516: 名無しさん 2015/06/24(水) 00:05:03.67 ID:1l/ZBvsr0
提督「ちょ、ちょっと待ってよ、勝負って…」 

木曾「文字通りの意味だ。俺は、お前に決闘を申し込む」 

提督「本気……の目だよね……」 

木曾「…………」 

雷「な、なんで!?どうしていきなりこんなこと!?」 

暁「そ、そうよ!司令官達が戦う理由なんてないじゃない!」 

木曾「お前達は黙っていてくれ。決断をするのは風花の問題だ」 

提督「…………」 

電「し、司令官さん…」 

提督「……いいよ。受けて立つ」 

木曾「…そうこなくちゃな」 

暁「ちょっと!?」 

響「戦いを止めるなんて無粋なことはしないよね」 

暁「うぐ…」


引用元: ・女提督「甘えてもいいんだよ?」

517: 名無しさん 2015/06/24(水) 00:20:09.90 ID:1l/ZBvsr0
木曾「勝負の方法は?」

提督「剣でいいよ。慣れてるでしょ?」

木曾「……ああ。確かにそうだが、お前は」

提督「私は大丈夫」

木曾「………ふっ、そういえばそうだったな、お前は剣の心得がないとは言わなかったもんな」

提督「あれ、そうだっけ」

木曾「いつ何をしていたかは聞かないが…お前、剣に関しては相当な腕前だろう?」

提督「………バレた?」

木曾「そりゃあな、少しでも剣を嗜んでいたら嫌でも分かるさ」

提督「うう〜ん…やっぱり分かっちゃうよね…」

木曾「俺はこの軍刀を使う。お前はどうする?」

提督「どうするって言われても、私剣なんて持ってないし……あ」

スタスタ

ヒョイ

提督「これでいいかな」

雷「これでって…ただの棒切れじゃない」

木曾「…………」

518: 名無しさん 2015/06/24(水) 00:32:37.22 ID:1l/ZBvsr0
木曾「くっくく……ははははは!!」

提督「なに、そんなに面白かった?」

木曾「ふふふ…ハンデのつもりか?」

提督「そういうわけじゃないけど……勝てないわけではないし」

木曾「棒切れで?剣にか?」

提督「うん」

木曾「そうか……なら、その自信ごと叩き斬ってやろう」

提督「どうかな」

木曾「…………」チャキ…

提督「…………」キッ

木曾(……自信に満ちた目だ……虚勢を張ってるわけではないな…)

電「は、はわわ……」

暁「空気がピリピリしてる…」

雷「お互いに本気、ね…」

519: 名無しさん 2015/06/24(水) 00:40:28.32 ID:1l/ZBvsr0
提督「…………」

木曾「…………っ」ジリッ

響「動く……!」

木曾「おおおっ!!」グッ

提督「!」ザッ




「しれぇー!!」

木曾「!?」

提督「うわっ!!」ガッ

キィーン

暁「わっ!?」

提督「あたた…」ビリビリ

木曾「あ…わ、悪い」

提督「あ、ううん、大丈夫だよ。ごめんね」

雪風「あ、あれ…?雪風、お邪魔でしたか…?」

提督「ん…いや、そんなことはないよ。なにか用?」

雪風「はっ、そ、そうでした!大変なんです!」

520: 名無しさん 2015/06/24(水) 00:49:57.00 ID:1l/ZBvsr0
提督「た、大変?なにかあったの?」

雪風「とにかく来てください!こっちです!」グイグイ

提督「う、うん」

木曾「…………」

暁「木曾さん?行かないの?」

木曾「……ん?あ、ああ…」

響「なにか引っかかることでもあるの?」

木曾「いや……お前は見ていただろう?」

響「ああ、見てたね」

木曾「あいつが持っていた棒切れ…俺が全力で振り下ろしたのに、折れるどころか横に弾き飛ばしやがった」

響「偶然ではない?」

木曾「それは考えられないな。偶然にしては求められる要素が多すぎる」

響「……そうか」

木曾「ああ…さっきの一瞬で分かったよ、あの子は強い……強すぎる」

響「ふうん。まあ、私には関係のない話かな」ザッ

木曾「…………」

521: 名無しさん 2015/06/24(水) 00:59:30.99 ID:1l/ZBvsr0
木曾「…………」

木曾(あの棒切れそのものは、どこにでも落ちているなんの変哲もないようなものだ…精錬された軍刀なら切り裂くことなんて難しい話じゃなかったはずだ)

木曾(なら切り裂けなかった原因は……あの子だろうな)

木曾(響だけは目視出来ていたようだが………俺の剣と棒が触れ合う瞬間…いや、それよりもっと前に俺の動作を見て、剣と斜めからぶつかり合うように棒を立てていたんだ……)

木曾(ただの棒でも、軸をずらされればインパクトの瞬間に想定していた結果とは違うものになる…)

木曾(もしあれが本物の剣だったら、あのままバランスを崩した俺は………)

木曾「…………」ゾク

木曾「………俺も、まだまだか…」

電「木曾さーん!」

木曾「今行く」ザッ

522: 名無しさん 2015/06/25(木) 19:55:04.91 ID:qzwSxafa0
雪風「しれぇ、こっちです!」グイグイ

提督「う、うん……ん?人だかりが出来てるけど、もしかしてあれ?」

雪風「はい、その上に…」

妖精さん「ヘルプミー…」

天津風「あっ、あなた!」

提督「ああ、天津風…あれって確か、九九艦爆の妖精さんだよね?」

天津風「ええ、演習中に編隊からはぐれちゃったみたいで…他の子達のところに戻ろうとした時に木に引っかかっちゃったみたい」

雷「大変じゃない、早く助けてあげなきゃ!」

提督「それは困ったね…でもこの木、結構高いし、そんなに枝も多くないから登れないんだよね」

時津風「あたしに任せてー!」ダッ

提督「ま、待った!」ガシ

時津風「うぎっ!?な、なんで止めるのさ!?」

提督「危ないからダメ!登ったところで降りられるような枝がないから、かえって危険になるの!」

時津風「うー…わかった…」

提督「うん…ちゃんと待っててね、お願いだから…」

天津風「登れないなら、どうするの?」

提督「……確か倉庫に脚立があったはずだから、それ持ってくるね」

木曾「なら俺も手伝うぞ」

提督「うん、ありがと」

523: 名無しさん 2015/06/25(木) 22:14:21.41 ID:qzwSxafa0
提督「……………」

ガタッ

ゴソゴソ…

木曾「うえ…ずいぶんホコリをかぶってるな」

提督「倉庫と言っても、普段使わないものを押し込めたようなものだからね…元はと言えば私が大掃除の時にサボり癖出したせいなんだけど」

木曾「ああ、曙にこっぴどく怒られてたな」

提督「うん……」

木曾「………なあ」

提督「なに?」

木曾「少し、元気がないように見えるが…そんなに俺と戦うのが嫌だったか?」

提督「え?いや、そういうわけじゃないんだけど…」

木曾「なら、何か他の理由があるんだな」

提督「………!」

木曾「時津風が木に登ろうとした瞬間、見るからに顔色が変わったぞ」

提督「……よく、見てるんだね」

木曾「…別に問い質そうとしているわけではないんだがな」

提督「……ううん、いいんだ。ほら、脚立見つけたし、移動しながら話すね」

木曾「あ、ああ…」

524: 名無しさん 2015/06/25(木) 22:43:04.96 ID:qzwSxafa0
時津風「む〜……」パタパタ

天津風「……ちょっと、少しは落ち着きなさいよ」

時津風「だって退屈なんだもん!」

雷「まあまあ、すぐ二人とも帰ってくると思うから」

電「…でも、早く助けてあげないと、可哀想なのです…」

妖精さん「ヘールプ…」

時津風「そうだよ!もう待ってられないもん!」ガッ

天津風「ちょ、時津風!?」

暁「あ、危ないわ!降りなさい!」

時津風「だいじょーぶだいじょーぶ!こんなの簡単だって!」ヨジヨジ

雷「司令官が戻ってくるまで待ちなさいってば!」

時津風「やー!」

響「もうあんなところまで…」

525: 名無しさん 2015/06/25(木) 22:54:19.32 ID:qzwSxafa0
木曾「……なるほど…そんなことがあったのか…」

提督「もう、ずいぶん昔の話だけどね……」

木曾「……ん?ってお前、記憶は戻ったのか?」

提督「うん、もうほとんど思い出した」

木曾「そうか…なら、よかった…のか?」

提督「どうだろ。あの時のこと思い出すだけで心臓がドキドキするし、時津風がもしそんなことになっ………たら……」

木曾「?」

提督「………そうだ、時津風は!?」

木曾「え?い、いや、グラウンドじゃないのか?」

提督「嫌な予感がする……!」ダッ

木曾「あ、おい!」

提督(木曾を残して行くべきだった…時津風の性格で辛抱出来るはずがない…!)

527: 名無しさん 2015/07/02(木) 22:43:40.59 ID:RdkYuN500
時津風「ほっ…もう少し…」グググ

天津風「ちょ、ちょっと!危ないから降りなさいってば!」

暁「落ちても知らないんだからね!」

時津風「大丈夫だって……ほら!妖精さん取れた!」

妖精さん「センキュー!」

ザッ

提督「時津風!?やっぱり…!」

時津風「あ、しれえ!ほら、見て見て!妖精さん助けたよ!」ブンブン

提督「わ、わかったから!落ち着いて、早く降りてきて!」

時津風「えー、なんでさー?」

提督「危ないから!ほら、脚立も持ってきたからここから降りて!」

時津風「むう、結構いい眺めなんだけどなあ…まーいっか!よいしょっ」スッ

ズルッ

時津風「うわっ!?」

電「ひっ!」

雷「落ちっ…!」

提督「時津風!!」

528: 名無しさん 2015/07/02(木) 23:15:31.94 ID:RdkYuN500
ズザッ

ドスンッ

提督「うう…」

時津風「あいたた……あれ、しれぇ…」

雷「だ、大丈夫!?」

響「間一髪、といったところだね」

提督「っ……なんで言いつけを守らなかったの!?」

時津風「へっ…?」

提督「危険だから登らないでって言ったのに!下手したら死ぬかもしれなかったんだよ!?」

時津風「し、しれぇ…?」

天津風「ちょっ…あ、あなた、そんなに怒鳴らなくても…」

木曾「お、おい、どうしたんだ?空気が悪いぞ」

時津風「う、うぅ…」ジワッ…

提督「……あ……」

暁「……って、二人とも怪我してるじゃない!」

木曾「本当だ…大したことはないみたいだが、とりあえず医務室に行こう」

時津風「……うん…」グスッ

530: 名無しさん 2015/07/03(金) 15:21:52.84 ID:/y7DNaaa0
医務室



明石「………はい、これで大丈夫ですよ」

時津風「ありがと…」

天津風「木から落ちた時に擦り剥いたみたいね…痛まない?」

時津風「ヒリヒリする……けど、司令の方がもっと気になる…」

響「かなり怒ってたね。普通の様子じゃなかったけど」



雷「もう!じっとしてなさいってば!」

提督「いたっ、痛い!染みるんだって!」

雷「じゃなきゃ消毒出来ないでしょ!もう大人なんだから我慢しなさい!」

暁「まあ、腕擦り剥いただけでよかったんじゃない?」

木曾「ああ、骨折とかじゃなくて本当によかった」

電「でも、司令官さんは頑丈すぎるのです…」

提督「うぐぎぎ…な、なんで?」

木曾「いや…だってそりゃあ、なあ?」

電「あの高さから落ちてきた人を受け止めるなんて、とても人間のやることとは思えないのです…」

提督「そうかなあ…」

雷「そうでしょ…」

531: 名無しさん 2015/07/03(金) 15:55:15.86 ID:/y7DNaaa0
雷「はい、これで終わり」

提督「へぇあ…よかったー」

響「司令官、時津風が二人でお話したいって」

提督「え?ああ、うん…わかった、じゃあちょっと…」

木曾「ああ、お邪魔みたいだからな。出て行くよ」

雷「しっかりとケアしてあげなきゃダメよ!」

暁「ふふん、出来る大人は空気も読めるのよ」

電「えーっと…ちゃんと仲直りするのです!」

雪風「雪風もお供します!」

天津風「ダメ、あなたもこっち」グイ

雪風「ぐえぇ!」

明石「何があったのかは分かりませんけど…ケンカはダメですよ?」

バタン

提督「……別にケンカしたわけじゃないんだけどなあ」

時津風「……しれえ」

提督「ん?」

532: 名無しさん 2015/07/03(金) 18:49:55.24 ID:/JSKZitAO
時津風「しれえ、まだ怒ってる…?」

提督「ううん、怒ってないよ」

時津風「あの、ね……ごめんね」

提督「うん……私の方こそごめんね、あんなに大きい声出して…」

時津風「うん…あと、助けてくれてありがとう」

提督「えへへ、どういたしまして。それよりさ」

時津風「?」

提督「ずっとそこにいたら声が聞こえづらいから…ほら、こっちおいで」

時津風「……うん!」

ボスッ

提督「わっ…ふふっ、膝の上じゃなくて隣って言ったつもりだったんだけどなあ」

時津風「こっちの方が好きだもん」

提督「だよね、ふふふ」ナデナデ

時津風「〜〜♪」

533: 名無しさん 2015/07/05(日) 15:34:39.85 ID:7fFQnqHB0
時津風「ねえ、しれー」

提督「なあに?」

時津風「ぎゅーってして」

提督「うん」ギュウ

時津風「……やっぱりしれぇは優しいなあ」

提督「急にどうしたの?」

時津風「えっとね、いつも優しいからあんなに怒られて怖かったなーって」

提督「ああ、そういうこと……ごめんね、怖がらせちゃって…」

時津風「ううん、もう気にしてないよ。でもなんであんなに怒ってたの?言うこと聞かなかったから?」

提督「……二割はそれかな」

時津風「? 残りの八割は?」

提督「…………」

534: 名無しさん 2015/07/05(日) 16:12:41.72 ID:7fFQnqHB0
提督「…私が七歳の時、だったかな。その日は日曜日で、妹二人と家の近くにある公園に遊びに行ったんだ」

時津風「うん」

提督「しばらくは普通に遊んでたんだけど…ブランコとか、滑り台とか…」

時津風「なにそれ、面白いの?」

提督「うん、今度鎮守府にも置いてあげるね」

時津風「ほんと!?」

提督「うん、約束する。で、ここからが問題なんだけど……その公園の真ん中に、グラウンドにあるみたいな大きい木が一本あったの」

時津風「7メートル…ぐらいの?」

提督「そう、それぐらい。その木の上に、猫が登っててね?降りられなくて困ってるのを見た一番下の妹が助けるーって言い出して木に登り始めたの」

時津風「あたしと同じだ…」

提督「その時私は、危ないから大人の人を呼んでくるって家に母さん達を呼びに戻ったんだけど……これがダメだったなあ…」

535: 名無しさん 2015/07/05(日) 19:25:29.14 ID:7fFQnqHB0
提督「私が母さん達を連れて公園に戻った時には、泣きながら身体を揺さぶる妹と、動かなくなった一番下の妹がいて……そこから、ずっと大変だったから…」

時津風「そうだったんだ…」

提督「うん……頭から落ちたらしくてね、しばらくずっと意識が戻らなくて、その間、ずっと私も妹も大泣きしてたんだって。数日間起きては泣いて、泣き疲れては寝て、また起きて泣いて…って感じだったみたい」

時津風「それで、どうなったの?」

提督「ん?その後は妹が目覚めて、奇跡的になんの後遺症もなかったからすぐに退院したよ」

時津風「そうなんだ…ならよかったね」

提督「うん……」

ガチャ

木曾「もういいか?」

天津風「って、ちゃっかり膝の上に乗せてもらってるじゃない。仲直りは出来たみたいね」

時津風「ふふん、羨ましいの?」

天津風「ばっ……そんなんじゃないわよ!///」

536: 名無しさん 2015/07/05(日) 20:23:40.01 ID:7fFQnqHB0
時津風「それにしても、しれぇの妹さんも頑丈なんだねー」

木曾「? なんだ、昔の話か?」

時津風「うん、しれぇの妹さん、7メートルぐらいの木から頭から落ちたんだって」

木曾「頭から!?」

雷「えっ、そ、それでどうなったの!?」

時津風「なんにもなかったんだって」

木曾「えっ」

提督「何もなかったよ?三日ぐらい意識不明だったけど」

木曾(信じられない…)

暁(司令官の家系はおかしいのかしら…)

響(気が狂ってる…)

雷(普通死んでてもおかしくないわよね…)

電(頭おかしい…)

540: 名無しさん 2015/07/06(月) 19:41:17.46 ID:4lGIy4Kg0
提督「……もうこんな時間かあ」

明石「そうですね、そろそろお腹も空いてきましたね」

木曾「もう演習も終わってる頃なんじゃないか?」

提督「そだね、みんな戻ってくるし……食堂の方に行こっか」

暁「もうご飯出来てるの?」

提督「ううん、鳳翔さんのお手伝い。早く美味しいご飯食べたいでしょ?」

暁「むう、それもそうね」

雷「なら早く行きましょう!腕が鳴るわ!」

電「電も手伝うのです!」

提督「はいはい、分かったから引っ張らないで」

響「私も同行しよう」

木曾「なんでそんなネタしってるんだお前」

541: 名無しさん 2015/07/07(火) 17:02:26.56 ID:x2V8Fwvw0
キッチン



提督「鳳翔さーん」

鳳翔「あら、提督…」

大鯨「あっ提督、お疲れ様です」

提督「あ、大鯨!大鯨も鳳翔さんのお手伝い?」

大鯨「はい、料理を教えてもらおうと…」

鳳翔「ちょうど提督もいることですし、見てあげてくれませんか?」

提督「私?私でいいなら教えてあげるけど…」

大鯨「本当ですか!?よろしくお願いします!」ギュッ

提督「私じゃ役に立てるか分からないけど…頑張るね」

542: 名無しさん 2015/07/09(木) 16:34:19.88 ID:kWqgnN1X0
鳳翔「それで、あなた達は…」

雷「鳳翔さんのお手伝いよ!」

鳳翔「あら…ふふ、助かります」

暁「で、今日は何を作るの?」

鳳翔「今日は揚げ物をしようかと…」

響「エビフライとか…かな?」

鳳翔「はい、そんなところです」

響「ほう、なるほど…まずは何をすればいいのかな?」

鳳翔「ええっと、まずこのエビの殻を剥いてもらって…」ガタッ

電「いっぱいあるのです…」

鳳翔「この鎮守府の全員分ありますからね、結構大変ですよ」

暁「暁も大人なんだから、これくらい余裕よ!」

響「任せてくれ、やってみせる」キラキラ

パタパタ

鳳翔「響さん、なんだかキラキラしていましたね」

電「お姉ちゃん、エビフライ好きだから…」

鳳翔「ああ…」

543: 名無しさん 2015/07/09(木) 17:12:34.57 ID:kWqgnN1X0
雷「鳳翔さん、私達は何をすればいいの?」

鳳翔「あ、今持ってきます」タッ

電「持ってくる…?」

ドスドス

鳳翔「お待たせしました〜」

雷「うわっ!?すごいお米…」

鳳翔「ふぅ、ふぅ…これを、研いでくれますか…」

電「こんなにたくさん……ようし、頑張るのです!」

鳳翔「目安としては研ぎ汁が薄くなるまで…」

雷「その辺は分かってるわ!ほら電、やるわよ!」

電「電の本気を見るのです!」

鳳翔「ふふ、頼もしいですね…」

544: 名無しさん 2015/07/09(木) 17:59:15.09 ID:kWqgnN1X0
鳳翔「さてと……私も私のやることを…」ストン

雷「……?」

電「やることって…ただ椅子に座ってるだけなのです」

鳳翔「ふふ、これからですよ」

雷「?」

電「へ?」

パタパタ

赤城「ご飯ご飯……あっ!?ほ、鳳翔さん!」

鳳翔「ダメですよ赤城さん、まだご飯は出来ていません」

赤城「で、でも…小腹が空いて…」

鳳翔「つまみ食いしたい気持ちも分かりますが、我慢することも大事です。それに、これでは他の子達に示しがつきませんよ?」

赤城「そ、そうですね……はい、我慢します…」

鳳翔「美味しいご飯を作りますからね」

赤城「はーい」

パタパタ

鳳翔「ふぅ…」

雷「おぉー…」

電「なるほど…」

鳳翔「こうやってつまみ食いしに来る子をやんわりと追い返すのも、大事な仕事ですよ」ニコ

電「すごいのです…」

545: 名無しさん 2015/07/09(木) 18:49:27.18 ID:kWqgnN1X0
暁「くっ……」パリ…

響「苦戦してるみたいだね」パキパキ

暁「いえ…もう慣れてきたわ」パリパリ

響「そうか、それはよかった」パキパキ

暁「…………」パリパリ

響「…………」パキパキ

暁「…………」パリパリ

響「…………暁」スッ

暁「ん?なn……くさっ!!」

響「ふむ、やっぱり臭いのか」

暁「なんで暁で試すのよ馬鹿!!」プンスカ

響「ほれ」スッ

暁「臭い!!」

547: 名無しさん 2015/07/11(土) 13:59:19.11 ID:iNUvS4WP0
提督「じゃあ私達も始めようか。今日は何を作るの?」

大鯨「あ、はい!揚げ物と、炊き込みご飯と言ってました」

提督「ふんふん…なら私達はご飯担当だね」

大鯨「はい、よろしくお願いします」

提督「……とは言ってもねえ、うーん…」

大鯨「どうしました?」

提督「大鯨の料理は美味しいし、他に教えることなんてないんだよね、正直……」

大鯨「ほえっ!?」

提督「そうだなぁ……じゃあ、味だけじゃない大切なことを教えてあげようかな」

大鯨「は、はい!」

548: 名無しさん 2015/07/11(土) 19:02:30.14 ID:sZ9xGh8nO
提督「料理って難しいものでね。大鯨は嫌いなものってある?」

大鯨「え?えぇっと…特には」

提督「大人はそうでも、子供はそうじゃないことってよくあるの。たとえば、このニンジンとか」

大鯨「ニンジン?」

提督「特に多いのが駆逐艦の子達。カレーは好きでもニンジンは嫌いだーって子はいっぱいいるからね」

大鯨「ああ…まだ味覚が子供だから…」

提督「そう。味が良くても、嫌いなものが入ってるだけで苦手意識を持つ子も多いんだ」

大鯨「なるほど…困ったものですね」

提督「だから嫌いなものだけ端に寄せて残す子とかいて…それも可愛いんだけど、そのままだと教育に悪いからなんとかしないといけないよね」

大鯨「は、はあ」

提督「? 分からないことでもあった?」

大鯨「い、いえ…」

大鯨(それも可愛いって言う必要あったのかな…)

549: 名無しさん 2015/07/11(土) 19:11:12.22 ID:sZ9xGh8nO
提督「そこで活躍するのが、この型取りです」トン

大鯨「ほお、星の形をしてますね」

提督「まずニンジンを切ってみて」

大鯨「こうでしょうか」

ストン

提督「そうそう。で、その輪切りにしたニンジンの真ん中にこれをどーん」

大鯨「どーん!」サクッ

提督「もっともっと、別のところにもどーん」

大鯨「どーん!どーん!」サクッ サクッ

提督「はいお疲れ様。するとどうでしょう、ニンジンが綺麗なお星さまになりました〜」パッ

大鯨「まあ、可愛らしい」

提督「こうやって興味を引いてあげるのが大事なんだ。ニンジンを食べてるって意識がなくなるでしょ?」

大鯨「ほえぇ…なるほど…」

550: 名無しさん 2015/07/12(日) 19:09:52.48 ID:gTdrhq7s0
提督「でも、これだと及第点」

大鯨「えっ?」

提督「ほら、見て。色んなところから型を取ったせいで、色合いがまばらになってるでしょ?」

大鯨「あ、確かに…」

提督「このままだと彩りにムラが出ちゃうからね…どうせなら、みんな一緒にしてあげなきゃいけないから、こうするの」スル

大鯨「身を桂剥きにするんですか?」

提督「そう。少し厚めに、するするーって。はい、出来た」

大鯨(すごい…早くて綺麗…)

提督「で、これをさっきの型取りでどーんってやると…」ストン

ポロ

大鯨「あ…色が均一になりましたね」

提督「こっちの方が綺麗でしょ?」

大鯨「ええ、本当に…大人の目から見ても興味を惹かれますね」

提督「手間はかかるけど、こうすれば子供達も食べてくれるからねえ。私は時間をかけてでもやるよ」

大鯨「わ、私もやります!」

提督「うん、みんなも喜ぶよ」

551: 名無しさん 2015/07/13(月) 01:15:30.55 ID:4EHRRmkM0
ストン

提督「そういえばさっき、鳳翔さんが揚げ物するって言ってたね」

大鯨「はい、エビフライやコロッケなどを作るそうです」

提督「え?コロッケあるの?」キラキラ

大鯨「ええ。たくさんジャガイモを用意していたので」

提督「ほんと!?やったぁ!!」

大鯨「コロッケ、好きなんですか?」

提督「うん!……あっ、こ、子供っぽかったかな…?///」カァ

大鯨「………〜〜〜〜!!!」

大鯨(何この大人可愛すぎる…!)キュンキュン

提督「た、大鯨?」

大鯨「い、いえ。可愛らしいですよ」ニコ

提督「ん…なら、よかった…///」

大鯨「〜〜〜〜〜〜〜!!!」

552: 名無しさん 2015/07/13(月) 01:39:56.49 ID:4EHRRmkM0
大鯨(提督可愛い…愛でたい…撫で回したいぃ……)

大鯨(だ、ダメダメ…何か別の話をして気持ちを落ち着かせないと…)

大鯨「そういえば提督って、嫌いな食べ物はないんですか?」

提督「なんで?」

大鯨「いえ、私が提督に料理をお出しした時に嫌いなものがあると提督を困らせてしまいますので…」

提督「大鯨の料理ならなんでも食べられるよ?」

大鯨「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

大鯨(そういうことを聞いたんじゃなくて…!そんな殺人級の返事を聞きたかったわけじゃなくてえぇ…!!)キュンキュン

提督「た、大鯨、大丈夫?さっきから様子が変だけど」

大鯨「だ、大丈夫れす」

提督「噛んでるし……ちょっとじっとしててね」スッ

大鯨「え?ちょ、提督、顔が近

コツン

大鯨「ほえっ」

提督「うーん……熱はない……よね」

大鯨「………!!???!?//////」カァアアア

提督「具合が悪いなら一応医務室に…」

大鯨「」ブシャッ

バターン

提督「わああああ!!??大鯨!!?」

554: 名無しさん 2015/07/13(月) 02:12:55.59 ID:4EHRRmkM0
提督「ほ、鳳翔さん!大鯨が鼻血噴き出して倒れた!!」

鳳翔「はい、見ていました」

提督「ど、どうすればいいの!?医務室連れて行った方がいい!?」

鳳翔「いえ、そのあたりに寝かせてあげてください」

提督「えっ!?そ、それで大丈夫なの!?」

鳳翔「はい、命に関わる問題ではないと思うので…」

提督「ほ、鳳翔さんがそう言うなら…」

大鯨「ほえぇ……」グッタリ

提督「よいしょっと…動かないでねー…」グイッ

鳳翔「…………」

響「うわあ…」

電(ナチュラルにお姫様抱っこ…)

雷「むぅ…」

提督「……あれ、みんなどうしたの?そんなに見つめて」

暁「……しれーかんのバカ!」

提督「えぇー…」

555: 名無しさん 2015/07/13(月) 12:53:08.85 ID:4EHRRmkM0
大鯨「うあう……」

提督「大鯨、しっかりー」

大鯨「ふぁい……」パチ

提督「大丈夫?」ズイ

大鯨「」ブシャッ

提督「うわぁ!?」サッ

大鯨「し、しあわせ……」ガクッ

提督「……幸せなら大丈夫……かな?」

558: 名無しさん 2015/07/15(水) 19:33:53.22 ID:0eb5F80O0
木曾「……うおっ!?な、なんだこれ、どうかしたのか?」

提督「あ、木曾……いやちょっとね、大鯨が鼻血噴き出したから寝かせてるんだけど…」

木曾「医務室に連れて行った方がいいんじゃないのか?」

提督「そう思ったんだけど、鳳翔さんが大丈夫だって」

木曾「そ、そうか…ならいいが」

提督「ところで木曾、今までどこにいたの?」

木曾「ん?ああ、みんなをもう飯の時間だぞって呼びに行ってたんだ」

提督「へー……」ジー

木曾「……なんだ?」

提督「いや、木曾もご飯作ればいいのになーって思って」

木曾「俺がか?そんなガラじゃないぞ」

提督「でも、木曾のご飯美味しいよ?」

木曾「お前や鳳翔さんに比べたらまだまださ」

提督「そうかなぁ…」

559: 名無しさん 2015/07/15(水) 20:01:46.78 ID:0eb5F80O0
木曾「……その、さ」

提督「うん?」

木曾「お前が俺の料理を美味いって言う根拠はなんなんだ?」

提督「うーん……やっぱり、他の子との食べ比べかなあ」

木曾「え?そんなに多いのか?」

提督「うん、一応ほぼ全員にご飯振舞われたけどその中でも木曾のは上位に入るぐらい美味しいよ」

木曾「そ、そうか……なるほどな…そうか……///」クルクル

提督(髪巻いてる。かわいい)

木曾「……ところでさ」

提督「なに?」

木曾「上位がどうとかってことはさ、やっぱりマズいやつも……」

提督「………うん、いるね」

562: 名無しさん 2015/07/16(木) 14:34:46.66 ID:feVThyU50
木曾「………例えば?」

提督「………言わずと知れた比叡カレー」

木曾「ああ……あれはもう二度と食べたくない…」

提督「比叡はまだいいよ…食べられないレベルじゃないし…」

木曾「…そういやあの姉妹って、他に料理上手なやつはいるのか?」

提督「そうだね、金剛はすごい上手だったかな。スープカレーとスコーンを作ってくれたんだけど、どっちも美味しかった。まだ日本食を作るのは慣れてないみたいだけど」

木曾「なるほど。他は?」

提督「榛名も霧島もそれなりに上手だったなあ…もっとも、カレーの話だから別の料理も美味しいかは分からないけどね」

木曾「そうか……で、さっき比叡はまだいいって言ってたよな?」

提督「そうだね……言ったね…」

木曾「……誰なんだ?その良くない方は」

提督「…………磯風」

木曾「!」

563: 名無しさん 2015/07/16(木) 15:06:13.64 ID:feVThyU50
提督「あれは料理じゃない…人間の食べるものじゃない…」ガタガタ

木曾「そ、そんなにか」

提督「吐くとかそういうレベルじゃなかった、まさか体調に支障をきたすほどだとは思いもしなかった」

木曾「うわあ…」

提督「磯風の何がいけないって、同型の三人が同じ部屋に居てその三人はまともな料理を作れるしアドバイスももらえるのに我流を貫いてまずい料理を作ることなんだよね」

木曾「それって、メシマズの特権じゃないか」

提督「そうなんだよ、しかもまずい癖に自分から進んで作ろうとするしさ、なんかもうそれって食材と食べる人への冒涜としか思えないよね」

木曾(……あれ、なんかキレてないか?)

