658: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:42:16 ID:8/XR1gKQ
………………結果発表直後 一ノ瀬学園 生徒指導室

真冬 「………………」


---- 『--……そう』

---- 『……なら…… もう…… いいのかしら……』

---- 『もう…… 我慢しなくて いいのかしら……』

---- 『おめでとう えらいわね 今までよく頑張ったわね』

---- 『3人ともすごいわ 先生自慢の生徒よ』


真冬 「っ……」 グスッ

真冬 (いけないわ。思い出したらまた涙が……)

真冬 (情けない。教師として、こんなことじゃいけないのに……)

真冬 (でも……)


---- 『合格しました 3人とも』


真冬 (……本当に、よかった)

引用元: ・【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」

659: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:54:28 ID:8/XR1gKQ
真冬 (さて、今日合否報告の予定者、あとは……一人だけね)

真冬 「ん……?」

真冬 「関城紗和子さん……? この子って、たしか……--」


紗和子 「--……はい。関城紗和子です」 ズーーーン


真冬 「!?」 (き、恐怖! ドアの隙間から死んだ魚のような目が……!)

真冬 「……って、そんなところで何をしているの?」

紗和子 「すみません。何か涙ぐんでいたようだったので、入りにくくて……」 キィ……

真冬 「!? な、涙ぐんでなんかいません! 少し……花粉症なだけよ!」

紗和子 「はぁ……。まぁいいですけど。合否の報告に来ました。関城紗和子です」 ズーン


---- 『ええ まったくもって遺憾です……』

---- 『まったく…… 関城さんたらプンプンです!』


真冬 「ああ、あなたが……」

紗和子 「第一志望の弓弦羽大学、合格しました……」 ズーン

660: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:55:00 ID:8/XR1gKQ
真冬 「あ……そ、そうなのね。おめでとう! よかったわね!」

紗和子 「はい。ありがとうございます……」 ズーン

真冬 「……え、えっと」

真冬 「どうかしたの? せっかく第一志望に合格したというのに、その表情は……」

紗和子 「……いえ、べつに」

紗和子 「何も……」

真冬 「………………」

フゥ

真冬 「……ほら、座りなさい」 ニコッ

紗和子 「え……?」

真冬 「せっかく第一志望に合格したのに、そんな表情をしていたらもったいないわ」

真冬 「何かあったんでしょう? 解決できるかはわからないけれど、私でよかったら話を聞くわ」

661: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:57:13 ID:8/XR1gKQ
紗和子 「へ……? で、でも……」

真冬 「私は教師よ。そんな“しょぼくれた”顔をしている生徒、放っておけないわ」


---- 『桐須じゃねえか! 何しょぼくれてんだこんなトコで?』


真冬 (……そう。もし、この子が何かに悩んでいるのなら)

真冬 (“先生”のように、私も、この子に寄り添ってあげたい)

真冬 (だから……)

真冬 「……お話、聞かせてくれるとうれしいわ。関城さん」

紗和子 「………………」

コクリ

紗和子 「……はい」

662: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:58:06 ID:8/XR1gKQ
………………数十分後

真冬 「………………」

紗和子 「……それでですね! 緒方理珠ったらひどいんですよ!」

真冬 「え、ええ……」

紗和子 「たしかに私が悪かったですけど、でも、私緒方理珠のことを想って言ったんですよ! 合格よって!」


---- 『合格よッッッ!!!』

---- 『2人とも見事に合格してたわ緒方理珠ッッ!!!』

---- 『これで春から晴れて同じキャンパスライフよ緒方理珠ッ!!!』

---- 『ちょっと聞いてる? 我が親友緒方理珠~!!』


真冬 「そ、そうね……」

真冬 「………………」

真冬 (長い……話が長いわ、この子……!)

