330: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:05:20.37 ID:SaW1AKbHo
ありす「はい、そうです」 

武内P「それで……私に、相談とは?」 

ありす「どうしたら、文香さんのような大人の女性になれますか?」 

武内P「それは……本人にお聞きになるのが、一番だと思いますが」 

ありす「聞いても、優しく微笑むだけなんです!」 


ありす「そこがまた、素敵だと思いますけど!」 


武内P「……」


引用元: ・武内P「『次はお前だ』」

331: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:10:35.12 ID:SaW1AKbHo
武内P「焦る必要は、無いと思いますが」 

ありす「焦ってるわけじゃありません」 

ありす「明確な目標がある場合、そこに至る方法を知っておきたいだけです」 

ありす「そこで、私は考えたんです」 

ありす「プロデューサーという職業は、そういった事を考察するプロだ、と」 

武内P「……」 


ありす「お願いします!」 

ありす「私、文香さんのような素敵な女性になりたいんです!」 


武内P「……」

332: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:14:08.00 ID:SaW1AKbHo
武内P「そうですね……では、鷺沢さんは、どのような方ですか?」 

ありす「えっ? 文香さんの事は、知ってますよね?」 

武内P「……申し訳ありません、言葉が足りませんでした」 

武内P「橘さんから見て、鷺沢さんはどのような方ですか?」 


ありす「はい! まず、胸が大きいです!」 


武内P「なるほど」 

武内P「まずは、胸が大き……」 

武内P「……」 

武内P「っ!?」

333: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:18:29.20 ID:SaW1AKbHo
武内P「たっ、橘さん!? あの、橘さん!?」 

ありす「? どうかしましたか?」 

武内P「最初に上げる点が、そこなのですか!?」 

ありす「えっ? 文香さん、胸が大きいですよね?」 

武内P「そ、それは……はい、そうですね」 

ありす「第一印象というのは、とても大事です」 


ありす「隣で見ているとわかるんです」 

ありす「ほとんどの人が、文香さんに会ったら最初に胸を見てます」 

ありす「視線が、胸→顔→胸、と、最終的にやっぱり胸にいきます」 


武内P「は……はあ」

334: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:26:27.32 ID:SaW1AKbHo
武内P「で、では……橘さんは、スタイルが良くなりたい、と」 

ありす「はい、そうです」 

ありす「アイドルとしても、スタイルの良さはメリットにもなりますから」 

武内P「ほ、他には! 他には、何かありますか?」 

ありす「当然あります!」 

武内P「そ、そちらを聞かせて頂けますか!?」 


ありす「はい! 体が、とっても柔らかいんです!」 


武内P「なるほど」 

武内P「体が、とても柔らかい……」 

武内P「……」 

武内P「っ!? それは、どういった意味でしょうか!?」

335: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:32:17.63 ID:SaW1AKbHo
武内P「関節が柔らかいと、そう言う意味では……」 

ありす「ありませんよ?」 

武内P「……です、よね」 

ありす「細身なのに、お肌がしっとりしてて、柔らかいんです」 

武内P「は……はあ」 

ありす「文香さんが、ふみふみと呼ばれる理由はですね」 


ありす「文香さんの触り心地が、ふにふに……ふみふみ」 

ありす「とってもふみふみしていて、気持ち良いからだと思うんです」 


武内P「待ってください! それは、恐らく違います!」

336: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:38:31.62 ID:SaW1AKbHo
武内P「と、とりあえず、ですね!」 

武内P「身体的特徴ではなく、内面に関してはどうですか!?」 

ありす「勿論、沢山あります!」 

武内P「そ、そちらを聞かせて頂けますか?」 

ありす「はい、構いませんよ!」ムフー! 


ありす「文香さんは、どんな時でも冷静さを失いません!」 

ありす「常に冷静に状況を分析し、的確な判断を下します!」 

ありす「これは恐らく、文香さんの読書量の賜物です!」 


武内P「なるほど」 

武内P「常に冷静、と……」 

武内P「……」 

武内P「えっ?」

337: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:44:34.88 ID:SaW1AKbHo
武内P「確かに、鷺沢さんは穏やかな方だと……そう、思いますが」 

ありす「はい! 柔らかな午後の日差しの様な方です!」 

武内P「ですが、その……そこまで完璧な方、でしょうか?」 

ありす「えっ?」 

武内P「彼女も、冷静でいられない場面も、あると思うのですが……」 

ありす「……確かに、以前の舞踏会では、緊張で調子を崩していまいました」 


ありす「でも! それは、体が心について行けなくなっただけです!」 

ありす「今の文香さんは、レッスンを重ねて、体力もつきました!」 

ありす「健全なる精神は、健全なる肉体に宿ると言います」 

ありす「つまり! 今の文香さんは、完璧な女性です!」 


武内P「……」

338: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:50:14.47 ID:SaW1AKbHo
武内P「……橘さんが、鷺沢さんを慕っている事は、わかりました」 