提督「なんでそういうことするかなあ、人のアドバイスも聞けばいいのにそんなことで人が喜ぶとでも」

木曾「な、なあ、もしかしてお前、料理下手なやつは嫌いなのか?」

提督「………別に、そんなことないけど」

木曾(目が笑ってねえ…)

564: 名無しさん 2015/07/16(木) 15:27:42.92 ID:feVThyU50
木曾「じゃ、じゃあ、逆に美味い料理を作るのは誰なんだ?」

提督「え?うーん……そうだなあ、意外だったのは暁かなあ…」

木曾「へえ。あの小さい子が」

提督「レディーの嗜みだー、って言って練習してたよ。長女らしいところもあるね」

木曾「他は?」

提督「他?………深雪も意外だったねえ、曰く司令官のために頑張ったーって」

木曾「ふっ、健気だな」

提督「あとはみんなだいたい美味しかったねえ…八割がカレーなのはどうかと思うけど」

木曾「はは…お前は愛されてるな」

提督「そう?」

木曾「愛されてないなら他になんて言うんだ?」

提督「………それもそうだね」

566: 名無しさん 2015/07/17(金) 16:34:48.82 ID:CPLNLtqg0
提督「………ねえ、木曾」

木曾「どうした?」

提督「愛って、なんなのかな」

木曾「いきなりなんだ?」

提督「…ごめん、やっぱりいいや」

木曾「そう言われると気になるんだがな」

提督「あはは…確かに」

木曾「そうだな、愛か…難しい話だな」

提督「うん……小さい頃からずっと考えてるけど、今もまだ分からないまま」

木曾「……自論でしかないが、誰かと一緒に居て、その時間が満たされているものならそれは愛なんじゃないか?」

提督「じゃあ、今木曾とこうしてる時間も愛?」

木曾「ああ、俺は満たされてる」

提督「そっか…なら私も木曾を愛してるんだね」

木曾「ふっ、相思相愛か?」

提督「それだとこの鎮守府の子達みんなとも相思相愛になっちゃうよ」

木曾「ははは!違いない!」

568: 名無しさん 2015/07/17(金) 18:39:19.69 ID:PNXVI1W+O
提督「でも、やっぱりよく分かんないや」

木曾「くくく、なんだそれ」

提督「だって…愛って言っても色々あるでしょ、家族愛とか、兄妹愛とか、性愛とか、恋愛とか…」

木曾「? お前のは恋愛じゃないのか?」

提督「……正直、自分でもよく分かってない」

木曾「んん?お前には恋人がいるだろう?」

提督「うん…好きなことは好きなんだけど、これが恋愛感情かと言われたらどうなのかなーって」

木曾「ならなんで好きになったんだ?」

提督「………似てるから」

木曾「似てる?誰に?」

提督「…似てるんだよね、お母さんに」

木曾「……??」

提督「ごめんね、変な話して。もうこの話は終わりにしよう?」

木曾「あ、ああ…」

569: 名無しさん 2015/07/19(日) 16:05:21.23 ID:Kio8vBop0
大鯨「うう…ん…」パチッ

提督「あ。おはよう、大鯨」

大鯨「……おはようございます…?」

木曾「まだ寝ぼけてるな」

大鯨「あれ…私、なんで眠っていたんでしょうか…?」ゴシゴシ

提督「えっとね、ご飯作ってたらいきなり鼻血噴き出して倒れたんだよ」

大鯨「ええっ!?そ、それはどうもご迷惑をおかけしました…」

提督「いいよいいよ、気にしないで」

大鯨「うーん…でも、なんだか幸せだったような記憶が…」

木曾「……幸せだったって、お前何やったんだ?」

提督「ん?おでこくっつけて熱がないか確認しようと」

木曾「ああ…」

提督「何その顔」

木曾「いや…天然ジゴロだなと思って」

提督「??」

570: 名無しさん 2015/07/19(日) 16:41:06.72 ID:Kio8vBop0
大鯨「……あ、そうだ、ご飯作らなきゃ!」ガタッ

提督「ああ、大丈夫だよ、あとは鳳翔さんがやってくれるって」

大鯨「そ、そうなんですか。なら、もうちょっとだけ休憩してようかな…」ストン

提督「うん、ゆっくり休んで」

大鯨「……あ、あのう」

提督「なに?」

大鯨「その…まだ体調が優れないので、お、お膝を借りてもよろしいでしょうか…」

提督「膝枕?いいよ、ほら」ポンポン

大鯨「! し、失礼します…」

ポスッ

提督「どう?」

大鯨「と、とても柔らかくて気持ちいいです…」

提督「そっか、ならよかった」ナデナデ

大鯨「ほえぇ…///」

571: 名無しさん 2015/07/19(日) 19:10:21.09 ID:Kio8vBop0
大鯨(いい匂い…)スンスン

木曾「……………」

提督「…どうしたの?」

木曾「なんでもない」プイ

提督「……ははあ、さては嫉妬してるね?」

木曾「そんなのじゃない」

提督「うぇへへへ、可愛いやつめ」

木曾「うるさい!///」

573: 名無しさん 2015/07/21(火) 01:40:28.46 ID:kmf/4Wwb0
暁「……さて、響」

響「ああ。ついにこの時がやってきた」

暁「揚げ物初挑戦…!」

響「とは言っても油に入れるだけなんだけど」

暁「そうね。じゃあさっさと済ませちゃいましょうか」

ヒョイ

ポチャン

ジュワッ…

響「……うん。上出来だと思う」

暁「なんだか、思ってたよりあっけないわね…」

パチッ

暁「へっ!?」

パチッ パチパチパチパチッ

暁「きゃあ!?」バッ

響「あつっ」バッ

574: 名無しさん 2015/07/21(火) 01:50:20.14 ID:kmf/4Wwb0
暁「ちょ、ちょっと!?これってまずいんじゃないの!?」

響「そうみたいだね」

暁「なんでそんなに落ち着いてるのよ!!とにかくどうにかしないと!」

響「……水でもかければいいんじゃない?」

暁「それよ!よーし…」キュッ

ジャー

鳳翔「ああっ!だ、ダメです!ストップ!」パタパタ

暁「へっ?」

鳳翔「油に水はダメです!大変なことになりますから!」

暁「そ、そうなの…?」

鳳翔「はい、大爆発します。冗談抜きで」

暁「!?」

響「ぶふっ、くくく……」

暁「! 響〜!!」

響「ふふ、悪かった、まさか本当に信じるとは…」

暁「危うく大事故だったじゃない!もう!」

575: 名無しさん 2015/07/21(火) 01:55:21.28 ID:kmf/4Wwb0
暁「でも、あれはどうすればいいの?」

鳳翔「ああ…これくらいならなんの問題もありませんよ。あとは色がついたところであげるだけです」

暁「そうなんだ…」

鳳翔「揚げ物はまだ早かったみたいですね…横で見ていてください」

暁「はーい」

響「…………」ポリポリ

暁「……なに食べてるの?」

響「落ちた衣」ポリポリ

暁「そう……」

響「いる?」スッ

暁「いらない」

576: 名無しさん 2015/07/21(火) 03:07:41.31 ID:kmf/4Wwb0
提督「でね、その時母さんが……」

鳳翔「提督、あとはご飯が炊けるまで待つだけですよ」

提督「あ、そうなの?ならお皿並べてくる」

木曾「俺も手伝うぞ」

大鯨「あ、お膝、ありがとうございました」

提督「うん、よかったらまた今度耳かきでもしてあげるね」

パタパタ

大鯨「耳かき…」

鳳翔「ふふ、楽しかったですか?」

大鯨「へ?あ、い、いえ!そんな、私は…」

鳳翔「そんなに否定しなくても…顔が嬉しいって言ってますよ」

大鯨「うう、すみません…働きもしないでこんな…」

鳳翔「いえ……でも、ちょっとだけ羨ましいです」

大鯨「えっ?どうしてですか?」

鳳翔「私みたいに大人になると、素直に甘えられなくなるので…私も、あんなふうに提督と一緒に過ごせたらなと思うんです」

大鯨「えっと……言えば普通に甘えさせてくれますよ?」

鳳翔「……えっ」

大鯨「えっ」

577: 名無しさん 2015/07/21(火) 03:21:33.13 ID:kmf/4Wwb0
〜〜〜

木曾「おお。この炊き込みご飯のニンジン、星の形になってるぞ」

暁「ほんとだ!可愛いじゃない!」モグモグ

提督「…………」ジー

木曾「……ん、どうした?」

提督「……え?あ、いや、なんでもないよ」

木曾「…さては俺のコロッケが欲しいんだな?」

提督「い、いや、そんなんじゃなくて…」

木曾「遠慮するなよ、俺とお前の仲じゃないか」スッ

提督「あ…ありがとう」

提督(小細工がウケたのが嬉しくて見てたんだけど…こっちもちょっと得したなあ)サクサク

響「…………」ジー

木曾「なんだ、お前も欲しいのか?ほら、エビフライ」

響「……! これは実にハラショーだ……スパスィーバ、木曾さん」

木曾「ふっ、いいってことさ」

提督(木曾ってほんとにイケメンだよねぇ…もし男だったらモテてたのかなぁ)モグモグ

578: 名無しさん 2015/07/21(火) 17:47:39.70 ID:kmf/4Wwb0
鳳翔「あの、提督…」

提督「んぁ、どうしたの?」

鳳翔「これを開けてもらってもよろしいでしょうか…」

提督「黒豆の瓶?開かないの?」

鳳翔「はい、みなさんにお配りしようとしたのですが、前に食べた人が強く閉めすぎたようで…」

提督「なるほど…ん゛っ」

グッ

提督「……これは固いねえ…」

木曾「どれ、貸してみな」

提督「はい」

木曾「ふんっ…!」ググッ

パカッ

提督「おおー!」

木曾「ふふ、こういうのにはコツがあるのさ」

提督「やるねー男らしいねー」パチパチ

鳳翔「助かりました…ありがとうございます」

579: 名無しさん 2015/07/21(火) 18:10:20.73 ID:kmf/4Wwb0
〜〜〜

提督「ふぅ、ごちそうさま」

木曾「いやあ、今日の飯も美味かったな」

雷「しれーかん、私達も食べ終わったわ!」

提督「そうだねえ。じゃあ何しようか」

暁「お風呂は?」

提督「うーん、先に食べ終わった子達が入ってるだろうしねえ。私達は後回しかな」

響「眠い」

提督「じゃあ寝る?」

響「それはやだ」

電「でも時間があるのです」

提督「私釣りしたいんだけどなあ」

雷「釣り?」

提督「そう、夜釣り。大きいのが釣れるから」

木曾「お前……さてはハマったな?」

提督「えへへ、バレた?」

580: 名無しさん 2015/07/22(水) 15:35:45.92 ID:7kqZfYZ+0
雷「そうと決まれば早く行きましょう!明日の朝ご飯になるわ!」

提督「それもそうだね。じゃあ行こうか」

暁「響、ランタン取りに行くわよ」

響「ん…わかった」

木曾「なら俺達は釣り竿と餌取りに行くか」

電「はい、ついていくのです」

提督「とは言っても三本しかないんだけどねえ…雷、私達は先にバケツ持って行こうか」

雷「ええ!」

581: 名無しさん 2015/07/22(水) 17:12:30.02 ID:7kqZfYZ+0
カタン…

雷「ふぅ……夜の海は暗いわねえ」

提督「やっぱり夜戦の時もこれくらい暗いの?」

雷「んー……いや、こっちも深海棲艦もお互いに探照灯持ってるからそうでもないわ」

提督「へぇー…」

雷「どう?司令官は夜の海は怖い?」

提督「……そうだね、吸い込まれそうでちょっと」

雷「ふふん、安心して!たとえ幽霊が相手でも私が司令官を守ってあげるわ!」

提督「ふふ…頼りになるね」

雷「でしょ?もーっと私を頼ってくれてもいいのよ?」

提督「なら針に餌付けてもらおうかな」

雷「ええ、任せて!」

582: 名無しさん 2015/07/22(水) 17:54:19.72 ID:7kqZfYZ+0
提督「…………」

木曾「どうした、また考え事か?」

提督「木曾……うん、そう」

木曾「……昔のことか?」

提督「ううん、別のこと」

木曾「ふーん…それにしてはずいぶん悲しそうな顔だな」

提督「悲しいっていうか…不安になるっていうか…」

木曾「不安?」

提督「うん……この戦いは、いつ終わるのかなって」

木曾「……また難しい話だな」

提督「だって……このまま戦いが続けば、沈む子だって出てくるかもしれないし、もしかしたら向こうの勢力が衰えずにジリ貧になって負けるなんてことになったら…」

木曾「………そうだな。確かにそれは避けられない運命なのかもな」

提督「どうすればいいんだろう……平和な世界にするには……」

583: 名無しさん 2015/07/22(水) 18:07:55.97 ID:7kqZfYZ+0
提督「…………そもそも、どうして私達は戦わなきゃいけないの?」

木曾「え?そりゃあ…向こうが攻撃してくるからじゃないのか?」

提督「違う、そうじゃなくて…本当は戦う理由なんてどこにもないんじゃないの?」

木曾「どういうことだ?」

提督「だって、何かを目的にして争っているわけでもないんだよ?なら、和解するっていう道もあるかもしれないし」

木曾「和解、か……でも、あいつらに言葉は通じるのか?」

提督「喋ってた子いたじゃん」

木曾「そういえば」

584: 名無しさん 2015/07/22(水) 18:21:49.56 ID:7kqZfYZ+0
木曾「しかしそいつとどう接触するか、だよな…」

提督「うん…他の深海棲艦達もいるし、厳しいだろうね…」

響「あ、カニだ」

暁「うそ!どこどこ?」

電「網で取るのです!」

提督「危ないからあんまり遠くまで行ったらダメだよー」

暁「はーい!」

木曾「……まあ、叶わない話ではなさそうだな」

提督「うん…きっと出来るよね」

木曾「ああ、平和な世界の為にもな」

585: 名無しさん 2015/07/22(水) 23:07:58.10 ID:7kqZfYZ+0
提督「力が脅威となるならば、力を抑止力とせよ。か」

木曾「?」

提督「昔おじいちゃんがよく言ってた言葉。力をぶつけ合ってもお互いに壊れるだけだから、あくまでそれを留めるだけの力を持って話し合えって意味があるんだって」

木曾「なるほど……いい言葉だ」

提督「意思を持つ者同士が殺し合うなんて、悲しすぎることだからね…分かり合う事が出来るのなら、それが最良の道だよ」

木曾「ああ……そうだな。俺達の力を戦うための力じゃなくて、戦わないための力にするんだ」

提督「ふふっ、どこまで付き合ってくれる?」

木曾「無論、この身が滅びようとも」

提督「うん……私も諦めない」

木曾「………ところでさ」

提督「なに?」

木曾「釣らないのか?」

提督「あっ」

586: 名無しさん 2015/07/23(木) 00:37:08.35 ID:snNxOPoS0
カララララ

ポチャン…

提督「…………」

木曾「…………」

雷「あー!逃げちゃう!」

暁「ちょっと電、早く早く!」

電「はわわわ!」パタパタ

響「ほら、怖くない怖くない…挟むな挟むな」

提督「…………」

木曾「…………」

587: 名無しさん 2015/07/23(木) 00:42:02.97 ID:snNxOPoS0
提督「…………」

木曾「…………」

パシャッ ザァー…

提督「…………」

木曾「…………」

雷「ほら見て、ここ」

暁「クラゲね」

電「この時期に出るクラゲは危険だー…って司令官さんが言ってたのです」

響「クラゲ……ふよふよしてて可愛いな…」

暁「それはないわ…」

電「可愛いのです」

雷「可愛いわよね?」

暁「え゛っ」

提督「…………」

木曾「…………」

588: 名無しさん 2015/07/23(木) 00:46:17.91 ID:snNxOPoS0
提督「…………」

木曾「…………」

提督「…………」

木曾「………ふわぁぁ……」

提督「…………」

木曾「………釣れないな」

提督「うん………」

木曾「夜は大きいのが釣れるとか言ったのは誰だ」

提督「むう、すぐにおっきいの釣ってみせるもん」

木曾「まったくアタリがないが?」

提督「ぐぬぅ…私が悪いんじゃないもん…」

木曾「くくく、粘れ粘れ」

589: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:01:43.35 ID:snNxOPoS0
クイクイッ

提督「! ほら、来た!」

木曾「おおっ、持ってるな」

ググ

提督「うわ……け、結構強い!」

木曾「大物か!?」

グイッ

提督「わあ!?ひ、引っ張られる!」

木曾「こいつはかなりでかいぞ!俺も手を貸す!」ギュ

提督「こんのっ……」グググ

木曾「落ち着け!体力を削ってからだ!」

提督「う、うん…!」

590: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:12:13.43 ID:snNxOPoS0
提督「! 引きが弱まった…!」

木曾「よし、リールを巻け!」

提督「わかった!」ギュルギュル

木曾「いいぞ、もう少しだ!」

提督「ふぬうあああああ!!」ギュルギュルギュルギュル

ザパァーン

木曾「おお!やっt……」

提督「え?なんか魚じゃn……」






ヲ級「」プラーン

提督「」

木曾「」

592: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:34:02.34 ID:snNxOPoS0
提督「わああああああああ!!???」ザザザザザ

木曾「おおおおおおおおお!!!??」ザザザザザ

ヲ級「」ベチャ

提督「なななななんで空母ヲ級がぁ!?どどどどうしよう!??」

木曾「おおお落ち着け!!俺が守るからお前は後ろに!!」

提督「ああぁ……ん?ちょ、ちょっとまって」

木曾「え?な、なんだ?」

提督「艤装……着けてないよね?」

木曾「ん?……確かに」

ヲ級「……………」モグモグ

提督「あ、針にかかってた魚に食いついたんだ…」

木曾「冷静に分析してる場合か!」

593: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:37:16.11 ID:snNxOPoS0
提督「でも、敵意を向けられてるわけでもなさそうだし…」

木曾「それは……まあ、そうだが…」

ヲ級「…………」モグモグ チラッ

提督「!」ビクッ

木曾「!」ササッ

提督「ちょ、見えないから」グイ

木曾「えぇー…」

ヲ級「…………」

モグモグ…

提督「どうする?」

木曾「いや…攻撃してくる気配がないなら逃げるなりなんなり出来るが…」

提督「魚生で食べてるよ…調理しなくていいのかな…」

木曾「そこかよ」

594: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:45:06.41 ID:snNxOPoS0
ヲ級「…………」ゲフ

スクッ

提督「あ……ま、待って!」ダッ

木曾「っちょ、おい!?」

ヲ級「…………?」クル

提督「えっと、君……言葉は分かる?」

ヲ級「…………」コクン

提督「! あ、あのね、私はあなたと話を」

ヲ級「…………」

クル

スタスタ

提督「さ、最後まで聞いて!私達はあなたを攻撃するつもりなんてないから!」

ヲ級「…………」ピタッ

提督「その……今は何か用事とかがあるのならここに居なくてもいいから、だから…」

ヲ級「…………」

提督「……一週間後!一週間後の朝、またここに来て!」

ヲ級「…………」

595: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:49:59.13 ID:snNxOPoS0
ヲ級「…………」クルッ

スタスタ

提督「朝の五時ぐらい!分かるよね、少し明るくなり始めるくらいだよー!頑張って早起きするから!」ブンブン

ヲ級「…………」ピョンッ

ザブン

提督「………行っちゃった」

木曾「お前……すごいな」

提督「う、うん……」ヘニャ

ストン

木曾「お、おい。大丈夫か?」

提督「あ、あはは……ほんとは、かなり怖かった…」

木曾「はぁ…馬鹿なやつめ…」グイ

提督「ん、ありがと…」

596: 名無しさん 2015/07/23(木) 01:58:54.82 ID:snNxOPoS0
木曾「しかし、なんで言葉が通じるってわかったのに引き止めなかったんだ?」

提督「えっとね……みんながいたから」

木曾「え?」

提督「普段敵として戦ってるみんながいたから…あの子、怖かったんじゃないかって…」

木曾「………そう言われてみれば」

提督「だから、次会う時は私一人で…」

木曾「……!正気か!?殺されるかもしれないんだぞ!」

提督「ううん、あの子はそんなことしない…優しい目だったから」

木曾「なんだその根拠…」

提督「信じる理由にならない?」

木曾「………お前が言うと説得力がすごい」

提督「ふふ、ありがと」

木曾「ただしだな、危ないと感じた時はすぐに逃げるんだぞ」

提督「うん、分かってる」

597: 名無しさん 2015/07/23(木) 02:10:48.39 ID:snNxOPoS0
タタタ…

雷「司令官、大きな声を出してたけどどうかしたの?」

提督「ん?ああ、ちょっとおっきいイカが水面を泳いでてびっくりしちゃったの」

暁「え、どこどこ?」

提督「もういないと思うけど…」

暁「なーんだ…」

響「で、魚は?」

提督「あはは…一匹も釣れなかった」

電「ボウズなのです?」

提督「うん、ボウズ」

木曾「もういい時間なんじゃないのか?」

提督「そうだね、もうみんなお風呂出てるだろうし…戻ってお風呂入ろっか」

雷「はーい!」

598: 名無しさん 2015/07/24(金) 18:22:34.28 ID:Khj2G9GAO
〜〜〜

暁「一番乗りー!」タタタ

提督「あ、こら!ちゃんとタオル巻きなさい!」グイ

暁「ぐぇっ!?別にいいでしょタオルくらい!」

提督「ダメ!はしたないでしょ!」

響「でも司令官、私達は普段タオルなんてしてないから」

提督「えっ」

暁「そうよ!みんなもしてないわ!」

提督「えっ、恥ずかしくないの?」

雷「別に」

提督「」ガーン

暁「まあ司令官がそこまで言うなら巻くけど…」シュル

599: 名無しさん 2015/07/24(金) 18:26:57.28 ID:Khj2G9GAO
提督「」ズーン

木曾「どうしたそんな世界の終わりみたいな顔して」

提督「いや…若い子達ってみんなああなの…?」

木曾「まあそうだな。駆逐艦は電みたいな子じゃない限り全員だぞ」

提督「」ガーン

木曾「おいおい…」

提督「私の考えは古いのかなあ、常識という眼鏡で子供達の世界は覗けないのかなあ」

木曾「時代は移り行くものだぞ」

提督「すごいジェネレーションギャップを感じる…」

600: 名無しさん 2015/07/24(金) 19:13:39.93 ID:Khj2G9GAO
ガラッ

暁「いやっほー!」ピョーン

響「Ура!」ピョーン

雷「そーれっ!」ピョーン

電「なのです!」ピョーン

ザバァン!!

暁「はーっ、気持ちいいーっ!」

響「ふふん…ハラショーだ…」

雷「ねえ、もう一回やりましょ!もう一回!」

電「電もやるのです!」



木曾「……おい、あれ、いいのか?」

提督「ヤッヒイイイイイイィィィィwwww」ピョーン

木曾「お前もやるのかよ」

602: 名無しさん 2015/07/25(土) 00:14:45.68 ID:OOyQsGQ80
ザバァン

提督「はぁー!木曾もやってみなよ、気持ちいいよー!」

木曾「いいよ俺は…そんなことしないって」チャプン

提督「むう、面白いのに」

木曾「いや……軽巡もとい雷巡としての威厳がだな」

提督「威厳?威厳なんて末っ子が考えることじゃなくない?」

木曾「………お前は姉さん達の性格を踏まえた上でそう言うのか?」

提督「………いや、でもさすがにお風呂に飛び込んだりは…」

木曾「するんだよ……」

提督「するんだ……」

603: 名無しさん 2015/07/25(土) 00:23:26.75 ID:OOyQsGQ80
木曾「まず球磨姉が飛び込むだろ。それに連れて多摩姉も飛び込む」

提督「うわあ、よりにもよって上の子達が」

木曾「で楽しそうだーって言いながら北上姉も飛び込んで、北上姉が飛び込んだら当然大井姉も」

提督「飛び込むだろうね」

木曾「ああ、俺以外全員飛び込むんだ。だからせめて俺が威厳を保とうとだな…」

提督「なんか……木曾も苦労してるんだね…」

木曾「で、お前は?」

提督「わ、私?私はそのー……暁達に合わせてあげてるだけだから…」

木曾「……ふーん……」

提督「なにその目!?全然信用してないでしょ!」

木曾「いや、どうも嘘くさいなと思って」

提督「そんな子供みたいなことするわけないでしょ、あは、あはははは!」

バシャッ

提督「ごぼがが」

暁「あははは!司令官、口にお湯いっぱい入った!」

提督「げぼっふ……やったな!このー!」ザブザブ

雷「きゃー!」

木曾(絶対やってるな……)ブクブク

604: 名無しさん 2015/07/25(土) 18:02:04.35 ID:JiSp0giSO
キャーキャー
コノォー
アハハハ

木曾「はぁ〜……いい湯だな……」

大井「そうね……」

木曾「ああ……」

大井「…………」

木曾「…………」

大井「…………」

木曾「………うおお!??」ビクゥ

大井「どうしたの、そんなに驚いて」

木曾「な、なんでここにいるんだ!?」

大井「いえ、北上さんの残り湯を全身で味わおうと…」

木曾「変態かよ!!」

大井「あんまり大きい声出さないでよ、酸欠でくらくらしてるんだから…」

木曾(ずっと潜ってたのか……)

605: 名無しさん 2015/07/25(土) 18:09:02.88 ID:JiSp0giSO
大井「提督と北上さんのブレンド湯……ふへへへ……」ゴクゴク

木曾「うっわぁ……」

大井「さて……明日はこの残り湯でご飯を炊こうかしら」

木曾「…………」ドンビキ

大井「それじゃあのぼせる前に私は上がるから、じゃあね」

木曾「あっ……ああ……」

ザブザブ

ガラッ

パタン

木曾「…………」

提督「あれ、誰かいたの?」ザブザブ

木曾「いや……俺は何も見ていない……」

提督「?」

607: 名無しさん 2015/07/26(日) 20:11:45.28 ID:yfsSEXJw0
提督「はぁ〜生き返るわぁ〜…」

木曾「……………」ジィ

提督「………んん?どこを見てるのかな?」

木曾「うっ……いや、浮いてるなと…」

提督「まあ、脂肪の塊だからねえ」

木曾「よくもまあそこまで育ったな」

提督「木曾もそれなりにあるでしょ?」

木曾「俺?どこがだよ、嫌味か?」

提督「……ああ、大井がいるから」

木曾「……別にコンプレックスとかじゃないし」ブクブク

提督(可愛いなあ…)

608: 名無しさん 2015/07/26(日) 20:15:45.34 ID:yfsSEXJw0
提督「……………」ススス

木曾「……………」ブクブク

提督「………えいっ」

モニュ

木曾「ひょあああああ!!??」バッシャア

提督「うーん、揉めるぐらいにはあるし…木曾、前より成長したんじゃない?」モミモミ

木曾「っ!!////」カァッ

\スッパーン/




提督「いたい…」ヒリヒリ

木曾「堂々とセクハラするなバカチン!!」プンスカ

611: 名無しさん 2015/07/27(月) 10:26:37.57 ID:lbaYf+7X0
提督「いやー、しかしまあこうしてみるとやっぱり木曾も女の子だねえ」

木曾「どういう意味だ」

提督「普段カッコいいからなんか……こう、ギャップ萌えっていうのかな?すごいキュンキュンする」

木曾「………だからってもう一回やろうとか思ってないだろうな」

提督「…………」

木曾「…………」

提督「………なんで分かったの?」

木曾「なんとなく」

提督「ちぃ…いい勘を持ってらっしゃる…」

612: 名無しさん 2015/07/27(月) 10:38:20.15 ID:lbaYf+7X0
木曾「お前、ほんとにいい肝してるよな」

提督「なにが?」

木曾「いや、人にそうやってグイグイスキンシップかけてくる割に自分がそういうことされたら恥じらうだろ」

提督「…………そう?」

木曾「無自覚か…俺を押し倒した時は笑ってたくせに俺が押し倒した時は女の顔になっただろ」

提督「そう言われてみれば……ああ、あの時の木曾、可愛かったなあ!私の腕の中でびくびくして…」

木曾「ばっ、やめろ!こんなところでそんなこと言うな!!」

提督「ああーもう一回見たいなあ…くふふ…」チラッ

木曾「ひいっ」

提督「うぇへへへへへ、木曾ぉー!」ガバッ

木曾「うわあああああ!!来るなあああああ!!」



雷「なにあれ」

暁「暁知ってるわ、ああいうのを痴話喧嘩って言うのよ」

電「たぶん違うと思うのです…」

響「…………」スイー

614: 名無しさん 2015/07/27(月) 16:19:32.68 ID:lbaYf+7X0
ワシャワシャ

提督「かゆいところないー?」

木曾「ああ」

響「はっ」ピュッ

暁「ぎにゃあーー!!?」

雷「こら!泡飛ばさないの!」

電「はわわわ、なにも見えないのです」

提督「もう!ちゃんと静かにしてないとお風呂上がりの牛乳なしにするよ!」

響「む……ならしょうがない」

雷「ほら電、頭流すわよ!」シャー

電「ほあぁ…」

暁「目が!目があああああ!!」

616: 名無しさん 2015/07/30(木) 15:36:39.74 ID:ZyTYsfw00
暁「うぅー、ひどい目にあったわ…」

響「目だけに?」

暁「あんたねぇ…」

提督「はいはい、喧嘩してないでちゃんと頭拭こうね」ワシャワシャ

暁「あいたた、もうちょっと優しくしてよ!」

響「私はこれくらいがちょうどいいけど。暁はお子様だね」

暁「なんですってぇー!?」

提督「じっとしなさい!!」

木曾(親子か)

雷「電、なに飲む?」

電「電は普通の牛乳がいいのです」

617: 名無しさん 2015/07/30(木) 17:48:17.34 ID:ZyTYsfw00
雷「司令官は?」

提督「私はコーヒー牛乳かなー」ゴソゴソ

響「フルーツ牛乳」

提督「わかったー。はい、暁も」

暁「ありがと……ってなんでフルーツ牛乳なのよ!」

雷「いいじゃない、他に飲むものもないし」

暁「そもそもなんでここ牛乳しかないのよ…もっと別のもの置いたら?」

提督「うーん、でも勝手に何か置いていいのかなあ」

雷「え?司令官が置いてるんじゃないの?」

提督「え?いや、私はてっきり鳳翔さんか誰かが補充してるんだと思ってたんだけど」

響「……この前聞いたら鳳翔さんじゃないって言ってたけど」

暁「えっ」

提督「……白百合鎮守府七不思議の一つだね」

木曾(やっぱイチゴ牛乳だな……)ゴクゴク

619: 名無しさん 2015/07/30(木) 18:11:01.57 ID:ZyTYsfw00
まず加賀さんを突破しなきゃ…(畏怖)

