522: 名無しさん 2016/06/13(月)07:50:39 ID:und


マルキュウマルマル


提督「じゃあ、そろそろ戻るから…ね?」

加賀「もう行ってしまうの?」ウワメ

赤城「………」

提督(くっ…出来ることならずっと一緒に居たいところだけど…」

加賀「そう、貴方もなのね」テレテレ

提督「あっ…今声に出てた?」

加賀「はい、それはもうはっきりと」

提督「…やばいね、このままじゃ本当にやばいから」

赤城「………」

提督「また様子見に来て上げるから、ね?」

加賀「………」

加賀「…分かり、ました」シュン

提督「そんなあからさまに落ち込まないで、行けなくなっちゃうやん…」

加賀「我慢、しますから」

提督「うん、おりこうさんだね」ナデナデ

加賀「はい」ナデラレ

提督「じゃ、行くからーー」スクッ


グイ

引用元: ・【艦これSS】提督「赤城のワガママ」

402: 名無しさん 2016/05/13(金)23:44:22 ID:Dk2
3をお願いします

403: 名無しさん 2016/05/14(土)00:25:23 ID:Qay
1

404: 名無しさん 2016/05/14(土)01:44:45 ID:VJI
2

405: 名無しさん 2016/05/14(土)06:48:58 ID:f5z
2ずい

406: 名無しさん 2016/05/14(土)10:12:18 ID:dVX
乙です
2で

407: 名無しさん 2016/05/14(土)11:20:06 ID:qdy
2

408: 名無しさん 2016/05/14(土)11:45:37 ID:oie
3も捨て難いけど
2で!

409: 名無しさん 2016/05/14(土)11:48:48 ID:qWh
2ぽよ

410: 名無しさん 2016/05/14(土)15:06:34 ID:WQO
3で

411: 名無しさん 2016/05/14(土)15:24:07 ID:gVP
2で

412: 名無しさん 2016/05/14(土)16:42:42 ID:cCB
1で

413: 名無しさん 2016/05/14(土)18:38:12 ID:3wL
あえての3で

477: 名無しさん 2016/05/30(月)20:53:49 ID:bxg
い、1で!

481: 名無しさん 2016/05/31(火)18:02:01 ID:68i
迷うけど1かな・・・。

523: 名無しさん 2016/06/13(月)07:51:04 ID:und


提督「おっ、と…?」チラ

赤城「………」ソデツカミ

提督「…赤城?」

赤城「………」ウツムキ

提督「………」

提督「…別に、気持ちが劣ってるとか思ってないから」ナデ

赤城「………」

提督「…な?」

赤城「……はい」ハナシ

提督「じゃ、また後でね」

加賀「はい」

赤城「…はい」


ーー

524: 名無しさん 2016/06/13(月)07:51:45 ID:und


ー廊下ー


提督「うーん、あの時は驚きでどうかしてたけど…」スタスタ

提督「∞キラ付けって、どうなるんだ…?」スタスタ

提督「……うーん」スタスタ

提督「………」スタスタ

??「……っ!」カクレ

提督「……うーん」スタスタ

??「………」コソコソ

提督「……うーん」スタスタ

??「…あ、あのっ」スタスタ

提督「………」スタスタ

??「提督っ!」スタスタ

提督「はうあっ!?」ビクッ

??「きゃあっ!?」ビクッ

提督「わっ、びっくりしたぁ…」ドキドキ

??「…ど、どうしたのですか?」

525: 名無しさん 2016/06/13(月)07:52:07 ID:und

提督「いきなり隣から呼ばれたら、そりゃ驚くでしょ…」

??「反応していただけなかったのでつい…」

??「提督、考え事をしていたみたいでしたので…」

提督「そっか、どうりで…」

提督「それで、どうしたの?」

提督「榛名」

榛名「はい、それが…」モジモジ

提督「ん?」

榛名「相談…と言うか、その…」

提督「どしたの、言ってみなよ」

榛名「ええと…そのーーー」


ーー

526: 名無しさん 2016/06/13(月)07:52:30 ID:und


提督「なるほどね、いいよ」

榛名「本当ですか!?」パァ

提督「うん、あまり待たせるのもあれだしね」

榛名「榛名、感激です!」

提督「んじゃ、準備が出来たら執務室に来てね」

榛名「はいっ!」


ーー


ー物陰ー


??「ーー、聞いちゃいました」コソッ



ーーー
ーー

527: 名無しさん 2016/06/13(月)07:53:01 ID:und


ー艦娘寮・金剛型の部屋ー


榛名「~~♪」

金剛「………」

榛名「~、~♪」

金剛「…ハルナー?」

榛名「はい!何でしょう?」

金剛「部屋に戻って来てカラ、やけにご機嫌ネ」

金剛「何かいい事があったノ?」

榛名「えっ、それは…」ギクッ

榛名「そ、その…」

榛名(…金剛お姉様の手前、提督と二人でお買い物に行くなんて、言えません)

榛名(何と言えば…嘘を付くなんて榛名できません)

榛名「えぇと、榛名は…」

金剛「ンー?」

榛名「榛名は…その…」

金剛「テイトクとお出掛けするんデショ?」

榛名「なっ、なななな」ドキッ

金剛「別に気にする事ないネ」

528: 名無しさん 2016/06/13(月)07:53:28 ID:und

榛名「で、でもっ…」

榛名「金剛お姉様は…」

金剛「ワタシ?ちゃーんとテイトクからプレゼントもらったヨ」ニコ

榛名「………」

金剛「だから、ハルナも楽しんで来るネ」

榛名「はい…」シュン

金剛「ナンデそんな顔するノ?」ナデナデ

榛名「ひゃっ!?」

金剛「落ち込んだ顔でテイトクに会うつもりデスカ?」

榛名「そんな…」

金剛「だったらもっと元気だすネ」

金剛「お土産、期待してるカラ」ニコ

榛名「っ…はいっ」パァ

金剛「じゃ、サッソク服選びの続きネ!」

榛名「はい!」


コノホウガイイトオモウネ

ソウデショウカ…

アーダコーダ


ーー

529: 名無しさん 2016/06/13(月)07:54:40 ID:und


榛名「これで…大丈夫なのでしょうか」

金剛「ウン!絶対大丈夫ネ!」

榛名「少し、ラフな気がしますが…」

金剛「テイトクはそんな感じが好きなのヨ」

榛名「金剛お姉様がそう仰るなら…」

金剛「テイトクが待ってるネ!」

榛名「は、はい…では行ってきます」


パタン


金剛「ふぅ、世話の焼ける妹デスネ」クス

金剛「さ、ティータイムの時間デース」


ーーー


ー同時刻ー

ー空母寮・一航戦の部屋ー


コンコン…コンコン、コンコン


??「あれ?二人共いませんねぇ…」


ガチャ


瑞鶴「何よ五月蝿いわね…」コシコシ

??「瑞鶴さんじゃないですか」

瑞鶴「ーーじゃない、どうしたの?」

530: 名無しさん 2016/06/13(月)07:55:07 ID:und

??「一航戦のお二人、何処に行かれたか知りませんか?」

瑞鶴「隣?そう言えば昨日の夜から静かだったわね…」

??(昨日の夜から…?)

??「…実は、司令官の特ダネ情報を手に入れたので」

??「一航戦のお二人にタレコミに来たんですが…」

瑞鶴「提督さんの特ダネ?」

??「はい、ですがいらっしゃらないので出直してきますね」

翔鶴「ちょっと待ちなさい!」ズサッ

??「わぁ!?翔鶴さん!?」

瑞鶴「翔鶴姉…今ドア半開きで私がいたのに、どうやって部屋の外に出たの…?」

翔鶴「そんな事はどうでもいいのよ」

翔鶴「で、ーーさん?」

??「はい?」

翔鶴「提督の特ダネ、教えて貰えないかしら?」ニコ

??「えぇ…これは一航戦のお二人にと…」

翔鶴「教えて貰えないかしら?」ニコ

??「ですから…」

翔鶴「お し え て ?」ニッコォ

??「だ、ダメですってば…」タジ

翔鶴「教えろ」ゴコウセンニラミ

??「ひぃっ!?」

瑞鶴「えっ、翔鶴姉…?」

531: 名無しさん 2016/06/13(月)07:55:36 ID:und

翔鶴「どうしたの瑞鶴?」ニコ

瑞鶴「…?んーん、なんでもない」

翔鶴「で、どうなの?」ニコ

??「わ、分かりましたよぅ…」


ーー



翔鶴「…ふぅん、榛名さんがねぇ」

瑞鶴「いいなぁ…」

??「も、もう行ってもいいでしょうか…?」

翔鶴「えぇ、良いわよ」

??「ではでは!失礼しますー!」ピュー

ーー

翔鶴「それじゃ瑞鶴、出かける準備をするわよ」

瑞鶴「え?どこか行くの?」

翔鶴「そんなの決まってるじゃない」

翔鶴「様子を、見に行くのよ」


ーー

535: 名無しさん 2016/06/16(木)00:25:41 ID:oh9


ヒトマルマルマル


ー鎮守府入口ー


榛名「提督!」タタタッ

提督「おー」

榛名「お待たせしました、申し訳ありません」

提督「いいのいいの、気にしないで」ニコ

榛名「ありがとうございます」ペコ

提督「ん、てか榛名さ」

榛名「はい、なんでしょうか」

提督「その格好…」チラ

榛名「ぁ……」

榛名「その…似合ってませんでしたか?」

提督「えぇと…なんと言うか、逆?」

榛名「……?」キョトン

提督「似合ってるってこと」

榛名「へっ…そそそそうでしょうか」アセ

提督「うん、可愛いと思うよ」ニコ

榛名「かわっ!?」ドキッ

提督「どしたの?」

榛名「い、いえ…その、榛名は…」モジ

提督「榛名は?」

榛名「榛名は…えぇと……ぁ」モジ

536: 名無しさん 2016/06/16(木)00:26:07 ID:oh9

榛名「…榛名、遊園地に行きたいです」

提督「遊園地?」

榛名「はい、金剛お姉様が好きな人との距離をーーーで、ではなくて!」ゲフンゲフン

榛名「遊園地はとても楽しい所だとお聞きしたので」

榛名「榛名も行ってみたいです」

提督「遊園地かぁ」

榛名「駄目、でしょうか…?」ウワメ

提督「ん?いいよ」

榛名「本当ですか!?」パァ

提督「うん、しかし遊園地かぁ」

榛名「どうかしましたか?」

提督「んにゃ、俺も本当に久々だなぁってね」

提督「それこそ、十ウン年レベルで」

榛名「でしたら、今日は沢山遊びましょう!」ムン

榛名「僭越ながら、榛名がお相手を努めさせていただきますので」ペコ

提督「畏まりすぎでしょ」クス

榛名「そうでしょうか…」

提督「うん、もっと気楽にね」

榛名「はい!榛名、気楽になります!」ムン

提督「う、うん…まぁ、いっか」


ーー


537: 名無しさん 2016/06/16(木)00:26:37 ID:oh9


ー物陰ー

瑞鶴「遊園地かぁ、いぃなぁ」

翔鶴「………」

瑞鶴「翔鶴姉、この後どうする?」

瑞鶴「このまま追いかけて行ったら遊園地に行っちゃうけど…」

翔鶴「………」

瑞鶴「…翔鶴姉?」

翔鶴「…えっ!?瑞鶴どうしたの?」

瑞鶴「いや、この後どうするのかなって」

翔鶴「そうね…もう少し様子を見るわよ」

瑞鶴「うん、いいけど…」

瑞鶴「提督さんに見つからないかな…」

翔鶴「出来るだけ気配を消して行くしかなさそうね」

瑞鶴「あんまり気乗りしないなぁ…」

翔鶴「あ、移動しだしたわ、瑞鶴行くわよ」タタタッ

瑞鶴「あっ、待ってよ!」タタタッ


ーーー
ーー

538: 名無しさん 2016/06/16(木)00:27:01 ID:oh9


ー最寄りの駅ー


提督「さてと、ここから電車だね」

榛名「はい!」

提督「本当は車で行けたら良かったんだけど」

提督「明石、ちょっと間に合わなかったみたいでさ」

提督「ごめんね?」

榛名「いえいえ、お気になさらないで下さい」ニコ

提督「ん、じゃあ切符を買おうか」

榛名「はい」

ーー

瑞鶴「翔鶴姉、切符の買い方分かる?」

翔鶴「…分からないわ」

瑞鶴「私も分からないんだけど…」

翔鶴「提督の後ろまで行ってこっそり確認するわよ」

瑞鶴「ちょっとアグレッシブ過ぎない?」

翔鶴「人が多いから大丈夫よ」

瑞鶴「うん…」


ーー

539: 名無しさん 2016/06/16(木)00:27:28 ID:oh9


ガタンゴトン

提督「遊園地方面は人が多いね」

榛名「座れませんでしたが、満員じゃなくて良かったです」

提督「満員電車はキツいからねぇ」

榛名「…皆さん、遊園地に行かれるのでしょうか」

提督「うーん、小さい子連れの人はそうかもしれないね」

提督「でも、遊園地の手前にデカい商業施設ができたみたいだから」

提督「そっちにも流れて行くんじゃないかな」

榛名「そうですか」ホッ

提督「遊園地が満載になるかと思ったの?」クス

榛名「はい、アトラクションによっては待ち時間が凄く長くなると聞きましたので」

提督「ちゃんと下調べしてたんだ」

榛名「あっ…」カァ

提督「そんなに行きたかったの?」

榛名「……はい」ウツムキ

提督「もっと早く言ってくれれば」

提督「金剛達の分含めてチケット取ったのに」

榛名「………」

榛名「……榛名は」ボソ

提督「ん?」

榛名「榛名は…提督と行きかっーーひゃっ!?」ビクッ

540: 名無しさん 2016/06/16(木)00:28:20 ID:oh9

榛名「……?」チラッ

変態「ハァハァ」

榛名「ひっ…」

榛名「て、提督…」ボソ

提督「はい?」

榛名「あの…実はーーー」


ーー


翔鶴「…満員電車でもないのに提督に密着して」ギリッ

瑞鶴「でも、後ろにいるハゲデブも榛名に近い気がしない?」

翔鶴「あら…本当ね」

瑞鶴「なんか肩で息してるし…気持ち悪いんだけど…」

翔鶴「本当、気持ち悪い位近距離ね」

瑞鶴「提督さん、気付いてないのかな?」

翔鶴「気付いてるふうには見えないわ」

瑞鶴「榛名は分かってーーあっ!」

541: 名無しさん 2016/06/16(木)00:28:47 ID:oh9

瑞鶴「翔鶴姉!アイツ今榛名のお尻触ったわよ!」

翔鶴「…本当に痴漢だったのね」

瑞鶴「アイツ爆撃してやるわ!」

翔鶴「待ちなさい、ここは電車の中よ」

翔鶴「それに、一般人の目もあるわ」

瑞鶴「そんな…」

翔鶴「提督がいるから大丈夫よ」

瑞鶴「うー…」


ーー


提督「…後ろのヤツに?」ボソ

榛名「はい…」

提督「いたのすら気付かなかったよ」

榛名「榛名も気にしていなかったのですが…」

提督「…もうちょっと我慢できる?」ボソ

榛名「…怖いです」フルフル

提督「大丈夫、守ってやるからね」ポン

榛名「っ!」キュン

榛名「は、はいっ」ドキドキ


542: 名無しさん 2016/06/16(木)00:29:13 ID:oh9

変態「…ハァハァ」

変態(…ふふ、肩が震えてるでござるよ)

提督「………」

変態(嫌だけど声に出せない、最高ですな)

提督「………」

変態(奥の彼氏君も気付いてないし、ふふふ)

提督「………」

変態(もうすぐ次の駅…後1回撫でりこして降りるとするでござる)ハァハァ

提督「………」

変態(さぁて…ハァハァ、触る瞬間がたまりませんなwwwフォカヌポウwww)スッ


ガシッ


543: 名無しさん 2016/06/16(木)00:29:35 ID:oh9


変態「えっ?」

提督「………」

変態「な、なんでござるか?」

提督「あんた、触ってたでしょ」

変態「何を失礼な!何処にそんな証拠が!」

提督「やってる奴は大体そう言うんだよねぇ」ギリギリ

変態「いだだだ!痛いでござる!」

提督「どうなのよ、触ったんでしょ?」

提督「早く白状しないと、腕の関節が増えちゃうよ?」

変態「ご、ごめんなさい!ででで出来心で!」

提督「そ、出来心で俺の彼女触ったんだ」

榛名「!」

変態「言った!言ったから早く手を!」

提督「ふざけるんじゃないよ」ミシミシ

変態「あぁぁあぁ!!!」

提督「次の駅まで持つといいね」

提督「その行儀の悪い腕」ニッコォ

変態「やだぁああぁあぁ!!」

榛名(彼女…提督の、彼女…)ポワンポワン


ーーー
ーー

544: 名無しさん 2016/06/16(木)00:30:12 ID:oh9


ー次の駅ー


提督「良かったね、関節増えなくて」テイトクニラミ

変態「ひぃ駅員さん!ヘルプミー!」

駅員「何がヘルプミーだ、来い!」グイ

変態「そうだった!畜生!」

駅員「彼女さんはどうされますか?」

榛名「………」ポワンポワン

提督「榛名?」

榛名「ひゃいっ!?」ビクッ

提督「被害届、どうする?ってさ」

榛名「えっ…あの、えぇと…」アタフタ

変態「お願いでござる…」ウルウル

提督「あ、警察に突き出しといて」

変態「そんなぁ!」

提督「あんだよ」ギロ

変態「ひぃい!」

提督「それでいいかな、駅員さん」

駅員「了解しました」

提督「んじゃ榛名、行こうか」テツナギ

榛名「あ…はい」


ーー

545: 名無しさん 2016/06/16(木)00:30:38 ID:oh9


瑞鶴「提督さん、カッコよかったなぁ」ホッコリ

翔鶴「提督の…彼女…そんな…まさか」プルプル

瑞鶴「え、あれ嘘でしょ?」

翔鶴「……えっ」

翔鶴「でも、提督は確かに…」

瑞鶴「あんなの榛名を庇うために言っただけなんだと思うけど…」

翔鶴「あ…そ、そうよね!」

翔鶴「うん、そうだわ、きっとそうよ」ウンウン

瑞鶴「……?」

翔鶴「あっ、二人が移動してるわよ!追わなきゃ!」タタタッ

瑞鶴(今日の翔鶴姉、なんか…変?)

瑞鶴(落ち着きが無いと言うか…うーん)

翔鶴「瑞鶴!見失うわよ!」オーイ

瑞鶴「わっ、待ってよ!」

瑞鶴(…ま、いっか)


タタタッ…


ーーー
ーー

551: 名無しさん 2016/06/23(木)22:00:22 ID:UME


ヒトヒトマルマル


ー遊園地ー


ガヤガヤ


提督「大人二枚下さい」

榛名「ここが、遊園地…」ソワソワ

提督「さ、入ろ」ピッ

榛名「これは…ふりーぱす、と言うものですね!」

提督「そそ、じゃあこれどうするか知ってる?」

榛名「手首に巻きます!」ムン

提督「正解」マキ

榛名「では榛名も…んっ」マキ

榛名「あ、あれ…」マキマキ

榛名「うぅ、上手く巻けません…」シュン

提督「やってあげるから、手出してみな」クス

榛名「ありがとうございます…」カァ

ーー

552: 名無しさん 2016/06/23(木)22:00:48 ID:UME

翔鶴「…遊園地って結構高いのね」

瑞鶴「て言うか帰りの電車賃ギリギリだよ?」

翔鶴「ギリギリ足りるのなら大丈夫よ」

瑞鶴「そうだけど…」

翔鶴「ところで瑞鶴、これは何?」ペラ

瑞鶴「これが無いと乗り物に乗れないんだって、皆手首に巻いてるわよ」

翔鶴「こうかしら」クル

瑞鶴「多分ね」クル


ーー



ージェットコースターー


榛名「あっ、あれはじぇっとこぉすたぁですね!」ユビサシ

提督「ここのやつは凄いみたいだね」

榛名「榛名、乗ってみたいです!」

提督「いいよ、乗ろうか」

榛名「はいっ!」キラキラ


ーー

553: 名無しさん 2016/06/23(木)22:01:12 ID:UME


翔鶴「あの乗り物の方に行ったわね」

瑞鶴「あれ、ジェットコースターじゃない」

翔鶴「動きがかなり速いわね…」

瑞鶴「折角フリーパス買ったんだし、乗る?」

翔鶴「そうね、でも少し怖いわ」

瑞鶴「大丈夫よ、海上よりマシだから」

ーー


プルルルルル…ガコン


ガタガタガタ


榛名「て、提督っ」

提督「どしたの?」

榛名「た、高いです…」フルフル

ガタガタガタ

提督「うん、そりゃ高くないと速度が出ないからね」

榛名「外から見てた時は、こんなに…」

提督「怖いの?」

榛名「はい、榛名大丈夫じゃないです」マッサオ

提督「でも、もう戻れないし、覚悟を決めるしか…」

ガタガタガタ

榛名「ですが…榛名…」ハッ


ーー

554: 名無しさん 2016/06/23(木)22:01:38 ID:UME

金剛『いいデスか?遊園地に付いたら、とにかく何かに付けてテイトクに引っ付くネ』

榛名『そんな…どうやって…』

金剛『そんなの簡単ネ』

金剛『キャー!ハルナコワーイ!』ガバッ

榛名『ひやぁ!?』

金剛『こんな感じで、テイトクにガンガンいこうぜ作戦ネー』グリグリ

榛名『わ、分かりました!分かりましたからぁ!』

ーー



榛名「………」グッ

榛名「て、提督!」

ガタガタガタ

提督「はい?」

榛名「はっ、榛名は」カァ

ガタガタ

提督「…?」

榛名「えぇと…榛名…」ドキドキ

ガタンッ!グラッ

榛名「提督、榛名こわーぁあああああ!!!」

提督「きゃー!」


イヤァァアアアァアア!!

フゥーーーー!!


ーー

555: 名無しさん 2016/06/23(木)22:02:05 ID:UME

ガタガタガタ

翔鶴「瑞鶴、まだ上がるの?」

瑞鶴「うん、あの天辺まで行くよ」

翔鶴「え、それじゃわからないわ」

ガタガタガタ

瑞鶴「…そりゃ目瞑ってちゃ分からないわよ」

翔鶴「だって怖いじゃない…」

瑞鶴「………」

瑞鶴「あ!提督さんがこっち見てる!」

翔鶴「えっ!何処!?」パチッ

グラッ

翔鶴「…は?」


イヤァァアアアァアア!!

