辛めに言わないと駄目なの」
788 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:13:12.55 ID:HVaadGW00
海未「文化祭のライブ中に怪我をしたと言ってましたが、あれはもしかして」 

英玲奈「大切な幼馴染にそう言ってたのか? 本当はライブに向かう途中に怪我をして、そのままライブを行ったんだ」 

海未「ことり、なんでそんな無茶をするのですか! そういうのは穂乃果がすることで、止める役はことりだったではないですか」 

ことり「穂乃果ちゃんの影響が遺伝子レベルでことりの中に生きてるみたいで」 

絵里「ハラショー」 

海未「関心してる場合ではありません。UTXへ入るように背中を押したのは間違いだったのかもしれません」 

ツバサ「それは間違いじゃないわ。後輩が出来れば落ち着きも出るでしょう。来年は無茶をしないことを期待してるわ」 

ことり「耳に痛いです」 

英玲奈「ことり弄りもその辺にして話を戻そう。A-RISEにSMILEのお庭である商店街でライブに参加して欲しいと」 

ツバサ「そうね、本来ならどんな誘いであっても断るのだけど……。SMILEだけは特別」 

ツバサ「正し、こちらからいくつか条件を出させて貰うわ」 

海未「条件、ですか」 

絵里「飲める条件であれば受け入れます」 

ツバサ「一つ目はA-RISEがライブ中はそちらのリーダーが会場内に居ないこと」
789 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:13:44.30 ID:HVaadGW00
絵里「にこが居ないことが条件?」 

ツバサ「ええ、可能かしら?」 

絵里「分かったわ。イベントの時に控え室を用意するから、そこに見張りを付けて閉じ込めておくわ」 

ツバサ「では二つ目ね。次のラブライブでA-RISEと当たるまで何がなんでも勝ち進むこと」 

絵里「――」 

海未(これはにこだけでなく、綺羅ツバサもにこを意識しているということですか) 

絵里「矢澤にこの代わりに承諾しましょう。SMILEの目標ですから」 

ツバサ「けっこう。三つ目は英玲奈何かある?」 

英玲奈「私からは特にないな」 

ツバサ「そう。だったらいくつかって言ったけど、この二つだけで充分よ」 

絵里「ありがとうございます。この条件はA-RISEがライブをしてる最中に明かすことにします」 

ツバサ「条件を満たせなかった場合、一生恨むからね。何があっても叶えて」 


――― 
―― 
790 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:14:15.52 ID:HVaadGW00
にこ「……それがキラ星の条件、ね。勝手にそんな重大な決め事してるんじゃないわよ」 

あんじゅ「もうA-RISEは歌ってるからね、条件を満たさないと恨まれちゃうよ」 

にこ「お節介も行き過ぎると嫌われるってわかんないのかしら、うちの馬鹿長女」 

あんじゅ「これくらいじゃ嫌われないって分かってるから出来るんだよ。大事なにこの為に」 

にこ「生意気言うじゃない、問題児のくせに」 

あんじゅ「にこに似てるからね」 

にこ「本気で目指すしかないじゃない。A-RISE打倒って無茶な目標を」 

あんじゅ「それでこそ私のお姉ちゃん!」 

にこ「あんたもこれから海未と一緒に鍛練して体鍛えるんでしょ?」 

あんじゅ「そうだよ。やると言ったからには全力でね♪」 

にこ「健康美な体でファンをもっと増やしなさい。にこもこの体型を生かしたファンサービスをするわ」
791 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/01(日) 22:14:46.22 ID:HVaadGW00
あんじゅ「……にこはそのままでいいと思うよ。変にキャラ作りすると絶対に裏目に出るから」 

にこ「なんですって!?」 

あんじゅ「だって本当のことだもん」 

にこ「ぐぬぬ!」 

あんじゅ「にこは等身大のままで居てよ。私達が絶対にラブライブに連れてってあげるから」 

あんじゅ「そこからはにこの手腕で勝ち抜いていこうよ」 

にこ「本当に生意気なんだから。あんじゅ、ありがとう」 

あんじゅ「どういたしまして!」 

◆ネクストストーリー◆ 
お年玉1(絵里対海未) 
お年玉2(のんたん+X) 
冬の小話集

796 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/02/14(土) 17:31:15.29 ID:PnD9Jman0
※このお話は読み飛ばしてもそれなりに大丈夫です。 

