1: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 17:22:23.03 ID:p0Lin/1l0
以前立てて落とした
ディオ「ジョジョがラスボス」
の続きです。

一応1部ラストから2部までを予定してます。
悪堕ちジョジョらの話なので
キャラ崩壊がダメな方は逃げるんだよォォォ~~~!!!


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402474942

引用元: ・カーズ「JOJOがラスボス」

4: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 17:52:31.98 ID:p0Lin/1l0


ジョナサン「きみは……ええと、誰だっけ」グスッ

ポコ姉「あなたに攫われた女よ。でも、あなた私に触りもしないもの……ねえ、なぜさっきから泣いているの?」

ジョナサン「いや、実は試してみていたんだ」

ポコ姉「?」

ジョナサン「ぼくの知り合いにウソ泣きのうまい人間がいてね。それをちょっと思い出して、泣くような気分でないのに泣くのはどんな気分かというのをね、知っておきたくて」

ジョナサン「しかしだめだな、さっぱりだ」

ジョナサン「何も心に響かない」

ポコ姉「……」

ジョナサン「というか、腹が減るだけだな」



 ドサアッ



ポコ父「う、うわああ! ポコーッ!」

ポコ「う……」

ポコ父「なんて酷ぇ怪我を……! 早く医者に見せねえと死んじまう!」

ディオ「よその家のガキまで同じ目にあわせたくなければ、今夜は戸締りをよくして一歩も外に出るんじゃあないと町のヤツ等に伝えておけ」

ポコ父「バ、バッキャローッ! 医者に見せねえと死ぬっつってんだろーが!」

ディオ「一晩くらいはもつ。大げさだぜ」


SPW(確かに)

SPW(……しかし、よくも生きていられたもんだぜ。あのディオがポコの治療に波紋を使うとは意外だったが……)

SPW(ディオ! 認めたくはねえが、こいつは変わった!)

SPW(いいほうにか? 悪いほうにか? そんなこと、おれには判断できねえが……とにかく、吐き気を催すゲロ野郎から、『何か』に……変わっている!)


ディオ「……」


5: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 17:55:30.38 ID:p0Lin/1l0


ポコ「と、とうちゃん……」

ポコ父「ポコォッ!!」

ポコ「おいらは大丈夫さ……このくらい」

ポコ「そ、それよりねえちゃんは……ねえちゃんはどこ?」

ポコ父「あいつならおめーを探しに外へ出てったきりで……」

ポコ父「!! 会ってねえのか!?」

ディオSPW「!」

ポコ「ね、ねえちゃん……? ねえちゃんが……」

ポコ「ねえちゃ……ん……」



ポコ姉「!」バンッ

マダム「お願いします! どうかこの子だけは! この子だけは! キャアアアア!!」

ジョナサン「」ズキュンズキュン

マダム「」ドザァッ

ポコ姉「ハァッ、ハァッ……!」ブルブル

ジョナサン「母親というのは子供を庇うようにできているらしいな。ぼくの母親もそうだったと聞いている」

マダム「あ、あああ……!」メキメキメキィ

マダム「あたしィィィの赤ちゃあァァァん!!」

赤ちゃん「おぎゃあああ~~ん!」


 バキ バリ グギ バキ グチャ


ポコ姉「うっ!」

ジョナサン「その仕組み、以前は分かっていた気がするんだがな……それも気のせいだったのかもしれない」

ジョナサン「君はどう思う?」

ポコ姉「うっ、うっ……!」

ポコ姉「……うう」ポロッ、ポロポロ

ジョナサン「……」

ジョナサン「参ったな。どうして泣くんだい?」


6: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 17:57:59.84 ID:p0Lin/1l0


ポコ姉「あなたの魂の悲鳴が聞こえるわ! ……かわいそうな人!」

ジョナサン「」ポリポリ


ポコ姉「なんて悲しい人なの、あなたは……!」

ポコ姉「こんなところにいるべきじゃあない。もし私の犠牲であなたが救われるなら、喜んで命を捧げているわ」

ポコ姉「けれど、そうなりはしない。あなたは永遠に呪われた、ま、ままよ。私に出来ることは何もない……」

ポコ姉「なんてこと……!」ポロポロ


ジョナサン「……」

ジョナサン「なんだか自分がとんでもなくカワイソウなんだって事は理解したぞ」ガシッ

ポコ姉「ううっ!」

ジョナサン「この喉から血液を通じて……君の生命の振動を感じる。ちっぽけだが……」ギリギリ

ポコ姉「あ、あ……」

ジョナサン「聞かせてくれ。カワイソウなぼくのために、君ができると思った事を」

ポコ姉「……!」グオオオオ


7: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:00:31.85 ID:p0Lin/1l0


アダムスさん「ほれ様のスピードがかわへるかーーーっ!!!」

ディオ「ヌンッ!」

アダムスさん「ドギャーッ!!」ボシュゥゥゥ

SPW「ま、町人が……! すると町はもう……!」

SPW「こいつぁいよいよ急がねえと手遅れになるぜ、ディオ!」

ディオ「ああ……」


??「そのとおりだ……町外れにゾンビがはびこりつつあるぞ」

ディオSPW「!」

??「この町、一日掛からんうちに掌握されよう!」ギランッ

SPW「ううッ! ま……ま……またもやだ! それもこのゾンビただならぬ鋭い眼光!」

??「我が名はダイアー」ズカッ! ズカッ!

ディオ「ダイアー? そんな名前の偉人がいたかな……」


 フアオオオオ
 フワリッ


SPW「蹴りか! しかしスローな蹴りだ!」

ディオ「面白い動きだ……ゾンビとなったからこそ体得できたものか? それとも……」

ディオ「返り討ちにしてくれる! ウオオオオアアアア!!!」ゴオッ


 バアシィッ


ディオ「! なにッ!?」

SPW「け、蹴りと見せかけて両足でディオの両手の自由を奪ったーッ!?」

ダイアー「必殺! 稲妻空烈刃<サンダースプリットアタック>!!」

ディオ「ヌゥッ!」グワッ


 ガギィィン!!


ダイアー「ぐおお!」

ダイアー「な、なんてやつだ! 普通なら後方に頭をそらして逃げるのを逆に負傷覚悟の頭突きで攻撃してくるとは!」


8: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:03:01.04 ID:p0Lin/1l0


ディオ「ウオオオ!!」

ダイアー「待て! ディオ・ブランドー・ジョースター!」

ディオ「!」ビタッ

SPW「な、なんだ? なぜゾンビがディオの野郎の名を……」

ダイアー「いいや、わたしは人間だ」

ダイアー「失礼だったが君がツェペリさんから学んだ実力を試させてもらったのだ」

ディオ「……」

SPW「え!? 今ミスター・ツェペリの名を言ったのか!?」

ダイアー「フ、ディオ・ジョースター……打たれた自分の肩を見てみたまえ」

ディオ「これは……」

SPW「手紙!? しかも、さ、差出人はツェペリのおっさん!」


ダイアー「そうだ……ツェペリさんが我われに助けを求める文面の手紙だ。石仮面の行方とそれを持つ者を知ったツェペリさんが全てのことを書いて送ってよこしたのだ」

SPW「そうだったのか……」

ディオ「待て」

ダイアー「!」

ディオ「今、『我われ』と言ったか?」

SPW「ハッ!」

ダイアー「……そのとおり」


 フウオオオオ…


ダイアー「こちらは我が師トンペティ。そしてわたしは弟子のダイアー」

ストレイツォ「同じくストレイツォ」

ディオ「『トンペティ』!」

SPW「ツェペリのおっさんが話してくれた、あの……!」

トンペティ「よろしーーーーく……。ところで……ツェペリはどこかな?」

SPW「!」

SPW「そ、それが、実は……」

ディオ「ついさっき死んだぜ。ゾンビどもの手によってな」

ダイアーストレイツォ「!」

SPW「お、おい!」

トンペティ「そうか……逝きおったか……」

トンペティ「我われがいま少し早くついたとしても同じ運命じゃったろう……」




9: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:04:43.01 ID:p0Lin/1l0


ディオ「フン! つまり貴様らは対して役にも立たんやつらと言うことだな」

ダイアーストレイツォ「!」

SPW「おいディオ!」

ディオ「黙っていろカスがぁ……」

ディオ「いいか、トンペティとやら。おれはジョジョを殺すためだけにここに来た。おれ自身の手でだ!」

ディオ「だから助っ人などは必要ない。ツェペリは既にだびに付した……とっとと帰るんだな」

ダイアー「そうはいかぬ!」

ダイアー「ツェペリさんが死んだと聞いた今、ますます帰るわけにはいかなくなった! ツェペリさんとは共に苦行を乗り越えた20年来の親友だったのだッ!」

ディオ「下らんなァ~~! 下らん湿っぽい感傷でついてくるヤツはますます足手まといにしか思えんぞ!」

ダイアー「!」

ストレイツォ「きさま……」

トンペティ「まあ待つのじゃ、二人とも……」

ストレイツォ「ム」


トンペティ「ディオとかいったかな……」

トンペティ「我われは波紋使いとしての責務として……ツェペリの因縁に手を貸すため……それだけのために海を渡ってきたのだ」

トンペティ「誰もそなたの手助けのために来たわけではない」

ディオ「ヌ……」

トンペティ「それに……ダイアーも言っておったが吸血鬼は町の多くの人間をしもべにしておる」

トンペティ「かなり自信をつけているようじゃが、100体近いゾンビを君一人で捌ききれるのかの……」

ディオ「……」

ディオ「……チッ! ついてくるなら勝手にしろ!」

SPW「プッ!」

ディオ「」ジロ

トンペティ「さあーーて……それでは、改めてよろしく……」スッ

ストレイツォ「」ハッ

ダイアー「!」

SPW「おい、握手だぜ。ガキじゃああるまいし、それくらいやれよ」

ディオ「……フン!」ガシッ


 ドシャアアアアン!


ディオ「! 何……!?」

SPW「な、なんだぁー!? このほとばしるような光はッ!?」

ディオ「これは……この波紋は……トンペティの……!?」


10: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:06:58.10 ID:p0Lin/1l0


  スウウ…


SPW「お、おさまった……」

トンペティ「……」

ディオ「何のマネだ……」

ディオ「今、このおれの体を流れる波紋を感じ取ったな? 何かを見られたような奇妙な感覚があった……いったい何を見た!」

トンペティ「……そなたの運命を」

ディオ「何ィ?」

ストレイツォ「これこそが老師トンペティの力なのだ」

ダイアー「さよう。老師トンペティはツェペリさんの死の未来をも彼が修行を始める前から予言していた」

SPW「すげえ……」

ディオ「……!」


トンペティ「全ての者にこんなことをするわけではない」

トンペティ「君が心の良い人間ならば、このまま生き様を見届けていただろう」

トンペティ「しかし君は……完全にはそうではない。だから、読まねばならなかった」

トンペティ「ツェペリの遺志を継いだ君と、その運命にどのような流れがあるのかを。最悪の未来か、それとも……」


ディオ「おれの運命を読んだだと?」

ディオ「面白い! おいぼれのたわ言とは思うが、言ってみるがいい」

トンペティ「……」

ディオ「言え。ツェペリのヤツにも教えたのだろう」

ディオ「あの男は、だから自分の死をああも簡単に受け入れたのだろう」

ディオ「だがこのディオは違う! きさまから予言を聞くのは、これからおれの前に立ちはだかる運命を砕く覚悟を決めるためだ!」

ディオ「さあ言え! たとえジョジョに殺されるとかいうふざけたことを言っても……今だけは怒りを抑えておいてやる!」


トンペティ「……よかろう」

トンペティ「そなたはこれから数奇な人生を歩む」

SPW「」ゴクリ


トンペティ「あらゆる出会いをするが、どれも良き出会いではなく……」

トンペティ「己が産んだ悪徳と! 気高き乙女の逆鱗に触れ! 呪わしき命運尽き果てるであろう……!」



11: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:11:10.90 ID:p0Lin/1l0


ポコ姉「きゃああああ!!」

ドゥービー「ウシュー! ううう、はあはあ……!」

ポコ姉「ああ! いや!」

ジョナサン「女の子って足が遅いなあ……」

ドゥービー「はあああ……!!」

ポコ姉「ああああ!」バリバリバリ

ジョナサン「白くて小さくて、不思議な生き物だ」

ドゥービー「フゥーッ! フゥーッ!」ヌメェェ

ポコ姉「うう、う……!」

ジョナサン「さて! それじゃあぼくはこの辺で失礼するよ。女性の肌をじろじろと見るなんて、紳士としてあるまじきことだからな」

ポコ姉「う、う、う……」

ジョナサン「」バタンッ

ポコ姉「ううう……!」

ドゥービー「うううおおおお……! はああ……!」


 フッ
 ゾグシャアッ!