キャーーーー♪


ーーー
ーー

556: 名無しさん 2016/06/23(木)22:08:25 ID:UME


榛名「………」クタ

提督「大丈夫?」サスサス

榛名「はい、榛名は、大丈夫、です」

提督「大丈夫じゃなさそうだね…」

提督「ちょっと落ち着くまで休憩していこうか」

榛名「ですが…」

提督「このまま遊んでも楽しめないでしょ?」

提督「まだ時間はあるんだから、ね?」

榛名「はい…」

提督「何か飲み物でも買ってこようか」

榛名「でしたら榛名も」

提督「いや、榛名はここで待ってていいから」

榛名「っ…はい」シュン

榛名「榛名、ここで待っています…」シュシュン

提督「………」

提督「…あー、榛名?」

榛名「はい…」

提督「大丈夫そうなら、一緒に行く?」

榛名「えっ…いいのですか?」

提督「1人で待たせるのもあれだしね」

榛名「…は、はいっ!」パァ


ーー

557: 名無しさん 2016/06/23(木)22:08:54 ID:UME


翔鶴「おろろろろ」キラキラ

瑞鶴「翔鶴姉の綺麗なイメージが台無しだよ」サスサス

翔鶴「んぐっ、はぁ…最悪よ」

瑞鶴「ほら、飲み物買ってきたから」スッ

翔鶴「ありがとう瑞鶴」ゴクゴク

瑞鶴「酔いが覚めるまで休んでこ?」

翔鶴「でも、それじゃ提督を見失ってしまうわ…」

瑞鶴「見失っても園内にはいるでしょ?」

瑞鶴「それに、向こうも榛名がダウンしてるからすぐには動き出さないと思うよ」

翔鶴「そうね…だったら、あれ?」

翔鶴「提督はどこに行ったの?」

瑞鶴「榛名の飲み物を…あれ?榛名もいない」

翔鶴「早速見失ったわね…」ガク

瑞鶴「で、でも!多分あの後だからあんまり過激なアトラクションには行かないんじゃない?」

翔鶴「だったら次はどこに行ったのかしら…」

瑞鶴「あそこに大きな看板があるよ、私見てくる!」スタタ

翔鶴「あっ、瑞鶴…もう」

ーー

558: 名無しさん 2016/06/23(木)22:09:25 ID:UME


ーメリーゴーランドー


榛名「提督!めりぃごぅらんどです!」

提督「乗りたい?」

榛名「でも、小さな子供ばかりです…」

提督「別にいいじゃん」

榛名「そんな…榛名、恥ずかしいです」

提督「………」ウーン

提督「一緒に乗ろうか」

榛名「ふぇっ!?」ビクン

提督「あ、流石にそれはないよね」アハハ

榛名「一緒…提督と、一緒…」

提督「だったらこうしよう、隣にーー」

榛名「一緒がいいです!」ズイ

提督「おおう…いいの?」

榛名「榛名は提督と一緒じゃないと乗れません!」

提督「あぁ、そう?じゃあ一緒に乗ろうか」

榛名「はいっ!」ニコッ

ーー

559: 名無しさん 2016/06/23(木)22:29:03 ID:UME


榛名「んなっ!?」カァア

提督「ね?」

榛名「榛名、恥ずかしいです!」ジタバタ

提督「ちょ、あんまり動いたら…」

ズル

榛名「きゃあ!」

提督「あぶなっーーー」

ガッ、グイ

榛名「あ、ありがとうございまーー!?」

提督「っ…」

榛名「て、提督!?」ムカイアワセ

提督「…止まるまで諦めるしかないね」

榛名「うぅ、恥ずかしいです…」マッカ


タイメンザイダワ

ミセツケテクレチャッテ


ーー

565: 名無しさん 2016/06/24(金)13:17:20 ID:3F8

プルルルルル、グィーン


榛名「わぁ、動き出しました!」キャッキャ

提督「あぁ、うん…」

榛名「…?提督?」クルッ

提督「………」ウツムキ

榛名「どうされたのですか?」

提督「いやね、乗ってみて思ったんだけど」

榛名「はい」

提督「これ、周り子供多いやん?」

榛名「はい」

提督「んで、回ってるやん?」

榛名「はい」

提督「周りにさ、親御さんが沢山いてさ」

榛名「…はい」

提督「なんか目線感じまくりでさ」

榛名「……えっ」チラッ


ミテミテ、アノカップルアツアツネ

フタリデノッテルワ

560: 名無しさん 2016/06/23(木)22:29:30 ID:UME


瑞鶴「この辺りはハードなアトラクションじゃなさそうね」キョロキョロ

翔鶴「提督、何処に行ったのかしら…」

瑞鶴「アトラクションに乗ってたら分からないもんね…」

翔鶴「高い所だと逆に見つかってしまうかもしれないわよ」

瑞鶴「うーん、どうしよう……ん?」

瑞鶴「翔鶴姉、あそこ」

翔鶴「メリーゴーランドがあるわね」

瑞鶴「なんか人溜まりができてない?」

翔鶴「何かあったのかしら」

瑞鶴「行ってみる?」

翔鶴「そうね、行きましょう」

ーー


瑞鶴「あ、動きが止まった」

翔鶴「瑞鶴!隠れて!」サッ

瑞鶴「えっ?」サッ

翔鶴「ほら、あこそ」ユビサシ

瑞鶴「あ、提督と榛名だ」

561: 名無しさん 2016/06/23(木)22:29:50 ID:UME

翔鶴「…二人共顔が真っ赤ね」

瑞鶴「何があったのかな…」

翔鶴「あの沢山のギャラリーと何か関係があったのかしら…」

瑞鶴「分かんないけど、とりあえず見つかったね」

翔鶴「じゃ、続けましょうか」

瑞鶴「………」

瑞鶴「ねぇ、翔鶴姉」

翔鶴「何?」

瑞鶴「……えぇと」

翔鶴「どうしたの?」

瑞鶴「……いや、何でもないよ」

翔鶴「そう、じゃあ行くわよ」

瑞鶴「うん……」


ーー

562: 名無しさん 2016/06/23(木)22:31:09 ID:UME


ヒトフタマルマル


提督「そろそろお腹空かない?」

榛名「っ!そうですね、どこかでお昼ご飯にしましょう!」

提督「…?」

榛名「あそこのベンチなんてどうでしょうか!」ユビサシ

提督「あ、うん、あそこにしようか」


スタスタスタ


ーー


瑞鶴「おなかすいたー」

翔鶴「私達もお昼にする?」

瑞鶴「ホットドッグ食べたい」

翔鶴「あそこに売店があるわ、ちょっと待ってて」

瑞鶴「はーい」


ーー


榛名「提督、あの…」

提督「ん?」

榛名「実は、こんな物があるのですが…」スッ

提督「おっ!サンドイッチやん!」

榛名「手荷物になると思ったのであまり量はありませんが…」

榛名「もし良かったらどうぞ」ニコ

提督「食べる!頂きまーす!」モグ

563: 名無しさん 2016/06/23(木)22:32:47 ID:UME

提督「………」モグモグ

榛名「………」ドキドキ

提督「………」モグモグ、ゴクン

榛名「…ど、どうでしょうか」ドキドキ

提督「………」

榛名「…お口に合いませんでしたか?」シュン

提督「めっちゃ美味しい」

榛名「…えっ」

提督「美味しいよ、これ」パクッ、モグモグ

榛名「本当ですか!?」パァア

提督「うん、マジで」パクッ、モグモグ

榛名「榛名!感激です!」ヤッタ

提督「ツナ最高…ハムレタスも美味しいなぁ」

榛名「………」ニコニコ

榛名「……ぁ」ピン

ーー

573: 名無しさん 2016/07/01(金)21:20:57 ID:TpG

金剛『いいデスか?お昼ご飯の時にもポイントがありマス』

榛名『ぽいんと、ですか?』

金剛『そうヨ、ポイントは「あーん」ネ』

榛名『あーん、ですか…』カァ

金剛『恥ずかしがってちゃいつまで経ってもテイトクのハートをゲットできないネ』

榛名『…榛名、頑張ります!』

金剛『その勢いネー!』


ーー

574: 名無しさん 2016/07/01(金)21:21:28 ID:TpG


榛名「…あの、提督」

提督「ん?」

榛名「えぇと…」スッ

提督「えっと?」

榛名「あ、あーん」ズイ

提督「ちょ」

榛名「………」プルプル

提督「周りに人いっぱいいるからさ…」

榛名「は、榛名は…」ジワァ

提督「あぁ、わ、分かったよ」パク

榛名「わぁ!」パァ

提督「あはは、恥ずかしいけど美味しいよ」

榛名「えへへ、榛名も恥ずかしいです」ニコ


ーー


翔鶴「はい、お待たせ」コトッ

瑞鶴「なかなか美味しそうじゃない!」

翔鶴「ふふ、良かったわ」

瑞鶴「いただきまーす!」モグモグ

瑞鶴「美味しい!」テーレッテレー

翔鶴「がっつかないの、詰まらせるわよ?」

瑞鶴「はぁーい」

翔鶴「じゃあ、私も頂きます」パク

575: 名無しさん 2016/07/01(金)21:21:57 ID:TpG

翔鶴「ん、美味しーーー」チラ

翔鶴「んぐっ!?」

瑞鶴「翔鶴姉!?」

翔鶴「ごほっ、あ、あれ…」ユビサシ

瑞鶴「え?提督さんがどうか…っ!?」

瑞鶴「あれ、もしかして…」

翔鶴「恐らく、榛名さんの手作りよ」

瑞鶴「やるわね…」

翔鶴「提督凄く嬉しそうだわ…よし」ガタッ

瑞鶴「どうしたの翔鶴姉?」

翔鶴「私も、提督にあーんしてくるわ」

瑞鶴「えっ」

翔鶴「手作りじゃないし、それ以前に一口食べちゃったけど」

翔鶴「もしかしたら提督はそっちの方がいいかもしれないわね」

瑞鶴「翔鶴姉ストップ!」ガシッ

翔鶴「瑞鶴も行きたいの?」

瑞鶴「いやいや!行く行かないとかそれ以前の問題だから!」

翔鶴「…?」キョトン

576: 名無しさん 2016/07/01(金)21:22:17 ID:TpG

瑞鶴「ここで提督さんのとこ行ったら二人のこと付けてたのバレちゃうじゃない!」

翔鶴「何を当たり前な事を言っているの?」

瑞鶴「へっ?」

翔鶴「バレずにあーんなんてできないでしょう?」

瑞鶴「だから、バレるのが不味いって言ってるのよ」

瑞鶴「私達外出許可取ってないのに」

翔鶴「もう!形振りなんて構ってられないのよ!」ダッ

瑞鶴「ちょ!もう!」シュッ

トンッ

翔鶴「かはっ…ずいkーーー」フラッ

ガシッ

瑞鶴「提督さんの見様見真似だったけど、上手くいってよかった…」

瑞鶴「…ごめんね翔鶴姉」ヨイショ


ーーー
ーー

577: 名無しさん 2016/07/01(金)21:23:00 ID:TpG


ヒトサンマルマル


提督「ふいー、食った食った」

提督「榛名、ご馳走様」パンッ

榛名「いえいえ、お粗末様でした」

提督「さて、この後どうする?」

榛名「食後なのであまり勢いのある乗り物は…」

提督「そうだねぇ、だったら…」ウーン

榛名「でしたら、少しお散歩などどうでしょうか」

提督「お散歩?」

榛名「はい、それなら次の乗り物も色々見て回れるかな、と思ったのですが」

提督「うん、いいね」

榛名「では早速……!」


ーー

578: 名無しさん 2016/07/01(金)21:23:56 ID:TpG


金剛『二人で歩いてる時はネー』

榛名『はい』

金剛『さり気なく手を触るんデス』

榛名『触る…?繋ぐではないのですか?』

金剛『榛名はいきなりテイトクの手を握れるのデスか?』

榛名『そ、それは…無理です』

金剛『でショウ?』

金剛『だから、「触る」んデス』

榛名『触る…難しそうです…』

金剛『そんなことないネ』

金剛『実際は「触る」じゃなく「触れる」デスから』

榛名『……?』キョトン

金剛『「触れる」を装うってことデスよ』

榛名『装う…』

金剛『そうネ、歩いてる時にチョンっと』

榛名『ちょん、と…』

579: 名無しさん 2016/07/01(金)21:24:23 ID:TpG

金剛『それを何回か繰り返して』

金剛『それで、テイトクが意識してくれたら後は簡単ね』

榛名『後は…?』

金剛『テイトクに手を繋ぎたいと提案するだけネー』

榛名『そんなっ、榛名…』カァ

金剛『そうでもしないとテイトクとの仲は進歩しないネ』

榛名『………』

金剛『ハルナ、頑張るネ』

榛名『はい…榛名、頑張ります』プシュー


ーー



提督「こっちは小さなアトラクションが多いね」

榛名「そ、そうですね」

提督「何か乗りたいのある?」

榛名「えぇと…」チラッ

チョン

提督「あっちのアレとかどうかな」

榛名「ど、どれでしょうか?」スッ

チョン

提督「えっ、と…あの裏のーー」

チョン

提督「…榛名?」

580: 名無しさん 2016/07/01(金)21:25:21 ID:TpG

榛名「ひゃいっ!?」ビクン

提督「どうして手を触るの?」

榛名「いっ、いえ…それは…その…」アタフタ

提督「………」

榛名「…あの、えぇと……あぅ」カァ

提督「……手、繋ぐ?」

榛名「えっ」

榛名「いいの…ですか?」

提督「ん、いいよ」スッ

榛名「あっ…」スッ

ギュッ

榛名「………」ウツムキ

提督「榛名の手、温かいね」ニギ

榛名「はひっ!?」ビクン

提督「どしたのよw」

榛名「あ、あの…榛名の手、変ではないでしょうか…?」

提督「えっ、変ではないけど…」ニギ

榛名「ひうっ!?」ビクン

提督「手汗が凄いねw」

榛名「手汗!?」バッ

グイ

581: 名無しさん 2016/07/01(金)21:25:46 ID:TpG

榛名「提督!離して下さい!」グイグイ

提督「離してあげないもんねー」ギュ

榛名「いやぁぁあ…」


ーー


翔鶴「んっ…」パチッ

瑞鶴「あ、翔鶴姉…」

翔鶴「あれ…私…」ムク

瑞鶴「ごめんね翔鶴姉」

翔鶴「何故瑞鶴が謝るの?」

瑞鶴「…覚えてないの?あの時ーーー」


ズイズイカクカク


翔鶴「それで私は気を失っていたのね」

瑞鶴「…ごめんなさい」

翔鶴「いいのよ瑞鶴、私が悪かったもの」

瑞鶴「でも…」シュン

翔鶴「もう謝らないで、ね?」ナデ

翔鶴「さ、行きましょ」

瑞鶴「うん…」


ーーー
ーー

582: 名無しさん 2016/07/01(金)21:26:08 ID:TpG


ヒトヨンマルマル


榛名「提督…その…」

提督「なに?」

榛名「手を、その…」

提督「やぁだよ」

榛名「ですが、榛名の手汗が…」

提督「気にならないって言ってるやん」

榛名「うぅ…」

提督「じゃあ、手、離す?」

榛名「それは……嫌です」

提督「でしょ?だったらいいよね」ギュ

榛名「榛名…嬉しいですが恥ずかしいです…」

提督「あ、次アレに乗ろうか」グイ

榛名「あっ…はぃ」


ーー


583: 名無しさん 2016/07/01(金)21:26:33 ID:TpG


翔鶴「………」

瑞鶴「………」


テイトク、テアセガ…

ヤダヨ

イチャイチャ


翔鶴「………」

瑞鶴「………」

翔鶴「瑞鶴?」

瑞鶴「なに」

翔鶴「どうする?」

瑞鶴「どうするって…どういう事?」

翔鶴「間に入って引き剥がす、とか」

瑞鶴「介入するのは良くないと思う」

翔鶴「そうね」

瑞鶴「………」

瑞鶴「…ねぇ、翔鶴姉」

翔鶴「なぁに?」

584: 名無しさん 2016/07/01(金)21:27:17 ID:TpG

瑞鶴「もう、これやめない?」

翔鶴「…提督を追うのをって事?」

瑞鶴「うん…」

翔鶴「何故?」

瑞鶴「だってさ…」

瑞鶴「好きな人が違う女の人と仲良くしてる所を見るの、もう辛いよ」

瑞鶴「それを陰からこそこそ付回すのもさ…何だか惨めになってきちゃって」

翔鶴「………」

瑞鶴「それに、どうせ遊園地に来るならこんな形じゃなくて、提督さんと胸を張って来たかった、から…」

瑞鶴「翔鶴姉と来るのが嫌だった訳じゃないんだけど…」

瑞鶴「それは、翔鶴姉も一緒でしょ?」

翔鶴「それは……そうね」

瑞鶴「だったら提督さんを追うのはもう止めて、二人で遊ばない?」

瑞鶴「次、提督さんと来た時の練習も兼ねて、さ」

翔鶴「……そうね」

翔鶴「うん、瑞鶴の言う通りだわ」

585: 名無しさん 2016/07/01(金)21:27:35 ID:TpG

瑞鶴「ごめんね、変な事言って」

翔鶴「ううん、私こそ付き合わせてごめんなさい」

瑞鶴「じゃあお互い様って事で」パンッ

瑞鶴「気を取り直して、遊ぼう」ニコ

翔鶴「そうね」ニコ


ーーー
ーー

586: 名無しさん 2016/07/01(金)21:28:05 ID:TpG



榛名と提督は、園内の色々なあとらくしょんを回りました。

あの後、違うじぇっとこぉすたぁに乗った時は、少し楽しいと感じたので

次は最初のじぇっとこぉすたぁに挑んでみます!

…勿論、提督とですが。

ごぉかぁとに二人で乗った時は、肩が触れる位近くて緊張してしまいました?

嫌がる榛名を提督は半ば強引にお化け屋敷に連れ込みましたが

榛名はずっと目を瞑ったまま、提督の腕にしがみついていました

提督は怖がる榛名の名前をずっと呼びながら、優しく頭を撫でてくれて…

榛名は怖かったけど…嬉しかったです

587: 名無しさん 2016/07/01(金)21:28:31 ID:TpG

それから、提督にお詫びのくれぇぷをご馳走して頂きました。

お互い違う味を頼んで、食べあいっこ…

榛名はそんな事を考えていたのですが

まさか本当にできるなんて、榛名感激です。


その後も、ずっと提督と二人でいれて

榛名は、幸せでした。

ですが、楽しい時間は過ぎるのが早く

気がついた時には、夕刻。

帰りの時間を考えたら、そろそろここを出なければいけません。

提督との二人の時間が、終わりを迎えようとしていました。

そんな時、榛名の脳裏に浮かんだのは

金剛お姉様から頂いた、最後のあどばいすでしたーーー



588: 名無しさん 2016/07/01(金)21:30:17 ID:TpG


ヒトナナマルマル


ー観覧車ー


ーゴンドラの中ー


提督「んー、遊んだねぇ」ノビー

榛名「はい!榛名はとても楽しかったです!」

提督「そりゃあ良かった」ニコ

提督「でも、時間的にそろそろ帰らなきゃだけど…」

榛名「はい…」

提督「最後に、何か乗りたいのある?」

榛名「っ……」

榛名「榛名は、あれに乗りたいです」ユビサシ

提督「え、あれって?」フリカエリ

提督「あぁ、あれはーーー」


ーー

589: 名無しさん 2016/07/01(金)21:31:06 ID:TpG
訂正
観覧車でもゴンドラでもまだありません
壮絶なネタバレを見た

590: 名無しさん 2016/07/01(金)21:31:30 ID:TpG


瑞鶴「やー、沢山遊んだね」ノビー

翔鶴「そろそろ帰らなきゃいけないわね」

瑞鶴「最後に何か乗って行こうよ」

翔鶴「そうねぇ…瑞鶴、決めていいわよ」

瑞鶴「んー…どうしよっかなぁ」ウーン

瑞鶴「あ、まだ乗ってないのあるじゃん」

翔鶴「あぁ…あれね」ユビサシ

瑞鶴「そそ、どうする?」

翔鶴「…瑞鶴はどうしたいの?」

瑞鶴「えぇと、私はーーー」


ーー

591: 名無しさん 2016/07/01(金)21:32:06 ID:TpG


榛名「わぁ、景色がとても綺麗です」

提督「ほんとだねぇ」

榛名「あ、海が見えます」

提督「夕陽がいい感じだね」

榛名「………」

榛名「………」ウツムキ

提督「…どしたの?」

榛名「提督は…」

榛名「…ご結婚、なされたん、ですね」チラ

提督「…そうだね」

榛名「ご結婚、おめでとうございます」ニコ

提督「うん、ありがとう」

592: 名無しさん 2016/07/01(金)21:32:26 ID:TpG

榛名「お相手は…やはり」

提督「赤城と加賀やんだよ」

榛名「ふふ、そうだと思いました」

提督「やっぱりバレちゃうか…」

榛名「他にも気づいた方が?」

提督「鳳翔だよ」

榛名「あぁ、納得です」クス

提督「うーん」

榛名「………」ウツムキ

提督「………」ソトナガメ

593: 名無しさん 2016/07/01(金)21:32:52 ID:TpG

榛名「………」

『いいデスか?』

榛名「………」

『遊園地で最後に乗るアトラクションは絶対コレにするデス』

榛名「………」

『あの空間は、二人の仲を今までよりも更に近いものに変える魔法がありマス』

榛名「………」

『頂上に着いたら、思いの丈をぶちまけるネ』

榛名「………」

『そしたら、もしその時実らなくても必ずテイトクの心に残りマス』

榛名「………」

『その二人の思い出が、大切なんデス』

594: 名無しさん 2016/07/01(金)21:33:32 ID:TpG

榛名「………」

『ハルナが頑張れるナラ、キスの一つしてやればいいんデスよ』

榛名「………」

『きっと、一生の思い出になるカラネ』

榛名「………」

『頑張るネ、ハルナならできるヨ』

榛名「………」

榛名(もうすぐ、頂上です)

榛名(頂上に行ったら、提督に思いを告げる)

榛名(出発の前は、金剛お姉様とそう決めていましたが)

榛名(ごめんなさい、榛名は駄目みたいです)

榛名(提督が、榛名の知らない内に…結婚されていました)

榛名(榛名はそんな人に、思いの丈など…)

榛名(きっと、提督も困ってしまいます)

榛名(ならせめて、このまま…)

榛名(楽しかった思い出のままーーー)

603: 名無しさん 2016/07/07(木)23:23:37 ID:D3W


提督「どしたの?」

榛名「えっ…?」

提督「いや、なんかさ」


提督「すんごい、泣きそうな顔してるから」


榛名「いっ、いえ…榛名は、泣いてなんて…」

提督「そう?ならいいんだけど」

榛名「…はい」

提督「でも、一つだけ」

榛名「…?」

提督「結婚してようがしてまいが」

提督「俺は、皆の提督だから」

提督「勿論それは」

提督「榛名の提督でもあるって事だからね」

榛名「っ…」

榛名「………」グッ

榛名「提督」

提督「ん?」

604: 名無しさん 2016/07/07(木)23:24:45 ID:D3W

榛名「榛名は…その…」

榛名「榛名…また、悪い娘になってもよろしいでしょうか…」

提督「………」

提督「…ん、いいよ」

榛名「……では、失礼します」スッ


ーーー、


榛名「……っ」スッ

提督「………」

榛名「…榛名は」

榛名「やはり、提督の事を…」

榛名「…お慕い、しています」

榛名「指輪を見た時、諦めてしまおうかとも思ったのですが…」

榛名「例え、提督の一番になれなくとも」

榛名「榛名の、この気持ちに嘘はつけません」

提督「………」

榛名「ですが…もし、榛名の我侭を」

榛名「一つだけ、聞いていただけるなら…」

榛名「その……」チラ

提督「…言ってごらん?」

榛名「いつか、榛名が最高練度になった時」

榛名「提督が、榛名でも大丈夫だと仰って頂けるのなら」

榛名「榛名も、提督と結婚がしたいです」

提督「………」

榛名「カッコカリではなく、提督の本当の妻に」

605: 名無しさん 2016/07/07(木)23:25:40 ID:D3W

榛名「榛名は艦娘…人間ではありませんし、空母でもありません…」

榛名「提督が…それでもいいと、言って…」

提督「いいよ」

榛名「ーーっ!」

提督「榛名のその時に、榛名が俺の事を好いていてくれていたら」

提督「榛名との結婚、喜んで受けるよ」

榛名「いいの、ですか?」

提督「俺は、俺の艦隊の皆が大好きだ」

提督「だから、俺が絶対に全員を幸せにする」

提督「その幸せが結婚だって言うのなら」

提督「それも、叶えるさ」

榛名「……提督」グス

提督「だから、もう泣かないで、ね?」

榛名「は、はい…」メソメソ

提督「ほら、折角遊園地来たんだから」

提督「笑って帰りたいやん?」

榛名「ですが…嬉しくて、涙が…」グシグシ

提督「そ、そんなに…?」

榛名「そんなに、です」

606: 名無しさん 2016/07/07(木)23:26:38 ID:D3W

提督「なら泣き止むまでこうしてやる!」グイ

榛名「ひゃっ!?」ポフ

提督「ふふふ、漢の膝枕を喰らうがいい」ナデナデ

榛名「そんな、悪いです…」カァ

提督「だったら早く泣き止む事だね」

榛名「えっ、えぇと…」

榛名「それだと、榛名…泣きやめません」ジィ

提督「…えっ、あ…そう」ドキ

榛名「ふふ、冗談です」クス

提督「…提督を騙すとは不届き者め」

榛名「今の榛名は、悪い娘ですから」ニコ

提督「そうだったね」

榛名「はい♪」


ーー

607: 名無しさん 2016/07/07(木)23:27:30 ID:D3W


榛名「もうすぐ降りないといけなくなりますね」ウデダキ

提督「そうだね」

榛名「榛名、降りたくありません」ギュッ

提督「そうもいかないよね」

榛名「………」プク

提督「膨れても可愛いだけだからね」

榛名「いいです、榛名離れてあげませんから」ギュー

提督「えー…ん?」

榛名「どうかされましたか?」

提督「いや、あれ」ユビサシ

榛名「えぇと、どれでしょうか」

提督「あのツインテールと白髪ロング」

榛名「えっ、あれってーーー」


ーーー
ーー

608: 名無しさん 2016/07/07(木)23:28:33 ID:D3W


ー数分前ー


瑞鶴「でも私、初めての観覧車は提督さんと乗りたいんだよね」

翔鶴「奇遇ね、私もよ」

瑞鶴「だったら、今日は観覧車止める?」

翔鶴「そうね、そろそろ帰りましょうか」

瑞鶴「うん」


ーーー
ーー



ヒトハチマルマル


ー遊園地・入口ゲート付近ー


提督「あの二人、外出許可書出してたっけかな」スタスタ

榛名「どうなんでしょうか…」

提督「もしかしたら執務室に提出してるかもしれないけどね」

榛名「だとしても、提督が知らなければ意味がないのでは…?」

提督「そうだけど、俺いなかったしね」

提督「待ってられなかったんでしょ」

提督「それくらい大目に見るさ」

榛名「…提督は優しいのですね」

提督「帰ってから無断だって分かったらお仕置きだけどね」ニコ

榛名「お二人が提出している事を願っています…」

提督「ま、何にせよ俺達も帰らなきゃね」

榛名「あ、お土産ありがとうございました」

609: 名無しさん 2016/07/07(木)23:29:12 ID:D3W

提督「ん、でも金剛型だけで良かったの?」

榛名「はい、本当は全員にと言いたいところなんですが…」

榛名「提督に買って頂いた手前、そんな無茶は言えませんし…」

榛名「提督とふたりきりで遊園地に…なんて、あまり言いふらせる事ではありませんから」

提督「…それもそうだね」

榛名「なので、これで大丈夫です」ニコ

提督「はいよ、じゃあ出ようか」

榛名「何だか名残惜しい気もします…」

提督「また来ればいいじゃん」

榛名「そうですが…」チラッ

提督「ん?」

榛名「また、二人で来れるでしょうか…?」

提督「来れるさ」ナデ

榛名「んっ…はい♪」パァ


ーーー
ーー

610: 名無しさん 2016/07/07(木)23:29:38 ID:D3W


ー駅・券売機ー


瑞鶴「………」

翔鶴「………」

瑞鶴「…えっ、どうしたの翔鶴姉」

翔鶴「…おかしいわ」

瑞鶴「何が…?」

翔鶴「帰りの電車賃が…ないの」マッサオ

瑞鶴「えっ」

瑞鶴「だって、来た時はギリギリ足りるって…」ゴソゴソ

瑞鶴「あれ!?私も足りない!」ガーン

翔鶴「来た時はちゃんと確認したわ」

瑞鶴「何で…あれ?」

瑞鶴「これ何…?」カサ

翔鶴「どうしたの?」ズイッ


「園内売店のレシート」


瑞鶴「あっーーー」

611: 名無しさん 2016/07/07(木)23:30:17 ID:D3W


ーー

瑞鶴「ほら、飲み物買ってきたから」スッ

翔鶴「ありがとう瑞鶴」ゴクゴク


『ほら、飲み物買ってきたから』

『飲み物買ってきたから』

『買ってきたから』

『カッテキタカラ』

『カッテキタカラ…キタカラ…タカラ…カラ…カラ…』


ーー



瑞鶴「ぐふっ!」

翔鶴「何してるのよ瑞鶴!…あら?」

翔鶴「これ、何かしら」スッ

瑞鶴「………」ズイッ


「園内売店のレシート」


翔鶴「えっーー」

612: 名無しさん 2016/07/07(木)23:30:54 ID:D3W


ーー

瑞鶴「ホットドッグ食べたい」

翔鶴「あそこに売店があるわ、ちょっと待ってて」


『あそこに売店があるわ、ちょっと待ってて』

『あそこに売店があるわ』

『売店があるわ』

『バイテンガアルワ』

『バイテンガアルワ…バイテンガ…バイテン…テン…テン…テン』


ーー

翔鶴「なぁっ!?」

瑞鶴「…翔鶴姉もじゃない」ハァ

翔鶴「そんな…私…」ワナワナ

瑞鶴「はぁぁ…どうするの…」ガックリ

翔鶴「ちょっと、何で私が悪いみたいになっているの?」ムッ

瑞鶴「だって、ギリギリ足るなら大丈夫だっていったの翔鶴姉じゃん…」

瑞鶴「それに、私は翔鶴姉がダウンしてたから飲み物買ったんじゃない」ハァ

翔鶴「それを言ったら私だって」

翔鶴「瑞鶴がホットドッグ食べたいって言うから買ってきたんじゃない」

瑞鶴「食べたいって言っただけで、買ってきてなんて行ってないもん」プイ

翔鶴「んなっ…」

613: 名無しさん 2016/07/07(木)23:31:22 ID:D3W

翔鶴「それはあんまりじゃない?瑞鶴」イライラ

瑞鶴「だってそうでしょ?」フン

翔鶴「…そう、ならいいわ」クル

瑞鶴「…どこいくのよ」

翔鶴「私一人ならここよりもう少し鎮守府に近い駅まで行けるから」チラ

瑞鶴「…なにそれ、私を置いてくつもりなの?」イラ

翔鶴「瑞鶴は電車賃が無いんでしょう?」

翔鶴「なら仕方が無いわね」ニッコォ

瑞鶴「……チッ」

翔鶴「…今舌打ちしたわね」ギロ

瑞鶴「別に翔鶴姉にした訳じゃないんだけど?」ギロ

翔鶴「じゃあ何に対してしたのよ」

瑞鶴「そうね…」

瑞鶴「『幸運』な私が、『何故か』『不幸』な事に対して、かな」ワルイエガオ

翔鶴「は?」ゴコウセンニラミ

瑞鶴「あ?」ゴコウセンニラミ


ーー


614: 名無しさん 2016/07/07(木)23:31:53 ID:D3W



ー同時刻ー

ー駅・券売機前ー


提督「………」ポカーン

榛名「………」ポカーン

提督「…あの二人、何してんの?」

榛名「なにか良くない雰囲気ですね…」

提督「ほぼゼロ距離でメンチ切りあってんじゃん…」

榛名「あのままでは喧嘩が起きてしまいます…」キュッ

提督「もう…そういうのは敷地内でやれってあれほど…」ハァ

榛名「…提督」ジッ

提督「…うん、止めないとだねぇ」


ーー


瑞鶴「なに?ここでやんの?」

翔鶴「別に私は帰るだけだから、電車で」

瑞鶴「だったら早く帰れば?」

翔鶴「その態度を改めさせてからね」

瑞鶴「あ?」

翔鶴「は?」


ゴゴゴゴゴ…


615: 名無しさん 2016/07/08(金)20:25:46 ID:PRQ


提督「こら」ポカッ、ポカッ

瑞鶴「痛い!」

翔鶴「きゃあ!」

提督「二人してこんな所で何してんのよ」

瑞鶴「提督さん!?」ビックゥ

翔鶴「提督!?」ビックゥ

提督「さ、全て話して貰おうかな」ニコ

瑞鶴「ひぃ!?」

翔鶴「は、話しますから…」


ズイズイカクカク


提督「青葉が…?」ピク

瑞鶴「そうなの、それで…」

提督「俺と榛名をつけていた、と」

翔鶴「ごめんなさい…」

提督「それで、なんやかんやで帰りの電話賃が足りなくて」

提督「原因の擦り付け合いの果て、一触即発になった、と」

瑞鶴「……うん」

616: 名無しさん 2016/07/08(金)20:26:18 ID:PRQ

提督「いやまぁ、決して褒められた事じゃないけど…榛名は?」

榛名「はい…?」

提督「この二人どうする?」

榛名「どうする、とは…」

提督「解体処分?それとも解体処分?」

瑞鶴「ひぃ!?」ビクン

翔鶴「そんな…」サーッ

榛名「そんなっ!?」

提督「ま、それは嘘なんだけど」

瑞鶴「はぁあ…」ヘナヘナ

翔鶴「…よかった」ドックンドックン

榛名「…榛名は、別に怒ってませんよ?」

提督「ほう」

榛名「元を辿れば、私が差し出がましい事をしていたのですから」

榛名「それと…」チラ

翔鶴・瑞鶴「……?」

榛名「今日は『提督と二人きりで』とても楽しかったので」ニコ

翔鶴・瑞鶴「……っ」

提督(あ、これ悪い榛名だ)

617: 名無しさん 2016/07/08(金)20:26:53 ID:PRQ

榛名「なので、私からは何もありません」

提督「ん、なら俺からも何もないや」

翔鶴・瑞鶴「………」ホッ

提督「…ただ、二人共」

翔鶴・瑞鶴「………」ピク

提督「外出許可書、出してる?」

翔鶴「っ!」ギクッ

瑞鶴「っ」プイ

提督「成程、無断だったのか…」ニッコリ

翔鶴「ご、ごめんなさい…」ビクビク

瑞鶴「提督さん、許してぇ…」ビクビク

提督「…本来なら、厳罰の対象(嘘)なんだけど」

提督「特別に、簡単な罰で許してあげよう」

瑞鶴「本当…?」

翔鶴「………」

提督「大丈夫、提督嘘つかない」

榛名「…余り厳しいのはやめてあげて下さいね」キュッ

提督「大丈夫だよ、罰って言ってもあれだから」ニコ

翔鶴・瑞鶴「……?」

提督「とりあえず電車乗るよ、運賃は俺が出すから」

翔鶴「…ありがとうございます」ペコ

瑞鶴「提督さんごめんなさい…」ペコ


ーーー
ーー

618: 名無しさん 2016/07/08(金)20:27:18 ID:PRQ


瑞鶴「重い!」ズシ

翔鶴「瑞鶴、文句言っては駄目よ?」ズシ

提督「そうだぞ?これは罰なんだから」

榛名「榛名もお手伝いしますから…」アセ

提督「榛名はいいから、ね?」

榛名「ですが…」

瑞鶴「もう無理ー」

翔鶴「鎮守府まであと少しだから、ね?」

提督「お前ら一個ずつでしょ?」

提督「俺四つ持ってんのに!」

榛名「だから榛名がお持ちしますから…」

提督「榛名はいい娘だなぁ…」ウンウン

榛名「そんな事は…」

瑞鶴「ところでこれ、何なの?」

翔鶴「食材のようですが…」

提督「え、言ってなかったっけ?」

提督「この前のアレ、夕立のお願いでね」


提督「クリスマスパーティーするんだよ」


619: 名無しさん 2016/07/08(金)20:31:47 ID:PRQ
最近投稿ペースがめっきり遅くて見てくれてる人も少ないかと思います。それでも見てくれてる好き者共よ、ありがとう。

んで、次回より久々の長編とは名ばかりの長編を予定していますので、恒例のアンケートです。見たい方を選んでね。

今回ダメだった方も、違うタイミングで投稿しますのでご安心を。

620: 名無しさん 2016/07/08(金)20:35:47 ID:PRQ
1.裏目ばかりの長門、それでも頑張る。
2.天龍の改二計画、その結末とは?