◆お年玉1 くだらなくも壮絶な闘い 〜Ver.Qカード〜◆ 

――プロローグ ルールは>>741 >>742 

海未「絵里は一人ですが私は二人。今では痛い程理解しているのではないですか?」 

悔しいけれど認めなければならない事実。 

だけどそれを形にして表に出すことは出来ない。 

少しでも悟られてしまえば、そのまま闇の中に引きずり込まれてしまいそうだったから。 

ロシアですら感じたことのないこのプレッシャー。 

あんじゅが考えたゲームとはいえ、カードゲームである以上海未に負けるとは考えていなかった。 

だが、あんじゅはこのゲームを考案した際にもう一言告げていた。 

海未を特訓すると。 

SMILEの大きな妹であり、本気を出すと誰でも手玉に取れそうなくらいの策士でもある。 

そんなあんじゅが特訓しただけでこんなにも変わると言うの?
797 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga] 2015/02/14(土) 17:31:56.98 ID:PnD9Jman0
海未「短所は磨いて武器にして、相手の慢心を穿つ刃とする。これがあんじゅの教え。そして――」 

本番二戦目にして開示された、絵里の敗北の知らせである結果を指差す。 

海未「――これが現実です。もはや絵里、貴女では私には勝てません。クイーンに相応しいのはこの私!」 

手の平で弄ばれる不快感と共に感じたのは、圧倒的なまでの実力差。 

見える、大群を率いるウミンディーネの姿が。 

私の軍は寄せ集め。 

数も実力も統率力も段違い。 

今の海未は完全にQカードの持つQの意味。 

クイーンに相応しい。 

練習を言い出したこと自体が既に海未にとっては本番への布石であり、私にとっては本当に練習でしかなかった。 

そう、もはやそこで海未のリアルの方が私よりも深かった。 

これはもう……勝てない。 

負けて当然なのかもしれない。
798 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/14(土) 17:32:33.13 ID:PnD9Jman0
海未「実力差を知り、早々にサレンダーすることは懸命な判断ですよ。寧ろ、無駄に足掻くのは正直醜いです」 

海未にカードゲームで負けるなんて思っていなかった。 

運の要素もあるけど、駆け引きの面も取り込まれているからより磐石な勝利を描いていた。 

でも、実際はこれ。 

ブルーリベリオンと名付けるに相応しい海未の反逆の革命……! 

海未「さぁ、降参と一言だけでいいのですよ。そうすればこの戦いから逃れられる」 

泥土の中に垂らされた一本の雲の糸。 

降参をすれば楽になれるという甘い誘惑。 

絵里「  」 

プライドを捨ててその言葉を口にしようとした時、声が拒絶するように出てこなかった。 

そう、私は邪道シスターズの長女。 

トウシューズを捨てて逃げ出した頃とは違う。 

出逢った絆の多さが私を強くした。
799 : ◆GKcmsITYJ1lx[saga sage] 2015/02/14(土) 17:33:56.16 ID:PnD9Jman0
もう二度と逃げ出さない。 

逃げ出した方がもしかしたら傷は浅く済むかも知れない。 

でも、構わない。 

絵里「私は逃げ出さない。勝負はまだ始まったばかりよ」 

海未「絵里がそんなにじぶたれな判断をするとは思いませんでした」 

女王の威光を身に纏い、言葉という剣を首元に当てられる。 

それでも私の答えは変わらない。 

絵里「慢心は人に足元を掬われる。それを教えてもらった代わりに、それをそのまま教え返してあげるわ」 

追い詰められた時こそ不敵に笑う。 

私の小さな妹にこのスタイルを真似るように、笑ってみせる。 

海未「良いでしょう。クイーンの名に相応しいのはどちらか、勝負の結果で教えてさしあげます」 

その自信を引き剥がして、女王からお姫様に戻してあげるわ。 

穂乃果「……はぁ〜。お茶が美味い」 

海未の王子様の前だしね!