620: 名無しさん 2015/07/30(木) 19:37:27.34 ID:ZyTYsfw00
雷「七不思議?」

提督「そう、私がここに着任した当時から伝わる奇怪な現象がいくつもあってね…その一つがこれ、いつ誰が補充してるのか分からない牛乳なんだ」

暁「他のは?」

提督「……………」

木曾「何も考えてなかったんだろ?」

提督「……えへへ、バレた?」

雷「えー!?ちょっと期待しちゃったじゃない!」

提督「ごめんごめん、怖い話でもしようかなーと思ったけどなんにも思いつかなかった」

響「そもそもこの牛乳のサーバーは司令官が設置したものだしね。無理がある」

提督「おー、よく知ってるね」

電「書類整理の時に見つけたのです」

提督「なるほど、抜け目ないね」

621: 名無しさん 2015/07/30(木) 19:41:08.67 ID:ZyTYsfw00
提督「さて、もうみんな飲み終わったしそろそろ私の部屋に戻ろうか」

暁「ねえ司令官、あのゲームの続きやっていい?」

提督「いいよ、データ残してるから」

暁「やったぁ!ほらみんな、早く戻りましょう!」

響「元気だね」

雷「ふふ、もう眠いの?」

響「ああ、正直」

電「でも一日一緒だからもったいないのです」

響「…それもそうだ」

パタパタ

木曾「……で、結局誰が牛乳補充してるんだ?」

提督「え?知らないよ」

木曾「え?」

提督「え?」

622: 名無しさん 2015/07/30(木) 22:40:53.61 ID:ZyTYsfw00
〜〜〜

暁「ねー司令官、ここの氷どうやったら壊せるの?」

提督「えっとね、青い氷はウェイブバーナーとかスプレッドドリルとかで壊せるよ」

暁「別のステージで取るの?」

提督「そうだね、ここクリアしたらアイスウォール取れるからそれでウェイブバーナー持ってるボス倒せばいいよ」

暁「わかったわ!」

電「……電、ここの音楽好きなのです」

提督「ねー、このゲームの音楽いいよね」

木曾「……スーパーファミコンっていつのゲーム機だ?」

提督「私が生まれて……二年か三年ぐらいのじゃなかったかな?」

木曾「なんでそんな古いものがあるんだ…」

提督「この前実家から持ってきた」

響「ペンギンだ……」

623: 名無しさん 2015/07/30(木) 22:51:11.82 ID:ZyTYsfw00
提督「他にもあるよ、F-ZEROとかマリオカートとかスーパーメトロイドとか……ほら、不朽の名作星のカービィスーパーデラックス」

雷「かーびぃ…可愛らしい子ね」

響「マリオカート……」

提督「やりたい?」

響「うん。やる」

提督「でもこれマルチタップ対応してないから二人までなんだよね…暁、まだー?」

暁「このボス結構強いのよ!」カチャカチャ

提督「もー、そんなんじゃ最後まで行けないよ」

暁「むぅ…!これぐらい…!」カチャカチャ

電「動きがよくなったのです」

提督「さてと、一回ごとにコントローラー代わればいいよね」

暁「やったわ司令官!ボス倒した!」

提督「おー、よくやったね」ナデナデ

暁「ふふ、えへへへ……」

提督(フォルテでやってたんだ…絶対ロックの方が楽だよ…)

624: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:21:30.43 ID:crBPBiFT0
〜〜〜

雷「よーし!このままぶっちぎるわ!!」

電「あ……」

雷「ああああー!?」

暁「自分の投げたコウラに当たってる…」

響「……………」ゴシゴシ

提督「……響、眠い?」

響「…………」コクコク

提督「そっか…なら先にお布団入ってようね」グイ

響「うん……」ギュ

スタスタ

木曾「お前達もそろそろ寝た方がいいぞ、明日は遠征なんだろう?」

暁「あ、あと1レースだけ!」

木曾「……仕方ないな、これが終わったらちゃんと寝るんだぞ」

暁「やった!」

625: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:27:28.38 ID:crBPBiFT0
電「……これで一日一緒が終わりだと思うとなんだか名残惜しいのです」キュ

雷「そう?司令官ならいつでも甘えさせてくれるじゃない」

提督「そうだよ、遠慮してるのは電の方だよ。もっと積極的に来てもいいんだよ」

電「……はい、えへへ」

暁(目が本気だわ…)

提督「よしよし……それじゃもう遅いから寝ようね」

雷「おやすみ、司令官!」

電「ん……おやすみなさい、司令官さん…」ギュウ

暁「おやすみなさーい…」

提督「はい、おやすみ…」

木曾「……………」

626: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:30:34.71 ID:crBPBiFT0
木曾「……………」

提督「……………」

木曾「………寝たか?」ボソッ

提督「……………」ツン

電「んぁ…にゃ……」

提督「…………寝たみたい」

木曾「………よっし」

バッ

木曾「やるか」

提督「やりますか」

木曾「へへへ、よく気付いてたな」

提督「まあ視線が釘付けになってたからねえ。やりたくてしょうがないんでしょ?」

木曾「ああ。明日は非番だから思う存分出来るぞ」

提督「ふふん、なら私もサボっちゃおうかな」

木曾「悪い大人だ」

提督「くくく、人のこと言えないでしょ」

627: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:34:53.66 ID:crBPBiFT0
提督「はい、カセット」スッ

木曾「おう、コントローラー握るの俺でいいよな?」

提督「もちろん。それじゃ、電源入れるよ」

木曾「ああ」

カチッ

提督「きたきた、懐かしいなぁ」

木曾「こんや、12じ、だれかがしぬ」

「「かまいたちの夜…!」」

ーーー

ーーーーー

ーーーーーーーー

628: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:38:15.40 ID:crBPBiFT0
ーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

望月「はぁ〜…なんであたしがこんなこと…ふーちゃんなら加賀さんが起こす方がいいじゃん……」

望月「ふーちゃーん。ふーちゃーん」コンコンコン

望月「……………」

望月「………反応がないな、まだ寝てるのか…」

ガチャ

望月「入るよ……うわっ、なんだこれ」

提督「」zzz

木曾「」スピー

望月「なんで二人ともスーファミの前で寝てるんだ…」

629: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:40:11.65 ID:crBPBiFT0
望月「……んぁ?かまいたちの夜…?」

望月「……………」

望月「……なるほど、夜通しやってたのかぁ…そりゃそーなるわけだ…」

提督「」zzz

木曾「」スピー

望月「…………」

望月「そっとしておこう」

スタスタ

ガチャ

バタン

提督「」zzz

木曾「」スピー

630: 名無しさん 2015/07/31(金) 00:41:16.64 ID:crBPBiFT0
ながいのおわり
かまいたちの夜久々にやったら気付いた時には朝になってました(半ギレ)

637: 名無しさん 2015/08/02(日) 04:00:12.14 ID:Iiv4meT00
瑞鶴「…………」

翔鶴「…………」



提督「あ、そうだ加賀」

加賀「なに?」

提督「もうすぐお仕事終わりそうだから、今日は一緒に寝られるよ」

加賀「そう……わかったわ」

提督「それじゃ、またあとでね」

加賀「ええ」

スタスタ…

638: 名無しさん 2015/08/02(日) 04:06:24.38 ID:Iiv4meT00
瑞鶴「……ねえ」

翔鶴「?」

飛龍「どしたの?」

瑞鶴「気にならない?」

蒼龍「なにが?」

瑞鶴「提督さんと加賀さんが、どこまで行ったかよ」

赤城「それはまあ、確かに」

瑞鶴「ですよね?」

翔鶴「具体的に言うと?」

瑞鶴「………夜戦ね」

飛龍「うわあ」

蒼龍「いきなりそんなディープな」

639: 名無しさん 2015/08/02(日) 04:14:12.05 ID:Iiv4meT00
赤城「でも気になりますね、どれくらいの頻度でどんなことをしてるのかとか…」

翔鶴「提督、かなりの恥ずかしがり屋なのでもしかしたらなにもしていないということもあり得るかもしれませんね…」

飛龍「……そこまで言われるとなんだか気になってくる」

蒼龍「私も」

瑞鶴「ね?だからそれを聞き出したいのよ」

赤城「と言っても、加賀さんが素直にそれを喋るとは思えませんね」

瑞鶴「そこが問題なんですよねえ、提督さんに聞いても恥ずかしがって何も言わないだろうし…」

翔鶴「この前も下着の色を聞いただけで真っ赤になってたし…」

飛龍「いやそれただのセクハラだから」

640: 名無しさん 2015/08/02(日) 04:43:10.30 ID:Iiv4meT00
瑞鶴「うーん、他の子達に頼んでも無理だろうし…」

翔鶴「酔ってる時に聞いてみればいいんじゃないかしら?」

飛龍「おおー、それだ!」

蒼龍「でも加賀さん、私達の前で酔うくらいお酒飲むと思う?」

瑞鶴「……そう言われてみればそうね」

赤城「提督は酔いませんし…」

瑞鶴「あー、難しい話ねぇ…なんとか聞き出す方法は……」

カタン

鳳翔「どうぞ、食後のお茶です」ニコ

瑞鶴「…………!!」

鳳翔「? どうしました?」

瑞鶴「鳳翔さんなら、いけるかも…!」

鳳翔「へっ…?」

〜〜〜

641: 名無しさん 2015/08/02(日) 17:28:21.38 ID:Iiv4meT00
加賀「……………」ガタ

鳳翔「あの、加賀さん」

加賀「鳳翔さん…どうしました?」

鳳翔「その……これから一緒に、どうですか?」スッ

加賀「お酒……晩酌、ということでしょうか」

鳳翔「はい、たまにはいいかなと…」

加賀「………そうですね。鳳翔さんがそう言うのなら付き合いましょう」

鳳翔「! なら、向こうのお部屋で」

加賀「ええ」

642: 名無しさん 2015/08/02(日) 17:54:42.95 ID:Iiv4meT00
ガラ

加賀「…………」ピク

瑞鶴(来た…!)

翔鶴「ど、どうも…」

飛龍「あ、加賀さん!」

蒼龍「こっちですよー!」

加賀「……他の子達もいるのですね」

鳳翔「えと、ダメでしょうか…」

加賀「あ、いえ。そんなことは」

鳳翔「そうですか…ふふ、ならよかった」

加賀「…………」

瑞鶴(くくく……加賀さんは鳳翔さんに弱い!それを利用して、酔わせれば…!)

加賀「……ちょっと、なにを一人で笑っているの?」

瑞鶴「へっ?あ、な、なんでもないわ!」

加賀「ふうん…」

鳳翔「加賀さん、お酌しますね」

加賀「あ、はい」

瑞鶴(いける…)

643: 名無しさん 2015/08/03(月) 00:58:21.21 ID:wNzYiiBV0
〜〜〜

加賀「…………//」ポー

鳳翔「zzz……」

瑞鶴「いい感じに酔いが回ってきたんじゃない?」ヒソヒソ

翔鶴「ええ、肩肘ついてぼーっとしてるわ」ヒソヒソ

飛龍「というか鳳翔さん寝てるし…」

赤城「鳳翔さん、お酒飲んだらすぐ寝ちゃいますから…」

蒼龍「毛布かなにかない?」

瑞鶴「あ、ここにちゃんちゃんこがあるわ」

蒼龍「とりあえずこれ掛けておいたら風邪は引かないよね…」

翔鶴「ところでそれ、誰のちゃんちゃんこ…?」

飛龍「提督のじゃない?」

瑞鶴「うそ!?」

鳳翔「ん……」ゴロ ギュウ

蒼龍「無意識に抱き締めてる」

瑞鶴「ぐぅ…羨ましい…」

644: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:10:27.44 ID:wNzYiiBV0
瑞鶴「って、本題はそうじゃないわ。加賀さんと提督さんがどんなことをしてるのか聞き出すのよ」

翔鶴「簡単に話してくれるかしら…?」

瑞鶴「お酒入ってるから大丈夫だとは思うけど…それとなく誘導した方がいいわね」

飛龍「ねーえー加賀さーん」

加賀「……なに、そんなに楽しそうにして」

蒼龍「提督とはどこまで進んだんですか〜?」

加賀「どこまで、って?」

飛龍「やっぱり夜戦とか……するんですか?」

蒼龍「やっちゃうんですか〜?」

加賀「…………」

瑞鶴「ちょっ、そんなストレートに!?」

645: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:22:01.49 ID:wNzYiiBV0
加賀「………そうね、夜戦ね……」

瑞鶴「!」

飛龍「ほら、やった!」

赤城「で、どうなんですか?どうなんですか?」ワクワク

翔鶴(この人何気に子供っぽいわ…)

加賀「………してないわ」

赤城「えっ!?」

瑞鶴「うそでしょ!?」

加賀「あ……少し違ったわ……」

蒼龍「なにが違うんですか?」

646: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:30:38.44 ID:wNzYiiBV0
加賀「あの子からはなにもして来ないけど…いつも私から手出ししてるから……」

赤城「と言いますと?」

加賀「……私が一方的にあの子を弄っているというか……まあ、そうね…そういうことになるわね…」

瑞鶴「えっ、じゃあ提督さんはバリネコってことですか?」

加賀「…よく分からないけれどそうなんじゃないかしら」

瑞鶴「マジか…マジか!!」

翔鶴「瑞鶴、テンションおかしくなってるわ」

飛龍「でも、それって嫌がられたりしません?」

加賀「いえ……拒絶するどころか、むしろ嬉しそうにしてるというか…あの子、キスしたらすぐスイッチ入って目がとろんとして濡れてくるから…」

蒼龍「うわあ///」

飛龍「な、なんか一気にディープな話になったね///」

647: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:39:45.64 ID:wNzYiiBV0
加賀「こう、一方的にされるというのが好きみたいなのよね……誰かに気付かれそうな状況で手を出しても『ダメだよ』とか『バレたらまずいから…』とか口先だけで実際は抵抗もなにもしないし……」

瑞鶴「そ、そんなことしてるんですか」

加賀「………執務室の扉越しに駆逐艦の子と喋っている時に後ろから性感帯弄っただけでもうぐしょぐしょに濡れていたわ。あの時が一番興奮した」

飛龍「はぇ…」

蒼龍「い、いいのかな、こんな暴露話聞いちゃって」

赤城「なんですかね、提督は……割とそういうのも好きなんですかね」

加賀「……そうね、恥ずかしがるけど…それがまた可愛くて、手を出してしまうというか…危ないプレイもしたくなるというか…」

瑞鶴「なにこのノロケ話」

翔鶴「あの、加賀さん」

加賀「ん……なに?」

648: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:44:26.38 ID:wNzYiiBV0
翔鶴「ここまで聞いていて、思ったことがあるんです」

加賀「ええ」

翔鶴「その……提督は、もしかしてMなのではないでしょうか」

瑞鶴「えっ」

加賀「…………」

翔鶴「…………」

加賀「………そうね。あの子、割とマゾっ気があるのよね」

翔鶴「! 本当ですか!?」

瑞鶴「いやなんで嬉しそうなのよ」

加賀「ええ、多少痛いことをしても許してくれるというか…まあ、具体的に言うと濡れるというか…」

翔鶴「もっと詳しくお願いします」

649: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:50:08.34 ID:wNzYiiBV0
加賀「こう……例えば、下を弄りながら首筋とか噛むじゃない」

翔鶴「はい」

加賀「それだけで指が痛いくらい締め付けられるから…マゾで間違いないわ」

翔鶴「おおお〜!!」

瑞鶴(なんか分かり合ってる!)

翔鶴「ち、ちなみに道具とかは……」

加賀「道具……そうね、道具……そうね………」

飛龍「道具?」

蒼龍「ほら、SM用のアレ」

飛龍「ああ…」

加賀「………そうね、鞭までいったわ」

翔鶴「鞭!?」(歓喜)

瑞鶴「鞭!?」(驚愕)

650: 名無しさん 2015/08/03(月) 01:55:13.26 ID:wNzYiiBV0
加賀「鞭といっても一本鞭ではなくて、あの……先が分かれた、バラ鞭っていうの?あまり腫れないもので叩くといい声で啼くの」

翔鶴「いいですねぇそういうの!!」キラキラ

瑞鶴(うわあ…翔鶴姉めっちゃキラキラしてる…)

翔鶴「でも、どうしてバラ鞭なんですか?痕が残る方が自分を刻み付けられたようで興奮しません?」

加賀「それもいいけど……痕が残るのはさすがに女として可哀想だし、自分の証を残すのならいつも首筋にキスマークを付けているから……」

赤城「……超イチャイチャしてるじゃないですか」

蒼龍「私達なに聞こうとしてたんだっけ…」

飛龍「さあ…」

651: 名無しさん 2015/08/03(月) 02:02:13.88 ID:wNzYiiBV0
加賀「……でもあの子、根っからのマゾというわけでもなさそうよ」

翔鶴「えっ?」

加賀「前に……私が使ってたバラ鞭に興味を示したのか、振り回してる時に偶然私のお腹にそれが当たったことがあって…」

赤城「なにやってるんですか…」

加賀「思いの外痛くて私はその場にうずくまるように倒れたんだけど……痛がる私を見る目が、完全に愉悦を感じているものだったわ」

翔鶴「つ、つまり…?」

加賀「……そうね、大元はサドね」

瑞鶴「サド!?」(歓喜)

翔鶴「サド!?」(驚愕)

652: 名無しさん 2015/08/03(月) 02:06:27.29 ID:wNzYiiBV0
瑞鶴「や、やっぱり叩かれる側とも相性はいいんですかね?」

加賀「私の趣味は逆だから分からないけど…たぶんそうなんじゃないかしら…」

瑞鶴「っしゃあ!!」

飛龍「でも、SとMを持ち合わせてるってどう呼べばいいのか…」

加賀「……さしずめ両刀といったところね」

瑞鶴「両刀!?」(歓喜)

翔鶴「両刀!?」(歓喜)

653: 名無しさん 2015/08/03(月) 02:11:39.29 ID:wNzYiiBV0
蒼龍「そうそう、一緒に寝る日はいつもしてるんですか?」

加賀「……そういうわけでもないわ、私がそういう気分になった時か、あの子が誘ってくる時ね」

赤城「誘ってくる、とは」

加賀「と言ってもそんな明確なことをするわけでもないけど……ただ、寝ようとしてもずっと目を開けてるだけ」

飛龍「へぇ〜…自分じゃ言い出せないんだ」

加賀「そう。そこが可愛いのよ」

蒼龍「加賀さん、提督にメロメロだね」

加賀「だって……可愛いじゃない、あの子…可愛い……」

赤城「あー……そろそろ限界みたいですね」

654: 名無しさん 2015/08/03(月) 02:14:24.46 ID:wNzYiiBV0
赤城「加賀さん、もうこんな時間ですよ」

加賀「んぁ……本当…それじゃ、私はあの子と寝るから」ガタ

飛龍「あ、お疲れ様でした」

瑞鶴「一人で大丈夫?」

加賀「問題ないわ」

パタン

瑞鶴「……もう話すこともないし、鳳翔さん起こしてお開きにしよっか」

翔鶴「そうね、明日も早いし」

赤城「ええ。それでは、みなさんもお疲れ様でした」

飛龍「おつかれ〜」

蒼龍「おやすみなさーい」

656: 名無しさん 2015/08/03(月) 02:17:58.08 ID:wNzYiiBV0
瑞鶴「はぁ、ねむ…」スタスタ

翔鶴「ちゃんと布団まで歩かなきゃダメよ?」スタスタ

瑞鶴「分かってるわ…」スタスタ

『きゃあ!?』

瑞鶴「ん?」

『っちょ、加賀!?いきなりどうしっ……ん、んんんっ……!』

翔鶴「…………」

『……っは…あ、ま、待っ……ひゃあっ!』

瑞鶴「…………」

『だ、ダメだってば…まだ起きてる子もいるかもしれないの、にぃっ……!』




瑞鶴「………聞かなかったことにしよう」スタスタ

翔鶴「そうね……」スタスタ

657: 名無しさん 2015/08/03(月) 02:18:42.17 ID:wNzYiiBV0
惚気おわり
深夜テンションって怖いですね(適当)

659: 名無しさん 2015/08/06(木) 03:11:59.38 ID:MISKgd280
提督「……………//」ボー

加賀「………風花」

提督「……………」

加賀「………風花ってば」

提督「………え?なに?」

加賀「大丈夫?」

提督「なにが?」

加賀「顔が赤いし、さっきからぼーっとしているから…」

提督「え……ほんと?」

加賀「ええ…もしかして風邪?」

提督「そんなこと……げほっ!」

加賀「!」

660: 名無しさん 2015/08/06(木) 03:16:51.49 ID:MISKgd280
加賀「…今日はもう休んだ方がいいわ、本格的に熱が出たら大変よ」

提督「うん、この書類書き上げたら…」

加賀「ダメ、すぐ寝なさい」

提督「ほ、ほんとに大丈夫だって!簡単なものだから!」

加賀「なら私がやっておくから。あなたは寝ていなさい」

提督「やだよ、加賀に迷惑なんてかけられないもん!」ガタッ

加賀「あ、ちょっと」

提督「これくらい明日になれば治るから!」ガチャッ

バタン

加賀「はぁ……」

661: 名無しさん 2015/08/06(木) 03:27:10.70 ID:MISKgd280
提督「報告書仕上げるための図鑑……図鑑は書斎にあった、はず……」

提督「う……」フラッ

ドン

提督(あれ……私、なんで壁にもたれかかって……休んじゃダメなのに…)

提督「はぁ……はぁ……」

提督(身体が熱い…頭も回らない……景色が……歪んで………)ズル…

ストン

提督「だ、め……」

提督(これを終わらせなきゃ…加賀に……)

提督「……ぁ………」

提督(ダメだ……力が、入らない…なんで…)

662: 名無しさん 2015/08/06(木) 03:32:48.84 ID:MISKgd280
提督「……………」

加古「ん………おや?」

パタパタ

加古「…………」キョロキョロ

提督「……………」

加古「…うおーい、提督ー、さすがにこんなところで寝てると風邪引くぜー?」ユサユサ

提督「……………」

加古「……あれ?」

提督「……………」

加古「え…お、おい、冗談だろ?提督?提督っ!?」

664: 名無しさん 2015/08/06(木) 23:02:10.75 ID:MISKgd280
〜〜〜

キィ…

パタン

提督「……ん………」パチ

「あ……起こしてしまいましたか…?」

提督「……鳳翔、さん…?」

鳳翔「はい、鳳翔です。よかった、ちゃんと意識が戻って…」

提督「え……?私…」

鳳翔「昨日の夜、廊下で倒れていたんですよ。大変だーって、加古さんが大慌てで私を呼んで…」

提督「………?なんで…?」

鳳翔「なんでって……提督、昨日は40度も熱があったんですよ?」

提督「……えっ」

鳳翔「どうですか?自覚症状、あります?」

提督「………うん。頭は痛いし、意識はぼんやりしてるし…身体も熱い…」

鳳翔「身体のどこかが痛む、とかは…?」

提督「ん……ない…」

鳳翔「そうですか…なら、とりあえずインフルエンザの心配はありませんね」ニコ

665: 名無しさん 2015/08/06(木) 23:08:22.29 ID:MISKgd280
提督「……ごほっ…」

鳳翔「おでこ、失礼しますね」スッ

ピト

提督「ん……」

鳳翔「…………」

鳳翔(……まだ、40度近くはある……かも…)

鳳翔「熱……下がりませんね…」

提督「…………」

鳳翔「大丈夫ですよ、しっかりみんなで看病しますから」

提督「うん…………鳳翔さんの手、ひんやりしてて気持ちいい…」

鳳翔「…ええ、先ほど水仕事をしていたので…」

提督「そっか……この時季は…すぐ冷えるから、気を付けてね……」

鳳翔「もう…あなたは人の心配ばかり…」

666: 名無しさん 2015/08/06(木) 23:20:26.23 ID:MISKgd280
鳳翔「日頃の無理が祟ったみたいですね…」

提督「……私、無理なんてしてないんだけどなあ…」

鳳翔「疲れというのは、気付かないうちに溜まっていくものですから…しっかり休まなきゃダメですよ」

提督「……鳳翔さんは?いつ休むの?」

鳳翔「もう、提督ったら…今は人の心配なんてしなくていいですから…」

提督「でも、心配になって…」

鳳翔「……分かりました、なら近いうちにどこかへ連れて行ってください」

提督「……うん」

鳳翔「もちろん、ちゃんと風邪を治してからですよ?」

提督「……うん」

667: 名無しさん 2015/08/06(木) 23:25:18.22 ID:MISKgd280
鳳翔「………そろそろ戻りますね、本当はずっと見ていてあげたいんですけど…」

提督「あ………うん、わかった…気にしなくていいよ…」

鳳翔「……提督は素直じゃないですね」

提督「え…?」

鳳翔「寂しいって、顔に書いているみたいですよ」

提督「……そんな、私は…」

鳳翔「他の子達もちゃんと見に来てくれますから…安心してください、提督は一人じゃありません」

提督「…………うん……」

鳳翔「それでは…また、夜に来ます」

提督「うん…頑張ってね」

パタン

提督「……ありがとう……」

669: 名無しさん 2015/08/08(土) 14:56:35.59 ID:mNPcCUA80
提督「………ん…?」

提督(そういえば、パジャマになってる…)

提督(鳳翔さんが着替えさせてくれたのかな…)

提督(……ん?だとしたらブラとかは……)

提督「……………」ゴソ

提督「……………」

提督「…………///」カァ

提督(ない……見られた…下もない……)

671: 名無しさん 2015/08/10(月) 02:33:01.27 ID:fk04Cxrv0
カチャ…

提督「ん………」チラ

時雨「……あ…提督、起きてる?」

夕立「提督さん、大丈夫っぽい…?」

提督「ううん…大丈夫じゃないっぽい…」

夕立「……!」

パタパタ

ストン

夕立「提督さん、ごめんなさい…」

提督「ふふ…どうして謝るの?」

夕立「だって…この前、大雨だったのにあたしが無理やり連れ出して外で遊んでたから…」

提督「それ、もう一ヶ月くらい前の話じゃない…今私が寝込んでるのとは無関係だから、夕立は悪くないよ」

夕立「でも……」

提督「ちょっと、頑張りすぎてただけだから…休んでいればすぐ良くなるよ」

夕立「………うん」

672: 名無しさん 2015/08/10(月) 02:39:17.23 ID:fk04Cxrv0
時雨「提督、辛そうだね」

提督「……そう?」

時雨「うん。顔は赤いし、声も掠れてるし…頭は?痛い?」

提督「…うん、ズキズキする」

時雨「そっか……」

キュ

時雨「ごめんね…僕に出来ることはこれくらいしかないんだ」

提督「そんな…これだけでも十分だよ…」

夕立「あたしも握るっぽい!」ギュ

提督「ふふふ……よしよし」ナデナデ

夕立「きゃー♪」パタパタ

時雨「あはは…」

673: 名無しさん 2015/08/10(月) 02:43:38.10 ID:fk04Cxrv0
提督「んく……げほっ、ごほ…」

時雨「! 大丈夫?」

提督「うん、大丈夫…それよりほら、風邪移ったら大変だから……もう戻った方がいいよ」

夕立「う〜…でも、提督さんが心配っぽい…」

提督「ちゃんとお薬飲めば楽になるから…」

時雨「そうだ、お薬…咳止めも頭痛薬もあるんだけど、食後の方がいいよね…」

提督「そうだね…今はまだ飲めないや」

時雨「本当はお粥作ってあげたかったんだけど…もう時間だ。行こう、夕立」

夕立「うん……」

提督「……そんな顔しなくても大丈夫だよ、元気になればまた遊べるから」

夕立「……うん」

時雨「それじゃあ…何かあったらすぐ誰かに言うようにね」

提督「うん…」

パタン

676: 名無しさん 2015/08/11(火) 10:00:08.34 ID:FHRdDzKJ0
提督「げほっ……」

提督「……今何時だろ……」ムク

提督「う……」

クラッ

提督「うぅ……」

提督(すごいくらくらする…世界が回ってるみたい……)

提督(こんなにすごい熱出たの、いつぶりだっけ…)

提督(苦しい……辛い……)

ボフッ

提督「はぁ……はぁ……」

提督(なんでこんなに苦しい思いしなきゃいけないの…?このまま死んじゃうの……?)

