1: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:30:08.563 ID:VAQIvy2H0
不良&子分「ジャーンケンポンッ!」

不良「俺の勝ちだッ!」ドスッ

子分「ぐえっ……!」

不良「さあ、もう一回だ!」

女「ねえ、不良君たち……」

不良「あん?」

女「ジャンケンしてお腹をパンチし合う遊びなんて……危ないからやめた方がいいよ……」

不良「ンだとォ!?」

引用元: ・不良「腹パンしてやるぜぇ!」女「やめてっ……絶対ダメ!」

3: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:33:21.309 ID:VAQIvy2H0
不良「クラス一大人しい女が、生意気なクチ叩くじゃねえか」

不良「そうだ! お前のことを腹パンしてやるぜぇ! ほら立て!」

女「やめてっ……! 絶対ダメ!」

子分「アニキ、さすがに女の子に腹パンはマズイっすよ!」

不良「もちろん軽くやるだけだよ。左でやるし」

不良「ほれっ!」シュッ

ガキンッ!

4: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:36:15.790 ID:VAQIvy2H0
不良「……!?」

子分「え、なんすか、今の音……」

女「……」

不良(なんだ今の硬さは……!)

不良「おい……今度は右でいく。しかも全力でな」

女「ダメだったら! 危ないから!」

不良「オラァッ!」

ガキィンッ!

5: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:39:20.727 ID:VAQIvy2H0
不良「……ぐ」

不良「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

不良「俺の拳がぁぁぁぁぁっ!!!」

子分「アニキ!?」

女「だ、大丈夫……?」

不良(折れては……ないみたいだな……)

不良「お前の腹……どうなってんだ? ちょっとめくってみろ!」

女「う、うん……」ペロン

不良「!?」

7: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:42:28.941 ID:VAQIvy2H0
不良「なんだこりゃ……!?」

子分「バッキバキじゃないっすか……」

女「……」

不良「八つ……いやもっと割れてるように見える……」

不良「お前のその腹筋、どうなってんだよ!?」

女「私、子供の頃から腹筋が大好きで毎日やってたら……こうなっちゃって……」

9: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:45:47.025 ID:VAQIvy2H0
不良「回数は? どのぐらい?」

女「一万……」

不良「一万!?」

不良(1秒1回としても、166分もかかるじゃねえか! どうやってそんなに……)

女「……を朝夕2セット……」

不良「二万!?」

女「あ、寝る前にもやるかな……」

不良「三万!?」

10: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:48:43.109 ID:VAQIvy2H0
子分「ひえええ……!」

不良「……」

女(やっぱり……引かれてる……。そりゃそうだよね……)

不良「凄いじゃねえか!」ニコッ

女「え」

不良「こんなに腹筋鍛えてる奴、初めて見たぜ!」

女「あ、ありがとう……」

11: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:50:42.055 ID:VAQIvy2H0
不良「なぁ、いつかまた腹パンしてもいいか?」

女「う、うん、いいよ」

不良「今は無理だけど、いつかお前の腹をパンチで腫れ上がらせてやるよ!」

女「うん……頑張って!」

子分(なんなんすか、このやり取りは……)

12: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:54:06.617 ID:VAQIvy2H0
不良「シッ!」

ボスッ!

不良「シッ! シッ!」

ボスボスッ!



子分(サンドバッグで本格的なトレーニングを……!)

子分(本気だ……アニキは本気だ!)

13: 名無しさん 2020/03/25(水) 20:57:25.282 ID:VAQIvy2H0
不良「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」グッグッグッ…

子分「拳で腕立てっすか!?」

不良「ああ……これぐらいやんなきゃあいつの腹筋はブチ抜けねえからな」

子分「それにしても、信じられねえっすよ」

子分「かつて、あのDQNさえブッ飛ばしたこともあるアニキの拳が通じない女がいるなんて……」

不良「俺もだ……」

不良「だが……目標ができて嬉しいぜ!」グッグッ…

15: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:00:10.503 ID:VAQIvy2H0
不良「鍛え直して、だいぶ自信がついた……」

不良「もう一度、俺の腹パンを受けてくれ!」

女「うん……いいよ」

不良「よっしゃ! いくぜぇ!」ビュオッ

ガキィンッ!

18: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:03:52.016 ID:VAQIvy2H0
不良(手応えはあったが……)

不良「どうだァ!?」

女「全然痛くない……」

不良「……ッ!」

不良(まさに……鉄壁!)

