493: 名無しさん 2019/04/09(火) 20:48:36.91 ID:aRLHXNvGo
夏樹「ああ」 

武内P「はあ……そう、ですか」 

夏樹「そうなんだよ」 

武内P「……頑張ってください」 


夏樹「ははっ!」 

夏樹「クールになりたいんだよ」 


武内P「……」 

武内P「いえ、あの……お話が、よく……」


引用元: ・武内P「泥酔、ですか」

494: 名無しさん 2019/04/09(火) 20:51:39.44 ID:aRLHXNvGo
夏樹「……聞いてくれるかい?」 

武内P「聞かなくても良いのでしたら……」 

夏樹「オーケー、聞いてくれ」 

武内P「……何故、聞いたのでしょうか?」 


夏樹「アタシは――熱いロックの魂を持ったアイドルだ」 

夏樹「……アンタもそう思うだろ?」 


武内P「あの……木村さん」 

武内P「仕事中なので、出来れば手短に……」

495: 名無しさん 2019/04/09(火) 20:55:43.59 ID:aRLHXNvGo
夏樹「……ギターをかき鳴らして、魂をぶつける」 

武内P「ええ……」 

夏樹「……ファンの熱気と声援が、最高のステージを演出する」 

武内P「そう、ですね……」 


夏樹「目指すは――スターさ」 

夏樹「熱い血の流れる……燃えるロックだ」 


武内P「……木村さん」 

武内P「帰っていただいても、良いでしょうか?」

496: 名無しさん 2019/04/09(火) 20:58:13.36 ID:aRLHXNvGo
夏樹「……でもな、気付いちまったんだ」 

武内P「! ようやく、核心に……!」 

夏樹「……聞いてくれるかい?」 

武内P「どうぞ、話してください」 


夏樹「そうだな……」 

夏樹「あれは、つい三日前の事――……」 


武内P「……」 

武内P「えっ!? あの……回想に入るのですか!?」

497: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:01:21.83 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・ 

三時間前 


夏樹「――アタシに憧れるのは、やめる?」 

李衣菜「うん」 

夏樹「おいおい、どうしたんだよ急に?」 

李衣菜「私……考えたんだ」 


李衣菜「憧れてちゃ……背中ばっかり見てちゃ駄目だ、って!」 

李衣菜「なつきちとは対等な友達……ううん!」 

李衣菜「――仲間になりたいから!」ニコッ! 


夏樹「だりー……お前……」

498: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:05:03.14 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・ 

武内P「待ってください?」 

夏樹「うん? どうしたんだい?」 

武内P「三日間……悩んだ末に相談に来たのかと……」 

夏樹「ははっ! 何を言ってるんだよ!」 


夏樹「ロックに生きる人間の人生ってのは、スピードが早いんだ」 

夏樹「つまり――三日前も三時間前も、大した違いは無いのさ」 


武内P「……そう、ですか」 

武内P「すみません、どうぞ続きを……」 

武内P(……割とすぐに相談に来るほどの事があった、と)

499: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:09:00.18 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・ 

三時間前 


夏樹「……ははっ、嬉しい事を言うじゃないか!」ニコッ! 

李衣菜「へへっ! なつきちなら、そう言うと思った!」ニコッ! 

夏樹「でもな、だりー?」 

李衣菜「何?」 


夏樹「対等な仲間なら、せめてギターは弾けないとな!」 

夏樹「エアギターも悪くはないが、さすがにしまらないだろ?」 


李衣菜「ぎ、ギターは練習中だから!///」 

李衣菜「……でも、楽しみにしててよね!」

500: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:11:49.92 ID:aRLHXNvGo
夏樹「やれやれ、いつの事になるやら、だ」 

李衣菜「……あっ、ちょ、ちょっと待ってて!」 

夏樹「ん? どうした?」 

李衣菜「ごめん、すぐ戻るから!」 



李衣菜「――涼さーん!」ニコニコ! 


