442: 名無しさん 2018/06/05(火) 19:27:05.50 ID:23GkhqHEo
拓海「アタシは特攻隊長、向井拓海だぞ?」

拓海「誰かの代わりなんざ、まっぴらごめんだぜ」

夏樹「……って事なんで、悪いね」

武内P「いえ、急なお願いでしたので……当然かと」

拓海「代役じゃなくても、ランドの仕事なんか受けられっかよ!」

拓海「夢の国だぁ? ハッ! ガラじゃな――」


武内P「サンリオピューロランドの担当の方に、連絡しておきます」


拓海「……」

拓海「……サンリオ?」

引用元: ・武内P「アイドル達に慕われて困っている?」

443: 名無しさん 2018/06/05(火) 19:31:25.38 ID:23GkhqHEo
拓海「……オイ、テメエ……今、なんつった?」

武内P「? はい、担当の方に、待ってもらうよう連絡を――」

拓海「その前だよ! その前!」

武内P「? アスタリスクのお二人の代役で、急なお願いで――」

拓海「戻りすぎだコラァ! 何ランドだって聞いてんだよ!」

武内P「?」


武内P「サンリオピューロランド、です」


拓海「……!」

夏樹「拓海? どうかしたのか?」

拓海「っ!?……い、いや……なんでもねえ」

444: 名無しさん 2018/06/05(火) 19:36:33.79 ID:23GkhqHEo
夏樹「まあ、そういう訳だから他を当たってくれ」

武内P「はい。お手数をおかけして、すみませんでした」

拓海「……オイ、ちょっと待て」

武内P「はい?」

拓海「……内容だけでも、聞いてやろうじゃねえか」

夏樹「おいおい、断る仕事の内容を聞いてもしょうがないだろ?」

拓海「……うるせえな、ちょっと気になっただけだよ」


武内P「パレード・ショーで、キャラクターとの合同LIVEです」


拓海「……!?」

445: 名無しさん 2018/06/05(火) 19:42:43.13 ID:23GkhqHEo
拓海「パレードで……合同LIVEだぁ!?」

武内P「はい」

拓海「オイ……『知恵の木』の周りでやる、アレか!?」

武内P「はい、その予定です」


拓海「キティちゃんも一緒にか!? あぁ!?」


夏樹「……キティちゃん?」

拓海「あ? んだよ、キティちゃんは、キティちゃんだろうが」

夏樹「……」


夏樹「……ああ、そうだな」ニヤァ

446: 名無しさん 2018/06/05(火) 19:47:30.59 ID:23GkhqHEo
武内P「……そうですね、合同ですので、当然一緒になります」

拓海「……マジで言ってんのかよ、それ」

武内P「はい」

拓海「……キティちゃんと合同LIVE……!」


夏樹「――まあ、もう良いだろ? 行こうぜ、拓海」


拓海「あ……?」

夏樹「この仕事は、もう断っただろ」

拓海「……ま、まあ……そうだけど、よ」

夏樹「だろ? あんまり長居しても、邪魔になる」ニヤニヤ

447: 名無しさん 2018/06/05(火) 19:54:31.83 ID:23GkhqHEo
武内P「いえ、ご足労頂いたのは、こちらの方ですので」

夏樹「ん? ゆっくりしてっても良いのかい?」

武内P「はい。次の、代役の方を探す作業はしますが……」

拓海「……」

夏樹「なあ、アタシらが受けたら、パレードでどんな事をしてたんだい?」

拓海「! お、おぉ! そりゃ、確かに気になるな!」

武内P「そうですね……向井さんの場合、ですが」

拓海「……」


武内P「ネコを模した衣装で、ハローキティとペアで動く形に」


拓海「キティちゃんとタイマンだぁ!?」

夏樹「拓海、ペアだペア」

拓海「お……おう」

448: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:04:38.80 ID:23GkhqHEo
武内P「木村さんには、多田さんの代理をお願いするので……」

夏樹「ああ、だりーの代わりってことは、ギターをひくのか」

武内P「ええ、ペンギンを模した衣装で――」

夏樹「あっ! それ、アイツだろ?」


夏樹「しかく……さんかく?」


拓海「ばつ丸だコラァ!」


夏樹「ああ! そう言えば、そうだった!」

夏樹「あの、悪そうな奴な!」


拓海「あぁ!? ひねくれ者に見えるけど、本当はイイヤツ――」


夏樹「へえ?」ニヤァ~

拓海「――……かは、知らねえが」

449: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:11:10.53 ID:23GkhqHEo
夏樹「だけど、あんな真っ黒だしなぁ」

