592: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:10:05.63 ID:iyLoQbpY0
凛「いくよ、チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー!」

未央「へへーん、予想通り!」

未央「トドゼルガ、いばる!」

トドゼルガ「トドー」ドヤァ

チャーレム「チャー!!」ピキーン

凛「!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1572703190

引用元: ・【モバマス】凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」(続)

593: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:10:39.64 ID:iyLoQbpY0
恵磨『凛選手、トドゼルガに有利なチャーレムに交代しました……が!』 

恵磨『いばるで混乱させられてしまったー!!』 

美玲「ああ……!」 

晶葉「まずいな……これで自分を攻撃し始めたら返り討ちにあってしまうぞ」 

チャーレム「チャー」ピヨピヨ 

未央「よし、今のうちに! トドゼルガ、ふぶき!!」 

トドゼルガ「トドー!!」ビュォォォォ 


594: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:11:17.50 ID:iyLoQbpY0
凛「躱して!」

チャーレム「チャー!」バシィ

幸子「ああ、躱しきれません!」

チャーレム「チャー」ピヨピヨ

凛「チャーレム……」

凛「……!」

凛(そうだ、たしかチャーレムは……)

595: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:11:47.23 ID:iyLoQbpY0
凛「チャーレム……無理に動かなくていい」

凛「目を閉じて、周りに集中して!」

チャーレム「チャ……チャー……」ジッ

恵磨『チャーレム、混乱に抗うように精神を集中させています!』

未央(しぶりん、何か企んでる……?)

未央「しおみず!」

トドゼルガ「トド!」ブシャァ

596: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:12:29.38 ID:iyLoQbpY0
凛(水流が迫る……)

凛(でもチャーレムなら躱せるはず!)

チャーレム「……!」カッ

チャーレム「チャー!」ヒョイ

茜「おお!」

晶葉「そうか……チャーレムはサイコパワーで相手の動きを先読みする能力を持つ」

卯月「それで攻撃を躱せたんだね」

晶葉「ああ。覚えている技だけでなく、ポケモン本来の能力を活かすよう指示したんだな」

志希「うんうん! そうでなくちゃ!」

597: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:12:56.63 ID:iyLoQbpY0
凛(よし……!)

凛「チャーレム、とびひざげり!」

チャーレム「チャー」ビュン

未央「ふぶき!!」

トドゼルガ「トドー!!」ビュォォォォ

チャーレム「!」

恵磨『このふぶきはチャーレムに直撃だー!!』

598: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:13:23.53 ID:iyLoQbpY0
チャーレム「チャー……!」ドガッ

トドゼルガ「トド…!」ドガッ

瑞樹『トドゼルガにも攻撃は当たったけど、威力は抑えられたようね』

チャーレム「チャー……」ヨロッ

未央「よし、今がチャンス!」

未央「しおみずで追撃だー!」

トドゼルガ「トドー!」

凛「そうはさせない……!」

599: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:14:01.00 ID:iyLoQbpY0
凛「チャーレム、じこさいせい!」

チャーレム「チャー」コォォォォ

ブシャァ

チャーレム「チャー」ザッ

恵磨『チャーレム、土壇場のじこさいせいで体勢を整えました!』

未央「うーん、倒しきれなかった……」

凛「お返しだよ、しねんのずつき!」

600: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:14:27.76 ID:iyLoQbpY0
チャーレム「チャー!」コォォォォ

トドゼルガ「トド……!」ドガァ

トドゼルガ「トド……」フラッ

未央「トドゼルガ!」

凛「よし、怯んだ隙に……」

凛「とびひざげり!!」

チャーレム「チャー!」ビュン

ドガァ

601: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:15:26.49 ID:iyLoQbpY0
恵磨『これは痛烈な一撃が決まりました!!』

トドゼルガ「トド……」バタンキュー

未央「ああ、トドゼルガ!」

ワァァァァァ

未央「『あついしぼう』のトドゼルガが耐えられないなんてね!」

未央「さすがだよ、しぶりん」

凛「未央こそ……チャーレムじゃなかったら危なかった」

602: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:15:58.23 ID:iyLoQbpY0
未央「へへ……やっぱしぶりんと戦うのは楽しいな」

未央「……ねえ、しぶりん」

凛「?」

未央「私、次はボーマンダを出そうと思ってるんだ」スッ

凛「!」

恵磨『な……なんと未央選手、次に繰り出すポケモンを予告しました!?』

603: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:16:28.14 ID:iyLoQbpY0
未央「しぶりんも持ってるよね? ドラゴンタイプのポケモン」

未央「というか、一緒に究極技を教わったよね」

未央「育てるのが難しいって言われているドラゴンタイプを頑張って育て上げた同士でさ」

未央「ここは一発、真正面からぶつかろうよ!」

凛「……」

カタカタ

凛(ボールが揺れてる……早く出してくれって急かしてるみたいだ)

604: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:16:54.30 ID:iyLoQbpY0
凛「いいよ。受けて立とうじゃない」

凛「よし……よろしく、サザンドラ!」ポン

サザンドラ「サザー!」バッサァ

恵磨『凛選手、サザンドラを繰り出しました!』

未央「そう言ってくれると思ったよ! いっくよー、ボーマンダ!」ポン

ボーマンダ「ボー!」

恵磨『そして未央選手は予告通りボーマンダだ!』

瑞樹『サザンドラは愛梨ちゃんとの試合で進化してからは無敗ね』

瑞樹『ここでボーマンダが黒星をつけられるかしら?』

605: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:17:23.62 ID:iyLoQbpY0
美玲「おお、ドラゴン同士のバトルだ……!」

茜「すでにオーラがとてつもないです……!!」

凛「サザンドラ!」

未央「ボーマンダ!」

卯月「同時に動き出した……!」

サザンドラ「サザ!!」

ボーマンダ「ボー!!」

ドゴォッ

606: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:18:20.96 ID:iyLoQbpY0
晶葉「レベルも能力もほぼ互角……ということは」

文香「勝敗を分けるのは、トレーナーの力量……ですね」

志希「うんうん、面白いじゃん!」ニャフフ

凛「りゅうのはどう!」

未央「ドラゴンクロー!」

サザンドラ「サザー!!」バババ

ボーマンダ「ボー」ヒョイ

ボーマンダ「ボー!!」ズバッ

607: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:18:46.53 ID:iyLoQbpY0
恵磨『まず先制したのはボーマンダだ!』

凛「サザンドラ!」

サザンドラ「サザー……」フラッ

未央「よし、追撃ぃー!」

凛「させない! 右腕で反撃!」

サザンドラ「サザー……」

バババ

608: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:19:23.73 ID:iyLoQbpY0
ボーマンダ「ボー!?」ドゴォ

未央「くっ……!」

晶葉「本体がダメージを負っても両腕から援護射撃できるのがサザンドラの強みだな」

未央(あの腕からも攻撃が飛んでくるんだったね)

未央(でも本体の繰り出す攻撃よりは威力が弱い……そこを突く!)

未央「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」

ボーマンダ「ボー!!」

609: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:20:02.36 ID:iyLoQbpY0
凛「りゅうのはどう!」

サザンドラ「サザー!!」バババ

ボーマンダ「ボー!」ヒョイ

凛「速い……また躱された」

凛「なら腕からの攻撃で――」

凛「!? まさかそれが狙い!?」

サザンドラ「サザー!」バババ

未央「その通り! ボーマンダ、突っ切れぇー!!」

610: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:20:33.31 ID:iyLoQbpY0
ボーマンダ「ボー!!」

ドドド

恵磨『ボーマンダ、腕からの攻撃を受けながら前進している!?』

ボーマンダ「ボー!!」

バッ

ズバァ

サザンドラ「サザー……!」

611: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:21:08.43 ID:iyLoQbpY0
凛「くっ……サザンドラ!」

凛(もうこれ以上の攻撃は受け切れない……早く勝負をつけないと)

凛(これで……決める!)

未央「よーし!」

未央(何とか躱してきてるけど、もう一発でもサザンドラの攻撃は受けられないな)

未央(次の一撃で決めないと……!)

凛「サザンドラ!」

未央「ボーマンダ!」

612: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:21:36.60 ID:iyLoQbpY0
「「りゅうせいぐん!!」」


凛「!?」

未央「!?」

晶葉「な……」

志希「シンクロしたねぇ」ニャフフ

卯月「ほぼ同時にりゅうせいぐんの指示……!」

サザンドラ「サザー!」ボッ

ボーマンダ「ボー!」ボッ

恵磨『こ、これは……』

恵磨『今大会でも猛威を振るってきたりゅうせいぐんが……なんと』

恵磨『同時に放たれようとしています!!』

613: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:22:13.84 ID:iyLoQbpY0
サザンドラ「サザー!!」カッ

ボーマンダ「ボー!!」カッ

ドドドドドドドドドドドド

未央「うわあっ!?」

凛「……!」

ズゥゥゥゥゥン

幸子「ス、スタジアム全体が揺れてます……!」

晶葉「なんてパワーだ……!」

614: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:22:40.11 ID:iyLoQbpY0
シュゥゥゥゥ

瑞樹『あら、フィールドが穴ぼこだらけになったわ……ほんとに恐ろしい技ね』

恵磨『ケホッケホッ……り、両者のポケモンは……?』

サザンドラ「サザー……」ドサッ

ボーマンダ「ボー……」ドサッ

恵磨『サ、サザンドラ、ボーマンダ、ダブルノックアウトだぁー!!』

ワァァァァァ

615: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:23:11.22 ID:iyLoQbpY0
凛「サザンドラ……!」

未央「ボーマンダ!」

美玲「おお、相討ち…!」

文香「とても……迫力のある対決でしたね」

凛「……」

凛「よく頑張ったね、サザンドラ」

未央「ボーマンダ、戻って」

未央「へへ、サザンドラと真っ向から戦えて嬉しかったよ!」

凛「こっちこそ。ボーマンダも……本当に強かった」

616: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:23:42.60 ID:iyLoQbpY0
凛(これで未央の残りの手持ちはカポエラーとジュカイン)

凛(手持ちの数では勝っているけど、まだ気は抜けないね)

凛(相性も有利だし、フィールドは穴だらけになったから、ここはムクホークかな)

凛「ムクホーク!」ポン

ムクホーク「ムクホー!」

未央「カポエラー!」ポン

カポエラー「カポー!」

617: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:24:25.96 ID:iyLoQbpY0
恵磨『凛選手は前回の試合で大活躍したムクホーク!』

恵磨『だんだんと後がなくなってきた未央選手はカポエラーを繰り出しました!』

凛「ムクホーク、おいかぜ!」

ムクホーク「ムクホー!」バサッ

ヒュゥゥゥゥゥ

幸子「カポエラーより素早いはずのムクホークがおいかぜ……?」

凛「ブレイブバード!」

ムクホーク「ムクホー!!」ギュン

618: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:24:51.44 ID:iyLoQbpY0
未央「なるほど……おいかぜで速度を上げてのブレイブバードってとこだね!」

未央「でも残念! カポエラー、みきり!」

カポエラー「カポ」キラッ

ヒョイ

ムクホーク「ムクホ……!?」

凛「しまっ……」

ムクホーク「ムクホー!」ドシン

619: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:25:20.55 ID:iyLoQbpY0
恵磨『あーっとムクホーク、ブレイブバードを躱されてフィールドに激突してしまった!』

未央「まわしげり!」

凛「くっ、インファイト!」

ムクホーク「ムクホー!」

カポエラー「カポー!」グルグル

瑞樹『これはカポエラーが少しリードしている感じかしら』

凛「ムクホーク!」

620: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:25:46.34 ID:iyLoQbpY0
ムクホーク「ムクホー!」ガシッ

瑞樹『……という訳でもなさそうね』

カポエラー「カポ!?」

恵磨『ムクホーク、ツメでカポエラーを受け止めた!?』

未央「カポエラーを鷲掴みに……!?」

晶葉「まさかフリーフォールか? しかしムクホークは覚えないはずだが……」

621: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:26:33.88 ID:iyLoQbpY0
凛(そう、ムクホークはフリーフォールを覚えられない)

凛(でも持ち上げるまではいかなくても、相手を投げ飛ばす程度なら……)

ムクホーク「ムクホー」グルン

ムクホーク「ムクホー!」バッ

カポエラー「カポー……」ドガァ

輝子「おお、カポエラーを投げ飛ばした……!」

未央「やるね!」

622: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:27:06.83 ID:iyLoQbpY0
未央(これで距離を取られた……ここは相手次第かな)

凛(下手に突っ込んだらまた返り討ちにあうかも……)

凛(いったん様子を見るか)

ムクホーク「……」

カポエラー「……」

恵磨『両者、睨み合って相手の次の手を伺っています……!』

凛「……」

未央「……」

623: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:27:50.70 ID:iyLoQbpY0
未央「!」

未央「カポエラー、いくよ!」

カポエラー「カポ!」

卯月「カポエラーが動き出した!」

未央「まわしげり!」

カポエラー「カポ!」グルグル

美玲「距離が空いてるのにまわしげり……?」

未央「カポエラー、穴を使って飛び上がって!」

624: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:28:26.42 ID:iyLoQbpY0
カポエラー「カポ!」

凛「!」

カポエラー「カポー!」ピョン

恵磨『カポエラー、フィールドの穴ぼこを利用して飛び上がった!?』

瑞樹『さっきのりゅうせいぐんで空いた穴をうまく使ったわね』

ムクホーク「ムクホ……!」バシィ

凛「くっ……!」

625: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:28:55.93 ID:iyLoQbpY0
ドスン

恵磨『ムクホークが撃ち落とされました!!』

未央「よし、これで終わりだ!」

未央「カポエラー、ストーンエッジ!!」

カポエラー「カポー!!」ゴゴゴゴ

ムクホーク「ムクホー……!」ドガァ

626: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/15(土) 21:29:41.42 ID:iyLoQbpY0
ムクホーク「ムクホー」バタンキュー

恵磨『ムクホーク、ダウン!!』

ワァァァァァ

晶葉「うむ……これは未央の方が一枚上手だったな」

凛(……! ムクホークが倒された……)

瑞樹『手持ちの数ではまだ凛ちゃんが勝っているけど、チャーレムもドリュウズもさっきのダメージが残っているわ』

瑞樹『つまり状況はほぼ互角、ね』

631: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:36:37.04 ID:52h3i4KQ0
凛「ムクホーク、お疲れ様」

凛「……チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー!」

凛「しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」コォォォ

未央「速い……!」

チャーレム「チャー!」ドガァ

632: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:37:03.23 ID:52h3i4KQ0
カポエラー「カポー……!」

恵磨『カポエラー、チャーレムの攻撃を受け止め続けますが――』

瑞樹『さっきムクホークが吹かせたおいかぜでさらにスピードとパワーが上がっているわ』

瑞樹『これは耐えられないでしょうね』

カポエラー「カポ……」

未央「……まだまだ!」

未央「起死回生のカウンター!!」

633: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:37:29.29 ID:52h3i4KQ0
カポエラー「カポ……」

カポエラー「カポォォォ!!」

ドゴォッ

凛「!?」

美玲「お互いに吹っ飛ばされた!」

チャーレム「チャー……!」

チャーレム「チャー」バタンキュー

カポエラー「カポー」バタンキュー

634: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:38:06.32 ID:52h3i4KQ0
卯月「これも相討ち……!」

文香「これでお互いに、無傷で残っているのはエースのポケモンのみになりましたね」

凛(……)

凛(……残すはジュカインだけ)

凛(でもゲッコウガもドリュウズも相性が悪い……)

凛(やっぱり挑発に乗らずにサザンドラを残しておくべきだったかな)

凛(……いや)

凛(もしかしたら心のどこかで、私はこの対面になるのを望んでいたのかもしれない)

635: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:38:44.40 ID:52h3i4KQ0
未央「はあ……もう最後の一匹かぁ!」

未央「早いような短いような……やっぱりしぶりんは強いね!」

未央「……ねえしぶりん、私ね」

凛「?」

未央「モバPからキモリをもらったこととか、3人で一歩目を踏み出したこととか、思い返したらほんと昨日みたいでさ」

未央「あれから辛いこともたくさんあったけど、今はこうやって夢にまで見たポケモンリーグでしぶりんとバトルできてる」

未央「だからあの時、旅に出てよかったって思えるんだ」

636: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:39:16.94 ID:52h3i4KQ0
未央「旅をしていく中で、私が勝ったら喜んでくれる人も、応援してくれる人も、大好きなポケモンもたくさん増えたから!」

凛「……そうだね」

未央「それに……」

未央「昨日の夜にね、ジュカインの毛繕いをしてた時にさ」

未央「ジュカインが話しかけてくれた気がしたんだ。『チャンピオンになりたい』って。そう聞こえた気がする」

未央「それで私も、改めてジュカインの気持ちに応えなきゃなってなった。チャンピオンを目指しているのは、私だけじゃないから」

未央「だから……しぶりん」

637: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:39:47.43 ID:52h3i4KQ0
未央「チャンピオンに挑むのはこのちゃんみおだよ!!」ポン

ジュカイン「……」ズッ

ジュカイン「ジュカァァァァ!!」

未央「お待たせ、ジュカイン」

未央「さあ、全力で弾けるよ!」

凛「未央……」

638: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:40:42.15 ID:52h3i4KQ0
凛「私も、三人で一緒に旅に出てよかった」

凛「未央とも卯月とも、同じ舞台に立ててよかった。モバPもきっと喜んでくれるんじゃないかな」

凛「……ここまで来たんだ。チャンピオンに挑むのは……私だよ」

凛「ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「……」スッ

ゲッコウガ「ゲコ」キッ

恵磨『バトルは大詰め! ここで遂に両者のエース、ゲッコウガとジュカインが激突だぁぁーー!!』

639: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:41:18.64 ID:52h3i4KQ0
瑞樹『わかるわ。あの二匹も、あの二人と同じ町から旅に出たのね』

瑞樹『そして、何回戦ってきたのかはわからないけど、こうして最高峰の舞台であるポケモンリーグで再会している』

瑞樹『否が応にも熱くなってしまう場面ね』

凛(ドリュウズは完全に消耗しきっている。これが最後の一匹……!)

未央「ゲッコウガ……ここで戦えるのを待っていたよ」

凛「全力で行くよ、未央!」

未央「望むところだー!!」

640: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:41:45.52 ID:52h3i4KQ0
凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

未央「ジュカイン、リーフブレード!」

ジュカイン「ジュカァ!!」

スパッ

641: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:42:14.02 ID:52h3i4KQ0
茜「おお……みずしゅりけんが真っ二つに!」

未央「そのまま突っ込むよ!」

ジュカイン「ジュカ!」ダッ

文香「ジュカイン、今までで一番気合いが入っていますね」

美玲「あのリーフブレード、喰らったらタダじゃ済まなそうだな……」

晶葉「そうだな。あれをうまく躱していかないと――」

642: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:42:41.91 ID:52h3i4KQ0
凛「受けて立つ! つばめがえし!」

美玲「ええ!?」

ゲッコウガ「ゲコォ!」

ガキンッ ガキンッ

バチィッ!!

ゲッコウガ「ゲコ……!」ズザァ

ジュカイン「ジュカ……!」ズザァ

643: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:43:08.40 ID:52h3i4KQ0
未央「つばめがえし……ジュカインへの対策で覚えてきたんだね」

凛「うん。真っ向勝負がしたかったからね」

未央「うんうん! こういうところで引かないのがしぶりんらしいよね!」

未央「本気のしぶりんと戦えて私、嬉しいよ」

凛(本気……)

凛(もしこの勝負、私がメガシンカを使っていたら――)

凛(なんて考えてる暇はなさそうだ)

644: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:43:40.04 ID:52h3i4KQ0
ジュカイン「ジュカ!!」バッ

凛「みずしゅりけんを撃ちながら後退!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

恵磨『ゲッコウガ、相手を牽制しながら距離を取ります!』

ジュカイン「ジュカ!」バシィ

凛「よし、今だ! つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

645: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:44:08.16 ID:52h3i4KQ0
恵磨『ゲッコウガのアッパーカットが決まったー!!』

未央「ジュカイン! ドラゴンクロー!」

ジュカイン「ジュカ……」

ジュカイン「ジュカ!!」ズバッ

ゲッコウガ「ゲコ……!」

恵磨『ジュカインもお返しの一撃!!』

恵磨『息もつかぬ攻防戦! 両者、一歩も譲りません!!』

ワァァァァァ

646: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:44:49.45 ID:52h3i4KQ0
卯月「すごい……!」

茜「まるで自分が戦っているようで……身体が熱くなります!!」

文香「それに穴だらけのフィールドであれほど素早く、的確に動けるなんて……」

晶葉「相性はジュカインの方が有利だが」

晶葉「もうここまで来たらそんなものは関係ないな」

卯月「未央ちゃん……凛ちゃん……」

647: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:45:15.27 ID:52h3i4KQ0
凛(ここまでほぼ互角……)

凛(でもジュカインはまだ大技を持っている)

凛(ハードプラント……あれを乗り越えないと)

凛(とにかく今は攻めるのみ!)

