69: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:09:21.96 ID:EyiBDgCc0
憂「じゃあ、お姉ちゃん行って来るね」

唯「……すぅ……すぅ」

憂「……」

バタンッ

唯「……」

唯「……やっと憂出かけたよ」むくっ

唯「……よし、朝ご飯食べて寝ようっと」



引用元: ・憂「へぇ、働いてないのにご飯だけは一人前に食べるんだね」唯「…」

70: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:14:05.34 ID:EyiBDgCc0
とて とて とて

唯「……今日の朝ご飯は目玉焼きにベーコンか、パンにしようかな」

唯「……」ぼーっ

唯「……ジュースあったっけ?」

てくてく

唯「……牛乳しかないや、じゃあ牛乳でいい……」

憂「あ……お姉ちゃん起きてたんだ」

唯「!」びくっ

71: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:19:02.79 ID:EyiBDgCc0
唯「お、おはよう憂……」

憂「おはよう、お姉ちゃん」

唯「あ、あの……」

憂「ゴメンね、携帯忘れちゃっててさ」

唯「そ、そうなん……」

憂「あ、お姉ちゃん今日私飲み会があるから晩ご飯は適当に食べといてね」

唯「え……あ、うん……」

憂「じゃあ、行ってくるねお姉ちゃん」

唯「……行ってらっしゃい」

バタンッ

唯「……」

唯「……やっぱ朝はいいや、寝よう」

73: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:23:57.10 ID:EyiBDgCc0
憂「……はぁ」

憂(やっぱお姉ちゃんいつも狸寝入りしてたんだ……)

憂(お姉ちゃん、私と顔合わせるとばつが悪そうだな……)

憂(……いつになったら働く気になってくれるんだろう?)

憂(やっぱ……あの時、私が言い過ぎたのかな?)

憂(でも……)

憂「……これ以上お姉ちゃんを甘やかしちゃダメだよ」

74: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:37:03.95 ID:EyiBDgCc0
唯「……んっ」

唯「……もうお昼か、そろそろ起きようかな」むくっ

とて とて とて

唯「……とりあえず朝の残りを先に食べよう」

ガチャッ ポチッ

唯「あとは……今日もラーメンでいっか」

ジャーッ 

キュイッ

チッチッチッチ ボッ

唯「……」ぽちっ

『今日は……初登場ですね、Mioさんです』

テーテッテ テッテテテッテ テーン

唯「あ……澪ちゃん」

76: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:42:34.61 ID:EyiBDgCc0
『は、初めましてこんにちは!あ、あのこれ!良かったら聞いてください!』

『へぇ……これは?』

『あ、明日発売になる私のメジャーデビューアルバムです!』

『はぁ……すごい格好だねえ』

『あ……は、はい……あ!あとこれポスターなんですけど……』

『はいはい。あ、これのポスターね……張っといてちょうだーい』

唯「……そういえばりっちゃんから昨日メール着てたっけ」

唯「りっちゃんこのことを言ってたんだ……」

チンッ

唯「……澪ちゃんキレイになったなぁ」

77: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:48:30.60 ID:EyiBDgCc0
テレテレテンッ!

『あ……!や、やった!?』

『おお……すごいねえ、おめでとうございます』

『あ、ありがとうございます!』

『では、そろそろ紹介の方を……』

『え~!』

『あ……ありがとうございます!』

唯「……いいなぁ、ストラップ」

キーッ

唯「澪ちゃんに言ったらくれる……わけないか」

キーッ

唯「あ……沸騰してる、止めに行かないと」

80: 名無しさん 2010/08/28(土) 04:57:00.18 ID:EyiBDgCc0
ぱくっ

ずる ずるるっ

ごくごくっ

ぱくっ

ずる ずるるっ

ごくっ

唯「……はあ」

てくてく

ジャーッ

キュイッ

唯「……」ひょこっ

チッチッ ボッ

唯「……ふう」

唯「食べたらまた眠くなっちゃった……」

唯「……寝よう」

83: 名無しさん 2010/08/28(土) 05:15:05.53 ID:EyiBDgCc0
とて とて とて

ガチャッ

唯「……」

てくてく

唯「……ギー太」すっ

ジャッ ジャジャーン

唯「チューニングめちゃくちゃだ……いつから触ってなかったっけ?」

唯「……」すっ

唯「……あ」

唯(求人誌……いつの間に置いてあったんだろう?)

唯「……」すっ

ペラペラ

ポイッ

唯「……私が働けるわけないじゃん」

唯「……おやすみ」

107: 名無しさん 2010/08/28(土) 15:29:18.71 ID:EyiBDgCc0
唯「……んっ」

唯「……もう夕方か」むくっ

とて とて とて

唯「……喉渇いちゃった」

てくてく

唯「……そうだ、牛乳しかなかったんだ」

ジャーッ

キュイッ

ごく ごくっ

唯「……はあ」

唯「……何しようかな」

108: 名無しさん 2010/08/28(土) 15:39:03.68 ID:EyiBDgCc0
Prrrr Prrrrrr

唯「!」びくっ

唯「……り、りっちゃんから電話だ?」

唯「……」

Prrrr Prrrrrr

唯「……」

Prrrr Prrrrrr

唯「……」ピッ

唯「……はい、もしもし」

律『おーっす唯!久しぶり!元気してたか!?』

唯「う、うん……まあね。りっちゃんは相変わらず元気そうだね」

律『そうかー?もう日中は暑いしクッタクタだよー!うら若き乙女に外回りの仕事なんてさせるなよなー!』

唯「あ、あはははは……」


109: 名無しさん 2010/08/28(土) 15:48:24.20 ID:EyiBDgCc0
律『でさー唯、今日の夜空いてる?』

唯「え……うん、まあ」

律『ホント!?じゃあ、ご飯食べ行こうぜー!』

唯「あ……でも、私……」

律『大丈夫だって!今日は私が奢ってやるよ!駅待ち合わせでいい?』

唯「え、あ……うん」

律『じゃあ、今から……うーん、1時間後くらいだな!そんくらいに駅で!じゃあまた後でな!』

唯「あ、り、りっちゃ……」

ツーツー

唯「……どうしよう、何ヶ月ぶりの外出だろう」

112: 名無しさん 2010/08/28(土) 16:07:44.94 ID:EyiBDgCc0
唯「……とりあえずシャワーを浴びて」オロオロ

唯「あ……お化粧もちゃんとしてかなきゃ」オロオロ

唯「いや……お化粧はいいや、後で落とすの面倒だし」オロオロ

唯「キャップとかメガネとかかけてけば大丈夫だよね……?」オロオロ

唯「でも……りっちゃんはスーツなのに私は私服ってどうなんだろう?」オロオロ

唯「……と、とりあえずシャワーだけでも浴びていかなきゃ」オロオロ

………………

…………

……

唯「……服装これで変じゃないかな?」オロオロ

唯「もうこんな時間だ……そろそろ行かないと間に合わないよ」オロオロ

唯「……」

唯「……ダメだ、やっぱ外なんか出られないよ」

114: 名無しさん 2010/08/28(土) 16:20:46.28 ID:EyiBDgCc0
唯「……」

唯「一言……一言ゴメンって言えばいいだけなのに」

唯「その電話すらかけられない……」

唯「ダメだよ……りっちゃんだけが未だに連絡取ってくれるのに」

唯「ここで何も連絡しなかったら本当に友達いなくなっちゃう……」

唯「……独りになっちゃうよ」

Prrrr Prrrrrr

唯「!」ビクッ

唯「り、りっちゃんからだ……」

Prrrr Prrrrrr

唯「で……電話に出ないと……」

Prrrr Prrrrrr

唯「……」

117: 名無しさん 2010/08/28(土) 16:36:19.07 ID:EyiBDgCc0
ピッ

『留守番電話サービスに接続します、ピーという発信音の後に……』

唯「……ゴメン、りっちゃん」

唯「でも私……やっぱ外に出られないよ」

唯「……はあ」

唯「これで……本当に独りになっちゃった……」

唯「でも、しょうがないよね……全部私がいけないんだから……」

ピンポーン

唯「……宅急便?憂、何か届くって言ってたっけ……」

唯「……はい」

『宅急便でーす』

唯「……やっぱり宅急便か……何だろう」

ガチャッ

律「よっ!唯!」

唯「り、りっちゃん……!?」

121: 名無しさん 2010/08/28(土) 16:58:16.57 ID:EyiBDgCc0
律「ったくよー……外に出て来れないってのは予想してたけどさー」

