1: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:34:17.60 ID:RGmCGys0
◆まとめサイト
http://plaza.rakuten.co.jp/MikenekoMilk/
http://blog.livedoor.jp/minnanohimatubushi/

◆第一部 あらすじ
第1章:旧沼地でイャンクックに拾われた女の子。彼女はモンスターのしがらみに巻き込まれてしまいます。
    フルフルの薬を取りに、人間の里へ向かった帰り、ドドに襲われてしまいますが……。
第2章:ランゴスタの毒にやられてしまったグラビモス亜種を救うため、キングチャチャブーの元に向かうイャンクック達。
    その頃、薬の禁断症状に苦しむグラビモスは、人間に捕獲されてしまっていました。
第3章:三年前、シュレイド城での人間との戦いで、モンスター達は内部分裂を起こしてしまいます。
    大切な家族を守るためにイャンクックは戦おうとしますが……。
第4章:キングチャチャブーと共に、ランゴスタクイーンの下へ急ぐイャンクック。
    しかし雪山では、人間を憎むイャンガルルガに女児がさらわれてしまいます。
第5章:ナナ・テスカトリに救われる女児。しかし火傷は深く、ナナは女児を砂漠に連れて行きます。
    その中、シェンガオレン復活を目論む一派のラージャンが襲来し……。
第6章:不遇な扱いを受けて育ってきた女児。彼女は白い羽を持つ猫と出会います。
    一方、対峙する砂漠勢と猿、蟹達。シェンガオレンも動き出し、ディアブロス達は窮地に立たされます。
第7章:ネコートより先代村長の武器を手渡されるハンマー。砦に向かった彼は、シェンガオレンを発見します。
    女児たちも懸命に追うも、とまらないシェンガオレン。その時、女児の体が光を放ち……。

引用元: ・イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 3

2: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:35:02.90 ID:RGmCGys0
◆第二部 あらすじ
第1話:ナルガクルガのことが気になる紫ガミザミ。
    彼女は、彼に黒真珠のお守りを渡そうとしますが……。
第2話:猫が別大陸から盗んできた卵から、ウラガンギンが孵ってしまいました。
    条件付けにより、少女を母親と思ってしまい……。
第3話:縄張りに入ったことにより、奇面族に襲われるラギアクルス。
    誤解を解いた彼は、戸惑いながらも少女と相対します。
第4話:ラギアクルスと共に海を渡る少女達。無事に別大陸に到着します。
    しかし、雪原でベリオロスの雪崩による襲撃に遭ってしまい……。
第5話:雪崩により分断されてしまう少女達とナルガ達。さらにクックは、ベリオロスの攻撃で墜落してしまいます。
    そんな中、絶体絶命のラギアクルスを助けたのはクルペッコでした。
第6話:砂原に出る少女達。そこで一向は、ドスジャギィの言葉から王位奪還の計画を知ります。
    そこに、ハンマー達を探しに来たスラッシュアックスと、嵌められたボルボロスが鉢合わせをしてしまい……。
第7話:戦いを始めてしまうスラッシュアックスとハンマー。二人は互いの主張により決裂してしまいます。
    そんな中、女児は落石で頭を打ち、今までにない違和感をイャンクックたちに覚えます。
第8話:過去、スラッシュアックスとの戦いで父と召使いを失ったベルキュロス。
    彼女の心の歪みは、状況を巻き込んでさらに込み入ったことになってしまいます。
    一方少女は、ハンマーに励まされ、イャンクック達と一緒にいる決意を固めるのでした。
第9話:ドスバギィの巣に逃げ込んだボルボロスにトドメをさすため、スラッシュアックスは砂上船を出します。
    一方、ベリオロスは、ナルガクルガが実の息子であるということに確信を抱き始めていました。
    そんな中、ついに砂上船の大銅羅が巣に直撃し……。

以下続刊です

3: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:39:52.57 ID:RGmCGys0
ハンマー 「うぉぉぉぉぉ!!!!!」
ベルキュロス 「!?」
ベルキュロス 「(まさか、ラギアクルスが上に跳ね上げて……)」
ハンマー 「食らえぇぇぇ!!(ブゥゥゥンッ!!)」
 >ドゴォォォォッ!!
ベルキュロス 「ガ……ッ アァァァ!!!(グラッ)」
 >ザッパァァァンッ
ハンマー 「(ドボォォォンッ)う……ッ!!」
ベルキュロス 「……………………!!!!! ……!!!」
ベルキュロス 「(殴られた……あ、頭を…………)」
ベルキュロス 「(前が……見えない……目の前に……星が散って………………)」
ベルキュロス 「(か……からだが……)」
ベルキュロス 「(そんなバカな……)」
ベルキュロス 「(一撃……たったの一撃だぞ……!!!)」
ベルキュロス 「(う……動かない………………)」
ベルキュロス 「(こ、怖い…………)」
ベルキュロス 「(怖いよ………………パリア…………!!!!)」

4: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:40:48.44 ID:RGmCGys0
ラギアクルス 「はぁ……はぁ……」
テオ・テスカトル 「雷が止んだ…………」
ラギアクルス 「(あの人間は水に落ちたか……)」
ハンマー 「ぷはぁぁ!(ザバッ)」
ラギアクルス 「(上がってきた! 何とタフな奴よ…………)」
ラギアクルス 「(ベルキュロス様は……水に浮かんだまま動かない……)」
ラギアクルス 「(まさか、殺してしまったのか……!?)」
ベルキュロス 「(ピクッ)」
ラギアクルス 「!!」
ベルキュロス 「こんなことで……こんな、こんなことで……やられるかぁぁぁ!!!」
ベルキュロス 「カァァァァ!!」
 >ピシャァァァンッ!!
テオ・テスカトル 「何!? まだ余力があったのか!」
ハンマー 「!!!」
ボルボロス 「(ドドドドドド)…………グォォォォォ!!!」
ボルボロス 「(ピシャァァッ!!)ガッ……!!!」
ラギアクルス 「ボルボロス様ァァァァ!!!」

5: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:41:59.64 ID:RGmCGys0
ボルボロス 「が……か……(よろ……よろ)」
ベルキュロス 「へへ……へ…………」
ベルキュロス 「あんたの方から来てくれるとはね……」
ベルキュロス 「死にな…………(ふら……ふら……)」
ボルボロス 「ガァァァ!(ドドドドド)」
ベルキュロス 「!!!くっ(ピシャァァァンッ)」
ボルボロス 「(ピシャァァ!)ガ……グォォォ!!(ドガァァ!!)」
ベルキュロス 「(ドゴォッ)グ……ハァァ!!」
ラギアクルス 「(お二人がこちら側に吹き飛んできた……!!)」
ラギアクルス 「(あ……あれは……)」
ラギアクルス 「(先ほどの雷の嵐で、崩れていた崖がさらに崩れて……)」
 >ズズズズズズズ…………
ラギアクルス 「(崩落する……!!!)」
 >ゴゴゴゴゴゴゴ
 >ドババババアアアッ!!!
ベルキュロス 「!!」

6: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:42:50.90 ID:RGmCGys0
ボルボロス 「はぁ……はぁ…………うっ………………(ズゥゥン)」
ベルキュロス 「(滝が完全に、崖で埋まりやがった……)」
ベルキュロス 「(あ……あそこにいたら、押しつぶされて死んでいた……)」
ベルキュロス 「(こいつ……あたいを助けたのか……!!?)」
ベルキュロス 「(卵を盗んで、殺そうとまでしたあたいを!!?)」
ベルキュロス 「(どうして!?)」
ボルボロス 「……はぁ……はぁ……」
ボルボロス 「安心……してください……」
ベルキュロス 「!?」
ボルボロス 「私は……あなたを敵だとは思いません……」
ボルボロス 「私の王国に住む……仲間だと思っています…………」
ベルキュロス 「………………!!!」
ボルボロス 「私はあなたを傷つけない……だから、安心してください…………」
ベルキュロス 「…………」

7: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:43:42.10 ID:RGmCGys0
ラギアクルス 「ボルボロス様ァァ!!」
ドスジャギィ 「王妃さん!!」
ベルキュロス 「(グググ…………)」
ベルキュロス 「(許せるか……)」
ベルキュロス 「(そんなことで許せるもんか……)」
ベルキュロス 「(だって……だって……)」
ベルキュロス 「(もう、あたいの大事なものは帰ってこないんだ……)」
ベルキュロス 「(お前たちの……)」
ベルキュロス 「(…………お前たちの………………)」
ボルボロス 「………………」
ベルキュロス 「(な………………!!)」
ベルキュロス 「(涙……!!?)」
ボルボロス 「…………ごめんなさい…………」
ベルキュロス 「!!」
ボルボロス 「辛い思いをさせてしまって……ごめんなさい……」
ベルキュロス 「うう……グ………………(ググググ)」

8: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:44:40.97 ID:RGmCGys0
×××××× 「そこまでだ! 全員静かにしな! こいつの命が惜しかったらなァ!!」
ラギアクルス 「!!」
ドスジャギィ 「ベルキュロス様から離れやがれ!」
クルペッコ 「うう……」
ラギアクルス 「あれは……ホイッスラー!?」
ドスバギィ 「チィ。卑怯な……」
ナルガクルガ 「………………」
ドスジャギィ 「ベルキュロス様、今です。こっちに……!!」
ベルキュロス 「………………」
ボルボロス 「………………」
ベルキュロス 「(よろ……よろ……)……(バサァッ)」
ドスジャギィ 「……大丈夫ですか!? ベルキュロス様!!」
ベルキュロス 「………………(ぐいっ)」
クルペッコ 「……!」
ベルキュロス 「(ぽいっ)」
ラギアクルス 「(ベルキュロス様が、ホイッスラーを投げ落とした……!!)」
クルペッコ 「(ドサッ)うぐっ……!!」
ベルキュロス 「…………(ふらふら)…………帰るよ…………(バサァッ)」
ドスジャギィ 「……了解でさ(ササッ)」

9: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:45:49.83 ID:RGmCGys0
ラギアクルス 「ボルボロス様!!(ダダダッ)」
ボルボロス 「……私は大丈夫……歩けます……」
テオ・テスカトル 「嵐は止んだ……のか……?」
ハンマー 「くっ……滝つぼが、落ちてきた崖の破片で埋まってしまった……!!」
太刀 「ハンマー!! 大丈夫!?」
ハンマー 「俺は無事だ! だが……」
太刀 「少女ちゃん……!!!」
ハンマー 「くそ……!! 折角目が見えるようになったのに!!」
ハンマー 「くっそぉぉぉぉぉ!!!」
ラギアクルス 「(滝つぼが埋まってしまった……)」
ラギアクルス 「(ウラガンキン様……少女、クック殿……)」
ラギアクルス 「(海流に乗って、火山まで行ければ良いが……)」
ラギアクルス 「(急ぎ、後を追わねば……!!!)」

10: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:47:05.24 ID:RGmCGys0
―火山―

アグナコトル 「……(なんだか今日は、随分と流れてくる瓦礫の量が多いねぇ)」
イビルジョー 「Zzzz……Zzzz……」
アグナコトル 「ったくこいつは……(ゲシッ)ほら、起きなよジョー。良くこんな溶岩のド真ん中で寝れるもんだよ」
イビルジョー 「はっ゛……ふあ゛ぁぁ……!!」
イビルジョー 「…………? アグナじゃねぇーか。何しにきた?」
アグナコトル 「や、何。ちょっと胸騒ぎがしてね」
イビルジョー 「胸騒ぎ? いつもと同じだぜ?」
イビルジョー 「今日の俺もご機嫌最強ッ。心配されることなんて全ッ然なしッ」
アグナコトル 「心配なんてするかよバカッ。それよりあんた、今日の診察サボったでしょ」
アグナコトル 「あたしはねぇ、あんたが来るとみんなが怖がるから、わざわざいの一番を開けてやってたんだよ」
アグナコトル 「一応診てやるから傷を見せな」
イビルジョー 「ゲェ。そのために来たのかよ。おせっかいも大概にしやがれってんだ」
イビルジョー 「面倒なのに捕まっちまった……」

11: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:47:58.36 ID:RGmCGys0
アグナコトル 「(バシッ)ほら、とっとと口開けな」
イビルジョー 「わぁーった。わぁーったよ。殴るな、溶岩女。熱い」
アグナコトル 「溶岩の中で寝てた阿呆に言われたかないね」
アグナコトル 「ふぅん、だいぶ良くなってるけど……あんた、全然関係ないとこに虫歯が出来てるよ」
イビルジョー 「何ィ? ナメたこと抜かすな。俺が虫歯なんぞにやられるかってんだ」
アグナコトル 「じゃあこれは何だい?(ぐいっ)」
イビルジョー 「ピィッ!」
アグナコトル 「ほれみな、やっぱり虫歯じゃないか」
イビルジョー 「い……いきなりひねる奴があるか……」
アグナコトル 「何でもかんでも食っちまうからこうなるのさ」
アグナコトル 「今日は道具を持ってきていないから、明日抜いちまおう」
アグナコトル 「どーせ抜いてもすぐ生えてくるんだろ?」
イビルジョー 「まーたアレやんのか。まったく、やってらんねぇな」
イビルジョー 「ん? 何か川の流れがやけに早ェな……」

12: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:49:31.19 ID:RGmCGys0
イビルジョー 「……まぁ、まじめな話、あの警戒厳重なボルボロス様の皇居から、卵を持ち出せる奴がいるとすれば……」
アグナコトル 「………………」
イビルジョー 「あくまで過程の話だけどな」
×××××× 「(バサァッ! バサァッ!)」
イビルジョー 「? 何だァ? 毒夫婦のバカ二人じゃねぇか」
アグナコトル 「……? あァホントだ。こっちに飛んでくるわ」
毒リオレウス 「おんどりゃぁぁぁ!! しゃだらぁぁ!!」
毒リオレイア 「暑い! 暑いぞこらァァ!!」
イビルジョー 「はぁ、またむさくるしい面倒な奴らに見つかっちまった」
毒リオレウス 「(バサァッ)やっと見つけたぞバカダラァァ!」
イビルジョー 「バカにバカって言われたくはねぇな!」
毒リオレウス 「うっせえバカ! こっちゃ、急ぎの用だってのに、さんざ火山飛び回って大変だったんや!」
毒リオレイア 「ほんまいい加減にして欲しいわ! ケェ、こんな暑い所もう御免だぜ!」
イビルジョー 「うっせ! じゃぁ来んな!」
毒リオレイア 「好きでこんなところに来るか! アホダラァ!」
アグナコトル 「まぁまぁ落ち着いて。ジョー、あんたは黙ってな」
イビルジョー 「俺かよ」
毒リオレウス 「アグナの嬢ちゃんじゃねぇか! よかった、探す手間が省けたで」
毒リオレイア 「大変なんだ。聞いとくれや」

13: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:50:22.90 ID:RGmCGys0
アグナコトル 「…………………………何ですって!? 卵が別の大陸で孵化して……」
イビルジョー 「産まれたウラガンキン二世様を、ベルキュロスたちが狙ってる!?」
イビルジョー 「やっぱあいつらか!! 怪しいと思ってたんだ!!」
イビルジョー 「ぐぅぅぅ!! 卑怯なことしやがる!」
毒リオレウス 「ボルボロス様は、ベルキュロスと話をするために、お前たちの力を借りたいといってらしたや」
毒リオレウス 「とっかく、はよ来てくれ」
イビルジョー 「うっし。ボルボロス様じきじきの命令だ。行くっきゃねぇな」
アグナコトル 「……ウラガンキン二世様は無事なのかい?」
毒リオレイア 「あぁ。今は騎士団に保護されてるよ」
毒リオレイア 「ただ、今ちょっと面倒なことになっててね……」
アグナコトル 「面倒なこと?」
毒リオレイア 「行きながら話す。はよせな」
イビルジョー 「ちょ、少しまってくれ。俺専用温泉が埋まってないか見てくる」
毒リオレウス 「後にせいやバカ!」
イビルジョー 「うっせぇバカ! この近くなんだよ(ドスドス)」
アグナコトル 「ったくあいつは……!!(ドスドス)」

