578: 名無しさん 2019/05/25(土) 17:52:55.61 ID:R20aHg9/o
悠貴「はいっ!……はいっ!?」 

武内P「この件に関しましては、全面的にサポートさせて頂きます」 

悠貴「どっ、どうしてですかっ!?」 

武内P「……」 


武内P「――天国に一番近いアイドル」 

武内P「貴女の体重は、そう言われる程軽い……軽すぎるからです」 


悠貴「天国に一番近い、って……」 

悠貴「す……巣鴨駅みたいに言われてるんですかっ!?」


引用元: ・武内P「援助交際、ですか」

579: 名無しさん 2019/05/25(土) 17:57:58.60 ID:R20aHg9/o
武内P「BMI値、というものはご存知ですね?」 

悠貴「は、はいっ! ジュニアモデルをやってましたから……」 

武内P「貴女は、ご自身のBMI値をご存知でしょうか?」 

悠貴「はいっ!」 


悠貴「14.872ですっ!」ニコッ! 


武内P「……良い、笑顔です」 

武内P「……」 

武内P「……ですが、あまりにも低すぎます」

580: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:04:53.93 ID:R20aHg9/o
武内P「乙倉さんの身長は164cm、体重は40kgで間違いありませんか?」 

悠貴「はいっ! 合ってます!」 

武内P「対して、非常に小柄な双葉さんは身長139cm、体重30kgです」 

悠貴「うわ~っ! すっごく軽いんですねっ!」 


武内P「双葉さんのBMI値は……15.527です」 

武内P「これで、貴女の体重が軽すぎる、と」 

武内P「……理解して頂けましたか?」 


悠貴「……?」キョトン 

悠貴「……はいっ!」ニコッ! 


武内P「……理解して頂けていませんね?」

581: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:16:07.88 ID:R20aHg9/o
武内P「……乙倉さんは、身長に対して体重が軽すぎます」 

悠貴「えっと……BMI値を上げろ、って事ですよねっ?」 

武内P「はい、そういう事ですね」 

悠貴「そのサポートをしてくれる、って……」 


悠貴「私の身長、低くしてくれるんですかっ!?」パアッ! 


武内P「……乙倉さん」 

武内P「体重を増やすという選択肢は、貴女の中にありませんか?」

582: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:21:05.68 ID:R20aHg9/o
武内P「北条さんや黒埼さんは体が弱い、と言われていますが……」 

武内P「……私は、乙倉さんが見ていて一番不安を覚えます」 

悠貴「私、すっごく元気ですよっ!?」 

武内P「……そう、ですね」 


武内P「――燃え尽きる寸前の蝋燭の火」 

武内P「貴女の輝きは、それに似たものを感じます」 


悠貴「……?」キョトン 

悠貴「……えへへっ///」ニコッ! 


武内P「……申し訳ありません」 

武内P「素直な褒め言葉では、ありませんので」

583: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:28:24.44 ID:R20aHg9/o
武内P「食生活には、気を使っていると聞きましたが……」 

悠貴「はいっ! ジュニアモデル時代から、ですねっ!」 

武内P「それは、今もですか?」 

悠貴「はいっ! カロリー計算はバッチリですっ♪」 


武内P「勉強は、得意ですか?」 


悠貴「はいっ!」ニコッ! 


武内P「では、少しテストをしましょうか」 


悠貴「はいっ!」 

悠貴「……はいっ!?」

584: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:34:08.15 ID:R20aHg9/o
武内P「乙倉さんの計算が間違っている可能性が、非常に高いので」 

悠貴「テストって……何のテストですかっ!?」 

武内P「簡単な計算問題です」 

悠貴「……はいっ! わかりましたっ!」 


悠貴「乙倉悠貴、テストも全力で頑張りますっ!」 

悠貴「ウォーミングアップで、走ってきますねっ!」 


武内P「待ってください」 

武内P「使うのは体ではなく、頭です」

585: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:43:33.61 ID:R20aHg9/o
武内P「やはり、計算は苦手ですか?」 

悠貴「……バレちゃいましたか?」テヘペロ! 

武内P「今後、カロリー計算はこちらでします」 

悠貴「はいっ! わかりましたっ!」 


武内P「アイドルになってからは、食べる量が増えた、と」 

武内P「……そう、聞いていますが?」 


悠貴「ミックスジュース、いっぱい飲んでますっ!」ニコッ! 


武内P「……食べると飲むは、違いますね?」 


悠貴「はいっ!」ニコッ! 