ドゥービー「アンギャアアーー!?」

ドゥービー「ダッ……誰りダァ~~~~!? このおれにこんなもの投げつけたヤツわァァ~~!!」


 ゾオオオオオオ…


ディオ「ゾンビごときにこのおれの名が名乗れるか! 無礼者がッ!」バンッ!


12: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:13:52.55 ID:p0Lin/1l0


SPW「ゾンビに襲われてるのがポコのねえちゃんだ! 面影があるぜ!」

ポコ姉「ポコの……?」ハッ

ドゥービー「HOOOOOOOORYYYYYYN!!」

ディオ「ヌオアア!!」


  ドヒュゥッ
  バババババババ!


SPW「! ゾンビの覆面を内側から何かが突き破った! そ、そしていつの間にかディオが負傷している!」

ディオ「……これは!」

ドゥービー「WOOOOOOKYYYYYAAAAHHH!! 噛んじゃった! 噛んじゃった! いっぱい噛んでやったぜーッ!」

SPW「何かいる! あの頭の中!」


  バリバリバリバリッ


ドゥービー「ルン! ルン! ルン! ぬウフフフフフ! たまげたかァああ!」

SPW「ああーー!! あのゾンビ! 体内に蛇を飼ってるんだ! しかも猛毒のコブラとか肉を食いちぎる奇妙な蛇を!」

SPW「ディ、ディオのやつ、毒蛇に噛まれたのか! しかもあんなに沢山!」

ドゥービー「USHYYYYYYAAAAAA!!」

SPW「ま、また襲ってくるぅーー!」

ディオ「フン、無駄無駄」


ドゥービー「ぬううゥゥ?」

SPW「!?」

トンペティ「」ニコニコ

ディオ「」ゴオオオオオ

ディオ「ジョジョの悪い趣味に付き合ってやる暇はない!」ピタァッ

13: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:15:26.85 ID:p0Lin/1l0


SPW「やった! 一瞬のうちに蛇を全部捕まえた!」

ディオ「ふん!」ビュビュビュ

ストレイツォ「ほお強い……毒まで搾り出したぞ。短期間のうちによくぞここまで血液の流れをコントロールできるようになったものだ」

SPW「ツェペリさんが生命エネルギーをジョースターさんに与えて死んでいったからだ……」

ダイアー「……」

ディオ「ほんの少しだけ波紋を送り込んで蛇の血液をとちくるわしてやる!」ドゲッ

ドゥービー「うわあああ!!?」


  ムシャムシャムシャ


ドゥービー「へ、蛇どもがおれの体を食う……そんなあああ!!」

ディオ「フン!」

SPW(てめーも十分趣味が悪いぜ……ディオ)



14: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:18:05.01 ID:p0Lin/1l0


ポコ姉「わ、わたし……」ハアハア

ディオ「おい小娘、ジョジョのヤツはどこだ」

ポコ姉「ジョ……ジョ……?」

SPW「おめーさんをここまで攫ってきたやつだ。おれらはそいつを倒し、あんたを助けるために来た!」

ポコ姉「彼を……」ハアハア

ポコ姉「彼は……あのドアの向こうに……」

ディオ「……!」

ディオ(ジョジョ!)ザッ

ポコ姉「あ……ま、待ってください!」ガシィッ

ディオ「!」

SPW「おおっほお!」

SPW(ポコの姉ちゃんがいきなりディオに抱きついた! こ、こりゃあ……)


  ポタッ ポタッ


SPW「……ん?」

SPW(な、なんだ……何か変だぞ。どっか変だぞ。なんでディオの体から血が……)

遥かなる国からの3人「!」

ディオ「き……」グググ

ディオ「きさま……!」

ポコ姉「……」


SPW(!?)

SPW(ば、ばかな! あの女が手に持っているものは……刃物に見えるが!)


ポコ姉「行かせはしない……」

ポコ姉「あの人に優しさを注ぎ込めるのは、このわたし一人よ……!」メラメラ

15: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/11(水) 18:21:20.49 ID:p0Lin/1l0






 TO BE CONTINUED⇒





28: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:09:25.49 ID:aX07wGvF0


SPW「何やってんだこの女ァーー!」

ポコ姉「くっ!」ズボォッ

SPW「『くっ』じゃあねーんだよ! おまえ……!」

ポコ姉「はなせぇぇーー!!」

SPW「うおお!」

SPW(な、なんて力だ! これが若い娘の力か!?)

ストレイツォ「当て身」

ポコ姉「うっ!」


  ドサァッ


ディオ「ハア、ハア……!」

SPW「ディ、ディオの傷は波紋で塞がるとして……まさか! この娘!」

ストレイツォ「いいや。彼女はゾンビではない」

トンペティ「うむ……しかし心を奪われておる」

SPW「心だと?」

ストレイツォ「魅入られたというわけだ。哀れな……」

ポコ姉「」

ディオ「……」


  バァァーーン!


ジョナサン「!」

ディオ「借りを返しに来たぞ、ジョジョ!」

ジョナサン「生きていたのか……」


29: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:11:19.36 ID:aX07wGvF0


  ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


ジョナサン「ディオ……君が生きているということは、あのふたりの騎士を倒してきたということ……」

ディオ「……」

ジョナサン「……のようだな」

屍生人たち「」ゾゾゾゾゾ

ディオ「」ピク

屍生人A「極刑となって死んだおれたちに自由を与えてくれたジョジョ様ァァァ!」

屍生人B「ここはおれたちにヤツの処刑を命令して下せえ~~!」

屍生人C「この牙の歯形としてくれましョオオオオオ!」

ディオ「雑魚どもが……」

屍生人ABC「」グアッ

ジョナサン「いや」スッ

ジョナサン「あの二騎士は忠誠心・実力ともに優れた部下だった」

ジョナサン「彼らがやられたのなら、ぼくが闘うしかないだろう」

ディオ「」ギン


屍生人D「」コソッ

屍生人D「TEEEEEEEEE……EEEEEE!!」グアッ

ディオ「後ろに潜んでいたか……」

ディオ「こォオオオオオ!!」バッ


  ボキョッ


屍生人D「EEE!」ボシュー

ディオ「ジョジョォ!!」

ジョナサン「来い……ディオ!」

ダイアー「待てィ!」


30: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:13:39.37 ID:aX07wGvF0


ディオ「! ダイアー!?」

ダイアー「下がっていろディオ! ヤツへの恨みはこのダイアーが先に晴らす権利がある! ツェペリさんの親友だったこのダイアーが!」

ディオ「きさま……! あいつだけはこのディオがやると言ったはずだ!」

ダイアー「おまえのようなヤツに任せられるか! ツェペリさんの死を『くだらん』などと言ったおまえに……」

ディオ「何? きさま……」

ダイアー「」ギリ


ジョナサン「ぼくはどちらでもいいし、いくら列が伸びようと構ったことではない」

ジョナサン「ただひとつ、正直な未来を言わせてもらえば今の君たちは……」

ジョナサン「犬死にするために! このぼくの目の前にいるのだ!」


ダイアー「おおおーッ!」

ダイアー「ジョジョとかいうヤツ! このダイアーがおまえを地獄の淵に沈めてやる!」

ディオ「待て! ヤツにはきさまの知らない隠された能力がある!」

ダイアー「小娘ごときに傷を付けられるきさまの忠告などいらぬわッ!」

ディオ「!」

SPW「ディオ! ダイアー!」バーンッ

屍生人たち「! グオオオオオッ!!」


  ドドドドドッ


SPW「お、おおお!?」

ストレイツォトンペティ「!」ザッ


ディオ「くっ……!」

ダイアー「いかん、彼ら(SPWたち)にゾンビどもが反応し襲い掛かっていく……! あちらは老師トンペティとストレイツォがいれば安心だろうが……!」

ダイアー「一瞬の混戦でジョジョの姿を見失った!? いったいどこだ!」


  パラッ…


ディオ「」ハッ

SPW「あぶなァーーーい!! 上から襲ってくるッ!」

ダイアー「!」


31: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:23:36.09 ID:aX07wGvF0


  スオオオオオ…


ジョナサン「KUAAAA!」スカッ

ジョナサン「ン!」

SPW「あっさりと吸血鬼の猛襲をさけた!」

ディオ(あのかろやかな身の動きは……おれと手合わせしたときにも見せた……!)

ダイアー「」フワッ

ディオ「やはりあのねむっちまいそうなのろい蹴りだ!」

ジョナサン「」スッ


  バシィィーーーンッ


ジョナサン「これは……」

ダイアー「かかったなアホが!」ガッシン

ダイアー「稲妻十字空烈刃<サンダークロススプリットアタック>!!」


  ギャンッ!


SPW「やった! ディオに試した時は模擬ゆえか手刀を十字に組んでいなかった……したがってその欠点は頭突きや含み針などの攻撃に弱い! だがクロススプリットアタックはその欠点を補って攻守において完璧だ!」

ストレイツォ「これを破った格闘者は一人としていない!」

ダイアー「おおおお!!」バオォォォ

ジョナサン「……」


  バシバシバシバシ

 
ダイアー「」ピッタァァ


32: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:25:06.94 ID:aX07wGvF0


SPW「ううッ! あ、あれは!!」

トンペティ「」カッ

ストレイツォ「ダイアーの体が凍っている!」

ディオ「はっ……気化冷凍法!」


SPW「相手の体内の水分を一瞬にして気化させることから熱を奪い凍らせる!」

SPW「そ……それにしても以前よりもすさまじくなっているぞ! やつの能力! 体全体を一瞬のうちにとは!」


ダイアー「う……う、動かん!?」

ジョナサン「太陽の光と同じ波紋法……それをいかにしてやぶるか……どうやって対抗するか……!」

ジョナサン「教えてくれたのは『君たち人間自身』だ……タネが分かればどうということもない」

ダイアー「き、きさま」

SPW「やっ、やめろ! やめてくれーーッ!!」

ジョナサン「散滅すべし……!」


  ドバァァァンッ


ディオ「……!」

SPW「うわああああああーーーっ!!!」

SPW「わあああああああーー!!!」

SPW(なんてこった……ダイアーの体が粉々に……!)

ジョナサン「順番待ちの二番目は君でいいのか? ディオ!」

ディオ「グヌヌ……!」

33: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:25:56.56 ID:aX07wGvF0


  ビュオッ!
 

ジョナサン「ううッ!?」ドズッ

ディオ「ヌ!?」

ストレイツォ「ダ、ダイアー!」

SPW「最後の波紋を振り絞って、波紋をこめた薔薇をヤツの目に!」

ダイアー「フッ……は、波紋入りの薔薇の棘は、い、痛か……ろう…………フッ」ピシピシッ

ジョナサン「……」

ジョナサン「ふんッ!」グワシャァァッ

ディオ「!」

SPW「な! なんて残酷な! 放っておいても亡くなっていただろうに……生首を破壊しやがった!」

ディオ(いや……なんだこいつ……まるで……)

ジョナサン「……この激痛!」ボシュゥゥ

ジョナサン「この熱さッ!」


  ブゥワアアアアーーー…!