締切は今週いっぱい位を予定しています。

622: 名無しさん 2016/07/08(金)20:53:50 ID:PRQ
選択肢が少ないとクレームが出そうなのでも少し増やします。

3.役に立たないヲ級、役に立つ。
4.大和、出会いの物語

621: 名無しさん 2016/07/08(金)20:38:39 ID:O4r
ビッグセブンの酒が飲めない方

623: 名無しさん 2016/07/08(金)20:54:36 ID:PRQ
>>621
後出しですいません、変更ありましたらどうぞ

624: 名無しさん 2016/07/08(金)21:50:38 ID:O4r
変更はない
ビッグセブンのポンコツの方に一票だぜ

625: 名無しさん 2016/07/08(金)22:28:49 ID:HCp
1

626: 名無しさん 2016/07/09(土)02:34:03 ID:VU4
1

631: 名無しさん 2016/07/11(月)13:49:16 ID:xq0
みんな長門好きすぎですね
では締め切りたいと思います

次回「長門頑張る(仮)」お楽しみに

635: 名無しさん 2016/07/15(金)01:35:28 ID:B3E


私は、戦艦長門。

かの大日本帝国海軍時代、旧長門国に因んだその名を与えられ、日本海軍の象徴と親しまれていた。

その後、ワシントン海軍軍縮条約によって大型艦の建造が制限される海軍休日の後、私と陸奥、米、英の戦艦を指して。

『世界七大戦艦』と呼ばれるようになった。

世界のビッグセブン、の方が分かりやすいか。

そんな映えある戦艦長門もいざ終戦してみれば、敗戦国の無様な生き残りでしかなくて。

そして…忘れもしない1946年、夏。

記憶の彼方にある、あの光景。

敵味方の艦と、あの巨大な光。


それが、そこまでが、かつて連合艦隊旗艦を務めた栄光ある戦艦長門の、記録。



そしてーーー。



その生まれ変わりが、私。

636: 名無しさん 2016/07/15(金)01:36:09 ID:B3E




【艦これSS】提督「赤城のワガママ」長編
孤高の旗艦編




637: 名無しさん 2016/07/15(金)01:36:42 ID:B3E


ヒトキュウマルマル


ー提督の部屋ー

ー良くない雰囲気ー


提督「だから、ごめんって…」

加賀「………」ツーン

赤城「………」ツーン

提督「確かに後から様子見に来るって言ったけどさ…」

提督「ほら、クリスマスのお願いだから…」

加賀「………」

赤城「………」

提督「その、二人もそうだった様にね…」

提督「榛名や他の娘のお願いも聞いてあげないと、不公平じゃないの」

加賀「………」

赤城「………」

提督「……忘れてた訳じゃ、ないんだよ」

加賀「………」

赤城「………」

提督「っ……」ショボン

638: 名無しさん 2016/07/15(金)01:37:09 ID:B3E

加賀「………」チラ

赤城「………」チラ

提督「……お土産、ここに置いとくから」スク

提督「あと、もうすぐ食堂でクリスマスパーティーもあるからね…もう皆集まってるはずだから」

提督「気分が乗るようなら出ておいで…」クル


スタスタ…パタン


加賀「………」

赤城「………」

加賀「…少し、意地悪が過ぎたかしら」

赤城「…提督、しょんぼりしていましたね」

加賀「放ったらかしにされたのは許せませんが、提督の立場も加味しなくてはいけませんでした…」

赤城「そうですね、仕方がない事かも知れません」

加賀「私達も、もう少し余裕を持たないといけませんね」

639: 名無しさん 2016/07/15(金)01:37:31 ID:B3E

赤城「正妻の余裕、と言うやつですね」

加賀「はい」

赤城「提督、そのままパーティーに行かれるのかしら」

加賀「おそらく皆が待っていると思うから、行くと思うわ」

赤城「もう少ししたら、私達も行きましょうか」

加賀「はい」


ーーー
ーー

640: 名無しさん 2016/07/15(金)01:38:02 ID:B3E


ー廊下ー


提督「………」ハァ

提督「新婚早々、これじゃあなぁ…」グッタリ

提督「やっぱり難しいよなぁ…」

提督「…あぁ、どうすっかねぇ」

??「……!」タタタッ

提督「あの様子じゃ、一時口聞いて貰えないだろうなぁ…」

??「誰が口聞いてくれないのよ」

提督「なぁっふ!?」ビクッ

提督「…いきなり脅かさないでよ」ドキドキ

提督「むっちゃん」

陸奥「失礼ね、脅かすつもりなんて無かったのに」プク

提督「あぁ、そのなに…ごめんね」

陸奥「あら、どうしたのよ」

陸奥「元気ないじゃない」ノゾキコミ

提督「んにゃ、何でもないよ」フイ

陸奥「………」ムッ

陸奥「へぇ、そう…」スッ

提督「……?」

陸奥「私じゃ役不足って言いたいのね」プイ

提督「えっ!?いやそんな…」

641: 名無しさん 2016/07/15(金)01:38:37 ID:B3E

陸奥「だったら話してよ」ズイッ

提督「あー、どうだろう」

陸奥「やっぱりダメなんじゃない!」プクー

提督「そんな言ってもだねぇ…」

陸奥「………」ジィ

提督「今はなんと言うか…」

陸奥「………」ジィ

提督「大体、こんな話聞いても…」

陸奥「………」ジィ

提督「…あぁもう、分かったよ」アキラメ

陸奥「最初からそうしてれば良かったのよ」
フフーン

提督「…あー、うん」

陸奥「で!?何があったの!?」ズズイッ

提督「まぁまぁ、そんな面白い話でもないからさーーー」


ーー

642: 名無しさん 2016/07/15(金)01:39:15 ID:B3E


陸奥「…ふーん」シラー

提督「ほら言ったやん…」ハァ

陸奥「いや、まさか惚気話聞かされるとは思ってもいなかったから…」

提督「惚気って…俺は本気で悩んでだな…」

陸奥「誰も本気じゃないとは言ってないでしょ?」

陸奥「それより、いつの間に一航戦と結婚してたのよ」

陸奥「私、聞いてないんだけど」ジト

提督「そりゃあ誰にも言ってないからね」

陸奥「そうなの?」

提督「うん、それこそ長門や大和なんかも知らない筈だけど」

陸奥「ふーん、ならいいわ」フン

陸奥「…その…結婚、おめでとう」

提督「あぁ、ありがとう」

陸奥「………」

提督「………」

陸奥「なんか変な空気になっちゃったじゃない!」

提督「知らねぇよ!むっちゃんのせいでしょ!?」

643: 名無しさん 2016/07/15(金)01:40:17 ID:B3E

陸奥「何よ!私のせいだって言いたいの!?」

提督「言いたいも何も、今しがたむっちゃんのせいにしたばっかりだよ!」


ナニヨ!バクハツスルワヨ!

ソレハカンベン

アラ、イガイトアッサリナノネ

アーダコーダ…

ーーー
ーー

644: 名無しさん 2016/07/15(金)01:40:50 ID:B3E


提督「ところでさ」

陸奥「なぁに?」

提督「むっちゃん、何でこんな所にいたの?」

陸奥「え?」

提督「クリスマスパーティー、行かないの?」

陸奥「あぁそれね、今向かってたとこなのよ」

提督「なるほどね」

陸奥「………」

陸奥「…何でか、聞かないの?」

提督「えっ…?」

陸奥「何で皆と同じタイミングじゃなかったのか、聞かないの?」

提督「……?」

提督「…じゃあ、何で?」

陸奥「教えてあげないわ」フーン

提督「なんだよそれ…」

陸奥「ここで私から言っちゃったら、二度目になっちゃうもの」

陸奥「さ、クリスマスパーティー行きましょ」

提督「腑に落ちないなぁ…」

陸奥「なぁに、行けば分かるわよ」

提督「ふぅむ…」


ーーー
ーー

645: 名無しさん 2016/07/15(金)01:41:44 ID:B3E


ー食堂ー


ワイワイガヤガヤ


提督「おー、やってるやってる」

陸奥「ウチは少ない方なんだろうけど、集まると賑やかねぇ」

提督「赤城と加賀やんも来てるね」

赤城・加賀「!」

陸奥「何でこの距離で提督に気付けるの…?」

提督「アイツらは特別なんだよ」アハハ

陸奥「妬けちゃうわねぇ」

提督「……あれ?」

陸奥「あら、もう気付いたの?」

提督「うん、長門がいないね」

陸奥「…ほんっと、妬けちゃうわ」

提督「えぇと、さっきの話って…」

陸奥「さぁ?」

提督「はぁ…分かったよ」

646: 名無しさん 2016/07/15(金)01:42:13 ID:B3E

提督「むっちゃんは先に楽しんでおいで」

提督「俺、長門んとこ顔だしてから来るから」

陸奥「あらそう?分かったわ」

陸奥「あの気難しい姉を、よろしくね」フリフリ

スタスタ…

提督「何があったんだ…?」


ーー



赤城「提督はまた何処かに行きましたね」モグモグ

加賀「部下のケアも仕事のうちですから」モグモグ

赤城「あら、切り替えが早いですね」モグモグ

加賀「後でうんと構って貰います」モグモグ


ーーー
ーー

655: 名無しさん 2016/07/20(水)22:09:44 ID:qmQ


ー数刻前・長門型の部屋ー


長門「いや、私はいい」

陸奥「なんでよ」

長門「今はそんな気分になれないからだ」

陸奥「…まだ気にしてんの?」

長門「うるさい、大きなお世話だ」

陸奥「提督だって、最後は言うほど怒ってなかったじゃない」

長門「………」

陸奥「今だって行けば普通に接してくれるわよ」

長門「しかし…」

陸奥「ここで不貞腐れてても何も始まらないわよ?」

長門「………」ムッ

長門「別に不貞腐れてなど」

陸奥「なら何なのよ」

656: 名無しさん 2016/07/20(水)22:10:03 ID:qmQ

長門「それは、だな…」グヌヌ

陸奥「ほら、やっぱり不貞腐れてるんじゃないの」ハァ

長門「だから違うと!」ガバッ

陸奥「だったら布団から出て提督に謝罪の一つでもすればいいじゃないの」

長門「ぐっ…」

長門「だ、黙れ!大きなお世話と言ってるだろ!」ポイポイ

陸奥「ちょ、ちょっと!そこらにある物構わず投げないでよ!」

長門「出てけ!」ポイポイ

陸奥「もう!分かったわよ!」バタン

長門「っ……くそっ」


ーー

657: 名無しさん 2016/07/20(水)22:10:35 ID:qmQ


フタマルマルマル


提督「おーい」コンコン

長門「っ……」コソ

提督「なーがーとー」コンコン

長門「………」イルス

提督「いないのー?」コンコン

長門「………」イルス

提督「………」

提督「……おい」ボソ

長門「っ……」ピク

提督「開けろっつってんのが聞こえねぇのか?」ヒクイコエ

長門「ひっ…」ビクッ

658: 名無しさん 2016/07/20(水)22:11:09 ID:qmQ

提督「居るのは分かってんだ、早く開けねぇと…えーと…」

長門「…?」

提督「とりあえず入りまーす」ガチャ

長門「なっ、まだ開けていいとは!」

提督「いるじゃん、知ってたけど」

長門「あっ…」

提督「クリスマスパーティー、来ないの?」

長門「いや、私は…」フイ

提督「…どうしたのよ、らしくない」

長門「うむ…」

提督「当事者が言うのも何だけど、話聞こうか?」

長門「いや、提督の手を煩わせる程では…」

提督「ここに来た時点で煩ってるの、知ってた?」

長門「………」シュン

提督「…嘘だって、手間だなんて思ってないから」

長門「………」

提督「ね?吐き出しゃちょっとは楽になるかもしれないしさ」

長門「……分かった」

ーー

659: 名無しさん 2016/07/20(水)22:11:45 ID:qmQ

長門「ーーだから、私はあまり出しゃばるのを止めようと思ったんだ」

提督「成程ねぇ…」

長門「私は何時もそうだ」

長門「皆の、提督の為を想って行動しても空回って、最後には迷惑をかけてしまう」

長門「だからーーー」

提督「俺は、迷惑だなんて思った事ないけどな」

長門「しかし…」

提督「叢雲の時も、二航戦の時だって長門が動いたから、今が丸く収まってるんじゃないかなって思うんだけどなぁ」

長門「………」

提督「あれで長門が隣に居なかったら、どっちかが死んでたかもしれないし」

提督「あの時長門が止めに行かなかったら、あの二人も怒りっぱなしだったかもしれないし」

長門「…それは、結果論に過ぎない」

提督「まぁ、そうなんだけどさ」

660: 名無しさん 2016/07/20(水)22:12:05 ID:qmQ

提督「過程に長門が入ったから、結果が丸く収まったって考えたら」

提督「長門の介入は、プラスだったって事やん」

長門「………」

提督「確かに、その時その瞬間は長門が損を被ってる様に感じるかもしれないけど」

提督「俺は、どっちかってと感謝してる方なんだよ」

長門「感謝など…」

提督「してるさ」

提督「俺の目の届かない所で、ちゃんと他の娘達を見てくれてるじゃないの」

提督「例えに出すようで悪いけど、赤城や加賀やんには出来ない事だよ」

ーー

661: 名無しさん 2016/07/20(水)22:12:28 ID:qmQ

ーー

加賀「っくしゅん」

赤城「へっ、へぁっくし!」ブホッ

翔鶴「きゃあ!ご飯粒が!」

瑞鶴「散弾銃かよ」

ーー

662: 名無しさん 2016/07/20(水)22:12:57 ID:qmQ

長門「………」

提督「だから、空回る事もあるだろうけど」

提督「俺には、そんな存在がいてくれて凄く助かってる」

提督「流石、連合艦隊旗艦を務めただけはあるってね」

長門「………」

長門「…そこまで言われたら、その、なんだ…」

長門「嬉しく、なってしまうではないか…」テレ

提督「でしょ?」ニヤニヤ

長門「なっ!?」

長門「煽て上げただけだな!本心じゃなかったんだな!」プンスコ

提督「本心だよ」シンケン

長門「いきなり真顔になってもダメだからな!」

663: 名無しさん 2016/07/20(水)22:13:38 ID:qmQ

提督「煽て文句であんな事言えないよ」シンケン

長門「くっ、騙されるな私…」ブンブン

提督「騙すなんて…」ズイッ

長門「っ!?」

提督「…そんな事、しねぇよ」ミミウチ

長門「んあぁっ!!?」ビクビクッ

提督「あっはっはwww」ゲラゲラ

長門「なな、何だ今の声は!?」キッ

提督「提督の1000000000000個の必殺技の一つ」

提督「悩殺イケボ耳打ちだ」ドヤァ

長門「い、一兆個もあるのか…」ゴクリ

提督「あるわけないでしょw」

長門「謀ったな!」

提督「謀ったよ」

長門「開き直るな!馬鹿にして!」プンスコ

提督「まぁまぁ、そう怒らないでさ」ドウドウ

長門「怒らせたのは誰だ!」プイ

提督「俺」ドヤァ

長門「~~っ!!」プルプル

長門「このっ!」ガバッ

提督「なっ!?」

ーー

664: 名無しさん 2016/07/20(水)22:14:36 ID:qmQ

ー30分後ー

長門「も…やめっ、ああぁあぁぁあ!」

提督「お、なら一緒に来るかい?」ハガイジメ

長門「だからっ、私は行かないとあはははは!」

提督「なら駄目だよ」コチョコチョ

長門「もうやめぇえぇえぇ!!」

提督「来る?」ピタッ

長門「わ、わかっ、た…行く、からっ…」ゼェハァ

提督「よし、なら開放だよ」スッ

長門「はぁ、はぁ…」グッタリ

長門「やはり…提督には勝てない、か」

提督「部下に負ける様じゃ提督なんて務まらないよ」ケラケラ

長門「そういう訳ではないと思うが…」

提督「じゃあ俺が態度だけでかいヘナチョコモヤシ提督でもいい?」

長門「それは嫌だな」

提督「でしょ?」

長門「例えが極端過ぎる気がするが…」

665: 名無しさん 2016/07/20(水)22:15:29 ID:qmQ

長門「…まぁ、しかしだな」

提督「ん?」

長門「いくら腕っぷしが艦娘以上だったとしても」

長門「頭が切れる天才だったとしてもだ」

提督「うん」

長門「それをひけらかすようでは話にならん」ウン

長門「それを踏まえて考えると…やはり」

提督「やはり?」

長門「貴方の元に配属された私は、その…」チラ

提督「その?」

長門「いっ、いちいち復唱するんじゃない!馬鹿者!」ボフッ

提督「んむっ!?」

長門「貴方という人は本当にーー?」グイ

長門「提督、離さないか」グイ

666: 名無しさん 2016/07/20(水)22:16:05 ID:qmQ

提督「このクッション長門の匂いがする」クンクン

長門「んなっ!?」カァ

長門「離せ!今すぐ離すんだ!」グイグイ

提督「長門お前寝ながら涎垂らしただろ」

長門「いいから離せと!」グイグイ

提督「ここちょっと臭いぞ」クンクン

長門「ななななな」マッカァア

長門「デリカシーが無いのか貴様は!!」グイッ

提督「あっ、馬鹿ーー」グラッ

ゴチン

長門「んあ"っ!?」

提督「ぁだあっ!」

ゴロガッシャーン


ナニヲスル!イタイデハナイカ!

イテェエエエエエ!!


ーー

675: 名無しさん 2016/08/02(火)23:44:39 ID:c3T


長門「ったく…提督の石頭には困ったものだ」

提督「大佐の拳骨より硬いんだ」

長門「艦娘との頭突き合いで平然としてられるのはどうかと思うが…」

提督「今更でしょ」

長門「…まぁ、提督だからな」クス

提督「そゆこって」

長門「………」スタスタ

提督「………」スタスタ

長門「…しかし、アレだな」

提督「ん?」

長門「途中から行くのは少しバツが悪いな…」

提督「なんでさ」

長門「準備するのにも、それなりの人数が参加していたのではないのか?」

提督「あぁ、それなら大丈夫なんじゃない?」

長門「何故、そう言いきれる」

提督「今日非番の奴らばっかり駆り出されてたから、かな」

676: 名無しさん 2016/08/02(火)23:45:14 ID:c3T

長門「……それだと全員ではないか」

提督「あー、違う違う」

提督「そもそもがゲリラ企画だったからさ」

提督「非番と言うか、今日予定の無い暇人を寄せ集めて準備してたみたいなんだよ」

長門「うむ…」

提督「だから俺も居なかったし、赤城と加賀やんも、五航戦も参加してないよ」

提督「だから長門が気に止む必要はないんじゃない?」

長門「…そうだろうか」ウーム

提督「……!」

提督「そんなに悩むならさ」

長門「……?」

提督「今からでも、行って盛り上げて来なよ」

長門「しかし…」

677: 名無しさん 2016/08/02(火)23:46:54 ID:c3T

提督「なぁに、いつも皆を気にかけてる長門が出張るんだ」

提督「きっと盛り上がるさ」ニコ

長門「う、うむ…」

提督「それに、もう一つ」

長門「なんだ」

提督「俺が長門のとこに来たの、誰の差し金だと思う?」

長門「………陸奥か?」

提督「正解、俺には気にしてない様に振舞ってたけど」

提督「やっぱり、心配だったんでしょ」

長門「………」

提督「むっちゃんももう来てるから」

提督「気持ちが晴れた所も見せとかないと、でしょ?」

678: 名無しさん 2016/08/02(火)23:47:19 ID:c3T

長門「…そう、だな」

長門「分かった、この長門に任せておけ」

提督「ん、その意気だよ」

長門「そんな話をしていたら着いてしまったな」

提督「じゃ、入ろうか」

長門「よし提督!この長門に続け!」ガチャ!


ア!ナガトガキタヨ!

オッセーンダヨ!

