上条「はぁ…」テクテク

上条「いよいよ財布の中が空っぽになっちまったか……」

上条「これじゃ購買部のパンも買えねぇ……っていうか、そういえば俺の出席日数って本格的に大丈夫なのか??」

上条「小萌先生の家って確か近くにあったよな……よし、行くか」ダッ

ゴンッ!!

そう言って走り出し、曲がり角を曲がった所で誰かとぶつかってしまったらしい。

上条「いてて……あ、すみません」

上条 vs >>4

引用元: ・上条当麻「ん、とある禁書キャラが戦うスッドレか」

4: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:11:04.132 ID:Gu1owWhSa
テッラ×5

13: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:20:22.917 ID:IaMw2ijV0
テッラA「まったく、これだから異教の猿は……」ムクッ

テッラB「やれやれ、困りましたねー」ムクッ

テッラC「私の小麦粉にその右手が当たらなかったのは幸いですがねー」ムクッ

テッラD「こちらこそすみませんねー、あなたの首一つで許して差し上げましょう」ムクッ

テッラE「くっ……私の服が小麦粉に染まってしまいましたねー」ムクッ

上条「いやぁホント俺の不注意で……はぁぁぁ!?」ズサーッ

テッラC「む、なんですかその目は」

テッラA「これだから異教の猿は……」

テッラE「どうやら、私がここにいることに驚いているようですねー」

テッラD「ふっ……まぁこの左方のテッラと接触してしまったことが運のごっぐしゃぉあ!!?」ドカッ!!

上条「うるせぇ!一気に喋るんじゃねぇ、情報量が多すぎるわ!!」

テッラB「くっ…ですがそのテッラはテッラの中でも最弱……」

テッラA「異教の猿ごときに負けるとは……テッラの中のテッラ汚しですねー」

上条「(うるせぇ……!!)」

17: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:28:29.028 ID:IaMw2ijV0
上条「突っ込み所が多すぎるけど、とりあえず質問させてくれ」

テッラB「なんですかねー」

テッラE「まさかこの左方のテッラに文句でもあると?」

テッラA「ふっ……異教の猿が……」

上条「(文句ってか突っ込みなんだけど……あと向かって一番左の奴『異教の猿』としか言わねぇな)」

上条「なんで生きてるの?」

テッラB「クローン技術ですねー」

上条「なんで5人なの?」

テッラE「クローン技術ですねー」

上条「誰の差し金なの?」

テッラC「クローン技術ですねー」

上条「それしか言わねぇ幻想をぶち殺す!!」ブンッ

テッラC「クロォォォォンッ!!?」ズサーッ… ドサッ

テッラA「くっ……異教の猿が……」グッ

19: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:39:34.728 ID:IaMw2ijV0
上条「(まるで意味がわからんが、とりあえずこれで3人、いけるか……?)」ダッ

テッラ「「「優先する」」」

上条「ッ!!?」

テッラA「──人体を下位に、小麦粉を上位に!」ブンッ

テッラB「──空気を下位に、小麦粉を上位に!」ブワッ

テッラE「──外壁を下位に、人体を上位に!」スーッ…

上条「(くっ……一度に優先できる量が多すぎる…!!)」ダッ

テッラの放った小麦粉を右手で受け止めその反動で大きく距離を取り、続く小麦粉の膨張をしゃがんで回避する上条。

そして、

グシャッ!!

テッラA「お……ぁ、」

テッラB「!!?」

テッラB「……はっ、まさかあのテッラが人体より優先し、私が空気より優先した、二重の優先を受けた小麦粉が……!?」

テッラA「……、い……異教の、猿がぁぁ……」ドサッ

テッラB「テ……テッラァァ!!」

上条「チームワークを意識しない奴で助かったぜ……」

20: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:49:39.065 ID:IaMw2ijV0
テッラB「くっ……」

上条「あとはお前だけだ!」ダッ

テッラB「優先す──」

上条「遅ぇんだよ!!」ブンッ!!

