1: 名無しさん 2012/06/04(月) 19:08:32.92 ID:MNgI/boY0
P「駆け出しだった頃の俺は、とにかくやる気に満ちあふれていた」

P「これはイケる!と思った相手を見かけたら、とにかく声を掛けていたんだが……」


柊志乃「プロデューサーさん、今夜付き合って下さる?」(31)

高橋礼子「プロデューサーくん、今夜、食事でもどうかしら」(31)

川島瑞樹「プロデューサー! どうこの格好! 可愛いでしょ!」(28)

和久井留美「プロデューサー君、今夜新しい衣装合わせに付き合ってくれる?」(26)

服部瞳子「プロデューサーさん、私なら大丈夫だから、もっとお仕事しましょ」(25)

三船美優「プロデューサーさん……私と……お話しませんか……?」(26)

東郷あい「プロデューサーくん、君に頼みごとしていいかな。ちょっと服を見たくてね」(23)


P「正直、早まったかもしれない」

引用元: ・モバマスP「うちの事務所の平均年齢がヤバイ」

4: 名無しさん 2012/06/04(月) 19:16:15.04 ID:MNgI/boY0
P「おはようございます……って今日も朝からワインですか、志乃さん」

志乃「気付けの一杯のようなものよ。それにノンアルコールだから問題はないわ」

P「確かに志乃さんなら仕事に影響が出ることはないと思いますが……」

志乃「ふふ……プロデューサーさんも一杯どう? 景気づけに」

P「遠慮しておきますよ」

志乃「もう…堅いわねぇ……」

8: 名無しさん 2012/06/04(月) 19:24:47.11 ID:MNgI/boY0
留美「はぁ……」

P「あ、おはようございます和久井さん。どうしたんです?」

留美「いえ……職場でワインなんて、以前なら考えられなかったって思ってるのよ」

P「す、すいませんです…」

留美「いいのよ、あなたの言うとおり柊さんなら一応は心配ないし……それに」

志乃「それに?」

留美「こういう空気も悪くは無いわ。プロデューサー君もいるもの…」

P「は、はは……」

志乃「あらあら」

12: 名無しさん 2012/06/04(月) 19:34:17.97 ID:MNgI/boY0
P「そ、それじゃあ今日は二人とも一緒にレッスンの日なので。
  あちらのスタジオでトレーナーさんの指示に従ってください」

留美「ええ、わかったわ」

志乃「流石にダンスの最中には飲めないわねぇ……あ、プロデューサーさん」

P「はい?」

志乃「今夜、ちょっと付き合ってくださる? お勧めしたいお酒があるの」

P「いや、今日は仕事が遅くまで入っているので…」

留美「あら、そうなの。私も今夜衣装合わせに付き合って欲しかったのだけれど」

志乃「残念ねぇ……それじゃあ今度の休日に埋め合わせをしてもらおうかしら」

P「程ほどにしてください……」

17: 名無しさん 2012/06/04(月) 19:43:45.89 ID:MNgI/boY0
――そして夜になって

P「ふぅ……やっと終わったか…」

あい「お疲れのようだね、プロデューサーくん」

P「ええ、思ったより時間が……って東郷さんはどうして? 今日はオフじゃ」

あい「ちょっと昨夜に忘れ物をね。君の顔も見ておきたかった、というのもあるが」

P「……お疲れ様です」

あい「そうそう、そんな顔を見たかったんだ」

P「……」

21: 名無しさん 2012/06/04(月) 19:51:41.99 ID:MNgI/boY0
あい「すまない、冗談にしても面白くなかったな。お詫びと言っては何だが、今晩は奢ろう。いいところがあるんだ」

P「は、はぁ……」


―――レストラン

あい「さぁ、何でも好きな物を頼むといい。ここのオーナーとは知り合いでね、腕は保証するよ」

P「あ、ありがとうござ…いま……」

あい「どうしたんだい? 何か嫌いなものでも?」

P「……あの……これ、値段…」

あい「ああ、なんだそんなことか」

P「いや……気楽に払える額じゃないでしょ」

P(小物一品にしたって、俺の一日の食費より高い……)

