851: 名無しさん 2018/08/13(月) 22:41:39.75 ID:F1HRsgyqo
蘭子「ぴっ!?」ビクッ! 

武内P「す、すみません」 

蘭子「の、望むは天上の調べ! 地の底より這い出しものではない!」 

武内P「えっ?」 

蘭子「もっ……もう少し、高い声で喋ってください……!」 

武内P「……は、はあ」 


小梅「ご、ごめんね……お話してたら、怖がらせちゃって」 


武内P「……」


引用元: ・武内P「『次はお前だ』」

852: 名無しさん 2018/08/13(月) 22:47:50.21 ID:F1HRsgyqo
蘭子「こ、此処は魂の錬成場! 我が城に非ず!」 

蘭子「未知の不可視なるお、オバ、おばおば……幽霊が!」 

小梅「せっかくの合宿だから……ね、寝るまでと思って……」 

武内P「……なるほど、それで」 

武内P「しかし……何故、私の部屋に」 


小梅「ここが一番安全だ、って……あの子が」 


蘭子「我が友よ! 共に、登る太陽を見届けようぞ!」 


武内P「……」 

武内P「あの……朝まで、ここに居るつもりですか!?」

853: 名無しさん 2018/08/13(月) 22:55:40.71 ID:F1HRsgyqo
蘭子「無論! 汝の纏う妖気こそ、この世ならざる者への剣!」 

蘭子「漆黒の闇より潜みし亡者から、私を護りたまえ! お願いします!」 

小梅「ここなら……大丈夫だから、で、出来ればお願いしたい……な」 

武内P「まっ、待ってください!」 

武内P「本気で、仰っているのですか!?」 


小梅「や、やっぱり……駄目、だよね」 


蘭子「そんな事言わんでよ――っ!」ピーッ! 


武内P「……」

854: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:02:54.65 ID:F1HRsgyqo
武内P「……仰っしゃりたいことは、わかりました」 

蘭子「っ! ならば!」 

小梅「ここで、い、一緒に寝ても……良いの?」 

武内P「……いえ、それは、出来ません」 

武内P「貴女達は――」 


コンコンッ 


蘭子「ひうっ!?」ビクッ! 

武内P「……」 

武内P「ノック……?」 


小梅「……来た」

855: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:05:38.53 ID:F1HRsgyqo
武内P「来た? 来たとは、一体?」 

小梅「ぜ、絶対に……開けちゃ、駄目だよ」 

武内P「いえ、ですが……」 


コンコンッ 


武内P「外で、待っているようなので」 

…スッ 

武内P「少し、待っていてください」 


小梅「だ、駄目……! 開けたら……!」 

蘭子「わ、我がとっ、とっとととっ、友――っ!」

856: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:08:03.61 ID:F1HRsgyqo
コンコンッ 

武内P「――はい」 

ガチャッ! 

武内P「――お待たせしました」 

武内P「……」 

武内P「誰も……居ない……?」 


蘭子「う~っ……! うう~っ……!」ビクビク! 

小梅「す……凄い」 

蘭子「えうぅっ!?」ビクビク! 


小梅「顔が、こ、怖いって……逃げていった、って……」

857: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:13:01.35 ID:F1HRsgyqo
武内P「……すみません、お待たせしました」 

武内P「風か何かの音だったようです」 

蘭子「ぅう我が友――っ!」 

ぎゅうっ! 

武内P「かっ、神崎さん!? あの、離し――」 

蘭子「片時も離れる事は無い! 無い無い無い!」 

ぎゅううっ! 

武内P「っ!? い、いけません! いけません、神崎さん!」 

小梅「そうしてるのが……うん、一番安全かも」 

武内P「安全では! 安全では、ありません!」

858: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:19:11.01 ID:F1HRsgyqo
  ・  ・  ・ 

武内P「……落ち着かれましたか?」 

蘭子「う……うむ///」 

蘭子「……差し込んだ光に、惑わされてしまったわ///」 

小梅「と、とっても……頼もしかった、よね」 

蘭子「それ! もう……もう! もうっ!」 

武内P「……はあ」 


武内P「では、これで自分の部屋で眠れますね?」 


蘭子「……」 

小梅「……」 

蘭子「えっ?」

859: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:23:44.94 ID:F1HRsgyqo
蘭子「……クックック! その様な虚言には惑わされないわ!」 

武内P「えっ? いえ、本気……なのですが」 

蘭子「へっ?」 

武内P「もう……今ので逃げたのです、よね?」 

小梅「う……うん、気の弱い子は……行っちゃった」 

武内P「でしたら、問題ありm」 


小梅「でも……そうじゃない子は、まだ……居る、よ?」 


武内P・蘭子「……」

860: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:30:07.99 ID:F1HRsgyqo
小梅「今も、ドアの向こうで……」 

武内P「あの、白坂s」 


蘭子「私は、眠りにつくわ」 

…ゴソゴソッ! 


武内P「っ!? 待ってください、神崎さん!」 

グイグイッ! 

蘭子「我が友よ! この棺を開けてはならない!」 

グイグイッ! 

武内P「私の布団で寝ようとしないでください! 神崎さん!」 

グイグイッ! 