SPW「バルコニーへ逃げるぞ!」

ディオ「チッ!」バッ

ディオ「波紋使いども! 少しの間その青ちょびた亡者連中をよこすなよ! あいつを片付けるまでなァ!」


  ワラワラワラ


SPW「うおおお! アンデッドが次から次へと!」

トンペティ「まったくキリがないわい」バシィーン

ストレイツォ「ふん!」ベリィッ

ストレイツォ「このストレイツォ容赦せん!」


34: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:28:05.99 ID:aX07wGvF0


ジョナサン「小細工を弄するしか出来ぬちっぽけな……」

ジョナサン「ちっぽけな人間風情がよくも! よくもこのぼくにこんな苦痛をッ!」ボシュゥゥゥ

ディオ「……ジョジョ!」バン

ジョナサン「」ギロ

ディオ「このおれの気持ちを聞かせてやるぜ……」

ディオ「正直なところ……おれはな、さっきおまえをこの手にかけたくなかったのだ」

ディオ「幼馴染で共に同じ家で育ったおまえを消し飛ばしたところで面白くもなんともないんでな……だからダイアーのヤツに先を譲ってしまった……」

ディオ「だが、それこそが戦士としてのこのディオの精神的弱さと悟ったよ……」

ディオ「今! ためらいもなくきさまを惨殺処刑してくれよう!」

ジョナサン「KUAAAA!」

ジョナサン「同じこと! おまえたちを葬るのに罪悪感なし!」

ディオ「」ニヤリ

ディオ「ク、ククク……それはそうと、思い出すなあ、ジョジョ」

ジョナサン「!」


SPW「くそ! どけ、ゾンビども!」

SPW「いよいよあの二人が対峙する……悔しいことにおれはその間に入れねえが……」

SPW「いた! やはりバルコニーにいるぞ! あの二人!」

SPW「し、しかし何をやっている!? ディオ! あの野郎……!」

SPW「手が! 手が燃えている!? 手袋に火をつけているー!?」


ディオ「……」ボオオオオ

ジョナサン「……!」


SPW「そ、そうか! あれなら……! あれなら冷凍法を破れるかもしれないッ!」

ディオ「ジョジョォ!」


35: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:32:22.27 ID:aX07wGvF0


ディオ「きさまとおれの関係は何年経とうとも変わりはしない! おれが勝ち、きさまが負けるというこの関係はなあ!」

ジョナサン「……」

ディオ「動揺しているということは、気化冷凍法は火であぶる熱におっつかんらしい! おまえの小細工も底が見えたというわけさ!」

ディオ「懐かしいなあジョジョ! きさまを始めに半殺しにしたのもこの炎だったよなァ~~! どうやらとことん相性が悪いらしいぞ」

ディオ「もう一度言うぞ……きさまとおれの上下関係は、決して揺るがない!」

ジョナサン「……」グ

ジョナサン「」ググググ


SPW「ハッ!」

SPW「じょ、ジョナサン・ジョースターの、あの顔! 氷のような化け物の表情じゃあねえ! あれは……」

SPW「『怒って』いる!」

SPW「そうか……」

SPW「確かにジョナサン・ジョースターは石仮面によって心を破壊された! だが情や人を思いやる心とかは失っても、感情はあるのだ!」

SPW「邪悪なプライド! 自分への絶対的な自信! それが今のジョナサン・ジョースターが持つ唯一の人間らしい感情なんだ!」

SPW「7年間青春時代を共にしていたディオは感覚的にそれを理解したのだッ!」


ディオ「……」

ディオ(今までがらんどうの暗闇にしか見えなかったヤツの本性が……ダイアー! ヤツのおかげで理解できたぞ!)


36: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:41:53.95 ID:aX07wGvF0


SPW「このスピードワゴンが判断する限りジョナサン・ジョースターの動きの速さは動物の豹ぐらいか!」

SPW「ツェペリさんの波紋法を身につけたディオなら見切ることは可能! しかしジョナサンのパワーは骨肉を容易く微塵に砕くほど無双だ!」

SPW(勝負は一瞬! 二人のすれ違いざま決着がつくはず!)


ジョナサン「」スッ

ディオ「!」ピク

ジョナサン「そんな安っぽい挑発に乗ると思うかい……君のようなちっぽけな人間の」

ディオ「ちっぽけだと? 違うね!」

ディオ「このディオはもはや貴様の知るディオではない! 貴様を殺すというその一心で成長したのだ!」

ディオ「成長を忘れた腐った肉が! このディオに勝てるかーッ!」

ディオ「気化冷凍法など無駄 無駄 無駄ァーー!!」

ジョナサン「違う……」

ジョナサン「いくらあがこうと人間の努力には限界がある……! ぼくはそれを超越した!」

ジョナサン「このぼくに不可能はない! 波紋法すら完全に超える! 超えてみせる!」

ディオ「できないねッ! きさまはおれにやられるのだからなあー!」

ジョナサン「WOOOOO……」

ディオ「こおおおおおォー!」


SPW「!」カカッ


ジョナサン「WOOORRRRYYYYYY!!」

ディオ「うおおおおおーー!!」


37: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 21:52:08.85 ID:aX07wGvF0


ディオ「」バッ

ジョナサン「!」

SPW「う、うまい! 右に回りこんだ! 右眼は死角になっている!」

ジョナサン「うっ」

ジョナサン「しまった……ディオ! 彼は戦いなれている!」

ディオ「やはりいい気になっていたなジョジョ! おれの勝ちだーッ!」

ディオ「山吹色の波紋疾走<サンライトイエロー・オーバードライブ>ーーッ!!」

ジョナサン「……」ピキ…ピキ


  バリバリバリッ


ディオ「ヌウッ!」

ディオ(ヤツの左目がおかしな形に変わって……いや!)

ディオ「『裂けている』!?」バッ


  シュゴアァァァ!


ディオ「うおおッ!」ドシュッ

ディオ(うう! 目から自分の体液を! も、ものすごい圧力で光線のようなパワー!)

SPW「あぶなーい! ディオーー!!」

ディオ「!」

ジョナサン「」バンッ!

ディオ(しまった! おれが怯んだ隙に懐に……!)


  ドッゴォォォオ!


ディオ「グオオオアアーー!」ガシャァンッ

ディオ「ハア、ハア……い、今の、は……」

ジョナサン「立つんだ、ディオ。そのくらいの負傷は波紋で治せるんだろう」

ディオ「今の攻撃は!」ヨロッ

ジョナサン「……」

ジョナサン「君ら人間は波紋しかよりどころがないが、このぼくは違うというわけだ」

ジョナサン「ディオ! 君が冷凍法を打ち破る策を一つ考えている間にぼくはその策を打ち破る方法を十は用意できる」

ジョナサン「君は昔からうぬぼれ屋だな!」

ジョナサン「スタートからして違うということを知れッ! それこそが人間の弱さ! ちっぽけさなのだ!」

ディオ「!」バァーーンッ


38: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:10:29.39 ID:aX07wGvF0


SPW「や、やろう……!」

ジョナサン「さあディオ、もう一度立ってかかって来るがいい」

ディオ「くっ……」

ディオ「くくく……ジョジョ……! 勝ったと思うんじゃあない!」

ジョナサン「!」

ディオ「きさまの力が強大というのなら、おれはそれを利用するまでよ!」

ジョナサン「ハッ!」


SPW「ああ! ば、薔薇が!」

ストレイツォ「ジョジョの力の余波で花壇が破壊され、薔薇がやつの足元にまで伸びている!」

SPW(いや、破壊された拍子に散らばったと見せかけたのか!)

ストレイツォ「薔薇は植物なので樹液中に波紋を送り込むのは容易いぞ!」


ディオ「くらえジョジョ! 波紋疾走<オーバードライブ>ッ!!」

ジョナサン「!」バッ


SPW「逃げた! 空中に!」


ディオ「しかし空中に逃げ場はないぞォー!」

ディオ「こおおおおおお!!」

ジョナサン「……!」

ディオ「最後の最後に敗北するのは! やはりおまえだ! ジョジョォーッ!!」

SPW「ま、また手に火をつけたあ!」

ディオ「うっしゃあああああああああッ!!」

ジョナサン「WRRRRRRYYYY!!」


  ガッシィィーーンッ!


ストレイツォ「ううっ」

SPW「ああ、と……とめられたかーーッ!」


  ドシュウッ!


SPW「いや 突き抜けるーーッ!!」

ディオ「ヌアアアアアア!!」


  ゴアボッ!


ジョナサン「グフッ……!」


  ドォッシュウウウ…



トンペティ「やったな! あの感じ! 完全に波紋は入った!」


39: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:19:24.94 ID:aX07wGvF0


ジョナサン「」ジュクジュクジュク

SPW「じょ……ジョースターさんの体が……粒になって……吹っ飛んでいく……!」


ディオ「……ふんッ!」ゴアボォッ

ジョナサン「オオオオオオ!!」

ジョナサン「WOOOOOORRRREEYYYYYYY!!」

ディオ「死の忘却を迎え入れろ……ジョジョ!」

ジョナサン「」ボアッ


SPW「ああッ! ジョースターさんの体が崖下へ落ちていくぞ!」

ディオ「!」バッ


ジョナサン「」ドシュゥゥゥ

ジョナサン「」バラバラバラ…


ディオ「……」

ディオ「……や、…………やった……」

ディオ「」フラッ

SPW「ディオ!」ガシッ



40: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:19:58.34 ID:aX07wGvF0


ストレイツォ「無事か?」

SPW「ああ……ただの疲労だぜ」

トンペティ「無理もない。立った一晩で何人も死んだ戦いをしてきたのだからのう」

SPW「……」

ディオ「……う……」

SPW「」ハッ

ディオ「…………。ジョジョ! …………」

SPW「……な、涙……」

SPW「……」


トンペティ「さあ、まだ終わってはおらんぞ。わしらもあとのザコゾンビどもを大掃除じゃ」

ストレイツォ「はっ!」


SPW「……ディオ!」

SPW「やはりおれは、おめーを大いに恨むぜ……」

SPW「くそう……! なんて皮肉な運命よ……」


41: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:39:11.67 ID:aX07wGvF0


  一八八八年12月4日付
  「ロンドンプレス紙より 小さな記事抜粋」
  ウインドナイツ・ロット――12月1日 一夜にして人口四五二人の町の73名が行方不明――
  警察は目下捜索中であるが原因は残った町の人々にも全く見当がつかないという。


42: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:39:40.32 ID:aX07wGvF0


  一八八八年12月15日付
  「ロンドンプレス紙 小さな記事抜粋…」
  ウインドナイツ・ロット――2週間前73名が こつ然と消えた晩――
  農夫ジェフ・バックは 4人のよそ者が東の崖に立つ無人の館で
  崖下にあった男性の服をひろいあつめ 火で焼き捨てているのを目撃したという。

  また 4人のよそ者のうち ひとりは奇怪な仮面を館から持ち出してきて
  ハンマーでこなごなに砕いたという……。
  73人行方不明との関連と犯罪の疑いがあるので目下警察は捜査中である。


