1: 名無しさん 19/09/18(水)16:54:44 ID:6re
金髪腹ペコシスターにご飯をあげたい欲望の発散です。
趣味全開って感じですが、もしよければ、ぜひ。よろしくお願いします。

引用元: ・【モバマスss】腹ペコシスターの今日の一品;マヨチキ

2: 名無しさん 19/09/18(水)16:55:19 ID:6re
【オードブル:出会い】



腰と背中に今日の疲れが蓄積しだした。パソコンの画面をみすぎて、少し目が痛い。目元を親指と人差し指で抑えたまま立ち上がり、少し背伸びをする。

「ああ、もう19時か……」

この時間夕飯、何にしようかな……」

コンビニ飯やレトルトカレーはたまに食べると美味しいが、何日も続くと飽きがくる。不思議だ。毎日同じものを食べているわけではないのに。それと、こんな生活を送っていることが響子あたりにバレたら大目玉だ。徒党を組んで俺の家に急襲をかけてもおかしくはない。

「んーしょうがない……なんか作るかぁ……」

3: 名無しさん 19/09/18(水)16:55:35 ID:6re
事務所の給湯室に向かう。たしかあっこの冷蔵庫には、有志が食材を買いだめしてあるはずだ。たまに、響子や葵達が講師になって料理教室を開催しているからな。その邪魔になってもいけないのであまり食材をバンバン使いたくないが、まあ中身を見て決めるか……ん?

────なんだ、あれは。

4: 名無しさん 19/09/18(水)16:55:50 ID:6re
いや、頭ではわかっている。認めたくないだけだ。だから一回目をそらして、天井を見上げて深呼吸する。────冗談であってくれよ。

────冗談で、あってくれって。言ったのにさ。

5: 名無しさん 19/09/18(水)16:56:06 ID:6re
給湯室の入り口に、誰かが倒れている。この角度からでは下半身だけしか見えないが、スカートを履いているのは確認できる。十中八九は女性だろう。残りの可能性は変態だ。
しかし、この事務所にいる女性はちひろさんか、アイドルくらいしかない。万が一つの可能性に出入りする業者さんの関係者という可能性もあるが、19時にもなって給湯室付近に用事なんてないだろう。いずれにしろ、そんなことがあったら大問題だ……!

────全く不本意なことに。俺はあそこで倒れている女性(?)に関して、どうかスカートを履いている変態であってほしいと望んでいるらしい。……言葉にするとよりおぞましくなったが、とにかくその真偽を確認しなければ……!

「大丈夫ですか!? ……っ! あ、あなたは……っ!!」

6: 名無しさん 19/09/18(水)16:56:23 ID:6re
ちくしょう。
最悪だ。
せめて、せめて変態であって欲しかった(いや、別に欲しくはないのだけど……)。だがその姿は正真正銘、ウチの事務所のアイドルだ。先日、事務所が初めて企画したライブステージで眼を見張る活躍をした、あのアイドルだ。

「シスター・クラリス……っ! どうして! 」
柔らかで、たおやかな雰囲気。どんな困難にも真っ直ぐに向かっていく芯の強さ。天性の歌唱力。そして何より、人を惹きつけてやまない、その人柄。直接彼女を担当しているわけではなかったが、彼女の素晴らしさはそんな俺にだってはっきりと感じ取れた。

「シスター・クラリス……ああ、どうか目を覚まして……! クソっ! 一体、誰がこんな……! 」

────ここまで言って、ふと、俺の脳裏に「フラグっぽいな、これ」という声が聞こえた。今にして思えば、この声はおそらく天使からの警鐘で。悪魔からのささやきだったのだろうと。振り返れば、そう思う。

7: 名無しさん 19/09/18(水)16:56:40 ID:6re


グゥ~~~…………

8: 名無しさん 19/09/18(水)16:57:04 ID:6re


……見事だ。ここまで自己主張の激しい腹の虫を抱えている人間は、相当な益荒男に違いない。
そうだ、そうと言ってくれ。シスター、何故顔が赤くなる。みるみるうちに顔が真っ赤に……ってか起きてたんじゃないか。なんだよ。てかなんで倒れてたんだよ、じゃあ。

9: 名無しさん 19/09/18(水)16:57:43 ID:6re

グゥ~~~…………




…………シスターは両手で顔を覆う。見ないでください……って、いや、そう言うなら見ないけどさ……隠すべきは顔ではなく音ではないだろうか……まぁもう隠しても意味はないけど……

10: 名無しさん 19/09/18(水)16:57:57 ID:6re

グゥ~~~…………



………………よし、わかった。よくわかった。

11: 名無しさん 19/09/18(水)16:58:10 ID:6re
「……クラリス、さん。」
「……はぅぅ……はぃ……」
「……俺、ちょっとお腹すいちゃって。何か適当に作りますから、一緒に食べませんか? 」
「は……はぃぃ……!!」

ここでアイドルを輝かすことが至上命題であるプロデューサーのやるべきことは決まっている。見られたくないものは見なかったことに。聞かれたくなかったものは聞かなかったことに。そして────────腹ペコシスターに、愛を込めて施しを。

12: 名無しさん 19/09/18(水)16:58:30 ID:6re
【今日の一品:マヨチキ】



「お、お腹が……すきました……」
「ええ、知ってます。」

何があったのか。その事情をかいつまんで説明しよう。

まずクラリスさんは悪魔祓いをしていたらしい。
それで日常生活を送るのに必要なエネルギーすら使い果たしてしまったのでエネルギーを補給しようとしたら、階段を昇ったことで臨界点を超え、完全に眠りこけてしまった。俺の声で目が覚めたが肝心のエネルギー補給はなされていなかったので、お腹がペコペコらしい。以上、説明終わり。