武内P「……良い笑顔、良い返事です」 

武内P「ですが……それだけ、ですね」

586: 名無しさん 2019/05/25(土) 18:54:08.23 ID:R20aHg9/o
武内P「食生活の、根本的な見直しが必要ですね……」 

悠貴「やっぱり、ジュースばっかり飲んでちゃ駄目ですか?」 

武内P「ジュース以外からも栄養を摂る必要があります」 

悠貴「……は、はいっ! わかりました!」 


悠貴「生野菜は苦手ですけど……が、我慢しますっ!」 

悠貴「あとは、焼いたり蒸したり……他にも色々っ!」 

悠貴「お野菜は……色んな食べ方をしないと、駄目ですよねっ!」 


武内P「……あの」 

武内P「乙倉さんは、足の早い草食動物か何かでしょうか?」

589: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:15:40.32 ID:R20aHg9/o
武内P「ランニング時も、トレーナーをつける必要がありそうですね……」 

悠貴「ええっ!? 良いんですかっ!?」 

武内P「乙倉さんに、何かあってはいけませんから」 

悠貴「……えへへっ、嬉しいですっ///」 


悠貴「いつもは、気付いたら河原を走ってるので……」 

悠貴「コースの指示をして貰えると、すっごく助かりますっ!」ニコッ! 


武内P「……良い、笑顔です」 

武内P「……」 

武内P「……河原?」

591: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:22:31.88 ID:R20aHg9/o
武内P「それは……どこの河原、でしょうか?」 

悠貴「それが……えへへっ、私もよくわかってないんですっ」テヘペロ! 

武内P「……宜しければ、どういった景色か教えて頂けますか?」 

悠貴「はいっ!」 


悠貴「すっごく大きな河が流れてて……」 

悠貴「あっ! 小さな、可愛い船が行き来してるんですよっ!」 

悠貴「その河原には、赤いジャージや青いジャージの人が居て……」 

悠貴「小さな子供達が、綺麗に小石を積み上げるトレーニング?」 

悠貴「……の、コーチをしてたりしますっ!」 


武内P「……」 

武内P「!?」

592: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:28:41.85 ID:R20aHg9/o
武内P「そ……その河原には、毎日!?」 

悠貴「はいっ! 朝のランニングでは、必ずっ!」 

武内P「ま……毎朝、ですか……!?」 

悠貴「はいっ!」 


悠貴「コーチの人たちが、手を振ってくれるんですよっ!」 

悠貴「でも、ランニングの途中だから……」 

悠貴「元気よく、手を振り返すだけにしてますっ!」 

悠貴「えへへっ、もしかして私のファン……だったりしてっ!///」ニコッ! 


武内P「乙倉さん、その河原にはもう行かないようにしましょう」 

武内P「その……絶対に、行ってはいけません」

593: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:36:24.31 ID:R20aHg9/o
武内P「……事態は、想像以上に深刻なようですね」 

悠貴「はいっ!……はいっ?」 

武内P「そろそろ、体重を増やすためのコーチの方が来ます」 

悠貴「コーチ?」 


「――ショコラ♪ ティアラ♪」 


悠貴「この声は……」 

武内P「はい」 


武内P「スペシャルコーチの――三村さんです」

594: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:43:38.34 ID:R20aHg9/o
「ショコラ♪ ティアラ♪」 


悠貴「かな子さんですかっ!」 

武内P「彼女が適任だ、と……そう考えました」 

悠貴「間食をして、体重を増やすって事ですか?」 

武内P「間食も込みで、ですね」 


ガチャッ! 

かな子「Ready Ready……」 


悠貴「わーっ! いっぱいカロリーをとったら、いっぱい走れますねっ!」パアッ! 

悠貴「とったカロリーを消費するだけ走ったら、カロリーゼロですしっ!」 

悠貴「美味しくても、大丈夫ですっ!」ニコッ! 


かな子「Step!」 

バタンッ! 


武内P「三村さん!?」

595: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:52:36.05 ID:R20aHg9/o
  ・  ・  ・ 

武内P「……」 

悠貴「かな子さん、どうしたんですか?」 

武内P「コーチを辞退したい、と……LINEがきました」 

悠貴「はいっ?」 


武内P「――食べた分だけ運動する乙倉さんを見ていられない」 

武内P「……と、そう仰っています」 


悠貴「……?」キョトンッ 

悠貴「はいっ!」ニコッ! 


武内P「……」

596: 名無しさん 2019/05/25(土) 19:57:35.93 ID:R20aHg9/o
武内P「体重を増やすのが目的なので……」 

悠貴「はいっ!」 

武内P「運動量を減らす事は、出来ませんか?」 

悠貴「はいっ!……はいっ!?」 


武内P「食べられる量に限界はありますが……」 

武内P「乙倉さんの運動量は、いくらでも減らせそうですから」 


悠貴「で、でも……!」 

悠貴「それじゃあ、太っちゃいますっ!」 


武内P「……」 

武内P「あの……それが目的です」

597: 名無しさん 2019/05/25(土) 20:08:26.00 ID:R20aHg9/o
武内P「そもそも、乙倉さんの数値は痩せすぎに分類されるので……」 