提督(痛い…頭がいたい…)

提督(母さん………)

677: 名無しさん 2015/08/12(水) 23:30:20.20 ID:A+3MGJCQ0
『…………』

『風花、あなたはよく頑張ったわ』

『お母さん……うん、私、頑張ったよ……』

『ええ…見ていたわ、ちゃんと…』

『うん、お母さんを助けた』

『………ええ』

『私、頑張ったから…これなら、また風音達も戻っ───』

『………風花、あなたは頑張ったわ』

『うん』

『だから……今は、休んでていいのよ』

『え?』

『もう…もう、いいの…』

『お母さん?どうして泣いてるの?』

『ごめんなさい……全部、私が悪かったの……』

『お母さんは何も悪くないよ?だから、泣かないで…そんなに泣いたら、私まで……うっ…うぅ…』

678: 名無しさん 2015/08/12(水) 23:38:29.37 ID:A+3MGJCQ0
「う……うぁ……」

「───風花!」

提督「あ………え……?」

木曾「……大丈夫か?」

提督「……?今の……」

木曾「今のって……ああ、多分、悪い夢でも見てたんだろう」

提督「夢……」

木曾「身体の調子が悪い時はよくそういうものを見るからな…気分はどうだ?」

提督「……くらくらする」

木曾「その分だとまだまだ回復しそうにないな…」

提督「…………」

木曾「あ、そうだ」

提督「………?」

679: 名無しさん 2015/08/12(水) 23:43:57.31 ID:A+3MGJCQ0
木曾「ほら。お粥、持ってきたぞ。食べた方がいい」コト

提督「お腹空いてないんだけど……」

木曾「ダメだ、食欲がなくてもこういう時は食べなきゃ逆に辛くなる」

提督「むぅ……」

木曾「ちゃんと食べさせてやるから文句を言うな」

提督「……わかった」

木曾「ああ、それでいい」

カチャ

木曾「ふー…ふー……ほら」スッ

提督「ん……」パク

木曾「……どうだ?」

提督「………味、分からない……」

木曾「はは、だろうな」

680: 名無しさん 2015/08/13(木) 01:09:08.21 ID:51SzWAXS0
提督「……これ、木曾が作ったの?」

木曾「ん?ああ、そうだが」

提督「………美味しいよ」

木曾「………ああ」

提督「ほんとだよ?」

木曾「わかってるって」スッ

提督「あつっ!」

木曾「あ、悪い」

提督「……照れてる?」

木曾「…まあ、そんなところだ」

提督「あはは…可愛いね」

木曾「はいはい…」

681: 名無しさん 2015/08/13(木) 19:45:58.41 ID:51SzWAXS0
提督「ふぅ…」カチャン

木曾「ちゃんと全部食べられたな。えらいぞ」

提督「早く風邪治して、みんなに元気な顔見せたいから…」

木曾「ああ、ならこれも飲まなきゃな」

提督「うえぇ…お薬…」

木曾「ダメだぞ。頭痛薬と咳止め、食後に二つずつだ」

提督「うん……」

木曾「ほら、水」

提督「カプセル剤って、どうも苦手なんだよね…喉に詰まりそうっていうか…」

木曾「飲めないのか?」

提督「出来れば飲みたくないんだけど…」

木曾「なんなら、鳳翔さんが置いてった座薬もあるが…」

提督「飲みます飲みます!!」

682: 名無しさん 2015/08/15(土) 01:01:39.12 ID:ndQV4iOf0
提督「んぐ……はぁ……」

木曾「ちゃんと飲んだか?」

提督「うん、全部…」

木曾「よし…よくやった」

提督「……そういえば、今何時?」

木曾「今?ヒトロ……四時だな」

提督「四時……もうそんな時間なんだ…」

木曾「まあ昨日気を失ってから、十二時ぐらいまでずっと眠っていたそうだからな」

提督「うそ…」

木曾「それだけ疲れてたってことだ」

提督「……気付かなかった…」

木曾「ああ……お前は頑張りすぎてるからな」

683: 名無しさん 2015/08/15(土) 01:08:22.59 ID:ndQV4iOf0
木曾「考えてもみろ、普段俺達なんて遠征ぐらいしか行かないのにいつもお前は忙しいじゃないか」

提督「そうだっけ……」

木曾「ああ。常に書類とにらめっこしてるイメージがあるぞ」

提督「………そっか……」

木曾「まあ、資源の消費と供給が激しい分報告書とか作らないといけないんだろうが……休める時はしっかり休んで、誰かを頼るのも大事だぞ」

提督「うん……」

木曾「……さて、ちょっと体温計るぞ」スッ

プチ

提督「あ………ぬ、脱がされちゃう……」

木曾「意味深なこと言うな」

提督「えっち…」

木曾「ボタン二つ開けただけだろ!!」

685: 名無しさん 2015/08/16(日) 15:16:44.77 ID:NMMDiaR00
木曾「まったく…ほら、自分で出来るか?」

提督「うん……」スッ

カチ

木曾「すぐに計れるからな」

提督「そうなんだ…最近の体温計って優秀なんだね」

木曾「昔のは時間がかかったのか?」

提督「うん、少なくとも私が知ってる限りでは一分以上…」

木曾「へぇ……」

ピピピピ ピピピピ

木曾「っと、言ってるうちに」

提督「んしょ…」クイ

木曾「貸してみな」

提督「ん…」スッ

686: 名無しさん 2015/08/16(日) 15:30:15.31 ID:NMMDiaR00
木曾「…………」

提督「ん゛ん゛っ…」

木曾(三十九度七分……下がったとは言えないな…)

提督「……どう?」

木曾「ん?ああ、もう一日も寝ていれば治るさ」ニッ

提督「そっか……よかった……」

木曾「さっきまで寝てたから眠れないだろうが…それでも安静にしておくんだぞ」

提督「うん…」

木曾「それじゃあ、俺はもう行くからな」

提督「うん」

木曾「退屈なら本でも読んでていいんだぞ」

提督「うん」

木曾「不安になったらすぐ呼ぶんだぞ」

提督「うん」

木曾「スポドリと水もここに置くからな」

提督「う、うん」

木曾「あと…」

提督「早く行きなよ…」

687: 名無しさん 2015/08/16(日) 19:10:35.34 ID:NMMDiaR00
木曾「あー、いや…すまない、やっぱり心配で…」

提督「あはは……大丈夫だよ、私一人でも…」

木曾「ん…そうだよな、ちゃんと薬も飲んだもんな」

提督「それに、もう子供じゃないから…」

木曾「……そうだな、大人だもんな…心配しすぎだったな」

提督「うん……だから、大丈夫…」

木曾「…ああ。それじゃあ、また後で来るからな」

提督「頑張ってね…」

ガチャ

パタン

提督「大人…かあ…」

688: 名無しさん 2015/08/16(日) 19:14:01.51 ID:NMMDiaR00
提督「…………」

提督「…………」ゴロン

提督「…………」

提督「………う〜ん……」

提督(眠れない……)

提督(暇だなぁ…駆逐艦の子達と戯れたい…)

提督(でも安静にしてなきゃダメだし……)

提督「…………」

提督(お薬飲んでちょっと楽になったし……本でも読もうかな…)ムク

ペラッ

提督(あ…しおり、挟み忘れてる…)

提督(どこまで読んだっけ……)ペラッ

689: 名無しさん 2015/08/18(火) 00:40:12.24 ID:R0fXyOuu0
〜〜〜

提督「……………」ペラッ

『ねえ、早く入りましょう?』

『わ、こら!お、押すなって!』

提督「…………?」

『そっと入った方がいいって!寝てるかもしれないだろ、起きたらどうするんだ!』

『うふふ、その時はその時ね〜』

『ちょっ、まっ……うおぉ!?』

ガチャッ ドタッ

バタン!!

提督「!?」ビクッ

天龍「よ……よう…」

提督「ど、どうも…」

龍田「お邪魔するわね〜」

天龍「いてっ、いてて!というか龍田、早く退けぇ!!」グイグイ

龍田「あら〜、ごめんなさい」

提督(なにこれ…)

690: 名無しさん 2015/08/18(火) 00:46:08.32 ID:R0fXyOuu0
天龍「えーっとだな…その、今日来たのは…」

龍田「お見舞いに来たんだって、天龍ちゃんったら行くって言って聞かなくて〜」

天龍「い、言うなよ!恥ずかしいだろ!」

提督「ああ、そうなんだ……えへへ、ありがと…」

龍田「はいこれ、差し入れ」スッ

提督「ん、これは……プリンにゼリーに…ってプリン多くない?」

龍田「天龍ちゃんが食べたいって言うから…」

天龍「言ってねえ!!」

提督「へぇ、天龍がねぇ…」

天龍「言ってないって言ってるだろ!?」プンスカ

691: 名無しさん 2015/08/18(火) 00:52:53.04 ID:R0fXyOuu0
提督「ふふふ、冗談だってば」

天龍「ったく……で、どうなんだ?少しは良くなったのか?」

提督「うん、さっきお薬飲んでちょっと楽になったかな」

龍田「起きてても大丈夫なの?」

提督「さすがに退屈だからねえ…あんまり眠くもないし」

天龍「熱は?」

提督「ん…さっき木曾に計ってもらったら、あと一日で治るって」

天龍「どれどれ……」スッ

提督「えっあ、ちょ

ピト

天龍「………うーん」

提督「ほっほ、ほああぁ」プルプル

天龍「……ダメだ、全然わかんねえ」

提督「//////」ボンッ

天龍「うおぉ!?どどどどうした!?真っ赤になってるぞ!??」

龍田(天龍ちゃんも何気にジゴロよねえ…)

693: 名無しさん 2015/08/19(水) 02:15:41.35 ID:AL0abq/10
龍田「大丈夫よ天龍ちゃん、提督はちょっと照れちゃっただけだから」

天龍「そ、そうなのか?」

提督「う、うん…というか、近い…」

天龍「っ…わ、わりい///」

提督「………///」

龍田(いい雰囲気になっちゃって…)ムスッ

天龍「おい龍田、なんでそんな顔してるんだ」

龍田「別に、なんでもありませんー」

天龍「えぇ…俺なにかしたか…?」

提督(ギャルゲーの主人公みたい…)

694: 名無しさん 2015/08/19(水) 02:21:56.69 ID:AL0abq/10
龍田「それにしても提督、今はかなり弱ってるみたいね〜」

提督「え?ああ、まあ……うん、身体が重いよ」

龍田「うふふ、なら好き放題しても何も出来ないってことかしらぁ」ニコォ

提督「えっ」

天龍「龍田…」

龍田「……分かってるってば、冗談よ〜」

提督「よかった…」

天龍「はぁ…お前のは本気か嘘か分からないからな」

龍田「あら、じゃあ私が冗談って言わなかったら本気にしてもよかったの?」

天龍「そういう意味じゃないっての」

提督「何も抵抗出来ない………そういうのもあるんだ………」ボソボソ

龍田「え?」

提督「なんでもない」

695: 名無しさん 2015/08/19(水) 02:26:32.64 ID:AL0abq/10
龍田「そうだ提督、ゼリー食べる?」

提督「うーん…プリンの方がいい…」

龍田「そう、ならこっちね」

パキッ

龍田「よいしょ……はい、あーん」スッ

提督「…………」

龍田「食べないの?」

提督「………いや、自分で食べ」

龍田「食べないの?」

提督「………あーん」パク

龍田「うふふ、どーお?」

提督「……美味しいよ」

龍田「そう、よかったわ〜。はい、あーん♪」

提督(結局食べさせられるんだねえ…)

696: 名無しさん 2015/08/19(水) 02:30:17.66 ID:AL0abq/10
提督「……うん、やっぱりこういう時は喉に優しいものが美味しく感じるね」

天龍「そうか?いつでも美味いと思うぞ」

龍田「それは天龍ちゃんが風邪引いたことないからでしょう?」

天龍「ん?まあそうだな!俺は強いからな!ははは!」

提督(馬鹿は風邪を引かないって本当なのかなあ…)

龍田(馬鹿は風邪を引かないって本当よねえ…)

天龍「というかそのプリン美味そうだな」

龍田「市販のやつだけど…天龍ちゃんも食べたいの?」

天龍「えっ、いいのか!?プリン食べていいのか!?」

提督(食べたかったんだ…)

龍田(子供ねえ…)

697: 名無しさん 2015/08/19(水) 02:42:07.29 ID:AL0abq/10
龍田「はい、あーん♪」

提督「あー…」パク

龍田「うふふ、なんだか餌付けしてるみたいで楽しいわ〜」

提督「もうちょっとゆっくり食べたいんだけど…」

龍田「あら〜、ごめんなさいね〜」

天龍「いやーやっぱプリンは美味いな!な、もう一つ食ってもいいか?こんなにあるんだからいいだろ、な!」

提督「うん、全部食べてもいいよ」

天龍「マジ!?やったぜ!!」

提督(プリン好きなんだ…)

龍田「いいの?」

提督「私だけじゃ食べきれないだろうし…あとゼリーだけ貰っておくね」

龍田「そうね、ちょっと張り切って買いすぎちゃったわ〜」

提督「それだけ心配してくれてるの?」

龍田「少なくとも天龍ちゃんはね?」

提督「龍田は?」

龍田「もちろん私もよ?ちゃんと伝わればいいけど…」

提督「………うん、ちゃんと伝わってるよ」キュ

龍田「あら〜///」

701: 名無しさん 2015/08/21(金) 17:55:54.58 ID:OzVuKPtWO
天龍「おいお前ら、なにいい雰囲気になってんだ」

龍田「え〜?別にそんなつもりじゃなかったんだけどなぁ〜」ギュルルルル

提督(うわっ、すっごい回転してる)

天龍「……まあそれはいいとして、そろそろ俺らもお暇した方が良さげだな」

龍田「そうねぇ、他の子達も来るみたいだし」

提督「そうなの?」

龍田「うふふ、提督は愛されてるからね〜」

バァン

雷「司令官、起きてる!??」

天龍「噂をすれば」

702: 名無しさん 2015/08/21(金) 18:50:39.88 ID:OzVuKPtWO
ガバッ

ドスン

提督「ぐえっ」

雷「司令官、大丈夫!?寂しくなかった!?苦しくない!?お薬は!?なにか欲しいものとかある!?」

提督「お、落ち着」

雷「熱はあるの!?なら寝てなきゃダメよ!!ほら、お布団かぶって!!大丈夫よ、私がついてるかr

ドスッ

雷「」バタン

提督「ひっ!?」

龍田「うふふ、ちょっと眠らせただけだから安心してね〜」

提督「は、はい…」ビクビク

703: 名無しさん 2015/08/21(金) 19:16:35.45 ID:OzVuKPtWO
響「失礼するよ、司令官」

暁「司令官、大丈夫ー?」

電「お見舞いに来たのです」

天龍「おー、こりゃまたぞろぞろと」

龍田「私達はお邪魔みたいね〜…それじゃあ提督、私達はここでお暇するわ〜」

提督「あ、うん、ありがとうね」フリフリ

バタン

暁「司令官、寝てなくていいの?」

提督「うん、ちょっと前までずっと寝てたし…薬も飲んだから今は平気だよ」

電「司令官さんが風邪なんて……珍しいのです」

提督「あはは……みんなも気をつけてね」

響「……ところでなんで雷は寝てるんだい?」

提督「うーん…寝かされたというかなんというか…」

響「??」

704: 名無しさん 2015/08/24(月) 16:00:16.89 ID:MHCutvao0
響「まあそれはいいとして……よいしょっと」

提督「ん、どうし……

モミュ

響「ふむ、やっぱり熱いな」ムニムニ

提督「……………」

暁「あのさぁ…」

電「お姉ちゃん…」

響「ん、なんだい司令官、そんな顔して」

提督「いや……普通熱があるか確かめるならおでこ触るんじゃ…」

響「それもそうだね。えいっ」ペチッ

提督「わっ、いきなりなに……ん?なにこれ、ひんやりする……」

響「冷えピタ。鳳翔さんがそろそろ熱を下げる段階だから持って行ってくれって」

提督「あ、そうなんだ…ありがと」ナデナデ

響「ん……///」

705: 名無しさん 2015/08/24(月) 19:30:33.94 ID:MHCutvao0
提督「はー……冷たくて気持ちいい…」

暁「結構辛いみたいね、顔も赤いし…」

電「司令官さん…」

提督「そんな心配そうな顔しないで、すぐに治るよ」

電「………はい」

提督「ごめんね、元気になったら一緒に遊んであげるから……」

電「……待ってるのです」

提督「あー…暁も、それまでみんなのこと頼むね」

暁「! ええ、もちろん!」

響「私は?」

提督「…………えっと、怪我しないでね」

響「そんなに言うことがないか」

提督「正直…」

706: 名無しさん 2015/08/24(月) 19:35:35.02 ID:MHCutvao0
響「まあいいか……それじゃ、そろそろ私達は出て行くよ」

提督「うん、長居して風邪移したら大変だもんね」

暁「雷ー、雷ってば!」ユサユサ

雷「うぅーん……司令官……」

提督「あぁ…暁、おぶってやってくれないかな…」

暁「ええ…よいしょっと」

電「それでは…司令官さん、お大事に、なのです」ペコリ

提督「うん、またね」

響「司令官」

提督「ん?」

チュッ

提督「わ」

響「じゃあね」パタパタ

バタン

提督「…………」

提督(やっぱり響はませてるなぁ…)サスサス

711: 名無しさん 2015/08/27(木) 18:50:35.10 ID:QNmrxgZx0
提督「…………」ペラッ

提督「ん……げほっ、ごほ…」

提督「う〜……」

提督(なんだか、またぼーっとしてきちゃった…)

提督(薬の効果が切れてきたのかな……頭も痛いし、身体も熱くなってきた…)

提督(ちょっとだけ、寝ようかな…)

ガチャ…

羽黒「し、失礼します…」

提督「あ、羽黒…どうしたの?」

羽黒「い、いえっ、鳳翔さんに頼まれて、その…夕飯はいるのかどうかを聞きに…」

提督「ああ…ごめんね、もう寝ようと思ってたから…」

羽黒「わ、分かりました、そう伝えておきますね」

712: 名無しさん 2015/08/27(木) 23:25:42.48 ID:QNmrxgZx0
羽黒「じゃ、じゃあ……お風呂に入っていないでしょうから、身体だけ拭かせてもらいますね」

提督「ああ、うん…悪いね」

羽黒「い、いえ!そんな、気にしないでください!」

提督「あはは…じゃあ、お願いね…」プチ

スルッ…

羽黒「わ……」ドキン

羽黒(す、すごい……綺麗……)

羽黒(肌、真っ白…雪みたい……)

羽黒(なのに顔は赤くて、目はちょっと虚ろだし……な、なんだかとっても……)

羽黒「…………///」ドキドキ

提督「………?拭かないの…?」クル

羽黒「あ……ご、ごめんなさいっ!ふ、拭かせていただきます!」

提督「う、うん…?」

713: 名無しさん 2015/08/28(金) 00:27:11.72 ID:aqiEvpso0
羽黒「い、いきますよ…」スッ

提督「うん…」

ピト

提督「…………」

羽黒「あ……」

羽黒(タオル越しにも分かる…すごい熱……)フキフキ

羽黒(汗も拭き取ったそばから滲んでくるし……相当辛いんだろうなぁ……)フキフキ

羽黒(それにしても……)

羽黒(…………汗で艶が生まれて……せ、セクシー…というか……)

提督「んっ」ピクッ

羽黒「!!?」

提督「あ…ごめん、続けていいよ」

羽黒「は、はひ…」

羽黒(な、なんなの今の声…ううぅぅ…)///

提督(咳我慢しないと…風邪移っちゃうかも…)

714: 名無しさん 2015/08/28(金) 00:38:31.33 ID:aqiEvpso0
キュッ…

羽黒「あ、あの…」

提督「……ん?なに…?」

羽黒「背中、終わりました…」

提督「ああ、ありがと……」

羽黒「そっ、そ、その、ま、ま、ま、前、は」

提督「ん、前はいいよ自分でやるから…」

羽黒「ですよね……」シュン

提督「タオル、貸して」

羽黒「あ、は、はい」スッ

提督「……うわ、すごい濡れてる…こんなに汗かいてたんだ……」スル

グイ

羽黒「!!!」

羽黒(む、胸が持ち上がって……すごく、すごい……!!)

提督(………なんだか、前より重くなったような……)フキフキ

715: 名無しさん 2015/08/28(金) 03:12:37.12 ID:aqiEvpso0
提督「………ふぅ…ありがと、拭き終わったよ」スッ

羽黒「は、はい」

提督「よいしょ…」

スル

提督「それじゃ私、そろそろ寝るから……ごめんね、相手してあげられなくて…」

羽黒「い、いえ、そんな、私は…無理にお話なんてして、風邪が悪くなる方が嫌ですから…」

提督「ふふ、そっか……じゃあ、おやすみ…」

羽黒「あ………ま……待って、ください……」

提督「………?なにかあるの…?」

羽黒「え、えと、ですね、その、は、早く風邪を治して、司令官さんと、お話、したいから……だから、その……」

提督「………?」

716: 名無しさん 2015/08/28(金) 03:22:26.97 ID:aqiEvpso0
羽黒「きっ……きき、キス、したら、風邪が治るらしいです………よ………?////」カァア

提督「…………」

羽黒「…………///////」

提督「………ダメだよ、聞いたことはあるけど…それだと羽黒に風邪が移るから……」

羽黒「で、ですよね…はい、ごめんなさい…」ショボン

提督「……でも、羽黒の気持ちは嬉しいよ…早く元気になって、その時にいっぱい…お話しようね」

羽黒「……!は、はい!」

提督「うん……それじゃ、今度こそ、おやすみ……」

羽黒「お、おやすみなさい…」

提督「…………」スゥ…

717: 名無しさん 2015/08/28(金) 03:27:49.81 ID:aqiEvpso0
提督「くぅ……」

羽黒「…………」ナデ

羽黒(ちゃんと寝付いたかな……よし、そろそろ私も部屋に戻らなきゃ……)

羽黒(あ、その前にタオルを鳳翔さんのところに……)スッ

羽黒「…………」

羽黒「…………」

羽黒「…………」

羽黒(………ちょ、ちょっとだけ……)スッ

スンスン

羽黒「わぁ………///」

羽黒(優しくて、ほんのりと甘くて…いい匂い……汗じゃないみたい……)ボフ スンスン

羽黒(はぁ……安心する…司令官さん……)スーハー

羽黒(あぁ……ダメ、こんなの…変態さんみたい………)ギュウウッ

羽黒(ダメなのに、やめられないよぉ……)スンスン

718: 名無しさん 2015/08/28(金) 03:57:32.34 ID:aqiEvpso0
羽黒「…………」チラ

提督「すぅ………」

羽黒「………可愛い寝顔……」ツン

提督「ん………」

羽黒「ふふ……」プニ

提督「んぁ……むにゃ…」

羽黒「唇も……柔らかい………」ピト

提督「zzz……」

羽黒「…………」キョロキョロ

羽黒(だ、誰も見てない……よね……)

722: 名無しさん 2015/08/28(金) 23:14:11.36 ID:aqiEvpso0
羽黒「し……失礼、します……」スッ

提督「すぅ………」

羽黒「…………////」ドキドキ

羽黒(こ、これは、司令官さんの風邪を早く治すためだから……)

提督「んん……」

羽黒「!」ピタッ

提督「………ぐう……」

羽黒「…………」…スス

羽黒(あ、あとちょっと……あとちょっと……!こ、こ、このまま、このまま…)ドクンドクン




チュッ

723: 名無しさん 2015/08/28(金) 23:22:09.76 ID:aqiEvpso0
提督「……ん……う………」

羽黒「………………っは」スッ

羽黒「…………」

羽黒「/////」ボッ

羽黒(きゃああああああああ!!!やっちゃった!!?やっちゃった!!!わっわっ、私、司令官さんになんてことを!!)

羽黒(ででででも、と、と、と、とっても柔らかかった…暖かいし優しい味がしたし、あ、安心する……)ドキドキ

羽黒「…………」チラッ

提督「んう〜………」ポリポリ

羽黒(お、起きてない………よね………)

提督「……zz…」

羽黒(寝てるよね……な、なら、も、もう一回だけ……)スッ

チュッ

羽黒(……も、もう一回……)

チュッ

羽黒(もう一回だけ……もう一回だけ……)

チュッ チュッ チュッ

〜〜〜

724: 名無しさん 2015/08/29(土) 09:47:08.28 ID:wCX0DSgu0
羽黒「…………はぁ……」

羽黒「………あれ?」

羽黒(…も、もう十五分以上経ってる!?)

羽黒(うそ……わ、私、その間ずっと………)

提督「…………っくしゅ…!ごほ……」

羽黒「!」ビク

羽黒(し、司令官さん…ごめんなさい…こんな、ずるいことしちゃって……)

羽黒「…………」

羽黒(……あ、そろそろ戻らなきゃいけないんだった……)ガタ

提督「うう……んぐ…」ゴロン

羽黒「……お、お大事に」

ガチャ

パタン

725: 名無しさん 2015/08/29(土) 09:56:33.03 ID:wCX0DSgu0
羽黒(はぁ……あんなところ、誰かに見られてたら……)

足柄「あっ」

羽黒「えっ」

足柄「…………」

羽黒「…………」

足柄「………あ、あのね、これはちが」

羽黒「見てたの?」

足柄「いや、そんなつも」

羽黒「見てたの?」

足柄「ミテマシタ…」

726: 名無しさん 2015/08/29(土) 10:19:52.91 ID:wCX0DSgu0
足柄「で、でもねほら、言いふらすとかそういうことはしないから、ね?」

羽黒「……なら、いいけど……」

足柄「いやあ、びっくりしたわ…提督かちゃんと寝てるか見に来たら、羽黒が何回も何回もキスしてるんだもの」

羽黒「い、言わなくていいからっ!」

足柄「はいはい…しかしあの羽黒がねえ、大胆になったわねえ」

羽黒「でも、見つかったのが姉さんで良かった…青葉ちゃんに見つかったら他の子達になにを吹き込まれるか……」

ビュン

青葉「特ダネゲットオオオオオオオオオオ!!!」ドドドドド

羽黒「」

足柄「」

728: 名無しさん 2015/08/29(土) 12:04:53.23 ID:wCX0DSgu0
桟橋

ドッドッドッドッ

ガチャンッ
シュー…

赤城「ふぅ……みなさん、お疲れ様でした」

島風「ああ〜疲れたぁ〜…」

雪風「zzz……」

加賀「……みんな相当疲れてるみたいね」

赤城「無理もないですよ、朝から今までずっと海の上だったのですから」

加賀「……そうね。あなたたち、今日はもう部屋に戻って休みなさい」

天津風「時津風、歩ける?」

時津風「・ー、きつい…」

赤城「あら、なら私がおぶってあげますね」グイ

時津風「やったぁ!おー、らくちんらくちん♪」

729: 名無しさん 2015/08/29(土) 12:09:15.74 ID:wCX0DSgu0
加賀「あなたはおぶらなくてもいいの?」

天津風「私は平気、疲れてないわ」

島風「そんなこと言って、さっきすっごいあくびしてたよ?」

天津風「んなっ、い、いちいち言わなくていいから!」

赤城「ふふ、どれだけ強がってもまだ子供ですね」

加賀「ええ……ところで」

赤城「はい?」

加賀「なぜ私まで遠征に?」

赤城「えっと、駆逐艦の子達だけで行く予定だったんですけど……提督の指示がないぶん、心配だからって鳳翔さんに頼まれて…」

加賀「………なら仕方ないわ」

赤城(相変わらず鳳翔さんには甘いですよねぇ…)

730: 名無しさん 2015/08/29(土) 12:15:20.78 ID:wCX0DSgu0
加賀「……………」

赤城「そんなに提督のことが気になりますか?」

加賀「………別に、そういうわけでは…」

赤城「でも、いつもより早足になってますよ?」

加賀「…………」

赤城「ふふ、提督のところに行ってきてあげてください。資材の運搬は私達に任せてくれて大丈夫ですよ」

加賀「赤城さん……」

赤城「さあ、行ってください」

加賀「いえ、でも…」

赤城「? なにか理由でも…」

加賀「赤城さんがつまみ食いしないか心配で…」

赤城「しません!!」

731: 名無しさん 2015/08/29(土) 12:39:04.16 ID:wCX0DSgu0
ガチャ

キィ…

加賀「…………」

パタン

提督「…………」zzz

スタスタ

ストン

加賀「……なんだか長い間会えなかったような気分ね」ギュ

加賀「一人で……辛かったでしょう?」

提督「……ん、う…うぁ……」ビクッ

加賀「………うなされているの?」ナデ

提督「うっ……あ…」キュ

加賀「……怖かったのね……」

加賀「でも、大丈夫よ…今は…私達がいるから……」

提督「……ん……」

加賀「…………」スゥ…

734: 名無しさん 2015/08/30(日) 19:59:42.62 ID:FkVHXqpD0
〜〜〜

加賀「……ぅ……?」パチ

提督「すー……すー……」

加賀「…………」ボーッ

加賀「………あ」

加賀(あのまま寝てしまってたのね……)

加賀「………?」

提督「う…げほ……」ギュー

加賀(汗が……一晩中握られていたのかしら…)

735: 名無しさん 2015/08/30(日) 20:04:42.89 ID:FkVHXqpD0
提督「んんっ………ぁ……」パチ

加賀「あ…起きた…?」

提督「……お母さん……?」

加賀「え?」

提督「大丈夫だよ、心配しなくても……」

加賀「…………」

提督「私なら……一人でも…」ゴロン

加賀「………ええ」

提督「だから、お仕事に………」

加賀「…………」

提督「………ん?」

736: 名無しさん 2015/08/30(日) 20:11:46.43 ID:FkVHXqpD0
提督「…………!!!」ガバッ

加賀「どうしたの?」

提督「か、加賀!?なんでここにいるの!?」

加賀「お母さんはあなたを心配して来たのよ」

提督「いやああああ!!忘れて!!さっきのは寝ぼけてただけだから忘れて!!」ブンブン

加賀「そんなに叫んだら喉を傷めるわ」

提督「ああぁ〜…なんで母さんだと思ったんだろ恥ずかしい死にたい……///」

加賀「熱でぼーっとしてるみたいだし、仕方ないでしょうね」

提督「………忘れて」

加賀「ええ、お母さんはすぐ忘れるわ」

提督「もう!」

加賀「ふふ、冗談よ」

739: 名無しさん 2015/08/31(月) 11:46:18.15 ID:WrFAza2y0
スッ

ピト

提督「!」

加賀「熱、ずいぶん下がったみたいね」

提督「ん……そういえば、昨日よりかなり楽になった気がする」

加賀「鳳翔さんが看病してくれたの?」

提督「うん、他の子達もね」

加賀「そう……よかったわ」

提督「みんな、変わり代わりに来てくれるから…寂しい気持ちも紛れたよ」

加賀「あ………その、ごめんなさい…」

提督「え、どうして謝るの?」

加賀「いえ、ずっとそばに居てあげられなかったから…寂しかったでしょうに…」

提督「そのくらい大丈夫だよ、確かに寂しかったけど……けど、ちゃんとこうして来てくれることが、それよりも嬉しいから…」

加賀「風花……」スッ

提督「加賀……」

クイ

740: 名無しさん 2015/08/31(月) 19:28:32.20 ID:WrFAza2y0
提督「………ってなにナチュラルにキスしようとしてるのさ!」グイ

加賀「うぐっ」

提督「風邪移るからダメ!ちゃんと治ってからにして!」

加賀「お固いのね」

提督「加賀ががっつきすぎなんだよ」

加賀「でも、あなたにしかしないわ」

提督「………もしかして私が他の子とキスしてたりするの、怒ってる?」

加賀「怒ってなんていないわ。まあ、少し悔しい気もするけど」

提督「………やっぱり、加賀は…」

加賀「?」

提督「私のことが好きだから、そういうことをするんだよね」

加賀「ええ、そうね」

741: 名無しさん 2015/08/31(月) 19:40:54.14 ID:WrFAza2y0
提督「……ごめんね、加賀」

加賀「? いきなりどうしたの?」

提督「自分でもよく分かってないんだけどね……私、本当は加賀に恋愛感情なんて持ってないんじゃないかって…」

加賀「どういうこと?」

提督「………私、加賀を母さんと間違えてたでしょ?」

加賀「ええ」

提督「私の母さんね、加賀に似てたの。加賀と同じ髪型で、物静かで、いつも仏頂面で………けど、優しかった」

加賀「私、そんなに無愛想な顔してる?」

提督「うん」

加賀「…………」ニマァ

提督「な、なにその気持ち悪い笑顔…無理しなくていいよ…」

加賀「…………」

742: 名無しさん 2015/08/31(月) 19:51:30.29 ID:WrFAza2y0
提督「おほん…で、ね?そんな母さんが大好きで、妹が生まれるまではずっと母さんに甘えてたの。母さんもちゃんと私を甘えさせてくれてた」

加賀「…………」

提督「五歳の時に一人目の妹が生まれて、それから母さんはその子に付きっきりになって…私はお姉ちゃんらしくなれるように、母さんがいなくても一人でなんでも出来るように色んなことをしてたと思う」

加賀「上手く甘えられなかったの?」

提督「まあ、結論を言うとそうなんだけど………二人目の妹が生まれて、私が…九歳…十歳だったかな?それくらいの頃に、色々あって父さんも妹二人も家を出ちゃって…」

加賀「……離婚?」

提督「ううん、一応別居っていう形だった。で、その後から……あの人が来てから、全部、おかしくなって……」

加賀「…………?」

提督「………全部おかしくなる前、ね。その時が、最後だったんだ。母さんが、甘えさせてくれたのは」

加賀「え……お母様、もう他界して…」

提督「あ、いや、まだ元気なんだけどね。語弊のある言い方でごめん」

加賀「そ、そう…ならよかった」

743: 名無しさん 2015/08/31(月) 20:03:00.08 ID:WrFAza2y0
提督「今でも鮮明に覚えてる…私が好きだった歌を歌いながら、お気に入りの櫛で髪を梳いてくれた、母さんを…」