テッラB「ふぐぉっ…!?」

上条「例え何人に増えようが、『優先』って安全地帯に隠れてその足で正々堂々と戦場に立ってない野郎が、俺や他の奴より強いわけねぇだろうがっ!!」ソゲブッ!!

テッラB「ぐ、がふっ……」ドサッ

上条「……ふー、何とか終わったか。流石に角曲がった途端に5人とテッラと衝突するとか思わなかったけど」テクテク

──────────

テッラE「………そろそろ奴の体力も尽きた所でしょうし、ようやっと私の出番というわけですねー」スーッ

スタッ

テッラE「………おや?」

テッラE「…………」

テッラE「…………」

モブ「ママー、なんか変な服と顔の人がぼーっとしてるよー?」

モブ「見ちゃいけません!!」バッ

テッラE「…………」


──────────

21: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:51:02.174 ID:IaMw2ijV0

>>23 vs >>24

23: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:56:01.198 ID:ajYzFdr80
手塩

24: 名無しさん 2020/09/05(土) 22:56:46.496 ID:0idbQU5Z0
トール

30: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:08:28.666 ID:IaMw2ijV0
手塩「ふむ……」テクテク

手塩「暗部の解体宣言か……それはいいが、後の処理については考えているのだろうか?」

手塩「クリスマスの騒動を見た限り、あの新統括理事長放任主義のようだし、治安が少々心配だな……ん?」

トール「よぉ、そこのアンタ。ちょっといいかい?」ザッ

手塩「……なんだ?(こいつ……この町の人間じゃないな。しかも、恐らくかなりのやり手)」グッ

トール「そう警戒すんなよ、俺は別に騒ぎや悪さを企ててるわけじゃねぇんだ」

手塩「ならどうした」

トール「俺は前までとある組織にいたんだが……そこが解散されちまってよ、最近退屈でね」

手塩「ん?奇遇だな、私も似たような状況だ」

トール「そう、アンタはそんな目をしているって一目でわかったぜ。この町の『闇』に関与してんじゃないかってな」

手塩「…なら欲しいものは情報か?生憎だが……」

トール「いやいや。強いて言えば『経験値』かな」

手塩「……?」

トール「ちょっくらここで、俺とストリートファイトしようぜ」グッ

手塩「………ああ、なるほど喧嘩バカの類いか。警戒して損した」

トール「誤解が解けたようで何より。じゃあいくぜ」ダッ

32: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:21:44.588 ID:IaMw2ijV0
トール「」ダッ

手塩「(見かけの割に早い……だが)」スッ

パシッ

トール「!?」

手塩「」ブンッ

トール「ごっ、がっ……」メキメキッ

正面から来た彼の拳を受け止め、同時に膝蹴りを叩き込んでいく。

手塩「……こっちは能力抜きでこの町の能力者達を相手にしてきている。その辺の不良よりか武術に心得があるぞ」ブンッ

トール「ッ!」パシッ

ググググ……

トール「悪いが、こっちもその程度の心得ならあるさ」

メキメキメキ…

手塩「(こいつ……この華奢な体のどこにそんな力が……)」

トール「おおぉぉぉ!!」ブンッ!!

ガッシャーン!!

少女的な体躯の少年は、そのか細い腕でガタイの良い成人女性を投げ飛ばしていく。

手塩「がっ……」ガクッ

トール「っと」コキッ コキッ

トール「いやー効いたぜさっきの膝蹴り。アンタも目標を持って戦いを続けりゃ、第四位くらいの体術はできるんじゃねぇか?」


──────────

33: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:22:22.372 ID:IaMw2ijV0

>>35 vs >>36

35: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:24:16.148 ID:UKYhAQHE0
パンタグルエル

36: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:25:04.218 ID:aEgtxRzV0
木原加群

40: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:38:16.023 ID:IaMw2ijV0
加群「ん……?」

