272: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:19:21.20 ID:IA71B5Z4o
拓海「……んだよ、悪ぃか?」 

武内P「いえ、そういう訳では……」 

拓海「チッ! ああもう、まどろっこしいのはやめだ、やめ!」 

武内P「あ、あの……」 


拓海「アンタに頼みがある!」 

拓海「アタシを……泳げるようにしてくれ!!」ペコリ! 


武内P「!?」 

武内P「む、向井さん! 顔を上げて下さい!」


引用元: ・武内P「ラッキースケベです」

273: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:24:10.45 ID:IA71B5Z4o
拓海「良いって言うまで、この頭は上げねえ!」ペコリ! 

武内P「向井さん!?」 

拓海「アンタ位にしか、頼めるヤツがいねぇんだ!」 

武内P「ま、まずは詳しいお話を……!」 


拓海「プール関係の仕事が来た時!!」 

拓海「ヤンキーとして……――いや!!」 

拓海「アイドルとして、みっともねえ姿は晒せねえんだよ!!」ペコリ! 


武内P「!!」

274: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:30:04.97 ID:IA71B5Z4o
拓海「……どうか、頼む!!」ペコリ! 

武内P「先ずは、顔をあげて下さい」 

拓海「だから――」 

武内P「向井さん」 


武内P「――私は、貴女が泳げるようになるサポートを全力でします」 

武内P「なので、スケジュールの調整等の話し合いをしたい、と」 

武内P「……そう、考えています」 


拓海「!」 

拓海「お、おぉ……マジでか! ハッ、ハハハッ!」パアッ!

275: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:36:17.12 ID:IA71B5Z4o
拓海「マジで助かる! 恩に着るぜ!」 

武内P「いえ、当然の事です」 

拓海「良いんだよ! 礼は素直に受け取っとけ!」ニコッ! 

武内P「……良い、笑顔です」 


武内P「――では、こちらの用紙に向井さんのスケジュールを」 

武内P「可能な限りで構わないので、詳細にお願いします」 

武内P「……向井さん、頑張って泳げるようになりましょう」 


拓海「……!」 

拓海「おう! 棲威魅運愚上等だコラァ!!」ニコッ!

276: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:42:09.12 ID:IA71B5Z4o
  ・  ・  ・ 

同日、夕刻、水泳専門店 


拓海「――って、その日いきなり買い物に行くか!?」 

武内P「すみません、仕事が終わるまでお待たせしてしまって」 

拓海「そういう事を言ってんじゃねえよ!」 

武内P「……申し訳ありません」 


武内P「アイドル活動のために苦手を克服しよう、と」 

武内P「……その熱意に当てられてしまって、つい」 


拓海「……ま」 

拓海「まあ……そういう事なら、仕方ねぇか」

278: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:50:45.84 ID:IA71B5Z4o
拓海「しっかし、よくもまあ水着ばっかりあるもんだな……」 

武内P「この店は、水泳用具の専門店ですから」 

拓海「……オイ」 

武内P「はい?」 


拓海「上手い事言って、アタシに変な水着を着せる気じゃねえだろうな!?」 


武内P「それは……わかりません」 


拓海「あぁ!?」 


武内P「水着選びは、プロの――お店の方にお任せするつもりです」 

武内P「私が選ぶ物よりも、確実でしょうから」 


拓海「……悪ぃ、アンタはそういうヤツだったわ」

279: 名無しさん 2019/07/08(月) 21:57:55.50 ID:IA71B5Z4o
  ・  ・  ・ 

「……一応、試着した」 


武内P「着心地はどうですか?」 

武内P「何か、気になった点はありますか?」 


「つーかよ、ちょっと見て欲しいんだが」 

―シャッ! 

拓海「……コレ、本当に水着なのか?」 


武内P「所謂、フィットネス水着、ですね」 

武内P「見た目的には、カットソーのTシャツとスパッツに近いタイプ……」 

武内P「……カラーは、パープルでよろしかったですか?」 


拓海「お、おう……」

280: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:05:01.17 ID:IA71B5Z4o
拓海「もっと、仕事の時みたいなのを想像してたぜ……」 

武内P「そういうタイプの物もありますが、そちらの方が?」 

拓海「ああ、いや! そうじゃなくてだな!」 

武内P「……一応、このタイプにした理由が」 


武内P「向井さんは、バストのサイズが他の方に比べ大きいです」 

武内P「なので、一般的な競泳水着だとどうしても胸が締め付けられます」 

武内P「このタイプならば、その心配はありません」 

武内P「そして、全く泳げない状態からの練習の場合……」 

武内P「……どうしても、視線を集めてしまう事になります」 

武内P「それを抑えるため、肌の露出も少ない方が」 


拓海「わ、わかった! わかったから!」 

拓海「これにする! これにするから、ちょっと落ち着け!」

281: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:11:56.41 ID:IA71B5Z4o
拓海「っつーかよ!? そんな喋るヤツだったのか!?」 