加賀「…………」

提督「………変な話して、ごめんね。たぶん、私は……うん、加賀を擬似的に母さんとして見て、甘えたがってただけなんだと思う」

加賀「なるほど…つまり、家族愛みたいなものというわけね」

提督「親友とも恋人とも付かないような気持ちだったから、これだって気付いて……なのに深く考えもせずに、恋人だとか言って、申し訳なくて……」

加賀「それがなにか問題なの?」

提督「…………へっ?」

加賀「たとえ恋愛感情を持っていなかったとしても、それでもあなたは私に愛してると言ってくれたわ」

提督「……でも、私は…」

加賀「それに、もう決めたの」

提督「え……?」

加賀「これから行く先に光など見えなくても、何があってもあなたを信じるって」

提督「…………」

744: 名無しさん 2015/08/31(月) 20:10:21.77 ID:WrFAza2y0
提督「…………」ブワッ

加賀「えっ」

提督「えっ?」ポロポロ

加賀「えっ、ちょ、な、ど、どうして泣くの?そんなに嫌だった?」

提督「え?あ、あれ、なんで私泣いてるんだろ、あっ、ちが、ただ、ちょっと嬉しくて、なんだろ、なんだろうこれ」ポロポロ

加賀「………ぶふっ」

提督「わ、笑わないでよ!私だって何がなんだかもうわかんなっ………うっ、うっ、うえぇぇ…わかんないよおぉぉぉ……」ボロボロ

ギュウ

加賀「よしよし……私はあなたを裏切ったりなんてしないから」ナデナデ

提督「うん……うん……」ギュウウ

加賀「もうあなたは一人じゃない…だから、好きなだけ泣いても、甘えてもいいから」ポンポン

提督「う…っ、う、わあああああん……!」

加賀(しばらく泣き止みそうもないわね…)ナデナデ

747: 名無しさん 2015/09/01(火) 07:21:56.16 ID:Au0I3ohV0
〜〜〜

提督「…………」

加賀「……落ち着いた?」

提督「……うん、ありがと」スッ

加賀「そういえば、あなたが泣いてるところなんて見るの、初めてね」

提督「うん…お姉ちゃんは泣いてるところを下の子に見せちゃダメだって、ずっと母さんに言われてたから」

加賀「そう……長い間我慢してたのね」ナデ

提督「…………////」カァア

バッ

加賀「?」

提督「っご、ごめん、なんだか今そういうことされると、すっごい恥ずかしいっていうか…その…」

加賀「ええ」

提督「い、意識しちゃうというか……///」

加賀「…………」

748: 名無しさん 2015/09/01(火) 07:24:03.71 ID:Au0I3ohV0
提督「………か、加賀?」

加賀「なに?」

提督「手、握ってもいい?」

加賀「ええ」

提督「し、失礼します…」

ギュ

加賀「どうしてそんなに緊張しているの?」

提督「…………///」カァッ

加賀「ちょ、ちょっと…」

提督「あ、も、もういいよ。うん、やっと分かったから」

加賀「分かった…?」

749: 名無しさん 2015/09/01(火) 07:29:33.60 ID:Au0I3ohV0
提督「うん……あの、その、先に謝っておくね?」

加賀「え、ええ」

提督「そのぉ………さっきは恋愛感情なんて持ってないかもしれないって言ってたけど…やっぱり私、加賀のことが好きみたい…っていうか……」

加賀「はあ」

提督「こうして来てくれたのも嬉しいし、今みたいに手を握ってもらうだけでドキドキするというか…うん、あったかい気持ちになるっていうか……その……」

加賀「…………」

提督「………好き、だよ」

加賀「…………」

提督「…………な、なにか言ってよ//////」

加賀「え?ああ、正直私も混乱してるからよく分からないわ」

提督「えぇ…」

750: 名無しさん 2015/09/01(火) 07:33:50.42 ID:Au0I3ohV0
加賀「けど、私達が両想いということは分かるわ」キュ

スッ

提督「あ、ま、待っ…」

加賀「……口はダメだったわね」

チュッ

加賀「ここなら風邪は移らないでしょう?」

提督「…………///」

加賀「赤くなってばかりね。熱、計る?」

提督「………おでこ、汗出てると思うんだけど」

加賀「そうね、少し塩辛いわ」

提督「…………バカ!」ギュム

加賀「痛い」

751: 名無しさん 2015/09/01(火) 07:37:51.60 ID:Au0I3ohV0
加賀「…それで?私のことが好きということは、恋人同士という関係でいいの?」

提督「うん、加賀が良ければ…だけど」

加賀「今さら拒む理由もないわ」

提督「そっか……なら、改めて、これからよろしくね」

加賀「ええ。あなたと一緒なら海の底に沈むのだって怖くないわ」

提督「………なんだかその発言は危ない気がする」

加賀「………私も言った後思ったわ」

755: 名無しさん 2015/09/01(火) 19:25:53.51 ID:Au0I3ohV0
提督「あ……」

加賀「どうしたの?」

提督「その……私、加賀だけじゃなくて、他の子ともそういうこと、してる…っていうか、されてるんだけど…」

加賀「前にも言ったけど…そんなこと気にしないわ、最後に私のところに帰ってきてくれて、私を愛してるならそれでいいの」

提督「で、でも、恋人同士だし…やっぱり私もちょっと躊躇ってしまうというか…」

加賀「恋人の幸せを願うのが、恋人の本道でしょう?」

提督「………何も言い返せないや」

加賀「さっきも言ったわ、何があってもあなたを信じるって」

提督「……うん、なら他の子達ともどんどんスキンシップしようっと!」

加賀「その開き直りはどうなの…」

756: 名無しさん 2015/09/02(水) 19:17:15.60 ID:8gLFXKfx0
加賀「それじゃあ、私はもう行くから」

提督「え?今日、非番じゃないの?」

加賀「ここにいたらどうせあなたが風邪が移るだのなんだの言って出て行かせるじゃない」

提督「………まあ、そうだけど」

加賀「それに私、昨日ずっとここで寝ていたから…身体が痛いの」

提督「え、そうだったの?」

加賀「少し部屋で寝たら、また来るから…じゃ」スッ

提督「うん、またあとでね」ギュウウ

加賀「…………」

提督「………行かないの?」

加賀「行かせる気、あるの?」

757: 名無しさん 2015/09/02(水) 20:08:16.66 ID:8gLFXKfx0
パッ

提督「でへへ、離れたくなかったものでつい…」

加賀「また来ると言ってるでしょうに…」

提督「うん、ごめんね、戻っていいよ」

加賀「ええ…そうそう、朝ご飯は鳳翔さんが持ってきてくれるそうよ」

提督「うん、わかった」

加賀「ちゃんと薬、飲まなきゃダメよ?」

提督「分かってるって」

加賀「熱は下がったとはいえ、まだ風邪だからあまり無理はしないように」

提督「うん」

加賀「辛くなったらすぐに寝るのよ?」

提督「うん」

加賀「あと…」

提督(一緒だ…木曾と一緒だ…!!)

758: 名無しさん 2015/09/02(水) 20:15:48.31 ID:8gLFXKfx0
加賀「………あと、これ」シュル

スッ

提督「え?髪留め?」

加賀「これを私と思えば、少しくらいは寂しさが紛れるかもしれないから」

提督「………うん、ありがとう」

加賀「それじゃあ、私は寝てくるから」

提督「うん、しっかり休んでね」

パタン

提督「…………」

スンスン

提督(髪留め……いい匂い…)

提督(加賀の匂い……安心する……)

提督「えへへ……」

760: 名無しさん 2015/09/03(木) 19:56:53.41 ID:krEKJYCA0
バタンッ!!

提督「っ!?」ビク

大井「提督うううううううううううう!!!!」ドドド

ガバッ

提督「うわっ!?ちょ、ひええぇ!?」

ドサッ

大井「わあああああああん!!元気そうでよかったでずううううううう提督うううううう!!!」ギュゥゥゥ

提督「ぐえ……わ、分かったから大井…は、離れて……うぐぐ…」ギリギリ

大井「会いに来られなくてごめんなさい!!でも、ずっと心配でしたあああああああ!!」ギュゥゥゥゥゥゥ

北上「やっほーふーちゃん、元気になっ……」

提督「ぐげっ……こひゅっ……」ビクン ビクッ

北上「うわあああ!??大井っち!キマってる!!キマってる!!」

761: 名無しさん 2015/09/04(金) 00:00:19.02 ID:nLgmdcIX0
提督「げっほ……死ぬかと思った……」

大井「ご、ごめんなさい…つい気持ちがはやって…」

北上「もー、一日会えなかったぐらいで大げさだよ」

大井「提督が高熱を出したと聞いて、心配で心配で…」

提督「あはは…まあ、気持ちは十分に伝わったよ」

大井「ちょっと、失礼しますね」スッ

ペタ

大井「………やっぱり熱いですね」

提督「これでも昨日よりはかなりマシになったんだけどね…」

大井「どれどれ…」ペタ ペタペタ

提督「んっ…?」

大井「ふむふむ…なるほど」サワサワ

提督「やっ、ちょ……///」ビク

大井「ふ…ふくく、ぐへへへ……」ゴソゴソ

提督「あんっ…!」ピクッ

北上「……………」



ガスッ

762: 名無しさん 2015/09/05(土) 07:45:13.61 ID:2fmrl2DN0
北上「いやーごめんねー、うちの大井っちが迷惑かけてねー」ギギギ

大井「げご、ぐぎぇっ、ごひゅ」パンパン

提督「う、うん…まあ、嫌ではないから……というか…」

北上「なに?」

提督「完全にキマってない?」

北上「そう?」

大井「きっ、ぐっ、ぐっ」ブクブク

提督「泡吹いてるけど…」

北上「ああ、これはもっとやってほしいってサインだから」

提督「そ、そう…」

北上「ほら、そうでしょ?そうって言えよ」ググ

大井「うごげぐ…は、はひぃ…」

北上「ね?」

ゴキン

提督「あっ」

大井「」ビクンビクン

北上「あっ」

763: 名無しさん 2015/09/05(土) 17:38:52.59 ID:1A9srXf4O
大井「折れたかと思ったわ…」

北上「ごめんねー、さすがにお仕置きしなきゃまずいと思ったからさ」

大井「私と提督以外にこんなことしちゃダメですからね?」

北上「うん、わかった」

提督「なんで私も含まれてるの?」

大井「愛だからに決まってるじゃないですか。ねえ、北上さん」

北上「ん?うん、そだねー」

大井「ねー♪」

提督(ダメだ、ついていけない…)

764: 名無しさん 2015/09/05(土) 17:43:46.46 ID:1A9srXf4O
提督「…………うっ」ブルッ

北上「ん、どしたの?」

大井「具合、悪くなったんじゃ…」

提督「いや……ちょっと、も、催しちゃって…」

北上「あー、なるほど」

大井「! ちょっと待っててくださいね、今尿瓶を持ってきますからねフヒッ」

提督「待って、なんでここで出す前提なの」

766: 名無しさん 2015/09/05(土) 17:52:02.90 ID:1A9srXf4O
大井「…………よし、録音完了」カチッ

北上「…………」バキッ

大井「ああー!!??」

ジャー

ガチャ

提督「ふぅ……あれ?二人ともどうかしたの?」

北上「いや、なんでもないよー」

大井「わ、私の録音機が…」

北上「なんでもないよね?」ギュム

大井「あ☆%○>〒〜〜!!??」

北上「うん、なんでもないってさ」

提督(この二人、もしかして仲悪いんじゃ…)

768: 名無しさん 2015/09/06(日) 15:41:58.44 ID:rdO8qdtZ0
北上「というかふーちゃん、もう歩いて大丈夫なの?」

提督「うん、ちょっと頭が痛むぐらいだから平気だよ」

大井「うふふ、一応倒れたりなんてしないように支えておきますね」ギュッ

北上「あ、ずるーい。あたしもやるー」ギュッ

提督「あはは、歩きづらいよ〜」

北上「いいじゃんいいじゃん、このままゆっくり行こー」

大井「行きましょー」

提督「はいはい」

769: 名無しさん 2015/09/07(月) 16:21:46.44 ID:gLx83WLZ0
ボスッ

提督「はぁ〜…なんだか久々に歩いた気分だったよ」

北上「まー長いこと寝てたみたいだからねえ」

大井「あ、北上さん、そろそろご飯の時間ですよ」

北上「そうなの?ならもう行くね」

提督「うん、しっかり補給して頑張ってね」

北上「そうそう、言い忘れてたんだけどさ」

提督「なに?」

北上「キスしたら風邪治るらしいよ?」

提督「ぶっ」

北上「まあそんなことしたらふーちゃんに迷惑かかるからやらないんだけどね」

提督「もう…変なこと言わないでよ…」

大井「提督から移された風邪なら辛くないかもしれない……いやむしろ幸せなのでは……」ボソボソ

提督「へ、変なこと言わないでよ…」

770: 名無しさん 2015/09/07(月) 16:24:47.36 ID:gLx83WLZ0
北上「じゃ、また風邪治ったらしようねー」

提督「う、うん…?」

バタン

提督「……なんて大胆なことを…」

提督「…………」グゥ

提督「………私もお腹空いたなあ」

提督「どうしようかなあ…ご飯、持ってくるって言ってたけどみんなと食べたいしなあ…)

提督(でも食堂に行ったら怒られるだろうしなあ…)

提督「う〜〜……」

ガチャ

提督「!」

772: 名無しさん 2015/09/07(月) 20:31:44.67 ID:gLx83WLZ0
摩耶「よう、元気か?」

提督「摩耶…来てくれたんだ」

摩耶「鳳翔さんにご飯持って行ってあげてくれって言われたんだよ」

提督「えー、じゃあ心配されてないの?」

摩耶「別にそうは言ってないだろ」

提督「なら心配してくれてるんだ?」

摩耶「はいはい、それでいいよもう」

提督「ふふっ、ありがと」

摩耶「ほら、米。もう食べられるだろ?」

提督「うん、ありがと」

摩耶「おかずもあるからな。無理して食べなくてもいいぞ?」

提督「わかってるよ」

774: 名無しさん 2015/09/08(火) 09:33:37.88 ID:/Q4VXMq3O
摩耶「ん?」

提督「どうかした?」

摩耶「これ、花瓶。もう水ないじゃねーか」

提督「あ、ほんとだ…ごめんね、変えておいてくれないかな」

摩耶「ったく、しょうがねーな……もし今枯れたりしたら縁起悪いどころじゃないぞ…」

提督「あはは…」

摩耶「ちゃんと定期的に変えるんだぞ?じゃなきゃお花が可哀想だからな」

提督「お花?」

摩耶「? お花はお花だろ?」

提督「あ、う、うん、そうだね」

摩耶「…変なヤツだな」

提督(お花って…!お花って、超可愛い…!!)

775: 名無しさん 2015/09/08(火) 09:36:25.92 ID:/Q4VXMq3O
摩耶「ほら、味噌汁。身体あっためろよ」

提督「うん」

ズズ…

提督「…………?」

摩耶「どうした?」

提督「いや、味噌汁の味、いつもと違うなーって思って…」

摩耶「! ど、どうだ?美味いか?」

提督「うん、美味しいよ。ほんとに毎日飲みたいぐらい…」ズズズ

摩耶「〜〜〜〜〜〜〜!!!////」グッ

提督(なんでガッツポーズしてるんだろ…)

776: 名無しさん 2015/09/10(木) 17:34:57.49 ID:LRxtZm6Z0
ガチャ

鳳翔「提督、おはようございます」

提督「あ、おはよう鳳翔さん」

摩耶「よっ、もう全部食べ終わったみたいだぜ」

鳳翔「あら…もうそんなに食欲が戻ったんですね」

提督「うん、美味しかったよ」

鳳翔「ふふっ、よかったですね、摩耶さん」

摩耶「!!!」ドキン

提督「えっ?」

鳳翔「え?あ、あら、言ってなかったんですか?摩耶さんが提督の朝ご飯を作ったと…」

提督「そうなの?」

摩耶「へっ!?あっ、ああ、それはだな、その、えっと」

提督「なんだ、そういうことなら隠さなくてもいいじゃない!摩耶のご飯、美味しかったよ!」

摩耶「〜〜〜〜〜〜!!!/////」ブルブル

777: 名無しさん 2015/09/10(木) 19:36:59.76 ID:LRxtZm6Z0
摩耶「〜〜〜〜〜っ!!!///」ダダダ

提督「あ、摩耶!?」

ガチャ

バンッ!!

提督「………行っちゃった」

鳳翔「よほど恥ずかしかったのでしょうか……顔が真っ赤でしたね…」

提督「うん……鳳翔さん、あとで摩耶にまた作ってねって言っておいてくれる?」

鳳翔「はい、お任せください」

提督「ありがと…それにしても、あんなに照れることないのにねぇ」

鳳翔(想い人の前でなら、仕方ないと思いますけども…)

提督「ねえ?」

鳳翔「……そうですね、ふふ」

鳳翔(私も、そのうちの一人なんですけどね…)

778: 名無しさん 2015/09/12(土) 09:51:37.50 ID:eerUaaX7O
鳳翔「おでこ、失礼しますね」スッ

ペタ

鳳翔「……もうかなり熱は下がったみたいですね。体調はどうですか?」

提督「んー、たまに頭が痛くなるくらいかな」

鳳翔「なら…はい、解熱剤と頭痛薬です」

提督「これだけでいいの?」

鳳翔「はい、あとは熱を下げるだけなので…明日には治りますよ」

提督「そっか……よかった」

鳳翔「ちゃんと自分で飲めますか?」

提督「うん、大丈夫」

鳳翔「あ、なんならゼリーでも…」

提督(子供扱いされてる気がしてならない…)

779: 名無しさん 2015/09/12(土) 09:57:44.94 ID:eerUaaX7O
ゴクッ

提督「ふぅ…ほら、ちゃんと一人で飲めるよ」

鳳翔「ふふっ、よく出来ましたね。えらいえらい」ナデナデ

提督「………鳳翔さんって、誰に対してもそうなの?」

鳳翔「え?あ、いえ、辛い時は子供をあやすみたいに接すると気持ちが落ち着くみたいなので…」

提督「ふーん……なら、悪い気はしないかなあ」

鳳翔「提督が子供扱いされたくないというのは分かっているのですが…弱っている人を見ると、優しくしてあげたくなるというか…」

提督(これが母性か…!)

780: 名無しさん 2015/09/12(土) 10:01:20.43 ID:eerUaaX7O
鳳翔「それでは、私はそろそろ行きますね」

提督「うん…ごめんね、洗濯とか手伝ってあげられなくて」

鳳翔「いえいえ、少し休むくらいがちょうどいいんですよ」

提督「……うん、鳳翔さんもたまには休んでね」

鳳翔「はい、今日は非番なのでゆっくりさせてもらいます。では」

提督「またねー」

バタン

提督「…………」

提督(……加賀、まだ寝てるのかなあ)

782: 名無しさん 2015/09/14(月) 16:23:47.67 ID:PpptO+cD0
〜〜〜

提督「……………」

キィ…

提督「…………ん?」



天津風「……………」ジイ



提督「………天津風?」

天津風「……入っていい?」

提督「うん、いいよ」

天津風「ん…ありがと」

パタン

783: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:39:50.84 ID:PpptO+cD0
提督「一人?雪風に時津風、島風は?」

天津風「まだ寝てるわ、昨日は相当疲れたみたい」

提督「……ああ、そっか。一日遠征だったもんね。天津風は?疲れてない?」

天津風「疲れてない……なんて、嘘言ってもあなたには分かるわよね」

提督「うん…一人じゃ眠れない?」

天津風「………そこまで見通されてるんだ」

提督「素直に言い出せない子、ここにはいっぱいいるからね。顔を見たらわかるよ」

天津風「そう…優しいのね…」

提督「……ほら、おいで」ポンポン

天津風「……ええ」

パタパタ

ギシッ

ポスン

784: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:47:20.47 ID:PpptO+cD0
天津風「抱き付いてもいい?」

提督「いいよ」

ギュム

天津風「…………」

提督「今日はやけに甘えてくるね」ギュウ

天津風「………なんだか、こうしてると安心するの…」

提督「…………そっか」

天津風「………昨日、ね」

提督「うん」

天津風「昔の頃の夢を見て…ちょっと、怖くなっちゃって…」

提督「昔のって、前の鎮守府?」

天津風「………ええ」ギュウ

提督「………そっか」

785: 名無しさん 2015/09/14(月) 22:53:30.95 ID:PpptO+cD0
天津風「………ねえ」

提督「うん?」

天津風「私、ここに居てもいいのよね」

提督「うん」

天津風「私、あなたに必要とされてる?」

提督「うん、天津風は私にとって大切な人だよ」

天津風「………そう、なら……嬉しい…わ…///」ポポポ

提督「もう辛いことは何も思い出さなくていいからね。ここに居れば、何も怖いことはないから…」ナデナデ

天津風「…………///」ポポポ

提督「………とは言っても、まだまだ時間はかかりそうだね」

天津風「そう、ね……今だに大きい音が鳴ったりすると、怖くなるから…」

提督「…ゆっくりでいいよ、誰も天津風を見捨てたりなんてしないから」

天津風「…ええ、ありがとう…」

786: 名無しさん 2015/09/14(月) 23:01:01.63 ID:PpptO+cD0
提督「…………ところで、天津風ってさ」

天津風「? ええ」

提督「照れたり嬉しい時はさ」

天津風「ええ」

提督「その煙突?というかラジエーターから、ハート型の煙が出るよね」

天津風「っ!?///」ポポポ

提督「あ、今も」

天津風「えっ、ちょ、や、やだ、見ないでよ!!///」ポポポポ

提督「他にも楽しい時は音符型の煙とか、何か閃いた時は豆電球型の煙とか…」

天津風「う、うそ!?そんな、私いつの間に…!///」ポポポ

提督(まあさすがにそれは嘘だけど…というかこれ、無意識だったんだ…)

天津風「ううう〜……止まれ止まれ止まれ〜っ……/////」ポポポポポ

提督(かわいい…)

788: 名無しさん 2015/09/15(火) 19:41:47.88 ID:L3SQbVE10
提督「ほら、もう止まったから。一緒に寝よう」ゴロン

天津風「ん…そうね」ボフッ

提督「はい、枕」

天津風「いらないわ、あなたの胸で寝かせて?」

提督「はいはい、どうぞ」

天津風「ありがと……うん、安心する…」

提督「ふふ、どうも」ギュム

天津風「………あなた、身体あったかいのね」

提督「そう?」

天津風「ええ……優しくて…心地いい……わ……」スゥ…

提督「…………」ポンポン

789: 名無しさん 2015/09/15(火) 20:45:59.25 ID:L3SQbVE10
天津風「すぅ……すぅ……」

提督(もう寝付いちゃった……やっぱり疲れてたんだろうなぁ…)

提督(まだ子供だもんね……人間に換算したら、十五も行ってないだろうに……)

提督(こんな………子供に………)ギリッ

天津風「ん……」コロ

提督「…………?」

提督(首の後ろに………これは、火傷の痕……?)

提督(………今度、改装の時に消してあげなきゃ……)

提督(辛かっただろうな……ずっと、誰も味方してくれなくて……)

天津風「ぅ……あな、た……」

提督「………よしよし、私はここにいるからね」ナデナデ

天津風「……んぅ……」

提督「…………」

790: 名無しさん 2015/09/19(土) 14:34:08.77 ID:ugYkrg6I0
〜〜〜

提督「……………」ペラッ

天津風「……ぅ……」ゴロン

提督「ん……起きた…?」パタン

天津風「………あなた…?」

提督「うん、私。もうお昼の時間だよ」

天津風「……そう……お昼……」グラ

提督「おっ…まだ眠い?」

天津風「………いただきます…」

提督「へっ?」

カプ

提督「ひょわぁあ!?」ビクッ

791: 名無しさん 2015/09/19(土) 15:00:50.21 ID:ugYkrg6I0
天津風「あむ……ん……」アグアグ

提督「おっあ、あっあっあっ」ドキドキドキドキ

天津風「んんっ…ふ……」チュウ

提督「んひいっ!?」

提督(だだだだダメダメダメダメ!!ね、寝ぼけてるだけだから!子供に惑わされちゃダメだから!!耐えろ私!!)

天津風「………んぁ…?……あれ?」

提督「はっ……はっ……」

天津風「……あっ!?わ、私、あなたに変なこと…ごめんなさい!」

提督「いや……いいよ、大丈夫…」ゼェゼェ

天津風「え、ええ…」

天津風(なんでこんなに息切らしてるのかしら…)

提督(理性の勝ち……!)

794: 名無しさん 2015/09/19(土) 18:24:28.69 ID:ugYkrg6I0
提督「そ、そんなことよりほら、もう十二時過ぎだよ。お腹空いてない?」

天津風「ん……?そうね、朝食べてないから結構…」

提督「なら、食堂行っておいで?」

天津風「あなたは?」

提督「私は……まだお腹空いてないからいいや。またあとで、一緒におやつ食べよっか」

天津風「……ええ、そうね。じゃ、行ってくるわ」

提督「うん、今日はゆっくりしててね」

天津風「わかったわ!」ガチャ

パタン

795: 名無しさん 2015/09/19(土) 19:13:18.97 ID:ugYkrg6I0
加賀「…………」スタスタ

天津風「〜♪」パタパタ

加賀「………?天津風…」

ガチャ

加賀「起きてる?」

提督「あ、加賀!もう寝なくていいの?」

加賀「ええ、あまり寝すぎると今夜眠れなくなるから。それより…」

提督「なに?」

加賀「あの子…一緒にいてあげたの?」

提督「うん、二度寝だって」

加賀「そう…なら私と同じね」

796: 名無しさん 2015/09/19(土) 19:21:04.51 ID:ugYkrg6I0
提督「何か気になることでもあるの?」

加賀「いえ……あの子、ここに来た時よりいい顔をするようになったと思って」

提督「ああ……前の鎮守府のこと、ずっと引きずってたみたいだから…」

加賀「………虐待?だったの?」

提督「うーん…まあ、そうなるのかな…特別海域開放で、労力をかけた割に役に立たない奴だって、そこの提督が見捨てたみたいで…」

加賀「…ひどいことをするものね」

提督「うん……それがトラウマになったのか、今でも大きい音が鳴ったら必要以上に反応したり、火を見たら怯えたり…」

加賀「なるほど…だからお風呂にも一人で入ろうとするのね」

提督「………天津風の背中、見たことある?」

加賀「…ないわ」

797: 名無しさん 2015/09/19(土) 19:27:30.68 ID:ugYkrg6I0
提督「あの子の背中ね……今は改装のおかげでなくなってるけど、ここに来た当時は火傷の痕でいっぱいだったんだよ」

加賀「火傷?」

提督「うん、私は吸わないから見たことないかもしれないけど…たぶん、煙草とかで焼かれたんだろうね」

加賀「…………」

提督「……ごめんね、変な話して」

加賀「いえ、その……あの子の気持ちが、少し分かるような気がしたわ」

提督「……うん、力になってあげてね」

加賀「…とは言っても、あの子はあなたに懐いているみたいだけれど」

提督「あはは…みんなの前で甘えるのは恥ずかしいみたいだけどね」

798: 名無しさん 2015/09/19(土) 19:39:29.31 ID:ugYkrg6I0
加賀「素直じゃないのね」

提督「加賀も人のこと言えないでしょ?」

加賀「私?私は素直よ」

提督「じゃあなんでみんなの前じゃ風花って呼んでくれないの?」

加賀「それは……えと……」

提督「ほら、加賀もツンデレじゃない」

加賀「………私は別に、そういうのじゃ…」

提督「それ言うともっとツンデレみたいだよ」

加賀「……………」

799: 名無しさん 2015/09/19(土) 19:43:14.05 ID:ugYkrg6I0
加賀「……素直じゃないのはあなたもそうよ」

提督「なんで?」

加賀「他の子達がいる前で抱き締めようとしたりキスしようとしても振り払うでしょう」

提督「いやそりゃそうでしょ」

加賀「どうして?」

提督「こっちが聞きたいよ」

加賀「抱き締めちゃいけないの?」

提督「そういうわけじゃないけどさ、もっと時間と場所を考えなよ」

加賀「なに?金剛さんに洗脳でもされたの?」

提督(もしかして加賀もアホなんじゃ…)

800: 名無しさん 2015/09/20(日) 18:35:46.78 ID:Lj/4qozm0
提督「とにかくほら、私は素直だから。ちょっとこっち来てみて?」

加賀「……はあ」

ギシ

提督「そうそう、そのまま座って」

加賀「こう?」

提督「うん」

ポスッ

加賀「…………」

提督「ね?」

加賀「ね?と言われても」

提督「なんでさ、素直に甘えてるでしょ」

加賀「いつも通りじゃない」

801: 名無しさん 2015/09/20(日) 18:46:56.59 ID:Lj/4qozm0
提督「そう?」

加賀「二人きりの時は大抵こうだと思うけれど」

提督「他は?」

加賀「……海を眺めたり、一緒に本を読んだり、たまにお酒を飲んだり…」

提督「なんか、おばあちゃんみたいだね」

加賀「………私、いくつくらいに見える?」

提督「まだ二十代前半ぐらいでしょ。私は?」

加賀「え?」

提督「私は?」

加賀「………えっと」

提督「うん」

加賀(……何、この威圧感は…)

802: 名無しさん 2015/09/20(日) 18:52:31.14 ID:Lj/4qozm0
加賀「…………そうね、あなたも二十代くらいに見えるわ」

提督「んふふ、ありがと」

加賀「この鎮守府で最年長なのって、誰なの?」

提督「え?竣工日から考えて、金剛じゃないの?」

加賀「あ、いえ、そうじゃなくて、見た目から人の年齢に換算するということで」

提督「………人の年齢かあ。なら……鳳翔さん……は、まだ若いよね…」

加賀「でも私よりは歳上じゃない?」

提督「んー、まあ加賀が二十二ぐらいだとしたら鳳翔さんは二十五かそれ以上になるね」

加賀「なら、それより上」

提督「足柄とか…」

加賀「ああ…」

803: 名無しさん 2015/09/20(日) 18:56:12.95 ID:Lj/4qozm0
提督「………不毛な話はやめようか」

加賀「そ、そうね…」

提督「…しかし、こうしてみると私達って結構恋人らしいことしてるね」

加賀「………言われてみればそうね」

提督「どう?私と一緒に海を眺めたり、本を読んだり、お酒飲んだりすると楽しい?」

加賀「ええ。いつどの瞬間よりも満たされているわ」

提督「そっかそっか、えへへへ」

加賀「ふふ…」ギュ

804: 名無しさん 2015/09/20(日) 19:07:12.46 ID:Lj/4qozm0
提督「うーん、でもなあ」

加賀「なに?」

提督「せっかく恋人なら、その証として何か残したいよね」

加賀「いい考えね」

提督「証……あ」

加賀「なにかある?」

提督「ちょっと、手見せて?」

加賀「こう?」

提督「ん、ありがと…」ニギニギ

加賀「く、ふふ…くすぐったいわ…」

提督「あ、もう少しだけ我慢して」ニギニギ

加賀「ふ…くくく…」プルプル

805: 名無しさん 2015/09/20(日) 19:13:49.73 ID:Lj/4qozm0
提督「…………」ジーッ

加賀「……私の手に何かついていて?」

提督「…ん?ううん、今はまだ…何も付いてないよ」

加賀「今は?」

提督「うん……ね、加賀」クルッ

加賀「どうしたの?」

提督「加賀の練度ってさ、もう最大だったよね」

加賀「ええ、自分でも限界を感じるわ」

提督「そっ、か……」

加賀「それがどうかしたの?」

提督「…………」

806: 名無しさん 2015/09/20(日) 19:19:25.19 ID:Lj/4qozm0
提督「ねえ、加賀」

加賀「?」

提督「私と……」

加賀「ええ」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「………ごめん、やっぱりいいや」

加賀「え?気になるわ」

提督「また今度、ちゃんと言うよ。この風邪を治して、元気になってからね」

加賀「……そう、楽しみにしているわ」

提督「うん……待っててね」

加賀「ええ」

807: 名無しさん 2015/09/20(日) 19:25:33.93 ID:Lj/4qozm0
提督「加賀」

加賀「なに?」

提督「大好きだよ」

加賀「…あなたから言い出すなんて、珍しいわね」

提督「そう?」

加賀「……なんでもいいわ、私もよ」

提督「えへへ…やっぱり、加賀が一番だな…」

加賀「ふふっ、嬉しいわ」

提督「こうしてると、安心するから…母さんみたいで……」

加賀「…………」ナデナデ

提督「………くう……」

加賀「……おやすみなさい」ギュウ


808: 名無しさん 2015/09/20(日) 19:26:28.12 ID:Lj/4qozm0
長いのおわり
加賀に死亡フラグが立ったような気がするのは気のせいです