43: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:40:17.73 ID:aX07wGvF0


  「警察の盗難とどけ」より
  ――事件の夜 漁師ダン・ハマーは何者かに自分の持ち舟を盗まれたと報告――
  船は見つかっていない……。



44: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:40:56.50 ID:aX07wGvF0


  翌一八八九年2月2日
  「ロンドンプレス紙 社交欄」

  ジョースター家 疑惑の継承者 ディオ・ブランドー・ジョースター
  爵位を返上したのちは アメリカに移住が決定
  出発は翌2月3日…………


45: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:42:32.57 ID:aX07wGvF0


SPW「」バッサァァ

SPW「おーーーっと!! もうこんな時間じゃあねえか! 船が出ちまうぜーーッ!!」

  \クイニゲダーッ/

SPW「っと、いてて!」ドンッ

SPW「気ぃつけろィー! どこ目つけて歩いてんだよ!」

船員A「わりィ わりィ! もう船が出ちまうんでねェ! この荷物のせねーと金もらえねーんだ!」

船員B「ほれー! 急げみんなー!」

SPW「ふィーー、まだ船は出てねーか……」


ディオ「……」

ディオ「ム!」

SPW「よう」

ディオ「フン……きさまが見送りに来るとはな」

SPW「ちょっとその辺を通りかかっただけだぜ」

ディオ「……」

SPW「……」

SPW「まったく……皮肉だぜ。誰よりも紳士だったあのヒトが外道に落ちちまって、おめーみたいな人でなしがこうやってのうのうと生きているとはよ」

ディオ「……言いたい事はそれだけか?」

SPW「ずいぶん口数が減ったじゃあねーか」

ディオ「」ピクッ

SPW「……おれは」

SPW「おれにゃあてめーを祝福する事はできねーが…………気をつけて行けよ。もう二度と顔も見たくねーぜ」

ディオ「……フンッ」

ディオ「お互い様だぜ、スピードワゴン」

SPW「……!」


46: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:43:34.67 ID:aX07wGvF0


SPW「……これでよかったでしょう、ジョースターさん」

SPW「あんたなら、そう言ってくれるでしょう……」


  ドンッ


SPW「おっと! すいやせん……」

SPW「……! 今のは……」


船員「船が出るぞーー!!」

ディオ「……」


  ザアアアアアアッ



47: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:46:52.92 ID:aX07wGvF0



  ザッパァァーーンッ
  ドドドドドドド



ディオ(爵位は失ったものの……アメリカでジョースター卿と懇意にしていた人間がおれの面倒を見ると申し出てくれた)

ディオ(おれまで信用するとは! 随分人望があったものだ、ジョースター卿も……)

ディオ(これからどうするか? 金持ちになるという目標は変わらんがな)


ディオ「……」

ウエイター「ディオ様、ワインをお注ぎいたしましょうか?」

ディオ「ああ……」

ディオ「いや、いいよ。酔いやすいものでね」

ウエイター「失礼致しました。それではお水を……」

ディオ「……フーッ……」

ディオ「……」

ディオ「…………」



  ガシャァンッ



ディオ「……お……」

ディオ「……おまえ…………いや……君は……」

??「……」


ディオ「『エリナ』!?」ガタッ


エリナ「……」サッ

ディオ「あっ」

ディオ「待て! 待つんだ! なぜ君が……!」


48: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:50:05.29 ID:aX07wGvF0


ディオ「おい! 待てと言うのが聞こえんのか!」
エリナ「……」


 タタタタタタッ…


ディオ「船倉……?」

ディオ「エリナ! エリナ……エリナ・ペンドルトン! いるのか!?」ハッ

エリナ「……」

ディオ「エリナ……入るぞ」

エリナ「ディオ」

ディオ「!」ゴンッ

ディオ「か……! ××××~~~! く……!」

エリナ「……」

エリナ「頭に気をつけてと言おうとしましたのに」ニコ


49: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:52:10.32 ID:aX07wGvF0


ディオ「くっ」

ディオ「エリナ……なぜ君がこの船に?」

エリナ「ディオ……」

エリナ「スピードワゴンさんから聞きました。ジョジョも石仮面のことも……すべて片付けたと」

ディオ「ああ」

エリナ「……」

ディオ「そのとおりだ」

エリナ「けれどまだ納得いかないことがある、そう顔に書いていますわ」クルッ

エリナ「『なぜジョジョは気化冷凍法などというものを編み出せたのか』」

ディオ「!」

ディオ「それもスピードワゴンのヤツから聞いたのか?」


エリナ「『波紋法が血液に関係すると知っていなければ決して編み出せなかったはずだ』……」

エリナ「どこからそれを知ったのか。命からがら戻ったゾンビが教えたのか? 波紋使いと以前に戦ったことがあったのか? ……」

エリナ「それとも、誰かが裏切ったのか」スッ


ディオ「! その手紙は……? よこせ!」バシッ

エリナ「……」

ディオ「届け先はウィンドナイツロット……差出人は……『エリナ・ジョースター』……!」

エリナ「……」

エリナ「わたしはあなたに再会する前から知っていました。ジョジョが生きていると」

ディオ「何ィ……!」


50: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:54:13.52 ID:aX07wGvF0


エリナ「わたしがインドから帰ってまず行ったのはもちろん懐かしいジョースター邸でした。懐かしいジョナサンのいる場所」

エリナ「けれど馬車に揺られてついてみれば、そこは火の海でした」

エリナ「炎は周辺に広がることなく鎮火され、瓦礫の山で、わたしは渋る御者を帰してしばし呆然と立ちすくんでいました」

エリナ「すると東洋人らしき男がやってきたのでわたしは思わず身を隠しました」

エリナ「火事場泥棒と間違えられると思ったからです。するとその東洋人は瓦礫をあさり始めました」

エリナ「おかしいことに、その男こそ火事場泥棒だったのです。わたしは怒りに駆られたけれども、じっと身を潜めていました」

エリナ「後で警察に掴まえてもらおうと、その男の特徴をじっと観察していました」

エリナ「すると突然東洋人は雷に打たれたようにのけぞり、悲鳴を上げて倒れました」

エリナ「わたしが慌てて駆け寄ると、東洋人は、ちょうど博物館で見るミイラのように骨と皮だけになっていて……」ブルッ

エリナ「瓦礫のすき間から赤い目が一対覗いていました。わたしが恐ろしさに座り込むと、その目は笑うように細くなって、こう言ったのです」


エリナ「『いや……まさか……君は! 君がここにいるなんて……面影がある。そう君は……。……エリナ! 大きくなったね』」


ディオ「……」

ディオ「何を言っている……!?」

エリナ「わたしが彼を瓦礫の中から助けたのです。東洋人を殺した時点でわたしの知るジョナサンはいないと知っていた。けれど、抗えなかった……!」

ディオ「エリナ……」

エリナ「彼はわたしに命令しなかった……わたしが勝手に手紙を書いたのです! そのころから心は決まっていた……!」

ディオ「エリナ! こっちを向けィ! エリナ・ペンドルトン!」ガシッ

エリナ「」ポロポロ

ディオ「」ギクッ

エリナ「この涙は絶望の涙です」

エリナ「もはや私の手の中にジョナサン・ジョースターはいないことへの」

エリナ「子供の頃、いじめっ子にさらに殴られるのを知っていて、あえて自分の名の入ったハンカチを見せた誇り高きジョナサン・ジョースターが決して戻ってこないことへの」

エリナ「恨みます、ディオ。あなたさえいなければ……あなたさえ善人でいてくれれば……」

ディオ「……」

エリナ「だから、これは復讐ではなく、あるべきことなのだと知りなさい」

ディオ「!」


51: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:57:26.52 ID:aX07wGvF0


  ゾゾゾォ…


ディオ(な、なんだ……あの荷物は。荷物にしては奇妙な形! まるで、棺おけ……!)

ディオ(それに錠が……開いているぞ……)

ディオ(あのフタのスキ間から見える留め金が光って見える。つまり……あの箱は……)

ディオ(『中から鍵が掛かっている』!)


エリナ「」スッ…

ディオ「待て貴様! その箱から何を出すつもりだ!」

エリナ「……」

ディオ「!」ゴゴゴゴゴゴ

??「……」

ジョナサン「……ディオ」

ディオ「ジョ……ジョ……!」


ディオ(体は吹っ飛ばした! だが頭部だけで生きていたのかーッ!)


エリナ「別の肉体<ボディ>さえあれば復活できる! あなたが彼の肉体となるのです! ディオ!」

ジョナサン「」バリバリ

ディオ「グゥッ! あ、あの目はまずい!」



  ドッゴォォォオ!



ディオ「ゲフッ……!」

ディオ「……!」


52: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:58:18.50 ID:aX07wGvF0



  『己が産んだ悪徳とッ!』




ジョナサン「」ゴオオオオ




  『気高き乙女の逆鱗に触れッ!』




エリナ「」グアアアアア




  『呪わしき命運尽き果てるであろう……!』







ディオ「」ドサッ

ディオ(運命……! おれの運命……!)ゴボッ


53: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/12(木) 22:59:04.56 ID:aX07wGvF0





  TO BE CONTINUED⇒






74: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:49:36.72 ID:1k5Pyl0s0


ディオ(――――ジョジョはッ!)


ディオ(聖女にこそ愛される男だった!)

ディオ(そのカラッポの心が気高い女どもの哀れみを誘い、狂わせるのだ!)

ディオ(予測すべきだった! エリナがジョジョの真実を知って、どうするかを!)






ディオ(喉を……打ちぬかれた、クソッ……)




75: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:51:14.05 ID:1k5Pyl0s0


ディオ「」ガクゥッ

エリナ「!! …………」

ディオ「ジ……ョ…………ジョォ……!」ゴボッゴボッ


エリナ「ッ……!」

エリナ「なんということを……。なまじよけなければ眉間を打ち抜き、苦しみに悶えることもなかったでしょうに……」


ディオ「! ……ォォ……」

ディオ(このディオが! このディオが! なんというなさけなき姿よ!)

ディオ(声が……声が出ない、いや、息ができない。『呼吸』が……!)

ディオ(は、波紋が……練れない……)



  ゴオオオオオオオオ



乗客「ぎゃあああーー!! た、助けてくれー!」

乗客「神父がゾンビに……いや! 船中が化け物だらけだァーーッ!」

婦人「きゃあああ!!」

紳士「ば、ばか! そっちは階段だーッ!」

婦人「ああ!」ゴロゴロ



  ドシャーーッ!



紳士「なんてこった! 船倉に転げ落ちちまった……」

屍生人「OHHHHHH!!」ウリウリ ドギャンッ

紳士「ぐげッ!」グチャッ


76: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:52:27.54 ID:1k5Pyl0s0


エリナ「ここに迷い込んできた神父をひとりゾンビにしたので、既に船内はほとんどジョナサンの仲間に変わっている……」

エリナ「そしてわたしたちはこのままアメリカに行く。けれどディオ、あなたがたどり着く事はない……」

エリナ「……」ブルッ

ディオ(恐ろしさに……震えているではないか)

ディオ(顔も青ざめて唇を噛んでいるぞ…………この女! このまま倒れてしまうのではないだろうな……)

エリナ「ジョナサン……彼はもうじき窒息します。早く……」

ジョナサン「エリナ」

エリナ「!」

ディオ(なんだ……こいつ…………こんな時にどこを見ている……)

ジョナサン「やはり母親というものは、子供を庇うようにできているらしい……」

エリナ「」ハッ


婦人「」



 オギャア オギャア オギャア



ジョナサン「目が離せないな。きっとぼくはこの光景が好きなのかもしれないね……」

エリナ「おお……!」

エリナ「おお、ジョナサン……!」ギュッ

ディオ「……!」ハアハアハア

ディオ(どんな茶番だ……これは……もう……うんざりだ……!)


スティクス神父「グゲゲゲゲーーッ!!」

ディオ「!」バンッ

ディオ(こいつ……このゾンビ……! これだ……!)


77: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:53:31.09 ID:1k5Pyl0s0


エリナ「ハッ!」

ディオ(体内に残されたかすかな最後の波紋……! 生命を削って一気に放出する! かすかでいい!)

ディオ「」カッ



  ブギャアアアアーー!



スティクス神父「グゲッ!」オゴォッ

スティクス神父「」バリバリバリ

エリナ「うっ……!」

エリナ「ディオの……波紋が神父のゾンビを……! 破壊して、波紋がゾンビの体を操っている……」

ディオ「」ドサッ

ディオ(体組織を狂わせたゾンビは狙い通り! 機械をガッシリと掴んでいる。そして……神父のゾンビが止めようとしているのは!)