凛「ゲッコウガ、かげぶんしん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ババババ

ジュカイン「ジュカ……?」

未央「落ち着いて、ジュカイン!」

648: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:45:43.82 ID:52h3i4KQ0
未央「全員まとめて相手するよ! アイアンテール!」

ジュカイン「ジュカ!!」シャキーン

バッ

凛「……!」

恵磨『ジュカイン、跳び上がりました!』

恵磨『高速回転しながらアイアンテールを分身にぶつけていきます!!』

ジュカイン「ジュカァ!!」グルグルグルグル

649: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:46:12.30 ID:52h3i4KQ0
フッ フッ フッ

幸子「分身が徐々に消えて……」

フッ

晶葉「……いない!?」

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

未央「後ろ……!」

未央「そんなの想定済みだよ!」

650: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:46:40.61 ID:52h3i4KQ0
ジュカイン「ジュカ!」バシィ

フッ

未央「え!?」

凛「本体は……下だ!」

凛「つばめがえし!!」

ゲッコウガ「ゲコォ!!」ズバッ

ジュカイン「ジュカ……!」

凛「よし!」

651: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:47:07.87 ID:52h3i4KQ0
未央「ジュカイン!」

未央「跳び上がったことが裏目に……」

未央「……いや、それを利用して!」

未央「ジュカイン、突っ込むよ!」

ジュカイン「ジュカ!」グワッ

志希「おお、重力で急降下してきた!」

未央「リーフブレード!!」

652: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:47:35.38 ID:52h3i4KQ0
ジュカイン「ジュカァ!!」ズバッ

ゲッコウガ「ガァッ……!」

凛「くっ!」

未央「もう一発!」

凛「つばめがえし!」

ジュカイン「ジュカ!!」

ゲッコウガ「ゲコ!!」

653: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:48:07.40 ID:52h3i4KQ0
ズバッ

ジュカイン「ジュカ……!」

ズバッ

ゲッコウガ「ゲコ……!」

ワァァァァァ

恵磨『お互いに技がヒット! 両者、ここまでほぼ互角に渡り合っています!!』

瑞樹『……』

654: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:48:46.14 ID:52h3i4KQ0
恵磨『み、瑞樹さん?』

瑞樹『……』

美玲「解説の人が喋らなくなった……」

美玲「……ってあれ?」

晶葉「……」

志希「……」

文香「……」

卯月「……」

美玲(み、みんな黙りこんぢまった)

美玲(そうか……本当にすごいバトルって、こんなことになるんだな)

655: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:49:18.98 ID:52h3i4KQ0
未央「しぶりん!」

未央「そろそろ決着をつけよう……!」

凛「うん……!」

未央「この一撃に……私たちの全部を乗せる!!」

未央「ジュカイン! ハードプラント!!」

ジュカイン「ジュカ……」

ジュカイン「ジュカァァァァ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

656: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:49:52.63 ID:52h3i4KQ0
恵磨『ジュカインの究極技が放たれたー!!』

恵磨『地面から伸びる巨大なツタがゲッコウガを襲います!!』

凛「ハードプラント……!」

凛(この時を待っていた……)

凛(この作戦、きっと一か八か――)

凛(いや、違う! 絶対に成功させる!)

凛(ゲッコウガを信じるんだ!!)

657: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:50:23.60 ID:52h3i4KQ0
凛「ゲッコウガ! ツタに飛び乗るよ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」バッ

ズォォ

ゲッコウガ「ゲコ」ヒュン

タッ

ゲッコウガ「ゲコ!」

ダダダダダ

658: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:51:05.25 ID:52h3i4KQ0
恵磨『な、なんと! ゲッコウガ、俊敏な動きでハードプラントの上を走っている!?』

未央「そんな……!?」

恵磨『ツタの合間を掻い潜っていく……まるで忍者だ!』

ダダダ

バッ

ジュカイン「……!?」

凛(視界に捉えた……!)

凛「よし……今だ!」

659: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:51:43.34 ID:52h3i4KQ0
凛「ゲッコウガ、ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ゴポッ

ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ドドドドドドドド

ジュカイン「ジュカ……!!」

恵磨『今度はゲッコウガの究極技が炸裂だーーー!!』

晶葉「決まった……か!?」

660: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:52:19.71 ID:52h3i4KQ0
未央「……!」

ジュカイン「ジュカ……」

ヨロッ

未央「ジュカイン……」


未央「負けないで!! ジュカイン!!」


ジュカイン「……!!」


グッ


ダァン!!

661: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:53:02.08 ID:52h3i4KQ0
恵磨『――!? なんとジュカイン、踏みとどまったぁ!?』

ゲッコウガ「ゲコ!?」

ジュカイン「ジュカァァァァァァ!!!」

ズバッ

凛「……!」

フッ

ズドォォォォォン

凛「……! ゲッコウガ!!」

662: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:53:47.09 ID:52h3i4KQ0
恵磨『ジュ……ジュカイン、よろめきながらも踏ん張って』

恵磨『ゲッコウガを吹っ飛ばしました!!』

晶葉「な……あの一撃を受けて倒れないなんて……」

こずえ「……」

こずえ「ジュカイン……お姉ちゃんが悲しむの、悲しい……って」

晶葉「まさか……トレーナーのために最後の力を振り絞ったのか……?」

シュゥゥゥゥゥ

663: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:54:19.19 ID:52h3i4KQ0
ゲッコウガ「……」

ジュカイン「……」

ヨロッ

恵磨『2体が一斉に倒れた……!?』

恵磨『……いや!』

ジュカイン「ジュカァ……!」

664: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:54:55.07 ID:52h3i4KQ0
ジュカイン「……!」

ドサッ

ゲッコウガ「ゲコ……」ガッ

グググ

ゲッコウガ「ゲコォォォォォ……!!」

瑞樹『先に倒れたのは……ジュカインのようね』

恵磨『ジュカイン、戦闘不能!』

恵磨『決勝戦、勝者は……』

恵磨『凛選手ぅぅぅぅ!!!』

665: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:55:39.27 ID:52h3i4KQ0
ドワァァァァァァァ


ゲッコウガ「ゲコ……」フラッ

凛「……!」

バッ

凛「ゲッコウガ……!」

ゲッコウガ「ゲコ……」

凛「ギリギリまで……堪えてくれたんだね」

凛「ありがとう。……ありがとう」ギュッ

ゲッコウガ「ゲコー」

666: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:56:07.69 ID:52h3i4KQ0
未央「……」

未央「ジュカイン……お疲れ様」

未央「……」

未央「……」グッ

未央「……ううん、泣かない」

未央「しぶりん!」

凛「未央……」

667: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:56:48.14 ID:52h3i4KQ0
未央「しぶりんの全力、バッチリ受け止めたよ」

未央「はー……これでまたしぶりんに勝ち越されちゃった!」

凛「そんなことないよ……どっちが勝ってもおかしくなかった」

未央「えへへ、ありがとう」

未央「正直ね、すごく悔しい。でも、しぶりんに負けたら、何かスッキリしちゃった!」

未央「あ、諦めたわけじゃないからね! ゆっくり休んで落ち着いたら、また来年のリーグに向けて特訓するつもりだし」

未央「次こそはぜーったいに負けないからね!」

凛「私こそ……負けないよ」

668: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:57:15.97 ID:52h3i4KQ0
未央「明日の試合、ちゃんと見てるからね」

未央「……頑張って!」

凛「うん……ありがとう」

凛「本当にいい勝負だった。ここで未央と戦えてよかったよ」

グッ

パチパチパチ

669: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:58:10.67 ID:52h3i4KQ0
美玲「……はぁ」

輝子「見てるこっちまで疲れた……」

乃々「もりくぼも……疲れた……」

幸子「まさに手に汗握る名勝負、でしたね」

晶葉「ああ。こんなにいいバトルを見たのはいつぶりだろうか」

志希「バトルだけじゃない、二人の熱い友情……ポケモンとトレーナーの絆……いやあー、たまにはこういうのもいいもんだねぇ」

670: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:58:43.04 ID:52h3i4KQ0
文香「本当に……素晴らしい一戦でした」

こずえ「お姉ちゃんたち……どっちもすごかった……」

茜「うっうっ……私、思わず涙が……」グスッ

卯月「あはは……茜ちゃんったら大袈裟だよ」

卯月(でも……大袈裟じゃないのかも)

卯月(凛ちゃん、未央ちゃん、ありがとう)

卯月(二人のバトルを見てたら、私……本当にやりたいことが見つかった気がする)

671: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:59:13.31 ID:52h3i4KQ0


その夜

モバP「……」

コンコン

モバP「未央、いるか?」

未央「あっ、モバP……」

モバP「ちょっといいかな?」

未央「うん……大丈夫だよ」

672: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 21:59:56.32 ID:52h3i4KQ0
モバP「そうか、じゃ失礼するよ」

ガチャ

モバP「お疲れ様……本当に、いい勝負だった」

モバP「最後の最後までどっちが勝ってもおかしくない試合だった」

モバP「凛も未央も卯月も、見違えるぐらい成長しててさ」

モバP「なんか勝手に感動しちゃったよ。ははは」

未央「モバP……」

673: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 22:00:31.81 ID:52h3i4KQ0
未央「私ね。一人じゃここまで強くなれなかった」

未央「私を信じてくれるポケモンがいた。高め合える仲間がいた」

未央「それに……ずっと応援し続けてくれた人がいた」

モバP「……」

未央「モバP。私たちを旅に送り出してくれてありがとう」

未央「そして……私たちをここまで連れてきてくれて、本当にありがとう」

674: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/19(水) 22:01:09.20 ID:52h3i4KQ0
未央「ねえ。……最後のわがまま、聞いてもらっていい?」

モバP「おいおい……」

モバP「勝手に最後だって決めつけるなよ」

モバP「俺はこれからもお前たちの一番のファンだし、兄貴分でいたいからな!」

未央「……!」

ポロッ

未央「モバP……ずるい」

未央「ずるいよぉ……!」ポロポロ

モバP「未央……」

未央「うわぁぁぁぁん!!」

677: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 22:57:47.66 ID:PVoDCfEn0
サイドストーリー「スズランとタンポポ」



凛が旅立つ半年前 キクチシティ

??「よいしょ! よいしょ!」

トスン

??「ふう、これで全部ですね!」

村人「ありがとう有香ちゃん、助かったよ」

有香「いえいえ、これくらいお安いご用ですよ! 筋トレにもなりますし!」

村人「いやあ、有香ちゃんにはいつも助けてばかりだなあ」

村人「これ。よかったら食べてよ」

678: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 22:58:25.42 ID:PVoDCfEn0
有香「わあ……モモンのみがたくさん!」

有香「こんなにもらっていいんですか?」

村人「いいよいいよ。この前知り合いから送られてきたんだけど、どうせ僕一人じゃ食べきれないし」

有香「ありがとうございますっ!」ペコッ

村人「いやいや、お礼を言いたいのはこっちの方だよ」

村人「いつもありがとうね」

有香「また困ったことがあったらお助けします!」

村人「うん、そうさせてもらうよ」

679: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 22:59:13.58 ID:PVoDCfEn0
ジーッ

有香「……?」

有香(誰かの視線を感じる……)

ジーッ

有香(どこだろう……)キョロキョロ

有香(!)

ガサッ

680: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 22:59:46.52 ID:PVoDCfEn0
ピクニックガール「あっ……」

有香「あ……」

有香「も、もしかしてさっき、あたしのこと、見てましたか?」

ピクニックガール「あっ、あの、その……すみません……」

ピクニックガール「あの私、この町のジムリーダーを探しているんですけど……」

有香「ジムリーダー……」

有香「それはあたしのことですね!」

681: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:00:14.91 ID:PVoDCfEn0
ピクニックガール「え?」

有香「いかにも、あたしがキクチシティのジムリーダー、かくとうタイプの有香です! 押忍!」

ピクニックガール(お、押忍……?)

有香「もしかして、挑戦者の方でしょうか?」

ピクニックガール「あっ、はい、そうです!」

有香「わかりました!」

有香「ではついてきてください。この先のジムでお相手いたしますので!」

ピクニックガール「は、はい!」

682: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:00:53.78 ID:PVoDCfEn0
イシツブテ「イシー」バタンキュー

ピクニックガール「ああ、ぶーちゃん!」

コジョフー「コジョ」スタッ

有香「勝負あり! ですね。対戦、ありがとうございました」ペコリ

有香「残念ながら、あなたにはまだジムバッジはお渡しできませんね」

ピクニックガール「うう……」

有香「……もしかして、イシツブテ以外のポケモンを持っていないのでしょうか?」

683: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:01:24.14 ID:PVoDCfEn0
ピクニックガール「は、はい……」

ピクニックガール「前のジムはでんきタイプだったので、このままぶーちゃんで行けるかと思っていたんですけど……」

有香「そうですか」

有香「ですがあたしはかくとうタイプ使い。イシツブテでは相性が不利ですね」

有香「……この町の北側にあるタカギのどうくつ、あなたも通ってきましたよね?」

ピクニックガール「は、はい」

684: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:02:14.77 ID:PVoDCfEn0
有香「どうやらあのどうくつには、跳び跳ねることでサイコパワーを生み出すポケモンが生息している、と聞いたことがあります」

有香「そのポケモンを捕まえてきたら、きっと有利に戦うことができると思いますよ!」

ピクニックガール「そ、そうなんですか!」

ピクニックガール「あ、ありがとうございます! さっそく行ってみます!」

有香「はい! また挑戦しに来て下さいね!」

タッタッタッ

有香「ふう……」

685: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:02:55.21 ID:PVoDCfEn0
パチパチパチ

ジムの清掃員「有香ちゃん、お見事だねぇ」

有香「あ、見ていたんですね。ありがとうございます」

ジムの清掃員「でも……いいの?」

ジムの清掃員「エスパータイプのポケモンは有香ちゃんには不利だし、ジムバッジを持っていかれちゃうわよ?」

有香「いえいえ、ジムリーダーとはポケモントレーナーを指導する役目でもあるので!」

有香「最終的には勝って、あたしを越えていってほしいんです」

686: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:03:41.98 ID:PVoDCfEn0
有香「それにあたしのコジョフーはエスパータイプ相手にも簡単には負けませんから!」

コジョフー「コジョ」ドヤァ

ジムの清掃員「そう、ならいいけれど」

ジムの清掃員「ほんと、有香ちゃんはお人好しというか何というか……」

ジムの清掃員「すっかりお父さんに似てきたわねえ」

有香「あはは……そんなことないですよー」

有香(そう、あたしはいつか越えられていく存在)

有香(もちろん簡単に勝たせるわけにはいかないけれど、ジムリーダーとはそういうものなのだから)

有香(ジムリーダー……)

687: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:04:10.52 ID:PVoDCfEn0
有香(……でも本当は、あたし)


その日の夜

有香「よし……これでパトロールは終了ですね」

有香「今日も異常なし、と」

有香「……ん?」

チラッ

有香(道の路肩に、何か咲いている)

有香(あれは……何だろう)

688: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:04:41.73 ID:PVoDCfEn0
ザッ

有香(……?)

有香「スズラン……」

有香「こんなところに咲いていたなんて、気づかなかったな」

有香「きれい……」

グスッ

有香「!」

有香(今……人の気配が?)

689: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:05:19.87 ID:PVoDCfEn0
グスッ

有香(また聞こえた……)

有香(泣いているの……?)

有香(も、もしかして、お化け……)ゾクッ

グスッ

有香「う、も、もう帰った方が……」

有香「……いや! ここで怖じ気づいたらジムリーダーの名が泣きます……!」

有香「勇気を出して……こっちの方かな……?」ザッザッ

690: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:05:57.84 ID:PVoDCfEn0
グスッ

有香(……物陰の隅で誰かが膝を抱えて泣いている)

有香(女の子……?)

有香「あ、あの……」

??「!?」ビクッ

有香「あ……驚かせちゃったらごめんなさい!」

有香「どうかしたんですか?」

691: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:06:27.69 ID:PVoDCfEn0
??「あ、あの……私……」

??「うっ……うっ……」グスッ

有香「わ、と、とりあえず、移動しませんか?」

有香「こんな所にいたら風邪ひきますし……」

有香「あたしの家、すぐ近くなんです。動けますか?」

??「は、はい……」

692: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:07:12.39 ID:PVoDCfEn0
有香宅

コトッ

有香「どうぞ。温かいですよ」

??「ありがとう、ございます……」

ゴクッ

??「……」

有香「落ち着きましたか?」

??「はい、何とか」

693: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:07:43.50 ID:PVoDCfEn0
有香「よかった。あたしは有香です。この町でジムリーダーをやっています」

有香「見かけない顔ですけど……」

??「あ、まだ名乗ってなかったですね……」

ほたる「私、ほたるって言います。出身は……アイマス地方ではないんです」

ほたる「その、私……ずっと旅をしていまして」

ほたる「今夜はこの町で宿を取ろうと思っていたのですが、どこかで財布を落としてしまったみたいで」

ほたる「それで途方に暮れていたところを……」

694: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:08:20.50 ID:PVoDCfEn0
有香「そうだったんですか」

有香「あの、もしよければ、今夜は泊まっていっても大丈夫ですよ」

ほたる「……! 本当ですか?」

有香「ええ、あたしは床で寝るので、ベッドも使ってもらっても大丈夫です!」

ほたる「そ、そんな……それは申し訳ないです」

有香「いえいえ、困っているときはお互い様ですから!」

ほたる「……」

ほたる「あ、ありがとうございます……でも私、その、ベッドより床の方がよく眠れるので、やっぱり床で眠らせてもらいます」

695: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:09:00.01 ID:PVoDCfEn0
有香「わかりました!」

有香「そうだ、お腹は空いていませんか?」

ほたる「そ、そんな……そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ」

グゥー

ほたる「あ……」

有香「大丈夫じゃなさそうですね……じゃあ何かお作りしますね!」

ほたる「す、すみません……」

696: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:09:33.14 ID:PVoDCfEn0
有香「たしか冷蔵庫に卵があったはず……」

パカッ

有香「あ、殻が入っちゃった……」

ほたる「……」


有香「ケチャップの賞味期限が近いな……」

有香「そうだ、チキンライスにしましょう!」

ジュー ジュー

有香「~~♪」

697: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:10:17.95 ID:PVoDCfEn0
ジュワッ

有香「ひえっ!?」

ほたる「だ、大丈夫ですか……?」

有香「あ、ああ、大丈夫です! 油が飛んだだけですので!」

ガタッ

ほたる「あっ……」

パリーン

有香「ああ、お気に入りのお皿が……!」ガックリ

ほたる「……」

698: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:10:49.86 ID:PVoDCfEn0
コトン

有香「色々とお騒がせしましたが」

有香「オムライスです、どうぞ!」ジャーン

ほたる「わあ……おいしそう……!」

ほたる「いただきます」

パクッ

有香「お口に合いましたか……?」

ほたる「……」

パクッ パクッ

699: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:11:20.97 ID:PVoDCfEn0
ほたる「……」

有香(あれ、オムライスは苦手だったのかな?)

