2: 名無しさん 2016/01/27(水)00:15:10 ID:3Qs

☆登場人物☆


・提督
三度の飯より空母が好き。
真面目にデスクワークをしないのは、フットワークで仕事をこなしているからと本人談。

空母以外の艦娘も皆大切にしているが、それが裏目に出て命を落としかけるのもしばしば。

何処でどうなったのか、弦之介もびっくりの眼力で敵を無力化できる。
何処でどうなったのか、艦娘や深海凄艦よりも高い戦闘力を持っていたりもする。


・赤城
秘書艦と第一艦隊の旗艦を務める実質本妻空母。
食べる事が好きだが食べて貰う方はHR1にも満たなかった、現在キークエストをこなしながら少しずつ上達している。

加賀の超越した提督への愛が、赤城に焦りを感じさせやっと重い腰をあげた。
それが実を結んだのか、とりあえずキスは済ませてあるようだ。

クリスマスの要望:??


・加賀
赤城と並んで練度トップ。
提督によって命を救われ、今や提督を生命体で一番愛している。
基本、感情表現が豊かではない方なので如何なる状況下でも無表情であるように見えるが、そんな人は甘ちゃんなのである。

提督の声で起こされると200%の確率で目を覚ますが、二度寝するかどうかは別の話。

クリスマスの要望:??

引用元: ・【艦これSS】提督「赤城のワガママ」

3: 名無しさん 2016/01/27(水)00:15:45 ID:3Qs

・翔鶴
提督を誰よりも愛しているのは自分だと信じてやまない南部鉄板の不幸な方。
最近、その愛しているが故の行動が少し暴走しつつあるが、それも愛しているが故なので仕方が無いことだと本人は強気の姿勢。

先日、提督の上スエットを手に入れた。
寝る時は何時もそれを着ているらしい。

クリスマスの要望:添い寝


・瑞鶴
提督は好きだけど上の三人の勢いに若干圧されてぐぬぬしている南部鉄板ツインテール。
加賀の提督ニウムが不足した時は、決まって彼女の夕飯のおかずが一品犠牲になる。

提督にずいずいと呼ばれる事を渋々許した様に振舞ったが、その胸のうちは頬の筋肉が緩みっぱなしだったのはオフレコ。

クリスマスの要望:添い寝

4: 名無しさん 2016/01/27(水)00:16:04 ID:3Qs

・飛龍
解体されそうになっていた所を提督に救われた二航戦のミカン色。
提督に想いを寄せているものの、今一歩踏み出せてない初心っ子。
その手のネタで追求されるとすかさず蒼龍を話題に出す。
でも他の空母には負けたくない模様。

クリスマスの要望:指輪


・蒼龍
飛龍と同じく、解体されそうになっていた所を提督に救われた二航戦のカボス色。
提督が他の艦娘と云々の話を耳にすると、みるみるうちにハイライトが制空圏を超える病みを抱えている。
先日提督の前で病ンデミックしてしまうが、提督にそれを受け入れてもらえ、最早愛情すらも大気圏を超えた。

翔鶴と共謀した結果、提督の下スエットを所持している。

クリスマスの要望:指輪

5: 名無しさん 2016/01/27(水)00:16:22 ID:3Qs

・大和
空母が食物連鎖の頂点に君臨しているこの大地で、密かに下克上の機会を伺うレジスタンスのリーダー。
提督との馴れ初めはまだ語られてないが、その天をも貫くエンゲル係数が災いし孤児ヤッマだった所、提督とエンカウントし運命の転機を迎えた、らしい。

クリスマスの要望:添い寝


・長門
そこいらの男より雄々しく、下手な女より女らしいビッグセブン。
提督には絶対の信頼を寄せており、誰と競う理由でもなく提督を慕っている。

艤装を使った砲撃戦よりも肉弾戦を好む傾向にあり、本人曰く艤装なんて只の飾りだと豪語していた。

彼女は建造でここに迎えられたがその初日、提督と血肉沸き踊るタイマンの果て敗北を喫している。

クリスマスの要望:提督の無事


・陸奥
あらあらお姉さん。
大人の女性らしい余裕が見て取れるが、その内は提督に近づけないもどかしさでモヤモヤしているのは運がないせい。

先日のサンタクロス襲来を好機と見て、要望が叶う日の夜を今か今かと待っていたら寝不足で口内炎ができたらしい。

クリスマスの要望:温泉旅行二人分

6: 名無しさん 2016/01/27(水)00:16:44 ID:3Qs

・金剛
提督の為なら太陽にでも単艦突撃しそうな攻撃性を持っている。
空母でもとりわけ加賀を敵視しており、何かにつけて喧嘩を売っては提督にお叱りを受けている。

前の鎮守府でパワハラを受けていた所を提督に救われて、それはもうゾッコンに。

三番勝負では身を引いたが…?

クリスマスの要望:再提出


・榛名
榛名は(影で見ているだけでは)大丈夫じゃなくなった高速戦艦。
金剛のアグレッシブさを間違って見習った結果、クリスマスの要望に普段の榛名からは想像もできないとんでもない事を書いて提督を困惑させた。

最近少し悪い子になってしまった。と、頬を染めて嬉しそうにしていた。

クリスマスの要望:再提出


・比叡
料理が革命的に下手くそな高速戦艦。
以前提督を殺しかけてちょっと寝込んだ。
それから暇を見つけてはカレーの練習をしているが何をどうやったらそうなるのか、どれどけ試行錯誤を繰り返してもカレーのルーが茶色にならない。
蛍光色のカレーを見つめては、これは鍋が悪いと言っている内は上達の見込みは細菌以下だろう。

クリスマスの要望:圧力鍋


・霧島
メガネ

クリスマスの要望:超音波洗浄機

7: 名無しさん 2016/01/27(水)00:17:06 ID:3Qs

・日向
瑞雲をこよなく愛する戦艦。
着任した瞬間烈風好きの提督と意気投合、本人曰く同じ匂いがした、と何やら嬉しそうや様子。

提督の事は純粋な好意を寄せているが、それが愛なのかはまだ分からない。
とにかくネーミングセンスが皆無、それに加えて色々残念な所が度々見られている。

クリスマスの要望:新しい瑞雲


・扶桑
提督に恋心を寄せる元不幸戦艦。
他所の鎮守府からの異動でここに来たらしいが、その内容は明かされていない。

山城の見解では、ここに来てから見違える程明るくなったらしい。

クリスマスの要望:未提出


・山城
提督につんけんな態度を取る元不幸戦艦。
その刺のある態度は愛ゆえだと扶桑に指摘されたが、拒否している様でその実満更でもなさそう。

扶桑の事は自らの命よりも大切だが、提督もそれと変わらない程大切だと思っている。
その想いが表に出るのにはまだ少し時間がかかるようだ。

クリスマスの要望:未提出

8: 名無しさん 2016/01/27(水)00:17:34 ID:3Qs


・明石
ありとあらゆる運命のイタズラが重なって提督の初期艦になった工作艦。

提督に対して愛だの恋だのといった浮ついた感情は伺えないように見えるが、真相は闇の中。
今のところ提督とは親友の様な関係であり、提督も明石も無意識下でそれを理解している様で、居心地のよい関係だと本人は言っていた。

提督の無理難題に何かと文句を言いながらも答えている反面、明石の我が儘を多少甘い顔している提督がいたりもする。
ある意味では提督と一番近しい仲なのかもしれない。

クリスマスの要望:ラボの拡張


・川内
軽巡洋艦の括りではここで最強を誇っている提督の懐刀。
暇を見つけては提督に特攻を仕掛け返り討ちにあっているイタズラっ子。
それは自らのニンジャスキルを磨く目的ともう一つあるようだがそれを本人は口にしな…くもない。

強気で活発な反面、意外と泣き虫な所もある可愛い奴。

クリスマスの要望:未提出

9: 名無しさん 2016/01/27(水)00:17:52 ID:3Qs

・天龍
軽巡洋艦ナンバー3なふふ怖。
ナンバー3と言うのも度重なる遠征で練度が高く、戦闘に関しては全くからっきしな遠征番長。

最近は川内に鍛えて貰っている様だが、なかなかその兆しが見えずヤキモキしている。

しかし、遠征が如何に大切なのかを知っている第一人者でもあり、その点での提督の信頼は一番厚い。

クリスマスの要望:改二


・木曽
軽巡洋艦ナンバー2
提督の気配を正確に感じ取る事ができる強者。
川内に負けず劣らずの戦闘力を持っている。

クールな振る舞いの裏で、実は提督に構って欲しいなんて考えてたりする。
先日提督に可愛いと言われ喜んでいた。

蚊を一撃で仕留めるのが上手いが、目で追っている時の顔が可愛いらしい。

クリスマスの要望:もう少し構って

10: 名無しさん 2016/01/27(水)00:38:51 ID:3Qs

・瑞鳳
卵焼きを作らせたら銀河系で右に出るものはいないんじゃないかの勢いで卵焼きに特化した料理上手。
他の料理も軒並み美味しいが、鳳翔がいる為に影に隠れてしまっている。
提督は異性と言うよりお兄ちゃんといった感覚で接している。
あの声でお兄ちゃん等と呼ばれた暁には、提督と言えどひとたまりもないだろう。

クリスマスの要望:未提出


・隼鷹
お酒大好き商船改装空母。
提督の飲むのを楽しみにしている為、一人酒はあんまりしていない様子。

提督のストライクゾーンに自分も入っていたと知った日の酒はそれはそれは美味しかったそうな。

クリスマスの要望:提督のお気に入りのお酒


・鳳翔
三代欲求の一つを担っている軽空母。
食に関しては他の追随を許さない最強っぷり。

現在は前線には参加せず、たまの遠征と給餌にその身を預けている。
提督が自らの地位を危ぶむ位、この鎮守府では必要不可欠な存在。

提督が恐れている存在の一人でもある。

クリスマスの要望:お手伝いさん

11: 名無しさん 2016/01/27(水)00:39:08 ID:3Qs


・時雨
提督の心の癒しマイスイートエンジェルしぐしぐ。
空母と戦艦の提督取り合い合戦の最中、密かに提督への想いを募らせる勢の一人。

クリスマスの要望:提督のマフラー


・夕立
ぽいぽい犬。
時雨と同様の一人だが、彼女の場合は少し違うようで。
駆逐艦という立場を最大限に利用したスキンシップは、提督にも愛玩犬の様な扱いを喰らい返って逆効果になっている。
しかしそんな事など気にも止めず、今日も夕立のじゃれ合いは収まるところをしらない。

クリスマスの要望:パン…パーティーがしたい

16: 名無しさん 2016/02/03(水)06:12:22 ID:1el


・青葉
パパラッチ。
青葉に聞かれたくない、見られたくないタイミングの時は大体青葉が近くにいる。
スクープを追い求めるだけならまだしも、自らスクープになる様な事を仕出かす問題児。

クリスマスの要望:未提出


・雪風
出番がない幸運艦。
ここでは遠征要員として駆逐艦らしい生活を送っている。
主が雪風の存在を忘れかけていたのは本人には内緒。

クリスマスの要望:たくさんのお菓子

17: 名無しさん 2016/02/03(水)06:12:41 ID:1el


・大佐(中将)
提督が士官学校時代に大変お世話になって、未だにお世話になっている人。
現在は大佐から中将まで昇格し、大本営直属で艦隊指揮にあたっている。
何かと提督に力添えしたり甘かったりするのは、自分と似ているからだそうだ。


・友提督
提督の同期。
現在は呉鎮で艦隊指揮をとっている。
無類の戦艦好きだったのだが、命を賭けた戦艦レシピぶん回しで重巡洋艦を沢山お迎えしてしまう。
最初は落ち込んでいたが、高雄型のたわわなダブルマウンテンが提督を視覚から元気にさせた。
今は数多の重巡洋艦を主力とした運営に勤しんでいるようだ。

18: 名無しさん 2016/02/03(水)06:13:17 ID:1el

ヒトヒトマルマル


ー執務室ー


扶桑「提督、ありがとうございました」ペコ

提督「こんなんで良ければいつでもおいで」

扶桑「………」

扶桑「…それは、いけません」

提督「…何で?」

扶桑「もし、このまま提督のお許しを受け取ってしまったら」

扶桑「私は嬉しくて毎日来てしまいます」

提督「いいんじゃないの?」

扶桑「いえ、私にとっては今日が特別な日だっただけなんです」

扶桑「でもそれが日常になってる方々が、提督にはいらっしゃいますから」

提督「……それは」

19: 名無しさん 2016/02/03(水)06:13:38 ID:1el

扶桑「ですが、提督が気になさる事はありません」

扶桑「私も山城も、おそらくは皆も」

扶桑「どこまでも皆に優しくて」

扶桑「それでいてどこまでも一途な」

扶桑「そんな人が自分達の提督だという事は、承知の上ですから」ニコ

提督「………」

扶桑「だから、そんな悲しい顔をなさらないで?」

提督「……そっか」

扶桑「はい♪」



ーーー
ーー

20: 名無しさん 2016/02/03(水)06:14:11 ID:1el


扶桑「それでは失礼します」ペコ

提督「うん……うん?」

提督「扶桑、ちょっと待って」

扶桑「はい、何でしょうか?」

提督「あのさ…山城も含めて何だけど」

扶桑「はい…」

提督「そういえば二人共さ」

提督「何の用事でここに来たの?」

扶桑「えぇと……あっ」

提督「あはは、俺も忘れてたよ」

扶桑「そうでした、私達はこれを…」ゴソゴソ

扶桑「直接、提督にお渡ししようって…あれ…ないわ」ゴソゴソ

提督「落ち着いて、逃げないから」

扶桑「だ、大丈夫です、確か…ここに」アタフタ

扶桑「えぇと…あ、ありました」スッ

21: 名無しさん 2016/02/03(水)06:14:45 ID:1el

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:扶桑

欲しい物:
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


提督「あれ?」

提督「欲しい物のとこ、空欄になってるよ」

扶桑「はい」

提督「欲しい物、ないの?」

扶桑「いえ、無いわけではありません」

扶桑「ただ直接伝えたくて…」

提督「ん?まぁいいけど…」

提督「何が欲しいの?」

扶桑「……えぇと」

扶桑「…い、言いますね」スゥ

扶桑「提督」

提督「はいよ」

扶桑「私は、心配なんです」

提督「心配…?」

扶桑「はい」

扶桑「ここに配属されてから、私は不幸ではなくなりました」

扶桑「寧ろ幸せと言ってもいいです」

提督「そりゃよかった」

22: 名無しさん 2016/02/03(水)06:15:13 ID:1el

扶桑「でも、それが怖いと思う時があります」

扶桑「私が幸せなせいで、誰かが不幸になるのではないか、と」

提督「ふむ…」

扶桑「だから…その…」

扶桑「分からない誰かを救う事はできませんが…せめて」

扶桑「提督だけでも、不幸になりませんように」

扶桑「…それが、私の願い…欲しい物です」

提督「そっか」

扶桑「はい……提督」

提督「ん?」

扶桑「提督は今、不幸ではありませんか?」

扶桑「私のせいで、不幸になっていませんか?」

23: 名無しさん 2016/02/03(水)06:15:42 ID:1el

提督「馬鹿だなー」

扶桑「……?」

提督「心配し過ぎだっての」ナデ

扶桑「はぅ…」

提督「でも」テハナシ

扶桑「あっ」

提督「ん?」

扶桑「い、いえ…何でも、ありません」

提督「扶桑が願ってくれるなら、俺はずっと不幸にはならないだろうね」ニコ

扶桑「は、はいっ」パァ

提督「実際その笑顔見るだけで、今はだいぶ幸せなんだけどなぁ」

扶桑「んなぁっ///」ボン

提督「あはは、赤くなってら」ケラケラ

扶桑「もうっ、からかわないで下さい!」

提督「ごめんごめんw」

扶桑「提督に口説かれた、と一航戦のお二人に伝えますよ」

提督「勘弁願いたい」ドケネ

扶桑「もう…」クス


ーーー
ーー

26: 名無しさん 2016/02/09(火)00:13:27 ID:Q4S



ヒトフタマルマル


提督「なら、行ってくるね」ヒラヒラ

扶桑「いってらっしゃい、貴方」ニコ

提督「夫婦か」

扶桑「夫婦だなんて…ふふっ」

提督「いや、今のはツッコミだからね」

提督「夫婦らしい会話を交わして改めて俺達結婚したんだなって再確認したみたいな感じで言ったんじゃないからね」

扶桑「もう」

扶桑「提督はいけず、です」

提督「今度ラーメンでも奢ってやるからね」

扶桑「…?」

提督「いや何でもない、行ってきまーす」

扶桑「はい~」


パタン

27: 名無しさん 2016/02/09(火)00:13:45 ID:Q4S


扶桑「………」

扶桑「山城…」ボソ


扶桑「…チャンスよ」グッ


ーー

28: 名無しさん 2016/02/09(火)00:14:56 ID:Q4S



ー戦艦寮・扶桑型の部屋ー



山城「……はぁ」

山城「勢いで飛び出してきたのはいいけど…」

山城「これ、渡しそびれちゃったじゃない」チラ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:山城

欲しい物:素直になりたい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


山城「…やっぱり、可笑しかったかしら」

山城「そうよね…普段あんな態度ですもの」

山城「こんな物渡したら、笑われちゃうわ」

山城「きっと、神様が渡すなと言って…」



『俺と山城は、これで仲良しなんだ』


山城(もう少し、素直になれたら…)

山城(私も、提督に…)


山城「……提督」ボソ

29: 名無しさん 2016/02/09(火)00:15:26 ID:Q4S
提督「何でしょうか?」

山城「ひゃああぁ!!」ガシャァン

提督「ちょ、大丈夫?」アセ

山城「いたたた…」

提督「漫画みたいに椅子ごといったね」

提督「見事な尻餅だったと思うよ」ニコ

山城「…何故そこで笑顔になれるのかが分からないわ」

提督「良いものが見れたからね」

山城「紳士ならここで手を差し出すものよ」

提督「はいはい、シルブプレ」スッ

山城「何をお願いするつもりなのよ」ギュ

提督「紳士と言えばフランスかなって」

山城「日本で言えば侍よ」

提督「それ違うくない?」

山城「大体合ってるわ」

提督「腑に落ちないねぇ…」

30: 名無しさん 2016/02/09(火)00:16:00 ID:Q4S

山城「それはそうと、提督」

提督「はい」

山城「何故ここにいるのかしら?」

提督「え、あぁ…」

提督「扶桑から頼まれ事をされてね」

山城「…聞き方を間違えたようね」

提督「…?」

山城「何故'この部屋'にいるのかしら?」アシフミ

提督「いだだだだ!何でってさっき言った通りだよ!」

山城「女性の私室に許可も無く?」グリグリ

提督「あだだ!そ、そう言う事ね!」

提督「ごめんなさい!だから離して!」イテテテ

山城「ふんっ」アシハナシ

提督「おぉ、痛かった」

提督「これも、山城なりの愛情表現なのか…」

31: 名無しさん 2016/02/09(火)00:16:38 ID:Q4S

山城「自惚れないで、キモイわ」ジト

提督「」

山城「提督はそうやってすぐにーーー」ハッ

提督「…?」

山城(また、やってしまったわ…)

山城(…素直、もう少し素直に…私が?提督に?)

山城(素直になるって、どうしたらいいのかしら…分からないわ)

山城(…私は、素直になってどうしたいの?)

山城(どうすれば、素直になるの?)

山城(……駄目、分からない…)

山城(こんな事なら、もっと早く…)


山城「………」

33: 名無しさん 2016/02/09(火)22:02:43 ID:Q4S
ありがとうございます。

ええと、前スレの最後とこのスレの頭の間を投下し忘れてたので前スレの残りを使って投下してたんですが1000いっちゃって…

あと1レスなんでここに投下します。
上手く繋げて読んでね

34: 名無しさん 2016/02/09(火)22:02:55 ID:Q4S

扶桑「守ってくれると言っていただけたのが」

扶桑「嬉しくて」ツー

提督「扶桑…」

扶桑「嫌だわ、私ったら…」フキ

扶桑「提督の前だと、超弩級戦艦でも、不幸艦でもいられなくなっちゃう…」ニコ

提督「それでも、いいんじゃないかな」

扶桑「では、少し甘えても…?」

提督「どうして欲しい?」

扶桑「…手を、広げて下さい」

提督「はいよ」

扶桑「それでは…失礼します」スッ

提督「それから?」

扶桑「少し強めに、抱きしめて下さい」

提督「はいよ」


ギュッ


扶桑「あぁ…これは…」

提督「それから?」

扶桑「……少し、このままで…」

提督「はいよ」


ーーー
ーー

37: 名無しさん 2016/02/12(金)21:01:49 ID:2ji


山城「………」

提督「…山城?」

山城「…あっ、えぇと…」

提督「どうかしたの?突然黙っちゃって」

山城「いえ、その…あの…」タジ

山城「だから……うぅ」

提督「らしくないなぁ、何かあった?」スッ


カサ


提督「ん?何か落ちてる…」ヒロイ

山城「あっ、それは!」

提督「山城のカードじゃん、これ貰いに来たんだよ」

山城「ダメよ!返して!」バッ

提督「やだね、これは返却不可なのよー」ヒラリ

山城「書き直すのよ!」バッ

38: 名無しさん 2016/02/12(金)21:03:05 ID:2ji

提督「ならとりあえず何て書いたのか見ていい?」ヒラリ

山城「ダメに決まってるでしょ!?」

提督「えー、そうなの…分かったよ」

山城「なら早く渡してーー」ホッ

提督「嘘でーす」

山城「だめぇええ!!」ガバッ

提督「ちょ」


ガシャァン


山城「よし、確保したわ」

山城「提督!何で嘘なんてーーー」

提督「」キュウ

山城「えっ、提督?」ウマノリ

提督「」

山城「提督、もう騙されないわよ」ユサユサ

提督「」

山城「嘘…でしょ…」サー

39: 名無しさん 2016/02/12(金)21:03:28 ID:2ji

山城「提督!提督!目を覚まして!」ユサユサ

山城「提督…返事して、提督…」

山城「いや、提督が…」ジワッ

山城「だめ…目を、覚まして…」

山城「提督ーーー」



ーーー
ーー

40: 名無しさん 2016/02/12(金)21:04:41 ID:2ji


「……とく」


「……い、目を…して」


「…てい…く」




提督「………ん」パチ

提督「…あれ、俺…あれ?」

山城「あ…」

提督「うん?山城…え?」

山城「提督…」ウル

提督「はい」

山城「提督…よかった…うぇえ」ポロポロ

提督「えっと、山城さん?」

山城「はいぃ」

提督「どうして馬乗りになってるの?」

41: 名無しさん 2016/02/12(金)21:05:04 ID:2ji

山城「提督が…死んだかと思っ…全然、目を覚まさない、から…」ボロボロ

山城「ずっと、呼んでるのに…返事も、して…くれないから…」ボロボロ

提督「とりあえず俺は死んでないけど」

山城「私がっ…私っ」グジュ

提督「………」

提督「…ほら、俺は大丈夫だから、ね?」

山城「ごめんなさいぃぃい」ギュウゥ

提督「はいはい、泣き止んで」ナデナデ

ーー

42: 名無しさん 2016/02/12(金)21:05:32 ID:2ji


山城「……っ」グス

提督「だいぶ落ち着いたね」

山城「本当に、ごめんなさい」

提督「いんや、元は俺が悪かったからね」

提督「自業自得だよ」

山城「でも…」

提督「何も無かったからいいじゃない」

提督「結果オー…いや、ダメだったね」

山城「覚えててくれたのね」

提督「言いかけてたけどね」アハハ

山城「でも、今回はそれでよかったわ」

山城「本当に、怖かったんだから」

提督「うん、ごめんね」

43: 名無しさん 2016/02/17(水)22:55:08 ID:FEA

山城「何で提督が謝るのよ」

提督「心配させたみたいだからね」

山城「心配なんてーー」ハッ



ーーー素直になりたい。


山城(そうよ、私は素直になるって…)

山城(変わるなら…今しか…)

??(ダメよ)

山城(誰?)

??(分からないの?)

山城(えっ、私が…もう一人?)

悪城(私は悪城、貴女のダークネスな心が具現化した存在よ)

山城(…わるしろ?何故素直になってはいけないの?)

悪城(忘れたの?)

悪城(この男のせいで、何度貴女が損を被ったか)

山城(損…?)

44: 名無しさん 2016/02/17(水)22:55:32 ID:FEA

悪城(そうよ…貴女が自身の命より大切にしているモノが、この男に奪われかけているじゃない)

山城(…分からないわ)

悪城(貴女もこの男に毒されてるみたいね…本当に忘れてしまったの?)

山城(私の、命より大切……)

山城(…扶桑、姉様?)

悪城(分かってるじゃない)

提督「山城?」

山城「………」

山城(扶桑姉様が提督に奪われてると言いたいの?)

悪城(そうよ、ここに来てから…特に最近の扶桑姉様を思い返してご覧なさい)

山城(最近の扶桑姉様…)


ポワンポワン…

45: 名無しさん 2016/02/17(水)22:55:52 ID:FEA


ーある昼下がりー


扶桑「……はぁ」

山城「姉様、どうしたんですか」

扶桑「山城、なぁに?」

山城「ため息をついてらしたので」

扶桑「いえ、何でもないわ…」

山城「…そうですか」

扶桑「………」ボー

扶桑「……提督」ボソ

山城「!?」


ーー



山城(確かに…)

悪山(まだ心当たりがあるんじゃない?)

山城(他に心当たりはーー)


ポワンポワン…

46: 名無しさん 2016/02/17(水)22:56:13 ID:FEA


ーある夜ー


山城「姉様、そろそろ褥に付きましょう」

扶桑「………」ボー

山城「姉様?」

扶桑「提…山城、何かしら?」

山城「………」

山城「そ、そろそろ褥に、と言ったんですが…何か考え事ですか?」

扶桑「えっと…月を見ていたのよ」ニコ

山城「今日は曇りなので月は出ていませんが…」

扶桑「えっ、あら…本当ね」

山城「心ここにあらずじゃないですか…」

扶桑「ほ、本当に何ともないのよ?」

山城「…さっき提督と間違えましたよね」

扶桑「ええっ」ギク

扶桑「な、何の事かしら…」

山城「…いえ、なんでもありません」

扶桑「へ、変な山城ねぇ」


ーー

47: 名無しさん 2016/02/17(水)22:56:40 ID:FEA


山城(………)

悪城(ほら、言った通りでしょ?)

山城(…そうね)

悪城(そんな憎むべき相手に、なにを素直になる必要があるの?)

山城(それは…)

悪城(だから、今まで通りか…いや、もっと悪態をついたっていいのよ)

山城(でも、私は…)

悪城(なら、このまま扶桑姉様を盗られても良いというの?)

山城(それは嫌…)

悪城(だったら、憎しみに身を委ねなさい)

悪城(そうすれば、悩む事も無くなるわ)



悪城(ーーー楽に、なれるわよ)ニコォ

48: 名無しさん 2016/02/17(水)22:57:17 ID:FEA



山城(楽に…)

山城(だったら、いっその事ーーー)



??(ダメよ!!)



山城(今度は、誰?)

善城(私は善城、貴女のライトネスな心が具現化した存在よ)

山城(今度はいいしろなのね…)

山城(それで、何がいけないの?)

提督「おーい、山城さーん?」

山城「………」

善城(思い返すのはそんな事ではないわ)

善城(姉様がここに来てから、どう変わったかは、貴女が一番分かってる筈よ)

山城(あ……)

善城(自分で言っていたじゃない)クス

山城(そうよ…姉様は変わったの)

49: 名無しさん 2016/02/17(水)22:58:00 ID:FEA

山城(前の鎮守府では真っ黒のオーラを常時展開していたネガティブの権化みたいな姉様が…)

山城(ここに来て…)

善城(誰が姉様をそうしたの?)ニコ

悪城(だ、騙されないで!目を覚ますのよ!)

善城(えぇ、目を覚ますといいわ)

善城(さ、言ってご覧なさい)

善城(貴女が姉様と同じ位大切に思っている、その人の名前)

悪城(ダメよ、このままじゃ貴女…)

善城(五月蝿いわね!黙ってなさい!)ボコォ

悪城(あいたぁ!)ナグラレ


山城(そう、その人はーーー…



山城「…提督」ポツリ


54: 名無しさん 2016/02/23(火)07:10:56 ID:cwy




提督「あっはい、何でしょうか」

山城「何故そんな他人行儀なのよ」

提督「いやだって、なんか無我の境地ってたから…」

提督「呼んでもガン無視決め込むし…」

山城「無視なんてしてないわ」

提督「いや思いっきりしてたよね」

山城「あれは…ちょっと思慮に耽っていたのよ」

提督「かなりそれっぽく言っても無駄なんだよ」

山城「う、何よちょっと返事しなかっただけで」

山城「器の小さい男は嫌われるわよ」

提督「いやいや、目の前で呼んでるのに無視されたら誰だって不思議に思うよね」

提督「そこには最早器の大きさを測る基準なんて毛ほども存在し得ないよね」

55: 名無しさん 2016/02/23(火)07:11:42 ID:cwy

山城「何よ!捲し立てる用に論破しようとしても効かないんだから!」

提督「…山城?」

山城「なによ!」

提督「…何をそんなに怒ってるの?」

山城「………あっ」ハッ

山城「いえ、違うの…そうじゃないのよ」

提督「…?」

山城「心配…そうよ、心配よ」

提督「え、突然どうしたの」

山城「いいから聞いて」



山城「…本当はね、すごく心配したわ」

提督「う、うん」

山城「提督にもしもの事があったら…その原因を作ったのが私だなんて…」

山城「どれだけ自分を責めたか…分からないわ」

山城「…後を追おうとまで、考えてたんだから」ギュ

提督「山城さん?」

山城「…何よ」

提督「えらく唐突に、そして素直ですね」

56: 名無しさん 2016/02/23(火)07:12:06 ID:cwy

山城「………」

山城「…やっぱり、可笑しいかしら」

提督「何が?」

山城「私が素直だったら、よ」スッ

提督「…これは」

山城「出そうとしてたカードよ」

提督「見ても、いいの?」

山城「………」コク

提督「では失礼してーーー」


ーーー
ーー

57: 名無しさん 2016/02/23(火)07:12:39 ID:cwy

ヒトサンマルマル



山城「~~♪」スタスタ

扶桑「あら…」ピタ

山城「ふんふーん♪」スタスタ

扶桑「山城、えらくご機嫌ね」コソ

山城「んふふーん♪ふーん♪」ピタ

山城「あぁ…不幸だわ」ソトナガメ

扶桑「今日はいい天気なのに?」

山城「ね、姉様!?」ビク

扶桑「そんなに驚く事ないじゃない」

山城「い、いえ…突然だったので」アセ

扶桑「鼻歌なんか歌っちゃって、何かいい事でもあったのかしら」ニコ

山城「…別に何もありません」フイ

扶桑「あら、私に嘘は通用しないわよ?」

58: 名無しさん 2016/02/23(火)07:13:15 ID:cwy

山城「っ…何でもありません本当です」

扶桑「提督と何かあったのね」

山城「んなっ」ビクン

扶桑「ふふ、分かりやすい娘」クス

山城「違います、何で提督なんかと…」

扶桑「素直に喜べる様になったじゃないの」

山城「…べ、別にそんな…」

扶桑「一歩前進よ、頑張ったわね」

山城「だから違うと…」

扶桑「私には素直にならなくても分かってるから大丈夫よ」

山城「っ……」グッ

扶桑「…?どうしたのかしら?」ノゴキコミ

山城「…ふ、扶桑姉様にも」ボソ

扶桑「なぁに?」ニコ

山城「……これだけは、負けたくありません…から」カァ

59: 名無しさん 2016/02/23(火)07:13:38 ID:cwy

扶桑「ふふ、お互い頑張りましょう♪」ニコ

山城「…は、はい」

扶桑「それじゃ、私は部屋に戻るわね」スタスタ

山城「………」

山城「…分かってるから、か」

山城「二人とも厄介ね、素直になる暇もないじゃない…」

山城「ほんっと、不幸だわ」クス


60: 名無しさん 2016/02/23(火)07:14:00 ID:cwy


『…素直になりたい、か』



『そうよ、笑いたければ笑うといいわ』



『いや、笑いはしないんだけど』



『だったら何よ』



『だってさ、これ』ピッ



『…カードがどうかしたの?』

61: 名無しさん 2016/02/23(火)07:14:24 ID:cwy


『だからさ』



『自分の意思で素直になりたいって書いてる時点で』



『それは素直になれてるんじゃないかーって思って』



『なっ…』



『それにさ、山城』



『何よ』

62: 名無しさん 2016/02/23(火)07:14:50 ID:cwy


『例え、素直に思ってる事を言葉にできなくたって』


『それに行動が伴わなくたって』



『俺は、ちゃんと分かってるから』



『っ……』



『だから、無理に素直にならなくても』



『今の山城だって、俺は好きだけどな』



『……そう』

63: 名無しさん 2016/02/23(火)07:18:51 ID:cwy



『…あっ!今の好きはlikeであってだな!』



『だから、変に加賀やんとかに告げ口とかしたら俺のlifeが大変な事になるからーーー』



『だからだなーーーえぇとーーー』



『ふふっ』



『…そこんとこ、お願いできますでしょうか』



『馬鹿ね、言ったりしないわよ』




『感謝感激の極みであります』

64: 名無しさん 2016/02/23(火)07:20:11 ID:cwy



『はいはい、本当調子がいいんだから』



『でも、さっき言ったのは本当だからね』



『分かってるわよ、別に変わったって一緒って言いたいんでしょう?』



『なっ、違うっての』



『嘘よ、分かってるから』



『だから……その…』



『…あ、ありがとう』



『うん、どういたしまして』



65: 名無しさん 2016/02/26(金)06:44:27 ID:ZiK



ー執務室ー



提督「ん、あれ…もうヒトサンマルマルじゃん」

提督「おやつ…あ、そっか」

提督「赤城、今いないのか…」

提督「まぁ、おやつだし食わなくても…」


グゥ…


提督「畜生、身体が糖分を求めてやがる」

提督「習慣って怖いな」


コンコン


提督「んー?どぞー」


ガチャ

66: 名無しさん 2016/02/26(金)06:44:57 ID:ZiK


青葉「はい!青葉ですぅ!」

提督「ここにお前の求める物はない」

提督「可及的速やかに踵を翻すのだ」

青葉「え…司令官?」

提督「司令官?コイツの元の名前か?」

青葉「元って…え?」

提督「驚くのも無理はない、私はお前の知る司令官などではないのだからな」

提督「尤も、外側は同じだが」

青葉「えぇと、外見は司令官だけど、中身が司令官じゃ…ない?」

提督「そうだ」

青葉「だったら、中身の司令官はどこにいるんですか?」

提督「ふふふ、さぁな」

67: 名無しさん 2016/02/26(金)06:45:29 ID:ZiK

青葉「え、本当に…ですか?」

提督「嘘だと思いたい気持ちは分かるが、真実だ」

青葉「ふむー、成程…」

青葉「だったら」ジャキン

提督「何のつもりだ」

青葉「司令官から出ていって下さい」キッ

提督「そんなもの放ったらこの身体が傷つく事になるぞ?」

青葉「っ…」

提督「それに…」スタスタ

青葉「こ、来ないで!」

提督「私にそんなものが通用するとでも思っているのか?」

青葉「司令官!目を覚まして下さい!」

提督「無駄だ」

青葉「そんな事ありません!」

68: 名無しさん 2016/02/26(金)06:46:19 ID:ZiK

提督「まぁいい、どうせこの事を知っている貴様には消えてもらうからな」

青葉「そんな…」

提督「なぁに、残りの艦娘には今までの司令官を演じてればバレる事などあるまい」

青葉「させませんよ!えぇい!」ガバ

提督「…何をしている?」

青葉「司令官は私達の事を忘れたりしませんからね、こうして戻って来て貰うんです」

青葉「私は空母ではありませんから、効果は薄いでしょうけど」

提督「………」

青葉「司令官!ほーら、貴方の青葉ですよ!」ギュウ

提督(なにこれ可愛い)

