─
──
───
────
─────
──────
───────
教室
那智「合同訓練申請書の提出期限だが、今をもって締め切る」
那智「今からの変更は特別でない限り不可能とする」
那智「というわけで、今週末から始まる合同訓練に向けて各自しっかりと準備をするようにな」
那智「以上」
515: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:42:06.30 ID:xPj6qw8B0
女提督「……すいませーん、那智教官」
那智「なんだクズ」
女提督「あのぉ……実はまだ申請書を提出してなくてですね」
那智「知っている」
女提督「へ?」
那智「言った筈だ。申請書を提出しなかった者は減点対象だと」
女提督「あ、減点ですか……なるほどー……」アセアセ
那智「減点、という意味はわかっているよな?」
女提督「えっとどうなるんでしょうか?」ゴクリ
那智「明日から毎日補修だこの馬鹿者が!貴様のその生ぬるい精神をたたき上げてやる!」
女提督「ひぃいいいいいい」
生徒達「「(学習しねぇなー……あいつ)」」
516: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:43:18.76 ID:xPj6qw8B0
~ 放課後 ~
加賀「空母型の加賀です。よろしくお願いします」
日向「戦艦型の日向だ。よろしく」
大和「ええ、よろしくお願いしますね」ニコ
提督「ふぅ……無事人数があつまって良かった。何はともあれ、みんな仲良くやっていこうね」
517: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:44:24.84 ID:xPj6qw8B0
大和「提督、ちょっとこっちへ」
提督「ん、、どうした?」
大和「いいからきなさい」グイ
提督「うぐ……ひっぱるなよ急に」
大和「説明してもらおうかしら」
提督「何をだよ」
大和「あの二人を選んだ理由」
提督「俺の友人だ」
518: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:46:22.92 ID:xPj6qw8B0
大和「そう」スッ
提督「いひゃひゃ!ほほをひっぱるひゃ!」グイーン
(いたた!頬をひっぱるな!)
大和「提督、言ったわよね?」
────「選考会でじっくり見て考えて、自分が納得した人達を選ぶ(キリッ」
大和「それでなんで結局、自分の知り合いを選んでるのよ!」
提督「……ひょ、ひょうがひゃいだろ!へらぼうにぼあらひょいが激しくてさ」グイーン
(しょうがないだろ!選ぼうにも争いが激しくてさ)
提督「ひゃいつらはひゅぎょくいいひょだしひっとひゃんばってひゅれるとひょもったんひゃ!」
(あいつらはすごくいい奴だしきっとがんばってくれると思ったんだ!)
大和「…………」ジー
提督「うう……」ビヨーン
大和「はぁ……まぁいいわ」スッ
大和「なんとなくこうなる事は分かってたしね」
519: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:47:24.51 ID:xPj6qw8B0
提督「いてて……まぁたしかにちょっと予定とはちがうけどさ……」
提督「俺はこのメンバーで十分な成果をあげる自信があるよ」
大和「根拠は?」
提督「なんとなく」
大和「次はどこつねってやろうかしら」
提督「ま、まて!暴力反対!」
520: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:48:31.95 ID:xPj6qw8B0
加賀「……あの」
大和「はい!どうしたの?」
提督「(助かった)」
加賀「随分仲が良いんですね」
大和「そうね。昔からの知り合いだし」
加賀「なるほど」
日向「ほう、恋仲……という訳ではないのか?」
大和「そんな訳ないじゃない、ただの幼馴染よ」
提督「(ただの……ね)」サスサス
521: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:49:40.15 ID:xPj6qw8B0
大和「さぁせっかくあつまったんだし、親交会と称してどこかへ行きましょう」
提督「お、いいな。どこがいいかな」
加賀「それならここの近くにデザートが美味しいカフェができたと聞きました」
大和「いいわね~。そこにしましょう。日向は平気かしら?」
日向「ああ、問題ない」
大和「よし♪それでは提督の奢りでデザートを堪能しに行きましょう!」
提督「おう!」
提督「…………え?」
522: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/11(水) 11:51:55.00 ID:xPj6qw8B0
~ 喫茶店 ~
加賀「ふむ……これは中々ですね」モグモグ
大和「甘くて美味しい~♪」モグモグ
日向「たまにはいいものだな」モグモグ
提督「……み、皆さんよくお食べになりますね」ヒクヒク
加賀「すみません、これとこれとこれも追加したいのですが」
大和「あら、加賀はよく食べるわねぇ。なら私も頼んじゃお。日向も遠慮しなくていいわよ」
日向「ふむ。お言葉に甘えて……実はこれが気になっていたんだ」
提督「……お前ら、俺が払うんだからな……」
~ 数時間後 ~
大和「はぁ~美味しかったわね♪」
加賀「噂になるだけありますね」
日向「ああ、洗練された味わいだった」
マタキマショウ
ソウデスナ
タノシミダナ
ワイ ワイ
提督「……俺の……3か月分のお小遣い……俺の……」チーン
──────
─────
────
───
──
─
540: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:36:29.72 ID:7Og07Pdy0
─
──
───
────
─────
──────
合同訓練 初日
那智「さて、今日から合同訓練を開始するわけだが」
那智「訓練の詳細について説明していきたいと思う」
那智「羽黒教官、頼んだぞ!」
羽黒「はぃぃ……わ、私ですか……」オドオド
那智「そうだ。昨日言っただろ」
羽黒「わ、分かりました」
541: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:38:35.13 ID:7Og07Pdy0
羽黒「で、ではわたくし羽黒がセツメイをさせていただきます」オドオド
羽黒「ええと、合同訓練は3人の艦娘と指揮官一人によるチーム単位で行われる訓練です……はい」
羽黒「その内容は様々で、チーム連携を確かめるものや個々の力を高め合うものなど色々あるのですが……」
羽黒「合同訓練の中で最も……成績に反映されるのがチーム演習戦です」
羽黒「チーム演習戦とは、チーム対チームの擬似実戦の事でして……」
羽黒「えと、、、定期的にチーム同士の艦隊戦を行い……」
羽黒「その結果で順位を決めるものになりますぅ」
542: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:39:31.10 ID:7Og07Pdy0
羽黒「指揮官の方はチームワークと個々の力を高めるように努めて」
羽黒「上位にはいれりゅ……」
羽黒「……///」
生徒達「「(噛んだ……)」」
羽黒「上位に入れるようがんばってください///」
羽黒「終わりです!///」サササササ
生徒たち「「(かわいいなあの人……)」」
543: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:41:41.28 ID:7Og07Pdy0
那智「うむ。ありがとう羽黒」
那智「羽黒が説明してくれた様に合同訓練とはチーム演習戦の為に行われるものと思ってよい」
那智「この演習の結果でお前らの着任する鎮守府等が決まるといっても過言ではないから」
那智「各自本気で取り組み、いい結果を残すんだぞ」
那智「という訳で以上だ。この後はチーム基本訓練の指導を行うから準備してくれ」
提督「(チーム演習戦……)」
提督「(て事は同級生の指揮官は全員ライバルか)」
提督「(なんか燃えてくるな)」
544: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:43:45.92 ID:7Og07Pdy0
─────────────
訓練場海域 訓練中
加賀「……距離20000、五時方向に目標発見です」
大和「了解よ!」
日向「了解した!」
加賀「目標、高速でこちらに接近」
大和「いたわね!連装砲、発射準備!」チャキ
日向「…………っ」チャキ
大和「……引きつけるのよ」
日向「…………」ググ
大和「うてぇーーー」
ドォン ドォン ドォン ドォン ドォン ドォン
大和「外したわ!日向!右から迂回して先回りお願い!私は反対から回る!」
日向「了解!」ダッ
545: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:47:40.86 ID:7Og07Pdy0
提督「(今やっているのは目標索敵及び目標破壊訓練)」
提督「(加賀が艦載機で索敵を行い、大和と日向が目標の破壊を行うというシンプルなもの)」
提督「(シンプル故に個人の能力が分かりやすくでる)」
提督「(とりあえず各々の簡単な評価をしてみるけど……)」
提督「(加賀は索敵にもう少し早く成功して欲しい所)」
提督「(実戦であればあれくらいは距離30000~50000で発見してくれなくては困るよな)」
提督「(あとは性格だから仕方ないのかもだけど、もう少し索敵から得た情報の連携を多くしてほしい)」
546: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:49:08.93 ID:7Og07Pdy0
提督「(大和は旗艦として上手くリーダーシップを発揮している)」
提督「(砲撃も当たってはいないものの効果的かつ正確さがうかがえる)」
提督「(けど、一つ気になる点)」
提督「(直線的な動きは速いがそこから動く動作が非常に遅い)」
提督「(大和の専用艤装は妖精さんの話によるとかなり重いらしく)」
提督「(恐らくそれが原因だ)」
547: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:50:56.01 ID:7Og07Pdy0
提督「(日向は全体的に標準以下でこの3人の中では足を引っ張っているのが正直な所だけど)」
提督「(本人が真面目で向上心が高い所は救いだな……)」
ビーーーーーーーーーーー
提督「終わったか」
大和「ふぅ……」
日向「はぁ……はぁ……」
加賀「…………」
提督『みんなお疲れ様』(無線)
提督『とりあえず今日はこれで終わりだ。この調子で明日も頑張ろうな』
548: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:54:00.51 ID:7Og07Pdy0
提督「(まぁ……実際彼女達の事ばかり言える立場でもないんだよな……)」
提督「(俺だってまだまだ未熟……とにかく経験が足りない)」
提督「(本に書いてあった事を頭に詰めこんではいるものの)」
提督「(その知識を有用に使えているかとは別の話)」
提督「(戦術などの指示は勿論……)」
提督「(彼女達のコンディション管理や艤装の調整)」
提督「(結局チーム力の半分は俺にかかっているといっても過言ではない)」
提督「(とりあえず近いうち始まるチーム演習でどれだけできるかを確認しないと……)」
549: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/12(木) 15:56:34.56 ID:7Og07Pdy0
~ 数日後 ~
チーム演習戦 第一回
羽黒「み、みなさんおはようございます……」
生徒たち「「おはようございます」」
羽黒「今日からは予告していた通り……チーム演習戦が始まります」
羽黒「各チームは艤装準備後、演習専用海域に移動してくださいね……」
羽黒「み、みんながんばですよ」グッ
生徒たち「「はーい(かわいいなぁこの人)」」
560: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:28:10.05 ID:b8ifAtf50
演習専用海域 母艦上 チーム演習戦前
那智「揃ったようだな」
那智「聞いているとは思うが、30分間のチーム戦。どちらかが全員戦闘不能になるか、もしくは時間切れになるまで試合は終わらんからな」
那智「指定されている艤装以外の選択はなし、艦載機の運用数に限度はない。極力使用資材は抑えた方が評価は高くなる」
那智「試合判定は様々にあるが、完全勝利がもっとも評価が高い」
那智「戦闘不能になった者は回収班がくるまでなるべく動かないようにな」
那智「ルールについてはこれで以上だ」
那智「それではこれから呼ばれる者は海上に降り、速やかに指定された場所へ行き待機しろ」
那智「第1艦隊 と 第2艦隊 それぞれA地点とB地点に向かえ」
提督「(俺達は第25艦隊だから……しばらくかかりそうだな)」
561: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:29:41.81 ID:b8ifAtf50
───────────────
那智「────よし、次だ。第24艦隊と第25艦隊、C地点とD地点に別れろ」
提督「いよいよだな」
大和「そうね……」
日向「緊張してきた……」
加賀「…………(お腹へってきました)」グゥ
???「ヤァ、君が今回の僕の対戦相手かい?」」
提督「ん?」
562: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:31:51.82 ID:b8ifAtf50
エリート提督(以下、エリート)「僕はエリート提督。第24艦隊の指揮官だ」
エリート「よろしく、フフン」
提督「どうも、俺は提督。よろしくな」
エリート「ふーん」ジロジロ
提督「な、なんだ」
エリート「はぁ……つまらん」
提督「ん」
エリート「全く駄目だな、話にならん」
提督「え?」
563: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:33:14.94 ID:b8ifAtf50
エリート「君達の様な雑魚と戦かうなんて……基礎訓練をやってた方がまだマシだ」
提督「急になんなんだ。喧嘩売ってんのか?」
エリート「どう思われても結構。喧嘩にもならんさ」
エリート「だろ?瑞鶴、翔鶴、最上」
最上「んー僕は別にー。ってか早くいこーよ」
瑞鶴「そうね。私と翔鶴姉がいる限り負ける筈ないわ」
翔鶴「瑞鶴、そういう慢心はいけませんよ」
564: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:35:38.30 ID:b8ifAtf50
大和「ちょっと!さっきから黙って聞いていれば……やってみなきゃ分からないじゃない!」
エリート「ノンノン!僕ほどになると見た感じで分るんだよねぇ」
エリート「この世界は君達のようなアマちゃんでは生き残れないんだよ」
大和「何を……っ」
エリート「んん~僕からみれば君たちは遊びでこの場所にいるように見えるくらいさ」
提督「……その言葉、撤回させてやる」
提督「大和、加賀、日向、開始地点へ行くぞ」スタスタ
エリート「フンッ」
エリート「……ま、教えてやるよ。艦娘の艦隊戦を」
エリート「手取り足取り……ね」
──────
─────
────
───
──
─
565: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:40:13.65 ID:b8ifAtf50
─
──
───
────
─────
──────
~ 数時間後 ~
訓練場 休憩室
提督「…………」
日向「てい……」
大和「日向、一人にしてあげて」
日向「けど……」
大和「いいのよ。一人の時間も必要だと思うわ」
日向「私が不甲斐ないばかりに……」
大和「そうね。負けた私達にも責任はあるわ」
大和「だけど、彼は指揮官。私達は艦娘。上に立つものと下に立つもの」
大和「いい方は少し変かもしれないけど責任の感じ方が違うのよ」
日向「……うむ……」シュン
加賀「(…………)」
大和「(ごめんね提督、私達のせいで)」
大和「(でも……)」
566: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:41:20.35 ID:b8ifAtf50
提督「(……アイツ(エリート)に手も足もでなかった)」
提督「(少しはいい勝負ができると思って……いや、勝てるとすら思ってた)」
提督「(だが実際はどうだ)」
提督「(全ての動きが読まれ、つぶされ、そして何もできなかった)」
提督「(大和、加賀、伊勢の実力が足りないんじゃない)」
提督「(俺の作戦や用意していた艤装が全て負ける要素につながっていた……)」
提督「(つまり俺のせいだ)」
567: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/13(金) 11:41:53.61 ID:b8ifAtf50
提督「(俺の実力……)」
提督「(俺なんて所詮その程度の……)」
────────エリート「戦場は遊ぶ所じゃないんだよ。覚悟がないならさっさと辞めるんだな、雑魚」
提督「…………」
提督「くそぉっ!!!」ガンッ
提督「ちくしょう……」グスッ
──────
─────
────
───
──
─
576: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:15:57.20 ID:n774qzvio
~ 次の日 ~
大和「提督が休み?」
加賀「ええ、那智教官はそういっていました」
大和「最近一緒に登校してなかったからきづかなかったけど……」
大和「もしかしてまだ落ち込んでるのかしら」
加賀「さぁどうでしょうか……」
大和「……ったくしょうがないわね。学校が終わったら声をかけにいってくるわ」
大和「(何やってるのよまったく……)」
577: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:18:42.44 ID:n774qzvio
────────────────────
~ 放課後 ~
提督の家
大和「提督が昨日から家に帰ってない?!」
提督母「そうなのよ。てっきり学校の寮にでも泊まってると思ってたんだけど」
大和「そうですか……ありがとうございます」
大和「(ホントにどこいったのかしら……)」
大和「(どうせ自分の部屋で引きこもってると思ったのに……)」
大和「(まさか……あまりのショックに……自分探しの旅へ!?)」
大和「(ってないない……そんな性格じゃないわね)」
大和「(うーん、、、、提督の事だからどっか一人になれる場所で考え込んでると思ったんだけど)」
大和「(一人になれる場所、か)」
大和「(…………もしかしたら)」
578: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:21:09.40 ID:n774qzvio
─────────────────────
海の近くの山 頂上
大和「(まさかとは思うけど、ここに居たりなんて事は)」キョロキョロ
大和「(ん……だれか寝転んでるわね……)」
提督「…………」ブツブツ
大和「提督!」ダッ
大和「心配したじゃない!学校にも家にもいないってきいたから!」
提督「……そうか……あの時これをこうして……」ブツブツ
大和「……提督?聞いてるの?」
579: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:24:17.65 ID:n774qzvio
提督「……妖精Aさんもそう思うか?……だよね……あとは……ここをこうすれば……」ブツブツ
大和「提督くーん……」ヒクヒク
提督「え?……日向を改造できるって?…なるほど…それならいい戦術があるんだ……うん……うん。わかった……」ブツブツ
大和「そう……あくまで無視するってわけ」
大和「……仕方ないわね」
大和「コホンッ」スゥッ
大和「てーーーーとーーーくーーーー!!!!」
提督「わぁあああああああ耳がぁあああ」キーーーーーン
提督「大和!!急に何するんだよ!!」
大和「何するんだよ!じゃないわよ。こっちが心配して見にきてあげたのに」
提督「え……ああ、そうか。家に連絡するの忘れてたな」
580: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:25:31.96 ID:n774qzvio
大和「まったく……こんな所で何してんのよ」
提督「妖精さんと、、、いや、昨日の反省会だよ」
提督「何がいけなかったのか、何をすればよかったのか」
提督「今後の課題や訓練方針を見直してたんだ」
大和「ふぅーん」
提督「でも大体終わったよ。昨日からここにいたおかげで」
大和「昨日からって、、、もしかして寝ないでここで?」
提督「うん。さすがに夜は肌寒かったね」
大和「……呆れた。ホント昔からそういう所あるわよね」
581: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:27:06.70 ID:n774qzvio