ほたる「……」

ポロッ

ほたる「う……」

ほたる「ううっ……」グスッ

有香「ええ!? だ、大丈夫ですか!?」

ほたる「ううっ……大丈夫です、とてもおいしいです……」

700: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:12:00.56 ID:PVoDCfEn0
ほたる「でも、私……」グスッ グスッ

ほたる「……すみません。このオムライスをいただいたら、やっぱり私、出ていきます」

有香「え……?」

ほたる「これ以上、ご迷惑をおかけするわけにはいかないので……」

有香「……」

有香「……あたしでよければ」

有香「何か話してもらえませんか?」

有香「力になれるかはわかりませんけど、でもあたし、ほたるさんを放っておけないんです」

701: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:13:06.83 ID:PVoDCfEn0
ほたる「……」ジッ

有香「……」ジッ

ほたる「……」

ほたる「……私は昔から、不幸体質なんです」

有香「……!」

ほたる「物心ついた時から、私の近くでは、いつもよくないことが起きていました」

ほたる「周りからは疫病神だって罵られて。だから私は、故郷の町を追い出されました」

702: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:13:51.61 ID:PVoDCfEn0
ほたる「それで各地を転々としていたんですが、やはり行く先々で、私と関わった人やポケモンは不幸な目に遭っていきました」

ほたる「その度に、『お前のせいだ』って責められて……」

ほたる「今では私の側にいてくれるのは、このヤミカラスだけで」カタッ

ほたる「何か嫌なことが起きた日は、宿の部屋の中とか、誰にも見られない場所で泣いていたりするんです」

ほたる「でも、今日は遂に財布まで落としてしまい、宿に泊まることもできなくなりました」

ほたる「だから、さっき火傷しそうになったりお皿が割れてしまったり、あれは全部私のせいなんです。きっと」

有香「……」

703: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:14:22.23 ID:PVoDCfEn0
ほたる「これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいかないというのは、そういう意味です」

ほたる「有香さんには本当に感謝しています。ありがとうございます」ペコッ

有香「……そんな……」

有香「そんなこと……!」

ポロッ

ほたる「……!」

有香「そんなこと、あるわけないじゃないですか……!」

704: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:14:54.25 ID:PVoDCfEn0
有香「あれは全部あたしの凡ミスなんです……ほたるさんは何も悪くない!」

有香「それに、何もかもほたるさんが悪いなんて簡単に決めつけられないじゃないですか!」

ポロッ ポロッ

有香「だからもう、自分のことを……責めないで下さい……」

ほたる「……有香さん……」

ほたる「どうして……どうしてそこまで……」

ポロッ ポロッ

705: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:15:53.46 ID:PVoDCfEn0
――――――――――――――――――――――――――――

有香「すみません、あたしまで泣いちゃって……」

有香「なんか、ほたるさんの気持ちを考えたら、やるせなくなったといいますか、悔しかったといいますか……」

ほたる「いえ……」

ほたる「自分のために泣いてくれる人がいるなんて、思いもしませんでした」

ほたる「有香さんはとても優しい方ですね」

有香「い、いや、そんなことは……」

ほたる「……ふふっ」

706: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:16:40.07 ID:PVoDCfEn0
ほたる「何だか、有香さんがジムリーダーだというのも、納得できます」

有香「そ、そうですか?」

ほたる「……この町では、長くジムリーダーをやっているのですか?」

有香「そうですねー、といってもまだ2年ぐらいですけれど」

有香「あたしの父もジムリーダーだったんです。2年前に父が引退して、あたしが後を継ぎました」

ほたる「そうだったんですか」

有香「ジムリーダーとしては、まだまだ未熟ですけどね……あはは」

707: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:17:31.15 ID:PVoDCfEn0
有香「……でも、あたし」

ほたる「?」

有香「一度も、挑戦者としてポケモンバトルをしたことがないんです」

有香「小さいときからジムを継ぐことを期待されて、ずっと修行を繰り返していました」

有香「だからあたし、今でも町の外に出ることもめったになくて」

有香「……今日も、挑戦者とポケモンバトルをしたんですけど」

有香「挑戦者は皆、すごくいい眼をしてやって来るんです。野心に燃える眼、っていうのかな」

有香「それが羨ましかったりして……いつかあたしも旅に出て、まだ見ぬトレーナーやポケモン達と、チャレンジャーとしてバトルをするのが夢なんです」

708: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:18:10.20 ID:PVoDCfEn0
有香「まあ、その夢が叶うのは何年後でしょうかね……あはは」

有香「あ、このことは誰にも話さないで下さいね! ジムリーダーもジムリーダーで楽しいこともいっぱいあるので!」

ほたる「……」

ほたる「すごく、素敵な夢ですね」

有香「え?」

ほたる「有香さん、すごく輝いて見えます」

ほたる「私には何もできないかもしれないけれど、私、有香さんを応援したいです」

ほたる「夢……叶うといいですね」ニコッ

709: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:18:39.32 ID:PVoDCfEn0
有香(……!)

有香(ほたるさん……あんなに辛い経験をしてきたのに)

有香(笑った顔がすごく素敵だ)

有香(それに、さっきヤミカラスの入ったボールに手を添えたとき)

有香(すごく真っ直ぐな眼をしていた)

有香(……)



710: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:19:26.46 ID:PVoDCfEn0
翌朝

ほたる「本当に、お世話になりました」ペコッ

有香「……」

ほたる「一文無しなのは変わりないですけど、今日からまた何とかやっていきます」

ほたる「有香さんのような親切な方もいると考えたら、少し気持ちが楽になりました」

ほたる「本当に……ありがとうございました」ペコリ

有香「……」

711: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:20:06.75 ID:PVoDCfEn0
ほたる「それでは――」

有香「ちょ、ちょっと待って下さい!」

ほたる「!」

有香「あの、いきなりですみません。あたしとポケモンバトル、しませんか?」

ほたる「えっ?」

ほたる「いいですけど、ど、どうしてですか?」

有香「いえ、何となく! ジムリーダーとしての血が騒いだというか、何というか……」

有香「ポケモンセンターの前にバトル用のフィールドがあるんです。そこでよろしいですか?」

有香「ルールは一対一! 手短に済ませるので!」

ほたる「は、はい!」

712: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:20:35.18 ID:PVoDCfEn0
ほたる「ヤミカラス、つばさでうつ!」

ヤミカラス「ヤミー!」バシィ

コジョフー「コジョ!」

コジョフー「コジョー」バタンキュー

有香「……!」

ほたる「か……勝ちました……!」

ヤミカラス「ヤミ~♪」

713: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:21:07.95 ID:PVoDCfEn0
有香「お疲れ様です、コジョフー」

有香「……」フゥ

有香「対戦、ありがとうございました。完敗です」ペコリ

有香「ほたるさん」

ほたる「は、はい」

有香「もしよければ……この町に住みませんか?」

ほたる「!」

714: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:21:54.43 ID:PVoDCfEn0
有香「さっきのバトル……実は勝ち負けどうこうではなく」

有香「ほたるさんがポケモンに対してどんな気持ちを抱いているか、ということを知りたくて、バトルを挑ませてもらいました」

有香「試すような真似をしてすみません」

有香「でも、これで確信が持てました。心優しいほたるさんなら……きっとこの町の人たちは受け入れてくれると思います」

有香「どうでしょうか?」

ほたる「……!」

ほたる「ありがとう、ございます……!」

715: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:22:28.40 ID:PVoDCfEn0
ほたる「……!」ハッ

ほたる(そういえば。夕べ……)


有香『いつかあたしも旅に出て、まだ見ぬトレーナーやポケモン達と、チャレンジャーとしてバトルをするのが夢なんです』


ほたる(チャレンジャーとして……)

ほたる(有香さんが、おそらく誰にも打ち明けなかったことを私に話してくれた)

ほたる(私なら……)

716: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:23:13.69 ID:PVoDCfEn0
有香「……? どうかしましたか?」

ほたる「……あの」

有香「?」

ほたる「もし、この町に住ませてもらえるのであれば」

ほたる「私に、ジムリーダーをやらせてもらえませんか?」

有香「……!」

ほたる「有香さん、お話しされてましたよね。いつかチャレンジャーとしてポケモンバトルをしたいって」

ほたる「私がジムリーダーになれば……その夢を叶えられると思うんです」

ほたる「私なりに……有香さんに恩返しをさせてもらえませんか?」

717: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:23:58.47 ID:PVoDCfEn0
有香「……」

有香(さっきのバトル、あたしも結構本気でバトルしたつもりだったけど)

有香(ほたるさんの実力は本物だ)

有香(あたしのコジョフーは相手の攻撃を躱しつつ、『ヨガのポーズ』で攻撃力を上げていく戦い方が得意だけど)

有香(ヤミカラスはそれを『くろいきり』で打ち消してきた)

有香(ただ攻めるだけじゃない、ああいう臨機応変な戦い方ができるのなら……)

有香「……わかりました」

有香「手続きとか、色々あるので、それが終わり次第――」

有香「次のキクチシティのジムリーダーを、ほたるさん。あなたに任命させて下さい」

ほたる「……!」

718: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:24:58.66 ID:PVoDCfEn0
有香「ほたるさん」

有香「あなたが本当に不幸体質なのかどうかは、あたしにはわかりません」

有香「でも、あなたのような人に出会えて……あたしはすごく幸せ者です」

有香「それにヤミカラスも、すごく幸せそうです」

有香「ポケモンが一緒にいるなら、ほたるさんはどんな不幸にも負けない……そう思います」

有香「キクチシティを、よろしくお願いします」ペコリ

ほたる「……!」

ほたる「ありがとう……ございます……!」ポロポロ

719: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:25:56.65 ID:PVoDCfEn0

数週間後


有香「ジムの改修も終わりましたし」

有香「ほたるちゃん、明日から正式にジムリーダーですね。頑張って下さい!」

ほたる「はい、ありがとうございます」

ほたる「有香さんも、今日旅立たれるんですね」

有香「まあ、まだどこに行こうかは決めてないですけど。あはは……」

ほたる「あの、よかったらこれを……」

720: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:26:32.37 ID:PVoDCfEn0
有香「……?」

有香「これは……タンポポの髪飾り?」

ほたる「はい」

ほたる「有香さん、お家にタンポポを活けてあったりして、好きなのかな……と思いまして」

有香「ほたるちゃん……ありがとうございます!」

有香「そうなんです。タンポポって花が咲き終わっても倒れても、綿毛になる時には前よりも高く伸びる植物で」

有香「そういう強さとか健気さが好きだなって思っていたんです!」

721: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:27:08.92 ID:PVoDCfEn0
有香「嬉しい……! 大事にしますね!」

ほたる「はい!」

有香「じゃあ、あたしからもこれを!」スッ

ほたる「えっ?」

有香「これ、スズランで作ったブローチなんです。スズランの花言葉は『再び幸せが訪れる』だと知って、ぜひほたるちゃんに渡したいなって」

ほたる「そんな……いいんですか?」

有香「はい! きっとつけていたらいいことがあると思います!」

ほたる「ありがとうございます……」ウルッ

722: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:28:02.26 ID:PVoDCfEn0
有香「それでは、あたしはそろそろ行きます」

有香「どうかお元気で!」

ほたる「はい……お元気で!」


有香「……」スタスタ

村人「有香ちゃーーーん!!」

有香「!」

723: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:28:37.66 ID:PVoDCfEn0
村人「有香ちゃん、行ってらっしゃーい!」

村人「あたし達はいつでも待ってるからねー!」

村人「身体には気を付けるんだぞー!」

村人「あんたはキクチの誇りだー!」

村人「でっかくなって帰ってくるんだよー!」

有香「……!」

グッ

有香「みんな……ありがとう……!」

有香「行ってきます……押忍!!」

724: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:29:37.88 ID:PVoDCfEn0

現在 キクチシティ


ほたる「……」スラスラ

ほたる(拝啓、有香さん)

ほたる(元気でしょうか? 私は元気です)

ほたる(あれから厳しい自然災害が頻発したり、私のヤミカラスが何処かへ飛び立ったきり帰ってこなくなったりと、気持ちが滅入るようなことがたくさんありました)

ほたる(町の人たちとも折り合わず、どうしようもなく苦しいこともありました)

ほたる(でもそんな時、私を助けてくれたトレーナーがいました。その人のおかげで、今は皆で前を向いて生きています)

725: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:30:09.88 ID:PVoDCfEn0
ほたる(その人は、自分から一歩踏み出す勇気を、恐れない勇気を教えてくれました)

ほたる(つくづく、私は周りの人に恵まれているなと感じます)

ほたる(改めて、この町に住んでよかった)

ほたる(有香さん、私に居場所を与えてくれてありがとうございます)

ほたる(どうか、有香さんの今いる居場所が素敵な場所でありますように。……敬具)

ほたる「……」トン

ほたる「……ふう」

726: ◆7P/ioTJZG. 2020/02/24(月) 23:30:44.61 ID:PVoDCfEn0
ほたる「……窓、開けようかしら」

ガラッ

ほたる(……?)

ほたる(何かを咥えた鳥ポケモンが、こっちに飛んできている……)

ほたる(……)

ほたる(……!)

ヤミカラス「ヤミー!」

ほたる「あ……ああ……!」



サイドストーリー「スズランとタンポポ」 Fin.

730: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 01:57:59.01 ID:8yUrNr/B0
決勝戦 前夜


凛「……」

ポン ポン ポン ポン ポン ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

ムクホーク「ムクホー」

ドリュウズ「ドリュ!」

サンダース「ダース」

サザンドラ「サザー!」

チャーレム「チャー……?」

731: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 01:58:34.89 ID:8yUrNr/B0
凛「みんな、夜遅くにごめんね」

凛「明日、決勝戦だね。その前に……伝えたかったんだ」

凛「卯月や未央と一緒に旅に出てから、色んなことが起きてさ」

凛「まさかシンデレラ団とあんなに関わることになるとは思わなかったし」

凛「もうダメかもって思ったときも何度もあった」

凛「でも振り返ってみたら、私一人じゃ絶対ここまで来れなかった」

凛「みんながいたから……みんなが私に力を与えてくれたんだ」

732: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 01:59:06.31 ID:8yUrNr/B0
凛「だから、何というか……ここまでついてきてくれて……本当にありがとう」

サンダース「ダース」ペロッ

凛「サンダース……」

凛「……ふふっ。タマゴから孵ったときはあんなに泣きじゃくっていたのに」

凛「すっかり頼もしくなったね」

凛「……そういえば、蘭子もイーブイの進化形を持っているんだっけ」

凛「じゃあその相手は決まりだね、サンダース」

サンダース「ダース!」

733: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 01:59:50.38 ID:8yUrNr/B0
凛(……進化といえば)

凛「蘭子はおそらくメガシンカを使ってくる……」

凛「そうなったら、私もメガシンカを使うつもりだけど」

カチャ

凛「勝負のカギは、チャーレムにかかっている……」

凛「その時は、よろしくね」

チャーレム「チャー」

734: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:00:25.82 ID:8yUrNr/B0
凛「ドリュウズ」

凛「あの時、ヤミラミとどっちを捕まえようか迷ったけど」

凛「ドリュウズを選んでよかったって思ってる」

凛「裕子や肇、茜に勝てたのはドリュウズのおかげだから。ドリュウズのガッツにたくさん助けてもらったね」

凛「明日も……よろしくね」

ドリュウズ「ドリュー」スリスリ

735: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:00:52.87 ID:8yUrNr/B0
サザンドラ「サザー」

凛「サザンドラも、育てるのが大変だったけど」

凛「強くなったね。頼りにしてるよ」

凛「ねえ、この傷……覚えてる?」スッ

凛「モノズの時に触れ合おうとして噛み付かれた跡だよ」

凛「すごく痛かったけど、そんなことも昨日の出来事みたい。ふふっ」

サザンドラ「サザ……」

736: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:01:20.63 ID:8yUrNr/B0
凛「……?」

サザンドラ「……」クイッ

凛(サザンドラが右腕を差し出している)

凛(……)

ソーッ

ポン

737: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:02:11.49 ID:8yUrNr/B0
凛(……!)

サザンドラ「サザー」

凛「……噛み付かないの?」

サザンドラ「サザー」

凛(……)

凛(すごくサザンドラらしくない振る舞いだけど)

凛(これは私に心を開いてくれた、ってことなのかな)

凛「サザンドラ……ありがとう」

738: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:02:45.41 ID:8yUrNr/B0
凛「ムクホーク」

凛「初めて自分の力でゲットしたのがムックルの時だったね」

凛「すごく嬉しかった。あの事も、よく覚えてる」

凛「きらりを倒せたのはムクホークの踏ん張りがあったからだったよね。ありがとう」

凛「明日も、頑張ろうね」

ムクホーク「ムクホー!」

739: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:03:27.31 ID:8yUrNr/B0
凛「そして……ゲッコウガ」

ゲッコウガ「ゲコ」

凛「こんな私についてきてくれて本当にありがとう」

凛「ううん、感謝してもし足りないな」

凛「ゲッコウガにはもう見えてるよね。夢に見ていた……あの場所が」

ゲッコウガ「ゲコ」コクリ

凛「……うん、そうだよね」

740: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:03:58.33 ID:8yUrNr/B0
凛「よし……みんな」

凛「明日は絶対に勝とうね……!!」

ゲッコウガ「ゲコ」

ムクホーク「ムクホー」

ドリュウズ「ドリュ!」

サンダース「ダース!」

サザンドラ「サザ!」

チャーレム「チャー」

741: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:04:32.62 ID:8yUrNr/B0

翌日


ドワァァァァァァァァァ

卯月「うわ、すごい歓声だね」

未央「そりゃあそうだよ! 何たってチャンピオンが決まるんだから!」

ザワザワザワザワ

恵磨『皆様、大変長らくお待たせいたしました!』

恵磨『今年もさまざまなドラマが生まれたポケモンリーグですが!』

恵磨『遂に最終日! チャンピオン決定戦を迎えました!!』

ワァァァァァ

742: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:05:12.12 ID:8yUrNr/B0
瑞樹『なんだか寂しくなってくるわね。……あ、解説の瑞樹です』

恵磨『実況は恵磨です! 最後までよろしくお願い致します!!』

恵磨『さあ、まずはここまで勝ち上がってきたチャレンジャーに入場してもらいましょう!』

ガーッ

恵磨『リーグ初出場ながら四天王の愛梨選手を下し、同じく初出場のきらり選手、未央選手とも名勝負を繰り広げてきた超新星――』

恵磨『アマミタウン出身、凛選手だぁぁ!!』

凛「……」ザッ

743: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:05:48.34 ID:8yUrNr/B0
ワァァァァァァァァァ

『凛ー! 頑張れー!!』

『俺は凛ちゃんを応援してるよー!!』

美玲「おお、凛、気合い入ってるな!」

幸子「それに私たち以外にも凛さんを応援してる人がたくさんいますね!」

輝子「フヒ……すっかり人気者だな」

乃々「す、すごいなあ……」

744: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:06:21.84 ID:8yUrNr/B0
晶葉「凛……」

志希「晶葉ちゃん、凛ちゃんより顔が固いよー?」

晶葉「あ、ああ……何だか私まで緊張してきてな」

晶葉「それにあの時のイーブイがここまで来たかと思うと……ついな」

文香「凛さんなら、きっと大丈夫ですよ」

こずえ「……うん……」

茜「凛ちゃぁぁぁぁぁん!! ファイトォォォーーー!!!」

745: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:07:02.72 ID:8yUrNr/B0
モバP「……」

真奈美「同席、失礼するよ」

モバP「ん? ……ああ、真奈美さんか」

モバP「それと……」

ありす「門下生のありすです。はじめまして」ペコリ

晴「晴だぜ!」

モバP「ああ、どうも」

746: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:08:07.23 ID:8yUrNr/B0
モバP「真奈美さん、ジムを空けてて大丈夫なのかい?」

真奈美「ああ、問題ないよ」

真奈美「それより凛の勇姿を見届けることが最優先だと思ったからね」

真奈美「他のジムリーダーもジムからは離れていないが、今ごろテレビ中継に釘付けのはずだよ」

モバP「そうか」

モバP「……」

真奈美「緊張しているのかい?」

モバP「ああ、そりゃあ緊張するさ」

モバP「あの凛が、いよいよここまで来るなんてな……」

747: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:08:40.46 ID:8yUrNr/B0
凛(結局、蘭子に会うことはできなかった)

凛(メガシンカのこと、確認したかったけど……まあ仕方ないかな)

凛(こっちは準備できてるから、後は相手次第だ)

恵磨『そして、チャレンジャー凛選手と相まみえるは――』

恵磨『チャンピオン・蘭子!! 満を持しての登場です!!』

ガーッ

蘭子「……」

ザッ

748: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:09:12.73 ID:8yUrNr/B0
ワァァァァァァァァァ

『蘭子ぉぉぉぉぉーーー!!』

『絶対王者の力を見せてくれーー!!』

未央「おお、こっちもすごい歓声……!」

ザッ

凛「蘭子……!」

蘭子「クックック……」

749: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:09:57.72 ID:8yUrNr/B0
蘭子「『蒼き瞳を持つ者』よ。いつここまで辿り着くか、心待ちにしていたぞ」

蘭子「頂点に立つ者として、この舞台で汝と魂を競い合えることが嬉しいわ」

凛「うん……私も、蘭子と戦えるのがすごく楽しみだったよ」

蘭子「クックック……」

蘭子「しかし……今日に至るまで、まことに退屈だったわ」

凛「……?」

750: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:11:04.09 ID:8yUrNr/B0
蘭子「何故なら我は祝宴の開催を告げた後からその身を深淵に隠し、戦場から遠退いていたの」
  (凛ちゃん達の試合は一度も見ていないの)

蘭子「いずれ訪れる勇者との邂逅に、黒き魂を踊らせながら……」
  (挑戦者とは公平に戦いたかったから!)