拓海「……んだと? 見た目と中身は関係ねえだろうが!」

夏樹「目つきも、かなり悪いし」

拓海「そこがシブいんだろうが! 喧嘩売ってんのか!?」

夏樹「いやいや……そういや、アンタちょっと似てるよな」

武内P「私が、ですか?」

拓海「チッ! どこが似て――」


武内P「……」


拓海「――ばつ丸君じゃねーか」


武内P「えっ!?」

拓海「い、いや、違う! 何でもねえ!」

夏樹「……」ニヤニヤ

450: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:19:34.77 ID:23GkhqHEo
夏樹「ちなみに、アタシだけ受けるってのは可能かい?」

拓海「オイ、夏樹!? テメエ……どういうつもりだ!?」

夏樹「この人には、借りがあるからな」

拓海「サンリオの仕事を一人で受けようってのか!?」

夏樹「どうだい? ばつ丸くん」


武内P「はい……それは、可能です」


拓海「!?」

武内P「木村さんが引き受けて頂けると……はい、とても助かります」

夏樹「なるほどね」


夏樹「――それじゃあ、アタシは乗るぜ、この話!」


拓海「!!?」

451: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:23:26.06 ID:23GkhqHEo
武内P「木村さん……よろしいのですか?」

夏樹「ああ! スケジュールの調整は、頼めるんだろ?」

武内P「はい、勿論です」

拓海「オイ! あ、アタシは、その……良いのか!?」

武内P「はい?」

夏樹「おいおい、別に拓海は借りがあるわけじゃないだろ?」

拓海「……そりゃ、そうだけどよ」


夏樹「なっ、ばつ丸くん!」

武内P「は……はあ」


拓海「……!」

453: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:27:16.78 ID:23GkhqHEo
夏樹「この仕事のプロデュース、宜しく頼むぜ!」

武内P「はい、可能な限り、要望には応えようと思います」

夏樹「へー! 随分気前が良いじゃないか!」

武内P「当然の結果です」

夏樹「そりゃまた……どうしてだい?」


武内P「困っている時に……助けていただけるのですから」


拓海「!」


夏樹「まっ、困った時はお互い様、って言うしな」


拓海「!!」

454: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:37:26.40 ID:23GkhqHEo
拓海「……チッ! ったく、しょーがねーなー!」

武内P「向井さん?」

拓海「オイ、夏樹」

夏樹「んー? どうした?」


拓海「テメエだけに良い格好させてたまるかってんだよ!」


武内P「! それでは……?」


拓海「亜威怒流、上等! アタシが――」


夏樹「里奈、サンリオ好きみたいな事言ってたな」

武内P「! 藤本さんに、連絡を取っていただけると?」


拓海「おぉ、やってやんよ! 夜露士苦ゥ!」

拓海「……」

拓海「あぁ!?……あっ……あぁん!?」

455: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:46:52.95 ID:23GkhqHEo
夏樹「里奈とか、ああいう系統の子はサンリオ好きが多いしな」