663: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:59:13 ID:8/XR1gKQ
紗和子 「それで、緒方理珠ったらすごく怒ってしまって……」


---- 『あ゙ーーーーっ!! 何故言うのですかーーーーッ!!!』

---- 『自分で見たかったのに 自分で見たかったのに!!!』

---- 『ひいっ!!! 堪忍よ緒方理珠ーッ!!!』


紗和子 「うぅ……って、先生、話聞いてますか!?」

真冬 「!? と、当然。きちんと聞いているわ」

真冬 (……先生。今改めて思いますが、生徒の相手は大変です)

紗和子 「……分かってます。私が悪いんだって」

シューーーン

紗和子 「……きっと緒方理珠に嫌われてしまったわ」

真冬 「……?」

紗和子 「緒方理珠“にも”、空気が読めないとか思われてしまったわ……」 ズーーーン

真冬 「………………」

664: 名無しさん 2020/04/23(木) 22:59:57 ID:8/XR1gKQ
真冬 (……でも、大変でもなんでも、私は、)

真冬 「……そんなことないと思うわよ。緒方さんはそんなこと思わないわ」

真冬 「それに、緒方さんは、あなたがきちんと謝れば許してくれるわ」

紗和子 「そうでしょうか。私、いつもこうやって相手に嫌な思いをさせてしまう……」


―――― 『またガリ勉関城が平均点上げてるよ』

―――― 『平均点以下の奴補習だってさ』

―――― 『もっと空気読んでくれよー』


紗和子 「だからきっと、緒方理珠にも……」

真冬 「……そう。あなたはそう思うのね」

スッ

真冬 「あら、ちょうど退勤時間だわ。この後予定は? 関城さん」

紗和子 「へ……? あ、空いてますけど……」

真冬 「じゃあ、一緒に行きましょう」

紗和子 「行く……? って、どこに……?」

665: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:00:52 ID:8/XR1gKQ
真冬 「そんなの、決まってるでしょう?」

真冬 (……大変でもなんでも、私は、“こうなりたい”と願って、今ここにいるのだから)


---- 『私が教師を目指すことは…… 間違いだと思いますか!?』

---- 『間違いだったかどうかなんて 本当に終わっちまうまでわかんねーもんさ』

---- 『自分の気持ちに素直にな』


真冬 「あなたの大切なお友達のところに、よ」

クスッ

真冬 「自分の気持ちに素直にね、関城さん」

666: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:01:27 ID:8/XR1gKQ
………………緒方うどん

理珠 「~♪」

親父さん 「………………」 (……リズたま、ご機嫌だな。鼻歌なんてめずらしいぜ)

親父さん (……ずっと、心理学勉強してえって言ってたもんな) グスッ 「……っと。歳食うと涙もろくなっていけねぇや」

……ガラッ

親父さん 「おぅ、いらっしゃい! ……って」

紗和子 「あ……こ、こんにちは……」

真冬 「こんにちは。緒方さんのお父様」

親父さん 「さ、紗和子ちゃんと先生じゃねーか! いらっしゃい!」

理珠 「……? 関城さん? それに桐須先生まで? 一体どうしたんですか?」

真冬 「べつに大した用事じゃないわ」 クスッ 「とりあえず、大葉天うどん、いただけるかしら?」

真冬 「……あなたは? 関城さん」

紗和子 「あっ……わ、私は……きつねうどんを」

親父さん 「まいど! 大葉天うどんときつねうどんだな! 大急ぎで作るから座って待っててくれ」

親父さん 「リズたまも、せっかく先生と紗和子ちゃんが来てくれたんだから、一緒にうどん食べたらいいや! 席に案内しといてな!」

667: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:02:11 ID:8/XR1gKQ
………………

理珠 「……?」

紗和子 「………………」 ヒシッ

真冬 「……あの、関城さん」

真冬 「そうくっつかれると、食べにくいのだけど……」

紗和子 「………………」 ギュッ

真冬 「……まったく」 (まるで隠れるように、縮こまって余計に私にくっついて)