14: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:51:13.95 ID:RGmCGys0
イビルジョー 「あぁあったあった。埋まってねぇ」
イビルジョー 「この辺りは海に繋がってるから、ほどいい温度になる貴重な場所なんだよ」
アグナコトル 「はいはい分かった分かった。それよりボルボロス様だ。ウラガンキン二世様も気になる」
イビルジョー 「オッケ。行くべ」
イビルジョー 「……? 何か打ち上げられてるぞ?」
毒リオレウス 「うっちゃっておけや!」
アグナコトル 「…………!? は……!? お、おい……あれって……」
イビルジョー 「うおっっ!!」
毒リオレイア 「? 何して……うわっ!!」
毒リオレウス 「てめぇら何チンタラ…………ッ!!?」
アグナコトル 「(ドス、ドス)これ……打ち上げられてるの、これって……」
アグナコトル 「ウラガンキン様じゃないかい……?」
ウラガンキン 「………………」
少女 「…………」
クック 「…………」
イビルジョー 「人間に変な鳥もいるぜ? 食うか!?」
毒リオレウス 「あぁあ! ちょ、ちょいまち!」
毒リオレイア 「この人間は、今このウラガンキン二世様の……母親なんだよ!」
アグナコトル 「………………???」
イビルジョー 「…………はァァ?」

15: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/04(金) 12:52:19.30 ID:RGmCGys0
―モガの村―

スラッシュアックス 「撃竜船の準備はいいか!?」
熟練ハンターA 「もう少しで全部の準備が整う!」
熟練ハンターC 「発進できるまではまだかかるぞ!」
スラッシュアックス 「峯山龍がまだあの近くにい続けるとは限らない。出来るだけ迅速に行ってくれ!」
スラッシュアックス 「(一度ならず二度までも、ハンマーに邪魔をされた……)」
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「(俺は心を決めた……)」
スラッシュアックス 「(村の仲間……子供を守るためには、モンスターは倒さなければいけない……)」
スラッシュアックス 「(俺自身の復讐を完結させるためにも……!!!)」
スラッシュアックス 「(あの峯山龍や土砂竜を生かしておいては、この先安心して人々が過ごすことが出来ない)」
スラッシュアックス 「(全て……俺の手で殺してやる……!!)」
スラッシュアックス 「(ハンマー、また俺を止めるというのならば、何度でも立ちふさがればいい!!)」
スラッシュアックス 「(俺は……俺の信念は、それしきのことでは折れたりはしない!!)」
スラッシュアックス 「勇気のあるものは集まれ!!」
スラッシュアックス 「これより、危険度最高の峯山龍撃退に出る!!!」
スラッシュアックス 「臆するな! 信じる者に勝利は舞い降りる!」
スラッシュアックス 「俺と同じハンター……『モンスターハンター』は、俺について来い!!」

52: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:49:12.62 ID:xj0ZFkI0
11.ジエン・モーラン 「同じ日は来ない」

―モガの村―

スラッシュアックス 「(あの巨体がすぐに遠くに動けるとは考えづらい……)」
スラッシュアックス 「(まだ、凍土の近くにいるはずだ)」
スラッシュアックス 「…………」
スラッシュアックス 「(…………あの巨大な体で村に侵攻してこられたときが恐怖だ……)」
スラッシュアックス 「(俺たちは、それに対して防ぐ術を持たない……)」
スラッシュアックス 「(ハンマー……お前は、敵ではない者もいると確かに俺に言った……)」
スラッシュアックス 「(しかしこの現実は何だ)」
スラッシュアックス 「(俺たちはモンスターの脅威におびえながら過ごし、モンスターは……)」
スラッシュアックス 「(モンスターは、のうのうと生きている)」
スラッシュアックス 「(圧倒的な力の差……それが俺たちの間にある限り、共に生きるというのは無理なんだ)」
スラッシュアックス 「(どちらかが倒れない限り、どちらかに平穏は訪れることはない)」
スラッシュアックス 「(何故それが分からない、ハンマー……)」
スラッシュアックス 「(お前は、人間だろう……!!)」
スラッシュアックス 「(俺と同じ人間のはずなのに……)」
スラッシュアックス 「(何故だ……!!)」

53: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:50:09.04 ID:xj0ZFkI0
熟練ハンターA 「準備が出来たぞ! しかし……本当にいいのか?」
スラッシュアックス 「…………」
熟練ハンターA 「こんな古い物を持ち出して……大銅羅と、撃竜槍まで……」
スラッシュアックス 「峯山龍は、こうでもしないとしとめることは出来ない。それはお前も分かっているだろう」
スラッシュアックス 「準備が整ったら出航する! 今度こそ、この撃竜船で俺たちの脅威を取り除くんだ!」
熟練ハンター達 「うぉぉおおおお!!」
スラッシュアックス 「全員乗り込め! 目に付くモンスターは片っ端から倒す!」
スラッシュアックス 「生きていることが確認できたモンスターも仕留めなければいけない」
スラッシュアックス 「気合を入れろ!!」
熟練ハンター達 「おおおおお!!!」
スラッシュアックス 「……行くぞ!!!(バッ)」
熟練ハンターA 「………………」
熟練ハンターA 「(スラッシュアックス……まるで死に急いでいるかのようだ……)」
熟練ハンターA 「(こんな方法では、こちらへの被害も計り知れないかもしれないというのに……)」
熟練ハンターA 「(大事にならずに、すんなりと相手がやられてくれればいいが……)」

54: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:51:18.17 ID:xj0ZFkI0
―少女の夢の中―

少女 「………………」
少女 「んっ…………」
少女 「(光が見える…………)」
少女 「(真っ白……どこも、かしこも……)」
少女 「(何もない……)」
少女 「(これは夢……? それとも……)」
少女 「……! 何かいる……」
少女 「…………あなたは…………」
白アイルー 「………………(ニコニコ)」
少女 「白猫さん! また来てくれたんだ!!」
白アイルー 「(コクリ)」
少女 「私、目が見えるようになったよ。すっごく大きい古龍さんが、助けてくれたの!!」
白アイルー 「(スラスラ)」
少女 「(空中に文字を書いてる……指でなぞった後が青白く光ってる……)」
少女 「ジエン…………モーラン……?」
白アイルー 「(ニコニコ)……(コクリ)」
少女 「(あれ……? 私、字が読めないはずなのに……)」
少女 「………………」
少女 「あの人、ジエン・モーラン様って言うんだ」
白アイルー 「(なでなで)」
少女 「うふふ、ありがとう」

55: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:52:51.54 ID:xj0ZFkI0
少女 「でも……」
白アイルー 「……?」
少女 「私、モンスターの言葉、わからなくなっちゃった……」
少女 「おじさんとも……もう話せないかもしれないの」
少女 「どうしたらいいのか、分からない……」
少女 「今まで普通に話して、普通に生活して……」
少女 「私を受け入れてくれる家族や、友達がいて……」
少女 「それが当たり前だと思ってた」
少女 「でも、しゃべれないだけで、それがこれからも続くのかなって……」
少女 「これからも続いていけるものなのかなって、すごく不安になったの……」
少女 「白猫さん……」
白アイルー 「…………」
少女 「私、これからどうすればいいの?」
白アイルー 「………………(スラスラ)」
白アイルー 「(Ein……kostbarer……Stein)」
少女 「……宝、玉?」
白アイルー 「(こくり)…………(さらさら)」
少女 「ウラガンキンの、宝玉…………」
少女 「それを私が、探せばいいの?」
白アイルー 「(こくこく)」

56: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:53:46.73 ID:xj0ZFkI0
少女 「でもそんなもの……どこにあるのか、私分からないよ……」
少女 「おじさんたちにも、伝えられない……」
白アイルー 「(スッ)」
少女 「(手を差し出してる……握ってってことなのかな……?)」
少女 「(ぎゅっ)」
少女 「!!!」
 >(ギャォォォォォォォォ!!!)
少女 「きゃっ!!(バッ)」
白アイルー 「………………」
少女 「(今、目の裏に一瞬、灰色に輝くドラゴンが見えた……)」
白アイルー 「(さらさら)」
少女 「アルバ……トリオン?」
白アイルー 「(こくり)」
少女 「あなたの……お兄さん?」
少女 「その人が、宝玉を持ってるの?」
白アイルー 「………………」
白アイルー 「……!!」

57: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:54:37.73 ID:xj0ZFkI0
少女 「あ……」
黒アイルー 「…………」
赤アイルー 「…………」
少女 「あなたの、お父さんとお母さん……」
少女 「迎えに、来てくれたんだ……」
白アイルー 「(ぱたぱた)…………(とことことこ)」
少女 「分かった。わたし、あなたのお兄さんを探す」
少女 「そしてお願いしてみる」
少女 「ウラちゃんの宝玉をもらえるように……!!」
白アイルー 「(にこっ)」
少女 「またね。いつもありがとう」
少女 「私、がんばるよ」
少女 「しゃべれなくったって、私はおじさんの子供だから……!!」
少女 「見えなくたって今まで元気にいられたの。だから大丈夫。きっと!」
少女 「だから、心配しないで!!」
白アイルー 「(コクリ)」
少女 「(あ……薄れて……三人がだんだん消えていく……)」
少女 「(あの灰色の竜が、白猫さんのお兄さんだとしたら……)」
少女 「(白猫さんたちも…………もしかして……)」

58: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:55:28.72 ID:xj0ZFkI0
―火山―

少女 「けほっ……けほっ……」
少女 「う……っ、すごく暑い………………」
少女 「ここ、どこ……?」
少女 「この海岸、あったかい…………」
少女 「(! 白猫さんにもらったてるてる坊主が、一つ燃えカスになってる……)」
少女 「(私を守ってくれたのかな……)」
少女 「(……そうだ、おじさん、ウラちゃんは!?)」
イビルジョー 「…………………………(ヌゥゥゥゥゥ~~~ッ)」
少女 「! ひっ………………キャァァァァァァァァ!!!!」
イビルジョー 「!!!? グォォォォォォォォラァァァァ!!!」
少女 「いや……いやぁぁぁあああ!!!」
イビルジョー 「ガッ! グオッ! ゴゥゥゥゥゥ!!!(ブンッブンッ)」
少女 「(な……何、この竜さん……!!!)」
少女 「(わ、私こんな人知らない…………!!!)」
少女 「(大きな口……私を食べるつもりなのかな……!!?)」
イビルジョー 「ゴ……ッ、グッ……(ダラダラ)」
少女 「(よ、よだれが………………)」

59: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:56:37.60 ID:xj0ZFkI0
クック 「ケェェェエ!!(バタバタバタ)」
少女 「! おじさん!!」
クック 「ケェケ! クッ!!(ガツガツ)」
イビルジョー 「グォォォ、ゴッ!?」
少女 「おじさん、戻って! 勝てないよ!!!」
クック 「ケェェ!!!(ガツガツガツガツ)」
イビルジョー 「……………………(ふぅ……)」
イビルジョー 「(嫌われるのには慣れてるが、何だこいつら……)」
イビルジョー 「(人間は起きた途端に奇声を上げるし、変な鳥は俺の脚を突っつきまわすし……)」
イビルジョー 「(俺そんなに悪いことしたか?)」
クック 「少女には近づけさせんぞ! 化け物め!!(バサバサッ!)」
イビルジョー 「うっせ! てめーだって化け物じみたトサカしてるくせに、人のことを化け物扱いすんじゃねーよっ!」
クック 「………………ぬ…………少女を食べようとしていたのではなかったのか……?」
イビルジョー 「人を見かけで判断すんな。そんなちっぽけな人間食ったって、俺のスタマックはオールレディエンプティ!」
イビルジョー 「つまり食うつもりなんてこれッぽっちもねぇって訳だ」
イビルジョー 「むしろ人間臭いのなんて願い下げだぜ! それに俺は鶏肉も嫌いだ! 野菜も嫌いだ!」

60: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:57:34.79 ID:xj0ZFkI0
アグナコトル 「…………そんなだから虫歯になるんだよ」
イビルジョー 「アグナ、どーにかしてくれこの変な鳥。うっとおしくてかなわん」
アグナコトル 「やめときなつったのに、興味本位で見に行くからそうなるんだ」
クック 「……赤い……ラギアクルスさんにそっくりな……」
アグナコトル 「あら、弟のことをご存知? あたしはそう、ラギアの姉のアグナコトルっつぅしがない医者だよ」
アグナコトル 「こいつはイビルジョー。あんたたちのことをひきあげようとしただけさ」
アグナコトル 「見ての通り、ちっと凶悪すぎる面してるけど、根は卑小な生き物だから」
イビルジョー 「お前今、俺に対してひどいこと言っただろ。難しい言葉使っても何となく分かるぞ」
クック 「こ……これは失礼した。てっきり私は、少女に危害を及ぼそうとしているのかと……(サッ)」
少女 「………………」
少女 「(おじさんが、あの怖い竜さんと、後から来た赤い竜さんと話をしてる……)」
少女 「(悪い人じゃないんだ……大声出して、ひどいことしちゃった……)」
少女 「(あの赤い竜さん、ラギアクルスさんに似てる……)」
少女 「(兄弟かな……?)」
イビルジョー 「ま、怖がられるのには慣れてっから、気にすんな」
アグナコトル 「怖がられるのが分かってるなら、何でそううろちょろしようとするんだい」

61: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:58:25.46 ID:xj0ZFkI0
アグナコトル 「引き上げるのが遅れてすまなかったね。事情は聞いたよ。人間の子はふやけてないかい?」
クック 「……大丈夫そうだ。少女、私の背中に乗ってくれ」
クック 「ケェ、クッ、クッ」
少女 「(おじさんが、背中を指してる)」
少女 「(乗れってことなんだ……)」
少女 「(よじよじ)」
少女 「おじさん、乗ったよ!」
アグナコトル 「へぇ。実際目で見るとまた驚きも一塩さね。人間のくせに……おっと失礼」
クック 「この子は、私の娘として育てているんだ」
クック 「訳あって今はモンスターの言葉は話せなくなっているんだが、悪い子ではない」
イビルジョー 「人間がモンスターの言葉を話してた? ホントかよおい」
アグナコトル 「とにかく、そこから上がりな。ゆだっちまうよ」
クック 「そうさせてもらおう(ザバァッ)」
アグナコトル 「弟が随分と世話になったみたいだね。あんた、イャンクックだろ?」
クック 「いかにも。自己紹介が遅れてすまないね、アグナさん、ジョーさん。さっきは失礼した」
イビルジョー 「いいってことよ。あれくらいじゃ痛くも痒くもねぇ」
クック 「はは……そうなのか(結構本気で突き刺したんだが……)」

62: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 11:59:18.62 ID:xj0ZFkI0
毒リオレウス 「おぉ、起きたか変なおっさん。今そっちに行こうとしてたとこや」
クック 「毒リオレウスさん、毒リオレイアさん! あなた達がいらっしゃるということは、ここは火山か!」
毒リオレイア 「見て分からぁなそんなことは」
少女 「!!(あれは……)」
少女 「ウラちゃん!」
クック 「ぬ……ウラ!」
少女 「(リオレウスさんのお父さんとお母さんに、砂の上に上げてもらったんだ……)」
少女 「(でも動かない……)」
少女 「ウラちゃん!! 大丈夫!?(バッ……ダダダッ)」
毒リオレウス 「あ! こら人間!」
毒リオレイア 「ケェ、人間臭ェ」
クック 「すまない。それより、ウラは大丈夫なのか? 気を失っているようだが……」
アグナコトル 「あぁ、問題ないよ。じきに目を覚まされるだろう」
アグナコトル 「あんた達、それよりどうやってここまで来たんだい?」
アグナコトル 「まさか海底を通って、間欠泉の熱湯を抜けて、ジョーの温泉までたどり着いたって訳じゃないよね?」
クック 「……? そういえば、私たちはどうしてあんなところに……」
クック 「(確か少し前まで、水没林にいたはずだ。それが滝つぼに、落ちてきた瓦礫に叩き込まれて……)」
クック 「(それからは必死に、少女とウラを守ろうとして……)」
クック 「ぬぅ……」
アグナコトル 「………………まっ、話は後にするか。イャンクック、あんたはいいだろうけど、人間にここの熱気はつらいと思うよ」
アグナコトル 「ここらへんのドロを体に塗ってやりな。そうすりゃ、熱さはだいぶ防げる」
クック 「ありがとう。そうしてやることにするよ」