律「電話くらいは出ろよなー?あ、お邪魔しまーす」

唯「り、りっちゃん……な、なんで……?」

律「なんでって、何が?」

唯「だって……さ、さっき電話してきたのにもう家の前に……」

律「あー、そんなの唯の家の前から電話かけてたからに決まってるだろ?」

唯「で、でも……待ち合わせは駅だって……」

律「だーかーらー!どうせ外には出て来れないな予想してたって言ったろー」

唯「だ、だけど……」

律「あー!この話もう終わり!それより何食べる?ピザとかでいい?」

唯「え、あ……うん」

律「よーし、じゃあピザ2枚で決定!飲み物は私買って来たから、グラス用意してくんない?」

唯「あ……う、うん」

130: 名無しさん 2010/08/28(土) 17:15:42.69 ID:EyiBDgCc0
『こんばんはー!ピザーニャでーす!』

律「あっちあっち!ほら、ピザ届いたぞー!」

唯「テーブル片付けといたよ、りっちゃん」

律「サンキュー!よっし、じゃあかんぱーい!」

唯「か、かんぱーい」

カンッ

グビ グビ グビッ

律「ぷはぁー!はあー、やっぱビールは最高だー!唯はビール嫌いなんだっけ?」

唯「え、あ……うん、ビールはちょっと……」

律「そっか、じゃあ私たちの中でまともに飲めるのは私とムギだけだったな!」

律「澪は弱いしすぐ吐くし、梓は酔うと急に甘えだすし……あ、ムギには私も潰されたんだ!」

唯「そ、そうだったね……」

律「あ、今日見た?澪どうだった?」

唯「うん……澪ちゃん、すごく緊張してた……私たちの初ライブの時みたいに」

132: 名無しさん 2010/08/28(土) 17:24:30.57 ID:EyiBDgCc0
憂「あ、いた!ゴメン、遅くなっちゃった!」

純「あ、憂!もー、遅いよー」

梓「憂、久しぶりだね」

憂「ゴメンね、純ちゃん梓ちゃん」

純「憂、飲み物選んで!」

憂「うん……じゃあ、とりあえず生かなー」

純「お兄さーん!生2つ、梓は?」

梓「うーん、芋ロック1つ」

『かしこまりましたー!』

純「あ、適当につまんで食べたい物あったらバシバシ頼んじゃってね」

憂「うん、ありがとう純ちゃん」

138: 名無しさん 2010/08/28(土) 17:39:28.56 ID:EyiBDgCc0
律「初ライブか……懐かしいなー、10年前だっけ?」

唯「……8年前だよ、りっちゃん」

律「8年も10年も大して変わんねーよ……それが私たちも気づけばこの歳だもんなー」

唯「……」

律「多分気付いたら三十路になってるんだぜ?時が経つのってホント早いよな?」

ゴク ゴク ゴクッ

律「ぷはぁー、うまい!」

唯「……」

律「……なあ、唯」

唯「……なに、りっちゃん?」

律「ちょっと真剣な話があるんだけどさー、いい?」

唯「……うん」

142: 名無しさん 2010/08/28(土) 17:45:28.68 ID:EyiBDgCc0
純「かんぱーい!」

憂「かんぱーい!」

梓「かんぱーい!」

ゴク ゴク ゴクッ

純「くぅー、うまいね!」

梓「純、親父みたいだよ……」

憂「ふふっ」

純「いいじゃんよー、もう!あ、憂そういえばさー」

憂「なに、純ちゃん?」

純「唯先輩元気?確か、一流商社で働いてるんだよね?」

梓「え……」

憂「……うん、お姉ちゃんすっごく元気だよ!」

144: 名無しさん 2010/08/28(土) 17:56:47.70 ID:EyiBDgCc0
律「あのさ……」

唯「……」

律「ムギが結婚するんだって」

唯「……え」

律「だからー、ムギが結婚するんだってさ」

唯「え、む、む、ムギちゃんが!?だ、誰と!?」

律「IT企業の社長って言ってたかなー、とにかくすっげえ金持ちと」

唯「へ、へえ……そうなんだ……」

律「でさ、こっからが本題なんだけどさ」

唯「う、うん……」

律「ムギの披露宴で生演奏してやろうと思ってるんだ」

律「だから、もう一度ギター弾いてみないか?唯」

145: 名無しさん 2010/08/28(土) 18:07:56.23 ID:EyiBDgCc0
純「そっかー、まああの唯先輩が元気じゃないわけがないよねー」

憂「そ、そうだよ純ちゃん……」

純「それにしても初めて聞いた時は驚いたなー」

純「澪先輩や紬先輩ならともかく、まさか唯先輩が一流商社勤めとは」

憂「酷いよ純ちゃん……お姉ちゃんだって頑張ってるんだから」

純「アハハ、憂は相変わらず唯先輩には過保護だなー……あ、私トイレ行って来るねー」

憂「うん、行ってらっしゃーい」

梓「……」

梓「ねえ、憂……まだ純に言ってなかったんだ」

憂「……」

梓「正直に言えばいいじゃん、別にあれは唯先輩の……」

憂「……梓ちゃんにはわからないよ」

梓「え……?」

148: 名無しさん 2010/08/28(土) 18:16:34.57 ID:EyiBDgCc0
律「澪にはもう話着けてあるんだ、あいつもムギの為ならやってくれるって言ってたし」

律「ムギの代わりのキーボードはさわちゃんにやってもらうつもりなんだ」

律「あとは梓だけなんだけど、中々都合が付かなくてまだ会えてな……」

唯「……やらないよ」

律「……え?」

唯「りっちゃん、ゴメン……私やらない……出来ないよ」

律「待てよ、唯……まだ話は終わって……」

唯「だって!私が最初に放課後ティータイムを辞めたんだよ!?なのに今さら……」

唯「今さら……どんな顔してみんなに会えばいいのか……わからないよ」

律「唯……」

152: 名無しさん 2010/08/28(土) 18:35:36.10 ID:EyiBDgCc0
憂「お姉ちゃんはね……私が甘やかし過ぎたせいであんな風になっちゃったの」

憂「放課後ティータイムを辞めるって聞いた時も、私はお姉ちゃんを説得しないでお姉ちゃんの意志を尊重した」

憂「そしたら……お姉ちゃんは引きこもるようになって……それで」

憂「とにかくお姉ちゃんがああなったのは私のせい……私のせいなんだよ、梓ちゃん」

梓「憂……」

憂「だから……お姉ちゃんに厳しく接するようにしたんだけど……」

憂「そしたら余計引きこもりがちになっちゃうし……私とも顔を合わせないようになるし……」

憂「もうどうすればいいかわからないよ……」

憂「お姉ちゃんなんて……いなくなっちゃえばいいのに……」

梓「は……な、何言ってるの!?憂!」

純「お待たせー!あれ、どうしたの?」

梓「あ……いや……」

憂「聞いてよ純ちゃん、梓ちゃんの好きな人がおかしいんだよー」

純「え!?恋バナ!?なんで私がいない間に始めてんのー!」

梓「ご、ゴメン……純……」

153: 名無しさん 2010/08/28(土) 18:45:08.77 ID:EyiBDgCc0
律「とにかく考えといてくれよ、唯」

唯「……」

律「……じゃあ、私帰るから!近いうちにまた連絡するからな!」

唯「……」

律「今度はちゃんと出ろよー!じゃあな、唯!」

唯「……バイバイ、りっちゃん」

バタンッ

唯「……はあ」

唯「……なんか疲れちゃった」

唯「りっちゃんと話すのってすっごく楽しかったはずなのに……」

唯「どうして……どうしてこんなに疲れてるんだろう……?」

唯「……」

唯「……今日はもう寝よう」

154: 名無しさん 2010/08/28(土) 18:52:52.89 ID:EyiBDgCc0
純「ちょ、ちょっと憂大丈夫?」

憂「大丈夫だよー……純ちゃん……」

純「もう……飲みすぎるから……梓、肩貸してあげて?私、水買ってくるから!」

梓「あ、うん……」

憂「ありがとう……あずにゃん……」

梓「!」びくっ

憂「……すう……すう」

梓「……あずにゃん、か」

梓「何年振りにそのあだ名で呼ばれたんだろう……」

梓「……元気かな、唯先輩」

155: 名無しさん 2010/08/28(土) 19:00:01.40 ID:EyiBDgCc0
ガチャッ

憂「ただいまー……」

憂「……頭痛い……お風呂入って化粧落とさないと」

憂「……なに、この臭い?」

憂「チーズ……?まさか」

タッタッタ タッタッタ

憂「何これ……?ピザの出前?お酒もいっぱいある……」

憂「……」

憂「お姉ちゃん……また勝手に生活費使ったんだ……!」

ダッダッダッダッダッダ

289: 名無しさん 2010/08/29(日) 18:58:07.35 ID:ZwFWQNyF0

ドンドンドン!

唯「!?」ビクッ

憂『お姉ちゃん!?いるんでしょ!?お姉ちゃん!?』

唯「う、憂だ……怒ってる……」ビクビク

憂『……開けるよ?』

ガチャ

憂「……」

唯「……」

憂「ねえ、下、どういうこと?」

唯「……」

憂「ピザ取ったの?」

唯「……」

憂「……」

291: 名無しさん 2010/08/29(日) 19:01:22.25 ID:ZwFWQNyF0

憂「ねぇ、お姉ちゃんがピザ頼んだの? ね、怒らないから答えて?」

唯「……」コクリ

憂「なんでピザなんて高いもの頼んだの?冷蔵庫に食べ物は入れてたはずだよね?」

唯「あ、あの、違……」

憂「何か事情があったの?ね、訳があるなら言って、お姉ちゃん」

唯「あ、う、……」

唯(あれ?)

唯「ひっ、ひっ、ひくっ……」

唯(声が、声が出ないよぉ!どうして!?)

憂「……お姉ちゃん?」

唯「ひっ……ひっ……」ゼェゼェ

唯(う、憂の怒った顔見た途端……息が……な、何で……)

憂「ちょっと、お姉ちゃん!?大丈夫?」

唯「ぜぇーっ……ぜぇー……ゲホ、ひっ、ひっ……」

294: 名無しさん 2010/08/29(日) 19:06:07.81 ID:ZwFWQNyF0

憂「お姉ちゃん!しっかりして!」

バシバシ

唯「はぁーっ……はぁー……ケホ、あ、ありがと……少し楽に、なったかも……」

憂「ううん、ごめんね……私も大声出したりして……」

憂(まさか……)

唯「はぁ、はぁ、どうしちゃったんだろ……息が……」ケホケホ

憂(元引きこもりの同僚が言ってた……)

憂(『パニック障害』……!!)

憂「お姉ちゃん、今日はもう、ゆっくり休んでいいから、ね?」ナデナデ

唯「う、うん……ごめんね……」

ガチャ

バタン

憂「……」

憂「どうしよう……」

301: 名無しさん 2010/08/29(日) 20:33:29.97 ID:ZwFWQNyF0

─── よくじつ!

コンコン

憂「……」

憂「お姉ちゃん、行って来るね」


カラララ… パタン


唯「……」ムクッ

唯(……結局昨日の説明できなかった……)

唯(私……どうしちゃったんだろ……)

 この時、唯はまだ自分がアニック障害だとは気付いていなかった。

 そして、その事実が後の人生を更に狂わせることも。

唯(頭……重い……)

プルルルル

唯「!!!」

302: 名無しさん 2010/08/29(日) 20:36:54.55 ID:ZwFWQNyF0

プルルルル

唯「……」ビクビク

唯(りっちゃんからだ……)

唯(出なくちゃ……昨日あんなに良くしてもらったんだもん……)

プルルルルル

唯(出なくちゃ、出なくちゃ、出なくちゃ)

プルルルルルルル

唯(出なくちゃ出なくちゃ出なくちゃ出なくちゃ)

唯「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ……」ゼェゼェ

唯「ひいっ、ひくっ…ひぃ…ゲホ、ひぃ…」

プルルルルル

唯「ひぃ、ひぃっ、ひっ」

プル……

唯「はぁー……はぁ……はぁ……」

唯(私……どうしちゃったの……?)

307: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:09:49.10 ID:ZwFWQNyF0

ガラララ…

憂「ただいまー」

トン…トン…トン…

唯「おかえり…」

憂「!」

憂「ただいま~」ニコニコ

唯「……?」

唯(何で憂、ニコニコしてるんだろう……)

憂「すぐご飯用意するからね!」ニコニコ

唯(……今ならピザのこと…りっちゃんのこと言えるかも……)

唯「あのね、憂、昨日のことだけど……」

憂「! あはは、いいんだよ~気にしてないから~」ニコニコ

唯「え?」

憂「お姉ちゃんはゆっくりしてて~」ニコニコ

唯「……?」

308: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:11:57.42 ID:ZwFWQNyF0

唯(憂……さっきからニコニコしてる……何かいいことあったのかな?)

憂(多分怒ったらまたお姉ちゃんパニック起こしちゃうだろうからな~)ニコニコ

唯(何だかよく分かんないけど、憂が幸せならそれでいいや)

憂(いきなりトチ狂って暴れられちゃ敵わないっての)ニコニコ

唯「じゃ、テレビでも見てるよ」

憂「うん、そうしてて~」ニコニコ

312: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:22:10.47 ID:ZwFWQNyF0

ポチ

TV『そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ! なんでだろ~ ゲッツ!』

唯「あははは~新ネタだ~」キャッキャ

TV『それでは、今日の特別ゲストは~』

TV『Mioさんでーす!  キャーキャー パチパチパチ』

唯「あ……澪ちゃん……」

池上『Mioさんの登場に会場も盛り上がっていますねぇ~』

Mio『ありがとうございます』

池上『シンガーソングライターということは曲も、歌詞も、Mioさんが作っているということなんですねぇ~』

Mio『はい』

池上『それに関してちょっと図を作ってきました、こちらを御覧ください』

ひとり『なんでグラフが枠を飛び出してるんですか?』

池上『いい質問ですねぇ! これはつまり、Mioさんが大人気ということなんですねぇ~』

唯「すごい……澪ちゃん……」

317: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:30:54.97 ID:ZwFWQNyF0

澪『私が今こうして歌っていられるのは……ファンの皆さんのおかげ、そして……』

澪『放課後ティータイムの皆のおかげです!』

唯「!!!」

ひとり『放課後ティータイムって何ですか?』

池上『いい質 澪『放課後ティータイムっていうのは……私が高校時代に入っていたバンドです』

澪『私を含め5人でやっていました……もう解散してしまいましたが、私の大切な思い出です』

唯「……」

澪『もうすぐ、そのメンバーの一人の結婚式があるんです』

澪『その結婚式で……HTTを再結成して演奏するのが夢なんです』

池上『なるほど……実はですね、そのメンバーの方を……スタジオに呼んであるんですねぇ~』

澪『えー!? 本当ですか!?』

池上『それでは登場していただきましょう、あの琴吹家の御令嬢、琴吹紬さんです!』

紬『澪ちゃ~ん、久しぶりね~』

澪『ムギ~!』

唯「……」ジー

323: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:44:52.35 ID:ZwFWQNyF0

澪『びっくりしたじゃないか!』

紬『うふふ♪澪ちゃんを驚かせたかったの~』

池上『えー、琴吹さんは近々、大変豪華な、結婚披露宴を行うということですが……』

紬『はい、ささやかですが、数億円程の披露宴を行う予定なんです~』

池上『なるほど~、その披露宴はマスコミも呼んでの大々的なものだと聞いていますが……?』

紬『はい、私は内々でやりたかったんですが、お父様の意向で』

池上『楽しみですねぇ~』

唯「す、すごい……ムギちゃんの結婚式テレビで流れるんだ……」

唯「あれ? てことは……」

   ──律「だから、もう一度ギター弾いてみないか?唯」

唯(わ、私がテレビに出るってことでもあるんじゃ……)