凛「そ、そうだったんだ」

凛(……そうか。だから実況席の裏はいつも空席になってたんだ)

蘭子「……時に勇者よ」

凛「ん?」

蘭子「先日の創造神の件、改めてここで感謝の意を示す」
  (アルセウスを鎮めて下さってありがとうございました!)

蘭子「よもや神をも従わせるとは思わなかったが……」

蘭子「果敢にも立ち向かった汝の姿、我が魂にしかと刻んだぞ」

751: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:12:13.85 ID:8yUrNr/B0
凛「ううん。あれは私一人じゃどうにもできなかった」

凛「みんながいてくれたからだよ。私はその一端を担っただけ」

蘭子「……そう。そうしていかなる苦難も同胞と共に乗り越えてきたのだな」
  (どんな困難にぶつかっても仲間やポケモンと乗り越えてきたのね)

蘭子「それは何時如何なる時も己を超克してきたということ。その姿、尊敬に値するわ」
  (それはどんな時でも自分に勝ってきたということ。素晴らしいわ)

蘭子「……しかし! 我は魔王!」

蘭子「勇者である汝を圧倒的に叩き潰してこそ、我が威光は再びこの大地に示される!」

凛「!」

752: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:13:44.04 ID:8yUrNr/B0
蘭子「勇者よ! 約束の頂を前にして、大いなる闇の力にひれ伏すがいい!!」
  (ポケモンリーグチャンピオンとして、あなたを倒します!!)

蘭子「さあ、始めよう!!」


ババァン


チャンピオンの蘭子が勝負をしかけてきた!


恵磨『バトル……』

恵磨『スタートォォォォォォ!!!!』

753: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:14:35.95 ID:8yUrNr/B0
凛「いくよ、ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

蘭子「ゆくぞ、御霊の化身よ!」ポン
  (ミカルゲ、いきますよ!)

ミカルゲ「おんみょーん」ズン

ミカルゲ ふういんポケモン ゴースト/あく
108個の魂が集まって生まれたポケモン
500年前に悪さをしたため要石のひび割れに縛りつけられてしまった

晶葉「おお、ミカルゲか」

文香「珍しいポケモンですね」

乃々「何あのポケモン、怖い……ペラペラだし……」

754: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:15:11.44 ID:8yUrNr/B0
恵磨『まずはゲッコウガとミカルゲの対面です!』

瑞樹『凛ちゃん、いきなりエースで勝負してきたわね』

凛(相手が何をしてくるのか全くわからない……)

凛(なら、攻めるのが私の戦い方!)

凛「ゲッコウガ、みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

蘭子「効かぬわ!」

755: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:15:52.71 ID:8yUrNr/B0
ミカルゲ「みょん」ヒョイヒョイヒョイ

凛「え!?」

恵磨『なんとミカルゲ、無駄のない動きでみずしゅりけんを全て躱した!?』

瑞樹『……いえ、全て躱したわけではないわ。半分は最初から当てが外れていたわね』

瑞樹『そうさせたのは……おそらく』

キラッ

瑞樹『……あれの仕業ね』

756: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:16:49.30 ID:8yUrNr/B0
凛(ミカルゲの体がわずかに輝いている)

凛(あれは『ひかりのこな』……?)

ひかりのこな
相手の命中率を下げる

凛「そうか、どうりで当たらないわけだ」

蘭子「『幻影の術』よ!」
  (かげぶんしんです!)

ミカルゲ「みょん!」

ヒュンヒュンヒュン

757: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:17:22.81 ID:8yUrNr/B0
恵磨『さらにミカルゲ、分身を生み出しました!』

瑞樹『これは厄介ね』

瑞樹『ただでさえ攻撃が当たりづらいのに、ミカルゲの特性は『プレッシャー』。このままだと凛ちゃんにとってはジリ貧だわ』

蘭子「クックック……」

蘭子「さあ、何処からでもかかってくるがよい!」

凛「……」

凛「わかった。そうさせてもらうよ!」キッ

758: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:17:58.82 ID:8yUrNr/B0
凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ」ダッ

恵磨『ゲッコウガ、分身したミカルゲの一つに突撃していきます!』

未央「あの迷いのない感じ……そうか!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

ミカルゲ「みょ!?」

フッ

蘭子「……ほう!」

759: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:18:28.05 ID:8yUrNr/B0
恵磨『ゲッコウガ、分身したミカルゲを一瞬で見抜いた!!』

茜「おぉ!!」

美玲「な、なんで一発で本体がわかったんだ!?」

志希「あれは『つばめがえし』だねえ」

晶葉「『つばめがえし』は攻撃の際に極限まで精神を研ぎ澄ませて放つ技でもある」

晶葉「だから自分が目潰しを受けていたり、相手が分身していても必ず攻撃を当てられるんだ」

卯月「それがわかっていたから凛ちゃんは迷わず本体を狙えたんだね」

幸子「なるほど、これで相手の作戦は崩せましたね!」

760: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/01(日) 02:19:05.40 ID:8yUrNr/B0
蘭子「クックック……そうか、我が幻影を破るとは」

蘭子「ならばここは一度身を引こう」シュゥゥ

蘭子「ゆくぞ、鉄鎧のガーディアンよ!」ポン
  (ブリガロンでいきます!)

ブリガロン「ブリガー!」

ブリガロン とげよろいポケモン くさ/かくとう
顔の前で拳を合わせて防御のポーズをとる
自分が盾となって仲間を守るほか、爆弾の直撃も耐えることができる

恵磨『チャンピオン・蘭子、2体目はブリガロンだー!』

763: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:14:47.23 ID:jhzmxTwl0
恵磨『チャンピオン・蘭子、2体目はブリガロンだー!』

凛(ブリガロンか……ここは不利だね)

凛「ゲッコウガ、交代!」シュゥゥ

凛「ムクホーク!」ポン

ムクホーク「ムクホー!」

蘭子「ふむ、相性のよい飛獣に代えたか」

蘭子「……だが! 我がガーディアンは崇高なる魔王の盾!」

蘭子「何人たりとも先には通さないわ! 飛獣よ、地に堕ちるがいい!!」

764: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:15:18.64 ID:jhzmxTwl0
ブリガロン「ブリガ……」コォォ

ブリガロン「ブリガッ!」

ズドォン

ムクホーク「ムクホー!?」

凛「くっ!」

ムクホーク「ムクホー……!」ズシン

恵磨『凛選手、相性のいいムクホークに交代しましたが……』

恵磨『『うちおとす』で痛い一撃をお見舞いされました!』

765: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:15:57.47 ID:jhzmxTwl0
晶葉「まずいな。『うちおとす』は翼を持つポケモンを撃ち落してしまう技だ」

晶葉「飛行能力が弱まってしまったら、ムクホークには厳しくなるな」

ムクホーク「ムクホー!」バサッ

凛「ムクホーク、まだいけるよね!」

蘭子「クックック……パトスがみなぎっているな!」
  (気合い十分のようですね!)

凛「ブレイブバード!!」

ムクホーク「ムクホー!!」ギュォォォ

766: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:16:34.45 ID:jhzmxTwl0
蘭子「来たな……構えよ!」

ブリガロン「ブリガ!」ズン

美玲「う、受け止める気か!? ブレイブバードだぞ!?」

茜「どうやらそのようですね……!」

ブリガロン「ブリガー」ジャキッ

晶葉「あの構え……まずい、凛!!」

蘭子「我が結界の前に跪け!」

蘭子「『ニードル・ガード』!!」

767: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:17:02.64 ID:jhzmxTwl0
ブリガロン「ブリガー!!」

ズドォン

ムクホーク「ムクホー……!」グググ

恵磨『ブリガロン、ムクホークの突進を受け止めたぁー!!』

凛「!? ムクホークが止められている……!?」

コォォ

凛「!」

カッ

バシュゥゥン

768: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:18:23.48 ID:jhzmxTwl0
ムクホーク「ムクホッ……!」グサッ

凛「な……」

凛(ブリガロンの後ろから緑のトゲが飛んできた!)

ムクホーク「ムクホー……」ドサァ

卯月「ああ、ムクホーク!」

恵磨『ムクホーク、相手を攻撃するつもりが逆に跳ね飛ばされてしまったぞ!?』

瑞樹『ニードルガードは相手の攻撃を防ぎつつ、トゲで反撃する技ね』

瑞樹『肉弾戦が得意なムクホークは特に格好の獲物だわ』

769: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:18:56.18 ID:jhzmxTwl0
凛「……」

凛(やっぱりチャンピオン……さっきの影分身といい、防御の面でも一流だ)

凛(スキがない……!)

蘭子「ではこちらからゆくぞ! ガーディアンよ!」

ブリガロン「ブリガー!」ズギュン

未央「は、速い!?」

卯月「あんなに重そうな体なのに……!」

蘭子「『反撃の鉄槌』よ!」
   (アームハンマー!!)

770: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:19:38.37 ID:jhzmxTwl0
ブリガロン「ブリガー!」ブン

凛「ムクホーク、躱して!」

ムクホーク「ムクホー!」グル

ズドォン

瑞樹『蘭子ちゃんのブリガロンはあのトゲを攻撃にも防御にも活かしてくるのが特徴ね』

瑞樹『まさに難攻不落……というわけ』

凛(何とか躱せたけど……すごい威力だ)

凛(あれは一度だって喰らえないな)

771: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:20:09.35 ID:jhzmxTwl0
凛「はねやすめ!」

ムクホーク「ムクホー」ファサッ

恵磨『ムクホーク、回復してピンチを凌ぎました!』

蘭子「その選択が命運を分けるのよ!」

蘭子「彼の飛獣に再び鉄槌を!」

ブリガロン「ブリガー!」ブン

ムクホーク「ムクホー」ヒョイ

772: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:20:47.81 ID:jhzmxTwl0
ズドォン

晶葉「まずいな、完全に後手に回ってしまっている」

文香「はねやすめは体力を回復できますが、アームハンマーで受けるダメージも大きくしてしまいますからね」

志希「かといって無闇に攻めても、ニードルガードに阻まれる……」

美玲「くそ、相性はいいはずなのに……どうすりゃいいんだ!?」

凛(……)

凛(このままブリガロンと同じ目線で立ち回っても勝機はない)

773: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:21:22.47 ID:jhzmxTwl0
凛(でもさっきの攻撃でムクホークは翼にダメージを――)

凛(……!)

凛(見つけた……これしかない!)

凛「ムクホーク、インファイト!」

ムクホーク「……!」

ムクホーク「ムクホー!」グワッ

恵磨『ムクホーク、自慢の鉤爪でブリガロンに襲いかかるー!』

774: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:21:54.18 ID:jhzmxTwl0
蘭子「跳ね返せ! 『ニードル・ガード』!!」

ブリガロン「ブリガー!!」ズン

凛(どうせニードルガードで反撃を受けるなら……)

凛(受けなければいい! わざと!)

凛「右に逸れて!」

ムクホーク「ムクホー!」

スカッ

775: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:22:32.95 ID:jhzmxTwl0
蘭子「!?」

ムクホーク「ムクホー!」

ダァン

卯月「ブリガロンの真横に着地した!?」

未央「インファイトが……外れたの!?」

蘭子「アーハッハッハ!」

蘭子「もらった!!」

ブリガロン「ブリガ――」

776: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:23:15.30 ID:jhzmxTwl0
凛「ムクホーク!」

ムクホーク「ムクホー!!」

バッ

ブリガロン「ブリガ!?」ズガン

恵磨『な、なんと!? ムクホーク、着地の反動で大きく飛び上がりました!!』

瑞樹『なるほど。そういうことだったのね』

瑞樹『凛ちゃんはわざと攻撃を外したのね。その理由の一つは、蘭子ちゃんを油断させるため』

瑞樹『そしてもう一つは、反動で飛び上がることでムクホークの得意な空中戦に持ち込むため、ね』

777: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:23:48.30 ID:jhzmxTwl0
凛「よし……!」

凛(空中戦に持ち込むため、っていうのは違うけどね)

凛(ムクホークは翼にダメージを負ってしまったからまともには飛べない)

凛(だから……重力を利用して!)

凛「叩き込め! ブレイブバード!!」

ムクホーク「ムクホォォォ!!」ズギュゥゥゥゥ

恵磨『ムクホークがものすごい勢いで急降下してきます!!』

778: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:24:20.43 ID:jhzmxTwl0
幸子「これが凛さんの狙いだったんですね!」

蘭子「くっ……間に合わないか……!」

蘭子「ガーディアン、鉄槌で打ち払うのよ!!」

ブリガロン「ブリガー!!」

カッ

ズドォォォォォン

恵磨『これは決まったかァーー!?』

779: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:24:53.07 ID:jhzmxTwl0
凛「……」

蘭子「……」

ブリガロン「ブリガー……」フラフラ

ムクホーク「ムクホー」バタンキュー

恵磨『な、なんと……ブリガロン、耐えています!』

恵磨『ダウンしたのはムクホークだぁぁ!!』

ワァァァァァァァァァ

780: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:25:25.26 ID:jhzmxTwl0
蘭子「くっ……ガーディアンが追い詰められるとは……」

蘭子「だが、我が結界は決して破らせはしない!」

晶葉「うむ……筋はよかったが、反動のダメージに耐えられなかったようだな」

凛「ムクホーク……ありがとう」シュゥゥ

凛(倒せはしなかったけど、ムクホークはあと一歩まで追い詰めてくれた)

凛「あとは任せたよ、チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー」

781: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:25:51.93 ID:jhzmxTwl0
凛「しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」コォォ

蘭子「ガーディアンよ!」

ブリガロン「ブリガー……」グググ

ドガァ

ブリガロン「ブリガー」バタンキュー

恵磨『ブリガロン戦闘不能!!』

ワァァァァァァァァァ

782: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:26:36.41 ID:jhzmxTwl0
恵磨『これで両者の手持ちは5対5です!!』

美玲「よっしゃあ!」

蘭子「……ここまでか」

蘭子「よくやった。安住の地に還るがよい」シュゥゥ
  (お疲れ様。ゆっくり休んでね)

蘭子「ゆくぞ、御霊の化身よ!」ポン

ミカルゲ「おんみょーん!」

恵磨『ここで再びミカルゲが登場です!』

783: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:27:23.57 ID:jhzmxTwl0
凛(ミカルゲか……チャーレムは手も足も出せないな)

凛「交代! ドリュウズ!」ポン

ドリュウズ「ドリュ!」

晶葉「今度はゲッコウガではなくドリュウズで勝負するのか」

志希「ま、つばめがえしだけで攻めるのもつらいもんねー」

蘭子「化身よ、神の目をも欺け!」

ミカルゲ「みょん!」ヒュンヒュンヒュン

784: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:27:51.79 ID:jhzmxTwl0
凛(また影分身……)

凛(……このミカルゲを突破するには)

凛(一か八か、当てるしかない……!)

凛「ドリュウズ、しっかり狙って!」

ドリュウズ「ドリュ……」キッ

ドリュウズ「ドリュ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

785: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:28:19.15 ID:jhzmxTwl0
恵磨『これは……『じしん』でしょうか?』

ミカルゲ「みょん」ヒュッ

恵磨『しかし当たったのは分身だ!』

蘭子「『闇の呪波』よ、猛り狂え!」
  (ミカルゲ、あくのはどうです!)

ミカルゲ「みょーん」バババ

ドリュウズ「ドリュ……」ズガガ

恵磨『ミカルゲ、分身と共にドリュウズを一斉攻撃!!』

786: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:28:48.71 ID:jhzmxTwl0
凛「耐えて、ドリュウズ!」

凛(分身も攻撃してくるからわかりづらいけど)

凛(ドリュウズには見えるはず。本物のミカルゲは……)

………

凛「もう一度……」

凛「そこだ!」

ドリュウズ「ドリュ!!」ドゴォ

787: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:29:35.88 ID:jhzmxTwl0
ゴゴゴゴゴゴ

ミカルゲ「みょ!?」

パカッ

ミカルゲ「みょぉぉぉぉぉ……!」

蘭子「な……!?」

卯月「え……!?」

恵磨『……こ、これは』

恵磨『じわれが決まりました!! ミカルゲを一撃必殺!!』

ワァァァァァァァァァ

788: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:30:32.25 ID:jhzmxTwl0
未央「うそ!?」

晶葉「あれほど命中率の低い技を二度目で当てるとは……!」

幸子「でも、どうして……?」

志希「ニャフフ、単に運がいいだけじゃないよ。ドリュウズの右目、よーく見てみ?」

茜「あれは……『こうかくレンズ』ですか!?」

こうかくレンズ
持たせると命中率が上がる

凛「ふう……」

789: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:31:14.42 ID:jhzmxTwl0
凛(さっきのミカルゲみたいに厄介な相手が出てきたらじわれを狙っていくって作戦だったけど)

凛(うまくいってよかった……)

凛(この戦法は何度もやるわけにはいかなかったし、大きな賭けだったな)

蘭子「クックック……」

蘭子「アーハッハッハ! 面白い!」

蘭子「どうやら女神の祝福を受けているのは汝のようだな!」
  (凛ちゃん、運が良すぎます!)

蘭子「それでも構わないわ! 我はそれすらも打ち破る魔力を蓄えてきたのだから!」
  (でも運だけで負ける私じゃないわ!)

790: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:31:52.66 ID:jhzmxTwl0
蘭子「未だ我が覇道に陰りなし……出でよ、グリモワールの権化!」ポン
  (本気で行きます! ニドクイン!)

ニドクイン「ニドー!」

ニドクイン ドリルポケモン どく/じめん
鎧のように硬いウロコで巣穴の子供を命がけで守る
どんな攻撃にも怯んだ様子は見せない

凛(ニドクイン……?)

凛(……でも何でニドクインがグリモワールの権化なの?)

凛(とにかく油断しないようにいかないと)

791: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:32:37.00 ID:jhzmxTwl0
凛「ドリュウズ、ドリルライナー!」

ドリュウズ「ドリュ!」ギュルルルル

ニドクイン「ニド!」ドガァ

凛(堅い……クリーンヒットしたはずなのに!)