23: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:02:07.88 ID:MNgI/boY0
あい「気にしなくてもいいさ、君にはいつも世話になってるからね。
  どうしても気にするというなら、仕事で返してくれればいいさ。私をトップに立たせるという、仕事でね」

P「……ありがとうございます。精一杯、頑張らせていただきます」

あい「ふふ……それも無理だった時は、今までの分も合わせて一括で払って貰おうかな」

P「そ、それは……?」

あい「あるだろう?……給料三ヶ月分のものが」

P「はは……」


P(……ここが事務所じゃなくて良かった)

あい(成功してもしなくても、いつかは貰うつもりだがね)



32: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:16:04.31 ID:MNgI/boY0
――翌日のお仕事


P(……よく眠れなかった)

瞳子「ねえ、大丈夫? ちょっとやつれてるし、今フラついてなかった?」

P「大丈夫です、仕事に問題はありません」

瞳子「けど……あなたに何かあったら、私は…」

P「心配しないでくださいよ。なにがあってもきちんとトップアイドルにしますから」

瞳子「そうね、それは疑ってないわ……あなたのことだもの」

P「任せて下さい」

瞳子「でも……今言いたいのは、そんなことじゃないの」

P「え?」

37: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:23:53.44 ID:MNgI/boY0
瞳子「あなたはいつもそうやって無理ばかり…」

瞳子「私の夢は、あなたのおかげで叶いそうだけど……」

瞳子「あなたが、私のスポットライトを浴びる姿を見てくれないなんて……そんなの、なんの意味もないわ」

瞳子「あなたが側にいてくれないなんて……」

P「服部さん……」

瞳子「ごめんなさい、ちょっと長くなっちゃったわね。お仕事、いきましょうか」

P「……」

43: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:33:52.88 ID:MNgI/boY0
P(仕事は順調に進んだが…)

P(休憩中、やけに側にいたがる瞳子さんが印象的だった)

P(……移動中のバスの中で、気がついたら瞳子さんに寄りかかって眠ってしまったが)

P(瞳子さんは嫌な顔をせず、笑って頭を撫でてくれた……少し、恥ずかしかったが)


P「しかし、疲れた……」フラフラ

P「……今日は、家に帰って早く寝ないとな……っとうわ!?」ドンッ

美優「きゃっ!?」

52: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:46:46.66 ID:MNgI/boY0
美優「あいたた……」

P「あ!? すいません三船さん、大丈夫ですか!?」

美優「は、はい…っ……」

P「手を」

美優「ありがとうございます……よいしょっ」


三船美優
http://viploader.net/ippan/src/vlippan278585.jpg

56: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:52:53.25 ID:MNgI/boY0
P「すいません、前方不注意で……」

美優「いえ…こちらこそ……それに…プロデューサーさんも…お疲れみたいで……」

P「ちょっと寝不足で…けど、三船さん、怪我はありませんか?」

美優「大丈夫です……ちょっと、擦りむいちゃったけど…」

P「それじゃ、今すぐ絆創膏を」

美優「本当に、大丈夫ですから……これぐらいなら、すぐに治ります……」

P「しかし…」

59: 名無しさん 2012/06/04(月) 20:58:55.76 ID:MNgI/boY0
美優「それに……」

美優「プロデューサーさんとなら……どんなのだって……へっちゃらです……」

P「え?」

美優「思い出、ですから……」

美優「プロデューサーさんとの、形の残った思い出の証……」

美優「そう考えれば……どんな傷だって……大事な……」

美優「……ずっと、残しておきたい……」

美優「えへへ……」


P「……」

P(……なんて、言えばいいんだろう)

67: 名無しさん 2012/06/04(月) 21:12:00.26 ID:MNgI/boY0
――翌々日


P「はぁ……」

瑞樹「どうしたのプロデューサー君。幸せが逃げるわよ?」

P「いやまぁ、今さっき逃げられたばかりというか……これから逃げられそうというか…」

瑞樹「?」

P「何でも無いです……それじゃ仕事、張り切って行きますよ!」

瑞樹「そうね、頑張りましょうっ」


P(ブライダルショーイベントが企画として立ち上がっているらしいが……)

P(……うちの面子にその仕事が回されてきたらどうなることやら)