涼「――ん? 李衣菜じゃないか」 


夏樹「……」 

夏樹「うん?」

501: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:15:56.94 ID:aRLHXNvGo
涼「どうしたんだ、そんな慌てて?」 

李衣菜「いっ、いえ!/// 涼さんの姿が見えて……それで///」 

涼「ははっ、嬉しい事言ってくれるな」ニコリ 

李衣菜「わ、私は思った事を言っただけですよ!///」 


李衣菜「涼さんは、私の憧れですから!///」 

李衣菜「クールで、ロックで……格好良くて!///」 

李衣菜「私も、涼さんみたいになりたいなぁ、って!///」 

涼「そ、そうなのか?」 

李衣菜「はいっ!/// 服装も、涼さんを意識して……」 

李衣菜「……あっ、あはははは!///」 


夏樹「……」 

夏樹「おや?」

502: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:20:54.32 ID:aRLHXNvGo
涼「まあ……とりあえず落ち着きな」 

李衣菜「あっ、は、はいっ!///」 

涼「ふふっ、だけど……そう言われて悪い気はしないね」 

李衣菜「え……えへへ///」 


涼「だけど、そういう言葉は――」 

…とん、とん 

涼「――口に出さず、胸の中にしまっとくものさ」 

李衣菜「涼さん……」 

涼「魅せるのはプレーで」 

涼「――その方が、クールだろ?」ニコリ! 

李衣菜「は……はいっ!///」ジュンジュワー! 


夏樹「……」 

夏樹「んんっ?」

503: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:26:42.30 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・ 

夏樹「――熱い思いを叫ぶのも、ロックだろ!?」 

武内P「その、つまり……」 

夏樹「だりーの奴……なんだ、あの顔!」 

武内P「……」 


武内P「多田さんは……そういう所がありますから」 

武内P「なので、彼女はキュートではなく――クールなのです」 


夏樹「いいや、あの顔はキュートだった!」 

夏樹「クソッ! あのキュートさ、みくの影響だろ!」

504: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:31:03.00 ID:aRLHXNvGo
夏樹「兎に角、このままじゃだりーは女の子になっちまう!」 

武内P「あの……多田さんは、既に女の子ですが」 

夏樹「何!? それは、どこ情報なんだ!?」 

武内P「えっ!? その……色々です」 


夏樹「……なんてこった!」 

夏樹「もう、だりーは手遅れだってのか!?」 


武内P「……木村さん」 

武内P「少し、心の火力を落として頂けますか?」

506: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:34:58.88 ID:aRLHXNvGo
武内P「……ですが、安心しました」 

夏樹「安心?」 

武内P「はい、私はてっきり……」 

夏樹「おい、ハッキリ言ってくれよ」 


武内P「憧れる相手を――乗り換えた」 

武内P「木村さんではなく……松永さんへと」 

武内P「貴女は、その事に関して複雑な感情を抱いt」 


夏樹「アタシから……涼に!?」 


武内P「……」 

武内P「すみません、今の発言は忘れてください」

507: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:44:04.52 ID:aRLHXNvGo
武内P「しかし……成る程、そんな事が」 

夏樹「なあ、乗り換えたってのは……」 

武内P「そう、ですか……と、言うことは……」 

夏樹「おい、聞いてるのかい?」 


武内P「はい」 

武内P「エルドリッチ・ロアテラー with 多田李衣菜」 

武内P「その準備として……彼女に、ホラー映画鑑賞をして頂く、と」 

武内P「……その必要性が出てきましたね」 


夏樹「……」 

夏樹「ははっ、おいおい……何て?」

508: 名無しさん 2019/04/09(火) 21:51:07.48 ID:aRLHXNvGo
夏樹「アタシは、クールになって……だりーの目を覚まさせようと、な?」 

武内P「はい、それは理解しています」 

夏樹「本当だな? じゃあ、良い方法はあるかい?」 

武内P「ええ、勿論です」 


武内P「まず、ゾンビの扮装をして……白坂さんに、お願いします」 

武内P「恐らく、ほぼ確実に了解が得られるでしょう」 

武内P「そして、白坂さんから松永さんに話を通していただき……」 

武内P「――笑顔です」 


夏樹「ユニットを組むまでの流れじゃなくてだな!?」 

夏樹「アタシが、クールになる方法を聞いてるんだよ!」

509: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:00:19.97 ID:aRLHXNvGo
武内P「す、すみません……新しい可能性に目が眩んで、つい」 

夏樹「今は、だりーを何とかするのが先決だろ?」 

武内P「……ええ、確かにそうですね」 

夏樹「! わかってくれたか!」 


武内P「! そう言えば……多田さんが、先日――」 

武内P「――日焼けサロンに行ってみたい」 

武内P「……と、言っていたのは……まさか!?」 


夏樹「……ああ」 

夏樹「アウトじゃないのか、それ!?」

510: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:05:34.61 ID:aRLHXNvGo
武内P「いえ、それはすぐに考え直して頂けたのですが……」 

