145: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:17:50.19 ID:SyvVpXXLo
武内P「彼女は……あまり、体が強い方ではありません」 

武内P「……しかし、とても魅力的なアイドルです」 

武内P「彼女に――笑顔で、アイドルを続けて欲しい」 

武内P「そのために、力を貸して頂けますか?」 


武内P「――木場さん」 


真奈美「オーケー、話はわかった」ニコッ! 


真奈美「――こなしてみせよう」Powerful!



                             引用元: 
・武内P「援助交際、ですか」
146: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:21:48.96 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

チュン……チュンチュン…… 


ちとせ「すぅ……すぅ……」 


―シャッ! 


ちとせ「ん……まぶし……」 

ちとせ「……千夜ちゃん、カーテン閉め――」 


真奈美「グッモーニン、ちとせ」 

真奈美「今日は雲ひとつ無い快晴だぞ」Powerful! 


ちとせ「――ん!?」

147: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:25:22.97 ID:SyvVpXXLo
ちとせ「え、何……何なの……!?」 

真奈美「何だ、聞いていなかったのか?」 

ちとせ「な……何を……?」 

真奈美「フフッ、これはとんだサプライズになってしまったな」 


真奈美「今日から二週間――」 

真奈美「――私が、君の僕ちゃんになる」 

真奈美「よろしく頼むよ、お嬢様」Powerful! 


ちとせ「……」 

ちとせ「はいっ!?」

148: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:28:41.84 ID:SyvVpXXLo
真奈美「さあ、驚くのはもうやめにしようか」 

ちとせ「いや、事態がうまく飲み込めないんだけど……」 

真奈美「まず、顔を洗ってきたら良い」 

ちとせ「……その後、ちゃんと説明してくれるのかしら?」 

真奈美「おいおい、何を言っているんだ」 


真奈美「まずは朝食をとる、オーケー?」 

真奈美「朝食は、一日を始める活力を与えてくれる」 

真奈美「話は朝食の後に、ゆっくりとしよう」 


ちとせ「……まあ、わかったわ」

149: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:33:08.64 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

ちとせ「……ねえ、ちょっと」 

真奈美「どうしたんだい、お嬢様」 

ちとせ「……私、朝は食欲が無いんだけど」 

真奈美「ああ、そう聞いている」 


真奈美「トースト二枚に、スープ」 

真奈美「オレンジジュースに、ベーコンエッグ」 

真奈美「つけあわせは、鉄分をとるためにほうれん草のソテー」 

真奈美「卵が二つなのは……フフッ、サービスさ」Powerful! 


ちとせ「本当に聞いてたの!?」

150: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:37:27.98 ID:SyvVpXXLo
真奈美「勿論、全て把握しているよ」ニコリ! 

ちとせ「だったら……!」 

真奈美「噂では……吸血鬼の末裔だ、ともね」 

ちとせ「……もし、それが本当なら?」 


真奈美「こんなに簡単な仕事は無いと思ったよ」 

真奈美「吸血鬼というのは、中々の生命力を持っている」 

真奈美「いや……生きているのか、という話になるが」 

真奈美「――とにかく、かなり無茶をしても平気そうだ、とね」Powerful! 


ちとせ「……」 

ちとせ「助けて千夜ちゃん!」

152: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:43:09.10 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

ちとせ「も……もう、無理……うっぷ……!」 

真奈美「大丈夫だ! お嬢様なら食べられる!」 

ちとせ「ほ……本当に、きっつい……!」 

真奈美「後少しで完食だぞ! もう少しだ!」 


ちとせ「……ん……むっ」パクッ! 


真奈美「良いぞ、その調子だ! お嬢様ならやれる!」 

真奈美「オーケーオーケー! さあ、飲み込め!」 


ちとせ「……!」ゴクンッ! 


真奈美「ナーイスナイスナイス!」 

真奈美「さすがお嬢様! 僕の私も、誇らしいぞ!」Powerful!

153: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:49:17.15 ID:SyvVpXXLo
ちとせ「う……動けない……!」 

真奈美「ナイスファイトだ、お嬢様」 

ちとせ「朝ごはんが……ファイトって……」 

真奈美「ああ、その通りだ」 

ちとせ「えっ?」 


真奈美「食べるということは、生きるということだ」 

真奈美「お嬢様は、生きてアイドルを続けるんだろう?」 

真奈美「だったら、生き残るための戦いをしよう」 

真奈美「体が弱いのならば――強くなればいいのさ」Powerful! 


