1: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:00:29.034 ID:XoFjhlfF0
子猫「ここ、どこだろう……」
子猫「道、分かんなくなっちゃった……」グスン
犬警官「迷子の迷子の子猫ちゃん」
子猫「あ、おまわりさん!」
犬警官「あなたのおうちはどこですか?」
子猫「えぇと、わからないの」
犬警官「名前は?」
子猫「名前……なんだったっけ……」
犬警官「それは困ったねえ」
子猫「道、分かんなくなっちゃった……」グスン
犬警官「迷子の迷子の子猫ちゃん」
子猫「あ、おまわりさん!」
犬警官「あなたのおうちはどこですか?」
子猫「えぇと、わからないの」
犬警官「名前は?」
子猫「名前……なんだったっけ……」
犬警官「それは困ったねえ」
引用元: ・犬のおまわりさん「迷子の迷子の子猫ちゃん……可愛いね、ぐへへへ……」子猫「イヤーッ!!!」
3: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:03:34.491 ID:XoFjhlfF0
犬警官「ところでお嬢ちゃん、可愛いね……」フリフリ
子猫「え……」
犬警官「私はこう見えても新種の犬でねえ……悪いようにはしない」ハッハッ
犬警官「可愛がってあげるよぉ」
子猫「や、やだ……」
犬警官「あいにくここらは人通りがないんだ……ぐへへへへ……」
子猫「イヤーッ!!!」
…………
……
子猫「え……」
犬警官「私はこう見えても新種の犬でねえ……悪いようにはしない」ハッハッ
犬警官「可愛がってあげるよぉ」
子猫「や、やだ……」
犬警官「あいにくここらは人通りがないんだ……ぐへへへへ……」
子猫「イヤーッ!!!」
…………
……
5: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:06:08.169 ID:XoFjhlfF0
……
……
―猿探偵事務所―
猿「……」ムシャムシャ
猿「今日も元気だ、バナナがうまい……っと」
コンコン
猿「はーい」
……
―猿探偵事務所―
猿「……」ムシャムシャ
猿「今日も元気だ、バナナがうまい……っと」
コンコン
猿「はーい」
6: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:09:17.186 ID:XoFjhlfF0
猿「お子さんが昨日から行方不明?」
母猫「そうなんです……」
母猫「それで、優秀な探偵であると評判のあなたに依頼を……」
猿「それは光栄です。しかし、警察には知らせたんですか?」
母猫「通報はしたんですが、どうも対応が鈍くて……」
猿「昨日の今日ですし、ひょっこり帰ってくるのではと判断してるのかもしれませんね」
猿「分かりました、引き受けましょう」
母猫「ありがとうございます!」
母猫「そうなんです……」
母猫「それで、優秀な探偵であると評判のあなたに依頼を……」
猿「それは光栄です。しかし、警察には知らせたんですか?」
母猫「通報はしたんですが、どうも対応が鈍くて……」
猿「昨日の今日ですし、ひょっこり帰ってくるのではと判断してるのかもしれませんね」
猿「分かりました、引き受けましょう」
母猫「ありがとうございます!」
8: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:12:17.804 ID:XoFjhlfF0
猿(とりあえず、色んな動物に聞き込んでみるか……)
猿「おーい」
ハト「なんだポポ?」
猿「昨日、子猫を見なかったか?」
ハト「いやー、見てないポポねえ」
猿「そっか、ありがとう」
猿「おーい」
ハト「なんだポポ?」
猿「昨日、子猫を見なかったか?」
ハト「いやー、見てないポポねえ」
猿「そっか、ありがとう」
9: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:15:37.354 ID:XoFjhlfF0
猿「昨日、子猫を見かけてないか?」
ネズミ「オイオイ、俺はネズミだぜ?」
ネズミ「猫なんか見かけたらすぐ逃げちまうよ」
猿「だよな」
カラス「見てないカー」