夏樹「すぐに? いや、そんな簡単にいくか……?」 

武内P「はい、簡単に」 

夏樹「だりーは、結構頑固な所もあると思うが……」 


武内P「――多田さんは、肌が綺麗なので」 

武内P「――そのままでも十分に魅力的なので、勿体無いと思いますが」 

武内P「……と、説得したら……はい、すぐに」 


夏樹「……あー、うん」 

夏樹「だりーなら……まあ、説得されるな、それ」

511: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:09:33.15 ID:aRLHXNvGo
夏樹「でも、何とかしなきゃいけない……だろ?」 

武内P「ええ……確かに、その通りです」 

夏樹「それには、アタシがクールな魅力を見せて……」 

武内P「多田さんに、憧れさせなおす……と」 


夏樹「何か、良い方法はないか?」 


武内P「そう、ですね……」 

武内P「……自己暗示は、どうでしょうか?」 


夏樹「……自己暗示?」

512: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:19:03.62 ID:aRLHXNvGo
武内P「ロックな魂……それは、心の在り方と言う事かと」 

夏樹「まあ……確かに、そういう言い方も出来る」 

武内P「なので、自ら言い聞かせる事によって……」 

夏樹「まあ……他人に何かされるよりは、効果がありそうだ」 


夏樹「……」スッ… 

夏樹(クール……クールになるんだ……クール、クール……) 


武内P「! 凄い……!」 

武内P「今の木村さんは、燃え盛る炎ではなく……」 

武内P「高温の……青い炎の様です……!」

513: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:24:13.89 ID:aRLHXNvGo
夏樹「クール……クール……クール……!」 


武内P「……人々の心を動かすロックな魂」 

武内P「それは……自分の心ですら、動かしてしまうのですね」 


夏樹「クール……クール、クール、クール――」 


武内P「っ!? まずい!」 


夏樹「――COOL! COOL! COOL! COOL!」 


武内P「ああっ!?」 

武内P「COOLからHOTになってしまった!」

514: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:28:07.52 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・ 

ガチャッ! 

李衣菜「――おはようございま……」 


武内P「待ってください! それは、ダイナミックです!」 

夏樹「はぁ……! はぁ……クソッ、駄目か!」 

武内P「木村さん、もうこれ以上は……!」 

夏樹「ははっ……アタシを誰だと思ってるんだい?」 

武内P「木村さん……」 

夏樹「見ててくれよ? アタシの生き様!」ニコッ! 

武内P「……良い、笑顔です……!」 


李衣菜「……な」 

李衣菜「何してるの……!?」

515: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:34:36.29 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・ 

李衣菜「――もう! そういう事は、ちゃんと言ってください!」 

武内P「す、すみません……」 

李衣菜「なつきちも! ‘らしく’ないよ!?」 

夏樹「わ、悪いな……確かに、そうだった」 


李衣菜「確かに……涼さんに憧れてはいるよ?」 

李衣菜「でも、そう言うのじゃないし……」 

李衣菜「それに、あくまでも‘今の’私の目標ってだけでね?」 

李衣菜「ギターがちゃんと弾ける様になったら、また別」 

李衣菜「だって、涼さんボーカルだし」 


武内P・夏樹「……」 

武内P・夏樹(……クール!)

517: 名無しさん 2019/04/09(火) 22:46:23.72 ID:aRLHXNvGo
夏樹「だりー……実は、結構考えてたんだな」 

李衣菜「ええっ!? そんなにしみじみ言うこと!?」 

武内P「はい……私も、少し驚いています」 

李衣菜「……もー! 私だって、色々と考えてるんですからね!」プンスコ! 


夏樹「ははっ! そう怒るなって、だりー!」 

武内P「……よろしければ、聞かせて頂けますか?」 


李衣菜「えっ? ええっ、と……」 

李衣菜「――家事スキルは、後五年もすればきっちり仕上がる、とか?」 

李衣菜「二十代前半の需要が高い内はアイドルをやって……」 

李衣菜「二十代後半になったら、ロックな電撃結婚で引退して……」 

李衣菜「なーんて、考えてますけど……えへへ!」ニコッ! 


武内P「…………良い、笑顔です」 


夏樹「クールぶってる場合じゃないだろ!?」 



おわり