アァ、ワルカッタナ

ワイワイガヤガヤ

サーテウロウロスルカー


ーーー
ーー

679: 名無しさん 2016/08/02(火)23:47:57 ID:c3T


フタヒトマルマル


提督「…二人共どれだけ食べたの?」

加賀「そんなに食べていません」

赤城「腹八分位です」

提督「嘘つけ、ここだけ異常に皿が積んであるじゃないの」

加賀「瑞鶴、女の大食らいは恥ずかしいわよ」

瑞鶴「そっくりそのまま返してあげるわよ」

赤城「わ、私は本当に腹八分で抑えてですね…」

飛龍「提督提督」チョンチョン

提督「ん?」

飛龍「さっき、赤城さんがね…」

飛龍『げっふ、ちょっと食べ過ぎました、満腹です』

飛龍「って言ってたよ」

680: 名無しさん 2016/08/02(火)23:48:25 ID:c3T

提督「へぇ、赤城、腹八分なんだ、へぇ」ジトー

赤城「いやー、そのー…」ヨソミ

蒼龍「二人共なんで沢山食べたの提督に隠すのかな…」モグモグ

翔鶴「乙女心、と言うやつではないでしょうか」モグモグ

加賀「黙りなさい貧乳」グググ

瑞鶴「うっさいわね、私は美乳なのよ」グググ

赤城「こうなったら…一航戦赤城、食べます!」モグモグ

提督「ええい開き直るな!腹八分じゃなかったのかよ!」

ーー

681: 名無しさん 2016/08/02(火)23:49:16 ID:c3T

隼鷹「えへへぇ提督ぅ、飲んでるかぁい」ダキッ

提督「うお、隼鷹か…って臭!!」

隼鷹「おいおい、女に向かって臭いはないだろぉ」ギュー

提督「酒臭いって言ってんの、どんだけ呑んだんだよ」

隼鷹「んー…」ウーン

隼鷹「あっはっはw覚えてねぇやw」

提督「まぁ、楽しく呑むのは構わないけど、程々にしときなよ」

隼鷹「はぁーい」

提督「で、俺は何時まであすなろ抱きされてればいいの?」

隼鷹「あすなろー?」

提督「貴女のたわわに実ったダブル勅令が俺の背中で制空権取ってるんだけど」

隼鷹「なんだよそれー」ケラケラ

提督「言わせんな恥ずかしい」

682: 名無しさん 2016/08/02(火)23:49:53 ID:c3T

隼鷹「それ、つまりこういう事なんだろー?」スリスリ

提督「っ!?」

隼鷹「どうだい提督ぅ、軽空母だって馬鹿にできないだろー?」スリスリ

提督「…可及的速やかにそのストロークをややめ給え」

提督「背中に全神経が集中してしまう」

隼鷹「何真面目ぶってんのさぁ」ニヤニヤ

隼鷹「素直になりなよぅ」ニヤニヤ

提督「よし分かった」ガタッ

隼鷹「へっ?」

提督「隼鷹、部屋行くぞ」

隼鷹「いっ、いきなりどうしたのさっ」アセ

提督「いきなりも何も、そっちが誘ってきたんだろ?」ズイ

隼鷹「ちょ、ち、近いよ…」ドキドキ

提督「なぁに、これからもっと近い仲になるんだから…」スッ

隼鷹「わわっ!」ビク

683: 名無しさん 2016/08/02(火)23:50:26 ID:c3T

提督「今夜は、寝かさないぜ?」ミミウチ

隼鷹「ひゃあぁ!?」ビクビクッ

隼鷹「ま、ままま待ってくれよう!私、まだそんな!」アタフタ

隼鷹「風呂にも入ってないし!初めてがこんな酔ってる時なんてやだよう!」ブンブン

隼鷹「でっ、でも提督が嫌な訳じゃないんだからな!ただ、世の中タイミングってもんが…?」

提督「…ぷっ、くっ」プルプル

隼鷹「えっ、と…提督?」

提督「ぶっふwwwむ、無理っwww」ブフッ

隼鷹「何笑ってんのさ…」

提督「必死過ぎwww」ゲラゲラ

隼鷹「んなっ!?」

提督「いやー、ここまで焦る隼鷹もなかなかないよねw」

684: 名無しさん 2016/08/02(火)23:50:59 ID:c3T

隼鷹「か、からかったのかい…?」プルプル

提督「ごめんごめんwいやぁいいもんみれーー」

隼鷹「提督のばかやろーー!!」キンテキ

提督「あぁあ"っ!!?」キンッ

隼鷹「自棄酒してやるーー!」スタタタタ

提督「ンンンンンン!!」ウズクマリ

瑞鳳「提督…大丈夫ぅ?」サスサス

提督「あんまり大丈夫じゃないぃ」

瑞鳳「もう…あんまり意地悪しちゃ駄目だよ?」サスサス

提督「はいぃ…」


ーー

685: 名無しさん 2016/08/02(火)23:53:07 ID:c3T


ー外ー


提督「ちょっと飲みすぎたかな」フー

提督「まだキャンタマ痛いし…」サスサス

大和「提督、お隣よろしいでしょうか?」

提督「!?」サッ

大和「どうかなさいましたか…?」

提督「んや、どうぞ」ニ、ニコ

大和「失礼します」スッ

提督「大和、楽しんでる?」

大和「はい、それはもう」ニコ

提督「そっか、よかった」

大和「戦いとは関係のない催し事は初めてだったので、なんと言うか…」

提督「今までは海域突破の祝勝会みたいなのばっかりだったね」

提督「それだとどうしても、海に出た娘とそうじゃない娘で温度差ができちゃうからなぁ」

686: 名無しさん 2016/08/02(火)23:53:33 ID:c3T

大和「皆、喜んでいたのは確かなんですが…」

提督「その時は、俺もそれに気付けなかったからね」

提督「俺の落ち度だよ」

大和「………」

大和「…そんな事、ありませんよ?」ヨリソイ

提督「………」

大和「…私達は兵器なんです」

大和「だから、本来の役割…提督の命令を卒無くこなし、敵とされている目標を殲滅する」

大和「ただ、それだけでいい筈なんです」

大和「不平不満、要望、願望、欲望、そんな感情を持つべき存在であってはならないんです」

提督「そんな事っーーー」

大和「そうです。だから皆、提督をお慕いしているんですよ?」

687: 名無しさん 2016/08/02(火)23:54:00 ID:c3T

提督「っ……」

大和「提督が私を、私達艦娘を一人の女性として見てくれるから」

大和「私達も、それに応える事ができて」

大和「そして、提督を一人の男性として」

大和「想い、恋慕う事ができるんです」ギュッ

提督「大和…」

大和「例えこの先、提督のやり方が間違っていると誰かが意義を称えたとしても」

大和「少なくともここの艦娘と、大和は貴方の味方であり続けますから」

提督「…うん、ありがとう」

大和「ふふっ、少し飲み過ぎてしまったみたいです」クス

提督「え?」

大和「提督と二人きりでゆっくりお話をするのが久方ぶりだったので」

大和「嬉しくて、つい喋りすぎてしまいました」ニコ

692: 名無しさん 2016/08/07(日)20:48:46 ID:Ld2

提督「確かに、大和と二人きりで話すのは久しぶりかもしれないね」

大和「あの時を、思い出します」

大和「大和と提督が出会った、あの日をーーー」


ーーー
ーー

693: 名無しさん 2016/08/07(日)20:49:14 ID:Ld2


提督「いやぁ、懐かしいねぇ」

大和「えっ、あれ…?」

提督「ん?」

大和「いっ、いえ、何でもありません」

提督「……?」

大和「おかしいわ、今まではこの流れだと過去の描写に…」ブツブツ

提督「………」

提督「ま、それはそのうちね」ポン

大和「そんなぁ…」ムゥ

提督「大丈夫だって、皆大和の事も好きだろうから」メメタァ

大和「皆…?」

提督「おっと、この話はこのへんにしとこうかな」

大和「……?」キョトン

提督「さ、そろそろ戻ろうか」

提督「いい感じに酔も冷めてきたし」

大和「何かはぐらかされている気がします」プク

694: 名無しさん 2016/08/07(日)20:49:41 ID:Ld2

提督「そんな事ないからさ、大和はどうする?」

提督「もちっとここにいるかい?」

大和「………」ムー

大和「…提督が戻るなら、大和も戻ります」

提督「ん、じゃ行こうか」

大和「…だったら」ボソ

提督「…?」

大和「その…手を…」

提督「手?」

大和「食堂に戻る手前までで構いませんので、手を…」

大和「手を、繋いでいただけないでしょうか…?」 チラ

提督「ん、いいよ」スッ

大和「やったぁ♪」パァ

提督「そんなに?」

大和「はい♪では失礼してーーーっ!?」

695: 名無しさん 2016/08/07(日)20:50:13 ID:Ld2

提督「どしたの?」

大和「これっ、指輪…」プルプル

大和「提督、結婚なされたのですか?」プルプル

提督「あぁ、そうだよ」

大和「い、いっ、いい一体、どど何方と…?」プルプル

提督「赤城と加賀やんだよ」

大和「あ、あぁ…よかった…」ヘナヘナ、ペタン

提督「や、大和?大丈夫?」アセ

大和「はい…大丈夫です」

提督「どうしたのさ」

大和「それが、提督の結婚指輪が、もし…人間の女性だったらと思ったら…」

大和「大和は、それが怖くて…」

提督「あの二人と何が違うのよ」

大和「だって…私達との間ではカッコカリでしかありませんが…」

大和「人間の女性となると…その…」

大和「正真正銘の、結婚に…」

696: 名無しさん 2016/08/07(日)20:50:55 ID:Ld2

提督「正真正銘の結婚もしたんだけどね」

大和「……えっ?」キョトン

提督「だから、カッコカリも含めて」

提督「本当の結婚をしたの」

大和「え、えぇと…誰と誰が、ですか…?」

提督「俺と、一航戦の二人」

大和「えっ…それは、本当ですか…?」

提督「本当だってば」

大和「………」

提督「えっとその…怒ってる?」

大和「いえ…ただ、ひとつ聞いても?」

提督「なんなりと」

大和「それでは…提督」



大和「貴方はーーーーーー?」



ーー

697: 名無しさん 2016/08/07(日)20:51:23 ID:Ld2



ー同時刻ー

ー食堂ー


ワイワイガヤガヤ


長門「……ん?」モグモグ

陸奥「どうしたの?」

長門「…へいほふはほほは?」

陸奥「飲み込んでから話してよ」

長門「ん……」モグモグ、ゴクン

長門「提督はどこだ?」

陸奥「提督ならさっきあそこに…あら?」

陸奥「確かに見当たらないわね」キョロキョロ

長門「また空母の連中と抜け駆けか?」

陸奥「ううん、空母は全員いるわよ」

長門「ふむ…トイレか」

陸奥「いや待って、大和がいないわ」

698: 名無しさん 2016/08/07(日)20:51:52 ID:Ld2

長門「大和、だと?」ピク

陸奥「まぁたまたまかもしれないけど」

長門「………」

陸奥「あの娘も今日呑んでたから」

陸奥「ここぞとばかりに、提督にアタックかけに行ったのかもしれないわね」

長門「…うむ」

陸奥「どうしたの?」

長門「いや、何も」

陸奥「先、越されちゃったって?」

長門「んなっ!?そんな事一言も!」ガタッ

陸奥「じゃあなんなのよ」

長門「むぅ…それは…」タジ

陸奥「もう、分かりやすいんだから…」ハァ

長門「…お前は随分と余裕なんだな」

陸奥「え、私?」

699: 名無しさん 2016/08/07(日)20:52:27 ID:Ld2

長門「あぁ…それとも、どうでもいいのか?」

陸奥「別にどうでもよくはないわよ」

陸奥「寧ろ、由々しき事態だわ」

長門「にしては…ではないか」

陸奥「何が言いたいの?」

長門「その…焦りというかだな…」

陸奥「あぁ、それは大丈夫よ」

長門「………」

陸奥「何故言い切れる?って顔してるわね」

長門「む…なら聞こうか」

陸奥「そんなの簡単じゃない」

陸奥「提督の事を知ってれば、自ずと分かる筈よ?」

長門「提督の、事…か」ウーン

長門「………」ウーン

長門「………」ウーン

長門「………」ウーン

長門「…受け入れる未来しか見えないではないか」ズーン

陸奥「はぁ…ほんっと単純なんだから」タメイキ

700: 名無しさん 2016/08/07(日)20:53:12 ID:Ld2

長門「なんだと!!」ガタッ

陸奥「そういう所も含めて言ってるのよ」

長門「っ…分かった」スワリ

陸奥「じゃあ教えてあげる」

陸奥「何故、私が余裕でいられるか」

陸奥「その答えは、あそこにあるわ」ユビサシ

長門「あれは…空母の連中ではないか」

陸奥「まだ分からないの?」

長門「いや、提督が空母好きなのは最初から知っているが…」

長門「それと陸奥の余裕に何の関係が…?」ウーン

長門「………」ウーン

陸奥「……分かったわよ、答えおしえてあげるから」ハァ

長門「…今呆れたな」キッ

陸奥「もう、そんな事ないから聞きなさい」

701: 名無しさん 2016/08/07(日)20:53:43 ID:Ld2

陸奥「いい?提督は無類の空母好きなのは知ってるでしょ?」

長門「あぁ」

陸奥「じゃあ、ウチの第一艦隊の編成は?」

長門「…全員空母だな」

陸奥「そこまで分かってたら」

陸奥「提督がカッコカリの指輪を送るであろう最初の6人が分かったでしょ?」

長門「うむ、分かるな」

陸奥「んで、今ケッコンを済ませてるのは赤城と加賀だけでしょ?」

長門「そうだn……は?」

陸奥「えっ?」

長門「ちょっとまて陸奥、それは初耳なんだが」

陸奥「あっ…」

長門「詳しく聞かせて貰おうか」ガシッ

陸奥「ちょっ、ちょっとまって!」アセ

陸奥「それも後で話してあげるから!」アセアセ

長門「本当か?」ギロ

陸奥「本当よ!」

長門「分かった」スッ

702: 名無しさん 2016/08/07(日)20:54:26 ID:Ld2

陸奥「もう…びっくりしたわ」

陸奥「えぇと、どこまで話したか忘れたじゃない…」

陸奥「…そうそう、まぁ詰まるところはね?」

陸奥「早くても、あと四人がカッコカリするまでは」

陸奥「私達も他の戦艦も、先越される事はない、かもしれないって事よ」

長門「成程」

陸奥「絶対とは言えないけどね」

陸奥「まぁでも、私達の練度を考えたら」

陸奥「警戒すべきは、金剛かしら」

長門「私達より上だからな」

陸奥「上も下もあんまり変わらないんだけどね」

長門「うむ…精進せねばな」

陸奥「ほんと、そぉねぇ」

長門「ところで、提督が結婚したと言う話をだな」

陸奥「あ、覚えてたのね」


ーー

714: 名無しさん 2016/08/19(金)22:13:18 ID:e8N


フタサンマルマル


ー廊下ー


ー食堂入口ー


提督「着いたけど…」チラ

大和「…まだ、離したくありません」

提督「そう言わないでさ」

大和「むぅ…」

提督「ほら、クリスマスのお願いもある事だし、ね?」

大和「あの券、額に入れて大切に保管していますので」ムン

提督「あ、そうなの?」

大和「はい、万が一にでもなくす様な事がないように」ニコ

提督「まぁ、無碍に捨てられるよりかは嬉しいけれども…」

大和「そんな事する位なら大和が貰います」

提督「自分でお願いしといて、目の前で捨てたらソイツただのドSだからね」

大和「それもそう、ですね」ニコ

提督「まぁ、アレには特別期限は設けてないから」

提督「俺が大丈夫なタイミングなら何時でもーー」

715: 名無しさん 2016/08/19(金)22:13:48 ID:e8N


バターーン!!


??「ああぁあぁあぁぁ!!」スタタタタ

大和「ひぃ!?」ビックゥ

陸奥「ちょっと!何処行くのよ!」タタタッ

大和「む、陸奥?一体何が…」ドキドキ

陸奥「大和じゃない、提督は?」

大和「えっ、提督ならさっきまで…」キョロキョロ


キィ…


陸奥「あ、大和」チョイチョイ

大和「どうしたのーーー提督!?」

提督「」カベニウモレ

陸奥「扉と壁に挟まれてたのね」アラアラ

大和「大丈夫ですか!?提督!!」グイグイ

提督「」イテテテテイタイイタイ

陸奥「トム○ジェリーじゃないんだから…」


ーー

716: 名無しさん 2016/08/19(金)22:14:22 ID:e8N


提督「んで、俺がいない間に何があったの…」

陸奥「話せば長く…はならないわね」

提督「んっとにもう…いてて」

大和「提督、動かないで下さい」ショウドク

陸奥「え、あれギャグじゃなかったの?」

提督「ギャグで壁に埋まってたまるかよ」

大和「陸奥、提督に失礼よ?」

陸奥「はいはーい、ごめんなさーい」

提督「まぁ怒っちゃないけど…」

陸奥「流石提督、そういう所好きよ」

大和「すき?」ピク

提督「はいはい、ありがとー」

陸奥「…私の真似?」

提督「さぁね、それよりさ」

陸奥「何よもう…分かったわよ」

大和「………」ホッ

陸奥「あれは…そうね、提督が居なくなってからなんだけど」

ーー

717: 名無しさん 2016/08/19(金)22:14:56 ID:e8N


ー少し前ー

ー食堂ー


長門「…そうか、提督が」

陸奥「そ、私も今日聞いたんだから」

長門「………」

陸奥「………」ヤレヤレ

陸奥「ほら、さっきも言ったでしょ?」

長門「………」

陸奥「うちの提督は、三度の飯より空母が好きなの」

陸奥「だから、空母からケッコンしていくのは仕方の無い事でしょ?」

長門「…それは分かってる」

陸奥「なら、空母の後は私達にチャンスがあるのも分かってるわよね?」

長門「…あぁ」

陸奥「だったら何でそんなに落ち込んでるのよ」

長門「うん…?落ち込んでなどいない」

陸奥「だったら何なのよ」

718: 名無しさん 2016/08/19(金)22:15:30 ID:e8N

長門「…提督は」

長門「カッコカリをした訳では、ないのだろう?」

陸奥「カッコカリも兼ねて、らしいわ」

長門「つまり、一航戦の二人とは」

長門「本当の結婚をしたんだな」

陸奥「そういう事になるわね」

長門「………」

陸奥「……?それを気にしてるの?」

長門「あぁ…」

陸奥「…まぁ、それは…そうね」

陸奥「私達だって、カッコカリはいずれして貰えるでしょうけど」

陸奥「結婚ってなると…ねぇ」チラ

長門「なんだ…?」

陸奥「ちょーっと、難しいかもしれないわねって」

長門「いや、そうではない」

陸奥「えっ…?」キョトン

長門「勿論それもあるが…本質はそこではなくてな」

長門「………」

陸奥「なら、なんなの?」

長門「提督は…本気で艦娘と添い遂げるつもりなのか?」

719: 名無しさん 2016/08/19(金)22:16:12 ID:e8N

陸奥「…そうじゃないの?」

長門「だが…いくら、人間と同じ感情を持っていて」

長門「どれだけ、人間と同じ形をしていても」

長門「…私達は、兵器なんだ」

陸奥「………」

長門「提督は私達を人間と同じ立場で接してくれるが、それは提督一個人の考えでしかない」

長門「それで提督と私達の、抗えない隔たりが無くなるわけではないんだ」

陸奥「それは…」

長門「赤城と加賀も、それを忘れてるんだ」

長門「…いや、忘れさせられているの方が正しいか」ウーム

陸奥「…提督がそう仕向けてるって言いたいの?」

長門「あの人がそこまで器用な事を出来ると思うか?」

陸奥「それもそうね」クス

長門「私の言い方も悪かったな」

陸奥「…まぁでも、私はいいと思うわ」

長門「ん?」

720: 名無しさん 2016/08/19(金)22:16:52 ID:e8N

陸奥「艦娘との結婚よ」

長門「何故そう思う?」

陸奥「確かに問題は山積みだと思うし、これから…それこそ戦争が終わった後なんて」

陸奥「私達、どうなるかも分からないじゃない?」

長門「…そうだな」

陸奥「人間の女性と結婚するのに比べて、越えなきゃいけない課題なんて比じゃないと思うわ」

長門「うむ…」

陸奥「…だけど結婚って、そんな打算的にする事じゃないと私は思うの」

陸奥「お互いに、お互いが好きだから」

陸奥「この人と死ぬまで一緒に居たいから」

陸奥「結婚てそういうものだと思うわ」

長門「………」

陸奥「まぁ、中には例外もあるんでしょうけどね」

長門「そうだろうがな」

陸奥「でも、それを言うなら提督は凄いわよ?」

陸奥「誰がどう見ても、艦娘と結婚なんて不都合の方が多いじゃない」

陸奥「それを、『好きだから』ってだけで二人同時に娶ったんだから」

長門「見方次第な気もするが」

陸奥「若気の至りってほど提督も若くないし、ロマンチックだと思わない?」

長門「…当事者にならんと思えんな」フン

721: 名無しさん 2016/08/19(金)22:18:43 ID:e8N

陸奥「応援してあげないの?」

長門「しないとは言ってないだろう」

陸奥「…色々言ってたけど、本当は羨ましいだけじゃないの?」

長門「なっ」

陸奥「図星じゃない」

長門「…そんな事は、ない」フイ

陸奥「………」ジィー

長門「…本当だ」

陸奥「じゃあ、提督にプロポーズされたらどうするの?」

長門「……………喜んで受ける」

陸奥「…素直じゃないんだから」ハァ

長門「うるさい!陸奥だって受けるくせに!」

陸奥「そんなの当たり前じゃない」

長門「くっ、開き直るのは卑怯だぞ」

陸奥「卑怯もへったくれもないわよ」

陸奥「さ、この話は終わり」パンッ

長門「…腑に落ちん、こうなれば飲み明かしてやる!」

陸奥「お酒強くないんだから、程々にするのよ?」


ーー

722: 名無しさん 2016/08/19(金)22:19:50 ID:e8N


ー30分後ー


長門「わぁあぁあぁああ…」ボロボロ

陸奥「って言った側から…」タメイキ

長門「提督は私が嫌いなんだぁぁあ」オオナキ

陸奥「はいはいそんな事ないから、ね?」

長門「うううぅぅ…」グシュ

陸奥「大丈夫よー、嫌われてないわよー」ナデナデ

長門「ほ、本当か?」ウルウル

陸奥「本当よー」

長門「私が、一番か?」ウルウル

陸奥「あー、それは…」メソラシ

長門「わぁあぁあぁぁん」オオナキ

陸奥「しまった…」


ーー

723: 名無しさん 2016/08/19(金)22:20:21 ID:e8N


長門「うぅ、ぐすっ」グシグシ

陸奥「落ち着いた?」サスサス

長門「ん」

陸奥「よかった…泣き止まなかったらどうしようかとーーー」


バターーン!!


金剛「ムツー!」

陸奥「金剛じゃない、そんな急いでどうしたの?」

金剛「大和が抜け駆けしてたネ」

陸奥「あ、やっぱり」

金剛「証拠もバッチリ掴んだから突撃するネー!」ムン

陸奥「証拠?」

金剛「ハイ、青葉から貰ったヨ」スッ

陸奥「やっぱり出処は青葉だったのね…」ウケトリ

724: 名無しさん 2016/08/19(金)22:21:15 ID:e8N

陸奥「あら、いい雰囲気ね」フーン

長門「………」

金剛「クゥ、そこに私が立ちたいネ」

陸奥「まぁまぁ、たまにはいいじゃない」

長門「……うっ」

金剛「ウーン、そうデスかネー…」

陸奥「実際、蓋を開けたら二人で話してただけ、なんてのがオチだと思うわよ?」

長門「……うぅ」

金剛「ワタシもそうだとは思いマスが…って長門?」

陸奥「あっ」

長門「……うぇえ」ウルウル

陸奥「違うのよ!これはそういう風に見えるけど…えーと、とにかく違うの!」アタフタ

金剛「陸奥?そんなに焦ってどうし…って泣いてるネ!?」

長門「…やはり、大和は…うぁあ」ボロボロ

陸奥「あちゃあ…」アタマカカエ

金剛「…長門に何があったノ?」

陸奥「話せば長いわ…一言で言えば酔って泣上戸になってるだけよ」ハァ

長門「…うわぁあぁぁあ」ボロボロ

725: 名無しさん 2016/08/19(金)22:21:56 ID:e8N

長門「もう死んでやるぅ…」ガッ

陸奥「ちょっと!お酒の瓶掴んでどうするのよ!」

金剛「危ないネ!」

長門「んっ!」カポ

ゴクゴクゴクゴク…

陸奥「一気飲みだったのね」ホッ

金剛「安心してる場合じゃないネ」

長門「…ぷはぁ」

陸奥「えっ!?あれ全部飲んだの!?」

金剛「ほぼ残ってたネ」

長門「………」ポケー

陸奥「ちょっと!大丈夫!?」

726: 名無しさん 2016/08/19(金)22:22:27 ID:e8N

長門「……な……か」

陸奥「吐きそうなの!?ちょっと我慢して!」

長門「死ねないではないかぁ!」

金剛「What!?」

長門「うわぁぁぁああぁぁあ!!!」スタタタタタ

陸奥「あっ!待ちなさい!」

金剛「………」ポカーン



ーー
ーーー

740: 名無しさん 2016/08/29(月)04:31:55 ID:ESs


陸奥「とまぁこんな感じよ」

提督「マジか…」

大和「それで、長門はどこに?」

陸奥「知らないわよ」

提督「部屋か、道中の何処かで潰れてるか…だろうね」

陸奥「ほんっとにもう…」タメイキ

提督「いいよ、俺探してくるから」

大和「えっ」

陸奥「それは悪いわよ…」

提督「他が行っても聞かないかもしれないでしょ」

陸奥「あー、確かに」

大和「提督、大和も…」

陸奥「それは絶っっ対に駄目よ」

大和「…何故?」キッ

提督「陸奥の話だと、俺と大和が一緒に居たのが原因ぽいから…」

提督「今、長門の前に俺と大和が行ったらちょっとよくないよね」

陸奥「そういうこと」

741: 名無しさん 2016/08/29(月)04:32:21 ID:ESs

大和「むぅ…仕方ないですね」グヌヌ

提督「ま、そゆことだから」ヨイショ

提督「それっぽいとこ探してみるよ」

陸奥「…姉が迷惑かけるわね」

提督「なぁに、手がかかる娘程可愛いもんなのさ」

陸奥「…ふぅん」ジィ

大和「………」ジィー

提督「いや、手がかからない娘が可愛くないって訳じゃないからね」アセ

提督「お願いだから自ら望んでそうならないでね?」

陸奥「検討しとくわ」

742: 名無しさん 2016/08/29(月)04:32:53 ID:ESs

大和「手がかかる娘…でも、提督に迷惑は…」ブツブツ

提督「はいそこ葛藤しないで、大和は今のままで充分手がかかっーー…可愛いんだから」

大和「…今、何か言いかけませんでしたか?」ジト

提督「そ、そんなことないから…」

陸奥「大和『は』?」ジト

提督「言葉の端々で揚げ足とるのやめて!」


ーー



ー回想の後ー

ー明石ラボの近くー


長門「あぁあぁぁぁ!」スタタタタタ!

明石「あ、長門さ…え?」

長門「うわぁぁあああ!」タタタタタタ!

明石「えっと…頼まれてた例の兵装、完成してるんです、けど…」

長門「あぁぁぁ!」ビュン!

明石「うおっ!?」

明石「凄い速度で通り過ぎてった…」

明石「てかめっちゃ泣いてたんだけど…」

明石「…なんだったの?」


ーー

743: 名無しさん 2016/08/29(月)04:33:35 ID:ESs


フタヨン マルマル


提督「んー、いないねぇ…」スタスタ

提督「後、探してないのって…明石んとこから奥、か」

提督「うーん、居なかったらいよいよやばいんだけど…」

提督「……さて」ガチャ

提督「え、開かない」ガチャガチャ

ピッ

提督「液晶画面…?」

ウィーン

提督「何これ…push?」

ボタンヲレンダシテトビラヲアケロ!

ヒラケバアカシラッシュゲット!

提督「連打ねぇ、てか明石ラッシュてなんだよ…」

レェンダシロ!!

提督「オラオラオラオラ!!」ズダダダダダ

提督「てかボタンちっさ!連打しにくい!」

デェン…シッパイ

提督「失敗てなんだよ!」ダンッ!

テイトクゥーーー!!

提督「えっ?何これ…カットイン?」

ギギギ、ガチャ

提督「あ、開いた」

744: 名無しさん 2016/08/29(月)04:34:29 ID:ESs

明石「ん?提督ですか」

提督「あの扉なんだったの?」

明石「明石の拳の復活演出ですよ」

提督「なんだよそれ…」

明石「提督カットインは2%です」

提督「知らねぇよ…」

明石「それより、どうしたんです?」

提督「あぁ…そうそう、明石さ」

提督「長門、見てない?」

明石「長門さんですか?あぁ、そういや…」


ズイズイカクカク


提督「やっぱりこっち来てたんだ」

明石「はい、執務室の方から見てだと奥の方に走って行きましたよ」ユビサシ

提督「てことは…居るとしたら」

明石「お風呂(入渠)か、倉庫か…ですね」

提督「んー、だといいけど…」

明石「けど?」

提督「万が一海に出てたらってさ」

明石「あぁ…でも、海なら大丈夫なんじゃないです?」

明石「人間なら危ないけど、艦娘ですし」

提督「いや、長門泥酔してんだよね」

明石「は?」

745: 名無しさん 2016/08/29(月)04:35:03 ID:ESs

提督「だから、泥酔してんの」

明石「泥酔して、あの猛ダッシュ…?」

提督「俺だって壁に埋もれたんだぞ」

明石「ひぇー、マジかぁ…」

提督「そ、だから心配なの」

明石「それはちょっとまずいですねぇ」

提督「何か仕出かす前に早めに見つけないと」

提督「陸奥も心配してたしねぇ」

明石「だったら私も探しましょうか」

提督「そうだね、助かるよ」

明石「そうと決まれば早速…」スクッ


ピーーッ!


明石「えっ…」ピタ

提督「今の何の音?」

明石「えぇと」

提督「爆発とか勘弁だからね」

明石「いや、今のはですね…」

明石「ここの施設の防犯アラーム…です」

提督「えっ、それって…」

746: 名無しさん 2016/08/29(月)04:35:43 ID:ESs

明石「ここの鎮守府内のあらゆる施設は、各々が本来使わない時間帯になると、対物センサーが作動するようになってます」

明石「つまり、時間外に人の出入りがあった、とか」

明石「時間外に施設の何かしらが作動した、などをこちらで確認できる、言わば防犯システムですね」

提督「へぇ」

明石「普段も、主に食堂を中心に作動する事はあるんですが」

提督「…食堂?」ピク

明石「えぇ、報告の必要性を成さないレベルなので黙っていましたが…」

提督「それって、盗み食い摘み食いの類いってこと?」

明石「まぁそれが主に」

提督「誰?」

明石「チクリはしないタチなので」

提督「ほう、なら共犯だな」ガタッ

明石「アンタの嫁さんらだよ!」ズビシ

提督「すいませんでした」ドゲネ

提督「アイツら、言っとかないと…」アキレ

明石「いやぁ、それは止めといた方がいいかと」

提督「なんで?」

明石「もうチクっちゃったので背に腹は変えられませんからね、言いますけど」

提督「……?」

747: 名無しさん 2016/08/29(月)04:36:46 ID:ESs

明石「あの二人、嫁さんになる前から夜な夜な料理の練習してたんですよ」

提督「!」

明石「まぁ、摘み食いも度々見受けられましたが」

提督「アイツら…」トゥンク

明石「加賀さんはある程度料理出来てましたからね、赤城さんがメインで」

提督「今すぐアイツら抱き締めてくる」ダッ

明石「ちょっと!長門さんはいいんですか!?」

提督「っ!」ピタ

提督「畜生っ…長門め…」グヌヌ

明石「まぁまぁ、あの二人は提督から否が応でも離れませんから、ね?」

提督「まぁ、ね」テレ

明石「きんも」

提督「辛辣だなぁおい」

ーー

748: 名無しさん 2016/08/29(月)04:37:35 ID:ESs


明石「まぁそれで、私自身24時間体制でチェック出来るわけじゃないので」

明石「システム側で、ある程度チェックさせてるんです」

提督「ふむ」

明石「ここに配属されてる艦娘と提督は、システム内に登録されてますから」

明石「システムが作動した際に、そこにいる誰かが、登録されている人物かどうかをチェックして」

明石「問題が無ければ、ここが緑に光ります」ユビサシ

提督「さっきは緑だったね」

明石「はい、だからとりあえずは問題ないですね」

提督「なら、そうじゃなかった場合は…?」

明石「ここが赤に光って、施設内全ての電気が付いて、出入口の全てをシャットアウトして、けたたましいサイレンが施設内全てに鳴り響きます」

提督「おぉ、マジか」

明石「つまり、施設内の関係者全員に侵入者の存在をお知らせするんですね」

提督「でも、それさ…」

明石「はい」

749: 名無しさん 2016/08/29(月)04:38:37 ID:ESs

提督「もし、こっち側のスパイとかだったらどうするの?」

明石「緑に光った場合でも、その時の映像を記録出来ていますから」

明石「だから一航戦の花嫁修業も知ってたんですよ」

提督「抱き締めてくる」ダッ

明石「落ち着けアンドレ」ピッ

提督「クソッ!開かねぇ!」ガンガン

明石「その扉、ミサイル当てても壊れませんから、さぁ戻って」

提督「…くそぅ」スワリ

明石「だから一応そこに誰がいて、何をしているのかまでは分かりますよ」

提督「じゃあ、さっきのはさ」

提督「何処に誰がいたのか分かる?」

明石「勿論ですとも!ちょっと待って下さいねぇ」カタカタ

明石「えっ、と…場所は…」カタカタ

明石「艦娘の出発ゲートですねぇ」カタカタ

提督「」

明石「モニター出ますよー」カタカタ、タァン


ピッ

750: 名無しさん 2016/08/29(月)04:39:12 ID:ESs


明石「」

提督「」

明石「…えーと」

提督「」

明石「明石製ハイテク防犯システムの解説してる場合ではありませんでしたね…」アチャア

提督「」

明石「で、どうします?」

提督「…酔ってる奴以外、執務室に集めて」タメイキ


提督「緊急事態だよ、もう…」ハァア


ーーー
ーー

751: 名無しさん 2016/08/29(月)04:39:57 ID:ESs


マルヒト マルマル


ー執務室ー


提督「………は?」

明石「だから、素面の艦娘にだけ収集をかけてきましたって…」

提督「で、その素面の艦娘はどこにいるの?」

明石「こ↓こ↑」ユビサシ

提督「………は?」

明石「だから、こ↓こ↑」ユビサシ

提督「明石だけ…?まじかよ…」

明石「まぁ、仕方ないですよねぇ」

提督「んー、確かになぁ…」

明石「で、どうします?」スワリ

提督「ほっとけないでしょ」

明石「でも、夜なんですよねぇ」

提督「ウチ、夜偵ってあったっけ?」

明石「川内が改二になった時確か…」

提督「それ、飛ばしてみて…ってそっか」

明石「飛ばせる艦娘、へべれけなんですよねぇ…」

提督「現状、打つ手なしって感じか…」

提督「俺が単独で出てもいんだけど」チラ

明石「絶対ダメです♪」ニッコリ

提督「ですよねぇ…」


ーー

752: 名無しさん 2016/08/29(月)04:40:47 ID:ESs


明石「ところで提督」ポリポリ

提督「ん?あっ!お前それどっから!」

明石「そこの棚から」

提督「俺のとっときのお菓子!」

明石「ケチんないケチんない」

提督「んっとに…で?」

明石「1個、報告するのを忘れてた事がありましてですねー」

提督「えっ、なに?」

明石「私、さっき食堂行って素面の艦娘がいるか見に行ったじゃないですか」

提督「うん」

明石「嫁さん二人が、提督探してましたよ」

提督「う、うん…?」

明石「ベロンベロンに酔った状態で」

提督「…ちょっと様子見てくる」スク

明石「今晩はお楽しみですね」

提督「それどころじゃ無さそうなんだけど…」

提督「兎に角行って様子を見て来ーー」ガチャ


赤城「………」

加賀「………」


提督「ーーる必要も無かったね」アハハ…

明石「ですねぇ」ケラケラ


ーー

753: 名無しさん 2016/08/29(月)04:41:58 ID:ESs


提督「だぁから、違うっての…」

赤城「ちがわないです、ていとくはあかしさんとうわきしました」

提督「してないって…」

加賀「ていとく、ていとく」クイクイ

提督「はいー?」

加賀「……すきです」ジィ

提督「俺も好きだよー」

加賀「やりましたぁ♪」

赤城「わたしのことはすきではないのですか?」ジッ

提督「あー、赤城も好きだよー」

赤城「あかぎ、まいります」ギュ

提督「はいはい」ナデナデ

明石「………」ウワァ

提督「はいそこ、ドン引きしない」

明石「いえあの…提督にと言うかですね」

明石「この二人、酔うとこんななるんですねぇ」

提督「あぁ、加賀やんは知ってたけど」

提督「赤城は知らなかったなぁ」

赤城「およびですか?」ジッ

提督「ん?大丈夫だよ」ナデ

赤城「そうですか」ナデラレ

明石「どうします?これ」

提督「寝るまで収拾つかないんじゃないかな…」

754: 名無しさん 2016/08/29(月)04:42:58 ID:ESs

明石「長門さんの件は?」

提督「ええと、とりあえず明けるまでは身動き取れないから」

提督「明朝、例の烈風飛ばしてみて」

明石「了解しました」

提督「あれ、一つしかないの?」

明石「元は一機でしたが、も少し量産しときますね」

提督「ん、助かる」

提督「まぁ、いくら泥酔しているとはいえ長門の事だ、余程のことがない限り大丈夫だとは思うが…」

赤城「またていとくがうわきしています」プク

提督「はいはい、ヤキモチ妬かないの」ナデ

赤城「むーー」

提督「てなわけだから」

明石「了解ですー、んじゃあ邪魔者はさっさと退散しますかねぇ」

提督「邪魔者って…二人寝かしつけたらそっち行くからね」

明石「期待しないで待ってます、ではごゆっくりー」ヒラヒラ


パタン

755: 名無しさん 2016/08/29(月)04:45:07 ID:ESs

提督「さて…赤城、加賀やん?」

赤城「………」ツーン

加賀「…はぃ」ギュウ

提督「もう座っててもキツイでしょ?」

赤城「しりません…」

加賀「ていとくがいればわたしは…」

提督「はいはい、二人共ベッド行こうね」

ーー

加賀「…んぅ、てい、と…く」スヤァ

提督「加賀やんは速攻か」フゥ

赤城「………」

提督「赤城は寝ないの?」

赤城「………」

提督「…寝てるみたいだし、俺もそろそろ行こうかな」ヨット

赤城「やぁです」クイ

提督「起きてんじゃん」

赤城「ていとくがいないとねれません」

提督「子供じゃないんだから…」

赤城「おっとにあまえてはいけませんか?」ジッ

提督「んぐ、それを言われると…」

756: 名無しさん 2016/08/29(月)04:45:36 ID:ESs

赤城「となりにいてください」キュッ

提督「わあったよ、寝るまでいるから」ヤレヤレ

赤城「…やりました」

提督「お前は加賀やんか」


ーー



提督「………」ウツラウツラ

赤城「…ていとく」クイクイ

提督「んぁっ?赤城か、どうした?」

赤城「…あたまがいたいです」ガンガン

提督「あぁ、二日酔いでしょ」

赤城「たすけてください」

提督「にしても早いね、そんなに飲んだの?」

赤城「おさけはいっぱいだけです」

提督「下戸過ぎか」

757: 名無しさん 2016/08/29(月)04:46:42 ID:ESs

赤城「ていとく、いたいです…」

提督「少し辛抱したら収まるからね?」ナデナデ

赤城「わたしは、しぬのですか…?」

提督「二日酔いなんかで死なないよ」クス

赤城「いや、いたい…です」フルフル

赤城「しにたくない…ていとくと、はなれたく…ない、です」ギュウゥ

提督「…赤城」

提督「大丈夫、俺が付いてるからな」ナデナデ

赤城「ていとく、ていとく…」ギュウ

提督「俺が守ってやるから、な?」

赤城「は、い…てい、と…」ウト

提督「大丈夫、大丈夫だから」ナデナデ

赤城「…ん、すぅ…すぅ…」スヤァ

提督「ふぅ…ったく」スッ

赤城「ぁ……ゃ、ぁ…」モゾ

提督「っと……」ナデナデ

赤城「……すぅ」スヤァ

提督「あはは、長門のターンなのにな」ナデナデ

ーー

758: 名無しさん 2016/08/29(月)04:47:48 ID:ESs


マルフタ マルマル


ー明石ラボー


提督「…また連打しなきゃなのかな」スッ

ガチャガチャ

提督「やっぱりか…」

ウィーン

提督「はい、液晶画面からの」

ガコン

提督「ボタンね」

ハァァァア!!ホァタァ!!