蘭子「反撃よ! 『サラマンダーの怒り』!!」

ニドクイン「ニドー!」

ボォォォォォ

792: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:33:05.40 ID:jhzmxTwl0
ドリュウズ「ドリュ!?」ゴオッ

凛「!」

恵磨『ニドクイン、ほのお技でドリュウズを振り払いました!!』

美玲「あ、あいつって炎も使えるのか!?」

茜「しかも私のポケモン達と遜色ないエネルギーです!」

凛「くっ、ドリュウズ、いったん潜って!」

ドリュウズ「ドリュ!」ゴゴゴゴ

793: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:33:33.61 ID:jhzmxTwl0
蘭子「それで逃れられるとでも?」

凛「……!」

蘭子「その穴に『ウンディーネの蠱惑』を打ち込め!!」

ニドクイン「ニド!」バシャァ

凛「今度は水……! ドリュウズ!」

ゴゴゴ……

ドゴォ

794: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:34:05.05 ID:jhzmxTwl0
ドリュウズ「ドリュ……!」バシャァ

恵磨『ドリュウズ、水流に流されて打ち上げられました!!』

ドサァ

凛「ドリュウズ、大丈夫!?」

ドリュウズ「ドリュ……」

ドリュウズ「ドリュー」ピヨピヨ

795: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:34:33.01 ID:jhzmxTwl0
乃々「へ……?」

輝子「こ、混乱してる……?」

卯月「あれは……ただの水じゃない」

卯月「みずのはどう……!」

蘭子「トドメは……『ノームの裁き』よ!!」

ニドクイン「ニドー!」ゴゴゴゴゴゴ

ボコオッ

796: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:35:05.95 ID:jhzmxTwl0
ドリュウズ「ドリュ……!」ドガァ

ドリュウズ「ドリュ……」バタンキュー

恵磨『ドリュウズ、効果抜群の技を畳み掛けられてたまらずダウーン!!』

ワァァァァァァァァァ

茜「はわわ……ドリュウズが一瞬で……」

凛「くっ……お疲れ、ドリュウズ」

797: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/04(水) 22:35:35.84 ID:jhzmxTwl0
凛(……強い)

凛(かえんほうしゃにみずのはどう、最後のは多分だいちのちから……)

凛(グリモワールの権化ってそういう意味だったんだね)

凛(それに、あの腕に巻いているのは『たつじんのおび』だ)

凛(たった一匹であらゆるタイプのポケモンを相手にする……それがあのニドクインの戦い方)

凛「……よし、ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

800: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:24:36.21 ID:mCGa1XwI0
瑞樹『ここでもゲッコウガ……』

瑞樹『凛ちゃん、これまでのバトルと違って、今回はゲッコウガを出し惜しみしないわね』

恵磨『どういうことでしょうか?』

瑞樹『まあ、見ていればわかるわ』

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

ニドクイン「ニド……!」ズババ

801: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:25:06.09 ID:mCGa1XwI0
蘭子「『ウンディーネの蠱惑』!」

ニドクイン「ニド……ニド!」バシャァ

ゲッコウガ「ゲコッ!」

乃々「え……みず技?」

幸子「どういう考えでしょうか……?」

ゲッコウガ「ゲコ」ビシャァ

凛「……っ!」

802: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:25:34.72 ID:mCGa1XwI0
凛(よかった、混乱はしていないみたいだ)

蘭子「なぜ我がここで蠱惑の水を浴びせたか」

凛「?」

蘭子「――汝ならわかるだろう?」

凛「……」

凛「……まさか」

凛「まずい、ゲッコウガ――水を振り払って!」

803: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:26:04.63 ID:mCGa1XwI0
蘭子「『ヴォルトの剣閃』!!」

ニドクイン「ニドー!!」バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!?」

バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ……!」

凛「ゲッコウガ!」

恵磨『ニドクイン、今度はでんき技でゲッコウガに追撃ー!!』

瑞樹『蘭子ちゃん、的確に弱点を狙ってきているわね』

804: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:26:32.06 ID:mCGa1XwI0
凛(これは……10まんボルト)

凛(わざとゲッコウガの身体を濡らして、技のダメージを大きくさせたのか)

凛(間に合わなかった……いや、少しでもダメージを減らせたのがラッキーだったかな)

ゲッコウガ「ゲコ……」

ゲッコウガ「ゲコ」バクッ

パァァ

恵磨『ゲッコウガ、ここでオボンのみを食べて体力を回復!』

瑞樹『打たれ弱いゲッコウガを積極的にくり出していたのはこういうことだったのね』

805: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:27:00.46 ID:mCGa1XwI0
蘭子「クックック……もう一度! 『ヴォルトの剣閃』!!」

凛「後退しながらみずしゅりけん!」

ニドクイン「ニドー!」バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

凛「く……後退しながらだと全然当たらないな」

凛(少しずつダメージは与えているけど、あの堅い皮膚にはダメージが通りづらいみたいだ)

凛(やっぱり、懐に潜り込んで大技を決めないと……)

806: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:27:30.47 ID:mCGa1XwI0
凛(さて、どうするかな)

晶葉「またしても避けるので精一杯になってしまっているな」

未央「しぶりんの攻めのスタイルが通じてないってことだね……」

卯月「うん。蘭子ちゃん……強いね」

文香「でも、何故だか凛さん」

卯月「?」

文香「今までで一番、表情が柔らかいです。バトルを楽しんでいるようにも見えます」

807: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:28:06.58 ID:mCGa1XwI0
モバP「お、いい表情になってきたじゃないか」

真奈美「ええ、仰る通りだ」

真奈美「今までの彼女は――それこそ未央とのバトルもそうだったが――どこか勝利に固執しているようにも見えた」

真奈美「だがポケモンバトルとは本来、お互いを認め合い、競い合い、高め合うためのものだからな」

真奈美「トレーナーが心の底からバトルを楽しむからこそ、追い付いては追い越される一進一退の攻防がドラマを生み出す」

真奈美「二人とも、目に焼き付けておくんだよ」

ありす「はい」

晴「おうよ!」

808: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:28:33.41 ID:mCGa1XwI0
ニドクイン「ニド!」バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバッ

グサッ

バリバリバリ

凛「……」

凛「……!」

蘭子(……閃いたようだな)

809: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:29:01.58 ID:mCGa1XwI0
凛「ゲッコウガ! みずしゅりけんを構えて!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュッ

蘭子「『ヴォルトの剣閃』!!」

ニドクイン「ニドー!」バリバリバリ

凛「それを地面に突き刺して!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズドン

バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!」ピョン

810: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:29:41.30 ID:mCGa1XwI0
蘭子「!」

未央「おお!」

恵磨『ゲッコウガ、みずしゅりけんを地面に突き刺すことでジャンプした!』

恵磨『それだけじゃない! みずしゅりけんが避雷針のようになっています!!』

凛「ニドクインの弱点は……肌色の皮膚!」

凛「ゲッコウガ! そこにハイドロカノン!!」

811: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:30:07.19 ID:mCGa1XwI0
ゲッコウガ「ゲコ」ゴポォ

ゲッコウガ「ゲコォォォォ!!」

ドバァァァァァァ

ニドクイン「ニド……!」

ズドォォォォォン

蘭子「……」

ニドクイン「ニドー」バタンキュー

恵磨『ニドクイン、ダウーン!!』

ワァァァァァァァァァ

812: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:30:40.70 ID:mCGa1XwI0
恵磨『先に残りの手持ちが半分となったのはチャンピオン・蘭子だ!!』

卯月「やった……!」

晶葉「しかし流石はチャンピオンだ。これでやっと折り返し。一戦一戦が総力戦だな」

未央「まだまだわからないね……しぶりん、頑張って!」

凛(これで……やっと半分か)

蘭子「ご苦労であった」シュゥゥ

蘭子「我が闇の力をここまで抑え込むとは……見事だな」

813: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:31:08.59 ID:mCGa1XwI0
蘭子「それでは、凍てつくシヴァの吐息で覚醒した我が氷獣が相手しよう!」

ポン

グレイシア「シアー!」

恵磨『蘭子選手の次のポケモンはグレイシアです!』

グレイシア しんせつポケモン こおり
体温を自在にコントロールし、大気の水分を凍らせてダイヤモンドダストを巻き起こす
また、体毛を凍らせ鋭いハリに変えることで身を守る

晶葉「おお……グレイシア……!」キラキラ

814: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:32:20.48 ID:mCGa1XwI0
未央「蘭子ちゃんもイーブイの進化系を持っていたんだね」

晶葉「ああ。あの子は私が授けたイーブイの進化系なんだ」

晶葉「グレイシアは岩さえも凍るような寒所で進化するポケモンなんだが、実はそんな場所は、アイマスではレオン島の最新部にしか存在しないんだ」

乃々「あ、あんな寒いところのさらに寒いところ……!?」

晶葉「ああ。だからグレイシアは腕が立つトレーナーでも手に入れることが難しい」

卯月「そんなグレイシアを持っている蘭子ちゃん、さすがチャンピオンだね……!」

815: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:32:54.71 ID:mCGa1XwI0
凛「あれがグレイシア……」

凛「ならこっちも選択肢は一つだね」

凛「ありがとうゲッコウガ、戻って!」シュゥゥ

凛「いくよ、サンダース!」ポン

サンダース「ダース!」

恵磨『凛選手はサンダースに交代しました!』

瑞樹『ともにイーブイの進化系同士の対面ね』

816: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:33:26.09 ID:mCGa1XwI0
サンダース「ダース……」キリッ

グレイシア「シアー」キリッ

晶葉「私が授けたイーブイがグレイシアになって、そのグレイシアが生み出したタマゴが孵って凛のもとに」

晶葉「そしてサンダースに進化して、今こうして同じ舞台に立っている。これは何かの運命なのか……」

蘭子「クックック……魂の波動が共鳴するのを感じるわ」

凛「……」

凛(蘭子が本当に私のバトルを一度も見ていないというのなら)

凛(この戦法もまだ通じるはず……)

817: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:33:55.92 ID:mCGa1XwI0
凛「サンダース、シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

恵磨『にらみ合いの末に先制したのはサンダースだ!』

蘭子「『破音波』よ!」
  (ハイパーボイス!)

グレイシア「シア!」ォォォ

バシィ!

シュゥゥ……

818: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:34:25.33 ID:mCGa1XwI0
凛(お互いの技がぶつかり合った……その一瞬で)

バッ

グレイシア「!」

凛「サンダース、かみなり!!」

サンダース「ダー……」ゴロゴロ

サンダース「ダース!!」

グレイシア「シアッ……!」バリバリ

819: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:34:55.65 ID:mCGa1XwI0
恵磨『さらにサンダースの追撃!!』

瑞樹『砂煙から飛び出して大技を打つ戦法、すっかり板についているわね』

凛「よし……!」

蘭子「ふむ、やるな」

蘭子「だが……氷獣よ!」

グレイシア「シア」コォォ

グレイシア「シア!」バッ

820: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:35:42.04 ID:mCGa1XwI0
サンダース「ダース……!?」

ドゴォ

凛「くっ!」

恵磨『しかしグレイシアも負けていません! ミラーコートで反撃を決めました!!』

幸子「ああ、決まったと思ったのに!」

晶葉「蘭子のことだ、素早いサンダースが砂煙の中から奇襲を仕掛けてくることまで読んでミラーコートを張っていたんだろう」

晶葉「常に相手の一手先を読む判断力……さすがだな」

821: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:36:14.94 ID:mCGa1XwI0
晶葉「クックック……我がシヴァの化身の真の力、今こそ解放せん!」

晶葉「『降雪の術』よ!」
  (あられです!)

グレイシア「シアー!」バッ

ヒュゥゥ……

カラカラカラ

恵磨『おっとグレイシア、ここでフィールドにあられを降らせました!』

瑞樹『凛ちゃんにとってはあられのダメージが厄介になるわね』

瑞樹『でもそれ以上に厄介なのは……』

822: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:36:53.54 ID:mCGa1XwI0
フッ……

凛「……!?」

美玲「あ、あれ? グレイシアの姿が見えないぞ?」

幸子「眼帯をしているからでは……?」

美玲「い、いや、それはカンケーねえだろ!」

美玲「そういう幸子は見えてるのか!?」

幸子「ええもちろん。ボクの視力は……って、あれ?」

茜「わ、私も見えません……!」ゴシゴシ

823: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:37:22.31 ID:mCGa1XwI0
晶葉「これはグレイシアの特性、『ゆきがくれ』によるものだな」

ゆきがくれ
天気があられの時、回避率が上がる

晶葉「グレイシアの体色は雪景色と完全に同化してしまう色合いなんだ。だからあられが降ると姿が見えづらくなってしまう」

未央「しぶりんには見えてるのかな……?」

サンダース「ダース……!?」

凛(グレイシアの姿が……消えた?)

824: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:38:04.04 ID:mCGa1XwI0
蘭子「クックック……シヴァの祝福を受けし氷獣から逃れられるかな?」

グレイシア「シアー!」

サンダース「ダース……!」ドガッ

凛「!?」

凛「いきなり目の前に出てきた……!?」

恵磨『グレイシア、サンダースに突進してきました!』

瑞樹『グレイシアは体毛を凍らせて全身を尖らせることができるわ』

瑞樹『そんな状態で不意にぶつかってこられたら、さぞ痛いでしょうね』

825: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:38:45.25 ID:mCGa1XwI0
凛「グレイシアが消えた方角はあっち……」バッ

凛「シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

フッ

蘭子「効かぬわ! 『破音波』!」

グレイシア「シアー!」コォォ

サンダース「ダース……!」ドガッ

826: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:39:22.34 ID:mCGa1XwI0
凛「くっ……」

凛(今度は見えない所から音の攻撃……なおさらどこにいるのかわからない)

凛(これじゃ下手に動けない。どうすれば……)

凛「……」

タッタッタッ

凛(常に走り回っている音は聞こえる)

827: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:39:53.15 ID:mCGa1XwI0
フッ

グレイシア「シアー!」ドガッ

蘭子「どうした、手も足も出ぬか!?」

凛「くっ……」

凛(どちらにせよこのままだと何もできない……なんとか動きを封じないと)

凛「サンダース、じゅうでん!」

サンダース「ダース」バチバチ

828: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:40:20.67 ID:mCGa1XwI0
凛(次にグレイシアが出てきた時……)

蘭子「『破音波』!」

グレイシア「シアー!」

サンダース「ダース……」ドガッ

凛(まだだ……あと少し)

………………

………………

フッ

829: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:40:48.51 ID:mCGa1XwI0
凛「そこだ!」

凛「サンダース、地面に向けてでんじは!」

サンダース「ダース!!」バチィ

グゥン!!

グレイシア「シアッ!?」バリバリ

恵磨『おっと! サンダースが地面に向けて打ったでんじはが広がって……』

恵磨『グレイシアを捕らえた!! そしてマヒさせました!!』

830: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:41:19.03 ID:mCGa1XwI0
蘭子「ふむ……!」

卯月「やった!」

晶葉「じゅうでんで溜め込んだエネルギーを使って電気の罠を作り上げたのか!」

グレイシア「シア……」ビリビリ

凛「よし……グレイシアの姿が見えた!」

凛「一撃で決めるよ! サンダース!」

831: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:41:50.88 ID:mCGa1XwI0
凛「かみなり!!」

サンダース「ダース……」ゴロゴロ

サンダース「ダース!!」

蘭子「凍てつかせよ! シヴァの咆哮!!」
  (迎え撃ちます! ふぶき!!)

グレイシア「シアー!!」ビュォォォォ

バチィ!

ドゴォォォォ

恵磨『強力な技同士がぶつかり合ったが、どうなったー!?』

832: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:42:19.12 ID:mCGa1XwI0
シュゥゥ…

サンダース「ダース」バタンキュー

グレイシア「シア……」バタンキュー

恵磨『サンダース、グレイシア共にダウン!! 相討ちに終わりました!!』

ブワッ

瑞樹『技がぶつかった衝撃であられも止んだみたいね』

ワァァァァァ

833: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/07(土) 21:42:46.20 ID:mCGa1XwI0
幸子「ああ、相討ちですか……」

茜「とはいえ、あの不利な状況からよく逆転しましたね!」

志希「ニャフフ、やるじゃなーい」

晶葉「うむ、実に見応えのある対決だった……私は満足だ」フゥ

卯月「ああ、晶葉ちゃんが力尽きた……」

輝子「いや、まだ終わってないし……」

835: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:42:53.93 ID:vg6zDi4s0
凛「よく頑張ったね、サンダース」シュゥゥ

凛(あと2匹……)

凛(1匹はリザードンだろうね。ゲッコウガだと相性がいいし、メガシンカもしてくるかもしれないからチャーレムも温存しておきたい)

凛(となると)

凛「サザンドラ、いくよ!」ポン

サザンドラ「サザー!」

恵磨『凛選手は今大会絶好調のサザンドラを繰り出します!』

836: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:43:38.69 ID:vg6zDi4s0
蘭子「眠りにつくがよい、シヴァの化身よ」
  (グレイシア、よく頑張りましたね)

蘭子「クックック……我が魂は昂るばかり」

蘭子「ゆきなさい、アイス・エンペラー!」ポン
  (いっけー、エンペルト!)

エンペルト「エンペ」ズン

恵磨『これに対しチャンピオン・蘭子はエンペルトを選択!』

エンペルト こうていポケモン みず/はがね
クチバシから伸びている3本のツノは強さの象徴で、リーダーが一番大きい
プライドを傷つける者は鋼鉄の翼で真っ二つにする

837: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:44:06.25 ID:vg6zDi4s0
蘭子「クックック……闇の氷河を纏いし我が剣の前に跪くがよい!」
  (私のエンペルトはとても強いですよ!)

蘭子「光陰の如く駆けよ!」

エンペルト「エンペ!」ダッ

凛「やっぱり速い……けど」

凛「サザンドラなら対抗できるはず!」

凛「サザンドラ、あくのはどう!」

サザンドラ「サザー!」バババ

838: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:44:36.52 ID:vg6zDi4s0
蘭子「『鋼鉄の刃』で引き裂け!」
  (メタルクローです!)

エンペルト「エンペ」シュッ

スパッ

凛「なっ!?」

エンペルト「エンペ」ズバッ

サザンドラ「サザ……!」

恵磨『エンペルト、あくのはどうを強引に突破してきました!!』

瑞樹『かなりの攻撃力ね』

839: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:45:36.18 ID:vg6zDi4s0
瑞樹『しかもメタルクローは斬撃と同時に刃を研ぎ澄ませて攻撃力を上げる技よ。長期戦になると凛ちゃんには厳しくなるわね』

凛「なら……足元を狙ってあくのはどう!」

サザンドラ「サザー!」バババ

エンペルト「エンペ……!」

ズザァ

蘭子「我は決して引かぬ!!」

エンペルト「エンペ!!」ダッ

840: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:46:07.79 ID:vg6zDi4s0
蘭子「貫け! 『流転穿孔』!!」
  (ドリルくちばし!!)

エンペルト「エンペ!」ギュォォ

凛「くっ……」

凛(中途半端な攻撃だと打ち消される……!)

凛「3つの頭で一斉にあくのはどう!」

サザンドラ「サザー!!」バババ

ドゴォ

841: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:46:34.51 ID:vg6zDi4s0
エンペルト「エンペ……」グググ

サザンドラ「サザー……」バババ

恵磨『これは……両者の威力は互角! つばぜり合いになっております!!』

美玲「いけー、サザンドラー!」

茜「押し切れーー!!!」

蘭子「つばぜり合い……か」

蘭子「それは如何程だろうか」

842: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:47:01.78 ID:vg6zDi4s0
エンペルト「エンペ……」

グググ

恵磨『……いや、エンペルトが少しずつ押してきている!?』

卯月「そんな!?」

凛「くっ……サザンドラ!」

サザンドラ「サザ……!」

グググ

843: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:47:36.17 ID:vg6zDi4s0
蘭子「今だ! 貫け!!」

エンペルト「エンペ!!」

バシィッ

凛「そんな……フルパワーのあくのはどうが!?」

恵磨『な……なんと、3つの頭から放たれたあくのはどうが! 打ち破られたぁ!!』

凛「なら……」

凛「サザンドラ、腕をクロスさせて!」

844: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:48:03.17 ID:vg6zDi4s0
サザンドラ「サザ!」バッ

エンペルト「エンペェェ!!」

ギュルルルル

サザンドラ「サザ……!」グググ

バシィ!

ズドォン

サザンドラ「サザ……」

845: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:48:50.42 ID:vg6zDi4s0
恵磨『サザンドラが吹っ飛ばされたァ!!』

凛「ぐっ……」

恵磨『とんでもない火力ですね、瑞樹さん!』

瑞樹『ええ。何故ならあのエンペルト、『いのちのたま』を持っているわ』

いのちのたま
持たせると攻撃時に体力が削られる代わりに威力が上がる

瑞樹『体力がじわじわ減っているけど、その代わりにサザンドラとも互角以上に渡り合える攻撃力を持っているということね』

846: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:49:27.65 ID:vg6zDi4s0
蘭子「腕をクロスさせる……先ほどのガーディアンの戦法を真似たか」

蘭子「苦し紛れにしては悪くない策だったわ」

蘭子「止めよ!」

エンペルト「エンぺ……」

凛「……」

エンペルト「エンぺ!!」

凛「……!」

847: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:49:55.28 ID:vg6zDi4s0
ニッ

凛「何の……まだまだ!」

凛「サザンドラ、きあいだま!」

サザンドラ「サザー!」バッ

エンペルト「エンペ……!」

ドゴォ

恵磨『サザンドラ、きあいだまで反撃です!』

848: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:50:25.04 ID:vg6zDi4s0
蘭子「くっ……『シヴァの吐息』で迎撃よ!」
  (れいとうビームで反撃です!)

エンペルト「エンぺ!」ババババ

凛「もう一回きあいだま!」

サザンドラ「サザー!」ボッ

バシィ

グググ……

恵磨『またつばぜり合い――』

849: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:50:53.29 ID:vg6zDi4s0
瑞樹『いえ、今回は凛ちゃんの方が上みたいね』

バッ

未央「よし、押し返してる!」

晶葉「それどころか、れいとうビームのエネルギーを吸収してきあいだまがよりパワーアップしているな」

晶葉「どうやらあのエンペルト、物理攻撃は強力だが特殊攻撃はそうでもないようだ」

グワッ

850: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:51:33.27 ID:vg6zDi4s0
エレメント「エンペ!?」

バシィ

蘭子「ふむ……やはり自ら裁きを下すしかないようね……!」

蘭子「臆するな、我が剣よ! その翼で大蛇の首を裂け!!」
  (怯まず突撃ー!)