加群「これは……生きて、いる?」

加群「私は確かに病理との戦闘で死んだはずだが……どうなっている?」テクテク

ザッ

加群「……私に用か?」

パンタグルエル「……汝は我と同じ気配を感じる、本来の時系列にはいないはずの存在、違うかね?」

加群「どうやら君も私と近しい境遇のようだな」

パンタグルエル「厳密には『死』とは異なるが、まぁこれについては些細なことよ」

加群「で、私に何の用だ?魔術師」

パンタグルエル「!……ほう、この町の住民でも我を魔術師と認知できるか」

加群「その独特の呼吸、周囲に漂う気配、それらを鑑みて魔力を精製しているということくらいわかるさ」

パンタグルエル「であれば話は早い。我が願いを再び成就するため、我の存在を認知できる者には消えてもらう」

加群「いいだろう。私もどうせ消え去る身だからな。ただし、この目で宿敵の生死を確認するまでは、死ぬつもりもない」スッ

パンタグルエル「では」

加群「いくぞ」ダッ

43: 名無しさん 2020/09/05(土) 23:50:51.995 ID:IaMw2ijV0
加群「(奴の手や服装に霊装は見当たらない、だとすると……)」

パンタグルエル「(パラメータ改竄:神裂火織)」ヒュン

加群「(っ…!?)」

ボコッ

加群「ぐおっ…」ズサーッ

加群「(速いな…肉体強化系の魔術か?)」グッ

パンタグルエル「(パラメータ改竄:御坂美琴)」スッ

ビリビリビリッ

加群「(今度は電撃か)」ダッ

加群「ぐっ…」ビリビリビリッ

パンタグルエル「(こいつ……先ほどから何故わざと当たりに来て…)」

加群「」ブォーン

パンタグルエル「くっ…」ヒュン

ズシャッ!!

白いコートの男の指から伸びた青白い光の刃は、しかしオールバックの口裂け男には当たらず手近なコンテナを切断していく。

加群「……(単なる速さではなく、空間移動(テレポート)を模倣しているのか?)」ダッ

44: 名無しさん 2020/09/06(日) 00:01:07.603 ID:tDsh958J0
パンタグルエル「(条件付きで攻撃を無効化する術式か……面倒だな)」

パンタグルエル「(パラメータ改竄:一方通行)」

ギュンッ!!

加群「(今度は運動能力の操作か……だが)」グッ

加群「(好都合だ)」ブンッ

キーン!!

加群「(……これは、まさか『反射』か!?)」

ガシッ

パンタグルエル「(捉えた!)」グッ

加群「(しまっ…)」

ブシューッ!!

全身の血流が逆転し、その白衣が真っ赤に染まる程の『致死量』のダメージを受ける。

パンタグルエル「どうやら、直接体内に作用する攻撃であれば…」ズシャッ

パンタグルエル「おっ……ぐぉぉぉ!?」ヒュンッ

加群「(……またテレポートか、厄介だな)」

パンタグルエル「(何故、奴はまだ普通に呼吸を続けられる……?いや、それより…)」

パンタグルエル「貴様のその『刀』、まさか」

加群「ああ。ではそろそろネタばらしといこうか」

45: 名無しさん 2020/09/06(日) 00:18:44.906 ID:tDsh958J0
加群「私が扱っている力は二つ」

加群「一つは『致命傷となる攻撃に限り』あらゆる攻撃を無効化する術式。もう一つは、『傷を負う程に』刃の切れ味を増幅させる術式だ」

パンタグルエル「なる、ほど……我の『反射』を貫いたのは」

加群「ああ。第一位のベクトル操作は純粋な物理現象や超能力であれば完全に防ぐことはできるが、魔術に関してはある一定の角度で浅く弾き統一性のない現象を起こす程度の効果しか得られない」