69: 名無しさん 2016/02/26(金)06:46:47 ID:ZiK

青葉「戻ってこないと皆にあんな事やこんな事を口走っちゃいますよ!」

提督「………」

青葉「司令官、青葉ですよぉ」

提督「………」

青葉「早く、いつもの司令官に…」

青葉「戻って、下さいよぅ」グシュ

提督「……っ」

青葉「…こんなの、嫌ですよぅ」ポロポロ

提督(やべぇ、泣いちゃった…)

提督(ちょっとした悪戯のつもりだったのに)

青葉「しれいかぁぁん」ポロポロ

提督「………」

70: 名無しさん 2016/02/26(金)06:47:33 ID:ZiK

提督「ぐわぁぁあ!!!」バッ

青葉「!!?」

提督「や、やめろ!戻って来るな!」

青葉「司令官…司令官っ!!」

青葉「司令官!頑張って下さい!」

提督「うわああああああ!!」

青葉「しれいかぁぁぁん!!」




提督「なに?」キョトン

青葉「えっ」

提督「青葉じゃん、どしたの?」

青葉「………」

青葉「………」プルプル

提督「何で震えてるの?催したの?」

青葉「………」ジワァ

提督「青葉?」アセ

青葉「青葉を…騙したんですね…」

提督「あ、バレてる」

青葉「司令官の馬鹿ぁぁあ!!」スパァーン

提督「ファーーー」ガシャーン

72: 名無しさん 2016/02/29(月)21:44:32 ID:k0o

ーーー
ーー



青葉「だから司令官はーー!」クドクド

提督「」モミジ

青葉「分かりましたか!?」

提督「猛省の次第であります」ペコー

青葉「もう!今回限りですからね!」プンスコ

提督「はぁーい」

青葉「本当にもう…」

青葉「すっごく、怖かったんですからね」ボソ

提督「なんて?」

青葉「反対側にも紅葉を御所望ですか?」ニコ

提督「御免蒙る」

青葉「もうあんな事しないで下さいね!」

提督「善処します」

青葉「そこはしないとだけ言えばいいんですよ」

73: 名無しさん 2016/02/29(月)21:44:57 ID:k0o

提督「んで、青葉は何用で?」

青葉「聞いてないんだから…これですよ」スッ

提督「あぁ、カードね」ウケトリ

青葉「欲しい物を催促しに行った代償が寿命じゃ、まるで割に合わないですよ」ヤレヤレ

提督「そう言わない、見てもいい?」

青葉「どぞどぞ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:青葉

欲しい物:司令官の極秘情報
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


提督「…よく分からないんですけど」

青葉「脳の容量が足りてないんですかね」

提督「青葉の脳味噌食べたら容量増えるかな」ニコ

青葉「物騒な事言わないで下さい!」ビク

提督「それはさておき、どゆこと?」

青葉「本当にそのままの意味ですよ」

青葉「誰も…それこそ赤城さんや加賀さんも知らない様な司令官の秘密を青葉だけに暴露して欲しいんです」

74: 名無しさん 2016/02/29(月)21:45:23 ID:k0o

提督「成程ね、まぁないんだけど」

青葉「嘘ですね」

提督「何故言いきれる?」

青葉「ジャーナリストの勘ってやつです」

提督「いつからジャーナリストになったのよ」

青葉「そこらへんはいいですから…さぁ!」

提督「…何で知りたいの?」

青葉「えっ、それは…」フイ

提督「……?」

青葉「どうしても…言わないとダメ、でしょうか…」

提督「まぁねぇ」

青葉「……えっと」モジモジ

提督「………」

75: 名無しさん 2016/02/29(月)21:58:13 ID:k0o

青葉「誰も知らない司令官の秘密…青葉だけが独占したいんです…」チラ

青葉「青葉だって、司令官の事…」

青葉「好き、ですから…」ウワメ

提督「……青葉」ガシ

青葉「し、司令官?」


提督「嘘をつくな」


青葉「ちぇー、バレちゃいましたか」

提督「当たり前だ」

青葉「いけると思ったんだけどなー」

提督「青葉に限ってそんな動機があってたまるかってんだよ」

青葉「辛辣ですねぇ」

提督「で、本当のところは?」

青葉「たんなる知的好奇心です」

提督「何でまた」

青葉「だって、司令官って普通の軍人さんとは掛け離れてる部分が多々あるわけじゃないですか」

提督「はい?」

青葉「これはそんな司令官の元に配属された青葉の宿命でもあるんですよ!」

提督「いやまぁ、何ていうの…分からなくもないんだけどさ」

提督「俺ってそんな普通じゃないの?」

76: 名無しさん 2016/02/29(月)21:58:51 ID:k0o

青葉「はい!」キッパリ

提督「バッサリいかれちゃったね」

青葉「青葉はいつだってバッサリです!さぁさぁ!」キラキラ

提督「希望聞いた身ってのもあるしな…ちょっと待ってな」ゴソゴソ

青葉「………」ニヤリ

提督「お、あったあった」

青葉「ノート、ですか?」

提督「そ、ここに青葉の知りたい事が書いてある」スッ

青葉「おおっ!ありがとうございます!」

提督「おっと」ヒョイ

青葉「何で避けるんですか!」

提督「まだこれの用途を聞いてないからなぁ」

青葉「えー…」

提督「で、用途は?」

青葉「だから知的好奇心だと…」

提督「………」シュボ

77: 名無しさん 2016/02/29(月)21:59:12 ID:k0o

青葉「ちょっと!何ライターの火を近づけてるんですか!?」

提督「本心は?」

青葉「えっ」

提督「………」スッ

青葉「あわわわ!やめてください!」

青葉「言います!言いますから!」


ーー

78: 名無しさん 2016/02/29(月)21:59:38 ID:k0o


提督「つまり、弱点が知りたいって事?」

青葉「はい、どっちかと言えばそんな感じですねぇ」

提督「何で俺の弱点が知りたいの」

青葉「何でと聞かれると難しいんですが…」

青葉「別に弱みを握ろうとかそんな理由じゃないんですけど」

提督「だったら何で?」

青葉「ここから先は本当に好奇心なんです」

提督「………」ジー

青葉「何ですかその目は!本当なんですよ!」

提督「えー、提督信じらんなーい」キャルン

青葉「そのノリ思いの外ウザいですね」

提督「アッハイ」

青葉「てなわけで、教えて貰えませんかねぇ」チラ

提督「無理でーす」

青葉「何でですか!?」

79: 名無しさん 2016/02/29(月)22:00:06 ID:k0o

提督「だってさ、もしかしたら青葉が深海凄艦のスパイだって可能性もあるわけじゃない?」

青葉「あるわけないじゃないですか…」

提督「だよね」

青葉「もう、どっちなんですか?」

提督「嘘に決まってるやん…!」ピン

提督「…よし、教えてやるよ」

青葉「えっ」

提督「知りたいんだろ?俺の弱点」

青葉「知りたいです!」

提督「弱点と言うか苦手なものって感じなんだけどね」

青葉「全然構いませんよ!」

青葉(青葉、やりました!)

80: 名無しさん 2016/02/29(月)22:00:48 ID:k0o

提督「青葉だよ」

青葉「えっ?」

提督「だから、青葉なんだって」

青葉「青葉が、なんですか?」

提督「俺の苦手なの、青葉なんだって」

青葉「…えっ、それって…」

提督「立場上蔑ろにできないから普通に接してるけど、本当はすんごい苦手なの」

提督「お分かり?」

青葉「司令官は…青葉が…苦手…」

提督「そゆこと、ごめんね」

青葉「い、いえ…青葉こそ知らずとはいえ…」プルプル

青葉「それじゃ、青葉は退室しますので…」クル

提督「………」サッ、カキカキ

青葉「…失礼、しました」スタスタ

提督「青葉」

青葉「な、何でしょう」ビク

81: 名無しさん 2016/02/29(月)22:01:10 ID:k0o

提督「折角だからこれもあげるよ」

青葉「はい?」クル

青葉「あっ…いえ、今となってはもう必要ありませんから…」

提督「そう言わないで、ほら」ポイ

青葉「わっ、とと」パシ

提督「一応極秘事項だから他の人の前で見たりしないでね」

青葉「…はい、ありがとうございます」

青葉(これやるから金輪際ここには近づくなって事なんでしょうね…)

青葉「…っ」ジワ


タタタッ、バタン


提督「………」

提督「…ぶふっ」

提督「あっはっはっはwやっぱり真顔維持するのは大変だねぇw」ゲラゲラ

提督「俺の弱点を知ろうなんて100年早いよ青葉君」

提督「さぁて、びっくりするだろぉなぁ」

83: 名無しさん 2016/03/03(木)21:40:33 ID:FVl


ヒトヨンマルマル


ー軽巡・重巡寮ー


ー青葉型の部屋ー



青葉「…うぐっ、うぅ」

青葉「司令官が、青葉をっ…嫌いって…」

青葉「確かに…嫌われても仕方が無い様なことは沢山しましたが…」

青葉「でも、青葉は、司令官が嫌いだからってわけじゃ…違うのにっ…」

青葉「……っ、ひぐっ」メソメソ

青葉「司令官、がくれたノート…」ノソノソ

青葉「何て…書いてあるんでしょう」グスッ

青葉「…ここにもやっぱり青葉の名前が…?」

青葉「でも、司令官は極秘事項だと言ってたから…」

84: 名無しさん 2016/03/03(木)21:40:54 ID:FVl

青葉「もし、司令官に他の弱点があるなら」

青葉「それを知ってるのは青葉だけ…」

青葉「だったら青葉は…」

青葉「陰ながらではあるけど、その驚異から司令官をお守りしてみせます」グッ

青葉「よし、それなら早速ーーー」ペラ

青葉「………」ペラ

青葉「……あれ?」ペラ

青葉「何も、書いてない…?」ペラ

青葉「なら、やっぱり青葉だけ…」ウル

青葉「い、一応…最後まで…」

青葉「………」ペラペラペラ…

青葉「あ、今なんか…」モドシ

青葉「え、これってーーー」



ーーー
ーー

85: 名無しさん 2016/03/03(木)21:41:23 ID:FVl


ー執務室ー


バーン!!


提督「うお!ドアはノックの後ゆっくり開いていってね!て青葉か」

青葉「………」スタスタ

提督「どうした目が真っ赤じゃーー」

青葉「司令官の馬鹿!!!」スパァーン

提督「ファーーーー!」


ドガッシャァァン!!


青葉「何が極秘事項ですか!こんなもの!」ポイ

提督「あいたぁ!何でぶつんだよ…」ポス

提督「本棚ぐしゃぐしゃだよ…あ、コレ見たのね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


嘘だ馬鹿


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


青葉「こんなのあんまりですよ!青葉、怒りました!」プンスコ

提督「ふん、俺の弱点を知ろうとするからだよ」

86: 名無しさん 2016/03/03(木)21:42:18 ID:FVl

青葉「だからってやりすぎです!青葉ショックだったんですから!」

提督「ショック?」

青葉「そうです!司令官に嫌われたって思ってどうしようかと思ったんですから!」

提督「そうなの?」

青葉「そりゃそうですよ!青葉だって空母の方々程ではありませんがーーー!」ハッ

提督「程じゃないけど?」

青葉「な、何でもありません!それより青葉は怒ったんですからね」

提督「ごめんくさい」

青葉「許しませんよ」

提督「あぁ、うん」

青葉「…司令官は」

提督「うん?」

87: 名無しさん 2016/03/03(木)21:42:40 ID:FVl

青葉「本当は青葉の事、嫌いではないんですか?」

提督「うん」

青葉「っ、そうですか」

提督「うん、嫌うわけないやん」

青葉「ふーん、だからって許したりはしませんからね」

提督「……?」

青葉「とにかく!埋め合わせしてもらいますから!」

青葉「それだけです!では!」


スタスタ、バタン


提督「………」ポカーン

88: 名無しさん 2016/03/03(木)21:43:22 ID:FVl

提督「…えーと、許してもらえたって事じゃ、ないんだよね」ヨイショ

提督「………」

提督「ショックだった、か…」パンパン

提督「可愛いとこあるやん」

提督「さぁて、片付けるか…」


ーーー
ーー



提督「よし、こんなもんでしょ」

提督「んー、この本棚久々に整理したけど」

提督「結構いらない本がスペース取ってるなぁ…」


コンコン

89: 名無しさん 2016/03/03(木)21:43:41 ID:FVl

提督「どちら様?」

瑞鳳「瑞鳳でーす」

提督「入っといでー」

瑞鳳「はーい、お邪魔しまーす」

提督「いらっしゃい、どしたの?」

瑞鳳「これ持ってきたの」スッ

提督「はいはい確かに」ウケトリ

提督「これ、今見てもいい?」

瑞鳳「どーぞ♪」ニコ

提督「どれどれ…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:瑞鳳

欲しい物:お兄ちゃん
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


提督「うんうん…うん?」

90: 名無しさん 2016/03/03(木)21:44:23 ID:FVl

瑞鳳「えへへ、どうかな」

提督「…どうかなって言うかさ」

瑞鳳「うん」

提督「瑞鳳が既に存在してる以上、これは叶うことのない願いなんじゃないかなって思うのは俺だけかな」

瑞鳳「えー…分からないの?」

提督「何が?」

瑞鳳「うー、これだから提督は…」ハァ

提督「えーと、皆目検討がつかないのですが…」

瑞鳳「もう!私の口から言わせる気なの!?」プンスコ

提督「いやさ、実の所一つピンと来たのはあるんだけどさ…」

瑞鳳「うん」コク

提督「これさ、なんて言うか」

91: 名無しさん 2016/03/03(木)21:44:55 ID:FVl

提督「俺、ここから選択肢を誤ると取り返しのつかない事態に陥りそうでさ」

瑞鳳「うんうん」コクコク

提督「だから思い付いたしなに、おいそれと口にできない俺がいるよね」

瑞鳳「言ってみよー♪」

提督「数秒前の俺の話聞いてた?」

瑞鳳「聞いてたよ?」キョトン

提督「そっか、ありがとう」

提督「んで、聞いていたにも関わらず何故言ってみるという宣言ができるのか、俺には甚だ疑問ではあるんだけど」

提督「その控えめな胸の内を問うことは可能なのかな?」

瑞鳳「控えめ?」ジト

提督「言葉の綾だよ」

92: 名無しさん 2016/03/03(木)21:45:19 ID:FVl

瑞鳳「うーん、何でって言われても…」ウーン

瑞鳳「提督が言おうとしてるの、多分正解だからかなー」

提督「だってまだ多分の域でしょ?」

提督「ここから先に地雷は埋まってませんよ、多分」

提督「最後の一言でもう膝が笑っちゃうよね」

瑞鳳「大袈裟だよ…」

提督「俺にとっては地雷に匹敵するんですー」

瑞鳳「もー、どんな変化球が来ても動じないからー」ネェネェ

提督「はぁ…分かったよ」

提督「…言うぞ」

瑞鳳「うんっ♪」ワクワク

93: 名無しさん 2016/03/03(木)21:45:47 ID:FVl

提督「………」

提督「やっぱりお姉ちゃんで良ければ候補は沢山ーーー」ビクッ

瑞鳳「提督?」ニコォ

提督「アッハイ」

瑞鳳「そうじゃないよね?」ニッコォ

提督「……ハイ」

瑞鳳「次はないからね?」ニコ

提督「………」コクコク

瑞鳳「じゃあもういっかーい」

提督「えー」

瑞鳳「ほら、男の子でしょ!腹括って!」

提督「俺はもうショタと呼ばれる年齢はとうの昔に置いてきたんだけど…」

瑞鳳「御託並べてないで、ほら!」

提督「その屈託の無い笑顔で妙に刺のある物言いをするのは如何なものかと…」

瑞鳳「五月蝿い早く言え」ジト

提督「あーもー分かったよー」

提督「この後どうなってもしらないからなー?」

94: 名無しさん 2016/03/03(木)21:46:22 ID:FVl

提督「あの頃の私達には、もう戻れないんだね…」

提督「とか無しだからなー」

瑞鳳「私は別れる前の幼馴染みか」

提督「お、ありがとうございます」

瑞鳳「ツッコミへのお礼はいいから!」モウ

提督「はーい」

瑞鳳「じゃあさ…」

提督「はいよ、瑞鳳」

瑞鳳「うん」

提督「もしよかったらなんだけど」

瑞鳳「…うん」ドキドキ

提督「俺がさ、瑞鳳のーー」

95: 名無しさん 2016/03/03(木)21:46:46 ID:FVl

瑞鳳「やったぁぁあ!!」ピョーン

提督「…まさかの先読みに提督は後の言葉を忘れちゃったよ」

瑞鳳「やっちゃった…提督、続きは?」

提督「だから、忘れちゃったんだって」ニコ

瑞鳳「あー!ずるいー!」プン

提督「だって瑞鳳が急に大声だすんだもん」

提督「俺、急な大声がてんでダメでさ」ハハハ

提督「突然大声を出されると、寸前の記憶だけが都合よく抜け落ちるタイプなんだよねー」

瑞鳳「むーー!!」プウ

提督「ま、続きは今度な」ナデナデ

瑞鳳「今度っていつー?」プウウ

提督「ん?今日の夜らへん?」

瑞鳳「ならいいよ!」ニコ

提督「よかった」

瑞鳳「なら私部屋に戻るから、待ってるからね♪」

提督「ほいよ」

瑞鳳「ばいばーい」フリフリ


バタン

96: 名無しさん 2016/03/03(木)21:47:05 ID:FVl


提督「…ふぅ、危なかった」

提督「瑞鳳にお兄ちゃんなんて呼ばれでもしてみろ」

提督「その時は…俺は無事でいられる自信がない」

提督「だからこれはアレだ」

提督「程よくなぁなぁにしてお茶を濁す」

提督「うん、我ながら完璧だね」ウンウン


グゥ


提督「………」

提督「腹減ったな、食堂行こ」


スタスタ、バタン

99: 名無しさん 2016/03/07(月)21:20:19 ID:NWA


ヒトゴーマルマル


ー食堂ー


提督「大将やってるー?」

鳳翔「誰が大将ですか…やってますよ」

提督「腹減ったんだよね」

鳳翔「あら、お昼に来られなかったのでてっきり他所で済まされたのかとばっかり」

提督「色々立て込んでね、逃しちゃったのよ」

鳳翔「クリスマス、ですか?」

提督「そそ、みんな予想の斜め上行ってるから苦労するんだなこれが…」ハァ

鳳翔「あらあら、それは大変ですね」クス

提督「まぁ、言い出した以上やんないとね」ヨッコラ

鳳翔「何にします?」

提督「唐揚げできる?」

鳳翔「はい、少し待って下さいね」


ーー

100: 名無しさん 2016/03/07(月)21:20:42 ID:NWA


鳳翔「お待たせしました」コトッ

提督「お待ちしました、いただきまーす」

鳳翔「短時間の調理だったので充分に漬け込めてませんが…」

提督「いやいや、時間外に来た俺の落ち度だよ」パク

提督「うん、美味しいね」モグモグ

鳳翔「よかったです」ニコ

提督「あー、そういやさ」モグモグ

鳳翔「はい」

提督「やっぱり一人だと忙しい?」

鳳翔「あ…えぇと…」

提督「どしたの?」

鳳翔「いえ、やはり贅沢なお願いだったかなと…」

提督「そんな事ないでしょ」

鳳翔「…そうでしょうか?」

101: 名無しさん 2016/03/07(月)21:21:07 ID:NWA

提督「うん、ここを一人で切り盛りするのは実際大変だろうし」

提督「みんなのご飯作るのだって、ねぇ?」

鳳翔「ですが…」

提督「じゃあお手伝いいらない?」

鳳翔「欲しい、ですが…」

提督「料理できる娘からあてがっていきたいけど」

提督「出撃とか遠征の兼ね合いもあるから、毎回できる子を回せるかって言われると…なんだけどね」

鳳翔「い、いえいえ!そんなにして頂かなくても!」アセ

提督「俺だってお世話になってんだから、少し位楽させても罰は当たんないよ」

鳳翔「ですが、私は出撃していませんし…」

鳳翔「皆の倍働く位しないと、申しわけないですから…」

提督「………」

102: 名無しさん 2016/03/07(月)21:21:27 ID:NWA

提督「鳳翔?」

鳳翔「はい…」

提督「出撃は確かに大変かもしれないね」

提督「俺も万全を期した作戦を立ててるけど、それだって絶対を保証出来るもんじゃないから」

提督「命を落とす可能性だってある」

鳳翔「………」

提督「確かにそれに比べたら、鳳翔は楽に見えるかもしれないね」

鳳翔「っ…」

提督「でも、それを言ったら明石だってそうなるさ」

提督「でも、明石は皆の健康管理や艤装の修理、改装なんかを全部一人で担ってる」

提督「鳳翔だってそれと同じだよ」

鳳翔「そんな事は…」

103: 名無しさん 2016/03/07(月)21:21:46 ID:NWA

提督「あるさ、昔の人だって言ってたらしいじゃない」

提督「腹が減っては戦ができぬ、ってね」

鳳翔「それはモノの例えですから…」

提督「そうでもないんだなこれが」

提督「事実、兵糧攻めなんて戦法が過去に存在していた以上」

提督「戦いにおいて食が勝敗を分ける大きな要因の一つである事は既に証明されてる」

鳳翔「………」

提督「ならここでの鳳翔の働きが如何に大切かって事も、自ずと見えてくる筈だよ」

鳳翔「………」

提督「俺も含めて、皆楽しみなんだけどなぁ」

鳳翔「何が、でしょうか…?」

104: 名無しさん 2016/03/07(月)21:22:07 ID:NWA

提督「鳳翔の作るご飯だよ」

鳳翔「!」

提督「本当に何でも美味しいからね」

提督「それこそ、皆が海で戦うのに食が必要であるんなら」

提督「レーションでもいいわけだ」

提督「でも、それじゃ多分ダメなんだよ」

鳳翔「………」

提督「皆、鳳翔のご飯だから頑張れるんだ」

提督「分かって貰えたかな?」

鳳翔「………」

105: 名無しさん 2016/03/07(月)21:22:35 ID:NWA

鳳翔「もう、ずるい人」グス

提督「性分なもんでね」ニコ

鳳翔「そんなふうに言われたら、嬉しくなってしまうじゃないですか…」

提督「いいんじゃない?」

鳳翔「…貴方がそう仰ってくれるのなら」

鳳翔「私は何日何時でも、精一杯の料理を拵えますから」

提督「ありがとう、感謝してるよ」

鳳翔「はい」ニコ

提督「っ…」ドキ

鳳翔「提督?」

提督「い、いや何でもないよ」

提督「さ、冷める前に食べてしまおうかな!」パクパク

鳳翔「ふふ、そう急がなくても唐揚げは逃げませんよ?」クス

提督「熱が逃げるだろ?」モグモグ

106: 名無しさん 2016/03/07(月)21:22:52 ID:NWA

鳳翔「詰まらせては事ですから、ゆっくり食べてーーほら、お弁当が付いてますよ」ヒョイ

提督「お、すまんね」

鳳翔「もう、掻き込むからですよ?」パク

提督「んっ!?」ゲホゲホ

鳳翔「ほら、大丈夫ですか?」サスサス

提督「んぐっ、ごめんごめん」

鳳翔「いつまで経っても子供っぽいんですから…」クス

107: 名無しさん 2016/03/07(月)21:23:22 ID:NWA


ー物陰ー


テカ、サッキノゴハンツブタベタヨネ


エッ!?…ワタシッタラ///


アカクナッテヤンノ


モウ!カラカワナイデクダサイ!



金剛「…テイトクが執務室にいなかったら探してみれば」

榛名「何だか、顔を出し辛い雰囲気です…」

金剛「成程、軽空母も空母って事デスか」

金剛「完全にノーマークでシタ…」グヌヌ

榛名「鳳翔さんも提督の事が好きなんでしょうか?」

金剛「それなら鳳翔サンのあの顔を見てみれば分かるネー」

108: 名無しさん 2016/03/07(月)21:24:21 ID:NWA

金剛「あれを見てくれ、あの顔どう思う?」

榛名「すごく…嬉しそうです」

金剛「ここで突入してもいいデスが」ウーン

榛名「それは流石に…」

金剛「ワタシも良心が痛むネ」

金剛「だからテイトクが食堂から出てきた所に、偶然を装ってアタックするネ」ムン

榛名「待ち伏せしていたのを察されてはいけない、と言う事ですね」

金剛「そうデス」

榛名「分かりました。榛名、頑張ります」

金剛「そうと決まれば一旦引くネー」ソソクサ

榛名「榛名も退散します」コソコソ


ーーー
ーー

113: 名無しさん 2016/03/15(火)22:43:48 ID:qo8


ヒトロクマルマル


ー食堂近くの廊下ー


提督「結局1時間近く居座っちゃったけど」

提督「鳳翔には悪い事したかな…」


コソ…


提督「…?」ピタ

提督(曲がり角の影に誰かいるな…)

提督(よーし、誰か分かんないけど脅かしてやるか)


ー曲がり角の影ー


金剛「さぁて、テイトクがこっちに歩いて来てるネー」

榛名「あたかもばったり合ったかのようにするのですね」ムン

金剛「あまり露骨過ぎるのもノーデース、自然な感じが大事なのヨ」

榛名「自然に…自然に…」ブツブツ

金剛「よし、そろそろワタシ達も飛び出す準備をするネ」

榛名「はい、榛名、頑張りまーー」

114: 名無しさん 2016/03/15(火)22:44:15 ID:qo8


提督「そこにいるのは分かっている、でてこい」



金剛「ノー、バレてしまいましたか…」

榛名「榛名、少し声が大きかったでしょうか…」

金剛「相手はテイトクですからネ、気配とかで分かったんでショ」

榛名「提督…すごいです…」

金剛「あの人間離れしてる所も魅力の一つネ、じゃあ出ていくとしまショーー」


提督「…出てこないつもりか、さては深海凄艦側のスパイだな」


金剛「エッ」

榛名「えっ」


提督「ここの娘達は皆素直だからな、呼んでも出てこないやつなんていない」

提督「よってそこにいるお前らは敵とみなす」

金剛「ちょっと待ってクダサイ!」バッ

榛名「榛名もいます!」バッ

提督「…お前らか」

金剛「そうデス!スパイなんかじゃないネ!」

榛名「榛名も違います!」

115: 名無しさん 2016/03/15(火)22:44:39 ID:qo8

提督「そうか…まさかお前らだったなんて…」

提督「俺は…俺は悲しいよ」クッ

金剛「エッ」

榛名「えっ」

提督「二人共頑張り屋で健気で、俺の事を慕ってくれて…いい娘だったのに!」ダンッ

金剛「アノ、テイトク…?」

榛名「榛名はいい娘なんかじゃ…」テレッ

提督「俺は…もう誰も信じられない…」

提督「もう嫌だ…死のう」ガッ

金剛「ま、待ってクダサイ!」アセ

榛名「確かに榛名は提督をお慕いしてますが…そんな、榛名にはもったいないです」モジモジ

提督「離せ金剛、俺はもういいんだ」グイグイ

金剛「ワタシはよくありまセン!」グイグイ

榛名「でも、提督が良いと言っていただけるのなら…榛名は…」カァ

提督「死なせてくれよ」グイグイ

金剛「いやデス!テイトクが死ぬならワタシも死にマス!」

金剛「というか榛名は何してるんデスか!?」

榛名「えっ…?はっ!」ビク

榛名「提督!?何をしているんですか!?」

提督「しーぬーんーだー」グイグイ

金剛「いーやーデースー」グイグイ

116: 名無しさん 2016/03/15(火)22:44:59 ID:qo8

榛名「駄目です!提督!」ガバッ

提督「うお!?」ドサッ

金剛「ワァッツ!?」ドザァッゴロゴロ


ガシャーン…イタイネー


提督「ててて…榛名?」

榛名「提督、何かあったのですか?」

提督「うん?」

榛名「自ら命を絶とうとするなんて…榛名に仰っていただければ…」グス

提督「榛名…」

榛名「榛名では、お力に添えないかも知れませんが…それでもっ…」ギュウ

提督「大丈夫、俺は死なないよ」ナデ

榛名「…本当ですか?」ミアゲ

提督「お前らを残して俺が死ぬ分けないでしょ?」ニコ

榛名「でも、さっき…」ウル

提督「あぁ、あれはなーー」

117: 名無しさん 2016/03/15(火)22:45:21 ID:qo8

金剛「ウソ、だったんですネ?」ズタボロ

提督「そゆこと…って金剛」

金剛「なんデスか?」ニッコリ

提督「なんでそんなボロボロなの?」

金剛「mysisterの強烈なタックルで向こうまで転がってしまいまシタから」

榛名「ごめんなさい…」シュン

金剛「それはこの際どうでもいいデス」

提督「うん」

金剛「デ?嘘だったんデスか?」

提督「うん…あっ」

金剛「フーン、ヘェー」ジト

提督「ご、ごめんね?ちょっとした冗談だから、ね?」アタフタ

金剛「テイトクの冗談で、ワタシはボロ雑巾みたいになったんデスネー」ニコ

提督「いやその」

榛名「提督、嘘はよくありません…」

金剛「………」ジトー

榛名「………」ジィ

提督「……す」

118: 名無しさん 2016/03/15(火)22:46:05 ID:qo8

提督「すいませんっしたぁ!」スタタタタッ

金剛「あぁ!逃げたネー!」

榛名「榛名、追いかけます!」


ーー

119: 名無しさん 2016/03/15(火)22:46:32 ID:qo8

ー明石ラボ(工廠)ー


提督「明石!開けてくれ明石!」ドンドン

明石「何ですか騒がしいなぁ…」ポチ


ヴゥーーン ゴゴゴゴゴ…


提督「何で今日に限ってインディージョーンズ風なんだよ!」ハヤクハヤク

明石「これはこれでいいんですよね」


ゴゴゴ…ガコーン


提督「よし!早く閉めて!」

明石「早くは無理ですよ」


ゴゴゴゴゴ…


提督「あぁもう早く!」アセアセ

明石「何をそんな焦ってるんです?」


ゴゴゴ…ガコン

120: 名無しさん 2016/03/15(火)22:47:11 ID:qo8

提督「ふぅ、これで一安心…」


テイトクハコッチニニゲタネー

ハルナテイトクヲミツケテミセマス!