エンペルト「エンペ!!」ダッ

卯月「またメタルクローが……!」

凛「……さっきは速すぎて躱せなかったけど」

凛「今なら! サザンドラ!」

851: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:52:02.29 ID:vg6zDi4s0
サザンドラ「サザ!」ヒョイ

エンペルト「エンペ!?」

蘭子「む……」

凛「隙ができた……今だ!」

凛「今度こそフルパワーでいくよ! りゅうせいぐん!!」

サザンドラ「サザ……」コォォォ

凛「いけえええ!!」

852: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:52:38.48 ID:vg6zDi4s0
サザンドラ「サザァァ!!」

ドドドドドドドド

蘭子「くっ……! これが天の怒りか……!」
  (これがりゅうせいぐん……!)

恵磨『決まったーー!! サザンドラの必殺技・りゅうせいぐんだぁぁ!!』

エンペルト「エンペ……」グググ

エンペルト「エンペ……」ドサッ

恵磨『エンペルト戦闘不能ー!!』

恵磨『これで残す手持ちは3対1! チャンピオン・蘭子、ついに追い詰められましたァ!!」

ワァァァァァ

853: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:53:35.09 ID:vg6zDi4s0
晴「おお、押し切った!」

ありす「サザンドラ、よく踏ん張りましたね」

ありす「でも、どうして凛さんはこれほど一気に逆転できたのでしょうか」

晴「メタルクローもさっきと違ってサラッと避けてたしな」

真奈美「ふむ……凛のことだ。どこかのタイミングで相手の持ち物が『いのちのたま』ということを見抜いていたんだろう」

真奈美「ダメージを与えなくても相手の体力が減っていることを確信した凛は、あくのはどうでコツコツと攻める作戦からきあいだまやりゅうせいぐんといった大技を積極的に狙っていく作戦に変更した」

真奈美「それが功を奏したんだな」

真奈美「そしてその作戦に踏み切れた理由は、持たせていたのが――」

854: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:54:05.87 ID:vg6zDi4s0
凛「ふうっ……」



――試合前――

コンコン

リーグスタッフ「失礼します。凛さん、いらっしゃいますか?」

凛「……ん?」

ガチャ

855: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:54:51.61 ID:vg6zDi4s0
リーグスタッフ「凛さん宛にお手紙が送られてきております」

凛「手紙……? 誰からだろう」

リーグスタッフ「匿名なのでわからないですね……」

リーグスタッフ「でもポケモンリーグの挑戦者は毎年、こんな感じで匿名の応援メッセージがよく届いたりするんですよ」

凛「へえ、そうなんだ。ありがとう」

ガチャ

凛「誰からだろう……」

パラ

856: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:55:38.89 ID:vg6zDi4s0
『凛ちゃんへ!』

『いよいよ決勝戦だにぃ……何だかきらりんもお手紙カキカキしながら緊張してきちゃった! えへへ……』

凛「なんだ、きらりからか……ふふっ」

『それでねそれでね、凛ちゃんに謝らなきゃいけないことがあるんだけど……』

『きらりんと杏ちゃんは、これから遠いところへ旅立つことになったにぃ。だから凛ちゃんの決勝戦は見に行くことができないんだ。ごめんなさい』

『でもでも、きらりん、凛ちゃんを応援したいなあーって思って! もしよかったら……これ、使ってほしいにぃ!』

『きっと凛ちゃんの役に立つと思うよぉ!』

凛「……!」

『凛ちゃん……きらりんや杏ちゃんの分まで、はっぴはぴなバトルをして、チャンピオンになってねぇ!』

857: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:56:37.98 ID:vg6zDi4s0
凛「きらり、ありがとう」

凛「『カムラのみ』作戦、大成功。だね」

蘭子「……クックック」

蘭子「アーッハッハッハ! 楽しい! 楽しいわ!」

蘭子「ここまで追い詰められたのもいつぶりかしら!」

蘭子「さすがは瞳を持つ者ね。我の第六感は間違っていなかったわ」
  (さすが凛ちゃん! 初めに会った時にビビッときたのは間違いじゃなかったわ!)

858: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:57:29.59 ID:vg6zDi4s0
蘭子「我はずっと……これほど魂が猛る戦いを、心から羨望していた!」

凛「うん。……私も楽しい」

凛「こんなに胸が高鳴るバトル、初めてだよ」

凛「正直……終わってほしくないぐらい」

蘭子「アーッハッハッハ!」

蘭子「さあ、我と我が相棒の魂は今や律すること能わず! 存分にこの舞台で猛り狂うがいいわ!」
  (ここからはさらに本気でいかせてもらます。思いっきり楽しみましょう!)

859: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:58:04.12 ID:vg6zDi4s0
蘭子「目覚めよ! 紅の翼竜!!」
  (いっけー、リザードン!)

ポン

リザードン「リザー!」

リザードン かえんポケモン ほのお/ひこう
苦しい戦いを経験したリザードンほど炎の温度が高くなる
数多くのトレーナーがリザードンと共に歴史に足跡を残してきた

恵磨『出たァァァ!! チャンピオン・蘭子、最後のポケモンはもちろんエースのリザードンです!!』

茜「あのポケモンが蘭子ちゃんのエースですか……!」

860: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:58:36.36 ID:vg6zDi4s0
卯月「なんだか、アルセウスと戦ったときより迫力が増しているね」

未央「うん。あれから蘭子ちゃんも鍛え直してきたみたいだね」

凛「ついに来たね、リザードン……!」

蘭子「クックック……」チャキッ

凛「!」

蘭子「皆の衆! しかとその双眸で見届けよ!!」バッ
  (皆さんにすごいものをお見せします!)

861: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:59:15.09 ID:vg6zDi4s0
蘭子「我と我が翼竜は頂点に立ちし後より再びこの母なる大地を巡り、魔力を蓄えてきた!」

『え……?』

『なんだなんだ……?』ザワザワ

蘭子「その魔力が結実し……翼竜は新世界の魔王に相応しい新たな姿に転生した!」
  (私のリザードンはまた一つ強くなったんです!)

蘭子「さあ、我が呼びかけに応え、御身を顕現させよ!!」

蘭子「超進化!!」
  (メガシンカ!!)

カッ

862: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 22:59:51.99 ID:vg6zDi4s0
シュウウウウウウウウ

恵磨『な……何だあれは!?』

ザワザワザワザワ

瑞樹『リザードンが、虹色の球体に包まれて……?』

美玲「な、何が始まるんだ?」

シュウウウウ……

ズドォン


メガリザードンY「リザァァァァァ!!」

863: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:00:42.87 ID:vg6zDi4s0
モバP「あ、あれは……」

真奈美「ついにお披露目か」

ありす「あれが、メガシンカ……?」

晴「すげぇ……見た目はリザードンだけど、まるで別のポケモンみたいだ……」


凛「やっぱり使ってきたね……メガシンカ!」

864: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:01:18.83 ID:vg6zDi4s0
恵磨『こ……この姿は……リザードン……なのでしょうか……?』

蘭子「いかにも」

蘭子「我が翼竜は更なる獄炎を身に宿したのだ!!」

メガリザードンY「リザー!」

パァァ

輝子「うっ……!? 」

文香「スタジアムに陽光が……これは特性『ひでり』……?」

ひでり
5ターンの間ひざしがつよい状態になる

865: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:01:50.78 ID:vg6zDi4s0
恵磨『なんと……姿が変わっただけでなく、天候すらも変わってしまった!』

恵磨『どんなことが起こったのか私にはわかりません……ただ一つ言えることは』

恵磨『チャンピオン決定戦に相応しい、面白い展開になってきた、ということです!!』

…………………………

ドワァァァァァ

志希「あの実況ちゃん、乗せ上手だねえ。ニャフフ」

幸子「え、え? ちょっと何が起こっているのかわからないんですけど……」

未央「あんな姿のリザードン、初めて見たけど……パワーアップしたってことなのかな」

866: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:02:45.47 ID:vg6zDi4s0
晶葉「そういうことだろうな」

凛(メガリザードン……相手にとって不足はない)

凛「りゅうせいぐんの反動はあるけど……サザンドラ、頑張って……!」

サザンドラ「サザー!」

凛「あくのはど――」

867: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:03:14.05 ID:vg6zDi4s0
蘭子「『空気の刃』よ!」
  (エアスラッシュ!)

メガリザードンY「リザー」

スパッ

サザンドラ「……!」

ドサッ

恵磨『な、なんと、目にも止まらぬ動き! サザンドラが地上に落下した!!』

蘭子「手負いの大蛇など、我が翼竜の敵ではない」

蘭子「これで止めよ!」

868: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:03:45.24 ID:vg6zDi4s0
メガリザードンY「リザ!」スパッ

サザンドラ「サザ……!」

サザンドラ「サザー」ドサァ

凛「サザンドラ……!?」

恵磨『サザンドラダウーン! 技を出す隙すらも与えてもらえませんでした!!』

瑞樹『あの強さ……別格ね。1年前よりも遥かにパワーアップしているわ』

恵磨『これで凛選手、残る手持ちはゲッコウガとチャーレムの2匹です!』

869: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/11(水) 23:04:18.06 ID:vg6zDi4s0
未央「そ、そんな……!」

晶葉「ダメージが溜まっていたとはいえ、あのサザンドラを一瞬で倒すなんて……」

美玲「あんなバケモン、どうやって倒せばいいんだ……!?」

凛「サザンドラ、お疲れ様」シュゥゥ

凛「……」

凛(サザンドラですらついていけない速さ……さすがメガシンカだ)

凛(ならこっちも使っていくしかないな……!)

873: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:48:06.08 ID:thEDAD/20
凛「チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー」

ザワザワ

恵磨『おっと、凛選手はここでチャーレムを選択!』

恵磨『ひこう技は相性が悪いはずですが、瑞樹さん、これは何か狙いがあるのでしょうか?』

瑞樹『うーん……いわ技やでんき技で攻めるつもりなのかしらね』

瑞樹『それでもチャーレムにできることは数少ないはず。……わからないわね』

874: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:48:38.85 ID:thEDAD/20
卯月(凛ちゃん……いよいよ使うつもりなんだね)

蘭子「……」

凛「さすがだね、メガリザードン」

凛「でも蘭子。私も使うことができるんだ……この力が」チャキッ

蘭子「! それは……超進化の魔石」
  (凛ちゃんも、キーストーンを……!)

凛「蘭子が使ったらこっちも使おうって決めてたんだ!」

凛「こっちも本気でいかせてもらうよ! チャーレム、メガシンカ!!」

875: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:49:07.18 ID:thEDAD/20
カッ

シュウウウウウウウウ

恵磨『な、なんと……チャーレムも虹色の球体に包まれて……!?』

バッ

メガチャーレム「チャー!」フワッ

ザワザワザワザワ

瑞樹『チャーレムも姿が変わった……!?』

恵磨『なんと……凛選手もメガシンカなるものを使ってきました!』

876: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:49:35.73 ID:thEDAD/20
恵磨『誰も見たことがない姿のリザードンとチャーレムが現れた! これは面白くなってきたァ!!』

ワァァァァァ

幸子「え、え……凛さんもあの力を?」

乃々「む、むり……頭がおいつかない……」

未央「しぶりん、いつの間にあんな力を……!」

晶葉「ああ。だがあの慣れた感じ、初めて使う力じゃなさそうだな」

未央「え……それってどういう……?」

877: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:50:22.67 ID:thEDAD/20
卯月「あ、あのね、未央ちゃん」

卯月「私、知ってたんだ。凛ちゃんがメガシンカを使えるってこと」

未央「……!」

卯月「というより、凛ちゃんに呼び出されて……あのメガシンカしたチャーレムに、こてんぱんにされちゃったんだ」

卯月「でも凛ちゃんは、蘭子ちゃんと戦うまであの力は使わないって決めていたんだ。フェアじゃないからって」

晶葉「ということは、蘭子がメガシンカ使いであったことも知っていたのか」

卯月「うん、たぶんね」

878: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:51:08.18 ID:thEDAD/20
卯月「凛ちゃんは、絶対にズルをしない。だから未央ちゃんとのバトルでもメガシンカは使わなかった」

卯月「でも……私、正直不安だった。未央ちゃんがこのことを知って、自分のことを舐められているって捉えたらどうしようって……」

未央「……」

晶葉「蘭子と戦うまで使わないつもりだった……」

晶葉「つまり、凛と蘭子以外のトレーナーがあの力を使えないことも知っていたみたいだな」

晶葉「フェアじゃないからとはそういうことか。凛はあくまで、蘭子とも、蘭子に至るまでのバトルでも、公平な関係を貫きたかったんだな」

未央「……そっか」

879: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:51:43.82 ID:thEDAD/20
未央「……まあ、ビックリはしてるけどさ」

未央「でも、それが凛の選んだ道なんだよね」

卯月「未央ちゃん……」

未央「だったら、ちゃんみおは最後までしぶりんを応援するまでだよ! しぶりーん、頑張れー!!」

晶葉(……未央)

晶葉(悔しいだろうな。……だがそれでもひたむきに応援しようとする。君は本当に……)

蘭子「……クックック」

蘭子「面白い。受けて立とう!」

880: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:52:10.30 ID:thEDAD/20
蘭子「ゆくぞ、翼竜よ! 切り裂け!」

メガリザードンY「リザ!」シュッ

メガチャーレム「チャー……」

メガチャーレム「チャー!」

ヒョイ

恵磨『チャーレム、リザードンの素早い攻撃を躱したー!』

凛「よし……! チャーレムには攻撃が見えている!」

881: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:52:38.46 ID:thEDAD/20
凛「しねんのずつき!」

メガチャーレム「チャー!」コォォォ

メガリザードンY「リザ!?」ドガァ

恵磨『これは強烈な一撃が決まりました!!』

蘭子「焼き尽くせ!」
  (かえんほうしゃです!)

メガリザードンY「リザー!!」ゴォォ

メガチャーレム「チャー……!」

882: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:53:06.86 ID:thEDAD/20
恵磨『しかしリザードンもすかさず反撃です!』

凛「くっ……やっぱりすごい威力だ……!」

凛「チャーレム、じこさいせい!」

メガチャーレム「チャー」コォォォ

蘭子「させないわ!」

メガリザードンY「リザー!」ボォォ

凛「躱して!」

メガチャーレム「チャー」ヒョイ

883: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:53:36.93 ID:thEDAD/20
恵磨『チャーレム、じこさいせいしながらリザードンの猛攻を躱し続けます!』

瑞樹『やるわね。目を瞑りながら相手の攻撃を躱し続ける……サイコパワーの強いチャーレムにしかできない芸当ね』

凛「よし、体勢を立て直せた」

凛「とびひざげり!」

メガチャーレム「チャー!」ビュン

メガリザードンY「リザ!?」

ドガァ

884: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:54:07.44 ID:thEDAD/20
メガリザードンY「リザァッ……!」

蘭子「ぐ……」

美玲「いいぞー、チャーレム!」

晶葉「凛! 追撃だ!」

凛「しねんのずつき!」

メガチャーレム「チャー!」コォォォ

ドガァ

メガリザードンY「リザ……」ヒュン

ドォォン

885: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:54:34.78 ID:thEDAD/20
恵磨『チャーレム、リザードンを地に突き落としたァー!!』

ワァァァァァ

『これは……もしかするんじゃないか?』

『まさか蘭子が負けるのか……?』

ザワザワザワ

シュゥゥ

蘭子「……」

凛「……」

886: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:55:24.58 ID:thEDAD/20
蘭子「……クックック」

蘭子「アーッハッハッハ! アーッハッハッハ!!」

蘭子「進化を超えた拳闘士よ……よくぞここまで我を追い詰めた」
  (メガチャーレム、すごく強かったです!)

蘭子「だが! 我が魂は屈しない! 何人も我が覇道を遮ることはできない!!」

蘭子「闇に飲まれよ!!」

カッ

シュゥゥゥゥゥゥ……

晶葉「なっ、またリザードンの姿が……!」

ズドォン



メガリザードンX「リザァァァァ!!」

887: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:56:21.82 ID:thEDAD/20
メガチャーレム「チャ……!?」ガシッ

ギュオン

凛「チャーレム……!?」

凛(リザードンに掴まれて、空中に連れ去られた……?)

恵磨『リザードン、旋回しながらチャーレムと共に上昇していきます!』

恵磨『しかも……なんだあれは!? リザードンの体色が真っ黒になっているぞ!?』

蘭子「超進化……眷属とそれを使役するマスターとの悠久なる絆の契り」
  (メガシンカはポケモンとトレーナーとの絆が引き起こします)

蘭子「絆が深ければ深いほど、その魔力は上昇する。我が幼子であった頃から共に頂を夢見てきた翼竜との絆は、何者も侵すことはできない」
  (そして絆が深いほど、メガシンカのパワーが増します。私はヒトカゲの頃からこの子と絆を深めてきました)

蘭子「これは我が翼竜に最大級の闇の魔力が注ぎ込まれた究極の姿!」
  (その結果、私たちは獲得したの……2つのメガシンカを!)

888: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:56:56.41 ID:thEDAD/20
蘭子「汝と拳闘士との光では、我らの闇は照らせないわ」

蘭子「翼竜よ、叩き落とせ! 『ちきゅうなげ』!!」

メガリザードンX「リザァ!!」

ブゥン

ズドォン!!

恵磨『チャーレム、思いっきり地面に打ち付けられました!!』

凛「! チャーレム……!」

889: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:57:26.66 ID:thEDAD/20
メガチャーレム「チャー……」グググ

蘭子「大いなる闇の炎に抱かれて消えよ!」

蘭子「『ブラスト・バーン』!!」

メガリザードンX「リザ……」グオッ

メガリザードンX「リザァァァ!!!」

ズバァァァァァン

凛「うわあっ!?」

ズドォォォォォン

890: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:58:21.50 ID:thEDAD/20
恵磨『特大威力のブラストバーンが炸裂ゥー!!』

シュゥゥ……

フッ

チャーレム「チャー」バタンキュー

恵磨『チャーレム、戦闘不能ーー!!』

恵磨『チャンピオン・蘭子!! 3対1からの状況からイーブンに持ち込んだァ! 残すはゲッコウガのみぃぃ!!』

凛「な……」

凛「そんな……」

凛「メガシンカしても、敵わなかった……!?」

凛(ポケモンリーグ直前で仲間になったチャーレムと私じゃ、蘭子のリザードンには届かなかったの……?)

凛(それにあの姿は……メガシンカ?)

891: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:59:13.00 ID:thEDAD/20
美玲「ああっ……!」

文香「追い詰めたつもりが、逆に追い詰められてしまいましたね」

幸子「しかし、今のはいったい……?」

晶葉「ふむ……こんなことがあり得るのかわからないが」

晶葉「まさかあのリザードンは2つの姿にメガシンカできるのだろうか……?」

志希「うーん……まだまだ未知の部分が多い生物だし、まぁあり得ない話ではないかもねぇ」

凛「お疲れ、チャーレム」

凛「……」

892: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/13(金) 23:59:48.13 ID:thEDAD/20
カチャ

凛「やっぱり最後は、アンタが出てくることになるんだね」

凛「みんなの思い……無駄にはしない! お願い、ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ!」

恵磨『さあ! 今年のチャンピオン決定戦もいよいよ大詰め! 勝負はお互いのエース、リザードン対ゲッコウガの対決になりました!!』



真奈美「蘭子……やはり強いな」

モバP「ああ」

893: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/14(土) 00:00:26.62 ID:sUgMM+7E0
モバP「チャンピオンに君臨する者としての覚悟、そして勝利に飢えた眼。オレまで鳥肌が立ちそうだ」

モバP「それに、あの力……メガシンカ、だっけか」

モバP「原理とかはよくわからないけど、面白い要素だね。しかしまさか凛も使えるとは……」

真奈美「モバP」

真奈美「実は凛にメガシンカの力を与えたのは私なんだ」

真奈美「といっても、メガシンカに必要なキーストーンは元々ちひろの持ち物だったんだけどね。凛なら正しくその力を使ってくれると判断したんだ」

真奈美「正直、あれを使えば凛はもっと楽にチャンピオン決定戦までたどり着いていただろう。その過程でチャーレムと呼吸を合わせられるようになっていれば、もしかしたらリザードンを倒せていたかもしれない」

894: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/14(土) 00:01:27.61 ID:sUgMM+7E0
真奈美「だが彼女には彼女なりのプライドがあった。それはこれまで戦ってきた相手に誤解を生むことにも繋がりかねなかっただろう」

真奈美「特に未央……彼女のことだ、この状況をどう捉えているのだろうか」

真奈美「それでも、私は彼女にメガシンカの力を預けてよかったと思っているよ」

モバP「……そうか」

モバP「……なんだかすごく誇らしいよ。凛があんなにたくましくなって、な」



凛(チャーレムが粘ってくれたおかげで陽射しも弱まった)

凛(オボンのみがないのは不安だけど)

凛(やるしかない……ここまで来たなら)

凛「ゲッコウガ!」

899: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:35:25.54 ID:79G9vuf00
投下します
蘭子戦、最終ラウンドです




凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

蘭子「蒼炎をもって焼き尽くせ!!」

メガリザードンX「リザァ!!」ボォォ

ジュゥゥ・・・・・・

シュー

蘭子「水蒸気……目眩ましか!」

900: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:36:14.51 ID:79G9vuf00
凛「そうだよ……つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」フッ

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

恵磨『ゲッコウガ、素早い身のこなしでリザードンの懐に殴り込んだァ!』

蘭子「小癪な!!」

メガリザードンX「リザ……!」バサッ

蘭子「我らの翼を奪うことはできないわ!!」

蘭子「『空気の刃』よ!!」

901: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:36:47.54 ID:79G9vuf00
メガリザードンX「リザ!」シュッ

ゲッコウガ「ゲコ!?」スパッ

瑞樹『でも切り返しを食らっちゃったわね。相変わらず隙がないわ』

ゲッコウガ「ゲコ……」ズザァ

凛(……耐えるんだ)

凛(たしかにメガリザードンは隙がない)

凛(でも一瞬……一瞬の綻びを見つけられれば)

凛(勝機はある……!)