大和「でも……良かったわ。ずっと落ち込んだりすねたりしてなくて」
提督「いや、落ち込んだりすねたりもしてたよ。正直悔しすぎて泣いてたし」
提督「でもしょうがないさ……誰だって失敗はある」
提督「ただその失敗をどう生かすかが問題だ」
大和「提督……」
提督「……エリートに言われて気づいた。覚悟が足りないってね」
提督「自分がなんで士官学校に入ったか、大事な意思が薄れてたよ」
提督「だから……ここに来て改めて気持ちの整理をしてた」
提督「次あのエリートとかいう奴とやる時!絶対に一泡吹かせてやる!なぁんて考えたりもね」
大和「……ふふ」
提督「な、なんだよ。笑う所なかっただろ」
大和「なんか提督らしいなって」
提督「うん?」
大和「そうね。あの男に一度やり返さなきゃ気が済まないわ」
提督「ああ……やってやろうぜ」
582: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:28:54.92 ID:n774qzvio
───────────────────────
~ 次の日 ~
提督「おはよう加賀」
加賀「……おはようございます」
提督「はい、いつものここ置いとくよ」スツ
加賀「ありがとうございます」ポスッ
提督「俺もおにぎり食べよっと」スッ
加賀「…………」チラッ
提督「うん、塩加減ちょうどいい感じだな」
加賀「あの……」
提督「ん?」
加賀「昨日休んで……体調の方は?」
提督「え?ああ……平気だよ。心配してくれてありがとう」
加賀「そうですか」
加賀「……私もいただきます」パサッ パクッ
提督「どーぞどーぞ」
加賀「(良かった。落ち込んでないみたいですね)」ホッ モグモグ
583: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:31:52.10 ID:n774qzvio
───────────────────
───────────────────────
書庫室
提督「んーとたしかここらへんにあの本があった筈だけど……」
日向「これの事か?」
提督「そうそれ!……って日向。いるなら声かけてよ」
日向「すまない。こちらに気づくかなと思いながらみてはいたのだが」
提督「見てたのか……ってその本はもう読んだの?」
日向「先日読み終えたよ。良ければどうぞ」
提督「おう、ありがとう」パシ
提督「んー……やっぱりこの本が一番分かりやすそうだ」ペラッ
日向「…………」ジー
日向「提督、、、その……調子はどうだ?」
提督「え?普通だけど……どうした?」
日向「いや、問題ないならいいんだ。うむ」
提督「なんだよ。急に」
日向「……今日もがんばろう、訓練」
提督「お、おう?」
日向「(いつも通りみたいだな……良かった)」
584: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:53:27.21 ID:n774qzvio
~ 合同訓練中 ~
提督「今日は艦載機への対策訓練をしていこう!」
提督「加賀、訓練用の艦載機をとばしてなるべく砲撃をよけるように操作してくれ」
加賀「分かりました」
提督「あとの二人は艦載機に上手く当てる様に砲撃練習だ」
日向「わかった」
大和「了解よ」
提督「俺はちょっとやりたい事があるから外すよ」スッ
・
・
・
・
・
・
加賀「無事元気になって良かったですね、提督」
日向「そうだな。学校を休んでたようだから心配していたが……」
大和「あのバカは一日寝ずに一人で反省会なんてしてたのよ」
大和「まったく……心配して損したわよ」
加賀「ふふ」
日向「責任感の強い男だな」
大和「……あたし達もそれに応えなきゃね」
加賀「…………」コクリ
日向「ふむ……」グッ
艦娘達「「(次のチーム演習戦で……上位を狙う!)」」
585: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:55:25.85 ID:n774qzvio
─
──
───
────
─────
──────
~ 別の日 ~
教官室
那智「どうだ、羽黒。チーム演習の様子は」
羽黒「はい、皆さん頑張ってますよ」
那智「使えそうなのはいそうか?」
羽黒「ええっと……まだ全員見ていませんがまだまだ実戦レベルのチームは少ないですね……」
586: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:56:28.04 ID:n774qzvio
羽黒「ただ第24艦隊は別格です。今の所ほぼ全てのチームに対して完全勝利の判定がでています」
那智「ほう、エリートの艦隊か。たしか親が艦娘を率いる司令官だったな」
那智「小さい頃から艦娘に関する教育を受けているようだから当然だろう」
羽黒「あとは駆逐艦と軽巡のみの高速一撃離脱型の第8艦隊」
羽黒「空母のみで構成された開幕爆撃特化型の第18艦隊」
羽黒「荒削りですが、その2艦隊は評価できると思います」
那智「ふむ……今年は期待できそうだな」
羽黒「そうですね。意欲的な子が多い気がします」
587: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:58:22.95 ID:n774qzvio
那智「ところで」
那智「第25艦隊はどうだ?提督という男が指揮しているチームだ」
羽黒「あ、はい。今資料を見るかぎりですと……」クルッ
羽黒「えっと、あまり活躍はしていない……感じです。第24艦隊には圧倒されてましたし」
那智「そうか。ならいいんだ」
那智「(第25艦隊を率いる提督という男)」
那智「(最初はド素人同然の奴で厳しめに指導していたが……)」
那智「(まるでスポンジの様に知識や技術を吸収していき)」
那智「(今では上位の成績を維持している)」
那智「(長く教官をしていたがあそこまで学習能力が高い奴は初めてみた)」
那智「(だから今回のチーム演習でどんな活躍を見せるか気になっていたが……)」
那智「(期待違いだったか……)」スタスタスタ
羽黒「あ、ただ第24艦隊が唯一完全勝利を逃した相手みたいですね」
羽黒「他のチームは入渠確実までにやられているみたいですが……」クルッ
羽黒「あれ、那智教官?いつのまにいなくなったんでしょうか……」
588: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/14(土) 14:59:34.89 ID:n774qzvio
─────────────────
訓練場海域
エリート「もっとだ!もっと早く!そんな事では実戦でポンコツにされるぞ!」
瑞鶴「……はぁっ……はぁっ……ったく無茶いうわね」タッタッタッ
翔鶴「…はぁっ…エリートさん……何か苛立っている様に見えますが…はぁっ…」タッタッタッ
最上「あまり……はぁっ……訓練に…はぁっ……私情はもちこまないでほしいよ……」タッタッタッ
エリート「私語は慎め、雑魚共!」
エリート「(くそ、チーム演習の結果すべて完全勝利で収めるはずが)」
エリート「(あの提督とかいう男のチームだけ逃してしまった)」
エリート「(戦術や艤装の選択からして大した事の無いように思えたのだが)」
エリート「(予想より上手く立ち回られてつぶすのに時間が足りなかった!)」
エリート「(……まぐれなのかなんなのか分からんが))」
エリート「(今度ヤル時は全力でひねりつぶす……)」ギリッ
──────
─────
────
───
──
─
597: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:31:43.53 ID:inVOzfPn0
─
──
───
────
─────
──────
~ 数か月後 ~
チーム演習戦 第2回
羽黒「み、みなさん。今日からまたチーム演習戦が始まります」
羽黒「前回中々いい結果を残せなかったチームは……」
羽黒「この数か月の成果を十分に発揮して上位を目指してがんばってください!」
羽黒「ファ、ファイトーですよ!」ブンブン
生徒たち「「…………」」
羽黒「…………」ドキドキ
羽黒「……以上です///」
生徒たち「「(恥ずかしいならやらなきゃいいのに……)」」
598: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:33:22.60 ID:inVOzfPn0
─────────────────
演習場海域
第24艦隊 VS 第25艦隊
エリート「ヤァヤァヤァヤァ、雑魚くん……まちがえた提督くん久しぶりぃぃぃ」
提督「おう、久しぶりだな。クソ……じゃなかったエリート君」
エリート「まぁぁぁたノコノコとボコされに来て君も物好きだねぇ、棄権した方がいいんじゃないのかい?」
提督「アドバイスありがとう。でも君のブッサイクな顔が悔し涙でグチャグチャになるのが楽しみだから遠慮しとくよ」
エリート「ンンー?」
提督「あぁー?」
バチバチ
大和「あらあら火花散ってるわねぇ……」
日向「安っぽい煽り合いだな全く」
599: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:34:59.47 ID:inVOzfPn0
瑞鶴「(あのバカエリート……なんで毎回あんなに相手を煽るのかしら)」
瑞鶴「(別にあんな事言わなくたってウチらが勝つのは決まってるでしょうに……)」
瑞鶴「(ま、いいわ。一応適当に挨拶しとこ……たしかここは同じ空母型の娘がいたはず……)」
加賀「(…………)」ボーッ
瑞鶴「(いたいた)」スタスタ
600: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:37:34.91 ID:inVOzfPn0
瑞鶴「こんにちはえーと……加賀さん?だっけ」
瑞鶴「同じ空母として今日は艦載機でのやり取り楽しみにしてるわ!」
加賀「…………」ジー
瑞鶴「(な、何よこいつ。反応が薄いわね……)」
瑞鶴「ぜ、前回はあたし達の勝ちだったわね。貴方には残念だけど今回も本気でいかせてもらうから覚悟してね」
加賀「………ちょ…」
加賀「…………めん……ちょ」
瑞鶴「……え?なんて?」
加賀「七面鳥が食べたい」ジュルリ
瑞鶴「!?」
601: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:39:11.34 ID:inVOzfPn0
瑞鶴「(あたしを見ながら……七面鳥を食べたいですって!?)」ガウガク
瑞鶴「(七面鳥とは艦載機を落とす時にバカにする言い回し……)」ワナワナ
瑞鶴「(という事はこれはつまり……)」
瑞鶴「あんた、この瑞鶴に喧嘩を挑むとはいい度胸ね。その喧嘩買ったわ」
瑞鶴「前より更にボロボロに負かしてあげる。後悔しなさいよ」ギロッ
スタスタスタスタ
加賀「…………」
加賀「(昨日のテレビでやっていた七面鳥のオーブン焼き……食べてみたいですね……)」
日向「おーい加賀!……って、またボーっとして食べ物の事かんがえてるのか……」
日向「演習前なのによくもまぁ……私は緊張で胃から何かでそうだというのに」
602: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:42:01.06 ID:inVOzfPn0
────────────────────
演習場 海域
羽黒「(さて、そろそろ始めましょうか)」
那智「ちょうど今からか、羽黒教官」スッ
羽黒「あれ?那智教官、わざわざ見に来たんですか?」
那智「ああ書類作業も終わったからな。気分転換に、な」
羽黒「ふふふ、なんだかんだ生徒の事が気になるんですね」
那智「ああ不甲斐ない結果の奴は私が直々に指導せねばいかんからな」ニヤリ
羽黒「ご、ご熱心ですね」タラー
603: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:43:20.19 ID:inVOzfPn0
那智「今からやるのは第24艦隊と第25艦隊のやつらか」
羽黒「そうです」
那智「いい勝負になると良いが」
羽黒「……難しいんじゃないですか?」
羽黒「前より数か月経ってるとはいえ第24艦隊との実力差を埋めるにはちょっと……」
那智「ふむ……まぁ試合を見れば分かる事だ」
那智「(さて、、、、本当に期待違いだったか……この目で確かめてやるか……)」
604: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:44:48.96 ID:inVOzfPn0
羽黒「っと……時間ですね。始めちゃいます」スッ
羽黒『皆さん。それぞれ所定の位置について準備を行ってください』(無線)
羽黒『間もなくチーム戦 第24艦隊 と 第25艦隊の演習を行います』
羽黒『私の砲撃音が開始の合図となります』
羽黒『勝負は30分。時間切れかどちらかが全員戦闘不能になるまで続行されます』
羽黒『ではカウントです……』
羽黒『5、4、3、2、1』カチャ
羽黒『0!』
ドォォオオン
605: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:49:06.72 ID:inVOzfPn0
────────────────────────
~ 第24艦隊側 ~
瑞鶴「始まったわね」
翔鶴「集中しましょう」
最上「いつもどおーりやるだけさ」
エリート『おい君達、油断するんなよぉ』(無線)
エリート『雑魚共は前回と大分艤装が違ってきている』
エリート『何かしらの小細工は仕掛けてくる筈だから注意しなよぉぉぉ』
瑞鶴「分かってるわよ!どんな相手でも全力でいくわ!」
翔鶴「了解しました。艤装が大幅に変わってきてる点は確かに気になりますね」
最上「そんなに心配しなくても平気さ。翔鶴さんと瑞鶴さんのコンビネーションでいつもの様にやっちゃってよ」
瑞鶴「言われなくてもそうするわよ……翔鶴姉、準備はいい?」
翔鶴「ええ、平気よ。30ぐらいでいきましょう」スッ
瑞鶴「分かったわ……」スッ
瑞鶴「ちゃっちゃとやってやる」ググググク
翔鶴「焦りは禁物よ、瑞鶴」ググググ
ビシュッ ビシュッ
ブゥウウウン ブゥウウウン
606: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/19(木) 16:54:25.40 ID:inVOzfPn0
────────────────────────
~ 第24艦隊側 ~
大和「ふぅ……」
加賀「…………」
日向「…………うむ」
提督『どうした?みんな緊張してるのか?』
大和「え?……それもまぁあるけど」
加賀「それ以上に気持ちが高ぶっています」
日向「ああ……これが武者震いってやつか」
提督『随分気合がはいってるみたいだな』
大和「それはそうよ、この為に訓練してきたようなものだし」
日向「この新しい試みがどれだけ通用するか……楽しみでもあり不安でもある」
提督『うむ……今までやってきた事をフルに発揮できれば』
提督『きっといい結果がでるさ』
大和「少しは司令官って感じの喋り方になってきたわね」
提督『そうか?那智教官の喋り方がうつっただけなんだけど』
大和「いいじゃない。威厳でてきたわよ」
提督『どうだか……さぁ艦載機の発射準備を頼むぞ、加賀』
加賀「了解しました、『司令官』」
日向「こっちも準備万端だぞ、『司令官』」
大和「あたしもよ、『司令官』」
提督『みんなして俺を茶化すなよ……」
提督『─────さて』
提督『そろそろいくぞ』
提督『……それでは全艦』
提督「全速前進!』
634: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:14:26.62 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
翔鶴「艦載機が敵を発見しました、このまま直進先。敵艦載機は……見当たりませんね」
瑞鶴「まさかまだ展開してないっていうの?どんなド素人よ」
最上「えーいいじゃん。チャンスだし」
翔鶴「そうですね。この状況で叩かないのはもったいないです」
翔鶴「瑞鶴、仕掛けましょう」
瑞鶴「了解よ!」
635: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:20:10.42 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「敵艦載機確認……数は30と少し」
加賀「様子見の数って感じですね」
提督『気をつけろよ……あの姉妹の操る艦載機のコンビネーションにな』
提督『前回は多くの艦隊があの二人だけにやられているんだ』
提督『艦戦機を操り制空権を確保する守りの翔鶴』
提督『爆撃機を操り艦娘を落としにかかる攻めの瑞鶴』
提督『それぞれが役目を分担し的確に攻めてくるのが特徴だ』
提督『翔鶴と瑞鶴は互いの艦載機が数センチ近づいても接触させない程の意思疎通がとれている』
提督『普通は接触事故を防ぐために自分以外の艦載機とは距離を置くのだが……』
提督『姉妹ゆえに可能なのか恐るべき連携プレイだ』
提督『とにかくこの勝負、翔鶴姉妹をどうにかしないと勝ち目は見えないぞ』
636: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:21:32.72 ID:3k2d0s0Q0
─教官部屋─
那智「実は今回のチーム演習戦」
那智「ある事でチーム力や指揮官の能力というのが簡単に計れる」
羽黒「はぁ……」
那智「その条件を満たしていないチームは今回は不利ともいえる」
羽黒「条件……ですか?」
637: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:23:45.30 ID:3k2d0s0Q0
那智「空母だよ。編成で空母型をいれる必要があるんだよ今回は」
羽黒「そ、そんな事はないと思いますが……別に空母型がいなくても戦えてるチームはありますし」
羽黒「空母は足が遅かったり砲撃戦が得意ではない、張り付かれたら難しいといったデメリットがあるんですよ?」
那智「ああその通りだ。だが空母はそれをカバーできる程の火力、戦闘を補助する索敵能力に長けている」
那智「そして私はいったはずだ。今回のチーム演習、と」
638: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:25:08.68 ID:3k2d0s0Q0
羽黒「えっと……あ!もしかして」
那智「今回艤装を制限しているといったろう、その中に複数の対空武器が禁止されている」
那智「その中でも特に……三式弾。これが禁止されている事は、空母型いると有利となる要因だ」
那智「それを理解しチームに空母を入れる者、気づかないで編成するもの」
那智「指揮官の実力というのは編成の時点で大よそ計れるという事だ」
639: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:26:19.78 ID:3k2d0s0Q0
羽黒「なるほど……という事はエリート君のチームは……!」
那智「ああ、今回はまさに理想の編成といっても良いくらいだ」
那智「空母型である翔鶴姉妹は二人そろった時に関しての実力はずば抜けている」
那智「足が早く砲撃も雷撃もそれなりにカバーできる最上をいれて幅広く対応もできる」
那智「見本の様な艦種の選択だ」
羽黒「なるほどですねぇ……」
羽黒「やはりあのエリート君。性格は少々傲慢ですができる子なんですねぇ」
那智「うむ」
那智「(さぁ、そんな相手にどう立ち向かうのかな……提督)」
640: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:27:21.79 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
翔鶴「いま加賀さんが少量の艦載機を飛ばしたみたいですね」
瑞鶴「今更遅いっての!翔鶴姉!加賀から狙うわよ!」
翔鶴「分かったわ、、、、それにしても少しイラついてる様に見えるけどどうかしたの?」
瑞鶴「……あの加賀ってやつに七面鳥ってバカにされたわ」
翔鶴「あらあらそれは…………じゃあしっかりやり返さないとダメね」
瑞鶴「ええ!」
641: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:28:46.65 ID:3k2d0s0Q0
エリート「(……翔鶴達は加賀から狙いにいったようだねぇ)」
エリート「(まぁ普通はそうする……あちらの艤装を見る限り空母さえやってしまえば空はほぼ自由、こっちのもの)」
エリート「(だが引っかかるねぇ……艦載機を事前にとばしていなかった事にぃ……)」
エリート「(念の為、最上は前にださず翔鶴達の護衛にさせよぅ)」
エリート『最上!君は翔鶴達の護衛をしてくれぇ!』
最上「えーーー、僕も前で戦いたいよー」
エリート『うるさいよぉ!いいから戻れぇ!』
エリート「(……ったく、艦娘共は僕のいう事を聞いていればいいんだよぉ……)」
642: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:30:37.91 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
加賀「…………」グググググク
ビシュッ
ブゥゥゥゥン
大和「加賀、あたし達が射程距離に入るまで何とか持ちこたえてね!