提督「ひぃ」ビク

明石「?」


スタタタタ…


提督「よ、よし…撒いたようだね」フゥ

明石「何であの二人から追われてるんですか?」

提督「実はズイズイカクカクで…」


ーー



明石「それは提督が悪い」

提督「ですよね」

明石「はぁ、全く…」ハァ

提督「とりあえずほとぼりが冷めるまでここにいていい?」

明石「それ、ずっとここにいる事にありますよ?」

提督「だよなぁ…」

明石「ま、今出てくより少し時間潰してからの方がマシかもしれませんが」

提督「そうするよ」

明石「ここにいてもあんまりする事はないでしょうが…あ、そういえば…」ゴソゴソ

提督「?」

121: 名無しさん 2016/03/15(火)22:47:52 ID:qo8

明石「あのー、あれですよ…あれ…」ゴソゴソ

提督「あれじゃ分かんないよ」

明石「あった、コレですよ」ズラッ

提督「ん、これは…」

明石「ほら、愛の指輪制作任務でしたっけ?」

提督「でしたっけ?だとあたかも俺が言い出したみたいに聞こえるよね」

明石「提督が言い出したんでしょ?」

提督「言ってねぇよ」

明石「うわ…ツッコミ放棄しやがった」ヒキ

提督「もうそのネタで遊ぶのやめろよな!小っ恥ずかしいったらありゃしない!」

明石「わーかりましたよぉ」ヤレヤレ

提督「っとにもう…で、見ていいの?」

明石「いいから出したんでしょ」

提督「あっはい…では拝見」パカ

明石「どうですか?ちっちゃい変更ならまだ間に合いますけど」

提督「おいこれ…」プルプル

明石「何かお気に召さない部分がありました?」

126: 名無しさん 2016/03/17(木)22:00:00 ID:kZv

提督「………」スゥ

提督「………素晴らしい」

明石「何で一回溜めたんですか」

提督「ロックバスターは溜めて撃った方が強いだろ?」

明石「…まぁ」

提督「それと一緒」

明石「…はぁ」

提督「いいねこれ、注文通りってかそれ以上やん」キラキラ

明石「それはよかった」

提督「で、解説は?」

明石「それを待ってました」

127: 名無しさん 2016/03/17(木)22:00:26 ID:kZv

明石「まずは二航戦の普通の指輪ですね」

明石「これはシルバーのリングに各々のイメージカラーである橙と緑の宝石をはめ込んだシンプルなデザインに仕上げてます」

提督「ふむふむ」

明石「使用した宝石ですが、飛龍さんの方は紅縞瑪瑙、サードオニキスですね」

提督「綺麗な橙色だね」

明石「それはもう最強のやつを仕入れましたから、そこいらのパワーストーンとは訳も値段も違いますよ」

提督「…今は聞かないでおこうか」

明石「それがいいかと」ニコ

提督「うん…それで?」

明石「あっはい、この紅縞瑪瑙なんですが、意味もちゃんとありまして」

提督「へぇ」

明石「これはですね…『家族愛をもたらし夫婦円満に導く』です」

提督「まぁ…うってつけと言うか…」

明石「調べないと分からない様なもんですからね」

提督「飛龍、調べるかな」

明石「多分」

提督「喜ぶだろうなぁ…」ホッコリ

明石「キモい」

提督「うるさいな、で?」

128: 名無しさん 2016/03/17(木)22:00:56 ID:kZv

明石「次は蒼龍さんの方です」

明石「蒼龍さんの方は孔雀石、マラカイトですね、これも最強の一粒ですよ」

提督「マカライト?」

明石「マラカイトっつってんだろモンハンじゃねぇよ死ね」

提督「」

明石「こほん、でマラカイトの意味なんですが…」

明石「えーと、『持ち主の気持ちを明るくする、恋の成就』などがあります」

提督「蒼龍にぴったり…って言うとちょっと悪いかな」

明石「あの娘、暗黒な部分が表に出やすいですからね…」

提督「ま、それも魅力の一つなんだけど」

明石「そう言ってあげれる器は認めますよ」

提督「お、おう」テレ

明石「とまぁこんなとこですね」

提督「完璧だね」

明石「そして本命、一航戦のケッコン指輪ですが…」

129: 名無しさん 2016/03/17(木)22:36:42 ID:kZv

提督「すんごいね、これ」

明石「こっちはリングに白金、プラチナを使用してます」

明石「白金は『永遠の愛の明石』と言う意味がありまして…」

提督「…今、証の発音おかしくなかった?」

明石「気のせいです、それで…」

明石「はめ込んである宝石も二人のイメージカラーである青と赤のものを用意しました」

提督「綺麗だなぁ」

明石「二航戦の二人には悪いですが、こっちの二粒は最強ではありません、究極です」

提督「おぉう…」

明石「未来永劫魂魄百万回生まれ変わっても、これ以上のモノは出てこない…」

明石「…んじゃないかって位のやつを用意しましたから」

提督「そんなの何処から持ってきたの…」

明石「出処は聞かない方が賢いですよ?」

提督「…黒いの?」

130: 名無しさん 2016/03/17(木)22:37:08 ID:kZv

明石「まぁ、ある意味黒いと言うか…」

提督「おいおい…それはあんまり宜しくないんじゃない?」

明石「勘違いしないで下さいよ!分かりました、教えますから」

提督「…何処なの?」ゴクリ

明石「宇宙です」

提督「………は?」

明石「宇宙です」

提督「宇宙って…あっち?」↑ユビサシ

明石「それ以外に何があるんですか?」

提督「いやだって、宇宙って…」

明石「おっと、話せるのはここまでです」

提督「やっぱりここは普通の鎮守府じゃなかったのか…」

131: 名無しさん 2016/03/17(木)22:38:04 ID:kZv

明石「じゃあ加賀さんの方からいきましょうか」

明石「この蒼い宝石…実はですね」

提督「なに?」

明石「まだ、地球にはない鉱石なんですよ」

提督「驚きを通り越して何も言えねぇよ」

明石「まぁまぁ、それで当然ながら名前すらまだありません」

明石「なので僭越ながら私が命名しました」エッヘン

明石「この宝石は、カガナイトです」

提督「安直過ぎない?」

明石「加賀さんだけの宝石ですよ」

提督「言われてみればそれっぽい気がしてきたかな…で、意味は?」

明石「よくぞ聞いてくれましたね…寝なずに考えたんですから…」

明石「カガナイトの意味は、『永遠の安息』です」

132: 名無しさん 2016/03/17(木)22:38:30 ID:kZv

提督「愛だ恋だじゃないのね」

明石「それこそ安直ですよ、折角意味を付けれるならと思って」

提督「まぁ、加賀やんだと…そうだね」

明石「勿論、送る人が叶えてあげるっていうのが前提ですからね」

提督「……成程、ね」

明石「ずっと、護ってあげるんでしょう?」

提督「何を今更…当たり前だよ」フイ

明石「いただきました」

提督「いいから!次!赤城!」

明石「はいはいwでは赤城さんのをば…」

137: 名無しさん 2016/03/21(月)07:37:33 ID:s5X

提督「真っ赤だね」

明石「はい、これも究極です」

提督「出処は、やっぱり宇宙なの?」

明石「そうですが?」

提督「…まぁいいや」

明石「この宝石も名前がありませんから、私が命名しました」エッヘン

提督「アカギナイト」

明石「残念でしたー、何でもナイトを付ければいいってもんじゃありませーん」

提督「だったら何なのよ」

明石「アカギライトです」

提督「なんだろう、少しイラッとする」

明石「まぁいいじゃないですか、意味もちゃんとありますよ」

提督「なんなのさー」

明石「アカギライトは『不動の位置』です」

提督「何それ」

138: 名無しさん 2016/03/21(月)07:38:16 ID:s5X

明石「ずっと一番であるようにってことですよ」

提督「………」

明石「例え同列だろうと、誰かさんの一番でいれるように」

提督「当たり前だっての」

明石「分かってますよ」ニコ

提督「何だよくそ…恥ずかしいなもう…」

明石「いいじゃないですか、きっと喜んでくれますよ」

提督「ふん…まぁ、ありがとう」

明石「いえいえ♪それとはいこれ」スッ

提督「まだ何かあるの?」

明石「ケッコンなんだから、提督の分もいるでしょ?」

提督「あ…そっか」

明石「てなわけで注文外ですが作っておきました!」スッ

提督「さっすがぁ!」

139: 名無しさん 2016/03/21(月)07:38:42 ID:s5X

明石「こっちは二航戦の二人用にネックレスにしてます」

提督「ほう、これは?」

明石「緑と橙を足して黄色の宝石にしました」

明石「石榴石、オリーブガーネットの黄色ですね」

明石「意味としては『愛の継続、変わらぬ恋』などがあります」

提督「ふむふむ」

明石「んで、こっちがケッコン指輪です」

明石「これもお二人の色を足して、紫にしています」

提督「やっぱりこれも、宇宙産なの?」

明石「いえ、これは地球産です」

提督「あ、そうなんだ」ザンネン

明石「何で少し残念そうなんですか…」

提督「だって何で俺だけ…」

明石「宇宙かどうかは重要じゃないんです!」

140: 名無しさん 2016/03/21(月)07:39:16 ID:s5X

明石「で、この宝石なんですが…これは有名ですね、紫水晶、アメジストです」

提督「あ、知ってる!」

明石「それでも他の追随を許さない一粒なんですよ?」

提督「そこはもういいから」ハァ

明石「意味としては『真実の愛』ですね」

提督「まさにその通りだね」ドヤァア

明石「はいはいご馳走様です」

提督「冷たくない?」

明石「見慣れたんですよ」

提督「慣れって怖いよね」

明石「本当ですよね」

提督「いやぁしかしありがとう!じゃあ俺は執務室に戻るからーー」ガシッ

提督「え?どうしたの?」ツカマレ

141: 名無しさん 2016/03/21(月)07:39:47 ID:s5X

明石「請求書、忘れてませんか?」ニッコリ

提督「あ、あぁ…そうだったね」ウケトリ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
請求書

提督に以下の金額を請求致します。
¥10000000000000000000000000000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



提督「アッハッハッハ!子供じゃないんだからさ!」

明石「………」ニッコリ

提督「アッハッハッ…まじ?」

明石「マジです」ニッコリ

提督「いやこれ…無理でしょ」

明石「人類が同じ事をしてたらこれくらいはかかるであろう目安ですね」

提督「そういう事じゃなくてさ」

明石「え?払えないと?」

提督「寧ろ払える人を見つけて来て欲しいよね、それでそんな人いたら是非握手とかしたいよね」

142: 名無しさん 2016/03/21(月)07:40:10 ID:s5X

明石「ま、冗談なんですが」

提督「当たり前だ!こんな無茶苦茶があってたまるか!」

明石「でも、目安なのは本当ですよ?」

提督「……マジかよ」ヒキツリ

明石「それ位私も気合い入れたってことですよ」

提督「こりゃ足向けて寝れないね」

明石「明石様と呼んでもいいのよ?」

提督「御免蒙る」

明石「私もです」

提督「なら言うなよ…」


ーー

143: 名無しさん 2016/03/21(月)07:40:51 ID:s5X


明石「そんなこんなで時間潰せたでしょ?」

提督「そうだね、かつて無い驚きの連続だったけど」

明石「そりゃ良かったじゃないですか」

提督「まぁ、最高の贈り物に間違いはないからね」

明石「そう言って貰えると、頑張ったかいがありました」

提督「お前は比叡か」

明石「明石ですが?」

提督「む、普通に返しおってからに」

提督「…あ、そういやさ」

明石「何ですか?」

提督「天龍の改二の話なんだけど…」

明石「あぁ、そんな話もありましたね」

明石「指輪の件がおっき過ぎて正直忘れてました」

提督「俺もすっかり忘れてたよ」

明石・提督「あっはっはっはw」

144: 名無しさん 2016/03/21(月)07:41:20 ID:s5X

提督「で?実際どうなの?」

明石「あっはっはっはw」

提督「明石…?」

明石「すいませんっしたぁ!」ペコー

提督「え?嘘やん」

明石「いやぁ~困りましたねぇ」テヘペロ

提督「いやいやいや!」

提督「バッチリ任せて下さい!」ドヤァア

提督「てしてたじゃん!?」

明石「してませんよ?」シレッ

提督「よし分かった、あくまでもシラを切るつもりだな」

提督「だったらこっちも考えがある」

明石「何を…?」ビク

145: 名無しさん 2016/03/21(月)07:42:08 ID:s5X

提督「俺の全力を持ってここで暴れ回ってやる」コキコキ

明石「それだけはご勘弁を!」ドゲザ

提督「…勘弁、して欲しいか?」

明石「何卒何卒ぉ~」ドゲザ

提督「分かった、俺が直接制裁を加えるのは止めよう」

明石(フッ、チョロい)

提督「その代わり、じゃないけど…」

明石「何でしょうか…?」

提督「もう少ししたら一航戦の二人が帰ってくるやん?」

明石「…?ですね」

提督「そしたら、タイミングを見てプロポーズ的なのをするやん?」

明石「まぁ、でしょうね」

提督「そうしたら、俺と二人は固い絆で結ばれるわけやん?」

明石「そうですが…?」

提督「さて、二人はきっと有頂天ですね」

明石「本人が言うのもどうかと思いますが…そうでしょうね」

146: 名無しさん 2016/03/21(月)07:42:59 ID:s5X

提督「俺への愛で溢れてる真っ最中ですね」

明石「何気持ち悪い事言ってんですか…」

明石「…とどのつまり何が言いたいんですか?」

提督「そんな二人に私がこう言います」

提督「明石に騙された、俺は海より深く傷ついた、もうダメだ死のう…」

提督「はい、これを制裁とします」

明石「……は?」アゼン

提督「て事でお疲れ様~」スタスタ

明石「しかし回り込まれた!」ズサッ!

提督「なんだよぅ」

明石「それだけもご勘弁を!!」ドゲザァ

提督「何か日本語がおかしいけど、贅沢だねぇ」

明石「そんなご無体な!」

提督「二つに一つだよ、甘んじて受け入れな」

147: 名無しさん 2016/03/21(月)07:43:45 ID:s5X

明石「そんな二つから選べないですよ!」

明石「死ぬ?それとも死ぬ?みたいな!」

提督「えー…」

明石「お願いします提督ぅ」ウルウル

提督「その涙すら怪しいんだよなぁ」ジトー

明石(なん…だと…)

明石(私の知ってる提督は女の涙に確定四倍の弱さを誇ってる筈なのに…」

提督「ほら見ろ、そんな所だろうと思ったよ」ジトトォ

明石「しまった!」クチオサエ

提督「どぉせ俺の制裁を止めるって言った時も(こいつチョロいなw)とか思ってたんだろ?」

明石「何故…バレてるんだ…」

提督「馬鹿めと言って差し上げますよ」

明石「そんなぁ…」ガックシ

提督「そもそも何で任せろとか言ったのよ」

明石「いやぁ、何としてもラボを拡張したい一心でですね…」

提督「つまり、ブラフだったと?」ギロ

明石「た、確かにあの時は完全に白紙だったんですが…」

明石「間に合う時間内に何かしら対策しようとは思ってたんですよ!」

提督「そんなの後から何とでも言えるやんか」

148: 名無しさん 2016/03/21(月)07:44:14 ID:s5X

明石「でも!指輪に全力を注ぎ過ぎて忘れてたのもまた事実なんです!」

明石「その結果、最高の指輪と引換に天龍の件を忘れてしまった」

明石「つまり、天龍は尊い犠牲になったんですよ」

提督「………」ウーン

明石「そうでしょう!?」

提督「…まぁ、それに関していえば俺にも落ち度はあるからねぇ」

提督「しゃあない、指輪の功績に免じて不問としよう」ハァ

明石「よかったぁ…」ホッ

提督「その代わり、今から急ごしらえで対策を練るからね」

明石「全力で協力しましょう!」ムン

提督「ただなぁ…どうすっかなぁ」

明石「それなんですが、提案が一つありまして…」

提督「え、なになに?」


…ソレデイケルカナ?


タブンイケルンジャナイデスカ


ヨシ、ナラココヲコウシテ…


ア、ソレイイデスネ


アーダコーダ

154: 名無しさん 2016/03/22(火)23:01:57 ID:tEc



ヒトナナマルマル


明石「てな感じでどうでしょう」

提督「うーん…」

明石「正直もうこれしかないかと…」

提督「そうだねぇ、仕方ないか」

明石「ならそれなりの準備はしておくんで」

提督「あぁ、よろしくね」

明石「ではまた後で、ですね」ニコ

提督「分かった、適当な時間にもっかい来るよ」

明石「はいはーい」フリフリ


ゴゴゴゴゴ…ガシャーン


明石「さて、準備準備っと…」


ーー

155: 名無しさん 2016/03/22(火)23:04:49 ID:tEc


ー廊下ー


提督「はー、お腹空いた…」

提督「そういえば、アイツらまだ帰ってきてないのかな」

提督「そろそろ日も落ちちゃうんだけど…」


スタスタ…ピタ


提督「…執務室の前に誰かいる」コソ

提督「こっからだと誰だか……まぁ分かったんだけど」

提督「金剛と榛名やんか…参ったなぁ…」

提督「でも、二人共体操座りしてるな」ヒョコ

提督「顔埋めてるし…怒ってなさそうやね」

提督「おーい、二人共…ってーーー」



156: 名無しさん 2016/03/22(火)23:05:20 ID:tEc



提督「やぁやぁ」

金剛「………」

榛名「…提督?」ゴシゴシ

提督「あ、榛名寝てたの?」

榛名「はい…ずっと提督を待っていたので…いつの間にか…」ネボケ

提督「そうだったの、待たせちゃったね」

榛名「いえ…榛名は大丈夫、で…」ハッ

榛名「て、提督!?」ビク

提督「はいおはよう」

榛名「もう!何処にいらしてたんですか?」

榛名「榛名、大丈夫じゃありませんでした!」プン

提督「ごめんごめん、ちょっと野暮用をね」

榛名「全然見つからないので、榛名ずっと待っていました!」プン

提督「悪かったよ、許して?」ナデナデ

榛名「ひぅっ!?」ビク

榛名「い、今の榛名は…撫でられた位じゃ…」ナデラレ

157: 名無しさん 2016/03/22(火)23:05:47 ID:tEc

提督「そっか…」スッ

榛名「あっ、でも!あと少し撫でていただけたら許してしまうかもしれません!」

提督「よかった」ナデナデ

榛名「あぁ…榛名、幸せです…」トローン

提督「まぁ、待たせてそのままってのもアレだし、入りなよ」

提督「飲み物もおやつ位なら出せるからさ」

榛名「はい!」

提督「さ、金剛も」

金剛「………」カオウズメ

提督「金剛?寝てるの?」

榛名「あ、金剛お姉様は…」

提督「…どうしたの?」

榛名「あの、少し…不貞腐れられてる、と言うか…」アタフタ

提督「あー、そういう…」

金剛「………」

158: 名無しさん 2016/03/22(火)23:06:14 ID:tEc

提督「…えーと」ポリ

金剛「………」

提督「…榛名?」

榛名「はい」

提督「先に部屋、入っといて」

榛名「榛名、了解しました」ニコ

提督「多分、すぐ行くから」

榛名「はい、ではお先に」


ガチャ、パタン



提督「………」

金剛「………」

提督「金剛」

金剛「………」

提督「………」

159: 名無しさん 2016/03/22(火)23:06:47 ID:tEc

提督「…おらぁっ!」ガバッ

金剛「ッ!?」ビク

提督「えっ、金剛目真っ赤やん」

金剛「あっ、や、見ないで下サイ…」イヤイヤ

提督「ちゃんと受け答えする?」

金剛「し、しマスからぁ」

提督「分かった、離すからね」パッ

金剛「うぅ…」カオウズメ

提督「で、どうしたのよ…って聞くのもおかしい気がするけど」

金剛「………」

金剛「…最近思うんデス」

提督「うん」

金剛「ワタシ、噛ませ犬みたいになってマス…」グスッ

提督「はい?」

金剛「だから、まるで噛ませ犬みたいにーー」

提督「いや、それは分かったんだけどね」

提督「うーん…何でそう思ったの?」

160: 名無しさん 2016/03/22(火)23:07:13 ID:tEc

金剛「…ワタシだけ、テイトクとloveれてまセン」

提督「言わんとする事は理解できたよ」

金剛「一航戦は最早言うまでもありまセン」

金剛「それどころか、最近は二航戦や五航戦にまで先を越されてる気がするネ」

提督「そうかな…」

金剛「ソレならまだ百歩譲ったとしても…」

金剛「比叡や榛名も、最近テイトクと何かあったみたいデスし…」

提督「うーん…まぁ、ね」

金剛「霧島もでショ?」

提督「え、霧島?」キョトン

金剛「自分が渡したマイクを使ってくれた、と喜んでたネ」

提督「あ、そうなんだ」

金剛「それはいいとして…」

金剛「妹達にまで先を越されたとなると…」

金剛「……うぅ」

161: 名無しさん 2016/03/22(火)23:07:41 ID:tEc

提督「成程ね」

金剛「ワタシだって、何かアクションを起こしたいネ」

金剛「デモ、どれだけ行動をしても」

金剛「空回ってばっかりネ」

金剛「さっきだって、そうヨ」

提督「さっき?…あぁ」

金剛「再提出のカードを渡そうと思って…」

金剛「確かに、待ち伏せはよくなかったのかもしれまセン」

金剛「デモ…何も逃げることないネー」グスッ

提督「あぁ…あれは、ごめんね?」アセ

金剛「もう怒ってないデス」

提督「う、うん」

金剛「…榛名は撫でてもらってたネ」

提督「う」ギク

金剛「榛名はその前も、何かしてもらってるネ」

提督「…うん」

162: 名無しさん 2016/03/22(火)23:08:14 ID:tEc

金剛「ずるいデス」

提督「ずるいっつってもねぇ…」ポリ

金剛「…テイトク、本当はワタシが嫌いなんデス」ボソ

提督「………」

金剛「デモ、テイトクは優しいから表に出さないだけデス」

提督「…ったく、何言ってんの」ハァ

金剛「だって本当の事でショ?」

提督「違うよ」

金剛「……だったら」ボソ

提督「…?」

金剛「……証拠を、その…」ボソボソ

提督「珍しく歯切れが悪いね」

金剛「う、うるさいネ」タジ

提督「しかし証拠ねぇ、どうしたら分かってもらえるか…」

金剛「………」

提督「うーん、困ったねぇ」ウーン

金剛「…うぅ」

金剛「い、いじわるネ」グスッ

提督「え?」

163: 名無しさん 2016/03/22(火)23:12:43 ID:tEc
金剛「本当は、分かってるんでショ?」

提督「いや、本当に分かんない」

金剛「そ、そんな…」

提督「だってさ」

提督「金剛のそれ、本気なんでしょ?」

金剛「エ…?」

提督「だから、本気でそう思って、本気で悩んだからこそ」

提督「俺に、打ち明けてくれたんじゃないの?」

金剛「それは…そうデスが…」

提督「だから、俺も本気で考えてるんだよ」

金剛「………」

提督「ただ、構って欲しいだとか、拗ねてるとか」

提督「それでも俺は全然構わないよ」

提督「寧ろ喜んで受け入れるさ」

金剛「………」

提督「でも今の金剛は、それとは違うと思ったから」

提督「頭撫でたり、抱きしめたり、じゃないんじゃないかなって」

提督「だから、証拠と言われて少し困ったんだよ」

金剛「………」

提督「だって考えてみなよ」

164: 名無しさん 2016/03/22(火)23:14:10 ID:tEc

提督「愛してる、とか、信じてる、とか」

提督「強く抱きしめたりなんてのも、そう」

提督「言葉や態度ってのはさ」





提督「いくらでも、偽れるんだよ?」ニコ





金剛「っ…」ゾク

提督「それでもいいなら、金剛にもしてあげようか?」ニコ

金剛「そんな…テイトク…」

提督「皆みたいに、それで満足なんでしょ?」ニコ

金剛「イヤ…こんなの、テイトクじゃない、デス…」

提督「いやいや、これが俺だよ」ニコ

提督「艦娘っていう、感情を持った兵器」

提督「それを上手く運用する」

提督「ただ、それだけの人間だよ」

金剛「そんなの、嘘デス」

金剛「ワタシのテイトクは、そんな汚い笑顔しないネ…」

提督「なら、逆に聞くけどさ」

提督「こんな俺は俺じゃないってんなら…」

提督「金剛にとっての俺ってなんなの?」ニコ

金剛「ワタシの…テイトク…」

165: 名無しさん 2016/03/22(火)23:17:02 ID:tEc

金剛「優しくて、たまに厳しくて、どこか抜けてるトコロもあって…」

金剛「デモ、兵器でしかないワタシ達を、誰よりも大切にしてくれて、命懸けで守ってくれマス…」

金剛「そんなテイトクが…ワタシの…」

金剛「ワタシが大好きな…テイトク…デス」

提督「でも、それは全部偽りだった訳だ」ニコ

金剛「…全部、嘘…?」

金剛「…だったら…ワタシのテイトクは…?」

提督「ここにいるやん」ニコ

金剛「違う…ケド、テイトクがワタシのテイトク…?」

金剛「ワタシの、テイトク、は、どこデスか?」ポロポロ

提督「だから、ここにーー」ン?