ボタンヲオスンダァァア!!

提督「え、1回でいいの?」

ポチッ…バァン!!

提督「うおっ!?」

明石「あれ提督、早かったですね」

提督「いやいや…今の、何?」

明石「あぁ、バトルモードの一撃pushですね」

提督「は、はぁ…?」

明石「それより、お二人はちゃんと寝かしつけたんですか?」

提督「うん、相当酔ってたみたいでさ」

提督「ベッドに寝かせたらすぐ寝ちゃったよ」

759: 名無しさん 2016/08/29(月)04:48:36 ID:ESs

明石「ふた揉み程してきた、と?」

提督「してねぇよ」

明石「ふっ、どうだか」フッ

提督「お前の脳みそをふた揉みしてやろうか?ん?」

明石「勘弁」ドゲネ

提督「土下寝までが早いわw」

明石「ささ、こちらで珈琲でも」

提督「ん、ありがとう」

明石「それで、とりあえずなんですけど」

明石「無人探査型烈風はそれなりの数準備しました」

提督「ほう、早いね」

明石「まぁ、幾ら艦娘とはいえ長門さんは戦艦ですし、夜は当然ながら視界も悪いですから」

明石「一晩で移動出来る距離には限界があると推測します」

明石「それが酩酊状態なら尚更ですからね」

提督「ふむ」

明石「加えてここらの海域は、海も敵も他所に比べると穏やかではありますから」

明石「あの練度の長門さんなら、仮に駆逐イ級なんかに出くわして、一晩中撃ち続けられても轟沈なんてしませんよ」

提督「まぁ、そうだね」

明石「更に言うならこの辺り、もう少し沖へ出れば離れ小島が点々としてますからね」

明石「途中で酔い潰れたとしても、何処かに流れ着く可能性は大いに有り得ます」

明石「なので、恐らく明朝からの探索でも充分かなと改めて判断させていただきました」

明石「どうでしょ」

提督「うん、それで大丈夫なんじゃないかな」

760: 名無しさん 2016/08/29(月)04:49:57 ID:ESs

明石「ま、後は朝から動ける艦娘が何人いるかですが」

提督「んー、明けてしまえば俺一人でも…」チラ

明石「絶対ダメです♪」ニッコリ

提督「…なんでそんなに過保護なの?」

明石「アンタ目を離したらすぐ死のうとするからだよ」ジト

提督「別に死のうとしてるわけじゃ…」

明石「はぁ…分かってますよ」

明石「ただ、リスクは最小限に抑えたいだけです」

提督「あ、はい」

明石「ま、そういう訳なので」

明石「提督は早めに就寝なさって下さい」

提督「んー、そうだねぇ」

明石「明朝までもうあんまりありませんし」

提督「じゃあお言葉に甘えようかな」ンーッ

761: 名無しさん 2016/08/29(月)04:50:23 ID:ESs

明石「なんならここで寝てもいいんですよ?」チラッ

提督「いや止めとくわ」キッパリ

明石「…何で即答なんですか?」

提督「だってさ」

提督「朝起きたら体半分サイボーグになってました、とか嫌じゃん?」

明石「んな事するかよ」

提督「いいや、分かんないね」

明石「んもぅ、私を何だと思ってるんですか?」

提督「ダイジョーブ博士」

明石「よし任せろ冷蔵庫にしてやる」

提督「勘弁だ、そして逃げる」スタタター

オヤスミアカシー!

明石「っとに…」タメイキ



ーー

762: 名無しさん 2016/08/29(月)04:51:07 ID:ESs


ー執務室の近くー

ー廊下ー


提督「ん、執務室の前に誰か…」スタスタ

提督「体操座りして…寝てるのかな」

提督「なーんか見覚えのあるシチュなんだけど…」

提督「おーい、どちらさーーーーあぁ」

提督「むっちゃん、どうしたのこんな所で」

陸奥「…提督、何処行ってたのよ」カオアゲ

提督「あぁ、明石の所にね」

陸奥「そう…それで?」

提督「え?」

陸奥「長門は見つかった…?」

提督「あー、えーと…」

陸奥「そう、やっぱりね」カオウズメ

提督「その…何と言うか、すまん…」

763: 名無しさん 2016/08/29(月)04:51:53 ID:ESs

陸奥「提督が謝る事じゃないわ」

陸奥「あの人の、自業自得だもの…」

提督「しかし…」

陸奥「………」

提督「………」

陸奥「……無事、かしら…」ポツリ

提督「……恐らくな」

陸奥「………」

提督「………」

提督「…ちょっと、寄ってく?」

陸奥「…え?」

提督「一人よりいいかなってさ」

陸奥「………」

陸奥「……お言葉に甘えさせてもらうわ」


ーー

764: 名無しさん 2016/08/29(月)04:52:43 ID:ESs


ー執務室ー

ガチャ

提督「珈琲かなんか飲む?」

陸奥「寝れなくなっちゃうじゃない」

提督「あはは、そうだね」

陸奥「………」

提督「……えぇと」

陸奥「………」

提督「むっちゃん?」フリムキ

陸奥「……っ」ガバッ

提督「おっ、と」ウケトメ

陸奥「………」ギュウ

提督「………」

陸奥「……もし」ポツリ

提督「ん?」

陸奥「もし、長門の身に何かあったら…」

陸奥「もう、二度と会えなかったら…」

陸奥「一人になると、そんな事ばっかり」ギュウ

提督「大丈夫さ」サスサス

陸奥「分からないじゃない…」

提督「いいや、分かるね」

提督「俺の知ってる長門は…」

提督「俺の許可無しに沈む様な奴じゃない」

陸奥「…許可無しに出ていったけどね」

765: 名無しさん 2016/08/29(月)04:53:31 ID:ESs

提督「色々溜まってたんだろうさ」

陸奥「……分かってる、つもりだったの」

提督「…うん」

陸奥「長門の事なら、誰よりも分かってるつもりだった…」

陸奥「でも、全っ然」

陸奥「私、分かってなかった」ギュウ

提督「そんな事ないさ」

陸奥「………」

提督「むっちゃんが、誰よりも長門を気にかけてたのは俺もよく知ってる」

提督「それでも…幾ら姉妹でも」

提督「本人にしか分からないことなんて、沢山あるんだから」

陸奥「………」

提督「だからね、むっちゃん」

提督「今回の事も含めて、むっちゃんばかりが責任を感じる必要は、ないと思うんだよ」

陸奥「………」

提督「俺も、少し勘違いしてた節がある」

陸奥「勘違い…?」

766: 名無しさん 2016/08/29(月)04:54:55 ID:ESs

提督「正直、長門があそこまで繊細で、乙女な奴だとは思ってもいなかった」

陸奥「それ、本人に言っちゃ駄目よ?」

提督「…墓場まで持っていこう」

陸奥「ふふ、それがいいわ」クス

提督「ん、笑ったね」ニコ

陸奥「っ///」ポフッ

提督「照れてるw」

陸奥「う、うるさい」カァ

提督「さて、立ちっぱなしもなんだし」

提督「そろそろ…ね」

陸奥「……嫌よ」ギュウ

提督「あらら」

陸奥「こ、このまま、ソファに行きましょ」

提督「えっ、俺後ろ向きなんだけど」

陸奥「いいから行くの!」グイグイ

提督「わわっ、ちょっと!」グラッ

ボフン

提督「いてて…」

陸奥「捕まえたわ」ギュウ

提督「…今日はやけに積極的ですこと」

陸奥「お酒が入ってるのもあるけど…」

陸奥「こんな日ですもの、女は心細くなるものなのよ?」

提督「さいですか」

767: 名無しさん 2016/08/29(月)04:57:07 ID:ESs

陸奥「…それに」

提督「…?」

陸奥「…私ね、提督が思ってる程強くないのよ?」

提督「戦艦なのに?」

陸奥「……もう、ばか」

陸奥「…分かってるくせに」ギュウ

提督「バレてら」

陸奥「だから…たまにでいいの」

陸奥「たまーに、その…私だけを見てくれる時間?みたいなのを」

陸奥「作ってくれないと…」

提督「くれないと?」

陸奥「提督の知らない所で、こっそり泣いちゃうから」

提督「それは駄目だねぇ」

陸奥「だったら、分かったでしょ?」

提督「はいよ、何時でもおいで」ナデナデ

陸奥「んっ…ありがと♪」ナデラレ

ーー

768: 名無しさん 2016/08/29(月)05:01:42 ID:ESs

提督「ところでむっちゃんや」

陸奥「ふふ、なぁに?」スリスリ

提督「貴女、酔ってる?」

陸奥「………」ピク

提督「酔ってるにしては…そのねぇ?」

陸奥「酔ってるのはほんとよ!」

陸奥「お酒、ちゃんと飲んだもの!」

提督「でも全然お酒臭くないし…」

提督「もしかして、酔ってるから仕方ないを装ってーーんぐっ!?」

陸奥「ーーーっはぁ」

提督「む、むっちゃん…」

陸奥「ど、どう?ちゃんとお酒の味、したでしょ?」マッカァァ

提督「お酒の味なんて1ミリもしないし寧ろこれがむっちゃんの味かぁ、なんてーー」

陸奥「黙って寝なさい、爆発するわよ」

提督「ひぃい!?」


陸奥(ほんっとに、変な所で鋭いんだから…)


ーーー
ーー

769: 名無しさん 2016/08/29(月)05:02:36 ID:ESs


ー???ー


ー???ー



「…ん、ここ…は?」ムク


「…くぅ…何だ、この頭痛は…っ」


「…兎に角、状況を…」スク、フラフラ


「……暗くて、何も見えないが…外か…?」フラフラ


「くっ、駄目だ…視界が、定まらな、い」フラッ


ーーー
ーー

770: 名無しさん 2016/08/29(月)05:04:14 ID:ESs


マルゴー マルマル


ー執務室ー


明石「提督、提督」ユサユサ

提督「んぁ…赤城か…?」ムク

明石「私が赤城さんだったら提督は永遠の二度寝に突入ですよ」

提督「へぁっ?」ゴシゴシ

提督「あぁ、明石かぁ…」

明石「感謝こそされど、残念そうにさせる謂れはないと思うんですが」

提督「さっきから何言ってんのさ」ノビー

明石「隣見て物言えってんだよ」ジト

提督「んー…となりー?」チラ

陸奥「……zzz」スヤァ

提督「………」

明石「目が覚めましたか?」

提督「……あー、明石?」

明石「はい」

提督「ありがとうございます」

明石「いえいえ」

771: 名無しさん 2016/08/29(月)05:05:29 ID:ESs

提督「そっか、二人共隣で寝てるからねぇ」

提督「あっぶねぇ」ホッ

明石「つまり、疚しいことをしたと?」

提督「してないけど、現行犯だと弁解の余地もないでしょ?」

明石「なるほど」

提督「さ、無益な争いが起こる前にここをでよう」ソソクサ

明石「時に提督」チョイチョイ

提督「はい?」

明石「隣で寝てる二人って、誰と誰でしたっけ?」

提督「えっ、そんなのあかーーっ!」ビクッ

明石「あか?」ケラケラ

提督「てめぇ…なんて危険な事を…」ドキドキ

明石「よく耐えましたね、それじゃ行きましょうかw」

提督「んったく…」


スタスタ…パタン


陸奥「………」


ーー

774: 名無しさん 2016/09/04(日)22:04:59 ID:1A2


明石「さぁてやりますか」

提督「なら早速烈風を…って」

明石「どうしました?」

提督「探索用の烈風ってさ、どうやって飛ばすの?」

明石「ゲートの所に専用のカタパルトを併設してますから、そこで」

提督「それ、夜偵飛ばせたんじゃないの?」

明石「あっ…」

提督「………」

明石「………」

提督「………」

明石「それではゲートの所に行きましょうか」

提督「そうだね」ジト

明石「うぅ…」


ーー

775: 名無しさん 2016/09/04(日)22:05:38 ID:1A2


ー艦娘用入出ゲートー


提督「あれ、ここって…」キョロキョロ

明石「…はい?」ドキッ

提督「加賀やん助けに行く時にさ、ボート乗ったやん?」

明石「そ、そうでしたっけ?」

提督「…なんでこんなにSFチックになったんの?」

明石「ところで提督、軍用施設の先行投資って必要だと思いません?」

提督「話を微妙に逸らせてないよね」

明石「艦娘も増えたし、それなりの設備が必要になって来ますよね?」

提督「まぁそこに関しては同意するけど」

提督「なんか、無駄に凝ってない?」

明石「そんなことありませんよ!備えあれば憂いなしって言うじゃないですか!」

提督「その備えの出処の事を言ってんのよ」

明石「それはー…まぁ、聞かない約束で」アハハー

提督「やっぱりか!!どっからハネた!?」

明石「大本営からの支給をちょこーーっとだけ」テヘペロ

提督「…何か言い残す事はあるか?」テイトクニラミ

776: 名無しさん 2016/09/04(日)22:06:38 ID:1A2

明石「ほんとマジで勘弁してつかぁさい」ドゲネ

提督「………」

明石「…見逃していただけるのであれば、何でも言う事ーーー」

提督(馬鹿め、交渉を急いだな)ニヤ

明石「ーー聞くとまでは言えませんが」

提督「何でだよ!そこは言っとけよ!」

明石「だって、それで以前散々だったんですもん」

提督「いや、お前も嬉嬉としてやってたやん…」

明石「まぁ?やってるうちに楽しくはなってきましたよ?」

明石「でも翌々考えたら無茶苦茶ですよ」

明石「原寸大の烈風を作れなんて」ムゥ

提督「そうかな」

明石「私じゃなかったら無理でしたね」ドヤ

提督「明石じゃなかったら頼んでないし」

明石「それ、褒めてます?」

提督「んー、そうなるかな」

明石「なら良しとしましょう」ムン

777: 名無しさん 2016/09/04(日)22:07:08 ID:1A2

明石「さ、烈風飛ばしますよ」

提督「明石さん?」

明石「ど、どうしました?」

提督「何か忘れてない?」ニッコリ

明石「…気のせいですよ」フイッ

提督「………」

提督「…程々にしといてよ」タメイキ


ーー


提督「……へぇ」

明石「よし、全機発艦完了ーーって」

明石「提督どうしたんですか?」

提督「え、何が?」

明石「いやなんか、何と言うか…」

明石「すんごい目キラキラさせてるから」

提督「あぁ、うん」

提督「やっぱカタパルトはロマンだよねぇ」キラキラ

778: 名無しさん 2016/09/04(日)22:07:37 ID:1A2

明石「お気に召して頂けたみたいで良かったですよ」

提督「赤城達の偽装もカタパルトにしようよ」

明石「大改造もいいとこですね」

提督「明石ならできるでしょ」

明石「私だって出来ない事位ありますよ」モゥ

提督「えー、提督ガッカリ」ガッカリ

明石「そんなにカタパルト見たいなら、ちとちよ着任させたらいいじゃないですか」

提督「簡単に言うなぁ…」

明石「こっちの台詞ですよ、ったく」

提督「…まぁ、とりあえずこれで様子見ってところかな」

明石「そですね、後はモニターで確認しながらその後の対応を考えましょうか」スタスタ

提督「ちょ、ゲート開きっぱなしだけど…」

明石「探索終わらせた烈風が勝手に戻ってきますからいいんですよ」

提督「あぁ、なるほどねぇ」

明石「ほら提督、行きますよ」コイコイ

提督「はいよ」スタタ


ウィーン…プシュー






??「……行ったわね」


ーー

782: 名無しさん 2016/09/11(日)22:00:18 ID:QxG


ー???ー


長門「……ん」

長門「ここは……?」

長門「……そうだったな」

長門「私は昨日…」

長門「………」

長門「…もう、彼処には戻れないか」

長門「あれだけの痴態を晒したんだから、な」

長門「………」

長門「………」グゥゥ

長門「……お気楽な胃袋を持ったものだ」

長門「こんな気分の時でも腹は減るんだからな」

長門「…とりあえず状況を把握せねば」スク

長門「っと、まだ少し痛むな…」ズキ


スタスタ…

ーー

783: 名無しさん 2016/09/11(日)22:01:04 ID:QxG


ー砂浜ー


長門「今見える範囲に島影はない」ジーッ

長門「どれだけ遠くに来たのだろうか…」

長門「ここは無人島なのか?」

長門「森の中に入れば水も食糧もありそうなものだが…うむ…」

長門「まずは島の周りを一周するとしよう」

長門「小さい島だ、それほど時間もかかるまい」

ーー


ー岩場ー


長門「ふむ、砂浜は一旦ここで終わりか」

長門「この岩場にいるゴキブリみたいな生き物はなんなんだ?」

長門「沢山いて気持ち悪いな」ブルッ

784: 名無しさん 2016/09/11(日)22:01:38 ID:QxG

長門「それに、ゴツゴツしていて歩きにくいぞ…」フラフラ

長門「くそ、この岩、大きい、な」ヨジヨジ

長門「んしょ、と」

長門「……ふむ」ナガメ

長門「ここから先は、陸地と岩場がどんどん離れていっているみたいだ」

長門「進んでもいいが、あそこから向こうは島の裏側…その先がどうなっているか分からないな…」

長門「海上を進んでもいいが…燃料は出来るだけ節約したい…」

長門「………」

長門「仕方が無い、来た道を戻って反対側から……ん?」

長門「あれは…なんだ?」ジーッ

長門「島の反対側に差し掛かるギリギリの所に、何か…」ジィーッ

長門「…洞窟、か?」

長門「…行ってみたいが、距離が離れすぎているな…」

長門「あれは後回しにして、反対側に行ってみるとしよう」ヨイショ


ーー

785: 名無しさん 2016/09/11(日)22:02:08 ID:QxG


ー砂浜・反対側ー


長門「ふむ、ここまでか」

長門「砂浜の面積が徐々に狭くなって来ていたから、まさかと思ったが…」

長門「この先は泳ぐか水上を渡らないと先に進めないな」

長門「泳いでもいいが…無駄に体力を消耗するわけにもいかん」

長門「やはり、森に入るしか道はないか…」

長門「………」ジーッ

長門「こ、怖くなど…私はビッグセブン…大丈夫、大丈夫だ」ス、スタスタ

長門「なぁに、暗くなる前にここに戻ってくれば問題ないのだからな」スタスタ

長門「とにかく、今は食糧と水を確保する事が先決だ」

長門「そうしていれば必ず助けが来る」

長門「提督が、助けに来てくれる筈だ」

長門「…必ず、来てくれる」グッ


ガサ、ガサ、ガサ…


ーー

786: 名無しさん 2016/09/11(日)22:02:58 ID:QxG


マルロク マルマル


ー明石ラボー


提督「どんな感じ?」

明石「んー、まだ発見には至ってないみたいですねぇ」

提督「もう少し範囲を拡げてみる?」

明石「それをするには一旦回収しないといけませんよ」

明石「元々長距離飛行向けではないので」

提督「んー、それもやむ無しだね」

明石「時間があればそれも改善できたんですけどねぇ」

提督「いやいや、急に頼んだから仕方ないよ」

明石「そう言ってもらえると助かります」

提督「戻ってくるの、どれ位かかる?」

明石「そですね、大体1時間位かと」

787: 名無しさん 2016/09/11(日)22:03:33 ID:QxG

提督「そか、なら俺は一旦食堂の様子を見てくるから」

提督「何か動きがあれば、その時は」

明石「了解です…多分、死屍累々だと思いますので…」

提督「元より覚悟の上だよ」

明石「何の覚悟ですか…」

提督「何となく予想できる予期せぬ事態への覚悟、かな」

明石「矛盾も甚だしいですよ」

提督「ま、何時でも動けるようにはしとくから、とりあえずよろしくね」

明石「任されました」b

提督「んじゃ、何もなければ1時間後にー」フリフリ


ウィーン、ガシャン

788: 名無しさん 2016/09/11(日)22:04:08 ID:QxG


明石「さぁて、烈風をお迎えする準備でもーっと」ノビー

明石「その前に珈琲珈琲…」スタスタ


チカッチカッ…


明石「あっれー?砂糖どこやったっけ…」ゴソゴソ

明石「これは……違うか…」ゴソゴソ


チカッチカッ…


明石「あ、あったあった!」

明石「ブラックなんて泥水だからね、やっぱり珈琲は甘くないとーーーん?」クルッ


…フッ


明石「今防犯システムのランプ、光ってた?」

明石「んー、通常人が出入りする時間帯のアラートはオフにしてるけど…」

明石「………」ジーッ

明石「……ま、気のせいか」


ーー

789: 名無しさん 2016/09/11(日)22:06:04 ID:QxG


ー食堂ー


提督「………え?」アゼン


シーーン


提督「何で……無人…?」

提督「てっきり、酒に呑まれた有象無象が雑魚寝してるとばっかり…」

提督「テーブルの上も、床も…綺麗にしてある…」

提督「誰かが、片付けた…?」ウーン

提督「…まぁ、恐らく鳳翔なんだろうけど」

提督「だとしたら、一人で酔っぱらいを全員介抱、部屋に戻して」

提督「その後、あの宴会の後を一人で後片付けしたのか…」

提督「………」

提督「悪い事、しちゃったな…」

提督「………」


ガタンッ!


提督「ふんもっふ!?」ビックゥ


シーーン

提督「………?」キョロキョロ


790: 名無しさん 2016/09/11(日)22:06:40 ID:QxG

提督「あれっ、誰もいない…?」

提督「音は確かに、厨房から聞こえたんだけど…」

提督「………」

スタスタ

提督「………」ゴ、ゴクリ

提督「だぁれか、いるんですのー?」ノゾキコミ

提督「………」

提督「……え?」

提督「そ、そんな…こんなのって…」

提督「まさか、そんな筈は…」

提督「何でお前がこんな所で、こんな姿に…」

提督「嘘だ、こんなの、出鱈目だ」

提督「そうだろう?なぁ、返事してくれよーーーーー」


ーー

791: 名無しさん 2016/09/11(日)22:07:16 ID:QxG


ー森の中ー


長門「くっ、木が邪魔だな…」ガサガサ

長門「道無き道を進むのは大変だ」ガサガサ

長門「今来た道には川も無かった、困ったな」ガサガサ

長門「くそ、また木が…」ガッ

チクッ

長門「痛っ…幹にトゲがあるのか…」イテテ

長門「………」

長門「だ、駄目だ…日が落ちるまでに安全な場所に行かなければ…」

長門「あれから大分登った、もう少し進めば頂上に出る筈だ」ガサガサ

長門「……提督」ポツリ


ーー

792: 名無しさん 2016/09/11(日)22:08:20 ID:QxG


ー森を抜けてー


長門「やっと出られた…」クタ

長門「普段から鍛錬は惜しんでない筈なのに…」

長門「慣れない事をすると、やはり疲れるな」

長門「………」ボーッ

長門「森の中にいたから気付かなかったが…辺りが曇ってきてるな」

長門「…あまり長々と休憩もしてられないな」ヨイショ

長門「ここは…小高い丘のようだが」

長門「何か無いのか…何か…」キョロ、キョロ

長門「……!あれは…」

長門「建物…?間違いなく人工物だな…」ジーッ

793: 名無しさん 2016/09/11(日)22:08:52 ID:QxG

長門「木々に覆われて全体像こそ見えないが、そこそこ大きな建物ではないか…?」

長門「誰かが住んでいたら、助けを呼んで貰えるかもしれない…」

長門「訪ねてみるか…しかし…」ウーン

長門「………」ウーン


ポツ


長門「…えっ?」ミアゲ


ポツ…ポツ…


長門「雨か…悩む必要が無くなったな」

長門「とにかく近くまで行ってみよう」

長門「訪ねずとも、軒下で雨宿りくらいなら…」


タッタッタッタ…

ーー

796: 名無しさん 2016/09/18(日)21:18:27 ID:Olx

ー食堂ー


提督「ーーー鳳翔」

鳳翔「……ん…提、督?」パチ

提督「こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ?」

鳳翔「……はい…」ネボケ

鳳翔「…ですが…じゃがいもの…下拵えを…」ポケー

提督「え?」

鳳翔「…牛肉が…うぅん…」

提督(鳳翔が寝惚けてる…)

鳳翔「らっきょうが…逃げ出します…だから…」

提督(これもしかして激レアなんじゃないかな)

鳳翔「提督……」

提督「あっはい」

鳳翔「…提督を……」

提督「小生を?」

797: 名無しさん 2016/09/18(日)21:19:03 ID:Olx

鳳翔「……短冊切りに…」

提督「ひぃい!?」アトズサリ

トンッ

提督「えっ?」

カシャーン!

鳳翔「ひゃあぁあ!?」ビクンッ

提督「あらら、お鍋落としちゃった…お?」

提督「おはよう、鳳翔」ニッコリ

鳳翔「て、提督!?何故ここに!?」アタフタ

提督「何故って聞かれてもねぇ」

鳳翔「聞かれてもねぇって!断りもなく女性の部屋に…あら…?へ…や?」キョロキョロ

提督「へぇ、鳳翔キッチンに住んでたんだ」ニコ

鳳翔「そんな…わ、私ったら…」カァ

798: 名無しさん 2016/09/18(日)21:19:32 ID:Olx

提督「疲れて転た寝してたとか、そんなとこでしょ?」

鳳翔「もっ、申し訳ありませんでした!」ペコ

提督「いやいや、何で謝るのさ」アセ

鳳翔「寝惚けていたとはいえ提督に失礼を…」シュン

提督「まぁ、誰でもある事だから」

鳳翔「大きな声を出して…」シュシュン

提督「いつも怒られてるから慣れてるよw」

鳳翔「それとは別です、提督は何も悪い事をしていないのに私は…」シュシュシュン

提督「珍しい事もあるもんだなぁ」

鳳翔「…私は理不尽に怒り散らす人間にみえていたのですね…」ズーン

提督「ちょ、違うよ」アセ

鳳翔「しかし、そう思われても仕方がありませんよね…」ガチヘコミ

提督「え、ほんとどうしたの…?」

799: 名無しさん 2016/09/18(日)21:20:08 ID:Olx

鳳翔「いえ、何とも…ヒック」

提督「え、今…え?」

鳳翔「私なんて…旧世代の、はぅ」ヘタリ

提督「いや、旧世代で言えば天龍なんて目も当てられないやん」

提督「アイツ、石炭石油混燃なんだから」

鳳翔「こん、ねん…?」ポワワ

ーー

天龍「ブルルァっくし!!」

木曽「ん、風邪か?」

天龍「いや、そんな筈は…!?」デローン

木曽「うわっ、お前ばっちいな」ズザザ

天龍「」

ーー

800: 名無しさん 2016/09/18(日)21:22:38 ID:Olx

ーー


提督「鳳翔がやたらとレアだったのはこれが原因か」チラ

鳳翔「……zzz」スヤァ

提督「大方、全部の片付けを終わらせた後一人で飲んでた」

提督「そしたら、疲れてたのか思いの外酔いが早く回ってそのまま寝落ち」

提督「更にそのまま朝になって、そこに俺様登場」

提督「そんなとこでしょ」

鳳翔「……んっ」スヤァ

提督「部屋まで運んであげたいんだけど…誰かとエンカウントしたら事だし…」ウーン

提督「……ぁ」ピン

提督「………」

提督「……せんだーい」ボソ

801: 名無しさん 2016/09/18(日)21:23:01 ID:Olx

シュタ

川内「はーい♪」ニコ

提督「やっぱりね」

川内「貴方の川内が馳せ参じたよ!」

提督「いっつもなの?」

川内「何が?」キョトン

提督「俺の真上にいるの」

川内「暇な時はいつもだよ♪」

提督「なんで?」

川内「なんでって、護衛とか?」

提督「……夜とかは?」

川内「流石にしないよぉ」

提督「……そ、良かった」ホッ

川内「…何が良かったの?」ジト

802: 名無しさん 2016/09/18(日)21:23:31 ID:Olx

提督「そんなのアレだよ…プライベート的なアレだよ」

川内「ふーん」

提督「ま、いつも見守ってくれてるのは嬉しいけどね」ナデ

川内「んふふー♪」

川内「提督は私が護るんだからね♪」

提督「はいはい、頼りにしてるよ」

川内「それで?って聞くのも野暮なんだろうけど…」チラ

提督「そうだね」

提督「鳳翔、部屋に運んでくれない?」

川内「ん!任っかせてよ!」

提督「ごめんね、雑用みたいにして」

川内「んーん、いいのいいの」

川内「提督が困った時は一番に私を頼って欲しいから」ニコ

提督「川内、お前いい奴だな」ジーン

川内「それ今更!」

提督「それもそうだねw」

803: 名無しさん 2016/09/18(日)21:23:58 ID:Olx

川内「ま、鳳翔さんは任せといて、っと」ヨッコラ

提督「ん、頼んだ」

川内「んっと、この人軽いなぁ」

提督「ちゃんと食べてるのかな、心配だよ」

川内「分かんないけど…?」

提督「無くてはならない存在だからね、ここにも…勿論、俺にも」

川内「…今度本人に言ってあげなよ」

提督「そうする」

川内「ん、じゃあ行ってくるねー」スタスタ

提督「おー、頼むねー」


ーー

804: 名無しさん 2016/09/18(日)21:24:40 ID:Olx


スタスタスタ…


川内「ねぇ、起きてるんでしょ」

ピクッ

…………。

川内「…まぁ、これは独り言だけど」

川内「次、誰かさんが一人の時に、提督が一人で来た時が楽しみだね」

………。

川内「たまにはうんと甘えてもいいんじゃない?」

………。

川内「聞いてたんでしょ?提督の気持ち」

………。

ギュッ

川内「ま、どうするかは本人次第だからなぁ」クスクス

………。


スタスタスタ…


ーーー
ーー

805: 名無しさん 2016/09/18(日)21:25:11 ID:Olx


ー???ー


ザーーーッ…


長門「…ふぅ、なんとか間に合ったな」

長門「降り出したと思ったらいきなりこの大雨だ」

長門「島の天気は変わりやすいなんて、まさにだな」

長門「………」


ザーーーッ…


長門「ふむ、見える限りは真っ黒な曇天、か」

長門「これは長くなりそうだぞ…」

長門「………」

長門「…しかし、近くに来てみて驚いたが」チラ

806: 名無しさん 2016/09/18(日)21:25:59 ID:Olx

長門「…まさか、廃墟だったとはな」

長門「そして、改めて見ると大きい建物だ」

長門「これ程の大きさ、廃れる前は何だったのだ?」

長門「工場…ではなさそうだし」

長門「家、だとしたら大豪邸だが…っ」


ビュウウゥ…ザーーーッ


長門「くそ、軒下で雨を凌げると思ったが…」

長門「風もあるな、雨が横なぶりになってきたぞ」

長門「………」

長門「……入るか?」

長門「いや、まだ廃墟と決まった訳ではないし…」

807: 名無しさん 2016/09/18(日)21:26:34 ID:Olx

長門「しかし、中ならば雨風が凌げる…」

長門「人が居たら居たで、助けを呼ぶ手立てを持っているかもしれない…」

長門「………」


ザーーーッ、ピシャァ!ゴロゴロ…


長門「くっ、雷まで…」

長門「……寒いな」ブルッ

長門「……腹も減った」グゥゥ

長門「………」

長門「………」

長門「…入口は、確かこっちに…」スタスタ

ーー

813: 名無しさん 2016/10/11(火)19:11:25 ID:Hnx


ー廃墟の入口ー


長門「………」

長門「何を臆する事があるか!私は戦艦長門!いくら陸の上だからと言ってーーー」


ピシャァ!