女「あ、ごめんなさい!」

不良「いや、これでいいんだ。壁は高い方が乗り越えがいがあるッ!」

不良「また来るぜぇ!」

19: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:06:13.470 ID:VAQIvy2H0
不良「シッ! シッシッシッ!」

ドスッ! ドドドッ!



不良「だりゃあっ!」ガキンッ

女「前よりは……ちょっと痛かった、かも」

不良「そうか!」



子分(アニキは来る日も来る日もトレーニングと腹パンを続けた……)

子分(だけど、彼女の腹筋を超えるパンチは打てなかったっす……)

20: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:10:12.030 ID:VAQIvy2H0
DQN「……なんだと?」

手下「はい、不良の奴、ある女の腹筋に手こずってるみたいです」

DQN「カハハッ! 女の腹筋に手こずるなんてあいつも落ちぶれたもんだな!」

手下「どうします?」

DQN「決まってる」

DQN「俺が先にその女を腹パンで泣かせて、不良を悔しがらせてやる!」

21: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:13:26.704 ID:VAQIvy2H0
ガァンッ!

不良「……どうだ?」

女「うん、なかなかよかったよ! ほんのちょっぴり内臓まで響いたもん!」

女「拳を通じて、私の中に不良君の熱意が伝わってきた!」

不良「ホ、ホントか!」

不良「よぉし、またチャレンジするぜ!」

女「うん!」

22: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:15:29.861 ID:VAQIvy2H0
女(不良君のパンチが強くなるたび、私との距離が近づいてるみたいで嬉しいなぁ……)

DQN「おい、姉ちゃん」

女「はい?」

DQN「腹筋に自信あるんだってな? ちょいとハラ貸せや」

女「え……」

ゾロゾロ… ハハハハ… ヒヒヒヒ…

女(やだ……! 怖そうな人がいっぱい……!)

23: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:17:48.231 ID:VAQIvy2H0
子分「大変っす、アニキ!」

不良「どうした?」

子分「女ちゃんが、DQNのグループに連れてかれたらしいんす!」

子分「きっとアニキがあの子の腹筋に挑んでることを知って……」

不良「ちっ、あのバカの考えそうなことだ……」

子分「どうしやす!?」

25: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:21:30.431 ID:VAQIvy2H0
不良「放っておけよ」

不良「あんな奴に、あの子の腹筋をブチ抜けるわけねえからな」

子分「だけど、問題はその後っすよ」

不良「その後?」

子分「アニキは素直に負けを認めて、その後あの子と友達みたいになったっすけど……」

子分「あいつがそんなことすると思います? まして、あの子は腹以外はフツーの女の子なんすよ?」

不良「……!」

不良「DQNの溜まり場はどこだァ!」

26: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:25:14.493 ID:VAQIvy2H0
DQN「どんな腹筋だか知らねーが、俺のパンチですぐ泣かしてやるぜ!」

DQN「泣かしたら写真撮って、不良に見せつけてやる!」

手下「あいつ、絶対悔しがりますよ!」

女「うう……」

DQN「オラァッ!」シュッ

ガキィンッ!

27: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:27:12.241 ID:VAQIvy2H0
DQN「……」

DQN「ぐああああああっ……! いでえええええっ……!」

手下「DQNさん!?」

女「だ、大丈夫ですか……」

DQN「くうう……このアマァ!」ギロッ

女「ひっ!」

DQN「よくも俺の拳をォ!」

バキィッ!

女「きゃっ……!」

28: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:30:40.184 ID:VAQIvy2H0
DQN「その女、捕まえろォ!」

手下「はい!」ガシッ

女「な、なにを……!」

「こいつ、力は強くないぜ!」 「ホントに腹筋だけなのか!」 「どうなってんだ……」

DQN「このアマァ……俺の拳を傷つけた罪は重いぜ。地味女のくせによ」

手下「ボディはやめといた方がいいですよ。顔面にしましょう」

DQN「分かってる」

DQN「お返しに、てめえの顔面グシャグシャにしてやるぜ!」

女「あ、あああ……!」

29: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:33:21.810 ID:VAQIvy2H0
不良「なにやってんだァ!!!」

DQN「ああん?」

女「不良君……!」

不良「そのアザ……お前顔殴られたのか!」

女「……」

DQN「その通りだよ!」

DQN「この女の腹が予想以上に硬いもんでよ。つい殴っちまったよ。ヒャッハッハ!」

不良「てめえ……!」

31: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:36:23.100 ID:VAQIvy2H0
DQN「まぁいいや。元々てめえもいずれボコにしてやる予定だったんだ」