63: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:00:12.51 ID:xj0ZFkI0
少女 「ウラちゃん、起きて!」
少女 「(寝てるのかな……動かない……!!)」
少女 「おじさん! ウラちゃんが……」
ウラガンキン 「グ……グォォォ…………(パチリ)」
ウラガンキン 「! まんま!!(バッ)」
少女 「ウラちゃん!! よかった!!!(ぎゅっ)」
ウラガンキン 「まんま! まんま!!」
毒リオレウス 「ヘェ、いつ見ても違和感バリバリな光景やな」
毒リオレイア 「あたし達の王様が、人間とじゃれあってるなんてねぇ……」
イビルジョー 「おぉ、目が覚めた!」
アグナコトル 「良かった。どこも異常はないみたいだね」
ウラガンキン 「………………?」
アグナコトル 「お初にお目にかかります、ウラガンキン二世様。あたしはアグナコトル。こちらはイビルジョー」
イビルジョー 「……(スッ)」
少女 「(二人が、ウラちゃんに対して頭を下げた……!!)」
アグナコトル 「あなたのお父上には、良くしていただきました。あなたにも誠心誠意、お仕えさせていただきたく」
ウラガンキン 「…………アグー、ジョー」
アグナコトル 「! もうお名前を……!?」
イビルジョー 「こいつはたまげた。小さいのにたいした皇子さんだ」
ウラガンキン 「(コクコク)」

64: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:01:05.52 ID:xj0ZFkI0
少女 「ひゃっ……」
クック 「(ぬりぬり)」
少女 「このドロを顔に塗ればいいの?」
クック 「ケェ」
少女 「あ……冷たい。そうか、これで熱さをはじけばいいんだ!!」
少女 「おじさん、ありがとう!(ぬりぬり)」
ウラガンキン 「ふぁぁぁぁ゛っ」
少女 「眠いの? 大丈夫。私がついてるからね(なでなで)」
アグナコトル 「とりあえず、あたし達は急いでボルボロス様のところに行かなきゃいけないんだ」
アグナコトル 「移動しながらでいいから、ことのいきさつを教えてくれないか?」
クック 「分かった。私もいささか混乱しているが…………」
クック 「(ラギアさんが、滝つぼから海底を通って火山に出れると言っていた気がする……)」
クック 「(いくら私でも、そんな耐性は持っていない。少女も……生まれたばかりのウラも……)」
クック 「(海底の重圧と、熱湯から身を守ったのは、少女の不思議な力なのだろうか……)」

65: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:02:12.20 ID:xj0ZFkI0
アグナコトル 「……………………そうかい。ベルキュロスが……」
クック 「私もどうなったのかは知らない。その前に水に沈んでしまったんだ。だが、寸前にベルキュロスという雷竜が、水に墜落するのを見た」
クック 「私の仲間たちもいる。ボルボロスさんは安心だと思う」
イビルジョー 「完全な謀反だな! 生きてても死刑決定だ!」
毒リオレウス 「……全くや。とんでもないことをしでかしてくれたもんやで」
毒リオレイア 「許せねぇ。あたしらはともかく、ウラガンキン様を狙ってる卑怯臭さがな!」
アグナコトル 「……とにかく、早く水没林に行こう。毒夫婦は先に飛んで、駆けつけてさしあげてくれないか?」
毒リオレウス 「OKじゃ。おめぇらも早く来い(バサァッ)」
毒リオレイア 「ケッ。今日は厄日だぜ! 飛び回ってばっかしだ(バサァッ)」
イビルジョー 「俺たちも急いでいかなきゃならんな」
アグナコトル 「あぁ。だけど、ジョー。一つ気にならないかい?」
イビルジョー 「?」
アグナコトル 「イャンクック、ジエン・モーラン様は、二世様にウラガンキン様の宝玉を渡せと仰ったんだよな?」
クック 「あぁ。確かにそう聞いた」
イビルジョー 「だけど、散々宝玉は捜したじゃねぇか。もう人間が持って行ってるのかもしれねぇ」
アグナコトル 「いや、ジエン老がそう仰るのなら、まだ火山のどこかに存在してるのかもしれない……」
アグナコトル 「もしかして……あの溶岩流の中に……」
イビルジョー 「おいおい。あそこはいくら俺やお前でも危険だぞ。中心に行く前に体が溶けちまう」
アグナコトル 「……宝玉があれば、二世様は完全に力を受け継いで王となる」
アグナコトル 「そうすればベルキュロスの造反なんて、蚊ほどのものじゃない」
アグナコトル 「もう一度、溶岩流の中を探ってから行くぞ」
イビルジョー 「マジかよ……」

66: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:03:05.92 ID:xj0ZFkI0
―砂原―

ジエン・モーラン 「(さて……そろそろか……)」
ジエン・モーラン 「(風の流れが変わった……)」
ジエン・モーラン 「(血と狂気の臭い……懐かしい、鉄錆の臭いが近づいてくる……)」
ジエン・モーラン 「(受けねばなるまい……戦いとはそのようなものだ)」
ジエン・モーラン 「(静観せねばならなかったところ、手を出したわしの責……)」
ジエン・モーラン 「(………………)」
ジエン・モーラン 「(人間が、我らと共に戦う……その光景をわしはあのときに目にした)」
ジエン・モーラン 「(あの人間の目……我らと同じ目……)」
ジエン・モーラン 「(もう少し早く出会えていれば……)」
ジエン・モーラン 「(このような未来はなかったのやもしれぬ)」
ジエン・モーラン 「(何度目だ……このように、挑まれ、叩き潰し、挑まれ、その繰り返しをわしは……)」
ジエン・モーラン 「(だが、わしは生きたい……生かしてやりたい)」
ジエン・モーラン 「(それがわしのエゴだとしても……)」
ジエン・モーラン 「(それゆえ逃げぬ……)」
ジエン・モーラン 「(わしは受けて立とう、人間……!!)」

67: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:04:20.51 ID:xj0ZFkI0
―砂原、別エリア―

熟練ハンター達 「前方に巨大なモンスター! ……峯山龍です!!」
スラッシュアックス 「全員命綱の用意は出来ているな!? 振り落とされたらおしまいだぞ!」
熟練ハンター達 「おおおおおお!!!」
スラッシュアックス 「持ち場につけ! ここで勝負を決める!!」
ジエン・モーラン 「(ズズズズズズズズズズズ)」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
スラッシュアックス 「(くっ……地面が揺れている……)」
スラッシュアックス 「(だが引くわけにはいかない……!!)」
スラッシュアックス 「(ここで、モンスターを撃滅して、俺は……)」
スラッシュアックス 「(俺は………………!!!)」
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「(………………俺はどうするんだ…………?)」
スラッシュアックス 「(モンスターを撃滅し、奴らを根絶やしにするまで撃滅し続けて……)」
スラッシュアックス 「そして俺は……」
熟練ハンターA 「どうした、スラッシュアックス!」
スラッシュアックス 「!!」
熟練ハンターA 「もうじき峯山竜に接近するぞ!」
スラッシュアックス 「……大砲の用意! 近づいたらありったけを撃ちこめ!!」

68: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:05:17.54 ID:xj0ZFkI0
ジエン・モーラン 「ギャォォォォォォォオオオォォオオ!!!!)」
 >ズォォォォォォオオォオオオオオ!!!!
熟練ハンター達 「で……でけぇ……!!」
熟練ハンター達 「うわ……ぁ……あ……」
スラッシュアックス 「臆するな!!」
熟練ハンター達 「!!」
スラッシュアックス 「臆したらそこで終わりだぞ! 撃て!」
熟練ハンター達 「て……手が震えて……」
ジエン・モーラン 「ギャォォオラァァァ!!!!」
 >ズズズズズズズズズズズ
熟練ハンター達 「こっちに来るぞ!!!!」
熟練ハンター達 「うわぁぁぁぁ!!!」
ジエン・モーラン 「(人間の船……)」
ジエン・モーラン 「(時は移ろい、全ては流転し変わっていく……)」
ジエン・モーラン 「(同じ日は二度と来ないというのに、変わらないものがある……)」
ジエン・モーラン 「(それは恐怖……憎しみ……)」
ジエン・モーラン 「(それだけは二度と変わらず、心の中に残り続ける……)」
ジエン・モーラン 「(この先にいる者たちのためにも、わしは今ここでそれを断ち切ってくれよう……!!)」

69: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:06:11.28 ID:xj0ZFkI0
スラッシュアックス 「チィッ!(バッ)」
熟練ハンターD 「スラッシュアックス!?」
スラッシュアックス 「神が何だ! 龍が何だ!」
スラッシュアックス 「化け物は化け物だ! モンスターはモンスターだ!」
スラッシュアックス 「俺たちと同じ生き物だ!!!」
スラッシュアックス 「生き物ならば必ずいつかは死ぬ! そう、俺たちのように!!!」
スラッシュアックス 「お前たちの後ろには俺がついている! 撃て!!!」
スラッシュアックス 「撃て! このように!!!(ガコンッ)」
 >ドォォォォォンッ!!
 >ドガァァァァァッ!!
ジエン・モーラン 「ぬ……っ!!」
ジエン・モーラン 「ギャォォォォォォォォォォ!!!!」
スラッシュアックス 「効く……やれるんだ!」
スラッシュアックス 「俺の後に続けぇぇぇ!!」
熟練ハンター達 「うぉおおおおお!!!」
 >ドォォォォンッ!! ドォォォォォンッ!!
 >ドガァァァッ!! ドガァァァッ!!
ジエン・モーラン 「ッガッ……ガァァァァァ!!!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

70: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:07:03.98 ID:xj0ZFkI0
熟練ハンター達 「と……とまらねぇ……!!」
熟練ハンター達 「まだだ! ありったけを撃ち込め!!!」
ジエン・モーラン 「(なんの……これしき……)」
ジエン・モーラン 「(人間よ……そんなにわしが怖いか……!?)」
ジエン・モーラン 「(そんなにわしが憎いか……!)」
ジエン・モーラン 「(よかろう、ならばその恐怖、憎しみ全てを今ここで吐き出すがいい!!)」
ジエン・モーラン 「(いや、吐き出させてくれる!)」
ジエン・モーラン 「(わしは生きたい……だが、それ以上に……)」
ジエン・モーラン 「(全てを生かしたい……!!)」
ジエン・モーラン 「(なればこそ、その負の思い、全てをわしがここで受け止めてくれる!)」
 >ドォォォォンッ!!! ドォォォンッ!! ドォォォォォンッ!!
 >ドガァァァッ! ドガァァァァッ!! ドガァァァァァ!!!
ジエン・モーラン 「っぐ……!!!」
 >ググググググググググ
 >ズズズズズズズズズズ
スラッシュアックス 「砂に潜ったぞ! 全員ショックに備えろ!!」

102: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/14(月) 13:46:24.96 ID:.2JU0i60
スラッシュアックス 「(くそ……サイズが違いすぎる……)」
スラッシュアックス 「(砲撃だけではいかんともしがたい……)」
スラッシュアックス 「(やはり十分に接近して打ち込むしか、仕留める方法はないか……!!)」
熟練ハンター達 「下から来るぞォォォ!!」
スラッシュアックス 「!!」
熟練ハンター達 「掴まれ! どこでもいいから掴まれぇぇ!!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 >グラグラグラグラグラグラ
スラッシュアックス 「! この船を倒す気だ!!」
熟練ハンター達 「うわぁぁあぁぁあああ!」
スラッシュアックス 「(チャンスだ……)」
熟練ハンターD 「スラッシュアックス! どこに行くんだ!」
スラッシュアックス 「(撃竜槍の起爆装置はこれか……)」
スラッシュアックス 「(さぁ来い……化け物め……!!)」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 >ブワッ!!
スラッシュアックス 「!! (撃竜船が浮いただと!?)」
スラッシュアックス 「だが!!」
ジエン・モーラン 「!」
熟練ハンター達 「ぎゃああああ!!」
熟練ハンター達 「振り落とされるな! 掴まれぇぇぇぇ!!!」
スラッシュアックス 「隙だらけだぞ! 峯山龍!!」
スラッシュアックス 「喰らえぇぇ!!」
 >ドギャァァァァァァッ
 >ズバシュッ!!!!
ジエン・モーラン 「!!! ギャォォォォォオオオオォォ!!!」

72: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:09:06.30 ID:xj0ZFkI0
スラッシュアックス 「(刺さらない!? 鱗をへこませただけか!!)」
ジエン・モーラン 「ギャォォォオオ!!(ブゥゥゥンッ)」
スラッシュアックス 「! 牙が!!」
 >ドッォォォォォォォォオンッッ!!!
スラッシュアックス 「ぐぁぁぁあぁ!」
熟練ハンター達 「ひぃぃぃぃいい!!!」
スラッシュアックス 「(空中で、船を横なぎに…………)」
スラッシュアックス 「船の重心を守れ!! ひっくり返ったらおしまいだぞ!!」
熟練ハンター達 「スラッシュアックス! 無理だ!」
熟練ハンター達 「一旦引こう!! サイズが違いすぎる!!」
スラッシュアックス 「! 無駄話は後だ! 地面に激突するぞ!!」
 >ズッドォォォォォンッ!!
スラッシュアックス 「(くっ…………!)」
スラッシュアックス 「(何とか横転は避けたか!!)」
スラッシュアックス 「!!!」
ジエン・モーラン 「グォォォォォォォォオォォッ!!」
 >ググググググググググ
スラッシュアックス 「のしかかってくるつもりか!!」

103: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/14(月) 13:47:26.93 ID:.2JU0i60
熟練ハンターA 「ちぃっ! あんなのにぶつかられたら、ひとたまりもねぇぞ!!」
熟練ハンターD 「撃て! ありったけ撃ち込め!!」
 >ドォォォンッ! ドォォンッ!!
スラッシュアックス 「(大砲では駄目だ……!!)」
スラッシュアックス 「バリスタ拘束弾を撃て!!」
熟練ハンターA 「! そうか! 拘束弾用意!!!」
熟練ハンター達 「おう!!」
スラッシュアックス 「撃てぇぇ!!!」
 >バシュゥゥゥゥゥッ!!
 >バシュゥゥゥゥゥッ!!
 >バシュゥゥゥゥゥッ!!
ジエン・モーラン 「グッ……」
ジエン・モーラン 「(これは……強固なワイヤーでわしの動きを止める、人間たちの武器……)」
ジエン・モーラン 「(しまった……!!)」
スラッシュアックス 「かかった!! 全速回頭!!! 船首を峯山龍に向けろ!!」
スラッシュアックス 「(腹がこちらを向いている……)」
スラッシュアックス 「やれる……!!! もう一度撃竜槍を打ち込め!!!」
熟練ハンターD 「うおぉぉぉぉおおお!!(ガチィィィンッ!!)」
 >ジャキィィィィィンッ!!!!
ジエン・モーラン 「(ズシャァァァッ!!)……グッ!!!」
スラッシュアックス 「刺さった!!!」

以上となります
ご指摘ありがとうございます。申し訳ありませんでした

74: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:11:01.29 ID:xj0ZFkI0
ジエン・モーラン 「キィェェエエエエエエエ!!!!!(ブゥゥゥゥンッ)」
スラッシュアックス 「角が来るぞ! 全員避けろ!!」
 >ズゥゥゥゥゥンッ!!!
スラッシュアックス 「(角の片方で船首が持っていかれた……!!!)」
スラッシュアックス 「だが……!!!」
熟練ハンターA 「!!」
スラッシュアックス 「うおおおおおおおおお!!!!(ダダダダダダダッ)」
熟練ハンターA 「スラッシュアックス! 峯山龍の牙の上に……!!」
熟練ハンターD 「あいつ、直接トドメをさすつもりだ!!!」
ジエン・モーラン 「(人間……小さき者よ……)」
スラッシュアックス 「喰らえぇぇぇぇぇ!!!(ガシャコン)」
ジエン・モーラン 「(わしを倒して、その先に何を望む……?)」
ジエン・モーラン 「(その憎しみの先に、お前は何を望む……?)」
スラッシュアックス 「うぉらぁぁぁぁぁぁ!!!」
ジエン・モーラン 「(人間よ……わしらと同じ、心を持つ者よ……)」
ジエン・モーラン 「(その怒りの先に、お前は何を望む……?)」
ジエン・モーラン 「(答えよ、人間……!!)」
スラッシュアックス 「(ビクッッ!!)」
スラッシュアックス 「な……何だ!?」
スラッシュアックス 「この峯山龍の……巨大な目……」
スラッシュアックス 「泣いている……!!?」