金剛「テイトクヲ、カエシテ、クダサイ」ポロポロ

提督「あらら、壊れちゃった」

166: 名無しさん 2016/03/22(火)23:17:28 ID:tEc

提督「ま、本性を見せた時から消すのは決まってた事だし…いっか」ニコ

金剛「テイトク、テイトク、テイトク」ポロポロ

提督「んじゃまぁ、壊れた金剛には消えて貰おうかな」スッ

金剛「テイトク…?」

提督「じゃあね、金剛」ボソ



金剛「ーーーテイトク」



金剛「バーニング、ラブ、デス」ニコ



ーーーーブツン



ーーー
ーー

170: 名無しさん 2016/03/27(日)17:21:00 ID:RR4




金剛「………ふぇ?」パチクリ




提督「ん、起きたね」ナデナデ

金剛「…テイ、トク…?」

提督「大丈夫?だいぶうなされてたけど」

金剛「ここ、は…?」

提督「執務室だよ」

提督「戻って来てみたら、榛名と二人して廊下で体操座りしたまま寝てるんだもん」

提督「そのままにも出来ないから俺の部屋に寝せてたんだけど」

提督「金剛がえらくうなされてたから…」

金剛「……全部、夢」ウル

提督「どんな夢か知らないけど、もう大丈夫だからね?」ナデナデ

金剛「ンッ…膝枕、デスか…」ナデラレ

提督「あ、嫌だった?」アセ

金剛「そんな事ありまセン、嬉しいネ」

提督「そりゃよかった」ニコ

171: 名無しさん 2016/03/27(日)17:21:25 ID:RR4

金剛「…!」

提督「ん?どうしたの?」

金剛「テイトク」ギュッ

提督「おっ、と」

提督「…夢、そんなに怖かったの?」

金剛「ハイ…」

金剛「とっても、とっても怖かったデス」

提督「そっか」

金剛「うぅ…」ギュウゥ

提督「…もし、嫌じゃなかったら」

金剛「…?」

提督「どんな夢だったのか、聞かせてくれない?」

金剛「それはーー」

172: 名無しさん 2016/03/27(日)17:21:53 ID:RR4



『いくらでも、偽れるんだよ?』


173: 名無しさん 2016/03/27(日)17:22:23 ID:RR4



金剛「っ…」

提督「まぁ、無理に話さなくてもいいから」

提督「思い出したくもないだろうし、ね」

金剛「イエ、聞いてクダサイ」

金剛「その、見た夢がーーー」


ーー



提督「えー、俺そんな悪い奴だったの?」

金剛「…ハイ」

提督「そっかー」

金剛「…?」

提督「ばれちゃったか」ニコ

金剛「………」

金剛「……テイトク」ウルウル

提督「うそ!嘘だから!」アセッ

金剛「知って、マス」グイ

提督「なら何で泣くのよ」アセアセ

金剛「安心、したから…デス」

提督「…安心?」

174: 名無しさん 2016/03/27(日)17:22:48 ID:RR4

金剛「夢で見たテイトクは、もっと汚れた笑顔をしていまシタ…」

金剛「デモ、本物のテイトクは、そんな笑顔ができる人じゃなかったネ」

提督「結構悪い笑顔をしたつもりだったんだけどなぁ」ウーン

金剛「フフ、ワタシにはお見通しデス」ヨリソイ

金剛「テイトクは本物の悪い人にはなれまセン」ギュ

提督「そっかな」ポリ

金剛「そうデース」

提督「うん、ありがとう」ナデ

金剛「エヘヘ」ニコ

提督「少しは、気が紛れたかな?」

金剛「………」

金剛「…まだデス」

提督「あら、どうしたもんか」

金剛「えっと…その…」タジ

提督「ん?」

175: 名無しさん 2016/03/27(日)17:23:14 ID:RR4

金剛「あの、デスね…」

金剛「キ…を……欲し…ネ」ボソ

提督「……ん?」

金剛「あ、いや、やっぱりーーっ!?」グイ




提督「なんて?」ニコ

金剛「ぁ…その……今…」ポカン

提督「おっと、皆まで言うんじゃないよ」

提督「俺の羞恥心が限界間近だからね」

金剛「ワタシ…テイトクと…」ウルウル

提督「まぁーた泣くー」ナデナデ

金剛「初めて…テイトクに…」ポロポロ

提督「…嫌だった?」

金剛「本気で…聞いてマスか?」グシグシ

提督「いや、まぁ…違うけど」

金剛「なら聞くのはノーデス」ガバッ

提督「さいですか」ポリ

176: 名無しさん 2016/03/27(日)17:23:57 ID:RR4

金剛「エヘヘ…今はワタシだけのテイトクネ」スリスリ

提督「嬉しそうで何よりですよ」

金剛「ネェ、テイトク?」ミアゲ

提督「ん?」

金剛「幾つか、質問してもいいデスか?」

提督「なんなりと」

金剛「…テイトク」

提督「はいよ」

金剛「もし、ワタシが最高練度になったら」

金剛「ケッコンカッコカリ、してくれマスか?」

提督「そりゃ勿論」

金剛「じゃあ、もしワタシがまた虐められてたら」

提督「あの時みたいに、助けてくれマスか?」

提督「当たり前やん」

金剛「だったら…ワタシが構って欲しいと言ったら、構ってくれマスか?」ジィ

提督「時と場所を弁えてね?」

金剛「…最後デス」

177: 名無しさん 2016/03/27(日)17:24:39 ID:RR4

金剛「もし…ワタシが轟沈しそうになって」

金剛「ワタシを置いていく事が最善の策だったとしたらーーーあぅっ」ギュッ

提督「金剛、俺を馬鹿にしてるのかな?」

金剛「…してないネ」

提督「だったら尚更だよ」

提督「…俺は、そんな愚策を最善の策なんかには絶対にしない」

提督「もし、金剛が轟沈しそうになったら」

提督「それを助けるのが最優先だ」

金剛「………」

提督「勿論、誰がそうなってもそうする」

提督「俺の部下は、誰一人として欠けさせない」

提督「ここにいる全員で、平和な海を見るんだ」

金剛「………」

提督「分かってもらえたかな?」

183: 名無しさん 2016/03/31(木)20:58:14 ID:rfP

金剛「わかったネ」

提督「よろしい」ナデ

金剛「ンー♪」


ーー



ヒトハチマルマル


提督「そういえばさ」

金剛「ハイ?」

提督「再提出のカード、持ってきてたんでしょ?」

金剛「あ、持ってきてマス…けど」

提督「けど?」

金剛「もう出さなくてもいいデース」ニコ

提督「え、いいの?」

金剛「だって、コレ…」スッ

184: 名無しさん 2016/03/31(木)20:58:38 ID:rfP

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:金剛

欲しい物:少しだけテイトクを独占したい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



金剛「モウ、叶えて貰いましたから」テヘ

提督「なるほどね」

金剛「なのでワタシは大丈夫デース」

提督「分かったよ、じゃあ後は榛名だけかな」

金剛「そう言えばハルナはどこで寝てるノ?」

提督「え、俺の部屋って言わなかったっけ」

金剛「テイトクの、部屋…?」オキアガリ

提督「うん」

金剛「…ムー」プク

提督「え、どしたの?」

金剛「また、ハルナだけ…」プゥ

提督「あーそういう…」ナルホド

金剛「ハルナだけ、テイトクのお布団…」チラ

提督「俺の膝枕とどっちがいい?」

金剛「膝枕デス」

提督「あっ、即答なのね」

金剛「ハルナが聞いたら羨ましがりマース」キャッ

提督「…あまり振って回らないないようにね」

金剛「自慢したいネー」

185: 名無しさん 2016/03/31(木)20:59:06 ID:rfP

提督「特定の艦種の方々が大挙して押し寄せてきそうだからあまり振って回らないようにね」

提督「後、その艦種の方々は金剛自身にも被害を出しかねないからね、流石の俺も他対一だと止められないからね」

金剛「それは、怖いネ」ブルッ

提督「分かってくれて嬉しい限りだよ」

金剛「煮えきらないけど仕方ないデス」

提督「まぁ、機会があったらまたしてあげるから、ね?」

金剛「約束、デスよ?」

提督「分かってるよ」ニコ

金剛「なら、ハルナの所に行きまショウか」

提督「そうだね」


ーー


186: 名無しさん 2016/03/31(木)20:59:38 ID:rfP


ー提督の部屋ー


ー扉の前ー



提督「さて、ここで金剛に質問があります」

金剛「なんデス?」

提督「ここ、俺の部屋なんだけどさ」

金剛「知ってマス」

提督「ノック、した方がいいかな?」

金剛「テイトクは変な所で初心ネー」クス

提督「初心と言うか、謎の抵抗があるよね」

金剛「ならワタシが先に入りまショウか?」

提督「お、おう。何もないと思うけど…」

金剛「変なフラグ立てるんじよないデス」

金剛「ハルナー、起きてるネー?」コンコン


シーン


金剛「まだ寝てるみたいネ」スッ

187: 名無しさん 2016/03/31(木)21:00:19 ID:rfP

提督「えっ?」

金剛「ワタシより、テイトクに起こして貰った方がハルナも喜びマス」

提督「あぁ、なるほどね」ガチャ

榛名「…zzz」

提督「おぉ寝てる寝てる」ソローリ

金剛「流石mysisterネ、寝姿もprettyデース」ホンワカ

提督「ふむ、これは…あれだね」

金剛「?」

提督「ものすごく頭を撫でたくなるね」ナデナデ

金剛「言ってるそばから撫でてマース」ムゥ

提督「金剛も負けてないよ」ナデナデ

金剛「…フーン」プイ

提督「そう拗ねないの」ナデナデ

提督「…頭撫でられて、気持ちいいって人いるやん」ナデナデ

金剛「…ワタシもそうデース」

提督「そうなの?」ナデナデ

金剛「テイトクにされた時だけデスが」ボソ

提督「ありがとう」ナデナデ

金剛「ッ!」プイ

提督「ういやつめ、それでさ」ナデナデ

金剛「ハイ」

188: 名無しさん 2016/03/31(木)21:00:50 ID:rfP

提督「えーと、何が言いたいんだったかな…そうそう」ナデナデ

提督「頭撫でてる方も気持ち良かったりするんだよね」ナデナデ

金剛「そうなんデスか?」

提督「この、指通りが良いサラッサラの髪がなんともね」

榛名「……///」

提督「そして、撫でる度に香ってくるシャンプー?とその人特有の匂いが混じったあれがなんとも…ね」ナデナデ

金剛「………」

提督「どしたの?」

金剛「イエ、今の多分テイトクじゃなかったらドン引きしてたと思って」ヒキ

提督「ちょっと待って、その反応だと金剛の捉え方はこうだよね」

提督「ハァハァ…榛名たんの髪…ナイススメルでござる…ハァハァクンカクンカ」グェッヘッヘッヘ

金剛「ヒィ!?」アトズサリ

榛名「!?」ビクン

提督「だから違うっつってんの!俺の表現したかったのはこうなんだよ!」

提督「榛名…潮風に晒される機会が多い中、髪の手入れを怠ってないんだな…綺麗だよ」

金剛「あの後だとあまり変わらなく感じるネ」

榛名「………」ドキドキ

提督「いやいや、雲泥の差だからね」

金剛「…まぁ、テイトクだったらどっちでもウェルカムなんデスが…」クンクン

189: 名無しさん 2016/03/31(木)21:01:50 ID:rfP

提督「え、何してんの?」

金剛「ワタシの髪、臭くなかったカナーって」クンクン

提督「そんなことなかったよ」

金剛「嗅いだんデスか!?」

榛名「!?」

提督「ちょっと」

金剛「~~ッ」カァァ

提督「どしたのよ」

金剛「ど、どうデシタか?」

提督「何が?」

金剛「ワタシの…その…」

提督「いい匂いだったよ」

金剛「ッ、そ…そうデスか…」

提督「うん」

金剛「じゃあ……ン?」

190: 名無しさん 2016/03/31(木)21:02:19 ID:rfP

榛名「……っ」ス、スヤァ

金剛「………」フーン

金剛「テイトク」

提督「ん?」

金剛「ハルナの髪はどうでしょうネェ?」ニコ

榛名「!?」スヤァ!?

提督「榛名かぁ」

提督「既にやんごとなきかほりが鼻を包んで候だから」

提督「きっと素晴らしい桃源郷が待ってる事だろうね」

金剛「わからないデスよ?」

金剛「表面はシャンプーの香りがするかもデスが」

金剛「もしかしら、頭皮は臭うかもしれまセン」チラッ

榛名「!?!?」ビクン

提督「ん?」

榛名「………」ス、スヤァ…

金剛「しかも、今ハルナは寝ていマス」

金剛「寝てる時、結構汗をかく人もいマスから…」

榛名「……っ」アセアセ

191: 名無しさん 2016/03/31(木)21:03:11 ID:rfP

提督「榛名汗かいてないよ?」

金剛「ワタシもハルナもロングヘアーデスからネ、素肌はともかく頭皮は蒸れる事もありマスから?」チラッチラッ

榛名「………」ダラダラ

提督「ふーん」

金剛「いやぁ、もしこれでハルナから夏の剣道部の部室みたいな匂いがしたら…」

提督「夏の剣道部…?」

金剛「テイトク、ショックを受けるでショウネー」チラッチラッ

榛名「」

金剛「デモ、ハルナは寝てマスから確認もできない」

金剛「マァ?逆に考えれば?寝てるから分からないって事にもなりマスが?」チラッチラッ

提督「…?」

金剛「サァ!テイトク!」

提督「はい?」

金剛「ハルナの頭に顔を当てて」

金剛「思いっきりクンカクンカするネー!!」

提督「あ、はい…それじゃ失礼してーー」

榛名「わ、わぁ!榛名目が覚めました!」ガバ

提督「んごっはぁ!?」ゴチン


イッテェェエ!!


ハルナ…イタイデス…


テイトク!ハナヂガデテルネー!


ーー

196: 名無しさん 2016/04/04(月)20:18:36 ID:BbV



ヒトキュウマルマル


榛名「提督…大丈夫ですか?」アセ

提督「うん、血は止まったからね」ハナティッシュ

金剛「あーあー、ハルナのせいでテイトクが流血したネー」

榛名「榛名は…うぅ…」シュン

提督「こら金剛、榛名を責めるんじゃないよ」

金剛「…デース」

榛名「提督、ごめんなさい…」シュシュン

提督「気にしないでいいよ、たかが鼻血じゃない」ナデナデ

榛名「ですが…」

提督「俺が金剛の口車に乗ったから悪かったんだよ」

提督「女性の髪を許可なく嗅ごうとした罰だね」アハハ…

榛名「っ…」カァ

提督「あはは……あっ」

金剛「エー?テイトクそんな事しようとしていたんデスかー?」

提督「いや、今のは言葉の綾と言うか…」

榛名「……///」カァァ

197: 名無しさん 2016/04/04(月)20:19:00 ID:BbV

金剛「榛名、らしいデスが?」

榛名「……///」ウツムキ

提督「畜生!金剛俺に何の恨みが!?」ウオー

榛名「…は、榛名は」

金剛「ンー?」

榛名「本当は、起きていたんです…」

提督「うぉぉお!…え?」

榛名「…あぅ」カァ

提督「…どこから?」

榛名「提督に、榛名の髪を褒めていただいてる辺りから…です」

提督「あー、そうだったの」チラ

金剛「テヘペロ」

提督「だからあんな事言ってたのか」

金剛「タヌキ寝入りして提督に頭を撫でてもらおうとするハルナも悪いネー」プゥ

提督「もう二度と頭撫でてやんないから」

金剛「What!?」ガーン

提督「あー、金剛って妹に意地悪するような奴だったのかー」

提督「ショックだなー」

金剛「うぅ…」タジ

198: 名無しさん 2016/04/04(月)20:19:28 ID:BbV

提督「そうだなー、これからは榛名と比叡と霧島…だけ撫でてやるかなー」チラ

金剛「…そ、そんな」ウルッ

榛名「提督」

提督「ん?」

榛名「榛名は大丈夫ですから、金剛お姉様を許してあげて下さい」キュッ

提督「えー、いいのー?」

榛名「榛名が寝たふりをしていたのも事実ですから…その…」

提督「お互い様って?」

榛名「そう、です」

提督「だってさー」

金剛「ハルナ…ごめんネー」グシッ

榛名「いえ、私こそ…ごめんなさい」


デ、ハルナノアタマハクサカッタデスカ?

コンゴウオネエサマ!?///

ワカンナカッタカラ、モッカイイイ?

テイトクマデ!?///


ーー

199: 名無しさん 2016/04/04(月)20:22:30 ID:BbV


提督「で、榛名」

榛名「はい?」

提督「再提出のカード、持ってきた?」

榛名「あ、はい!ここに…」ゴソゴソ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:榛名

欲しい物:提督とおでかけしたいです
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


提督「ふむ」

榛名「駄目でしょうか…」

提督「ん、いいよ」ニコ

榛名「榛名、感激です」パァ

金剛「………」

金剛(アノ場の雰囲気に飲まれて、叶えて貰ったとか言うんじゃなかったネ…)

提督「ただ、今日の明日じゃ難しいんだけど」

提督「少し待ってもらえる?」

榛名「はい!榛名、待ちます!」キラキラ

金剛「………」

金剛(くぅ、羨ましいデス…)

提督「さぁて、これで全員分かぁ…って」ノビー

200: 名無しさん 2016/04/04(月)20:23:02 ID:BbV

提督「金剛、どしたの?」

金剛「…エッ、何がデスか?」ビク

提督「いや、ずっと黙ってたからさ」

金剛「ワタシを四六時中喋ってる騒がしい奴みたいに言わないで欲しいネー」

提督「あらそう」

金剛「今はハルナのターンでしたから、自重してたんデス」ムン

提督「なるほどね」

榛名「そういえば、そろそろ一航戦のお二人が帰って来られるのではないでしょうか」

提督「の、筈なんだけどねぇ」

金剛「今日を過ぎると流石に心配ネー」

提督「あの二人だから大丈夫だとは思ってるんだけど…」ウーン

榛名「提督」

提督「ん?」

榛名「こう言ってはなんですが…もしもの時は榛名にお任せ下さい」

榛名「提督の大切な人は榛名にとっても大切ですから」ニコ

金剛「ワタシもデース!いけ好かないけど、いないと少し物足りないネー」

提督「お前ら…」トゥンク

提督「ま、まぁ…緊急の時は俺含め全力で救出しに行くから、そん時はお願いね」

榛名「榛名!全力で参ります!」

金剛「あの二人に恩を着せてやるネー!」

201: 名無しさん 2016/04/04(月)20:23:43 ID:BbV

提督「はいはい、頼りにしてるよ」

榛名「では、榛名はそろそろお部屋に戻りますね」

金剛「ワタシも戻るデース」

提督「ん、俺も戻ろうかねぇ」

榛名「では、失礼します」ニコ

金剛「テイトク、またネー」フリフリ

提督「おーう」


パタン


提督「………」

提督「んー…」ノビー

提督「ーーっはぁ」ヨイショ


スタスタ…ゴソゴソ


提督「えーっと、確かこのへんに…あった」


ポチ


ウィーン…プシュー、ガコン


提督「………」スタスタ

提督「えーと、どれにしようかなーっと」ピタ

提督「…これかな」スチャッ

202: 名無しさん 2016/04/04(月)20:24:25 ID:BbV

提督「………」クル、スタスタ…


ポチ


ウィーン、ガコーン



提督「…川内、いるんだろ?」


シーーン…


提督「…そうか」

提督「ほいじゃこれで」チャキ

提督「ばいばい、川内」ニコ


パァン


提督「」ドサッ

205: 名無しさん 2016/04/06(水)23:46:14 ID:btG


川内「えっ…?」シュタ

提督「」

川内「え、なんで…?」

提督「」ジワァ

川内「なんで、突然…」

川内「頭、血、いっぱい出てる…」

川内「ねぇ、提督、起きてよ」ユサユサ

提督「」

川内「提督、嘘なんでしょ?ホントは生きてるんでしょ?」ユサユサ

提督「」

川内「私、分かんないよ」ユサユサ

提督「」

川内「ねぇ、ねぇってば」ユサユサ

提督「」

川内「嫌だよ…提督、起きてよぉ…」ポロポロ

206: 名無しさん 2016/04/06(水)23:46:35 ID:btG

提督「何て?」ガバ

川内「きゃあぁあ!?」ビクッ

提督「ふふふ、まんまと騙されたな」

川内「騙され…た?」

提督「そ、今回も俺の勝ちだねぇ…って川内?」

川内「~~っ」プルプル

提督「えぇっと、あの…川内さん?」

川内「提督のーー」ボソ

提督「え?なんだっーー」

川内「提督の馬鹿!!!!」スパァーン

提督「アイヤァァア!」ヒューン ドガァァアン


イッテェェエ!!



ーー

207: 名無しさん 2016/04/06(水)23:47:23 ID:btG


フタマルマルマル


川内「何で提督はいっつもいっつも」プンスコ

提督「ハイ スイマセンデシタ」

川内「青葉も悪戯で泣かしたんでしょ?」

提督「何で知ってんの?」

川内「私あの時涙をいっぱいに溜めて執務室から出てくる青葉見たから」

提督「おぉっと」

川内「提督の悪戯はね、悪戯のレベルを超越してるの、わかる?」

提督「はい」

川内「そんなに女の泣く姿が見たいの?」

提督「自分の為に泣いてくれる女の子とか」

提督「最高じゃん」

川内「最低の間違いだと思うな」ジト

提督「…はい」

川内「本当に反省してるの?」

提督「まぁ、少しは」

川内「悪戯するなとは言わないけど、あまりタチの悪い悪戯はやめてね?」

提督「頭の片隅にでも置いておくよ」

川内「本当に心配したんだから…」ボソ

提督「ありがとう」

川内「っ!そこは聞こえないフリをするのが常識でしょ!?」カァ

提督「聞こえる声で言う方が悪いんだよ」

川内「そ、そうかな…」

提督「多分ね」

208: 名無しさん 2016/04/06(水)23:47:48 ID:btG

川内「まぁいいや!ところで提督!」

提督「んー?」

川内「さっきの隠し部屋、何なの?」

川内「私、あんなの知らなかったよ」プク

提督「あぁ、あれ?」

提督「明石に作ってもらってた俺専用武器庫だよ」

川内「へぇ」

提督「普段使う事ないから、明石と俺以外は知らないんじゃないかなぁ」

川内「…へぇ」

提督「…何でちょっと嬉しそうなのよ」

川内「なぁーんでもないよ♪」

提督「まぁ、それだけなんだけど…」

川内「でもさ、提督に武器は必要なくない?」

川内「普通に強いじゃん?」

提督「普段使わないってのはそう言う事だよ」

提督「ここを本気で使う時があるとしたら…」

209: 名無しさん 2016/04/06(水)23:48:10 ID:btG

提督「空と海が真っ黒に染まる位の敵が迫って来てて…」

提督「こっちで戦えるのは俺だけ」

提督「みたいな?」

川内「どうやったらそんな状況になるの?」

提督「さぁてね、備えあれば憂いなしって言うやん?」

川内「そうだけどさ…あ」

川内「じゃあ、さっきの銃はなんだったの?」

提督「あぁ、あれはちょっと特殊なやつでね」

提督「俺の命が引き合いに出される取引の時とか、自害に見せかける時に使う銃さ」

川内「そんな状況、滅多にないでしょ…」

提督「滅多にない状況程、あった時が重要だったりするんだよ」

川内「んー、よく分かんないよ…」

提督「お前らを守るのには、力以外にも必要なもんがたくさんあるって事だよ」

川内「ちょっとだけ分かった気がする」

提督「ま、そこら辺は川内が気にする事じゃないしね」

川内「うーん、そうなのかなぁ…」ウーン

提督「さ、この話はやめやめ」パンパン

提督「そもそも、何の用だったの?」

川内「えー…あ、何だったかなぁ…」

210: 名無しさん 2016/04/06(水)23:48:34 ID:btG

提督「また俺が殺されるとかやめろよな」

川内「いや、そんなんじゃないんだけど…」

川内「えーと…」ウーン

提督「……あ」

川内「どしたの?」

提督「川内さ、カード出さないの?」

川内「…カード?」

提督「うん、出してないの川内だけだからね」

川内「あぁ…私はいいよ」

提督「何でまた」

川内「言い出しっぺだしね」

提督「川内が言い出したから、皆がその恩恵を受けられるんであってだね」

川内「難しい事は考えないの!」

提督「テイトク、ブカ、ミンナビョウドウ」

川内「何でインディアン調なの?」

川内「それと、平等じゃないよね」ジト

提督「テ、テイトク、センダイ、マルカジリ」

川内「私を丸かじりするの?」

提督「テイトク、センダイ、クウ」

川内「食うって…まさか…」

川内「夜戦…?///」

提督「おっとそこまでだ」

川内「なんでよー」プゥ

211: 名無しさん 2016/04/06(水)23:51:04 ID:btG

提督「んー、だってねぇ」

川内「私と夜戦、嫌なの?」

提督「嫌って言うか、ねぇ」

川内「やっぱり、空母じゃないから?」

提督「それ言われると、ねぇ」

川内「はぐらかすのヘタクソかよ」

提督「いやまぁ、ねぇ」

川内「むー、もういいもん」プイ

提督「おこなの?」

川内「おこだよーだ」

提督「…分かったよ」ハァ

川内「……?」

提督「夜戦、してやるから」

川内「…ほんと?」

提督「あぁ、川内にゃ負けたよ」ヤレヤレ

川内「えっと…嘘じゃ、ない?」

提督「嘘つく理由がないでしょ」

川内「…え、あ、えぇと」

川内「私、初めて…なん、だけど…」カァア

提督「嘘をつくな」

川内「う、嘘じゃないもん!」

212: 名無しさん 2016/04/06(水)23:51:41 ID:btG

提督「いや嘘だろ、俺知ってんだぞ」

川内「そんなのデタラメだよ!本当に初めてだもん!」

提督「何でそんなバレバレの嘘つくのよ」

川内「本当に本当だもん!初めては提督にって私ーーー」ハッ

川内「…ねぇ」

提督「どしたの?」

川内「提督の言ってる夜戦て、何?」

提督「夜戦は、夜戦だね」

川内「なんかこう、含んだ意味を持ってたり…する?」チラ

提督「何言ってんだ?」ニヤ

川内「い、いや…これはその、違うの!」アタフタ

提督「違わないでしょ」ニヤニヤ

川内「にやにやすんなー!」プンスコ

提督「そっかぁ、川内は初めてなのかー」ニッコリ

川内「うるさい馬鹿!!」ゲシッ

提督「ア゙ア゙ッ!?」

川内「ふーんだ」プイ

213: 名無しさん 2016/04/06(水)23:52:05 ID:btG

提督「泣き所を的確に攻撃しよってからにぃ!」ゴロゴロ

川内「しーらない!私帰る!」スタスタヒラ

川内「後、早く顔洗わないと血糊だらけだよ!」


バタンッ!


提督「あぁ、いてぇよぉ……ん?」

提督「川内、なんか落としていっ…あ」ヒロイ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦名:川内

欲しい物:なんにもいらない。ずっと提督と一緒にいたいなぁ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



提督「……」

提督「………」

提督「馬鹿だなぁ、こんなの…」

提督「欲しがらなくても、叶えてやるのにねぇ」チラ

提督「なぁ、川内?」ボソ

214: 名無しさん 2016/04/06(水)23:52:31 ID:btG

ーー



ー執務室前ー


ー扉越しー


「…ふふっ」モタレ

「ありがとう、提督」

「ずっと、一緒だからね」ニコ


スタスタスタ…



222: 名無しさん 2016/04/10(日)09:05:58 ID:msb


フタヒトマルマル


提督「………」ジャー、キュッ

提督「……ふぅ」フキフキ

提督「さて、あの二人以外全員の希望も聞けた事だし」

提督「そろそろ準備に入らないとねぇ」


コンコン


提督「んあーい」

叢雲「何よ、その気の抜けた返事はっ、と…」ヨイショ

提督「おー叢雲さん、なにそれ」

叢雲「アンタが頼んでたプレゼントよ」ドサッ

叢雲「ここまで運ぶの、重かったんだから」フゥ

提督「おぉ、間に合ったね」

叢雲「そうね、と言うか」

叢雲「やっぱりアンタがプレゼント配るんじゃない」

提督「えっ…あっ」

叢雲「その反応、バレてないとでも思ってたの?」

提督「いやぁ、なんと言うか…ねぇ」

叢雲「そもそもこれ、私の前で買ってたじゃないの」

提督「くそぅぬかった!」

223: 名無しさん 2016/04/10(日)09:06:33 ID:msb

叢雲「はぁ、肝心なとこで抜けてるんだから」

提督「いやぁ完全に忘れてたよね」テヘペロ

叢雲「余りに自然過ぎて私も違和感すら感じなかったわよ」

提督「ま、黙っといて下さいな」

叢雲「それは構わないけど…」

提督「けど?」

叢雲「殆ど、気付いてると思うわよ?」

提督「なん…だと…?」

叢雲「考えてみなさいよ」

叢雲「そうでもしないと、誰がアンタにして欲しい事なんて書くの?」

提督「………」ガーン

叢雲「ま、それでもいいんじゃない?」

提督「そんな…それじゃ意味が…」ショボン

叢雲「………」ハァ

叢雲「アンタねぇ」

叢雲「ここにいるアンタの部下全員に聞いてみなさい」

提督「…なんて?」

叢雲「プレゼントを貰うならサンタクロースとアンタ、どっちからがいい?って」

提督「………」

叢雲「きっと、満場一致だと思うわよ?」

224: 名無しさん 2016/04/10(日)09:07:27 ID:msb

提督「…みんな俺よりサンタの方がいいってのか…」ギリッ

叢雲「本気で言ってんの?」

提督「…いやさ、自惚れてると思われたくないやん?」

叢雲「分かってんじゃない、だったら簡単よ」

提督「何がだよ」

叢雲「ここでは、アンタがサンタだって事なのよ」

提督「………」

叢雲「皆それを分かってるから、確信を突かずにアンタにお願いをしてるんじゃない?」

提督(五航戦は本気で信じてたけどな)

提督(天龍なんてもっとーーー)

叢雲「何か言いたそうね」

提督「うーん、まぁ気は晴れたよ」

叢雲「ま、そゆことよ」スタスタ

提督「あれ、もう帰るの?」

叢雲「サンタさんは、今から忙しいんでしょ?」

提督「あぁ、まぁねぇ」

225: 名無しさん 2016/04/10(日)09:07:56 ID:msb

叢雲「それに、新郎にもなるんだったかしら?」

提督「っ、あくまでカッコカリだからな!」

叢雲「…アンタ、くれぐれもそれを本人達の前で言わないことね」

提督「わかってらぁ」

叢雲「ならいいわ、じゃあね」フリフリ

提督「あぁ、お疲れさん」


バタン


提督「とりあえずこれはここに置いといていっか」

提督「執務室、戻んないと」


ーー

226: 名無しさん 2016/04/10(日)09:08:34 ID:msb

ー執務室前の廊下ー



提督「…おん?執務室の電気がついてら」スタスタ

提督「俺、消し忘れてたっけ」スタスタ

提督「…あ、そっかアイツらが」スタスタ


ガチャ!


「……!!」タタタッ


ガバッ


提督「っとと、」ウケトメ


「………」ギュウゥ


提督「ん、帰ってたのね」


「…はい、貴方」


提督「まだ、少し気が早いんじゃない?」クス


「…そう」


提督「ま、何にせよ」


提督「おかえり、加賀やん」


加賀「…はい」


ーー

232: 名無しさん 2016/04/13(水)21:42:11 ID:iHG


ー執務室ー


提督「んで、早速聞きたい事があるんだけど」

加賀「何ですか?」スリスリ

提督「あの隅っこで壁の方向いて体操座りしてる赤いの、何?」

加賀「赤城さんですが」スリスリ

提督「うん、それは知ってるんだけどね」

加賀「…?」スリ

提督「つまりは、何があったの?」

加賀「それは…」

加賀「その…」ソデツマミ

提督「ん?」

加賀「赤城さん…間に合わなかったんです」ボソ

提督「あぁ、そゆこと」

赤城「………」イジイジ

加賀「後少しではあったんだけれど…」

提督「なら頑張ってくればよかったんに」

加賀「それが、その…これを」スッ

提督「なにこれ…」

233: 名無しさん 2016/04/13(水)21:43:04 ID:iHG

提督「はぁぁぁあああ!?」ガタッ

加賀「っ」ビク

赤城「!!?」ビックゥ

提督「高速修復材…ゼロ…?」

加賀「提督、怒らないで」キュッ

提督「いや、怒ってはないんだけどね」

提督「数百はあったバケツが一日で虚空の彼方に消えてたら、そりゃ怒りこそしなくても驚くよね」

加賀「…ごめんなさい」

提督「いやいや、バケツはまた貯めればいいから」

提督「それに、使った目的が目的だからねぇ」

加賀「…やっぱり貴方は、優しいのね」ダキ

提督「性分なんだよ」ナデナデ

赤城「……んんっ」

提督「…?」チラ

赤城「………」イジイジ

提督「…加賀やん」ボソ

加賀「何かしら」スリスリ

234: 名無しさん 2016/04/13(水)21:43:51 ID:iHG

提督「見てみろよ、漫画みたいに床に八の字書いてる奴がいるよ」

加賀「赤城さんも構って欲しいんだと思います」スリスリ

提督「そうなのかな」

加賀「きっとそうです」スリスリ

提督「ねぇ加賀やん?」

加賀「何かしら」スリスリ

提督「ちょっと頬ずりし過ぎじゃない?」

加賀「そんなことないわ」スリスリ

提督「さいですか」

赤城「………」イジイジ

提督「…赤城さーん?」

赤城「………」グズグズ

提督「あちゃあ」

加賀「…帰り道からずっと塞ぎ込んでましたから」スリスリ

提督「うーん…どうしたもんかねぇ」ウーン

235: 名無しさん 2016/04/13(水)21:44:12 ID:iHG

加賀「………」スリスリ

提督「………」ウーン

赤城「………」イジイジ



シーーン



加賀「………」スリスリ

提督「………」ウーン

加賀「………」スリスリ

提督「………」ナデナデ←無意識

赤城「……っ」ズキ

赤城「………」スク


スタスタ…


提督「お、おい赤城」


バタン

240: 名無しさん 2016/04/17(日)20:56:27 ID:uZH



加賀「……提督」

提督「分かってるよ」

提督「ちょっと行ってくるからね」

加賀「はい、ここで待っていても?」

提督「構わないけど、疲れてない?」

加賀「大丈夫です」

提督「ん、眠くなったら寝てていいからね」

加賀「分かりました」

提督「じゃあ行ってくるからーー」キュッ

提督「…どしたの?」

加賀「………」ジィ

提督「はいはい、おいでーー!?」

241: 名無しさん 2016/04/17(日)20:56:47 ID:uZH

加賀「……っはぁ」

提督「あ、あのねぇ」

加賀「やりました」ホッコリ

提督「なんか大胆になってない?」

加賀「正妻の余裕、です」ムン

提督「だから、少し早くない?」

加賀「…そう」シュン

提督「………」

加賀「………」ウツムキ

提督「…後少し、待ってね」ナデ

加賀「………」カオアゲ

提督「赤城、連れてくるから」ニコ

加賀「…はい」ギュウ


ーー

242: 名無しさん 2016/04/17(日)20:57:22 ID:uZH


ー明石ラボー


提督「明石、いるかい?」

明石「はいー、いますよー」

提督「………」

提督「………」


シーーン


提督「……あれ?」

明石「あ、忘れてた」スタタ


ガチャ、ギギギギギ…


明石「はい、いらっしゃい」ニコ

提督「何で手動なの?」

提督「しかもすんごい重そうだし」

明石「味があるでしょ?」

提督「凝り性だねぇ」

明石「ま、それはさておき」

明石「どうしました?」

提督「あぁ、明石に聞きたい事があってねーーー」


ーーー
ーー

243: 名無しさん 2016/04/17(日)20:57:57 ID:uZH


フタフタマルマル


ー空母寮ー


ー赤城・加賀の部屋ー



…コンコン


シーーン


提督「入るよ」ガチャ

赤城「………」

提督「なーに塞ぎ込んでんの」ヨッコラセ

赤城「………」

提督「別に今日じゃなくても、また頑張ればいいやん?」

赤城「………」

提督「俺も、ちゃんと準備して待ってるからさ」

赤城「………」

提督「だからさ、機嫌治してさ」

提督「まず、加賀やんを祝ってやろうよ」

赤城「………」

提督「…んー」ポリ

赤城「…私は」ポツリ

244: 名無しさん 2016/04/17(日)20:58:33 ID:uZH

提督「ん?」

赤城「…いつかこうなるんじゃないかと、その未来が訪れるのが怖くて…」

提督「うん」

赤城「それでも、あと少し頑張れば」

赤城「後ろに控えてるのは加賀さんだけだから」

赤城「このまま、逃げ切るつもりだったのに…」

赤城「最後の最後で、加賀さんに抜かれて」

赤城「結局、間に合いませんでした」

提督「…うん」

赤城「完全に、私の慢心です」

赤城「これだけは…」

赤城「提督の最初のケッコン相手だけは…っ」

赤城「何としても、私が…」

赤城「そう、思っていたのに…」

提督「………」

提督「赤城」

赤城「……はい」

提督「諦めたの?」

赤城「っ……」

245: 名無しさん 2016/04/17(日)20:59:02 ID:uZH

赤城「もう、済ませて来たのでしょう?」

提督「何がよ」パッ

赤城「あれ、指輪…」

提督「待たせてんだよ、加賀やんを」

赤城「…それには、及びません」

赤城「今からでは、間に合いませんからか」

提督「………」

提督「…いいんだな?」

赤城「………」

提督「加賀やんと、先にケッコンしても」

提督「いいんだな?」ジッ

赤城「………」

赤城「…今の私に」

赤城「それを、止める権利は…」

赤城「ありません…から」

提督「………」

提督「…そっか」スク

赤城「………」

提督「……赤城」スタスタ

赤城「……はい」

246: 名無しさん 2016/04/17(日)21:00:10 ID:uZH



提督「見損なったよ」



バタン



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

247: 名無しさん 2016/04/17(日)21:01:01 ID:uZH




シーーーン



「…これで、良かったんです」ポロポロ


「私が…提督の一番なんてっ…」ボロボロ


「……提督っ」グシュ




ーー

248: 名無しさん 2016/04/17(日)21:02:12 ID:uZH


ー廊下ー


スタスタスタ


「提督ーっ!」


「明石か、どうしたの?」


「いやぁ、どうなったのかなって」


「もう、いいんだってさ」


「…えっ?」


「それって…どういう…」


「諦めるんだと」


「そんなっ、あの人に限って…」


「私、説得してきます」


「…無駄だと思うよ」


「そんな事ないです」


「何でそう言えるの?」

249: 名無しさん 2016/04/17(日)21:02:45 ID:uZH


「あの人が提督をどう思ってるか」


「それを一番長く見てきたのは」


「私だから、です」


「ふぅん…ま、勝手にしなよ」


「随分と軽いんですね」


「アイツが自分で言ったんだ」


「…そうですか」


「提督」


「なによ」


「私、ちょっと残念です」

250: 名無しさん 2016/04/17(日)21:03:24 ID:uZH


「提督だって本当は知ってたから」


「さっき、あんな事聞いたんでしょ?」


「………」


「引っ張ってでも、連れ出すと思ってたのに…」


「少し、見損ないました」スタスタスタ


「………」




「………」


「……赤城」



ーーー
ーー

251: 名無しさん 2016/04/17(日)21:03:51 ID:uZH


ー空母寮ー


ー赤城・加賀の部屋ー


明石「赤城さん」ガチャ

赤城「…はい?」

明石「聞きましたよ」

明石「加賀さんに譲るらしいですね」

赤城「っ…そうですが」

明石「いいんですか?」

赤城「いいも何も…」

赤城「最高練度でもない私に、口を挟む権利なんて…」

明石「だったら今からでも」

赤城「無理ですよ」

明石「何故?」

赤城「もう、夜です」

赤城「空母である私が、今からどうやってーーー」

252: 名無しさん 2016/04/17(日)21:04:30 ID:uZH

明石「提督が、ここに来ませんでしたか?」

赤城「……来ましたが」

明石「何か、言われませんでしたか?」

赤城「…加賀さんと、本当に先にケッコンしていいか、と」グッ

明石「それで、赤城さんは何と?」

赤城「それに口出しできる権利はないから、と」

明石「ふぅん、そうですか」

赤城「もう放っておいて下さい、私はーーー」

明石「何故、提督はそう聞いたんでしょうか」

赤城「…?」

明石「何故だと思います?赤城さん」

赤城「…それは」

明石「何か、方法があったんじゃないですか?」

赤城「だとしても…」

明石「赤城さん次第で、間に合うんじゃないですか?」

赤城「………」

明石「提督は赤城さんにーーー」

赤城「もうやめて下さい!!」

明石「っ!」

253: 名無しさん 2016/04/17(日)21:05:08 ID:uZH

赤城「何故、こんな私にそこまで拘るんですか?」

赤城「こんな、出来損ないの私に…」

明石「…それ、本気で言ってます?」

赤城「本気も何も、事実でしょう?」

赤城「1年も先に配属されて、ずっと旗艦を務めていたにも関わらず最後には抜かれ」

赤城「その挙句、勝ち取った加賀さんを待たせてまで同時にケッコンしようなんて」

赤城「図々しいにも程がありますよ」

赤城「そう、負け犬はおとなしくしておくべきなんです」

明石「赤城さん」

赤城「私に、一番なんて…」フルフル

明石「赤城さん、それ以上はいけません」

赤城「元より、烏滸がましかったんですよ」

明石「赤城さん!」パチン!!

