1: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:31:15.191 ID:Gs1lelXu0
男(あー、バイトどれにしようかなー)

男(時給を取るか、仕事内容が楽そうなのにするか……講義やサークルとの兼ね合いもあるし……)

男(あと通いやすさとかも考えないと……将来就活で役立つかってのも……)



商人「お悩み……のようですね」



男「!」

引用元: ・商人「人生を案内してくれる“人生ナビ”はいかがですか?」男「人生ナビ……?」

7: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:34:19.341 ID:Gs1lelXu0
男「なんだよ、あんた」

商人「あなたの悩みはアルバイト何にしよう、といったところですかな?」

男「なんで分かったんだ!?」

商人「そりゃタウンワーク片手に悩ましげに歩いてるの見たら、当てない方が難しいですよ」

男「あ……こりゃ一本取られたな」

男「あんた、何者だ? 占い師か? それとも探偵かなにか?」

商人「私はしがない商人です」

男「ってことはなにか売ってるってことか」

商人「ええ、あなたのような悩める方迷える方にうってつけの商品があるんです」

8: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:37:10.565 ID:Gs1lelXu0
商人「それがこれです」

男「なんだこれ? なにかの端末っぽいけど」

商人「カーナビってご存知ですか?」

男「もちろん。車の運転中、道案内してくれる機械だろ?」

商人「その通り。そして、これは道案内ではなく、人生を案内してくれる“人生ナビ”なのです」

男「人生ナビ……?」

11: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:40:23.470 ID:Gs1lelXu0
商人「人生というのはさまざまな選択肢の連続です」

商人「勉強に遊び、恋愛に人間関係、就職、結婚、仕事、今あなたが迷ってるバイト選びもそう」

商人「これはそういう迷える方に、最適なアドバイスをしてくれるという機械なのです」

男「へぇ~」

商人「これさえあれば、いかなる時も迷うことなく、しかも失敗することもない人生を送れるのです」

男「本当だったらすごいけど……どういう仕組みで?」

商人「はい、決してオカルトなシロモノではございません」

14: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:45:02.936 ID:Gs1lelXu0
商人「端末内には小さいですがスーパーコンピュータ以上のコンピュータが内蔵されており」

商人「しかも常に自動的に周囲の状況や世間の情報を収集し」

商人「それを持ち主のパーソナルデータを照らし合わせて分析」

商人「質問をすれば最適なアドバイスをくれる、という仕組みなわけです」

男「なんかよく分からないけどすごいなぁ」

15: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:47:46.472 ID:Gs1lelXu0
男「で、肝心の使い方は?」

商人「起動するとまず、生年月日や身長体重を始めとした、さまざまな個人情報の入力を求められます」

商人「それが終われば、あとは質問するだけでございます」

男「あ……!」

男「ははーん、さてはそうやって人の個人情報を集める機械なんじゃないの?」

商人「とんでもない。それに、あなたがそんな漏れたら困るような情報を持ってるとは思えませんが」

男「うぐ……その通り」

商人「住所電話番号やカード類の番号を入力するようなこともございませんので、その点はご安心下さい」

17: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:49:41.317 ID:Gs1lelXu0
商人「これさえあれば、もう人生怖いもの無し!」

商人「さあ、いかがいたしますか?」

男「いくらぐらいなの?」

商人「このぐらいです」

男(かなり高いけど買える……)

商人「このチャンスを逃すともう買えませんよ?」

男「分かった、買うよ! 買わせてもらうよ!」

商人「ありがとうございます」

18: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:52:16.900 ID:Gs1lelXu0
男「さっそく起動してみるか」

『パーソナルデータを入力して下さい』

男「お、さっきの説明通りだ」

男「まず、生年月日……」ピッピッ

男「身長、体重……これはざっとで」ピッピッ

男「出身地、好きな食べ物……」

男「趣味、特技、苦手なこと……」

男「へえ、心理テストみたいなのもあるのか……赤と青どっちが好きか……」

19: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:55:06.855 ID:Gs1lelXu0
男「ふぅ、やっと入力終わった」

男「じゃあさっそく人生をナビゲートしてもらおうかな」

男「まずは……どういうバイトをやるべきか教えてくれ!」



――――

――

21: 名無しさん 2019/11/04(月) 01:58:16.513 ID:Gs1lelXu0
男「御社を志望した動機は……」

男「私の強みは……」

男「御社に入ったらこういう仕事を……」

面接官「ほぉー、私も長年人事をやってるが、君のような自信に満ち溢れた学生は初めてだよ」

男「ありがとうございます」

男(“人生ナビ”のおかげ……とは言えないよな)

23: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:01:19.222 ID:Gs1lelXu0
課長「A案とB案、どっちがいいと思う?」

男「そうですね、少し考える時間を頂けますか」

男「……B案でいきましょう!」

課長「B案? しかし、A案よりかなりリスクが高いが……」

男「私に任せて下されば大丈夫です!」



課長「まさか本当にB案で大成功を収めてくれるとは!」

男「会社に貢献できて嬉しいです!」

25: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:03:27.208 ID:Gs1lelXu0
男「これを……」

美女「これは……指輪?」

男「僕と結婚して下さい!」

美女「まぁっ……」

美女「喜んで……!」

男(このタイミングでプロポーズすれば必ずOKを貰えると確信していたよ)

26: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:06:17.727 ID:Gs1lelXu0
男「……」

男(このゲーム会社、倒産寸前だが……必ず巻き返してくれる! 間違いない!)

男「この株買ったぁっ!」カタカタッターンッ



TV『倒産寸前のゲームメーカーが、起死回生の大ヒット作を生み出し……』

男「よしっ! 大儲け!」

28: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:08:14.986 ID:Gs1lelXu0
男「一見単なる荒れ地だが……ここを掘ればきっと……」

ザクッ ザクッ ザクッ



ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…



男「石油が出た……!」

31: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:11:38.575 ID:Gs1lelXu0
美女「ダメよ、バンドで食べてくなんて! なに考えてるの!」

息子「俺、自信あるんだ!」

美女「あなたもいってやって!」

男「ちょっと考える……」



男「やってみろ。ただし一切援助はしないし、俺の息子という立場を利用することも許さん」

男「むしろ音楽業界には厳しい目で見るよう圧力をかけてやる」

美女「あなた!」

息子「ありがとう、父さん!」

32: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:14:09.675 ID:Gs1lelXu0
ワァァァァァ…

息子「みんなノッてるかーい!」

イェェェェェェイ!!! キャアァァァァァ!!!



美女「まさか、こんな大人気バンドになるなんて……」

美女「あなたはあの子の才能を見抜いてたの?」

男「……まぁな」

33: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:17:58.954 ID:Gs1lelXu0
記者「仕事で大成功、恋愛も大成功、育児も大成功、と」

記者「あなたはまさに現代最高の成功者といっても過言ではありません」

記者「なにか成功の秘訣があるんですか? あればぜひ教えて下さい!」

男「私ももう年ですし、白状してしまいますと……“人生ナビ”のおかげなんです」

記者「人生ナビ?」

男「カーナビのように、人生を案内してくれる機械です」

記者「そんなものが……!」

記者「なるほど、あなたは人生の重要な局面で、それを使って大成功を収めたわけですね!」

男「いえ、その機械は一回しか使ってません」

記者「へ?」

男「そう……あの一回だけなんです」

34: 名無しさん 2019/11/04(月) 02:19:03.907 ID:Gs1lelXu0
男「まずは……どういうバイトをやるべきか教えてくれ!」

『こんな機械に頼るな』