唯(わわわわわ、無理だよぉ~)

憂「お姉ちゃん!ご飯できたよ~」ニコニコ

唯「は、はーい!」 ピッ

326: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:48:57.60 ID:ZwFWQNyF0

憂「どう?美味しい?」ニコニコ

唯「う、うん……」

唯(ムギちゃんの結婚式が気になって……何か変な味に思えちゃう……)

憂「いっぱい食べてね~」ニコニコ

唯「うん……」


唯「ごちそうさま……」

憂「あれ?美味しくなかった?」ニコニコ

唯「ううん!そんなことないよ!」

憂「ごめんね~ 次から味付け濃くするね」ニコニコ

唯「? うん」

328: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:52:14.48 ID:ZwFWQNyF0

唯(そうだ……りっちゃんに電話しないと……)

唯(ゴクリ……)

唯(も、もし断ったら怒られちゃうかもしれない……)

 ドクン… ドクン…

唯(どうしよう……また胸が苦しくなってきた……)

唯「うぅ……」

唯(きっと……きっと、電話でちゃんと断れたら……そしたら!)

唯(私のこの病気も治る気がする……!)

唯(がんばれ、がんばれ私!)

……ピポパ トゥルルル

律『もしもーし 唯?』

唯「あ、り、りっちゃん?」

329: 名無しさん 2010/08/29(日) 21:54:51.64 ID:ZwFWQNyF0

律『おーう、どうした? 唯から掛けてくるなんて珍しいじゃん』

唯「あの、あのね!」

唯「その、結婚式のバンドのことだけど……」

唯「私……私……」

唯「わた、し……」

唯(あ、れ……頭が……ボウっと……)

唯「わ……た………」

律『唯? 唯ー?』

律『??』

唯「スー……スー……」

憂「お姉ちゃん?」

唯「スーー……スーー……」

憂「もー、またこんなとこで寝て……」

憂「睡眠薬って案外早く効くんだな~」

332: 名無しさん 2010/08/29(日) 22:06:36.38 ID:ZwFWQNyF0

─── よくじつ!

唯「ふわぁ……あれ……?」ムクッ

唯「朝……? いつの間に寝ちゃったんだろう……」



憂「~♪ ~♪」

ガン!ガン!ガン!ガン!

パラパラ…

グツグツ グツグツ

憂「~♪ ~♪」

トン…トン…

憂「!!」

唯「憂ー?」

憂「あ、お姉ちゃんおはよう~」ニコニコ

唯「おはよう……」ゴシゴシ

憂「朝ごはん出来てるよ~♪」ニコニコ

338: 名無しさん 2010/08/29(日) 22:18:53.05 ID:ZwFWQNyF0

憂「いっぱい食べてね~♪」ニコニコ

唯「うん……」モグモグ

唯(何だか味が濃いなぁ……)

憂「お姉ちゃんのために一生懸命作ったんだよ~♪」ニコニコニコニコニコニコ

唯(憂がせっかく作ってくれたんだもん……!食べなきゃ!)

唯「うん、おいしいよ、とっても!」ニコッ

憂「あはははー」

唯(うぅ……舌がピリピリするよぉ……)モグ…モグ…

憂「 ^^ 」

339: 名無しさん 2010/08/29(日) 22:20:38.13 ID:ZwFWQNyF0

憂「じゃ、私そろそろ仕事行くね~」

唯「うん!行ってらっしゃい!」

ガラララ…パタン

唯「今日こそりっちゃんに電話して断らなくちゃ……」

唯「ふわぁ……でもまだ何だか眠いなぁ……」

唯「それに朝電話したら迷惑かな……お昼休みの方がいいかな……」

唯「あれ……何だかまぶたが重いよー」

唯「……ちょっと……ソファーで横になろう……」

フラフラ… ストン

唯「お昼に……りっちゃんに……電話………」

唯「……スー……スー…」

347: 名無しさん 2010/08/29(日) 22:41:48.04 ID:ZwFWQNyF0

ガラララ

憂「ただいまー」

唯「ん……」

唯「あれ……? 私、また寝ちゃっ……」

憂「すぐご飯作るからね~」ニコニコ

唯「あれ?憂、お仕事は……?」

憂「お姉ちゃん何言ってるの~?仕事はもう終わったよ?」

唯「あれ……今何時……」チラ

唯「ゆっ、夕方!?」

憂「も~お姉ちゃんたらどうしたの?」クスクス

唯「そん……な……」

唯(……やっぱり私の体……おかしいんだ……病気なんだ……)

憂(寝てるだけなら問題ないからね~、睡眠薬様様だわ)

憂「今日もとびっきり美味しいの作るからね~」ニコニコ

唯「う、うん……」

351: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:06:02.79 ID:ZwFWQNyF0

チカ、チカ…

唯(あれ?メールが来てる?)

パカ

唯(!! 着信がいっぱい!それにメールも!)

カチカチ

メール『律だけど、さっきはどうした?』

メール『あのさ、出来れば早めにバンドの返事が欲しいんだ。一応紬には唯も出るって言ってあるけど』

メール『無理そうなら明日にでも連絡くれないか?』

メール『紬の方で式の予定組んでるから、断るなら早めの方がいいんだ』

メール『おーい、唯、生きてるかー?』

唯「ど、どうしよう すぐ返事しないと……」

ピー ピー

唯「あわわ、電池が……」

憂「お姉ちゃーん、ご飯出来たよ~」

唯「う、うん!」(食べ終わる頃には…充電終わってるよね?)

359: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:18:25.77 ID:ZwFWQNyF0

唯「ごちそうさまっ!」

ドタドタドタ

唯(急いで電話しなきゃ……)

憂(あんなに急いでどうしたのかなぁ)

憂(今日はもっと強力な奴に変えたから、副作用かな?)

唯「えーっと、りっちゃんの番号……」

ピポパ…

 ガクッ

唯「あ、あれ……?」

 ガクガク

唯「あ………」

 フッ

 ドサ

唯「…………」

362: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:23:12.60 ID:ZwFWQNyF0

────
──


 ピンポーン!


唯「………」


  ピンポーン!


『おーい 唯ー?』

 ピンポーン
  ピンポーン
    ピンポポポポポポ

唯「……ん……」ゴソ…

ドンドンドン!

 『ゆーいーー! いーきてーるかー?』


唯「……う……頭…いた……」ムク…
 

366: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:29:18.88 ID:ZwFWQNyF0

唯「何……えっと……私……また寝ちゃって……」

唯「携帯……今何時……」

パカ

唯「えっと……今はお昼………」

唯「………」ジー

唯「………」ジー

唯「………」ハッ

唯「2日経ってる!!?!」

唯「…な、な、何これ……」

唯「え、え?え?」オロオロ

 ドンドンドン!

唯「ひっ!?」

『ゆいー!いるのかー?いないなら返事しろー!ってむりかー』

唯「りっ……ちゃん……?」

368: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:35:55.36 ID:ZwFWQNyF0

ピンポーン
ピンポーン

 ピポポポポポポポ

 ピーンポポ ピンポポ ピポッピポッピポッ♪

 『ふわふわターイム♪ふわふわターイム♪』


唯「い、今開けるから……!」ヨタヨタ

ガチャ 

ガラララ!

律「おーっす!元気にしてたかーって」

律「どうした!?」

唯「ふぇ……」

律「唯、お前……風呂入ってないのか!?」

唯「ほえ?お風呂……あ、そういえば……」スンスン

唯「くちゃい……」グス

律「と、とりあえずシャワー浴びて、話はそれからだ!」

370: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:44:06.16 ID:ZwFWQNyF0

ガチャ

唯「お待たせ~……」

律「おー、適当にくつろがせてもらってるぞ~」

唯「何だか生まれ変わった気分だよ~」

律「ああ、髪ボサボサで顔テッカテカだったからな…何日風呂入ってなかったんだ」

唯「多分……2日?」

律「おいおい、実家暮らしでそりゃないだろー 何かあったのかー?」

唯「なんかね、二日間眠り続けちゃったみたいで……」

律「……なんつーか……唯らしいといえば唯らしいが……」

律「それで連絡つかなかったのかー」

唯「うん……ごめんね……何だか私……最近変なんだ……」

律「唯?」

唯「すぐ……胸が苦しくなって……眠っちゃって……病気なんだぁ」ポロポロ

律「お、おい 唯……」

唯「あ、ご、ごめんね……変な話して……」ゴシゴシ

373: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:45:44.51 ID:ZwFWQNyF0

律「唯……」

ギュッ

唯「え……?」

律「……何か、辛いことでもあったのか?」ギュゥ…

唯「……っ…」ポロ……

唯「りっちゃぁぁぁん……うえぇぇえぇん」ポロポロ

律「よしよし……」ナデナデ

唯「うわあぁぁぁぁん、うわあああぁぁあああ」ポロ…ポロ…

382: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:53:20.84 ID:ZwFWQNyF0

───

唯「…ひくっ……ひくっ……」ゴシゴシ

律「つまり……急に息が苦しくなったり、頭痛がしたりするってことか?」ヨシヨシ

唯「うん……私、病気なのかな」

律「うーん……その、私も医者じゃないから詳しくはないけど……」

律「前にテレビで見たことある『パニック障害』って奴じゃないかな」

唯「ぱにっくしょうがい?」

律「ああ、ストレスとかが原因で起こる発作みたいなもんらしい」

唯「そうなんだ……」

律「そっか……それじゃあ、バンドは無理かもしれないな……」

唯「!!」

唯(わ、私出なくて済むってことかな……)

唯(でも……)

384: 名無しさん 2010/08/29(日) 23:56:59.54 ID:ZwFWQNyF0

唯「で、でも……その、今からキャンセルって出来るの?」

律「……正直、厳しいかもしれない……それに、」

律「澪と紬、梓も……楽しみにしてた……からな……」

唯「………」

唯「……」ギュッ

唯「りっちゃん……私……」

律「ん?」

唯「私、出るよ」

律「! ……それは、唯の本当の気持ちだね?」

唯「…」コクリ

律「……無理しなくていいんだぞ?」

唯「……ううん、違うの」

唯「私……私今まで皆に甘えてきた……いっぱい支えられてきた」

唯「それなのに……全然そんなこと気付かなくて、ただ、ただ自分だけ楽しければいいって……」

唯「だから……だから、もう一度、放課後ティータイムに……皆に恩返ししたいの!!」

390: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:00:10.84 ID:p6YOutWg0

律「……時間があんまりないから、練習はキツいぞ?」

唯「……コクリ」

律「大勢の前で演奏するんだぞ?」

唯「……コクリ」

律「……唯」

唯「え?」

律「それでこそ唯だっ!!」 ベチーン!

