1: 名無しさん 2019/12/06(金) 03:52:58.214 ID:CrDiPLLYa
姫騎士「いえいえ、謙遜なさらないで下さい」

姫騎士「貴方は実戦経験も持つ立派な方ではありませんか」

姫騎士「……そうですね」

姫騎士「否定はしません、剣術に長けた達人など探そうと思えばすぐ探せたかもしれません」

姫騎士「それこそ貴方では一太刀浴びせる事も叶わないほどの…ね」

姫騎士「ご存知の通り私は城内で育った箱入りですから」

姫騎士「そんな小娘に形だけの鎧を着せ担ぎ上げようなんて笑い話だと思いませんか?」

姫騎士「この鎧、とっても軽いんですよ?特注だそうで」

姫騎士「その道の達人を私に付けなかったのもきっと当てつけなのでしょう」

引用元: ・姫騎士「おはようございます。本日もご指導のほどよろしくお願いします」

4: 名無しさん 2019/12/06(金) 03:54:51.222 ID:CrDiPLLYa
お前ら君さあ…

5: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:03:25.690 ID:CrDiPLLYa
姫騎士「よっ」

姫騎士「くっ、はっ…!」

姫騎士「一本頂戴します」

姫騎士「ふふ」

姫騎士「実は女騎士様にこっそり稽古をつけて頂いた時もあったのです」

姫騎士「ええ、それは見事なお手前でした」

姫騎士「ですが彼女も多忙の身ですから…」

姫騎士「今はこうして稚拙な型を真似する程度です」

姫騎士「それもよく知っています。貴方はあのような方はきっと苦手でしょうね、ふふふ」

6: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:12:02.141 ID:CrDiPLLYa
姫騎士「休憩ですか?」

姫騎士「まだやれます」

姫騎士「……分かりました」

姫騎士「私も頑固者にはなるまいと務めているつもりです」

姫騎士「ハァ……」

姫騎士「貴方は随分と大きくなりました」

姫騎士「それにひきかえ私は…」

姫騎士「こっそり城から連れ出してもらった時から変わってない」

姫騎士「……」

姫騎士「…どこを見ているんですか」

姫騎士「し、仕方ないでしょう、私だって肩が凝って困っているんです」

8: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:16:54.380 ID:CrDiPLLYa
姫騎士「私も今はただの飾りですが」

姫騎士「いつか私は勇者様と結婚する事になるでしょう」

姫騎士「その時までに自立した女になりたいと思っているんです」

姫騎士「ですからそれまでは」

姫騎士「よろしくお願いします」

9: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:17:14.421 ID:CrDiPLLYa
可哀想なのはダメ

10: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:24:24.067 ID:CrDiPLLYa
姫騎士「あ、女騎士様」

姫騎士「此度もご苦労様です」

姫騎士「ごめんなさい、でも癖が抜けなくて」

姫騎士「あなたは今も昔も私にとって尊敬すべき人です」

姫騎士「えっ?」

姫騎士「えーと、そうですね…」

姫騎士「剣術というよりは、どちらかと言うと実戦に即した生存術と言いますか…?」

姫騎士「ま、待って、クビはダメ!」

姫騎士「ンンッ…別にやましい事がある訳ではありませんよ?決して、けっして」

11: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:30:16.499 ID:CrDiPLLYa
姫騎士「も、もうこの話は良いでしょう」

姫騎士「それに…」

姫騎士「私は勇者様との婚約が決まっているようなものでしょう?」

姫騎士「皆の期待を裏切る訳には…」

姫騎士「えっ?」

姫騎士「そ、そうなの?」

姫騎士「勇者様は共に旅をしている魔法使いさんと恋仲に…?」

姫騎士「そ、それは仕方ないですね…!?」

姫騎士「ありがとう!女騎士!おやすみなさい!」

女騎士「可愛いなぁぁ」

12: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:38:17.641 ID:CrDiPLLYa
女騎士「待て」

女騎士「貴様か、姫様の教育係を任された若輩者というのは」

女騎士「少し顔を貸してもらおうか」

女騎士「なんだその不審な態度は。やはりやましいことか。やましいことがあるのか?けしからん」

女騎士「まず貴様が採用された理由を聞かせて欲しい」

女騎士「…ふむ」

女騎士「ふむふむ」

女騎士「……」

女騎士「なるほど」

女騎士「アリ」

女騎士「いや、呼び止めてすまなかった。このお詫びは後日きちんとさせてもらおう」

女騎士「では」

14: 名無しさん 2019/12/06(金) 04:56:29.734 ID:r5aRFoGea
姫騎士「おはようございます」

姫騎士「はい、おはようございます」

姫騎士「……」

姫騎士「あっ、あれは…!」

姫騎士「おは…」

姫騎士「!」

姫騎(女性と連れ立って歩いている…)

姫騎士「お…おはよう…ございます」

酒屋娘「えっ…わ…すごい…!本物…!?」

姫騎士「お初にお目にかかります、私は姫です」

酒屋娘「あっ、し、失礼致しました!私、酒屋娘です!本日は故あってお招き頂いた次第でございます!」

姫騎士「どうか楽にして下さい、ご苦労様です」ニコリ

酒屋娘「うわぁー…綺麗…!」

15: 名無しさん 2019/12/06(金) 05:04:49.695 ID:r5aRFoGea
酒屋娘「えっ、知り合いなの?!」

酒屋娘「ちょちょ、ズルいよー…!」

姫騎士「うふふ」

姫騎士「お二人はとても仲がよろしいのですね」

酒屋娘「えっ、いやぁー」

酒屋娘「そんなことないですよ」

酒屋娘「この男はうちの店の常連なんです」

酒屋娘「それでお城にツテがあったから紹介してもらって」

姫騎士「そうなんですか」

酒屋娘「でも凄い、本当に綺麗で驚きました!」

酒屋娘「いつも鎧姿がとっても凛々しくて!私憧れます!」

姫騎士「ありがとうございます」

16: 名無しさん 2019/12/06(金) 05:07:03.937 ID:r5aRFoGea
姫騎士「では私はこれで…」

酒屋娘「あッ、庶民が馴れ馴れしくすみませんでした!ありがとーございました!」

姫騎士「ごきげんよう」

17: 名無しさん 2019/12/06(金) 05:23:19.896 ID:r5aRFoGea
姫騎士「……」

姫騎士(なに浮かれてたんだろう…私)

姫騎士(当然あの人だって恋人がいても不思議じゃないよね)

姫騎士(酒屋娘さんとは恋仲には見えなかったけど)

姫騎士(あんなに親しそうに、なんの遠慮もなく話せるなんて)

姫騎士(うらやましい)

姫騎士(あんな風に軽口を叩き合いたい)

姫騎士(冗談言ってからかって、小突かれたい)

姫騎士(貧しくても良かったから、私、町の娘に生まれたかった)

姫騎士(そうしたらあの人の隣には酒屋娘さんじゃなくて私が居たのに)

姫騎士(私…嫌な子…)

姫騎士(……)

姫騎士(あのお店、まだ通ってたんだ…)

姫騎士(また一緒に行きたい…)

18: 名無しさん 2019/12/06(金) 05:24:38.656 ID:r5aRFoGea
ジェラシーと自己嫌悪爆発させて曇ってる所も見たい