加群「よって、致命傷とならない半端な傷を無数に居った今の私の刃であれば、その反射角を越え攻撃を当てることが可能となる」

パンタグルエル「………ふ、なるほど。良い術式だ、だが」シュウウウ…

加群「傷が……塞がっていく……?」

パンタグルエル「健闘の褒美に我の術式を教えてやろう」

パンタグルエル「我が扱う術式はシジルを応用したロンドネットの術式」

加群「ロンドネット…?それは確か……」

パンタグルエル「それ自体は単なるSNSだが、魔術的記号を埋め込むことで、『儀式場とした範囲を仮想空間に置き換え、人や能力や物や町や物理法則をパラメータ化し思いのままに操る』術式へと改竄した」

加群「なん……だと」

パンタグルエル「理解はしたかね?……我や他者を瞬間移動させたり、記憶を改竄したり、能力を抽出したり、特性を奪ったり、傷を治療したり、意識を奪ったり、存在そのものを消去したり……そんなことは、片手間で行えるのだよ!」

パンタグルエル「……もちろん、学園都市の住民である汝も例外ではない。では」

加群「く……」

パンタグルエル「さらばだ」スッ

ヒュンッ

そして、木原加群は二度目の『死』を向かえることとなる。


──────────

46: 名無しさん 2020/09/06(日) 00:19:59.345 ID:tDsh958J0

>>47 vs >>48

47: 名無しさん 2020/09/06(日) 00:23:49.717 ID:M1OeaRgz0
パンタグルエルって奴確かにやってること初春っぽいな
世界を仮想に置換して数値化して操作ってまんま天使竜の倒し方やん
安価st

48: 名無しさん 2020/09/06(日) 00:27:44.742 ID:W9WOQ8Wh0
垣根

52: 名無しさん 2020/09/06(日) 00:42:46.320 ID:tDsh958J0
垣根「…ここ、は……」ムクッ

垣根「学園都市……?だが、確か俺は……」

垣根「……まぁいいや、とりあえず散策するか」テクテク

垣根「……ん?」

バサッ

白垣根「……まさか、オリジナルと会えるとは思いませんでした」スタッ

垣根「……お前、『未元物質』か?」

白垣根「えぇ。そういうあなたはまだ『こうなる』前のようですね」

垣根「今一状況が読めねぇ……」

白垣根「同意です」

垣根「ただ、お前も未元物質を操れるのなら放っておくわけにはいかねぇな」

白垣根「それについても同意ですね」

垣根「なら、俺が今から何するかわかるよな?」バサッ

白垣根「未元物質を操る学園都市第二位のレベル5垣根帝督はこの世に二人もいらない、どちらが本物かを決めようと、そういう話ですか」バサッ

垣根「わかってるじゃねぇか。流石未元物質だ」

白垣根「ですが、自我を持った私としてもそれは困りますね」

垣根「なら止めてみるか?」

白垣根「えぇ」

垣根「そうかい」ダッ

55: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:01:52.093 ID:tDsh958J0
垣根「」バサッ

ズシャッ!!

白垣根「か、は……」

垣根「どうした?それで終わりじゃねぇんだろ」

モコモコモコ…

白垣根「当然です」バサッ

垣根「ちっ…」バサッ

ガキーン!!

未元物質で形成された2つの翼が激突する。

モコモコモコ…

カブトムシ『』ブーン

純白の少年の横から、分裂形成された同じく真っ白なカブトムシが突進する。

垣根「……くだらねぇ」スッ

カブトムシ『』ブーン…パキ…パキパキパキ……

白垣根「っ!?」パキパキパキ…

瓜二つ……というより元となった茶髪の少年が手をかざすと、カブトムシの表面が突如ひび割れ、それを生み出した白垣根も崩壊を始める。

垣根「お前、未元物質が単に任意形状の物体や生物を再現なく生み出せる能力だと思ってねぇか?」

垣根「そいつは違う。未元物質はこの世に存在しない素粒子だ。従って、本来の物理法則とは異なる様々な現象を引き起こすこともできる」

白垣根「く……」パキパキパキ…

垣根「例えば、空気中の窒素に触れた特定の未元物質は乾燥しひび割れていく、とかな」

白垣根「……なる、ほど」サー…

白い少年は、砂のように空気中に散っていく。

垣根「まぁ、恐らく俺の一側面であろうお前は、思考や感情なんかが俺とは異なるんだろうよ。だから、肉体の強度はともかく、応用の面では差も出るって話だ」テクテク

56: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:21:15.330 ID:tDsh958J0
白垣根「……かもしれませんね」バサッ

垣根「…!」ゴッ!!