赤城「っ、」

明石「いい加減にしなさい」

明石「提督がどんな気持ちで二人のお願いを叶えようとしていたか」

明石「提督にとって、二人とのケッコンがどんなものなのか」

明石「それを貴女が知らない訳じゃないでしょう?」

赤城「………」

254: 名無しさん 2016/04/17(日)21:05:26 ID:uZH

明石「もうこの際だから言いますよ」

明石「提督はここに来る前に、私の所に来ました」

明石「そこで、提督がなんて言ったと思いますか?」

赤城「………」


ーー

255: 名無しさん 2016/04/17(日)21:06:10 ID:uZH


明石『…艦娘の練度?』

提督『そ、実戦とか演習、遠征以外でどうやったら上がるかなって』

明石『あー、考えた事もなかったですねぇ』

提督『仲間内じゃ、ダメなんだよね?』

明石『はい、確かに実力の向上には繋がりますが、数値としては何の効果もありません』

明石『ただ、その経験が実戦や演習に活かされて』

明石『必然的に練度の上昇を手助けする、って事にはなりますが…』

提督『如何せん急ぎだからなぁ…』

明石『え?何かあったんですか?』

提督『あぁ、赤城が間に合わなかったんだよ』

明石『ありゃ、それは…』

提督『あと少しつっんで、どうにかなんないかなぁ…って』

明石『うーん、難しいですねぇ』

明石『本来、練度ってすごく曖昧なもんでして』

明石『例えば、旗艦やMVPで練度の量が増加するのはご存知の所だと思うんですが』

明石『ならその理由は?』

提督『あー、当たり前過ぎて深く考えた事なかったなぁ』

256: 名無しさん 2016/04/17(日)21:06:46 ID:uZH

明石『まぁ、それ自体ハッキリ分かってないんですが』

明石『仮説、と言うか最も有力なのはー』

明石『心、です』

提督『ふむ…』

明石『気持ちの向上が練度の増加に繋がる』

明石『旗艦だから頑張らないと!』

明石『MVP取れた!やった!』

明石『そんな感じですね』

提督『なるほどねぇ』

提督『でも、それで言ったら味方同士だって』

明石『だから、仮説と言ったんですよ』

提督『そこら辺はなぁなぁなのね』

明石『そゆことです』

提督『ならさ』

明石『はい』

提督『俺ならどうだろう?』

257: 名無しさん 2016/04/17(日)21:07:31 ID:uZH

明石『え、提督が何ですか?』

提督『俺と赤城でなら練度上がらないかな?』

明石『あー、それは…』

明石『何とも言えませんねぇ』

提督『やっぱり?』

明石『如何せん前例がありませんから…』

明石『保証はできませんし、無理と思っていた方がいいでしょうね』

提督『やっぱりかぁ…』ウーン

明石『まぁ、今から急いで練度上げようってんなら』

明石『私肥やしになります!って志願してくる深海凄艦が出てこない限り…』

提督『……明石、今なんて?』

明石『だから、ドMな深海凄艦がーー』

提督『それだよ!』

明石『は?』

提督『明石!』ガシ

明石『ちょ、提督!?』アタフタ

258: 名無しさん 2016/04/17(日)21:10:07 ID:uZH

提督『俺を…深海凄艦にしてくれないか?』

明石『寝言は寝て言え』

提督『…一時的に深海凄艦になれます!みたいな薬とかないの?』

明石『そんなの、あったら面白…無いですよ』

提督『明石ならできるでしょ?』

明石『いやいや、できるできないじゃなくてですよ?』

明石『そんなに急がなくても、明日じゃダメなんですか?』

259: 名無しさん 2016/04/17(日)21:10:41 ID:uZH

提督『………』

提督『…加賀やんを、待たせてるんだ』

明石『………』

提督『確かに、加賀やんも頑張った』

提督『本来なら、あの場で俺は加賀やんに指輪を嵌めてあげないといけなかったんだ』

提督『でも俺は、それをせずに加賀やんに待ってくれと頼んだ』

提督『だから、今加賀やんを待たせてるこの時間は』

提督『ただ、俺のワガママなんだよ』

明石『………』

提督『俺は、どちらかなんて選べない』

提督『どっちも、一緒にがいいんだ』

明石『………』

提督『頼めないだろうか』ペコ

260: 名無しさん 2016/04/17(日)21:11:31 ID:uZH

明石『………っとに』ハァ

明石『…提督、顔を上げて下さい』

提督『………』

明石『やれるだけやってみますが、上手くいくか分かりませんよ?』

明石『それでも、いいですか?』

提督『頼む』

明石『後は、先程言った通り、気持ちの問題でも左右されますから』

明石『赤城さんが乗るかどうかですけど』

提督『アイツなら、大丈夫さ』ニコ

明石『……ですね』ニコ


ーーー
ーー

261: 名無しさん 2016/04/17(日)21:12:04 ID:uZH


明石「…ちょっと長くなったんですけど」

明石「言いたい事は分かりましたか?」

赤城「………」

明石「赤城さん」

明石「提督は、加賀さんと貴女を愛しています」

赤城「………」

明石「でないなら、本来焦るような事ではないから」

赤城「………」

明石「提督は、何がなんでも一緒が良かったんです」

赤城「………」

262: 名無しさん 2016/04/17(日)21:12:25 ID:uZH

明石「それは、捉え方を変えたら」

明石「ただの優柔不断なのかも知れませんけどね」

赤城「………」

明石「でも、それがどんな感情からなのか」

明石「それを一番知ってるのは貴女と加賀さんでしょう?」

赤城「………」

明石「…私の準備は終わっています」

明石「提督に何を言われたのかは知りませんが」

明石「提督はそれを本気で言ってないでしょう」

明石「後は、貴女次第です」

明石「夜明けまで、私達は地下闘技場にいます」

明石「……では、失礼しますね」


スタスタ…パタン


赤城「………」


ーーー
ーー

269: 名無しさん 2016/04/22(金)00:46:35 ID:OLP



フタサンマルマル


提督「さて、プレゼント配布もなんやかんやで残りは空母か…」

提督「皆寝た振りしてたり、開き直って起きてたりしたから色々と時間食っちゃったけど」

提督「木曽と叢雲は、後日構いまくるとして…」

提督「後の物じゃない系のお願いはチケット的なサムシングで事なきを得て…」

提督「そして目の前には五航戦のお部屋があるわけで…」

提督「はぁ…赤城、どうすっかなぁ…」


ガチャッ

270: 名無しさん 2016/04/22(金)00:47:19 ID:OLP


瑞鶴「部屋の前で何コソコソしてるのよ」

提督「あ、やっぱり起きてた」

翔鶴「提督、いらしてたんですね」ヒョコ

提督「俺は提督じゃない、サンタさんだぞ」

瑞鶴「見た目まんま提督さんじゃん」

提督「まぁね」

翔鶴「折角ですので中にどうぞ」ニコ

提督「あんま長居はできないけど、お邪魔しまーす」


ーー



瑞鶴「で、提督さん」

提督「ん?」

瑞鶴「何で軍服のままなのよ」

提督「えっ」

翔鶴「あ、そう言えば…」

瑞鶴「お願い、聞きに来てくれたんじゃないの?」

提督「あぁ、その事なんだけど…」ゴソゴソ

提督「はい、メリークリスマス」スッ

瑞鶴「なにこれ…紙?」ウケトリ

翔鶴「添い寝券、って書いてあります」

提督「そそ、その手のお願い事は今日いっぺんに叶えてあげられないから」

提督「後日使えるようにしたのよ」

271: 名無しさん 2016/04/22(金)00:47:55 ID:OLP

瑞鶴「えー、今日じゃないのー?」プゥ

翔鶴「こら瑞鶴、我が儘言ってはダメよ?」

翔鶴「提督は皆のお願いで忙しいんだから」

提督「まぁ、ほぼ終わってるんだけどね」

瑞鶴「だったらいいじゃない!」

翔鶴「でも、まだ全員ではないんでしょう?」

提督「そうだねぇ」

瑞鶴「誰なのよー」プクー

提督「二航戦と一航戦」

瑞鶴「それは無理だわ」

翔鶴「無理ですね」

提督「でしょ?」

瑞鶴「だって邪魔したら後が怖いし」

翔鶴「空母だと私達が一番下ですから…」

提督「そこら辺はちゃんと弁えてるのね」

瑞鶴「いや、弁えてると言うか…ねぇ」

翔鶴「あの人達、提督の事になると目の色が変わりますからね」

提督「…それ、他の艦種から見たらお前ら二人も同じだと思うよ」

272: 名無しさん 2016/04/22(金)00:48:25 ID:OLP

瑞鶴「えっ、そうなの?」

提督「うん」

翔鶴「提督、それは当たり前ですよ」

提督「なんで?」

翔鶴「えっ、それは…」カァ

翔鶴「えぇと…それは…その」モジモジ

提督「なに?」

翔鶴「ず、瑞鶴…?」チラ

瑞鶴「翔鶴姉、恥ずかしいからって私に振るのやめてよ」

翔鶴「だって…」

瑞鶴「まぁ、アレよ」

瑞鶴「私達だって提督さんの事」

瑞鶴「好きだからよ」プイ

提督「ありがとう」ニコ

瑞鶴「……?」

翔鶴「……提督」

瑞鶴「……提督さん」

提督「…どしたの?」

瑞鶴「提督さん、さ」

提督「ん?」

273: 名無しさん 2016/04/22(金)00:48:53 ID:OLP

瑞鶴「さっきから、何か元気ないよね」

提督「そう?」

翔鶴「はい、私もそう思っていました」

提督「うーん、そっかぁ…」

瑞鶴「何かあったの?」

提督「うんにゃ、何もないよ」

翔鶴「…私達では、役不足ですか?」シュン

提督「いやいや、そんな事はないんだけどね」

瑞鶴「だったら話だけでも聞かせてよ」

翔鶴「もしかしたら、お力に添えるかもしれませんから」

提督「んー…わかったよ」


ーー

274: 名無しさん 2016/04/22(金)00:49:26 ID:OLP


提督「…って事がありまして」

瑞鶴「………」

翔鶴「………」

提督「ね、聞いてもあれだったでしょ?」

瑞鶴「えぇと、気まずくて黙ってた訳じゃなくて…」

翔鶴「提督?」

提督「はい」

翔鶴「だったら何故、こんな所にいるんですか」

瑞鶴「そうよ、何で赤城さんの側にいてあげないの?」

提督「…それは」

翔鶴「今、赤城さんを支えてあげられるのは提督だけなんですよ?」

瑞鶴「なのに放ったらかしにして…」

翔鶴「………」ジッ

瑞鶴「………」ジト

提督「あの…えっと…」

翔鶴「私達や二航戦のお二人は大丈夫ですから、赤城さんの所へ行ってあげて下さい」

瑞鶴「あの二人も、きっと同じ事言うと思うから」

提督「でも、だな…」

提督「今更、どんな顔して行けば…」

275: 名無しさん 2016/04/22(金)00:49:51 ID:OLP

翔鶴「そんなの簡単ですよ」

提督「…え?」

瑞鶴「いつもの提督さんでいいんじゃない?」

翔鶴「私もそれがいいかと思います」

提督「………」

翔鶴「…ずっと、楽しみにしてましたよ」

提督「……っ」

瑞鶴「提督さんの妻になるんだって、嬉しそうにしてたのよ」

提督「……赤城」

瑞鶴「ほら、もう躊躇う理由も無くなったでしょ?」

翔鶴「早く、行ってあげて下さい」ニコ

提督「…翔鶴、瑞鶴」スク



提督「…ありがとう」スタタッ


バタン!

276: 名無しさん 2016/04/22(金)00:50:12 ID:OLP


瑞鶴「あーあ、敵に塩送っちゃった」

翔鶴「私達も、早く練度を上げないとね」ニコ

瑞鶴「ケッコンかぁ…実感沸かないなぁ…」

翔鶴「そんな調子で、ちゃんとできるのかしら」クス

瑞鶴「なっ、ちゃんとできるもん!」

翔鶴「ふふ、瑞鶴顔が真っ赤よ?」クスクス

瑞鶴「し、知らない!私寝るから!」

翔鶴「おやすみ、瑞鶴」


ーーー
ーー

277: 名無しさん 2016/04/22(金)00:57:01 ID:OLP


ー空母寮ー


ー赤城・加賀の部屋ー



提督「赤城っ!」ガチャッ


シーーン


提督「いない…何処に行ったんだ?」

提督「……執務室か?」バタン


タッタッタッ…


ー執務室ー


提督「加賀やん、赤城は!?」ガチャッ

加賀「っ!?」ビクッ

提督「…加賀やん?」

加賀「ぁ…提督…」

提督「えーと…何してるのかな?」

加賀「これは、その…」キュッ

278: 名無しさん 2016/04/22(金)00:57:38 ID:OLP

加賀「提督の上着の匂いをーー」

提督「いやまぁ、分かるんだけど…」

加賀「独りで待っているのは寂しいです」

提督「待たせてごめんね」

加賀「いえ、それより赤城さんは?」

提督「え、ここにもいないの?」

加賀「執務室には来ていませんが」

提督「じゃあ何処に行ったのかな…」

加賀「赤城さんがいないのでしょう?」

提督「うん、今探してるんだ」

加賀「それなら、つい先ほど」

加賀「明石さんなら、ここに来られましたが…」

提督「…なんて?」

加賀「地下闘技場で待っているから、と」

提督「え、何であこそなの…」

加賀「明石さん、提督にはこれだけ言えば分かるから、と早々にここを出られたので」

提督「まぁ、伝わったんだけど」

加賀「地下闘技場に、行くんですか?」

提督「そうだねぇ」

279: 名無しさん 2016/04/22(金)00:58:21 ID:OLP

加賀「私も一緒に…ついて行っても?」

提督「え…うん、構わないよ」

加賀「やりました」ウデダキ

提督「ちょ、このまま行くの?」

加賀「…ダメですか?」ジッ

提督「赤城が見たら、またイジイジしちゃいそうじゃない?」

加賀「分かりました」スッ

提督「後でね」ナデ

加賀「…はい」


ーー



提督「さて、行くっかねぇ」

加賀「赤城さんも、そこにいるのかしら」

提督「うーん……多分」

加賀「…そう」

提督「いなかったらそれこそ一大事だよ」

加賀「その時は、皆で探しましょう」

280: 名無しさん 2016/04/22(金)00:58:42 ID:OLP

提督「そうだね、まぁ何にしても…」

提督「とりあえず地下闘技場に向かおうか」

加賀「………」

提督「あれ、加賀やんどしたの?」

加賀「…手を繋ぐのも、ダメですか?」スッ

提督「ん、いいよ」スッ


ギュ


加賀「…貴方の手、大きくて暖かいわ」

提督「加賀やんこそ、細くて柔こいね」ニギ

加賀「っ、そう…ですか」

提督「…照れてやんの」

加賀「うるさいです」

提督「さ、行こうか」

加賀「はい」


ーーー
ーー

282: 名無しさん 2016/04/23(土)22:03:58 ID:cVJ



ー地下闘技場ー


提督「うわぁ、いつの間にか凄いことになってる…」

加賀「前使った時より広くなっていますね」

提督「明石の科学力は世界一だねぇ」

加賀「提督、明石さんがいましたよ」

提督「あ、ほんとだ」

提督「って、めっちゃ遠いやんか…」


ーー



明石「提督、来ましたね」

提督「何でこんなに広くしたのよ…」

加賀「辿り着くまでに結構かかりました」

明石「いやぁ、どうせならもっと用途に富んだスペースにしようかなって」テヘペロ

提督「どんな用途に富んでるの?」

明石「前回使った時に比べると見違えましたよ!」

明石「地下シェルター、室内プール、コロシアム、etcです!」ムン

提督「何ここプールにもなるの?」

明石「えぇ、この下のスペース全て水が張れますよ」

明石「言っても海水ですが」

283: 名無しさん 2016/04/23(土)22:27:11 ID:cVJ

提督「いやそれでも凄いね」

明石「でしょ?」ドヤァ

提督「んで、赤城は?」

明石「もうじき来ると思うんですが…」

提督「やっぱりいないのか…」

加賀「提督…」キュッ

提督「心配しなくても大丈夫だよ」

加賀「しかし…」

提督「赤城なら来るさ」ナデ

加賀「貴方がそう言うなら…」

明石「フゥー!見せつけてくれちゃってぇ!」コノコノ

提督「茶化すなよ、殺すぞ」

明石「そんな顔で凄まれても怖くありませんよ新婚さん♪」

提督「まだしてねぇし」

加賀「早くしたいです」ムッ

明石「ですよねぇ、待たせてる提督は罪作りなーーー」ン?



明石「…まぁ、それもあと少しの辛抱ですから」チラ


提督「…ん、来たね」ウン


加賀「赤城さん…」



赤城「………」

284: 名無しさん 2016/04/23(土)22:27:45 ID:cVJ


明石「赤城さん、準備は出来てますか?」

赤城「……はい」

明石「じゃ、提督」

提督「はい?」

明石「準備は、出来てますよね?」

提督「勿論」

加賀「…何が始まるんですか?」

提督「あ、加賀やんに説明するの忘れてた」


ズイズイカクカク


加賀「………」

提督「て事だから、加賀やんも万が一に備えて装備をーー」

加賀「嫌です」

提督「…え?」

加賀「そんなの、もしもの事があったら…」

加賀「それは私が許しません」キッ

赤城「っ…」

提督「そう言わないでさ」

加賀「駄目です。いくら赤城さんの為とはいえ、限度があります」

提督「明石ぃ、過保護な加賀やんに安全性を説明してあげて」

明石「分かりました!」ズイッ

加賀「どれだけ安全かなんて私には…」

285: 名無しさん 2016/04/23(土)22:28:13 ID:cVJ

明石「では、この今回急ごしらえで完成させた、『誰でも深海凄艦ラムネ』はーーー」

加賀「急ごしらえ…?」

明石「誰でもとは名ばかりの実は危険な薬でしてーーー」

加賀「危険…?」

明石「飲んですぐ、猛烈な眩暈と共に身体に異変が起き、ものの数分で皆さんお馴染みの深海凄艦みたいなフォルムに大変身出来るというーーー」

加賀「猛烈な眩暈…?」

明石「そして、その人の潜在的スピリチュアルガイアパワー(曖昧)がそのまま深海凄艦の強さとして表れてーーー」

加賀「曖昧…?」

明石「そして、一時的に自我が飲み込まれ力の限り暴走し、目の前に映る動く物全てを攻撃しだします。」

加賀「もういいわ」

明石「そして、最も重要なーーえ?」

加賀「そんな物、絶対に許しません」

明石「まだ最後まで聞いてないじゃないですかー!」

加賀「聞いたところで結果は同じです」

明石「今からが重要なんです!」

加賀「…聞くだけ聞きましょう」

明石「はい、それでは続きをば…」

286: 名無しさん 2016/04/23(土)22:28:55 ID:cVJ

明石「えぇと、このラムネは一粒1時間刻みの、一粒で一深海凄艦です」

加賀「どういう事なの?」

明石「つまり、五粒飲んだとしたら」

明石「5時間の間、飲んだ人の深海凄艦力×5となる訳です」

加賀「………」

明石「勿論、いい事ばかりではありません」

明石「この薬の恐ろしい所は…副作用です」

加賀「………」

明石「この薬、一般人が一気に三粒以上飲むと…」

加賀「……、」ゴクリ

明石「…自我が戻ること無く、本物の深海凄艦になります」

明石「というより、死ぬまで攻撃する事をやめない分普通の深海凄艦よりタチが悪いですよw」ケラケラ

加賀「貴女、そんな物を私の提督に…?」イッコウセンニラミ

明石「いやいや、これは用法用量を正しく使わなかった時の例ですから…」ビクッ

明石「普通に使えば問題ありませんよ」

加賀「信用できません」

明石「そんなぁ…」

287: 名無しさん 2016/04/23(土)22:29:27 ID:cVJ

赤城「……明石さん」

明石「はい?」ションボリ

赤城「それは、私も許可出来ません」

明石「だけど…それ以外には…」

赤城「…いいんです」

赤城「提督をそんな危険な目に合わせてまで、私のワガママを貫こうとは…」

赤城「到底、思えませんから」

明石「…いいん、ですか?」

赤城「はい」

赤城「だから、提督は加賀さんと先にーーー」クル


288: 名無しさん 2016/04/23(土)22:30:14 ID:cVJ




提督「これを一粒飲めばいいんだよね」ゴクリ




明石「あぁっ!?いつの間に!?」

加賀「…提督っ!吐き出して下さい!」

提督「もう飲んじゃったもんね」

加賀「そ、そんな…」ワナワナ

赤城「提督…何で…」

加賀「提督…嫌です、止めて下さい」

提督「大丈夫だって、高々1時間くらい」

加賀「もしもの事があったら…私は…」

提督「…ごめんね、加賀やん」ナデ

提督「明石」

明石「…はい」

提督「加賀やんと安全な所に」

提督「もしも時は、第一艦隊を以て俺を止めてね」

明石「…はい」

明石「さ、加賀さん」ソッ

加賀「嫌です!行きません!」グイグイ

提督「ダメだよ加賀やん、早く明石と…」クラッ

289: 名無しさん 2016/04/23(土)22:30:56 ID:cVJ

加賀「あぁっ!提督!?提督!!」

提督「な?カガやン…イイ娘だカラ…」

加賀「嫌です…提督…」ハアッ…ハアッ…

加賀「貴方が……私……提、督」フッ

ドサッ

明石「加賀さん、気を失って…」

提督「…あ…カし…」

明石「待って下さい!提督これを!」

提督「こ、レは……」

明石「後でまた来ますから!!」カカエ

赤城「提督…何故、こんな…」フルフル

赤城「こんな事になる位なら…私はーー」

290: 名無しさん 2016/04/23(土)22:31:32 ID:cVJ



提督「…アかギ」



赤城「……はい」



提督「…オまエガ、一番、だカラ」



赤城「っ…」



提督「…かガやント、アカぎガ…オれハ…ッ」ビク



提督「………」ダラン



赤城「…提督、分かりました」キッ



シュウゥゥ…



提督「………」

291: 名無しさん 2016/04/23(土)22:32:02 ID:cVJ



赤城「貴方の愛、この身で受け止めてみせます」



提督「………」



赤城「一航戦赤城、いざ!」ギソウテンカイ



ーーー
ーー

292: 名無しさん 2016/04/23(土)22:32:48 ID:cVJ


ー???ー


ー???ー



「…ここは?」



「暗い…誰か、いないの?」スタスタ



「………」フッ



「提督!」



「…ん?君は…」



「提督、私です」



「君は、何処の『加賀』かな?」



「えっ…提督?」



「君は、何処の『加賀』かな?」



「提督、何で…」

293: 名無しさん 2016/04/23(土)22:33:17 ID:cVJ



「ほら、後ろを見てみなよ」



「えっ…」



「君を、『No.26 正規空母 加賀』を迎えに来てくれてるよ」



「嫌…嫌です…提督…」



「だから、君は俺の『加賀』じゃない」



「君は、研究所の『加賀』なんだ」



「嫌!離しなさい!」グイグイ



「提督!助けて下さい!提督!」ズズ…



「さ、俺は帰ろうかな」スタスタ

294: 名無しさん 2016/04/23(土)22:33:54 ID:cVJ



「私は『加賀やん』です」ズズズ…



「え?『加賀やん』?」ピタ



「提督!」



「カガヤン?シラナイネェ」クルッ



「そ、そんな…」ズズズズ…



「提督が…そんな…ーーー」ズズズズズ



「提…と」ズズ…



ーーーーズプン



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

295: 名無しさん 2016/04/23(土)22:34:19 ID:cVJ


フタヨンマルマル


ー救護室ー


ーベッドの上ー



ガバッ!!



「うおっ、と」


「………」


「目が覚めたようですね、良かった」ホッ


「…ここ、は?」


「救護室ですよ、加賀さん過呼吸で意識を失ってたんです」


「………」


「…提督、は?」

296: 名無しさん 2016/04/23(土)22:34:45 ID:cVJ


「あー、まだ終わってないみたいですよ」


「………」


「明石、さん?」


「はい?」


「いつも…提督は、私の事を何と…呼んでいますか?」


「え?『加賀やん』でしょ?」


「………」キュッ


「………」スタ


「ちょ、まだ動いちゃ」


「明石さん」

297: 名無しさん 2016/04/23(土)22:35:14 ID:cVJ


「…はい?」


「私に、ありったけの烈風と、烈風改を」


「えっ…それって…」


加賀「提督を…連れ戻しに行きます」



スタスタ…パタン


ーー


300: 名無しさん 2016/04/25(月)20:57:19 ID:Ae6



ー工廠ー



加賀「………?」

加賀「おかしいわ…」

加賀(烈風と流星改の数が…足りない?)

加賀「一体…誰が…」


カツン…コロコロ…


加賀「誰?」クル

加賀「……っ!」



飛龍「もー、音立てないようにっていったじゃない」モー

蒼龍「ご、ごめん…」

翔鶴「ふふ、バレてしまいましたね」クス

瑞鶴「加賀さんだけにいいカッコさせないんだから!」ムン

加賀「貴女達…」

301: 名無しさん 2016/04/25(月)20:58:00 ID:Ae6

翔鶴「事の経緯は明石さんから聞いています」

蒼龍「提督を助けないと…」

飛龍「あの人強いから、皆でね」

瑞鶴「さ、行くわよ」

加賀「………」

加賀「…そうね」



加賀「ーーー鎧袖一触よ」


ーーー
ーー



ー地下闘技場ー

ー30分経過ー


赤城「くっ…このままでは…」ショウハ

提督「………」

赤城(流石提督と言ったところですね…今まで戦ったどの深海凄艦よりも…強い)

赤城「……っ」キッ

赤城(提督は空母型の深海凄艦の様ですね…こんな時まで提督らしい…)

赤城(しかし、艦載数が私や加賀さんとは桁が違います…いくら落としても、次から次に…)

赤城(殆ど防戦一方…このままではじり貧です…)

赤城(一体、どうすればーーー)

302: 名無しさん 2016/04/25(月)20:58:19 ID:Ae6

提督「………」スッ


ヒュンヒュンヒュン!ブゥーーン!!


赤城「っ!烈風!応戦して!」

赤城(つ、次が、私の最後…)

赤城(生還は…ゼロ、ですか…)

提督「………」

赤城(提督は…まだ余力がありそうですね…)


赤城「…だけど、まだ負けた訳ではっ!」


赤城「全艦載機!突撃っ!!」



ーー


303: 名無しさん 2016/04/25(月)20:58:51 ID:Ae6



ー???経過ー


赤城「…そんな」

赤城「制空権を…取られ…」

赤城「残った艦載機は…?」

提督「………」

赤城「もう、残ってません、か」

提督「………」スッ


ブゥーーン!


赤城「くっ、直撃だけはっ…」


ズガァァン!