エリナディオ((船の外輪スクリューシャフト!!))


78: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:54:53.77 ID:1k5Pyl0s0


ディオ(ゾンビの怪力ならシャフトの動きを止める事は可能! シャフトが止まればピストン内の蒸気の逃げ道はなくなり圧力は高まる一方! 圧力が鉄壁の耐久度を超えた時!)

エリナ(船は……爆発する……!)


エリナ「ジョナサン!」

ジョナサン「…………ディオ」クルゥーリ

ジョナサン「どこまでも屈服しない男だ」ニコ


ディオ「……ウ……ウ……」ヨロヨロ

エリナ「! 逃げる気なの!? この卑怯者!」

ディオ(黙れ……! おれは生きる! 何が何でも生きる!)

ディオ(船が爆発する以上、ヤツ等は脱出に専念しなければならぬはずだ……)

ディオ(腑抜けの化け物と女一人! 爆発に耐えうる術は持っていないはず……)ハッ


エリナ「……」ドドドドドドド

ディオ「……フゥ、フゥウ……!」ドドドドドド


ディオ(エリナ……ペンドルトン……! おれの前に立ち塞がり……どうあっても逃がさぬつもりか!)


79: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:56:06.03 ID:1k5Pyl0s0


エリナ「してやったりというところでしょうが……」キッ

エリナ「ジョナサンは太陽から常に身を守らねばならない宿命……! 大爆発程度の事態は既に防御策を講じてあります」

ディオ「!」ハアハア

エリナ「ジョナサンが入っていたあの箱が見えるでしょう。あの箱は太陽光と昼間の外的から身を守るため爆薬数十樽の衝撃にも耐えうるよう設計されている……一人用のシェルターといったところかしら」

ディオ(この……女……!)

エリナ「観念なさい、ディオ。すべて己のやったことだと……受け入れるのです」


ディオ(この女…………が……持っているのは……火災等非常用のために船内に備え付けられている斧……!)

ディオ(この女……自ら……やるつもりだ……!)

ディオ(今にも卒倒しそうな顔色だが! 確実にこのディオの首を落とすつもりだ……!)


エリナ「……」ドドドドドドド

ディオ「……グ…………」

エリナ「ハア、ハア、ハアッ……!」



  ビキィッ!



エリナ「ハッ!」

ディオ(爆発が……始まる)


80: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:57:38.13 ID:1k5Pyl0s0



  ドドドドドドドド

  ドドーーンッ!



ディオ「!」

ディオ(船の残骸が! 爆発の飛沫となって飛び散ってくる!)

エリナ「ハア、ハア、ハア……!」ブルブル

ディオ「」ドンッ

エリナ「きゃあ!」ドサッ



  ドババババッ



エリナ「……!」

エリナ「こ! これは……いったい……ディオ……あなたはいったい……」

ディオ「……よ」

ディオ「よ、けること……も……できんか…………バカ女……めが……」

エリナ「……」ブルブル

エリナ「ハア! ハア! ハア!」ガタガタ


81: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 16:58:44.69 ID:1k5Pyl0s0


ジョナサン「どうしたんだい、エリナ」

エリナ「!」


ディオ(ジョジョ!)

ディオ(やつめ……いつの間にか天井に逃れていたか!)


ジョナサン「もう船が爆発してしまうよ」

エリナ「ハアーッ! ハアーッ!」ジワ

エリナ「あ……あ……」



  ガラァーンッ



ジョナサン「……」

ジョナサン「斧が落ちたぞ、エリナ」

エリナ「ああ……! お願い……こんな、恐ろしいこと……! 許して……ジョナサン、許して……!」

ジョナサン「許すというのはどういうことだい?」

ジョナサン「君が、ぼくにこんな残酷なことはさせたくないからと申し出たんじゃあないか」

エリナ「お願い……許して、ジョナサン、もう、わたくしには……!」

ジョナサン「もういいだろうか? 斧を拾うんだ、エリナ」

エリナ「ああ……! どうか……!」

ジョナサン「君がぼくにやると言ったのじゃあないか。ぼくにウソを言ったのかい?」

エリナ「あああ……!!」


ディオ「お……」ゴホッ

ディオ「おん………………な…………を……いじめてた、楽しいか…………ジョジョ……」

エリナ「……!」

エリナ「ディオーッ!!」

ジョナサン「……?」


82: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 17:00:06.92 ID:1k5Pyl0s0


エリナ「よくも彼に向かってそんな……! よりにもよってあなたが! ジョナサンに向かって!」

ディオ「……」ゼエゼエ

ジョナサン「」フワッ

ディオ(ジョナサン……! 天井から降りて……)


ジョナサン「もういいよ、エリナ。出来ないと言うならそれでもいいんだ」

エリナ「……ジョナサン!」

ジョナサン「君のよーに言う事を聞いてくれる女は、他にも沢山いるだろうからな……」

ディオ「!」

エリナ「……!」

ジョナサン「今はとにかく避難しなければ…………エリナ?」


エリナ「……ハア、ハア」ドドドドドド


ディオ「こッ……!」

ディオ「このッ…………大マヌケ……がッ……」

ディオ「じ、自分……の…………妻、に……こ、殺され……たいか……ッ!!」

ジョナサン「……!」ドドドドドド

エリナ「おお……ジョナサン……! こんなこと! こんなまさか……なぜ……?」ポロポロ



  ガシィッ



ディオ(!)

ディオ(斧を……!)

エリナ「カラッポのあなたでもよかった……それなのに……」

エリナ「あなたとの未来があると思うから、ついて行ったのにッ!!」ブンッ

ジョナサン「エリナ!」カッ

ディオ「……!」



  ドッズゥッ!




83: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 17:01:04.78 ID:1k5Pyl0s0


ディオ「……」ドドドドドド

エリナ「あなたが……なぜ……! そんな……」

ジョナサン「……!」

エリナ「なぜ……わたしの次は、ジョナサンを……かばうのです……!」

ディオ「……」ゴホッ


ディオ(こうして初めて間近で見て分かる……)

ディオ(ジョジョ……お人よしで甘ちゃんのジョジョめ……! なんという愚かな姿になったのだ……)

ディオ「……」ガシィッ

ジョナサン「!」

ディオ(あれほど侮っていたおまえを、なぜああも必死に殺そうとしてきたのか、ようやく気付いたぞ……)

ディオ(おれは尊敬していたのだ! 叩いても叩いても成長するこいつを! 勇気を! 魂を! パワーを! 尊敬していたのだ……)

ディオ(ジョジョ……)

ディオ(おまえはおれのおかげで仮面の力を手に入れた……。しかし、おれがいたからいまだ世界はおまえのものになっていない……!)

ディオ(神がいるとして……運命を操作しているとしたら……おれたちほどよく計算された関係はあるまい……)

ディオ(おれたちはこの世において……ふたりでひとり……!)

ディオ(そして今……ふたりの運命は完全に一つになった……)

ディオ(そして…………船の爆発で消える……)



  ドッゴオォオオオ!!



84: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 17:03:22.65 ID:1k5Pyl0s0


エリナ「ううっ」ヨロッ

エリナ(爆風に吹き飛ばされたのね、わたしは……ふたりが、遠くに……!)

エリナ(……ディオ!)


エリナ「返して…………返しなさい!」

ディオ「……」

エリナ「ジョナサン・ジョースターはわたしのものです! 身も心も! わたしがジョナサンに対しそうであるように!」

ディオ「ッ……」スッ

エリナ「……?」

エリナ「…………」



  オギャア オギャア オギャア



エリナ「……!」

ディオ「……おまえに……」

ディオ「できはしまい……ぜ……。ジョジョの…………」

エリナ「あっああ……!」

ディオ「ジョジョの……母親も…………子供をかばって……死んだ……のだ……」

エリナ「ああ! なんてこと……! ディオ! わたくしの最後の希望まで摘み取っていくなんて! うう……! あなたをののしる言葉が見つからないわ! わたしにあなたを手にかける勇気があれば、どんなによかったか!」

ディオ「……」

ディオ(好きなだけ憎むがいい)

ディオ(どうせすでにこれ以上はないのだ。残念なことだろうが……)

エリナ「うう……ううう……!」フラッ



  オギャア オギャア オギャア



エリナ「……」

赤ん坊「う~~~……う~~~……!」グスグス

エリナ「」ギュッ

ディオ「……」ドドドドドドド

エリナ「……なんて温かい……」ポロポロ



  ゴオオオオオオ…




85: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 17:05:18.02 ID:1k5Pyl0s0



  オオオオオオ…


ディオ「……」

ジョナサン「……ディオ!」

ジョナサン「ずいぶんしっかりとぼくを抱きかかえるのだね……」

ジョナサン「どうせこうなるのならば、あの時ジョースター邸で共に燃え尽きていればよかったのだ」

ジョナサン「いいや、もしかして君は今もあがきたがっているんじゃあないだろうか。あわよくば、自分ひとり助かりたいと思っているんだろう」

ジョナサン「ぼくがその傷を治して永遠をやろうと言ったらちょっと、考えてしまうんじゃあないか?」

ジョナサン「いや。ぼくからの施しなど受けたがらないか……」

ジョナサン「……」

ジョナサン「……もう聞こえていないかもしれないが、振り返ってみるとまるで劇画のような日々だったなあ」

ジョナサン「ぼくは世界の支配を目指していたが、それでもこれ以上の終わりはないんじゃあないかと思うよ」

ジョナサン「これほど綺麗に、かみ合った終わりは……」

ジョナサン「……」

ジョナサン「ディオ」

ディオ「……」

ディオ「」

ディオ「」ガクッ


ジョナサン「ひょっとしてぼくたちは『ふたりでひとり』の関係なのかもしれないな」

ジョナサン「奇妙な友情すら感じるよ……」



  ゴオオオオオオ…



  カカッ

  ドオオオーーンッ!



86: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 17:06:04.26 ID:1k5Pyl0s0



  ザザアアアアア…
  ザアアアアア…



エリナ「……」

赤ん坊「」スースー

エリナ「……」ギュッ



87: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/13(金) 17:06:54.88 ID:1k5Pyl0s0



  二日後――。
  エリナ・ペンドルトンがカナリア諸島沖で救助された――。
  そして 石仮面の伝説はここに ひとまず幕を下ろします。
  しかし! それはまた……
  新たな冒険の時代の始まりでもあったのです……。









    ディオ「ジョジョがラスボス」完

110: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:27:02.01 ID:+54C6nzC0











   カーズ「JOJOがラスボス」
















111: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:27:42.01 ID:+54C6nzC0



  ――1938年!
  
  ――ニューヨーク!