ガキーン!!

垣根「ちっ……大方、他所で生成した個体にさっき俺が組んだ法則をカバーできる公式でも埋め込んだとかだろ」

白垣根「流石に看破されてしまいましたか」スタッ

垣根「そもそも、崩壊を起こしてない俺の翼の性質を解析して自分に適用するだけだしな。目の前に答えが丸々載ってる問題ほど退屈なもんもねぇよ」

白垣根「……困りましたね。そうすると、最終的に『未元物質』そのものである私の方が、生身の肉体を持つあなたより先に自壊してしまう」

垣根「よくわかってんじゃねぇか。流石俺だ」

白垣根「あなたそのものではありませんけどね」

垣根「で、どうする?どんな法則を作り出しても最終的にお前の敗北は確定してるわけだが」

白垣根「もちろん、抗いますとも」ダッ

垣根「……、そうかい」バサッ

──────────

垣根「お前が最後だ。それ以上分離すると、99.99%で別の自我に飲まれるぞ」

白垣根「くっ……えぇ、そのようです」

垣根「まぁ、この俺を相手にここまで持ちこたえたんだ。それは誇っていいと思うぜ」

垣根「……じゃあな、『垣根帝督』」

ズシャッ!!

白垣根「(まったく……悪態をつきながらも最後にそう呼んでくれる辺りが、善も悪も全ての面を備えた『垣根帝督』らしいですね……)パキパキパキ…

消えゆく瓜二つの少年を背に、勝者となったその少年は、もう一度同じ言葉を呟いた。

垣根「……じゃあな、『垣根帝督』」


──────────

57: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:22:48.133 ID:tDsh958J0

>>59 vs >>60

59: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:26:55.446 ID:0s0Y6nQm0
削板軍覇

60: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:27:50.135 ID:RIjZ7IhO0
上ジェルマン

62: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:42:43.880 ID:tDsh958J0
削板「うーん、最近は根性ある奴とやりあってねぇなぁ」テクテク

削板「どこかにいたら戦いたいんだが……お?」

──────────

上条「くっそー……絶対この辺だと思ったんだけどなぁ……」テクテク

上条「テッラ5人衆に襲われた時落としちゃったんだよなぁ、財布」テクテク

上条「そりゃ中身は空っぽだけどさぁ……あれだって無料ってわけじゃないんだし…」

削板「おーいカミジョー」ダッダッダッ

上条「ん?……削板か、良い所に来たな。ちょっと聞いてくれよ」

──────────

削板「ほーん、分裂した根性無しに根性入れてたら財布落としちまったのか」

上条「あぁ。だから手分けして探してくれねぇかなって」

削板「ああいいぞ」

上条「本当か!助かっ…」

削板「ただし条件がある。それは今からこの俺と根性比べをすることだーっ!」バーンッ!!

上条「くっ……助かったと思ったのにまたなんか無駄に大怪我しそうな事案が!?あとその背後で炸裂したカラフルな煙はなんだよ!!」

削板「そうと決まれば……いくぜ!」グッ

上条「まだやるって決めてねぇんだけどなぁ……」

上条「……しょーがない、お前は別に悪い奴じゃないし、こうなったらとことん付き合ってやr」

削板「すごいパーンチ」ゴッ!!

上条「るぅぅぅんぉおあああああ!!?」

ガラガラガラ…ガッシャーン!!