ちとせ「……」 

ちとせ「私が……強く……」

154: 名無しさん 2019/05/13(月) 22:56:13.11 ID:SyvVpXXLo
ちとせ「……なれると思う?」 

真奈美「おや、おかしな事を聞くものだね」 

ちとせ「私が強くなれるって、自分では信じられないから」 

真奈美「フッ、私がお嬢様の僕になったんだ」 

ちとせ「……」 


真奈美「――こなしてみせよう」Powerful! 


ちとせ「ふふっ……頼もしい僕ちゃんが出来ちゃったわね」 


真奈美「二週間後には、お嬢様は私のようになっているさ」Powerfuuuul!! 


ちとせ「それはハイペースすぎじゃない……!?」

155: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:02:26.46 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

プール 


ちとせ「はぁ……はぁっ……!」 

真奈美「良いじゃないか、上出来だ」 

ちとせ「はぁ……ふぅ……!」 


真奈美「水泳は、お嬢様の体を鍛えるのに効率が良い」 

真奈美「全身の筋肉を使うし、肺活量も鍛えられる」 

真奈美「タイムが縮まる事で、成長も実感出来る」 

真奈美「――さあ、もう休憩は良いだろう」 

真奈美「レッツゴー、お嬢様!」Powerful! 


ちとせ「は……ハード……!」

156: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:09:46.36 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

ランチ 


ちとせ「しょ……食欲が……」 

真奈美「お嬢様、食べるんだ」 

ちとせ「でも……」 


真奈美「破壊された筋肉に、タンパク質を送る必要がある」 

真奈美「ここで一歩踏み出すかが、分かれ目だ」 

真奈美「いいかい、お嬢様?」 

真奈美「――食欲がなくても、ゴハンは食べられる」Powerful! 


ちとせ「……」 

ちとせ「助けて……助けて千夜ちゃん……!」

157: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:16:33.96 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

ダンスレッスン 


ちとせ「体が……重い……」 

真奈美「ほう、それは好都合じゃないか」 

ちとせ「な……何で?」 


真奈美「LIVEの終盤、疲れが出てきた時を想定出来る」 

真奈美「疲れていても、完璧なダンスを」 

真奈美「……それとも、お嬢様は無様な姿を晒すのがお好みかな?」 


ちとせ「……そんなの、ごめんだわ」 

ちとせ「私がしたいのは、魅了であって醜態を晒したい訳じゃないの」 


真奈美「エクセレント! お嬢様ならばそういうと思ったよ!」Powerful!

158: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:20:56.83 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

ボイスレッスン 


ちとせ「あれ……トレーナーさんは?」 

真奈美「何を言ってる、此処に居るじゃないか」 

ちとせ「……貴女が?」 

真奈美「ああ、その通りさ」 


真奈美「――お嬢様は、歌が得意だと聞いている」 

真奈美「ならば、このレッスンに関しては手加減の必要が無い」 

真奈美「さあ、フルパワーでお相手しよう」 

真奈美「心の準備は良いかい、お嬢様?」Powerful! 


ちとせ「……ええ、望む所よ」

159: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:30:55.97 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

夕食 


ちとせ「……やっぱり、多いわね」 

真奈美「今までが少なかっただけさ」 

ちとせ「……」 

真奈美「栄養バランスは考えてある、問題ない――」 

真奈美「――と、言いたい所だが」 


真奈美「今日一日頑張ったご褒美の、スペシャルメニューだ」 

真奈美「これから先二週間の活力のための、ね」 

真奈美「……正しいことが、全て正解とは限らない」 

真奈美「血の滴るステーキはお好みかな?」Powerful! 


ちとせ「……」 

ちとせ「千夜ちゃん……私、頑張るから……!」

160: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:34:02.42 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

チュン……チュンチュン…… 


ちとせ「……あれ?」 

ちとせ「いつの間に……もう、朝?」 


ガチャッ 


真奈美「……やあ、起きていたのか」 

真奈美「おはようございます、お嬢様」Powerful! 


ちとせ「おはよう……って、イタタタ……!」 

ちとせ「体が、筋肉痛で……!」

161: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:39:53.28 ID:SyvVpXXLo
真奈美「それは丁度良い、朝のストレッチをしよう」 

ちとせ「お、起き上がれない……!」 

真奈美「オーケー、手を貸そう」 

ちとせ「そーっと! そーっと、ね……!」 

真奈美「――さ、水を一杯飲んで」 

ちとせ「……」ゴクッ…ゴクッ… 


ちとせ「ぷはっ……今日は、ちょっと動けそうにないかも」 

ちとせ「……悪いけど、もう少し横になるわ」 


真奈美「お嬢様なら問題ないさ、大丈夫」 

真奈美「お嬢様は、今、生きている」 

真奈美「だったら、体は動く――今日もメニューをこなせるさ」Powerful! 