スズメ「見てないチュン」
猿(手掛かりなしか……一度警察署に行ってみるか)
ネズミ「オイオイ、俺はネズミだぜ?」
ネズミ「猫なんか見かけたらすぐ逃げちまうよ」
猿「だよな」
カラス「見てないカー」
スズメ「見てないチュン」
猿(手掛かりなしか……一度警察署に行ってみるか)
10: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:18:21.505 ID:XoFjhlfF0
―警察署―
犬刑事「おう、お前か。こないだの事件では世話になったな。今日はどうした?」
猿「猫の女の子が行方不明になってて、行方を捜してるんだが……」
犬刑事「そういうことなら、その地域の警官がまず担当するだろうな」
猿「すでに通報はしてある。だが、あまり具体的に動いてくれてないようなんだ」
犬刑事「だとしたら、警官にちゃんと伝わってないのかもしれないな。交番に直接行ってみたらどうだ?」
猿「ああ、そうするよ」
猿「というわけで、交番に行ってみましょう」
母猫「はい」
犬刑事「おう、お前か。こないだの事件では世話になったな。今日はどうした?」
猿「猫の女の子が行方不明になってて、行方を捜してるんだが……」
犬刑事「そういうことなら、その地域の警官がまず担当するだろうな」
猿「すでに通報はしてある。だが、あまり具体的に動いてくれてないようなんだ」
犬刑事「だとしたら、警官にちゃんと伝わってないのかもしれないな。交番に直接行ってみたらどうだ?」
猿「ああ、そうするよ」
猿「というわけで、交番に行ってみましょう」
母猫「はい」
11: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:21:29.905 ID:XoFjhlfF0
―交番―
子豚「おまわりさん、こんにちはー!」
犬警官「こんにちは」ニコッ
猿「彼がこの地域の警官みたいですね」
母猫「優しそうな方で安心しましたわ」
子豚「おまわりさん、こんにちはー!」
犬警官「こんにちは」ニコッ
猿「彼がこの地域の警官みたいですね」
母猫「優しそうな方で安心しましたわ」
12: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:25:30.914 ID:XoFjhlfF0
猿「すいません」
犬警官「なんでしょう?」
猿「こちらの猫さんのお子さんが行方不明になってしまって……」
母猫「……」
猿「すでに通報もしてあるんですが、こちらに情報は届いてないでしょうか?」
犬警官「そうなんですか!」
犬警官「……私には届いてなかったですね。こちらで連絡ミスがあったようです。申し訳ありません」
犬警官「なんでしょう?」
猿「こちらの猫さんのお子さんが行方不明になってしまって……」
母猫「……」
猿「すでに通報もしてあるんですが、こちらに情報は届いてないでしょうか?」
犬警官「そうなんですか!」
犬警官「……私には届いてなかったですね。こちらで連絡ミスがあったようです。申し訳ありません」
14: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:29:03.898 ID:XoFjhlfF0
猿「子猫ちゃんを捜す手伝いをしてもらえないでしょうか?」
犬警官「もちろんです! 小さい女の子ですから、さぞかし心配でしょう」
母猫「はい……」
犬警官「私も協力しましょう。私はこう見えて、新種の犬なのです。必ず見つけてみせますよ!」
母猫「ありがとうございます!」
猿「よろしくお願いします」
犬警官「もちろんです! 小さい女の子ですから、さぞかし心配でしょう」
母猫「はい……」
犬警官「私も協力しましょう。私はこう見えて、新種の犬なのです。必ず見つけてみせますよ!」
母猫「ありがとうございます!」
猿「よろしくお願いします」
15: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:32:39.699 ID:XoFjhlfF0
―川―
犬警官「川を捜してみましょう」
母猫「川、ですか?」
犬警官「もしかすると、川に流された可能性もありますから」