810: 名無しさん 2015/09/21(月) 10:29:34.39 ID:RKng43+v0
次は提督の過去の話ですが、オリジナル要素が強いので苦手な人は…ナオキです。

811: 名無しさん 2015/09/21(月) 19:07:10.84 ID:RKng43+v0
提督「……………」キィ クルクル

翔鶴「……………」

瑞鶴「……………退屈ねえ」

飛龍「ねー…」

提督「私はいつもこれくらい暇だといいんだけどなあ」

蒼龍「提督、毎日忙しそうだからねえ」

赤城「そうですね、付近の海域が平和な分私達は時間がありますが」

加賀「その割に鎮守府が大きいから、資材の増減が激しくて…」

翔鶴「書類の作成、提出に追われると」

提督「大変だよ、毎日毎日…文字ばっかり見て…」

加賀「よくサボるくせに」

提督「でへへへ」

812: 名無しさん 2015/09/21(月) 19:18:46.36 ID:RKng43+v0
提督「さてと……どうせ暇ならゲームでもやろうかな」

飛龍「なになに?なにやるの?」

提督「悪魔城」

蒼龍「悪魔城?」

加賀「今日は何をやるの?」

提督「んー、みんないるしHDかなあ」

瑞鶴「複数人で出来るの?」

提督「四人までだけどね」

飛龍「やりたい!」

蒼龍「私も!」

瑞鶴「私もやってみたい!」

翔鶴「わ、私も…」

提督「あ、なら私は後ろから見てるよ。はい、コントローラー」

飛龍「やったぁ!」

加賀「……………」カチッ

ペポゥ

赤城(白夜の協奏曲…)

813: 名無しさん 2015/09/21(月) 19:32:14.40 ID:RKng43+v0
飛龍「あれ?一人しかいないよ?」

蒼龍「ぷれす…すたーと?って読むのかな?」

瑞鶴「どういう意味?」

翔鶴「すたーとを押せってことじゃないかしら…」

蒼龍「すたーとぼたんってどれ?」

飛龍「これじゃない?同じ字が書いてあるし」ポチ

チュキーン

蒼龍「おおー!入った!」

瑞鶴「ここ?」ポチ

翔鶴「えいっ」ポチ

チュキーン チュキーン

飛龍「おおー、これで四人揃ったね」

蒼龍「ここからどうするの?」

翔鶴「キャラクターを選択って書いてあるけど…」

814: 名無しさん 2015/09/21(月) 20:11:36.46 ID:RKng43+v0
飛龍「どうせならみんな別々のキャラがいいよね」ポチ

蒼龍「うわー……いっぱいいる」

瑞鶴「へー、女の子もいるのね」

飛龍「じゃあ私は………シャーロットちゃん」

蒼龍「あー、ずるい!?私もそれ選ぼうと思ってたのに!」

飛龍「ふふん、早い者勝ちだよ。ほら、早く決めてよ」

蒼龍「むうぅ……なら、マリアちゃん…」

翔鶴「瑞鶴、次決めていいわ」

瑞鶴「うん……ねえ、この人翔鶴姉に似てない?」

翔鶴「そ、そう?」

瑞鶴「似てる似てる!じゃあ私アルカードさんにする!」

蒼龍「えー、男の人使うの?女の子なんだから女の子使えばいいのに」

瑞鶴「なんでもいいでしょ、好きなの使えば」

815: 名無しさん 2015/09/21(月) 20:16:43.83 ID:RKng43+v0
翔鶴「私が最後ね………えっと……シャノアさん、で…」

飛龍「この人は提督に似てるねえ」

提督「そうかなあ」

蒼龍「うん、眼鏡かけたらそっくり」

瑞鶴「えぇ?どう見てもそんなに似てないでしょ」

翔鶴「確かに提督の方がもっと柔らかい雰囲気というか…」

飛龍「えー!?絶対似てるよ!ほら、見比べてみなよ!」

瑞鶴「似てませんー!提督の方が可愛らしいですー!」

翔鶴「ま、まあまあ、早くゲームを始めましょう?」

飛龍「むう、それもそうか。じゃあ始めるよ?」

蒼龍「おっけー!」

提督(誰もジョナサン選ばないんだ…)

816: 名無しさん 2015/09/21(月) 23:17:08.76 ID:RKng43+v0
ピリリリ ピリリリ

飛龍「ん?」

蒼龍「なんの音?」

提督「あ。ごめん、私だ」ゴソゴソ

加賀「携帯?」

提督「うん…こっちにかかってくるなんて珍しいな…」

瑞鶴「誰から?」

提督「ちょっと待ってね……ん?」

ピリリリ ピリリリ

提督「公衆電話から……?誰だろ…」

翔鶴「分からないなら出ない方がいいのでは…」

提督「うーん…でも、一応出てみるよ」

817: 名無しさん 2015/09/21(月) 23:21:30.82 ID:RKng43+v0
ピッ

提督「もしもし?」

『もしもーし』

提督「…………!そ、その声、雪菜!?」

『そだよー』

加賀「?」

飛龍「なになに、誰?」

蒼龍「お友達?」

提督「あ……ちょ、ちょっと待ってね!……ごめんね、すぐ戻るからね」

パタパタ

バタン

赤城「………気になりますよね?」

瑞鶴「なるなる」

飛龍「ならないはずがないよね」

翔鶴「でも、提督に悪いわ」

蒼龍「聞き耳立ててるくせにい」

加賀「…………」

818: 名無しさん 2015/09/21(月) 23:28:45.74 ID:RKng43+v0
ガチャ…

ソー

加賀「…………」チラッ




提督「うん……そう、だから公衆電話からなんだ」

提督「あはは、誰かと思ってびっくりしたよ…今時公衆電話でかけてくるなんて変態しかいないよ」

提督「ん……ガラケー?うん、そうだよ。いや、まだ現役だから…そろそろ変えようと思ってるけど」



飛龍「なんだか楽しそうだね」ズシッ

蒼龍「やっぱりお友達なのかな?雪菜って言ってたけど」ズシッ

加賀「前にあの子が言っていたわ、雪菜という幼馴染がいるって」

瑞鶴「ならその人なんじゃない?」ズシッ

加賀「ええ……というか、重い…」

819: 名無しさん 2015/09/21(月) 23:35:53.21 ID:RKng43+v0
提督「それで、どうかしたの?失敗でもした?」

提督「忘れてたって……相変わらず抜けてるなあ」

提督「……うん。…うん。………えっ!?」

提督「ちょっ、ちょっと待って!来るの!?ここに!?」

提督「い、いつ?………明日ぁ!?ど、どうしよう、何も用意してないよ!?」

提督「お構いなく、って言われても………うん……分かった、じゃあ、楽しみにしてるね」

提督「うん、気を付けて帰ってね。それじゃ、また明日」

提督「……んなっ…///も、もう…切るよ!」

提督「………うん、待ってる」

ピッ

提督「………ふふっ……」



飛龍「よほど仲がいいようで」

蒼龍「すっごい楽しそうだったねえ」

赤城「私にも見せてください」グイグイ

加賀「ちょ……赤城さん、そんなに押したら……うっ!」

820: 名無しさん 2015/09/21(月) 23:38:41.97 ID:RKng43+v0
ドサドサ

提督「!?」ビクッ

瑞鶴「………ど、どうも」

翔鶴「あっ…す、少しみんなでお花を摘みに行こうかと…」

提督「う、うん…もう少し上手な嘘つこうよ…」

飛龍「うっ」

蒼龍「やっぱり分かるよね〜…」

赤城「すみません、どうしても気になってしまって…」

提督「いや、別に悪いことでもないし…気にしてないよ」

加賀「ぐ……し、死ぬ……」プルプル

提督「うわっ!?ちょ、み、みんなどいてあげて!加賀が潰れちゃう!」

飛龍「お?おおっ!?」

821: 名無しさん 2015/09/23(水) 18:20:37.07 ID:zk6oDcRZ0
〜〜〜

飛龍「そりゃ!ダークインフェルノ!」

蒼龍「飛龍、それあんまり効いてない!」

瑞鶴「私のソウルスチールも効かないわ…」

翔鶴「雷よ!」

赤城(結構ノリノリですねえ…)

提督「みんなもう寝る時間だよー」

飛龍「分かってるけど、ドラキュラ強いよー!」

『デモニックメギド!!』

蒼龍「うわあ!?」

瑞鶴「全滅……」

翔鶴「つ、強い…」

提督「ああー…お疲れ様、続きはまた明日にしようね」

飛龍「はーい。よーし、次こそ勝つぞ〜」

蒼龍「提督、おやすみなさい」

瑞鶴「おやすみなさーい」

翔鶴「それでは提督、失礼します」

提督「うん、おやすみ」

バタン

822: 名無しさん 2015/09/23(水) 18:51:24.61 ID:zk6oDcRZ0
加賀「…………」カチカチ

提督「加賀ももう寝なきゃダメだよ?」

加賀「今日は一緒に眠れないの?」

提督「ごめんね、まだ書類が残ってるから…」

加賀「そう…分かったわ」

赤城「うふふ、お熱いですねえ」

加賀「茶化さないでください……それでは」

提督「二人とも、おやすみ」

赤城「はい、おやすみなさい」

バタン

提督「……さてと、お仕事お仕事…」

823: 名無しさん 2015/09/23(水) 19:19:21.38 ID:zk6oDcRZ0
〜〜〜

提督「…………んーっ……」ググ

提督「はぁ……お仕事終わりと…」

提督「…………」チラッ

提督(もう二時かあ……)

提督「…………あ」

提督(今日の見回り担当私だっけ…)

提督「………よいしょっと」ガタ

提督「ふぁ……ねむ…」

提督「何もありませんように…と」ガチャ

バタン

824: 名無しさん 2015/09/23(水) 19:23:29.16 ID:zk6oDcRZ0
その頃……

明石「…………よおおぉっし……!!」

明石「出来た……!足柄さんに頼まれてたお肌が若返る化粧水…!」

明石「二徹した甲斐があった………なんたって報酬は提督の……ぐひひひ」

明石「ふふ……あははは!あーっはっはっはっはっは!!」

明石「はっは……はぁ…」

明石「…………」

明石「試験、明日でいいや…ねよ…」

ドサッ

明石「ぐごぉ……」

825: 名無しさん 2015/09/23(水) 19:43:42.08 ID:zk6oDcRZ0
提督「うー、さむっ……」ブルッ

提督「もう三月になったとはいえ、さすがに夜は寒いなあ……」スタスタ

提督「…………」

提督(静かだなぁ……みんな、ぐっすり寝てるんだろうなあ……)

提督(私も早く寝なきゃ…明日……もとい、今日は雪菜が来るし…)

「う〜………」

提督「ん……誰?」

「う〜………」

提督「幽霊さんならちゃんと成仏してくださいねー…」

「は〜い……」

提督(ずいぶん聞き分けのいい幽霊だなぁ…)スタスタ

826: 名無しさん 2015/09/23(水) 19:49:00.66 ID:zk6oDcRZ0
提督「まっくらくーらいー……」

提督「…………ん?」

提督(工廠の裏口から明かりが……明石、まだ起きてるのかな?)

スタスタ

ガチャ

提督「戸締りしてないし……明石ー?」

提督「明石ー、まだ起きてるのー?」

提督「明石ー?……あ」

明石「ぐう……ぐう……」

提督「………もう、こんなところで寝てたら風邪引くよ」グイッ

ズルズル…

827: 名無しさん 2015/09/23(水) 22:19:26.51 ID:zk6oDcRZ0
提督「よいしょ、っと……」

バサッ

明石「んん〜………くぅ……」

提督「ここ、あったかいから毛布一枚でも大丈夫…だよね」

提督「さてと……他に見回る場所もないし、私もそろそろ寝ようかな……」

提督「…………ん?」

スッ

提督(なんだろ、このボトル…中身は水?)

提督(作業中の水分補給のために明石が持ってきたものかな……)

提督(…まあいいや、ちょうど喉が渇いてたし……ちょっとだけ)

提督「いただきます…」ペコリ

グイッ

提督「………うっ…!」

828: 名無しさん 2015/09/23(水) 22:49:23.92 ID:zk6oDcRZ0
提督「うぇ……まずっ……」

提督(ちょっと粘度もあるし…これ、飲んじゃダメなやつだったかな…)

提督「……あ」

提督(そういえば間接キスだ…ごめん、明石…)

提督「…………」

提督「………ふあ…」

提督「…………戻ろ」

ガチャ

バタン

明石「んぐ…ごぉ……」

〜〜〜

830: 名無しさん 2015/09/24(木) 17:52:23.82 ID:4iKUeauN0
翌朝

「すー……すー……」

ドドドド

バァン!!

雷「しーれーいーかーーーん!!」

パタパタ

雷「司令官、朝よ!いつまで寝てるの!」

「んん……うるさいよ……」

雷「こらー!布団に包まってたらいつまで経っても起きられないでしょ!……って、あれ…?」

雷(なんだか、丸みが小さいような…)

雷「……まあいいわ、ほら!起きなさい!」バサッ

雷「……………」

雷「…………………え?」

831: 名無しさん 2015/09/24(木) 18:00:18.46 ID:4iKUeauN0




少女「………?」

雷「えっ」









「えええええええええええええええええええええええええええええええ!!??!??!!?」


832: 名無しさん 2015/09/24(木) 18:27:26.46 ID:4iKUeauN0
バタバタ

電「ど、どうしたのです!?」

暁「今の大声、なに!?」

響「敵襲か?」

少女「……お姉ちゃん達、誰?」

電「へっ?」

響「雷、その子は…」

雷「わ、分からないわ…司令官が寝てると思って、起こしにきたらこの子が布団の中に入ってて…」

少女「………?」キョロキョロ

暁「ね、ねえあなた」

少女「ここ、どこ?」

響「え?」

833: 名無しさん 2015/09/24(木) 18:45:43.09 ID:4iKUeauN0
雷「どこって…なにも覚えてないの?」

少女「…………」

電「ど、どうするのです?」

響「どうって…私達だけじゃ何も分からないし、大人の人を呼ぶしか…」

暁「大人ならここにいるわ!」

雷「私、加賀さん呼んでくる!」ダッ

暁「…………」

834: 名無しさん 2015/09/24(木) 19:02:18.64 ID:4iKUeauN0
雷「こっちこっち!」グイグイ

加賀「わ、分かったから…あまり引っ張らないで」

飛龍「なになに?なにかあったの?」

蒼龍「提督がどうかしたの?」

雷「とにかく来て!ほら!」

ガチャ

雷「みんな!連れて来たわ!」

少女「…………!」ピク

加賀「え?その子は…?」

少女「お母さん!」

加賀「!?」

飛龍「へ?」

蒼龍「え?」

暁「えっ!?」

電「ええっ!?」

835: 名無しさん 2015/09/24(木) 19:43:47.60 ID:4iKUeauN0
少女「……じゃ、ない……」シュン

飛龍「な、なんだ…びっくりした…」

蒼龍「知らないうちに加賀さんが結婚したのかと思っちゃった…」

加賀「………?待って、お母さん、ということは…」

暁「なにか心当たりがあるの?」

加賀「ねえ」スッ

少女「……なに?」

加賀「あなた、名前は?」

少女「……ふうか」

雷「えっ」

響「ということは…」

飛龍「この子は…」

蒼龍「て、提督ってこと!?」

少女「?」

836: 名無しさん 2015/09/24(木) 20:16:41.65 ID:4iKUeauN0
加賀「信じ難いけど……そういうことになるわね」

飛龍「で、でも、こんな、急に身体が小さくなるなんて…」

蒼龍「あの様子を見ると、精神まで子供に戻ってるみたいだし…あり得ないんじゃ…」

加賀「なら、提督がここにいないことはどう説明するの?」

飛龍「それは……」

加賀「よく見てみなさい、提督の面影はあるわ」

飛龍「………」チラッ

少女「………?」

蒼龍「そう言われてみれば、結構…」

飛龍「いつも眼鏡かけてるから見慣れなかったけど…目が垂れてるところとか、雰囲気とか……うん、提督だ…」

加賀「それに、ね」

飛龍「?」

加賀「小さい提督も可愛いわ」

蒼龍「…………」

837: 名無しさん 2015/09/24(木) 20:24:09.41 ID:4iKUeauN0
暁「うーん…この子が司令官、ね…」

風花「しれいかん?私はふうかだよ?」

雷「ねえ風花ちゃん、眼鏡はかけないの?」

風花「私、目いいよ」

電「そうなのですか?」

風花「うん、向こうの文字も読めるもん」

雷「じゃあ……」

パタパタ

雷「これは?」

風花「………ず…?」

暁「図鑑、ね」

電「目はいいけど、漢字は読めないみたいなのです」

雷「なるほどねえ…じゃあこれは?」

提督「………!その本、読みたい!」

雷「え?ええ」パタパタ

暁「なんの本?」

雷「ペンギン大好きって本」

電「わあ…可愛らしいのです…」

響「……………」

838: 名無しさん 2015/09/24(木) 20:32:18.18 ID:4iKUeauN0
風花じゃなくて提督になってりゅう…

840: 名無しさん 2015/09/24(木) 21:14:41.84 ID:4iKUeauN0
風花「フンボルト……ペンギン…」

響「ちょっといいかな」ストン

風花「? なに?」

響「あなたは……あー、私達の知っているあなたは、普段は司令官と呼んでいたんだ」

風花「うん」

響「でも、今のあなたは私達の知っている司令官じゃない」

風花「そうなの?」

響「ああ、だから少し調べたいことがあるんだ」

風花「? いいよ、なんでも調べて」

響「なら、手を背中の方に回しておいてくれるかな」

風花「ん…こう?」クイ

響「そうそう……そのままだよ」スッ

ペタ

風花「ひゃっ」

響「動かないで…」ペタペタ

風花「お姉ちゃん…?」

841: 名無しさん 2015/09/24(木) 21:17:41.14 ID:4iKUeauN0
響「……………」スッ ワキワキ

電「右手が」

雷「普段の司令官ので」

響「……………」スッ ワキワキ

電「左手が」

暁「今の司令官の」

響「……………」ワキワキ ワキワキ

暁「……………」

雷「……………」

電「……………」

響「……………」




響「」ズーン

雷「撃沈した…」

842: 名無しさん 2015/09/25(金) 14:55:36.35 ID:H7dE82LZO
飛龍「でも、これからどうすればいいんですか?」

加賀「そんなこと、私に聞かれても…原因がわからなければ対処のしようもないもの」

蒼龍「とりあえず…このだぼだぼのパジャマ、なんとかしてあげられないですかね?」

加賀「そうね、さすがに服までは縮まらなかったみたいだし…」

暁「本人は気にしてないみたいだけど…」

雷「どうする?」

電「あ、電達の制服があるのです」

雷「それだわ!私、持ってくる!」

パタパタ

844: 名無しさん 2015/09/25(金) 17:53:49.09 ID:Vh8xfTrfO
バタバタ

雷「あったわ!ほら、これ!」

風花「へ?なにこれ?」

飛龍「お着替えの時間だよ、朝だからちゃんとした服に着替えないとね?」

蒼龍「一人で出来る?」

風花「……うん」

ヌギヌギ

飛龍「あら」

蒼龍「こ、ここで着替えさせちゃっていいの?」

暁「見られて困るようなことでもないし、本人が恥ずかしいと思ってないならいいんじゃない?」

加賀「…………………」ジーッ

電(な、なんだか加賀さんの視線が怪しいような…)

845: 名無しさん 2015/09/25(金) 18:01:18.58 ID:Vh8xfTrfO
風花「……ほら、出来たよ。一人で」

飛龍「おー、えらいえらい」ナデナデ

風花「………」

雷「似合ってるじゃない!可愛いわ!」

蒼龍「そうだ、下は?」

暁「下?」

蒼龍「下着。このままだとノーパンでしょ?」

雷「あれ、一緒に持ってきたはずだけど…」

風花「これ?」

雷「あ、それ。どうして履かなかったの?」

風花「いつもはいてるのと、ちがうから…」

暁「ああ…まあ、仕方ないわ、とりあえず今日はそれで我慢して?」

風花「うん…」

スッ

一同「!!」

風花「?」

飛龍「け、結構危ない履き方するんだね」

蒼龍「まさか直でやるとは…」

加賀「」ボタボタ

電(うわあ…鼻血出してるのです…)

846: 名無しさん 2015/09/25(金) 18:09:40.52 ID:Vh8xfTrfO
飛龍「うわっ!?か、加賀さん、ティッシュ!」サッ

加賀「あ……ああ、ありがとう…」フキフキ

蒼龍「で、これからどうします?」

加賀「そうね、とりあえずこのことを鎮守府全体に伝える必要があるわ。食堂にみんなを集めてもらえるかしら」

飛龍「りょーかい!」

蒼龍「任せてください!」

加賀「さて…じゃあ私達も行きましょうか」

風花「どこに?」

加賀「食堂よ」

風花「しょくどう………って、ご飯食べられるの?」

加賀「ええ」

風花「! 行く!」キラキラ

加賀「ええ、おいで」スッ

風花「うん!」パタパタ

ギュ

加賀「よいしょ…っと」グイッ

風花「わっ…落とさないでね?」

加賀「ええ、安心して」

電(上手く乗せたのです…)

847: 名無しさん 2015/09/26(土) 19:21:01.17 ID:A9tJmRCs0
〜〜〜

風花「お腹すいた…」

加賀「もう少し待ってね」ボソ

飛龍「………え〜というわけで、提督が小さくなっちゃったのでみなさん協力してあげてください……って」

一同「」キラキラ

飛龍「聞いてる…?」

蒼龍「触りたくてうずうずしてるって感じしかしないけど…」

飛龍「と、とにかく、あまり提督を困らせないようにしてください。それでは、解さn

一同「提督うううううう!!!」ドドドドド

飛龍「ひえええ!?」

バッ

大井「キエエエエ!!!」ピョイーン

加賀「!?」

蒼龍「ま、まずい!提督が襲われる!」

848: 名無しさん 2015/09/26(土) 19:54:09.48 ID:A9tJmRCs0
北上「ほっ」ガシ

大井「おおおおお!?」グイーン

ビターンッ!!

大井「げぶっ」

北上「おー、危ない危ない…ごめんね、大井っちがねー」

風花「う、うん…お姉ちゃん、大丈夫…?」サスサス

大井「あ、ああ…浄化されるぅ……」

「テイトクゥー!!ワタシにもするデース!!」

「キャー!こっち向いてー!」

「あら〜、提督ったらもっと可愛くなっちゃったわね〜」

「うぉーー!?しれぇ、なんでちっちゃくなっちゃったのー!??」

風花「あのお姉ちゃん達、どうしてこんなに喜んでるの…?」

加賀「あなたは気にしなくていいわ、朝ご飯にしましょう」

風花「あなたじゃなくて、ふうかだよ」

加賀「…ごめんなさい、風花」

風花「うん、行こ」ギュ

加賀「ええ」ニコ

849: 名無しさん 2015/09/27(日) 19:37:37.78 ID:CHAsy/iU0
風花「…………」モグモグ

加賀「美味しい?」

風花「うん、おいし……っ」ビクッ

加賀「どうかした?」

風花「み、みんな私のこと見てる…なんで…?」

加賀「え?」クル

一同「………………」ジーッ

加賀「ああ……ちょっと待っててね、すぐ言い聞かせてくるから」

風花「う、うん…?」

飛龍「あはは…ほ、ほら、ご飯冷めちゃうよ」

風花「あ、それはやだ」モグモグ

850: 名無しさん 2015/09/27(日) 21:57:42.50 ID:CHAsy/iU0
ススス…

風花「………?」

瑞鳳「んふふふ」

風花「なんで笑ってるの?」

瑞鳳「ん?なんでもないよ、それよりほら、これ」コト

風花「…?これ、なに?」

瑞鳳「卵焼き。食べる?」

風花「! たべりゅ!」

瑞鳳「りゅ?」

風花「たべりゅ…あれ?たべ…りゅ…」

瑞鳳(可愛いなぁ…)

852: 名無しさん 2015/09/30(水) 18:16:17.25 ID:byApyB1X0
加賀「あら、瑞鳳…」

瑞鳳「加賀さん…って、それは…」

大井「」

加賀「この子に手を出そうとした者には容赦しないわ」

瑞鳳「そ、そう…」

加賀「で、あなたは何をしているの?餌付け?」

瑞鳳「そういうつもりじゃ…あ、加賀さんも食べる?」

加賀「ええ、いただくわ」

風花「この卵焼きおいしいよ、はい」スッ

加賀「え?」

風花「食べさせてあげるから、あーんして?」

加賀「あ、あー…」

パクッ

風花「ね?おいしいでしょ?」

加賀「……ええ、美味しいわ」

瑞鳳(うわあ…加賀さん、すごい嬉しそう…)

853: 名無しさん 2015/09/30(水) 18:37:30.21 ID:byApyB1X0
加賀「瑞鳳、あなた他の料理も出来るの?」

瑞鳳「え?あ、ああ、まあ…」

加賀「なら、少し教えてもらってもいいかしら」

瑞鳳「いいけど……誰かに作ってあげるの?」

加賀「その……」チラッ

風花「?」

瑞鳳「……ああ、なるほどね!そういうことなら任せて!」

加賀「助かるわ、ありがとう」

クイ

風花「お姉ちゃん」

加賀「なに?」

風花「遊んできていい?」

加賀「いいけど、あまり離れないでね」

風花「うん」

パタパタ

瑞鳳「じゃあ、まずは基礎からね……」

854: 名無しさん 2015/10/01(木) 07:47:59.88 ID:S4zl36os0
パタパタ…

隼鷹「でなー、鳳翔さんが猫にエサをあげててなー」

飛鷹「ええ…あ、隼鷹」

隼鷹「んお?なに?」

飛鷹「ほら、これ」

隼鷹「んー?」

風花「…………」ジー

隼鷹「おっ、提督じゃんか」

風花「ていとく?」

隼鷹「あー、今は何も覚えてないんだっけ…まあ座んなよ、ほら、隣」

風花「うん」ストン

855: 名無しさん 2015/10/01(木) 15:59:40.39 ID:S4zl36os0
風花「お姉ちゃん……もしかして、朝からお酒?」

隼鷹「ん?おー、そだよ。飲む?」

飛鷹「こら、隼鷹!」

隼鷹「へへへ、冗談だよ冗談。お嬢ちゃんにはまだ早いね」

飛鷹「もう…」

風花「ダメだよ、朝からお酒飲んじゃ。ダメな大人になっちゃうから」

隼鷹「くくく、子供に言われちゃったよ」ゴク

飛鷹「また鳳翔さんに怒られるわよ?」

風花「そうだよ、怒ってくれるうちにやめないと、どうしようもなくなるよ」

飛鷹「こ、子供なのに深いことを言うのね…」

隼鷹「まあまあ、今日は一日非番だからさ。勘弁してよ」

風花「ヒバン?」

隼鷹「なんにも仕事がないってことだよ」

風花「ニート?」

隼鷹「あっはははは!合ってる合ってる!」ケラケラ

飛鷹「隼鷹…あなたもう出来上がってるでしょう」

856: 名無しさん 2015/10/01(木) 19:29:54.28 ID:S4zl36os0
龍驤「お、ここにおったんやな。うわ、マジで小さくなってるなぁ」

風花「? おねえ…………あれ?」

龍驤「ん?どしたん?」

風花「……お兄ちゃん、男の子なのにスカート履いてるの?」

龍驤「違うわ!!うちは女や!!」ムキーッ

風花「え…そ、そうなの?でも、お胸がないし…」

龍驤「あるわ!!ないけど!ないけどあるわ!!」

隼鷹「あっはっはっはっは!!ふひゃっひゃひゃははは!!」ゲラゲラ

飛鷹「く、ふふふ…間違えられてる…」プルプル

龍驤「笑うな!笑うなアホー!!」プンスカ

857: 名無しさん 2015/10/01(木) 19:35:50.41 ID:S4zl36os0
風花「女の子なのにお胸がないなんて…かわいそうだね…」

龍驤「やめろ…やめてくれ…」

風花「…………」チラッ

隼鷹「くっくっくっく、ひーっひっひっひっひ…」ピクピク

龍驤「アンタはいつまで笑っとるんや!いい加減黙らんかい!」

飛鷹「ん、どうかしたの?」

風花「うん、同じ服のお姉ちゃん二人はおっきいなって」

隼鷹「んっふへへ、羨ましい?」

風花「うん。私もそんな風になれるかな?」

隼鷹「あー、そだねえ」

飛鷹「その心配はないと思うわ、うん…」ナデ

風花「?」

858: 名無しさん 2015/10/03(土) 19:56:09.25 ID:FNuGXKT40
ポン

風花「…?」

榛名「提督、おはようございます」

霧島「あら、本当に小さくなってしまったんですね」

金剛「ワーオ!近くで見るともっとcuteネー!」ギュ

グイッ

風花「わっ…」

比叡「あっちょ、お姉様!いきなり抱き上げたら怖がりますって!」

金剛「ノープロブレム!ちゃんと支えてマース!」

風花「怖くない……けど、もうそんな歳じゃないよ」

霧島「ふふ、結構大人びてるんですね。ほら、下ろしてあげてください」

金剛「むー、もうちょっとだけ抱きたかったけど…しょうがないデース」

スッ

風花「ほっ」ストン

859: 名無しさん 2015/10/03(土) 19:59:41.68 ID:FNuGXKT40
風花「ねえ、お姉ちゃん」

金剛「どうしマシタ?」

風花「その変な喋り方、お姉ちゃんは外国人さんなの?」

金剛「ンー……そうですネー、英国で生まれましたが、ハートは日本人そのものネー!」キラッ

霧島「そう、私達に敬語で話されるのは嫌なのね」

風花「うん、私の方が歳下だし…」

比叡「ごめんねー、普段の感じが抜けなくてねー」ナデナデ

金剛「聞けよ」

860: 名無しさん 2015/10/03(土) 20:27:14.07 ID:FNuGXKT40
金剛「ンー、やっぱりテイトクは小さくなっても可愛いデスネー♪」ナデナデ