ありす「はい! 私は、文香さんのようになりたいんです!」 

武内P「――ですが」 

ありす「?」 


武内P「橘さんの、鷺沢さんに抱いているイメージ」 

武内P「それは、橘さんの主観が入りすぎているのでは、無いでしょうか?」 

武内P「確かに、彼女は素晴らしい方だと、そう思います」 

武内P「しかし……貴女が思っている程、完璧では無いかと」 


ありす「そっ、そんな事ありません!」 

ありす「文香さんは、心・技・体の全てを兼ね備えています!」 


武内P「……」

339: 名無しさん 2018/07/26(木) 23:56:50.68 ID:SaW1AKbHo
武内P「……わかりました」 

ありす「! やっぱり、文香さんは完璧ですよね!?」 

武内P「橘さん。貴女は、彼女が常に冷静だと……そう、思っているのですね?」 

ありす「っ! だから、そう言ってるじゃないですか!」 

武内P「……では、一日だけ、時間をくださいますか」 

ありす「? どうしてですか?」 


武内P「理想像を追い求めるのは、悪いことではありません」 

武内P「しかし、何事も、過ぎたるは及ばざるが如しと、そう、言います」 

武内P「……鷺沢さんも、理想を重ね続けられるのも、負担になるかと」 


ありす「……何をする気ですか?」 


武内P「明日、物凄く落ち着かない様子の鷺沢さんをご覧にいれます」 


ありす「!?」

340: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:04:17.48 ID:DmdmaQuwo
  ・  ・  ・ 

コンコンッ! コンコンッ! 


武内P「どうぞ」 


ガチャッ! 


ありす「おはようございます!」 

武内P「おはようございます、橘さん」 

ありす「貴方は、文香さんに何をしたんですか!?」 

ありす「クローネのプロジェクトルームで……文香さん、ずっとソワソワしてるんです!」 

武内P「昨日、彼女の帰り際に、本を数冊お貸ししました」 

ありす「本を貸した……? それで、どうしてあんなに……?」 


武内P「巻の最後で非常に盛り上がり、早く続きを読みたいと、そう、思う」 

武内P「その次の巻を抜いて」 


ありす「……」 

ありす「はい?」

341: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:08:18.22 ID:DmdmaQuwo
ありす「えっ、と……それだけですか?」 

武内P「はい、それだけです」 

ありす「読みたい続きが読めなくて、ソワソワしてる?」 

武内P「ええ、そうなりますね」 

ありす「何を言ってるんですか!」 

ありす「文香さんが、それだけであんなにソワソワする筈が――」 


コココココココココココココココココッ!! 


ありす「ひっ!? ドアが……なっ、何!?」 

武内P「ノックの音、ですね」 

ありす「ノック!? 工事が始まったかと思いましたよ!?」

342: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:13:59.27 ID:DmdmaQuwo
コココココココココココココココココッ!! 


武内P「恐らく、鷺沢さんでしょう」 

ありす「文香さんが!? そんなの、有り得ません!」 

武内P「……」 

武内P「どうぞ」 


…ガチャッ 


文香「……失礼、します」 


ありす「えっ……本当に、文香さん……?」 

ありす「他に誰も居ない……い、今のノックを文香さんが……?」 


文香「……」 


ありす「……!?」

343: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:20:50.76 ID:DmdmaQuwo
武内P「おはようございます、鷺沢さん」 

文香「おはよう……ございます」 

文香「昨日は、本を貸して頂き……ありがとう、ございました」 

武内P「いえ、ああ言った内容のものが、好みかと思いましたので」 

文香「はい……とても、楽しく……読ませて頂きました」 


ありす「! やっぱり、さっきのノックは何かの間違いです!」 

ありす「文香さんは、とっても素敵な大人の女性です!」 


文香「しかし……途中の巻が、抜けていたのです、が」 

武内P「ああ、それは……申し訳ありませんでした」 

文香「……いえ、お気になさらず」 

武内P「……」 

文香「……」 


文香「……」ソワッ 


ありす「……ん?」

344: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:30:09.00 ID:DmdmaQuwo
文香「あ、あの……それで、ですね」ソワソワ 

武内P「はい、何か?」 

文香「抜けていた巻は、今、手元にあるのでしょうか……?」ソワソワ 

文香「宜しければ……お貸し頂けると、嬉しいのです……が」ソワソワ 


武内P「――ああ、申し訳ありません」 


文香「……!?」ガーン! 

文香「今、手元に無いの、ですか……!?」ブルブルッ 

文香「わ、わた、私に……まだ、我慢をしろと……!?」ガクガクッ 

文香「あんなにも……あんなにも、続きが気になる所まで読ませておいて……!?」ガタガタッ! 


ありす「ふっ、文香さん!?」 


武内P「――今、確認してみます」 


文香「おっ、お願いします……!」パッ! 


ありす「……!?」

345: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:40:14.46 ID:DmdmaQuwo
文香「申し訳……ありません」ソワソワ 

武内P「こちらこそ、申し訳ありませんでした」 

文香「い、いえ……貴方が謝る必要は、ありません」ソワソワ 

文香「むしろ、あの様な素敵な書を教えてくださった事に……感謝しています」ソワソワ 


武内P「……ん?」 


文香「ん……!?」ガーン! 

