1: 名無しさん 2020/08/15(土) 23:59:22.270 ID:RCHMXK0U0
【エンジェル珈琲】


サターニャ「今日は我が最大のライバル、ガヴリールを倒すための作戦会議に集まってもらったわ」

ラフィエル「…………」

ヴィーネ「…………」

サターニャ「あのにっくき天使ガヴリールをどうしたら泣かせる事ができるのか私たちで考えるのよ!」

ガヴリール「お水おもちしましたー」コト

ヴィーネ(なぜ敵地で作戦会議を開くのか……)

サターニャ「サタニキア軍点呼!」

ラフィエル「いち」

ヴィーネ「に、にー」

サターニャ「よし!」

ヴィーネ「軍少な」

サターニャ「今日は私の奢りよ。好きなもの頼みなさい」

ラフィエル「ガヴちゃん。スマイルひとつお願いします」

ガヴリール「100万円です」

ラフィエル「サターニャさん、100万円ですって」

サターニャ「メニューにあるもので頼みなさいよ!」

引用元: ・ガヴリール「へいらっしゃっせーい」

2: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:03:24.158 ID:JWgNbjD00
ヴィーネ「私はブレンドコーヒーとビスコッティね」

ガヴリール「へい」

ラフィエル「うーん、メニューにあるものですか……ガヴちゃんに接待して貰えるサービスはいくらですか?」

ガヴリール「そんなサービスは無い」

サターニャ「ガヴリールが這いつくばって私を崇めるサービスをお願いするわ!」

ガヴリール「お前こそメニューから選べよ」

サターニャ「私は常連客だから特別メニューの注文が許されてるのよ。んなーっはっはっは!」

ガヴリール「マスター、こいつに出禁サービス提供していいですか」

マスター「て、天真くん出禁はサービスじゃないよ」

ラフィエル「かわいい店員さんを膝に乗せるサービスは?」

マスター「そういうのもやってないかな……」

サターニャ「なによこの店。全然サービスないじゃない」

ヴィーネ「喫茶店をなんだと思ってるのよあんたたち」

サターニャ「それならこの店で一番高いものをちょうだい」フフ-ン

ガヴリール「うーい、ガヴちゃんスマイル100万円入りまーす」

サターニャ「いらないわよ!!」

3: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:07:10.103 ID:JWgNbjD00
ラフィエル「では私もヴィーネさんと同じブレンドコーヒーで、あとスコーンをセットでお願いします」

ガヴリール「わかった。サターニャは?」

サターニャ「じゃあこのセイロンティーってやつにするわ」

ガヴリール「ミルクとレモン選べるけどどっち?」

サターニャ「はぁん? あんた仮にもここで働いてる店員でしょ?」

ガヴリール「あぁ?」

サターニャ「お客様が言わずとも鋭い感を使ってお出ししてこそプロの仕事なんじゃないの?」ニヤ

ヴィーネ「唐突な店員いびり」

ガヴリール「湯」ドン

ガヴリール「茶葉」ドン

ガヴリール「受け皿」ドン

ガヴリール「後は自分でやれ」

サターニャ「せめてカップは持ってきなさいよ!!」

ガヴリール「ちっ」

サターニャ「イヤイヤ持ってくるな!」

4: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:10:28.848 ID:JWgNbjD00
サターニャ「ったく、自分で茶を入れさせるなんてとんでもない店ね……」