112: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:30:16.14 ID:+54C6nzC0


  ゴォーーー…



??「」コツ…コツ…

ホテルマン「お待ちいたしておりました、お客様。ホテルまでのタクシーを手配しております。どうぞこちらへ」ガチャッ

??「おや、それは気の利くことですね。ありがとう……」



  バダムッ



運転手「お荷物はそれで全部ですか? ルーシー・スティール」

運転手「いえ! …………『ミセス・エリナ・ジョースター』とお呼びしたほうがいいですかな」

エリナ「!」バァーン


113: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:34:14.17 ID:+54C6nzC0


ホテルマン「逃げようなどとは考えないことです」

運転手「お察しの通り、スピードワゴン財団のものです」

エリナ「そう……」

エリナ「やはりスピードワゴンさんはまだ……わたくしを探していらしたのね」

ホテルマン「失礼とは存じますが、隣に座っても?」

エリナ「お好きになさいな」

ホテルマン「」ガチャッ バダムッ

エリナ「……わたしから何かを聞きだそうとしても無駄です」

ホテルマン「そうでしょう、あなたは頑なだ。だが、我われは是非ともあなたについてきていただきたいのです」

ホテルマン「オイ、出せ」

運転手「」ブロロロロ


ホテルマン「50年……いえ、49年経ちますかな。謎の事故でディオ氏が死に、あなただけが生還したあの事件から」

エリナ「……」

ホテルマン「乗客全てがボロボロの死体となったあの事故で、なぜかあなただけが生き残った」

ホテルマン「『なぜ』か!? スピードワゴンさんは、あなたの失踪とディオ氏の事故に必ず何らかの関係があると確信していた! そしてその間にはジョナサン・ジョースターの恐ろしい影があったということも!」


エリナ「あの日……私は……ああ……!」

エリナ「許されない事をしました……! 決して許されない恐ろしいまねを……!」

ホテルマン「よろしい……もうよろしいのです、それは……。我われがしたいのは未来の話だ」

ホテルマン「正直言うとスピードワゴンさんもあなたを許すつもりでいたのです……18年前の、あの事件が起こるまでは」

エリナ「」ピクッ


114: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:37:28.77 ID:+54C6nzC0


ホテルマン「あの事件の後、あなたは名を捨て家を捨て、アメリカへ渡った」

ホテルマン「孫の『ジョセフ・スティール』……いえ!」

ホテルマン「『ジョセフ・ジョースター』! ……を、連れて!」

エリナ「あの子を捕まえに来たのですかッ」

ホテルマン「保護しに来たのです。がッ! ……一足遅れたようだ」


ホテルマン「ジョセフ・ジョースターは三日前何者かに拉致された……違いますか」


エリナ「! ……なぜ、それを……」

ホテルマン「正体を言いましょう。やつらはナチスドイツです」

エリナ「ドイツ軍!?」

ホテルマン「ナチスドイツ! やつらのしわざに違いありません!」

エリナ「なぜ……どうしてあの子がドイツに……」

ホテルマン「ナチスはゲルマン民族が人間の中で最も進化した民族との旗印をかかげており、すぐれた人間は精神世界をも科学的論理的に支配する必要があると考えています」

ホテルマン「『占星術』! 『魔術』! 『錬金術』! 『超能力』! 『オカルト』!」

ホテルマン「そして『石仮面』も……」

ホテルマン「彼らの研究の行き着く先はおそらく……昔から中国の皇帝やあらゆる支配者が求め欲していたある『力』……」

ホテルマン「『不老不死』! ……そして、あなたの夫はそうでしたな?」


エリナ「ああ、まさか……!」

ホテルマン「そう! ジョセフ・ジョースターはそのために攫われたのです! 実験動物として!」

エリナ「……!」ドドドドドドド


115: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:38:41.84 ID:+54C6nzC0


  ――ニューヨークから南下すること3000キロ!

  ――ここメキシコの、ある建物はメキシコ風にカムフラージュされているが、実はその庭の地下20mの所にナチスの実験室があるのだ!




   ズオオオオオオ…

   バーーンッ!




  ――我われはこの老人を知っている!

  ――いや! このまなざしとこの顔のキズを知っている!



116: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:42:13.70 ID:+54C6nzC0


SPW「……くッ……」

??「……」ポリポリポリ

??「ファァァ~~~~……」ポリポリ

??「ン…………」ポリ

??「で、あの『男』はどうなっている?」ポリ


ドイツ兵A「はっ! シュトロハイム少佐!」

ドイツ兵B「先ほど目を覚ましたのでいつでも実験を開始できます!」

シュトロハイム「うむ……」


SPW「じ、実験だと?」

ドイツ兵C「むやみに動くんじゃあない!」ジャキッ

SPW「うッ……!」

SPW「おまえたち……わたしまで拉致して……いったい何を始めようというのだ!」

シュトロハイム「スピードワゴォォ~~~~ン……?」クルッ

シュトロハイム「ちと警戒しすぎじゃあないか? いや、我われに対してのことだ」

シュトロハイム「そう構えるもんじゃあないぞ……あのジョセフ・ジョースターからおまえを救ってやったのは……我われドイツ軍じゃあないかぁ~~?」


117: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:44:03.03 ID:+54C6nzC0


SPW「彼は……」

SPW「あの少年は……わたしこそが始末をつけなければならなかったのだ……!」

SPW「戦争は関係ない! あの血統を何とかせねば、大げさではなく世界が危険なのだ!」

シュトロハイム「」ガラガラガラガラ ペッ

シュトロハイム「なあ、聞け、スピードワゴン……『だからこそ』我われはこの実験室にやつを閉じ込めたのではないかァ?」

シュトロハイム「あの実験室はシェルターだ……石仮面の吸血鬼が何百人閉じ込められようと破壊できんという計算で出来ているのだ」

シュトロハイム「鉄板の厚さはなんと50センチ。おまけに火炎放射器・機関銃・時限爆弾までセットされている」

シュトロハイム「さしずめヤツはカゴの中の鳥……いいや檻の中のグリズリーといったところかな! この実験室にいる限りただの小僧と変わりはないィィーッ!」

SPW「……うう」ゴゴゴゴゴゴ


ドイツ兵A「あっあ~~~……」

ドイツ兵A「よぉぉーし! 目が覚めたのならいくつか質問に答えてもらおうか! …………アホみたいにキョロキョロしても誰もおらんぞ! マヌケッ!」

ドイツ兵A「この声はマイクで別の部屋から送っとるのだーッ! きさまはどんな状況かワケわからんだろうが、素直に質問に答えられたら解放してやる!」

ドイツ兵A(もちろんそんな気は少しもないがね、フンッ)



118: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:46:10.39 ID:+54C6nzC0


  ゴオオオオオオ…



??『……』ゴゴゴゴゴゴゴ…

??『』ズオンッ


SPW「ううッ! あ、あの顔ッ!」


ドイツ兵A「聞こえとるのかーッ! わかったら返事ィィィ!!」

??『……はい』

ドイツ兵A「よし、いい返事だ!」

ドイツ兵A「まず自己紹介からだー! おまえの名前は!」

??『トム・クルーズ』

ドイツ兵A「年は!」

??『よんちゃい』

ドイツ兵A「」ポチッ



  ガンッ



??『アデッ!』

??『オーッ! ノーッ!』

ドイツ兵「きさまなんかふざけてるなァー! おまえがジョセフ・ジョースターで18歳ということをこちらはもう把握しとるんだぞーッ!」

ジョセフ『ウグゥ~~……!』

ジョセフ『なら聞くんじゃあねぇぜェー! このトンチキどもがァァーー!!』


シュトロハイム「ブワーーッハハハハハーーーッ!!」


119: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:49:11.29 ID:+54C6nzC0


シュトロハイム「ハハハハハ! フゥーッ……なかなかユーモアのあるやつじゃあないか!」

シュトロハイム「ジョセフ・ジョースター……いや、JOJO! と呼んだほうがいいのかな?」

SPW「うッ、な……」

SPW「なんということだ……せ、性格はまるで違うが……やはり……似ている……あのジョージよりも…………だ……!」

シュトロハイム「さて、スピードワゴン。どうやらあの小僧は『あること』をきっかけに吸血鬼の血に目覚めたらしいな」パチンッ

科学者A「どうぞ、シュトロハイム少佐」

SPW「……ハッ!」

科学者A「」ドドドドドドド

SPW「自白剤か……!」

シュトロハイム「あなたは老いたとはいえ拷問で口を割るような男ではないことは我われも知っている」

シュトロハイム「ひとり一文なしでアメリカ・テキサスへ渡り砂漠で死にそうになりながら油田を発見し! 世界経済を動かすまでになった男……」

シュトロハイム「相当な根性が座っているとみたんでね……!」


シュトロハイム「だが我がドイツの医学薬学は世界一ィィィ!! できんことはないィィィーー!!」


SPW「ま、まだ……まだわしに何か喋らせる気なのか!?」

シュトロハイム「全てだッ! 全てを話せ! 過去に何があったのか!? 50年前から何が続いているのか!」

シュトロハイム「そして……あなたがこのメキシコで発掘していた『ある謎』についても!」

SPW「!」

SPW「まッ、まさか……!」

シュトロハイム「……」ボタンカチッ



120: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:50:51.24 ID:+54C6nzC0


  ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

  ドゴォォーーーーンッ



シュトロハイム「見たいだろうから見せてやる! あなたが発掘していた遺跡の洞窟から柱ごと切り出して運んできたのだ!」

シュトロハイム「見ろ! あの柱に埋め込まれたおびただしい数の石仮面を! だが我われの興味は他にある!」

シュトロハイム「この柱の中央に彫られている男! ……石柱と一体化しているが、これは彫刻ではない!」

シュトロハイム「アミノ酸がある! 細胞がある! 微妙ながら体温がある! 脈拍がある!」

シュトロハイム「こいつは生きている……『柱の男』だ!」

シュトロハイム「あなたの手記を見たところ……どうやらこの『柱の男』が石仮面の設計者のようだな!」


SPW「う……う…………!」

SPW「神よ! なぜこんなことに! なぜ、わたしが……! いつもだ! いつも愚か者のせいで世界は危機に晒されるッ!」

シュトロハイム「ちがうなスピードワゴン。真の愚か者とは恐怖から目を背ける者のことだ」

シュトロハイム「あなたは目を背け、口をつぐんできた。だが今回ばかりはそうはいかんぞ!」

SPW「う、うおおおおおーー!! やめろォォーーッ!!」


121: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 18:51:18.15 ID:+54C6nzC0





ジョセフ『……チッ! やっかましいぜ』






122: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 19:00:37.09 ID:+54C6nzC0



シュトロハイム「!」

SPW「なッ……き、聞こえて……いるのか……!?」

シュトロハイム「……フン! なに、ハッタリだ。あの中では声は絶対に聞こえん」




ジョセフ『……』ゴゴゴゴゴゴ





ジョセフ(だからうるせぇーなー! 聞こえてるってのよォォ~~クソッ!)

ジョセフ(だが、今は知らんプリしといたほうがよさそーな雰囲気だな……)

ジョセフ(『柱の男』……『吸血鬼』だとォォ~~……??)

ジョセフ(おれかヤツらの気がふれてるんじゃあなけりゃあ、とんだ修羅場に巻き込まれちまったようだぜ)

ジョセフ(とにかく『実験』とやらを上手く切り抜けなくちゃあな……!)

ジョセフ(そしてスピードワゴンのオイボレ野郎は、もうおれやおばあちゃんと関わりたくなくなるくらいメタメタに痛めつけてやる)

ジョセフ(こんなことになっておばあちゃんは心配してるだろう……なるだけ早目に帰らねーと。おれのたった一人の家族なんだからな……)


ジョセフ「マッ! なんにせよ事態はすぐ動きそうにねーし、今は休憩、休憩」ゴロンッ

ドイツ兵A『コラァァーー! 誰が勝手に寝ていいと言ったアァーー!』

ジョセフ「」チッ

ジョセフ「やかましいぜナチ公! わざわざ付いて来てやったんだからよォー!(本当は不覚を食らって眠らされたんだがこう言ってやるぜ! ケッ!)」

ジョセフ「昼寝くらい自由にさせろってのよォォーッ!」ゴロンッ

ドイツ兵A『』ポチッ



 ゴン ガン ゴガゴンッ



ジョセフ「……」

ジョセフ(クッソォォ~~! 意地でも起きてやらねーもんねェェ~~ッ!)

ジョセフ(とにかく今は待つことだぜ……!)