ツンツン頭は遠くのコンテナ群に激突し、その山に埋もれて見えなくなってしまった。

63: 名無しさん 2020/09/06(日) 01:51:34.729 ID:tDsh958J0
上条「いてて……くそ、動けねぇ」

アンナ「……あら?」テクテク

アンナ「(前後の流れは全く読めないけど、何だか面白そうね)」

アンナ「ちょっといいかしら?」

上条「だ、誰かいるのか…?見えねぇけど……よかった、ちょっとこの瓦礫の山を何とかしてくれ」

アンナ「その前に、わらわ特製の痛み止め兼治療薬を投与してあげるわ。そのまま引っこ抜いて体を怪我したら困るでしょう?」スッ

上条「あ?あーそうだな、じゃあお言葉に甘えもごっ!?」

アンナ「じゃあね」テクテク

上条「お、おいこれ退かす方は……!?もごもご、まぁ治療薬貰えたのは驚いたけど……」ゴクン

ミシッ

上条「ん……?これ、この感覚に、中年おっさん味……まさか」

メキメキメキッ

上条「ごっがぁぁあああああ!!?」ビクンビクン

──────────

削板「カミジョーの奴遅いな……いつもならすぐ出てきそうなんだが」

──────────

64: 名無しさん 2020/09/06(日) 02:07:46.559 ID:tDsh958J0
上条の全身が悲鳴を上げる。激痛と共に出血し、意識や自我が曖昧なものとなっていく。

上条「(この感覚は……間違いない、なら…やってやるよ、何度でも)」

コンテナの山の中で『一人』取り残され、手足も動かせない彼は、それでも力ある言葉を放つ。

上条「……俺は、『お前』を知ってるよ。具体的な経緯なんかはわからないけど、それでも……お前を知っている」

そこには誰もいないはずなのに。

上条「……お前はただ、「人に夢を与えたかった」。それが一番最初に抱いた、お前の夢だ。違うか?」

呼応する声があった。

サンジェルマン『……何故、それを』

上条「『お前』から聞いた」

サンジェルマン『……なるほど』

その台詞は、『彼』を納得させるだけのものだったのだろう。

サンジェルマン『……私はただ、人々に「夢」を与えたかった』

上条「………」

サンジェルマン『例えそれが「虚構」のものであったとしても、いつかそんな夢を実現する者が現れるように。私は、彼らの目標となり……生きる活力を与えたかった』

上条「……じゃあ、さ……俺に力を貸してくれないか?」

サンジェルマン『………』

上条「お前と共に闘いたい。そして、お前の夢を叶える手伝いがしたい。それが……今抱いている俺の『夢』だ」

サンジェルマン『……ずるい言い方だ』

上条「かもしれない」

サンジェルマン『………、あぁ』

この少年の置かれた状況から察するに、この場を脱するだの対話でもあったのだろう。
だけど、その言葉が嘘でないことは、少年の脳を使っている彼には理解できた。
だから。

サンジェルマン『       』

聞き慣れない言葉だった。
しかし、その単語と数字の言い回しには覚えがあった。
すなわち、
魔法名。

サンジェルマン『……私は、人の想いを、夢を!守りたい!!』

その言葉と同時に、上条の『左手』が黒く硬質化していく。

サンジェルマン『この世界に、諦念の「涙」なんていらない!!』

そして、周囲から放たれた炭素の槍が、彼に自由を与えるべくコンテナの山を打ち砕いていく。

上条「──行こう」

66: 名無しさん 2020/09/06(日) 02:23:43.300 ID:tDsh958J0
削板「ちょっと遅いな……心配だし様子見に行くか」ダッ

ガラガラガラ…

削板「ん……?」

上条「悪い、待たせたな」

削板「いやそれはいいんだが……なんかすげー血が出てるし、左手と頬の辺りが真っ黒だし、大丈夫か?」

上条「大丈夫だ、問題ない」

削板「そうか……よくわからんが、根性振り絞って立ち上がったのはわかるぞ。そんなもの見せられたら、俺も根性見せるしかねぇよな!」グッ

上条「……行けるか?サンジェルマン」

サンジェルマン『誰にものを言っている』

削板「すごい……パァァンチッ!!」ゴッ!!