73: 名無しさん 2012/06/04(月) 21:20:55.51 ID:MNgI/boY0
P「それにしても川島さんの声はよく通ってていいですね。おかげで仕事も捗るし助かりますよ」

瑞樹「滑舌と声量に関しては自信があるわ……最近もそれで、一仕事あったし」

P「おお、それならCDデビューも近いかもですね」

瑞樹「だといいのだけれど……ちょっと、複雑なこともあるのよね」

P「そうなんです?」

瑞樹「スピーチ」

P「え?」

瑞樹「結婚式のスピーチ……頼まれたのよ。学生時代の後輩に」

瑞樹「ええ、二人の出会いから結婚に至るまでの過程を……しっかりじっくりはっきりと読み上げたわ」


P「……なるほど」

74: 名無しさん 2012/06/04(月) 21:27:57.70 ID:MNgI/boY0
瑞樹「後輩から『ありがとうございますセンパイ! センパイも頑張ってください!』なんて言われちゃってね」

瑞樹「『良かったら私が紹介しましょうか! センパイでもバッチリな相手ですよ!』……とか」

瑞樹「『年上で独身で30代の、まさにお似合いの人ですよっ!』……ってね」

P「……」

瑞樹「……それじゃ、仕事いきましょう?」

P「……はい」


79: 名無しさん 2012/06/04(月) 21:39:18.35 ID:MNgI/boY0
P(今日の川島さんは鬼気迫る勢いで仕事をこなしていった)

P(龍崎薫、佐々木千枝、双葉杏と立て続けに3人にLIVE勝負を挑まれたが)

P(圧倒的な勢いで勝利をかっ攫っていった)

P(その後、隙あらばベタベタしてきたが……特にやましいことは、なかった)


P「ふぅ……」

礼子「お疲れ様、プロデューサーくん、コーヒーいれたわよ」

P「ありがとうございます、礼子さん」

83: 名無しさん 2012/06/04(月) 21:50:06.54 ID:MNgI/boY0
P(彼女の名前は、高橋礼子)

P(プロデューサーを初めてから、二番目に声をかけた人だ)

P(年上ということもあり、最初は名字で呼んでいたのだが)


礼子『いいのよ、そんなに畏まらなくたって』

礼子『これからはパートナーとして仕事をこなしていくんだもの』

礼子『もっとフランクな感じでいきましょう……ね?』


P(そう言われて、今は名前で呼ぶようにしている)

P(もっとも、二人きりの時は……っと限定されているのだが)ズズ……


龍崎薫
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佐々木千枝
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双葉杏
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86: 名無しさん 2012/06/04(月) 21:56:39.52 ID:MNgI/boY0
礼子「ふふふ……」

P「なにか嬉しいことでも?」

礼子「君がそのコーヒーを啜っているところを見たら……最初に喫茶店で出会った時のことを思い出して」

P「ああ……」

礼子「確か、あの時は君が私に奢ってくれたのよね……それと同じ銘柄を」

P(……そうだったっけ…)

91: 名無しさん 2012/06/04(月) 22:05:58.01 ID:MNgI/boY0
礼子「あの頃は30過ぎてからアイドルを目指すなんて考えもしなかったし、君も頼りなく見えたけど……」

礼子「フフ、今は君がいないなんて考えられないわ」

礼子「昨日も夢に、君が出てきたの」

礼子「抱きしめてくれたわ、情熱的に」

P「……」

礼子「……なんてね。これからも一緒に頑張っていきましょう?」

礼子「頼りにしてるわよ、プロデューサーくん」


P(……コーヒーに砂糖入れよう)

96: 名無しさん 2012/06/04(月) 22:14:09.55 ID:MNgI/boY0
――一ヶ月後

P(それから、たまに胃薬に頼りつつ、特に何事もなく、順調に仕事をこなしていった)

P(デスクの上に置いたものの配置が変わっていたりすることがあるが、特に気にしない)

P(本棚にゼクシィが増えていたり、何故か俺の引き出しの中に女性物のハンカチが入っていたり)

P(和久井さんの財布からたまに針らしき物が見えたりするが、何も問題は無い)

P(そう、問題は無かったの、だが……)