唯「あうっ! りっちゃ~ん……」

律「あはははっ! よーし!全員に連絡入れっぞ~!」

律「放課後ティータイム……再結成だ!!!」

391: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:02:00.33 ID:p6YOutWg0

───すたじお!

澪「よっ、久しぶりだな皆」

梓「澪先輩すっかり有名人ですよね~」

律「まー、あたしの育て方が良かったんだろうけどな~」

澪「お前に育てられた覚えはないっ!」ベシッ

唯「あははー、皆変わってないな~」

紬「唯ちゃんも全然変わってないわよ~」

唯「えへへ」

澪「よし、これでまた5人揃ったな」

律「そんじゃ、練習始めるぞー!」

5人「「「「「おー!!」」」」」

394: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:06:36.62 ID:p6YOutWg0

澪「律、もうちょっとそこ速くできないか?」


梓「あうう、指がつりそう……」


紬「休憩のお菓子持ってきたわよ~」


唯「はむっ!おいしー!」キラキラ


律「おいおい、鼻にクリームついてんぞ~」

────
──


憂「しばらくスタジオで泊まり込みで練習します、か」

憂「はぁー………」

憂「いないならいないで寂しいな……」

憂「……」

憂「なんてことある訳も無く」

憂「これからも家にいないといいのになぁ~」ゴロゴロ

398: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:12:57.49 ID:p6YOutWg0

 当日 控室


梓「緊張してきました……」

紬「うふふ、ドキドキするわね~」

澪「ムギの結婚式なのに……本人が一番余裕に見える……」

唯「………」カタカタ…

唯(こわいよ……こわい……)

ソッ

唯「え?」

律「……」グッ

唯「…!」コクッ


『えーそれでは、続きまして、放課後ティータイムの皆さんです!!』

 ワーワー キャーキャー パチパチ

律「よし……行くぞーお前らー!」

「「「「「おー!」」」」」

402: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:21:46.82 ID:p6YOutWg0

スポットライト「バン! バン! バン!」

梓「うわっ、まぶしっ」

唯(ひ、人がいっぱい……テレビカメラも……)

澪「えー、放課後ティータイムです!」

 パチパチパチパチ!

澪「聞いてください!ふわふわ時間!!」

律「行くぞー! ワン!ツー!ワンツースリーフォー!」

 ジャンジャン♪ ドンドン♪ ギューン♪

唯(ぜったい……ぜったい成功してみせるもん!)

唯「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」

~♪

403: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:25:21.83 ID:p6YOutWg0

~♪

唯「ふわふわターイム ふわふわターイム♪」

律(やった!やればできるじゃないか!)

澪(いい感じだ!このまま最後まで……!)

唯「いつか目にした~♪」

唯(ぜったい失敗できない……ぜったい……)

唯「キミのマジ顔~♪」

唯(絶対失敗できない絶対失敗できない絶対……)

唯「ああー神様どうしてー」

唯(絶対……絶対…………失敗?)

唯(失敗?しっぱい?しっぱいしたらどうなるの?)

唯「神様、どうしてー」

律(ん? 乱れたぞ?)

紬(どうしたのかしら……)

406: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:28:29.04 ID:p6YOutWg0

唯「か、みさま……どうして……」

唯(失敗、失敗、失敗できない、絶対、失敗絶対、こんなに人が見てるのに)

唯(人?人がいっぱい見てる 失敗できない 失敗 大勢の前で、失敗)

唯「どうして……ひっ……どうし…ひっ、ひっ、」

律「唯!?どうした!?」

唯「ひっ、ひっ、ゲホッ…ひ、……」ゼェ、ゼェ

 ザワザワ… ドーシタンダ? ナニアレー

唯(失敗失敗失敗失敗失敗失敗)

唯(失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗)

唯(失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗)

唯「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ……」ゼェーッ ゼェーッ

澪「唯!?大丈夫か!?」

紬「唯ちゃん!」

 パシャ! パシャ!

律「ちょ、撮るなぁぁ!!!」

408: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:31:59.12 ID:p6YOutWg0

TV『唯!大丈夫か!? ひっ、ひっ、ひっ…  唯ーっ!』

憂「………」

ピッ

憂「さーて、ご飯の支度っと」



律「と、とにかく控室まで運ぶんだ!」

澪「ああ、分かった!」

唯「ひっ、ひっ……はぁー……はぁー……」ゲホッ

 パシャ! パシャ! パシャ!

澪「くっ……」

紬「うぅ……」ポロ…

 オイ!スクープダ! カメラマワセー!

律「ぐ……」

412: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:38:30.05 ID:p6YOutWg0

 控室

律「おい、唯!しっかりしろ!」

唯「はぁ……はぁ……うん……ケホッ」

澪「! だいぶ落ち着いたみたいだな……」

唯「う……うぅ……」ポロポロ

律「! どうした?まだ何処か痛いのか?」

唯「ごべんなざい……」ポロポロ

紬「……」

唯「せっかくの……せっかくのムギちゃんの結婚式なのに……」ポロポロ

唯「みんなと、みんなと集まった放課後ティータイムだったのに……」ポロポロ

澪「……」

唯「わだじのぜいで……わだじのぜいで……ごべんなざいぃ……」ポロ…ポロ…

紬「……」

澪「……」

415: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:41:46.15 ID:p6YOutWg0

唯「うっ……うぅ……」ポロポロ

紬「唯ちゃん……」

紬「私ね、また皆と演奏できて、うれしかった」

紬「また、皆と一つになれた それだけで、十分幸せなの」

唯「ム、ムギぢゃん……」グシュ…

紬「また、皆で練習しましょ?」ニコッ

唯「ムギ……ちゃん……」ポロポロ

澪「私もだぞ、唯」

唯「澪ちゃん……」グスグス

澪「また練習して、今度は絶対成功させよう、それまで、付き合うよ」ニコッ

唯「澪……ちゃん……」ポロ…ポロ…

律「まーったく、唯は世話焼けるなぁ!また皆で面倒みなきゃな!」ニカッ

唯「みんな……みんな……」ポロポロ

唯「あ゙り゙がどゔ……」グシュ ポロ…ポロ…

427: 名無しさん 2010/08/30(月) 00:56:40.86 ID:p6YOutWg0

───

トコトコ…

唯「久しぶりの我が家だー……」

ピンポーン

憂「はーい」パタパタ

ガチャ

憂「……お姉ちゃん」

唯「た、ただいまっ!」

憂「おかえり~、大変だったね~」ニコニコ

唯「う、うん……」

憂「疲れてるでしょ?今日はゆっくり休むといいよ~」ニコニコ

唯「そうだね……じゃあ今日はもう休もっかな……」

憂「うん、ベッドの用意してくるね~」ニコニコ

唯「……」

433: 名無しさん 2010/08/30(月) 01:01:34.89 ID:p6YOutWg0

  唯の部屋

唯「……」ゴロ…

唯(バンドは失敗しちゃったけど……)

唯(何か…何か大事なきっかけをつかめた気がする……)

唯(このままじゃ駄目だ、何か、何か始めなきゃ)

唯(私の夢って……何だっけ……?)

唯(……澪ちゃんみたいに、歌で皆を幸せに出来たら……)

唯(……)グッ

唯(この歳で歌手になりたいなんて……人が聞いたら笑うかもしれないけど)

唯(とにかく、部屋から出て、何かを始めなくちゃ……!)

唯(うん!何だかやる気がわいてきたぞー!)

唯「よし!今日はギー太と一緒に寝よう!」ゴソゴソ

唯「ギー太……」チュッ

唯「おやすみ……」

459: 名無しさん 2010/08/30(月) 05:30:26.27 ID:Jblw4W9w0
バンッ

憂「お姉ちゃん!」

唯「!?」びくっ

唯「う、憂……?どうしたの、こんな時間に……」

憂「ちょっと下まで降りてきて」

唯「え……?」

憂「いいから早く!」

唯「!?」びくっ

唯「……わ、わかったからそんな大きな声出さないでよ」

憂「……のよ」

唯「……え?」

憂「誰のせいでこんな大声出してると思ってるのよ!!」

460: 名無しさん 2010/08/30(月) 05:40:42.58 ID:Jblw4W9w0
憂「ねえ、誰のせいでこんな大声出してると思ってるの!?」

唯「……」

憂「最初は良かったよ?お姉ちゃんがバンド辞めたって言って来て、メンバーの皆さんと顔合わせ辛いから大学も休みだしてさ……」

憂「でも、家のこととかは手伝ってくれてたしアルバイトもしてたから、私はお姉ちゃんが自分の意思で決めたことに口出す気はなかったよ?」

憂「けど、気がついたら部屋に引きこもりだしてアルバイトも辞めてて……それでも私はお姉ちゃんの味方でいるつもりだったよ!」

憂「だって……お姉ちゃんを甘やかしてたのはこの私だから!だから、私がお姉ちゃんをどうにかしないとって思ってた!」

唯「憂……」

憂「だけどさ……だけど、最近じゃ私とも顔を合わせないようにしてるし家のお金は勝手に使いだすし……」

ぽたっ

憂「ねえ、お姉ちゃん……私どうすればいいの?どうすれば昔みたいに元気なお姉ちゃんに戻ってくれるの……?」ぐすっ

憂「もう私わかんないよ……わかんないよ!このままじゃ……お姉ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ……!」ぐすっ

461: 名無しさん 2010/08/30(月) 06:00:01.05 ID:Jblw4W9w0
唯「……憂」すっ

憂「お姉ちゃん……?」

唯「ゴメン……憂っ!」

憂「え……?」

バタンッ

憂「お、お姉ちゃん……!?」

ガチャッ

憂「お姉ちゃん!待って!お姉ちゃん!」

ダッダッダッダッダッダ

唯「……!」

憂「お姉ちゃん!逃げないでよ!お姉ちゃん!」

ガチャッ

バタンッ

憂「お……お姉……ちゃん……」へなっ

462: 名無しさん 2010/08/30(月) 06:13:12.80 ID:Jblw4W9w0
ダッダッダッダッ ダッダッダッダッ

唯「はあ……!はあ……!」

唯(あーあ……ついに私、憂から逃げちゃった……)

唯(なんで……なんで憂にあんなことを言わせるまで何もしてこなかったんだろう……)

ダッダッダッダッ

唯「はあ……はあ……はあ……」

唯(わかってたのに……私のせいで憂は苦しんでるってわかってたのに……)

唯(ゴメンね、憂……私って本当に……本当に……)