DQN「せっかく来てくれたんだ。大歓迎してやるぜ。飛んで火に入るクソの虫ってかァ!?」

ヘヘヘ… ヒヒヒ…

不良「ぐ……!」

不良(20人近くいやがる……)

不良(子分は置いてきちまったし……この人数はさすがにキツイ)

不良「おい、俺が戦ってる間にお前は逃げろ」

女「でも……!」

不良「いいから!」

32: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:39:10.265 ID:VAQIvy2H0
DQN「二人まとめてブッ殺せ! ぜってえ逃がすなよ!」

ワァッ!!!

手下「一人で勝てると思ってんのかよォ!」

不良(一人でも多く倒してやる……!)

不良「おりゃあッ!」



ドゴォンッ!!!

34: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:41:21.859 ID:VAQIvy2H0
手下「ぐ、は……ッ」ピクピク

DQN「……え?」

女「すごい……」

「なんだ今のパンチ……」 「すげえ音したぞ」 「どうなってんだ……」

不良「……」ポカーン

不良(そうか……あいつの腹筋をブチ抜くために鍛えてたから、俺も強くなってたんだ!)

不良「よーし……だったら……」

36: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:44:42.998 ID:VAQIvy2H0
不良「うりゃあっ! おりゃあっ!」

ドゴォッ! バキィッ! ドゴンッ!

「ぐはぁっ!」 「ぎゃああっ!」 「がはっ!」

不良「さあ、どんどん来いよ」

「ひええっ!」 「あんなのと戦えるかよ!」 「逃げろ!」

タタタタタッ…

DQN「あっ……逃げんなお前ら!」

不良「おい……覚悟はできてんだろうなァ?」

DQN「う、ぐ……!」

38: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:46:59.973 ID:VAQIvy2H0
DQN「くそォォォォォ!!!」

不良「お前にゃ、腹パンをくれてやる」

ドズゥッ!!!

DQN「!?」

DQN「ぐええええっ! おごぉぉぉぉぉっ!」

DQN「うげぇぇぇぇぇ……」ビチャビチャ…

不良「……ふん。全然いいもんじゃねえな、腹パンなんて」

不良「さ、帰ろう」

女「ありがとう……不良君……」

39: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:49:37.777 ID:VAQIvy2H0
不良「今回、お前が危ない目にあって、よく分かった」

女「?」

不良「俺がお前を腹パンしてたのは……殴るのが好きなわけでも、ましてお前にダメージを与えたかったわけでもない」

不良「俺は……お前に相応しい男になりたかっただけだったんだ」

不良「だが、俺はバカだから……その方法が腹パンしか思いつかなかった……」

女「……」

不良「俺……お前のことが好きだ!」

女「不良君……!」

40: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:52:25.447 ID:VAQIvy2H0
不良「ど、どうだ……?」

女「嬉しい……!」

女「私も不良君のこと、好きだったの……」

女「私の秘密を、初めて受け入れてくれた人だから……」

不良「俺……これからはもっと真面目になるよ」

不良「んで、お前に相応しい男になってみせる!」

女「うん……!」

…………

……

41: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:56:23.568 ID:VAQIvy2H0
……

……



子分「お久しぶりっす、アニキ!」

不良「おう」

子分「いやー、俺もアニキもすっかり社会人っすね」

不良「ああ、この俺が営業マンだなんてな」

子分「会社はどうっすか?」

不良「“この不良社員が!”なんて怒られることもあるけど、何とかやってるよ」

子分「相変わらずで安心したっすよ」

42: 名無しさん 2020/03/25(水) 21:58:01.890 ID:VAQIvy2H0
子分「だけど、アニキのパンチ力がありゃ、格闘技やってても成功したと思うんすけどね~」

不良「そう甘くねえって。それに、俺の女房は殴る蹴るが好きじゃねえしよ」

子分「あっ、女房ってもしかして……」



「あなた~!」

43: 名無しさん 2020/03/25(水) 22:00:23.471 ID:VAQIvy2H0
妻「あら、子分さん。お久しぶり」

子分「ちわっす!」

子分「……ん」

子分「あれ!? そのお腹、もしかして……」

妻「ええ、もうすぐ産まれるの……」

子分「うひゃ~! アニキも一児の父っすか! めでたいっす!」

不良「腹を腫れ上がらすことはできなかったが……腹を膨れ上がらせることはできたな」








おわり