赤城「あぁっ!」タイハ


赤城「か、艦載機発着…が…」ズシャッ


提督「………」


赤城「と言っても、もう残ってないんですけどね…」クス


提督「………」


赤城「やはり、私じゃ…駄目だったみたい、ですね…」


提督「………」


赤城「私は、求め過ぎたのでしょう…」

304: 名無しさん 2016/04/25(月)20:59:16 ID:Ae6


提督「………」


赤城「これは、罰なのかも、しれませんね」


提督「………」スッ


提督「………」ピッ


ブゥーーン…


赤城「…直上、あの時と…同じ…」


カチッ、カチッ、カチッ…


赤城「もう、避ける事も出来ませんね…」


カチッ、カチッ、カチッ…


赤城「ですが、あの時とは…違います」


カチッ、カチッ、カチッ…


赤城「今の私に、悔いは…ありません…」


カチッ、カチッ…


赤城「提督……」


赤城「私はーーー」



305: 名無しさん 2016/04/25(月)21:00:47 ID:Ae6




ーーーーーカチッ。




306: 名無しさん 2016/04/25(月)21:01:22 ID:Ae6

赤城「っ……………?」


赤城「…攻撃が、止んだ…?」


赤城「あれだけあった黒い烈風が…ない…?」


提督「………」シュウゥゥ…


赤城「一体、何がーーーぁ」


赤城「…一時間、経ったのですね」


赤城「間に、合わなかった…」ヘタリ


提督「……ア、カギ」シュウゥゥ…ボロッ


赤城「て、提督!大丈夫ですか!?」グッ、ガクン


赤城「くっ、足に力が…」


提督「…アか…ギ…ダイじョうブ…カ」フラッフラッ


ボトッ、ボロッ


赤城「提督の、黒い装甲が…剥がれて…」


提督「いマ…ソッちニ…」


赤城「駄目です提督!」


赤城「今動かれてはーーー」

307: 名無しさん 2016/04/25(月)21:01:55 ID:Ae6





「ーーそこまでよ!!!」




赤城「っ!?あれは!」


「赤城さん、援護します」


赤城「だ、駄目!もう提督は…」


「大丈夫!赤城さんに手出しはさせないから!!」


赤城「ここからじゃ聞こえない…駄目、止めて…」


「提督、少し痛いけど…ごめんなさい」


赤城「もう、提督は…元に戻って…」


「アウトレンジで、決めてやるんだから」


赤城「今、皆の爆撃なんて、当たったら…」


「五航戦の娘なんかと、一緒にしないで」

308: 名無しさん 2016/04/25(月)21:02:58 ID:Ae6


赤城「だめ…動いてっ、動きなさいったら…」ガクガク



ヒュゥゥウーーー…



提督「……ァ、かーーー」




赤城「だめぇぇえええ!!!」ガバッ


提督「ーーーッ!」



ーーーー
ーーー
ーー

310: 名無しさん 2016/04/25(月)21:03:56 ID:Ae6



ーー
ーーー
ーーーー


311: 名無しさん 2016/04/25(月)21:04:33 ID:Ae6


『赤城さん、もうすぐ最高練度ですよね?』


『えっ…そ、そうだけど…』


『じゃあ、提督と結婚じゃないですか!』


『ち、違います!あくまでカッコカリですからね!』


『照れちゃってもー』


『正直嬉しいくせにー』


『…それは、まぁ…嬉しくないかと聞かれたら…』

312: 名無しさん 2016/04/25(月)21:04:55 ID:Ae6


『提督は、本当に結婚するつもりなんじゃないですかー?』


『そ、そうなんですか!?』


『だったらどうしますー?』


『それは……えへへ』


『赤城さん、すんごい嬉しそう』


『特盛ボーキ丼食べる時より嬉しそうだね』


『あ、当たり前でしょう!?』


『あははは!赤城さん真っ赤城ー!』


『もう!怒りますよ!』


313: 名無しさん 2016/04/25(月)21:05:54 ID:Ae6





提督



私、一航戦赤城は



貴方と生きて、幸せでした



心より、心よりーーー





お慕い、申し上げております。





316: 名無しさん 2016/04/26(火)23:50:04 ID:uap


ー地下闘技場ー



加賀「今、赤城さんが…」

翔鶴「提督の所に飛び込んだように見えたんですが…」

瑞鶴「う、嘘でしょ」

飛龍「私、演習用の模擬弾じゃないんだけど…」

蒼龍「わ、私も…」

加賀「皆そうなのでしょう…くっ!」スタタ

瑞鶴「硝煙のせいで二人が見えないわ…」

飛龍「と、とにかく二人の所に!」



ーー

317: 名無しさん 2016/04/26(火)23:50:38 ID:uap


モクモクモク…


加賀「提督、赤城さん」タタタッ

翔鶴「加賀さん!まだ不用意に近づいては!」

加賀「そんな事言っている場合ではないわ」


サァーッ…


瑞鶴「煙が晴れてきたわ…」

蒼龍「あ!赤城さん、提督!」

飛龍「二人共!大丈夫ですか!?」

赤城「 」

提督「 」

加賀「…提督、赤城さん」スッ

加賀「そんな…」

加賀「…私を、置いて行くのですか?」ウル

翔鶴「加賀さん…」

加賀「…駄目です、起きてください」ユサユサ

赤城「 」

提督「 」

加賀「嫌、嫌です…」ユサユサ

瑞鶴「そんな、ダメだったの…?」

飛龍「でも、明石さん大丈夫だって…」

加賀「…何のことですか?」

蒼龍「明石さんが、提督に応急修理女神渡してるって…」

翔鶴「なのに提督まで…」

318: 名無しさん 2016/04/26(火)23:51:17 ID:uap

加賀「……提、督」グス

加賀「うぅ…ひぐっ…」ポロポロ

加賀「私っ…も、すぐ…貴方とっ、結婚…」ポロポロ

加賀「私が…どれだけっ…」ボロボロ

飛龍「………」

蒼龍「………」

瑞鶴「……えっ」

翔鶴「…瑞鶴?どうしーー!」

翔鶴「加賀さん!赤城さんを!」

加賀「……!」グスッ

319: 名無しさん 2016/04/26(火)23:52:31 ID:uap



加賀「光って…?」ポロポロ

蒼龍「これ、応急修理女神の…」

翔鶴「提督が、赤城さんに…」

瑞鶴「なら、赤城さんは…」

飛龍「無事なん、ですか…?」



赤城「……ぅ、ん」ムク



加賀「赤城、さん…」ボロボロ

瑞鶴「うぇぇ、良かったよぉ…」エェーン

赤城「加賀さん…?皆、どうしーー」



赤城「提督、は…?」

320: 名無しさん 2016/04/26(火)23:53:21 ID:uap

翔鶴「…っ、それは、」メソラシ

飛龍「提督…」

瑞鶴「でいどくさぁぁん…」ウエェン

蒼龍「…私が、攻撃した、から…」ボウゼン

加賀「………」

赤城「そんな……提督…」



赤城「う、嘘なんですよね…?」

飛龍「え…?」

赤城「私を騙そうと、手の込んだ悪戯をしているんでしょう?」ユサユサ

蒼龍「赤城さん…?」

赤城「私には、お見通しですからね」

赤城「さ、もう死んだフリはやめて下さい」ユサユサ

翔鶴「赤城さん、提督は…もう…」

赤城「何を言ってるんですか」

赤城「皆も提督の事は嫌でも知っているでしょう?」

瑞鶴「…そんな」グスグス

赤城「この人は私達を残して死ぬ様な人ではありませんよ、わすれたのですか?」

赤城「皆が心配していますよ、提督」ユサユサ

加賀「………」ポロポロ

赤城「加賀さんまで、皆どうしたんですか?」

赤城「これじゃまるでーーー」ポロ

321: 名無しさん 2016/04/26(火)23:54:03 ID:uap





赤城「提督が、本当に死んでしまったみたいじゃないですか」ポロポロ




322: 名無しさん 2016/04/26(火)23:54:52 ID:uap

赤城「早く起きてください、提督」ポロポロ

赤城「ほら、早く起き上がっていつもみたいに笑って下さいよ!」ユサユサ

赤城「提督、提督っ」ユサユサ ポロポロ

赤城「っ、えぐっ…」ボロボロ

赤城「嫌です…このままなんて」

赤城「まだ、私は貴方に…」

赤城「何も、伝えられて、ないっ、のに」

加賀「あ、ぁ…」ドサッ

飛龍「加賀さん!?」

加賀「提督がっ、そんな、私はっ」ゼェゼェ

翔鶴「加賀さん!落ち着いて下さい!」

加賀「だめ、ていとく、いやっ…」ゼェゼェ

瑞鶴「わ、私、明石さん呼んできーー」





「それには及びませんよ」





323: 名無しさん 2016/04/26(火)23:55:32 ID:uap


飛龍「明石さん…」キッ

蒼龍「何をしに来たんですか…?」ハイライトオフ

翔鶴「二人共止めて下さい!今は提督と加賀さんを!」

蒼龍「貴女が…大丈夫だって、言ったから」スッ

瑞鶴「蒼龍さん!止めて!」グイ

蒼龍「離して…提督を殺したのは…あの人なの…」

明石「蒼龍さん、私の事は後でお好きな様にして貰って構わないので」

明石「でも、今は少し待って下さいね」

赤城「明石さん、提督が…」

明石「はい、全てラボで見ていました」

明石「それで飛んで来たんですが…」

明石「赤城さん…うん、まだ間に合いますね」

明石「良かった」ホッ

蒼龍「何が…良かったの…?」カチン

バッ!

瑞鶴「あぁっ!」ホドカレ

蒼龍「絶対に許さない…私の、提督を…」フーッフーッ

加賀「はぁっ、はぁっ……っ」

翔鶴「加賀さん、加賀さん?」

翔鶴「明石さん、加賀さんが!」

明石「大丈夫、気を失ってるだけですから、呼吸はしているんでしょう?」

翔鶴「呼吸…、はい、してます」

明石「そのままそっとしておいてあげて下さいね…んで」

324: 名無しさん 2016/04/26(火)23:56:01 ID:uap

明石「蒼龍さん、それは提督が死んでないとしても、ですか?」

蒼龍「…死んで、ない…?」

飛龍「提督が…?」

翔鶴「どういう事ですか…?」

明石「死んでない、は少し語弊がありますが…」

明石「赤城さん?」

赤城「…はい」

明石「提督を、強く抱きしめて下さい」

赤城「え、それは…」

蒼龍「こんな時に…何を…」イラ

明石「時間がありません、早く」

赤城「…分かりました」


ーーギュッ





シーーーン


明石「あれ?おかしいなぁ…」ウン?

蒼龍「ふざけてるの…?」ニコウセンニラミ

明石「真面目も真面目、大真面目です」

明石「だったら、そうですね…」

325: 名無しさん 2016/04/26(火)23:56:31 ID:uap




明石「提督に、キスして下さい」





赤城「明石さん、一体…」コンワク

明石「いいから、早く」

赤城「………」

赤城「……提督、失礼しますーー」ソッ




赤城「………」スッ

飛龍「何が、どうなって…」

瑞鶴「明石さんまで、おかしくなっちゃったの…?」

赤城「………」

326: 名無しさん 2016/04/26(火)23:57:33 ID:uap



シーーーーン




ーーーーードクンッ






327: 名無しさん 2016/04/26(火)23:58:00 ID:uap

赤城「……え、今…」

明石「よし、良かった…」ヘタリ

翔鶴「確かに、提督が…」

飛龍「…そんな、もしかしてーー」



ーードクン…ドクン、ドクン





「……が、はっ」


328: 名無しさん 2016/04/26(火)23:58:30 ID:uap


赤城「提督が…息を……」フルフル

蒼龍「そんな…まさか…」

瑞鶴「提督さんが、生き返った…?」



「…はぁっ、ごほっ…っ…」



蒼龍「でも、何で…」

明石「応急修理女神は使ってから数分間、使用した艦娘の中で効果が持続します」

明石「それが今回にも応用できるかは、賭けだったんですが…」

明石「赤城さん」

赤城「…はい」ボロボロ

明石「提督の頬の所、見てください」

赤城「……?」スッ

赤城「…ぁ、まだ…深海凄艦の時の…」

明石「それが、最後の一部です」

明石「その、ほんの一欠片こそ、提督が生き返る事ができた証なんですよ」

明石「…なので、提督には人間に戻ってもらいましょう?」

赤城「……はいっ」



赤城「提督…」


赤城「起きてください」



ーーーペリッ

329: 名無しさん 2016/04/26(火)23:59:04 ID:uap



シュウゥゥ……



提督「………っ」ビクッ


提督「………」スゥ、スゥ…


赤城「…ふふ、寝ちゃっていますね」ポロポロ


赤城「提督、提督っ…よかった」ギュゥウ




ーーーーピコーン。



明石「…ん、確認完了っ」

明石「赤城さん?」

赤城「…はい」ボロボロ

明石「今、赤城さんが提督を人間に戻しましたね?」

赤城「はい…」

明石「てことは、深海凄艦状態だった提督に、トドメを刺した事になりますよね?」

赤城「はい…」

明石「…もう、気付いているんじゃないですか?」

赤城「っ……はいっ」ボロボロ

330: 名無しさん 2016/04/26(火)23:59:33 ID:uap







明石「最高練度、おめでとうございます」






333: 名無しさん 2016/04/28(木)22:24:01 ID:MIQ





ーーー
ーー




それから、加賀さんは救護室に運ばれて。

目が覚めるまで、五航戦の二人が看病していました。

飛龍、蒼龍の二人は。

明石さんに土下寝して仲直り。その後、提督をラボに運ぶ手伝いをしていました。

その後明石さんが提督の身体を隅々まで検査して。

無事、問題のない事が分かりました。

加賀さんと同様、後は提督が起きるのを待つだけの状態になり。

皆が皆、安堵の息を吐きました。

334: 名無しさん 2016/04/28(木)22:24:50 ID:MIQ



そして、私は。

今、目の前で寝息を立てているその人の。

待ち遠しい目覚めを、待っています。





ーマルヒト マルマルー


ー提督の部屋ー


ーベッドの横、椅子の上ー

335: 名無しさん 2016/04/28(木)22:25:22 ID:MIQ



赤城「………」

赤城「提督…」

赤城「今宵は騒がしい様で、静かです」

提督「………」スゥ、スゥ

赤城「ふふ、さっきまで瀕死だった人とは思えませんね」ホホナデ

提督「………」スゥ、スゥ

赤城「………」

赤城「提督…」

提督「………」スゥ、スゥ

赤城「あの時、私を庇ってくれましたね」

赤城「結果として、私も爆撃には巻き込まれましたが…」

赤城「爆撃の最中、私を強く抱きしめてくれたのが」

赤城「堪らなく、嬉しくて…」

提督「………」スゥ、ス…?

赤城「だから…あの時は…」

赤城「一緒に死ねるのなら本望かな、とか」

赤城「そんな事を考えて…」

提督「………」

336: 名無しさん 2016/04/28(木)22:26:02 ID:MIQ

赤城「でも、気がついたら」

赤城「残っていたのは、私だけで」

赤城「貴方は、私の代わりに…」

提督「………」

赤城「それが…どれだけ怖かったか」

赤城「もう、あんな想いはしたくありません」

赤城「私にとって、貴方のいない世界に何な意味があると…」

赤城「だから、今貴方が聞いていないうちに、貴方に一つだけ」

赤城「我侭を、言わせてください」

提督「………」

赤城「いつか貴方と私の距離が、星よりも遠いものになる、最後の時は…」

赤城「その時は…私が、貴方の為に散る時だけだと」

赤城「私を残して、貴方が先立つ事のないように」

赤城「私が、一航戦赤城が」

赤城「貴方を、御守り致しますから」

提督「………」

赤城「…ただ、貴方はそれを許してはくれないのでしょうけどね」クス

337: 名無しさん 2016/04/28(木)22:26:27 ID:MIQ

赤城「…本当は、矛盾しているんです」

提督「………」

赤城「貴方を守ると言う反面、守って頂ける事に、喜びを、幸せを感じている私がいます」

赤城「しかし、そうやっていつも私達を想ってくれている貴方だからこそーーー」




赤城「私は、愛して止まないのですから」




提督「………」

赤城「…これは、ダメですね」

赤城「とても、起きている貴方に面と向かっては…言えません」

赤城「は、恥ずかしくて、どうにかなりそう…」マッカギ

338: 名無しさん 2016/04/28(木)22:27:17 ID:MIQ



提督「……まぁ、途中から起きてたんだけどね」



赤城「へっ?」

提督「お、おはよう」

赤城「て、提督…?」プルプル

提督「あ、ちょっと待って、今頭回んないから」

提督「とりあえず、羞恥に耐えきれないからってここを飛び出すのはやめてね?」アセ

赤城「…ぁ、あっ、」フルフル

提督「ね?俺何も聞いてないからーーー」アセアセ



赤城「提督っ!!」ガバッ



提督「んぐおっ!?」ドフッ

赤城「良かった…本当に、良かった」ギュゥウ

提督「あかっ、ちょっと、威力が…」ガハッ

赤城「本当に心配したんですから!」ギュゥウ

提督「分かったから!少しーーー?」

赤城「うっ、うぇえ…ひぐっ」フルフル

提督「………」フゥ

提督「…心配、かけたね」ナデナデ

赤城「本当で、すっ…心配…っく」ギュゥウ

提督「…うん、ごめんね」ナデナデ

赤城「ゆ、許しま、せん…からっ」ギュゥウ

提督「それは、困ったな…」ポリ

339: 名無しさん 2016/04/28(木)22:28:10 ID:MIQ

赤城「絶対っ、絶対に…許し、ません…」

提督「そっか」ナデ

赤城「そう、ですっ」グシュ

提督「あ!今鼻水拭いたな!離れろ!」ググッ

赤城「嫌ですっ」ギュゥウ チーン

提督「開き直るな!うおお冷たい!やだ!いやぁぁあ!」

赤城「ふぐっ、うぇえ…」ギュゥウ

提督「あぁあ、涙と鼻水で肩らへんびちゃびちゃだよ…」ハァ

赤城「……っ、ぅ…」ヒクッ

提督「……ま、いっか」

提督「…ただいま、赤城」ナデ

赤城「ーーーおかえり、なさい、貴方」ズズッ


ーーーーーーーーーーーーー

340: 名無しさん 2016/04/28(木)22:29:14 ID:MIQ



赤城「提督、いけませんと…」スタタ

提督「大丈夫だって」スタスタ

赤城「まだ病み上がりなんですから、今晩はおとなしくしていて下さい」

提督「待たせてるんだって」

赤城「それは…いえ、駄目と言ったら駄目です」

提督「なら何のために死んだか分かんないじゃん」

赤城「何さらっと言ってるんですか…」

提督「ほら、そんなこんなでもう着くじゃん」

赤城「もう…」ハァ

提督「ま、それでも本人が起きてなかったら仕方ないけどねぇ」

赤城「でしたら私が確認しに行くのに…」

提督「いいやん、ほら着いた」

341: 名無しさん 2016/04/28(木)22:30:01 ID:MIQ


エッ、カガサン?

ドウシタンデスカ?

アァ!マダウゴイテハ!


提督「なんか部屋の中が騒がしいね」

赤城「大体予想できますが…」


ガチャ


提督「あっ、加賀やーーー」


スパァーーーン!!


提督「あいたぁ!?」モミジ

赤城「加賀さん…?」

加賀「………」

提督「加賀やぁん…何でぶつの…」ヒリヒリ

加賀「………」

赤城「加賀さん、何故ぶったのかは聞きませんが、提督も本調子ではないんですから…」

342: 名無しさん 2016/04/28(木)22:30:57 ID:MIQ

加賀「知りません」

加賀「…提督なんて大嫌いです」バタン

提督「…あらら」ヒリヒリ

赤城「あの、提督…」

提督「…怒らせちゃったね」

赤城「加賀さんも、心配してたんですよ」

提督「うん」

赤城「少し経てば元通りになると思うので…今日はーーー」


ガチャ


瑞鶴「あっ…」

翔鶴「提督…」

提督「二人とも、いたんだね」

翔鶴「はい、加賀さんが目を覚まされるまで着いていようとーー」


ガバッ


提督「おっと、」ウケトメ

瑞鶴「………」ギュウ

翔鶴「瑞鶴…」

赤城「………」

提督「ずいずい?」

瑞鶴「…提督の馬鹿」

提督「…ごめんね」

343: 名無しさん 2016/04/28(木)22:32:14 ID:MIQ

瑞鶴「…あのまま死んでたら、残された私達をどうするつもりだったの?」

提督「………」

瑞鶴「見捨てるつもりだったの?」

提督「そんなーー」

瑞鶴「でも、明石さんいなかったら死んでたじゃない」

提督「明石いなかったらそもそも死んでないんだけどね」

瑞鶴「…っ」フルフル

瑞鶴「…ふざけ、ないっ、で」

瑞鶴「……っ、ぐすっ」

提督「………」

提督「瑞鶴、ごめんね」ナデ

瑞鶴「…心配、したんだから」

提督「うん」

瑞鶴「本当に、心配っ、したんだから!」ギュウ

提督「うん」

瑞鶴「もう、あんな無茶しないでっ、よね」

提督「うん」

瑞鶴「…あと」

瑞鶴「ちゃんと、ずいずいって、呼びなさい…よ」

提督「分かったよ、ずいずい」ナデ

瑞鶴「……ふんっ」

赤城「………」

344: 名無しさん 2016/04/28(木)22:32:52 ID:MIQ

翔鶴「…提督」ソッ

提督「ん?」

翔鶴「私も、心配したんですよ」

提督「翔鶴…ごめんね」

翔鶴「いえ、提督はちゃんと私達の所へ戻って来てくれましたから」

翔鶴「…ですが」

翔鶴「もうあんな思いはしたくありません」

提督「…うん」

翔鶴「約束、して下さいね?」

提督「分かった、約束する」

翔鶴「なら『私は』許します」ニコ

提督「私は…?」

翔鶴「提督の頬、何故赤いのですか?」

提督「あっ…」

瑞鶴「加賀さん、泣いてたわよ」ズズッ

翔鶴「加賀さんが、誰よりもショックを受けてましたし」

翔鶴「誰よりも、提督を心配していました」

345: 名無しさん 2016/04/28(木)22:33:41 ID:MIQ

赤城(私が一番心配していましたけどね)

瑞鶴(って思ってる顔してる…)

提督「そっか…」

翔鶴「ですから、私達はここで」

瑞鶴「ちゃんと謝ってくるのよ?」

提督「分かったよ、赤城はどうする?」

赤城「私も部屋に戻ります」

赤城「私は、さっき一人でしたから」ニコ

提督「ん、分かった」

翔鶴「では、失礼します」ペコ

瑞鶴「おやすみ、提督さん」

赤城「何かあったらお呼び下さいね」

提督「ん、分かった」

提督「みんなおやすみ」フリフリ


スタスタスタ…


提督「…さて、と」


ーーー
ーー

349: 名無しさん 2016/05/02(月)23:24:26 ID:poB



コンコン


加賀「どうぞ」


ガチャ


提督「…加賀やん?」

加賀「嫌いです、出ていって下さい」フイッ

提督「………」

加賀「………」

提督「…加賀やん」

加賀「何ですか?」

提督「本当に、大嫌いなの?」

加賀「…………………………本当です」

提督「そっ、か」ズキッ

加賀「……提督は」

提督「ん?」

加賀「…私が、嫌いですか?」

提督「まさか…」

加賀「だったら」

加賀「何故、あんな危険な事を?」

提督「それは…」

350: 名無しさん 2016/05/02(月)23:24:57 ID:poB

加賀「私の再三の注意を振り切って」

加賀「自らの命を危険に晒してまで」

加賀「あの薬を飲まなければいけなかったのですか?」

提督「………っ」

加賀「…赤城さんの事で切羽詰っていたのは分かります」

加賀「ですが、それで提督が死んでしまっては、何の意味も成さないのではなくて?」

提督「…そうだね」

加賀「………」

加賀「私が提督との結婚を、どれだけ心待ちにしていたか…」

加賀「そんな矢先、あんな事になって…」

加賀「…本当は、私の事などどうでもいいと思っているのでしょう?」

提督「………」

加賀「……っ、何か言ったらどうですか」

提督「…いや、何も言えないよ」

加賀「………」

351: 名無しさん 2016/05/02(月)23:25:19 ID:poB

提督「どうでもいいなんて思ってないけど、そう捉えられても…おかしくない、よね」

提督「…嫌われて当然だよ」

加賀「………」

提督「ごめんね、守るって言ったのに」

提督「その約束すら、反故にしたようなもんだよね」

提督「…あのまま、死んじゃえばよかったね」

加賀「何も、そこまで…」

提督「…今日はお暇するよ」クル

加賀「ぁ……」

提督「…おやすみ、加賀」ガチャ



「おやすみ、『加賀』」



加賀「っ…」

加賀「待って下さい」

352: 名無しさん 2016/05/02(月)23:25:46 ID:poB

提督「………」ピタ

加賀「今、私を…」

提督「………」

提督「…俺には、もう前の様に呼ぶ資格なんてないよ」

加賀「…何故?」

提督「…大嫌い、なんだろう」

加賀「………」

提督「…そういう事だから、俺はーー」

加賀「加賀やん、です」

提督「………」

加賀「訂正して下さい」

提督「………」

加賀「提督」

提督「…いいのかい?」

加賀「今、提督に加賀と呼ばれた時…」

加賀「凄く、寂しい気持ちになりました」

提督「………」

353: 名無しさん 2016/05/02(月)23:26:12 ID:poB

加賀「それに……大嫌いなんて、嘘です」

加賀「貴方を嫌いになるなんて」

加賀「そんなこと、ありませんから」

提督「…うん」

加賀「勿論、軽々しく自らの命を擲った事は許せませんが」

加賀「ただ…赤城さんの為に、必死になっている貴方を見て…」

加賀「少し…嫉妬していたのも、あります」

提督「……そっか」

加賀「………」

加賀「………」ジィ

提督「ん、おいで」

加賀「………」スッ

提督「………」ギュ

加賀「んっ…提督」

提督「なんだい?」

354: 名無しさん 2016/05/02(月)23:27:05 ID:poB

加賀「私を、置いていかないで下さい」

提督「いかないよ」

加賀「貴方がもし居なくなったら、私は…」

提督「いなくならないから、ね?」

加賀「少し、信用できません」

提督「あら」

加賀「………」

提督「加賀やん」

加賀「…はい」

提督「心配かけて、ごめんね」

加賀「っ……本当に」

加賀「大概にして欲しいものね」ギュゥウ

提督「いてててて」

加賀「我慢してください」ギュゥウ

提督「わかったから、俺は逃げないから」

加賀「提督はすぐ逃げます」ギュゥウ

提督「逃げないってあたたた」

355: 名無しさん 2016/05/02(月)23:27:28 ID:poB

加賀「………」スッ

提督「っ、てて…」

加賀「………」

提督「どしたの?」

加賀「提督」

提督「はい」

加賀「私、最高練度になったのだけれど」ジィ

提督「そうだね、おめでとう」ナデナデ

加賀「んっ…そうではありません」

提督「分かってるよ」

加賀「…では」

提督「でも、もう時間も時間だし」

提督「また、夜が明けてからに…」

加賀「もう、待ちきれないわ」ソデツカミ

提督「…そっか」

提督「なら執務室に行こうか」

加賀「はい」

357: 名無しさん 2016/05/06(金)22:07:15 ID:cEd



マルフタ マルマル


ー執務室ー


ガチャ


提督「ん?赤城おるやんか」

赤城「………」

提督「何で俺の机につっ伏して寝てんの?」

加賀「赤城さんも、疲れているのでしょう」

提督「なら尚更じゃない…」

加賀「赤城さん、起こしますか?」

提督「そうだね、ちょっと気が引けるけどーーーぁ」

加賀「…?」

358: 名無しさん 2016/05/06(金)22:07:51 ID:cEd

提督「加賀やんってさ」

加賀「はい」

提督「そういやあれから、いつ目覚めたの?」

加賀「提督が部屋の前に来た時、です」

提督「え、あれ起きてたんじゃなかったの?」

加賀「提督の気配がしました」

提督「それで目を覚ますのか…流石と言うか…」

加賀「それ位、貴方の事を想っていますから」

提督「うん…まぁ、嬉しい事この上ないんだけどさ」

提督「赤城はどうかなって」

加賀「…?」

提督「まぁ、見ててよ」スッ

赤城「………」

提督「あーかーぎー」ボソッ

赤城「………」

提督「…起きないね」

加賀「熟睡しているのでは?」

提督「…うーん、少し残念だなぁ」

359: 名無しさん 2016/05/06(金)22:08:15 ID:cEd

赤城「……、」ピク

提督「………」フーン

提督「……加賀やん」

加賀「はい」

提督「赤城起きないし、先にけっこn」

赤城「はい、おはようございます」オキ

提督「てめぇやっぱりたぬき寝入りしてやがったな」

赤城「先程まで本当に寝ていたんですよ」

提督「なら何で」

赤城「いえ、何故か突然目が覚めてですね」

赤城「その瞬間、提督と加賀さんが…」

加賀「赤城さんも、提督を感じ取れるのね」

提督「………ふーん」

赤城「何ですかその反応」

加賀「提督も嬉しいんでしょう」

提督「そんな事ないしぃ」ツーン

赤城「ふふ、隠すのがヘタクソです」クス

提督「俺の事はいいから!ほら!」クイクイ

赤城「あっ、はい」ガタ

360: 名無しさん 2016/05/06(金)22:08:44 ID:cEd


提督「じゃあ、えぇとね」

提督「赤城、加賀やん」

赤城「はい」

加賀「はい」

提督「えーと、今回二人は最高練度になったわけで…」

提督「それに伴い、練度の限界値向上と、更なる戦果に期待して」

提督「ケッコンカッコカリの指輪を贈りたいと思う」

赤城「………」

赤城(…期待していなかったと言えば、嘘になりますが)

赤城(提督も深海凄艦との戦いが終わるまで、と自制されていましたし)

赤城(少し残念ではありますがーーー)

加賀「…提督」

提督「ん?」

361: 名無しさん 2016/05/06(金)22:09:27 ID:cEd

加賀「それだけ…ですか?」

提督「それだけ、とは?」

加賀「…私と赤城さんに伝える事は、それだけですか?」

提督「他に何かあるの?」

加賀「っ…いえ」

加賀「何でも…ありません」ウツムキ

赤城「…加賀さん」

提督「ん、赤城は?」

赤城「えっ」

提督「何かある?」

赤城「えぇと、その…」

赤城「………っ」グッ

赤城「…いえ、何も」

加賀「赤城さん…」

赤城「………」

提督「そ、じゃあ続きね」

提督「何処まで言ったっけ…そそ、練度どうこうの所までか…」

加賀「………」

赤城「………」

提督「ん、それじゃこの話はお終いで」

提督「これからが本題なんだけどーーーって」

362: 名無しさん 2016/05/06(金)22:10:10 ID:cEd

提督「何で二人共下向いてんのよ」

赤城「い、いえ…失礼しました」

加賀「………」

提督「…俺とケッコンすんの、嫌?」

赤城「そんな事っ…」

加賀「………」

提督「加賀やん?」

加賀「……私も」

加賀「そんな事は、ありません」

提督「そ、よかった」ホッ

提督「なら本題に入ろうかなっと」スタスタ

提督「えぇと、確かここに…」ゴソゴソ

赤城「……?」

加賀「………」

提督「……お、あったあった」ヨイショ


コト、コト

363: 名無しさん 2016/05/06(金)22:10:48 ID:cEd


赤城「……それは」

加賀「………」

提督「そ、指輪だよ」

提督「これ、ケッコンカッコカリの指輪なんだけど」

提督「それと別に、もう一つ役割があってね」

提督「それで、今から二人に渡すんだけど…」

提督「赤城、一つだけいいかい?」

赤城「なんでしょうか」

提督「今回、色々あって二人共最高練度になったけど」

提督「先に最高練度になったのは加賀やんだね」

赤城「っ、そうです」

提督「だから、この場において先に渡すのは加賀やんだけど、いいね?」

赤城「はい」

提督「ん、だけど俺としては同時と同じだからね?」

赤城「そんな事、言われなくとも」ニコ

提督「よかった」

364: 名無しさん 2016/05/06(金)22:12:23 ID:cEd

赤城「なら、私は外で待っていますので」

提督「えっ、別にそこにいても…」

赤城「そうはいきませんよ、では」ニコ


スタスタ、バタン


提督「…………」

提督「…よし、加賀やん」

加賀「はい」スッ

提督「俺の精一杯、聞いてね」

加賀「…はい」



提督「ーーー」スゥ



加賀やん

365: 名無しさん 2016/05/06(金)22:12:57 ID:cEd


君とは不思議な出会い方をしたね

あの時の、君の居た環境、君の見た光景、君の受けた苦痛

その全てを、今でも申し訳ないと思ってる

出来ることなら、そうなる前に出会えれば

そう、どれだけ考えた事だろう

でもあの時、加賀やんに、他の誰でもない君自身に出会えたのが

今、俺の目の前に君がいるこの事実が

運命だったとしたら

それは、俺自身にとって幸運だったと

そう思ったりもするんだ


366: 名無しさん 2016/05/06(金)22:13:43 ID:cEd


そして今日

君は、艦娘として一つの節目を迎える

我が艦隊最初の最高練度

いつも、我が艦隊のトップとして頑張ってくれた

とても名誉な事だと思ってる

これからも、更なる邁進を期待しているよ




367: 名無しさん 2016/05/06(金)22:21:14 ID:cEd




ーーーでも、それは建前だったりして



俺が本当に伝えたいのは、そんな事じゃない

君に指輪を贈る本当の理由、それはーーー



兵器として、艦娘として

正規空母加賀として、ではなく

一人の女性として、これを贈ろうと思う



加賀やん、俺の伴侶になって欲しい。


カッコカリじゃない、本当の結婚。


本当の妻に、なってくれないか?