ヴィーネ「あなたは今とんでもない客側になってるわよ」

ラフィエル「そういえば、サターニャさん知っています? カップの受け皿は一杯分のお茶がちょうど入る大きさに作られているんですよ」

ヴィーネ「え、そうなの?」

サターニャ「絶対嘘でしょ。どう考えてもこぼれるじゃない」

ラフィエル「うふふ、ではお湯をお借りしますので見ててくださいね。まずはこれがカップ一杯分です」

ラフィエル「そしてこれをお皿に移すと……」トポトポトポ

サターニャ「お、おぉ……」

ラフィエル「はいっ、ぴったり入りました」

受け皿『』ナミナミ

サターニャ「すごーい! 面白いわね!」

ラフィエル「では、どうぞお召し上がり下さい」

サターニャ「皿で!?」

ラフィエル「さあさあこぼさないようにお皿へ直に口を付けてお茶をすすってください。可愛らしいワンちゃんのように」ゾクゾク

サターニャ「ていうかこれお湯でしょ!? 茶ですらないんだけど!」

5: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:13:48.469 ID:JWgNbjD00
ガヴリール「なにサターニャ。まだ紅茶飲めてないの?」

サターニャ「あんたが手抜きするからでしょ!」

ガヴリール「仕方ないな……ほら上向け」

サターニャ「上?」

ガヴリール「口開けて」

サターニャ「あー」

ガヴリール「茶葉入れるぞ」パッパ

サターニャ「んあ?」

ガヴリール「さて次はこの熱湯を……」

サターニャ「ぎゃあああああああああ!?」

サターニャ「とんでもない事しようとすんじゃないわよ火傷するでしょうが!!!」

ガヴリール「なんだお前だらしないな。なんなら煮えたぎったマグマぐらい嬉しそうにがぶ飲みできるだろ? それでも悪魔かよ」

サターニャ「あんたの悪魔像どうなってんのよ!?」

ヴィーネ「サターニャ、もう私が紅茶淹れ直すから貸しなさい」

6: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:17:13.154 ID:JWgNbjD00
ヴィーネ「あ、ラフィのスコーン美味しそうね」

ラフィエル「ふふ、少し食べてみますか?」

ヴィーネ「いいの? ありがとう!」

ラフィエル「ヴィーネさんのビスコッティも少し貰ってもいいですか?」

ヴィーネ「もちろん! コーヒーにとっても合うわよ」

ドンッ

サターニャ「あんたたち……今日は何しにきたのかわかってるの?」

サターニャ「サタニキア軍点呼!」

ラフィエル「いち」

ヴィーネ「にー」

サターニャ「よし!」

ヴィーネ「またこの流れやるの?」

サターニャ「サタニキア軍の自覚が足りないからよ!」

ヴィーネ「入隊した覚えはないんだけど」

8: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:20:40.802 ID:JWgNbjD00
サターニャ「ガヴリールを倒す方法を考えるって言ったでしょ!」

ラフィエル「ガヴちゃんを倒す方法ですかー」

ヴィーネ「倒すって言ってもねぇ……」

サターニャ「ガヴリールが負けて悔しがる姿を見れなきゃ意味がないのよ! ほらあんたたち、ガヴリールが苦手なことを教えなさい!」

ヴィーネ「ガヴが苦手なこと~?……んー、例えば部屋を掃除することかしら?」

ラフィエル「それからお風呂に入ることですね」

ヴィーネ「他には自炊とか、早寝早起きのきちんとした生活とか」

ヴィーネ「あとは洗濯も基本的にダメね」

ラフィエル「ヴィーネさんが注意するとガヴちゃん嫌そうな顔しますもんね」

ヴィーネ「入学前の天使な時のガヴリールは全部完璧にこなしてたのに……」

ラフィエル「ガヴちゃんは今でも天使ですよー」

サターニャ「ふーむ、つまりまとめると家事のたぐいを本人にやらせるようにすればいいのかしら……」

ヴィーネ「ぜひお願いするわ」ガシ

ラフィエル(力強い……)

サターニャ(目がちょっとこわい)

9: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:27:16.803 ID:JWgNbjD00
サターニャ「って、これじゃ私がガヴリールの面倒を見てるようなもんじゃない!!」