902: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:37:16.82 ID:79G9vuf00
凛(パワーでは劣るけど、スピード勝負なら!)

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ダッ

蘭子「逃がすか!」

メガリザードンX「リザァ!!」ボォォ

凛「みがわり!」

ゲッコウガ「ゲコ」ポン

身代わり人形「」ボォォ

903: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:37:47.97 ID:79G9vuf00
蘭子「むー……!」

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

メガリザードンX「リザァッ……」ズドン

凛「体勢を崩した……!」

凛「今だ! ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ……」ゴポォ

904: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:38:36.17 ID:79G9vuf00
ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ドババババ

蘭子「蒼炎の業火よ、激流を焦がせ!!」
  (かえんほうしゃで相殺します!)

メガリザードンX「リザァ!」ボォォ

ズドォォォン

恵磨『炎と水のエネルギーが激しく衝突っ……!』

シュゥゥゥゥ

905: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:39:03.98 ID:79G9vuf00
恵磨『それに伴ってフィールドは水蒸気で覆われました!!』

瑞樹『まるで『しろいきり』を使ったみたいね』

卯月「またフィールドが見えなくなった……」

未央「ゲッコウガは……?」

蘭子「……」

フッ

蘭子「そこか!!」

906: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:39:33.82 ID:79G9vuf00
メガリザードンX「リザァ!!」バシィ

ゲッコウガ「ゲコ!?」

恵磨『リザードン、シッポの一振りでゲッコウガを吹き飛ばした!!』

凛「受け身で着地!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ドンッ

ズザァッ

凛「よし……その反動で飛びかかって!」

907: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:40:05.07 ID:79G9vuf00
ゲッコウガ「ゲコ!」バビュン

瑞樹『またリザードンに急接近……!』

凛「つばめがえし!!」

ゲッコウガ「ゲコ!!」ズバッ

メガリザードンX「リザァッ……!」

蘭子「くぅぅ……!」

恵磨『決まったーー! 攻撃の反動で切り返したゲッコウガのアッパーカットだぁぁ!!』

908: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:40:33.44 ID:79G9vuf00
ワァァァァァ

美玲「すげえ……」

幸子「息もつかないとはこういうことなのでしょうね」

乃々「お、追いつかない……」

輝子「フヒ……!」

凛「決まった……!」

蘭子「……」

蘭子「見事なカウンターだわ」

909: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:41:08.36 ID:79G9vuf00
蘭子「でも……無闇に近づいたのが仇となったわね!」

メガリザードンX「リザ」ガシッ

ゲッコウガ「!?」

蘭子「翼竜よ、蒼穹の果てまで誘え!!」

メガリザードンX「リザァッ!!」ビュン

ゲッコウガ「――――!」

凛「ゲッコウガッ!」

ゴォォォォォ

910: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:41:38.35 ID:79G9vuf00
恵磨『こ……これはまさか……』

蘭子「『ちきゅうなげ』!!」

メガリザードンX「リザァッ!」ブゥン

……………………

ヒュゥゥゥゥゥゥ

恵磨『ゲッコウガが……まるで流星のように』

ズドォォォォォン

恵磨『フィールドに落下ーー!!』

911: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:42:35.32 ID:79G9vuf00
ワァァァァァ

ゲッコウガ「……」

凛「……!」

蘭子「さあ、今度こそ! 大いなる闇の炎に跪け!!」

蘭子「そして今一度示すのだ! 魔王の威光を!!」

蘭子「『ブラスト・バーン』!!!」

メガリザードンX「……」グォッ

メガリザードンX「リザァァァァ!!!」

912: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:43:12.46 ID:79G9vuf00
ボォッ

カッ

ズドォォォォォン

凛「……」

ボォォォォ

志希「あっつぅ……!」

茜「ひええ……ここまで熱風が……!」

晶葉「これは……ひとたまりもないな……」

913: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:44:30.34 ID:79G9vuf00
シュゥゥゥゥ……

………………

ゲッコウガ「……」

卯月「……!」

未央「……そ、そんな……」

恵磨『き……決まったーーー!!』

恵磨『凛選手、善戦しましたが! チャンピオン・蘭子のリザードンが3タテ!!』

恵磨『圧倒的な強さを見せつけ……チャンピオンの座を防衛しました――』

914: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:45:15.30 ID:79G9vuf00


凛「ちょっと待って!!」



恵磨『え……?』

瑞樹『……?』

蘭子「……?」

凛「よく見てよ……まだ終わってないじゃん」

シュゥゥ……

ウニュニュニュ

915: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:46:06.97 ID:79G9vuf00
蘭子「な……!?」

パチン!

未央「え……?」

こずえ「ゲッコウガ……消えちゃった?」

文香「いえ……元からそこにいなかった……のでしょうか?」

幸子「そこにいなかった……? でもゲッコウガは確かにリザードンに掴まれていたはず――」



真奈美「まさか……あのゲッコウガはみがわり……だったのか?」

ありす「ですがみがわりとは、先ほどのように人形を差し出す技なのでは……?」

916: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:47:15.68 ID:79G9vuf00
モバP「ああ、だがあのゲッコウガは……確かにみがわりだった」

モバP「それも本物そっくりの、な」

晴「そ……そんなことができるのか!?」

モバP「……」

モバP「これはオレの仮説だが」

モバP「普通のみがわりは体力の一部を犠牲にして発動させる。そのエネルギーから生まれるのは似ても似つかない人形程度だ」

ありす「そ、そうですね」

モバP「だがもし……」


志希「『普段以上のエネルギーを使ってみがわりを作ったなら?』」

917: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:48:51.53 ID:79G9vuf00
卯月「……!」

晶葉「上だ!」

ゲッコウガ「ゲコ……」ゴゴゴゴ

美玲「なっ……あれは……」

卯月「みずしゅりけん!? でもゲッコウガの何倍も大きい……!」

輝子「で、でっかい……」

乃々「あんな大きなみずしゅりけん、どうやって……?」

志希「あれもエネルギー量うんぬんの話だねぇ」

志希「普通のみずしゅりけんはエネルギーを分散させて連続攻撃する技だけど。もしも」


モバP「『エネルギーを一点に集中させてみずしゅりけんを発動したなら?』」

918: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:49:32.52 ID:79G9vuf00

凛「いけえええぇぇぇ!!!」


ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」ブゥン


蘭子「――!」

メガリザードンX「リザ――」

カッ

ズドォォォォォン

919: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:50:00.04 ID:79G9vuf00
『…!』

『…………!』

『………………!!』

シュゥゥ……

フッ

リザードン「リザ……」ドサッ

恵磨『……な』

恵磨『なんという……どんでん返しでしょうか』

920: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:50:34.81 ID:79G9vuf00
恵磨『リザードンが倒れ、立っているのはゲッコウガ……!』

恵磨『勝者……』

恵磨『凛選手ゥゥゥ!!!!』

ドワァァァァァァァァァァァァァ

卯月「……」

未央「……」

未央「……し、しぶりんが」

卯月・未央「「勝ったぁぁぁーーー!!!」」

921: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:51:04.14 ID:79G9vuf00
凛「や……やった……」

凛「やったんだ……!」

ガクッ

凛「……!」

バッ

凛「あ……」

922: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:51:35.84 ID:79G9vuf00
ゲッコウガ「ゲコ」

凛「ゲッコウガ……」

凛「……ふふ、前とは逆になっちゃったね」

凛「ゲッコウガ……ありがとう。本当に……ありがとう」

ゲッコウガ「ゲコ」

蘭子「……」シュゥゥ

蘭子「……見事。見事であった。我が魔力をもってしても敵わない、光の勇者よ」

923: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:53:45.14 ID:79G9vuf00
蘭子「最後の最後まで希望を捨てず、無限の可能性を願い、常識を覆さんと抗う姿……美しかったわ」

蘭子「誰もが夢に祈り、待ちわびた約束の地。己が歩んだ道の果て。いかなる光にも劣らぬ至高の玉座……その座に相応しいのは」

蘭子「凛、貴方よ」

凛「蘭子……」

蘭子「故に――誇れ、我が友よ! 己が身をこの玉座に導いた、その手腕、その頭脳!」

蘭子「そして……ポケモン達への愛を!!」

924: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:54:14.27 ID:79G9vuf00
凛「……!」

『すげええええーーーーー!!』

『新チャンピオンの誕生だーー!!!』

ドワァァァァァァ






ずっと、蘭子に憧れていた

925: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:54:53.40 ID:79G9vuf00
美玲「すげえ……かっこよすぎるぜ……!」

乃々「も、もりくぼも……あんな風になれるかな……?」

輝子「フヒ……すごいバトルだった」

幸子「ボク、このバトルはずっと忘れないと思います……!」



私もああなりたいって、ずっと思ってた



茜「凛ちゃん……凛ちゃん……えぐっえぐっ」

文香「とても、感動しました。未だに心が打ち震えています」

こずえ「……ふふ……」

926: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/17(火) 21:56:14.57 ID:79G9vuf00

だけど今は……胸を張っていえるよ


晴「もうすげえとしか言えねえぜ!」

ありす「同感です。私……これから、凛さんを目標にしたいと思います」

真奈美「その意気だ。凛をも超えるトレーナーになってくれよ」

モバP「全く……お前は本当に凄い奴だよ」


蘭子とはちょっと違うかもしれないけど


未央「次は絶対負けないからねー!」

卯月「凛ちゃん、おめでとう!」



私は私が思う、チャンピオンになれたんだって……!

928: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:53:27.31 ID:WK9Szz3V0
投下します





ポケモンリーグから1ヶ月後、アマミタウン

凛「……」

未央「おっ、いたいた!」

未央「おおーーい! しぶりーん!」

卯月「凛ちゃーん!」

凛「あ、未央、卯月」

未央「いやー、こうして3人で集まるのも久しぶりだなあ!」

卯月「本当だね。1ヶ月ってこんなに長かったんだなって」

凛「ふふっ、確かにね」

929: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:53:57.55 ID:WK9Szz3V0
凛「みんな、元気だった?」

未央「そりゃあ、ちゃんみおのトレードマークは元気ですから!」エッヘン

卯月「私も元気だったよ!」

凛「そう、それはよかった」

未央「――で、こうやって集まろうって声をかけてくれたのはしぶりんだったわけだが」

凛「うん、なんか……皆、今何してるんだろうってふと思ってさ」

凛「近況報告、したいなって」

930: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:54:24.34 ID:WK9Szz3V0
未央「うんうん、私もそろそろそういうのやりたいなーって思ってた!」

未央「そう言うしぶりんは何してたの?」

凛「私は……そうだね、アイマスでまだ行けてなかった町とかを旅していたかな」

凛「そうだ、レオン島も行ってきたよ」

未央「おおー、どうだった?」

凛「寒すぎてとても耐えられなかったよ。ほのおタイプのポケモンも持っていなかったし……」

931: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:55:03.64 ID:WK9Szz3V0
凛「未央はあんな場所、よく行けたよね」

未央「ふっふっふ、元気があれば何でもできる、ってね!」

未央「しまむーはポケモンコンテスト、だっけ?」

卯月「うん、今はまたガナハで師匠の家に居候させてもらってるんだ」

凛「この前テレビで見たよ。『ポケモンコンテストに新星・P.C.S.現る!』って紹介されてたね」

卯月「あはは……あれ、見ててくれたんだ……」

未央「テレビに出てたんだ! しまむーすごい!」

932: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:55:45.58 ID:WK9Szz3V0
未央「でもピーシーエスって何の略なの?」

卯月「ピンク・チェック・スクールって言うんだけど……コンテストで仲良くなった美穂ちゃんと響子ちゃんって子がいて、その2人のコンテストでの衣装がピンクチェックのドレスなんだ」

卯月「私もその衣装が可愛いなあって思って着始めたんだけど、そのおかげで3人で一括りにされることが多くて。いつの間にかチーム名みたいに浸透しちゃってたんだ」

凛「へえ、そうだったんだ」

卯月「まあ、でも、みんな持ち上げすぎというか何というか……えへへ、恥ずかしいなあ」

未央「なんだ~、まんざらでもなさそうじゃん」

933: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:56:51.57 ID:WK9Szz3V0
凛「いい友達を見つけたんだね」

卯月「うん、毎日たくさん新しい発見があるから楽しいよ!」

卯月「未央ちゃんは何してるの?」

未央「私はね、シジョウで今も特訓してるんだー。来年こそチャンピオンになりたいからね!」

未央「あと、しまむーと参加したバトルライブ、ってあったじゃん? あれのシングルバトルにも挑戦してるところ!」

卯月「へえ、そうなんだ」

凛「何というか、バトル漬けって感じだね」

未央「そうそう、そんな感じ!」

934: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:57:34.01 ID:WK9Szz3V0
未央「あ、でもこの前ね、シジョウにヘレンがやって来てさ」

凛「ヘレンって……シンデレラ団の幹部だった?」

未央「そうそう。『あなたは私のライバル。あなたのいる場所には常に私もいると思っておきなさい(ドヤァ)』とか言われて、ちょっと付きまとわれてるんだ……あはは」

卯月「うわあ、何というか……」

凛「大変そうだね……」

未央「まあ、もう負けることはないし、何だかんだでいい修行相手だと思ってるから、ちゃんみおは大丈夫だよ!」

凛「そっか」

935: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:58:11.68 ID:WK9Szz3V0
凛「……」

卯月「……どうしたの、凛ちゃん?」

凛「……あのさ」

凛「実は2人に話しておきたいことがあって……」

卯月「?」

未央「?」

936: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:59:01.74 ID:WK9Szz3V0

未央「ええええええええーーーーー!?」


卯月「凛ちゃん、アイマスを出ていくの…!?」

凛「うん。……あ、別にアイマスとか皆が嫌いになったわけじゃないよ」

未央「い、いやいや、それはわかっているけど!」

未央「急に言われたらそりゃビックリするよ!」

未央「それに今はしぶりんがアイマスのチャンピオンなんだし……」

卯月「ど、どうして、アイマスを出ていこうと思ったの?」

凛「うん。……さっき、行ったことのない町とかを巡っていたって言ってたけど」

凛「その時に1人のトレーナーと戦ったんだ」

937: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 21:59:38.75 ID:WK9Szz3V0
…………………………………………………

凛「……」ザッザッ

??「ねえ、そこのトレーナーさん」

凛「? ……私?」

??「ええ、そうです」

??「突然すみません。見たところ、とても強そうなトレーナーだと思って、声をかけさせてもらいました」

楓「私、楓と申します。よければ、私とポケモンバトルをいたしませんか?」

938: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:00:11.18 ID:WK9Szz3V0
凛(楓……)

凛(見ただけでもわかる。この人、かなりの腕前だ)

凛(でもポケモンリーグにはいなかったような……)

凛(いや、そもそも私のことを知らない……?)

凛「ポケモンバトルだね。うん、いいよ」

楓「では、お互いに手持ちは2匹ずつ、2匹とも倒れたら終了という形でいきましょうか」

凛「いいよ」

939: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:01:26.12 ID:WK9Szz3V0
楓「それでは……いきますよ、アーマーガア!」ポン

アーマーガア「ガァー!」

凛「!?」

凛(何……あのポケモン!?)

凛(初めて見るポケモンだ……きらりや杏みたいに、遠い地方のポケモンを使うトレーナーだろうか)

凛(……油断できないな)

凛「……ムクホーク、よろしく!」ポン

940: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:02:03.87 ID:WK9Szz3V0
ムクホーク「ムクホー!」

楓「ムクホークですか。……」

楓「ムクホークに、向くホーク……」クスッ

…………………………………………………………



凛「正直に言うとね」

凛「……全く歯が立たなかった」

941: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:02:44.78 ID:WK9Szz3V0
卯月「そ、そんな……」

未央「あのしぶりんが負けたなんて……」

未央「だ、だって、しぶりんはチャンピオンになったんだよ? そんなしぶりんより強いなんて……」

凛「うん。私も最初はすごくショックだった」

凛「……でもね、逆に嬉しかったんだ」

卯月「え? どういうこと?」

942: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:03:31.50 ID:WK9Szz3V0
凛「私、ずっと目的を失っていたから」

凛「夢に見たチャンピオンになれた。たくさんの人が私を祝福してくれた。でも私は、チャンピオンになった後のことを何も考えていなかった」

凛「このままずっとアイマスに残って、一番強いトレーナーを名乗り続けるのかなって、ぼんやり考えてたんだ」

凛「でもそんなときに、楓さんっていうトレーナーと会った」

凛「あの人、ずっと遠い地方で修行をしていて、たまたまアイマスに帰ってきていたから、私がチャンピオンだっていうことを知らなかったみたい」

凛「あの人に負けて、私が見ていた世界はまだまだ小さかったんだなって気付けた。世界にはもっと強いトレーナーがいるし、見たことのないポケモンもたくさんいる」


943: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:04:16.65 ID:WK9Szz3V0
凛「私は、もっと新しい景色を見たい。そう思えたんだ」

凛「それに見たことのないポケモンを調べるのは、モバPの手助けにもなるしね」

卯月「凛ちゃん……」

凛「チャンピオンの座がどうなるのかは、また蘭子とかに相談しないといけないけど」

凛「近いうちにアイマスを出て、楓さんが修行していた地方――ガラル地方、って言ってたっけな、そこに向かうつもり」

凛「明日からジムリーダーの皆にも挨拶しに行くんだけど、その前に2人とも会っておきたいなって思って」

944: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:05:00.59 ID:WK9Szz3V0
卯月「そういうことだったんだ」

未央「そっかー……」

未央「はあー。なんか、しぶりんがアイマスからいなくなるって、想像つかないなぁ」

卯月「そうだね。……私も正直、寂しいな」

卯月「でも凛ちゃんが決めたことだし、凛ちゃんの夢だもんね。私は応援するよ」

未央「うんうん、私も!」

945: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:05:38.23 ID:WK9Szz3V0
凛「ありがとう、2人とも」

凛「いつ帰ってこれるかもわからないけど、もう帰ってこないってわけじゃないし。帰ってきたら、また3人で集まりたいな」

卯月「うん、集まろう! お土産話、たくさん聞かせてね!」

未央「話だけじゃなくてお土産も、ね!」

凛「ふふっ」

卯月「凛ちゃん」

凛「?」

946: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:07:06.08 ID:WK9Szz3V0
卯月「例え離れ離れになっても、私たちはずっと3人で一緒だよ」

未央「そうそう、いつも心の中には私たちがいるよ!」

未央「それにしぶりんなら、きっと向こうでもすごくビッグになれるよ!」

未央「そうなったら、絶対またバトルしようね!」

凛「卯月、未央……ありがとう」

卯月「ううん、凛ちゃん、頑張ってね!」

未央「よーし! じゃあ今日はしぶりんの船出を祝ってパーティーだー!」

凛「ふふっ、未央ったら大袈裟だよ」

……………………………………………

未央「それじゃ、しぶりんの無事を祈って……」

卯月・凛・未央「「「カンパーイ!」」」

947: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:08:01.30 ID:WK9Szz3V0
キサラギシティ

凛(日菜子……いるかな?)