375: 名無しさん 2016/05/09(月)21:44:40 ID:gyr
・叢雲
長編「忘却の初期艦」で登場した、提督の初期艦になる予定だった駆逐艦。

提督に初期艦としての配属を拒否され、同伴していた士官からは弾除けにされと、踏んだり蹴ったりな艦娘デビューを果たしている。

鶏冠に来た叢雲は復讐の鬼と化し、なんとか提督の居場所を突き止め亡きものに変えようとしたが、長門と川内は強かった。

鬼の空母部隊の手によって粗相をしてしまったのは本人の為に黙っておこう。

提督と「平和な海を見せる」約束を交わし、現在は代理秘書艦を任されている。

クリスマスの要望:少し構って

377: 名無しさん 2016/05/09(月)21:47:34 ID:gyr


加賀「…それ、は」

提督「カッコカリの指輪だけど、特別なんだ」

提督「加賀やんだけの、指輪だよ」

加賀「…カッコ、カリでは、なくて…」

提督「勿論それも兼ねてるけど」

提督「でも、それはオマケみたいなものさ」

加賀「…本当に…して、いただけて…?」

提督「うん、してくれるかな?」

加賀「………」ジワァ

提督「よかったら、左手を出して」

加賀「…っ、っ」スッ

提督「ん、ぴったり」

加賀「綺麗な…蒼、ね」

加賀「………」ジィ

提督「おいで」テヒロゲ

加賀「っ、」ガバッ

提督「これからも、よろしくね」ギュッ

加賀「はい、はいっ…」ギュゥウ

378: 名無しさん 2016/05/09(月)21:48:22 ID:gyr

提督「加賀やん」

加賀「なに、かしら」ポロポロ

提督「愛してるよ」

加賀「………」スッ

加賀「…私も、心より愛しています」

提督「へへ、よかった」ニコ

加賀「ここは、ここだけは、一生譲れません、から」ズズッ

提督「ん、そうじゃなきゃ困る」

加賀「…私、今、とても幸せなのですけれど」

提督「俺もだよ」

加賀「…赤城さんに変わりたくありません」

提督「あはは、でも赤城が待ってるから、ね?」

加賀「後で、構ってくれますか?」ミアゲ

提督「ん、約束するよ」ナデ

加賀「…分かりました」

提督「じゃ、赤城入っといで」


ガチャ


赤城「加賀さん?泣いているようですが何がーーー」

379: 名無しさん 2016/05/09(月)21:48:44 ID:gyr

赤城「えっ、それは…」

加賀「赤城さんも、今から分かるわ」

赤城「ぇ、あの……ぁ」

赤城「ご、ごめんなさい加賀さん、おめでとうございます」ニコ

加賀「いえ、ありがとうございます」

加賀「さ、次は赤城さんの番ですよ」ズイ

赤城「あっ…ぇえと」

加賀「私も、外で待っています」

提督「ん、ごめんね」

加賀「いえ、貴方を待っていられるなら…」

提督「っ、そっか」

加賀「では、また」スタスタ


パタン


赤城「………」バックンバックン

提督「んー、えぇと」

提督「それじゃ…」

赤城「あっ、ははははい」ガチガチ

提督「肩の力抜きなよ」クス

赤城「………」スゥ、ハァー

赤城「はい…なんとか…」

提督「よしーーー」

380: 名無しさん 2016/05/09(月)21:49:32 ID:gyr


赤城


君は、初めてここに着任した空母だったね

子供の頃から大好きだった空母が自分の元に来ると分かった時、着任の日がどれだけ楽しみだった事か

と言っても、あの頃憧れていた大きな鉄の塊とはまるで違ったけどね

でも、そんな事は些細な問題だった

いざ、君を目の前にしたあの日から

ふざけて、馬鹿みたいに歓迎していたつもりだったけど

正直、一目惚れだったよ

381: 名無しさん 2016/05/09(月)21:50:06 ID:gyr


赤城、君には今までずっと秘書艦を任せていたね

それは、前にも言った通り艦隊で一番信頼のおける人材だから、って言うのも勿論の所なんだけど

今だから言える、もう一つの理由があるんだ


加賀やんも、他の空母も、俺は愛してる

勿論、他の娘達だって変わらない位大切だ

赤城、君だってそうなんだけど


ただ


まだ小さかったあの頃、憧れていた空母が

大人になって、提督になって俺の目の前に現れたその存在が

他の誰でもない赤城、君が



俺の、初めて惚れた女性だったから




382: 名無しさん 2016/05/09(月)21:50:30 ID:gyr



だから、本当は戦争が終わってから

前にも言ったこれは、揺るがすつもりなんてなかったんだけど

艦娘としての節目も兼ねてなんて、って思われるかも知れないけど

加賀やんにも言った、そして、これからも同じ事を他の娘にも言うような、そんな節操の無い男だと思われるかも知れないけど

それでも、こんな男でも…良かったら



俺の、妻になって欲しい

本当の結婚だ



赤城、君を愛してる。




383: 名無しさん 2016/05/09(月)21:51:23 ID:gyr



赤城「っ…」

提督「やっぱり恥ずかしいね」フイ

赤城「…ぁの、提督…」

提督「ん?」

赤城「これは、その…」

赤城「本当の、結婚、なんですよ、ね?」

提督「そうだけど…」

赤城「私、料理できませんよ?」

提督「知ってるよ」

赤城「家事なんて、ろくにした事ありませんよ?」

提督「知ってるよ」

赤城「すぐヤキモチ焼きますよ?」

提督「知ってるよ」

384: 名無しさん 2016/05/09(月)21:52:26 ID:gyr



赤城「……私は、私達はーーー」


赤城「兵器、なんですよ?」ポロッ

提督「知ってるよ」

赤城「貴方にとって、この選択が…」ポロポロ

赤城「残酷な未来に繋がる、可能性だって…」

提督「………」

提督「…確かに、赤城の言う様な未来が待ってるのかもしれない」

提督「俺自身、君達を人間と同じと『思ってる』だけで、その実そうじゃない事も分かってる」

赤城「………」

提督「だから、周りから見れば俺は『兵器と結婚した異常な男』と思われるかも知れないね」

提督「軽蔑の目は避けられないのかもしれない」

提督「もしかしたら、戦争が終われば」

提督「君達は俺の前からいなくなってしまうかもしれない」

提督「……正直、結婚を決めた日から考えなかった日はなかったよ」

赤城「………」

提督「…だけど、だけどね」

385: 名無しさん 2016/05/09(月)21:53:44 ID:gyr

提督「…だけど、だけどね」

提督「そんな、悲しい未来の事まで気にしてたら」

提督「今を生きる事すら億劫になってしまうよ」

赤城「………」

提督「だから、俺は今を好きな様に好きな人と生きていくつもりだよ」

提督「そうすれば、どんなに残酷な未来が待ってたって」

提督「今この時の、楽しかった思い出が、幸せだった記憶が」

提督「きっと、糧になると思えるから」

赤城「……っ、提、督」

提督「それを、赤城と加賀やんと…皆となら作れると思うんだ」

赤城「そんなのっ、ずるいです、よ」

提督「そうでしょ」クス

赤城「…提督」

提督「なに?」



赤城「私…貴方が、好きです」



提督「うん」

赤城「いつも、笑顔でいてくれる貴方が」

赤城「好きで、好きで…たまりません」

提督「うん」

386: 名無しさん 2016/05/09(月)21:54:19 ID:gyr

赤城「絶対に、側にいてくれますか?」

提督「約束するよ」

赤城「本当に、ずっとですよ?」

提督「嫌になってもいてやるから」

赤城「…嫌になんて、なりません」ギュゥ

提督「…だったら、返事は?」

赤城「そんなの、決まっています」スッ



赤城「不束者ですが、よろしくお願いします」ニコ



提督「うん、よろしくね」スッ

赤城「…とても、綺麗」

提督「でしょ」

赤城「ねぇ、貴方?」ミアゲ

提督「なんだい、おまえ」

赤城「一度言ってみたかっただけです」

提督「なんだよそれ」

赤城「ふふ、貴方」

赤城「お顔が、真っ赤ですよ?」

提督「お前もな、真っ赤城」

387: 名無しさん 2016/05/09(月)21:54:41 ID:gyr

赤城「もう、そう呼ばないで下さいと」

提督「へぇ、怒らないんだ」

赤城「…このやりとりも」

赤城「貴方となら、なんだか愛おしくて」ニコ

提督「……赤城」スッ

赤城「ぁ、提督…」



ガチャ



388: 名無しさん 2016/05/09(月)21:55:21 ID:gyr


加賀「………」

提督「あ、加賀やん」

加賀「…提督」

提督「はい?」

加賀「今、赤城さんと何を?」

提督「え、いや、その」

赤城「………」マッカギ

加賀「そうですか」

提督「あの、加賀やん…?」

加賀「なんでしょう」

提督「怒ってらっしゃるの?」

加賀「怒っているようにみえて?」

提督「…ちょっと」

加賀「いえ、怒ってなどいませんが」

加賀「不貞腐れてはいます」

提督「あ、はい」

加賀「………」

提督「………」

389: 名無しさん 2016/05/09(月)21:55:52 ID:gyr

赤城「あ、あのー…」

加賀「………」

加賀「…ふーん、です」ボソ

提督「………」

提督(なんだ…この可愛い生き物)

赤城「加賀さん、その…」

提督「加賀やん?」

加賀「…なんですか?」

提督「こっちにおいで」

加賀「………」スタスタ

加賀「…来ました」ジッ

提督「ん、じゃあ改めて」コホン


提督「俺が死ぬまで二人を幸せにしてみせる」

提督「だから、こんな俺だけど側で支えて欲しい」

提督「これからも、よろしくね」ニコ

加賀「勿論です」ムス

赤城「はいっ!」ニコ

提督「じゃあ、二人共目を閉じてくれるかな…?」

赤城「…はい」ツムリ

加賀「………」ツムリ

提督「絶ッ対、途中で開かいでね?」

赤城・加賀「はい」

提督「………」スッ



390: 名無しさん 2016/05/09(月)21:57:14 ID:gyr




ガチャ




明石「提督ー、調子どうでーーーーあっ」

提督「なっ」

赤城・加賀「えっ」

提督「目は閉じててね?」

赤城・加賀「は、はいっ」ツムリ

提督「おいこら」

明石「………」スッ

提督「…は?」

明石「………」ドゾドゾ

提督「くっ…このぉ…」

赤城「提督…?」ツムリ

加賀「今、誰か…?」ツムリ

明石「………」ケラケラ

提督「こ、こんなの…くそっ」

391: 名無しさん 2016/05/09(月)21:57:42 ID:gyr

明石「………」ハヤクハヤク

提督「………」デテケ

明石「………」ムーリー

赤城「提督、まだですか?」ツムリ

加賀「目、開けても?」ツムリ

提督「……!…!」デテケヨ!

明石「………」チョイチョイ

提督「……?」スッ

明石「催促されてますよ?」ボソ

提督「~~~っ!!」

明石「………」サ、ドゾドゾ

提督「………」アトデオボエテロヨ

明石「………」ベェー

提督「……っ」スッ

395: 名無しさん 2016/05/11(水)22:47:34 ID:KFr


……、……、


提督「…さ、もういいよ」

赤城「提督…」

加賀「………」

提督「…ほら、結婚なわけだし…ね」

加賀「提督」

提督「はい?」

加賀「もう一度お願いします」ズイ

提督「えっ、おかわりって…」


パタン


提督(あの野郎覚えてろよ…)

加賀「誰だったのですか?」

赤城「明石さんの声に聞こえましたが…」

提督「うん?明石が来たんだけどすぐ出てったよ」

396: 名無しさん 2016/05/11(水)22:48:05 ID:KFr

加賀「そうですか」

赤城「…見られてませんよね?」

提督「大丈夫、その前に出てったから」

赤城「ならいいのですが…」

加賀「…提督」

提督「ん?」

加賀「もう一度、お願いしたいのだけれど…」

提督「んー、あんまり何回もしてると有り難み的なのがなくなっちゃいそうだから」

提督「たまに、ね?」

加賀「………」プク

提督「膨れないの、さぁそろそろ寝よう」ファ

提督「緊張が解けたから眠くなっちゃったよ」

397: 名無しさん 2016/05/11(水)22:48:33 ID:KFr

赤城「もう夜更けですものね」

加賀「私も、少し眠いです」コシコシ

提督「じゃあ今日のところはこれで」ニコ

加賀「分かりました」

提督「ん、俺もう部屋に戻るから」スタスタ

提督「あまり夜更かしするなよー」

赤城「もう充分夜更かしですよ」

提督「尚更だっての、おやすみー」

加賀「はい、では後ほど」

赤城「失礼します」


バタン


赤城「………」チラ

加賀「………」コクン


ーー



提督「さっき加賀やん、後ほどって言わなかった…?」スタスタ


提督「ま、気のせいでしょ」スタスタ



400: 名無しさん 2016/05/13(金)23:05:03 ID:DOs
こんばんは、突然ですが多数決取ります( 'ω')
1.夜戦突入に決まってんだろJK
2.夜戦の事実だけ残して朝チュン
3.いや…夜戦はまだ早い

明日の夜まで、多数決が成り立たなかったら3にします
民主主義を言い訳にします( 'ω')



401: 名無しさん 2016/05/13(金)23:06:19 ID:DOs
それとコメントありがとうございます

明日の夜、結果を見て再開します

402: 名無しさん 2016/05/13(金)23:44:22 ID:Dk2
3をお願いします

403: 名無しさん 2016/05/14(土)00:25:23 ID:Qay
1

404: 名無しさん 2016/05/14(土)01:44:45 ID:VJI
2

405: 名無しさん 2016/05/14(土)06:48:58 ID:f5z
2ずい

406: 名無しさん 2016/05/14(土)10:12:18 ID:dVX
乙です
2で

407: 名無しさん 2016/05/14(土)11:20:06 ID:qdy
2

408: 名無しさん 2016/05/14(土)11:45:37 ID:oie
3も捨て難いけど
2で!

409: 名無しさん 2016/05/14(土)11:48:48 ID:qWh
2ぽよ

410: 名無しさん 2016/05/14(土)15:06:34 ID:WQO
3で

411: 名無しさん 2016/05/14(土)15:24:07 ID:gVP
2で

412: 名無しさん 2016/05/14(土)16:42:42 ID:cCB
1で

413: 名無しさん 2016/05/14(土)18:38:12 ID:3wL
あえての3で

414: 名無しさん 2016/05/14(土)21:18:26 ID:7Rp
こんばんは
皆さんご協力ありがとうございます

22時に締切っからぁ

421: 名無しさん 2016/05/16(月)23:35:13 ID:CC5


マルサン マルマル


ー提督の部屋ー



提督「さぁて、寝るとするかな」


コンコン


提督「やっぱり気のせいじゃなかったようだね」


ガチャ


赤城「ししし失礼します!」カチコチ

加賀「赤城さん、予定と違うわ」

赤城「やっぱり恥ずかしいですよ…」

加賀「夫婦の間にそんなもの必要ありませんよ」

提督「どうしたの二人共…」

加賀「夫婦たるもの、同じ布団で褥に付くものだと思いましたので」

提督「早速過ぎない?」

赤城「だから私はやめておこうと…」

加賀「…赤城さんは戻っても構わないのだけれど」チラ

赤城「それは駄目です」キッパリ

提督「いやいや、ちょっと待ってよ」

加賀「はい」

提督「何で一緒に寝る流れになってるの?」

加賀「何か問題があって?」

提督「問題しかないと思うんですが…」

422: 名無しさん 2016/05/16(月)23:35:48 ID:CC5

加賀「………」スッ

加賀「…赤城さん」

赤城「あ、あぁ…はい」スッ

提督「二人して手の甲突きつけてどうし、あぁ…」

加賀「先程も言いましたが、私達は貴方の妻です」

加賀「重ねて言います、何か問題があって?」

提督「いや、それは…」タジ

加賀「………」ジィ

赤城「………」

提督「寝るだけ、だからな」ハァ

赤城「………」ホッ

加賀「赤城さん、何を安心しているのですか?」

赤城「えっ?いや…その…」カァ

加賀「今日という日は一度しかないんですよ」

赤城「そう、ですが…」メソラシ

加賀「赤城さんが『しない』と言うのであれば私だけ『して』頂きますので」

赤城「それはっ…」タジ

提督「あのー…」ハイ

加賀「何か?」

423: 名無しさん 2016/05/16(月)23:36:28 ID:CC5

提督「その、するしないって言うのは?」

加賀「今宵は結婚初夜です」

加賀「夫婦の営み…夜伽の事です」

提督「あぁ、そういう…」

加賀「…まさか、私達を抱いて頂けないのですか?」

赤城(私達…)

提督「いや、そういう訳じゃないんだけど…」

提督「ほら俺、まごう事なきDTだからさ」

提督「二人相手に上手くできるかも分からないし、満足させてやれるかも分からないから…」

加賀「……はぁ」

加賀「提督、私達も初めてなのを分かっていて?」

提督「…まぁ」

加賀「それなら、上手い下手なんて知っているわけがないでしょう?」

提督「…はい」

加賀「それに…」

加賀「貴方に抱かれるのであれば…」

加賀「それだけで…私は満足です、から」カァ

提督「っ…」ドキ

加賀「だから、お願いします」スッ

加賀「私を、貴方の女にして頂けないかしら」

424: 名無しさん 2016/05/16(月)23:36:52 ID:CC5

提督「………」

提督「…分かったよ」

加賀「っ!」

提督「据え膳だ、腹括るよ」

加賀「貴方…」

提督「赤城、お前はどうする」

提督「無理強いはしないよ」

赤城「………」

赤城「………」グッ

赤城「そんなの…決まっています」スッ

赤城「私も、貴方の女にして下さい」

提督「うん、分かった」

赤城「よ、よろしくお願いします」

提督「ん、じゃあ…」

提督「二人共、おいで」

加賀「はい」ピト

赤城「はい」ススッ

425: 名無しさん 2016/05/16(月)23:37:10 ID:CC5



不肖提督、これよりーーー


夜戦に突入す!!



ーーー
ーー

426: 名無しさん 2016/05/16(月)23:37:45 ID:CC5


マルロクマルマル


ー提督の部屋ー


ー事後ー


チチ、チュンチュン



提督「…ん」ムクッ

提督「……ふぁ」ゴシゴシ

提督「………」チラ

赤城「………」スヤスヤ

加賀「………」スヤスヤ

提督(とりあえず起こさない様に…)ゴソ

赤城「……んっ」

提督(お、起こさない様に…珈琲を…)ゴソ

加賀「……んぅ」

提督(くそ、川の字の真ん中だから…っ)


ゴソゴソ、ゴソゴソ


提督「よし、なんとか…」


カチャ、キィ…


提督「赤城、加賀やんはも少し寝てていいからね」ボソ

427: 名無しさん 2016/05/16(月)23:38:36 ID:CC5

赤城「…はぃ?」ムク

加賀「…提督?」ムク

提督「…えっ、あ…」

提督「抜かった!!!」ガン!

赤城「提督、おはようございます」コシコシ

加賀「………」ボー

提督「あ、あぁ、おはよう」フイ

赤城「…?どうしたのですか?」

提督「…え、いや二人共まっぱだからさ」

提督「目のやり場が、さ」

赤城「…まっ、ぱ?」チラ

赤城「~~っ!?」ガバ

提督「…明るいと何か恥ずかしいね」ハハハ

赤城「わ、私…ななな何でぜぜぜ全裸…」

提督「そりゃあ、ねぇ…」

提督「夜の事、忘れちゃった?」

赤城「夜……あっ」オモイダシ

赤城「…そう、でした、ね」カァ

428: 名無しさん 2016/05/16(月)23:39:09 ID:CC5

提督「加賀やんも、ほら」

加賀「………」ポケー

提督「服着ないと…」

加賀「………ぁ」

提督「ん?」

加賀「…提督」

提督「はい」

加賀「見ないで、いただけるかしら」マッカガ

提督「あっ、すいません」クルッ

加賀「………」スッ


スタスタ、ギュッ


提督「加賀やん…?」

加賀「………」

提督「どうしたの?」

加賀「…貴方の」ボソ

加賀「身も心も、貴方のものになれたのが」

加賀「下腹部の痛みが、それを実感させてくれて…」

加賀「堪らなく、嬉しくて…」ギュゥ

提督「そ、そっか」ポリ

加賀「はい」

429: 名無しさん 2016/05/16(月)23:39:58 ID:CC5

提督「痛いの、大丈夫?」

加賀「歩けない程ではないけれど、動くと痛いです」

加賀「だけれど、貴方から貰った痛みならそれすら嬉しいもの」

提督「っ、ふーん」

加賀「…耳が真っ赤ですが」

提督「う、うるさいな!」

加賀「照れているの?」

提督「悪いかよ!」

加賀「やりました」ギュウ

提督「ところで、赤城は大丈夫なの?」

赤城「ひゃいっ!?」ビクン

提督「えっ?」

赤城「い、いえ…何でもありません」

赤城「…痛みは、今のところありませんね」サスサス

提督「人によるのかな?」

赤城「どうなんでしょう…」

430: 名無しさん 2016/05/16(月)23:40:34 ID:CC5

加賀「赤城さんは、非処女だったようね」

赤城「ち、違います!ちゃんと提督が初めてですよ!血だって出てたのに!」

赤城「それに!私はずっと提督だけです!」

提督「へぇ、嬉しいなぁ」ニコニコ

赤城「くっ、恥ずかしい…」マッカギ

加賀「私も、貴方だけなのだけれど」ジィ

提督「うん、ありがとう」ナデナデ

加賀「やりました」ホッコリ

赤城「さっきから見てれば、加賀さんだけずるいですよ!」スッ

赤城「私だって提督の妻なのですから!」

提督「何か吹っ切れてない?」

赤城「加賀さんだけに独占はさせませんよ!」スタッ


ズキンッ



431: 名無しさん 2016/05/16(月)23:41:04 ID:CC5

赤城「っ!!?くぅ…」ウズクマリ

提督「赤城、大丈夫?」スッ

赤城「お、おへその辺りが…」

提督「この辺が痛いの?」サスサス

赤城「ズキズキします…」

提督「ほら、今日はここでゆっくりしてていいから」

提督「ベッドで横になってなよ」

赤城「痛くて立てません…」

提督「…しょうがないな」ヨット

赤城「きゃあ!」

加賀「!?」

赤城「ててて提督!?これはっ!」

提督「世に言うお姫様抱っこだね」

提督「さ、大人しくしてるんだよ?」

赤城「は、はい…」マッカギ

加賀「………」

提督「何か入用な時は俺が持って来るからね」

赤城「そんな、悪いです…」

提督「少しは夫を頼ってくれないかなぁ」

赤城「おっ、と…」マッカギ

提督「ね?」ナデナデ

赤城「はぅ…」プシュー

432: 名無しさん 2016/05/16(月)23:41:49 ID:CC5

加賀「………」

加賀「……あぁ」ヘタリ

提督「加賀やん?」

加賀「私も、痛くて動けません」

提督「さっき歩いて俺のとこまで来てたじゃないの」

加賀「…痛くて動けません」

提督「………」

赤城「………」

加賀「痛いです」

提督「………」

赤城「………」

加賀「……赤城さんだけお姫様抱っこ」ボソ

提督「最初からそう言えばいいのに」ヨット

加賀「ぁ……」

提督「どうですか、お姫様?」

加賀「…これは、いいものね」

提督「お気に召した様でなにより」ニコ

加賀「…やりました」

433: 名無しさん 2016/05/16(月)23:42:12 ID:CC5

提督「さ、加賀やんもベッドで」

加賀「降りたくありません」ギュウ

提督「おっ、と…加賀やん?」

加賀「降りたらまた痛くなります」

提督「我が儘言わないで、ね?」

加賀「…また、して頂けて?」

提督「いつでもしてあげるよ」ニコ

加賀「やりました」トス

提督「じゃ、俺は行ってくるから」

提督「何かあったら内線で呼んでね?」

赤城「すいません、お言葉に甘えさせて頂きます」

加賀「収まったら向かいますので」

提督「ん、無理はしなくていいからね」

提督「じゃ、お昼に来るからねー」フリフリ


パタン


ーーー
ーー



438: 名無しさん 2016/05/22(日)17:50:14 ID:irR


マルナナマルマル


ー執務室ー


提督「んー、静かだねぇ」ノビー


ドタドタドタ…


提督「…ん?」


ガチャ!


天龍「て、提督!いるか!?」

提督「………」

天龍「い、いた!早く来てくれ!」

提督「んだよフフ怖、人が新しい朝を迎えて静寂に包まれながらモーニングコーヒーを頂いてる時に」イラ

439: 名無しさん 2016/05/22(日)17:50:36 ID:irR

天龍「大変なんだよ!」

提督「何でお前が来た時は大体大変なんだよ」

提督「後、主語を言え主語を」

天龍「いいから来てくれ!」グイ

提督「ちょ、あちち!あぁっ!」パリーン

提督「てめぇ天龍鶏冠に来たぞ!」

提督「俺のお気に入りの烈風マグカップが割れちゃったじゃねぇか!」

天龍「す、すまん!だけど急ぎなんだ!」

天龍「お叱りは後で受けるから!な!?」

提督「ったく、なんなの…」


スタスタ…バタン


ーーー
ーー


440: 名無しさん 2016/05/22(日)17:51:05 ID:irR


ー正面玄関前・広場ー


天龍「ほ、ほらあそこ!」ユビサシ

提督「ん?飛龍に蒼龍、翔鶴とずいずいもおるね」

提督「あ、長門もおるってことは…」

天龍「あぁ…二航戦と長門が喧嘩してんだよ」

提督「またかぁ」ミケンオサエ

提督「んで?原因はなんだったの?」

天龍「俺が食堂で朝飯食ってる時だったんだけどーーー」


ーー

441: 名無しさん 2016/05/22(日)17:52:04 ID:irR


ー少し前・食堂ー


飛龍「………」モグモグ…チッ

蒼龍「………」ザクザクザクザク


ズモモモモ…


天龍「なぁ、あの二人どうしたんだ?」

川内「知らないよ、でも何かすごいね」

天龍「二人の周り、真っ黒じゃねぇか」

川内「目を合わさない方がいいかもね」

天龍「そうだな…」



陸奥「ねぇ、あの二人」チラ

長門「ん?誰のことだ?」モグモグ

陸奥「二航戦の二人よ」クイ

長門「…えらく機嫌が悪そうだな」

陸奥「そんなレベルじゃないでしょ…」

陸奥「飛龍は一口食べる度に舌打ちしてるし…」

陸奥「蒼龍に至っては無表情でパンに絶え間なくフォーク刺してるじゃない」

陸奥「目に生気を感じないわ…」

442: 名無しさん 2016/05/22(日)17:52:35 ID:irR

長門「パンがぐしゃぐしゃだな、勿体ない」

陸奥「パンの事はいいのよ」

長門「パンが可哀想だろう?」

陸奥「パンから頭を離しなさい」

長門「うむ、それで?」

陸奥「誰かと何かが起こる前に処理しとかないとでしょ?」

長門「…私にそれをしろと?」

陸奥「他に誰がいるのよ」

長門「ふむ……よし!」ガタ



長門「おい二人共、おはよう!」ニコ

飛龍「……何?」ジロ

蒼龍「………」ザクザク

長門「いやな、朝から頗る不機嫌な二人に何があったのか聞こうと思ってな!」

飛龍「……別に」

蒼龍「………」ザクザク

長門「そんな事はないだろう、私に話してみないか?」

443: 名無しさん 2016/05/22(日)17:52:55 ID:irR

飛龍「…関係、ないでしょ」

蒼龍「………」ザクザク

長門「ふむ、困ったな…」ウーン

長門「!」ピン

長門「もしかして二人は昨日、提督からプレゼントをもらい損ねたのか?」

飛龍「っ……」ピク

蒼龍「」ピタッ

長門「そうか図星か、だが安心しろ」

長門「とか言う私も、貰ってないからな」

飛龍「………」モグモグ

蒼龍「………」

飛龍「………」モグモグ、ゴクン


カタ

444: 名無しさん 2016/05/22(日)17:53:25 ID:irR

飛龍「…で、長門は何をお願いしたの?」

長門「あぁ、私はだな」

長門「物を貰わない代わりに、提督の武運長久をお願いしたのだ」ドヤァ

飛龍「………」

蒼龍「………」

長門「だから物理的に貰えてない立場としては同じだな!全く提督も困ったものだ」

飛龍「……あのさ」

長門「ん、どうした?」

飛龍「一緒にしないでくれる?」

長門「なに?」

飛龍「『貰ってない』と『貰えてない』を一緒にするなって言ってるの」

長門「それは…」

飛龍「アンタはそれで満足だったんでしょ?」

飛龍「私達はそうじゃないから」

飛龍「だから、一緒にしないでって事」

445: 名無しさん 2016/05/22(日)17:53:48 ID:irR

長門「まぁ、それは最もだ」

長門「私の落ち度だ、申しわけない」ペコ

長門「だが、そんなどす黒いオーラを常時展開されると困るんだ」

長門「皆の士気に関わる」

長門「不機嫌になるのは勝手だが、表に出すなら部屋に戻ってからにしてもらえないだろうか」

飛龍「は?そんなのーーー」


ガタッ


蒼龍「………」

飛龍「蒼龍、どうしたの?」

蒼龍「ウルサインダヨ」

長門「なんだと?」ピキ

蒼龍「ヤンノ?」

長門「上等だ、表に出ろ」

飛龍「二対一だけど、まさか卑怯とか言わないよね」ズイ

長門「当たり前だ、まとめてかかってこい」


ーーー
ーー

446: 名無しさん 2016/05/22(日)17:54:11 ID:irR


天龍「てな訳なんだよ」

提督「あちゃあ…」ガシガシ

天龍「プレゼント、やってねぇのか?」

提督「なんて言うのかな…ちょっと複雑でね」


ズイズイカクカク


天龍「それは提督が悪い」

提督「だよねぇ」

天龍「あと結婚おめでとう、だな」

提督「ありがとよ」

天龍「これ、空母の連中以外で知ってるやついるのか?」

提督「いや、多分まだ知らないんじゃない?」

天龍「そっか……へへっ」

提督「んだよ」

天龍「あー、何でもねぇよ」ニカ

447: 名無しさん 2016/05/22(日)17:54:36 ID:irR

提督「ん、じゃあ本題ね」

天龍「提督が仲裁するしかないだろ」

提督「えー、やっぱり?」

天龍「そりゃあな…あ」

天龍「五航戦の二人がこっちに気付いたぞ」

提督「こっちに来るね」

瑞鶴「提督さん!」スタタ

翔鶴「提と…あっ」コケッ、ズザザザー

翔鶴「い、痛いです」

提督「大丈夫?」

翔鶴「翔鶴は大丈夫です…」

天龍「榛名か」

提督「ほら、膝擦りむいてる」ハンカチアテ

翔鶴「あっ、提督それは…」

提督「いいのいいの」

翔鶴「申し訳ありません…」

提督「気にしないで、救護室行ける?」

翔鶴「今はそれどころではありません、それに…」チラ

翔鶴「一番良い治療をしていただけたので…」ボソ

提督「え?」

456: 名無しさん 2016/05/27(金)21:39:47 ID:eUX

翔鶴「なっ、何でもありません…それより二航戦のお二人を」

瑞鶴「提督さん、ごめんなさい」

提督「え、何が?」

瑞鶴「あの日、私達が二航戦の二人は大丈夫って言ったから…」

提督「あぁ、それね」

提督「俺もバタついてて忘れてたのもあるから」

提督「二人が責任を感じる事はないよ」

翔鶴「ですが…」

提督「ま、後のことは俺がしとくから」

提督「巻き込まれる前に戻ってなよ」

瑞鶴「うー」

提督「どしたの?」

瑞鶴「悪いなーって思ったのよ」

提督「ずいずいはいい子だね」ナデナデ

瑞鶴「なっ、そんなんじゃない、わよ」ナデラレ

翔鶴(いいなぁ…)