サターニャ「他には無いの!? ガヴリールの弱点!」

ラフィエル「そうですね、前にガヴちゃんから聞いたことがあるんですけど……」

ラフィエル「ここだけの話……魔界にいる月乃瀬さんちの娘さんには弱いと聞いたことがあります」

ヴィーネ「なんで名前をぼかしたのよ」

サターニャ「……!? 魔界にそんな恐ろしい存在が……!」

ヴィーネ「あっ、この子わかってない」

ラフィエル「頭には立派なツノ、背には二枚の漆黒の翼、そして手には鋭い三又槍を持っているそうです」

サターニャ「ひぃぃ!?」ビクビク

ヴィーネ「おおむねあんたにも備わってるわよ」

ラフィエル「まあ実際の所は本人に確認してみないと分からないですよね。ガヴちゃーん、恐いものってなんですかー?」

サターニャ「本人に聞くの!?」

ガヴリール「おいラフィエル、仕事中なんだから簡単に呼びつけんなよ。ていうかどう言う質問なんだそれ」

ガヴリール「まあ……しいて言うなら月乃瀬さんちの一人娘かな」

ヴィーネ「あんたその呼び方ラフィと打ち合わせでもしたの?」

ガヴリール「学校サボるとツノ生えたヴィーネがウチに乗り込んできてめちゃくちゃ恐い」

ヴィーネ「ガヴがサボるからいけないのよ」

10: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:30:00.284 ID:JWgNbjD00
ラフィエル「ところで、サターニャさんはどうしてガヴちゃんを倒したいんですか?」

サターニャ「私がライバルと認めた存在だからよ」

ヴィーネ「理由になってないわよ」

ラフィエル「ですが、ガヴちゃんは一応天使学校の首席ですよ? なかなかてごわいと思いますが」

サターニャ「ふん! 私だって悪魔学校のヘッド張ってたんだから!」

ラフィエル「そうなんですか?」

ヴィーネ「そうなんじゃない?(サターニャの中では)」

サターニャ「ゆえに力も五分五分……人間界で繰り広げられる戦いも決着がつかないままここまで来てしまったわ」

ラフィエル「基本サターニャさん負けてる気がしますけど」

サターニャ「ガヴリールも同程度負けてんのよ!」

ラフィエル「そうなんですか」

ヴィーネ「そうなんじゃない(サターニャの中では)」

ラフィエル「ヴィーネさん適当になってきてません?」

11: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:33:00.882 ID:JWgNbjD00
サターニャ「ガヴリールを倒すこと、それこそ我がサタニキア軍が人間界を闇に落とす偉大な第一歩となるのよ!」

ヴィーネ「その軍やっぱり私たちも入ってるの?」

ラフィエル「おそらく入ってますね」

サターニャ「私の名前を世に轟かせてやるわ! んなーっはっはっは!」

ガヴリール「おいうるさいぞ。そこの……えーっと、マケドニア?」

サターニャ「混ぜてんじゃないわよ! 胡桃沢! サタニキア! マクドウェル!!」

ラフィエル「まずは近場から名前を浸透させる必要がありますね」

12: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:35:27.646 ID:JWgNbjD00
ラフィエル「それにしてもさすがサターニャさんです。将来についてよく考えていますねー」

サターニャ「ふふん、当然よ」

ヴィーネ「ま、まあ内容はともかく。サターニャはしっかりした夢があってすごいなって思うわ。私はまだまだ悩み中だもの」

ラフィエル「第一候補はお花屋さんでしたっけ?」

サターニャ「悪魔が花屋なんてやってどーするのよ」

ヴィーネ「もともと植物が好きだし、他にはお茶やお料理にも使えるハーブ専門店を開くのも悪く無いかなって」

ガヴリール「え、それ脱法? 合法のやつ?」

ラフィエル「ああなるほど……それで人びとを悪の道へと……」

ヴィーネ「そっちのハーブじゃないんだけど!?」

13: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:39:55.500 ID:JWgNbjD00
ラフィエル「私はもちろん下界の人々を救うことが使命ですが、それと合わせて充実した日々を送りたいなと思っています」