加賀「善処します」
大和「日向!一気につっぱしるわよ!」タッタッタッ
日向「わかった!」タッタッタッ
提督「(加賀……この場面は大分賭けだが……踏ん張ってくれよ……)」
提督「(ここを上手く耐えしのげば……)」
643: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:31:24.66 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
翔鶴「5機撃墜、残りは15くらいでしょうか」
瑞鶴「さすが翔鶴姉!私も負けないわよ!」
翔鶴「(しかし……)」」
翔鶴「(前回の時と比較してずいぶん艦載機を上手く扱いますね……)」
翔鶴「(瑞鶴も気づいてるとは思うけど)」
翔鶴「(加賀さんは相当練度が上がっている……)」
644: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:32:04.70 ID:3k2d0s0Q0
瑞鶴「(……あの女……煽ってくるだけはあるわね))」
瑞鶴「(あたし達を分散させるように艦載機を誘導してくる)」
瑞鶴「(……前の戦いより動きに自信が満ちている様に見えるわ)」
瑞鶴「(この短期間でこんなに変わるものなのかしら……)」
645: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:33:05.92 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
加賀「(この二人の連携は確かにすごいものがあります)」
加賀「(瑞鶴の得意とする爆撃機を翔鶴が艦戦機で守りながら戦う)」
加賀「(必然的に瑞鶴は安心して爆撃に集中しながら攻撃できるわけで……)」
加賀「(ただこの二人には欠点があります)」
加賀「(そう……二人はいつもより添うように艦載機を操作するのです)」
加賀「(決して個人の能力が低いわけじゃないのに……)」
加賀「(なぜかカバーする必要がない場面でもお互いの距離を近くに保ちながら艦載機を操作する)」
加賀「(まるで離れるのを恐れているかのように……)」
646: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:35:03.72 ID:3k2d0s0Q0
加賀「(……まぁ今回はそこを上手く利用します)」
加賀「(爆撃をしようとする際の瑞鶴は無防備になるから)」
加賀「(翔鶴の艦戦機が守りに徹するのだけど)」
加賀「(そこを逆に翔鶴の観戦機を攻撃……)」
加賀「(すると今度は瑞鶴が翔鶴を心配して攻撃を止め回避に専念する)」
加賀「(そうなったら逆に私は距離をあければいい)」
加賀「(それの繰り返し)」
加賀「(部分的なヒット&アウェイ……)」
加賀「(これで少ない艦載機でもある程度時間は稼げる筈)」
加賀「(あとは私の艦載機が到着するのを待つのみ……)」
647: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:38:21.57 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
最上「(そろそろ10分たつし翔鶴さん達も大分相手を削ってる筈だ)」
最上「ふんふふーん、早く帰ってゲームしたいなぁ」ボー
ブゥゥゥン
最上「ん……なんだろこの音」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン
最上「あ、あれは!艦載機だ!ど、どういう事?!」
翔鶴「!?」
瑞鶴「横と後ろから!距離は20000くらいよ!」
翔鶴「くっ……やられましたね、艦載機はもうすでにとばしていたようです!」
翔鶴「瑞鶴!一度態勢を整え、迎え撃つ準備をしましょう!」
瑞鶴「了解よ!あいつ等におくった艦載機はどうするの?」
翔鶴「引き続き攻撃していきましょう!あちらの数ならもう少し時間があれば落とせるはずです!」
翔鶴「分かったわ!」
648: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:39:35.88 ID:3k2d0s0Q0
翔鶴「(……やられました……まさか……こちらが通らないルートで艦載機をとばしていたとは」
翔鶴「(気づかれない程……時間を要するルートで遠回りさせるなんて)」
翔鶴「(……その間自陣はあの少量の艦載機で守る自信があったというのね……)」
エリート「ちっ……」
エリート「(艦載機をわざわざ遠回りさせたのは翔鶴達の艦載機との接触を避ける為)」
エリート「(このチーム演習は回数を重ねればお互いの位置が大体わかるから……)」
エリート「(最短のルートで艦載機をとばそうとするのが普通)」
エリート「(それを逆に……最短ルートを避けわざわざ時間をかけて艦載機を遠回りさせた)」
エリート「ふんっ……雑魚のくせにぃ……」ギリィ
649: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:40:48.79 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
提督「(この戦い、まともにやりあったらこちらが不利)」
提督「(特に制空権に関してはこちらが優位になることはない)」
提督「(ならば自陣の守備を疎かにしても攻撃に特化させる)」
提督「(開幕こちらを守る艦載機が少ないのはかなりリスキーだが……)」
提督「(加賀が予想以上に抑えてくれたおかげでこちらの被害は少ない……)」
650: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:44:43.42 ID:3k2d0s0Q0
─────────────
加賀「敵艦隊周辺の艦載機と接触しました。これより攻撃を開始します」
大和「了解よ!……ふぅ、何とか攻撃を耐えきったわね」
日向「ああ……前回は開始時点でかなり削られたからな。上々だ」
提督『安心するのはまだ早いぞ。上空にはまだ敵はいるし翔鶴姉妹の艦載機はまだ半分もでてきていない』
提督『翔鶴姉妹の艦載機本隊が出撃しこちらにこられたら厳しい戦いになる』
提督『なんとか加賀がひきつけてる間、有効射程範囲に捉えられるように距離を縮めるんだ!』
651: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:46:04.35 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
瑞鶴「ったく……本隊はもう少ししたら送り込もうと思ったのに……」
翔鶴「仕方ないですね……ほんとであればこんなに近づかれる前に道中で落とす算段でしたが……」
瑞鶴「舐めてくれちゃって……」ギリギリ
瑞鶴「翔鶴姉!あたしも艦戦機だすわよ!」
翔鶴「そうですね。相手も恐らく艦載機はだしつくしているようですし……」
瑞鶴「全て落として……そのまま相手をたたきにいきましょう……」ググググググ
翔鶴「不意は突かれましたが……本隊を出すのが少し早まった。ただそれだけの事です……」グググググググ
ビシュッ ビシュ
ブゥゥウウウウン ブゥゥウウウウン ブゥゥウウウウン ブゥゥウウウウン ブゥゥウウウウン
652: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 11:52:07.31 ID:3k2d0s0Q0
ちょい止めます
少ししたらまたはじめますー(たぶん)
655: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:27:26.89 ID:3k2d0s0Q0
~第25艦隊~
加賀「……翔鶴と瑞鶴の恐らくですが本隊を確認しました」
提督『ふむ。思ったより早かったな』
提督『ではそろそろ、歩を進めたいところだが……』
提督『上のが少々邪魔だな……日向』チラッ
日向「………いいのか、提督」
提督「うむ。あっちは自分たちを守る方に意識がいってるだろう」
提督「今の内にこちらにいるハエを叩き落とすんだ」
日向「わかった」
日向「加賀の様に上手く操作できるかわからんが……」スッ
日向「制空できるのが、空母だけではないという事を」スチャ
日向「見せてやる」シュゥゥゥゥ ブロロン
シュバッ
日向「この『瑞雲』で!」
656: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:30:47.69 ID:3k2d0s0Q0
~第24艦隊~
ブゥゥゥゥン
バババババ
ブゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥン
パパパパパパパ
瑞鶴「思ったより多いわね……」
翔鶴「そうですねぇ……驚きました」
翔鶴「これだけの艦載機を一人で操作できるなんて……」
瑞鶴「七面鳥なんて言ってくるだけあるわ」
瑞鶴「ま、それでも私達には勝てないけどね」
657: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:33:13.21 ID:3k2d0s0Q0
翔鶴「……っ!」ビクッ
瑞鶴「翔鶴姉?どうし……え、今翔鶴姉の観戦機が……」
瑞鶴「……敵上空にいた私の観戦記が複数落とされた……」
翔鶴「……一体なにが……あ……」
瑞鶴「翔鶴姉……なんか相手の艦載機が増えてない?」
翔鶴「まさか加賀さんがまだ……いえ、違う……?」
翔鶴「見たことがない艦載機……」
瑞鶴「たしかに見たことないわね」
翔鶴「いえ、でも教科書で見た記憶が……この艦載機は……」
翔鶴「……エリートさん」
658: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:37:27.66 ID:3k2d0s0Q0
エリート『今気づいたぞぉ……』
エリート『前回穴だったあの娘……』
エリート『随分艤装が変化してるとは思っていたがまさか……』
エリート『艤装がゴテゴテしてた上、あの盾の様なのは飛行甲板だったという事を予測するに』ブツブツ
エリート『……つまりあいつは……あの艤装とフォルムから考えて……』ブツブツ
エリート『航空戦艦になった……』
エリート『まさか改造を行い艦種が変化しているとはねぇ……』
659: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:53:48.46 ID:3k2d0s0Q0
瑞鶴「改造!?ど、どういう事よ?!」
翔鶴「あの艦載機は『瑞雲』、航空戦艦と呼ばれる艦種のみ扱う事ができる……種類的には水上偵察機とよぶわ」
翔鶴「てことはあれは……」
翔鶴「ええ、改造によって航空戦艦になった日向さんが恐らく操作しているの」
瑞鶴「なによそれ!じゃあ実質あっちにも空母型が2人いるってことなの!?」
翔鶴「航空戦艦についてはどんな物か知らないけど……」
翔鶴「そういう事になるかもしれないわ……」
660: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:55:54.32 ID:3k2d0s0Q0
─教官室─
羽黒「航空戦艦……戦艦の砲撃火力と空母型の半分程度の制空力をもつ特殊な艦種でしたね」
那智「うむ」
羽黒「おかしいですね。日向さんの艦種登録には戦艦となっているんですが……」パラッ
那智「恐らく妖精によって改造されたのだろう」
那智「艦娘は特殊な条件が揃うと改造を艦娘に施す事ができる」
那智「改造はそれ自身の基本艤装や身体能力そのものが強化されたりするのが普通だが……」
那智「中には艦種が変わる者までいる」
那智「つまり日向は元が戦艦から航空戦艦へと改造されたという事だな」
661: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:56:57.93 ID:3k2d0s0Q0
羽黒「みたいですね……けど」
羽黒「そんな簡単に改造は行われるものでしたでしょうか?」
那智「……いや」
羽黒「一般的に艦娘になっている期間や深海棲艦の撃破数、妖精達の気分etc」
羽黒「そういった時間や労力が条件としてなっていたと思いますが……」
羽黒「何よりこの学校にきてから初めて見ますよ」
羽黒「在学中の艦娘改造なんて聞いた事ないです……」
那智「…………」
那智「たしかにな」
那智「あの日向という艦娘が特殊なのか……」
那智「それとも……」
662: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:58:17.69 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
提督『うまいじゃないか、日向』
日向「加賀に比べたら未熟だ。まだ複数の艦載機を意識して細かく操作できない」
加賀「その内慣れますよ」
日向「だといいが……」
大和「これでしばらくは上は安全ね、今の内に(距離を)詰めるわよ!
663: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 13:59:40.78 ID:3k2d0s0Q0
提督『(作戦はおおむね成功だな……)』
提督「(相手の艦載機を上手く自陣におびき出し)」
提督「(更に艦載機の本隊で相手に奇襲をかける)」
提督「(相手は奇襲してきた艦載機を迎えうつ事に専念してる間)」
提督「(相手が想定しないであろう日向の艦載機を飛ばして自陣の空を守る)」
提督「(結果的に楽な状態で大和と日向は歩を進める事ができる)」
提督「(今回の戦いのカギはようするに)」
提督「(大和と日向の得意な射程距離で戦う事が勝つ為に重要な事)」
提督「(その為には翔鶴姉妹の艦載機からの攻撃をどれだけ回避できるかということだ)」
664: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:01:57.01 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
エリート「(……結果的に翔鶴達が開幕展開した艦載機は数の不利で押され始め)」
エリート「(敵はその内に距離をどんどんつめてくる)」
エリート「(相手の得意な距離で砲撃戦をさせてしまったらこちらが間違いなく不利だねぇ)」
エリート「(僕たちの戦術はあくまで艦載機による攻撃がメイン)」
エリート「(近づかれる前に削り、倒し切るのが普通)」
エリート「(このままではこちらが不利だねぇ)」
665: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:03:36.06 ID:3k2d0s0Q0
エリート『最上』
エリート『前にでて戦艦のやつらと遊んで来いぃ』
最上「お!やっと僕の出番かぁ!待ちくたびれたよ!」
エリート『うるさい!早くいくんだよぉ!』
最上「りょーかい!」スッ
最上「へへーーん!飛ばしていくよ!」グッ
スタタタタタタタタ
エリート「(ふふ、こういう時のあいつは頼りになる)」
666: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:07:13.94 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「加賀、あとどのくらい?」タッタッタッ
加賀「この速度であればあと何分もかからず目視確認できるまでの距離になる筈です」タッタッタッ
大和「わかったわ!」タッタッタッ
加賀「……待ってください。前方から敵です……この足の早さは……」
日向「最上か」
加賀「はい」
大和「分かったわ!加賀はもう少し後ろで待機していて」
大和「私と日向で迎え打つ!」
加賀「了解です」スッ
日向「任せてくれ」
667: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:08:44.10 ID:3k2d0s0Q0
大和「……射程内に入ったわね。日向、同時に打つわよ」
日向「ああ……」カチャ
大和「……」カチャ
大和「今よ!」
ドォン ドォン
────────────────
─第24艦隊─
最上「へへへ」
最上「海を走るって気持ちいいよね、艦娘になって一番の嬉しい所だよ」タッタッタッ
最上「さぁ……敵も見えてきたし準備しなくちゃ」タッタッタッ
ドォン ドォン
サッパーン サッパーン
最上「わわ!砲撃してきた!」スッ
最上「…………あの距離からこれだけ威力ある砲撃ができるのか」
最上「さすが戦艦、パワーがあるね」
最上「でも……僕だって」
最上「負けないよ」
668: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:10:12.65 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「さすがに避けられたわね」
日向「この距離じゃ仕方ないさ」
大和「それにしても足が早いのね。もうあんな近くにいるわ」
日向「うむ。しかしこれならこちらも狙いやすく……ん?」
シュゴォォォォ
ドォオン
サッパーン
日向「!」
大和「雷撃?!」
日向「あぶなかった。早めに気づかなかったら直撃する所だった」
大和「ええ……動きの早さに気を取られて魚雷を見損ねたわね」
日向「どうする?二手に分かれてはさむか?」
大和「そうね、練習通りにやりましょう!」
669: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:11:17.73 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
最上「惜しかったなぁーー!」
最上「もう少し早めに打っておけば当たったかもしれないのに」
最上「っと……相手が動き始めた一人が右、もう一人は左か」
最上「僕をはさんで倒そうってわけかぁ」スッ
最上「へへへ、そう簡単にいくかなぁ」タッタッタッ
670: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:15:17.07 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「く……ちょこまかと、動くわね」タッタッタッ
日向「まったく当たる気がしないな……」タッタッタッ
シュゴォォォォ
ドォン
ザッパーン
日向「クソ……一定間隔で砲撃も雷撃もしてくるから油断ならないな」タッタッタッ
大和「……このままだとまずいわね」
日向「どうした?」
大和「今は加賀が必至に翔鶴さん達を止めてるのよ」
大和「止めてる間に翔鶴さん達との距離をつめて砲撃戦に持ち込まないと……」
日向「ふむ……」
671: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:16:57.31 ID:3k2d0s0Q0
大和「加賀!まだいける?」
加賀「……少しつらくなってきました」
加賀「艦載機の約半数を失っています。まぁこちらも艦載機を3分の1削りましたが……」
大和「わかったわ……時間はあまりないようね」
日向「そうか……」
大和「なんとかしてこのまま最上さんを倒して翔鶴さん達を追わないと……」
日向「そうだな……」
大和「けど、今の私達が回避力の高い最上さんを倒すのは時間が……」
日向「……大和」
大和「はい?」
日向「頼みがある」
672: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:22:00.46 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
最上「へへーー時間稼ぎはこんな感じでいいでしょー?」
エリート『上々だねぇ。このままそいつらを足止めしてくれぇ』
最上「はーい♪」
翔鶴「最上さん、こっちはあともう少しすれば終わると思います。それまでお願いします」
瑞鶴「ったく……あの女に結構削られたわね」
翔鶴「ええ……でも加賀さんの艦載機も動きが読めてきましたし、このままならそう時間はかかりませんよ」
673: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:23:24.87 ID:3k2d0s0Q0
最上「うんうん。さすが二人とも」
最上「まぁ僕はこのままここで鬼ごっこしながら気長に待ってるよ」
最上「さーて、おーにさんこちらっと」タッタッタッタッ
最上「……あれ?」
最上「なにやってるんだろ、戦艦の二人共……止まってる」
最上「疲れちゃったのかな?」
最上「これじゃ狙ってくださいっていってるようなもんだね」
最上「前に大和さん、後ろに日向さんだから……」
最上「先に大和さんからだ!」カチャ
674: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:25:09.50 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「日向、このままでいいの?」
日向「ああ……私の準備ができるまで守っていて欲しい」
大和「一体なにをするつもり?」
日向「……すまない。説明をしている時間はないんだ」
日向「私を信じてくれ……」
大和「……わかったわ。私が守るから安心して頂戴」
日向「ありがとう、大和」
675: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:25:57.78 ID:3k2d0s0Q0
日向「(さて……)」
日向「(提督に教えてもらったこの射撃術)」
日向「(今こそ使う時だな)」
676: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:27:05.44 ID:3k2d0s0Q0
~回想~
妖精A「これで改造が終わったんだぉー」
妖精B「航空戦艦!かっちょぶー!}
妖精C「ぶー」
提督「無事成功したみたいだな……」
提督「体の調子はどうだ日向」
日向「……特にそこまで変わらないが」
日向「いや、、、少し身体が重いような……」
提督「だ、だいじょうぶか!」
日向「ん……この飛行甲板が原因か」
提督「あぁ……それのせいか」
677: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:30:17.67 ID:3k2d0s0Q0
日向「空母というのはこんな重いものを持たないといけないんだな……」
提督「みたいだな。あ、そうそう飛行甲板で思い出したけど」
提督「あそこにあるの見てくれ」
日向「あれは……?」
提督「『瑞雲』っていう水上偵察機さ。従来の水上偵察機より数倍の戦闘力を持っているのが特徴だ」
日向「ほう……そんなものがどうして」
提督「この前ちょっと妖精……えーと艤装制作授業で作れてね」
提督「この瑞雲、実は一部の艦種しか装備できなくて」
提督「んでその一部の艦種ってのが日向みたいな航空戦艦なんだ」
日向「ほう……」
提督「……良ければ装備して欲しいんだ。これを使えるようになれば今後強い味方になると思う」
678: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:32:08.85 ID:3k2d0s0Q0
─────────────────
日向「えっと飛行甲板にセットして……」
加賀「そうです。あとは飛ばしたい数を設定して、勢いよく射出してください」
日向「わかった……とりあえず1機……」カシュッ
ブゥゥゥゥン
日向「おお、飛んでいる……」
加賀「いい感じすね」
日向「すごいな……こうやって頭の中に艦載機の見えている風景がはいってくるのか」
加賀「はい、その状態が艦載機の数だけ入ってきますからそれを頭で処理して操作いくわけです」
日向「すごいな……とてもじゃないが1機しか操作できん」
加賀「そこらへんは訓練で何とかなります」
加賀「ただ日向の場合、私達空母と違って構造上そこまで多くの艦載機を搭載する事はできませんよ」
日向「そうか……」
679: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:33:21.32 ID:3k2d0s0Q0
加賀「いい感じすね」 → 加賀「いい感じですね」
体育会系空母
680: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:38:20.86 ID:3k2d0s0Q0
提督「よう、艦載機訓練の調子はどうだ二人共」スッ
日向「今加賀に教えてもらっていた」
加賀「いい感じです」
提督「そうかそうか」
提督「なら良し……日向、ちょっとこっち来てくれないか?」
日向「ん、どうした?」スタスタスタ
提督「この本、受け取ってくれ」スッ
日向「……なんだこれは」
提督「ぜひ読んでほしいんだ」
日向「ふむ?……『水上偵察機による弾着修正射撃理論』と書いてあるようだが」
提督「うん。これをぜひ習得して欲しいんだよ。内容は少し難しいけど日向なら読めるはず」
681: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:40:08.67 ID:3k2d0s0Q0
──────────────────────
書庫室
日向「なになに……偵察機を用いて目標物の動きを観測し」