ちとせ「……」 

ちとせ「冗談でしょ……!?」

163: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:48:11.61 ID:SyvVpXXLo
  ・  ・  ・ 

二週間後 


千夜「すぅ……はぁ……」 


千夜(……お嬢様と離れ離れになって、二週間が経った) 

千夜(――必要な事です) 

千夜(……と、そう言われたが) 

千夜(私は……そうは思えなかった) 


千夜「……お嬢様を起こすという光栄な役目」 

千夜「それを他の者に譲るという、屈辱の日々……!」 


千夜「……」 


千夜「今、一日の始まりを告げに、千夜が参ります……!」

164: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:53:28.42 ID:SyvVpXXLo
千夜「……!」ウキウキ! 


ガチャッ… 


ちとせ「――あら! 久しぶり、千夜ちゃん!」 

グッ、グッ、グッ、グッ 

ちとせ「ごめんね、ストレッチをしながらで」 

グッ、グッ、グッ、グッ 

ちとせ「朝のランニングが終わったらコレをしないと、気持ち悪くって」 

グッ、グッ、グッ、グッ 

ちとせ「今日も快晴で、素晴らしい一日になりそうだったわ」Powerful! 


千夜「お……お嬢様……?」 

千夜「……」 

千夜「どっ……どちら様……!?」

165: 名無しさん 2019/05/13(月) 23:58:54.83 ID:SyvVpXXLo
ちとせ「ふふっ! なぁに? もう私の顔を忘れちゃったの?」 

千夜「いっ、いえ! そんな事は有り得ません!」 

ちとせ「起こしに来てくれるだろうと思って、部屋に居て正解だった♪」 

千夜「……お嬢様」ジーン…! 

ちとせ「シャワーで汗を流した後、朝食にするわね」 

千夜「はっ、はい!」 


ちとせ「今朝の気分は、山盛りのコーンフレークかな」 

ちとせ「牛乳じゃなく、ヨーグルトをたっぷりかけてね」 

ちとせ「サラダは、ブロッコリーを山盛りで」 

ちとせ「あっ、ハムは厚めに切ったのを二枚お願いしようかしら」 


千夜「……」 

千夜「はいっ!?」

167: 名無しさん 2019/05/14(火) 00:05:42.17 ID:8lK86C+1o
  ・  ・  ・ 

武内P「――木場さん、ありがとうございました」 

真奈美「なあに、大した事はしていないさ」 

武内P「黒埼さんは、かなり健康になったと聞いています」 

真奈美「あの子自身が頑張ったからさ」 


真奈美「まあ……途中、五回程危ない場面もあったが」 

真奈美「あの子は、立ち上がる度に強くなっていったよ」 

真奈美「私は、あの子が限界を越える手助けをしたにすぎない」 

真奈美「そうだね……とてもイージーな仕事だった」 

真奈美「だが、満足してくれたのなら幸いだね」Powerful! 


武内P「……良い、パワフルコミュニケーションです」

168: 名無しさん 2019/05/14(火) 00:13:43.58 ID:8lK86C+1o
武内P「……今回の件を受けて、またお願いしたい仕事が」 

真奈美「私にかい? そこまで買って貰えるとは、光栄だね」 

武内P「部署の垣根を超えて、評判になっています」 

真奈美「ははは、あまりおだてられると流石の私も照れてしまうよ」 


武内P「こちらの方を気にかけて頂きたい、と」 

スッ… 


真奈美「ふむ……なるほど」 

真奈美「……次は、この子を?」 


武内P「はい」 

武内P「……木場さんならば、なんとかして頂けると」 

武内P「……そう、思っています」

169: 名無しさん 2019/05/14(火) 00:16:28.53 ID:8lK86C+1o
武内P「彼女は……あまり、心が強い方ではありません」 

武内P「……しかし、とても魅力的なアイドルです」 

武内P「彼女に――やまずに、アイドルを続けて欲しい」 

武内P「そのために、力を貸して頂けますか?」 


武内P「――健全な精神は健全な肉体に宿る、と」 

武内P「……そう、言いますから」 


真奈美「オーケー、話はわかった」ニコッ! 


真奈美「――こなしてみせよう」Powerful! 




おわり