ヴィーネ「天使の将来の夢ってちょっと興味あるなぁ。私たちと同じ感覚なのかしら」

ラフィエル「ふふ、そうですね。それほど差はないと思いますよ。例えば、景色のいい所に住んで、大きなペットを飼って、犬小屋の屋根も家の屋根と同じ色に合わせたりするのも楽しいでしょうか」

ヴィーネ「ペット! 良いわよね、私も実家では大きめのペットを飼ってるの!」

ラフィエル「そうなんですか! では私が飼い始める時にはいろいろ教えてください」

ヴィーネ「うんうん、もちろん!」

ラフィエル「サターニャさんの飼い方を」

サターニャ「なんでよ!!?」

ヴィーネ「…………」

ラフィエル「だって面白そうじゃないですか、サターニャさんとのペット生活。サターニャさんにぴったりの首輪とリードをつけて毎日お散歩に連れて行ってあげますね」

ラフィエル「色々な芸も仕込んであげますよ。はいお手」

サターニャ「誰がやるか!!」

ラフィエル「私の夢を実現させるために協力してくださいよー」

ヴィーネ「わたし、同級生が犬小屋に住んでるところ見るのはちょっと……」

ガヴリール「私も犬小屋に住んでる奴が元同級生だなんて勘弁してほしいわ」

ラフィエル「なんだかお二人のニュアンスが微妙に違いますね」

14: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:42:02.439 ID:JWgNbjD00
サターニャ「もー! ガヴリールを倒す方法が全然まとまらないじゃないのよー!」

ヴィーネ「二人とも仲良くすればいいじゃない」

サターニャ「ライバル同士が仲良くしてどうするのよ!」

ラフィエル「そもそもサターニャさんがライバルと思っていてもガヴちゃんはそう認識していないような……」

サターニャ「うぐ……!」

ヴィーネ「サターニャもどちらかと言うとガヴに構って貰いたい気持ちの方が大きいんじゃない?」

サターニャ「そ、そんなことないわよ……」

ラフィエル「そうですかー?」ニコニコ

サターニャ「なにニヤニヤしてんのよっ」

サターニャ「ふんっ。別にいいわよガヴリールなんて!」

15: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:45:21.535 ID:JWgNbjD00
ガヴリール「へいお待ち」コト

サターニャ「へっ? なにこれケーキ……私頼んでないわよ?」

ガヴリール「お前、今日誕生日だろ」

サターニャ「へ、えぁ!?」

ガヴリール「今日だけサービスだよ、サービス」

ガヴリール「じゃ、私仕事戻るから」トコトコ

サターニャ「………………」

ラフィエル「あら~」

ヴィーネ「ふふふ、ガヴも粋なことするじゃない」

サターニャ「ふ、ふん! 私への賄賂のつもりかしら?甘いわねガヴリール!」

サターニャ「まあせっかくだから美味しく頂いてあげてもいいけどね? んなーっはっはっはぁ!!」

ヴィーネ「すごい嬉しそう」

ラフィエル「満面の笑みですね」

16: 名無しさん 2020/08/16(日) 00:47:37.651 ID:JWgNbjD00
サターニャ「あー楽しかった!」

ヴィーネ「久しぶりにマスターさんのブレンドコーヒが飲めてよかったわ。美味しかった~」

サターニャ「ふっ、有意義な作戦会議だったわ」

ラフィエル「ええ、わざわざ今日エンジェル珈琲で作戦会議を開いたかいがありましたね。サターニャさん」

サターニャ「ちょ、ちょっと、どう言う意味よラフィエル!」

ヴィーネ「あー、そういうこと?」

ラフィエル「私は特別な意味は何も含んでいませんよ?」ニコニコ

サターニャ「と、とっととお会計するわよ! 伝票よこしなさい!」

ラフィエル「そんなに焦らなくても」

サターニャ「まったくもう。えーっと…………ん?」

伝票『ガヴちゃんスマイル \1,000,000-』

サターニャ「しれっと入れてんじゃないわよ!!」