日向「空間的に砲撃を管理して効率よく弾着ポイントを修正していく事……なるほど」
日向「これにはまず偵察機の操作を最低限できるようにし……」
日向「更に……偵察機と目標物の位置関係から導かれる弾着ポイントの計算方法……」
日向「ふーむ……奥が深いな……」
682: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:41:28.21 ID:3k2d0s0Q0
─────────────────
日向「瑞雲がこの位置にいる時……」
日向「こうやって……」カチャ
ドォン
ザッパーン
日向「まだ角度が足りないか……」
提督「んーやはり戦艦だった時の癖は抜けてない様だな」スタスタ
日向「て、提督?いつのまに?」ビク
提督「いやぁたまたまここにきたら見かけてさ」
日向「たまたま……ねぇ」
683: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:45:01.91 ID:3k2d0s0Q0
提督「それより、何回もいったろ。身体全体を使って砲撃しろと」
日向「う、うむ」
提督「……決めた。今日から俺も放課後の訓練に付き添うよ」
日向「いや、それは……」
提督「ひかないよ。お前がここまで頑張ってるんだ。それを無視なんかできない」
日向「……勝手な男だな」
提督「なんとでもいえ、ほら構えて構えて」
日向「せ、急かすんじゃない……」ハァ
日向「(─────提督がここまでしてくれるんだ)」
日向「(何とかこれを習得しなくては……)」
─回想終了─
684: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:46:47.69 ID:3k2d0s0Q0
─────────────────
ドォン ドォン ドォン
大和「最上さんが砲撃してきたわ!伏せて!」
日向「……っ」
ザッパーーン
大和「ふぅ……あぶない」
大和「それにしてもいつまでここで立ち留まって盾になっていればいいの?」
日向「もうちょいだ。もう少し時間を……瑞雲が最上を捉えて計算が終われば……」
大和「……了解よ」
685: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:48:16.76 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
最上「やっぱりあの場所から動かないなぁ」
最上「周囲に艦載機も砲撃もとんでこな……」
最上「と思ったけど上に艦載機っぽいのが……」
最上「3機くらいがハエみたいにブンブンしてるだけ……ならまぁいいや。攻撃もしてこないみたいだしね」
最上「さーて引き続き雷撃と砲撃であそぼっと」
最上「♪」スチャ カチャ
686: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:50:55.37 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「くるわよ!」
日向「了解!」
シュゴォォォォ
大和「(雷撃……!)」カチャ
ドォン ドォン
ザッパーン
大和「よし、魚雷は打ち抜いたわ!」
シュゴォォォォ
大和「また魚雷!?」カチャ
ドォン
ザッパーン
大和「しつこいのよ!」
ドガァァン
大和「キャァッ!」パッ
日向「大和!」
大和「ゆ……油断したわ。魚雷がこっちにくると同時に砲撃……」グググ
日向「む、無理するんじゃない!」
大和「日向を守りきるまで倒れないわ……大丈夫」
日向「大和……」
日向「(あとちょっとだ……あともう少し耐えてくれ)」
687: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:52:58.32 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
最上「いい感じにあたった!」
最上「……のはずなんだけど立ちあがっちゃうんだなぁ」
最上「さすが戦艦。装甲が分厚いや」
最上「僕の艤装じゃ一撃で倒すのは難しいみたいだね」
最上「まぁそれなら何度でもあてればいいだけの話さ」
最上「さぁ……もう一度」
ブゥゥゥゥゥン
最上「(あの艦載機……なんだよさっきから回りをチョロチョロと……)」
最上「まぁいいや。相手にしてるだけ無駄だよね」
最上「続き続きっと!」
688: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:53:49.88 ID:3k2d0s0Q0
ドォン
最上「わわ!」スッ
サッパーン
最上「急に砲撃してきた!?」
最上「いやそうじゃなくて……」
最上「(避けなかったら完全に当たってた)」アセアセ
最上「(本気で走ってたわけじゃないけど動いてる僕に……)」
最上「(……たまたまか)」
689: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:55:32.52 ID:3k2d0s0Q0
ドォン
最上「?!」
ザッパーーン
最上「(まただ!)」
最上「(さっきまで僕にかすりもしなかった砲撃が…)」
最上「(急に精度が上がってきた?!)」
最上「理由は分からないけど……」
最上「……それなら」
最上「本気で走ってやる!」タッタッタッタッ
最上「(どうだ!この速さ!この動き!)」
最上「(これならあたらないはず)」
690: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 14:56:39.38 ID:3k2d0s0Q0
ドォン
最上「?!」バッ
ザッパーン
最上「わわっ…」ガクガク
最上「あと1メートル先にいっていたら完全に……」ガクガク
最上「なんなんだよ!さっきまで全然だめだったのになんなんだよ!」タッタッタッ
691: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:00:23.47 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「すごい……あれだけ早く動いてるのに……」
大和「一体どういう事なの?」
日向「……この砲撃は」
日向「瑞雲の半径5000以内であれば目標物に対して精密に行える、もちろん射程範囲内で」
日向「逆にいえば瑞雲の半径からでれば再度計算を行わないといけないので不可能だけど……」
日向「普通の艦娘が瑞雲をふりきる事はまず無理だ……」
日向「だた私が未熟だからこうやって足を止め集中しなきゃいけないけど……」
大和「わかったわ。あなたがそれをしてる間は私が守る」
日向「……頼んだ」
692: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:25:19.93 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
最上「ハァッ……ハァ……」タッタッタッ
最上「どういうこと……」タッタッタッ
最上「なんで動いてる僕をピンポイントに狙えるんだ……」
最上「一体どうして……」
最上「もしかしてあの艦載機……」
最上「あれのせいなのかもしれない!!」
最上「う、撃ち落としてやる!」カチャ
ドォン ドォン
最上「当たれよぉ!当たれよぉ!」アセアセ
最上「くそぉ!対空武器なんて持ってきてないのに!!!」アセアセ
ブゥゥッゥゥゥゥン
最上「くそぉぉお!」
ドォォン
最上「え……あっ、しま」
ドカァアアアアン
最上「……う……あ……」プスプス
最上「そ……んな……」
最上「僕が……」ガクッ
693: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:35:21.13 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
大和「!」
日向「……よしっ」
大和「や、やったわ!すごいじゃない日向!」ダキツ
日向「……わっ!大和!まだ戦ってる最中だぞ!///」
大和「あら……ごめんなさい」
大和「でも、これで邪魔はいなくなったわ……あとは進むのみよ!」
日向「……ああっ!」
提督「(まさかホントに習得するとは……)」
提督「(弾着修正の理論は割と実践じゃなく、机上でも念密に行えるようなものだから……)」
提督「(元々本を読んだり、考える事が得意な日向みたいなタイプには向いていたのかもしれんな)」
提督「(なにはともあれ、これで追い詰めたぞ、エリート!」
694: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:38:23.06 ID:3k2d0s0Q0
─第24艦隊─
瑞鶴「も、最上がやられた!?」
翔鶴「まさか……」
エリート『(な……んだ……と)』
エリート『(あれは……あの打ち方は……恐らくだが弾着修正射撃……)』
エリート「(馬鹿な……そんな高度な射撃術をどうして……)』
エリート「(いや、それだけじゃない……)」
エリート「(航空戦艦への改造……加賀の艦載機運用数といい……)」
エリート「(短期間のうちになぜここまで……)」
エリート『(そもそも士官学校レベルのそれではないじゃないか……)』
エリート「(艦娘のやつらが特殊なのか?)」
エリート「(なぜこんなにも前回と違う……」
エリート「(……あの提督とかいう男………艦娘に何を……?)」
695: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:40:25.98 ID:3k2d0s0Q0
瑞鶴「ど、どうするの!あいつらもうそこまできてるわよ!」
翔鶴「エリートさん!指示を!」
エリート『ありえん……なぜ……こんな』ブツブツ
翔鶴「エリートさん!」
瑞鶴「っ……!翔鶴姉!そいつはもうあてにならない!」
瑞鶴「このまま加賀の艦載機を落として私達でなんとかするしかないのよ!」
翔鶴「……そうね、それしかないわ」
翔鶴「私達ならやれる……」
瑞鶴「そうよ!じゃぁいくわ……よってあれ……」
瑞鶴「艦載機が全部ひいていった……」
翔鶴「え……」
翔鶴「あ……だめよ!今落とさずに戦艦と合流されたら更に私達の方が不利になるわ!」
瑞鶴「そ、そんな事いわれても……」
瑞鶴「私の艦載機……一度戻さないと……もう弾薬がないわ……」
翔鶴「……っ!」
696: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:45:59.04 ID:3k2d0s0Q0
─第25艦隊─
提督『加賀は艦載機を大和達と合流及び艦載機の燃料と弾薬の補給だ』
提督『そのあとは上空を守りながら翔鶴達を追い詰めて砲撃戦に持ち込め』
提督『恐らく相手は全艦載機でこちらに猛攻をしかけてくる』
提督『加賀は瑞鶴の爆撃機をなるべく狙え、それだけでなんとかなる筈だ』
提督『戦艦の二人はどんどん前へでて砲撃を行え!有効射程なら一撃でもあたれば致命傷になるはず!』
提督『あともう少しだ!油断するなよ!』
大和「了解よ!」
加賀「はい」
日向「了解した」
697: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:48:38.07 ID:3k2d0s0Q0
提督『(ふぅ、しかし……ここまで上手く事が運ぶとは……)』
提督『(要因は色々あるが何より)』
提督『(改めて思うのはこいつらの成長)』
提督『(序盤加賀の艦載機を攻撃に回すという諸刃の作戦にでたけど)』
提督『(それでも翔鶴達の艦載機に上手く耐え抜き対応して時間をかせげた……)』
提督「(日向も大和もお互い上手く連携して対応していたし……)」」
提督「(本人たちはあまりきづいていないだろうが……間違いなく前回より何倍も練度があがっている)」
提督「(……俺、実はすごい子達を仲間にしたんじゃないのか……?)」
大和「提督!翔鶴さん達を有効射程に捉えたわよ!」
提督『ん……ああ。よし、作戦通りたのんだぞ!』
698: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:55:51.37 ID:3k2d0s0Q0
~第24艦隊~
翔鶴「来たわ……」ゴクリ
瑞鶴「……翔鶴姉、私達……勝てるわよね?」
翔鶴「…………」
瑞鶴「あたし達二人いれば最強なのよ……負けるはずないんだから……」
翔鶴「……」
瑞鶴「私達は二人で一つ……」
瑞鶴「二人がいればどんな事も……」
瑞鶴「どんな……」
翔鶴「瑞鶴」
瑞鶴「……?」
翔鶴「……一生懸命やりましょう」
瑞鶴「……うん」
ブゥゥゥゥン ブゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥン ブゥゥゥゥン
699: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:57:03.05 ID:3k2d0s0Q0
────────────────────
第24艦隊 VS 25艦隊 合流
大和「うてぇえぇええーー!」
ドォン ドォン
日向「この距離なら!」
ドォン ドォン
翔鶴「くっ……」
瑞鶴「きゃぁ!」
ザッパーーン ザッパーーン
翔鶴「(く……砲撃を避けるのに手一杯で……)」
翔鶴「(艦載機の操作どころではないわ……)」
700: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 15:57:47.78 ID:3k2d0s0Q0
瑞鶴「……や、やられてばっかりじゃたまんないのよ!!!」
ブゥゥッゥゥゥン ブッゥゥゥッゥンン
加賀「無駄です」
ブゥゥゥゥッゥゥン
パパパパパパ
チュドーーン
瑞鶴「あ、あたしの爆撃機が……」
加賀「ここは譲れません」
瑞鶴「……あの女ぁ!」グワァ
翔鶴「瑞鶴!今前でてはダメよ!」タッ
701: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 16:10:26.42 ID:3k2d0s0Q0
大和「(瑞鶴さんが無防備!今なら!)」カチャ
ドォン
翔鶴「あぶない!瑞鶴!」
瑞鶴「え?」
ドガァアアン
翔鶴「……かはっ……」プスプス
瑞鶴「翔鶴姉!!なんで私をかばって……」
翔鶴「……ごめん…ね……先に休む……わ……」ニコッ
翔鶴「…………」
702: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 16:11:45.64 ID:3k2d0s0Q0
瑞鶴「くっ……」
瑞鶴「くそぉぉぉ!よくも翔鶴姉を!」
ブゥゥゥッゥン
ブゥゥゥッゥン
加賀「やらせません」
瑞鶴「加賀ぁ!あんたさえいなければ!」
加賀「そんな乱暴な操作では……」
ブゥゥゥゥッゥン
パパパパパパ
チュドーン
瑞鶴「ま、また……あたしの艦載機が……」
加賀「そろそろ終わりにしましょう」
加賀「大和さん、日向さん後ろにさがってください。爆撃します」
大和「ええ」
日向「頼んだぞ、加賀」
加賀「……」コクリ
加賀「……勝利をこの手に……」ググググ
加賀「爆撃機、射出します」
ビシュッ
ブゥゥゥゥン
703: ◆vLyL7y0Zk. 2014/06/30(月) 16:17:15.81 ID:3k2d0s0Q0
瑞鶴「く……そ……」
瑞鶴「なんで私と翔鶴姉があんた達なんかに……」
ブゥゥゥゥゥン
加賀「それでは」
加賀「やらせていただきます」
ヒューーーーン
瑞鶴「あの女……」
瑞鶴「七面鳥……ですって……」
瑞鶴「冗談じゃないわよ!」
ドカァァァン
瑞鶴「……」
ビィィィィィッィィィ
羽黒『────第24艦隊の戦闘不能を確認……』
羽黒『第25艦隊の勝利と致します。お疲れ様でした』
716: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:26:23.02 ID:RakZf1xi0
─────────────
─ 訓練棟 休憩広間─
提督「…………」ボーッ
大和「あっ、いたわ!提督ー!」フリフリ
提督「なんだ、随分早いな。皆もう体調の方は大丈夫か?」
大和「ええ、しっかり入渠部屋で休んだから問題ないわ」
加賀「良好です」
日向「私も問題ない」
提督「うん、それならいいんだ」
717: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:27:46.53 ID:RakZf1xi0
提督「では……改めてお疲れ様。あのエリートの艦隊に勝利できるなんて……」
提督「正直まだ実感なくてな……前回あれだけ実力差を見せつけられた相手にさ」
提督「作戦も上手くいったし……何よりお前らがすごく成長してて……」
提督「なんか……感慨深いものがあるな」グスッ
大和「ちょ、ちょっと!泣くほどの事?」
提督「す、すまん。なんか努力が報われたっていうか……」グシグシ
提督「辛い訓練とか……お前らにきつくあたったり……」
提督「この数か月よく付いてきてくれたなぁってな」ニコッ
大和「提督……」ジワァ
加賀「…………」ジワァ
日向「君はなぜそういう事を言うかな……」ジワァ
718: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:28:40.31 ID:RakZf1xi0
提督「す、すまん。なんかしんみりさせてしまって……」
大和「ホントよ……急に変な事……いわないで頂戴」グスッ
加賀「たしかに無茶な訓練もしましたからね……」
日向「うむ……」
提督「はは……まぁ……気を取り直して……」コホンッ
提督「という訳で今回第24艦隊に勝利した事により……」
提督「現在俺達のチーム順位は暫定1位」
提督「引き続きチーム演習は続くからこの順位を維持する為」
提督「勝利に慢心せず、気を引き締めていこう」グッ
大和「ええ」
加賀「やれる限りの事をやるのみです」
日向「うむ。勝利した後というのが一番気が緩むからな」
提督「うんうん。その意気だ」
提督「では……皆も疲れてるだろうし、今日はこれでかえr」
719: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:33:49.29 ID:RakZf1xi0
──待ちなさい
提督「ん?……って君たちは……」
瑞鶴「さっきぶりね」スタスタ
翔鶴「こんにちは」スタスタ
最上「やっほー!」スタスタ
提督「お、おう。24艦隊がそろってどうした?」
瑞鶴「えっと……」
720: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:34:25.62 ID:RakZf1xi0
瑞鶴「今回は負けたけど……」
瑞鶴「次は絶対あんた達に勝つんだから!」
翔鶴「もう不覚はとらせません」
最上「リベンジしてやるぞーー」
提督「ふむ」
瑞鶴「まぁ……ちょっとした宣戦布告よ」
瑞鶴「それと……」ギロッ
加賀「……?」
瑞鶴「特にあんた、覚えときなさいよ」
瑞鶴「七面鳥って言った事……いつか後悔させてやるわ」
加賀「……よく分かりませんが、望む所です」
日向「(望んじゃ駄目だろ……)」ガーン
721: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:35:49.49 ID:RakZf1xi0
瑞鶴「………引き留めて悪かったわね、どうしてもそれだけ言いたかったのよ」
瑞鶴「行きましょう。翔鶴姉、最上」スタスタ
最上「はーい」タッタッ
翔鶴「失礼します」スタスタ
提督「あ、翔鶴……さん」
翔鶴「はい?」ピタッ
提督「エリートは?」
翔鶴「……エリートさんは演習後、早々に帰宅しました」
提督「そうか……」
翔鶴「…………」
翔鶴「では、失礼します」
提督「あ、ああ」
大和「……今度は私達が挑戦される側なのね」
提督「うむ。迎え勝つ為に今後もしっかり訓練しとかないとな……」
722: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:36:42.58 ID:RakZf1xi0
─────────────────────
─教官部屋─
羽黒「那智教官」
那智「ん……どうした」
羽黒「すごかったですねぇ、今日の演習戦」
那智「ああ……」
羽黒「まさか第24艦隊が負けるとは思いませんでした」
羽黒「士官学生とは思えないレベルの駆け引き」
羽黒「難度が高い砲撃術や艦載機の総力戦は見ごたえがありました」
羽黒「本当にびっくりです」ウットリ
羽黒「那智教官が第25艦隊を気にしていた理由も今になって分かりました」
723: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:38:13.92 ID:RakZf1xi0
羽黒「卒業する時にはいったいどんな」
那智「羽黒」
羽黒「はい?」
那智「……今回の演習戦の結果、上には報告するなよ」
羽黒「え……なんでですか。将来を担う優秀な子達を報告してアピールしないと……」
那智「優秀だからこそ、だ」
那智「お前も知ってるだろ……中央の話」
羽黒「あ……」
那智「去年ウチから優秀な指揮官が一人、中央鎮守府に選ばれたのはしってるだろう?」
羽黒「はい……」
那智「成績をトップで卒業、人望にもすぐれ、軍人肌で生真面目な性格」
那智「中央鎮守府の総司令に気に入られ中央第2艦隊の司令官の座についた」
724: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:40:12.45 ID:RakZf1xi0
那智「……それから約1年と半年後の今だ」
那智「これをみろ」ピラッ
羽黒「死亡通知書……?」
那智「…………葬式への参加しろという旨の書類もきたよ」
那智「私達は……軍に所属している以上、死を恐れていてはしょうがない」
那智「だがな……それは命を軽んじてる訳では無い」
那智「この国を守るという覚悟の上……強い意志で」
那智「そして生きる為に戦っているんだ」
羽黒「那智教官……」
那智「いいか羽黒……私の予想ではあの提督という男は将来優秀な指揮官になる」
那智「だからこそ……すぐには……中央へは行かせたくない……」
那智「特に……第2艦隊の司令官など……」
那智「あの方の下で……酷使させられ」
那智「死を待つだけだ……」
725: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:43:30.53 ID:RakZf1xi0
────────
───────
──────
────
───
──
─数日後─
教室
ワイワイ ガヤガヤ
同級生B「お前もやったのか?第25艦隊と」
同級生A「ええ……ボコボコにされました」
同級生C「ありえねぇ……同じ艦娘とは思えない強さだよな」
同級生A「私の艦隊は空母のみの開幕爆撃特化なんですが……」
同級生A「あの加賀という空母に全艦載機を大破させらましたよ……」
同級生B「へぇ……俺んとこなんか駆逐艦と軽巡で構成された回避特化なのに……」
同級生B「日向とかいう戦艦にたった5発の砲撃で全滅させられたぜ……」
同級生C「まじか……ウチは全員戦艦の重装甲パワーで挑んだんだけど」
同級生C「途中までは受けきり耐えれたと思ったら……」
同級生C「大和とかいう戦艦に一撃で戦闘不能にさせられた……追加装甲を何枚も張った戦艦をだぜ?」
726: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:45:16.86 ID:RakZf1xi0
同級生B「うわぁ、えげつねぇ」
同級生A「しかし……前はそんな強い印象はありませんでしたが……」
同級生B「艤装の違いとか?」
同級生C「それはないだろ、今回の演習戦は艤装が細かく制限されてるのに」
同級生A「……第25艦隊の指揮官に艦娘が強くなる秘訣を聞いたんですが」
───提督「基本訓練が大事。その上で戦術や様々な理論が組み合わさって……」アーダコーダ
同級生A「すごい長話になったから逃げてきましたよ」
同級生B「変わったやつなんだな……」
727: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/01(火) 20:46:28.02 ID:RakZf1xi0
同級生C「でもよ、前回強かった第24艦隊は今回そこまででもなくないか?」
同級生A「ああ………そういえばあと少しで勝てた気がしますね」
同級生B「たしかに。俺んときは指揮官のエリートがいなかったけどな」
同級生A「え?君も?」
同級生C「あれ……俺んときもいなかったな」
同級生A「指揮官がいないのでは厳しいですね」
同級生C「だな。まぁあいつら調子のってたしどうでもいいや」
同級生B「特にエリートの奴だろ。うぜーもんなあいつ」
同級生A「しかし腕はたしかです……まぁ、このままエリートさんがいなければ第24艦隊は怖くなさそうですね」
提督「(…………?)」
746: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:45:02.19 ID:kbQufyUB0
──────────────────────────────
─教室前─
提督「たしかここのクラスだっけか……」キョロキョロ
瑞鶴「あんた」チョンチョン
提督「うぁ!……って、なんだ……瑞鶴さんと翔鶴さんか」
翔鶴「こんにちは、提督さん」
瑞鶴「なんだとは何よ。そんな所でうろうろされると邪魔なんだけど」
提督「ご、ごめん」
翔鶴「瑞鶴、そんな言い方失礼でしょ。気をつけなさい」