ジョセフ(『柱』とか『石仮面』とか! おれのことも……『謎』は勝手にヤツらが解いてくれるだろうからな……)

ジョセフ(そのときまで……)



123: ◆A4ItUlGA/6 2014/06/17(火) 19:01:26.06 ID:+54C6nzC0





  TO BE CONTINUED⇒





141: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:32:27.87 ID:zfzP97+L0


捕虜A「う、うわああ~~!!」

捕虜B「いやだァァーー! 助けてくれェーッ!」

捕虜C「死にたくないィ~~!! うわあああーー!!」


シュトロハイム「またかよ……」

ドイツ兵A「柱の男に生き血を吸わせる実験をすると告げてからこの有様です」


捕虜D「いやだァァ~~!!」


シュトロハイム「ああいやだなァ……おれはこんな悪あがきは見たくないィ……」フゥー


少年「お……」ブルブル

シュトロハイム「!」

少年「おれを処刑しろッ! ほ、ほかの人には手を出すな!」


シュトロハイム「よし!」

シュトロハイム「人種は違えど勇気ある者には敬意を表す! こいつ以外の全員を処刑せよ!」


『ひいいいいいいいい!!!』


少年「そ、そんな!」



142: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:37:13.50 ID:zfzP97+L0


 カッ カッ カッ カッ



ドイツ兵B「シュトロハイム少佐! 実験の準備整いました!」

シュトロハイム「うむ……49年前の因縁がジョセフ・ジョースターとスピードワゴンに受け継がれ、メキシコで出会った」

シュトロハイム「そして因縁の原因である柱の男……そいつが我がドイツ軍の手によって蘇るわけか」

シュトロハイム「ちょいとドラマチックではあるなァ……あなた(スピードワゴン)が怯えるあまり話を大げさにしていなけりゃあだが!」


SPW「……うう」


シュトロハイム「ところでッ! あれからJOJOはどうだ!」

ドイツ兵A「はっ! 相変わらず床をベッドに、時折寝返りをうつばかりであります!」


ジョセフ『』ゴロゴロ


シュトロハイム「ふぅ~~む。こいつは相当な怠け者だなァ。叩きなおしてやらにゃあイカン」


ジョセフ『……』


シュトロハイム「柱の男の実験は、開始をしても我われに危険はないか」

ドイツ兵B「はっ!」

ドイツ兵B「スピードワゴンの話によると……」

ドイツ兵B「石仮面をかぶった人間は跳躍力が5mから8m! 拳の破壊力は最大で厚さ4センチの鋼鉄版を破壊できるかどうかのパワーです!」

ドイツ兵B「実験室の内壁は厚さ10センチの鋼鉄版を5枚かさねており、100%安全と確信します!」

シュトロハイム「よし! 実験を許可する!」


柱の男『』ドクン ドクン


143: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:39:20.71 ID:zfzP97+L0


ジョセフ「……」ゴロゴロ

ジョセフ(カァーッ! ったく、床まで鋼鉄でできてやがる。くつろぐものもくつろげねーぜ)バギッ

ジョセフ(ディオに……ジョナサン・ジョースター……)

ジョセフ(そして吸血鬼か。確かにおれは昔から人よりチィと力が強くて、油断したらコーヒーカップだって握りつぶすし、コインだって破ける)

ジョセフ(おばあちゃんが悲しそうにするから気をつけるようにしていたが……そんな秘密があったとはな。エリナおばあちゃんが必死に隠したがるわけだぜ)

ジョセフ(だからこそ暴いたヤツ等は許せねえ!)

ジョセフ(逃げ出すのが一番というのに変わりはねーが、復讐のための布石はキッチリうっとくぜ! 特にシュトロハイムとかいうの~~! 名前覚えたぜ! 野郎ー!)

ジョセフ(あいつら今は柱の男とかいうのにかかりきりだ。この隙に何とか逃れられねーかな……)


ドイツ兵A『シュトロハイム少佐! 「柱」にヒビが入りました!』


ジョセフ「!」


144: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:41:57.26 ID:zfzP97+L0


ドイツ兵A『「柱」に吸い取られている血液量は5人分! 「柱の男」の能力は未知数なのであまりエネルギーを与えるのは危険と推測するからです!』


ジョセフ(…………エネルギー)


シュトロハイム『スピードワゴォ~~~~~ン♪』

シュトロハイム『何を怖がっている? 少し怯え方が異常じゃないかァ~~~~?』

SPW『ウヌボレ屋でもヤツを甘く考えるなッ!』


ドイツ兵A『ああ!?』

ドイツ兵A『なッ!? 何かが吹き出したぞーーっ!?』

ドイツ兵B『血液ですッ! 柱に染み込んだ血液が吹き出していますッ! みえません!』

シュトロハイム『シャワーで洗い流せ!』



145: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:46:00.59 ID:zfzP97+L0


SPW『おおおおお!』

ドイツ兵C『あ、あ、あ……』

ドイツ兵A『み、見てください! 石のようなハダだったのがつやつやと光沢と血色がついています! 生き物です! 人間と変わりない生き物です!』

シュトロハイム『フフフフフ……名前が欲しいな。柱の男じゃあ今いち呼びにくいッ! このシュトロハイムがゴッドファーザーになってやるッ!』

シュトロハイム『「メキシコに吹く熱風!」という意味の「サンタナ」というのはどうかな!』

シュトロハイム『サンタナッ!』

ドイツ兵A『おお! 起き上がるぞ!』

シュトロハイム『……!』

SPW『!』

ドイツ兵たち『……』

SPW『……』



  シィィーーン



ジョセフ「……」













シュトロハイム『ブワァーッ!!!! ワァーーーハッハハハッハハッハァーッ!!!!』




146: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:47:58.36 ID:zfzP97+L0


シュトロハイム『バァッハッハーーーッ!!! アヒーッ! アヒーッ! ヒーッヒーッヒーッ!!』

ジョセフ「……~~~~!」

シュトロハイム『バァーーハハハッハハハッハーーッ!!』


ジョセフ(なんだァ? おれの時より大うけしているじゃあねーか。コントでもやってんのー?)


シュトロハイム『なかなか楽しいヤツじゃあないか! あのサンタナは!』

シュトロハイム『究極の生物だと!? なんとアヒーッ! 「究極」! 見ろよスピードワゴン! クンクンにおいを嗅ぐところなどまるで原始人だな! 知能は低いんじゃあないのか!?』

シュトロハイム『笑わしてくれるぜ、まあいい! 石仮面を作ったのはヤツとしよう!』

シュトロハイム『おい! 例の実験開始だ! となりの部屋からあれを放てッ!』


ジョセフ「!」


SPW『な、なんだ!? あれはァァァッ!?』

シュトロハイム『捕虜よ!』

シュトロハイム『捕虜に……死にかけた捕虜の老人に……石仮面を被せたのだッ!』


147: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:50:06.96 ID:zfzP97+L0


SPW『きゅ、吸血鬼か!』

シュトロハイム『ヤツには今日まで一滴も血を与えていないので渇いている! すぐにでも攻撃する! その時サンタナはどう出るか! 闘わせてみるのだ!』

SPW『ああッ!』

シュトロハイム『なにィィーーッ!? いきなり予想外! 無抵抗に襲われている! これではただの人間ではないかーッ!』

ドイツ兵A『これではサンタナがひとたまりもありません! 捕虜の頭に爆薬を埋め込んでいます! 爆破させますかッ!? シュトロハイム少佐!』

シュトロハイム『よし! 許可す…………』

シュトロハイム『ま、待てッ! 爆破を待てッ!』

シュトロハイム『アゴが! と……頭部の下アゴを見ろ! そ、それに! あ……あの腕をッ! 腕も見ろッ!』

シュトロハイム『やられたと思ったら逆に口や腕がサンタナの体と一体化しているッ!』

シュトロハイム『ヤツは一体化してとり込んでいる! 食っているんだッ!!』

シュトロハイム『なんという生き物! 石仮面の男はヤツの食料なんだッ! サンタナは体全体で食うんだッ!』


ジョセフ「……」ピクン


ドイツ兵A『く、食いやがった……石仮面の男を食いやがった……』

ドイツ兵A『食いやがったァーーーーッ!!』


ジョセフ「……なんか」ゴゴゴゴゴゴ

ジョセフ「スッゲェー……嫌な予感ン~~……!」



148: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:55:05.12 ID:zfzP97+L0



見張りA「野菜類……カンヅメ……肉、ハム、卵……カゴの中身は食料品だなァーー!」

見張りB「よぉーし! 次はボディチェックだ! 並べーー!!」

見張りA「へっへっへ……」ナデナデナデ

女「……」

見張りA「なんだおまえ! なんだその顔は! 何をいやがっとるゥーー!!」

見張りB「ボディをチェックされるのが嫌なら嫌でもいいんだぞォ~~~おまえらはこの屋敷には入れん!」

見張りA「家事の仕事も頼まん!」

見張りB「家族を養えなくなってもおれは知らんぞーッ!」

女「い、いえ! そんな……け、決して!」

見張りA「わかっとるやないヶーーーーッ!!」

見張りB「それではどれ! 一番重要なところをチェックしておらんからな!」

見張りAB「笑顔でスカートをめくれ!」


女「う……う……」

見張りA「」ニヤニヤ

見張りB「」ニヤニヤ

149: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:57:27.02 ID:zfzP97+L0


  ガシィッ!



見張りA「ううッ!?」

??「そこまでにしておけ。……人間を辱めるのがきさまらの仕事なのか?」

見張りB「な、なんだきさまー!?」

??「フン」



  ダゴォッ!



見張りB「タコスッ!」

見張りA「な、何だァ~~! きさまーー!?」



  ドゲンッ!



見張りA「デーッ!!」

見張りAB「」バターンッ

??「呼ばれたので来た……。ボディチェックナシで悪いが、通らせてもらうぜ」



  ザッザッザッ…



女「///」ポー


150: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/21(月) 17:58:35.12 ID:zfzP97+L0





  TO BE CONTINUED⇒





162: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 22:00:47.56 ID:xW86qrc+0



研究員「シュ……シュトロハイム少佐」

シュトロハイム「……」ダラダラ

研究員「わ、わたしは……ち……ちょいと目を離したんです……」

研究員「あなたもそばにいました。みんなそばにいました。でも……誰も見ていないのです……」ガタガタ

シュトロハイム「飲んどる場合かーッ!!」バシッ



  ガシャァン!



研究員「う、う……」

研究員「ほ、ほんの少しの間でした……。わたしが目を離していたのはたったの数秒だったのです。わたしの視力は1.5です!」

研究員「でも中で何が起こったのかわかりません! 信じられません! ヤツは!」

研究員「この密室から……実験室の壁のどこにも破損はありません! こつ然と消えてしまったのですーーッ!」


163: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 22:10:22.74 ID:xW86qrc+0



  ゴオオオオオ……



ジョセフ「ううッ」

ジョセフ「スッゲー! 嫌な予感ッ!」

ジョセフ「いきなりおれを見る目が……ナチスの軍人ども以外の目が……増えたような~~……? そうでないよーな~~……?」

ジョセフ「だが、しかし、まさか! だよな……サンタナ……とか名づけられた原始人をナチスどもは見失ったらしいが……」

ジョセフ「密室から密室へ! おれの部屋へ、どうやって来るってんだぁ?」

ジョセフ「……」


  シィィーーン



ジョセフ「へ、へっへっへ、やっぱり『まさか!』だよなァァ~~、そんなこと……石仮面の吸血鬼が敗れたと聞いて、ほんのちょっぴり過敏になっているようだぜ」



  シュゴォオオオオ…



空気供給管「」ギラッ



164: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 22:45:12.67 ID:xW86qrc+0


シュトロハイム「ウッ……ぐ、ま、まさッ……か……!」

SPW「……なんということだ」

ドイツ兵たち「」ガタガタガタ


シュトロハイム「し、信じられん…………だが、記録フィルムは確かだ……そ、それが分かっていてもまだ理解が追ッつかんというのが正直なところッ!」

シュトロハイム「こんな生き物がこの世に存在するのか!」

シュトロハイム「ヤツはやはり実験室から逃げ出していた!」

シュトロハイム「自分の肉体を『おりたたんで』! ほんの4センチかける20センチの小さな空気供給管のスキ間に入って行ったのだァーーッ!」


SPW「すっ、すると! ヤツはこの建物の空気供給管のどこかにッ!」

ドイツ兵A「ひぃぃ~~!」

ドイツ兵B「あわわわわ……」

シュトロハイム「情けない声を出すなッ! ドイツ軍人が!」

シュトロハイム「落ち着けィ! いいかァ、落ち着けィ……! このおれもだが……」


シュトロハイム「と、とにかくわかっているのは……サンタナは実験室にはもうおらん! ならば今はどこだ? 次はどこへ行くのだ! 空気供給管を伝って?」

シュトロハイム「わたしたちを襲うつもりか? 外に出たがっているのか? それとも狭くて暗いところを好むのか……?」

シュトロハイム「いいや、もしあのサンタナが……目覚めたばかりの本能でッ! 行動しているとすれば……ヤツは空気供給管から何の気配を感じ取った? 何を目指してあそこに入った!」