75: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:11:55.89 ID:xj0ZFkI0
ジエン・モーラン 「(つらかろう、苦しかろう人間……)」
ジエン・モーラン 「(脆弱な者よ……)」
ジエン・モーラン 「(脆弱であるがゆえに苦しまねばならぬ……)」
ジエン・モーラン 「(その苦悩、わしには分からん……)」
ジエン・モーラン 「(だが分からんゆえに、苦しい……)」
ジエン・モーラン 「(お前たちを心から理解できないがゆえに、強行に走ろうとするこの弱い自分が悔しい……)」
ジエン・モーラン 「(人間よ……怒り、苦しみの先には何もない……)」
ジエン・モーラン 「(分かるか人間よ……)」
ジエン・モーラン 「(変わらない恐怖、憎しみの先にあるものが今……)」
ジエン・モーラン 「(同じ日は来ないはずなのに、また同じ日の繰り返し……)」
ジエン・モーラン 「(風が泣いている……)」
ジエン・モーラン 「(お前と同じ目をした者達を、わしは幾度となく葬ってきた……)」
ジエン・モーラン 「(分かるか人間……風が泣いている……)」
ジエン・モーラン 「(哀しい風が吹いている……)」

76: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:12:50.29 ID:xj0ZFkI0
スラッシュアックス 「くっ……この……!!!」
スラッシュアックス 「化け物の分際で俺を哀れむか!!!」
スラッシュアックス 「モンスターの分際で、俺を……!!」
スラッシュアックス 「人間を哀れむか!!!!!」
スラッシュアックス 「貴様らは俺の両親を殺し……仲間を殺し……」
スラッシュアックス 「生活圏を奪い……罪のない子供を殺し……」
スラッシュアックス 「俺たちの全てを奪おうとする存在の癖に……!!」
スラッシュアックス 「なのに俺たちを哀れむか! その目で! その心で!!!」
スラッシュアックス 「俺たちが滑稽か!?」
スラッシュアックス 「必死に足掻いて生きようとする、俺たちが滑稽なのか!!!」
スラッシュアックス 「足掻くのが何が悪い! もがくのが、何が悪い!!」
スラッシュアックス 「俺たちだって生きている!!」
スラッシュアックス 「人間は、生きているんだ今!! ここで!!!」
スラッシュアックス 「何が悪い!!!?」
スラッシュアックス 「生きることの、何が悪い!!!!!」
スラッシュアックス 「ただ生きることの、何が悪い!!!!?」

77: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:13:52.56 ID:xj0ZFkI0
熟練ハンターA 「何をしてる、スラッシュアックスーッ!!!」
熟練ハンターA 「早く討て! 討てぇぇ!! お前の武器で!!!!」
スラッシュアックス 「!!! くっ……」
 >ビキッ……ビキビキビキッ
 >バヅンッ! バヅンッ!!
熟練ハンター達 「バリスタ拘束弾、限界です! 千切れる……!!!」
ジエン・モーラン 「ギャォォォォォォォォッ!!」
熟練ハンター達 「もう峯山龍を抑えておけません!!! 船が壊れて……」
熟練ハンター達 「駄目だ! 殺される!!!」
ジエン・モーラン 「(人間よ……分かっているはずだ……)」
ジエン・モーラン 「(憎しみや怒りの先には、何も鎮座してはいないということを……)」
ジエン・モーラン 「(同じ日々を繰り返す輪廻のカルマに入らざるを得ないということを……!!)」
ジエン・モーラン 「(分かっているはずだ……)」
ジエン・モーラン 「(わしらと同じ心を持つ……)」
ジエン・モーラン 「(心を持つおぬしらならば…………)」
スラッシュアックス 「何故泣く!?」
スラッシュアックス 「何故だぁぁぁぁ!!!(ブゥゥゥゥンッ!!!)」
 >バツンッ!!!
熟練ハンター達 「拘束弾が全部切れた!! スラッシュアックスさん!!!」
ジエン・モーラン 「グォォォォォォォオオオオオオ!!!!」
スラッシュアックス 「(ブゥゥンッ!!)うおおおおおおお!!!」
熟練ハンターA 「スラッシュアックスが投げ出された!!!」

78: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:14:55.63 ID:xj0ZFkI0
スラッシュアックス 「(くそっ! 体が動かなかった!)」
スラッシュアックス 「(峯山龍の目を見た途端……あの涙を見た途端、体が……)」
ジエン・モーラン 「…………………………」
スラッシュアックス 「(何故俺を見る……)」
スラッシュアックス 「(何故その目で俺を見る……!!)」
スラッシュアックス 「うおおお! 見るな!!」
スラッシュアックス 「その目で俺を見るなァァァ!!!」
スラッシュアックス 「(ドサァッッ!!)ぐぅうッ!!」
ジエン・モーラン 「(あの人間……わしの目を見て動きを止めた……)」
ジエン・モーラン 「(心に迷いを持っている……)」
ジエン・モーラン 「(わしに攻撃を加えることが出来なかった……)」
ジエン・モーラン 「(これ以上は戦いにあらず……)」
ジエン・モーラン 「(わしは虐殺をするつもりはない……)」
ジエン・モーラン 「(この場、預けるぞ……)」
ジエン・モーラン 「(勇気ある『人間』よ……)」
スラッシュアックス 「くっ……逃げられる……体が動かん…………」
スラッシュアックス 「何してる! 早く大砲で奴を撃て!!」
熟練ハンター達 「駄目です! さっきの一撃で砲台が……」
スラッシュアックス 「ちぃぃぃ! 一度ならず二度までも……取り逃がすか!!」
スラッシュアックス 「(撃竜船はもう動かない……!)」
スラッシュアックス 「(峯山竜……俺に情けをかけたつもりか……!!!)」
スラッシュアックス 「(断じて……断じて許せんッ!!!)」
スラッシュアックス 「(俺自身の『誇り』のためにも……!!)」
スラッシュアックス 「まだ動けるものはついてこい!」
スラッシュアックス 「奴らの後を追うぞッ!!!」

79: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:15:46.91 ID:xj0ZFkI0
―火山、中心部―

クック 「ではその火山口の中になら、宝玉がある可能性があるというんだな?」
アグナコトル 「あぁ。探してないのは、後はあそこだけさ」
イビルジョー 「だが俺たち以外であそこに近づくのは無理だぜ。それに俺たちでも厳しい。溶けちまう」
イビルジョー 「俺たちはあそこを『神域』って呼んでるんだ」
クック 「神域…………」
クック 「(もしかして……少女の不思議な力なら……)」
少女 「(おじさんたち、火山の中心の方に向かっていく……)」
少女 「(ウラちゃんの宝玉……)」
少女 「(それを探そうとしてるんだ……!)」
少女 「ウラちゃん……」
ウラガンキン 「グルルル……」
少女 「(こんなに小さいのに、私が水に落ちたとき、岩を砕いて助けてくれた……)」
少女 「(ウラちゃんは、きっと私が知らない強い力を持ってるんだ……)」
ウラガンキン 「グル……」
少女 「(だけど……この子はまだ子供だよ……)」
少女 「(私と同じ子供……)」
少女 「(王族だとか、勢力だとか、そういうのに利用するのってかわいそうだよ……)」
少女 「(まだ、子供だよ……)」

80: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:17:18.78 ID:xj0ZFkI0
クック 「……うわっ。本当だ……火柱が……」
クック 「これでは私たちは前に進むことが出来ない……」
アグナコトル 「とにかく、あたしが潜って先行してみる」
アグナコトル 「ジョーは、もしものときのためにウラガンキン二世様をお守りするんだ」
イビルジョー 「本当にここに入るのか、アグナ?」
アグナコトル 「ジエン・モーラン老が、まだウラガンキン様の宝玉が存在していると仰るのなら……」
アグナコトル 「きっと神域のどこかだ。あたし達が探してないのは、こことあんたの腹の中くらいだからね」
イビルジョー 「うーん……無茶だ。いくらお前でも、ここに入る前に体が溶けちまう」
イビルジョー 「見ろこの熱気。今にも噴火しちまいそうだ」
アグナコトル 「だけど、今こそ宝玉が必要なときだろ?」
アグナコトル 「素通りしてちゃいけないような気がするんだ」
イビルジョー 「確かにそうだが……」
少女 「この火……私、どこかで……」
少女 「(燃え上がる火の柱……そして叫び声……)」
少女 「(そうだ……夢の中で、白猫さんに触ったとき……)」
少女 「(あの時、うっすらとこの光景が見えた……)」
少女 「(もしかして……)」
少女 「(……スッ)」
少女 「!!」
少女 「白猫さんからもらった、もう一つのてるてるぼうずが光ってる……」

81: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:18:11.97 ID:xj0ZFkI0
少女 「(そうだ……)」
少女 「(私が、行かなきゃいけないんだ……)」
少女 「(あの人が、私を呼んでるんだ……)」
少女 「(スタッ)」
クック 「少女! 私の背から降りてはいけない! 早く戻るんだ!」
ウラガンキン 「まんま!」
クック 「……! (少女の首飾りが光っている……それに、視線が……)」
クック 「(少女の瞳が、白く光っている……!?)」
イビルジョー 「な……何だこの人間!?」
アグナコトル 「これは『白光』!? 何で人間が、ナバルデウス様と同じ輝きを……!!」
少女 「Offnen……Sie……sich……」
少女 「…………Ich……bin……Ihr…………Freund…………」
クック 「少女……お前は、もしかして……」
ウラガンキン 「まんま……!!」
少女 「Offnen……Sie……sich!!」
 >ブァァァァァァァッ!!
イビルジョー 「炎が……!!」
アグナコトル 「嘘だろ!? 神域の炎が消えた!?」

82: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:19:11.44 ID:xj0ZFkI0
少女 「(行かなきゃ……)」
少女 「(スッ)」
クック 「少女! 待て……! 待つんだ!!」
クック 「少女ー!!(ダダッ)」
 >ブワッ!!!!
クック 「うわぁ!!」
アグナコトル 「イャンクック、危ない!(ぐいっ!)」
イビルジョー 「あの子が中に入ったら、炎が元に戻りやがった……どういうことだ!?」
クック 「あ……あの子には不思議な力があるんだ……」
クック 「白光という、竜神が持つ力にそっくりなものが備わっている……!」
アグナコトル 「何だって!? どうして人間にそんな力が!?」
クック 「私も多くは知らないんだ。しかし……この炎……」
クック 「少女は大丈夫なのか……!!」
ウラガンキン 「まんま…………」
ウラガンキン 「(グッ)」
クック 「あ! 待つんだウラ!!」
イビルジョー 「丸くなって……アグナ、ウラガンキン様を抑えろ!!」
アグナコトル 「ちょ、いきなりそんなこと言われても……」
ウラガンキン 「まんまー!! (ゴロゴロゴロゴロゴロ)」
 >ズボッッ!!
クック 「ウラー!!!」
アグナコトル 「しまった! 二世様まで神域に入っちまった!」
アグナコトル 「ジョー、後を追うよ!!」
イビルジョー 「分かった! イャンクックはここで待っていろ!」
クック 「いや、私も行く!」
クック 「私の娘と孫のようなものだ。ここで手をこまねいて待っているわけにはいかない」
アグナコトル 「……中々ナイスなおっさんじゃあないかい。あたしが炎を裂く。いくよ!」

83: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:20:11.38 ID:xj0ZFkI0
―神域―

少女 「(不思議……炎が、私をよけてるみたい……)」
少女 「(それに全然熱くない……)」
少女 「(この先に……あの灰色の竜さんが……)」
ウラガンキン 「グォォォォ!!(ゴロゴロゴロ)」
少女 「……ウラちゃん!?」
少女 「ついてきちゃったの……!?」
ウラガンキン 「グォォ……ォ……(ズシン、ズシン)」
少女 「火傷しちゃってる……ごめんね、私が勝手に入っていくから、不安になっちゃって……」
少女 「一緒に行こう。この先に、あなたのお父さんを良く知っている人がいる。そんな気がするの」
ウラガンキン 「グゥォ(こくり)」
少女 「(すごい火……目が焼けそう……)」
少女 「(そういえば、あっちの大陸で私、溶岩に落ちかけて目が見えなくなったんだっけ……)」
少女 「(そう考えると怖いけれど……)」
少女 「(今は、ウラちゃんが一緒にいる……)」
少女 「(ぎゅっ)」
ウラガンキン 「(ぎゅっ……)」

84: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:21:18.23 ID:xj0ZFkI0
少女 「(円形の広場みたいになってる……)」
少女 「(真ん中に、溶岩の穴が開いてる……)」
少女 「(炎がすごい……見てるだけで焼けちゃいそう……)」
ウラガンキン 「グゥゥ……」
少女 「ウラちゃん? 背中に乗れって?」
ウラガンキン 「グゥ」
少女 「ありがとう(よじよじ)」
少女 「! 真ん中の溶岩穴の上に、誰かいる……!!!」
ウラガンキン 「……??」
××××× 「……………………」
少女 「もしかして、白猫さんのお兄さん……?」
灰アイルー 「…………………………」
少女 「ウラちゃんには見えないの……? 私にだけ見えてる……」
ウラガンキン 「………………??」
灰アイルー 「………………」

85: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:22:10.30 ID:xj0ZFkI0
灰アイルー 「…………」
少女 「宝石のような目……それに、灰色の翼……綺麗……」
少女 「溶岩の穴の上に浮かんでる……」
少女 「もしかして、あなたも竜さんなの……?」
灰アイルー 「………………(こくり)」
灰アイルー 「Mensch…………warum……Sie……hier……sind?(人間、何故ここに来た?)」
少女 「(白猫さんのような、鈴のような声……)」
少女 「(お兄さんなんだ……!!)」
少女 「あの……私、少女っていいます」
灰アイルー 「…………」
少女 「この子はウラガンキン。今、この子のお父さんの宝玉を探しています」
少女 「白猫さんに、夢の中でここに来るようにって言われました」
少女 「お兄さんが助けてくれるって、そう聞きました」
灰アイルー 「Routes……Eine……unnotige……Sache(ルーツ……余計なことを……)」
少女 「お願いします。地上では、この子を巻き込んで、たくさんの人が喧嘩をしています」
少女 「私は怖いんです……」
少女 「この子はまだ子供です……それなのに、ちゃんとした子供の時代を送れないんじゃないかって……」
少女 「だから、この子に、本当のお母さんに甘えさせてあげたい……」
少女 「本当のお母さんの暖かさを感じさせてあげたい」
少女 「だって、家族って本当に、本当に大事なものだから……」
少女 「その繋がりを、私が切ってしまったんです」
少女 「もしそれを戻せるのなら、私はここから去ろうと思うんです」
少女 「宝玉でそれを戻せるなら、戻してあげたいんです」

86: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:23:09.29 ID:xj0ZFkI0
灰アイルー 「Es……gibt……nachstehend……den……kostbaren……Stein(宝玉はこの下にある)」
灰アイルー 「Es……gab. zu kampfen, und……verstorbener……Konig……versiegelte……es……(先代の王が、争いに憂いて封印したものだ)」
灰アイルー 「Wenn……Sie……sich……herzlich……nach……dem……Kind……sehnen(もしお前がその子を心から想うなら)」
灰アイルー 「Ich……lasse……eine……Hand……wachsen……und……sollte……es……nehmen(手を伸ばして取るが良い)」
少女 「この下に……」
少女 「私、取ってもいいんですか……?」
灰アイルー 「(こくり)」
少女 「(これ……でも、溶岩の中……)」
少女 「(私……私の腕、燃えてなくなっちゃう…………)」
少女 「……………………」
灰アイルー 「………………」
少女 「……取ります。それが、この子のためになるのなら……」
少女 「いま、私はこの子の母親なんです」
少女 「この子がそれで、この先幸せに暮らせるのなら……」
少女 「私は、腕の一本や二本、あげたって構わない……!!」
灰アイルー 「……………………」