瑞鶴「翔鶴姉……だってこいつが」
翔鶴「だってじゃありません」
瑞鶴「……はーい」
748: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:46:16.13 ID:kbQufyUB0
翔鶴「それで、、、どうかされましたか?提督さん」
提督「え、いや。教室へ戻ろうとしたらいつのまにかこんな所に……ね」
瑞鶴「どうしたら自分の教室間違えるのよ!」
提督「あはは……」アセアセ
翔鶴「……」フム
翔鶴「……エリートさんなら来てませんよ」
提督「え……」
749: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:47:37.11 ID:kbQufyUB0
提督「どういう事ですか?」
翔鶴「さぁ?私も教官から体調不良としか聞いておりませんし……」
提督「数日間も?」
翔鶴「はい。私達の方でもさすがに心配になって電話したり家を訪問してみたのですが……」
翔鶴「体調不良といわれ追い返されてしまうのです」
提督「……ふむ」
瑞鶴「あんた、エリートの事気になってここ来たのね」
提督「いや、そういうわけでは」
瑞鶴「隠さなくてもいいわよ……嘘が下手ね」
提督「……まぁちょっと色々小耳にはさんで……他意はない」
750: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:49:45.82 ID:kbQufyUB0
翔鶴「…………」
翔鶴「提督さん、良ければ今日エリートさんのお家に伺う予定なのですが」
翔鶴「一緒に行きませんか?」
提督「え?」
瑞鶴「しょ、翔鶴姉!なにいってんのよ!こいつ連れてったら尚更相手にされないわよ」
翔鶴「私達だけでも同じ結果です。提督さんなら……もしかしたら、何か変わるかもしれませんよ」
瑞鶴「け、けどぉ」
提督「……良ければ同行させて欲しい」ペコリ
瑞鶴「う……」
瑞鶴「……ったく、翔鶴姉が言うんだから仕方ないわ。好きにしなさいよ」
751: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:51:08.42 ID:kbQufyUB0
───────────────
─エリートの家─
大和「お、おっきい家ねぇ」
提督「うむ。俺の家の10倍はあるな」
翔鶴「……どうでもいいけどなんで大和もきてるのよ」
提督「すまん。一応連絡を入れたら来るって聞かなくてさ」
大和「気になるじゃない。提督に負けてへこんでるエリート君の事」
提督「お前な……普通に心配だったって言え」
瑞鶴「……あんた達、余計な事するんじゃないわよ」
752: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:52:03.49 ID:kbQufyUB0
翔鶴「さぁ、時間ももったいないですし呼び鈴を鳴らしますよ」
ピンポーン
?「はい、どなたでしょうか」
翔鶴「先日こちらにお伺いした翔鶴と申します」
翔鶴「エリートさんのご調子はと思い再度こちらに伺ったのですが」
?「……そうですか」
翔鶴「良ければエリートさんに会わせていただけないでしょうか?」
?「…………申し訳ございません。エリート坊ちゃまは体調不良で面会をお断りしております」
提督 & 大和「(エリート坊ちゃま……)」
753: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:55:45.55 ID:kbQufyUB0
?『こちらに来てくださったのは山々なのですが今回はお引き取りを……』
翔鶴「そこなんとか……」
?『……申し訳ございません』
提督「…………」
提督「すいません」
?『……はい』
提督「私はエリートに演習で勝った提督と申しますが」
瑞鶴「ちょ、ちょっとあんた!」
提督「いつまで家にいるんだクソ野郎でてこいと言っていただけないでしょうか?」
?『……』
瑞鶴「ななな、なにいってんの!なんで煽ってんのよ!バカ!」
754: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 10:56:43.28 ID:kbQufyUB0
?『なるほど……貴方が……』
?『……そう、ですね』
?『分かりました』
瑞鶴「へ?」
?『と言いたい所ですが、私からエリート坊ちゃまにそのような事を言えるはずもありません』
瑞鶴「そりゃそうようね……連れが変な事をいってごめんなさい。今日はこれで」
?『なので』
?『直接坊ちゃまにお伝えいただけないでしょうか?』
瑞鶴「帰り……え?」
?『今、門を開けますのでそこでお待ちください』
提督「分かりました。ありがとうございます」
瑞鶴「え?あ……」
瑞鶴「な、なんなのよ……」
755: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:00:57.27 ID:kbQufyUB0
─エリート家 客席広間─
執事「始めまして、執事と申します。この度はエリート坊ちゃまの為にご足労いただき誠にありがとうございます」
大和「(老紳士って感じね……執事が似合うわ))」
提督「それで……エリートはどこにいるんですか?」
執事「エリート坊ちゃまは自室で休んでおられます」
提督「わかりました。じゃあ早速俺がガツンと言ってやります」
執事「お待ちください」
執事「その前に聞いて欲しい事があるのです」
756: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:07:47.87 ID:kbQufyUB0
提督「はい?」
執事「エリート坊ちゃまの事です……」
執事「皆さまも坊ちゃまと関わって色々思う事があると思います」
提督「……たとえば何を?」
執事「素行というかなんというか……」
瑞鶴「そうねぇ、まぁ口は悪いし暴言はくし……」
瑞鶴「人使い荒いし礼の一つもいわないわね」
執事「……耳が痛いかぎりです」
執事「ただ……一つ分かっていただきたいのは……」
執事「昔は……いたって普通の性格だったのです」
執事「エリート坊ちゃまは若い頃より母を亡くし、エリート父様と使用人である私、執事と3人で暮らしていました」
執事「皆様、恐らくご存知かとおもわれますが、エリート父様は艦娘を率いるそこそこに有名な司令官だったのです」
757: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:12:22.10 ID:kbQufyUB0
─────────────
エリート(少年時代)「おかえりぃ父上ぇ!」
エリート父「おお、今帰ったぞ!息子よ!」
エリート「父上ぇ!」
エリート父「息子よぉ!」
─────────────
執事「こんな感じの仲のいい父と子でした」
瑞鶴「(なんかうざったいわね……)」
エリート(少年時代)「おかえりぃ父上ぇ!」
エリート父「おお、今帰ったぞ!息子よ!」
エリート「父上ぇ!」
エリート父「息子よぉ!」
─────────────
執事「こんな感じの仲のいい父と子でした」
瑞鶴「(なんかうざったいわね……)」
758: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:16:26.52 ID:kbQufyUB0
─────────────
エリート「今日も多くの化け物を倒したんでしょうか父上ぇ!」
エリート父「うむ。私の知恵と私の可愛い艦娘達が化け物を一蹴してやったぞぉ!」
エリート「さすがです!父上ぇ!」
エリート父「うむうむ。お前もいずれ私の様な艦娘を指揮する立場になるかもしれんので話しておくが」
エリート父「艦娘と指揮官は強い信頼関係で結ばれてないと駄目だぞぉ」
エリート父「指揮官は艦娘を信じ、艦娘は指揮官を信じる」
エリート父「そうなる事で戦場において真の力を発揮するんだぞぉ」
エリート「父上ぇ……なんて素晴らしい事を……僕は感動しましたぁ……」ジーン
エリート父「おお、分かってくれて嬉しいぞ息子よぉ!」ダキッ
エリート「父上ぇ!」ダキッ
─────────────
執事「今思い出しても微笑ましいやりとり……本当に素晴らしい親と子だったんですよ」ウットリ
瑞鶴「そ、そうですか……」
759: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:20:29.51 ID:kbQufyUB0
執事「まぁ今の話はエリート坊ちゃまの大分お若い時の話ですが」
執事「それから数年が立つとエリート坊ちゃまも艦娘を指揮できる力を手に入れ」
執事「特別にエリート父様の艦隊に付き添い、若い頃より実戦の経験を積んでいたのです」
執事「しかし……」
執事「ある日……事件が起こってしまうのです」
執事「あの有名な沖ノ島海域の奪還」
執事「エリート父様もその作戦には参加し一部の海域の防衛に努め」
執事「油断などせず、確実に自分の任務をこなし沖ノ島海域の攻略に貢献していました」
760: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:36:55.91 ID:kbQufyUB0
───────────────────────
─回想 沖ノ島海域─
艦娘A「ずっとここを防衛しているってのも中々暇ね」
艦娘B「そうよね。戦況的に大分こっちが押してるみたいだし、、、しばらく敵もここまで攻めてこなそうじゃない?」
艦娘A「あーぁ。砲撃ぶっぱなしたいわね早く」
艦娘B「そうねぇ……ん?」
761: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:38:20.03 ID:kbQufyUB0
艦娘A「どうしたの?」
艦娘B「双眼鏡……でチラっと今……なにか……」スッ
駆逐ヲ級「…ヲ……ヲ……ヲ………」
艦娘A「……駆逐ヲ級が一体だけ……なにしてるのかしら」
艦娘B「逸れたって感じかしら……これはチャンスね」
艦娘A「でも砲撃するにはちょっと遠いわ。エリート父にはここから離れるなって言われてるし」
艦娘B「……ちょっとくらいならいいんじゃない?」
艦娘A「でも……」
762: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:39:35.49 ID:kbQufyUB0
艦娘B「いいじゃない、これで倒せれば儲けもんでしょ?」
艦娘B「ずっとここにいるんじゃ大した戦果をあげれなそうだし……前線の子達はもっと活躍してるはずよ」
艦娘B「エリート父には悪いけど作戦がいつも保守的なのよ。危険に合わせたくないとかいうけど……」
艦娘B「戦場に出てる以上危険なんてどこにもあるわ!多少のリスクを負って戦果を求めなきゃ!」
艦娘A「うん……」
艦娘B「大丈夫よ。失敗してもエリート父なら許してくれるわよ」
艦娘B「『私の可愛い艦娘達よぉ!今日も仲良くだぞぉ!』なぁんていいながらね」
艦娘A「……そう、ね。分かったわ。今燃料と弾薬の確認するわ」
艦娘B「そうこなくっちゃ」
763: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 11:41:38.69 ID:kbQufyUB0
─母艦 モニタルーム ─
エリート「ん……あの娘達、なんで持ち場を離れようとしてるんだ」
エリート「……まったく、、、注意しとくか」
エリート『君達!父上にそこから動くなと言われてる筈だぞぉ!』(無線)
艦娘B「エリート君!ごめんね!ちょっと敵を見つけたからそれだけ倒してくるわ!}
艦娘A「戦果を挙げてエリート父にも喜んでもらうつもりだから!安心して!」
エリート『な、なにを言っているんだぁ!早く持ち場に戻れ!』
769: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:10:53.17 ID:kbQufyUB0
艦娘B「大丈夫よ。エリート君は心配症なんだから……たかが空母ヲ級一体よ」
艦娘A「さっさと終わらせてくるから待っててね」
エリート『お、おい!』
エリート「……無線を切りやがった……ったく」
エリート「(まぁ、ヲ級が一体か…それくらいなら……)」
エリート「(彼女達は実戦を相当こなしてるベテランだ。空母ヲ級が何体いようと苦にしないはず)」
エリート「(……あとで父上に説教してもらおう)」
エリート「……ん?まてよ……」
770: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:14:12.22 ID:kbQufyUB0
エリート「(空母ヲ級がこの防衛ラインに……前線の味方に気づかれずここに……?)」
エリート「(そもそもこの敵が以上に多い沖ノ島で一体だけという状況……?)」
エリート「(しかも空母ヲ級の艦載機が飛んでいないのは……)」
エリート「まさか……」
エリート「戻れ君達!!それは罠だ!!もどれぇええええええええ!!!」
771: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:16:41.91 ID:kbQufyUB0
艦娘B「さて、有効射程に入ったわね……砲撃準備よしっ」カチャ
艦娘A「んっ……なにあの水泡」
ゴボッ
ゴボゴボッ
ゴボゴボゴボッ
バッシャァァン
潜水ソ級1「……ミ……ツ……ケ……タ」
潜水ソ級2「……ココ……ダ……」
潜水ソ級3「……ココ…トッパ……スレバ……」
潜水ソ級4「…イイワ………ネ……」
潜水ソ級5「……ヒ……ヒヒ……ヒヒヒヒヒヒ」
772: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:19:28.04 ID:kbQufyUB0
艦娘B「せ、潜水艦……しかもソ級!?」
艦娘A「なんでこの海域に潜水艦が……!前線のやつらはどうしたのよ!」
艦娘B「……ま、まずいわ……魚雷なんて艤装してきてないわよ!」
艦娘A「に、逃げましょう!」スッ
潜水ソ級1「…………ニガ……サ……ナイ……」スチャ
ゴポォン
艦娘A「早く!早く!」タッタッタッタッタッタッ
艦娘B「あ…………足がもつれて……」
シュゴォオオオオオオオオ
艦娘B「え……」
ドカァアアアアン
773: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:22:03.70 ID:kbQufyUB0
艦娘A「……ハッ……ハッ……」タッタッタッタッタッタッ
ザッパァァァン
潜水ソ級2「………オソイ……ヨ」
艦娘A「ヒぃっ……ま、回り込まれた!?」
潜水ソ級2「………コロス……コロス……コロス……」
艦娘A「く、くるなぁ!来るんじゃないわよ!」カチャ ドォン ドォン ドォン
潜水ソ級2「…………」スッ
ガシッ
艦娘A「うぁ!離せ!離しなさい!」
潜水ソ級2「…………」ニタァ
ゴポン
艦娘A「ちょ……海に引きずりこま……ガボッ……」ジタバタ
艦娘A「(い……息が……)」ジタバタ
ゴポポ
艦娘A「…………」プカァ
774: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:27:19.32 ID:kbQufyUB0
エリート「……う……あ……」ガクガクガク
ドタドタドタドタ
ガチャ
エリート父「おい!どうしたのだぁ!防衛ラインに敵反応だぞ!」
エリート「ち……父上……」ガクガクガク
エリート父「息子よ!一体なにが……」
エリート父「せ……潜水ソ級だと!この海域で潜水艦の報告なんて無かった筈……」
エリート父「くそっ……周辺に二人監視を置いていたはずだ!どこへいったぁ!?」
エリート「2人共……や、やられまし……た」
エリート父「……っ」グッ
エリート父「仕方がない、今すぐ応援を呼ぶ!」
エリート父「ここを突破されては……多くの艦隊の陣形が崩れてしまう!」
エリート父「応援がくるまでなんとか潜水ソ級には母艦と残りの艦娘達で守りきるしかない!」
775: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:36:20.52 ID:kbQufyUB0
─────────────────────────
提督「それで……どうなったんですか?」
執事「そうしてしばらくは、時間を稼げたようですが……」
執事「結果的には……全滅」
執事「応援が駆けつける頃には……母艦は大破させられ艦娘達も全員死亡」
執事「エリート父様は秘書艦のちぎれた片腕とエリート坊ちゃまを守りながら」
執事「瀕死の重傷を負ってる所を見つけ出され……」
執事「下半身不随……艦娘達を失ったショックで精神を病んでしまい」
執事「今は一言も喋る事ができないままベッドに横たわっています」
提督「…………」
776: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:39:02.87 ID:kbQufyUB0
執事「しかも悲劇はそれだけじゃありません」
執事「上層部の見解により」
執事「重要な防衛ラインでの安易な判断をしたという事から……」
執事「エリート父様のこれまで築いてきた様々な権利は消滅」
執事「軍部には白い目で見られ、エリート様にも罵声暴言を浴びされる等……」
執事「エリート坊ちゃまも精神を病んでいきました」
提督「…………」
大和「……酷い話ね……」
翔鶴「…………」
瑞鶴「なによそれ……胸糞わるいわ……」
777: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 14:45:00.54 ID:kbQufyUB0
執事「……それから、しばらくして坊ちゃまも立ち直ったのですが」
執事「相手を見下す様な事を言ったり、傲慢な態度をみせつけたりと」
執事「人が変わったように自分以外の人間に厳しい態度をとるようになりました」
執事「……今回、士官学校の負けで何か思う事があったのか……最近はずっとエリート父様の部屋と自分の部屋をいったりきたりしているようです」
執事「きっと……何かと葛藤しているのです」
執事「……皆様には無理をいう様で申し訳ないですが」
執事「どうかエリート坊ちゃまを助けてあげてください」ペコリ
執事「この老いぼれではどうにもできませんので……」グスッ
提督「…………」
提督「上にいるんですね?エリートは」
執事「……はい」
提督「……」グッ
778: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:18:51.69 ID:kbQufyUB0
─エリートの部屋─
エリート「(負けは死だ……勝つ事が全てだ……)」
エリート「(それなのに……)」
エリート「(実戦もした事ないような雑魚に……)」
エリート「(…………)」
エリート「(……あんな無茶な作戦……よく艦娘達が受諾したものだ)」
エリート「(前回あれだけボコボコにしてやったというのに……)」
エリート「(…………)」
エリート「(……信頼……なのか?)」
エリート「(艦娘との間に信頼があるから……)」
エリート「(……父上が、言っていたように……)」
779: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:22:08.04 ID:kbQufyUB0
ガチャ
エリート「ん……執事かぁ。勝手に入ってくるとはどういうご身分だぁ。せめてノックくら……」
提督「よっ」
エリート「……君は……何しに来た?」
提督「なぁに……俺に負けてめそめそしている男の泣き顔を拝みにきただけだ」
エリート「さっさとでていけ……僕は誰とも会いたくない」
提督「ちょっとくらい話そうぜ、弱虫」
エリート「……喧嘩売っているのか?」
提督「どう思う?俺に負けて学校にすらこないへっぽこ野郎」
780: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:23:20.76 ID:kbQufyUB0
エリート「……そうだなぁ」
エリート「ちょうどむしゃくしゃしてたんだ……」
エリート「……その喧嘩、買ってやるよぉ!」グワァ
バキィ
提督「……ぶっ」
提督「……この野郎っ!」
バキィ
エリート「……がっ」
エリート「……僕を舐めるなよぉ!」
バキィ
提督「……がはっ」
提督「な、なんだよ。そんな……へなちょこパンチ!」
バキィ
エリート「……げひっ」
エリート「ぜ、全然きかないねぇ!」
バキィ
781: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:24:03.21 ID:kbQufyUB0
瑞鶴「ちょっとあんた達!やめ」ダッ
ガシッ
大和「瑞鶴さん、待って」
瑞鶴「大和も止めなさいよ!こんままじゃ!」
翔鶴「……瑞鶴、いいから見てなさい」
瑞鶴「翔鶴姉まで……」
翔鶴「言葉だけでは到底分かりあえないという事もあるのです」
瑞鶴「……なんなのよ……もうどうなってもしらないわよ……」
782: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:25:35.12 ID:kbQufyUB0
────────────────────
提督「……ふぅっ……ふぅ……」フラフラ
エリート「……へぇっ……へぇっ」フラフラ
提督「お……お前の顔……ぶっさいくだ……なぁ」フラフラ
エリート「……き……きみこ……そ……どこの……宇宙……人だぁ」
提督「……ったく……ちょっと……休憩しよ……うぜ」フラフラ
エリート「……ふんっ……め……めずらし……く……意見……があう……な」
バ゙タン
バタン
エリート「ま……ったく……人の家に来て……殴り合いとはぁ……」ゼェゼェ
エリート「いい……性格……してるねぇ」ゼェゼェ
提督「へへっ……だろ?……」ゼェゼェ
エリート「……褒めて……ないよぉ……」ゼェゼェ
783: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:27:48.88 ID:kbQufyUB0
提督「…………」ゼェゼェ
提督「………俺…さ」
提督「お前に……演習で……初めて負けた時……すごい悔しかった……」
エリート「…………」
提督「おれ……人生で初めて……こんなに努力したってくらい……」
提督「士官学校に入ってから……がんばった……」
提督「艦娘の子たち……と……訓練したりして……」
提督「ああ……これが指揮官……かぁ……って……」
提督「すごい……やる気なってさ……暇あれば勉強してた……」
提督「だから……ちょっと自信あったのにな……」
提督「……実際はほとんど何にもできず……ぼろ負け……」
提督「お前には……覚悟たりねぇならやめろ……ていわれて」
提督「ほんと……へこんだ……」
エリート「……雑魚め……」
784: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:30:53.20 ID:kbQufyUB0
提督「……でもお前の言うとおりだった……」
提督「士官学校入って……なんか自分が……特別ですごいやつみたいな……それこそ芸能人みたいな……さ」
提督「なんか……変に浮かれてたとこあって……本来の目的とか……」
提督「忘れてて……バカだよなぁ……」
エリート「ふん……」
提督「お前には……感謝してる……」
提督「ぶったたいて目覚めさせてもらった事さ……」
エリート「僕は……別にそんなつもりはない……」
785: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:32:14.03 ID:kbQufyUB0
提督「…………さて、俺は帰るよ……んしょっ」スッ
提督「…………」
提督「エリート……親父さんの事で色々あったのは……ごめん。執事さんから聞いた」
提督「元気だせとか言える立場でもないし、俺はなんていっていいかわからない……けど」
提督「……深海棲艦」
提督「あの化け物共を倒すのに、士官学校での経験は絶対必要だ」
提督「だから……なんだその……」
提督「……同じ指揮官として……頑張ってこうぜ」
786: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:33:01.51 ID:kbQufyUB0
エリート「……」
エリート「…………お前にそんな事言われなくても分かっているよぉ」
エリート「僕は僕の考えでやる……あまっちょろい考えは捨てるし」
エリート「勝ち続ける事が全てだ」
エリート「お前にも……化け物どもになぁ」
提督「……おう」
エリート「ふんっ。さっさと帰れ!僕は体調が悪いから休んでるだけなんだよ!」
エリート「変な気を使ってきたんだろうが大きなお世話だ!帰れ!帰れ!」
提督「わーかったよ。またな。行くぞ、大和」スッ
大和「ええ」スッ
787: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:38:33.03 ID:kbQufyUB0
エリート「(ちっ……あんな奴に慰められるなんて……)」
────エリート父「息子よ。人は一人では生きていけん」
エリート父「お前がどんなに優れた人間だろうと一人でできる事は限られている」
エリート父「自分が本当に窮地に立たされた時、必要になるのは仲間だ」
エリート父「仲間は信頼の上で真に成り立つ」
エリート父「本物の指揮官になりたいのならば……」
エリート父「多くの者に信頼される指揮官になれ」──────
エリート「…………」
788: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:42:44.26 ID:kbQufyUB0