母猫「そんな……! だけどそれじゃ、匂いなんて分からないんじゃ……」
犬警官「私は新種なので、鼻も他の犬よりよくきくんです」クンクン
犬警官「……」クンクン
犬警官「……」クンクン
猿「どうです?」
犬警官「うーん、匂いはないですね」
犬警官「川を捜してみましょう」
母猫「川、ですか?」
犬警官「もしかすると、川に流された可能性もありますから」
母猫「そんな……! だけどそれじゃ、匂いなんて分からないんじゃ……」
犬警官「私は新種なので、鼻も他の犬よりよくきくんです」クンクン
犬警官「……」クンクン
犬警官「……」クンクン
猿「どうです?」
犬警官「うーん、匂いはないですね」
17: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:35:14.358 ID:XoFjhlfF0
―駅―
母猫「今度は駅ですか?」
犬警官「電車に乗って、どこかに行ってしまった可能性もありますからね」
犬警官「子猫ちゃん、見ませんでしたか?」
馬駅員「見てないねえ」ヒヒーン
犬警官「うーむ、ここでも収穫無しか……」
母猫「いったいどこへ行ってしまったの……」
猿「……」
母猫「今度は駅ですか?」
犬警官「電車に乗って、どこかに行ってしまった可能性もありますからね」
犬警官「子猫ちゃん、見ませんでしたか?」
馬駅員「見てないねえ」ヒヒーン
犬警官「うーむ、ここでも収穫無しか……」
母猫「いったいどこへ行ってしまったの……」
猿「……」
18: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:38:25.529 ID:XoFjhlfF0
母猫「やはり、誰かに誘拐された、とかでしょうか……?」
犬警官「諦めるにはまだ早いです」
犬警官「新種の犬である私が、なんとしても見つけ出してみせましょう!」
猿「もう……猿芝居はやめにしようや、おまわりさん」
犬警官「!」
母猫「え……?」
猿「いや、犬芝居か」
犬警官「諦めるにはまだ早いです」
犬警官「新種の犬である私が、なんとしても見つけ出してみせましょう!」
猿「もう……猿芝居はやめにしようや、おまわりさん」
犬警官「!」
母猫「え……?」
猿「いや、犬芝居か」
19: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:41:36.983 ID:XoFjhlfF0
犬警官「なんですか。芝居だなんてひどいなぁ……」
猿「お前が犯人なんだろ? 子猫ちゃんを誘拐した……」
犬警官「なにをいってるんです?」
猿「とぼけるな」
猿「さっき、なんであんたは子猫ちゃんが“女の子”だと分かったんだ?」
犬警官「えっ!」
猿「俺たちは性別については触れていなかったのに……」
母猫「あ……! そういえば……!」
犬警官「ぐっ!」
猿「お前が犯人なんだろ? 子猫ちゃんを誘拐した……」
犬警官「なにをいってるんです?」
猿「とぼけるな」
猿「さっき、なんであんたは子猫ちゃんが“女の子”だと分かったんだ?」
犬警官「えっ!」
猿「俺たちは性別については触れていなかったのに……」
母猫「あ……! そういえば……!」
犬警官「ぐっ!」
20: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:44:17.198 ID:XoFjhlfF0
犬警官「それは……なんとなく女の子、と思ったから……」
猿「苦しすぎるぜ」
猿「ちなみにお前と一緒に見つかるわけもない子猫ちゃん捜しをしてたのは、単なる時間稼ぎだ」
犬警官「えっ!」
猿「さっき犬刑事には密かに連絡した。今頃、あいつが子猫ちゃんを見つけてるだろうよ」
猿「どうせ交番か自宅に監禁してただろうからな」
犬警官「ぐぬぬ……」
猿「諦めろ。お前はもう終わりだ」
犬警官「おのれ……! 猿の分際で、新種犬であるこの俺に……!」
猿「苦しすぎるぜ」
猿「ちなみにお前と一緒に見つかるわけもない子猫ちゃん捜しをしてたのは、単なる時間稼ぎだ」
犬警官「えっ!」
猿「さっき犬刑事には密かに連絡した。今頃、あいつが子猫ちゃんを見つけてるだろうよ」
猿「どうせ交番か自宅に監禁してただろうからな」