てくてく

唯「馬鹿な……お姉ちゃんなんだよ……」

ぴたっ

唯「……」

ブウウウウウウウウーン ブウウウーン

キキイイイイイイイーッ

464: 名無しさん 2010/08/30(月) 06:28:45.68 ID:Jblw4W9w0
………………

…………

……

憂「……お姉ちゃん」

唯「……」

憂「ねえ、お姉ちゃん……どうして?」

唯「……」

憂「どうしてなの……ねえ、お姉ちゃん!答えてよ!?」

唯「……」

憂「……なんで」

唯「……」

憂「な ん で 生 き て る の ?」

465: 名無しさん 2010/08/30(月) 06:37:47.11 ID:Jblw4W9w0
タッタッタッタ タッタッタッタ

紬「りっちゃん!!」

律「ムギ……!」

紬「りっちゃん!ゆ、唯ちゃんの容態は……!?」

律「なんとか一命は取り留めたみたいだ……」

紬「そう……良かったわ」

律「けど……」

紬「え……」

律「……植物状態らしいんだ」

紬「そ、そんな……」

律「今は憂ちゃんが病室で二人きりみたいなんだ……両親は海外にいるみたいで」

紬「憂ちゃん……すごく辛いでしょうね」

律「ああ、あんなに仲良かったからな……今は二人きりにしてあげような」

紬「……うん」

466: 名無しさん 2010/08/30(月) 06:40:26.28 ID:Jblw4W9w0
憂「……ねえ、どうして?」

憂「……そんなに私を働かせたいの?」

憂「……今だってもうこんなにボロボロなのに、まだ私のことを苦しめたいの?」

憂「……ねえ、お姉ちゃん?そうなんでしょ?」

唯「……」

憂「……ハハハ、そっかそうだよね答えられるわけないよね」

憂「……だって、お姉ちゃん」

憂「……死に損ないだもんね……ハハハ……アハハハハハ」

唯「……」

憂「……生きてることが不幸だなんて思わなかったよ」

憂「……私も、お姉ちゃんも……すごく不幸だよね」


474: 名無しさん 2010/08/30(月) 10:10:03.53 ID:Jblw4W9w0
>>462から分岐

………………

…………

……

バンッ

律「憂ちゃん!!唯は!?」

憂「……律さん」

律「……!」

唯「……」

律「唯!?なあ!しっかりしろよ!唯!?」

憂「律さん……お姉ちゃん、もう長くないみたいなんです……」

律「あ……諦めるなよ!憂ちゃん!!憂ちゃんが諦めてどうするんだよ!?」

憂「私がいけないんです……全部、私がいけないんです……」ぐすっ

憂「私がお姉ちゃんに酷いことを言ったせいで……お姉ちゃんは家を出て……それで……」ぐすっ

律「そ、そんな……」

475: 名無しさん 2010/08/30(月) 10:16:36.52 ID:Jblw4W9w0
唯「う……い……?りっ……ちゃん……?」

律「!」

憂「お、お姉ちゃん……!?」

律「唯!大丈夫か!?しっかりしろ!?憂ちゃん!お医者さんを……」

唯「い……いよ……それ……より……ふた……りと……はなし……たい……よ……」

律「なに馬鹿なこと言ってるんだよ……話なんて、唯が治ったらいつだって出来るじゃねえか!」

唯「りっ……ちゃん……て……みて……」

律「手……?手がどうし……唯……ボロボロじゃねえかよ……!」ぐすっ

唯「りっ……ちゃん……が……かえっ……てか……ら……れん……しゅう……した……んだ……よ……」

唯「でも……うま……く……ひけ……なかっ……た……」

唯「わた……し……ぎー……たに……きらわ……れちゃ……った……かな……?」

律「んなわけないだろ……ギー太だって久しぶりだったから緊張してたんだよ……!」ぐすっ

唯「そっか……そう……だっ……たら……いい……な……」

479: 名無しさん 2010/08/30(月) 10:30:21.10 ID:Jblw4W9w0
唯「ねえ……りっ……ちゃん……?」

律「どうした……唯……?」ぐすっ

唯「また……ばん……どに……さそっ……て……くれ……て……あり……がと……う……ね……」

唯「わた……し……も……みん……な……と……また……えんそ……う……した……かった……なあ……」

律「な、なに言ってるんだよ……退院したらすぐに……すぐに特訓だからなっ!」ぐすっ

唯「えへ……へ……う……い……?」

憂「お姉ちゃん……どうしたの……?」ぐすっ

唯「ごめ……んね……わた……しの……せい……で……つら……かっ……たで……しょ……?」

憂「そ、そんなことないよ……お姉ちゃん、私の方こそ……」ぐすっ

唯「うう……ん……う……い……は……いつ……だっ……て……」

唯「わた……しの……こと……かんが……えて……くれ……てた……ね……あり……がと……う」

憂「お姉ちゃん……どうしたの、急に……?」ぐすっ

唯「う……い……」

唯「もし……うまれ……かわっ……ても……わた……し……の……いも……うと……に……なって……くれ……る……?」

482: 名無しさん 2010/08/30(月) 10:40:22.03 ID:Jblw4W9w0
憂「当たり前だよ……わ、私のお姉ちゃんは……お姉ちゃんしかいないんだから……っ!」ぐすっ

唯「そっ……か……なら……」

唯「よ……か……った……」

唯「……」

唯「」

律「……」

憂「……」

律「唯……なあ、唯!……目を覚ませって!」ぐすっ

憂「お姉ちゃん……!お姉ちゃん……!お姉ちゃん……!」ぐすっ

律「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!」

憂「おねえちゃあああああああああああああああああああああああああああああんっ!!」

485: 名無しさん 2010/08/30(月) 10:48:37.70 ID:Jblw4W9w0
………………

…………

……

律「憂ちゃん……お疲れ様」

憂「……今日はありがとうございました、お姉ちゃんも天国で喜んでくれてると思います」

梓「憂……大丈夫?」

憂「私はもう平気だよ、梓ちゃん……」

梓「でも……」

紬「憂ちゃん、何か困ったことがあったらすぐに言ってね」

澪「ああ……唯の代わりにはなれないけど、私たちがいるからな」

憂「……本当にありがとうございます」

憂「律さん……ちょっといいですか?」

律「え……あ、ああ」

486: 名無しさん 2010/08/30(月) 10:57:37.04 ID:Jblw4W9w0
憂「お姉ちゃん……紬さんの結婚式でギターを弾くつもりだったんですよね?」

律「ああ……」

憂「……私に、お姉ちゃんの代わりにギターを弾かさせてもらえないですか?」

律「え……?」

憂「わかってます……私じゃお姉ちゃんの代わりにはなれません」

憂「けど……それが私がお姉ちゃんにしてあげられる最後のことなんです」

律「憂ちゃん……」

憂「お姉ちゃんが大好きだったギー太とお姉ちゃんの生きた証を刻む……」

憂「それは……平沢唯の妹の私にしか出来ないことだと思うから……だから、お願いします!」

律「……梓のギターの指導は厳しいよ?私たちも出来るだけサポートするから頑張ろうな、憂ちゃん」

憂「律さん……!」

律「よーし……見てろよ、唯?お前の為にも、ムギの結婚式は絶対に大成功させてやるからな!」


508: 名無しさん 2010/08/30(月) 16:19:53.86 ID:MdtstKnN0
>>433の続き

─── よくあさ!

パチ

唯「……ん……」

唯「ギー太、おはよ」チュッ

唯「何だろう……こんなにいい気分で目が覚めたの、久しぶり……」

トン…トン…トン…

唯「まだちょっと薄暗いな……」

唯「憂はまだ起きてないみたい」

唯「ちょっと散歩して来ようかな……」

カラララ… パタン

510: 名無しさん 2010/08/30(月) 16:27:31.52 ID:MdtstKnN0
 チュン… チュン…

唯「……すぅー……はぁー……」

唯「朝って…気持ちいいな……」

牛乳屋さん「チリンチリーン」

唯(あっ……し、知らない人だ……)ビクッ

牛乳屋さん「っはよーござぁーす!」

唯「は、お……おはようございます!」ペコッ

牛乳屋さん「あっはは、お譲ちゃん元気いいねー!」チリンチリーン

唯「……」パァァ

唯(やった……やったぁ……!)

唯(私……何だか、何だろう……何でもできるって気がする!)グッ

唯(そーだ! 公園でも散歩してこよ~♪)ルンルン


ピピピ…ピピピ…

憂「ん………」ムクッ

憂「ふわぁ……眠いけど…お姉ちゃんが起きる前にご飯作らなきゃ……」ノソノソ

511: 名無しさん 2010/08/30(月) 16:53:30.13 ID:MdtstKnN0

チュン…チュン…

唯「うわぁ~」パァァ

唯「朝の公園ってきれーだな~」

唯「えへへ、来て良かった~♪」ルンラ ルンラ



コトコト…

憂「えーっと……今日は新しい奴使おっかな~」

 ガン!ガン!ガン!

憂「砕いて~」

 ガン! ガン! ガン!

憂「混ぜて~」

 パラパラ…

憂「完成~」ニコニコ

憂「さて、そろそろお姉ちゃん起こそっかな~」ニコニコ

514: 名無しさん 2010/08/30(月) 17:05:00.15 ID:MdtstKnN0

唯「モグモグ……200円なんてお得だなー」モグモグ

唯「……はっ!調子に乗って朝マックまでしてしまった!」ガーン

唯(でも……知らない人と話せるようになったのは、前進なのかな)ムグムグ

唯「けぷ……そろそろ帰ろう、憂が心配しちゃう」



憂「あ、お姉ちゃん起こす前にゴミ出しとこうかな」

憂「……今寝てるゴミも捨てられたらいいのに……」

憂「はぁ……」

憂「よいしょ」

憂「ゴミ置き場まで運ぶの嫌になっちゃうな~」

515: 名無しさん 2010/08/30(月) 17:11:37.24 ID:MdtstKnN0

憂「よいしょ、よいしょ」

 ドサッ

憂「ふぅ……さて、家に帰ってお姉ちゃんに餌食べさせないと……」トコトコ


───


ガラララ…

唯「ただいま~」

唯「あれ? 憂、まだ寝てるのかな」

唯「いや、朝ごはんの用意はしてある……どこ行っちゃったんだろ?」

唯「? 何だろう、この薬 ロヒ…プ、ノー…ル?」

唯「こっちは砕いてある……」サラサラ

唯「これお鍋に入れたのかな……憂……どこか悪いのかなぁ」

唯「このお薬、何の薬なんだろー?」ヒョイ


憂「……お姉ちゃん?」

521: 名無しさん 2010/08/30(月) 18:24:19.22 ID:MdtstKnN0

唯「あ、憂ーおかえり……」

憂「お姉ちゃん!!何し…何、何勝手に……!!」くわっ

唯「え……」ビク

憂「そ、それ、勝手に触らないでよっ!!」バシッ

唯「あっ……」 ポト コロコロ…

唯「あ、ご、ごめ、ん……」

憂「……」

唯「憂、これ……」

憂「……ええ、そうよ…それでお姉ちゃん眠らせてたのよ……」

唯「これ何のくす……え?」

憂「でも!それの!それが!何が悪いっていうの!?」

唯「う、憂……?」

憂「全部っ!!全部、お姉ちゃんは!私をっ!!私はっ!!」

憂「私の人生は!!お姉ちゃんのためにあるんじゃないっ!!!」

唯「!!!!」

523: 名無しさん 2010/08/30(月) 18:35:08.62 ID:MdtstKnN0

憂「はぁーっ……はぁー……」

唯「憂……」

憂「そうよ……私の人生は…私のものだよ……」ポロ…

唯「……」

憂「もう……私の人生に……関わらないで……」グシュ…

唯「……」

憂「出てって……」

唯「え……?」

憂「出てってよ!!この家から!!」

唯「!?」

憂「もう!うんざりなの! 出てって!……出てってよ……」ポロポロ

唯「……」

憂「うっ……うぅ……」ポロポロ

唯「……」

───

526: 名無しさん 2010/08/30(月) 19:09:24.99 ID:MdtstKnN0

───

唯「……」トボトボ

唯「家から追い出されちゃった……」

唯「持ってこれたのはギー太だけ……」

唯「これからどうしよう…」シュン

DQN「ん?」

唯「……」トボトボ

DQN「ヒューッ、どうしたのぉ、こんな時間に一人でぇ」

唯「え?えーっと……」

DQN「家出とか?」

唯「家出っていうか…その……」

DQN「そっかー、家出かぁー 今夜泊まるとこあんの?」

唯「え……ううん、まだ決まってないけど……」

DQN「そっか~~ じゃあうち来る?」

唯「え……?お兄さんの家……?」

532: 名無しさん 2010/08/30(月) 19:36:54.31 ID:MdtstKnN0
DQN「ほら、こっちおいでよ」グイ

唯「え……」ビクッ

DQN「こっちに車あるからさ ほらぁ」グイッ

唯(な、何か怖い……)

唯「い、いやっ!離して!」

DQN「あぁ!? いいから来いっつってんだろ!!」グイ!