理珠 「意外です。関城さんと桐須先生って、あまり関わりがなかったと思いましたが」

理珠 「仲良しさんだったのですね」

真冬 「生徒と仲良しになった憶えはないわ」

ズルズルズル……

真冬 「相変わらず美味しいわね、あなたのところのうどんは」

理珠 「ありがとうございます」 ジッ 「……あの、関城さん」

紗和子 「!?」

理珠 「何をやっているのか分かりませんが、早く食べないと伸びてしまいますよ?」

668: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:03:02 ID:8/XR1gKQ
紗和子 「あ……そ、そうね」

紗和子 「いただきます」

ズルズルズル……

紗和子 「……美味しい」

理珠 「そうですか。このうどん、私の受験合格を聞いた父が張り切って打ったらしいです」

ズルズルズル……

理珠 「……うん。美味しいですね」

紗和子 「………………」

ズルズルズル……

理珠 「……それで? 一体今日はどうしたんですか?」

理珠 「おふたりがそろっていらっしゃるなんて、大した用事がないようには思えないのですが」

真冬 「そうね。大したことかどうかは、見る人によって変わるものね」

スッ

真冬 「ほら、関城さん。いつまでも私にしがみついてないで。自分がどうしたらいいか、分かるでしょう?」

紗和子 「……ん」

669: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:03:33 ID:8/XR1gKQ
理珠 「……? 関城さん?」

紗和子 「……あの、緒方理珠。あのね、」

紗和子 「今日、その……合格発表、あなたが見る前に……その……」

紗和子 「……先に、言ってしまって……ごめんなさいっ」

理珠 「へ……?」

理珠 「………………」

理珠 「……えっと」

理珠 「……ああ、そういえば、そんなこともありましたね」

理珠 「そんな大げさに謝らなくてもいいですよ。これから気をつけてくださいね」

紗和子 「え……?」

紗和子 「え、えっと、許してくれるの? 緒方理珠」

理珠 「許すも何も、今の今まで忘れてましたよ」

クスッ

理珠 「妙に大人しくて変な関城さんだと思ったら、そういうことだったんですね」

670: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:04:45 ID:8/XR1gKQ
紗和子 「……じ、じゃあ、私のこと、怒ってない?」

理珠 「さすがにあのときは怒りましたけど、今は特には……」

紗和子 「私のこと、空気が読めないとか思ってない?」

理珠 「は? 空気を読むという言葉の意味が未だによく分からない私にそれを聞きますか」

紗和子 「んっ……」

紗和子 「……そ、そうね。あなたはそうよね。ずっと……」


―――― 『空気を読むとはどういうことですか? できたのにできないフリをしろということですか?』

―――― 『どうなのですか?』


紗和子 (……あなたは、ずっと変わらない。私の恩人で、憧れの人)

真冬 「………………」

クスッ

真冬 「……さて、うどんもいただいたことだし、私はそろそろおいとまするわね」

真冬 「うどんごちそうさま。お勘定よろしく、緒方さん」

671: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:05:30 ID:8/XR1gKQ
理珠 「あ、は、はい……――」


親父さん 「――……ち、ちょっと待ったー!」 ズザザザザッッ!!!!


理珠 「……お父さん。店内で走らないでください。ホコリが立ちます」

理珠 「一体どうしたんですか?」

親父さん 「いや、それがさ、今日さ、パパさ、リズたまの合格で舞い上がってうどん打ってね」

理珠 「はい」

親父さん 「ちょっと打ち過ぎちゃってね……まだまだ残ってるんだよね」

理珠 「……はい?」

親父さん 「夕食のお客だけじゃ絶対に捌ききれないくらい残ってるんだよ」

親父さん 「こんなことバレたらママに怒られちゃうし……」

親父さん 「……と、いうことで」

ドンッ!!!!

