1: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:09:15.32 ID:NF+RLMKd0
「よし、これでいいかな」

銀色のふわりとした耳をぴこりと動かし、姿見に映る自分をじいっと見つめている

「皆もこんな感じだったって聞いたし……」

姿見に映る自分を他の猫と勘違いしているのだろうか

ぴょんぴょんと飛び跳ね、じゃれついている

その動きは俊敏で、いつもの猫たちとは少し違いを感じた

「ん?」

猫が物音に反応し後ろを振り返ると、いつもの男が立っていた



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503490154

引用元: ・【モバマスSS】汚い猫を見つけたので虐待することにした 番外編わんっ!

2: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:13:32.84 ID:NF+RLMKd0
「お疲れ様、プロデューサー」

猫が鳴く

「ああ、お疲れ様……それは新しい衣装だよな」

「そうだよ、どう? 似合ってる?」

くるっとその場で猫が回って見せる

健康的で美しいお腹がちらりと覗く

「ああ、似合ってるよ……ええと、イメージは猫だっけ?」

男に毛並みを褒められた猫が目を細めた

3: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:16:18.59 ID:NF+RLMKd0
「え? もう一回言ってくれるかな」

猫の雰囲気が変わったことに男が気付く

「イメージは猫だったっけ?」

猫の毛がどんどんと逆立っていく

「ふぅん……あんたにはこれが猫に見えるんだ」

にこりと笑う口元には鋭い牙が並び、猫とはまるでかけ離れていた

4: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:22:47.42 ID:NF+RLMKd0
「これはね、狼だよ」

狼……イヌ科の哺乳動物である

それは猫とは比べ物にならないほど大きく、そして獰猛だ

「それは悪かった……凜? なんで近づいてくるんだ?」

狼が徐々に男との距離を詰めていく

どうやら、男をエモノと定めたようだ

「プロデューサーには狼……ううん、犬の良さを教えてあげるよ」

狼が男に噛みつくと、そのまま引きずっていく

5: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:28:47.97 ID:NF+RLMKd0
「凜、落ち着いて話を聞いてくれないか?」

「私はいつでも落ち着いてるよ、タクシー拾うからね」

男は狼に抗っているようだが、その牙からは逃れられないようだ

これはきっと男に対する罰なのだろう

男はこれから狼に美味しく頂かれてしまうにちがいない

「ここで止めてください、お釣りはいりませんので」

狼の足は素晴らしく早く、あっと言う間に狼の巣へと連れていかれた

6: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:33:59.03 ID:NF+RLMKd0
「いらっしゃい、今日はゆっくりしていってね」

「お邪魔します……ゆっくりって、仕事がだな」

狼の咆哮に男がぶるりと体を震わせる

「ちひろさんから了承を得てるよ?」

「そんなバカな……あ、LINE入ってる」

男は最後の抵抗にと端末を取り出すが、それはもう意味を成さなかった

それを本能で理解したのだろうか、狼が笑うような表情を見せた

7: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:38:57.08 ID:NF+RLMKd0
「ご両親はどうしたんだ? 挨拶しないと」

どうにか狼の隙を探す男だが……

「旅行でいないよ」

この狼に隙などないようだ

「お、お前……俺は帰るからな」

「あはは、ここまできて帰すわけないでしょ? と言うかさ」

――もう我慢できないんだ!

狼がひときわ大きく吠えると男に飛びかかる


8: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:44:18.98 ID:NF+RLMKd0
「お風呂はいろ? 今日は暑かったからさ」

男のスーツが狼の爪で引き裂かれる

その目はギラギラと輝き、目の前のエモノに集中している

「やめろ! 頼む、これ以上はまずいって!!」

「大丈夫だから、私からは大丈夫だから!」

男の意地だろうか、狼に抵抗する男

だが無意味だ、狼に人間が勝てるわけがないのだから

「うう……もうお嫁さんもらえない……」

男が諦めた声を上げた

9: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:48:13.38 ID:NF+RLMKd0
「湯加減はどうかな?」

この狼はエモノを食べるまえに水で清めるらしい

「丁度いいけどさ、タオル貸してくれないか」

「私は何も見てないから平気」

狼が男に激しい水攻めを行っている

「ええ……俺が平気じゃないんだけど」

「男の人は細かいこと気にしないで」

10: 名無しさん 2017/08/23(水) 21:55:46.20 ID:NF+RLMKd0
「次は体を洗ってあげる」

狼の爪が男の体に食い込む

どうやら肉の硬さを確かめているようだ

「それくらい1人でできるから」

「……えいっ」

狼と男を光が包む

「あっ! お前スマホで撮りやがったな!?」

男が慌てているが、いったい何だったのだろう

11: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:03:36.66 ID:NF+RLMKd0
「うん、さっぱりしたね」

「ソウデスネ」

狼の毛並みによって水分をふき取られる男

食べるときに水っぽいと味に影響がでるからだろうか?