瑞鶴「エリート……大丈夫なの?」
エリート「……おい」
瑞鶴「な、なによ」
エリート「演習戦の結果はどうなっている?」
瑞鶴「…………7勝3敗よ」
エリート「……まったく雑魚共め」
エリート「僕がいないと駄目なようだな君たちは……」
瑞鶴「うるさいわね……文句あるなら早く学校でてきなさいよ」
エリート「言われなくてもそうするさ……」
エリート「体調も良くなってきた所だ。明日からまた君たちを指揮してやる。ありがたく思え」
瑞鶴「エリート……」
翔鶴「……ふふ」ニコ
エリート「ふんっ……最上にも伝えておいてくれぇ」
789: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:44:29.64 ID:kbQufyUB0
翔鶴「承知しました……っとその前に」
エリート「ん?」
翔鶴「そんなお顔で明日でられては恥ずかしいですから」
翔鶴「しっかり手当しましょうか」スッ
瑞鶴「……いい考えね、翔鶴姉」ニヤリ
瑞鶴「たぁっぷり消毒しなきゃ」
エリート「ま、まて。何をしようとしてる……」
翔鶴「瑞鶴、しっかり押さえてね」
瑞鶴「了解よ」
ガシッ
エリート「や、止めたまえぇ!やめろぉ!はなせぇ!」ジタバタ
翔鶴「心配させた罰ですよ」ボソ
ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアシミルゥウウウウウ
マダマダヌリマスヨ♪
チョットハガマンシナサイヨ
790: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:47:10.56 ID:kbQufyUB0
─────────────────
提督「……いたた、しみるぅぅぅ」ジーン
大和「まったく……無茶して」
大和「はいっ。これで絆創膏張り終わったわ!」パシン
提督「いでぇ!叩くんじゃない!」
大和「はいはい。殴り合いなんてするからいけないんでしょ」
提督「仕方ないだろ……」
大和「……なんか、提督とエリート君って似たもの同士よね」
提督「ええ?なんであいつと……」
大和「負けて一人で学校休んで考え込む所とかプライドが高い所とか?」
提督「……あんなやつと似てるなんて勘弁してくれ」
大和「ふふ……」
大和「……エリート君、明日くるといいわね」
提督「…………」
提督「……絶対くるよ。あいつは」
791: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 15:57:42.26 ID:kbQufyUB0
─────────────────────
─次の日─
羽黒「これより第24艦隊と第27艦隊のチーム演習戦を開始します」
同級生D「(へへ、同級生A達に聞いたけど第24艦隊はエリート不在で大分弱くなってるらしいからな)」
同級生D「(俺たちでも勝てる見込みはあるぜ……)」
同級生D「(しかも裏サイトで取引されていたこの翔鶴姉妹攻略情報……高かったがこれで対策はバッチリだぜ)」
同級生D「(俺達は今回勝てば上位組に食い込む事ができる!ここで勝って出世街道まっしぐらだぜ!!)」
792: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 16:00:29.78 ID:kbQufyUB0
エリート「そこの雑魚君」
同級生D「……え?」
エリート「さっさと開始の同意を教官に伝えてくれないかぁ。無駄な時間を待つのは嫌いなんだよぉ」
同級生D「あ……はい」
同級生D「…………」
同級生D「(なんでいるんだよぉおおおおお!!!)」
同級生D「(話がちげーぞ!ちくしょーーー!)」
同級生D「(……まぁ、落ち着け俺……エリートがいるからといって負けるとは限らない)」
同級生D「(あいつがいくらできるやつだろうと艦娘の強さがそこまで変わるわけないし……)」
同級生D「(それに……俺だってここまで遊んでたわけじゃない、この攻略情報もあるし……勝てるはずだ)」
同級生D「や、やってやるぜ……」
793: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 16:02:23.25 ID:kbQufyUB0
───────────────────────
ビィイイイイイイイイイイイイイイ
羽黒「────第27艦隊の戦闘不能を確認。よって第24艦隊の勝利といたします」
同級生D「開始10分で全滅……手も足もでなかった……次元が違う……」ガックシ
エリート「下らん小細工をしても無駄だよぉ……まったく」
瑞鶴「んー久しぶりの完全勝利だわ!本気だせばこんなものよね」
翔鶴「すぐ調子にのって……ダメですよ、瑞鶴」
最上「へへへ、みんないつもの感じに戻って良かったよ」
瑞鶴「そうだ!勝利祝いになんかみんなで食べにいきましょう!」
最上「ええっ!エリートが許さないでしょそんな事……どうせすぐ訓練だーとかいい始めるよ」
794: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 16:04:11.74 ID:kbQufyUB0
エリート「…………」
エリート「好きにするがいいよぉ。たまの休憩も大事だ」
最上「え……」ポカーン
瑞鶴「そうこなくっちゃ!」
翔鶴「……ふふ」
エリート「まぁ……今日だけだけだよぉ、明日からはまたしっかりと……」
エリート「…………ん?」
795: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 16:05:21.50 ID:kbQufyUB0
提督「…………」ジー
エリート「……なんだ君は、じっとこっちを見て。気持ち悪い」
提督「相変わらずむかつく奴だな……次は俺達の番だからここにいるだけだ」
エリート「……そうかい」
提督「ああ、そうだよ」
796: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/08(火) 16:07:29.91 ID:kbQufyUB0
エリート「……僕に勝ったんだ。簡単に負けてもらっては困る」
提督「……お前に言われなくても負ける気なんてないさ」
エリート「…………」
提督「…………」
エリート「ふんっ……いくぞ、瑞鶴、翔鶴、最上」スタスタ
瑞鶴「ちょ……ちょっと待ちなさいよ」タッタッタッ
翔鶴「瑞鶴、艤装を付けたまま走っては駄目ですよ」スタスタスタ
最上「……エリートはなんか変なもんでも食べたのかなぁ?」スタスタスタ
提督「…………」
大和「良かったわね、いつも通りで」
提督「……ほら、さっさと演習の準備をしてきてくれ」
大和「はいはい♪」
825: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:18:11.38 ID:SwajvDIs0
─────────────────────
─教室 放課後─
提督(日向の訓練に付き合っていたらすっかり遅くなったな……)
提督(さっさと帰ってゆっくり休もう……明日は朝から加賀と訓練だし……)
提督「さーて……カバンカバンっと……ん?」
826: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:19:43.37 ID:SwajvDIs0
女提督「……zzz」グデー
提督「(机で眠りこけているあれは……女提督さん)」
提督「(那智教官の補修問題をやっているうちに眠ったって感じだな)」
提督「(……そろそろ教官も見回りにくる時間だろうし起こしとくか)」
提督「……」スタスタ
女提督「……んぅ……」グー
提督(がっつり寝てるな……)
827: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:39:38.97 ID:SwajvDIs0
提督「(ん…これは、補修用のプリント………)」ピラッ
提督「(なになに……状況A図で艦娘が出撃できる場合、下記から一つ、どの艦娘を出撃する事が最適といえるか?理由も述べよ……ふむふむ)」
提督「(那智教官の好きな艦娘戦術理論の基礎だな。これは普通に授業を聞いていれば答えられる筈だ)」
提督「(女提督さんの答えは……どれどれ……)」
『すごく強い艦娘が必要。ので、ここにはいない』
提督「っ」ガクッ
提督「(な、何言ってんだこいつ……)」
提督「(選択しろって書いてあるだろ!せめてそのすごく強い艦娘について書けよ))
女提督「……ふふ……」ムニャムニャ
提督「(……ドヤ顔で書いてる感じがしてなんかむかつく)」
828: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:40:59.44 ID:SwajvDIs0
提督「(……もう一個問題文があるなえっと……)」
提督「(軍には階級制度が設けられている。もっとも高い階級の名称を答えよ)」
提督「(こりゃあイージー問題だな。一般人でも分かるような)」ペラ
『ボス』
提督「…………」チーン
提督「起こすか」
829: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:43:13.27 ID:SwajvDIs0
提督「女提督さん、もうそろそろ時間だから起きた方がいいぞ」ユサユサ
女提督「……う……もう……食べれない……」ムニャムニャ
提督「ベタな寝言いうなぁ……」
提督「ほら、女提督さん。いったん起きて」ユサユサ
女提督「ん……んぅ……なに……よ……もう」ムクッ
提督「やっと起きたか……」
女提督「……って……誰かと思えば……提督……?とかいうやつじゃない。なんなのよ」
提督「おはよう。そろそろ教官が来ると思ったから起こしたんだが……」
830: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:45:46.50 ID:SwajvDIs0
女提督「え……ってもうこんな時間!補修問題を早くやらないと!間違えた分だけスクワットの回数が増えるのよ!」
提督「スクワットか、那智教官らしい」
女提督「意味わかんないわよ!筋トレした所で化け物相手に通用するわけないってのに!」
提督「はは……那智教官曰く『強靭な精神は、強靭な肉体から生まれる』って感じだからしょうがないさ」
女提督「しらないわよそんなの」プンプン
提督「……どうでもいいけどさ。勝手に見たのは謝るけど……君の補修問題の答案ほとんど間違ってる」
女提督「……はぁ?」
831: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:47:01.33 ID:SwajvDIs0
───────────────────────
提督「だから────こういう事なんだ」
女提督「へぇ、なるほどねぇ」
女提督「あんたやるじゃない。すごく分かりやすかったわ」
提督「そうか?参考書通りの説明だが」
女提督「あのまま答案出してたら恐らく次の日……立てないくらいのスクワットになってたわね」
提督「はは……それは良かった」
832: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:47:42.93 ID:SwajvDIs0
提督「さぁ、もうこんな時間だし帰ろうぜ」
女提督「そうね。教官に提出してから帰るとするわ」
提督「わかった。んじゃ俺はお先に失礼するよ」
女提督「ええ、ありがとうね。提督」
提督「うん。またな」
833: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:49:54.54 ID:SwajvDIs0
───────次の日────────
─教室 放課後─
提督(今日も遅くなった……カバンとってはやくかえろう)
提督(ん……)
女提督「…………」グデーン
提督「昨日と同じ状態……」
提督「……はぁ。仕方がない……起こしてやるか」
834: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:52:18.09 ID:SwajvDIs0
提督「おーい、女提督さん。起きてくれ」ユサユサ
女提督「……ん……んん」ムクッ
女提督「あれ……またあんたじゃない」
提督「訓練後は教室に用があるからね。ついでに起こしたんだよ」
女提督「そう、迷惑かけたわね」
提督「きにしないでくれ。ついでだから」
835: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:54:23.22 ID:SwajvDIs0
女提督「ふーん……」
女提督「……あ、そうだ」
提督「ん?」
女提督「補修の問題、教えて欲しい所があるのよね」
提督「どの問題?」
女提督「これなんだけど……」
836: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:55:57.64 ID:SwajvDIs0
───────────────────
提督「───そうだな、その理解で問題ないよ」
女提督「なるほどね。よく分かったわ」
女提督「(こいつ……昨日も思ったけど説明が分かりやすいわね)」
女提督「(教科書とか教官の話を聞いてても分からない事がスイスイ頭にはいってくるわ)」
女提督「(そいえば学年でもトップに近い成績なんだっけ……)」
女提督「(顔も中々いいし、気が利くみたいだし……)」
女提督「(悪くないわね……)」
837: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:57:53.38 ID:SwajvDIs0
提督「女提督?大丈夫?」
女提督「ん?えええ、大丈夫よ。これで今日の分は教官に提出できるわ。ありがとう」
提督「ああ。どういたしまして」
女提督「……ねぇ」
提督「ん?」
女提督「よければまた暇な時にこうやって教えて欲しいのよ」
提督「うむ。それくらいなら構わない。まぁ時間が取れる時だけだけどな」
女提督「ほんと!?ありがとう。絶対よ!」
838: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 15:59:12.29 ID:SwajvDIs0
──────別の日──────
提督「ここの問題は─────だからね」
女提督「ふーん、分かったわ。こうね」
提督「そうそう」
─────さらに別の日──────
女提督「これも教えなさいよ、提督」
提督「んーどれどれ。ああこれか。これは────」
839: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:08:22.24 ID:SwajvDIs0
─────さらにさらに別の日──────
提督「ってことでここはこうやってだな」
女提督「うん、なるほねどぇ」
女提督「(こいつ……ほぼ毎日私に勉強教えてくれるけど……)」
女提督「(いくら訓練後でクラスによるからって毎回わざわざ声をかけてくるなんて普通じゃないわ……)」
女提督「(やはりこいつ……)」
女提督「(私の事が好きなのね!!!)」ドーン
女提督「(何よ何よ。普段は平気な顔してるけど)」
女提督「(私にゾッコンLOVEってわけね!!!!)」
提督「(うーん、ほんとは早く帰りたいんだが……)」
提督「(教えるといった手前、断るのも気が引けるし)」
提督「(どうにもこういう駄目な奴をみると放っておけない)」
提督「(我ながら損する性格だ)」
840: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:14:17.16 ID:SwajvDIs0
女提督「(まぁ、私そこそこ可愛いし好かれちゃうのもわかるわ)」ウンウン
女提督「(士官学校にきて色恋沙汰なんてしようとも思わなかったけど……)」
女提督「(嫌な気分ではないわ……ムフフ)」ジュル
提督「(なんかよだれ垂らして汚いなー)」ジー
女提督「(ああ、すごい見られてるわ。やっぱり間違いない。こいつは私の事が好きね)」
女提督「(けどどうしよう……男性に好かれるなんて初めてだしどうしていいやら……)」
女提督「(かといって何もしないのも……ここまでアプローチされて対応しないのも可哀想だし……)」
841: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:16:16.86 ID:SwajvDIs0
女提督「…………」チラッ
提督「?」ジッ
女提督「……あんた。今度の休み暇?」
提督「え?」
女提督「今度の休み、暇かどうか聞いてんのよ!!」」グワァ
提督「な、なんだよ。急に」
女提督「いいから答えなさい!」
提督「え、えっと……そうだな。特に予定は入れてなかったと思うが……」
女提督「そ、そう……それならいいわ」
提督「はぁ」
女提督「喜びなさい。いつもはすごい忙しいんだけど、私もちょーーーうど空いてるのよ」
提督「そうなんだ」キョトン
女提督「ええ、そうなのよ」
提督「ふーん」
女提督「…………」
842: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:20:25.22 ID:SwajvDIs0
提督「んで、ここの問題なんだけど」
女提督「誘えやぁあああああああああ!!!」
提督「えええ!?」
女提督「女の子が暇なんだっていってんだから遊びに誘ったりしなさいよ!!」
提督「な、なんなんだよ」アセアセ
女提督「おら早く!!!」
提督「な、何だ遊びに行きたいのか。じゃ、じゃあ今度の休みに……うーん、ショッピングにいこう」
女提督「ええいいわよ♪そこまでいうなら仕方ないわね♪」ニコォ
提督「お、おう……」
提督「(ああ……折角の休みだから家でまったりしたかったんだけど……)」」トホホ
女提督「(疲れ切った顔してるわね。まぁしょうがないわ)」
女提督「(好きな子を誘ったんだもの。きっと緊張したんだわ)」フフン
843: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:22:11.30 ID:SwajvDIs0
────────────────────
──休みの日──
大和「私は大和、よろしくね」
日向「日向だ。気軽に呼び捨てでいい」
加賀「加賀です。仲良くしましょう」
女提督「……よ、よろしく」ヒクヒク
提督「いやぁ、どうせ遊ぶんならみんなでと思ってな」
提督「飯くらいは奢るし、今日は訓練の事とか忘れて楽しく遊ぼう!」
844: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:24:13.08 ID:SwajvDIs0
女提督「…………」
提督「……女提督?どうした?腹でも痛いのか?」
女提督「……そうね。なんかすごくムカムカしてるわ」ヒクヒク
提督「ほんとか。丁度ここに腹痛の薬がある。便秘にもよく聞くし楽になるかもしれない」
女提督「…………」
提督「まぁなんだ。女の子は身体の構想上、便秘持ちが多いって聞くしな。俺は別にしょうがないと」
845: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:27:15.56 ID:SwajvDIs0
女提督「便秘便秘って……」
女提督「いっぺんしねぇえええええええええええええ!」
バチーン
提督「ゲブラッ!」
女提督「ったく!気合いれて損したわ!さっさと提督の奢りでご飯食べにいくわよ!」
提督「いてて……なんなんだよ一体……」
大和「……だから言ったのに。二人で行った方がいいって」
日向「とんだ朴念仁だな」
加賀「昼ごはん楽しみですね」ワクワク
──────
─────
────
───
──
─
846: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:34:47.10 ID:SwajvDIs0
───士官学校での生活は数年続き
───様々な出来事を経験し成長していく提督達
───時には、ライバルと競い
847: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:39:18.34 ID:SwajvDIs0
羽黒「あ、あのそろそろ演習を始めたいのですが……」
エリート「今度は負けないぞぉ、提督」
提督「諦めろ。勝つのは俺だ」
エリート「一度勝ったくらいで調子にのりやがってぇ」
提督「お前は最初から調子にのってただろーが」
エリート「……雑魚がぁ!」
提督「……お坊っちゃま野郎が!」
バチバチ
大和「もー、会うたびに煽りあって……」
大和「素直に仲良くなりなさいよね」
瑞鶴「今度こそ負けないわよ加賀」
加賀「……負けるつもりで戦う人はいないでしょう。当たり前の事をいわないでください」
瑞鶴「あんた……い、いちいち言い方がむかつくのよ」
加賀「そうですか。じゃあ話しかけなければいいのでは?」
瑞鶴「むがぁあ!!翔鶴姉!今日は最初から全力で艦載機飛ばすわよ!」
翔鶴「瑞鶴ったら……まぁいいわ。この前の雪辱を果たす時ね」
大和「こっちはこっちで大変ね……」ハァ
848: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:40:18.18 ID:SwajvDIs0
───────時には仲間と楽しく過ごし
849: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:41:14.12 ID:SwajvDIs0
提督「大和さん、日向さん、特に加賀さん」
大和「どうしたの?」
日向「なんだね」
加賀「食べるのに忙しいので話しかけないでもらえますか」
提督「ご飯食べるのはいいんだけど……もう少し控えてもらえると……さ」
大和「提督、今日私達の着替え覗いたわよね?」
提督「いや、あれは艤装を外してる最中だとてっきり……」
大和「の・ぞ・い・た、わよね?」
提督「……どうぞ召し上がりください」
大和「はい♪」
提督(とほほ……なんで夕ご飯をおごらなきゃいけないんだ……)
提督(また親父の店てつだってバイト代稼がなきゃ……)
加賀「すみません。これ、おかわりお願いします」
大和「私も私も♪」
日向「ふむ。私も貰おうか」
提督「……はは」
851: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:43:28.25 ID:SwajvDIs0
───────色恋沙汰?も起こったり
852: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:45:43.50 ID:SwajvDIs0
女提督「提督!今日こそあんたにテストの点数で勝ってやるわよ!」ビシィ
提督「お、おう。どうでもいいけどなんで俺につっかかってくるんだよ……」
女提督「うるさい!いいから勝負なの!」
那智「静かにしろ!呼ばれた奴からテストの結果を返すからとりにこい。」
提督「はい」スタスタ
女提督「ちょ、あんた!先に取って不正しようとしても無駄だからね」ズンズン
提督「しないよ……んーと、92点か。あー艦種の特性の説明でミスってるな……」
女提督「(ふふん。バカね。私は今回めちゃくちゃ勉強したから100点の自信があるわ)」
女提督「見てなさい提督。私がホントはできるってところ!」
那智「…………女提督」
女提督「はい!なんでしょうか?那智教官!」ビシッ
那智「今回はよくがんばったな。ほぼ完ぺきだった」
女提督「やっぱり!がんばったんですよ!何点だったんですか!」
那智「ほら見るがいい」ピラッ
女提督「うふふ……っよし!0点!」
女提督「……え……0点?」
那智「問題はほぼ完ぺきだったんだがな」
那智「自分の名前を間違えてるぞ」
女提督「…………あ」
那智「まぁ当たり前の事もできない人間に採点などできんからな」
那智「今回は0点だ」
女提督「……お、お許しいただけないでしょうか?」アセアセ
女提督「だって……私の漢字難しいじゃないですか……ほら……雲は簡単ですけど……」
那智「…………」ニコニコ
那智「明日から地獄の補修を用意しているから楽しみにしておけよ」ギロッ
女提督「ひぃいいいいいいいいいいいいいい」
提督「……アホだな」
853: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:46:29.31 ID:SwajvDIs0
────────厳しい訓練や
854: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:47:37.11 ID:SwajvDIs0
提督「何やってるんだ日向!もっと早く砲撃しないと良い的になるぞ!」
日向「わ、分かっている!」
提督「加賀はもっと連携をとれ!砲撃の着弾に合わせて爆撃するだけで命中精度が変わると何回言わせるんだ!
加賀「すみません……」
提督「大和は無駄弾を打ち過ぎだ!戦場ではコストコントロールも頭に入れろ!」
大和「ご、ごめんなさい。調子にのったわ……」
855: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:48:14.95 ID:SwajvDIs0
──────自身の鍛錬を行う
856: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:48:56.53 ID:SwajvDIs0
那智「提督!ペースが落ちてきているぞ!