親父さん 「今日は俺のオゴリだ! 先生、紗和子ちゃん、たんとうどん食ってってくれ!」

真冬 「!? い、いや、この量はさすがに……」

672: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:07:40 ID:8/XR1gKQ
紗和子 「………………」

クスッ

紗和子 「……じゃあ、お言葉に甘えて、いただきます」

ズルズルズル……

真冬 「関城さん……」

紗和子 「……せっかくですし、桐須先生。ごちそうになって行きませんか?」

真冬 「………………」

真冬 「……承知。仕方ないわね。美味しいうどんがこんなにあるのだから、遠慮するのも野暮かしらね」

親父さん 「あっ……そういや紗和子ちゃん! 大学合格おめでとうな!」

紗和子 「へ……? あ、ありがとうございます!」

紗和子 「……あれ? 私、合格したこと言いましたっけ?」

673: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:08:16 ID:8/XR1gKQ
理珠 「……!?」 ハッ 「ちょっ、待ってください! お父さん……――」

親父さん 「――いやいや、リズたまから聞いてるんだよ。リズたまったら嬉しそうにさー」


―――― 理珠 『そうそう。関城さんも合格したんですよ。同じ大学です!』

―――― 理珠 『友人がひとりもいないかもと不安でしたが……』

―――― 理珠 『関城さんがいてくれて良かったです。春からが本当に楽しみです!』


親父さん 「なんて言っててさ……」 シミジミ

理珠 「っ……///」

紗和子 「お、緒方理珠が、そんなことを……///」

親父さん 「いや、ほんと、リズたまの友達でいてくれてありがとうな、紗和子ちゃん」

親父さん 「これからもリズたまのことをよろしくな」

紗和子 「は、はい! 任されました! 緒方理珠のキャンパスライフは私が守ります!」

親父さん 「うんうん。これで俺も安心だ」

674: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:09:40 ID:8/XR1gKQ
親父さん 「……ってことで、俺はこれで失礼――」

――――ガシッ

理珠 「……お父さん」

親父さん 「ひっ!? リズたま……? 腕を掴んでくれるのは嬉しいが、ちょっと痛……」

ギリギリギリ……!!!!!

親父さん 「痛っ!? めちゃくちゃ痛い!?」

理珠 「うどんの打ち過ぎもそうですが、私の話を勝手に関城さんにして……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

理珠 「許せません。お母さんに一度怒られてください」

ズルズルズル……

親父さん 「いや、ちょっと、リズたま!? せっかくママにはバレないと思ったのに!?」

親父さん 「あ~~~~…………」 ズルズルズル……

真冬 「………………」 ポカーン 「……なんというか、すごいお父様ね」

紗和子 「………………」 ポーーー…… 「……緒方理珠が、私に、いてくれて良かったって……」

紗和子 「……えへへ」

675: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:10:14 ID:8/XR1gKQ
真冬 「………………」

フッ

真冬 「……良かったわね、関城さん」

紗和子 「……はい。あの、先生」

真冬 「? 何かしら?」

紗和子 「……ありがとうございます」

紗和子 「先生のおかげで、緒方理珠ときちんとお話することができました」

紗和子 「本当にありがとうございました」

真冬 「……ええ。どういたしまして」

理珠 「……まったくもう。お父さんは」 プンプン

紗和子 「あっ、お帰りなさい、緒方理珠。お父様は?」

理珠 「お母さんに預けてきました。今頃お説教されていると思います」

676: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:11:19 ID:8/XR1gKQ
理珠 「ところで、関城さん、先生」

理珠 「実は、うるかさんと文乃と、泊まりで卒業旅行に行こうという話をしていまして……」

真冬 「あら、そうなの」

真冬 (……まぁ、教師としては、生徒の外泊はあまり推奨できないけれど)

真冬 (卒業旅行くらいで野暮なことは言えないわね)