犬警官「ぐぬぬ……」
猿「諦めろ。お前はもう終わりだ」
犬警官「おのれ……! 猿の分際で、新種犬であるこの俺に……!」
21: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:47:04.876 ID:XoFjhlfF0
犬警官「やはり猿なんかと関わるもんじゃないな」
犬警官「犬猿の仲、とはよくいったもの……」
猿「なにいってやがる。お前が勝手にボロ出したんだろうが」
犬警官「グルルルル……こうなれば……」
犬警官「お前ら二匹とも喰い殺してやるッ! ガオオオオオオッ!」
猿「!」
母猫「きゃああっ!」
犬警官「犬猿の仲、とはよくいったもの……」
猿「なにいってやがる。お前が勝手にボロ出したんだろうが」
犬警官「グルルルル……こうなれば……」
犬警官「お前ら二匹とも喰い殺してやるッ! ガオオオオオオッ!」
猿「!」
母猫「きゃああっ!」
23: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:50:23.876 ID:XoFjhlfF0
猿「奥さん、下がって!」
犬警官「ガウッ!」ガブッ
犬警官「ガウッ!」ガブッ
犬警官「ガァウッ!」ガブッ
猿「ちっ!」
犬警官「お前には俺ほど鋭い牙はあるまい! 諦めて、牙の餌食になれぇぇぇっ!」グワッ
猿「……!」
犬警官「ガウッ!」ガブッ
犬警官「ガウッ!」ガブッ
犬警官「ガァウッ!」ガブッ
猿「ちっ!」
犬警官「お前には俺ほど鋭い牙はあるまい! 諦めて、牙の餌食になれぇぇぇっ!」グワッ
猿「……!」
24: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:53:52.087 ID:XoFjhlfF0
猿「たしかに噛みつきじゃ、お前には劣るかもしれないが――」
猿「俺にはこの拳がある!」グッ
犬警官「!?」
猿「その大きく開いた口が――」
ズボッ!
犬警官「ガボッ!」
犬警官(こいつ、俺の口の中に拳を――)
猿「命取りだッ!」
ドゴンッ!
犬警官「ゴボォッ……!」
猿「俺にはこの拳がある!」グッ
犬警官「!?」
猿「その大きく開いた口が――」
ズボッ!
犬警官「ガボッ!」
犬警官(こいつ、俺の口の中に拳を――)
猿「命取りだッ!」
ドゴンッ!
犬警官「ゴボォッ……!」
26: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:56:27.700 ID:XoFjhlfF0
……
犬刑事「子猫ちゃんは無事保護しました」
犬刑事「ご飯を与えず弱らせてからイタズラするつもりだったようで、手も出されてないようです」
子猫「えっぐ、えっぐ……」
母猫「よかった……!」
母猫「猿探偵さん、犬刑事さん、本当にありがとうございました」
猿「お子さんがご無事でなによりです」
犬刑事「このたびは……市民を助けるべき警官が、恥ずべき真似をしてしまい本当に申し訳ありませんでした」
犬刑事「子猫ちゃんは無事保護しました」
犬刑事「ご飯を与えず弱らせてからイタズラするつもりだったようで、手も出されてないようです」
子猫「えっぐ、えっぐ……」
母猫「よかった……!」
母猫「猿探偵さん、犬刑事さん、本当にありがとうございました」
猿「お子さんがご無事でなによりです」
犬刑事「このたびは……市民を助けるべき警官が、恥ずべき真似をしてしまい本当に申し訳ありませんでした」
27: 名無しさん 2020/02/12(水) 21:59:24.448 ID:XoFjhlfF0
猿「ふぅ……終わったな」
犬刑事「またお前には借りができてしまったな」
猿「ところで……あの警官、自分は新種新種だとうるさかったが、いったいなんて犬種なんだ?」
犬刑事「ああ、たしか……」
犬刑事「神奈川犬、だったかな」
おわり
犬刑事「またお前には借りができてしまったな」
猿「ところで……あの警官、自分は新種新種だとうるさかったが、いったいなんて犬種なんだ?」
犬刑事「ああ、たしか……」
犬刑事「神奈川犬、だったかな」
おわり
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