P「……ついに、あの仕事が、来てしまった」

99: 名無しさん 2012/06/04(月) 22:20:21.78 ID:MNgI/boY0
「全く…ウェディングイベントのお仕事なんて悪趣味ね」

P「すいません、社長がどうしてもと……でも、似合ってますよ」

「はぁ…もう、私が婚期逃したら、どうしてくれるのかしら……」ボソッ

P「え?」

「いえ、なんでもないわ。さぁ、行きましょうかPさん」

「手を取ってくれる?」


http://viploader.net/ippan/src/vlippan278625.jpg

104: 名無しさん 2012/06/04(月) 22:30:34.62 ID:MNgI/boY0
志乃「あら、よく似合ってるじゃないの留美ちゃん……けど、結婚前にウェディングドレスを着ると婚期を逃すらしいわよぉ?」

留美「ご心配なく。目星は付いていますので」

あい「なるほど、よく似合っている……皮肉なのは、その姿の君と隣を歩ける男性がいないことかな」

留美「そうね……けど、まずあなたはこの衣装を着る機会もなさそうね」

美優「キレイ……いつか私も……プロデューサーさんと……」

留美「応援するわ、美優さん。後半以外は」

瑞樹「20枚……20枚……」

留美「……なにか?」

121: 名無しさん 2012/06/04(月) 22:44:09.98 ID:MNgI/boY0
留美「折角だし、プロデューサーさん。あなたもタキシードで一緒に歩いてみる?」

P「え、いや、そんな」

留美「冗談よ」

瞳子「あらあら、本当に冗談なのかしら?」

留美「……なによ」

礼子「あら、留美ちゃん宛てにファンレターが届いているわ……『るみちゃん結婚して』ですって、小さな子から。
   良かったわね留美ちゃん、行き遅れの心配が無くなって」

留美「……どうも、ご親切に」

131: 名無しさん 2012/06/04(月) 22:59:48.51 ID:MNgI/boY0
P(それから、一週間)

P(事務所の本棚を、ゼクシィが埋め尽くした)

P(そして、事務所のそこいらで針が隠されているのを見つけた)

P(誰かの嫌がらせだろうか……みんなにも注意したけど、あまり怖がってはいないみたいだ)


志乃「披露宴で昔飲んだワインの味……ねぇプロデューサーさん、私、今夜はシェリーが飲みたいのだけれど」

P「おお、いいですねぇ。奢りますよ」

志乃「……ふふ、そう…。それじゃあプロデューサーさん…」

志乃「今夜は、寝かさないわよぉ……?」

P「え」

138: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:09:12.02 ID:MNgI/boY0
P(結局、その日は急に仕事が入って一緒に飲むことは出来なくなってしまったが)

P(志乃さんが、かつて見たこともないほど本気の目をしていた……)


瑞樹「今度、パジャマパーティーをすることになったんだけど」

瑞樹「どうかしら、この格好」

http://up3.viploader.net/ippan/src/vlippan278649.jpg


P「いいんじゃないですか? 髪を降ろすともっといいかも」

瑞樹「そう、あなたの言うことなら安心ね。それなら良かったわ……」

P「というかこんな時間にそんな格好で……」

瑞樹「あら、確かにもう寝る時間ね。ごめんなさい、それじゃあおやすみなさいね」

P「いやちょっと何でナチュラルにうちの布団に」

142: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:16:48.43 ID:MNgI/boY0
P(流石にあんな無防備な姿の女性を夜遅くに一人で帰すわけにはいかなかったので、家に泊めた)

P(俺はソファで寝て、川島さんを布団に寝させた)

P(……朝起きた時に、何故か寝間着の上のボタンがいくらか外れていたが)


P「……しかし、眠い」フラフラ

P「昨日はあまり寝付けなかったし……今日はこの後仕事も無いし、そこのソファで昼寝しよう」

P「携帯のアラームかけて……おやすみ…」ZZZ……



美優「……」

147: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:21:14.73 ID:MNgI/boY0
美優「えへへ……プロデューサーさんの寝顔……」

美優「留美さんのウェディングドレスも…本当にキレイだったなぁ……」

美優「指輪は……まだなかったから……」

美優「……これだけは……先を越されたくないから……」


カリッ

152: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:25:41.58 ID:MNgI/boY0
美優「……今はまだ…ちゃんとした形じゃないけど……」