13: 名無しさん 19/09/18(水)16:58:48 ID:6re
「それにしても悪魔祓いですかぁ。大変でしょう。」
「いえ、今日は下級の悪魔ばかりでしたから……とはいえ想像以上に数が多く、手間取ったのは確かですね。」
「そうですかぁ。すごいなぁ。」
「うふふ。そんなに褒めていただかなくとも……シスターとして生きる以上、これは宿命なのですから。」


シスターってすごい。


「そ、それでプロデューサー……様?」
「ああ、確かに部長と呼び方が被ってしまいますね。……ま、でも。俺のことはプロデューサーさん、と愛を込めてお呼びください。」
「そ、それでは……プロデューサーさん、今日は何を作っていただけるんですか?」

……意外にマイペースというか、食に目がないんだな。まぁ悪魔祓ったんだから仕方ないか。

14: 名無しさん 19/09/18(水)16:59:02 ID:6re
「ん。まっててください、冷蔵庫の中身を確認しますんで……ああ、鶏肉があった。これでいいか──それじゃあクラリスさん。パパッと作りますから、楽しみにしておいてください。」
「……はいっ!お待ちしています!」

さて、今日のメニューは腹ペコシスターに栄養補給も兼ねるので、手早く美味しく、がっつりこってり目に行きますか。

15: 名無しさん 19/09/18(水)16:59:18 ID:6re
────まず、鶏もも肉350g を一口大に切る。切った鶏肉はボウルに入れ、塩胡椒と片栗粉をまぶす。


────フライパンに薄く油を敷く。これをバター10g に変えるとより濃厚な味わいになり香りも増すが、カロリーの取りすぎにはくれぐれも気をつけよう。……今日は、栄養補給をさせないといけないので。バターに、してしまおうか。


────温まったフライパンに先ほど用意した鶏肉を入れ、焼く。この時、皮に少し焦げ目をつけると香りが立つ。両面をしっかり焼いた後は火を止め、キッチンペーパーを敷いた取り皿に取り、余分な油を除く。


────余計な油を拭いた後はいよいよ味付けだ。しゅがーはぁと……もとい、砂糖と醤油、そして味噌を小さじ1ずつ。マヨネーズを大さじ1。……秘密だが、こってりが好きならば、追加で小さじ半分ほどマヨを追加で投入してもいいだろう。今回は、特別に追いマヨネーズをしてしまおう。


────最後に、これがポイントだ。隠し味として、ポ○リスエットを小さじ2ほど入れる。なければ水でも構わないが、味の深みに微妙に差が出ることは承知しておいてくれ。


────完成だ。俺流マヨチキ。そのままでももちろん美味いが、好みでブラックペッパーを好きなだけかけるといい。俺は、三振り。彼女は────いや、任せようか。

16: 名無しさん 19/09/18(水)16:59:34 ID:6re
「さあ、できましたよ……」
「はぅ……香ばしい匂い……」
「ああ、クラリスさんは座っていてください。今持ってきますから……」

さぁ、腹ペコシスター。美味しさの暴力の時間だ。

「あ、あああ……! こんがり焼けた鶏肉に、味噌の香りがプラスされて……!醤油で色付けられた黒に、マヨネーズの白が配合され、これは……これは! まるで昼夜の創世のよう……!」

そ、そこまで褒めてもらわなくてもいいんだがな────ま、作ったものを褒められるのは、なんであれ嬉しいな。その気持ちは、ありがたく頂いておきます。
さて。では、俺も。


────いただきます。

17: 名無しさん 19/09/18(水)17:01:25 ID:6re
【デザート:君が一層喜んでくれるように】



それからというもの。クラリスさんは「仕事」を終えるたびに────それはアイドルとしてのお仕事も例にもれない────ふらりと俺の前にやってきて、物欲しげな表情を浮かべるようになった。
シスターってなんだろうって考えたこともあったが、まぁ悪魔も祓ってるし深いことは考えないことにする。

俺はその度に、クラリスさんに食事を作るようになった。
最近は、俺のレパートリーも底を尽きてきたので、真剣に響子と葵の料理教室に参加しようか迷っている。
そう伝えたところ、響子なんかは「ようやくプロデューサーさんが健康に気を使ってくれるように……」といって泣き崩れていた。俺も罪な男になったものだ。

部長は「君に懐いているようでなにより」とか言っていたが、それはどうなんだろう。懐かれているのか、それともご飯を用意してくれる装置としてしか見られていないのかはわからない。
というより、判断する要素が少ないのだ。俺は別にクラリスさんの担当というわけでもないし。
……そういえば、部長が今度担当替えをするとかなんとか言っていたな。
この件とは関係ないとは思うが、タイミング的には勘ぐってしまうのも無理はないだろう。


まぁ、でも。いいのさ、なんでも。


そういえば。最近、スマホのアラームをつけるようになったのだ。
目覚ましとしてはもちろん毎日使っているのだけど、最近設定したアラームが鳴る時間は、19時。
今日も、ピピピ、ピピピと陽気な音を鳴らす。俺がそのアラームを止めたのと、早いか遅いか知れないが、部屋のドアをノックする音がする。


────さぁ。今日も、何を作ろうか。何を作っても、君は喜んでくれるのだろうけれど、それだけではなく。

18: 名無しさん 19/09/18(水)17:04:38 ID:6re
以上です。
皆さんのオススメの料理がありましたら教えていただけると嬉しいです(私が)。
料理は好きですが、素人ですので、練習していきたいです。

他には最近こんなものを書いていました(最近の3つです)。
これらも含め、過去作もよろしければぜひ。
よろしくお願いします。


【モバマスSS】前川被害者事件簿 その3

【モバマスss】華、微【三船美優】
 
【モバマスSS】好きだっていいじゃない【三船美優】