武内P「はい……そう、思っていたのですが」

夏樹「へえ、知ってたのか」

武内P「ええ、なので……向井さんにも、お話を」

夏樹「まあ、里奈なら引き受けてくれると思うぜ」


夏樹「――なっ、拓海!」


拓海「あっ? あ、いや、どう……だろうな?」

夏樹「おいおい、さっきの威勢はどうしたんだよ?」

拓海「う、うるせえな!」


夏樹「特攻隊長の名が泣くんじゃないのかい?」ニヤニヤ


拓海「!」

拓海「……夏樹……テメエ……!?」

456: 名無しさん 2018/06/05(火) 20:59:23.34 ID:23GkhqHEo
武内P「お話によれば、猫も好き……と、聞いていたので」

拓海「おっ、おう! 動物系の仕事は、まあ、それなりにな!」

夏樹「だけど、代役ってのは嫌なんだろ?」

拓海「そうは言ったけどよ……言ったけど!」

武内P「向井さんならば適任だと、そう、考えての事でした」

拓海「まっ、まあ? そこまで言われちゃ、アタシだって考えなくも――」


夏樹「拓海は、一度決めたら最後まで突っ走るからなぁ」

夏樹「キティちゃんくらい、動かすのは大変だぜ?」


拓海「あぁ!? りんご三個分くらい、余裕に決まってんだろうが!」

拓海「……じゃねえ! アタシは、そんなに軽くねえぞ、コラァ!」


武内P「……りんご三個分?」

拓海「おぉ、キティちゃんの体重が、りんご三個分なん……」

武内P「……」


夏樹「あっはっはっはっは!」

458: 名無しさん 2018/06/05(火) 21:16:31.93 ID:23GkhqHEo
夏樹「たっ、拓海……詳しす……あっはっは!」

拓海「夏樹ィ! お前、マジで、お前……んあああ!」

夏樹「ヒー……ヒー……! あはは、悪い悪い!」

武内P「その……向井さんは、サンリオがお好きなのですか?」

拓海「あぁ!? そりゃ、お前……」

武内P「……」

拓海「……チッ!」


拓海「ああ、だったらどうした!? 文句あんのか、あぁん!?」

拓海「キティちゃん、カワイイだろうが! えぇ、オイ!」


武内P「では、この仕事……」

夏樹「引き受けてくれるかな?」


拓海「いいとも!」

拓海「……夏樹ィィィ! テメエ、マジ調子ん乗るなよ!?」

夏樹「あはっはっは! はっは……ゴホッ! あっはははは!」

459: 名無しさん 2018/06/05(火) 21:26:23.80 ID:23GkhqHEo
  ・  ・  ・

武内P「――木村さん、向井さん、お疲れ様でした」

武内P「今回は、非常に助かりました」

武内P「改めて、お礼を言わせてください」


夏樹「なあに、良いって良いって。なっ、拓海」

拓海「おぉ、やると決めたからには、スジを通しただけだ」

夏樹「アタシ、あんなニコニコした顔初めて見たぜ?」

拓海「バッ……おま……!? にっ、ニコニコなんてしてねえ!」

夏樹「って言ってるけど、アンタはどう思う?」

拓海「オイ! ニコニコなんてしてねえよな!? なっ!?」


武内P「はい」

武内P「とても……キラキラした、良い、笑顔でした」


夏樹「……っくく!」

拓海「……」

461: 名無しさん 2018/06/05(火) 21:35:03.87 ID:23GkhqHEo
夏樹「なあ、次の合同LIVEはいつだい?」

武内P「次、ですか?」

夏樹「一回限りの代役ってわけでも……無いんだろ?」

武内P「そう、ですね……先方と、検討してみます」

夏樹「だってよ! 良かったな、拓海!」

拓海「……チッ! うるせえな!」


拓海「……オイ、夏樹」

拓海「何で、アタシに最初……サンリオの仕事って言わなかったんだ?」

拓海「ランドなんて言ったら、勘違いするに決まってんだろーが」


夏樹「ん?」

夏樹「そりゃあ、勘違いすると思ったからだよ」


拓海「……あぁ!?」

462: 名無しさん 2018/06/05(火) 21:41:53.81 ID:23GkhqHEo
拓海「オイ! そりゃ、一体どういう意味だ!?」

夏樹「ああいう流れじゃないと、素直に仕事を受けるって言わないだろ?」

拓海「んなことねー……事も……無い、な」

夏樹「だろ?」

拓海「お前……まさか、それで?」

夏樹「まあ、それに、珍しいものも見れたからな! っくく!」

拓海「オイ、コラ夏樹! マジで調子――」


武内P「――はい」

武内P「木村さんも……とても、キラキラした、良い笑顔でした」


夏樹「はっ?」

拓海「あっ?」

武内P「えっ?」

463: 名無しさん 2018/06/05(火) 21:50:34.22 ID:23GkhqHEo
夏樹「ま、待ってくれよ! アタシが、キラキラしてたって?」

武内P「? はい」

拓海「オイ、詳しく聞かせろって、なぁ」

夏樹「何かの間違いだろ?」

武内P「……こちらが、LIVEの時の写真になります」

スッ…

夏樹・拓海「……」


武内P「私には、木村さんも……とても、楽しんでいるように見えました」


拓海「……夏樹?」

夏樹「……まあ、なんだ」


夏樹「アタシだって、こういう時もある」


拓海「あぁ、なるほどな」

拓海「……って、それで納得すると思ってんのか!? オイ、夏樹ィ!」

466: 名無しさん 2018/06/05(火) 22:00:36.65 ID:23GkhqHEo
夏樹「いや……だって、名前に『バッド』なんて付いてるんだぜ?」

夏樹「存在からして、もうロックで……な、わかるだろ?」

拓海「わかる。ばつ丸くんの、媚びねえ態度は憧れるぜ」

夏樹「だろ? つまり、そういう事だよ」

拓海「……なるほどな」


拓海「お前も好きだったんじゃねーか! ふざけんじゃねえぞ!?」


夏樹「……オイオイ、アタシがいつ嫌いだなんて言った?」

拓海「言ってねえな! ああ、確かに言っちゃいねえ!」

拓海「そういや、『知恵の木』もサラッと受け入れてたよなぁ!?」

夏樹「拓海、お前……よく覚えてるな」


拓海「クソッ! お前……お前……!?」


夏樹「ははは、悪い悪い」

468: 名無しさん 2018/06/05(火) 22:20:59.44 ID:23GkhqHEo
拓海「オイ! テメエも何とか言え!」

武内P「私が……ですか?」

拓海「そもそも、テメエが話を持ってきたから、こんな事になったんだろーが!」

夏樹「まあ、確かにそうだな。ホラ、アタシ何か言うことは?」

武内P「えっ!?」


拓海・夏樹「……」


武内P「……次の合同LIVEも、頑張ってください」


拓海・夏樹「……それだけ?」


武内P「……笑顔で、頑張ってください」


夏樹「……あっはっはっはっは! オーケー! あっはは!」

拓海「……喧嘩上等! 行くぞ、オラァ!」



おわり