美優「いつかは……二人で……同じものを……」

美優「えへへ……運命の、赤い糸……みたい……」

美優「お揃い……プロデューサーさんと……」

美優「えへへ……えへへへへ……」


P「……なんか起きたら左手の薬指に歯形が付いてる……」

160: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:31:58.26 ID:MNgI/boY0
P(何故かこの薬指の傷)

P(治りかけたと思ったら、またすぐ新しく傷が出来る)

P(三船さんも、同じ場所に絆創膏を貼っていたが……)

P(うちの事務所には悪霊でもいるのだろうか、今度社長に頼んでお祓いでもしてもらおうか……)


美優「えへへ……」ペロペロ

162: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:35:11.52 ID:MNgI/boY0
留美「ちょっと、プロデューサーさん。手、怪我してるみたいだけど…」

P「ああ、なんだか最近よくここを怪我するんですよね」

留美「血、滲んでるから。絆創膏取り替えないと」

P「そうですね、この書類を書き終わったら」

留美「駄目よ、今すぐやらなきゃ。ホラ、手を出して」グイッ

P「わっ」

163: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:37:50.46 ID:MNgI/boY0
留美「消毒しましょう、きちんと。念入りに、丁寧に」

P「和久井さん、ちょっと、手をそんな強い力で――」

留美「あら、消毒液が無いわ。仕方ないわね」

P「いや、爪が食い込んで――」

留美「……んっ」チュパ

P「!?」

167: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:42:15.75 ID:MNgI/boY0
留美「ふほははいへ」

P「いや、わくわ、さん!?」

留美「……」

留美(きちんと……舐めて消さなきゃ……)

留美(痕跡を……消して……)

留美(私の……唾液で……)

留美(血と……混ぜて……)

留美「……ふふっ」

P「!?」

172: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:47:21.56 ID:MNgI/boY0
P(あのイベントの仕事以来、やけに疲れる……)

P「ふぅ……」

あい「やぁ、大分参っているようだね」

P「はぁ……針のこともありますし……」

あい「ふむ……どれ、ここは一つ、私がマッサージをしてあげよう」

P「え?」

あい「最近、ハマリ出してね。なかなか楽しいんだ、コレが」

P「はぁ……それじゃあ、お願いします」

あい「それじゃ、そこでうつぶせになってくれ」

176: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:51:15.28 ID:MNgI/boY0
あい「いくよ――ホラ」グィッ

P「お、おうっ」

あい「ほら、こっちも張ってるね――それ」

P「おふ、」

P(あいさんのほどよい指圧が、気持ちい……)

あい「それじゃ、今度は――おっと手が滑った」グニュ

P「!?」

180: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:54:13.99 ID:MNgI/boY0
P「あ、あいさ――!?」

あい「いや、こっちだったかな。それ」グニュ

P「ひぃっ」

あい「ああ、ここだここ、それそれ」

P「いや、ちょ、そ、そこは――」

あい「それじゃ、一気に――そら!」

P「あああああああああああああああああっ」

……
………
…………

P「……」

あい「ふぅ、ようやく寝たか」

183: 名無しさん 2012/06/04(月) 23:56:44.43 ID:MNgI/boY0
あい(あの女の二番煎じのようで癪だが……)

あい「これは、借用証書だよP……」

あい「三ヶ月分のものの、ね……」

あい「他の誰にも知られない……」

あい「君と、私だけがしっている証……」


プツッ

190: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:06:37.37 ID:N5ZdSwW20
P「……ハッ!?」

P「……ここは、ソファ…?」

P「一体、なにが……あったんだっけ……」

P「……」

P「思い出せない……」

P「……っ」

P「血が……」


P(それから更に、このような不可解な出来事が増えて)

195: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:12:12.74 ID:N5ZdSwW20
志乃「……」

礼子「……」

瑞樹「……」

瞳子「……」

美優「……」

留美「……」

あい「……」


P(癒しが、ほしい)

205: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:24:01.80 ID:N5ZdSwW20
P「思わず抱きしめたくなるキュートな子とか」

P「明るく健康的なパッションな子とか」

P「ぽやぽやした感じの、そんな子が……!」


「……どうしよう…お仕事、クビになっちゃった」

「退屈なお仕事だったけど……」

「……不当解雇されて、ふと懐古する…」

「……ぷっ」


P「……ん?」

212: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:33:26.28 ID:N5ZdSwW20
P(ちょっと神秘的な雰囲気で、なおかつポワポワした感じの空気)

P(年齢は恐らく二十歳前後)

P(うちの事務所なら一番若いっ!)