風花「……私、ていとくじゃない…」

金剛「へ?」

風花「私、風花なのに…みんな、私のこと、しれいかんとか、ていとくって呼ぶの」

霧島「お姉様、この子はまだ子供ですから。ちゃんと自分の名前で呼んでくれないと、安心しないのでしょう」

金剛「なるほど……なら、フーカちゃん、デスネー!」ギュ

風花「! うん!」

榛名(笑った…)

比叡(かわいい…)

862: 名無しさん 2015/10/05(月) 22:38:52.07 ID:opAvRL4/0
瑞鳳「………で、あとはキツネ色になるまで揚げて…」

加賀「なるほど…」カキカキ

飛龍「加賀さん」

加賀「なに?」

飛龍「提督のことなんですが…」

加賀「何かあったの?」ガタ

飛龍「あ、いや、そういうわけじゃなくて」

加賀「そう…で、用件は?」

飛龍「えっと…あの子、知ってる人が誰もいないからか、ちょっと不安そうで…」

加賀「ああ……そうね、なんとかしてあげないと…」

瑞鳳「んー…」

863: 名無しさん 2015/10/05(月) 23:14:37.02 ID:opAvRL4/0
瑞鳳「提督と同年代のお友達でもいればいいんだけど…さすがに子供にはなれないよねえ…」

加賀「同年代の友達、ね……」

飛龍「友達……」

瑞鳳「んー…」

飛龍「…………ん?」

加賀「…………友達?」

飛龍「…………あーーーーーーっ!!???」

瑞鳳「うわっ!?い、いきなりなに!?」

飛龍「そうだ、友達!!今日提督の友達が来るんだった!!」

瑞鳳「え、えっ?こ、この状態で?」

飛龍「だって、提督が小さくなったのも昨日だし、どうしようもないし…」

加賀「どうにか治す方法はないのかしら…」

飛龍「でも、何も原因が分からないし…」

864: 名無しさん 2015/10/06(火) 19:16:45.64 ID:gvYhALK60
飛龍「とりあえず、提督の部屋に戻ってみません?なにか痕跡があるかもしれませんし…」

加賀「そうね、なら連れ戻しに行きましょう」

飛龍「はい。えっと、風花ちゃーん」



風花「らにー?」

金剛「フーカちゃ〜〜〜〜ん♪」ムギュウ スリスリスリ

比叡「こっち向いて!ほら!」パンパン

榛名「すごい!もちもち!」ムニムニ

霧島「これは……いいものね…」ムニムニ

加賀「」ブチッ

飛龍「あっ」

865: 名無しさん 2015/10/06(火) 20:16:17.07 ID:gvYhALK60
提督の私室

加賀「はぁ……」

飛龍「お、お疲れ様です…」

風花「お姉ちゃん、あんまり怒っちゃダメだよ」

加賀「ごめんなさい…」

飛龍「えーっと……さっき部屋中見て回ったんですが、特にめぼしいものはなかったですね」

加賀「そう…どうすればいいのかしら」

飛龍「うーん……」

風花「?」

866: 名無しさん 2015/10/06(火) 20:23:25.66 ID:gvYhALK60
ピリリリ ピリリリ

飛龍「あ、提督の携帯ですね」

蒼龍「加賀さん、出てくださいよ」

加賀「え、私?」

飛龍「ほら、早く早く!切れちゃいますよ!」

加賀「え、ええ…どうやるの?」

蒼龍「ここをピッて」

加賀「こうかしら…」

ピッ

加賀「はい、もしもし…」

『やっほー……って、その声、風花じゃないっぽい?』

加賀「ええ、私は加賀よ」

『加賀……もしかして、艦娘さんの?』

加賀「そうね」

『へー、すっごい!あ、でも鎮守府にいるから当たり前か』

加賀「え、ええ…」

867: 名無しさん 2015/10/06(火) 22:00:33.39 ID:gvYhALK60
加賀「あの……用件は?」

『あ、そうだ忘れてた!風花は?もしかして今取り込み中?』

加賀「えっと…」

『ちょっと急な仕事が入っちゃってさ!そっちに着くの、夕方になりそうなの!って伝えといて!』

加賀「わ、わかったわ」

『ごめんねー、楽しみにしてただろうに』

加賀「……その、話していい?」

『え?ああ、いいよ。一方的に話しすぎちゃったね』

加賀「…落ち着いて聞いて」

『え、なに?風花に何かあったの?』

加賀「風花は……あの子は、小さくなってしまったの」

『……………はっ?』

868: 名無しさん 2015/10/06(火) 22:25:33.81 ID:gvYhALK60
『ちょっと待って』

加賀「なに?」

『小さくなったって、どういう意味?』

加賀「文字通りだけれど…」

『……マジ?』

加賀「ええ」

『そんなのあり得な……………いや、でも、あの子のことだし、あり得るかも……』

加賀「納得してくれた?」

『まあ、嘘ついてるようには思えないし……とりあえず信じてみるよ。小さくなったって、年齢で言えばどれくらい?』

加賀「そう、ね……」チラッ

飛龍「ほら、こうやって艦載機を飛ばすんだよ」ブーン

風花「なにそれ!?すごい!!」キラキラ

加賀「………八歳、くらいかしら」

『八歳、ね……八歳?』

加賀「?」

869: 名無しさん 2015/10/06(火) 22:33:00.49 ID:gvYhALK60
『それって、もしかして精神も子供になってるの?』

加賀「ええ、そうよ」

『だとしたら、変わった様子とかない?何も喋らないとか、部屋から出ようとしないとか』

加賀「………?いえ、特にはないわ」

『そっか、なら……あれからしばらく経った頃あたりかな……』

加賀「え?」

『……ん!ごめんごめん、ちょっと考え込んじゃった!えっとね、その子は………え、なに?はぁ!?また仕事入ったの!?』

『ドタバタ…』

加賀「…?」

『………っごめーん!さらに緊急の用事入っちゃってすぐ行かなきゃいけないの!またそっちに着いたら色々と話すから、それまで風花のお守り頼むね!それじゃ!』

加賀「ちょっ、そんないきなり…」

ブツッ

ツー ツー ツー

加賀「…………」

蒼龍「どうかしたんですか?」

加賀「切られたわ」

飛龍「なんて言ってました?」

加賀「夕方くらいに来るから、それまでよろしくと…」

蒼龍「……えっ」

870: 名無しさん 2015/10/08(木) 18:51:56.19 ID:hnSHpMN40
飛龍「どうします?」

加賀「とりあえず、面倒を見てあげるとしか…」

蒼龍「でも、私達もう午前の演習ですよ?」

加賀「そう、よね…」

ガチャ

球磨「失礼するクマ」

多摩「同じく失礼するにゃ」

北上「いやー悪いね、大人数で押しかけて」

加賀「あなた達…」

大井「加賀さん達、もうすぐ演習があるんですよね?私達がこの子の面倒を見ますよ」

木曾「俺もいるぞ!」

加賀「………そうね、頼めるかしら」

球磨「任せろクマ!」

872: 名無しさん 2015/10/08(木) 19:17:53.60 ID:hnSHpMN40
飛龍「それじゃ、私達は行くね」

蒼龍「あとは任せたよ!」

加賀「いい子にしてなきゃダメよ?」ナデ

風花「うん」

加賀「よし…ならいいわ」

ガチャ

バタン

風花「……ねえ、お姉ちゃん」

球磨「ん?なんだクマ?」

風花「お姉ちゃんはクマなの?」

球磨「球磨はクマじゃないクマ」

風花「あ、え……?」

球磨「球磨は球磨クマ」

風花「………???」

873: 名無しさん 2015/10/08(木) 22:12:20.72 ID:hnSHpMN40
風花「えっと……こっちのお姉ちゃんは?」

多摩「多摩にゃ」

風花「…にゃ?」

多摩「にゃ」

風花「猫さんなの?」

多摩「猫じゃないにゃ」

風花「え……違うの…?」

多摩「にゃ」

風花「じゃあ、なんでにゃって言うの?」

多摩「さあ?」

風花「…………」

874: 名無しさん 2015/10/08(木) 22:32:12.40 ID:hnSHpMN40
風花「ねえ、目隠ししてるお姉ちゃんはなんて言うの?」

木曾「目隠しって………まあいい、俺は木曾だ」

風花「キソ?キソって、どこの国の動物?」

木曾「いや、俺は動物じゃなくて…」

風花「キソお姉ちゃんはなになにキソーって言わないの?」

木曾「え?えっと…」

北上「言わないの?」

大井「ねえ、言わないのー?」ニヤニヤ

木曾「そ、そんなの言うわけ…」チラッ

風花「…………」ジーッ

木曾「うっ……!」

875: 名無しさん 2015/10/08(木) 22:35:02.58 ID:hnSHpMN40
木曾「………き、木曾だキソー………///」カァッ

風花「わあ……」

球磨「グッ……」

多摩「ニャフっ……」

北上「ぶく……くくくく…」

大井「ンフ……ンフフフフ……」プルプル

木曾「わ、笑うんじゃない!!///」

風花「キソお姉ちゃん、キソはキソーって鳴くんだね!」

木曾「そ、そうだな…ははは…」

876: 名無しさん 2015/10/08(木) 22:39:43.00 ID:hnSHpMN40
風花「キソお姉ちゃん、女の子なのに俺って言うんだね」

木曾「ん?ああ、そうだな」

風花「ふーん……可愛いのに、もったいないよ?」

木曾「えっ」

風花「ちゃんと女の子らしく私って言った方が可愛いよ、絶対」

木曾「あ、ああ…」

風花「でもそのままのキソお姉ちゃんもかっこよくて好きだよ、強そうだし」

木曾「っ……っ……!///」プルプル

北上「うわあ……」

大井「小さい頃からあんな殺し文句を…」

球磨「木曾が恥ずかしがるって滅多に見ないクマ…」

877: 名無しさん 2015/10/10(土) 20:08:47.02 ID:zh2OceYM0
大井「ねえ、風花ちゃん?」

風花「なに?」

大井「はい、お手」スッ

風花「?」ポン

大井「はい、おかわり」スッ

風花「うん?」ポン

大井「よしよしよしよし」ワシャワシャ

風花「わぁー」

大井「北上さん!!この子可愛いです!!」

北上「ああうん、大井っちが楽しそうで何よりだよ」

木曾「犬か」

878: 名無しさん 2015/10/10(土) 20:15:28.82 ID:zh2OceYM0
大井「ほら、わんわんって」

風花「わんわん!」

大井「ウフフ、可愛い犬ね…首輪を付けましょうね〜」

木曾「おい…」ガッ

北上「分かってるとは思うけど…」

球磨「変なことしたらただじゃおかんクマ」

大井「は、はい…」

風花「? 首輪、付けないの?」

大井「うん、怒られちゃったからダメみたい。でもね…」ゴソゴソ

風花「?」

大井「ほら、尻尾!これ付けましょう!」スッ

風花「……?このビーズみたいなの、なに?」

ガッ

大井「うぐえっ」

球磨「お前!!子供になんてもの見せるクマァ!!」ゲシッゲシッ

多摩「いい加減にするにゃあ!!」ガスッガスッ

北上「死ねっ!!」バキッ

大井「冗談です!!冗談です!!」

879: 名無しさん 2015/10/10(土) 22:36:52.83 ID:zh2OceYM0
大井「んヌウウウおおおおおおおおおお」ググググ

北上「ごめんねー、大井っちがねー」

多摩「妹が粗相をしてすまんにゃ」

風花「うん、よくわからないけどいいよ」

球磨「オラ、もっと気張るクマ。椅子としての自覚を持てクマ」

大井「ハイッ!!」グググ

球磨「さて…風花、こっちに来るクマ」チョイチョイ

風花「? うん」

スタスタ

球磨「よっと」ヒョイ

風花「わっ」

ストン

球磨「お馬さんごっこだクマ」

風花「おー…」

球磨「叩くと走り出すクマ。やってみるクマ」

風花「えい」ペチッ

大井「んほぉ!!」

ドドドド

風花「っうわあ!!これすごい!あははは!」

球磨「楽しそうで何よりクマ」

木曾「大井姉…」

球磨「今のあいつに人権はないクマ」

882: 名無しさん 2015/10/12(月) 11:53:18.51 ID:U6xp8ZCp0
大井「ぜぇ……ぜぇ……」

球磨「もう無理クマ?」

大井「ぜぇ……ぜぇ……」コクコク

球磨「よし、なら休んでいいクマ」

大井「うげぇ……」ドサッ

風花「お姉ちゃん、おつかれさま!楽しかったよ!」ギュッ

大井「!!???!?!!!!?」

風花「えへへへ、大井お姉ちゃんは優しいね」

大井「ああ……………」シュワァ…

北上「ん……?」

木曾「なんだ…大井姉の影が薄くなっているような…」

多摩「……マジで薄くなってるにゃ!!」

球磨「うおぉ!?大井、消えるなクマ!!帰ってくるクマ!!」

884: 名無しさん 2015/10/13(火) 15:22:44.65 ID:MrhhV7EY0
大井「ふぅ……危ない危ない、もう少しで消えるところだったわ」

球磨「お前がその子抱えてると危険クマ、こっちに寄越すクマ」ヒョイ

風花「おー」

球磨「さて、しばらくは球磨が遊んでやるクマ」ワシャワシャ

風花「ん……髪、くしゃくしゃになっちゃう」

球磨「おっと、すまんクマ。ならブラッシングしてやるクマ」クルン

多摩「多摩もやるにゃ」

風花「優しくしてね?」

球磨「任せろクマ」

木曾「……………」

北上「あの二人って、割と面倒見いいよね」

大井「結構お姉さんらしいところがあるというか…」

木曾「ああ…お守りは任せるか」

885: 名無しさん 2015/10/13(火) 16:24:15.91 ID:MrhhV7EY0
〜〜〜

風花「立ってる!」ギュ

球磨「クマァ!?いてて、髪を掴むなクマ!」

多摩「大変そうにゃあ…」

球磨「見てないで助けるクマ〜!」

ガチャ

天津風「失礼するわね」

時津風「うおぉー!?しれぇ、ほんとに小さくなってるーー!?」バタバタ

卯月「うーちゃんにも見せるぴょん!」

球磨「うお、いきなりなんだクマ」

弥生「ごめんね…騒がしくて」

球磨「遊びにきたクマ?」

弥生「うん、そんなところ」

886: 名無しさん 2015/10/13(火) 19:00:20.21 ID:MrhhV7EY0
球磨「そうか、ならバトンタッチだクマ」

弥生「いいの?」

球磨「子供の相手は子供が一番いいクマ」

北上「ぶっちゃけ疲れただけでしょ?」

球磨「………子供の体力を侮っていたクマ」

弥生「…まあそういうことなら任せて、他にも司令官と遊びたいって子はたくさんいるから」

球磨「じゃあ、頼んだクマ。ほら、撤収クマ」

風花「またねー」

大井「♪」フリフリ

バタン

卯月「んふふふ〜」

風花「……?」

888: 名無しさん 2015/10/14(水) 18:20:44.67 ID:qRLvXJ2U0
卯月「ねえふーちゃん、うーちゃんのこと覚えてる?」

風花「………?ごめん、覚えてない…」

卯月「そっか、なら改めて自己紹介するぴょん!うーちゃんは、卯月って言うぴょん!」

風花「ぴょん……うさぎさん…?」

卯月「そうっぴょん!ふーちゃんもぴょんぴょんするぴょん!」

風花「ん……っぴょん!」ピョン

卯月「ぴょん!」

時津風「ぴょん!」

弥生「ぴょん」

天津風「…………」

風花「…………」ジー

天津風「……いや、やらないから」

卯月「ノリが悪いぴょん」

風花「ねー」

卯月「ねー」

889: 名無しさん 2015/10/14(水) 20:01:27.60 ID:qRLvXJ2U0
卯月「さて、これからはうーちゃん達が遊んであげるぴょん」

風花「うん」

卯月「とは言っても、この部屋だけじゃ出来ることは限られるし、大人もだいたい出払ってほとんど子供しかいないぴょん」

風花「じゃあ何するの?」

卯月「逆に言えば止める人がいないから好き放題出来るぴょん!!」

風花「うん

時津風「おおー!いいねえ!!」

天津風「ちょっと、あまり危険なことは…」

卯月「だから!鎮守府全体かくれんぼを開催するっぴょん!!」

風花「おおー」パチパチ

時津風「いぇーーーい!!!」

弥生「…………」パチパチ

卯月「そうと決まれば食堂にみんなを集めるぴょん!ゴー!!」ダッ

風花「ごー!」ダッ

天津風「…………」

時津風「行かないの?」

天津風「いや……付き合うわ」

890: 名無しさん 2015/10/14(水) 22:42:15.13 ID:qRLvXJ2U0
〜〜〜

卯月「というわけで!駆逐艦全員で鎮守府全体かくれんぼをやるぴょん!みんな、ふーちゃんのためにこぞって参加するぴょん!」

「「「ワアアアアアアア!!!」」」

天津風「さすが、子供はノリがいいわね」

時津風「天津風はノリ悪いけどね」

天津風「うぐ…ほっといてよ」

卯月「駆逐艦じゃなくても、参加したいって人はご自由にどうぞっぴょん!」

曙「なにがかくれんぼよ、バカバカしい…あたしは部屋に戻るから」

卯月「はーい!それじゃあ第七駆逐隊が鬼でスタートぴょん!」

曙「はぁ!?」

卯月「一人も見つけられなかった鬼はふーちゃんと会話出来る権利を永久に剥奪されるぴょん。じゃ、百数えたら探しにくるぴょーん!」ダッ

「「「ワアアアアアアア!!!」」」

ドドドドド…

曙「ちょっと!?」

潮「まあまあ…提督を喜ばせるために、ね?」

曙「釈然としないけど……まあいいわ、ふん捕まえてお尻叩いてやるんだから!」

漣(なんだかんだで楽しんでるじゃん…)

891: 名無しさん 2015/10/14(水) 22:49:24.76 ID:qRLvXJ2U0
時津風「わはー!早く隠れないと鬼がくるよー!」バタバタ

風花「どこがいいかな」

ビュン

時津風「うわお!?」

島風「てーとくおっそーい!隠れるのも島風が一番速いもんねー!!」

天津風「あの速力バカ…」

風花「………」ムッ

ビュンッ

島風「おぅっ!?」

風花「私の方が速いもん!」

島風「なにをー!?一番速いのは私だもん!!」

白露「一番!?一番ならあたしだよ!!」

風花「私!」

白露「私!」

島風「私!」

「「「おおおおおおおおお!!!」」」

ドドドドド

時津風「うわ、はやっ!」

天津風「ちょっ、追いつけないじゃない!」

「「「おおおおおおおおお!!!」」」

892: 名無しさん 2015/10/14(水) 22:52:57.98 ID:qRLvXJ2U0
ドドドドド…

ズザッ

風花「はぁ…はぁ………ほら、私が一番速……?」

風花「あれ……みんな、置いてきちゃった…?」キョロキョロ

風花「……………」

風花「……まあいっか、隠れるところ探さなきゃ…」

風花「………ここ、どこだろう…?」

パタパタ…

893: 名無しさん 2015/10/14(水) 22:55:26.68 ID:qRLvXJ2U0
加古「ふぁ〜……ねっむ……」テクテク

加古「昼飯前に一眠りすっかな〜……お?あれは…」

風花「うーん…」パタパタ

加古「……抱き枕発見」




風花「ど、こ、にっ、し、よ、う、か、なー…」

ギュ

風花「う?」

加古「お持ち帰り〜」スタスタ

風花「???」

894: 名無しさん 2015/10/14(水) 23:00:52.02 ID:qRLvXJ2U0
ガチャ

古鷹「あ、戻ってきた……って」

加古「おやすみ〜……」ボフッ

風花「……?もう寝るの?まだお昼だよ?」

加古「ぐう……」

風花「お姉ちゃん?」

古鷹「えっと……風花ちゃん、だよね?」

風花「え?うん、そうだよ」

古鷹「ごめんね、その子、一度寝たらなかなか起きないから…そっとしておいてあげて?」

風花「…だらしないんだね」

古鷹「あはは…」

895: 名無しさん 2015/10/14(水) 23:09:28.87 ID:qRLvXJ2U0
パシャッ

風花「!」ビク

青葉「んー、小さくなった司令官!可愛らしいですねぇ〜」

古鷹「もう、青葉!いきなりフラッシュ焚いたらこの子がびっくりしちゃうでしょう!」

青葉「いやーすみません、ちょっと興奮しちゃったもので」

風花「……写真?」

青葉「はい、そうですよ!もう一枚撮ってもいいですか?」

風花「うん、好きなだけ撮っていいよ」

青葉「あは、きょーしゅくです!じゃあピースしてもらってもいいですか?」

風花「こう?」

青葉「はい!で、もっと笑って!」

風花「うん」ニコ

青葉(やば、可愛い…)

パシャッ

青葉「うわお……いいですねえ!次は古鷹も一緒に並んで!」

古鷹「いいの?」

青葉「こんなチャンス二度とないですからねえ、記念です!」

古鷹「じゃあ…よろしくね」

青葉「はい、二人とも笑って笑って〜……一足す一はー?」

風花「にー♪」

古鷹「にー♪」

パシャッ

896: 名無しさん 2015/10/14(水) 23:37:06.08 ID:qRLvXJ2U0
〜〜〜

風花「いっぱい写真撮ってもらっちゃった…」パタパタ

ギュ

風花「ん?」

大鯨「ふふ、捕まえた♪」

風花「…お姉ちゃん、おに?」

大鯨「ううん、違うけど…お腹空いてない?」

風花「ん………すいてる」

大鯨「やっぱり?ちょうどその頃だと思ってきたの。もうお昼時だから…」

風花「そうなの?」

大鯨「うん、ご飯食べに行く?」

風花「行く!」

大鯨「ふふ、なら行きましょうか」ギュ

897: 名無しさん 2015/10/14(水) 23:44:12.86 ID:qRLvXJ2U0
食堂

ガチャ

大鯨「連れてきました〜」

武蔵「お、来たぞ」

風花「ごはん…」

大和「あ、提督……じゃない、風花ちゃん!」

風花「うん?私?」

大和「ご飯、何が食べたい?なんでも好きなものを言っていいのよ?」

風花「んっと……オムライスがいい」

大和「オムライスね、すぐ作るわ!」

大鯨「あ、私もお手伝いします!」

パタパタ…

武蔵「珍しく大和が敬語じゃないな…」

風花「?」

武蔵「……まあ、君がこの状態じゃ仕方ないか」

898: 名無しさん 2015/10/14(水) 23:55:05.24 ID:qRLvXJ2U0
武蔵「…………ん?」

風花「…………」ジー

武蔵「ふっ……遊んで欲しいのかい?おいで」

風花「だ、ダメ」

武蔵「? なぜだ?」

風花「そんな服で遊んだら、脱げちゃうから…」

武蔵「服?ああ、これは服じゃなくてサラシというものでな」

風花「服じゃない……え、じゃあ裸なの!?」

武蔵「いや、そういうことでは」

風花「それじゃへんたいさんだよ!ちゃんとした服着なきゃダメだよ!」

武蔵「…………」

900: 名無しさん 2015/10/15(木) 07:48:22.45 ID:XiUKZfey0
大和「もう少しで出来るから待っててね……って、武蔵、どうして頭を抱えてるの?」

武蔵「いや……子供と話すのは存外疲れるものなんだと思ってな…」

風花「そんな格好で外出たらおまわりさんに捕まっちゃうよ」

武蔵「教えてくれ大和、私はおかしいのか?」

大和「え、ええ…?いきなりそんなこと言われても…」

風花「お姉ちゃんも、こんなに横が空いたスカート危ないよ?変な人に見つかったらなにされるかわからないもん」

大和「そ、そうなの?」

風花「そうだよ!」

武蔵「子供の道徳心はすごいな……」

901: 名無しさん 2015/10/15(木) 15:51:53.19 ID:XiUKZfey0
パタパタ

大鯨「大和さーん、もう仕上げられますよー」

大和「あ、はい!それじゃあ、すぐ持ってくるからね」

風花「うん」

武蔵「大和の料理は美味いぞ」

風花「ほんと?」

武蔵「ああ、この武蔵が保証する」

パタパタ

大和「お待たせしました」カタ

風花「わあ…」

武蔵「くくく、ケチャップでハートとはな。やるじゃないか」

大和「ふふ、武蔵のも書く?」

武蔵「本当か?」キラキラ

大和「えっ」

902: 名無しさん 2015/10/15(木) 15:59:54.50 ID:XiUKZfey0
大鯨「ちょっと机が…高いですね」

大和「ほら、ここ。おいで?」ポンポン

風花「うん」

トタタ

風花「よいしょっと」ポスン

大和「ああ、かわいい……」

風花「いただきます」

大鯨「あ、武蔵さんの分も持ってきますね」

武蔵「む、ありがたい」

ガチャ

明石「うー……おはようございま〜す…」ゴシゴシ

武蔵「おはよう……って、今起きたのか?」

明石「まあ、二徹ぐらいしてたもので…まだ寝てたいんですけどね…」

武蔵「そ、そうか…」

903: 名無しさん 2015/10/15(木) 16:04:44.35 ID:XiUKZfey0
大和「美味しい?」

風花「うん、おいしい……おかわりある?」

大和「ええ、もちろん。たくさん食べてね♪」

明石「……ところで、その子は誰です?」

武蔵「ん?ああ、提督だ」

明石「ああ、提督…………ん?」

武蔵「どうかしたか?」

明石「提督?」

武蔵「ああ」

明石「その子が?」

武蔵「ああ」

明石「………………」




「えええええええええええええええ!!??」

904: 名無しさん 2015/10/15(木) 16:32:30.36 ID:XiUKZfey0
明石「えっなっんっあ、えええぇ!?」

武蔵「もう少し静かにしないか」

明石「いやだって、ええっ!?」

武蔵「まあ言いたいことは分かるが…どうしてこうなったかも分からん以上、何も出来ないのが現状だ」

明石「は、はぁ………今の衝撃で目が覚め…………あれ?」

武蔵「どうした?」

明石「………確か、成分を配合する段階でやった試験にヒトの細胞だと若返りすぎた記録を書いたような…」

武蔵「え?」

明石「でもそれだと艦娘には効果が薄すぎるから、そのまま運用して……」

武蔵「お、おい、分かるように説明してくれ」

明石「……え?あ、ああ、すみません」

905: 名無しさん 2015/10/15(木) 16:50:59.74 ID:XiUKZfey0
明石「………というわけで、提督が小さくなってしまったのはその化粧水を飲んだからかもしれないんですよ」

武蔵「なるほどな…艦娘用に作った肌を若返らせる化粧水を、提督がそのまま飲んでしまったからか」

明石「理屈ではそうなりますね…それが完成したことは足柄さんには伝えてませんし、そもそもボトルだけ空になってるということは昨日の晩に見回りをしていた提督が誤飲した可能性が高いでしょう」

武蔵「ふむ……原因は分かったが、これをどうにかする手段はないのか?」

明石「ありますよ。実験の段階で、提督が飲んだものと真逆の性質を持った薬品が出来たんです。それを少し飲ませてあげれば元に戻ると思います」

武蔵「そうか、いつ頃治るんだ?」

明石「効果が出るとしたら、早くて明日の朝といったところですかね…」

武蔵「明日、か……」

明石「それじゃあ私、薬取ってきますね!」ダッ

武蔵「ああ」

906: 名無しさん 2015/10/15(木) 20:26:11.00 ID:XiUKZfey0
風花「げふ……」

大和「すごい、二杯全部食べちゃった…」

風花「おいしかった……ありがと、お姉ちゃん」

大和「ふふ、どういたしまして」

明石「ちょっといいですか?」

風花「なに?」

明石「えーっと……このお薬を飲んでくれるかな?」スッ

風花「おくすり?私、病気じゃないよ?」

明石「あー、そうじゃなくて………そう、これを飲めば、病気を予防出来るの!」

風花「予防……お注射、しなくていいの?」

明石「そうそう!これで済むからね!」

風花「なら、飲む」

ゴク

907: 名無しさん 2015/10/15(木) 20:32:11.18 ID:XiUKZfey0
風花「うぇ……にがい…」

明石「ごめんね、でもお薬はそういうものだからね…我慢出来る?」

風花「うん…」

明石「よしよし、えらいねー」ナデナデ

大和「何を飲ませたの?」

武蔵「元に戻る薬だと。明日にはいつも通りに戻るそうだ」

大和「そうなの…私はこのままでもいいんだけど…」

武蔵「そうもいかんだろう…」

ガチャ

時津風「あーっ、いた!!」

天津風「あなた、かくれんぼ中に抜け出しちゃダメでしょ!」

風花「あ…忘れてた」

天津風「みんなあなたを探してるわ、行きましょう」ギュ

時津風「次はあたし達が鬼だよ!」

風花「うん。お姉ちゃん達、またね」

大和「ええ、またね」

バタン

908: 名無しさん 2015/10/15(木) 20:42:10.67 ID:XiUKZfey0
〜〜〜

加賀「ただいま帰投しました」

飛龍「はーつっかれた〜…」

蒼龍「あれ?」

飛龍「どしたの?」

蒼龍「提督の友達さん、まだ来てないの?」

飛龍「そう言われてみれば…」

加賀「夕方あたりに来るとは言っていたけれど…」

『執務室、誰かいますか』

飛龍「あ、大淀ちゃんだ」

ガチャ

加賀「どうかしたの?」

『提督のお友達がお見えになりました。誰か、迎えに行ってあげられませんか?』

加賀「私達、まだ艤装の片付けが…」

ガチャ

電「なら、電が行ってくるのです」

『電さんですね、よろしくお願いします』

電「なのです!」

飛龍「ごめんね、任せた」

パタパタ

909: 名無しさん 2015/10/15(木) 22:38:04.45 ID:XiUKZfey0
「ううーさっぶ……いつまで待てばいいんだろこれ…」

「……お?あの子かな?」

パタパタ

電「お待たせして申し訳ないのです!あなたが司令官さんのお友達の……」

雪菜「そうそう、雪菜だよー。よろしくね」

電「はい、よろしくお願いします、なのです」ペコリ

雪菜(礼儀正しい子だなー…)

雪菜「ねえ、もしかして君って艦娘さん?」

電「へ?はい、そうなのです」

雪菜「だよね!ねね、ちょっと触ってみてもいい?」

電「は、はい…どうぞ」

雪菜「わー、ありがと!」ペタペタ

電(よく分からない人なのです…)

雪菜「ふんふん…」ペタペタ ムニムニ

雪菜(やっぱりどう見ても普通の人間だよねえ…これが海で戦ったりするのかー…)

910: 名無しさん 2015/10/15(木) 22:59:22.03 ID:XiUKZfey0
電「あの、もういいですか?」

雪菜「ああうん、ありがとね」

電「それじゃ、案内するのです」

雪菜「はーい」

ガチャ

雪菜「うっわー……外観で想像はついたけど、玄関ですらここまで広いとは……」

電「向こうが司令官さんの私室なのです」

雪菜「ほー、廊下もこんなに長いんだ…すごいところに住んでるもんだねえ…」

電「普段はみんながいるから、結構騒がしいのですが…今日はほとんどの人が遠征や出撃でいないのです」

雪菜「へえー…ここって、どれくらいの艦娘さんがいるの?」

電「えっと……だいたい百人くらいなのです」

雪菜「百人!?そんなに多いの!?」

電「はい、その指揮をとっているのが司令官さんなのです」

雪菜(はえー…あたしの知らないところですごい役割担ってるんだ…風花ってば…)