悠貴「たっ、体型も維持出来ませんっ!」 

武内P「お……乙倉さん?」 

悠貴「私、運動をしないと……すぐ体型が変わっちゃうんですっ!」 

武内P「そこまで影響があるのでしょうか……?」 

悠貴「はいっ!」 


悠貴「走らないと――すぐ、胸が大きくなっちゃうんですっ!」 


「――ちゃらららてぃんてぃんとぅ、ちゃららぽんっ♪」 


武内P「!?」 


「今日~はて~ん~き~が、良い、からっ♪」 


武内P「……高森さん!?」

598: 名無しさん 2019/05/25(土) 20:16:51.97 ID:R20aHg9/o
悠貴「でも、それじゃあモデルとしての仕事に支障が出ますし……」 

悠貴「……走った時のタイムも、かなり落ちちゃって」 


武内P「くっ……!」 

ガシッ! 

武内P「咄嗟にドアが開かないようにしたが……う、おおおっ!?」 

武内P「も、もの凄い力で……ぐううっ!?」 


「み~ぎ~てに、フフフーン♪ 持~って、出かけ~よう♪」 


武内P「左手だけでこのパワー!?」 

武内P「あの、それよりも……右手に何を持って……お、おおおっ!?」

600: 名無しさん 2019/05/25(土) 20:25:57.23 ID:R20aHg9/o
  ・  ・  ・ 

武内P「……運動をしないと体型が変わってしまう、と」 

悠貴「あのっ、藍子さんはどうしたんですか?」 

武内P「後ほど話し合うので待って欲しい、と……」 

悠貴「そうなんですねっ!」 

武内P「はい。なので、今は乙倉さんの話に戻りましょう」 

悠貴「はいっ!」 


武内P「体型の維持は、諦めて下さい」 


悠貴「はいっ!」 

悠貴「……はいっ!?」

601: 名無しさん 2019/05/25(土) 20:35:58.14 ID:R20aHg9/o
武内P「乙倉さんは、まだ十三歳――中学一年生です」 

武内P「体型の維持に気をつかうあまり……」 

武内P「成長に必要な栄養素や、筋肉の回復に必要な休息」 

武内P「……その他諸々が、足りていない状態だと思われます」 


悠貴「でも、これ以上背が高くなったら……」 

悠貴「……可愛くなくなっちゃいますっ!」 

悠貴「それに、タイムだって遅くなっちゃう……!」 


武内P「……乙倉さん」 

武内P「今、貴女が縮めているのは……タイムではなく寿命です」

602: 名無しさん 2019/05/25(土) 20:44:36.06 ID:R20aHg9/o
武内P「高身長、可愛さ、圧倒的身体能力」 

武内P「……これらは、相反するものでは無い、と」 

武内P「……そう、私はそう考えています」 

悠貴「えっ?」 


ガチャッ! 

きらり「――にょわ~っ☆ 呼ばれてハピハピ、きらりんだゆ☆」ニコッ! 

きらり「おっすおっす! 悩んでる子は、どこだにぃ~☆」ニコニコ! 


武内P「乙倉さんは、どう思われますか?」 


悠貴「……!」 

悠貴「はいっ! 私も、そう思いますっ!」ニコッ! 


武内P「……良い、笑顔です」

603: 名無しさん 2019/05/25(土) 20:53:16.33 ID:R20aHg9/o
  ・  ・  ・ 

武内P「……」 

武内P(諸星さんならば、安心して任せておけるだろう) 

武内P(……彼女も、痩せている部類に入るが) 

武内P(せめて、命に別状は無い範囲まで) 

武内P(……乙倉さんを宜しくお願いします) 

武内P(私は――) 


藍子「…………」 


武内P「……」 

武内P(目の前の問題に、取り組みますので)

604: 名無しさん 2019/05/25(土) 21:14:15.89 ID:R20aHg9/o
武内P「高森さん、考え方を変えましょう」 

藍子「……続けて下さい」 

武内P「この件に関しましては、全面的にサポートさせて頂きます」 

藍子「ふふっ♪……と、言うと?」 


武内P「――貴女はまだ十六歳……高校一年生です」 

武内P「大きく成長する可能性――将来性は十分にある、と」 

武内P「……そう、考えられませんか?」 


藍子「そんなの、考えてみた所で…………ふふっ」ニヘラッ! 

藍子「大きく成長だなんて、そんな……ふふっ、まさか……ふふふっ!」ニマニマ! 

藍子「ふふっ! もうっ……先の事なんて、うふふっ!」ニンマリ!  


武内P「……良い、笑顔です」 


藍子「ラジオの名前も、ふわふわタイムに、なんて……うふふっ♪」ニコニコ! 


武内P「……」 

武内P(高森さんは、軽いですね) 




おわり