長門「ひっ!?」ビクン

長門「い、今のは違う!いきなりだったから驚いただけだ!」

長門「決して怖くなど…」

長門「………」

長門「一人で何を言っているんだ」ハァ

長門「…しかし、いざ入るとなると…」ゴクリ

長門「ええい腹を括れ!行くぞ!」ガシッ


ーーーガチャン


長門「………?」グイ

814: 名無しさん 2016/10/11(火)19:12:10 ID:Hnx

ガチャン

長門「…鍵が掛かっているのか」ホッ

長門「っ、何で安堵しているんだ…」

長門「こうなれば別の入口を探すしかなかろう」

長門「裏手の方に行ってみるか…」


ーー


ー入口のすぐ横ー


長門「………」

長門「窓ガラスが割れてる…」ジー

長門「ここから入れないだろうか」

長門「しかしこれでは不法侵入になってしまうな」

長門「………」ウーン

長門「…緊急事態だ、致し方あるまい」

長門「少し跳ばねば手が届かないな」

長門「よし、行くぞ……はっ!」ピョン

ガシッ

815: 名無しさん 2016/10/11(火)19:15:47 ID:Hnx

長門「後はこのまま…」ヨイショ

長門「…後は飛び入るだけだな、っと!」ピョン

ピッ

長門「ん?」スタッ

ツー

長門「しまった、割れ残ったガラスで…」

長門「まぁこの位、かすり傷にもならん」ピッ

長門「よし、それじゃあーーー」

長門「お邪魔します」ペコ


ーー

816: 名無しさん 2016/10/11(火)19:16:10 ID:Hnx


ー廃墟の中ー


長門「これは…うむ」キョロキョロ

長門「床は煤埃まみれ、天井には蜘蛛の巣」

長門「紛うことなき廃墟だな」

長門「………」

長門「…まぁいい、これで心置き無く見て回れる」

長門「………」

長門「い、一応玄関の鍵を開けておこう」

長門「もしかしたら…うむ、備えあればなんとやら、だな」クルッ

長門「………は?」ギョッ

長門「なんだ、これは……」


ーー

817: 名無しさん 2016/10/11(火)19:16:47 ID:Hnx


ー明石ラボー


提督「…今度はどんな仕掛けが?」ドキドキ

提督「………」ドキドキ

提督「………」ドキドキ

提督「……あれ?」

提督「あーかーしー」

明石「はいー?」

提督「扉、開かないんだけど…」

明石「いえ、開くと思いますよ」

提督「えっ、まさか…」ドアノブヒネリ


ガチャ


提督「………」

明石「丁度良かった、そろそろお呼びしようと思ってたとこだったんですよ」

提督「………」

明石「どうしました?入って来ないんですか?」

提督「……いや、あのさ」

818: 名無しさん 2016/10/11(火)19:17:15 ID:Hnx

明石「はい」

提督「俺のなんと言うかこう…」

提督「少年が誕プレに心踊らせるような気持ち、返せよ」

明石「え、ちょっと何言ってるのか分かんないです」

提督「何でなんの仕掛けも無かったの?」

明石「いやいや、そんな毎回何かしらの仕掛けを施していたかのような言い方やめて下さいよ」

提督「してたよね!?」

明石「してましたっけ?」

提督「1スレ前から読み返して見ろ」

明石「1スレ?」

提督「んや、何でもない」

明石「……?」

819: 名無しさん 2016/10/11(火)19:17:41 ID:Hnx

提督「ま、いいさ」

明石「あっはい」

提督「烈風、戻ってきた?」

明石「はい、ですが…」

提督「とりあえず見つからなかったんだ」

明石「なので再度調整して、も少し捜索範囲を拡げてみます」

提督「とりあえず何処まで探したの?」

明石「ここの管理下は全て」

提督「マジか、それで見つからないとなると…」

明石「ですね」

提督「今から先は範囲が広過ぎるね」

提督「別途で捜索隊の段取りしとくよ」

明石「お願いします、万が一が有り得る段階に来ましたから」

提督「少しでも何か分かったら、すぐに呼んで」

明石「了解です」

提督「それじゃ、頼んだ」


ーー

820: 名無しさん 2016/10/11(火)19:18:23 ID:Hnx

ー執務室ー


提督「はいるよー」ガチャ

提督「あれ?むっちゃんがいないね」キョロキョロ

提督「部屋に戻ったのかな?」

提督「んー、行ってみるかの前に…」ソロー


カチャ……キィ


赤城「……zzz」スヤァ

加賀「……zzz」スヤァ

提督「………」

提督「…まさか、ね」

提督(おーい、赤城、加賀やん)

加賀「……?」パチ

提督「!?」

821: 名無しさん 2016/10/11(火)19:18:46 ID:Hnx

加賀「てい…と、く…?」ネボケ

提督「…まだ寝てていいからね」ナデナデ

加賀「ん…は、ぃ…」スヤァ

提督「……赤城」ボソ

赤城「ふぁ…ていとく?」ムクリ

提督「うぉ、起きた」

赤城「はぃ…?」コシコシ

提督「いやいや、おやすみ」ナデナデ

赤城「んぅ…はぃ…」コテン

提督「………」ソローリ


キィ、パタン


提督「赤城もだいぶ俺探知の練度が上がってるけど…」

提督「加賀やん凄いな…一方通行だけど直接脳内じゃん」

提督「…こんなのばかりならいいんだけど」


スタスタ、パタン

ーー

822: 名無しさん 2016/10/11(火)19:19:28 ID:Hnx


ー廃墟・玄関ー


長門「玄関の内側が…固定されている…?」

長門「これは…鉄板だな、小さな鉄板が無造作に貼られている…」

長門「しかし、雑だな…急ごしらえだったのか…?」

長門「まぁいい、先に進もう」スタスタ

ーー



ー建物の東側ー


長門「うーむ…」

長門「ここで行き止まり、か」

長門「途中の部屋も全て見てきたが、とても人が住んでいる様な状態でもなかった」

長門「やはりここは無人なのか…?」

長門「………」

長門「…反対側にも行ってみるか」


スタスタスタ…


ーー

825: 名無しさん 2016/10/28(金)17:07:10 ID:LaL


ー廊下ー


提督「さて、むっちゃんはいるかな?」

提督「むっーちゃーん」コンコン

シーーン

提督「あれ?寝てんのかな」

グイ、キィ…

提督「ん?開いてる…」

提督「失礼しまーす」ボソ

提督「…あら、いないやん」

提督「え、むっちゃん何処いったの」

提督「…?何これ、紙?」カサ

提督「………」

提督「……あー、これは」

提督「うんまっずいな、急がなきゃ」


ーー

826: 名無しさん 2016/10/28(金)17:07:52 ID:LaL


ー明石ラボー


提督「明石?」

明石「はい、どうぞ」

提督「普通の扉だね」

明石「それ弄ってる暇もないんですよ」

提督「それなんだけど、これ」スッ

明石「ん?何ですかこれ…」ウケトリ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長門を探しに行ってくるわ
やっぱり、やらずに後悔する位ならやれるだけやった方がいいと思ったの
提督には迷惑かけちゃうから、戻って来れたら処分は甘んじて受け入れるわ

ごめんなさい 陸奥
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


明石「あー、これは…」

提督「これが怖かったから夜は一緒にいまんだけど…まさかだったよ」

明石「……ん?てことは…」スタスタ

明石「えーと、多分……」カチャカチャ

提督「……?」

明石「……あー、やっぱり」

提督「何がやっぱりなの?」

明石「提督、これ」ユビサシ

提督「ん?これ…ゲートのとこの映像?」

明石「そです、例のセキュリティの一部なんですが…」カチャカチャ

明石「えーと、ここですね」カチャ

提督「んー………は?」

827: 名無しさん 2016/10/28(金)17:08:26 ID:LaL

明石「陸奥さん、出てってますね」

提督「これ…え、何で?」

明石「えーと、何で、とは?」

提督「明石、リアルタイムで気付いてたんじゃないの?」

明石「えぇと、それがですね…」


ズイズイカクカク


提督「なるほどね」

明石「いやほんとにすいません…」

提督「まぁ、起きちゃった事をどうこう言っても仕方ないし」

提督「明石だけの責任ってわけでもないから」

明石「はい…」

提督「でも、もう本腰入れて探さないと」ヨイショ

明石「提督、どこへ?」

提督「何処って、決まってるやん」


提督「俺が二人を探すんだよ」


ーー

828: 名無しさん 2016/10/28(金)17:09:03 ID:LaL


明石「提督!ダメですって!」スタタ

提督「もう四の五の言ってらんないよ」スタスタ

明石「だからって提督にもしもの事があったら…」スタタ

提督「無いよ」スタスタ

明石「何故言いきれるんですか!」

提督「明石が一番分かってるでしょ」

明石「むぅ…と、とにかく止まって下さい!」

提督「………」ピタ

明石「ちょっと、冷静になって考えてみて下さいよ」

明石「確かに提督が単独で出る事自体はそんなに危惧していませんよ、ええ」

提督「………」

明石「ただ、どうやって探すつもりなんですか?」

提督「………」

明石「加賀さんの時のボートを使ってもいいですが、あれだと長時間の航行は不可能です、ご存知かとは思いますけど」

明石「それに加えて、そもそもあれには船を動かす以外の機能がないんですよ?」

明石「まさかと思いますが、地球の7割を占める面積の、何処にいるかも分からない人間サイズの目標を、肉眼のみでお探しするつもりですか?」

提督「……っ」


829: 名無しさん 2016/10/28(金)17:09:43 ID:LaL

明石「ほら、そんな所だろうと思いましたよ」タメイキ

提督「でも、こうしてる間にも二人は…」

明石「宛も目星もない状態で闇雲に探したって、見つかるものも見つかりませんよ」

提督「………」グッ

明石「だから、ちょっと落ち着いて解決策をーー」

提督「落ち着いてられるかよ!」ドン

明石「っ!」ビク

提督「俺らは何もしない、できないまま指咥えてこのまま待ってろって言うのか?」

明石「そういうわけじゃ…」

提督「そうじゃないか、結局偵察機を出しても手掛り一つもってきやしない」

明石「そ、それは…すいません…」シュン

提督「くそっ…」ギリッ

明石「………」

提督「むっちゃんだって行方が分かんないのに…」

明石「………」

提督「だから、例え宛が無くても俺は出るから、明石はーー…」

明石「………」ジト

提督「あー…えぇと」

明石「役立たずですいませんね」

提督「いや、その…すまん」

830: 名無しさん 2016/10/28(金)17:10:22 ID:LaL

明石「いえいえ、焦る気持ちもそれが募った結果怒鳴ってしまったのも理解してますので」

提督「…怒ってる?」

明石「手掛かり一つ持ってこない偵察機」

提督「うぐ」

明石「いきなり壁ドン」

提督「ぐふ」

明石「提督の目の前にいるのは?」

提督「…?明石」

明石「提督の目の前にいるのは?」

提督「…非力で可憐で天才の明石様」

明石「それは言い過ぎです」

提督「なんなんだよ」ボソ

明石「はい?」ジト

提督「いえ、何でもございません」

明石「落ち着きました?」

提督「それはそれは心頭滅却できたそうな」

明石「反省しました?」

提督「それはもう海より深く」

明石「よろしい」

831: 名無しさん 2016/10/28(金)17:10:58 ID:LaL

提督「でも、現実どうしようか…」

明石「それなんですが」

提督「はい」

明石「提督がしびれを切らして出て行こうとした時の為の最終手段を準備しています」

提督「…そこまで読まれてたの?」

明石「どれだけ一緒に居たと思ってるんですか?」ドヤァ

提督「あぁ…まぁ、うん」

明石「てなわけで、四の五の言ってられないのも事実ですし…」

明石「ジョーカー、使っちゃいます?」ニヤリ

提督「やっちまおうか」ニヤリ

ーー

836: 名無しさん 2016/11/12(土)19:03:13 ID:mLq


ー西側の廊下ー


長門「これは…」


言われてみれば、ここに足を踏み入れた時から違和感が無かったかと言えば嘘になる

用途の分からない建物…それから始まり、私の目に飛び込んでくる情報の一つ一つが、感じていた違和感を、勘違いから確信に近づけていた

そして、確信に至らないどころか、本来抱いている違和感の本質ともかけ離れているものの

この建物が廃棄された理由の断片を、ここで垣間見た

何が目的で、誰がこうしたかは皆目検討もつかないが

目前に映る光景、この先から感じる『何か』が、今に至るまではたしてどれ程の年月が過ぎているのか…少なからず新しくはないはずなのだが

837: 名無しさん 2016/11/12(土)19:03:47 ID:mLq

ただ、それでも尚、大きく口を開けたこの場所から確かに感じ取れる

数多くぐり抜けて来た戦場で、嫌という程感じた

怒りと悲しみ、そして憎しみ


私の目の前、東側と同じ作りになっている筈だった西側の廊下の先はーーー


長門「……階段、か」


木造の建物にお世辞にも馴染んでいるとは言えない、鉄の階段

階段の両隣には、厚さ二寸程の鉄製の扉。
鉄棒を横にはめ込んで錠をする物のようだが
そのどちらも蝶番が破損し、既に扉としての役目を終えていた

それが、何故今の状態に陥ったのか

答えは考える必要すら無いほど明白だった

内側から大きな力で

それでいて、私が先程まで見てきた光景と同じ様に…いや、それ以上に酷く、荒く朽ちたそれは

あまりに、異質

838: 名無しさん 2016/11/12(土)19:04:50 ID:mLq


長門「………」


足が、前に進まない

それは、予想を遥かに上回った状況の変化に、脳が、身体が、追い付いていないせいか

孤立無援、自分が今現在何処にいるのか分からない、何が起こるかも分からない、そして自ら逃げ出す事も困難に成り得る状況に、身を投じる事への恐怖か


長門「………」


歩を進め、地下へと続く階段を覗き込む

理由は、どうやら後者だったようだ

覗き込んだ先は、手前から数段が確認できただけで、その先は一寸の光も通さない「闇」そのもの

839: 名無しさん 2016/11/12(土)19:05:27 ID:mLq


長門「っ……」


生唾を飲み込む

この先に進むべきか否か、今の状況を省みるに、答えは赤子に聞くより明白

そして、私は踵を翻した

正直なところ、興味が無いかと言えば嘘になるが、その先に得られる何かに対してのリスクが余りに大きすぎたから

仮に人が居たとして、まるで整備の行き届いていない島の、廃れてから幾年も経つ様な廃墟の様な建物の、異様な損壊の仕方をした入口から降りる地下の先

まともな人間の理由がない

「それを言うならもっと早い段階でーー」

全くもってその通りだ。


840: 名無しさん 2016/11/12(土)19:05:49 ID:mLq


長門「駄目だ、引き返して別の方法を…」


自らに言い聞かせるように呟き、元来た道、つまり地下の入口とは反対方向に歩を進めーーー




「……ケテ」




長門「……?」ピタ


決意した筈の足が止まる

今のは、何だ?

聞こえるか聞こえないかの境目程の…音?


長門「…風の音だろう」


と、再び足を進めーーー

841: 名無しさん 2016/11/12(土)19:06:28 ID:mLq



「…タ……テ」



長門「………」


違う

風の音なんかじゃない

窓の外は相変わらずの雨

風も多少なりとも吹いている



聞こえた「なにか」は、その環境音に混じって私の耳に届いた訳ではなかった


長門「…どういう事だ、何が…」



「…タス……テ…」



長門「っ…」


842: 名無しさん 2016/11/12(土)19:06:58 ID:mLq


私の頭は理解した

聞こえていたのはーーー声

そして、それを捉えていたのは耳ではなく

頭…脳と言った方が分かりやすいか


長門「…誰だ?」クル


振り返る

見えるのは、先程と何ら変わりない光景


長門「…助けて、と言われた気がしたが…っ!?」ズキン


突如訪れる激しい頭痛


長門「ぐっ…何だ、頭がっ…」フラッ


ふらつき、思わず足が一歩前に


長門「っ……?」ズキズキ


まだ、激しい頭痛は収まっていない、が

一歩前にでたその時、ほんの少しだけ

頭痛が、和らいだ

843: 名無しさん 2016/11/12(土)19:07:20 ID:mLq


長門「…この先に、進め、と…?」ズキズキ


和らいだと言っても、未だ頭が割れそうな程の頭痛は治まる気配を見せず

一歩、また一歩と歩みを進める度に頭痛は少しずつ、その形を潜めていく


そして私は

まるで砂糖水に吸い寄せられる蟻の様に



階段を降りて行った


ーーー

857: 名無しさん 2016/12/08(木)23:44:41 ID:gE4


ー明石ラボ・秘密の部屋ー


提督「ここにジョーカーがあるの?」スタスタ

明石「そです」スタスタ

提督「確かこの先にあるのって…」

明石「ご名答、アレですよアレ」

提督「でもさ、何であれがジョーカーになるの?」

明石「ま、それは見てからのお楽しみです」


ーー

858: 名無しさん 2016/12/08(木)23:45:14 ID:gE4


提督「で、着いたわけだけど…」

明石「改めて近くで見るとおっきいですねぇ」

提督「動かすの初めてだよね」

明石「なんで色々説明もしないとですから…それっ」バサッ

提督「おぉ…素晴らしい…」キラキラ

明石「見蕩れるのもいいですけど時間が推してますので、手短に」

提督「三時間くらい眺めてたいね」

明石「本気で言ってます?」

提督「んなわけ」

明石「ですよね、じゃあ手っ取り早くいきますよ」

提督「よしきた」

明石「ではでは…まずはスペックから」

859: 名無しさん 2016/12/08(木)23:45:38 ID:gE4

明石「この烈風は、ある方の我儘を天才明石様が腕を奮い完成させた物でありまして」

提督「それいる?」

明石「故に操縦方法以外は当時の烈風をそのまま再現しています」

提督「てか我儘って」

明石「んで、その操縦方法なんですが…提督」

提督「はい」

明石「エースコ〇バット、得意ですか?」

提督「まぁ、ちょっと世界狙えるくらい」

明石「なら大丈夫です」

明石「例のボートよろしく、この烈風の操縦桿もデュアルショックになっています」

提督「ソニーの回し者か」

明石「それに伴い、本来離陸前から着陸までしなければならない作業を半自動化しました」

提督「スルースキル高いな…」

明石「なら何処までが半自動なのか、疑問に思いますよね?」

提督「………」

明石「思いますよね?」

提督「…あっはい」

860: 名無しさん 2016/12/08(木)23:46:10 ID:gE4

明石「ではお教えしましょう、半自動化されている箇所はエ〇スコンバットで操作出来ない部分全てです」ドヤァ

提督「なるほど」

明石「まとめると、リアルエースコンバットですね」

提督「いつの間にかぼかすのやめてるね」

明石「別にいいんですよ、多分」

提督「まぁ大丈夫でしょ、多分」

明石「てなわけで、次の説明行きますよ」

提督「ほいよ」

明石「次は武装についてですが…その前に少し訂正があります」

提督「訂正?」

明石「はい、さっき操縦方法以外は当時の烈風をそのまま再現しています、と言いましたが」

提督「言いましたが?」

明石「武装はそのままじゃないんですね」

提督「ほう」

861: 名無しさん 2016/12/08(木)23:46:39 ID:gE4

明石「概算ですが、当時の烈風1機の戦闘力を1烈風としますと」

提督「しますと?」

明石「この烈風は約500烈風くらいあります」

提督「チート乙」

明石「それでも現代だとそうでもなかったりするんですよ」

提督「そうなんだ」

明石「まぁ、1から説明して回るの面倒臭いのでカットしますね」

提督「え、こっからが大切なんじゃないの?」

明石「…分かりましたよ」チッ

提督「今チッって言った!」

明石「気のせいです、では一気に行きますよーーー」

明石「凄く連射できるバルカン砲二門」

明石「マクロス顔負けの沢山追尾ミサイル」

明石「環境にとことん配慮した威力だけ核爆弾」

明石「以上になります」

提督「控えめに言って最強じゃない?」

明石「操縦者の腕次第で最強にも最弱にもなるんですよ」

提督「任せとけよ」ドヤァ

明石「じゃ、時間ないんで早速出てください」

提督「了解」


ーー

862: 名無しさん 2016/12/08(木)23:46:59 ID:gE4


ー海上ー

陸奥「…ハァッ…ハァッ…」

陸奥「………ッ」

陸奥「ちょっと、不味いわね…」チッ


ーー

863: 名無しさん 2016/12/08(木)23:47:21 ID:gE4


ー同時刻・地下ー


長門「さて、降りて来たが…」


地下への階段を降りきった時には既に、先程まで私を苦しめていた頭痛は形を潜めていた

意識を周囲に向けられる余裕ができて、改めて辺りを見渡してみる


長門「……暗いな」


手元に灯になる物はなく、ここは既に地下
当然窓なければ、陽の光も届かない

誰もが予想できて至極当然ではあるものの、それすらなおざりになっていた辺り、道中の私が如何に意識を削がれていたかが伺える。

…我ながら情けない

864: 名無しさん 2016/12/08(木)23:47:52 ID:gE4


長門「困ったな、先に進もうにもこれでは…」


チカッ…チカチカッ…


長門「なんだっ!?」ビクッ


突然、視界が激しく明暗する
瞬間、何が起きたのか分からず身構えるも、刹那にしてその正体に気付いた


長門「電灯が…ついた…?」


この建物にはまだ電気が通っているのだろうか…いや、通っていなければそもそも電灯などつくはずがない

…しかし、何故このタイミングで?

だが、私は操作などしていない

…では誰が?

やはりここには私以外の何者かが…

…あの声の主か?

865: 名無しさん 2016/12/08(木)23:48:15 ID:gE4


長門「…先に、進めという事だろう」


これ以上いくら考えても、考えるだけでは確信には到れない

そう悟った私は、しこりの残った幾つかの「不可解」の真相をこの目で確かめる為、奥へと進んだ。


ーー

866: 名無しさん 2016/12/08(木)23:48:48 ID:gE4


ー明石ラボ・秘密の部屋ー


明石「どうです、簡単でしょ?」

提督「そだね」

明石「それと、今回ですね」

提督「うん?」

明石「前回の反省を活かして、燃料タンクを大幅に増設していますので」

提督「どれ位持つの?」

明石「テスト飛行もしてないのでなんともですが、ここにメーターがあります」ユビサシ

提督「車と同じだね」

明石「と、思うでしょう?」

提督「だって下にEって書いてあるやん」

提督「ここに針が来たらやばいってことでしょ?」

明石「はい残念、明石さんそんなダサい事しない」

867: 名無しさん 2016/12/08(木)23:49:29 ID:gE4

提督「別にダサくはないと思うけど…どう違うの?」

明石「これがエンプティになって、下からもう一回上がります」

明石「そして再度降りきった時に、Eが赤く光ります」

明石「そして、それが折り返しです」

提督「明石の燃料へ懸ける熱い情熱は十分伝わったよ」

明石「でしょう?天才は同じ失敗を二度しないんですよ」ドヤァ

提督「ただ、一つだけよろしくて?」

明石「よろしくてよ」

提督「その莫大な燃料、何処に積んでるの?」

明石「提督の座ってる所のすぐ後ろ、機体の後部全てです」

提督「なんでだよ!危ねぇだろ!?」

明石「そこしか無かったんですもん」

提督「だからって何で操縦席の真後ろなんだよ!引火したら即ミンチじゃねぇか!」

明石「大丈夫ですよ、シートは緊急脱出出来るようにしてありますから」

868: 名無しさん 2016/12/08(木)23:50:20 ID:gE4

提督「因みにそれ、どうやるの?」

明石「まずはそのパネルに24桁の暗証番号を」

提督「はい提督死んだー」

明石「何なんですか!人が説明してる時に!」

提督「だってさ、考えてみてよ」

提督『くっ…敵の対空砲火で被弾!機体は無事だが操縦が効かない!脱出する!』

提督『よし!まずは24桁の暗証番号を…』

パララララ!…バスッ!

提督『えっ、ちょっ』

ドカーン


提督「ってね」

明石「それはアレですよ、被弾する方が悪いんですよ」

提督「なるほど、そうきたか」

提督「でも、もう一つ問題があってね」

明石「何ですか?」

提督「それだけの燃料を機体後部に詰め込んだら」

提督「積載オーバー&重量バランスガン無視みたいな感じがするんだけど」

提督「そこら辺は大丈夫なの?」

明石「ふっ、そんな事ですか」

提督「そんな事ってなぁ…」

明石「いえいえ、その二つの問題を軽視してる訳ではなくてですね」

869: 名無しさん 2016/12/08(木)23:51:14 ID:gE4

明石「既に対策済みなんだよ今更かよこのスカポンタン、と言う意味ででしてね」

提督「馬鹿にしてんじゃねぇか」

明石「え、してませんよ」

提督「…で?その対応とやらを御高説願おうか」

明石「はい、ではお教えしましょう!」

明石「実はこの烈風に使用している燃料、従来の戦闘機が積んでいる物と全くの別物でして」

明石「明石製100%の画期的なスペシャル燃料を使用しています!」

提督「燃料まで自給しだしたか」

明石「簡単に言いますけど大変だったんですよ?」

提督「なら、その大変だった特製燃料は今までのそれと比べてどれ位革新的なの?」

明石「よくぞ聞いてくれました!いいでしょう…本来企業秘密ですが、提督だけ特別ですよ?」

提督「いいから早くしろよ時間ないんでしょ?」

明石「では行ってらっしゃいませ」

提督「それは困る」

明石「時間ないんでしょ?」

提督「だからってそんな得体の知れんもん背中に仕込んだまま行けるかよ」

明石「だったら得体が知れるまで黙って聞くことをおすすめします」

提督「はいはい、黙って聞きますから」

明石「よろしい、では続けますね」

870: 名無しさん 2016/12/08(木)23:51:56 ID:gE4

明石「えぇと…そうだ、まずこの燃料はですね、凄く軽いんですよ」

提督「へぇ」

明石「そして、凄く燃費がいいんですよ」

提督「ほう」

明石「ここまでどうです?」

提督「かなりざっくりだけど、まぁいいんじゃない?」

明石「では続きをば」

明石「と、一見いい事尽くめに見えるこの明石燃料も、問題はここからなんですね」

提督「なんかあるのか…」

明石「はい、実はこの燃料…」

提督「………」ゴクリ

明石「可燃性抜群の上に空気に触れた瞬間、引火爆発します」

提督「……は?」

明石「その辺に被弾したら本当にひき肉ですからね!では行ってらっしゃい!」カチッ


ブロロン!バババババ!