唯「いやあああぁぁぁっ!」

「お巡りさん!こっちです!」

DQN「!? チッ!」ダダダダダ

唯「はぁ……はぁ……助かっ…た……」

律「まさかあんな手に引っ掛かる奴がまだいるとは……」ヒョコ

唯「りっちゃん!」

律「ったくも~ ほんと唯は世話が焼けるんだから~」

律「ほら、立てる?」ニコッ

唯「う、うん……」カァ

536: 名無しさん 2010/08/30(月) 19:53:27.20 ID:MdtstKnN0

─── 公園のベンチ

律「ほら、缶コーヒー」

唯「あ、ありがと……」

プシッ

律「ゴクゴク…ぷはぁ~」

唯「……」チビチビ

律「……ふぅ、こんな時間に一人歩きは危ないぞ~」

唯「りっちゃんは?」

律「あたしはぁ…その、襲う物好きなんかいないからなっ」ケラケラ

唯(…りっちゃんの方がよっぽど危ないと思うけどな…あたしなんかより)チラッ

律「ん?どした?」

唯「っ//// ううん、何でもない……」ドキドキ

律「……あー、それより……」

唯「…?」

律「…また何かあったのか…? その、家に帰れないとか?」

537: 名無しさん 2010/08/30(月) 20:25:48.10 ID:MdtstKnN0



律「…そっか……追い出されちゃったのか……」

唯「……」コク

律「んー、じゃあ今夜泊まるとこも決まってないんだな?」

唯「……」コク

律「…よし! うち来るか?」

唯「! りっちゃんち?」

律「ああ、狭いアパートだけど、唯一人ぐらい泊めれるぐらいはある」

律「唯がいいならだけど……」

唯「りっちゃん……! ありがとう!ありがとう……」グス

律「ったくもー、唯は泣き虫だなぁ」ナデナデ

唯「りっちゃぁん……」グスグス

律「よしよし」ナデナデ

541: 名無しさん 2010/08/30(月) 20:34:29.85 ID:MdtstKnN0

 律の部屋

唯「ほえー、りっちゃんの部屋ってこんな感じなんだー」

律「ははっ、ちょっと散らかってるけど、まあ適当に座ってくれ」

唯「おおー、スーツだ あと黒いカバンだー」キョロキョロ

律「おいおい」

唯「何か、りっちゃんかっこいいね……」

律「あはは、仕事ばっかりの女は皆こんな感じだよ」

唯「仕事かー」

律「おかげでじぇーんじぇん男が寄り付きましぇーん しくしく……」

唯「えーりっちゃん可愛いのにー」

律「むふー、私の可愛さをもってしても、この溢れるキャリアウーマンオーラがっ」

律「男たちを近づけないのだー!」

唯「わー」パチパチ

律「はぁ……いい加減結婚したいなぁー もうこの際唯と結婚しようかなー」

唯「えっ……」ドキ

544: 名無しさん 2010/08/30(月) 20:38:12.46 ID:MdtstKnN0

律「なんてなぁー 女同士じゃ結婚できないしぃ~」ハァ

唯「そっ、そうだね……」

律「あ、そういえば……ここから真面目な話なんだけど」

唯「う、うん」

律「唯、これからどうするつもりだ?」

唯「……」

律「何か、やりたいこととか見つかったか?」

唯「うん……」

律「! そっか!」

唯「私……音楽やりたいの!」

律「そっか……とうとう唯も……本気でやりたいことが見つかったんだな」

唯「……うん!」

律「よーし……そうと決まれば……」ゴソゴソ

唯「?」

律「祝いじゃー! 今夜は飲むぞー!!」ドン!

546: 名無しさん 2010/08/30(月) 20:49:17.81 ID:MdtstKnN0

……

ドンチャン♪ドンチャン♪

律「1番!律!歌います!わたしの恋はホッチキス~!」

唯「わー!」パチパチパチ

律「なんでなーんだろ~~~~♪」ボエェェ

唯「わーー!!」パチパチパチ

お隣さん『おいこら!何時だと思ってんだ!!』

律「なんだとぉぉ~ よーし!一発ぶちかまして……」

唯「わー!りっちゃん落ち着いて!」

 ヤンヤ ヤンヤ

……

律「じゃ、会社行って来るからー 千円置いとくから適当にお昼食べちゃって」

唯「う……頭…いた……」ムク

律「じゃな!」 ガチャ バタン!

唯「つ、強い……」ガクッ

549: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:05:28.15 ID:MdtstKnN0

唯「ん……」パチ

唯「あ……二度寝しちゃった」ゴシゴシ

唯「……もう10時……」

唯「机の上に千円札……りっちゃん……」ウル

唯「でも二日酔いで気持ち悪い……食欲ないよぉ」

唯「テレビでも見ようかな」ポチ

TV『先日行われました琴吹家の御令嬢、紬さんと、IT企業社長、池面さんとの披露宴ですが』

唯「!!」

TV『その時の映像を御覧ください』

TV『ひっ、ひっ、ひっ  担架だー! 救急車ー!』

コメンテーター『酷いねぇ、何でこんなことに……』

TV「『えー、ではもう一度、この映像をループで小一時間御覧ください』

TV『ひっひっ、ひっひっ、ひっひっ、ひっひっ』

唯「……」 ポチッ

唯「………」ズーン

552: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:11:58.53 ID:MdtstKnN0

唯「……とりあえず何しよっかな」

唯「むむむ……」

唯「そうだ、音楽やろうって決めたんじゃない」

唯「ギー太も可愛がってあげたいし!」

 キィィ、ギュィィ…

唯「よし……」

唯「ジャンジャン♪ ジャカジャン♪」

お隣さん『おいこら!うるせーぞ!』

唯「ひっ……」

唯「ど、ど、どうしよう……」

唯(外で練習……?)

唯「無理無理!絶対ムリ!」

唯(でも……)

唯「りっちゃんと約束したんだもん……」

唯「……がんばらなきゃ」フンス

553: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:15:39.60 ID:MdtstKnN0

唯「……公園まで来て見たけど……」

 ワーワー キャーキャー

唯「ひ、人多いなぁ……」

唯「で、でも!がんばるんだ!」

唯「別に、公園で練習するだけなら変じゃないし、大丈夫、大丈夫だよ、うん」

唯「ジャンジャン♪ギュィーン♪」

唯「ドキッドーキがとまんない♪」

唯「~♪」


カァー カァー

唯「ほえ?」

唯「夕方だ!いつのまに!」

唯「時間たつの忘れて練習しちゃった……」

唯「急いで帰らなきゃりっちゃん心配しちゃうかも……」ワタワタ

555: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:21:43.59 ID:MdtstKnN0

ガチャ

唯「ただいまぁ~」

律「お、唯! どこ行ってたんだ!心配したんだぞ!」

唯「う、うん……ちょっと……公園に……」

律「今電話しようとしてたとこだったんだぞ……もう」

唯「ごめんね……」

律「外で発作が起きたらどうすんだ!」

唯「うん、ごめん、ごめんね……でも、大丈夫……だったよ?」オズ…

律「え?」

唯「今日ね、外でギターの練習してたの……私、ちょっぴり怖かったけど……」

唯「ずっと、ずっと練習してて……とっても楽しかった!」

律「唯……お前……」

唯「りっちゃんの、りっちゃんのおかげだよ……私、だんだん、元に戻れてる気がするんだ」グス

律「唯……がんばったな」ギュッ

唯「りっひゃん……」モガモガ

556: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:24:10.37 ID:MdtstKnN0

律「すぐ、夕飯の支度するからな」キュッ

唯(りっちゃんのエプロン姿……////)

律「ん?どうした?」

唯「あ、え、ううん……何でもない」ワタワタ

律「くふふ、お腹すいて待ちきれないのか?」

唯「うぅ……」カァァ

律「すぐ作るから待ってろなー」カチャカチャ

唯(何かお手伝いした方がいいのかな……)

律「~♪」

唯(で、でも何かりっちゃんのそばにいるとドキドキしちゃうし……)ドキドキ

唯(き、今日はやめとこ……)ドキドキ

560: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:29:18.61 ID:MdtstKnN0

律「ほら、お待たせ~」

唯「わー、おいしそー!」

律「さ、召し上がれ~って私は嫁か!」

唯「あははっ」

唯(………)チクリ

律「でもま、安心したよ 唯がだんだん治ってるみたいで」

唯「うん……」

律「ま、唯のやりたいようにやればいいと思うよ あたしも出来るだけ力になるからさ」

唯「……うん!」

唯(でも……このままじゃ私、憂に依存してた頃と同じだ……)

律「ん、これんめーな」パクパク

唯(りっちゃんにまで迷惑掛けれない……せめて、せめてお金を入れるぐらいしないと……)

律「? どうした?」

唯「あっ、ううん!なんでもない!美味しいよこれっ」ニコッ

561: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:32:08.15 ID:MdtstKnN0

───

律「じゃ、行って来るわー」

唯「いってらっしゃーい」

バタン

唯「……今日は、今日こそは……!」




─── コンビニ


店長「うちで働きたい?」

唯「はい、あの、バイト募集の張り紙を見て……」

店長「ん……? 君は……」

唯「え?」

店長「やっぱりだ!あのテレビの子だね!」

唯「あっ……」

店長「……残念だけど……君の、その、持病?ではねぇ……」

563: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:36:09.98 ID:MdtstKnN0

唯「……」

店長「ま、そういう訳だから、他あたってくれる?」

唯「はい………」



唯「はぁ……結局全滅かぁ……」

唯「……今日もギー太で練習の日かぁ……ま、いっか」

唯「ジャンジャン♪ジャカジャン♪」

唯(いつか……いつかきっと、きっと実を結ぶ日が来るんだ……!)

唯「ふわふわターイム♪ふわふわターイム♪」

唯(もう……もう私には音楽しかないんだ……!)

唯(音楽で……今までお世話になった皆に……りっちゃんに、恩返しするんだ!)

唯(練習を続けてれば、きっと、きっと道は開けるはず!)

唯「ジャンジャン♪ジャーン♪」

ピリリリリリ

唯「? 誰だろー……」

565: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:39:54.64 ID:MdtstKnN0
ピッ

唯「はい、もしもし」

澪『あ、唯? 今いいかな?』

唯「! 澪ちゃん!」

澪『ちょっと話があるんだが……会えないか?』

唯「話ってなーに?」キョトン

澪『ああ、悪い話じゃないんだ』

澪『私と一緒に……音楽、やらないか?』

唯「!!!!」

唯「そ、それって……」

澪『ああ、詳しい話は会ってからでいいかな?』

唯「う、うん……」

澪『じゃあ、近くの喫茶店で会おう じゃ、またね』
ピッ

唯「………」

唯「……神様って、いるんだ……」

567: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:41:54.04 ID:MdtstKnN0

─── 喫茶店

唯「……」ソワソワ

唯(澪ちゃん……ほんとに来るのかな 夢?じゃないよね?)ソワソワ

カランコローン いらっしゃいませー

カツ…カツ…

唯(だ、誰だろう、あのサングラスに帽子の人……)

カツ…カツ…

唯(こっちに来る!?)