上条「おおおおっ!!」パキーン!!

上条「(……あいつの能力は、とりあえず消せる。まずはとにかく近づいて……)」

削板「相変わらず面白ぇな、その右手!!」ドンッ!!

ドドドドド……!!

根性の男が地面を殴りつけると、その衝撃が伝播し地を破壊しながら上条に襲いかかる。

上条「くっ……サンジェルマン、頼む!」ズズズ…

サンジェルマン『任された。命は繋ごう』

ツンツン頭の肉体の主導権が左手を起点に入れ替わる。

サンジェルマン『シャンボール』

走る上条の左右から、黒く硬質化した炭素の槍が鞭のようにしなり、破壊の渦を吹き飛ばしていく。

70: 名無しさん 2020/09/06(日) 02:45:03.287 ID:tDsh958J0
削板「あん?その右手……打ち消し以外の能力もあるのか?」

サンジェルマン『いいや。今この少年には、二つの意思と力が共存しているというだけだよ』ダッ

削板「(アストラル・バディとかドッペルゲンガーみたいな話だな……)」

削板「とにかく、半端な根性じゃ押し返されるってことか」スッ

サンジェルマン『む……?』

削板「はぁぁぁぁぁぁああああ……」ゴゴゴゴ…

削板「超すごいパァァンチッ!!』ドッッ!!

ドドドドド…!!!!

サンジェルマン『これは……受け止めるのは厳しそうだな』グッ

サンジェルマン『テトラクテュス、それは10を形作る数字の三角。その完全性にて我を上昇させよ!』スッ

上条の両手指から炭素繊維の糸が展開され、トランポリンのようにその体を高く飛ばす。

削板「へぇ、色々できるんだな。だが空中じゃ避け切れねぇだろ」

サンジェルマン『くっ…』

再び狙いを定めた鉢巻の少年の目が光を放ち、謎の波動でその身を包む。

削板「超すごい…パァァンチ!!」ゴッ!!

サンジェルマン『能力者!!バトンを受けとる用意はできたか!』ズズズ…

上条「あぁ!!ゲホッ…!」

『能力者が魔術を行使する反動』によって心身にダメージを受けるが、それ以上の危機が上条の思考を先鋭化させていく。

71: 名無しさん 2020/09/06(日) 03:03:24.129 ID:tDsh958J0
上条「うおおおおお!!」パキーン!!

ジリジリジリジリジリ…

上条「(くっ……何だこの質、打ち消し切れねぇ……!!)」メキメキメキッ

上条「おぉああああああッッ!!」グイッ

ドォォォーン……

削板「(ギリギリの所で上に反らしたか……)」

ヒューン…

上条「やべっ…着地!」

サンジェルマン『そのくらいならお安い御用だ』ズズズ…

上条の左手から炭素繊維の糸が網のように広がり、その体を受け止める。

上条「ぐっ……助かった」ズズズ…

制御権の戻った上条は、微妙に絡まった残りの糸を右手でほどいていく。

上条「(正直に言って、もう意識のラリーを何度も続ける程の体力は残っちゃいねぇ……だけど)」ダッ

上条「(削板(あいつ)は、目と鼻の先!!)」ダッダッダッ

削板「へぇ、そこまでボロボロになってもまだ向かってくるか……やっぱ大した根性だぜ、お前」グッ

上条「(このまま直接向かっても、あいつの攻撃を受け止めるのはもう難しい)」

削板「(あいつが俺に拳を叩き込めるまでの距離を逆算、そこまでは根性を溜めて、この一撃で決める!)」

削板「はぁぁぁぁぁあああああ……」ゴゴゴゴ…

上条「(恐らく、次の攻撃で俺は倒れるのだろう。……だから!)」ダッ

74: 名無しさん 2020/09/06(日) 03:16:43.664 ID:tDsh958J0
削板「(あいつの拳が俺を捉えるまで……)」ゴゴゴゴ…

上条「………」ダッ

削板「(6…5…)」

上条「………」ダッ

削板「(4…)」

上条「(サンジェルマン!!)」ズズズ…

心の中で叫んだ直後、彼の足元からダイヤモンドで形成された六角柱が斜めに突き出し、その体を爆発的に加速させる。

削板「は…!?」

サンジェルマン『(能力者!)』ズズズ…

上条「(サンジェルマン!)」ズズズ…

上条&サンジェルマン『「返す!!」』ドカッッ!!