理珠 「それでですね、もしよかったら、お二人も一緒に行きませんか?」

真冬 「……は?」

紗和子 「へ……? わ、私も?」

紗和子 「私も誘ってくれるの……?」

理珠 「? もちろん、嫌なら無理にとは言わないですが……」

紗和子 「い、いいい嫌なわけないわ! 行く! 絶対行くわ!」

紗和子 「高熱が出ても何があっても絶対に行くわ!」

理珠 「いや、高熱が出たら来ないでください」

紗和子 「……卒業旅行。緒方理珠と、卒業旅行。友達と……卒業旅行……えへへ」

真冬 「……えっと、緒方さん?」

677: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:11:56 ID:8/XR1gKQ
理珠 「? はい?」

真冬 「聞き間違いかしら? 私も……?」

理珠 「はい! さっき文乃と話したんです! 先生も一緒だったら、きっと楽しいですねって」

真冬 「っ……///」

理珠 「だから先生も、もしお嫌でないなら、一緒に行きませんか?」

真冬 「い……嫌、とかではない、けれど……」

真冬 (い、いいのかしら? 生徒たちの卒業旅行に、教員がついていくなんて……)

真冬 (さすがに言い逃れできない気がするけれど……でも……)


---- 『自分の気持ちに素直にな』


真冬 (……行きたい、と。私は、思ってしまっているのね)

真冬 「……学園長に、相談するわ」

真冬 「その上で、“引率” として許されるのであれば……」

真冬 「……私も、ご一緒してもいいかしら?」

理珠 「……!」 パァアアアアアア……!!! 「はい! ぜひ!」

678: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:12:48 ID:8/XR1gKQ
………………

紗和子 「それで、旅行の行き先はどこなの、緒方理珠?」

理珠 「あまり詳しくは決まっていないのですが、うるかさんと文乃はスキーがしたいと言っていました」

真冬 「ん……スキー? それなら、もしかしたら親戚のペンションを紹介できるかもしれないわ」

キャッキャ……

紗和子 「スキーなんて久しぶりだから楽しみね!」

理珠 「関城さんは本当に何でもできるんですね。すごいです」

紗和子 「ふ、ふふ」 ニヤァ 「……手取り足取り教えてあげるわ、緒方理珠」

理珠 「……なんか怖いので別の人に教わります」

紗和子 「なぜ!?」 ガーーーン

真冬 「………………」 クスッ (……よかった)

真冬 「……ねぇ、関城さん」 クスッ 「楽しみね、卒業旅行」

紗和子 「ん……」

紗和子 「……はい! 本当に楽しみです、桐須先生!」

おわり

679: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:13:40 ID:8/XR1gKQ
………………幕間1 『高熱』

紗和子 「ごほっ……げほっ……ごほっ……」

関城母 「あー……。まだ熱高いですね、紗和子さん」

関城母 「ゆっくり休んで早く治しましょうね」

紗和子 「うぅ……」

紗和子 「私も卒業旅行行ぎだがっだーーーーー!!!」

680: 名無しさん 2020/04/23(木) 23:14:28 ID:8/XR1gKQ
………………幕間2 『お土産』 卒業旅行中 水族館

理珠 「むむむむ……」

真冬 「……? どうしたの、緒方さん。すごい顔ね」

理珠 「あ、先生。ちょっと関城さんへのお土産で悩んでいて……」

理珠 「関城さんはしましま模様が好きなので、しましまのぬいぐるみを買おうと思うのですが……」

理珠 「このキンチャクダイぬいぐるみとニシキアナゴぬいぐるみ、どちらがいいと思いますか!?」 バーーーン!!!

真冬 「そ、そうね、どっちがいいかしらね……」

理珠 「むむむむむ……」 ポン 「決めました。悩ましいですが、こちらのニシキアナゴにします!」

真冬 「そう。あの子はボーダーが好きなのね」 クスッ 「じゃあ、私はこのキンチャクダイにするわ」

理珠 「へ……?」

真冬 「……関城さん、卒業旅行すごく楽しみにしていたものね」

真冬 「せめてお土産だけでも渡して、喜んでもらいましょう、緒方さん」

理珠 「んっ……」 ニコッ 「そうですね、桐須先生!」

おわり