「お腹減ってない? お酒とご飯用意してあるよ」

「そういや、昼飯も食べてなかった」

狼に再び噛みつかれたまま、男が引きずられていく


12: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:06:56.77 ID:NF+RLMKd0
「プロデューサーは私の隣ね」

狼が男を乱暴に放る

「凄いな……凜が全部作ったのか?」

狼が連れてきたのは食料が貯めてある場所だった

男を太らせてから食べる魂胆なのか、そこにはあらゆる食料が並んでいる

「うん、たいしたものじゃないけどね」

狼が食べろと言わんばかりに狂暴に吠えた

14: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:14:24.77 ID:NF+RLMKd0
「ぷはー! 美味いなぁ、凜の料理も美味いし最高だ」

「も、もうっ……照れるから止めてよ」

狼から逃げられない男は顔を青くしながら食料を口に入れていく

発泡している液体、どろどろにとけた温かい野菜、そして、焼け焦げている獣の肉

食料が無くなればなくなるほど、狼が嬉しそうに遠吠えする

それは男のとっての宣告、宣言なのだ


15: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:19:55.00 ID:NF+RLMKd0
「ふぅ、ご馳走様」

お腹を大きくした男が横に転がる

もう楽にしてくれということなのだろうか

しかし、狼はまだ男をいたぶるつもりのようだ

「お粗末さまでした、そんな所で横になると腰痛くしちゃうから……」

狼の前足が男の顔に降りかかる

「り、凛!?」

「今日は特別だから……耳かきもしてあげるね」

16: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:24:31.92 ID:NF+RLMKd0
「は、初めてだけど、気持ち良い?」

狼の鋭い爪が男の耳をこれでもかと弄ぶ

「程よい力加減で気持ち良いよ」

男があまりの激痛に悲鳴をあげる

が、狼にとっては逆効果だ

「良かった、あ……大きいのとれそう」

これで男の耳はもう使い物にならないだろう

いや、聴力を失った男にもうこれからは存在しないか……

17: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:30:39.07 ID:NF+RLMKd0
「はい、おしまい」

「ん……悪い、少し寝てた」

男の意識が朦朧としている

さきほどの痛みと、静かすぎる世界の恐怖のためか

「そろそろ寝ようか、嫌だって言ったら……これ」

狼が威嚇して見せる

「スマホは卑怯だって……」

男の眼から一筋の涙が零れた

18: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:34:57.70 ID:NF+RLMKd0
「あのさ、何で布団が一組なの?」

「一組あれば足りるでしょ」

男がか細い言葉でぶつぶつと何か言っている

とうとう恐怖で頭のねじが外れてしまったようだ

「良いか? 絶対に何もするなよ? 絶対だぞ!?」

「うん、私はプロデューサーと寝られれば良いから(これはフリだね)」

狼が嬉しそうに体を震わせた

19: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:39:52.39 ID:NF+RLMKd0
「プロデューサーの匂い……」

「同じシャンプーと石鹸だから一緒だろ」

狼がすんすんと鼻を鳴らし、満足そうな顔をした

男からはさぞ美味そうな匂いがするのだろう

それはもう何度も鼻をならし、うっとりした顔をしている

「やべ……マジでもう限界だ」

男の瞼が徐々に降りていく、覚悟を決めたらしい


20: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:43:53.81 ID:NF+RLMKd0
「いいか……絶対に……ぐぅ」

「うん、おやすみなさい、プロデューサー」

狼があんぐりと大きな口を開ける

「早く私を引いてね」

がぶりと男の頬に食いつく

それはきっと柔らかな感触で、とても美味だったのだろう

狼がとても嬉しそうな顔をした




おしまい

21: 名無しさん 2017/08/23(水) 22:44:56.96 ID:NF+RLMKd0
読んでくれた方に感謝を
また読んで頂く機会があればよろしくお願いします