911: 名無しさん 2015/10/15(木) 23:12:53.42 ID:XiUKZfey0
電「ここが司令官さんのお部屋なのです」

雪菜「うん、ありがと。電ちゃんだっけ?小さいのに偉いね」ナデナデ

電「そ、そうでもないのです///」

コンコン

雪菜「失礼しまーす」

ガチャ

加賀「ん…来たのね」

雪菜「どーもどーも、比嘉雪菜と申します」

加賀「あ…ええと、航空母艦、加賀です…でいいのかしら…」

雪菜「あ、加賀さんって朝電話出てくれた艦娘さん?だよね?」

加賀「ええ、その通りね」

雪菜「やっぱり!いやーごめんね、急に仕事が入っちゃって」

加賀「気にしなくていいわ、仕事なら仕方ないことでしょう」

電「お茶を淹れてくるのです」

雪菜「お構いなく…って言っても、あの子みたいな性格じゃ聞かないか」

加賀「そうね」

912: 名無しさん 2015/10/15(木) 23:25:12.90 ID:XiUKZfey0
加賀「仕事って、何をしているの?」

雪菜「んー……まあ、カウンセラーみたいなものかなあ」

加賀「カウンセラー?」

雪菜「そっか、艦娘さんって外の世界のことは詳しくないんだっけ。簡単に言うと、心の病気を治す人のことだよ」

加賀「なるほど……忙しいの?」

雪菜「そりゃあもう!結構都会の方に店あるんだけど、精神科って言ったらあたし一人ぐらいしかいないからさあ」

加賀「それは大変ね」

雪菜「まあ慣れたら軽いもんだけどさ…それより、艦娘さんの方が大変じゃないの?ほら、戦場で一つ状況を読み違えれば死ぬ可能性だってあるんでしょ?」

加賀「確かにそうだけど…私達には優秀な指揮官がいるもの、怖くなんてないわ」

雪菜「ふーん…あの子、そんなにすごいの?」

加賀「そうね……戦場で一人も死人を出していないと言えば伝わるかしら」

雪菜「むむ…そりゃすごい」

913: 名無しさん 2015/10/15(木) 23:31:05.96 ID:XiUKZfey0
雪菜「あ、そうそう、風花はどこにいるの?小さくなっちゃったんでしょ?」

加賀「さっきまで遊んでいたから、そろそろ戻ってくる頃だと思うけれど…」

ガチャ

風花「お姉ちゃーん」

雪菜「うわー風花!久しぶりだね〜!」

風花「え、雪菜!?なんで大人になっちゃってるの!?」

雪菜「あははは!違うよ、風花が子供になっちゃったんだよ!」

加賀(一目で分かるのね…)

風花「え?な、なんで…?私、大人だったの…?」

雪菜「ん〜、まあ難しいことは考えなくていいよ」

風花「う、うん…」

914: 名無しさん 2015/10/15(木) 23:40:24.57 ID:XiUKZfey0
風花「ん〜……」ソワソワ

加賀「ほら、立ってないで座りなさい」

風花「お姉ちゃん、だっこ…」スッ

加賀「はいはい…」ギュ

ストン

風花「ん…ありがと…」

雪菜「あはは、そうしてると風花のお母さんみたい」

加賀「…それ、この子にも言われたわ。そんなに私とお母様は似ているの?」

雪菜「似てる似てる、あたしもさっき加賀さん見た時風花のお母さんかと思ったもん」

加賀「そうなの…」

雪菜「いやーなんだか思い出すなあ、あの頃を…」

加賀「……この子とはいつからの付き合いなの?」

雪菜「いつからも何も、産まれた時から一緒だよ。この子の妹より親しい間柄なんだから」

加賀「へえ…聞かせてもらえる?」

雪菜「ん、いいよ」

ガチャ

電「お茶、置いておくのです」

915: 名無しさん 2015/10/17(土) 17:36:32.10 ID:rjh83Ipf0
雪菜「と、その前に…」ゴソ

加賀「?」

雪菜「ここって禁煙?」チンッ

加賀「いえ、特には決まってないはずよ」

雪菜「そっか、なら一本だけ吸わせてもらうね」

加賀「ええ」

雪菜「いやあ悪いねえ、今日一本も吸ってなかったからさ」スタスタ

ガラッ

加賀「吸わなきゃいけないものなの?」

雪菜「そういうわけじゃないけど、仕事柄吸わなきゃやってらんないっていうかね。結構ストレス溜まるもんだから」

加賀「そう…大変なのね」

916: 名無しさん 2015/10/17(土) 18:02:05.50 ID:rjh83Ipf0
風花「…………」カクン

加賀「眠いの?」

風花「うん……」

加賀「このまま寝てもいいのよ」

風花「うん…」ギュ

加賀「…………」ポンポン

雪菜「あはは、ずいぶん懐いてるみたいだね。やっぱりお母さんに似てるからかな?」

加賀「…そうかしら」

雪菜「それともあれかな、昔甘えられなかった分を今取り戻そうとしてるのかな」

加賀「この子、昔なにかあったの?」

雪菜「あ、そういや昔の話だっけ。窓開いてるからちょっと寒いけどいい?」

加賀「ええ」

917: 名無しさん 2015/10/17(土) 18:47:23.84 ID:rjh83Ipf0
雪菜「そだね、まずは生い立ちから話さなきゃね」

加賀「産まれた時から一緒と言っていたけれど…」

雪菜「ああ、あれはウソ。同じ病院で産まれたのは確かだけど、実際のところはあたしの一日遅れで風花が産まれたんだよね」

加賀「…まあ、間違ってはいないわね」

雪菜「もともとあたしの母さんと風花のお母さんって、家が隣同士だったから仲良しでさ。それで、出産のタイミングもかぶったからあたし達も仲良くなったわけ」

加賀「なるほど…」

雪菜「赤ちゃんの頃だからよく覚えてないけど、いつも一緒にいた気がする。大きくなっても、ずっとそうだったから」

加賀「そんなに仲良しだったの?」

雪菜「そりゃもう、お風呂に入る時も寝る時もずっと引っ付いてたよ」

加賀「…そう」

918: 名無しさん 2015/10/17(土) 19:03:47.68 ID:rjh83Ipf0
雪菜「ん?もしかして嫉妬しちゃった?」

加賀「いえ…そうでもないわ、今はこの子がいるから」

雪菜「へ?この子がいるって?風花のこと?」

加賀「ええ。私の恋人」

雪菜「………はっ?こ、恋人?」

加賀「そうよ」

雪菜「え?加賀さんと風花が?」

加賀「ええ」

雪菜「……マジで!??やっぱりこの子、レズ脱却出来なかったの!?」

加賀「え?」

雪菜「あ、いや、ごめん。こっちの話。あー…そうなんだ、ダメだったかー…ちょっと積極的にしすぎたかな…」

加賀「何の話?」

雪菜「………いや、ぶっちゃけね。この子が女色家になったの、私のせいなんだよね」

加賀「どういうこと?」

919: 名無しさん 2015/10/17(土) 19:14:48.30 ID:rjh83Ipf0
雪菜「それはまた後で話すから、続きをしていい?」

加賀「まあ、そういうことなら…」

雪菜「どこまで話したっけ…インパクトが強すぎて記憶が吹っ飛んだ」

加賀「あなたと風花が小さい頃からずっと一緒にいたところまで聞いたわ」

雪菜「ああ、そうそう…で、この子の一人目の妹が産まれてからだったかな、だんだん遊ぶ時間が減ったのは」

加賀「仲が悪くなったわけではないのよね?」

雪菜「うん、むしろ妹が出来たーって喜んでる風花を応援してあげてたよ。産まれる前からよくいいお姉ちゃんになるって張り切ってたから」

加賀「そう…その後は?」

雪菜「そうだね、特に何かあったわけでもなく二人目の妹が産まれて…よく遊びに連れて行ったり世話を焼いてたよ」

加賀「…いいお姉ちゃんだったのね」

920: 名無しさん 2015/10/17(土) 19:35:09.89 ID:rjh83Ipf0
雪菜「うん…その時はまだ、ね…」

加賀「…?」

雪菜「…この子が八歳ぐらいの頃、だったかな。私達が住んでた街に、大きな木がある公園があったの」

加賀「ええ」

雪菜「いつも通りそこに妹達と遊びに行ったら、木の上に降りられなくなった猫が居たらしいの」

加賀「……」

雪菜「風花は大人の人を呼んでくるって言ったんだけど、上の妹が待ち切れずに木に登っちゃって…」

加賀「…落ちたの?」

雪菜「そうだね、それで妹さんが意識不明になって病院に運ばれて…三日ぐらいずっと泣いてたよ」

加賀「それは…そうね、辛いことね…」

921: 名無しさん 2015/10/17(土) 19:44:51.94 ID:rjh83Ipf0
雪菜「まあ、特に後遺症もなく無事に退院出来たんだけど………問題はその後でさ…」

加賀「なにかあったの?」

雪菜「……風花の両親がさ。そのことで喧嘩しちゃったんだよね」

加賀「どういうこと?」

雪菜「命に関わるような問題だったからね。二人とも気が立って、なんでちゃんと見てやらなかったんだってお互いを傷付けあってた」

加賀「…離婚?」

雪菜「あ、離婚はしてないよ。ただ風花のお父さんが妹二人を連れて、別居状態になってただけ」

加賀「今もそうなの?」

雪菜「ううん、今はちゃんと仲直りして一緒に暮らしてるよ。でも、この出来事が風花に与えた傷はかなり大きかったみたい」

922: 名無しさん 2015/10/18(日) 00:54:57.58 ID:wlrre5LA0
雪菜「妹達がいなくなってからは、ほんとにもぬけの殻みたいだったよ。あたしが部屋に行っても反応すらしなかったし、揺すぶってもどこを見てるか分からないような目だった」

加賀「…………」

雪菜「言葉が出ない?」

加賀「………まだ小さいのに、そんなの、あんまりすぎるわ…」

雪菜「…そうだよね。感性豊かな子供がそんな重い現実に直面出来ると思う?」

加賀「無理よ、そんなの…」

雪菜「そう、それっきり風花は変わってしまったの。いつも笑顔で、明るい性格だったのに…あたしが何をしても笑わなくなった。たぶん、あの頃は相当病んでたんだと思う」

加賀「………で、どうなったの?」

雪菜「風花がおかしくなったのはこれだけじゃなくて…お父さん達が出て行って、お母さんが働きに出てる時は親戚の人が来てたらしいんだけど、その人が典型的なアルコール依存症でね…」

加賀「アルコール依存症?」

雪菜「うん。お酒が切れると、すぐに暴力に走ったり物を壊したりして、よく風花の家から怒鳴り声と物音が聞こえてた」

加賀「…………」

923: 名無しさん 2015/10/18(日) 23:45:39.20 ID:wlrre5LA0
雪菜「風花は殴られたりしなかったみたいだけど、いつも風花のお母さんは暴力を振るわれてたんだって。仕事の帰りが遅かったり、疲れで料理を焦がしたりしただけで…殴られてたって…」

加賀「…それを、見てたの?」

雪菜「うん、長い間。それで決定的だったのが、ある事件なんだ」

加賀「事件?」

雪菜「………あの子が、八歳になる時の誕生日だったっけ。その日は早めにお母さんがケーキを買って帰ってきて、二人でお祝いをしようとしてたんだ。けど…」

加賀「…………」

雪菜「…ギャンブルに負けた、親戚の男が家に戻ってね。その腹いせにケーキを床に放り投げて、お母さんに当たり散らしたの」

加賀「……最低の人間ね」

雪菜「で…あとでお母さんに聞いた話なんだけど、腹の虫が収まらない男が棚に置いてた家族の写真を投げ捨てたんだよね。それを見た瞬間、風花の目の色が完全に変わって…何をしたか分かる?」

加賀「怒ったの?」

雪菜「怒ったとかそういうレベルじゃないよ。刺したんだよ」

加賀「……は?刺した?」

925: 名無しさん 2015/10/19(月) 22:45:06.18 ID:cQ4vgm450
雪菜「タガが外れたって言うのかな、それまでずっと溜め込んできたものが爆発したみたいで…すぐ近くに置いてあったケーキナイフで腹を刺したの」

加賀「……まだ、小さいのに…」

雪菜「何度も何度も『返してよ!私の世界を返してよ!!』って叫んでたって。この子にしてみれば、自分の世界は大切な家族達がいるものだったんだろうね」

加賀「…その後は?どうなったの?」

雪菜「傷が浅かったおかげで死にはしなかったみたい。まあ、その一件ですっかり風花を畏怖の対象として見てたからすぐ蒸発したみたいだけど」

加賀「……この子は?」

雪菜「ああ、まだ子供だからってことで警察には厳重注意で済まされたよ。ただ…この子が本当に望んでたものは得られなかったんだよね」

加賀「どういうこと?」

雪菜「男を刺してるこの子を止めようとした時、お母さんは半狂乱になった風花に腕を切り付けられたの。刺した時のことは夢中でほとんど覚えてないらしいんだけど、この時のことは正気に戻ったから覚えてるんだって」

926: 名無しさん 2015/10/19(月) 23:09:13.32 ID:cQ4vgm450
雪菜「風花はそのことに負い目を感じてて、お母さんに話しかけようとしなかったんだ」

加賀「お母様の方は?この子に何かしてあげなかったの?」

雪菜「心労もあったんだろうけど…あとで話された時には、どう接してあげればいいのか分からなくなった。母親失格だって、泣きながら言ってたよ」

加賀「そう……そんなことがあったのね…」

雪菜「んまあ、これだけだったらただの暗い子になってたんだろうけど、ここまでメンヘラみたいになったのは間違いなくあたしのせいなんだよねえ…なんだか、ほんと申し訳ないや」

加賀「気にしなくていいわ、続けて」

雪菜「そだね……ま、当然そんなことがあったらまともな精神状態でいられるはずがないでしょ?ましてやまだ子供だし、もう限界寸前だったよ」

加賀「…そうね」

雪菜「で、その日から風花はあたしに甘えてくるようになったんだよね。小さい頃上手く甘えられなかった子は常に愛に飢えるようになるってよく言うけど、まさにそれを体現したみたいだったよ」

加賀「助けてあげたの?」

雪菜「そんなつもりじゃなかったんだけど…まあ、結果的にそうなったかな。それこそあたしがいないだけで泣き出したりとか、とにかくあの頃は精神状態がまともじゃなかったよ」

加賀「……苦労してきたのね」

927: 名無しさん 2015/10/19(月) 23:24:51.21 ID:cQ4vgm450
雪菜「あれが依存って言うのかな?学校でも常にそばに居られるように校長に無理言って毎年同じクラスにしてもらったり、あたしが風邪引いて学校休んだ時はこの子も一緒に休んでたよ」

加賀「文字通り、いつも一緒だったのね」クス

雪菜「ほんと、すごかったよ。高校受験の時、この子あたしより成績良くなかったのにさ、あたしと同じ高校行くーって猛勉強したんだよ」

加賀「そんなに?」

雪菜「うん、実際のところやってたのは数学ばっかりだったけど…寝る間も惜しんでやってたよ。結果、あたしより遥かに上の成績で合格しちゃった」

加賀「ふふ…極端な子ね」

雪菜「元々努力する派の人間だからね、本気でやればなんでも人並み以上には出来るんじゃないかな」

加賀「ねえ、他に面白い話はないの?もっと聞きたいわ」

雪菜「ん?面白い話かあ、そうだなー…」

928: 名無しさん 2015/10/19(月) 23:39:06.47 ID:cQ4vgm450
雪菜「…………あ。そうだ、ここの子達ってこの子本気で怒らせたことある?」

加賀「え?ええ、一度寝不足の時に騒いでいた子達が怒鳴られていたような…」

雪菜「あー、それ本気じゃないよ。怒鳴ってるうちはまだ優しい方」

加賀「…と、いうと?」

雪菜「さっき、風花とは常に一緒に居たって言ってたでしょ?けど、高校でも同性とベタベタしてたら当然それを快く思わない連中もいるんだよね」

加賀「何かされたの?」

雪菜「ん?まあ、放課後体育館裏に一人で呼び出されてさ。どんな時代だよって思ってたら「キモい」だの「イチャついてんじゃねーよ」だの罵詈雑言を吐かれて殴る蹴るの暴行だったね」

加賀「それ、そんな笑って言うことじゃ…」

雪菜「いいんだって、昔のことだし。さすがにあの場に男がいたら犯されてただろうから笑えないだろうけど」

加賀(犯されてただろうって…なぜ笑いながら言えるのかしら…)

929: 名無しさん 2015/10/19(月) 23:48:09.52 ID:cQ4vgm450
雪菜「でさ、その現場を風花に見られちゃってさ。何やってるのって聞かれて、いじめられてましたって簡単に言うわけにもいかないでしょ?だからまあ、ただ遊んでるだけって言ったら「そっか」とだけ呟いて一緒に帰ったんだけど…その日はそれ以降一言も喋らなくてすごい不気味だったね」

加賀「…変な人達に絡まれたものね」

雪菜「うん、その翌日なんだけど…なぜか風花とそのあたしを呼び出したグループが学校を休んだんだよね。まあここまで言えば理由は分かるだろうけど…」

加賀「報復をしたの?」

雪菜「何をやったかまでは知らないけど…それからしばらくは、そのグループは学校に来なかったね。で、最後に見たのが退学届を学校に持ってきた時だったよ」

加賀「た、退学?」

雪菜「うん、四人いたんだけど…一人は眼帯になってて、二人は片腕、もう一人は両腕を骨折してたよ。そのことについて風花に聞いたら何も知らないって言ってたけど」

加賀「……そこまでやったの?」

雪菜「全員顔が怯えきってたからねえ、たぶん中身はもっとひどかったんじゃないかな」

加賀「…………」ゾク

930: 名無しさん 2015/10/20(火) 00:01:54.31 ID:ATpM5My10
雪菜「あ……そうだ、加賀さん、この子と付き合ってるんだっけ」

加賀「? ええ、そうね」

雪菜「いいなあ…あたしも、あの時ちゃんと返事してたらなあ…」

加賀「……?もしかして、あなたもこの子に何か言われたの?」

雪菜「ん?ああ、まあ、そんなところ」

加賀「聞いてもいい?」

雪菜「いいよ。………きっかけは…いつだったかな?確か、この子が恋文もらった時だったっけ…」

加賀「恋文?異性からも人気があったの?」

雪菜「そりゃまあ、こんなに可愛くて家事出来る子ほっとく人の方が珍しいでしょ。男より女の子の方が多かったけど」

加賀「そ、そう…」

加賀(どんな台詞回しで女を落としてきたのかしら)

933: 名無しさん 2015/10/20(火) 20:04:09.96 ID:ATpM5My10
雪菜「で、初めて風花が恋文もらった時にさ、風花はどんな人とお付き合いするのかなー?って茶化してみたんだけど…困ったような顔で「うん、そうだね…」って言って、それからしばらくは口数が少なくなってたんだ」

加賀「その恋文は男の人が送ったの?」

雪菜「ん、そう。その日から様子がおかしくて、あたしのことを見つめるようになったり、あたしが抱き付いたりほっぺにチューしたりしても反応がないというか…」

加賀「ちょっと待って」

雪菜「なに?」

加賀「いくら親友とはいえ、普通そんなことする?」

雪菜「しないんじゃない?」

加賀「なら、それが同性愛に目覚めた原因なのでは…」

雪菜「まあそうだろうね、ぶっちゃけ風花もあたしのこと好きだったしあたしも風花のこと好きだったし」

加賀「…そこまで行ったのになぜ恋仲に発展しなかったの?」

934: 名無しさん 2015/10/20(火) 23:11:38.82 ID:ATpM5My10
雪菜「意外にも先に告白してきたのは風花の方だったんだよね。それで、気が動転したっていうか…」

加賀「どんな風に?」

雪菜「いきなりベッドに押し倒されて、『ねえ、恋ってなんなの?あの人はどんな気持ちで私に好きだって言ったの?私みたいに…苦しくて、ぎゅってなるような気持ちだったの?ねえ、教えてよ。私は、雪菜に恋をしているの?』って。泣きそうになりながら言われたよ」

加賀「…で?返事は?」

雪菜「……たぶん、今でも後悔してる。あたしもこの子のことが好きで、恋人になりたいってずっと思ってたの。けど、いざそう言われるとなんだか怖くなっちゃって…さ…」

加賀「逃げたの?」

雪菜「………うん。あたしのせいでこの子が変な人みたいに思われて、その責任があたしに来ると思ったら怖くて……ただの勘違いだって、嘘ついて逃げちゃった」

加賀「………そう」

雪菜「いつかまたそんなチャンスが来るとか、甘い考えでいたけど…先、越されちゃったなあ…」

加賀「……………」

雪菜「……ねえ、加賀さん」

加賀「なに?」

雪菜「この子…風花のこと、よろしくね」

加賀「ええ」

935: 名無しさん 2015/10/21(水) 17:09:31.86 ID:4z0iuBdD0
雪菜「そうそう、今度はあたしが質問してもいい?」

加賀「ええ、答えられることなら」

雪菜「ここの人達って、一応軍人って扱いなんだよね?」

加賀「まあ、戦場に出るから…」

雪菜「あなた達艦娘が兵士なら、それを率いている風花は指揮官ってことになるんだ」

加賀「そうね」

雪菜「この子の階級、どれくらいのものなの?」

加賀「………どうだったかしら。確か、軍服にバッジが付いていたような…」

雪菜「軍服…これ?」

加賀「そう。確認してみて」

雪菜「どれどれ…」

936: 名無しさん 2015/10/21(水) 17:15:50.48 ID:4z0iuBdD0
雪菜「えーっと……この襟の模様は……」

加賀「どうだった?」

雪菜「…………これ、ほんとに風花の?」

加賀「え?ええ、私がかけておいたから間違いないわ」

雪菜「………えええっ!?マジで!?風花めちゃくちゃ偉い立場じゃん!!」

加賀「そうなの?」

雪菜「そうだよ、今この国に十人いるかどうか…」

加賀「それほどすごい人だったのね」

雪菜「はー…道理でこんな大きい鎮守府にいるわけだぁ…」

937: 名無しさん 2015/10/21(水) 17:22:36.04 ID:4z0iuBdD0
雪菜「………ん?だとしたら、給料もすごいんじゃ……年収いくらなんだろ……」ゴクリ

加賀「よく分からないけれど…ワゴン車?というものを現金で買ったと言っていたわ」

雪菜「ワゴン車!?キャッシュで!??」

加賀「ええ、外に止めてあったでしょう?」

雪菜「あれ風花のだったんだ!?へえー、どこかから他の客が来てるのかと思ったよ…」

加賀「……そんなに?」

雪菜「あたしもそれなりにはあると自負してたんだけど…それが霞むレベルかも…」

加賀「そ、そう…ちなみにあなたは?」

雪菜「………850万ぐらい」

加賀(…聞いたはいいものの、どれくらいあると多いのか分からないわ…)

雪菜「……風花に養ってもらうのを考慮すべきかもしれない……」

938: 名無しさん 2015/10/22(木) 18:12:41.71 ID:mDOdoFbx0
雪菜「……というか、こんなにくつろいでて大丈夫なの?」

加賀「どうして?」

雪菜「いや、ここって戦場だし…いつ敵が攻めてきてもおかしくないんじゃ…」

加賀「ここはそうでもないわ。それなりに忙しい時はあるけれど、基本的には平和よ」

雪菜「へぇ〜…意外」

加賀「世間一般から見て、私達はどう思われているの?」

雪菜「んー……あたしは政治とかそういうの詳しくないからよく分からないけど、大抵の人は危機から守ってくれる存在みたいに思ってるんじゃないかな」

加賀「なるほど…」

雪菜「ただやっぱり、戦争ってことになるからねえ。武力扱いで反対してる人もいるよ」

加賀「そうなの…」

雪菜「日本人は頭が固いからね…自分達が置かれてる状況とか、どうすればいいのか考えようともせずにデモとかやってるし」

加賀「…外の世界のことも、色々と聞かせてもらえる?」

雪菜「ん、もちろん。じゃあコーヒーでも淹れよっか」

加賀「ええ、ありがとう」

〜〜〜

939: 名無しさん 2015/10/22(木) 18:25:58.36 ID:mDOdoFbx0
雪菜「………おっ、もうこんな時間だ…」

加賀「え?ああ…本当」

雪菜「はーっ…んじゃあたし、そろそろ帰るわ」

加賀「いいの?」

雪菜「うん、これからまだ仕事もあるからね」

加賀「そう…大変なのね」

雪菜「いいよ、これから暇になる時期だし。今日は残念だったけど、また近いうちに来られるから」

加賀「ええ、待っているわ。この子もきっと」ナデ

風花「ん……」

雪菜「……うん、ありがと」

940: 名無しさん 2015/10/22(木) 18:44:07.99 ID:mDOdoFbx0
玄関

電「今日は来てくれてありがとうございます、なのです。特におもてなしも出来なくて申し訳ないのです…」

雪菜「いやいや、こちらこそ。急に来てごめんね、今度はちゃんと連絡するから」

電「はい、司令官さんも喜ぶのです」

雪菜「それじゃ、またねー」ブンブン

電「はい!」ペコリ

バタン

雪菜「うおー……もう太陽があんな向こうに…」

雪菜「六時半か…間に合うかなー…」

941: 名無しさん 2015/10/22(木) 19:07:10.91 ID:mDOdoFbx0
雪菜「うー…さっぶ…」

ビュオッ

雪菜「ううう…早く戻ろ…」

バタバタ

「きゃー!寒い寒いー!」

「あ、ま、待ってよ!置いてかないで!」

「あははっ、ちゃんとあたしについてきなさーい!」

「もうっ……一人にしないでよ!怖いんだから!」

雪菜「……………」

「あれえ、まだ暗いのが怖いの?ふふっ」

「だ、だって、何か出てきたら怖いし…」

「はいはい…ならちゃんと手繋いでてあげるから」

「うん…」

「二人で、一緒に帰ろう?」

「うん」

パタパタ…

雪菜「……二人で一緒に、か…」

942: 名無しさん 2015/10/22(木) 19:19:41.61 ID:mDOdoFbx0
雪菜「……………」

『ねえ、教えてよ』

『恋ってなんなの?』

『人を愛するってどういうことなの?』

『私は多分、あなたを愛してる』

『私は、あなたに愛されているの?』

『私は、必要とされているの?』

『私は……ずっと、二人で一緒に───

雪菜「……………」

雪菜「………大丈夫」

雪菜「その答えはきっと、すぐそばにあるから…」

ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー

943: 名無しさん 2015/10/22(木) 19:25:06.19 ID:mDOdoFbx0
提督「…すぅー……」

提督「はぁー………」

提督「…………よしっ」

ガチャ

加賀「失礼するわ」

提督「あ、加賀…ごめんね、非番なのに呼び出して」

加賀「気にしなくていいわ。それで、用ってなに?」

提督「ん、うん…ちょっと渡したいものがあって」

加賀「渡したいもの?」

944: 名無しさん 2015/10/22(木) 19:42:04.31 ID:mDOdoFbx0
提督「うん。これ」スッ

加賀「………?この箱は……」

提督「開けてみて」

加賀「……ええ」

パカ

加賀「…………!!これって……」

提督「うん、そういうことだよ」

加賀「………え、あ…」

提督「ど、どうしたの?嫌だった?」

加賀「ち、違うの……嬉しいけど…けど、私、感情表現が……その、これでも、とても嬉しいの…」

ポタッ

提督「あっ」

加賀「え?」ポロポロ

提督「あ、いや、ううん。加賀が嬉しいっていうのはよくわかったよ」

加賀「……??」ポロポロ

945: 名無しさん 2015/10/22(木) 19:48:24.52 ID:mDOdoFbx0
加賀「………嵌めてもらってもいい?」

提督「うん、手出して」

加賀「はい」

提督「ようし……」

スッ…

加賀「……………」

提督「…………ねえ、加賀」

加賀「?」

提督「私と、ずっと一緒に居てくれる?」

加賀「ええ」

提督「後悔しない?」

加賀「ええ」

提督「……私を愛してくれるって、誓う?」

加賀「ええ。誓うわ」

スッ

提督「………私も、誓うよ」

加賀「………ええ」

946: 名無しさん 2015/10/22(木) 20:16:24.51 ID:mDOdoFbx0
提督「あ……そうだ」

加賀「どうしたの?」

提督「あのね、この指輪は練度の上限を解放するっていう効果があるんだけど…もう一つ、意味があるの」

加賀「…?なに?」

提督「えっ、と……その、これは…エンゲージリングみたいなものだから…」

加賀「…………」

提督「あの……将来的には…っていうか、法が変わったら………その時は本当の…仮じゃない、結婚を、しよう?」

加賀「…………」

ガバッ

提督「うわっ!?」

加賀「嬉しい…嬉しいわ、私、あなたとずっと一緒に居る、ずっとそばで、護るから」ギュウウッ

提督「うぐぐ…そんなに抱き着かれたら苦しいよ…」

加賀「もう離さないわ、このまま暮らしましょう」

提督「そんなアホな…」

947: 名無しさん 2015/10/22(木) 20:22:48.10 ID:mDOdoFbx0
加賀「あなたと一緒がいいの」スリスリ

提督「はいはい、分かったからとりあえず離れなよ」ポンポン

ゴトッ

提督「んっ?」

青葉「あっ、あ、あ、あっあ」ワナワナ

提督「あ…」

青葉「だっ」

「大スクープですうううううううううううううううううううううっっ!!!!!」

ドドドドド

提督「あ、青葉!……って、こうなったら止められないか…」

加賀「…ぷっ、くく…」

提督「もー、加賀がずっと抱き付いてくるからだよ」

加賀「ふふ…いいじゃない、どうせすぐ分かることでしょう?」

提督「…それもそっか」

「司令官と!加賀さんが!!ケッコンしましたああああああああああああああ!!!」

948: 名無しさん 2015/10/22(木) 20:32:49.46 ID:mDOdoFbx0
司令官と加賀さんがケッコンしたことは、青葉の新聞によってあっという間に鎮守府中に広がりました。
その日、司令官と加賀さんはずっとみなさんに囲まれて、質問責めに遭っていました。
中には司令官を攫おうとしたり、薙刀を振り回して奪おうとしたりしてた人もいましたけど…というか、大井さんと龍田さん…危ないです…

それからしばらくして、司令官は休みを利用して実家に帰りました。なんでも、このことを報告するのと、昔のことを謝りたかったそうです。
戻ってきた司令官には、いい笑顔が浮かんでいました。
辛い思い出のことをちゃんと話し合って、当時の誤解やすれ違いを正せたそうです。
…今?今はですねえ…

お二人とも、幸せそうに笑ってます。


949: 名無しさん 2015/10/22(木) 20:34:09.61 ID:mDOdoFbx0
終(完とは言ってない)
ちなみに時系列的にはヲ級ちゃんと再会するちょっと後の話です