提督「はぁっ……はぁっ……ななじゅういち……ななじゅうに……」ポタポタ
那智「声が小さい!」パシンッ
提督「りょ、了解!ななじゅーーさん!!ななじゅーーーーよん!」
那智「たかが100回の腕立てをそんなトロトロやっていたら日が暮れるぞ!」
提督「(くそ……重りさえなきゃ……)」ゼェゼェ
那智「休むんじゃない!」パシンッ
857: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/29(火) 16:49:49.60 ID:SwajvDIs0
───そうして
時間は流れていき……提督達の士官学校での生活は少しずつ終わりに近づく──────
868: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 10:45:14.61 ID:3kuIfefq0
──────────────────────
─ 数年後 ─
士官学校 下駄箱
提督(あと少しでこの学校での生活も終わり……)
提督(最初はどうなるかと思ったけど……)
提督(無事卒業できそうだ)
提督(……長い様で短い……数年間だったな)
869: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 10:47:00.74 ID:3kuIfefq0
老人「すみません、そこのお若い方」
提督「はい?」
老人「訓練場はどこにあるのか教えていただけんかのう?」
提督「かまいませんよ。俺も丁度今から訓練なのでよければ一緒に向かいましょう」
老人「それは助かるのぉ」
870: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 10:49:22.13 ID:3kuIfefq0
──────────────────
スタスタスタ
スタスタスタ
提督「……おじいさんは軍関係者の方ですよね。まぁここにいるんでしょうから当たり前かもしれませんが」
老人「うむうむ。お主たちと同じく艦娘の指揮官をやってたぞい」
提督「おお、って事は大先輩……ですね」
老人「ふぉっふぉっ、そうじゃな。多くの深海棲艦を倒してきたし」
老人「多くの仲間を目の前で失ってきたぞい」
提督「……そうですか」
老人「長く生きてると色々かんじる事があってのぉ」
老人「こうやってたまに士官学校にきて感傷に浸るのじゃよ」
提督「…………」
871: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 10:52:09.11 ID:3kuIfefq0
老人「ところで……きみは今から訓練といっていたようだが」
提督「はい。今から担当している3人と一緒に……ですね」
老人「お邪魔じゃなければ見学させてもらっても構わないかの?」
提督「どうぞ。大先輩に見ていただけるなんて光栄ですよ」
老人「フォッフォッフォ。そういわれてしまうとプレッシャーだのぉ」
提督「はは、お手柔らかにお願いします……っと」ピタッ
提督「ここが訓練場です。モニタールームから訓練の様子を見れますのでそこまで案内しますよ」
872: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 10:54:30.23 ID:3kuIfefq0
─────────────────────
提督「どうでしたか?訓練の方は」
老人「いやあ、中々良いものじゃったわ。昔を思い出すぞい」
提督「良かった。退屈なんじゃないかと思いましたが」
老人「……まぁちょいと評価をさせてもらえるとすれば」
老人「士官学校のレベルで見れば……艦娘の練度、士気も高く」
老人「訓練の内容も良く練られており各艦娘の苦手な部分を抑えつつ、得意なポイントも伸ばせるように考えられている」
老人「指示の仕方も実にスムーズかつシンプルなもの」
老人「かといって簡素すぎるものではなくあらゆる場面を想定しているように見受けられる」
老人「一つ残念なのは艦娘達があまりそれらの事を理解していない事」
老人「指揮官としての君の実力は過少評価されているかもしれんのぉ」
873: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 10:55:38.74 ID:3kuIfefq0
提督「…………」ポカーン
老人「どうした?ワシが変な事をいってしまったかの?」
提督「い、いえ。そういった評価をいただくのは初めてでして……」
提督「……ありがとうございます。自信になりました!」
老人「ふぉっふぉっふぉっ。ジジイの戯言じゃよ」
874: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:00:09.91 ID:3kuIfefq0
提督「……ところでこの後はどこか行かれるんですか?」
老人「あ、そうじゃ。ちょっと挨拶をしたいからここの責任教官に会いたいのじゃが……」
提督「(責任教官……那智教官の事か)」
提督「分かりました。良ければ案内しますよ」
老人「おお、またまたすまんのぉ。お願いするぞい」
875: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:02:09.45 ID:3kuIfefq0
──教官室──
コンコン
那智「ん、誰だ?」
提督「提督です」
那智「ふむ。何の用だ?」
提督「過去に生徒として在籍していたご老人が教官に挨拶したいとの事で連れてまいりました」
那智「ほう、珍しいな。わかった。入ってくれ」
提督「失礼します」ガチャ
876: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:04:09.70 ID:3kuIfefq0
那智「これはこれはよくいらっしゃいました、現責任教官の那智と……も」
那智「え……」
提督「……那智教官?どうしたんですか?」
那智「て……提督……お前……その方は」
提督「へ?」
老人「久しぶりだの那智よ。去年ぶりだのぉ」
那智「……お、お久しぶりです!」サッ
提督「ど、どういう事ですか。敬礼までして……」
那智「そのお方は……中央鎮守府第1艦隊 総司令官 爺提督(以下、標記を爺督) 大将」
那智「……海軍最高責任者の一人だ」
提督「…………」
提督「はい?」
877: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:06:13.69 ID:3kuIfefq0
爺督「ふぉっふぉっふぉっ。騙すつもりではなかったのだが」
提督「…………」ポカーン
爺督「特にいわんでもいいかと思ってのぉ」
提督(知らないで割とフランクに対応してしまったぁぁぁ!)
提督「たたた、大変ご無礼な態度をとり、も、申し訳ございませんでした」ペコリ
爺督「よいよい。そう硬くなるでないぞい」
878: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:07:48.49 ID:3kuIfefq0
那智「それで……総司令。本日こちらにおいでになった理由は……」
爺督「まぁ色々とのう……」チラッ
提督「?」アセアセ
那智「……提督、教室に戻っていいぞ」
提督「あ、はい」ワタワタ
ガチャ
提督「失礼しました」サッ
バタン
爺督「察しがよくて嬉しいわい」
那智「いえ……」
879: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:09:47.04 ID:3kuIfefq0
那智「では、本題に移りましょう」
那智「総司令がここへきた理由を」
爺督「まぁそう急ぐでない。よっこいしょ……」ドスン
爺督「どうだ?今年の指揮官志望の者たちは」
那智「……そうですね」
那智「まだまだ未熟者が多く、日々訓練により現実の厳しさをたたきこんでおります」
爺督「ふむふむ、さすが那智君。しっかり見てるようだわい」
那智「教官として当たり前の事です」
880: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:11:17.83 ID:3kuIfefq0
爺督「……今年もいいのがいたら、わしんとこに寄こしてもらおう思っているのじゃが……」
那智「いえ……今年は総司令の御眼鏡に適う様な者はいません」
那智「本年度卒業の者たちはなるべく下積みの経験をさせるべく、各鎮守府の補佐として配属させる検討です」
爺督「ふむふむ、そうかそうか」
那智「一名ほど実戦経験が豊富で優秀な者がいるのですが、そちらはもう希望鎮守府へ着任予定となっております」
爺督「なるほどなるほど」
那智「親が司令官をやっていた者ですから、、上層部の配慮により決定しております」
爺督「ほう……それは残念じゃ」
881: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:11:50.73 ID:3kuIfefq0
那智「そういう訳で今年は申し訳ないのですが……期待できる者をご紹介に」
爺督「さっきの若造はどうだの?」
那智(……っ)
那智「なんの事でしょう?」
882: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:12:58.81 ID:3kuIfefq0
爺督「わしをここまで案内してくれた子じゃよ」
爺督「わしの見立てでは中々だと思うのだが……」
那智「提督の事ですか。たしかにチーム演習では1位を維持しており中々の腕だと思います」
那智「しかしながら実戦経験に乏しく、軍人としては優しすぎる一面がある為、推薦する程とは思えません」
爺督「……そうか……残念だのぉ」
那智「申し訳ございません。ご期待にそえず……」
爺督「艦娘の改造を在学中にしたというのは本当かの?」
那智「!?」
883: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:14:35.97 ID:3kuIfefq0
爺督「開発したと思われる艤装も難易度の高い物ばかり……妖精との親密度も高いようだのぉ」
那智「……っ」
爺督「チーム戦での戦術も艦隊に合せてよく練られておる」
爺督「艦娘にも慕われ人望もあるようだの」
爺督「なにより、編成されている艦娘の訓練データ」
爺督「この男が指揮をとってから著しい成長が見られる」
爺督「艦娘の成長はイコール指揮官の腕前じゃ」
那智「総司令……」
884: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:16:21.75 ID:3kuIfefq0
爺督「ふぉっふぉっふぉっ、しかしこれだけできる男の情報がこちらに上がってきていないのはなぜかのぉ」
那智「…………」
爺督「……那智よ」
爺督「わしをあまり舐めるなよ」ギロッ
那智「……も、申し訳ございません」ビクッ
那智「なにとぞ……目をつぶっていただけないでしょうか?」
那智「たしかにあの男……提督は優秀です。私が見てきた中でも……間違いなく上から数えた方が早いほどに」
885: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:17:29.95 ID:3kuIfefq0
那智「ですが!実戦経験に乏しいのは確かです!彼を中央に置くのはまだ」
爺督「黙れ」
那智「……っ」
爺督「それを決めるのは総司令官であるワシだ」
那智「……申し訳ございません」
爺督「優秀すぎるというのも……酷なものだ」
爺督「お前も……そしてあの若造もな」
886: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 11:24:01.85 ID:3kuIfefq0
──────────────────────────────
提督「はぁ……今日はビックリしたよ……」
大和「どうしたのよ?」
提督「さっきのおじいさん……海軍の総司令官だった」
大和「何言ってんのよ。そんな人が一人でここに来るわけないじゃない」
提督「いやぁ俺もそう思ったんだが……」
提督「あの那智教官が嘘を付くとは思えないしな」
大和「ふーん……まぁいいじゃない」
大和「それが本当だったら軍トップの人に名前を覚えてもらったのよ。今後いい事があるかもしれないわ」
提督「……うむ」
提督(話した感じはすごく優しい年配の方って感じだったが……)
提督(訓練の評価を貰った時、雰囲気が少し変わったというか……)
提督(何か底知れぬ怖さを感じたな……)
提督(気のせいだといいが……)
893: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 12:56:26.34 ID:3kuIfefq0
──────────────────────────────
~数か月後~
─卒業の日─
那智「これより……卒業生の着任先を発表する」
那智「呼ばれた者は返事と共に起立、敬礼を行うように!」
那智「では……同級生A 指揮官候補生」
同級生A「はいっ」ビシツ
那智「南西鎮守府 第3艦隊 補佐官 の 着任を命ずる!」
提督「(いよいよ……卒業……俺たちの着任先も決まる)」
提督「(特にここが良いという具体的な要望はないけど)」
提督「(欲を言えば……良い上官に恵まれると嬉しい所だが……)」
894: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 12:58:15.58 ID:3kuIfefq0
那智「続いて、エリート 指揮官候補生!」
エリート「はいぃ!」ビシッ
提督「(お……エリートの奴か。あいつの成績なら良い場所に着任しそうだな……)」
那智「北鎮守府 司令官 の着任を命ずる!」
ザワザワ
スゲェ
イキナリシレイカンカヨ
ムカツクケドヤルナァ
提督「(いきなり司令官?!ってことは鎮守府を任されたって事か……すごいな……)」
提督「(まぁあいつは俺と違って実戦の経験が豊富だしな。前線に出てただけあってそれなりの評価はあるか)」
提督「(俺なんかじゃ無理だろうな……)」
895: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:00:05.46 ID:3kuIfefq0
那智「続いて、提督 指揮官候補生!」
提督「(って俺の番!)」
提督「はいっ!」ビシッ
那智「中央鎮守府 第2艦隊 司令官の着任を命ずる!
シーン
提督「(中央鎮守府の第2艦隊……か)」
提督「(まぁそれなり……)」
提督「え?」
897: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:05:25.99 ID:3kuIfefq0
マジカヨ
スゲェ
チュウオウダッテヨ
ザワザワ ガヤガヤ ザワザワ
同級生A「中央鎮守府って……総司令官の所属する……」
同級生B「ああ……高い実績のある指揮官やベテランの艦娘しかその入口をまたぐ事ができない日本海軍最強の鎮守府だ」
同級生C「しかも第2艦隊の司令官だろ?」
同級生A「ええ……海軍は事実上、中央鎮守府第一艦隊の総司令官が最高権利者とされています」
同級生C「本来上である筈の元帥が置物みたいだからな……」
同級生B「第2艦隊の司令官は言ってしまえば上から2番目に偉いという事になる……のか?」
同級生C「かもしれないな」
同級生A「出世も出世ですね…提督さん」
同級生C「てか、中央ってあまりにも規模がでかいから艦隊毎に司令官がいるんだっけ?」
同級生A「はい。他の鎮守府とちがって艦隊全てにそれぞれ司令官が一人ずつ要る筈です」
同級生C「その時点で次元が違うのか……」
898: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:07:16.59 ID:3kuIfefq0
提督「……」ポカーン
大和「ああ、提督が驚きすぎてアホ面になってるわ……」
日向「驚く気持ちもが分かるがあんな口開けたまま固まらなくてもな」
加賀「……心構えが足りませんね」
那智「続いて、艦娘戦闘候補生の着任先を発表する」
899: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:08:58.24 ID:3kuIfefq0
──────────────────────
大和「…………」ポカーン
日向「…………」ポカーン
加賀「…………」ポカーン
瑞鶴「第24艦隊の奴ら全員、アホ面になってるわよ」
翔鶴「仕方がないですよ。全員が中央の第2艦隊に任命されたんですから」
最上「へへへ、基本的に士官学校でチームを組んだ仲間と同じ場所に任命されるのはある事だもんね」
翔鶴「そうですね。私達もエリートさんと同じ北鎮守府に任命されましたから、嬉しいかぎりです」
瑞鶴「えへへー翔鶴姉と一緒で良かったー♪」
翔鶴「ふふふ、私もですよ。瑞鶴」
最上(シスコン乙……って感じだねこりゃ)ハァ
900: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:10:58.13 ID:3kuIfefq0
──────────────────────
─終業後─
提督「まさか俺達が中央に配属されるとはな……」
大和「ええ……ちょっと意味がわからないわ」
日向「ありえるのか……?学校卒業してすぐだぞ?」
加賀「……前年度の卒業生も一名、中央に着任してるそうですよ」
提督「へぇ……なら別にそこまで敷居が高くないのかもな」
大和「日本海軍最強の艦娘と指揮官が揃ってるのよ……そんな筈はないと思うけど……」
901: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:12:07.46 ID:3kuIfefq0
日向「まぁなんだ……色々考えてもしょうがない」
加賀「そうですね。決まった事はしょうがありません」
提督「うむ……とりあえず、みんな同じ鎮守府に配属された事を喜ぶとしよう」
大和「……そうね」
日向「ああ……」
加賀「はい……」
「ナニをしんみりしてるんだ雑魚どもぉ」
902: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:13:08.46 ID:3kuIfefq0
提督「その声は」
エリート「ふんっ。本当の戦いはこれからなんだぞ、君達」
瑞鶴「ほんとよね。もう仲良しごっこじゃすまされないのよ」
翔鶴「すみません。急にお邪魔してしまって」
最上「みんなヤッホ~♪」
903: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:15:26.21 ID:3kuIfefq0
提督「……お前に言われなくても分かってるよ」
エリート「本当に分かっているのかねぇ?そのバカ面で」
提督「10戦5勝4敗1引分け……そのバカ面に演習で負け越してるのはだれだろうな」
エリート「ふんっ。たかがマグレで1勝勝ち越しているだけで調子に載らないで欲しいねぇ」」
提督「ったく……負け惜しみばっかいいやがって。冗談は顔だけにしろよ」
エリート「…………君はほんとむかつくねぇ」ギロ
提督「……ああ、そんなに褒めないでくれるか」ギロッ
904: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:17:05.14 ID:3kuIfefq0
エリート「…………」ジー
提督「…………」ジー
エリート「……フフ」
提督「………へへ」
エリート & 提督「「アーハッハッハハッハ」」ドッ
瑞鶴「な、なによあれ気持ち悪い。喧嘩してると思ったら急に笑いだしたわよ」
エリート&提督「「ハッハッ……はぁ……」」
エリート「コホンッ…………さて、雑魚と一緒にいると雑魚がうつるので……おいとまするよ」
提督「はいはい、さっさといけいけ」
エリート「瑞鶴、翔鶴、最上。いくぞ!」
瑞鶴「ええ、あ、ちょっとあたし達はまだ挨拶してないのに」
翔鶴「今日は書類作業も多くありますから早めに戻りましょう」
最上「あーーそんなめんどくさいのがあったのか……嫌だなぁ……」
906: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:19:05.21 ID:3kuIfefq0
エリート「…………」スタスタ
エリート「おい」クルッ
提督「ん?」
エリート「僕と決着が着くまで……勝手に死ぬなよ」
提督「………ああ、お前もな」
エリート「……ふんっ」クルッ スタスタ
加賀「あれが男の熱い友情というものですか」キョトン
日向「いや、ひねくれてる二人特有のものだと思うが」ハァ
大和「そうね。素直に応援しあえばいいのに……めんどくさい二人ね」クスクス
提督「お前ら、聞こえてるぞ」
907: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:20:12.20 ID:3kuIfefq0
ガラガラ
那智「お、ここにいたか」
提督「那智教官……どうかされたんですか?」
那智「……お前らに一言いっておきたい事があってな」
提督「はぁ……なんでしょうか?」
那智「……中央鎮守府の事なんだが」
908: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:21:55.70 ID:3kuIfefq0
─────────────────────
爺督「余計な事をあいつらに言うんでないぞ」
那智「…………」
爺督「……大切な妹がいるんだろう?たしか羽黒といったか」
那智「羽黒をどうする気ですか」
爺督「なぁに、何もせんよ。お主が何もしなければ……何もな……」
那智「…………っ」ギリッ
────────────────────
909: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:23:14.84 ID:3kuIfefq0
那智「……いや……なんでもない……」
提督「……?」
那智「……お前らは何も軍に従事する事だけが生きる術ではない」
那智「能力があるとはいえ、君たちの意思が尊重されるんだ」
那智「辛かったら軍を辞める事もできる。艦娘は普通の人間に戻る事も可能だ」
那智「覚えといてくれ」
提督「那智教官……」
那智「それだけが言いたかったのだ。失礼する」スッ
提督「……教官!」
那智「…………」ピタッ
提督「数年間、ありがとうございました」ペコリ
那智「……ああ」
スタスタスタ
那智「(すまん……提督)」
那智「(止める事ができなくて……)」グッ
911: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:24:51.14 ID:3kuIfefq0
大和「はぁ……色々あって疲れたわね」クタァ
日向「そうだな。普通の訓練とはまた別の疲れが……」クタァ
加賀「気疲れというやつですかね」クタァ
提督「……」
提督「なんかさ……もう士官学校を……卒業なんだな……」
大和「そうね……」
日向「あっという間といえばあっという間でしたが」
加賀「長かったといえば長かったですね」
提督「うん……」
912: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:25:53.14 ID:3kuIfefq0
提督「えっとさ」
提督「みんな今までありがとう」
大和「……どうしたのよ急に」
提督「いや、なんとなく伝えたくてな」
提督「凄く頼りなかった俺だけど」
提督「みんなこの数年間、俺を信じて付いてきてくれた」
提督「おかげで充実した生活をおくれたと思う……」
提督「……俺はほんと……幸せ者だ」
913: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:32:46.70 ID:3kuIfefq0
日向「何をいうかと思えば……」
加賀「ほんとですね。私達の方が感謝しなければいけない事がたくさんありますよ」
大和「もっと自信持ちなさい提督。提督が努力してきた結果なんだから」
提督「……そういってくれると嬉しいよ」
大和「ふふ……でも、始まりはむしろはこれからなのよ」
加賀「ですね。この先も共に頑張りましょう」
日向「うむ。頼りにしてるぞ。提督」
提督「……そうだな。うん。その通りだ」
提督「………」
914: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:33:32.40 ID:3kuIfefq0
提督「3人とも……これから先も」
提督「よろしく頼む」
915: ◆vLyL7y0Zk. 2014/07/30(水) 13:35:32.51 ID:3kuIfefq0
おまけ
女提督「あの……那智教官」
那智「なんだ」
女提督「私の着任先は一体どこなのでしょうか……呼ばれていないのですが……」
那智「それがどういう意味かわからん訳ではあるまい」
女提督「や、やっぱりそういう事なんですか」
那智「うむ。着任先は変わらずここだ」ニコッ
女提督「それって……」
那智「ああ留年だ!この阿呆が!」
女提督「ひぃいいいいいいいいいい!!」
おわり
女提督「あの……那智教官」
那智「なんだ」
女提督「私の着任先は一体どこなのでしょうか……呼ばれていないのですが……」
那智「それがどういう意味かわからん訳ではあるまい」
女提督「や、やっぱりそういう事なんですか」
那智「うむ。着任先は変わらずここだ」ニコッ
女提督「それって……」
那智「ああ留年だ!この阿呆が!」
女提督「ひぃいいいいいいいいいい!!」
おわり
923: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:35:37.96 ID:M/HhsjtF0
───────────────────────────────
─提督家─