文香「無かったの、ですか……!?」ブルブルッ 

文香「そ、そんな……探しても、何処にも置いていなかったのに……!?」ガクガクッ 

文香「わた、私は……今日、あの物語の続きを読めな、読めな、読め……!?」ガタガタッ! 


ありす「文香さ――んっ!?」 


武内P「――ああ、鞄の下の方に、入っていました」 


文香「!」ペカーッ! 


ありす「……?」

346: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:47:32.13 ID:DmdmaQuwo
武内P「鷺沢さん、どうぞ」 

文香「……!」ペカーッ! 

武内P「そこまで、続きが気になってしまいましたか?」 

文香「……!……!」コクコクコクコクコクコクコクッ! 

武内P「落ち着いてください、鷺沢さん」 

武内P「頷きすぎて、髪の毛がバッサバッサいっています」 

文香「ここで……読む……うぅ?」 

武内P「はい、構いませんよ」 


文香「っ――!」 

スタスタスタスタ、ポスンッ 

文香「……」 

…ペラッ 


ありす「……」

347: 名無しさん 2018/07/27(金) 00:54:37.10 ID:DmdmaQuwo
武内P「――と、この様に」 

武内P「鷺沢さんも、常に冷静で居るわけではありません」 

ありす「そう……みたいですね」 

武内P「しかし……そういった所もまた、魅力なのでは無いでしょうか」 

ありす「!」 

ありす「はい! 文香さんは大人の女性ですけど……その」 

ありす「さっきの文香さんも、えっと……可愛いと、思いました」 


武内P「目標があるのは、素晴らしいことです」 

武内P「ですが、その目標をハッキリと見定める事もまた、重要です」 


ありす「……はいっ!」ニコッ 


武内P「良い、笑顔です」

348: 名無しさん 2018/07/27(金) 01:00:14.50 ID:DmdmaQuwo
ありす「……すみません、文香さん」 

ありす「私……私の中の勝手なイメージを文香さんに重ねていました」 

ありす「……でも」 

ありす「今日こうやって、新しい一面を見て!」 

ありす「増々、文香さんのような、素敵な女性になりたいと思いました!」 

ありす「だから、その……」 

ありす「……これからも、よろしくお願いします!」 


文香「……」 

…ペラッ 


ありす「あ……あの、文香さん……?」 

武内P「恐らく……今は、何を言っても耳に入らないかと」 

ありす「……」

349: 名無しさん 2018/07/27(金) 01:09:48.14 ID:DmdmaQuwo
武内P「鷺沢さんは、今……本に集中していますから」 

ありす「……だったら、仕方ありませんよね」 

武内P「はい」 

ありす「それじゃあ、最初の話に戻るんですけど」 

武内P「えっ?」 


ありす「胸を大きくするのに、良い方法はありますか?」 

ありす「出来れば、ふにふにした触り心地になる方法も」 


武内P「……」 

武内P「誤魔化し……切れなかった……!?」

350: 名無しさん 2018/07/27(金) 01:20:59.37 ID:DmdmaQuwo
ありす「外見的な女性らしさも、重要だと思います」 

武内P「それに関しては、その……ですね」 

武内P「……申し訳、ありません」 

武内P「私では、力になれそうに……ありません」 

ありす「そう……ですか」ションボリ 

ありす「それじゃあ、もう一人の憧れの女性――」 


ありす「美波さんに、聞いてみることにします」 


武内P「なるほど」 

武内P「……」 

武内P「待ってください」

352: 名無しさん 2018/07/27(金) 01:32:01.85 ID:DmdmaQuwo
武内P「その……橘さんの中で、彼女はどの様なイメージでしょうか?」 

ありす「美波さんですか? そうですね……」 


ありす「とても優しくて、頼りがいのある、素敵なお姉さんです」 

ありす「バイタリティに溢れ、とても行動力があります」 

ありす「リーダーシップもあり、憧れて、当然の存在かと」 


武内P「はい、そうですね」 


ありす「ですが……答えて、貰えるでしょうか?」 

ありす「その、こういった……いやらしい様な事とは、無縁の人ですから」 

ありす「美波さんは、穢れを知らない、女神のような人ですし」 


武内P「その方の名字は、何ですか?」

354: 名無しさん 2018/07/27(金) 01:43:33.60 ID:DmdmaQuwo
ありす「えっ? 何を言ってるんですか?」 

ありす「シンデレラプロジェクトのリーダー」 

ありす「新田、美波さんですよ?」 

武内P「……なるほど」 

武内P「橘さんは……新田さんにそう言うイメージを抱いている、と」 


ありす「はい! 憧れの、とっても素敵な人です!」 

ありす「美波さんの様な女性になりたいと、そう思います!」ニコッ! 


武内P「……良い、笑顔です」 

武内P「ですが……橘さん」 

武内P「貴女には、他の方には無い……貴女自身の輝きがあります」 


ありす「えっ? そ、そうでしょうか……?///」テレテレ 


武内P「はい。なので――」 


武内P「憧れるのは、もう卒業しましょう」 




おわり