P(彼女なら間違いなく癒しになる……これは!)

P「ティンときたああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

「!?」

218: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:39:56.04 ID:N5ZdSwW20
高垣楓「は、はぁ……私がアイドル、ですか…」

P「ええ、一目見て確信しました。あなたなら間違いなくトップを狙えると」

楓「でも……私…あまり喋るのとか、得意じゃなくて……」

P「何も問題はありません! 俺がどうとでもしてみます!」

楓「で、でも……」

P「お願いします!」 ガシッ

楓「きゃっ」

224: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:44:13.24 ID:N5ZdSwW20
P「俺には! あなたが!! 必要なんです!!!」

P「あなたの魅力を、必ず引き出してみせます!」

P「もう! あなたしかいないんです!!」

P「どうかせめて! 事務所に来るだけでも!!」

楓「……」

楓「……わかりました、そこまで言うなら」

P「!!」

227: 名無しさん 2012/06/05(火) 00:49:55.61 ID:N5ZdSwW20
楓「もう……こんな強引な人、初めてです」

P「すいません、でもそれだけあなたが魅力的だったので……」

楓「ふふっ……それにしても、この年でアイドルだなんて」

P「え?……あの、失礼ですが、お年は」

楓「25です」

P「えっ」

楓「25歳、です」

P「 」

237: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:04:44.51 ID:pTwFDJcvO
『このステッキ、とても素敵』

『お仕事。なんだかわーくわくします』

『……このスカート、足元がすかすかっとします』

『このチョコどうぞ。ちょこっとずつ食べてくださいね』

『……この衣装、胸元がキャベツに似てません?』

『……羽根が、はねてる』


P「いい……」

P「この容姿で、これはいい……っ!」

241: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:13:02.46 ID:pTwFDJcvO
楓「プロデューサー、この仕事の後、飲みに行きません? とっておきの場所があるんです」

P「お、いいですね。いきますいきます」

楓「ふふっ 楽しみにしててくださいね」

P「いやぁ、今日は仕事が捗るなぁ」

楓「ふふ……」





美優「……」

246: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:16:41.36 ID:pTwFDJcvO
留美「まぁ……」

志乃「楓ちゃんなら…」

礼子「おかしなことも……」

瑞樹「ないでしょ……」

あい「……うん」

瞳子「……」

美優「……」






楓「……ふふっ」

257: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:24:54.10 ID:pTwFDJcvO
P「それで、とっておきの所って言うのは」

楓「こっちです、プロデューサー」

P「ほお……あまりこの辺に来ないからなぁ。いかにも穴場って感じですね」

楓「そうでしょう? あ、見えて来ましたよ」

P「え? どこですか?」キョロキョロ

楓「ほら、あそこです」

P「えっと――」


ドサッ


楓「……ふふっ」

264: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:32:17.15 ID:pTwFDJcvO
P「うっ……ここは?」

楓「あ、起きました?」

P「ええっと……」

楓「プロデューサー、急に倒れちゃって。タクシーを呼んで、近くの私のお家まで連れて着ちゃいました」

P「はぁ……成る程……」

楓「気分はどうです?」

P「……普通、です」
楓「そうですか……なら良かった」

楓「せっかくですし、ここで飲みません?」

P「え?」

楓「とっておきの、お酒があるんです」

267: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:38:13.38 ID:pTwFDJcvO
P(そんなわけで、何だか釈然としないが)

P(楓さんの好意に甘えて、ここで飲みことにした)

P(とっておき、と言うだけあって非常に喉ごしが爽やかで)

P(グビグビ明日の仕事もペース配分も考えずに飲んでしまった)