武内P「いえ、その……すみません」 

拓海「べ、別に責めてる訳じゃねえよ」 

武内P「……」 


武内P「アイドルの方が、階段を上っていく……」 

武内P「……その手助けをするのが、プロデューサーの務めです」 

武内P「ですから、この状況がとても喜ばしく思えて……」 

武内P「……すみません、自分でも……よく」 


拓海「ハァ……ったく!」 

拓海「頼んでるのはアタシなんだ!」 

拓海「今度謝ったりしたらボコる! 良いな!?」 


武内P「……はい、わかりました」ニコリ

282: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:18:36.21 ID:IA71B5Z4o
  ・  ・  ・ 

翌日、夕刻、フィットネスクラブ内・プールサイド 


拓海「……」 

拓海(車で遠出するっつーから、何かと思えば……) 

拓海(……施設が新しい割には、人があんまり居ねえな) 

拓海(……) 

拓海(チッ! あのヤロウ、余計な気を遣いやがって!) 


拓海「――!」 

パシッ! 

拓海「ここまでされちゃあ、泳げる様になるしかねぇなぁ!」 


拓海「……っつーか」 

拓海「アイツ、なんでこんなに来るのが遅えんだ……?」

284: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:24:51.21 ID:IA71B5Z4o
「――お待たせしました」 


拓海「オイ、女のアタシより着替えに時間かかっ――」 


武内P「――すみません」 

ムキムキッ! 

武内P「プールのレーンを一つお借り出来ないか、と」 

もっこり! 

武内P「クラブの方に交渉していて……」 

…ムッワァァァ! 


拓海「オラアアアア!/// やんのかコラアアアア!///」 

シュッシュッ! 


武内P「えっ?」 

武内P「あの……何故、シャドーボクシングを?」

285: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:33:02.99 ID:IA71B5Z4o
拓海「て、テメェ……!/// んだよ、その格好……!?///」 

武内P「? 普通の競泳水着ですが……?」 

拓海「もっと、こう……ズボンみたいなのがあんだろ!?///」 

武内P「動きやすさ重視、ですね」 

拓海「海パンっつーか、ひじきみてぇじゃねえか!///」 



武内P「あの……」 

ムキムキッ! 

武内P「……向井さんが、気になるようでしたら」 

もっこり! 

武内P「レンタルで、別の物を着用してきますが……」 

…ムッワァァァ! 


拓海「あ……あぁ!?///」 

拓海「このアタシが、んな細けぇ事気にすると思ってんのか!?///」

286: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:39:06.34 ID:IA71B5Z4o
武内P「いえ、しかし……」 

拓海「良いっつってんだろ!?///」 

武内P「は、はあ……わかりました」 

拓海「……で!?///」 

武内P「えっ?……あ、はい」 


武内P「幸い、第一レーンをお借りすることが出来ました」 

武内P「……なので、慌てる事なく」 

武内P「泳げるようになるため、頑張って練習しましょう」 


拓海「……おう!」

287: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:46:52.24 ID:IA71B5Z4o
  ・  ・  ・ 

プール内 


武内P「――向井さんは、水に顔をつける事が出来ますか?」 

拓海「あぁ、ナメんなよ? それ位は余裕だぜ!」 

武内P「では、まず最初に……」 

拓海「……」 


武内P「水の中に、頭までしっかり潜って十秒キープ」 

武内P「勿論、ゴーグルを着用して構いません」 

武内P「……これをお願いできますか?」 


拓海「あぁ!? 余裕だって言って……」 

拓海「……いや、わかった」 

拓海「調子こいてる時間はねぇからな!」

288: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:52:00.99 ID:IA71B5Z4o
武内P「足は着くので、決して焦らず……」 

拓海「へへっ、わかってるっての! 今、立ってんだろ!」 

武内P「……では、向井さんのタイミングで始めて下さい」 

拓海「おう! 十秒カウント、夜露士苦ぅ!」 


拓海「す~~っ……」 

拓海「!」 

ジャボッ―! 

拓海「……!」 


―もっこり! 


拓海「!?///」ブボフッ! 

拓海「!? ガーボガボガボガボ!?」 

バッチャバッチャ! 


武内P「二……む、向井さん!? 向井さん!?」

289: 名無しさん 2019/07/08(月) 22:56:33.92 ID:IA71B5Z4o
  ・  ・  ・ 

拓海「ゲヘッ! ガハッ! ゴッホッ!」 

武内P「だ……大丈夫ですか?」 

拓海「思いっきり水飲んじまった……ゴホッ!」 

武内P「……」 


武内P「……今日は、予定を変更しましょう」 

武内P「泳ぐために欠かせない――」 

武内P「――水に浮く事を覚えましょう」 


拓海「……」 

拓海「……おう」

290: 名無しさん 2019/07/08(月) 23:06:38.62 ID:IA71B5Z4o
拓海「……アタシ、水に浮かねぇんだよな」 

武内P「……」 

拓海「筋肉があって、その分重いからか?」 

武内P「そう、ですね……」 


武内P「……恐らく、余分な力が入っているからかと」 

武内P「女性は男性より脂肪が多いので……」 

武内P「……向井さんの場合でしたら、特に胸が浮いてしまって」 

武内P「それもあって、バランスも取りにくくなっているのかも知れません」 


拓海「……」 

拓海「オイ……サラッと言うなよ、そういう事は」

291: 名無しさん 2019/07/08(月) 23:17:04.32 ID:IA71B5Z4o
武内P「なので、そうですね……」 

拓海「……」 

武内P「仰向けの状態で、水に浮いてみましょうか」 

拓海「仰向け?」 

武内P「はい」 


武内P「プールサイドの端を右手で掴み」 

武内P「私の右肩を左手で掴んで下さい」 

武内P「その状態から――私が、腰と脚を持ち上げます」 

武内P「……補助有りの状態なので、安心して下さい」ニコリ 


拓海「腰と脚を……って……!///」 

拓海「いや、もう……四の五の言ってられる場合じゃねえ!」

294: 名無しさん 2019/07/08(月) 23:27:13.29 ID:IA71B5Z4o
拓海「っしゃあ!」 

がしっ! 

武内P「では……失礼します」 

拓海「かかって来いオラァ!」 

武内P「……」 

…ぐっ 

武内P「このまま持ち上げていきますので、決して暴れずに」 

拓海「お、おう……!」 


武内P「……」 

ぐぐっ… 


拓海「お、お、お、お……!?」 

…がっしいぃっ!

295: 名無しさん 2019/07/08(月) 23:35:20.80 ID:IA71B5Z4o
武内P「……はい、これで体の前半分は水面から出ています」 

拓海「あ、足……足の先、出てる……!」 

武内P「そのまま、体の力を抜いて下さい」 

拓海「む、無理! 無理、怖い!」 

武内P「……では、目を閉じて下さい」 

拓海「や、ヤダヤダ! だって! ここ、水!」 

武内P「……」 


武内P「拳を繰り出す前の、脱力した状態……」 

武内P「……今、それが出来ますか?」 


拓海「そ、それなら……出来る……!」 


武内P「……」 

武内P(……何故?)

296: 名無しさん 2019/07/08(月) 23:43:33.32 ID:IA71B5Z4o
拓海「すーっ……ふーっ……」 

武内P「……」 


拓海「すーっ……ふーっ……」 

ぷかぁっ… 


武内P「良い感じですね」 

拓海「……なあ、もしかして」 

武内P「はい」 

拓海「……マジでか?」 

武内P「ええ」 

拓海「……!」 


拓海「気持ちいい……チョー気持ちいい……!」ニッコニコ! 

ぷかぁっ… 


武内P「……北島康介、ですか?」

297: 名無しさん 2019/07/08(月) 23:52:05.54 ID:IA71B5Z4o
  ・  ・  ・ 

フィットネスクラブ内・ロビー 


拓海「――おうっ! 待たせちまったな!」 

武内P「いえ、お気になさらず」 

拓海「メシ行こうぜ、メシ! 当然、焼き肉だ!」 

武内P「えっ?」 


拓海「次に来た時は、バタ足の特訓をすんだろ?」ニヤリ! 

拓海「だったらよぉ、力をつけとかねえとな!」ニコッ! 

拓海「上華瑠火だ、上華瑠火! 夜露士苦ぅ!」ニッコニコ! 


武内P「……良い、笑顔です」 

武内P「ですが……焼き肉に関しては、くれぐれも内密に」

298: 名無しさん 2019/07/09(火) 00:01:28.54 ID:uCDKcMPYo
  ・  ・  ・ 

武内P「――と言った次第で」 

ちひろ「……」 

武内P「本格的な夏に向けて、プールに通い」 

ちひろ「……」 

武内P「その帰りに、栄養補給も兼ねて食事を」 

ちひろ「……」 


武内P「なので、今年の夏は」 

武内P「とても、素晴らしい輝きを見せて頂けると思います」 


ちひろ「……ええ、本当に」 


ちひろ「ハンマーで頭を殴られた気分ですよ」 




おわり