87: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:24:11.76 ID:xj0ZFkI0
少女 「(おじさん…………)」
少女 「(私、またどこかおかしくなっちゃうかもしれない……)」
少女 「(でも私、おじさんのこと、大好きだよ……)」
少女 「(それにウラちゃんのことも大好き……)」
少女 「(だから………………)」
 >ズボッ!
少女 「!! 熱くない……!?」
少女 「まるで水みたい…………」
ウラガンキン 「グォォ! グォォ!!」
少女 「うっ……炎が私の体を………………巻きつくみたいに……」
少女 「………………あった! 何か、端っこに引っかかってる……!!」
少女 「(ズズッ)これ……この小さな赤い玉が、ウラちゃんのお父さんの宝玉…………」
灰アイルー 「………………」
灰アイルー 「Ich……war……gut……und……erhielt……es(よくぞ手に入れた)」
灰アイルー 「Es……ist……Vorganger(それはお前のものだ……)」
少女 「! 待って!」
少女 「私、まだあなたに聞きたいことが……」
灰アイルー 「………………(スッ)」
少女 「(私の喉に、灰猫さんが触った……)」
灰アイルー 「(ボソ……)」
少女 「何? よく聞こえな……」
灰アイルー 「………………(スゥゥゥゥゥ)」
少女 「!! 消えちゃった…………」
少女 「熱ッ!!」
 >ボウッ!!
少女 「熱い…………あ! てるてるぼうずのお守りが灰になってる……!!」
ウラガンキン 「まんま!!」
少女 「ウラちゃん!? 私、ウラちゃんの声が分かる……!!」

88: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:25:08.87 ID:xj0ZFkI0
クック 「少女ォォ-!!!」
少女 「!! おじさんの声だ!!」
アグナコトル 「待ってな! ここらへんの炎をアグナビームで吹き飛ばしてやんよ!」
 >ボォォォォォォォォォォッ!!!!
少女 「あ……熱い……息が出来ない…………」
ウラガンキン 「まんま!(ガシッ)」
少女 「ウラちゃん…………?」
ウラガンキン 「(ダダダダダダッ)」
少女 「ウラちゃん……私を、背中に乗せて……」
クック 「少女ー!!!」
少女 「おじさん……!!!」
少女 「おじさん、羽が燃えてる……!!!」

89: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/12(土) 12:26:09.77 ID:xj0ZFkI0
クック 「これくらいなんともない。!! 少女……! もしかして……」
クック 「言葉が分かるようになったのか!!!!」
少女 「うん! おじさん!!」
クック 「良かった! さぁ、ここから離れよう!!」
アグナコトル 「それはウラガンキン様の宝玉!? 中で見つけたのかい!?」
少女 「はい! でも、私を守ってくれてた力が消えちゃって……」
イビルジョー 「とにかくここから出るぞ! 俺たちも焼け死んじまう!」
アグナコトル 「分かってるよ! 出るよ!!(ボォォォォォォォォッ!!)」
少女 「(灰猫さん、私に何を言いたかったのかな……)」
少女 「(何だか不安そうな顔をしてた……)」
少女 「(どういうことなんだろう……)」
少女 「(でも、私またモンスターの言葉が分かるようになった……!!)」
少女 「(それに、ウラちゃんが本当のお母さんを分かるようになったら……)」
少女 「(白猫さん、私やったよ……!!)」

116: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:49:38.67 ID:Qmp7KNk0
12.最終話 モンスターハンター

―十年前―

ベリオロス 「おお、産まれたか…………!!」
ナルガクルガ剛種 「元気な男の子よ……」
ベリオロス 「私の息子…………こんなに小さなものが、私の息子……?」
ナルガクルガ剛種 「ええ。私も、あなたも、生まれた頃はこんなに小さかったの」
ナルガクルガ 「……すぅー……すぅー……」
ベリオロス 「息をしていないぞ。まさか、もう死んでしまったのか!?」
ナルガクルガ剛種 「落ち着いて。寝ているだけよ」
ベリオロス 「そうか……」
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「君にそっくりだ」
ナルガクルガ剛種 「目は、あなたにそっくりよ」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ 「…………すぅー…………すぅー…………

117: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:50:43.43 ID:Qmp7KNk0
ベリオロス 「…………ありがとう」
ナルガクルガ剛種 「どうしたの、急に」
ベリオロス 「いや……何となく、君にお礼を言いたい気分になった……」
ベリオロス 「こんな私と一緒にいてくれて……」
ベリオロス 「こんな私と子をなして……」
ベリオロス 「それでも、まだ笑っていてくれる」
ベリオロス 「そんな君に、お礼を言いたくなった……」
ナルガクルガ剛種 「それは、私もよ」
ベリオロス 「君も……?」
ナルガクルガ剛種 「こんな私を好きだといってくれて……」
ナルガクルガ剛種 「こんな私と愛をはぐくんでくれて……」
ナルガクルガ剛種 「そしてその結果、この子が産まれた」
ナルガクルガ剛種 「それほど、うれしいことはないわ」
ベリオロス 「うれしい……」
ベリオロス 「私は今、うれしいのか……?」
ナルガクルガ剛種 「ええ、それが『うれしい』っていう心よ」
ナルガクルガ剛種 「うれしいときは、もっと嬉しそうに、堂々としていなくちゃいけないわ」

118: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:51:34.82 ID:Qmp7KNk0
ナルガクルガ剛種 「あなたは、お父さんになったんだもの」
ベリオロス 「お父さん……」
ベリオロス 「父というものは良く分からないが……」
ベリオロス 「この気持ちがもしうれしいというものだとしたら、私は……」
ベリオロス 「君に出会えて、良かったと思うよ……」
ベリオロス 「この子にも出会えて、良かったと思う……」
ベリオロス 「それで、いいのだろうか……?」
ナルガクルガ剛種 「何か、悪いことがあるの?」
ナルガクルガ剛種 「それが、家族っていうものでしょう?」
ベリオロス 「家族……」
ベリオロス 「これが、家族……」
ベリオロス 「これが……」
ベリオロス 「…………(ツゥ……)」
ベリオロス 「……ッ、何だ……?」
ナルガクルガ 「あなた……泣いてるの?」
ベリオロス 「俺は涙など……」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ 「…………すぅー…………すぅー…………」
ベリオロス 「…………あぁ、泣いているのかもしれない…………」

119: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:52:26.65 ID:Qmp7KNk0
ナルガクルガ剛種 「………………」
ベリオロス 「今まで、つらいとき、苦しいとき……」
ベリオロス 「情けない話だが、俺は何度か泣いたことがある……」
ベリオロス 「無論、一人でいるときだが……」
ベリオロス 「涙を誰かに見せたことはないし、そんな弱い心はもう、どこかに捨て去ったと思っていた」
ベリオロス 「何故泣くか、何故涙が出てくるのか、あのときには良く分からなかった」
ベリオロス 「だが今、何となくそれが判ったような気がする……」
ナルガクルガ剛種 「……どうして?」
ベリオロス 「何となく、だ……」
ベリオロス 「言葉に出来ない。だからだ……」
ナルガクルガ剛種 「ふふ……」
ベリオロス 「……?」
ナルガクルガ剛種 「あなたって本当、意地っ張りで、見栄っ張りで……」
ナルガクルガ剛種 「でも、本当に寂しがりや……」
ナルガクルガ剛種 「いいのよ。でもね……」
ナルガクルガ剛種 「独りでいられる人は、この世には誰一人としていないのよ」
ナルガクルガ剛種 「人は、誰かの中に自分を映さなきゃ、生きているって思うことが出来ないの」
ナルガクルガ剛種 「誰かがいなきゃ、人は生きていくことは出来ないの」
ナルガクルガ剛種 「そして誰かがいて初めて、何かを伝えることが出来る」
ナルガクルガ剛種 「生き物って……そういうものよ?」

120: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:53:20.66 ID:Qmp7KNk0
ベリオロス 「何故笑う?」
ナルガクルガ剛種 「ふふ……あなたも生き物だったんだって思って、ちょっと安心したの」
ベリオロス 「私はまじめに話を……」
ナルガクルガ剛種 「あ、ほら見て」
ベリオロス 「……?」
ナルガクルガ 「すぅー……すぅー…………」
ナルガクルガ剛種 「寝顔のしかめっ面が、あなたにそっくり」
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「そっくり……? 私にか……」
ベリオロス 「この小さなものが、本当に……私の息子でいいのか?」
ナルガクルガ剛種 「ほら、何してるの?」
ナルガクルガ剛種 「嬉しいときには笑って。そんなしかめっ面じゃ、この子に怖がられちゃうでしょう」
ナルガクルガ剛種 「笑っていいのよ。だって、私もあなたも、この子も家族なんですもの」
ナルガクルガ剛種 「違う?」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ 「すぅー…………すぅー…………」
ベリオロス 「あぁ……」
ベリオロス 「……………………そうだな」

121: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:54:12.48 ID:Qmp7KNk0
―現在、水没林―

ナルガクルガ 「…………(この白い獣……ベリオロス……)」
ナルガクルガ 「(泣いている……)」
ナルガクルガ 「……………………」
紫ガミザミ 「ナルガ殿、もう怪我の具合はよいのか?」
ナルガクルガ 「…………ああ。お前が持ってきた古龍の血が効いたようだ」
ドスバギィ 「……若造」
ナルガクルガ 「………………」
ドスバギィ 「なるほど、母親にそっくりだ」
ドスバギィ 「…………俺たちは家族というものを大事にしている」
ドスバギィ 「それは、この世で一番得るのが簡単だが、無くしてしまったら二度と手に入らないものだからだ」
ドスバギィ 「おめぇさん、今、世界で一番のラッキーボーイだぜ……」
ドスバギィ 「よく考えな……」
ナルガクルガ 「…………」
ドスバギィ 「ラギアよ、どうする? 人間とチビガンキンと変な鳥が沈んじまった」
母バギィ 「イャンクックだよ、父ちゃん」
子バギィ 「……ここからなら、海流を通って火山についてるかもしれないぞ」
ボルボロス 「あぁ……坊や…………」
ギギネブラ 「でも、この辺の海には間欠泉があるって話も聞くわ。滝は埋まってしまったし、大丈夫かしら……」
ラギアクルス 「……………………」
ラギアクルス 「ボルボロス様、ご安心ください。ウラガンキン様は絶対に私の手で助け出します」
ラギアクルス 「滝が埋まってしまっている。少し遠回りをして火山に向かわねば……」

122: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:55:05.48 ID:Qmp7KNk0
テオ・テスカトル 「ラギア殿、ボルボロス殿、ご安心召されよ」
ラギアクルス 「……!」
ボルボロス 「テオ様……?」
テオ・テスカトル 「少女には、強力な古龍の加護が備わっている」
テオ・テスカトル 「それこそ、我々全てと、神々に祝福された加護だ」
テオ・テスカトル 「これしきの困難で朽ち果てることはありえん」
テオ・テスカトル 「ラギア殿、ここからなら、あなたは海底を通って火山に向かえると仰っていたな?」
ラギアクルス 「ああ。私ならそれが可能だ」
テオ・テスカトル 「なら、少女は今そこにいる」
ラギアクルス 「貴殿の言葉に根拠は?」
テオ・テスカトル 「少女の体には私の血も流れている。感じるのだ。彼女の鼓動を」
テオ・テスカトル 「おそらくはウラガンキンやイャンクック殿も無事だ。早く救出に向かわねば」
ラギアクルス 「!! そうか! 良かった……!!」
ボルボロス 「テオ様……お心遣い、ありがとうございます」
テオ・テスカトル 「いや、礼はその腕に息子さんを抱いてからにしてください」
テオ・テスカトル 「火山の場所を教えてください」
ラギアクルス 「ここからだと、飛んだ方が早いかもしれない。だが、遠回りになってしまう……」

123: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:56:08.58 ID:Qmp7KNk0
ベリオロス 「………………私が抜け穴を知っている………………」
ボルボロス 「……! ベリオロス殿!」
ナルガクルガ 「……(サッ)」
紫ガミザミ 「ひっ。こやついきなりしゃべりおった!!」
ベリオロス 「(むくっ)………………水没林からなら、砂原を通り、地下を進めば火山に出ることが出来る……」
ベリオロス 「私しか知らない道だ……」
ベリオロス 「だが、人間の里の近くを通ることになる……」
ベリオロス 「その危険を冒せれば、の話だが……」
ラギアクルス 「貴殿……我々を裏切ったのではなかったのか?」
ラギアクルス 「答えによってはその言葉信用できん」
ベリオロス 「今現在争っている場合なのかどうか、分からぬか若造……」
ラギアクルス 「何を……!!」
ボルボロス 「(スッ)……ベリオロス殿」
ベリオロス 「………………」
ボルボロス 「あなたの悲しみ、苦しみ……私も、共に分かち合うことは出来ませんか?」
ベリオロス 「………………」
ボルボロス 「私にも、子供が生まれました……」
ボルボロス 「まだ、私のことを母と呼べない子ですが……私と、亡き夫の子です」
ボルボロス 「その子を、共に守る家族となってもらえませんか……?」
ボルボロス 「共に行きましょう。ベリオロス殿……」

124: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:56:59.76 ID:Qmp7KNk0
ベリオロス 「……………………」
ベリオロス 「(フッ)…………家族、家族か………………」
ナルガクルガ 「………………」
ベリオロス 「………………家族はいい。家族はいいものだ…………」
ドスバギィ 「…………」
ベリオロス 「それだけのことを理解するのに、どれだけの時間がかかったのだろうか……」
ベリオロス 「そしてそれが無くなったとき、どれだけの苦痛を感じたか……」
ベリオロス 「独りでいるときよりも、私はつらかった……」
ボルボロス 「………………」
ベリオロス 「子供……子供か……」
ボルボロス 「…………はい……!!」
ベリオロス 「協力しよう。それが、私の答えだ」
ラギアクルス 「……………………分かった。道を教えてはもらえないだろうか」
ベリオロス 「こっちだ(スッ)」
ナルガクルガ 「………………」
ベリオロス 「……………………」
ベリオロス 「そのしかめっ面をやめろ」
ナルガクルガ 「……!!」
ベリオロス 「私のようになるぞ」
紫ガミザミ 「ち……近づくでない! おぬし信用できぬのじゃ!」
ベリオロス 「………………」

125: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:57:54.21 ID:Qmp7KNk0
ハンマー 「クソ……少女……」
太刀 「どうするのハンマー!? 滝が埋まっちゃったよ!!」
ハンマー 「……!!」
ハンマー 「(古龍の大宝玉が光っている……)」
ハンマー 「(こちらの方角か……振動も……)」
ハンマー 「(まだ少女は生きているというのか……!!!)」
ハンマー 「俺の武器が反応している。おそらく、少女の居場所を教えてくれようとしているんだ!」
太刀 「はぁぁ!? 何言ってんの! 武器がそんなこと……」
ハンマー 「砦蟹を撃退したときもそうだった。あれは、砦蟹に反応していたのかと思ったが……違う」
ハンマー 「少女の持つ不思議な力に共鳴していたんだ」
ハンマー 「あの時と同じだ。少女は死んでいない!」
ハンマー 「まだ生きている。助けられるぞ!!」
太刀 「ハンマー、炎王龍が……」
テオ・テスカトル 「グルルルルル」
ハンマー 「……お前も感じるのか、炎王龍」
テオ・テスカトル 「(スッ)」
ハンマー 「分かっている。みなまで言うな。いくぞ太刀!」
太刀 「え!? あ、あたしも行っていいの?」
ハンマー 「この期に及んで何を言う! お前も、こいつらの仲間だろう!!」
太刀 「……うん! 分かった!!」

126: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:58:48.14 ID:Qmp7KNk0
―火山―