凛「お邪魔します」ガチャ

日菜子「あ、凛ちゃん!」

凛「日菜子、久しぶりだね」

日菜子「お久しぶりですねぇ。新チャンピオンの祝賀会以来ですか」

日菜子「まさか来るとは思ってなかったです。それで、どうかされましたか?」

凛「うん、実は……」

カクカクシカジカ

日菜子「……そうだったんですか」

日菜子「寂しいですけど、凛ちゃんの選んだ道ですもんね。日菜子も応援しています!」

凛「うん、ありがとう」

948: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:08:42.11 ID:WK9Szz3V0
凛「日菜子には家に泊めさせてもらったこともあったし、シンデレラ団の件でもお世話になりっ放しだったね」

凛「今まで本当にありがとう」ペコ

日菜子「いえいえ~、日菜子も凛ちゃんと会えて本当によかったです!」

日菜子「ガラル地方かあ……どんなポケモンがいるんだろう……王子様みたいなトレーナーはいるかなあ……」ホワホワ

凛「あ、あはは……」

凛(相変わらずだなあ……)

凛「それじゃ、私は行くね」

日菜子「ええ、どうかお元気で!」

日菜子「またいつでも泊まりに来て下さいね~!」

949: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:10:04.23 ID:WK9Szz3V0
キクチシティ

凛「たしか灯台の方に……」

凛「あれ、いないな。どこにいるんだろう……?」

ほたる「……もしかして、凛さん、ですか?」

凛「?」

凛「あ、ほたる!」

ほたる「お久しぶりです、凛さん」

凛「こちらこそ、久しぶり。町……随分綺麗になったね」

ほたる「はい。災害の数も、以前よりめっきり減りました」

ほたる「もし何かが起こったら、すぐに町の人も協力してくれて……。これも凛さんのおかげです」

凛「ううん、ほたるの頑張りがあってこそだよ」

950: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:10:55.55 ID:WK9Szz3V0
ヤミカラス「ヤミー!」バッサ

凛「……そのポケモンは?」

ほたる「ああ、私がこの町に来る前からパートナーだったヤミカラスです」

ほたる「一時期はいなくなっていたんですけど、凛さんとのジム戦を終えたあとに戻ってきてくれたんです」

ほたる「もしかしたら、凛さんが連れ戻してくれたのかも……」

ヤミカラス「ヤミー!」

凛「そうなんだ、それはよかったね」

951: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:11:30.18 ID:WK9Szz3V0
ほたる「ところで、今日はどうかされたのですか?」

凛「ああ、実はね」

カクカクシカジカ

ほたる「そうでしたか」

凛「うん、それでこうして挨拶に回ってるんだ」

ほたる「凛さんは本当に誠実なお人ですね」

ほたる「私自身、凛さんにお会いできたからこそ、今の私があると思っています」

ほたる「きっと凛さんだったら、遠い地方に行ってもたくさんの人を笑顔にできる……そう思います」

ほたる「だから凛さん、遠くに行っても頑張って下さいね」

凛「ほたる……ありがとう」

ほたる「凛さんが戻って来られたら、もっとキクチを自慢できるように、私も頑張ります!」

凛「うん、頑張ってね」

凛「それじゃ、そろそろ行くね」

ほたる「はい。わざわざありがとうございました。どうかお元気で……!」

952: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:12:11.04 ID:WK9Szz3V0
よみのとう

凛(ハナコにも挨拶しておかないとね……)

凛(……)

凛(よし、次はハギワラシティか)

凛(……ん? あれは……小梅?)

小梅「……」パタパタ

凛「小梅」

小梅「あ……」ハッ

953: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:13:01.92 ID:WK9Szz3V0
小梅「凛さん……お久しぶりです」

凛「こちらこそ。そっか、この塔の管理をしてるんだっけ」

小梅「はい、そうです……今はちょっと、お掃除を」

凛「ちょうどよかった。小梅にも話しておきたかったんだ」

小梅「……?」

カクカクシカジカ

小梅「なるほど……だから、お墓にも挨拶しに来られたんですね……」

凛「うん、そうなんだ」

小梅「すごいなあ……凛さんのこと、ますます尊敬しちゃいます……」

小梅「どうか気をつけて……行ってきて下さいね。……あ」

凛「?」

小梅「……お友達も、凛さんのこと応援してくれてる……」クスッ

凛(小梅って……本当に何か見えているのかな?)

954: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:13:47.84 ID:WK9Szz3V0
ミウラシティ

凛(たしかここが晶葉のラボだったはず)

凛「失礼します」ガチャ

晶葉「ん?」

晶葉「おお、凛じゃないか!」

裕子「あ、凛ちゃん! こんにちは!」

凛「あ、ユッコもいたんだ」

裕子「ええ、晶葉ちゃんに手伝ってほしいと頼まれまして!」

晶葉「ちょうどよかった。凛に伝えたいことがあったんだ」

955: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:14:58.22 ID:WK9Szz3V0
晶葉「凛、君は『ダイマックス』という現象を知っているか?」

凛「ダイマックス……? 聞いたことないな」

晶葉「ダイマックスというのは、ある地方でポケモンが超巨大化する現象を指している言葉なんだが」

晶葉「ポケモンリーグできらりが特大サイズのホエルオーを使っていただろう? 一説によると、あのぐらいのサイズまで大きくなるらしいんだ」

凛「え……ポケモンが巨大化するの?」

裕子「すごいですよねー、元々は普通のサイズなのにバトル中だけ大きくなるみたいなんです。サイキックの力なんでしょうか?」

晶葉「で、どうやらダイマックスすると特殊な姿に変化するイーブイがいるらしいんだ!」

956: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:15:45.57 ID:WK9Szz3V0
晶葉「たしか、そのダイマックスという現象が発見されたのは、ガラル地方という土地だったような……」

凛「ガラル地方!?」

晶葉「あ、ああ、そうだが。どうしたんだ、そんなに驚いて」

凛「いや、実は……」

カクカクシカジカ

晶葉「何と! ではこれからそのガラルに赴くというのか!」

凛「うん、そうなんだ」

凛「ダイマックスするポケモンがいるなんて知らなかったけど……」


957: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:17:03.16 ID:WK9Szz3V0
裕子「晶葉ちゃんの話を聞く限りだとなんかヤバそうな土地ですけど……凛ちゃん、本当に行くんですか?」

凛「……うん、そのダイマックスっていうのも気になるしね」

晶葉「もし行くなら! どうかダイマックスするイーブイを見つけて連れ帰ってきてはくれないか!?」

晶葉「い、いや、私自身が行けばいいのか! そうか! その手があったか!」

凛「え、ちょっと?」

晶葉「凛、私はたった今決めた! 私もガラルへ行く!」キラキラ

凛「ええ!?」

晶葉「ただ、ちょっと諸々の準備があるから……今すぐにとはいかないが……なるべく早急に!」

裕子「晶葉ちゃん、色めき立ってますね!」

958: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:17:49.96 ID:WK9Szz3V0
裕子「凛ちゃん。晶葉ちゃん、熱中しすぎると周りが見えなくなるから……向こうでも、ちょくちょく面倒見てくれたら嬉しいです」

裕子「あ、それと、ユッコもテレパシーで常に凛ちゃんのこと、応援していますからね!」

凛「う、うん、わかったよ……」

凛(話の展開が急すぎる……)

凛(ダイマックスか……私のポケモン達も、巨大化したりするのかな)

凛(……)

凛(なんか想像できないな……)

959: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:18:51.54 ID:WK9Szz3V0
ミナセシティ

凛「夕美、いる?」ガチャ

夕美「あっ、凛ちゃん!」

夕美「よく来たね、ちょうどお菓子を食べようと思ってたんだ。上がっていってよ!」

凛「いや、気持ちだけもらっておくよ、ありがとう」

凛「今日はちょっと、夕美に報告したいことがあって」

夕美「どうしたの?」

960: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:19:29.31 ID:WK9Szz3V0
カクカクシカジカ

夕美「……そうなんだ」

夕美「そっかあー。凛ちゃん、旅立っちゃうんだね」

夕美「ガラル地方かぁ……どんなお花が咲いてるのかな」

夕美「わざわざ知らせに来てくれたんだね、ありがとう!」

凛「いや、全然いいよ」

凛「……私がいなくなっても、お店のこと、よろしくね」

夕美「うん、もちろん!これからもお世話になります」


961: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:20:18.93 ID:WK9Szz3V0
夕美「そうだ、凛ちゃんにこれ、あげるね!」

凛はグラシデアの花飾りを手に入れた!

凛「これは……」

夕美「グラシデアの花。遠い地方に咲く花で、感謝の気持ちを表しているの」

夕美「昔、シンオウに行ったときに貰ったんだ」

夕美「もし凛ちゃんが辛くなったら……この花飾りを見て」

夕美「そして思い出してほしいの。私達と、アイマスで過ごした日々を」

962: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:21:03.14 ID:WK9Szz3V0
夕美「この花飾り、胸元に飾ってエンブレムみたいにもできるし、帽子にアクセサリーとしてつけるのもいいかもね!」

凛「夕美……ありがとう」

凛(そうだ、前にミナセで帽子を買ってたし、あれにつけてみようかな)

夕美「それとね、つい先日なんだけど、美玲ちゃんと乃々ちゃん、輝子ちゃんに幸子ちゃんが町を旅立ったんだ」

凛「そうなんだ。あの子達にも会いたかったな」

夕美「旅をしてるなら、きっとまたどこかで会えるよ!」

凛「うん、それもそうだね」

963: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:21:41.09 ID:WK9Szz3V0
フタミシティ

凛「肇、いるかな?」

ガチャ

肇「あら、凛ちゃんですか。お久しぶりですね」

凛「肇、久しぶり。今日はちょっと話があって来たんだ」

肇「あら、どうかしました?」

カクカクシカジカ

肇「ガラル地方、ですか」

肇「……あ! それなら……」ガサゴソ

964: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:23:06.49 ID:WK9Szz3V0
肇「餞別といったらなんですが、これ、よかったら使ってほしいです」

チャキ

凛「これは……スプーンとお皿?」

凛「これも肇が作ったの?」

肇「はい、そうです」

肇「以前誰かから聞いたのですが、ガラル地方はカレーが有名な地方らしいんです」

肇「なので、是非ともこのスプーンとお皿で、たくさんカレーを食べてほしいな、って思いまして」

凛「へえ……カレーかあ」

凛「でも本当にもらっていいの?」

肇「はい! 折角なので、たくさん使ってあげてください!」

凛「そういうことなら。ありがとう、肇」ペコリ

肇「いえいえ。遠くに行っても、頑張って下さいね!」

965: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:23:50.75 ID:WK9Szz3V0
ホシイシティ

菜々「あっ、凛ちゃん!」

凛「菜々、久しぶりだね」

菜々「ほんとですねー、凛ちゃん、また一回り大人になった気がします!」

凛「え、そう?」

菜々「はい、ナナも嫉妬しそうなぐらい大人びた感じがします……!」

凛「……」

菜々「……はっ! 何か変なこと言いましたか!?」

凛「い、いや、全然」

966: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:24:50.18 ID:WK9Szz3V0
凛「そうだ、菜々、実はね」

カクカクシカジカ

菜々「凛ちゃんが……そうですか」

菜々「ナナも応援しています! 頑張って下さいね!」

凛「ありがとう、菜々」

凛「そういえば、文香とかこずえとか、奈緒や加蓮は元気?」

菜々「文香ちゃんとこずえちゃんはホシイに戻って来られました。でもまた近いうちに旅に出るかもしれないですね」

967: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:25:33.78 ID:WK9Szz3V0
菜々「奈緒ちゃんと加蓮ちゃんは、今はアイマスにはいないと思います」

凛「え、そうなの?」

菜々「はい。凛ちゃん、ポケモンリーグでメガシンカを使っていたじゃないですか」

菜々「噂によると、奈緒ちゃんや加蓮ちゃんのポケモンもメガシンカする可能性があるみたいで。それを追い求めるために2人はホウエン地方へ行かれました」

凛「へぇ、ホウエン地方……」

菜々「ええ、きっと2人もホウエンで頑張ってると思います!」

菜々「凛ちゃんもいなくなるのは寂しいですけど……ナナ、いつでも待ってますからね!」

凛「うん、ありがとう」

菜々「どうかお元気で!」

凛「うん、菜々も元気でね」

968: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:26:55.64 ID:WK9Szz3V0
シジョウシティ

真奈美「そうか、ガラルへ行くのか」

凛「はい。もっと強くなりたいって思って。それに、ガラルにはまだ私の知らないポケモンもたくさんいると思います」

真奈美「うん、それはいい心構えだ」

真奈美「井の中の蛙、大海を知らず、という諺がある。きっとアイマスのチャンピオンになっただけでは、まだまだ未熟なのかもしれないな。ありす、晴」

ありす「ええ、仰る通りです」

晴「世界にはまだまだ強いトレーナーがいっぱいいそうだもんな!」

969: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:29:35.28 ID:WK9Szz3V0
真奈美「ガラルはポケモンバトルが盛んな土地だと聞いたことがある。向こうでの経験は、きっといい財産になるだろう」

真奈美「チャンピオンの座についてだが、蘭子は今アイマスにはいないらしい。私から改めて連絡を入れておくよ」

真奈美「恐らくリーグ委員会としては、繰り上げで再び蘭子をチャンピオンに、と言いそうだが、問題はそれで本人が満足するか、だな」

真奈美「まあ、この件に関しては心配はいらないよ」

凛「ありがとうございます」

真奈美「それからガラルには……」

凛「?」

真奈美「……いや、これは行ってからのお楽しみの方がいいかもな」

970: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:30:13.87 ID:WK9Szz3V0
ありす「凛さん。いつかアイマスに戻って来られたら、私ともポケモンバトルさせていただけませんか?」

晴「オレも! 是非ともバトルしたいぜ!」

凛「うん、2人ともその意気だよ。絶対、バトルしようね」

真奈美「2人とも、きっといいトレーナーになる。その時は凛、よろしく頼むよ」

凛「はい」

凛「……色々と、お世話になりました」ペコ

971: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:31:04.74 ID:WK9Szz3V0

翌日


キサラギシティ フェリー乗り場

詩織「凛さん、そろそろお時間です」

凛「あ、はい」

凛(晶葉によると、最近のモバPは学会の関係でかなり忙しいらしい)

凛(結局、モバPには挨拶できなかったな……)

凛(モバPだけじゃない。茜や志希、愛梨、蘭子にも直接伝えたかったけど……まあ仕方ないか)

972: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:31:36.86 ID:WK9Szz3V0
詩織「……あら?」

タタタタタ

モバP「凛!」

凛「……!」

凛「モバP……!!」

モバP「ふう、間に合ったよ」ゼーハー

モバP「……凛、ガラルへ行くんだってね」

973: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:32:24.10 ID:WK9Szz3V0
凛「……うん」

モバP「……そうか」

モバP「実は俺もな、この後の船でアイマスを出るつもりだったんだ」

凛「え、そうなの?」

モバP「ああ。前にアローラ地方がどうとか……って話をしただろ?」

モバP「あの後、会議でやっと皆の許可をもらえてさ、晴れて行けることになったんだよ」

凛「そうなんだ」

モバP「まあ、皆からは『せいぜいバカンスを楽しんでらっしゃい』って皮肉られっぱなしだけど……」

974: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:33:10.21 ID:WK9Szz3V0
凛「……ふふっ」

モバP「何だよ、凛まで笑うのかよ」フン

モバP「……それで、もしよかったら、凛も一緒に来ないか、って言いたかったんだけど……」

凛「……!」

凛「……バカ、遅いよ……」

モバP「ご、ごめんよ」

凛「……」

凛「……あ、あの」

モバP「?」

975: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:33:53.72 ID:WK9Szz3V0
凛「ガラルにも、見たことのないポケモンがたくさんいるんだよね」

凛「私、ガラルのポケモンの情報とか集まったら、すぐモバPに連絡するね」

モバP「本当か!? それは助かるよ!」

凛「だから、その……モバPも、アローラだっけ、遠くに行っても……頑張ってね」

モバP「凛……」

モバP「……」

976: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:34:31.34 ID:WK9Szz3V0
モバP「その帽子……似合ってるな」ポン

凛「へ!?」

モバP「……うん、俺も頑張るよ。だから凛も……元気でな」

凛「……!」カァーッ

詩織「あ、あの……」

凛「……はっ、そうだった」

凛「詩織さんごめんなさい! すぐ行きます!」

977: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:35:12.96 ID:WK9Szz3V0
凛(モバP……)

凛(私、皆が自慢できるトレーナーになりたい)

凛(皆だけじゃない、モバPにも似合うトレーナーになりたい)

凛(私、頑張るよ)

凛(だから……ずっと、見守ってて)

凛「モバP!」

モバP「……!」


凛「……またね!!」

978: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:36:17.13 ID:WK9Szz3V0


ヒダカタウン



??(1ヵ月前のあの日の事は、よく覚えている)

??(部屋の小さなテレビの中で繰り広げられる、ポケモンリーグチャンピオンと挑戦者の頂上決戦)

??(食い入るようにテレビを見ていたっけ)

??(挑戦者がチャンピオンを破って、頂点に立ったあの姿……私にはとても輝いて見えた)

??(それを見てからかな……私もポケモンを持って、旅をしたいと思うようになった)

??(そして、あの人と戦いたいと思った)

979: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:36:50.58 ID:WK9Szz3V0
??(あの人が見た景色を、私も見たいと――)

「悠貴ー、朝ごはんできたわよー」

悠貴「はーい!」

悠貴(ついに今日……)

悠貴(いよいよ始まるんだ……)

悠貴(私だけの物語が!)


980: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:37:31.10 ID:WK9Szz3V0



きらり「……ねえ、杏ちゃん」

杏「ん?」

きらり「きらりん、この大会が終わったらね――」

きらり「アローラへ行こうと思うの」

杏「……!」

きらり「杏ちゃん、ずっと行きたいって言ってたよね。でもきらりんはアイマスが好きだから……なんか、離れたくなかったんだにぃ」

きらり「でも……凛ちゃんとバトルして、きらりんもアローラに行かなきゃ、って思ったの!」

981: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:38:07.46 ID:WK9Szz3V0
きらり「アローラにはね、ジムが無いんだってー! そういうのもずっと気になってたにぃ!」

きらり「それにキテルグマちゃんやネッコアラちゃんのお友達もたくさんいるかもしれないし!」

きらり「……きらりん、もっともっと広い世界を見たいにぃ」

きらり「だから杏ちゃん……ついてっちゃ、ダメ?」

杏「……」

杏「そんな頼まれ方されたらノーって言えるわけないじゃん……」

杏「うん。行こう。その代わり――」

きらり「??」

982: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:38:44.54 ID:WK9Szz3V0
杏「大会が終わったら、じゃなくて、今すぐ出発しよう。行動は早いに越したことはないからね」

杏「あと、向こうでも移動の時は杏をおぶっていくこと。……いいね?」

きらり「……!」キラキラ

杏「……!」ビクッ

きらり「杏ちゃぁぁぁぁん!」

杏「うわぁ! う、嬉しいのはわかったからはなせー!」

きらり「にょわーっ☆」

983: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:39:25.96 ID:WK9Szz3V0



美玲「……いよいよだな」

輝子「フヒ……やっぱり、いずれはみんなバラバラに旅することになるのかね」

乃々「一人旅なんてむーりぃ……」ショボーン

美玲「ウ、ウチだって怖いし寂しいし不安だよ! でもいつまでも3人ずっとってわけにもいかないし…」

輝子「……」

乃々「……」

美玲「お、お前らもっと元気出せよ……きっとまたどこかで会えるだろうしな」

輝子「フヒ……まあそうだな」

乃々「そうだといいですけど……」

984: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:40:24.72 ID:WK9Szz3V0
輝子「なあ、そういえば幸子は?」

美玲「ああ、あいつはもう昨日に町を出たよ。『一人でも大丈夫ですもんね~』って意地張ってたけど」

乃々「幸子ちゃんらしいというか…」

輝子「……んじゃ美玲ちゃん、私らも行こうか」

美玲「おう、そうだな」

美玲(ここから始まるんだ……ウチらと、ポケモンたちの物語が)

美玲「…………めざせ!」



「「「ポケモンマスター!!!」」」

985: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/22(日) 22:42:09.72 ID:WK9Szz3V0
ED曲 つぼみ



というわけでこれにて完結です

一度は打ち切られたストーリーをエンディングまで導きたかった、という理由で許可を頂き、書き始めたSSでしたが、構想含めて約半年、大変だったけれど楽しかったです

私は虎の威を借りた狐の身だったので偉そうなことは何も言えませんが、読んでいて面白かったと感じられた方、アイマスやポケモンが更に好きになった方が一人でもいてくれたら嬉しいです

もう少ししたらHTML化依頼するのでそれまで残りのレスは好きにしてください
ガラルのポケモン全然出せてないしシャニマスの子らも登場させたかったので気が向いたら続きを書くかも…ということで



それではこれにて
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました