842: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:00:11.37 ID:65btjDTyo
杏(――ある、TV番組の収録で) 

杏(杏達、『CANDY ISLAND』はゲームをする事になった) 

杏(それまではさ、体を使ったゲームだったんだよ?) 

杏(なのに、急に普通のゲームをやれって言うんだもん) 

杏(智絵里ちゃんとかな子ちゃんが笑ってるのを見て、わかったね) 


杏(――ゲームが好きな杏への、ちょっとしたドッキリ) 


杏(本当、困っちゃうよね~) 

杏(だから、それを仕組んだプロデューサーに意地悪するつもりで言ったのさ) 


杏「え~っ? 杏、このゲームやった事ないから出来な~い」 

杏「プロデューサー、代わりに戦って~」ニコッ! 


杏(……なんてね)




引用元: ・武内P「ラッキースケベです」

843: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:06:34.61 ID:65btjDTyo
杏(そしたらさ、番組スタッフさん達も盛り上がったよねぇ~) 

杏(智絵里ちゃんもかな子ちゃんも、何かを期待してる感じだった) 

杏(杏?) 

杏(そりゃあ勿論、笑顔でお願いしたよ~!) 

杏(……それで、プロデューサーのさっきの言葉) 

杏(そこから、あれよあれよと、プロデューサーがPのマスクを被って――) 

杏(あ、そうしないと画面が怖くなるから、って話らしいよ) 

杏(――いざ、ゲームスタート) 

杏(からの……) 


武内P「……すみません」 


杏(ま、結果はボッコボコだった訳さ!) 

杏(しょうがないよね、相手が男だからって接待無しっぽかったもん) 

杏(それでまぁ、笑いが起きつつ収録終わり!) 

杏(これで、帰ってゆっくり寝られるよ~) 



杏(……なんて、思ってたんだけどね)

844: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:14:50.90 ID:65btjDTyo
杏「……」 

杏(……あ~あ、ついてないなぁ~) 

杏(うさぎを忘れたから、ちょっと戻っただけなのに) 

杏(共演した人達が向こうから来るんだもん、とほほ) 

杏(あの人達、な~んかやらしい目で杏を見てたしねぇ) 

杏(……よし、隠れてやり過ごそう!) 

杏(カメラが回ってないから、仕事中じゃありませーん!) 



「――それにしても、アイツ弱かったよなぁ!」 

「昔からガイル使いです……」 

「ぶっは! 声低っ! 似てる! あっははは!」 



杏「……」

845: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:19:54.15 ID:65btjDTyo
「アイツのせいで可愛い子と対戦出来なかったわー!」 

「でも、強ーい、って褒められただろ?」 

「当然! オッサンなんかに負けるかっつーの」 

「知識がⅡで止まってんじゃね? あの雑魚」 



杏「…………」 



「おかげであの子達に良い所見せられたから、感謝感謝」 

「どっちだよ! あっはははは!」 

「また収録一緒にならねえかなぁ」 

「それで、またあのオッサン処るんだろ?」 

「「あっはははははは!」」 



杏「………………」…ビカ!

846: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:24:21.01 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

杏「ごめんごめん、お待たせ~」 


かな子「杏ちゃん、遅かったね?」 

智絵里「うさぎは見つかっ……あっ、手が……」 


杏「手?」 

杏「……あちゃ~、破けちゃってるね」 


武内P「あの……双葉さん?」 


杏「ん~? どうしたの~?」 


武内P「何か、ありましたか?」 


杏「……」 

杏「いいや、別になーんにも」 

杏「強いて言えば、早く事務所に帰ってゴロゴロしたい位かな~」

847: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:31:06.33 ID:65btjDTyo
武内P「いえ、ですが……」 


杏「ふわ~ぁ! 早く車で寝た~い!」 


武内P「……」 


かな子「今日の収録は、体を動かしたもんね~」 

智絵里「でも……最後のは、プロデューサーが」 

武内P「いえ、番組のスタッフさんからの提案とは言え――」 

武内P「――双葉さんに黙っていた、私の責任ですから」 

かな子「でも、一緒にお仕事出来て嬉しかったです♪」 

武内P「えっ?」 

智絵里「わたしも、プロデューサーと……お、同じユニットみたいで……///」 


武内P「三村さん、緒方さん……」 


かな子・智絵里「えへへっ♪」ニコッ! 


武内P「……良い、笑顔です」 


杏「…………」

848: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:36:35.81 ID:65btjDTyo
武内P「ですが、アッサリと負けてしまって……すみません」 

かな子「それでも良いんです! だって――」 

智絵里「――わたし達のために、頑張ってくれたんだから♪」 

武内P「……はい、ありがとうございます」 


杏「………………」 


武内P「……ですが、一つだけ付け加えさせてください」 

かな子・智絵里「えっ?」 

武内P「私が、あのゲームをプレイしていたのは、大分昔の話で……」 

武内P「……それに、簡単に負けてしまいましたが」 

かな子・智絵里「……はい」 

武内P「久々に、対戦が出来て――」 


武内P「――私も、楽しかったですから」ニコリ 


かな子・智絵里「……はいっ♪」ニコッ! 


杏「……………………」

849: 名無しさん 2019/07/25(木) 21:47:14.87 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

杏「……」 


紗南「う~ん、やっぱり地道に対戦とかトレモを繰り返すしか無いよ!」 

紗南「簡単に強くなる方法なんて無いって!」 

紗南「……あたしが練習相手になっても良いんだけどさ~」 

紗南「格ゲーのメインは、鉄拳とかバーチャの3Dなんだよね」 

紗南「2Dは、どっちかと言うとSNK派だし」 

紗南「……」 

紗南「でも、そんなエンジョイな感じじゃないんだよね?」 


杏「うん」 


紗南「……ん~、どうしたら良いんだろ」 

紗南「ゲームに関して、的確なアドバイスが出来ないなんて!」 

紗南「……」 

紗南「あっ」 


杏「?」 


紗南「もしかしたら、だけど……」

850: 名無しさん 2019/07/25(木) 22:00:10.64 ID:65btjDTyo
杏「何か、良い方法思いついたの?」 


紗南「ほら、あたしってゲーマーアイドルでしょ?」 

紗南「だから、ゲーマーの人たちのTwitterもチェックしてるんだ」 

紗南「……というか、フォローしてるよね!」 

紗南「その中には、プロの人も居て……」 

紗南「……その人達の中には、当然さ?」 


杏「……うん、わかった」 

杏「ありがとね、あとは杏が自分で何とかしてみるよ~」 


紗南「いや、でも!」 

紗南「相手はプロだし! ゲームで忙しいだろうし!」 

紗南「あたしも、何となく思っただけで……!」 


杏「も~、何言ってるのさ~!」 

杏「杏達も、アイドルに関してはプロだって忘れてない?」 

杏「……ま、ちょっと表に出したくないから、こっそりやるつもりだけどね」 


紗南「……やっ」 

紗南「闇営業……!?」

851: 名無しさん 2019/07/25(木) 22:12:07.00 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

『――成る程』 

『でもさ、それだとこっち側にメリットが無いんだ』 

『――ゲームを教えるなら、それなりの利があるべき』 

『じゃなきゃ、こっちが時間を使うだけ無駄になる訳だから』 

『何かメリットがあるなら、考えない事も無い』 


杏「……面白いと思わな~い?」 

杏「杏みたいなのがさ、大の男をボッコボコにしたら!」 

杏「……それを録画して見せるってのじゃ駄目~?」 


『うん、それはそれでアリだと思う』 

『だけど、それだけじゃ何かをするには足りないんだ』 

『申し訳ないけど、こっちもゲームでメシを食ってる訳だから』 

『……そもそもさ?』 

『何で、こんな風に無理に連絡を取ったりしてまで強くなりたいのかがわからない』 


杏「……」 

杏「この通話、録音とかしてないよね~?」 


『いやー! それはどうだろう!』

852: 名無しさん 2019/07/25(木) 22:23:09.74 ID:65btjDTyo
『……まあ、それは冗談だけど』 

『本音じゃないな、って思ったらこの話はもう終わり』 

『やるってなった場合は、こっちも本気でやる訳だから』 

『そこが釣り合ってないなら、断るのはわかるよね?』 


杏「……杏はさ」 

杏「このゲームが特に好きでも無いし、別に強くなりたい訳じゃない」 

杏「ま、たまたまこのゲームだった、っていうのが本音かな~」 


『うん。それで?』 


杏「でもさ、杏の……お世話になってる人が、バカにされたんだよね」 

杏「……そういうのって、ムカつくじゃんか」 

杏「だから、バカにしたヤツをボッコボコにしたい」 


『オッケー、引き受けましょう』 


杏「へっ?」 


『二度と格ゲーが出来ない体にするまである』

853: 名無しさん 2019/07/25(木) 22:33:15.50 ID:65btjDTyo
杏「……今ので良いの?」 


『良い理由か悪い理由かで言ったら、間違いなく悪い理由だと思う』 

『誰かに憧れて~、とかが……まあ、良い理由の例えの一つかな?』 

『だけど、悪い理由でも、その内容が強ければアリだと思うんだ』 

『元々格ゲーなんて、‘相手より俺の方が強い’ってゲームなんだから』 


杏「じゃあ……」 


『さっきも言った通り、引き受けるよ』 

『キミがどれだけ出来るかとか、俺も海外行くとかあるけど』 

『ちなみに、どの位までやる予定?』 

『話を聞いた感じだと、勝つだけならそんなにガチじゃなくて済む』 


杏「そりゃあ、勿論!」 

杏「二度と格ゲーが出来ない体にするまで!」 

杏「ご指導、宜しくお願いしま~す♪」 


『あっははは! オッケー、良いでしょう!』 

『――ちょっと、乗りそうなのに連絡とかしてみるわ』

854: 名無しさん 2019/07/25(木) 22:47:02.35 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

杏「――はじめまして、宜しくお願いします」 


「あぁ、どうも……はじめまして」 

「えっ? そんなテンション?」 

「いや、まさかマジだとは思わなかったからさぁ」 

「マジに決まってるじゃないスか~!」 

「それにしたって、普通急には来ないだろ」 

「どうせ暇だったでしょ?」 

「まあ、どちらかと言えば暇だった」 


杏「……」 


「あぁ、ごめんごめん」 

「アイドルが居るのに野郎同士で盛り上がるってヤバいっスよ」 

「ヤバいね。っていうか、お前が変に話振ってきたんだろ!」

855: 名無しさん 2019/07/25(木) 22:55:14.03 ID:65btjDTyo
「それじゃあ、どの位やれるのか見たいから……」 


杏「あっ、コントローラーは持ってきました!」 


「あ、コントローラー派か」 

「ちょっと待って。おかしくない?」 

「何が」 

「俺にはタメ語なんスよ?」 

「さすがに?」 

「いやいやいや!」 

「まあ、俺にも敬語いらないけどね」 

「えっ? じゃあ俺には使ってくれても良いよ」 

「それはそれで話変わって来るだろ」 

「まあ、そうですね!」 

「「あっはははは!」」 


杏「はぁ~……」 

杏「杏、なんだか不安になってきたよ……」

856: 名無しさん 2019/07/25(木) 23:07:06.94 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

杏「……」 

くっ……くっ、くっ……くっ、くっ…… 


きらり「? 杏ちゃん、指を動かして何してるのぉ~?」 

杏「ん~、イメトレ~」 

きらり「にょっわー☆ お仕事のイメトレなんて、とぉっても偉いにぃ~☆」 

杏「残念だけど、違うんだなぁ」 

きらり「にょわっ!? じゃあ、なんのイメトレなのぉ~?」 

杏「ゲームだよ、ゲーム」 

きらり「でもでも~、すっ・ごく! 真剣な顔してたゆ?」 

杏「何言ってるのさ、遊びは真剣にやるものだよ?」 

きらり「もぉ~! お仕事も真面目にやろうにぃ!」 


杏「はいはい、気が向いたら頑張りま~す」 

くっ……くっ、くっ……くっ、くっ……くっ、くっ…… 



『ソニックブーム! ソニックブーム! ソニックブーム! ソニックブーム!』

857: 名無しさん 2019/07/25(木) 23:20:19.70 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

「なんで! 俺には! 内緒にしてたの!」 

「いや、ちゃんとお前の動画見て対策とかしてたから」 

「おかしくない!?」 


杏「ソニックモードって、いつなれば良いの?」 


「それはですねぇ! ズバリ、相手がビビってる時です!」 

「じゃあ、ちなみにどんな時にビビる?」 

「跳びをしっかり落とされたり、地上戦が動き辛い時ですね!」 

「おー、なるほど」 

「そこで怖がらなくなるために! 空手やろう! 空手!」 

「こういう事言い出すから黙ってたんだよなぁ~」 

「ええっ!? でも、マジで効果あるから!」 


杏「あ、ちょっと試してみたいから対戦して貰って良い?」 


「オッケー、2先とかで良いかな?」 

「いや、俺! ここに、豪鬼使いが居ますから!」 

「お前の豪鬼と今やったって何の練習にもなんねえから」

858: 名無しさん 2019/07/25(木) 23:30:23.01 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

かな子「今日は、クッキーを焼いてきたよ~♪」 

智絵里「うわ~、美味しそう~♪」ニコニコッ! 

杏「お~、さすがかな子ちゃんだね~」 

かな子「ふふっ♪」ニコッ! 


かな子・智絵里「いただきま~す♪」ニコッ! 


杏「……」 


かな子「……って、どうしたの杏ちゃん?」 

智絵里「あれ? 何か、指に……」 


杏「あ~、これ?」 

杏「ちょっと、ゲームのしすぎて親指が痛くなっちゃってさー」 

杏「……本当、くだらない理由だよねぇ」 

杏「でも、どうでもよくはないから、しょうがないか……って感じ?」 


かな子「う~ん……えっ、と……」 

智絵里「指が痛いなら……」 


かな子・智絵里「あ~ん♪」ニコッ! 


杏「……」 

杏「それじゃ、お言葉に甘えちゃおうかな~」ニコッ!

859: 名無しさん 2019/07/25(木) 23:40:26.62 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

杏「……どうかな?」 


「細かい部分を挙げるとキリが無いけど……」 

「ガツンと言っちゃって下さいよ!」 

「待てって、これから言おうとしてるんだから」 

「はい、サーセン」 


「ぶっちゃけ、思ってた以上に仕上がってビビってます」 

「デスヨネー。それ、俺も思ってました」 


杏「……!」 


「何? アイドルやると、格ゲー上手くなりやすいの?」 

「可能性としては相当低いけど、有り得なくは無い」 

「これは俺もアイドルなった方が良いかな?」 

「まず痩せましょ」 

「お前に言われたくねえよ。つか、俺大分痩せてない!?」 

「気のせいじゃないスか?」

860: 名無しさん 2019/07/25(木) 23:49:00.64 ID:65btjDTyo
  ・  ・  ・ 

コンコン 


かな子・智絵里・杏「は~い、どうぞ~」 


ガチャッ 

武内P「――失礼します」 

武内P「皆さん、準備の方は大丈夫ですか?」 


かな子「はいっ! 今日は、前よりも良い結果を出しますね!」 

智絵里「はい。プロデューサー、ちゃんと見てて下さいね」 


武内P「ええ、勿論です」 

武内P「双葉さんは、まだ準備が整っていませんか?」 


杏「何言ってるのさ、プロデューサー」 


杏「ちゃんとキメるために、杏が準備を怠る筈無いじゃん?」

861: 名無しさん 2019/07/26(金) 00:04:49.43 ID:ltQKQvsfo
  ・  ・  ・ 

杏「今日は、杏が頑張りま~す♪」ニコッ! 


かな子・智絵里「杏ちゃん、頑張って~!」 


「杏ちゃんみたいに可愛い子が相手だと、本気出せるかな~!」 


杏「えへへ、お手柔らかにお願いしま~す♪」ニコッ! 


「お前、ちゃんと真面目にやれよー?」 

「わかってるって! あー、でもなぁ!」 

「おいおーい! お前も一応ゲーム好きで通ってるんだから!」 

「一応ってなんだよ、一応って! 一応だけど!」 


杏「…………」 


ガイル『――御託はいい、始めよう』

862: 名無しさん 2019/07/26(金) 00:21:49.09 ID:ltQKQvsfo
  ・  ・  ・ 

杏「――お疲れ様~」 


『う~い、お疲れぃ』 

『もう収録終わった感じ?』 


杏「終わったよー」 

杏「かな子ちゃんや智絵里ちゃん、プロデューサーは勿論だけど――」 

杏「――スタジオの全員驚いてたし、本放送も盛り上がるんじゃないかな~」 

杏「……ま、本当に一部の人は、だろうけどね」 


『こちとらそういう業界ですから、しゃあない』 

『どんな試合だったかは、放送楽しみにしときますよ』 


杏「そういう意味じゃあ、悪い事しちゃったかな~」 


『ん?』 



杏「格ゲー人口が一人減ったからね」ニヤリ! 




おわり