少女 「この宝玉……でも、どうすればいいんだろう……」
アグナコトル 「歴代の王は、それを体の中に収めることにより、記憶や力を継承したんだ」
アグナコトル 「だから、ウラガンキン二世様にそれを収めていただくのが一番いいと思う」
少女 「収めて……って、食べるってこと……?」
ウラガンキン 「……??」
イビルジョー 「しっかし……お前一体何なんだ? どうして神域の中に入ることが出来た?」
少女 「私にも良く分からないの……あの、さっきは大きな声を上げてごめんなさい」
クック 「少女には不思議な力があるんだ。前にもこんなことがあった」
イビルジョー 「ふぅむ。いまいちよくわかんねぇが、とにかくウラガンキン様の宝玉は見つかったわけだ!」
イビルジョー 「どうしてこんなとこに隠されてたのかはわからねぇがな!」
アグナコトル 「本当だ……そういえば、どうしてウラガンキン様は宝玉をこんなところに……」
アグナコトル 「確かに誰もとることは出来ないが、宝玉を隠す理由が分からない」
少女 「私……何となく分かるような気がする」
アグナコトル 「……?」
少女 「この宝玉の中には、たくさんの記憶が詰まってる……それが、何となく分かるんです」
少女 「そして、その記憶は人間とモンスターの戦いや、モンスター同士の戦いや、そういういざこざまで全部詰め込んで……」
少女 「幸せな記憶と混ざり合ってしまっているんです」
少女 「その記憶は、子供のウラちゃんが受け取るには、あまりにも重過ぎるんじゃないでしょうか……」

127: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 10:59:51.83 ID:Qmp7KNk0
アグナコトル 「…………確かに、二世様は生まれたばかりだ。記憶を受け止めきれないこともあるかもしれない」
アグナコトル 「思いつかなかった……ウラガンキン様は、そういえば自分のお子が生まれたときのことを懸念されていた」
アグナコトル 「もし、生まれながらにして人間を嫌ってしまったり、モンスターのいざこざに巻き込まれでもしたら……」
アグナコトル 「そう、つぶやかれていたことがあった」
イビルジョー 「………………」
クック 「……とにかく宝玉は手に入れたんだ。ボルボロスさんの所に戻ろうじゃないか」
イビルジョー 「そうだな。考えてもしゃあねぇものはしゃあねえ。宝玉をウラガンキン様に託すかどうかは、ボルボロス様が決めることだ」
ウラガンキン 「………………」
少女 「恐い竜さん、ありがとう」
イビルジョー 「ケェ。人間に礼を言われる日がくるとはな!」
アグナコトル 「ここからだと、砂原を抜けた所が近いよ。人間の子が燃えちまう前に火山を出よう」
クック 「確かに。少女、体は大丈夫か?」
少女 「ちょっとやけどしてるけど平気だよ。おじさんこそ……」
クック 「私は大丈夫だ。ウラ、行くぞ」
ウラガンキン 「うもー」
クック 「(これで終わるのか……?)」
クック 「(……これで、ウラに記憶を継承させて王にすれば、全てが終わるのだろうか……)」
クック 「(………………)」
クック 「(いや、今は少女を守ることを考えよう)」

128: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:01:13.35 ID:Qmp7KNk0
―砂原―

スラッシュアックス 「(残ったのは、結局いつものメンバーだけか……)」
熟練ハンターA 「はぁ……はぁ……」
熟練ハンターB 「スラッシュアックス、この手勢では無理だ。一旦村に引き返そう」
スラッシュアックス 「傷を負ったものは引き返せばいい。だが、俺は引かん」
スラッシュアックス 「ここで引いてしまったら、俺の中の大事な何かが折れてしまう」
スラッシュアックス 「そんな気がするんだ……」
スラッシュアックス 「(だが、峯山龍は何故あの時、止めを刺さずに去っていった……?)」
スラッシュアックス 「(本当に俺たちに情けをかけたというのか……?)」
スラッシュアックス 「(情け……)」
スラッシュアックス 「(何故だ! モンスターにそのような心があるのならば……)」
スラッシュアックス 「(何故、父と母を殺した!?)」
スラッシュアックス 「(何故、仲間たちを殺した!!)」
スラッシュアックス 「(バカな……バカな……!!)」
スラッシュアックス 「(俺は間違っていない……俺はハンターだ!)」
スラッシュアックス 「(モンスターハンターなんだ……!!!)」

129: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:02:28.61 ID:Qmp7KNk0
熟練ハンターB 「……!! あれは……!!」
スラッシュアックス 「どうした!?」
熟練ハンターB 「見ろ! 恐暴竜だ!!!」
イビルジョー 「(ズゥン、ズゥン)」
熟練ハンターA 「どうしてこんなところに……炎戈竜もいるぞ……」
アグナコトル 「(ズゥン…………ズゥン…………)」
スラッシュアックス 「(ガシャコン)お前たちは村に戻れ」
スラッシュアックス 「全員を避難させるんだ」
スラッシュアックス 「ここを越えればモガの村だ。攻め込まれたらひとたまりもない」
熟練ハンターA 「お前はどうするんだ、スラッシュアックス!」
スラッシュアックス 「恐暴竜……死んでいなかったのか……!!!」
スラッシュアックス 「奴の力は驚異的だ。ここで叩いておくに限る」
熟練ハンターA 「俺も行こう。お前一人では死にに行くようなものだ(ガシャコン)」
スラッシュアックス 「ふ……お前も好きモノだな」
熟練ハンターA 「B、行くんだ。全員海の方に避難させろ!」
熟練ハンターB 「分かった。死ぬなよ!(バッ)」
スラッシュアックス 「行くぞA! まずは恐暴竜を叩く!!」

130: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:03:31.33 ID:Qmp7KNk0
アグナコトル 「(クンクン)……臭いね、人間の鉄の臭いだ」
少女 「え……? 私、鉄は身につけていないけれど……」
イビルジョー 「お前じゃねぇ。ハンターだな(クンクン)」
アグナコトル 「ジョー、あんたが仕留めな。あたしは二世様を無事に送り届ける」
イビルジョー 「ちぃ。俺は結局損役かよ。人間は面倒くさいからこりごりだぜ」
アグナコトル 「ぶつくさ言うんじゃないよ」
クック 「ハンターが狙っているのか?」
アグナコトル 「あぁ。あたしはともかく、ジョーの体はでかいから目立つんだ」
アグナコトル 「いつもは火山の奥に住むように言い聞かせていたんだけど、誤算だったね……」
少女 「そんな……私たちには戦うつもりなんてないのに……」
アグナコトル 「なまっちょろいことをお言いでないよ」
イビルジョー 「そりゃそうだ。ケケッ。だって人間だぜ?」
イビルジョー 「人間は卑怯で卑劣な生き物だ。お前はどうかしらねぇがな」
イビルジョー 「奴らは俺たちの事を見ると、必ず攻撃を仕掛けてくる」
イビルジョー 「俺たちを解体して、材料にしようと大挙してくる」
イビルジョー 「子供だろうと、女だろうとお構いなしだ」
イビルジョー 「なんていうことはねぇ。俺たちは敵同士だ。簡単に言うとな」
イビルジョー 「敵と敵は戦うものだろ? お前、そんな簡単なことも知らねぇのか」

131: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:04:24.55 ID:Qmp7KNk0
少女 「そんな……そんな哀しいこと、言わないでください」
少女 「人間にもひどい人はいるけれど、みんな、モンスターと同じように考えて、泣いて、笑っているんです」
少女 「話し合えば分かります。分かり合えるはずなんです」
イビルジョー 「シャラップ! 来るぜ!」
アグナコトル 「二世様、変な鳥と少女はこっちだ。早く!」
クック 「少女、ウラ、行くぞ!」
ウラガンキン 「うもー!!」
イビルジョー 「……じゃあ嬢ちゃんよ」
イビルジョー 「人間に殺された俺の弟の魂は、どうなるんだ?」
少女 「!!」
イビルジョー 「話し合いましょうで、はいそうですかと言える立場でもねぇんだよ、俺はな!!」
イビルジョー 「それに俺たちには、話し合う言葉がねぇ!!」
イビルジョー 「ギャオォォォォォォォォ!!!」
熟練ハンターA 「ちぃ! 気づかれた!!」
スラッシュアックス 「援護しろ!!(バッ!!)」
イビルジョー 「(ゴゴゴゴゴ)」
 >ゴウゥゥゥゥゥゥッ!!!!
スラッシュアックス 「くっ……黒炎を吐くか……!!」

132: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:05:26.70 ID:Qmp7KNk0
熟練ハンターA 「貫通弾だ! 食らえ!!(ドドドドドドッ)」
イビルジョー 「(ズババババババッ!)……ッぐ…………」
イビルジョー 「ぎゃははははははは!! 効かねぇなぁ!!」
イビルジョー 「弟を殺したときもこんな感じだったか!?」
イビルジョー 「これくらいじゃねぇだろ! 本気出せよマジでこいよ!!」
イビルジョー 「くそ人間がぁぁ!!(ズシンズシンズシン)」
スラッシュアックス 「(ガチィィィンッ!)ぐあっ!(ズンッ)」
スラッシュアックス 「(真正面で打ち合っては勝ち目がない……)」
スラッシュアックス 「(ここは下がって……罠を……)」
スラッシュアックス 「(ガチャガチャガチャ)」
イビルジョー 「死ねよやぁぁ! カス人間が!!」
スラッシュアックス 「(ボシュゥゥゥッ!)来い!!」
 >ズボァァアッ!!
イビルジョー 「(ガクンッ)ぬ……ぐあぁ!?」
スラッシュアックス 「落とし穴にかかった! 食らえ! 改良した大樽爆弾Gをまとめてくれてやる!!」
イビルジョー 「小癪な……くそっ、ワイヤーが絡み付いて上手く動けねぇ……!!」
スラッシュアックス 「(ブンッッ!!)」
アグナコトル 「……!! ジョー! そいつに食いつくんじゃない!!」
イビルジョー 「ギャォォォォォオオ!!(グググッ!)」
少女 「竜さん!!!!」

133: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:06:42.28 ID:Qmp7KNk0
イビルジョー 「シャァァァァァァ!!」
 >チュッドォォォォォォンッッ!!
イビルジョー 「うわあぁぁ!」
スラッシュアックス 「っぐ……!!!」
スラッシュアックス 「何だ!? 空中で爆発した!?」
スラッシュアックス 「!!」
スラッシュアックス 「(あれは……あの時の女の子!)」
スラッシュアックス 「(目が真っ白に輝いている……!!!)」
少女 「やめてください! 私たちは戦うつもりはないんです!!」
スラッシュアックス 「(何かを言っている……)」
スラッシュアックス 「(くそ……爆弾のせいで耳鳴りが……)」
スラッシュアックス 「(……モンスターに組する異形の少女か……!!!)」
スラッシュアックス 「(ならば、俺たちの敵だ!!)」
熟練ハンターA 「女の子……どういうことだ!?」
スラッシュアックス 「俺たちの敵だ! かまわず恐暴竜に止めを刺すぞ!!」
イビルジョー 「(ブチンッ! ブチンッ!) こんな拘束、俺に効くとでも思ってやがんのかよぉぉぉ!!!」
イビルジョー 「ナメんなァァア!!!(グォォォォォ!!!)」
スラッシュアックス 「!! 落とし穴が崩される!!」
熟練ハンターA 「ちぃぃ! 退くぞ!!」

134: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:07:34.41 ID:Qmp7KNk0
スラッシュアックス 「いや、退かん!!」
熟練ハンターA 「何を言う、爆弾は不発で、もうあいつに効く武器はないんだぞ!」
スラッシュアックス 「武器なら、ある!(ガシャコン)」
スラッシュアックス 「最後まで俺はこれを離さない!! なぜなら、俺はハンターだからだ!!」
スラッシュアックス 「下がれば負ける! そこで終わりだ!!」
スラッシュアックス 「前に、前に出るんだ!!(ダダダダッ)」
熟練ハンターA 「スラッシュアックスー!!!!」
イビルジョー 「(向かってくる……!?)」
イビルジョー 「(成る程ヤバいはずだ……こいつはもう死兵だ!)」
イビルジョー 「(もう死ぬことを、その一瞬、そのときに覚悟してきてる奴だ!!)」
イビルジョー 「(こっちもマジにならなきゃやられる……!!)」
イビルジョー 「ゴォォォォォォァァァア!!!!」
スラッシュアックス 「(前に……前に……!!!)」
スラッシュアックス 「(俺は退かん!! 前に出るんだ!!)」
スラッシュアックス 「閃光弾だ! 食らえ!!(パシャァァァッ!!)」
イビルジョー 「っぐ……!!!!」
スラッシュアックス 「うおらぁぁぁああああ!!」
 >ザンッ!!!
イビルジョー 「(ちぃぃぃ!! 頭に取り付かれた!!)」
アグナコトル 「ジョー!!!」
イビルジョー 「振り飛ばしてやる!!(グォォォォォォ!!!)」
スラッシュアックス 「飛ばされて……たまるか……!!!」

135: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:09:01.32 ID:Qmp7KNk0
スラッシュアックス 「(属性開放だ……食らえ!!!)」
 >ガチンッ! バリバリバリバリバリバリ!!!!
イビルジョー 「ガァァァァァ!!!」
イビルジョー 「(な……何だ!? 雷!?)」
イビルジョー 「(か……体の中から、焼かれる……!!!)」
イビルジョー 「ギャァァァァァァァァ!!!!」
少女 「竜さんーッ!!!!」
クック 「少女、危ない! 前に出るんじゃない!!」
アグナコトル 「ジョー!!! くそっ! あたしは助太刀に入る。あんたたちは早く、ボルボロス様のところに!!」
クック 「見捨てていけるわけがないだろ!!」
アグナコトル 「バカをお言い! あんたたちに何が出来るって言うんだい!!」
アグナコトル 「あの人間の強さは度を越してるんだ!!」
イビルジョー 「ぐあぁぁああああ!!(ブゥゥゥゥンッ!!)」
スラッシュアックス 「(ブゥゥゥゥゥン………………ドサァッ!!)ぐっ……!!」
イビルジョー 「(ふら……ふら……)な……何だ……い、今のは……!!!」
イビルジョー 「体が…………」
アグナコトル 「ジョー!!!」
スラッシュアックス 「もう一撃くれてやる!!(ダッ)」
スラッシュアックス 「死ねぇ! モンスタァァアッ!!!」
アグナコトル 「ここで会ったが百年目よ! アグナビームで灰にしてやんよ!!(カチカチカチカチ)」

136: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:10:06.43 ID:Qmp7KNk0
アグナコトル 「(ドォォォォォォンッ!!)……っが……!!」
クック 「!!!」
アグナコトル 「(ドォンッ! ドォンッ!!)……がぁぁあああ!!」
クック 「砲撃!? 人間の大砲か!?」
アグナコトル 「(ズゥゥゥンッ)……………………」
クック 「アグナさん!」
少女 「赤い竜さん!!!」
ウラガンキン 「……!!!!!!」
スラッシュアックス 「!! みんな!!!」
熟練ハンター達 「うぉおおおおお!!」
熟練ハンター達 「スラッシュアックスに続け!! 村を守るんだ!!!」
竜撃戦車 「(キュラキュラキュラキュラ)」
クック 「(あれは……!! 向こうの大陸でも人間が使っていた戦車……!!)」
イビルジョー 「(ドォォォォンッ!!) っがああ!!」
熟練ハンターA 「みんなが来てくれた!!」
熟練ハンター達 「行けぇスラッシュアックス!!」
熟練ハンター達 「モンスターの好きにさせるな!!!」
熟練ハンター達 「俺たちもハンターだ!!!!!」
スラッシュアックス 「……ああ! 分かっている!!(ダダダダッ)」
イビルジョー 「あ……アグナ!!!(ドォォォンッ!!!)ぐあぁあ!!」
クック 「こ……これが人間のやることか……!!」
クック 「やはり人間は……私たちの………………」
少女 「………………!!! やめてー!!! やめてくださいー!!!」