意識(こんじょう)の範囲外から二人分の拳を受け、削板の体が後方へと吹き飛んだ。

76: 名無しさん 2020/09/06(日) 03:35:05.369 ID:tDsh958J0
──────────

削板「中々見つからねぇなぁ……ん?」テクテク

削板「……お、もしかしてこれか?」スッ

上条「ん?……おお、これ、これだよ俺の財布!!」

削板「よかったじゃねぇか、根性振り絞った介があって」

上条「あぁ、よかっ……」フラッ

ドサッ

削板「……お?おーい、大丈夫かー?って、至る所が血まみれじゃねぇか!」

削板「いや、これは俺のせいなのか……?いやでもそこまで内側からボロボロになるような攻撃した覚えも……と、とにかく110番だな!!」スッ

愛と勇気と根性の男は、真紅に染まったツンツン頭を抱えて走り出す。

そして、

サンジェルマン『(……まったく、シュプレンゲル嬢も厄介なことをしてくれたものだ)』

サンジェルマン『(私が存在する限りこの少年を蝕み続け、この少年の右手がある限り私の存在は打ち消され続ける)』

サンジェルマン『(まぁ、ここで私が取るべき行動など決まっているのだがね)』

心の中でそう呟くと、意識のない上条の右手付近に自身を形成する微生物を集束させていく。

サンジェルマン『(さて……しばしのお別れだ、少年。せめて君が少しでも悲しまぬよう意識のない内に消えていくとしよう)』

サンジェルマン『(何、安心したまえ。私という個のサンジェルマンは死しても、サンジェルマンという現象は決して滅ぶことはない)』

サンジェルマン『(私もまた、因果や位相を超越した存在なのだからな)』

誰も知らない場所で、『彼』はひっそりと消滅した。
誰かの『夢』を守るために。


──────────

77: 名無しさん 2020/09/06(日) 03:45:55.438 ID:tDsh958J0
──回想、あるいは事の全貌──

娘々「あらよっと」スタッ

バキバキバキ… パリーン!!


──そして、『世界』は滅亡した。


僧正「…ふむ」

そこには、あらゆる全てが砕け散った黒一色の空間が広がっていた。

ネフテュス「どうやら成功したようね。『鏡合わせの分割』の解除術式は」

娘々「にひひ。まぁ『以前』の状態でも悪い気はしなかったけど、やっぱり暴れ足りない部分もあったしねー」

キメラ『ぎぃんぎぃんぐわんぐわんギィンごぃんごいぃんギィンギィンごぃんぐわんギィン!!』

ヌァダ「あぁ。そのためにもう一度『隠世』を創造し、この世界を外から観測するという話だ」

忘れられた神『』ザッ ザッ ザッ

僧正「おや、もう準備ができたのかえ」

ネフテュス「他の魔神(みんな)は先に行ったみたいね」

娘々「それじゃあわたし達も行きますか」テクテク

ヌァダ「さて、今宵の世界はどのように歪むのか」ザッ ザッ

キメラ『ぎぃんぐわんギィンギィンごぃんごぃんギィンごぃんごぃんぐわんギィンギィィン!!』ザッ ザッ

僧正「……では始めようかの。世界の創造を」スッ

カッ!!

漆黒を極めた無の一点から眩い光が溢れ、世界を色鮮やかに染めていく。

──────────

上条「はぁ…」テクテク

上条「いよいよ財布の中が空っぽになっちまったか……」


──これは、とある神々が世界の変容を見守っていた物語。