提督「うおおぉおおお!!明石貴様ぁぁあ!!!」

明石「御武運をー!」フリフリ

明石「…行っちゃった」

明石「………」

明石「…ま、ひき肉になんかさせないんですけどねぇ」スタスタ


ーー

891: 名無しさん 2017/02/08(水)21:40:43 ID:is1



ー同時刻・執務室の奥ー

ー仮眠室ー


加賀「………」zzz

赤城「………」zzz

加賀「……んっ」ピクッ

加賀「………」ムクリ

加賀「ていとく…?」キョロキョロ


シーーン


加賀「赤城さん、赤城さん」ユサユサ

赤城「んぁっ、加賀、さん?」オコサレ

加賀「大変です」ユサユサ

赤城「えっ…えっ?ちょっと待って下さい」

赤城「んっ、と」オキ

加賀「おはようございます」キリ

赤城「お、おはようございます」

赤城「それで、何が大変なんですか?」ファーア

加賀「提督がいません」

赤城「………」キョロ

892: 名無しさん 2017/02/08(水)21:41:08 ID:is1

赤城「確かにいませんね」

加賀「だから大変だと」

赤城「しかし、別に大変という訳でもないでしょう」

赤城「おおかた、昨日の片付けをしに鳳翔さんの所にでも行っているのでは?」

加賀「そんな筈はないわ」

赤城「え?何故ですか?」

加賀「提督は今、この施設内にいませんから」

赤城「………えっ?」


ーー

893: 名無しさん 2017/02/08(水)21:41:44 ID:is1


ー同時刻ー

ー地下ー


長門「……これは」


あれから、分岐の一つもない長い廊下を歩いてきたが…

景色はずっと変わらないまま、窓の一つもない四方を鉄の壁で覆われた空間が続いていた

そして、ここに来て一つ、変化が起きた


長門「…扉が、壊されているな」


ここもまた、不自然な程の厚みをもった扉が、その内側、私から見れば扉の奥から、力任せにこじ開けた様に開いていた


長門「ここから出てきたのか…?」


「何が」なのかを知るところではないが、その凶暴性とかなりの怪力を兼ね備えている事だけは理解できた


長門「…まだ、この施設内にいるのだろうか」


仮にまだ何処かに形を潜めていたとして、その「何か」と対峙した時、私に出来ることは…

894: 名無しさん 2017/02/08(水)21:42:27 ID:is1

長門「危険…だろうが…」


艦娘か…或いはまだ私の知らない何かが存在するのか

前に見た扉と合わせて二回目

捉え方によっては「警告」とも言える扉の破損具合

本来の開き方を知ってか知らずか、分からなくなる程理性が効かない相手なのか

何れにせよ、「それ」と遭遇してはいけない


ーーーが


長門「今更、後になど…」


逆に考えれば、ここまで人の、生物が現存してる痕跡や気配など微塵も感じなかった

かなり前向きな補正をかけているにしても

先に進んだ所で、出会うはおろか初めからここは既にもぬけの殻なのではないか

そう、思うに至った

だったらあの声はーーー?

それはそれで、尚更気になるだけの事

そして、先に進むだけのこと

895: 名無しさん 2017/02/08(水)21:43:20 ID:is1


長門「…よし、行くぞ」


壊れかけ…もとい、既に壊れた扉を力任せに開き、身をよじりながら中に踏み込む



そして、その瞬間

私が扉の奥に足を踏み入れて、最初の一呼吸

辺りは暗闇で視界は閉ざされているも同義

最初に仕事をしたのは、嗅覚だった


長門「っーー、なんだ…これはーー」



ーー

900: 名無しさん 2017/03/10(金)21:53:45 ID:6Pg



長門「何なんだこの臭いは…」ハナオサエ

長門「カビやホコリに混じって…何か…」

長門「くっ、とにかく灯を、周囲に何かーーー」


チカッ…チカチカッ…


パッ


独りでに照明が付く現象がここでも起きた

起きたのはいいが

急な明暗の差に、長門の眼は未だ周囲の明るさに対応しきれておらず

次第に慣れてきた頃、ゆっくりと瞼をおこす

そして

改めて周囲の状況を確認出来る様になった長門の視界に飛び込んできたもの

901: 名無しさん 2017/03/10(金)21:54:55 ID:6Pg


長門「……何だ、これは……」


この場所も未だ通路ではあったものの、扉を潜る前とうって変わり、酷く荒らされていた

通路の両脇には、目的の分からない透明の円柱がずらりと並んでいる

今確認できる円柱は、その全てが何れかの箇所に破損がある

上部と下部にも、これまた目的の分からない装置の様なものが付いていて、その天辺から何本もの管が天井に向かって伸びている

下部にはモニターも付いていたようだが、それも暗点しているか、破損しているかのどちらか

何れにせよ、通路の両脇に並んでいるこの円柱は今は機能していない、という事が顕著に伺える

902: 名無しさん 2017/03/10(金)21:55:21 ID:6Pg

そして、その円柱ともう一つ

円柱の脇、通路の中央、円柱の中

長門の視界のありとあらゆる箇所に、まるでばら豆でも撒いたかの様に散らばった

人の形をした、骨

既に人の形を成して無い程、酷く損壊しているものから、白衣を着ているもの

白骨化に至らず、ミイラの様になっているものも目に付く


長門「うっ……おぇぇ…」


酷くえずく

長門にとって、あまりに刺激の強すぎる光景だったようだ


長門「ぐ…ふぅ、これは…一体…」


目を逸らそうにも、至る所に散らばった亡骸が嫌でも視界に入る


長門「こ、こんなの……私は…」


手が、足が、酷く震える


長門「何が、起きたと言うんだ…人が、こんなに沢山…」


悪寒が容赦なく長門を襲い、脂汗が吹き出る

そんな中、ぐらつく視界に捉えたある物

903: 名無しさん 2017/03/10(金)21:55:48 ID:6Pg


長門「これは……?」


円柱の下側、モニターの奥

円柱の本体に何かのプレートが貼り付けてある


長門「………」


プレートに刻まえた文字は、所々が潰れていたり、プレートそのものが欠けていたりとしていたが、なんとか解読するには至れたようで


長門「…これは…そんな……まさか…」


断片的に読み取れたそれは

この円柱が、人間サイズの「それ」を収めておくための装置であり

その収められていた「それ」が何だったのかを、長門に教えた

904: 名無しさん 2017/03/10(金)21:56:17 ID:6Pg



「被検体NO.13 五十鈴」



長門「被検体…何のことだ…」

長門「ここは、これは…一体何が目的で…」

長門「艦娘を、研究していた?だとしても…」

長門「…この、中に横たわっている骸骨は、五十鈴、なのか…?」


恐る恐る中を覗き込もうとする

その時


ズキン


長門「ぐっ…これは…っ」


あの時、地下へと誘った時と同様の頭痛が再び長門を襲う


長門「まだ、奥へ進めと、言うのかっ…」ズキズキ

905: 名無しさん 2017/03/10(金)21:57:01 ID:6Pg


一歩、また一歩と

足元に転がる亡骸を踏まない様、奥に進む事を余儀なくされる


長門「これ以上、私に、何をさせたいんだ…くっ…」


フラフラと、亡者の巣食う道を奥へと進んで行く

その先に何が待ち受けているのか

そんな事を考える暇など、今の長門にはなかった


ーー

906: 名無しさん 2017/03/10(金)21:57:35 ID:6Pg


ー明石ラボー


赤城「さて…」スッ


コンコン


赤城「………」

加賀「………」


シーーン


赤城「…不在、でしょうか」

加賀「どうなんでしょう」


シーーン……ガタッ、アッヤベ


赤城「居留守してましたね!!開けなさい!」ドンドン

明石「絶対開けるもんですか!」

赤城「くっ、やはり貴女が一枚噛んでましたか!」

明石「勘付くのが早いんですよもう!」

赤城「いいから早く開けなさい!話はそれからです!」

明石「話すことなんてありませんよ!」

赤城「こっちはあるんですよ!」

907: 名無しさん 2017/03/10(金)21:57:57 ID:6Pg

明石「提督の行方なんて知りませんから!お引き取り下さい!」

赤城「あ!今ボロ出しましたよ!」

赤城「私は提督の事なんて一言も言ってないのに!」

明石「あっ、しまった」

赤城「今「しまった」って言いましたね!確信犯です!開けなさい!!」ドンドン

明石「無理ですよー、その扉は爆撃してもあきませんからねー」ケラケラ

赤城「くっ、どうすれば…」

加賀「赤城さん」チョンチョン

赤城「なんでしょう」

加賀「一つ、手があります」ミミウチ

赤城「手、ですか」

加賀「…見ていて下さい」スッ

908: 名無しさん 2017/03/10(金)21:58:41 ID:6Pg


加賀「あぁ、『提督』が何処にいるのか分からないわ…これは緊急事態ね」

加賀「明石さんは何か知ってそうだけれど、話をしてくれなさそうです」


赤城「加賀さん?天井を仰いで何を…?」


加賀「もしかしたら、また『提督』は自身を『犠牲』にしてまで、何かを成し遂げようとしているのかもしれないわ」

加賀「私の時の様に『独り』で『命を擲って』何かをしようとしているかもしれないわ」

加賀「こんな時、『提督』を『愛する』『私達』は『提督』を助ける為に動かないといけないのに…」

加賀「『誰か』…『提督』を『大切』に思っている『艦娘』はいないのかしら…」


赤城「加賀さん…?」

909: 名無しさん 2017/03/10(金)21:59:34 ID:6Pg


ガタッ


赤城「え?今何処かで何か…」

加賀「恐らく成功です、後は待っていましょう」

赤城「一体何が…」


明石「……?外がやけに静かになったわね」

明石「それでもボソボソと声は聞こえるし、あの二人が諦めたとは…」


ガタッ


明石「何!?」クルッ


シーーン

910: 名無しさん 2017/03/10(金)21:59:57 ID:6Pg


明石「……?気のせいか…」

??「気のせいだと思ったの?」

明石「んなっ!?」

??「ふふ、残念でした」

明石「畜生!伏兵とは卑怯なり!」ハイゴトラレ

??「さ、扉を開けて貰おうかな♪」

明石「提督、すいません…もうダメです…」

??「提督が危ない事になってるなら私は手段を選ばないからね」



川内「さ、尋問の始まりだよ」


ーー

916: 名無しさん 2017/04/10(月)00:35:35 ID:H85

ー長門サイドー

ー地下ー


ー???ー


長門「………」


頭痛が完全に収まった頃、長門の行先に道はなかった。

行き止まり、この地下施設の最奥だろうか。

目の前には透明の円柱が一つ

中には艦娘と思われる一体の亡骸が、立ったまま事切れていた


道中目撃したそれと同様にそれなりの月日が経っていた様で、既に元の姿を特定する事は困難だったが


長門「私を呼んでいたのはお前だろう」


長門は円柱の中身を示すプレートが、その手前に備えてあったのを確認していた。

917: 名無しさん 2017/04/10(月)00:36:20 ID:H85


長門「…声の主はお前か?」


もう今となっては目が、脳がその光景に慣れてしまったのか

或いは、目の前にいる声の主「であろう」「それ」の正体を知ってか

不自然な程に、この時の長門は落ち着いていた


長門「…来てやったぞ」


腐食が進んだ金属のプレート

そこに刻まれた、円柱の「中身」

仮に、声の主が眼前に見えるそれだったとして

「死人に口なし」

言い回しやことわざなどではなく、そのままの意味で、それはそれで不可解ではあるのだが

不可解な出来事など、今日だけで一生分は味わった。

918: 名無しさん 2017/04/10(月)00:36:53 ID:H85

それに

艦娘である私ですら、自身の事を完全に把握できていないというのに

今更、故人が話しかけて来たところで驚きもしまい


長門「本当にそうであるならば、返事をしてくれ」


もう一歩前へ

そもそも、思い返せば声の主と会話など一度きりとも交わしていない

あくまでも一方的に、向こうの要求だけを半ば強制的に飲まされてここに辿り着いたとも同義であって

しかしながら、だからこその一歩でもある

919: 名無しさん 2017/04/10(月)00:37:22 ID:H85

長門自身が今ここに立っているのも、あの声に呼ばれるがまま、ではないが

大半の理由がそこにある

ならば、より近い所に

検討違いでなければ、反応がある筈だから

必要ならば、もっと

今は亡き彼女の、円柱に遮られてこそいるものの、触れ合えるであろう距離まで


長門「…どうだ、手を伸ばせば届く所まで来てやったぞ」


既に長門は円柱の目の前

目下、金属のプレートを改めて見下ろす


長門「ふむ…お前では無かったのか?」


間違いない

この亡骸は確かにーーー




長門「ーーー戦艦長門よ」



ーーー
ーー

920: 名無しさん 2017/04/10(月)00:38:04 ID:H85


ーほぼ同時刻ー


ー明石ラボー


明石「………」グルグルマキ

赤城「………」

加賀「………」

川内「さ、洗いざらい話して貰うよ」

明石「だ、駄目です…提督が帰るまで私はーーー」ゾクッ

赤城「………」イッコウセンニラミ

加賀「………」イッコウセンニラミ

明石「そ、そんな睨まれても無理なものは無理なんです!」

赤城「………」スタスタ

明石「な、なんです…?」

赤城「………」カガミ

明石「い、如何なる拷問だろうと私は耐えてみせますから…」

赤城「拷問なんてとんでもない」ニコ

明石「ひっ…」

赤城「ただ明石さんに一つだけ伝えておきます」

921: 名無しさん 2017/04/10(月)00:38:38 ID:H85

明石「な、なんでしょう…」

赤城「ふふふ…」ユラァ

赤城「もし、提督の身に何かあってみなさい?その時は……」アカギニラミ

明石「ひぃ!?」

赤城「…私が言いたいのはそれだけです」ニッコリ

川内(何このプレッシャー…)ビリビリ


加賀「………」スタスタ

明石「くっ、こんな事で……」ガクガク

加賀「………」カガミ

明石「ひっ…何をされても私は……」

加賀「………」

加賀「貴女、分かっていて?」

明石「…何が、ですか…?」

922: 名無しさん 2017/04/10(月)00:39:30 ID:H85

加賀「もし、提督が突き指の一つでもしていたら」

加賀「万が一にでも、それ以上の怪我を負っていたら」

加賀「億が一にでも、片腕片足を失ってでもしたら」

加賀「兆が一にでも…」ゴゴゴ

加賀「私が触れられない所に行ってしまったら」カガニラミ

明石「ひぃ!?」

加賀「貴女が、私達に話さえしていれば」

加賀「それを、未然に防げた事態だったら」

加賀「…鎧袖一触では、済みませんが?」ニッコォ

川内(やっば、気を抜いたら私気絶するかも)

明石「あ、ぁあ…あ」ガクガク

加賀「貴女が提督をどう思っているか、貴女の中での提督の価値が如何程なのかは知りませんが」

加賀「私にとってしてみれば…駄目、とても言い表せないわ」

923: 名無しさん 2017/04/10(月)00:40:09 ID:H85

加賀「勿論、私だけではありません」

加賀「赤城さんも、川内も、提督の従える艦娘の全員が」

加賀「貴女に…」

明石「ゎ、わ…わかりました…」ガクガク

加賀「そう」

明石「だだだだから、その…少し、離れて…」

加賀「分かりました」スッ

明石「はぁっ、はぁっ…んぐっ」

赤城「さて、では話してもらいましょうか」

明石「あ、あれはですねーーーー」


ーー

925: 名無しさん 2017/04/27(木)21:46:14 ID:gw8



ー長門サイドー


ー地下ー



??「………キテ、クレタノカ」


長門「っ…お前が呼んだのだろう?」


??「……ソウダ」


長門「そうか、では単刀直入に聞くとしよう」


??「………」


長門「何故私を呼んだんだ?」


??「………」


長門「答えられないのか?」


??「……タスケテ、ホシカッタ」


長門「ふむ、確かに私は助けてと言われてここまで来たのだが…」


??「………」


長門「なら、私はどうすればいいんだ?」


??「………」

926: 名無しさん 2017/04/27(木)21:46:40 ID:gw8



ー長門サイドー


ー地下ー



??「………キテ、クレタノカ」


長門「っ…お前が呼んだのだろう?」


??「……ソウダ」


長門「そうか、では単刀直入に聞くとしよう」


??「………」


長門「何故私を呼んだんだ?」


??「………」


長門「答えられないのか?」


??「……タスケテ、ホシカッタ」


長門「ふむ、確かに私は助けてと言われてここまで来たのだが…」


??「………」


長門「なら、私はどうすればいいんだ?」


??「………」

927: 名無しさん 2017/04/27(木)21:47:06 ID:gw8


長門「ここに記してある通りであれば、お前もかつては戦艦長門だったようだな」


長門「これも何かの縁、私の出来ることであるなら助けてやりたいと思っている」


??「………」


長門「どうした?」


??「………テヲ」


長門「手か、手をどうすればいい?」


??「テヲ、ココニ…」ピタ


長門「硝子越しにお前と手を合わせれば助けられるのか?」


長門「まぁ、それくらいなら構わないが……」スッ


ピタ


グラッ


長門「なっーーー」


ーー

928: 名無しさん 2017/04/27(木)21:47:53 ID:gw8


ー明石ラボー


明石「ーーてな事がありまして…」

川内「はぁ……」アキレ

赤城「………」

加賀「………」

明石「…あのー」

赤城「明石さん、一つ聞いても?」

明石「はい、何なりと」

赤城「あの時提督が飲んだ薬、まだ残っていますよね?」

明石「薬って…あれはラムネですよ!」

赤城「………」ギロ

明石「あーですよね!提督があの時飲んだのは一粒だったので…ざっと99粒はあるかと!」

加賀「っ……」グッ

赤城「その残りは今誰がもっているのですか?」

明石「…………あっ」

赤城「加賀さん」

加賀「分かっているわ」

川内「え、薬って何?何の事なの?」アセ

赤城「詳しい話は明石さんに聞いて下さい」

赤城「加賀さん、急ぎましょう」

加賀「そうね」


タッタッタッ……

929: 名無しさん 2017/04/27(木)21:49:06 ID:gw8


明石「あー…、行っちゃった」

川内「あーかーしーさん♪」

明石「はい、どうしましーーっ!?」ビクッ

川内「ぜーんぶはなして?」ニコ

明石「ぜ、全部、とは?」ダラダラ

川内「あかぎさんがはなしてたこと」

明石「あの、薬の話…?」

川内「そそ、ぜーんぶだよ♪」

明石「わ、分かりました…」ビクビク

ーー

930: 名無しさん 2017/04/27(木)21:49:37 ID:gw8

加賀「これからどうするの?」スタスタ

赤城「そうですね」スタスタ

赤城「とりあえず、空母四人を呼びましょう」

加賀「はい」

赤城「事の経緯を説明し、救出隊を組織します」

加賀「私達だけで向かうの?」

赤城「いえ、私達空母だけでは少し心許ないので」

赤城「他の艦種から何名か選抜し、救出に向かいましょう」

加賀「分かりました」

赤城「陸奥さんの件もありますから、事は急を要しますよ」

加賀「ええ」




加賀「……提督」ボソ


ーーー
ーー

931: 名無しさん 2017/04/27(木)21:50:48 ID:gw8


目が覚めた。いや目を開けた、の方が正しいか。

あの長門と手を合わせた瞬間、私の意識は一瞬にして途切れ

気が付いた時には何故かここにいた。

ここ、とは?

そうだな、私のよく知るあの場所とは違うが

恐らく使用目的は同じだろう

私は今



執務室に立っている。



長門「おい!聞いているのか!」


目の前で黙々と執務をこなす男が一人


私の提督と同じ白い軍服を着た、私の知らない男

真面目で堅物そうな印象を受けた。

…まるで逆、誰となのかは言わないが

932: 名無しさん 2017/04/27(木)21:51:45 ID:gw8


そして、先程からその男にずっと話しかけているのだが

まるで反応がない

眉の一つも動かさずに、書類と向き合っていた

それは

私が見えていない、私の声が聞こえていないかのように。




『戻ったぞ』


扉が開くと同時に聞こえた声

聞き覚えのある様な

それでいて新鮮な感覚を覚える。


そう、聞こえたのは「私の声」

933: 名無しさん 2017/04/27(木)21:52:33 ID:gw8


『うむ、それで?』

『言わずもがな、これに目を通してくれれば分かる』

『そうか、では拝見するとしよう』


そう言って、男は手渡された紙の束に目を通す。

その間も表情一つ変えない男

流し読みが終わり、紙の束を机に置いた後


『良くやった』


と、一言。


『だがな、今日はそれももう一つ報告があるんだ』


『ん?』


『私は、先の出撃で最高練度になった』


『艦隊初の最高練度は、やはり旗艦である私だったな』

934: 名無しさん 2017/04/27(木)21:53:09 ID:gw8


ふむ、ここの艦隊の旗艦は長門なのか

この男、なかなか見る目があるではないか


『………』


『…どうした?』


『いや、いきなりだったから少し呆気に取られていただけだ』


『そうか』


『では、練度上限解放の手続きをしておくとしよう』


『…そうだな、よろしく頼む』


…それだけなのか?


『他に報告すべき事項は?』


『ん…後は、ないな』

935: 名無しさん 2017/04/27(木)21:53:49 ID:gw8


おい待て長門を見てみろ、表に出すまいとしてはいるが露骨に落胆しているではないか


『ならば下がっていい、今日はゆっくり休んでくれ』


気が利いて間が抜けるとはこのことなのか…


『分かった、失礼する』


見てみろあの方の落ち様、本人は恐らく毅然としているつもりなんだぞ


『長門よ』



『……なんだ』



『最高練度、おめでとう』



『……ありがとう』



キィ、パタン



『………』カキカキ



…掴めない男だ、私は馴れ合えそうにないな

936: 名無しさん 2017/04/27(木)21:54:17 ID:gw8


しかし、あの長門の出際の表情、あれは…


『…完全に惚れているな』


っ!?


まるで心を読まれたかのようなタイミングに、思わず振り返る


『………』ギシッ


その先には

走らせていたペンは既に持ち主の手から離れ、背もたれに体重を乗せ天井を仰ぐ男の姿があった。


『………』


『………』


『……長かった』



吐き出す様に呟く

その言葉から汲み取れたのは、達成感。

937: 名無しさん 2017/04/27(木)21:56:17 ID:gw8


『これで…これでようやく…』





『俺もまた、階級が上がる』




『そうだな、早ければ明日にでも研究所に打電しよう』


『やはり建造して間もない艦娘を実験に使うより効率がいいのか…』


『何度か協力はしたが…』


『こんなよく分からない奴ら相手にまぁ…』


『研究熱心なものだ』


『長門には…そうだな…』


『あの様子だ、ケッコンをチラつかせれば何を言っても信用するだろう』


『…悪いな、長門』




そう呟いた男の表情は、最初抱いた真面目な印象とまるで正反対な薄汚い笑顔を浮かべていた。

938: 名無しさん 2017/04/27(木)21:56:55 ID:gw8


それから再び視界が暗転し、私の視界に映った光景。


ぎこち無い様子で指輪を受け取る長門と


偽りの仮面で指輪を送る男


その後男は、限界値突破に伴う精密なメディカルチェックの為、共に大本営に出向く様長門に支持をして…


私はそれを、ただ見ている事しか出来なかった。


行くな、行っては駄目だと出せる限りの声を出して、目前の長門を引き止めようと試みたが


私の制止が、長門に届く事はなかった

939: 名無しさん 2017/04/27(木)21:57:48 ID:gw8


二人が執務室から出ていく


恐らく、再び戻って来た時には


この男だけになっているのだろう


そうして

バタン、と扉を閉める音と共に


私の視界は、再びゆっくりと暗転していった



ーーー
ーー

940: 名無しさん 2017/04/27(木)22:59:41 ID:gw8



長門「ここは…」パチ


気が付いた時には、元居た場所

硝子の筒の向こうで佇む、今はその面影すら残っていない長門と、手を合わせたまま


長門「そういう事だったのか…」


この施設の目的、亡き同胞達がここにいる理由

全てでは無いが、長門に知らされた。

941: 名無しさん 2017/04/27(木)23:00:10 ID:gw8



長門「ここは…」パチ


気が付いた時には、元居た場所

硝子の筒の向こうで佇む、今はその面影すら残っていない長門と、手を合わせたまま


長門「そういう事だったのか…」


この施設の目的、亡き同胞達がここにいる理由

全てでは無いが、長門に知らされた。

942: 名無しさん 2017/04/27(木)23:00:37 ID:gw8


??「…オマエハ、提督ガ好キカ?」

長門「………」

長門「…そうだな」

??「私モダッタ」

??「大和デモ武蔵デモ、陸奥デモナイ、ホカノ名ダタル戦艦デモナイ」

??「私ヲ、コノ長門ヲ選ンデクレタ」

長門「………」

??「嬉シカッタ…期待ニコタエネバト、アノ人ノ喜ブ顔オガミタクテ…」

長門「それは…」

??「…私ハ、ニンゲンガニクイ」

??「オマエモ、ジキニワカル」

長門「そんな事は…」

??「ナゼイエル?」

??「自分ハ、自分ノ提督ハソンナ事ヲシナイ、ト?」

長門「…そうだ」

??「……フフ」

??「アッハッハッハッハッ」

長門「…何が可笑しい」

943: 名無しさん 2017/04/27(木)23:01:16 ID:gw8

??「ジツニ愉快ダ!オ前モ私ト同ジ轍ヲ踏ム事ニナルヨウダナ!」

長門「そんな事はない!私の提督は、あの人はそんな男ではない!」

??「ソウダ、私モソウ思ッテイタ」ジロ

長門「っ……」

??「ソノ時ハ分カラナイモノダ」

??「ヒトハ、タイセツナモノニ裏切ラレ、見放サレテ」

??「捨テラレ、初メテソノ人ノ本質ヲシルコトガデキル」

??「オマエモダヨ、長門」

長門「違う!人の本質は、そんな事でしか分からない程腐ってはいない!」

??「無知トハ罪、ヨク言ッタモノダ」

??「コノ研究所ガ、何ヨリノ証拠」

??「ココニ連レテ来ラレタ艦娘ハ」

??「ワタシ同様、皆各鎮守府カラ集メラレタ者バカリダ」

長門「各鎮守府から、だと…?」

??「母港ガ溢レタカラ、ヨリ強イ艦娘ヲ手ニ入レテ要ラナクナッタカラ、動機ナンテイクラデモアル」

??「ソシテ協力シタ提督ニハ、提供シタ艦娘ノ艦種ヤ練度ニヨッテ報酬ガ与エラレル」

長門「そんな…」

??「コレガ真実、私達ノ存在価値ダ」

長門「…だが、それも昔の話だ」

長門「ここを見てみろ、既に放棄されているではないか」

長門「研究所など、今は存在しない」

??「…本気デ、ソウ思ッテイルノカ?」

長門「………」

944: 名無しさん 2017/04/27(木)23:02:12 ID:gw8

??「私達トノ戦争ガ未ダニ終結シテナイナイ今、艦娘ノ研究ガ行ワレテイナイト?」

長門「…ここではない別の場所でまだ研究が行われている、と言いたいのか」

??「ソウサ、ソノ証拠ニ」

??「私達ノ仲間ハ、依然ニシテソノ数ヲ維持シテイル」

??「ソシテ私モ、モウジキ…」

長門「………まて、今何と言った」

??「ン?聞コエナカッタカ?」

長門「私達との戦争…まさか貴様…」ギロ

??「御名答ト言イタイトコロダガ、少シ違ナ」

??「私ガ『ソウ』ナルニハ、後一ツ手順ヲ踏ム必要ガアル」

長門「………」

??「媒体ダヨ、艦娘ノ」

??「本来ナラ、轟沈シタ艦娘ヲ媒体ニスルモノラシイガ…」

長門「…助けてと言っていたのは嘘だったのか」

945: 名無しさん 2017/04/27(木)23:03:34 ID:gw8

??「嘘デハナイサ」

??「オマエヲ媒体ニ、私ハ再ビ蘇ル」

??「戦艦長門トシテ、デハ無イガナ」

??「ソノ為ニ、オマエノ『助ケ』ガ必要ナノサ」

長門「私が、それを了承するとでも思ったのか?」

??「…了承ナド、必要ナイ」

長門「なんだと?」

??「オマエ、ココガ何処ナノカ分カッテイルノカ?」

??「オマエハ既ニ袋ノ鼠」

??「ワタシノ仲間モ何レ来ル」

??「後ハ……」

??「コチラデ好キニヤラセテ貰ウノダカラナ!!」グワッ

946: 名無しさん 2017/04/27(木)23:04:04 ID:gw8


シーーン


長門「なんだ…何が起きるんだ…」



ゴゴゴゴゴ…


長門「うわっ!地震か!?」グラグラ


ゴゴゴ……バシャァアン!!