137: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:10:58.75 ID:Qmp7KNk0
竜撃戦車 「(ズズズズズズ)…………(キュルキュルキュルキュル)」
クック 「あれは!! あの槍に刺されたらおしまいだ!!」
イビルジョー 「(ドォォォンッ!!)く…………!!!!」
イビルジョー 「何だこいつら……!!! 叩き潰してやる!!」
クック 「いかん!!!!(バッ)」
少女 「おじさん!!!」
クック 「ジョー君、そいつに近づくな!!!」
クック 「うおおおおおおっ!!!(ドンッ)」
イビルジョー 「うわっ!!(よろっ)」
竜撃戦車 「(ジャキィィィィンッ)」
クック 「(ズバァッッ!!)ぐあああああ!!」
クック 「(ドサァッ)」
少女 「おじさん!!!」
ウラガンキン 「うもーーー!!!!」
少女 「おじさん! おじさん!!!(ダダダッ)」
ウラガンキン 「まんまー!!!(ダッ)」
イビルジョー 「変な鳥!」
クック 「………………」
イビルジョー 「くそがぁぁあ!!」
イビルジョー 「ここら一帯、全部灰にしてやる!!!」
スラッシュアックス 「今だ! もう一度撃竜槍で恐暴竜を仕留めろ!!!」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュルキュル)」

139: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:22:08.65 ID:Qmp7KNk0
少女 「おじさん! おじさん!!!!」
クック 「………………」
少女 「おじさん!!(ゆさゆさ)」
ウラガンキン 「うもー! うもー!!」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュルキュル)」
少女 「(そうだ……ポケットに、ハンマーさんからもらった煙を出す弾がある!!)」
少女 「(地面にたたきつければ……)」
少女 「ハンマーさん……! 助けて!!!(バシィッ!)」
 >ヒュボッ……!! ボボボボボボボボ!!!
スラッシュアックス 「発炎筒か!!」
スラッシュアックス 「かまうな! やれー!!!」
竜撃戦車 「(カチリ)」
×××××× 「ギャォォォォォォォ!!」
 >ピシャァァァァンッ!!
竜撃戦車 「!!!!!」
スラッシュアックス 「何だ!? 雷が戦車を直撃した!!!」
ベルキュロス 「キャラォォォォォォォ!!!!」
ドスジャギィ 「イビルジョーとアグナコトルを奥に運べ! 人間どもをかく乱するんだ!!」
ジャギィ達 「オゥイエス!」
ジャギィノス達 「イエッサー!!!」
イビルジョー 「て……てめぇら!! 何で……」
ベルキュロス 「うだうだ言ってる場合じゃねぇ! 役立たずは下がってな!!」

140: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:23:28.48 ID:Qmp7KNk0
熟練ハンター達 「新手だ! 撃て! 撃てぇぇ!!」
 >ドォォォンッ! ドォォォンッ!!
ベルキュロス 「しゃらくせえぇえぇ!!!」
 >ピシャァァンッ! ピシャァァァンッ!!
熟練ハンター達 「砲撃を雷で防いでやがる!!」
熟練ハンター達 「戦車はまだ動けないのか!!」
竜撃戦車 「(ギギ……ギ…………)」
スラッシュアックス 「舞雷竜……あの時の子供か……!!!」
スラッシュアックス 「取り逃がした獲物は、必ず殺す!!(ジャギィィンッ)」
スラッシュアックス 「うおおおおお!!!」
ベルキュロス 「!!!!」
ベルキュロス 「(あのときの……人間……!!)」
ベルキュロス 「(父様とパリアを殺した…………)」
ベルキュロス 「(こ……恐い…………)」
ベルキュロス 「(人間が、恐い…………)」
ベルキュロス 「(どうしてあたいはこんな所に来たんだ……)」
ベルキュロス 「(どうして……)」
ベルキュロス 「(く……恐くて体が……)」
スラッシュアックス 「うぉおおおおお!!!!!」
 >ドォォォンッ!!
ベルキュロス 「(しまった……砲撃が…………!!!)」
ベルキュロス 「(こっちに…………)」
 >バサァ! バサァ!
ベルキュロス 「(羽音……!!? 上から!!?)」

141: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:24:34.02 ID:Qmp7KNk0
ハンマー 「うおらぁぁあ!!!(ヒュゥゥゥゥゥ!!)」
ベルキュロス 「(何かが飛び降りた!!)」
ハンマー 「ちぇらぁあ!(ドガァァァァアッ!!!!)」
ベルキュロス 「(武器で……砲弾を……!!!)」
 >ドッガァァァァァァンッ!!!
スラッシュアックス 「うわぁぁ!!!!」
ハンマー 「(ドサァァッ)……ぐっ……………………!!!」
スラッシュアックス 「……ハンマー!!!」
スラッシュアックス 「三度俺の邪魔をするか……!!!!!」
ハンマー 「………………」
ハンマー 「言葉は不要なようだな。かかってこい!!!(ガシャコン)」
スラッシュアックス 「うおおおおおおおっ!!!(ダダダダダッ)」
ハンマー 「つおりゃぁぁぁ!!(ブゥンッ!!)」

142: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:25:30.40 ID:Qmp7KNk0
ベルキュロス 「(な……何だ!? 人間が、あたいを助けた……?)」
ボルボロス 「あの人間は敵ではありません」
ベルキュロス 「……!!」
クルペッコ 「ン……ンン~マァァ~ア!」
クルペッコ 「ベルキュロス様よ~我々も敵ではない~♪」
ベルキュロス 「クルペッコ先生……!!」
クルペッコ 「怪我はないか?」
ベルキュロス 「…………ふ……ふん! 馴れ合うつもりはないよ!」
ベルキュロス 「どうせあたいの極刑は決まってるんだ。今更上っ面だけ優しくされるつもりなんてないね!」
ボルボロス 「いいえ、あなたに罪はありません」
ベルキュロス 「……!!」
ボルボロス 「罪があるとしたら、私。あなたの苦しみを分かち合おうとしなかった、私に罪があります」
ボルボロス 「ですから、ここは分かち合おうではないですか」
ボルボロス 「共に生きましょう。私たちは仲間なのです」
ボルボロス 「辛いときは傍にいてあげます。ですから、相談してください」
ボルボロス 「それが仲間……それが、家族というものではありませんか」
ベルキュロス 「(ギリ……)」
ベルキュロス 「……………………」
ベルキュロス 「奇麗事を……」

143: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:26:23.83 ID:Qmp7KNk0
ボルボロス 「そうかもしれません。ですが、私にはあなたを罰するつもりはありません」
ボルボロス 「あなたが少しだけ勇気を出して、私たちに歩みよってくれる日を待っています」
ベルキュロス 「……………………」
テオ・テスカトル 「(ズザッ)……あの兵器は危険だ。ボルボロス殿は後ろに下がっていてください」
ラギアクルス 「知っているのか、卿?」
テオ・テスカトル 「ああ。あそこから飛び出す槍に刺されてしまったら、貴殿の鱗でもひとたまりもない」
ベリオロス 「人間の使う常套手段だ。最後は箱に隠れおる」
ナルガクルガ 「こっちでもあっちでも関係なく卑怯な奴らだ……!!」
ベリオロス 「そう言うな、戦士よ」
ナルガクルガ 「………………」
ベリオロス 「私は、この長い人間との戦いで、彼らの心が何となく分かるようになった」
ベリオロス 「彼らは私たちが恐いのだ。恐ろしいのだ」
ベリオロス 「だから虚勢を張ろうとする。だから隠れようとする」
ベリオロス 「しかし、それでも尚……恐ろしくても尚、戦士には捨てられないものがある」
ベリオロス 「家族と、仲間と……自分の誇りだ」
ドスバギィ 「ようは、俺たちとかわらねぇ、どうしようもねぇ生き物だってことだ」
ベリオロス 「………………まとめると、そうなるな」
ドスバギィ 「カニの子供は母ちゃんたちと一緒に置いてきた。暴れたが仕方がないだろう」
ナルガクルガ 「助かる」
ラギアクルス 「して、この状況どうする?」
テオ・テスカトル 「なるべくなら人間に犠牲が出ないように収めたいが……」

144: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:27:27.50 ID:Qmp7KNk0
テオ・テスカトル 「……!! あれは、少女……それに、クック殿!!」
ボルボロス 「坊や!!!」
ラギアクルス 「戦車にやられたのか!? このままでは踏み潰されるぞ!!」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュルキュル)」
テオ・テスカトル 「……くっ……間に合うか……!!(ダッ)」
ナルガクルガ 「(ダッ)」
ベリオロス 「お前たちはボルボロス様とベルキュロス様をお守りしろ(ダッ)」
ナルガクルガ 「俺に指図するな……!!(ダダダッ)」
ボルボロス 「ジョー、アグナ……」
イビルジョー 「ぐっ……ボルボロス様……すまねぇ、しくっちまった……」
アグナコトル 「う……うう…………」
ラギアクルス 「ボルボロス様、私も行きます!」
ボルボロス 「ええ、ラギア。坊やと少女さんたちを守るのです!」
ラギアクルス 「承知!!(バッ)」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュルキュル)」
少女 「おじさん!! おじさん!!!!(ゆさゆさ)」
ウラガンキン 「うもー! うもー!!」
クック 「(な……何だ……どうした…………)」
クック 「(体が重い……まるで石のようだ……)」
クック 「(寒い……)」
クック 「(私はやられてしまったのか…………)」
クック 「(少女……少女とウラの声が聞こえる…………)」
クック 「(私は……私は、少女を…………)」
クック 「(守らな…………ければ………………)」

145: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:28:18.68 ID:Qmp7KNk0
少女 「おじさん、逃げなきゃ……逃げなきゃつぶされちゃうよ!!」
クック 「…………………………」
少女 「血が、血が止まらない……おじさんが死んじゃう!!」
少女 「ハンマーさん! テオさん! ナルガさん!!!!」
少女 「助けて……!! おじさんを助けて!!!」
ウラガンキン 「………………」
ウラガンキン 「(バッ)」
少女 「あっ……!! ウラちゃん!!」
少女 「駄目! 宝玉を食べちゃ……」
ウラガンキン 「(ごくり)」
ウラガンキン 「……………………!!!!」
少女 「(ウラちゃんの目が、赤くなった!!!)」
ウラガンキン 「ギャォォォォッォォォォォォッォオオオオ!!!!!」
少女 「!!!」
竜撃戦車 「!!!」
ボルボロス 「あの咆哮は……!!!」
ラギアクルス 「ウラガンキン様の、ときの声!!!!」

146: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:29:46.78 ID:Qmp7KNk0
ウラガンキン 「ガルル……ルルル…………!!!」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュルキュルキュル)」
ウラガンキン 「ギャォォォォォォォォォ!!(ドンッ! ドンッ!!)」
 >グラグラグラグラグラグラ
少女 「きゃぁぁぁ!!!」
テオ・テスカトル 「(ウラガンキンの様子がおかしい……!!)」
テオ・テスカトル 「(怒りに我を忘れている……あれではまずい!!)」
テオ・テスカトル 「(もしかして、こんな状況で宝玉を継承したのか……!!)」
テオ・テスカトル 「(このままでは少女とクック殿を傷つけられた、人間への恨みに脳を支配されてしまう!!)」
テオ・テスカトル 「(早く怒りを静めなければ……!!!)」
ウラガンキン 「グォォォォォォォォォォォ!!!!(グググググ)」
少女 「ウラちゃん! 駄目だよ、適わないよ!!」
少女 「怒っちゃ駄目! 怒ったら、あなたは人間の敵になっちゃう!!!」
ウラガンキン 「シャァァァァ!!!(ボウッ!!)」
少女 「熱ッ!!!」
少女 「(ウラちゃんの体から、火が……!!)」
ウラガンキン 「ゴオオオオオオ!!(ゴロンゴロンゴロン)」
 >ゴロロロロロロロロロロッ!!!
少女 「(燃えたまま、体当たりを……)」
少女 「ウラちゃん!!!」
竜撃戦車 「(ドッゴォォォォォンッ!!)!!!!(グラグラグラ)」
ウラガンキン 「シャァァ! シャァァ!!(ドンッ! ドンッ!!)」
熟練ハンター達 「何してる! 早く撃竜槍を発射するんだ!」
熟練ハンター達 「熱ッ! こ、このモンスター、燃えてやがる!!」
熟練ハンター達 「戦車を壊されるぞ!!!」

147: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:30:37.88 ID:Qmp7KNk0
少女 「駄目ー!!! やめてー!!!!」
ウラガンキン 「ウモォォ!! ウモォォォ!!!(ドンッ! ドンッ!!!)」
竜撃戦車 「(グラグラグラ)…………!!(キュルキュルキュルキュル)」
ハンマー 「!! 少女!!」
スラッシュアックス 「戦いの最中に余所見か!(ブゥゥンッ!!)」
ハンマー 「(ガキィィンッ!)スラッシュアックス! お前はアレを見ても何も感じないのか!!」
スラッシュアックス 「………………(ブンッ! ブンッ!!)」
ハンマー 「(ガキィィンッ! ガキィィィンッ!!)あれが、親を守る子の姿だ!!」
ハンマー 「そこに心を、何故感じない!?」
ハンマー 「そこに情けを、何故感じない!!」
ハンマー 「(ギィィィンッ!!)聞け! スラッシュアックス!!」
スラッシュアックス 「問答は無用と言ったはずだ!!」
ハンマー 「お前にも親がいたはずだ!」
スラッシュアックス 「!!!」
ハンマー 「お前を守ろうとして、お前が守ろうとした家族がいたはずだ!!」
ハンマー 「目を覚ませスラッシュアックス!!!」
ハンマー 「お前は、お前が守ろうとした家族を、おまえ自身の手で崩そうとしているんだぞ!!!」
スラッシュアックス 「…………ええい! 黙れ黙れェェ!!!」
スラッシュアックス 「やかましい!!!(ブゥゥゥンッ)」
ハンマー 「……!!(ガキィィィンッ)」
ハンマー 「何故だ! 何故分かろうとしない!?」
スラッシュアックス 「何故かだと!? 貴様も、心の中では分かっているのではないか!!」
スラッシュアックス 「俺たちはハンターだ! 人間だ!!」
スラッシュアックス 「それ以上に、言うことは何もない!!!」

148: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:31:32.85 ID:Qmp7KNk0
ハンマー 「ハンターが何だ!? 人間が何だ!!」
ハンマー 「確かに俺もハンターだ! モンスターハンターだ!!」
ハンマー 「だが、俺にも親がいた、心がある! 奴らと同じように!!」
ハンマー 「そう、同じように!!(ブゥンッ!!)」
スラッシュアックス 「(ガキィィィンッ!!)…………ッ!!」
ハンマー 「俺は種族ではなく心を信じる!! 血の通った心を、奴らにも!!」
スラッシュアックス 「ハンマー!! 貴様のように全ての人間が強いわけではない!!(ブゥゥゥゥンッ!!)」
ハンマー 「(ガキィィィンッ)……くっ……!!!」
スラッシュアックス 「俺たちに言葉はない! 交わす言葉もない! そこに心など関係ない!!」
ハンマー 「いいやある! 確かに、奴らの中には心が!!!」
スラッシュアックス 「ならば何故だ!」
スラッシュアックス 「何故父と母を殺したァァァ!!!」
ハンマー 「!!!」
ハンマー 「(ガキィィィンッ!!)……ぐぁっ!!」
スラッシュアックス 「立ちふさがるなら貴様も斬る! 覚悟!!」
ハンマー 「(すまない、スラッシュアックス……)」
ハンマー 「うおおおおおおお!(ブンブンブンブン)」
スラッシュアックス 「!!」
ハンマー 「とぅりゃぁぁぁ!!!(ブゥゥゥゥンッ!!)」
スラッシュアックス 「(バキィィィィンッ!!)…………うお…ぐああああ!!(ドサッ)」
スラッシュアックス 「(そ……そんな……)」
スラッシュアックス 「(俺の武器が粉々に、砕け散っただと……!?)」