蘭子「やっ……やーあー! やーあー!」 

グイグイッ! 


武内P「……!?」

861: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:38:01.17 ID:F1HRsgyqo
蘭子「わっ、わわっ、我が友よ!」 

蘭子「我が魂は、安息を求め、此処に辿り着いた!」 

蘭子「静寂が支配する長き道を歩み、既に魔力は尽きようとしている!」 

蘭子「にも関わらず! 汝は、其の守護の領域へ踏み入る事を拒むのか!」 

蘭子「……否! 我らの魂の絆とは! わ、私とプロデューサーは!」 

蘭子「仲良し! 私! ここ! 寝る! 寝るのー! 寝るうううっ!」 

ぎゅむんっ! 


小梅「布団に……完全に、くるまっちゃったね」 

武内P「……」

862: 名無しさん 2018/08/13(月) 23:50:56.03 ID:F1HRsgyqo
武内P「あの……神崎さん」 

蘭子「う~っ……!」 

武内P「……」 


武内P「貴女のお気持ちは、十分に伝わりました」 

武内P「……そして」 

武内P「この様な状態で、部屋から放り出すわけにもいかない、と」 

武内P「……そう、考えました」 


蘭子「っ! じゃあっ!」 

バッ! 


武内P「私が、違う部屋で寝ます」ニコリ 


蘭子「我が友!?」 

小梅「え、えっと……それ、意味ない……よね?」

863: 名無しさん 2018/08/14(火) 00:06:57.18 ID:fUe1pRcEo
  ・  ・  ・ 

武内P「……では、私は押入れの中に居ますので」 

武内P「何かありましたら、声をかけてください」 


蘭子「……あ……あの」 

蘭子「ごめんなさい……プロデューサー」 


武内P「……いえ、お気になさらず」 

武内P「存外……悪くは、ありませんから」 


小梅「だけど、押入れで寝るなんて……まるで……」 

蘭子「……うむ! 青き、機械仕掛けの獣!」 

蘭子・小梅「……えへへっ」ニコッ 


武内P「……良い、笑顔です」

864: 名無しさん 2018/08/14(火) 00:14:03.60 ID:fUe1pRcEo
武内P「それでは……おやすみなさ――」 


ドンドンッ! ドンドンッ! 


蘭子「ぴっ!?」ビクウッ! 

小梅「い……いっぱい、外に居るみたい」 

蘭子「やー! もう、やー!」ブルブル! 


ドンドンッ! ドンドンッ! 


武内P「……」 

武内P「少し、待ってください」 


蘭子・小梅「えっ……?」 


武内P「追い払ってこようと、そう、思います」

866: 名無しさん 2018/08/14(火) 00:22:04.66 ID:fUe1pRcEo
武内P「幽霊は……私の顔を怖がっている、のですよね?」 

小梅「う、うん……そうだけど、でも……」 

蘭子「プロデューサー! 無茶しないでください!」 

武内P「いえ、これは、当然の事です」 


武内P「笑顔の、ためですから」 

武内P「そのためならば、私は……鬼になりましょう」 


小梅「待って……外に居るのは……!」 


武内P「私に何かありましたら……後は、お願いします」 


武内P「……」 

…ガチャッ! 


武内P「何か、御用ですか?」ギロオオッ!!

867: 名無しさん 2018/08/14(火) 00:27:26.00 ID:fUe1pRcEo
  ・  ・  ・ 

ちひろ「プロデューサーさん、ご存知ですか?」 

ちひろ「いつもの合宿所、変な噂が立ってる、って」 

武内P「……噂、ですか」 

ちひろ「はい、そうなんです」 

ちひろ「……出るらしいですよ?」 

武内P「……何が、ですか?」 


ちひろ「それが……鬼が、出るらしいんです」 


武内P「……」

869: 名無しさん 2018/08/14(火) 00:38:20.50 ID:fUe1pRcEo
武内P「……それは、また」 

ちひろ「あーっ、信じてませんね?」 

武内P「……すみません」 

ちひろ「もうっ!……ゴホンッ! いいですか?」 


ちひろ「――気付いたら、部屋から人数が減ってた」 

ちひろ「――その子を探して、合宿所を歩き回ったそうなんです」 

ちひろ「――……でも、何処にも居ない」 

ちひろ「――何かあったんじゃ、って……ある部屋を尋ねると」 


武内P「……出た、と」 


ちひろ「はい。でも……朝起きたら、何事も無かったように全員元の布団で寝てて」 

ちひろ「記憶も、姿形もハッキリしないのに……ただ、全員が覚えてる」 

ちひろ「恐ろしい……鬼の顔を見た、って」 


武内P「……」

870: 名無しさん 2018/08/14(火) 00:45:53.00 ID:fUe1pRcEo
ちひろ「とにかく、怖かった……って」 

武内P「……そう、ですか」 

ちひろ「全員、同じ夢でも見たんだと思いますけど……それにしたって」 

武内P「……そう、ですね」 

ちひろ「プロデューサーさんは、何か心当たりはありますか?」 

武内P「心当たり……ですか」 

ちひろ「はい。原因は、何だと思います?」 

武内P「……そう、ですね」 


武内P「幽霊のせい、でしょうか」 



おわり