P「うぃ……くっ」

楓「すごい……いい飲みっぷりですね」

P「おいしい……ですから」

楓「ふふっ……どんどん飲んでくださいね」


楓「……ふふっ」

270: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:41:04.85 ID:pTwFDJcvO
P(身体が、熱い)

P(楓さんが、近い)

P(楓さんが、熱い)

P(楓さんが、いい匂いがする)

P(もっと、近くにいたい)

P(もっと、もっと……)

P(楓さんが――)


楓「……そろそろ、かな」

272: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:47:50.57 ID:pTwFDJcvO
楓「――あなたしか見えなくなって、想い育っていくばかり」


楓「――言葉に出来ない痛みを、きっと、恋と呼ぶのでしょう?」


楓「……あなたが、必要だと言ってくれたあの日から」


楓「ずっと、あなたのことを見ていました」


楓「……でも、それは私だけじゃなくて」

楓「志乃さんも、川島さんも」


楓「事務所のみんなが、そうでした」


楓「だから、我慢していたんです……ずっと」


楓「この時が……来るまで」

273: 名無しさん 2012/06/05(火) 01:53:00.14 ID:pTwFDJcvO
楓「気付いて、いなかったんですか……?」


楓「……でしょうね。私の知ってるプロデューサーですもの」


楓「でも……もう、いいんです」


楓「ここなら……2人っきりです」


楓「私たちが望めば……ずっと……ずっと……」

275: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:03:42.28 ID:pTwFDJcvO
楓「切ない夜とは、今日でサヨナラです」

楓「時間は、いくらでもありますから……」

楓「さあ……プロデューサー」

楓「感じてください……私の、全てを」

楓「私の、想いの全てを――――」



……
………
…………
……………
………………
……………………



………。

278: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:12:23.96 ID:pTwFDJcvO
P(楓さんが、たまらなく愛おしい)

P(楓さんが、俺の全てを癒やしてくれる)

P(楓さんと結婚したい)

P(楓さんがたまらなく愛おしい)

P(楓さんと結婚したい)

P(楓さん)

P(楓さん楓さん楓さん)

P(楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん)

P(楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん)

P(楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん楓さん)


P(楓さん――――)

282: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:15:38.57 ID:pTwFDJcvO






――そして俺は、楓さんと結婚した。

286: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:21:31.89 ID:pTwFDJcvO
――■■年後。


高垣楓「ふふっ……あなた、襟がはねてますよ」(××)

P「あ、すいません」


「はねてるー」

「はねてるーっ」

「はねがはねてるーっ」


楓「ほら、娘たちにも注意されちゃって」

P「はは……」

楓「もう……出会った頃から、直りませんね♪」

289: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:27:45.35 ID:pTwFDJcvO
P(楓さんと結婚して、もう何年経っただろうか)

P(楓さんは出会った頃から、ずっと変わらずに綺麗なままだ)

P(ずっと二人で、二人三脚でやってきて)

P(娘たちが、今度アイドルデビューを迎えることになる)

P(感無量とは、このことを言うのだろうが……っ)

楓「どうしました? あなた」

P「……いや、何でもない」



P(……時々、左手の薬指が酷く痛むのは何故だろうか)

293: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:34:23.56 ID:pTwFDJcvO
P(その他にも)

P(ワインを買うときや)

P(娘たちのパジャマを買いに行く時や)

P(とある喫茶店でコーヒーを飲んでる時や)

P(とある高級レストランで食事をする時や)

P(娘たちが転んで擦りむいた時に)

P(時々、頭の中を女の人の影のようなものが過ぎる……)


楓「……」ジイッ

P「……まぁ、なんでもいいか」

295: 名無しさん 2012/06/05(火) 02:44:26.53 ID:pTwFDJcvO
P「そしてついに、うちの娘たちももう直ぐアイドルデビューか……」

楓「ええ、私はもう引退しちゃいましたけど……」

楓「どんな才能を花開かせるのか……楽しみですね」

P「ああ……そうだなぁ。本当はもう少し娘が成長してからの方が良いんだろうけど」

楓「社長、強引ですからねぇ……」


P(しかし、そうなると……)

P(うちの娘たちは、10歳を超えたばかりだから……)



P「――うちの事務所の、平均年齢がヤバい」



おしまい