シュトロハイム「それが分かっていれば、次に起きることの予想はつくぞ!」


SPW「ま、まさか……!」

SPW「JOJO!!」バッ


165: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 22:56:53.69 ID:xW86qrc+0


ドイツ兵A「あ……ああ……ああァーー!!」

ドイツ兵B「い、いたッ! ちょっぴりだがJOJOの後ろの空気供給管から体の一部が見えている!」

シュトロハイム「やはり! 狙いはJOJOか! 『くいもの』のニオイにつられたということかー!」



ジョセフ「!」

ジョセフ「ぬおおおおおおおーーーーっ!?」



  ドッシュゥゥーーッ

  ドザッ



ジョセフ「な、なんだァ? この勢いよく『ドザッ!』と落ちてきたものは? おれに襲い掛かってきたよーにも見えたが……」



  ピク、ピク……



ジョセフ「ま、まさか! だろォ~! このでっかくて細長い肉のカタマリが4センチかける20センチのスキ間を通ってきた『サンタナ』だってぇーのか? そんなわけ……」

サンタナ「」ムクゥーリ

ジョセフ「あるのね。うそン」オーマイガッ



166: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 22:58:41.94 ID:xW86qrc+0


サンタナ「」スオオオオオ…

ジョセフ「ム!」


ジョセフ(立った! ナワ抜け師のやる関節外しどころじゃあねえ、骨格ごとバラバラに変形させてあんな形になっていたんだろーに、まるで何事もなかったかのように立ち上がりやがった!)


サンタナ「……」

ジョセフ「ムムム!」ジリ

サンタナ「…………ゥ…………ツ……」

ジョセフ「『つ』?」

サンタナ「……シュ」

ジョセフ「『す』?」

サンタナ「…………ス…………トロ…………」

ジョセフ「ああァ~~?」

サンタナ「シュ……トロハ……イム~~……」



シュトロハイム「!」バンッ



167: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:00:19.70 ID:xW86qrc+0


シュトロハイム「なに~~~!? しゃべった! お、おれの名を! あの中では声は聞こえんはずなのに!」

研究員「シュトロハイム少佐、空気供給管です! あそこから通じてヤツに聞こえたのでしょう!」

シュトロハイム「な、なるほど……少なくとも身体能力のほうは……」

SPW「ジョジョはどうなのだ?」

シュトロハイム「え?」

SPW「ジョジョには今まで我われの会話が聞こえていなかったのか? まったく少しもか?」

シュトロハイム「……!」グアアアア



ジョセフ「あ、あー」

ジョセフ「シュトロハイム! あの小うるせードイツ軍人ね。そんなら人違いだぜ。おれはジョジョ。シュトロハイムの野郎は上、上!」

サンタナ「ウ……エ……」スッ

ジョセフ「そう! そう! アッチでおれらを見下ろしてるえらそーぶってるオッサンがそれよ!」

ジョセフ「そういうわけでお帰りはあちらでェーす(空気供給管)」

サンタナ「」グワッ

ジョセフ「うおおお!!?」



ドイツ兵A「!」

ドイツ兵A「サンタナがジョジョに再び襲い掛かりました!」


168: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:12:23.17 ID:xW86qrc+0


シュトロハイム「やつは!」バンッ

シュトロハイム「サンタナとの接触を回避した! サンタナの体に触れる事を恐れている! サンタナの生態を知っている! やはりヤツは聞いていた!」

SPW「ッ……」



ジョセフ「おうコラ! いきなり何してくれちゃってんだーテメー!? ノックノック!」

サンタナ「……」ゴンゴン



ドイツ兵A「……」

シュトロハイム「お、恐れて……いるのか。いや……やはりただ本能的によけただけか。わ、わからんッ」

SPW(いや! 確実だ! ジョジョは逆にわしらを観察し、反応を窺っている! わしらの会話を聞いたのであえてサンタナに近づいて見せたのだ!)

SPW(一見お茶らけている風でも、こと生きることに関してヤツは真剣だぞ!)

SPW(そしてサンタナ! ヤツも知能があるとすれば……あるいは……ジョジョと同じく……!)



サンタナ「……」ゴゴゴゴゴ

ジョセフ「……聞いてんのかァ~~? もしもォ~~し!」

サンタナ「……」ゴンゴン


169: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:17:32.94 ID:xW86qrc+0


ジョセフ「……フム」

ジョセフ(どーやらコイツが体で食うのは生き物だけらしいな。手袋越しに小突いてもなんともねーぜ)ズブッ

ジョセフ「うおっとっとっと!?」

ジョセフ(う、うっかり指を食われちまうとこだったぜ……! やっぱしあんま触るのはよしとこう)

ジョセフ(しかし、思ったより大人しいヤツだねえ~~! 敵意もなさそうだ。食いそこねちまったのが恥ずかピーのか、おれを無視し続けてるのはちょっとムッとくるが!)


サンタナ「」フイッ

ジョセフ「あッ、待てコラ」

サンタナ「……ま……」

サンタナ「まぶ……しい…………なんだこの光は……!」

ジョセフ「!」


170: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:20:32.48 ID:xW86qrc+0


シュトロハイム「しゃ、しゃべった! また!」

SPW「や……やはりヤツは高度の知能の持ち主ッ! この短い間で我われの言葉を学習してしまっている!」



サンタナ「建物……の中のよう……だが……こんな光は初めてお目に……かかる」

ジョセフ「おいテメー! ことばが分かるんなら返事くらいしろよなあ~~」

サンタナ「……起きた……のではなく起こされた……。どうやら……この部屋の向こうにいるヤツ等の仕業……らしい……な」

ジョセフ「ヘイ! サンタナさぁ~~ん? こっちこっち!」ウロウロ

サンタナ「外の世界……も同じよう……に……変わっているの……か」

ジョセフ「タッチィィ~~~~!! ほーれサンタナさーん! カモンカモォ~~ン!」ウロチョロ

サンタナ「二千年の間に……人間……も進化……したらしい」

ジョセフ「おい! 人が下手にでてりゃあ調子に乗りやがって! こっち向け! 何モンなんだよてめーは!」グイィー



サンタナ「うっとおしい、ぞ……この……原始人が」

ジョセフ「てめーを始末して一応の安心といきたいんでね、悪ィなサンタナさん」



サンタナ「!」


  ビッキィィインッ!



171: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:22:01.93 ID:xW86qrc+0


ドイツ兵A「ああッ!?」

ドイツ兵B「お、おかしい……! サンタナの体が……こ、凍っているゥーー!」

シュトロハイム「スピードワゴンの言っていた気化冷凍法かッ!」

SPW「な……」ブルブル

SPW「なんだと……!」


ジョセフ「確かに自分の体を自由に操るという点じゃあおめーの圧勝だろう。だからこその不意打ちだぜ! こっちを舐めきってるのが伝わったんでなぁー!」

ジョセフ「いくら骨格ごとバキバキに変形できても、身動きできねえんじゃあ同じだろーぜ! 完璧だよォー! この作戦はァー!」

ジョセフ「ウリィィヤアァ! 砕け散りやがれー!」

サンタナ「……」



  バッガアーーンッ!

  バラバラバラ……



ジョセフ「やったぜ! 完璧だよォー! お……」

シュトロハイム「!」

SPW「こ、これは……!」

サンタナ「……」ゴゴゴゴゴゴ



173: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:25:49.65 ID:xW86qrc+0


ジョセフ(にゃにぃ~!? ゼンゼン砕け散ってねぇー!?)

ジョセフ(ど、どうしてだ!? 意味がわからねーぜ!?)

サンタナ「」バキバキバキッ


シュトロハイム「! サンタナの肋骨が!」


サンタナ「」グルンッ



  グオオッ!



シュトロハイム「体外に飛び出て襲い掛かったァーーッ!」

ジョセフ「ぬおおおおーー!!」

ジョセフ(ま、まずい! こいつカミツキ罠のようにおれを掴まえて、取り込もうとしている!)

ジョセフ「」カッ

SPW「あの目は!」

サンタナ「……!」



  シュゴオオオオーーーッ



シュトロハイム「ジョナサン・ジョースターの使った、目からの光線か!」




175: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:27:34.71 ID:xW86qrc+0


ジョセフ(こ……このワザは追い詰められたやつの最後っ屁って雰囲気があってあんまし使いたくなかったが……あっさり使わされちまったぜ……!)

ジョセフ(だが結果オーライだ! 脳天をぶち抜けなかったのは残念だが、ヤツを撃った反動で一歩間合いを取れたぜ!)



  ギュインッ ギュインッ



ジョセフ「!」

ジョセフ(にゃにィィー! 肋骨がおれを追って方向転換した! この肋骨! 方向自在か~~ッ!!)

ジョセフ(よ、よけられねえ!)



  ザズゥッ!



シュトロハイム「!」

SPW「あ、ああ……!」



  ビシャア!



ジョセフ(……!)

ジョセフ「」ドサァッ


ドイツ兵A「う、うわああ……」

ドイツ兵B「ジョジョの頭……か、顔、顔が……切断されたァーー!」


176: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:29:31.18 ID:xW86qrc+0


シュトロハイム「」バッ


ジョセフ「」


シュトロハイム「顔半分をえぐられている。人間ならば当然! 死ぬ……」

シュトロハイム「だがヤツは……」

SPW「う、う……お、おそろ……しい……」

ドイツ兵たち「」ゴクリッ

シュトロハイム「貴様等もよく見ておけ! あれこそ人間の脳の可能性よッ……!」



ジョセフ「……」

ジョセフ「……こ、の……!」

サンタナ「……」

ジョセフ「パープリン……野郎が……ガボボッ!」



ドイツ兵A「い、生きている……!」

SPW「……ううッ」



サンタナ「ム……」

ジョセフ「てめ~~! おれの顔半分をぶっ飛ばしやがって!」

ジョセフ「このクチビルじゃあ……ゴボッ! 女にキスもできやしねえじゃあねえか! チクショーーーー!!! ゴボゴボッ!」



178: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:33:52.25 ID:xW86qrc+0


サンタナ「なるほ……ど。……エサ……のほう……だった……か」

ジョセフ「ああーー!?」

ジョセフ「頭にきたぜ! てめえを氷付けにして『知恵遅れ原始人』の名で博物館にかざってやるッ!」ゴボボッ

サンタナ「」ズンッ


ジョセフ(とは言ったものの、どうしたもんか……)

ジョセフ(脳が足りてねえせいかクラクラするぜ……まず顔を元に戻したいところだが、切り飛ばされて天井の壁に引っ付いてやがる)

ジョセフ(取りに行こうとすれば当然! そこを襲われちまう……)


サンタナ「……」


ジョセフ(スカした面で見やがって!)

ジョセフ(それに上からハブ対マングースの戦いでも見てるかのよーにニヤついてやがるナチの連中も気にくわねえ!)

ジョセフ(どいつもこいつもブッ殺してやろうか……)

ジョセフ「くそ……脳が足りてねえからかな……熱くなっちまってるぜ……」ヨロッ

ジョセフ「これ以上は……こぼせねーぜ……」

サンタナ「……」ゴゴゴゴゴゴ




179: ◆A4ItUlGA/6 2014/07/23(水) 23:34:57.58 ID:xW86qrc+0








 TO BE CONTINUED⇒