??「アハハハハ!シネェエエ!!」


長門「うわぁぁあ!!!?」


ーーー
ーー



950: 名無しさん 2017/05/16(火)22:26:01 ID:AUg


ー何処かの海上ー


ー上空ー



ピーッピーッピーッ


提督「はい、ご注文は提督ですか?」

明石「いいえ、ケフィアです」

提督「懐かしいなぁおい」

明石「あれって結局何なんだったんでしょうね」

提督「ボソッとしたヨーグルト的サムシングでしょ?」

明石「絶対違うと思います」

提督「アッハイ…で、どうしたの?」

951: 名無しさん 2017/05/16(火)22:26:42 ID:AUg

明石「それがですね、提督にお伝えしなければならない事案が三つ程ありまして…」

提督「じゃあ良い方から」

明石「ないんだな、これが」

提督「マジかよ…すんごい聞きたくないんだけど」

明石「まぁ、提督は聞く以外に選択肢が無いので手短に伝えますね」

提督「それ、俺が今鉄の棺桶に乗ってる事と関係あるやつ?」

明石「そんなところです」

明石「ところで私の手元に赤い大きなボタンがあるんですが」

提督「なにそれ」

明石「押したら死ぬやつ」

提督「誰が?」

明石「鉄の棺桶がリアル棺桶になるって事ですよ」

提督「押すなよ?絶っっ体押すなよ?」

明石「あ、手が滑った」

提督「」

明石「嘘ですよw」

提督「明石お前分かってんのかお前」

明石「鉄の棺桶とか言うからですー」

提督「だってあながち嘘でもないんだもん」

明石「確かに」

952: 名無しさん 2017/05/16(火)22:27:30 ID:AUg

提督「…まじ?」

明石「大丈夫に決まってんでしょ、誰が作ったと思ってるんですか…」

提督「だよね」

明石「それでですね…えぇと、何だったかな…」ウーン

明石「……あ、そうだそうだ、あのですね」

提督「うん」

明石「長門さんの件、嫁さん二人にバレました」

提督「………は?」

明石「ついでに、川内ちゃんにラムネの件がバレました」

提督「ラムネ?」

明石「深海棲艦ぽくなるアレですよ」

提督「…どこまでバレたの?」

明石「提督が飲んで死にかけたところまでです」

提督「全部じゃねぇか」

明石「最初は頑張って黙秘を決め込むつもりだったんですよ?」

提督「なら最後まで決め込めよ」

明石「いやいやいや」

明石「あの二人、提督が絡むとエッグいんですからね」

提督「そうなの?」

明石「事を知らない分尚更でしたよ…」

提督「俺だって嬉しいやら悲しいやらだよ」

提督「帰ったら三人から説教じゃねぇか」

953: 名無しさん 2017/05/16(火)22:28:10 ID:AUg

明石「部下に説教される提督w」

提督「」

明石「正座でw」

提督「こ、この場合嫁だから!極々ありきたりな夫婦の光景でしかないから!」

明石「川内ちゃん」

提督「」

提督「川内ともケッコンするかな」

明石「そんな理由でケッコンしてたら済ませてる側とそうじゃない側がタダでは済ませませんよ?」

提督「川内…もうちょっと待ってね」

明石「んで、最後の件なんですけど」

提督「もうここまでくれば何が出ても驚かないよね」

明石「そですか?じゃあ伝えますね」

明石「現在、提督の進路方向で小規模な戦闘が行われています」

提督「それ、最優先で伝えるべきだったよね」

明石「いやぁ、軽いのから行こうかなって」テヘペロ

提督「先の二つなんかもう事が起こって終わってるんだよね」

提督「後は俺が怒られるだけ、みたいな」

954: 名無しさん 2017/05/16(火)22:28:58 ID:AUg

明石「反省の色無し、と…」

提督「おっきめのブーメランですね」

明石「何の事やら」

提督「そこまでシラを切れるのもある意味才能だよね」

明石「天才ですから」ドヤァ

提督「んで、戦闘って…長門?」

明石「残念ながら長門さんではないんですね」

提督「え、違うの?」

明石「ええ、ですが急いだ方がいいかもしれませんね」

提督「あぁ、俺分かっちゃった」

明石「でしょうね、一応答え合わせしときます?」

提督「そうだね、じゃあ…せーの」

明石「陸奥さん」提督「むっちゃん」

明石「ご名答」

提督「やっぱり…状況は?」

明石「えーと、分かる範囲になっちゃいますが…」

明石「深海棲艦が多数と陸奥さんが確認できてます」

明石「敵の編成、ル級三隻…ですね」

提督「それむっちゃん大丈夫なの?」

明石「んで、陸奥さんなんですが……」

955: 名無しさん 2017/05/16(火)22:29:40 ID:AUg



明石「大破してます、これちょっとやばいですねぇ」


提督「やばいですねぇ、じゃねぇよ!」

明石「まま、そんなこんなで見えてくる頃ですよ」

提督「えーと…?あ、アレだ」

明石「戦闘自体は終わってるみたいですね」

提督「不吉な事言うなよ!むっちゃんは…まだ無事だ!」

明石「でも満身創痍ですよ」

提督「急がないと…生殺与奪の権利はあっちにあるみたいだからね」

明石「トドメを刺す最後の時間を楽しんでるんですかね」

提督「何処までも悪党な思考だな」

明石「王道じゃないですか」

提督「そうだけどもさ、直面すると改めて悪どいなと」

明石「でもまぁ、王道なのはむこうだけじゃありませんから」

提督「どゆこと?」

明石「王道にピンチなヒロインと、王道に悪党な悪党」

提督「はい」

明石「そこに颯爽と現れる王道な正義のヒーロー」

提督「はい」

明石「カッコいいじゃないですか」

956: 名無しさん 2017/05/16(火)22:30:11 ID:AUg

提督「ちょっくら助けてくるわ」

明石「正義のヒーロー感ゼロですね」

提督「形に拘ってる余裕ないでしょ」

明石「ですね、そろそろ射程圏内だけど」

明石「どうしましょう、プランはありますか?」

提督「それ思ったんだけどさ」

提督「烈風に搭載されてる武器って、これ使ったらむっちゃんもヤバくない?」

明石「まぁ被弾は否めないかと」

提督「かと、じゃねぇよ」

明石「この烈風は眼前の敵のみを残さず八つ裂きにし尽くす仕様ですから」

明石「敵味方入り乱れて、みたいなケースには向いてないんですよね」

提督「使えねぇな」

明石「ここに赤いボタンが」スッ

提督「嘘ですすいませんでした」

明石「んで、どうします?」

提督「仕方ないね、ならーーーー」

明石「えっ、マジで言ってんですか?」


ーー

959: 名無しさん 2017/05/30(火)21:35:38 ID:chR


ー海上ー


陸奥「くっ…」タイハ

ル級A「サテ、ドウヤッテ殺ソウカ」

ル級B「デキルダケ苦痛ヲ与エテルンダ」

ル級C「手足ヲモギ取ッテヤルカ」

陸奥「畜生、こんな奴らに…」ギリッ

ル級A「フフフ、悔シイカ?」ガッ

陸奥「は、離しなさい!」カミツカマレ

ル級B「ホラドウシタ、抵抗シテミロ」ケラケラ

ル級C「最早ソンナ力も残ッテナインダロウ?」ケラケラ

陸奥「畜生、畜生っ!」ボロボロ

ル級A「アハハハ!コイツ泣キダシタゾ!」

ル級B「土下座シテ許シヲ乞エバ見逃シテヤランデモナイガ?」カオチカヅケ

陸奥「誰がお前らの許しなんか!」ペッ


ベチャ

960: 名無しさん 2017/05/30(火)21:36:18 ID:chR


ル級B「ア?ナンダコイツ」カチン

ル級A「自分ノ立場モ分カラナイラシイ」

ル級C「モウイイ、沈メヨウ」ジャキン

陸奥「………」


陸奥(ごめんなさい、提督)


ル級A「ドウスルヨ?」


陸奥(私は結局何もできないまま、貴方や艦隊に迷惑をかけただけだったけど…)


陸奥(…もう、ここまでみたい)


ル級B「放リ投ゲロ、撃チ抜イテヤル」


陸奥(だけど、せめて長門だけでも助けてあげて)


ル級C「私モヤル、的当テダ」


961: 名無しさん 2017/05/30(火)21:36:54 ID:chR


陸奥(…提督……私、私ね)


ル級A「イクゾ、一発デ仕留メロヨ」


陸奥(勝てないって、本当は知ってたんだけど、一番にはなれないって、分かってたんだけど)


ル級B「イツデモイイゾ」


陸奥(それでも…貴方の事、諦められなかったの)


ル級「私モダ、イツデモ来イ」


陸奥(ねぇ知ってた?貴方ね、戦艦組で私だけ)


陸奥(あだ名で呼んでくれてたでしょ?)


陸奥(貴方にとっては気にも止めない様な事かもしれないけど)


陸奥(私、すっごく嬉しかったんだから)

962: 名無しさん 2017/05/30(火)21:37:29 ID:chR



ル級A「イクゾォオ!!」ググッ


陸奥「最後にもう一度だけ」ボソ





「むっちゃんって、呼ばれたかった…なんてーーーー」

963: 名無しさん 2017/05/30(火)21:38:00 ID:chR





ーーーーーチャン






「……え?」






ヒュウウウウウ…



964: 名無しさん 2017/05/30(火)21:38:22 ID:chR





『むっっっっちゃーーーーーん!!!!!』






ヒュウウウウウ……バッシャーーーン!!



ーー


965: 名無しさん 2017/05/30(火)21:38:54 ID:chR



陸奥「………」

ル級A「オイ、ナンダイマノ」

ル級B「ナニカ落チテキタゾ」

ル級C「人型ダッタ、援軍カ?」

陸奥「……今のって」ウル

ル級A「フン、タッタ一人デ援軍モ糞モアルカ」

ル級B「コイツト纏メテ始末スルダケ」

ル級C「サァ上ガッテコイ…」

陸奥「ふふ、まさか本当に呼ばれるなんて」クス

ル級A「ナンダ、コイツ笑ッテルゾ」

ル級B「単騎ノ援軍ナドデ状況ハ覆ラントイウノニ」

ル級C「気デモ狂ッタンジャナイノカ?」


陸奥「どうしようかしら…」ポロ

陸奥「幸運過ぎて、自分が怖いわ…」ポロポロ



「…ねぇ、提督?」ニコ



ブクブクブク…バシャッ



ーー


966: 名無しさん 2017/05/30(火)21:40:34 ID:chR




「ぶはっ!!は、話が違うじゃねぇか!」ゼェゼェ


『だから!そんな高さから飛び降りても機能しないって言ったじゃないですか!』


「ある程度なら行けるって言ったくせに…」


『そうですある程度なら、です!あれはある程度じゃない!』


「なんなのもう、カッコよく登場しようと思ったのに…めっちゃカッコ悪いやん」


『知りませんよもう…ほら、さっさと助ける』


「それは勿論の事なんだけど…」


『はい?』


「多分大丈夫だとは思うんだけどさ」


『はい』


「もしもん時はーーー」


『……ーーーだけですからね』



「分かってるよ」

967: 名無しさん 2017/05/30(火)21:41:16 ID:chR



提督「さて、と」チラ

ル級's「………」

陸奥「………」

提督「お前らだよな、むっちゃんをこんなにしたの」

ル級A「ダッタラドウスル?」

ル級B「敵ノ大将ガオ出マシトハ…」

ル級C「コイツヲ殺セバ大手柄ダ」

提督「………」

陸奥「提督…?」

ル級A「恐怖デ声モ出ナイカ」ケラケラ

ル級B「ナニ、スグ楽ニシテヤーーー」

提督「………」スッ

968: 名無しさん 2017/05/30(火)21:41:46 ID:chR



ドン


ル級C「…ア?」

ル級B「………」


フラッ…バシャァン


ル級A「ナ…首ガ…」

ル級C「キサマァ!!」

提督「………」ジャコン


ドン


ル級C「ェ……?」

ル級A「オ前…腹ニ…」

ル級A「穴、開イテ…」

ル級C「ガ…ハッ、ウブッ」ドロォ

提督「………」ジャコン


ドン ジャコン

ドン ジャコン

ドン


ル級C「ーー、ーーーッ」


バシャン

969: 名無しさん 2017/05/30(火)21:43:50 ID:chR


ル級A「ァ……アァ…」

提督「………」スッ


ジャコン


ル級A「…ミ、見逃シテクレ」ガクガク

提督「………」

ル級A「コイツノ事ハ謝ル…ダカラ、命ダケハ…」

提督「………」

ル級A「頼ム…コノ通リダ」ドゲザ

提督「………」スタスタ


コツッ


ル級A「エッ?」




ドン




ーー

970: 名無しさん 2017/05/30(火)21:44:21 ID:chR


陸奥「………」

提督「むっちゃん?」

陸奥「………」

提督「大丈夫?」

陸奥「提、督…?」ボー

提督「そだよ」

陸奥「…あの、アレは?」

提督「どれ?」

陸奥「戦艦ル級が、三隻……ぇ?」

提督「ん?」

陸奥「提督…なの?」

提督「うん」

陸奥「本当に?」

提督「本当に」

陸奥「でも、あんな提督…見たことない、わ」

提督「あー、うん…ごめんね」

陸奥「無表情で、深海棲艦を…散弾銃で…」

提督「いやまぁ…うん」

陸奥「………」

971: 名無しさん 2017/05/30(火)21:45:10 ID:chR

陸奥「…でも、助けてくれたのよね」

提督「うん」

陸奥「名前、呼んでくれたのよね」

提督「うん」

陸奥「もう一度、呼んでくれない?」

提督「…むっちゃん?」

陸奥「………」

陸奥「………」ウル

提督「え、と…むっちゃん、大丈夫?」オロ

陸奥「…腕」ボソ

提督「ん?」

陸奥「腕…広げて?」

提督「…はい」


ガバッ

972: 名無しさん 2017/05/30(火)21:45:37 ID:chR


陸奥「………」ギュッ

提督「………」

陸奥「………」ギュウゥ

提督「…もう、大丈夫だからね」ナデ

陸奥「…そんなの、分かってるわよ」

提督「そすか」

陸奥「……提督」

提督「ん?」

陸奥「……ごめんなさい」

提督「ん」

陸奥「…それと」



陸奥「来てくれて、ありがとう」



ーーー
ーー

973: 名無しさん 2017/05/30(火)21:46:23 ID:chR



明石『あ、終わったようでーーうわぁ!?』

提督「どしたの」

明石『何でそんな血塗れなんですか!?』

提督「………」

提督「じ、実は一発貰っちまって…」グフッ

明石『嘘乙』

提督「なんでだよ」

明石『んー…なんとなく、ですかね』

提督「さいですか」

明石『んで、陸奥さんは?』

陸奥「いるわよ」

明石『えーと、動けます?』

陸奥「動けなくもないけど…」

明石『まぁ仕方ないですよね、では…』


ブゥーーーン!ポイッ


バサッ…

974: 名無しさん 2017/05/30(火)21:47:00 ID:chR


提督「あれ何?」

明石『応急修理女神です』

提督「なるほど」

陸奥「助かるわ」

提督「てかそれ無人でも飛べるのかよ」

明石『できないとか言いましたっけ?』

提督「言ってないね」

明石『それでもやっぱり細かな操縦なんかはできませんから』

明石『戦闘になると、有人飛行には敵いませんけどね』

提督「へぇ」

陸奥「…提督」

提督「ん?」

陸奥「横槍入れて悪いんだけど、長門が何処にいるのか知ってる?」

提督「あ、そういや」

提督「明石、分かった?」

明石『あ、そうでした…えーとですねぇ』

明石『探索に出してた烈風なんですけど』

提督「見つけたの?」

明石『いえ、誰かさんからキレ気味にクレームをいただいたので…』

提督「うぐ」グサ

明石『航行距離はあれ以上延ばせませんが、更に詳細に探索できるよう改良しました』

提督「…どの位詳細なの?」

明石『んー、そうですねぇ』

975: 名無しさん 2017/05/30(火)21:48:29 ID:chR

明石『例えば、長門さんが指先を少し切ってしまいました。血が一滴地面に落ちますね』

提督「はい」

明石『はい、見つけました』

提督「はい?」

明石『今のはものの例えですが』

明石『詰まる所、長門さんから生成される体液や毛髪なんかレベルで見つけ出します』

提督「すごいのか何なのか」

明石『すごいんだよ』

明石『んで、今しがた長門さんがいるであろう島を発見しました』

提督「まじ?」

陸奥「ほんと?」

明石『はい、どうやらその島に廃墟がありますね…そこで長門さんの血液を発見しました』

提督「血液…?」

陸奥「大丈夫なの!?」

明石『えっと、血液は大袈裟でした』

明石『窓からお邪魔したみたいで、その時に割れたガラスで少し切っただけみたいですよ』

提督「そっかぁ」ホッ

陸奥「よかった」ホッ

明石『ただですねぇ…』

提督「なんかあんの?」

976: 名無しさん 2017/05/30(火)21:49:04 ID:chR

明石『んー…いや、その…』

提督「……?」

陸奥「……?」

明石『あー、なんか電波がーー』


ブツッ


提督「……は?」

陸奥「なんだったの?」

提督「いや、俺にもわかんなーーー」

明石『いいですか?陸奥さんに悟られないで下さい』

提督「いんだけど…」

陸奥「もう一度通信してみたら?」

明石『とりあえず伝えたい事だけ言うので、返事はいりません、いいですね』

提督「そうだね、少し待って試してみようか」

明石『まず、長門さんが今いる地点なんですが、ここからそんなに遠くありません』

陸奥「そうね」

明石『そして、もうひとつ』

明石『長門さんがお邪魔した廃墟なんですが……』

提督「んー、電波が復帰したら明石から再度ありそうなんだけど…」

977: 名無しさん 2017/05/30(火)21:49:58 ID:chR



明石『そこ、加賀さんが言っていた研究所の跡地です』



提督「なんだと!?」

陸奥「きゃぁ!?」ビクッ

明石『ちょっと!』

陸奥「どうしたのよ!」

提督「あ、いや…なんでもない」

明石『気持ちは分かんなくもないですが、反応しないで下さいよ…』

陸奥「何でもなくないでしょ、ちょっと…」ズイ

提督「あっ、ちょ」

陸奥「これね、こっそり通信してたんでしょ!」

陸奥「…明石さん?」

明石『…はい』

陸奥「提督と何を話してたの?」

明石『えー…と、今日の晩御飯の献立を…』

陸奥「晩御飯の献立になりたいのかしら?」

明石『何それ怖い』

978: 名無しさん 2017/05/30(火)21:51:01 ID:chR

陸奥「何の話をしてたの?」

明石『だからですねぇ…』

提督(おい明石……)モウカタホウデキイテル

明石『……陸奥さんをどうするか、ですかね?』

陸奥「私を?」

明石『そです、陸奥さんを鎮守府に戻すか、そのまま長門さんの捜索に同行させるか』

陸奥「……ふぅん」

明石『だから陸奥さんには聞かせられなかったんです』

陸奥「そういう事ね」

明石『ま、もうバレちゃったんですが』

提督「むっちゃん、どうする?」

陸奥「そんなの決まってるでしょ」

提督「だよね」

明石『じゃ、提督は烈風に乗り込んで下さい』

提督「はいよ」

明石『陸奥さんは付いてきてくださいねぇ』

陸奥「低速で頼むわよ」

明石『…では、向かいましょうか』


明石『長門さんの元へ』


ーー

982: 名無しさん 2017/08/02(水)15:58:55 ID:0ku


ー???ー


長門「くっ……」ググッ

??「サァテ、イツマデモツカナァ?」ウマノリ

長門「馬鹿に、するなっ!」グイッ

??「チッ、馬鹿力ガ」ググッ

長門「てぇいっ!」ブンッ

??「ナッ!?」

長門「今のうちに!」スタッ


タッタッタッ…


??「フン、逃ゲタカ…」

??「マァイイ、捕マルノモ時間ノ問題ダ」


ーー

983: 名無しさん 2017/08/02(水)15:59:39 ID:0ku


ー施設内・地下ー


長門「くっ、これは…」

長門「瓦礫で出口が…さっきの地震のせいか…?」

長門「何にしても早くここから脱出せねば…奴に追い付かれてしまう」

長門「………」

長門「…居場所を知らせる様なものだが、致し方あるまい」ギソウテンカイ

長門「どうせここまでは一本道だし…な!!」ドゴォオン!


モクモク…


長門「やったか……いや」

長門「扉の奥まで塞がっていたのか」

長門「来た道を戻るのは無理みたいだな…」

長門「………」ウーン

長門「……そうだ」クルッ


スタスタスタ……コンコン

スタスタ…コンコン


長門「ふむ、ここだな」

長門「ビッグセブンの力、侮るなよ!!」


ドゴォオン!!


モクモク…


長門「どうだ…?」

984: 名無しさん 2017/08/02(水)16:00:10 ID:0ku


長門「……よし、壁の向こう側は通路だった、が…」

長門「何処に繋がっているかは分からんのは少し不安だな」

長門「………」


バキィ!ガシャアン!


??「何処へ逃ゲタァ!」



長門「…ここに留まるよりはずっと良いみたいだな」


タッタッタッ…


ーー



??「……ホォ」ニヤ

??「壁ヲブチ抜イテ逃ゲタカ」

??「コノ先ハ確カ……フフ、悪運ノ強イ奴メ」

??「サァ見セテ貰ウゾ、戦艦長門」ニヤッ



ーーー
ーー


985: 名無しさん 2017/08/02(水)16:01:13 ID:0ku



ー空母寮・一航戦の部屋ー



赤城「ーーーという事になっているの」

加賀「それで私達は、提督を含めた三人を救出に向かわなければならないわ」

瑞鶴「提督さんったら…」タメイキ

翔鶴「独断、ですか…」

飛龍「…そんな」

蒼龍「………」

赤城「勿論これは強制ではないから、無理に着いてくる必要はないわ」

瑞鶴「決まってるでしょ、行くわよ」

翔鶴「私も行きます」

飛龍「そうだね、行かなきゃ」

蒼龍「………」

加賀「蒼龍はどうするの」

蒼龍「…勿論、行きます」

加賀「歯切れが悪いわね」

赤城「言い出しづらいかもしれないけど、本当に強制ではないから…」

蒼龍「そうじゃないんです、ただ…」

蒼龍「…行くのが怖いんです」カタカタ

飛龍「蒼龍…」

加賀「何故?」

蒼龍「だって、提督が出て行ってもうどれ位経ってるんですか…?」

赤城「それは…」

986: 名無しさん 2017/08/02(水)16:01:56 ID:0ku

蒼龍「提督に限って、そんな事無いのは私も分かってます…でも」

蒼龍「もし…私達が駆け付けた時…提督が…」

蒼龍「私、そんなの…耐えられません」ムナモトオサエ

加賀「例え蒼龍の言う事態になっていようと私はーー」

蒼龍「加賀さんは、良いですよね…」

加賀「…どういう事?」

蒼龍「ずっと提督を独り占めして、結婚もさせて貰って」

蒼龍「そりゃあ、信用できますよね」

飛龍「ちょ、蒼龍っ」アセ

加賀「その言い方だと、貴女は提督を信用できない…と言いたいのかしら?」

蒼龍「違う…ただ、ただ…私は」

蒼龍「私だって、もっと提督と話したかったのに…もっと近くにいたかったのに…」スゥ

飛龍「駄目だって!蒼龍!」

蒼龍「駄目な事ないよ、飛龍」

蒼龍「提督はこんな私でも大丈夫だって」

蒼龍「言ってくれたもん」フフフ

飛龍「違う!提督はそんなつもりでーー」

加賀「言いたい事はそれだけかしら」

蒼龍「…それだけ?」キッ

加賀「そうよ」

赤城「加賀さん、これ以上はーー」

加賀「余程大層な理由があるのかと思って聞いておけば」

加賀「蒼龍のそれはただの我儘ではなくて?」

蒼龍「……っ」キッ

987: 名無しさん 2017/08/02(水)16:02:22 ID:0ku

加賀「一つだけ言っておくけれど」

加賀「これは飛龍、五航戦も聞いておきなさい」

加賀「提督はよく運命と言う言葉を口にされますが」

加賀「その言葉に甘えて、運命だけであの人の隣に並べるなんて、舐めた考えは捨てる事ね」ゴゴゴ

蒼龍「………」クッ

飛龍「………」ゴクリ

瑞鶴「………」フン

翔鶴「………」アワワ

赤城「………」ソンナ…



加賀「…何故赤城さんまで驚いているの?」

赤城「…えっ、あぁ…そ、そうね」アハハ

加賀「少し話が逸れたわね…」

加賀「救出に向かう者だけ、明石さんの所に来なさい」スタスタ

赤城「…本当に無理はしなくていいから、ね?」スタスタ

瑞鶴「だから行くっての」スタスタ

翔鶴「あっ、瑞鶴!」スタタ

988: 名無しさん 2017/08/02(水)16:03:07 ID:0ku



飛龍「…蒼龍」

蒼龍「………」

飛龍「…私、行くよ?」

蒼龍「………」

飛龍「そりゃあ、蒼龍の言ってる事も分かるよ、だけど…」

飛龍「私達の首に掛かってる『これ』は」キラッ

飛龍「仮に一航戦の二人に劣っていたとしても」

飛龍「私と蒼龍の努力の証だって」

飛龍「それが、その想いが提督に伝わった結果だって」

飛龍「私は、そう思ってるから」ギュッ

蒼龍「………」

989: 名無しさん 2017/08/02(水)16:03:31 ID:0ku

飛龍「だから、私は行く」

飛龍「二度も私達を受け入れてくれたあの人に」

飛龍「私はどこまでも付いてく」

飛龍「それが、どんな結果に繋がったとしても、ね」

飛龍「それに、私ね」

飛龍「あの人が本当に私達の前から居なくなったりしないの、知ってるから」

蒼龍「………」

飛龍「だから、一緒に行こ?」

蒼龍「……飛龍」

飛龍「ここに来る前も、来た後も」

飛龍「あの人を好きになる時も、それを伝えた時も」

飛龍「いつも、一緒だったじゃない」ニコ

蒼龍「……っ」グスッ

飛龍「だから、ね?」テヲサシノベ

蒼龍「……うん、うんっ」ギュッ

飛龍「さ、急がなきゃ!」

蒼龍「そう、だね…」ゴシ


ーー

990: 名無しさん 2017/08/02(水)16:04:23 ID:0ku


ー明石ラボー


明石「おっ、来ましたね」

赤城「はい、全員ではないですが…」

明石「あら?二航戦の二人は留守番ですか?」

赤城「飛龍は遅れて来るかと思いますが…」

明石「蒼龍さんは来ない、と」

赤城「強制ではありませんしね…」

加賀「蒼龍は来るわ」

赤城「えっ?」

瑞鶴「私も来ると思う」

赤城「でもさっきは…」

翔鶴「それもきっと、提督を想っての事ですから」

明石「あの娘、ちょっと難しい所ありますからねぇ」


ウィーン


飛龍「遅れました!」

蒼龍「………」

明石「お、噂をすれば」

飛龍「噂ですか?」

明石「そそ、二人は来るのかなーって」

飛龍「あー、成程…」

蒼龍「あの、加賀さん…」

加賀「何?」

991: 名無しさん 2017/08/02(水)16:04:51 ID:0ku

蒼龍「さっきの生意気な態度…ごめんなさい」ペコ

加賀「別に気にしていないわ」

蒼龍「だけど…」

加賀「貴女の不安も、分からなくはないから」

加賀「私は、例え提督が骨だけになったとしても愛する自信があるけれど…」

瑞鶴「それもどうなのよ」

加賀「だけれど、皆がそうではないのも理解しています、それに…」

加賀「ここに来たのなら、貴女の不安は無くなったも同然よ」

蒼龍「えっ…」

翔鶴「どういう事ですか?」

加賀「明石さん、いいかしら」

明石「はいよー、ちょっちお待ちをっと…」カチャカチャ

明石「それじゃ、皆さんお待ちかねのー」カチャカチャ…ッターン

明石「提督ー、聞こえますかー?」

空母's「………」

シーーン

992: 名無しさん 2017/08/02(水)16:05:43 ID:0ku


提督「あー、こちら提督ー」

加賀「………」アンシン

赤城「こちら提督ー、じゃないですよ…」アキレ

瑞鶴「なによ、元気そうじゃない」ホッ

翔鶴「無事で何よりでしょ、瑞鶴」

飛龍「もー、提督ったら…」

蒼龍「………った」ポソ

飛龍「蒼龍?」

蒼龍「ぅう…」ウル

蒼龍「ぅぇえ…よがっだ、でいどぐ」ポロポロ

飛龍「安心したみたいだね」クス

提督「え…今の泣き声って、蒼龍…?」

明石「あーあ、提督が泣かしたー」

提督「ちょ、蒼龍?大丈夫?」アセ

蒼龍「提督のばかぁぁあ」ボロボロ

提督「明石、俺なんかした?」

明石「現在進行形で」

提督「あー、成程…」

瑞鶴「提督さん最低」

翔鶴「提督、女性を泣かすのは関心しませんよ?」

提督「うぐ…」

993: 名無しさん 2017/08/02(水)16:06:22 ID:0ku

蒼龍「うぅ…ぐすっ」メソメソ

提督「あー…えっと、蒼龍?」

蒼龍「…なに?」

提督「えぇと…ごめんな?」

蒼龍「…ゆるさないから」

提督「まじかぁ」

蒼龍「婚約者を残してどっか行っちゃう提督なんか許してあげない」グスッ

提督「」

飛龍「ちょ、蒼龍!?」

蒼龍「知らないもん、もう隠さないから」

翔鶴「婚約者…?」

瑞鶴「聞き捨てならないわね」

赤城「…提督?」

加賀「どういう事ですか?」

提督「えぇと、ちょっと待ってね」

赤城「待てません」加賀「待てません」

提督「い、今はそれどころじゃないからさ!」

提督「全部終わらせて戻ってきたらちゃんと説明するから!」

赤城「本当ですか?」

提督「本当も本当、マジさ」

加賀「分かりました、私達も可及的速やかに事を終わらせましょう」

994: 名無しさん 2017/08/02(水)16:06:57 ID:0ku

提督「……えっ」

提督「ちょっと待って、ねぇ明石」

明石「はい?」

提督「どゆこと?」

明石「あー何か電波が悪くなってきましたねー」

提督「明石のばーか」

明石「誰が馬鹿だ」

提督「聞こえてんじゃねぇか」

明石「あー聞こえなーい、通信が切れちゃうー」


プツン


赤城「明石さん、良かったのですか?」

明石「ああでもしないと聞きませんよ、多分」

加賀「口を滑らせてしまったわ…」

飛龍「遅かれ早かれだと思いますよ?」

加賀「それもそうね」

瑞鶴「開き直るの早すぎかよ」

加賀「黙りなさい五航戦」

加賀「さ、早く行くわよ」スタスタ

995: 名無しさん 2017/08/02(水)16:07:23 ID:0ku



翔鶴「加賀さん、焦ってるのでしょうか」

赤城「焦ってると言うより、提督に早く会いたいだけだと思うわ」

飛龍「蒼龍、私達も行こっ」

蒼龍「………」

飛龍「蒼龍?」

蒼龍「…どうしよう」

飛龍「何が?」

蒼龍「言っちゃった…秘密だって言ってたのに…」ズーン

飛龍「あぁ…あれね」

蒼龍「嫌われないかな…」ズーーン

飛龍「嫌われはしないだろし、寧ろ良かったんじゃない?」

蒼龍「えっ…?」

996: 名無しさん 2017/08/02(水)16:07:40 ID:0ku

飛龍「提督の事となれば、艦種問わず右も左もライバルだらけなわけじゃん」

蒼龍「うん」

飛龍「牽制だよ、次は私達だぞーって」

蒼龍「そうなのかな…」

飛龍「そそ、練度だと戦艦組と変わらないしちょうど良かったんだよ」

蒼龍「うーん…」

飛龍「そういう事なの!さ、行くよ!」グイッ

蒼龍「わわっ、待ってよ」



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