澪「やあ、唯、久しぶり」

唯「ぶっ、み、澪ちゃん!?」

澪「シッ、声がでかい!」

唯「あ、ご、ごめ……」

唯(そっか……澪ちゃん有名人だから、隠れて来たんだ)

澪「唯、元気そうで安心したよ」ニコッ

唯「うん!」ニコッ

571: 名無しさん 2010/08/30(月) 21:50:02.14 ID:MdtstKnN0

澪「で、その、例の話なんだが……」

唯「……」ゴクリ

澪「……私と一緒に組まないか?」

唯「え、く、組むって……」

澪「私と唯で、演奏と歌をやるんだ」

唯「!!」

澪「無茶なお願いだって分かってる……」

澪「でも、この前の練習や演奏を聞いてから、唯しか考えられないんだ!」

澪「頼む!私のパートナーになってくれ!」

唯「!!!!!」

唯「で、で、で、でも……」

澪「……そっか、そうだよな……唯には唯の、今の暮らしがあるもんな……」

澪「いや、いきなり無理言ってすまなかっ……」

唯「や、やる!私やるよ!」フンス

澪「! ほんとにっ?」パァァ

574: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:00:01.78 ID:PMDGlDRu0

 律の部屋

唯「……ということがあって……」

律「すごいじゃんか!澪と組むってことは、有名人の仲間入りだぞ!」

唯「ゆ、有名人……」

律「そうだよ!テレビに出たり全国ライブとかやる有名歌手だよ!」

唯「ひ、ひえぇ……」

律「仲居とか鷹さんとか近畿キッズとかにイジられる芸能人の仲間入りだよ!」

唯「それは……別に……」

律「いやー、唯、良かったじゃんか 夢が叶うんだぞー!」

唯「うん……自分でも信じられない……」

律「いやー、嬉しいぜ~ 唯もどんどん遠くの人になっちゃうなぁ~」

唯「そ、そんなことないよ!」

律「え?」

唯「あ、ううん……何でもない」

律「?」

577: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:04:56.90 ID:PMDGlDRu0

──

澪「それで……ライブの話なんだけど……」

唯「うん」

澪「実は、もう1ヶ月後に控えてるんだ……」

唯「1ヶ月!?そんなにすぐなの!?」

澪「ああ、だから……」

澪「また、スタジオに泊まり込みで、一緒に特訓してくれないか?」チラ

澪「その……急な頼みだから、もちろん断ってくれて構わないよ……」

澪「全部、私が勝手に唯を巻き込んだことだから……」

唯「ううん!平気だよ!やろう、特訓!」

澪「唯……」

唯「えへへ、むしろ私、嬉しいんだ!また澪ちゃんと練習できるんだもん!」

澪「唯……」ウル

唯「がんばろっ!」フンス

澪「ああ……!」グッ

591: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:55:03.59 ID:PMDGlDRu0

唯「という訳で……しばらくスタジオに泊まり込むことになりました」ペコリ

律「そっかぁ、寂しくなるなー でもしょうがないもんな」

唯「いままでたいへんおせわに……」グリグリ

律「頭あげろって、そんなキャラじゃないだろー」

唯「りっちゃん、ほんとに、ほんとにありがとね……」

律「何言ってんだ、大事な友達じゃんか 困った時は助けるのがトーゼンだろ?」

唯「……ありがとう…」ゴシゴシ

唯「私……私……」

唯「がんばる!!」

律「おう! がんばってこーい!!」

唯「いってきます!!」ガチャ

律「グッドラーック!!」グッ

唯「グッ」

バタン!


592: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:55:39.31 ID:PMDGlDRu0

─── スタジオ

唯「ここ使うの久しぶりだね~」

澪「ああ、よし、じゃあ練習始めよっか」

唯「うん!」

 ドタドタ

唯「?」

カメラ「えーっと、この部屋かな お、いたいた」

スタッフ「あ、澪さん お疲れ様です」

澪「あ、どうも……」ペコリ

唯「え……え?」

澪「あ、唯……実は、何か社長が今回のデビュー曲のプロモ、練習風景を使いたいとか言いだしちゃってさ」ヒソ

澪「それで、たまにこうやってスタッフが出入りするかもしれないけど……構わないかな?」

唯「う、うん……」

澪「…唯の病気のことは聞いてる。 だから、もし嫌だったらいつでも言ってくれよ 何とか追い出すから」

唯「だ、大丈夫!」

594: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:56:40.06 ID:PMDGlDRu0

澪「え……でも……」

唯「大丈夫!きっと……」

唯(逆にこの人たちに慣れれば……きっと、きっと人前でも演奏出来るはず!)

カメラ「ジー」

唯「……コホン」

澪「じゃあ……練習始めるか」

唯「……うん!」フンス

唯「ギュィィーン♪」

スタッフ「おぉ……」

澪「! 前より上手くなってるじゃないか!練習したのか?」

唯「うん!えへへっ」

澪「よし、負けてらんないなー」

澪「ギュィィィーン♪」

595: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:57:10.70 ID:PMDGlDRu0

───

唯「ギュィイーン♪」

澪「唯、大丈夫か?そろそろ休憩した方が……」

唯「ううん!まだまだ大丈夫だよ!」

澪「ジャンジャン♪ギュゥーン♪」

唯「止まれないー止まらないー♪」

カメラ「ジー」

唯(気にしない、気にしない)

唯(ぜったい本番では成功させるんだー!)

唯「目一杯Shouting ワッショイ!!♪」

……


596: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:57:45.84 ID:PMDGlDRu0

……



澪「……いよいよ明日が本番だな……」

唯「うん……」

澪「大丈夫、唯なら成功するよ」

唯「……」ゴクリ

澪「……緊張してるのか?」

唯「う、うん……」

唯(また失敗したらどうしよう……)

澪「……」ソッ

唯「!」

澪「ずっと練習を見て来たから、私には分かるよ……」

唯「……?」

澪「唯は……最高のギタリストで……最高の仲間だよ」

唯「……澪ちゃん……」

597: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:58:18.47 ID:PMDGlDRu0

── 当日

唯「ドキドキドキドキ」

澪「……いよいよだな」

司会『えー、それでは拍手を持ってお迎えください!Mio&Yuiです!!』

唯「よ、よーし!」

 タタッ

唯(お、お客さんがいっぱい~)ドキドキ

澪「Mio&Yuiです!今日は来てくれてありがとうございます!」

 ワーワー キャーキャー ミオチャーン ミオー サンジュ…ドカッバキッ ミオー!

唯(ど、どうしよう……急に怖くなって来ちゃった……)

カメラ「ジー」

唯(!!! そ、そっか、ライブも撮るんだ! あ、当たり前だけど考えてなかった!)

澪「それじゃあ一曲目……Don't say lazy!」

唯「!」

唯(と、とにかく全力でやりきらなきゃ!)

598: 名無しさん 2010/08/30(月) 22:58:49.50 ID:PMDGlDRu0

ギュィーン♪ ジャンジャン♪

澪「それじゃあ……最後の曲です!」

唯「はぁ……はぁ……」

唯(最後……これさえ……これさえやりきれば……)ハァハァ

澪「ふわふわ時間!」

唯「!!!」

澪「ジャーン♪」

唯「き、君を見てるとー♪いつもハートDOK☆IDOKI♪」

唯(今度こそ……今度こそ……)

カメラ「ジー」

「ワーワー」「キャーキャー」「ミオー」「ミオチャーン」

唯「マシュマロみたいにー♪」

唯(はぁ……はぁ……)

600: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:01:22.41 ID:PMDGlDRu0

唯(そろそろ……前に失敗したとこだ……)ジワ

唯(もう……もう絶対に失敗しないって、決めたんだ!)

唯「あぁ カミサマどうして……」

カメラ「ジー」

客「****!」「***!」「*****!」

唯(もう、もう失敗しない……)

唯(だって……)

唯(いっぱい練習したんだ いっぱい努力したんだ)

唯(いっぱい泣いて いっぱい叫んで いっぱい…いっぱい……)

    澪『唯、お前は……最高のギタリストで……最高の仲間だよ』

   律『唯は、大事な友達じゃん』

唯(いっぱい、助けてもらったんだ!!!!)

唯(もう私は独りじゃない!!!)