149: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:32:35.12 ID:Qmp7KNk0
ハンマー 「はぁ……はぁ……」
スラッシュアックス 「ふん……」
スラッシュアックス 「俺にトドメをさすのか……」
ハンマー 「………………」
スラッシュアックス 「ハンマーよ……」
ハンマー 「(ブゥンッ)」
ハンマー 「(カシャゴン)阿呆が。止めを刺す価値もない」
スラッシュアックス 「!!」
ハンマー 「俺が戦っているのはお前ではない。お前の中の恐怖と戦っている」
ハンマー 「そしてそれに決着をつけるのは、俺ではない。お前自身だ」
スラッシュアックス 「恐怖……俺が……?」
スラッシュアックス 「俺が……恐れている……?」
ハンマー 「……!! 少女! 助けに行かないと……!!」
太刀 「ハンマー! スラッシュアックス!!(ダダダッ)」
ハンマー 「太刀! 少女が……!!」
太刀 「分かってる! でもここからじゃ戦車の突撃に間に合わないよ……!!」
ハンマー 「少女ー!! はやくそこから離れるんだー!!!」
太刀 「……イャンクックが怪我をしてる! 戦車にやられたんだ!!」
ハンマー 「……ちぃ!!(ダッ)」
太刀 「ハンマー!!!」

150: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:33:27.90 ID:Qmp7KNk0
竜撃戦車 「(ドゴォッ!!!)……(グラグラグラ)」
ウラガンキン 「グォォォォォオオオ!!!」
少女 「ウラちゃん、戻って! 戦っちゃ駄目!!!」
竜撃戦車 「(キュラキュラキュラキュラ)」
竜撃戦車 「(ジャキィィィィンッ!!)」
少女 「!!!」
ベリオロス 「(ヒュバッ!!)」
ナルガクルガ 「(ヒュバッ!!)」
少女 「……!! 槍が、粉々に……」
テオ・テスカトル 「大丈夫か少女!? クック殿!!(ザザザッ)」
イャンクック 「………………」
少女 「おじさんの血が止まらないの!!」
テオ・テスカトル 「まだ息はある。大丈夫だ。それよりも、ウラガンキンを止めないと……!!」
ウラガンキン 「ウグォォォォォォォ!!!!」
テオ・テスカトル 「……くっ……ものすごい熱気だ……」
テオ・テスカトル 「少女とクック殿を攻撃されたことで、人間への憎しみを覚えてしまった……!!」
竜撃戦車 「(ガシャガシャガシャガシャ)」
テオ・テスカトル 「!! バリスタか!!」
ラギアクルス 「シャァァァ(ゴゥッ!!)」
竜撃戦車 「(ドォォォォォンッ!!)……!!!」
ラギアクルス 「卿よ、油断召されるな!!」
テオ・テスカトル 「分かっている、クック殿は私が持つ。下がるぞ、少女!」
少女 「でも、ウラちゃんが……」
テオ・テスカトル 「ああなってしまっては、怒りが収まるまで止まりはしない、危険だ!!」

151: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:34:21.69 ID:Qmp7KNk0
少女 「…………(ダダダダッ)」
テオ・テスカトル 「少女!!!!」
少女 「ウラちゃん! ウラちゃん!!!」
少女 「確かに、人間はずるくて、卑怯なこともたくさんするよ!」
少女 「でも、中には分かり合える人だって絶対いるんだよ!!」
少女 「私をお母さんだと思ってくれたように、いつかきっと分かり合えるときが来るよ!!」
少女 「だから憎しみにとらわれないで!!!」
少女 「あなたはまだ、子供なのよ!!!!」
ウラガンキン 「グォォォォォォォォォ!!!!(メラメラメラ)」
少女 「ウラちゃん…………」
 >ズズズズズズズズ
ボルボロス 「ありがとうございます、少女さん」
少女 「ボルボロスさん……地面の下から!!」
ボルボロス 「私の頭に乗って。共に、坊やを助けに行きましょう」
少女 「……はい!!!」
ラギアクルス 「……!! ボルボロス様!? そちらは危険です!!」
ボルボロス 「グォォォォォォ!!!(ズシンズシンズシンズシン)」

152: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:35:16.44 ID:Qmp7KNk0
ボルボロス 「シャァァァァ!!!(ドォォォォォンッ!!!)」
竜撃戦車 「(グラグラグラ)…………!!!!!」
ボルボロス 「坊や!!」
ウラガンキン 「!!!」
竜撃戦車 「(バシュゥゥゥゥ!! バシュゥゥゥゥ!!)」
少女 「!! バリスタが!!」
ボルボロス 「! (坊や……)……ギャォォォォ!!(ドスッ! ドスッ!)」
少女 「ボルボロスさん!!!!」
ボルボロス 「………………グ……く…………」
ウラガンキン 「………………」
ボルボロス 「怪我はない……? 坊や……」
ウラガンキン 「(シュゥゥゥゥ…………)………………」
ボルボロス 「さ、お家に帰りましょう……(スッ)」
ウラガンキン 「…………マーマ…………?」
ボルボロス 「……!!!!!」
竜撃戦車 「(ギリ……ギリ……)」
少女 「危ない!!」
ウラガンキン 「グォォォォォォォ!!!(ダダダダッ)」
竜撃戦車 「(バシュゥゥゥゥゥッ!!)」
ウラガンキン 「(ドスゥゥゥッ!!)……グッ………………」
竜撃戦車 「(ドッゴォォォォンッ………………)」
竜撃戦車 「(ガタ…………ゴドォォォン………………)」
ラギアクルス 「(戦車が倒れた…………!!)」
ウラガンキン 「(ゴロン、ゴロン…………ドサッ)」

153: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:36:17.44 ID:Qmp7KNk0
ボルボロス 「坊や……」
少女 「ウラちゃん!!! ウラちゃん!!」
ウラガンキン 「……………………」
ボルボロス 「坊やー!!!!」
ウラガンキン 「う…………うも………………」
ボルボロス 「く……グ…………」
少女 「まだ生きてる……ボルボロスさん、まだ大丈夫だよ!!」
ボルボロス 「坊や……(ぐい……)」
ウラガンキン 「…………マーマ………………」
ボルボロス 「……………………」
竜撃戦車 「……………………」
少女 「……………………」
少女 「……………………帰ろう、ボルボロスさん……」
ボルボロス 「………………」
ボルボロス 「………………ええ」
ボルボロス 「帰りましょうか……一緒に……」

154: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:37:12.67 ID:Qmp7KNk0
スラッシュアックス 「(……土砂竜が一度、こちらを見た……)」
スラッシュアックス 「(あの溶岩竜は子供か……?)」
スラッシュアックス 「(何と哀しい目をするんだ……)」
スラッシュアックス 「(何故だ……何故そんな目で俺を見る……)」
スラッシュアックス 「(そんな目で、俺を見ないでくれ…………)」
スラッシュアックス 「(俺を…………見ないでくれ………………)」
スラッシュアックス 「………………」
ハンマー 「……モンスター達が去っていく…………」
ハンマー 「潮が引くように、モンスター達が…………」
太刀 「どうして……? あの土砂竜、泣いてるように見えた……」
ハンマー 「俺にもそう見えた……」
ハンマー 「彼らは家に帰っていくんだ、これから……」
ハンマー 「俺たちも、家に帰ろう……」
スラッシュアックス 「………………」
ハンマー 「ほら……」
スラッシュアックス 「…………」
ハンマー 「何をしてる。手を握れ」
スラッシュアックス 「え…………」
ハンマー 「お前も、俺たちの仲間だ……帰ろう……」
ハンマー 「あいつらは、あいつらの場所で生きていく」
ハンマー 「俺たちは、俺たちの場所で生きていくんだ……」
スラッシュアックス 「……………………(ガシッ)」
スラッシュアックス 「ああ……」
スラッシュアックス 「だが、俺はハンターだ……お前も……」
スラッシュアックス 「ハンターである限り、俺は奴らを狩り続ける……」
ハンマー 「(ふっ)…………ああ、そうだな…………」

155: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:38:08.37 ID:Qmp7KNk0
―クックの夢の中―

クック 「(……体が動かない……)」
クック 「(私は、死んでしまったのだろうか……)」
クック 「(少女は……)」
クック 「(私は、少女を守れたんだろうか……)」
クック 「(何も見えない……)」
クック 「(何も聞こえない…………)」
クック 「……!! あれは…………」
クック 「青クック……! 子クック達!!!」
青クック 「…………(ニコニコ)」
子クック達 「…………(ニコニコ)」
クック 「おお……お……おおお……」
クック 「お前たち……生きて…………」
クック 「………………」
青クック 「(ふるふる)」
クック 「………………そうか………………」

156: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:39:06.99 ID:Qmp7KNk0
クック 「なぁ、聞いてくれ……」
クック 「私にも、新しい娘が出来たんだ……」
青クック 「(ニコニコ)」
クック 「その子は、ちょっと変わっていて……」
クック 「ちょっと私たちと違うが……」
クック 「紛れもない、新しい娘なんだ……」
クック 「こんな私にも、家族がまた、出来たんだ……」
青クック 「(ニコニコ)」
クック 「お前たちのように、かわいらしくて……」
子クック達 「(ニコニコ)」
クック 「だがちょっと危なっかしい、可愛い娘だ……」
クック 「………………」
クック 「あぁ、少女が呼んでいる……」
クック 「あの子の呼ぶ声が、聞こえる……」
クック 「行かなければ……」
青クック 「(ニコニコ)」
子クック達 「(ニコニコ)」

157: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:40:04.65 ID:Qmp7KNk0
クック 「いつかお前たちに、胸を張って、お父さんは……」
クック 「いつか……また、胸を張って会える『父親』であれるように……」
クック 「私は戻ることにするよ……」
青クック 「(こくり)」
クック 「それじゃ……」
クック 「(少女の声が聞こえる……)」
クック 「(少女が私を呼んでいる……)」
クック 「(行かなければ……)」
クック 「(あの子のところへ……)」
クック 「(だって私は、あの子の……『父親』なんだから……!!!)」
クック 「(あの子の笑顔を見るために……)」
クック 「(たとえ種族や言葉が違っても……足りないものがあったとしても……)」
クック 「(共に暮らし、生きるために……)」
クック 「(私は、もどらねばならない…………!!)」

158: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:41:12.23 ID:Qmp7KNk0
―水没林、秘境―

少女 「おじさん!! おじさん!!!」
クック 「…………ン…………ンン…………」
少女 「ジエン様! おじさんが目を開けたよ!!」
ジエン・モーラン 「わしの血を飲んだのだ。目覚めなければおかしい」
クック 「私は……生きているのか……?」
少女 「おじさん、泣いてる……」
クック 「………………」
クック 「…………お前の無事な姿を見れて、嬉しいのさ」
少女 「おじさん!!(バッ)」
クック 「(なでなで)はは……っ」
テオ・テスカトル 「良かった。一時期はどうなることかと思ったが、ジエン殿が秘境に、また足を運んでくださったのだ」
テオ・テスカトル 「今は眠っているが、ジョーさんやアグナさんも無事だ」
クック 「あなたにはお手数をおかけします。ありがとう」
ジエン・モーラン 「礼はいらぬ。そもそもはわしが招いた不始末じゃ」
ボルボロス 「とんでもありません。あなたのおかげで、私も、坊やもこうして無事です」
ウラガンキン 「うもー」
ジエン・モーラン 「それは何より。ウラガンキンも、治まったようだな」

159: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:42:05.31 ID:Qmp7KNk0
ウラガンキン 「(スッ)」
少女 「!!」
ウラガンキン 「まんま……」
ボルボロス 「………………」
ウラガンキン 「(スリスリ)マーマ」
少女 「そう、そうだよ、ウラちゃん。その人があなたのお母さんだよ」
ウラガンキン 「(こくり)」
ボルボロス 「この子は、あの人間の戦車から、私とあなたの命を助けてくれました」
ボルボロス 「勇敢な心を持つ、偉大な王になることでしょう」
ボルボロス 「少女さん、心からお礼を申し上げます」
ナルガクルガ 「…………一件落着というわけか」
紫ガミザミ 「少女ー!!(ダダダッ)」
少女 「紫ちゃん!!」
紫ガミザミ 「心配したぞな。おぬし、言葉がまた分かるようになったのじゃな!」
少女 「うん、古竜さまに治してもらったの!」
トレニャー 「いやぁよかったよかった」
クルペッコ 「全員の怪我もジエン老に治していただいて、万々歳だな」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ 「…………ふん」
ベリオロス 「……気が向いたら、またこちらに来るといい……」
ナルガクルガ 「!!」
ベリオロス 「美味い酒を持ってな……」
ナルガクルガ 「…………あぁ」
ナルガクルガ 「気が向いたら、な……」

160: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:43:11.56 ID:Qmp7KNk0
××××× 「(バサァ! バサァ!!)」
××××× 「(バサァ! バサァ!!)」
テオ・テスカトル 「ぬ……あの羽音は……」
毒リオレウス 「……!!」
毒リオレイア 「……!!」
リオレウス 「レ、レイア……やっぱりやめておこうよ」
リオレウス 「あの二人は本当に凶暴で話が通じないんだ……」
リオレイア 「あの二人……って、あなたのお父さんとお母さんでしょう?」
リオレイア 「それに、少女ちゃんたちだって気になるじゃない」
リオレイア 「あ、あそこじゃない!? みんな集まってるわよ!」
リオレウス 「!! ほんとだ!!」
毒リオレウス 「しゃっだらぁああっぁ!! こんクソガッキャァ!!!!」
毒リオレイア 「どの面下げて戻ってきよったァァ!!! つぅか来んのおそッッ!! 遅いわァァ!!!」
リオレウス 「ひぃぃ! やっぱりものすご怒ってる!!」
リオレイア 「テオ様ー!! 少女ちゃんー!!」

161: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:45:05.32 ID:Qmp7KNk0
テオ・テスカトル 「ふふっ……我々を迎えに来てくれたようだ」
少女 「レイアさんー!! 私たちは無事だよー!!」
ラギアクルス 「行くのか、卿。もう少しゆっくりしていけばよいものを」
テオ・テスカトル 「いや。妻や仲間たちが待っている。それに……」
テオ・テスカトル 「来たかったらまた来ればいい。私たちは、仲間なんだ」
ラギアクルス 「……そうだな。私も、何か用事があればそちらに伺おう」
ギギネブラ 「私も行ってみたいわ」
ドスバギィ 「また、狂走エキスの酒を持ってきな」
少女 「……!! うん!!!」
ウラガンキン 「うもー!!!」
クック 「よいしょっと」
少女 「おじさん、飛べる?」
クック 「お前一人乗せるくらいなら、全然わけはないさ」
少女 「ウラちゃん、また会いにくるね」
ボルボロス 「一族でお待ちしております(ニコッ)」
少女 「……はい!!」
少女 「じゃあね、ウラちゃん(なでなで)」
少女 「お母さんと、仲良くね」
ウラガンキン 「(すりすり)まんま……」
少女 「(にこり)」

162: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:47:04.05 ID:Qmp7KNk0
クック 「さぁ、じゃあ帰ろうか……」
クック 「私たちの家に!」
少女 「うん、帰ろう!!」

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イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 おしまい

166: 三毛猫 ◆58jPV91aG. 2009/09/23(水) 11:55:08.62 ID:Qmp7KNk0
この5ヶ月間、約半年もの間お付き合いいただきまして、本当に長い間、ありがとうございました
これでイャンクックと女の子のお話はおしまいになります
しかし、皆様がハンターライフをお送りになる限り、どこかで彼女達は、また何かに巻き込まれていくことでしょう

原稿用紙の総量は、結果的には1200枚を越えました
膨大な量をお読みいただきましたこと、重ねてお礼を申し上げます

また、何かお話を書きましたら、どこかでお会いすることがあるかもしれません
そのときも是非一緒に楽しみましょう

私のサイト(http://blog.livedoor.jp/matusagasin/)に過去書いたお話があります
もしお時間などありましたら、暇なときにでも目を通していただけると嬉しいです
また、このお話は最初からこちら(http://plaza.rakuten.co.jp/MikenekoMilk/)にてまとめてあります

それでは、全ての皆様の健康と、楽しいハンターライフを願って、このお話を閉めさせていただきます
本当に、ありがとうございました