提督「てなわけだから、ね?」

457: 名無しさん 2016/05/27(金)21:40:17 ID:eUX

提督「フフ怖、お前は後で覚えてろよ」

天龍「何卒ご勘弁を」ドゲネ

提督「嘘だ馬鹿、天龍も戻ってな」

天龍「お、おう…ごめんな?」

提督「ん、いいよ」

提督「向こう20年は根に持つけどね」

天龍「持ち過ぎだろ」

提督「嘘だよ、ほら帰った帰った」

天龍「おう、無事を祈ってるぜ」

翔鶴「…ごめんなさい、では失礼します」

瑞鶴「無理しないでよ」

提督「分かってるよ」


ーー



提督「さて…」チラ



458: 名無しさん 2016/05/27(金)21:41:00 ID:eUX



長門「ふん空母の一人や二人くらい」スッ

飛龍「黙れよ鈍亀戦艦が」ギソウテンカイ

蒼龍「…、…、、」ブツブツ

蒼龍「………」ギソウテンカイ

長門「鈍亀だと?そっくりそのまま返してやる」ヒュッ

飛龍「なっ!?」

長門「あの艤装は重くてかなわん」ブンッ

飛龍「くっ…」カイヒ

長門「ほう、よく避けーー!」ピクッ

蒼龍「………」キリキリ

長門「…二対一だったな」ウシロトラレ

長門「しかし、その距離で艦載機など発艦させていいのか?」

蒼龍「………」キリキリ

長門「…なるほど、艦載機ごと私に当てるつもりだな」

長門「それだと飛龍が爆発に巻き込まれるが、どうするつもりだ?」

飛龍「そんなの、決まってるでしょ?」スタッ

長門「だろうなっ!」バッ

蒼龍「っ!?」ツカマレ


グルン、ドサッ

459: 名無しさん 2016/05/27(金)21:41:28 ID:eUX


蒼龍「がっ、は…」

飛龍「蒼龍っ!」

長門「どうだ?鈍亀戦艦の一本背負いは」マウント

蒼龍「離せ!」ジタバタ

長門「そうはいかん、単純な力比べなら負けんからな」

長門「…さて、まずは貴様からだ」コブシフリアゲ

蒼龍「なっ…」ビクッ



憲兵『まずは、そうだな…』


憲兵『貴様からだ!』



蒼龍「いっ…」

蒼龍「い、いや…やめて…」

長門「何を今更!天誅っ!」ブンッ



パシッ




460: 名無しさん 2016/05/27(金)21:42:13 ID:eUX



長門「ん…?」クル

提督「………」

長門「て、提督!?」ビク

蒼龍「いや!提督、助けてぇ!」ジタバタ

提督「………」

長門「て、提督、話を聞いてくれないか?」ゾゾッ

提督「………」チラ

長門「…っ、分かった」カラダドカシ

蒼龍「ひぐっ…うぇ」メソメソ

提督「………」

長門「お、お願いだ提督、怒らないでくれ」

提督「………」

提督「…事の顛末は天龍から聞いてる」

提督「部屋に戻るんだ」テイトクニラミ

長門「あ、あぁ…分かった」

ーー


461: 名無しさん 2016/05/27(金)21:42:47 ID:eUX



提督「…蒼龍」スッ

蒼龍「てい、とく…?」

提督「さ、もう大丈夫だからね」

蒼龍「…提督、提督っ」ガバッ

提督「おっと」ウケトメ

蒼龍「うぇえ、ぅぐ」グシュ

提督「ん、怖かったね」ナデナデ

飛龍「………」

提督「飛龍も、大丈夫かい?」

飛龍「うん、大丈ーー」ハッ

飛龍「し、知らないっ!」プイ

提督「あー…うん、そうだね」

提督「二人共、一緒に執務室行かない?」

蒼龍「なん、で…?」グスッ

飛龍「………」ツーン

提督「それは来てみないと分からないよ」

蒼龍「…ついてく」

飛龍「………」ツーン

提督「飛龍は来ないの?」

飛龍「……いく」

提督「よし、じゃあ行こうか」


グイ



462: 名無しさん 2016/05/27(金)21:43:09 ID:eUX


提督「ん?」

蒼龍「………」ソデツカミ

提督「蒼龍?」

蒼龍「…立てない」

提督「ほら、よっと」グイ

蒼龍「んっ、あぅ」ヘタリ

提督「ありゃ」

蒼龍「…歩けない」フルフル

提督「ほら、おいで」クル

蒼龍「…うん」ヨジヨジ

提督「よっ、と」オンブ

蒼龍「…おもく、ない?」

提督「あと3蒼龍はいけそうだね」

蒼龍「なに、それ」クス

飛龍「………」ムス


ーーー
ーー

463: 名無しさん 2016/05/27(金)21:43:37 ID:eUX


ー執務室ー


ガチャ


提督「うーい…あら」

蒼龍「誰もいないね」

提督「あ、そっかそっか」ピン

蒼龍「どうしたの?」

提督「いんや、いない理由が分かっただけだよ」

提督「さ、蒼龍は降りようか」

蒼龍「……やだ」ギュッ

提督「えー、困ったな」

蒼龍「…なら降りる」

提督「ソファに座りなぁ」ヨイショ

蒼龍「…ありがと」

提督「はいよ」

飛龍「………」

提督「さて、まずは二人に言わないといけない事があるんだけど…」

464: 名無しさん 2016/05/27(金)21:44:03 ID:eUX

提督「すいませんでした」ドゲネ

蒼龍「………」

飛龍「………」

提督「…あのー」ドゲネ

蒼龍「……くくっ」プルプル

提督「蒼龍さん?」

蒼龍「ダメだよ、いきなりうつ伏せなんて…卑怯だよ」クスクス

提督「あっはい」

蒼龍「五航戦の二人から聞いてるから、私は大丈夫だよ」ニコ

提督「ありがと…飛龍は?」

飛龍「私は…許してあげない」

提督「…どうしたら許してくれる?」

飛龍「さぁね」プイ

提督「…うーん」セイザ

蒼龍「………!」トコトコ

蒼龍「…提督?」ボソ

提督「…なに?」

465: 名無しさん 2016/05/27(金)21:44:34 ID:eUX

蒼龍「飛龍にも優しくしてあげて」ボソ

提督「え?」

飛龍「き、聞こえてるんだけど!」

蒼龍「理由はどうあれやっぱり楽しみにしてたから、その分不安だったんだと思うの」

蒼龍「提督は私達の事、どうでもいいのかなって」

提督「そんなこと…」

蒼龍「分かってるんだけど、でも、私達はほら…」


蒼龍「一度、捨てられた身…だから」


提督「………」

蒼龍「提督がそんな事する人じゃないの、本当は分かってるんだけど…やっぱりね」

蒼龍「私もそうだったから」

提督「蒼龍はもう不安じゃないの?」

蒼龍「うん、提督に会ったら忘れちゃった」ニコ

提督「でも、飛龍はまだ怒ってるから…」

蒼龍「それなら大丈夫」

蒼龍「多分、不貞腐れてるだけだから」ニコ

466: 名無しさん 2016/05/27(金)21:45:14 ID:eUX

飛龍「ちょっと!何を勝手に…」

提督「飛龍」クル

飛龍「なっ、何?」プイ

提督「………」ジリジリ

飛龍「こっちに来ないで!」

提督「ほーら、逃げないと捕まえちゃうぞ」ジリジリ

飛龍「やだ!逃げるっ!」ダッ

提督「しかし回り込まれた」バッ

飛龍「いやぁ!」トンッ

飛龍「なっ…」

提督「ふふふ、後ろは壁…退路を絶たれたな」ニコ

飛龍「だ、だったらどうするの?」アセ

提督「こうする」ギュ

飛龍「っ…」

提督「………」

提督「飛龍、ごめんな」

飛龍「…知らないったら」

提督「どうでもいいなんて事、ないからね」

飛龍「………」

提督「ちゃんと、準備してあるから」

飛龍「………」

提督「機嫌、直してくれないかな」

飛龍「……ぅん」

提督「ありがとう」スッ

467: 名無しさん 2016/05/27(金)21:45:44 ID:eUX

飛龍「あっ…」

提督「ん?」

飛龍「…優しく、するって」ボソ

提督「……?」

飛龍「まだ、足りないよ」ギュウ

提督「あらら」

蒼龍「私もー」ギュウ

提督「二航戦サンドじゃん」

蒼龍「えへへ、参ったかー」ギュウゥ

提督「参った参った、降参だ」

飛龍「でもやめてあげないから」ギュウ

提督「それだと渡せないから」

飛龍「…ずるい」スッ

蒼龍「待ってましたぁ」キャッ

提督「それじゃ二人共、こっちに」

飛龍・蒼龍「はい!」

ーー

469: 名無しさん 2016/05/30(月)10:25:40 ID:lrz


提督「えーっとね、ここに…」ゴソゴソ

提督(ん?これ……あっ)ピク

飛龍「どうしたの?」

提督「いや、あったあった」


コト、コト


飛龍「おぉ…」ゴクリ

蒼龍「わぁ」パァ

提督「じゃ、渡そうと思うんだけど…」

提督「どっちから渡そうか」

飛龍・蒼龍「えっ」

提督「そりゃあ同時にって訳にはいかないでしょ?」

飛龍「あー、確かに」チラ

蒼龍「だったら…」チラ

飛龍「………」

蒼龍「………」

飛龍「…ねぇ蒼龍?」

蒼龍「…何?」

飛龍「私、先がいいんだけど」

蒼龍「私もだよ」

飛龍「そっか、どうする?」

蒼龍「…私は、譲れないなぁ」

提督「ちょ、喧嘩はだめだよ」

470: 名無しさん 2016/05/30(月)10:26:50 ID:lrz

飛龍「でも私、提督の事だけは蒼龍に負けたくないんだよね」

蒼龍「…でも私の方が提督の事好きだから」ボソ

飛龍「は、何言ってんの?」ジロ

飛龍「私より練度低いくせに」

蒼龍「…たった、2デショ」ハイライトオフ

飛龍「下は下でしょ?」

蒼龍「…ヤンノ?」ニコウセンニラミ

飛龍「上等だよ」ニコウセンニラミ

飛龍「………」バチバチ

蒼龍「………」バチバチ

提督「こらこら、二人共」グイ

飛龍「提督、邪魔しないで」

蒼龍「提督を邪魔者扱い?」ギロ

提督「喧嘩するなら両方あげないよ」

飛龍・蒼龍「ごめんなさい」

提督「よろしい」

提督「それに、二人同時が物理的に無理だって話なだけでさ」

提督「ホントのとこ、同時みたいなものだからね?」

提督「俺の込めた気持ちに優劣はないから」

提督「後か先かなんて、些細な問題だよ」

471: 名無しさん 2016/05/30(月)10:27:08 ID:lrz

飛龍「………」

蒼龍「………」

提督「だから、適当でいんだよ適当で」ニコ

飛龍「蒼龍、ごめん」

蒼龍「私も、ごめんね…」

提督「うんうん」

提督「ならおふたりさん、ジャンケンをして下さい」

提督「勝った方が先、文句なしね」

飛龍「…うん!蒼龍、負けないよ!」

蒼龍「私だって負けないから!」

提督「それじゃいくよ…」

提督「じゃーん、けーん」

飛龍・蒼龍「ぽん!」パッ

472: 名無しさん 2016/05/30(月)10:28:43 ID:lrz
Q.勝ったのは?

1.飛龍に決まってんだろ
2.蒼龍が神

477: 名無しさん 2016/05/30(月)20:53:49 ID:bxg
い、1で!

481: 名無しさん 2016/05/31(火)18:02:01 ID:68i
迷うけど1かな・・・。

483: 名無しさん 2016/06/01(水)23:45:46 ID:GwU

蒼龍「やった、勝ったぁ!」

飛龍「負けちゃった…」ガクッ

提督「んじゃ、蒼龍からね」

蒼龍「はーい」

飛龍「………」シュン

提督「まぁまぁ飛龍、気にしないの」ナデナデ

飛龍「うー」ナデラレ

蒼龍「提督、早く」クイ

提督「わ、分かったから」

飛龍「私、外に出てようか?」

提督「……いや、蒼龍の隣にいて」

飛龍「でも……」

提督「決めたのは渡す順番だけだから」

飛龍「…分かった」

484: 名無しさん 2016/06/01(水)23:46:51 ID:GwU


提督「じゃあ蒼龍、おいで」

蒼龍「はぁい♪」


ーー



提督「えぇと、こっちだね」スッ

蒼龍「わぁ、綺麗」

提督「後ろ向いて」

蒼龍「うん」

ーー

提督「はい、着いたよ」

蒼龍「…どう?」クル

提督「うん、似合ってるよ」

蒼龍「嬉しいなぁ」テレテレ

提督「ん、気に入ってくれて何より」ホッ

蒼龍「………」ジィー

提督「どしたの?」

蒼龍「何か言う事、ない?」ジィー

提督「あぁ、そゆことね」

提督「……えぇとね、飛龍」

飛龍「はい?」

提督「今から話すのは、二人に向けてだから」

485: 名無しさん 2016/06/01(水)23:47:16 ID:GwU

飛龍「うん」

提督「だから、その前に飛龍も」スッ

飛龍「やった!」

提督「ん、じゃあ同じ様に」

飛龍「はーい」クル

ーー

提督「よし、もういいよ」

飛龍「おぉ、すごいね」マジマジ

提督「飛龍の為だけに作ったからね」

飛龍「えへへぇ」ニヘラ

提督「気に入ってくれて良かったよ」

提督「…じゃあ、ちょっと真面目な話するからね」

飛龍「うん」

蒼龍「はぁい」


ーー

486: 名無しさん 2016/06/01(水)23:47:39 ID:GwU


提督「じゃあ改まって、飛龍、蒼龍」

飛龍「はいっ」

蒼龍「はい」

提督「突然だけど、二人には申し訳ない事をしてしまった」

提督「まず、それを謝るよ」

蒼龍「えっ…謝るような事なんて…」

飛龍「なんの事…?」

提督「…あの時さ」

蒼龍「あの時…?」

提督「そう、二人が解体されそうになった時」

飛龍「あっ…」

蒼龍「で、でも!提督は助けてくれたから…」

蒼龍「だから、謝る事なんて…」

提督「あるんだよ、人としてね」

飛龍「人…として…?」

487: 名無しさん 2016/06/01(水)23:48:00 ID:GwU

提督「そ、あそこの提督が俺の同期だったってのも然ることながら」

提督「人間と艦娘、こう言っちゃなんだけど、どうしても立場の差ができちゃう」

提督「だからこそ俺達人間は、人間と同じ感情を持った艦娘と言う存在を、人間と同じ様に大切にしなきゃいけないんだよ」

提督「自分達が、己の指示一つで戦場に駆り出してるのなら、尚更ね」

飛龍「………」

提督「でも、現状そうも言えない様な環境が確かに存在してるのも事実で」

提督「アイツも、君達の件にそこまで責任を感じてる様子じゃなかった」

提督「少なくとも、二人の人間に関する様な物言いではなかった」

飛龍「それは…」

蒼龍「………」グッ

提督「だからって、アイツが悪かと言うと、そうとも言えなかったりもしてね」

提督「…俺達は、士官学校時代にこう教わったんだ」

提督「艦娘に感情移入をしてはならない」

提督「それは、ある意味で理にかなってる」

提督「指揮官である俺達が、数多いる艦娘の一人にでも感情移入してしまったら」

提督「艦隊が機能しなくなる可能性があるから」

提督「そして最も問題なのが、感情移入したその先で、艦娘の為に自らを投げ出す様な愚か者が現れる可能性だってある」

提督「所謂、恋愛関係なんかに発展しちゃったらって事だね」

提督「それが何故問題なのか、それは艦娘と指揮官じゃ実戦投入出来るようになるまでの時間も数にも限りがあるから」

提督「そんな理由が含まれているんだ」

蒼龍「………」

488: 名無しさん 2016/06/01(水)23:48:29 ID:GwU

提督「俺は当時から、その教えに納得がいかなかった」

提督「…だから、学んだんだ」

提督「一人の犠牲も出さない、そんな夢物語の様な艦隊戦術と…」

提督「そして」

提督「俺一人の力で、俺の下に就く艦娘全員を守る為の方法を」

提督「それを一人だけ応援してくれた上官がいたんだ」

提督「立場上、影でしか支えて貰えなかったけど」

提督「その人の教えのお陰で、今の俺がいるんだよ」

飛龍「………」

提督「…今まで、それを完璧にこなせて来たかどうかは分からない」

提督「ただ、そのスタンスは貫いてきた」

提督「そして、これからも曲げるつもりは毛頭ない」

提督「……だけど」

提督「皆が皆、俺と同じじゃない」

提督「当時の教えを完璧に遂行する提督もいる、それを湾曲して捉えてる馬鹿だって五万と居るんだ」

提督「その点、アイツも感覚が麻痺していたんだと思う」

提督「だから、他所からここに来た艦娘に対して」

提督「俺達が、他でもない人間が、君達に酷い仕打ちをした事実に」

提督「謝罪をしなきゃいけないんだよ」

提督「……それに」

489: 名無しさん 2016/06/01(水)23:49:03 ID:GwU

提督「…どちらかと言えば、俺が酔狂者なんだろうけどね」

蒼龍「…っ、そんな、事っ…」

提督「いいや、それが現実さ」

提督「間違ってるのは、俺の方なんだよ」

飛龍「そんな事…」ボソ



飛龍「そんな事ないよ!!」



提督「……っ」

飛龍「他所の提督がどうかなんて、私達には関係ない!」

飛龍「艦娘の立場が弱い事だって、分かりきってる!」

飛龍「それが仕方が無い事だって!」

飛龍「ただ……私達はっ…」ポロ

飛龍「私達は、貴方が提督でいてくれるだけでっ…それだけで…っ」ポロポロ

飛龍「…あの時だって、私達を必要としてくれて、凄く嬉しかった」

飛龍「提督の事だからっ、たまたま空母だったからってだけかも知れないけどっ…」

飛龍「でもっ、私達がそうで、提督がそうだったのも…」

飛龍「きっと、運命だったんだと思えたからっ…」

提督「っ!」

飛龍「そんな提督だから、私達の事を大切にしてくれる他でもない貴方だったからっ…」

飛龍「私はっ、わたしはっ…」スワリコミ

提督「…飛龍」

490: 名無しさん 2016/06/01(水)23:50:20 ID:GwU

蒼龍「…提督」

提督「………?」

蒼龍「私だって、同じなんだよ?」

提督「………」

蒼龍「提督が、私達をただの兵器としか思ってなかったら」

蒼龍「あの時、私達は解体されてた」

蒼龍「赤城さんも、加賀さんも、瑞鶴も翔鶴も…ここの艦隊のみんなが」

蒼龍「提督の事、ただの上官としか思ってなかったんだと思う」

蒼龍「でも、提督はそんな人じゃないから」

蒼龍「だから、みんな提督の事が大好きなんだよ?」

提督「………」

蒼龍「私も、飛龍も、艦隊のみんなも」

蒼龍「建造で来た娘も、そうじゃない娘も」

蒼龍「ここに、提督の元に来れたことを幸せに思ってる」

蒼龍「…確かに、他所で酷い仕打ちを受けてる艦娘もいるかもしれない、けど」

蒼龍「それが、私達の本来の在り方だったとしたら…」

蒼龍「知らない所の、見てない出来事まで提督が背負い込む必要は、ないと思うの」

提督「………」

蒼龍「でも…提督のそんな所も」

蒼龍「私達の為に無理してくれる、貴方が」



蒼龍「大好きなんだから」



491: 名無しさん 2016/06/01(水)23:51:45 ID:GwU


蒼龍「だから、私達の大好きな提督を」

蒼龍「自分自身で卑下しないで?」

提督「蒼龍…」

蒼龍「…それに」

蒼龍「私は、そんな事を言って欲しかったわけじゃないよ?」

飛龍「そう、だよっ…」グスグス

提督「………」

提督「そう、だね」ニコ

蒼龍「えへへ、やっと笑ってくれた♪」

提督「え?」

蒼龍「私ね、提督の笑った顔が一番好き」

提督「…うん」

蒼龍「飛龍はね?眠そうな時の提督ーーー」

飛龍「蒼龍…や、やめてよ…」グスッ

蒼龍「やめないよ、私は言ったもん」プク

蒼龍「飛龍も、泣いてる場合じゃないでしょ?」

飛龍「そう、だけど…」

蒼龍「………」

蒼龍「………」チラ

提督「……!」

提督「…あー、飛龍?」

飛龍「なに、よ」

492: 名無しさん 2016/06/01(水)23:52:31 ID:GwU

提督「俺の為に、泣いてくれてありがとう」

提督「凄く嬉しかったし、何より飛龍がそう思ってくれてて、頑張って良かったって思えてるから」

飛龍「…そんな、私はただ…」

提督「いや、大切に思ってる人に応えて貰える程、幸せな事はないよ」ナデ

飛龍「んっ…」

提督「飛龍のおかげで、俺はまた頑張れるから」

提督「だから、泣き止んで?」

飛龍「…うん、泣き止む」ゴシゴシ

提督「立てる?」

飛龍「…一人じゃ立てない」

提督「はいよ」ヨイショ

飛龍「…ん、ありがと」

蒼龍(あ、いいなぁ…)

ーー

493: 名無しさん 2016/06/01(水)23:53:03 ID:GwU


提督「じゃ、続きと言うかなんと言うか」

蒼龍「うん」

飛龍「…ん」



提督「まだ少し先になるだろうけど」

提督「二人が最高練度になった時か」

提督「何を節目にするかは二人に任せるけど」

提督「もしその時、二人がまだ俺の事を想っていてくれていたら」

提督「改めて、俺から告白させて欲しい」

提督「そして今日、まずは婚約という形で」

提督「俺と、結婚してくれませんか?」

蒼龍「………」

飛龍「………」

提督「…どしたの?」

飛龍「ううん、ちょっと…」ポロッ

蒼龍「…ぅ、うぇえ」ポロポロ

提督「………」

飛龍「あはは…、どうしよう」ポロポロ

蒼龍「すごく、嬉しい、なぁ」ポロポロ

提督「…おいで、飛龍、蒼龍」

蒼龍「っ…」ギュウ

提督「これからもよろしくね」

蒼龍「うん、うんっ」ギュウゥ

494: 名無しさん 2016/06/01(水)23:53:34 ID:GwU

蒼龍「…私っ、もっと頑張るから」

提督「うん」

蒼龍「もっともっと頑張って、最高練度になって…」

蒼龍「他の誰よりも早く、提督と結婚するから」

飛龍「私も」

飛龍「蒼龍に抜かれない様に、頑張る」

飛龍「二人で、切磋琢磨する」

提督「待ってるよ」ナデ

蒼龍「うん………ねぇ、提督」

提督「ん?」

蒼龍「…あの時、私達を助けてくれて」

飛龍「本当に、ありがとう」

提督「うん、どういたしまして」ニコ

蒼龍「…大好き、なの」

提督「っ……」

蒼龍「あの時は、まだ感謝しか無かったけど」

飛龍「それも…助けてくれた事も含めて」

蒼龍「今も、これからも提督が大好き」

提督「……うん」

495: 名無しさん 2016/06/01(水)23:54:38 ID:GwU

提督「……うん」

飛龍「えへへ、提督照れてる」クス

提督「二人だって、真っ赤じゃないの」

蒼龍「それは……だって」

提督「お互い様だね」ニコ

蒼龍「うん♪」

提督「そうだ指輪、服の中にしまっといてね」

飛龍「はぁい」

蒼龍「…ねぇ、提督」

提督「ん?」

蒼龍「ちょっと」クイクイ

提督「なになに?」カオチカヅケ


ガシッ


提督「えっ、蒼りゅ…」


ーー


提督「……ったく」プイ

蒼龍「私の、初めてだよ」マッカ

提督「不意打ちはやめなさい」

蒼龍「いいの!」

496: 名無しさん 2016/06/01(水)23:55:06 ID:GwU

飛龍「ずるい!私も!」


ガシッ


提督「なっ、んぐっ!?」


ーー


飛龍「わ、私も初めてなんだから!」

提督「だから二人共…」

飛龍「良いでしょ!婚約者なんだから!」

提督「だぁあ、でかい声であんまりだな…」


ヤイノヤイノ


ーーー
ーー


504: 名無しさん 2016/06/08(水)22:04:22 ID:W4U


提督「…あ、そうだ二人共」

飛龍「なぁに?貴方♪」イチャ

提督「気が早すぎだろ」

飛龍「えー、いいじゃん」プウ

提督「だぁめ」

蒼龍「私はいいでしょ?貴方♪」イチャ

提督「蒼龍はいいよ」

蒼龍「やったぁ♪」

飛龍「なんでよ!」

提督「嘘に決まってんでしょ」

蒼龍「嘘なの!?」

提督「そういうのはちゃんと結婚するまで取っておきましょうね?」

提督「じゃないと、いざその時に新鮮味もクソもなくなっちゃうでしょ」

飛龍「うー」

蒼龍「うー」


505: 名無しさん 2016/06/08(水)22:05:31 ID:W4U

提督「俺は素直な娘が好きなんだ」

飛龍「分かった!」

蒼龍「私も!」

提督「よろしい」

飛龍「で、何だったの?」

提督「あぁ、これこれ」ジャラッ

蒼龍「何それ、綺麗…」

提督「二人との婚約、俺用」

飛龍「提督の分もあったんだ」

提督「まぁ、ほら、色々あるやん?」

蒼龍「へー、なんで黄色なの?」

提督「二人の指輪、見てみな」

飛龍「えっ…うん」ゴソゴソ

蒼龍「えへへ、指輪♪」ゴソゴソ

提督「何色かな?」

飛龍「私のは橙色…あっ」

蒼龍「私のは緑…って、どしたの?」

提督「飛龍、分かった?」

飛龍「私達の色を足してるんだね!」

提督「そそ、二人分って事さ」

蒼龍「なるほど…」

提督「ってだけなんだけどね」ヨイショ

提督「ん、うまく…あれ?」モタモタ

506: 名無しさん 2016/06/08(水)22:06:17 ID:W4U

蒼龍「あっ、待って!」

提督「どしたの?」

蒼龍「私が付けてあげる!」

飛龍(しまった…出遅れた)

提督「じゃあ、お願いしようかな」

蒼龍「はいはーい、ほら飛龍?」

飛龍「えっ?」

蒼龍「二人分なんだから、二人で着けてあげよ♪」

飛龍「あっ…うん!」パァ

ーー


蒼龍「さ、提督いいよぅ」

提督「ん、ありがと」クル

提督「どっかな?」

飛龍「うん、ばっちりだよ」

蒼龍「えへへ、三人でお揃い♪」

提督「そだね」

飛龍「あーぁ、皆に自慢したいなぁ…」

507: 名無しさん 2016/06/08(水)22:07:16 ID:W4U

提督「んー、それはまだ待ってね」

飛龍「えー…待てないよぅ」

蒼龍「そうだ!三人の秘密って事だね!」

提督「それだとまたなんか悪い事してるみたいに聞こえるけどね」

飛龍「…でも、その響きなんかいいね」

提督「それで納得してくれるならそれでもいいけども」

飛龍「仕方ない、結婚するまで黙ってるよ」

提督「そうしてくれると助かる」


ーーー
ーー

508: 名無しさん 2016/06/08(水)22:07:47 ID:W4U


飛龍「じゃあ私達部屋に戻ってるね!」

蒼龍「提督、ありがとう」ニコ

提督「はいよ、今日はゆっくりしてなぁ」


パタン


提督「ふぅ…」ギシッ

提督「これで四人…一夫多妻もいいとこだね」

提督「俺はサウジアラビア人か…ってな」

提督「珈琲珈琲っと」

提督「あ、マグカップ割れてたんだった」ガックリ


ーーーーー

509: 名無しさん 2016/06/08(水)22:08:27 ID:W4U


マルハチマルマル


ー提督の部屋ー


コンコン


赤城「はい…あっ」

提督「入るよー」ガチャ

赤城「提督でしたか」ホッ

加賀「提督」カラダオコシ

提督「あ、いいよ寝てて」

提督「赤城はどしたの?」

赤城「いえ、もし他の娘だったら色々と面倒だなと思ったので」

提督「あぁ、なるほどね」

提督「でも返事してたね」

赤城「だから安堵したんですよ」

提督「まぁ、遅かれ早かれだと思うけど…」

提督「体調はどう?」

赤城「少し落ち着いた様に感じますが…」サスサス

赤城「まだ、違和感はあります」

510: 名無しさん 2016/06/08(水)22:08:57 ID:W4U

提督「そっか…加賀やんは?」

加賀「私も幾分かは楽になりました」

提督「そっかそっか」

提督「じゃあ、よさそうだね」

赤城「…?何がでしょうか」

提督「これだよ」スッ

加賀「それは…?」

赤城「指輪、ですか?」

提督「そそ」

加賀「私達はもういただいてますが」

赤城「そうですよ提督、一体何方に?」

提督「…やっぱ分かんない?」

赤城「ここにいる最高練度の艦娘は私達だけではないのですか?」

提督「二人だけだよ」

加賀「………ぁ」

511: 名無しさん 2016/06/08(水)22:09:35 ID:W4U

提督「お、加賀やんどしたの?」

加賀「貴方の指輪がないわ」

提督「せいかーい」

赤城「あっ、そう言えば…」

提督「準備はしてたんだけど何だかんだで忘れててさ」

提督「結婚指輪を渡すだけ渡して自分がしないのも変じゃない?」

加賀「今すぐ嵌めさせて下さい」

赤城「ちょ、ちょっと待って!私も!」

提督「できれば穏便に二人で嵌めてくれたらなーって」

加賀「元よりそのつもりです」ムン

赤城「私も同意見です」ムン

提督「じゃ、お願いね」ワタシ

赤城「……わぁ、綺麗な紫ですねぇ」

加賀「私達の色を足したのね」

提督「加賀やん冴えてるね」ナデ

加賀「…貴方の考えることですから」ナデラレ

赤城(くっ…羨ましい…)

提督「じゃ、お願いね」スッ

加賀・赤城「はい」

512: 名無しさん 2016/06/08(水)22:10:00 ID:W4U


スポ


提督「……どう?」パッ

赤城「ふふ、とてもお似合いですよ」

加賀「寸法も丁度ですね」

提督「流石明石だね」

提督「俺自身のも含めてサイズ全然分かんなかったからさ、正直不安もーーー」


チクッ


提督「っ、あったんだけど…?」

赤城「どうかしましたか?」

提督「いや、何でもないよ」

提督(慣れてないから…かな?)

加賀「提督」

提督「ん?」

加賀「お腹が空きました」

提督「オッケー、持ってきてあげるよ」

提督「何が食べたい?」

513: 名無しさん 2016/06/08(水)22:11:18 ID:W4U

加賀「提督のご飯が食べたいです」

赤城「あっ、私焼飯が食べたいです!」

提督「俺の?鳳翔のがよくない?」

加賀「提督のご飯がいいです」

赤城「私もです」

提督「そ?分かったよ」

提督「じゃ、作ってくるからちょっと待ってなー」スタスタ


パタン


赤城「………」

加賀「……赤城さん」

赤城「はい、分かってますよ」

加賀「嵌め慣れてないだけならいいのだけれど…」

赤城「出処が明石さんですから…ねぇ」

加賀「杞憂であって欲しいものね」

赤城「あの人の事です、悪い事にはならないでしょう」

加賀「………」


ーーー
ーー

514: 名無しさん 2016/06/08(水)22:11:46 ID:W4U


ー食堂ー


提督「おいーす」

鳳翔「あら、おはようございます」カチャカチャ

提督「うん、おはよう」

鳳翔「朝食でしょうか?」キュッ、フキフキ

提督「ん、そんなところ」

鳳翔「少し待って下さいね、すぐに順番しますから」

提督「それには及ばないよ」

鳳翔「…と、言いますと?」

提督「ちょっと厨房借りていい?」

鳳翔「構いませんが…!」

鳳翔「…ふふ、提督?」

提督「はい」

鳳翔「ご結婚、おめでとうございます」ニコ

提督「あぁ、ばれちゃった」

提督「ありがとう、鳳翔」

鳳翔「お相手は…聞く必要もありませんかね?」

提督「予想の通りだよ」

515: 名無しさん 2016/06/08(水)22:12:09 ID:W4U

鳳翔「では、その"二人"にせがまれて来たんでしょう?」クス

提督「ご名答」

鳳翔「優しい夫ですこと」クスクス

提督「やめてくれよ、嬉しいやら恥ずかしいやら」ポリ

鳳翔「あらあら、見せ付けてくれちゃって」

提督「そんなつもりじゃ…」アセ

鳳翔「少し、妬けちゃいます」ボソ

提督「そうなの?」

鳳翔「なっ、し、知りません!」カァ

鳳翔「私は奥で昼食の下拵えをして来ますので!」

提督「あ、ちょっと」

鳳翔「厨房ならご自由に!食材もあります!」タタタッ



提督「あら…行っちゃった…」

提督「…ま、いっか」

ーー

516: 名無しさん 2016/06/08(水)22:12:33 ID:W4U

鳳翔「………」タタタッ、パタン

鳳翔「………」トンッ、ズルズル

鳳翔「………」

鳳翔「……結婚、ですか」

鳳翔「……赤城、加賀」

鳳翔「…二人共、頑張ったわね」

鳳翔「………」

鳳翔「……おめでとう、ございます」


ーーー
ーー

517: 名無しさん 2016/06/08(水)22:13:11 ID:W4U


マルキュウマルマル


ー提督の部屋ー


提督「おーい、開けてく、おおう…」

提督「やっぱり分かったの?」

赤城「はい、妻ですから」

提督「加賀やんも?」

加賀「はい、妻ですから」

提督「…そすか」

赤城「実の所、加賀さんの方が少し早かったんですよね」ムゥ

加賀「当然です」ドヤ

赤城「くっ、鍛錬をしなくては…」クヤシイ

提督「なんの鍛錬だよ」

赤城「提督を誰よりも早く察知できる鍛錬を…」

提督「そんなの鍛錬しなくていいから…電探でも積んでたら?」

赤城「物には頼りません!」ムン

提督「あっそう…」

518: 名無しさん 2016/06/08(水)22:13:38 ID:W4U

加賀「………」ジー

提督「…あ、はい加賀やんの分」

提督「手が塞がってるから取ってね」

加賀「やりました」キラキラ

赤城「………」ジィ

提督「はいはい、赤城の分」

赤城「ありがとうございます!」パァ

提督「さ、熱いうちに召し上がれ」

赤城・加賀「いただきます」パク

赤城・加賀「………」モグモグ

赤城「ん~、おいひいですぅ」ウットリ

提督「大袈裟過ぎだろ」

赤城「そんな事ありません!何時食べても提督の焼飯は美味しいんです!」

提督「そりゃ良かったよ」

加賀「………」パクパク

519: 名無しさん 2016/06/08(水)22:14:06 ID:W4U

提督「加賀やんはどう?」

加賀「………」パクパク

提督「お気に召さなかったかな?」

加賀「………」パクパク

提督「……加賀やん?」

加賀「……ふぅ」カチャ

提督「えっ、食べちゃったの!?」

加賀「……提督」

提督「は、はい…」

加賀「今まで口にした全ての物の中で一番美味しかったです」ブワッ

赤城「なっ!?加賀さんが!」

提督「一瞬で三重…いや、これは…」

加賀「………」キラッキラ

提督「∞キラ付け…だと…?」

赤城「そんな事って…」

加賀「貴方への愛の証です」キンラキンラ

提督「嬉しい限りだよ、驚いてるけど」

加賀「私、感情表現が…その…」テレッ

提督「いやいや、そこまでして見せて苦手なんて事絶対ないからね」

提督「寧ろ最高に得意と言っても過言じゃないからね」

520: 名無しさん 2016/06/08(水)22:14:44 ID:W4U

加賀「そう、でしょうか…」

赤城「っ…これは…」

加賀「これでもまだ…私の気持ちは…」

加賀「全てを、表せてないのだけれど」

提督「まだ上があるのか…」

赤城「くっ、好敵手ながら流石としか…」

加賀「あぁ、好きが溢れてしまうわ…」キラキラ

提督「ま、まぁまぁ、ちょっと落ち着いて?」アセ

提督「焼飯一つでそんなになっちゃったら、この先もたないよ?」

加賀「貴方の事ならば、持ちます」

提督「あぁ、そう?」テレ

赤城「………」


ーー