唯「あぁ カミサマお願い  一度だけのMiracle Timeください!!♪」

 \ ワァァァァァ! イイゾー! サイコー! ユイチャーン! /

602: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:02:30.08 ID:PMDGlDRu0

───

 オツカレサマデシター オツカレッシター ドウモー


澪「………終わった、な」

唯「うん……」

澪「唯……」

唯「え?」

澪「サイコーだったぞ」ニコ

唯「えへへ……」ニコ

澪「良かった……本当……唯と組んで、良かった」

唯「私も……澪ちゃんと歌えて、良かった」

澪「唯……」ナデナデ

唯「ふっ、ぇ……」ポロポロ

唯「なんでだろ……うれ、しいのに……えへ……」ポロポロ

唯「うれしい、のに……涙、とまんないや……えへへ」ポロポロ

604: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:03:48.44 ID:PMDGlDRu0

  律の部屋

唯「というわけで……ただいまー!!」

律「おかえりぃぃぃ!!」ギュッ

唯「えへへ、寂しかった?」

律「当たり前だろー、心配してたんだからなー?」

律「心配しすぎてライブも見に行ったんだからなー」

唯「えっ、見に来てくれたの!?」

律「トーゼン! 仲間の晴れ姿は仕事を休んででも見るもんよ!」フンス

唯「りっちゃん……」グス

律「んで、澪は?」

唯「わかんない……今日テレビのお仕事があるって言ってたけど……」

律「そっか……澪にも直接、お疲れ様って言いたかったのにな」

唯「うーん、やっぱ澪ちゃん忙しいみたいだね……」

律「ま、うちらはのんびりテレビでも見て夕飯食おうぜ~」

唯「うん!」

606: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:04:18.94 ID:PMDGlDRu0

唯「えーと、今日は何やってるのかなー」ポチッ

TV『えー、ゲストを呼んであります!Mioさんでーす!』

唯「!! 澪ちゃんだ!」

律「え!? 噂をすれば早速!?」

唯「えっと、生放送みたい」

律「えー何何? 25時間テレビ……?」

唯「Mioちゃんすごーい……」

澪『えー、これは私と彼女の感動の記録です』

唯「……?」

得密『えー、パニック障害を抱えた少女とMioさんの感動の一ヶ月の記録です』

澪『では、彼女が障害を乗り越えていく様を、どうぞ』

TV『彼女はユイ、パニック障害を抱える少女だ……』

唯「……え?」

TV『果たして彼女は!障害を乗り越えて!ライブを成功させることが出来るのか!』

唯「…………」

632: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:17:26.02 ID:PMDGlDRu0

TV『彼女はなんと、あの琴吹紬の披露宴を滅茶苦茶にしたあの少女だった!』

会場『ええ~~~!』

TV『その時のVTRがこれだ』

TV『ひっ、ひっ、ひっ!! ワーワー! タイヘンダー!』

TV『 紬「うぅ……」  思わず涙を浮かべる琴吹紬さん……』

TV『何と!この少女はパニック障害だったのだ!!!』

唯「………」

TV『しかし!心優しいMioさんはこの少女との演奏を試みる!』

TV『 澪「きっと、音楽の力で彼女も人間らしい心を取り戻してくれるわ……」』

TV『人間の心を失った少女に、Mioさんの優しさは、音楽の力は通じるのか…!!』

唯「…………」

637: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:18:48.43 ID:PMDGlDRu0

TV『練習は苛烈を極めた……』

TV『 澪「唯、大丈夫か?休憩した方が……」 唯「まだまだ!」 』

TV『ユイさんは一向に言うことを聞いてくれない……』

TV『当時の澪さんはこう語る……』

TV『 澪「彼女には、人間の心を取り戻す時間が必要なんです……」 』

TV『 澪「え?私が大変そう? ハハッ、自分を犠牲にすることなんて何ともありませんよ」』

会場『おぉ………』





唯「………………………」



645: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:26:44.09 ID:PMDGlDRu0

TV『そしてついに、Mioさんの尽力で一ヶ月の練習を終え……』

TV『Mio&Yuiのライブへ!!』

唯「………」カタカタ

律「……あ、あのさ、唯……」

唯「………」カタカタカタカタ

律「テ、テレビ……消すね? な?」スッ

唯「いい」

律「えっ……」ビク

唯「み、見る………」カタカタ

律「………」

TV『ライブはついに佳境を迎える……!』

TV『ユイさんはMioさんの邪魔をしてしまうのか……!?』

TV『 唯「ああ神様おねがいー♪ 一度だk」』

TV『邪魔しなかったアアアァァァぁぁぁぁぁっっっッッ!!!』

唯「…………」

651: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:31:59.02 ID:PMDGlDRu0

TV『歌の力は!障害者を更生させる力を持っているのです!』

会場『おぉ……』

得密『いやぁ、素晴らしいVTRでした 私感動して泣いてしまいました』

得密『やはり、Mioさんの努力と愛情が、彼女の心を開いたのでしょうね』

澪『いえ、私も音楽の力がなければ、障害者の彼女を更生させることはできませんでした』

得密『えー、ここで全国からFAXが届いています』

FAX『Mioさん素敵です!感動しました!』『Mioさんの愛情が、あの式場ブレイカーを更生させたんですね!』
   『音楽の力ってすごい!どんな奴にも通じるんですね!』『今度うちの犬が暴れたら音楽の力を使ってみます』


唯「………」

唯「………」

唯「………」

唯「………」

唯「はは」

665: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:43:43.06 ID:PMDGlDRu0

TV『では、ここでスポンサーのコトブキグループさんからのコマーシャルが入りまーす』


───

スタッフ「あ、澪さんお疲れ様でしたー」

澪「あ、お疲れでーす」

澪「はぁ……生放送ってちょっと緊張するな……」

紬「あら……」

澪「お、ムギ……」

紬「澪ちゃん……お疲れさま……」

澪「……ムギも、ちょっとやることが汚くないか?」

紬「………」

澪「ま、恥をかかされた腹いせって奴か」

紬「澪ちゃんも人のこと言えないんじゃない?」

澪「私が?」

紬「唯ちゃんをダシにして、こんなに好感度あげちゃって」

669: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:46:21.32 ID:PMDGlDRu0

澪「くくっ、ま、使えるものは使わないとな」

紬「じゃ、お互い言いっこ無しにしましょ」

澪「ふん、まあ、お互い良い思いした、それでいいか」

紬「ええ……もう私の気は済んだわ」

澪「そうか……じゃあな」

 スッ

スタスタ

     スタスタ

───


唯「………」カタカタカタ

唯「もう、いや……」

律「唯?」

唯「っ……!」 ダッ  バタン! タッタッタッッ…

律「お、おい!! 唯!!」

675: 名無しさん 2010/08/30(月) 23:56:42.55 ID:PMDGlDRu0

── 河原

唯「……っ……ひぐっ……」

唯「…どい……ひどいよ……」ポロポロ

唯「澪ちゃん……澪ちゃん、信じてたのに……」ポロポロ

唯「もう、もう……やだよ……」

唯「誰も信じらんないよ……」

唯「そうだ……りっちゃんだって……」

唯「りっちゃんだって、きっと、私のこと嫌ってるんだ……」グシュ

唯「もう……もう……やだよぉ……」ポロポロ

───

 ダダダダッ!

律「ゆいーッ!!どこだーっ!!」

律「はぁ……はぁ……」

律「くそぅ、唯って足速いんだなぁ……」ゼェゼェ

律「唯ー!! 返事してくれー!!」

683: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:01:24.12 ID:GXSaxeYp0

トラック運転手「おっと、いけない、配達時刻に遅れそうだ」

トラック運転手「しょうがない、狭い道路だけど飛ばそう」

トラック運転手「お?何だか霧が出て来たな」

トラック運転手「いけね、ライトの電球が切れかけだ」

トラック運転手「タイヤそろそろ交換しないとなぁ」

トラック運転手「ふわぁ、夜になると眠いな」

トラック運転手「こう眠いとブレーキ踏むの遅れちゃいそうだな」

トラック運転手「おっと、そろそろ見通しの悪い交差点か」

トラック運転手「まあこの時間にフラリと飛び出す人もいないだろう」




唯「もう……やだよ……」フラフラ

唯「何処にも……帰りたくない……」フラフラ



701: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:06:44.14 ID:GXSaxeYp0

唯「……」フラ…

  パパァァー!!

唯「!!」

唯(トラック……!!)

トラック運転手「うわーっ!誰も飛び出してこないと思ってた交差点から死んだ目をした女の子がフラフラ出て来たーっ!」

トラック運転手「こんなに急に飛び出されちゃとっさの判断が遅れてブレーキが間に合わないーっ!!」

唯(私……死んじゃうのかな……)

唯(やっと……楽に……)


   キキーッ!!!



唯「………」

唯「……あれ?」

律「……バカヤロー、一人で突っ走りやがって」

唯「り、りっちゃん!?」

706: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:10:25.98 ID:GXSaxeYp0

トラック運転手「あ、危ない……あのカチューシャの子が女の子を抱いて飛びのいてくれなかったら今頃……」

律「こらー!てめーもっと気を付けて運転しろーっ!!」フンガー

トラック運転手「は、はいぃ!!」

 ブロロロロ…

唯「りっちゃん……どうして……」

律「バカ、言っただろ」

唯「え……?」

律「唯は……大事な友達だって」

唯「りっちゃん……」

唯(で、でも……前も、澪ちゃんにそう言われて裏切られた……)

唯「………」

律「……あーもー……」

ギュッ

唯「わ、ひゃぁ!?//// り、りっちゃん!?」

律「これでも信じられないかよ……ったく」ギュゥ…

713: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:15:04.15 ID:GXSaxeYp0

律「どうだぁ~これでも信じられないなら、もっとすごいことを~」フンフン

唯「し、信じるよっ!信じるから!」ワタワタ

律「…ふっ、唯、やっぱりお前は、そっちの方がいいよ」

唯「ふぇ?」

律「変に悩んだり、落ち込んだりしないでさ、その、笑ってて欲しいんだよ ずっと」ナデナデ

唯「りっちゃん……////」

律「ほら、帰るぞ 『私達』の家へ、な」グイ

唯「……うん!」

……


717: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:19:53.30 ID:GXSaxeYp0

───帰り道

唯「りっちゃん、私ね……」

律「ん?」

唯「その……りっちゃんと出会えて、良かったよ……////」

律「なっ、なんだよ急に////」

唯「だって……りっちゃん、優しいし、かっこいいし……////」

律「お、おいおい//// 持ち上げても何にも出ねーぞ?」カァァ

唯「わ、私ね?」

律「お、おう……」ドキドキ

唯「りっちゃんのこと……」

律「おっと、その先は言っちゃダメだ」ピト

唯「え……」

律「……その……あたしが言いたいんだ……」////

唯「!!」////


721: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:22:46.61 ID:GXSaxeYp0

律「唯……」

唯「う、うん……」ドキドキ

律「あたしと……一緒に暮さないか?」

唯「!」ドキーン

律「あたしも頑張って仕事して、いっぱい稼ぐからさ」

律「だから……唯も、がんばってその病気を完治させて、一緒に住まないか?」

唯「うん……うん!」ポロ…

律「唯……」ギュッ

唯「りっちゃぁん……」ポロ…ポロ…

729: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:26:13.82 ID:GXSaxeYp0

───

梓「え、それで……どうなったんですか?」

律「え……どうって?」

梓「いや、それで、唯先輩は?」

律「ああ、だから、病気を治すために病院に行ったんだよ」

梓「で、治ったんですか?」

律「いや、まあ、その……」

梓「? 何か歯切れが悪いですね」

律「病院っていうか……施設っていうか……」

梓「!! まさか……」

律「だって!仕方ないだろ!? 精神病の奴に!頭に障害持ってる奴に!マジ告白されたんだぞ!?」

律「あの時だって、断ったら何されるか分かんないから怖くて怖くてチビりそうで……」

律「それでも頑張って、一生懸命演技して、ようやく隔離施設にぶちこんだんだ!!」

律「お前に分かるかよ!?あのときの私の苦労が!!絶望が!!」

梓「はぁ……なんというか、大変でしたね……」

734: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:28:39.59 ID:GXSaxeYp0

───

ガシャガシャ

唯「ねぇねぇ、看護婦さん」

ガシャガシャ!

唯「ねえ!」

看護婦「はいはい、何かしら?」

唯「いつになったら出してくれるの?」

看護婦「さあ……それは分からないわねぇ、先生に聞いてみないと」

唯「ねぇ!出してよ!!りっちゃんが待ってるんだよ?」

唯「それにギー太も!ねえ!ギー太だけでも持って来て!お願い!」

看護婦「……分かったわ……先生に相談してみるから……」ハァ

唯「………」ストン

唯(はやく……はやくここから出たいよ……)

752: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:34:36.77 ID:GXSaxeYp0

───

看護婦「そういう訳で、患者がギターを所望しているのですが……」

医者「君ぃ、馬鹿言っちゃいかんよ 精神を患っている患者に、ギターなんて」

医者「弦で首を吊るかもしれない、はたまた自分を撲殺するかもしれない 危険だ」

看護婦「はぁ……しかし……」

医者「何かね」

看護婦「最近特に……その、暴れるようになりまして」

医者「ふむ、投薬すれば良かろう それと、拘束具を使いなさい」

看護婦「はい……」

医者「どのみち、この施設に来たら、もう一生外へは出れんのだ」

754: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:35:07.19 ID:GXSaxeYp0

看護婦「はい唯ちゃん……お薬の時間よ~」

唯「い、いや!もうお薬イヤぁ!!」バタバタ

看護婦「いけない!興奮してるわ!皆押さえて!」

唯「いやぁぁぁ!!離して!!!お薬やだぁぁ!!注射いやああぁぁぁ!!!」


唯「い゙や゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ァ゙ァ゙!!!おぐずり゙イ゙ヤ゙だあ゙ぁあぁぁ゙ぁぁぁ゙ぁ゙ァァ゙!!!!」


唯「出じでぇぇ゙ぇ!!!ごごがら゙だじでえ゙えぇぇ゙ぇぇ゙ぇぇぇ!!!!」







唯「  り゙ っ ぢ ゃ あ゙ あ あ゙ あ゙ あ あ゙ あ ぁ゙ ぁ ぁ゙ ぁ゙ ぁ ん゙ ン゙ !!! 」






                 完

769: 名無しさん 2010/08/31(火) 00:37:59.10 ID:GXSaxeYp0
>>741
その時までは律は「友達」として唯に接していたんです
>>717で唯の気持ちに気付いて、恐怖の対象へ変わりました