提督母「あんたがホントに軍人になるなんてね……」
提督母「どうせついていけないから辞めると思ってたわ」
提督「はは……まぁ、たしかに色々大変だったけどね」
提督母「ホントにしばらく帰ってこれないの?」
提督「うん。鎮守府の寮に住むからね」
提督母「そう……」
提督母「提督」
提督母「今からでも……遅くはないわよ……軍に入るのは」
ピンポーン
提督「お、迎えが来たみたいだ」
提督「いってくるよ、おふくろ」スッ
提督母「あ……」
提督母「……いってらっしゃい」
──────────────────────────
924: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:36:50.73 ID:M/HhsjtF0
運転手「お迎えにあがりました。提督様」
提督「はい、わざわざありがとうございます」
提督(ほんとに専属の運転手がきた……すごいな)
大和「提督ー、早く載りなさい」
提督「もう載ってたのか大和」
日向「私達もいるぞ」
加賀「こんにちは」
925: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:38:15.49 ID:M/HhsjtF0
提督「日向と加賀まで……家近くないのになんでだ?」
大和「二人とも私の家に泊まってたのよ」
提督「ああ、そういう事か。一声かけてくれれば顔だしにいったのに」
大和「ちょっと女の子だけで集まりたかったの」
提督「ふーん……まぁいいけどさ」
運転手「皆様、そろそろ中央鎮守府へ出発します。よろしいでしょうか?」
提督「あ、すいません。お願いします」
926: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:41:00.68 ID:M/HhsjtF0
──────────────────
─中央鎮守府─
提督「ここが中央鎮守府……」
大和「大きいわねぇ……」
日向「すごいな。ざっと20メートルの高さはある壁が囲う様にずっと続いている」
加賀「端から端までが見えませんね」
大和「小さい頃パパに連れられて来た事があるけど……その時より更に大きなってるわ」
提督「ふむ。とりあえず受付口に行ってくるからここでまっててくれ」
927: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:42:07.60 ID:M/HhsjtF0
───────────────────────────────
中央受付員「提督様、大和様、日向様、加賀様ですね」
提督「はい」
中央受付員「お待ちしておりました。そのまま車で寮の方へ移動してお荷物を置いていただきます」
提督(これだけの広さだ。基本敷地内は車移動みたいだな)
中央受付員「寮の建物はそのまま提督様達の所有物になります。お好きな部屋をご利用ください」
中央受付員「部屋は顔と指紋による認証で管理するオートロック形式、鍵は不要です」
中央受付員「何かお困りな事がありましたらこちらまでご連絡ください」
提督「分かりました」
提督(建物そのものを所有物とは……さすが中央……)
928: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:43:35.56 ID:M/HhsjtF0
─中央鎮守府 寮─
提督「これまた……で……でけぇ……」
大和「こ、この豪邸があたし達の物?」
日向「4人じゃ恐れ多い大きさだ……」
加賀「一体、何部屋あるんでしょうか?」
提督「ま、まぁとりあえず中へはいって荷物を置こう」
929: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:45:45.65 ID:M/HhsjtF0
───────────────
─寮内─
提督「じゃあ俺はあっちの部屋にするから」
大和「分かったわ。女子はあっち側で並んで部屋とるわね」
日向「しかし20部屋以上あるからたまに迷いそうでこわいな」
加賀「ですね……ん」
加賀「…………」クンクン
加賀「いい匂いがします」
メイド「はい、お食事のご用意もできております」サッ
加賀「……はぅっ!」ビクッ
930: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:47:06.30 ID:M/HhsjtF0
メイド「あ、すいません急にでて驚かしてしまって」
メイド「私はこちらで皆さんのお手伝いをするメイドです」
メイド「主に日常生活関連のサポートをします。よろしくお願いします」ペコリ
提督達「「よ、よろしくお願いします」」
大和(メイドさんまでいるなんて……)
日向(軍の待遇は良いと聞いていたが……)
加賀(ここまでとは……中央だからというのもありますでしょうが)
メイド「どうですか?お食事されますか?」
提督「あ、ああそうですね。みんなでお昼にしようか」
931: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:48:20.95 ID:M/HhsjtF0
─食堂─
提督「す、すごい量ですね」
メイド「はい♪腕によりをかけて一杯つくりました!」
提督「しかしこれだけの量……いや食べれるか」
メイド「ええ食べれると思いますよ。艦娘の皆さんは普通の人間より食事量が多いはずですし」
メイド「それに、そこの方は空母型ですよね?」
加賀「……?」コクリ
932: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 11:50:00.07 ID:M/HhsjtF0
メイド「空母型の方は特に食事量が多いのでこれくらいなら食べれると思いますよ」
加賀「…………」ジュルリ
提督「詳しいんですね、艦娘の事に」
メイド「ええ、この道10年近くやっていますから。ある程度の事は知っていますよ」
提督「なるほど……頼りになります」
提督(使用人ですらこの対応か。恐るべし中央鎮守府……)
メイド「さぁ、皆さん。冷めない内に食べてください!」
提督「そうですね。では、いただきます」
936: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 12:57:39.92 ID:M/HhsjtF0
一時間後
加賀「満足です……」ケプ
大和「ごちそう様でした。ほんとに美味しかったです♪」
日向「驚いたな。レストランも顔負けの味だ」
メイド「そういってもらえると作った甲斐があります♪」キャピ
提督(この量をしっかり味付て調理できるとは……さすがだな)
提督「……さて、腹ごしらえもすんだしこの後、挨拶回りに行くから正装しといてくれ」
大和「どこへいくの?」
提督「んー本部の建物があるからまずはそっちかな」
提督「その後に爺督大将と各司令官へ挨拶に」
大和「分かったわ。じゃあ一時間後に玄関集合にしましょう」
提督「うむ」
メイド「艦娘ちゃん達の着替えは私が手伝いますね~」
940: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 13:43:28.24 ID:M/HhsjtF0
──────────────────────
提督「……」
大和「お待たせ……ってそれ、新しい軍服?」
提督「うむ。これはなんかあれだな」
大和「真っ黒の軍服なんて珍しいわね」
提督「たしかにな。なんでお前らは白で俺だけ黒なんだ」
大和「艦娘の軍服は全員統一されてるわよ、提督ちょっとこっちきて」
大和「あ……ほら、襟元になんかゴミがついてたわ」スッ
提督「ん、ああすまん」
日向「そうやってみると夫婦って感じだな」スタスタ
加賀「ですね」スタスタ
提督「お、準備はできたみたいだな二人共」
日向「うむ……って提督。なんだその喪服みたいな軍服は」
提督「……いうなよそれ」ズーン
941: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 13:46:14.15 ID:M/HhsjtF0
────────────────────────
─中央鎮守府 本部 建物内応接間─
本部軍人「やや、よくぞいらっしゃいました!提督殿!」ビシッ
提督「はっ!今日より着任いたしました!よろしくお願いします!」ビシッ
本部軍人「提督殿はそんなに堅くならなくてよいのですよ。立場的に貴殿の方が上なのですから」
提督「いえ……そうとはいえ先輩方に無礼な態度は遠慮したく思います」
本部軍人「はは、なんと真面目な方だ」
942: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 13:47:46.71 ID:M/HhsjtF0
本部軍人「さて……自己紹介遅させていただきますが私、中央鎮守府 本保総責任者の本部軍人と申します」
本部軍人「こちらの本部では任務の管理から予算の組み立て」
本部軍人「各鎮守府の状況把握などいってしまえば割と何でもする所でありまして」
本部軍人「まぁ何か問題が発生したら私どもに言っていただければある程度対応できます、はい」
提督「なるほど、了解しました」
943: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 13:50:11.75 ID:M/HhsjtF0
本部軍人「……いやはや、今度もお若い方だなぁ」
提督「……今度も?」
本部軍人「あ、いやいや。何でもございません」
本部軍人「それより総司令官が提督殿がくるのを首を長くして待っている様ですよ」
提督「総司令官が?……了解しました。すぐに行ってまいります」サササ
スタスタ
提督「では、失礼します」ペコリ
バタン
本部軍人「…………」
本部軍人「何年……いや、何ヶ月持ちますかな」ボソッ
944: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 13:56:17.04 ID:M/HhsjtF0
────────────────────────────
─ 中央鎮守府 第1艦隊 訓練海場 ─
提督「話に聞くとここらへんに総司令官がいるらしいが」キョロキョロ
大和「敷地内に海水を引き込んで、こんなに大きい訓練場をつくってるのね。すごいわ」
加賀「……設備の充実さも聞いてる通りですね」
日向「おい……あそこの海上に誰か走ってるぞ」
シュタタタタタタタタタタタタ
ヒィイイイイイ
キャハハハハ
加賀「すごい速さですね……」
大和「艦娘……よね?」
提督「うむ……それと、だれか背中に背負ってるぞ」
945: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 13:57:07.29 ID:M/HhsjtF0
島風「じーじ、お客さんもう来てるみたいだよー」
爺督「あばばばば!島風ちゃん!もう少し速度を下げ」
島風「え?何?速さが足りない?仕方ないなぁ」
爺督「ち、ちが、さげ」
島風「リミッター解除♪島風、全速でいっきまーす!」
ギャァアアアアアアアアアアアアアアアア
ハヤイデショーーーーー
提督「大丈夫かあれ……」
946: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:01:11.88 ID:M/HhsjtF0
───────────────────────────
爺督「ヒぃっ……ヒィッ……よく……ぞ……き……てくれ……ヒィッ……た」ゼェゼェ
島風「じーじ、そんな辛かったんならいってくれれば止めたのに」
爺督「ヒぃっ……ヒィッ……いっ……ったよ……」
島風「じーじがワシも風になりたいとかいうから背中乗せたのに、だらしないなぁ」プクー
提督「……」タラーン
提督「え、えっと、本日より着任いたしました!提督です!これからご迷惑おかけすると思いますが何卒ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します」ビシッ
爺督「……ヒィッ……ヒィッ……オエッ」
島風「じーじ汚ーい」
提督「…………」ガクッ
947: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:03:28.15 ID:M/HhsjtF0
大和(ちょ、ちょっとこの人本当に海軍で一番偉い人なの?)ヒソヒソ
提督(そうだよ。お前だって写真みたろ?)ヒソヒソ
大和(似てる別人じゃないのかしら)ヒソヒソ
爺督「……ヒィッ……ヒィ……よし、落ち着いてきたわい」
爺督「すまんの、見苦しい所を見せて」
爺督「てわけで改めて挨拶させていただこう」
爺督「わしがこの中央鎮守府で一番偉い爺督大将だぞい!よろしくのぉ!」
提督達「「よ、よろしくお願いします」」
島風「じーじ偉そうだねぇー」
948: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:06:09.33 ID:M/HhsjtF0
爺督「提督君、よくぞ中央へきてくれた」
提督「はっ!私もこちら中央鎮守府へと着任できた事を心より嬉しく思います!」ビシッ
爺督「ふぉっふぉっふぉっ、元気があってええのぉ。若いのはそれじゃないといかん」
提督「ありがとうございます!」
爺督「ふむ。ワシの艦隊のメンバーも紹介させてもらおうかの」
爺督「ほれ、島風ちゃん。みんなに挨拶しなさい」
島風「はーい。駆逐艦の島風だよー。よろしくねー」
提督「よろしくお願いします!(随分若い子だな……というか子供じゃないか)」
爺督「うむうむ。……さて、少し話たい事があるのじゃが……」
爺督「ここで話すのもあれだしの。ワシの執務室へくるとよい」
949: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:09:23.56 ID:M/HhsjtF0
──────────────────────
─執務室─
爺督「好きな様に座るといいぞい」
提督「ありがとうございます」スッ
爺督「ふぅ……どうじゃ?着任した感想は」
提督「はい、正直まだあまり実感がないというか」
提督「何から何まで初めての事が多く戸惑っております」
爺督「まぁ最初はだれでもそうじゃ。慣れるまでは苦労するのぉ」
950: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:16:54.50 ID:M/HhsjtF0
提督「特にこの中央鎮守府。設備や艦隊の規模が他鎮守府と全く違うようで」
提督「過去に授業の一環として別の鎮守府にいた事があるのですが……」
提督「比較して中々に差を感じています」
爺督「うむ。まぁここは特別だからのぉ」
爺督「特別故に面倒くさく大変な事も多いぞい」
提督「はい、覚悟しております」
爺督「うむうむ。良い心がけじゃ」
951: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:23:27.67 ID:M/HhsjtF0
爺督「……さて、一応お主には今後ワシの指揮の下で動いてもらう訳じゃが……」
爺督「まずその前にメインとなる艦隊を編成してもらわなければ困るのぉ」
爺督「基本的に6人で1艦隊として編成するには」
爺督「お主の友人だけでは後3人足りないからのぉ」
提督「はい、たしかに……」
爺督「このリストを受け取るのじゃ」パサッ
952: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:31:04.09 ID:M/HhsjtF0
提督「……これは」
爺督「中央鎮守府に所属する艦娘のデータじゃ」
爺督「一人一人事細かく書いてある。それを参考にして」
爺督「その中から好きな艦娘を3人選択するとよい」
提督「……3人、ですか?」
爺督「うむ。予備戦力の艦娘はかなりいるからのぉ」
爺督「その中から選択するわけじゃが……」
爺督「全て判断はお主に任せる。お主の今までの経験と知識、勘で選ぶとよい」
爺督「艦娘だけに勘でな!なんちって」
提督「…………」
爺督「…………」
爺督「と、とりあえず来月くらいまでには目星をつけて決めてもらいたいのじゃが」
爺督「いけるかの?」
提督「了解しました。善処いたします」
爺督「うむ。期待しておるぞい、提督君」
953: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:39:24.05 ID:M/HhsjtF0
─────────────────────────────
─寮内 談話室─
大和「あと3人……ねぇ」
提督「うむ」
日向「できれば艦種のバランスを考えて選択したい所だ」
提督「ああ、今のままでは雷撃ができる者がいないからな」
提督「駆逐艦や軽巡用艦などの足が早く魚雷や爆雷を艤装できる者が欲しい所だ」
加賀「……選ぶのに悩みそうですね」
提督「ほんとだよ。何せ見てくれ。このリスト」
提督「これに約200人ちかい艦娘のデータが載っている」
提督「ここから選びつつ実際に会って話をして考えてく訳だから……」
提督「1か月で決まるかな果たして」ウーン
大和「士官学校の時と同じねぇ」
提督「そうなんだよ。幸いにして今回は選択肢に制限がないがな」
大和「ええ……まぁ、焦らずにしっかり考えていきましょう」
提督「……ああ」
954: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:40:35.73 ID:M/HhsjtF0
──────────────────────────────
─爺督の部屋─
爺督「ふー……」スパー
島風「じーじ、煙いよぉー」
爺督「あ、すまんのぉ。今消すぞい」
島風「煙草は外で吸うって決まりなんだから!」プンプン
爺督「厳しいのぉ島風ちゃんは」
955: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:41:44.61 ID:M/HhsjtF0
コンコン
島風「どうぞー」
爺督「島風ちゃん、ここワシの部屋だからワシが言わないとねそれ」タラー
ガチャ
武蔵「爺督、今戻ったぞ」
あきつ丸「ただいま戻りました、であります!」
爺督「おかえりだぞい、武蔵、あきつ丸よ」
島風「おかえりー」
956: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:44:35.97 ID:M/HhsjtF0
武蔵「む……なんだ煙いな。爺督、煙草は外で吸えといったろ」ギロッ
あきつ丸「爺督殿、煙草はなるべく控えて欲しいのであります」
爺督「ひぃぃ、厳しいのぉやっぱり」
武蔵「まったく……それより新しいのが来たみたいだな」
爺督「ん……ああ提督君達の事か」
武蔵「うむ」
957: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:46:53.89 ID:M/HhsjtF0
島風「じーじの新しいおもちゃ?」
爺督「し、島風ちゃん。その言い方はちょっと……」
武蔵「ふんっ。実質そのようなものではないか」
爺督「武蔵君まで……」
あきつ丸「爺督殿はそんな方ではないであります!」
爺督「あきつ丸君だけだよワシの味方は……」
あきつ丸「と思っていた時期が自分にもあったであります!」
爺督「あんれー前言撤回?」
958: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/05(火) 14:51:28.69 ID:M/HhsjtF0
武蔵「……で、あいつらはいつから動かすんだ」
爺督「まだ艦隊の編成ができておらんしの」
爺督「プラスしばらくは訓練等もしてもらわんとなぁ」
爺督「そう考えると3か月後くらいから任務してもらおうと思ってるぞい」
武蔵「ふむ……」
爺督「とりあえずカムランにでも単独で遊びに行ってもらおうとおもってるぞい」
島風「……じーじ、気軽にいうよねぇ」
あきつ丸「新米艦隊の初任務をカムランでありますか……」
武蔵「外道が……」
爺督「なんとでもいうがええ」
爺督「……それぐらいしてもらわんと」
爺督「わざわざ士官学校へ足を運んだ労力にそぐわないぞい」ニヤリ
973: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:26:43.12 ID:GsFLPzBd0
番外編「不知火と犬」 その2 ※本編とは関係ありません
─箇条書きあらすじ─
・鎮守府に突如現れた迷子犬
・電と不知火は飼い主を一生懸命に探すが一向に見つからない
・急に名前を付けようと提案した不知火
・夕ご飯時にメンバーから意見をだしあう
・不知火が圧倒的ネーミングセンスで「ボッチ丸」と提案する
・鎮守府メンバー凍りつく ←今ここ
─箇条書きあらすじ─
・鎮守府に突如現れた迷子犬
・電と不知火は飼い主を一生懸命に探すが一向に見つからない
・急に名前を付けようと提案した不知火
・夕ご飯時にメンバーから意見をだしあう
・不知火が圧倒的ネーミングセンスで「ボッチ丸」と提案する
・鎮守府メンバー凍りつく ←今ここ
974: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:27:41.44 ID:GsFLPzBd0
不知火「ボッチ丸なんてどうでしょうか」
975: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:29:20.60 ID:GsFLPzBd0
シーン
金剛(ク……ボッチ丸……ちょっときついデス……)
愛宕(困ったわね……反応に)
電(こんな時どんな顔をしたらいいのでしょうか……)
犬(クーン)
976: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:30:05.75 ID:GsFLPzBd0
不知火「……どうでしょうか?」ジー
金剛(正直ないなーとは思いマスが……)
愛宕(あの不知火ちゃんが一生懸命に考えたみたいだし……)
電(ヤメテなんて言えないのです……)
犬(ワォーン……)
977: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:30:43.27 ID:GsFLPzBd0
龍驤「ププ……クスクス……」ト
金剛&愛宕&電&犬「「?!」」
978: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:33:26.07 ID:GsFLPzBd0
龍驤「ボッチ丸てお前!アーハッハッハ!お腹痛い!」ゲラゲラ
不知火「……なんですか、龍驤」
龍驤「そりゃ不知火!ボッチ丸なんて恥ずかしい名前は」
電「せいっ!なのです!」
バキィ
龍驤「ゲブゥ……い……電……何を……」ガクッ
電(……邪魔者は消したのです)
979: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:35:12.79 ID:GsFLPzBd0
金剛(ナイスデス!電!)
愛宕(あんなに一生懸命な不知火ちゃんをあざ笑うなんて許せないわよ龍驤ちゃん)
犬(バウバウ)
不知火「笑われる程、変だったのでしょうか……不知火はいいと思ったのですが……」
電「不知火さん!とても素敵だと思うのです!」
金剛「そ、そうデスよ!ほら、犬も喜んでいマース!」
犬「ワ、ワオーン」フリフリ
愛宕「さ、さすが不知火ちゃんね。いい名前つけるわぁ」
980: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:36:17.95 ID:GsFLPzBd0
不知火「……なんか皆さんわざとらしいのですが」
金剛&愛宕&電&犬「「……っ」」ギクゥッ
981: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:37:58.86 ID:GsFLPzBd0
不知火「本当に良いと……心の底から思っていますか?」ジトー
金剛(あ、あの目線は全てを見透かす目デス!)
愛宕(どうするの!あの状態の不知火ちゃんに嘘をつくのは至難の技よ)
電(ピンチなのです……)
犬(ワオーン……)
不知火「なんで目をそらすんですか……」ジトー
不知火「さぁ本当の事をいってくだ」ジリジリ
982: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:38:51.83 ID:GsFLPzBd0
長門「なぁんて可愛い名前なんだ!」ガタン
983: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:40:10.70 ID:GsFLPzBd0
金剛&愛宕&電&犬&不知火「「!?」」
長門「一人ぼっちという哀愁のある言葉からぼっちだけを抜き取り」
長門「それに丸という可愛らしく動物らしい名詞をつけくわえる事で」
長門「超かわいい名前にしあがったじゃないか!」ドーン
金剛&愛宕&電&犬(えぇぇぇ……)
984: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 11:42:00.22 ID:GsFLPzBd0
長門「私は大賛成だぞ!不知火!」
不知火「……本当にそう思っていますか?」ジトッ
長門「ああ!もちろんだとも!」キラキラ
不知火「……」ジー
長門「……」キラキラ
不知火(…………これは嘘偽りのない目)
不知火「ありがとうございます長門。不知火は嬉しいです」
長門「ああ、明日からこいつはボッチ丸だ!こいボッチ丸!抱きしめてやるぞ!」
ボッチ丸「ワ、ワオーン」
金剛(よ、良かったデース)ホッ
愛宕(ええ……不知火ちゃんが嬉しそうで何よりだわぁ)ホッ
電(長門さんが頭おかしくて良かったのです)ホッ
龍驤「…………う、ウチがなにしたっていうねん……」ピクピク
おわり
コメントする