1: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:17:12.211 ID:kDRaRNVr0
女「ねーねー、大富豪さん」
大富豪「なんだ」
女「あたしら知り合って結構経つしさー、結婚しよ!」
大富豪「……なぜ私がお前のような女と結婚せねばならぬ」
女「そりゃあ、あたしあなたを愛してるから!」
大富豪「愛だと……!? ふん、笑わせるな!」
女「!」
大富豪「なんだ」
女「あたしら知り合って結構経つしさー、結婚しよ!」
大富豪「……なぜ私がお前のような女と結婚せねばならぬ」
女「そりゃあ、あたしあなたを愛してるから!」
大富豪「愛だと……!? ふん、笑わせるな!」
女「!」
引用元: ・女「あたしと結婚しよ!」大富豪「どうせ財産目当てだろうが!」
5: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:21:33.119 ID:kDRaRNVr0
大富豪「今までにも私に交際を求めてきた人間はごまんといた」
大富豪「だが、親族も、友人も、異性も、誰も彼も私の財産目当てだった!」
大富豪「どうせ貴様もそうなのだろうが! この世に愛など存在しない!」
女「そんなことない!」
大富豪「なにい……?」
女「あたし、本気であなたを愛してるもん!」
女「どうしても信じられないならとりあえず結婚してみりゃいーじゃん!」
女「で、やっぱ金目当てだと思ったら別れりゃいいし!」
大富豪「よかろう……。すぐに化けの皮が剥がれることになろう……」
大富豪「だが、親族も、友人も、異性も、誰も彼も私の財産目当てだった!」
大富豪「どうせ貴様もそうなのだろうが! この世に愛など存在しない!」
女「そんなことない!」
大富豪「なにい……?」
女「あたし、本気であなたを愛してるもん!」
女「どうしても信じられないならとりあえず結婚してみりゃいーじゃん!」
女「で、やっぱ金目当てだと思ったら別れりゃいいし!」
大富豪「よかろう……。すぐに化けの皮が剥がれることになろう……」
7: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:25:27.258 ID:kDRaRNVr0
カラーン… カラーン…
神父「永遠の愛を誓いますか?」
女「誓っちゃいまーす! えへっ」
大富豪「ふん……」
大富豪の結婚に周囲は驚いた。
ザワザワ…
「なんつーカップルだよ」
「年の差40……いや50以上あるって話だぜ?」
「絶対なんか裏があるだろ……」
神父「永遠の愛を誓いますか?」
女「誓っちゃいまーす! えへっ」
大富豪「ふん……」
大富豪の結婚に周囲は驚いた。
ザワザワ…
「なんつーカップルだよ」
「年の差40……いや50以上あるって話だぜ?」
「絶対なんか裏があるだろ……」
9: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:27:10.444 ID:kDRaRNVr0
新婚生活が始まった。
女「はーいダーリン。スープだよ~、召し上がれ~」
大富豪「……」
女「どしたの? 早く食べてよ」
大富豪「分かっておるぞ。どうせ毒でも入れているのであろうが」
女「毒ぅ? なんでよ!」
大富豪「私が死ねば、遺産は全て貴様に転がり込むのだからな」
女「はーいダーリン。スープだよ~、召し上がれ~」
大富豪「……」
女「どしたの? 早く食べてよ」
大富豪「分かっておるぞ。どうせ毒でも入れているのであろうが」
女「毒ぅ? なんでよ!」
大富豪「私が死ねば、遺産は全て貴様に転がり込むのだからな」
11: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:30:12.187 ID:kDRaRNVr0
女「ハァ? バッカじゃないの? あんたの遺産なんかいらないよーだ!」
大富豪「ふん……欲しい者ほどそういうものだ」
女「だったら毒見してあげる。それならいいでしょ?」ゴクッ
女「ほら、なんともない」
大富豪「……いただくしよう」
女「あ、そうだ。せっかくだからあ~んしてあげよっか?」
大富豪「しなくていい!」
女「照れてる照れてる」
大富豪「照れてなどおらん!」
大富豪「ふん……欲しい者ほどそういうものだ」
女「だったら毒見してあげる。それならいいでしょ?」ゴクッ
女「ほら、なんともない」
大富豪「……いただくしよう」
女「あ、そうだ。せっかくだからあ~んしてあげよっか?」
大富豪「しなくていい!」
女「照れてる照れてる」
大富豪「照れてなどおらん!」
12: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:33:16.747 ID:kDRaRNVr0
大富豪「……」ゴクッ
女「どぉう?」
大富豪「うまい」
女「やったーっ! 超うれしーっ!」ダキッ
大富豪「やめろ、抱きつくんじゃない! 私は人に触れられるのが嫌いなんだ!」
女「いいじゃん! あたしら結婚してるんだしさ!」
大富豪「まったく……やっかいな女だ」
女「どぉう?」
大富豪「うまい」
女「やったーっ! 超うれしーっ!」ダキッ
大富豪「やめろ、抱きつくんじゃない! 私は人に触れられるのが嫌いなんだ!」
女「いいじゃん! あたしら結婚してるんだしさ!」
大富豪「まったく……やっかいな女だ」
13: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:36:39.024 ID:kDRaRNVr0
大富豪「……」カタカタ
女「ハロー!」
大富豪「……」カタカタ
女「リアクションうすーい! パソコンでなにやってんの?」
大富豪「仕事だ」
女「あなた会社のトップなんでしょ? 仕事なんて部下に任せりゃいいのに」
大富豪「そうもいかん。まだまだ部下どもは未熟だ。私がいなければ浮き足立ってしまう」
女「頼りにされてんだねー」
大富豪「頼りになる者がいないだけだ」
女「ハロー!」
大富豪「……」カタカタ
女「リアクションうすーい! パソコンでなにやってんの?」
大富豪「仕事だ」
女「あなた会社のトップなんでしょ? 仕事なんて部下に任せりゃいいのに」
大富豪「そうもいかん。まだまだ部下どもは未熟だ。私がいなければ浮き足立ってしまう」
女「頼りにされてんだねー」
大富豪「頼りになる者がいないだけだ」
14: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:39:07.957 ID:kDRaRNVr0
女「だったらあたしが肩揉んであげる!」モミモミ
大富豪「!」
女「ほらほら~」モミモミ
大富豪「よさんか……」
女「どう? 気持ちいい?」モミモミ
大富豪「……気持ちいい」
女「ふふっ、ありがとー!」モミモミ
大富豪「!」
女「ほらほら~」モミモミ
大富豪「よさんか……」
女「どう? 気持ちいい?」モミモミ
大富豪「……気持ちいい」
女「ふふっ、ありがとー!」モミモミ
17: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:43:04.304 ID:kDRaRNVr0
女「ねーねー、外いい天気だよ!」
大富豪「だからどうした?」
女「たまにはデートしようよ! 今日休みでしょ?」
大富豪「なぜデートなどせねばならんのだ」
女「夫婦は普通デートぐらいするもんでしょ。さ、行こ!」グイッ
大富豪「お、おい……」
大富豪「だからどうした?」
女「たまにはデートしようよ! 今日休みでしょ?」
大富豪「なぜデートなどせねばならんのだ」
女「夫婦は普通デートぐらいするもんでしょ。さ、行こ!」グイッ
大富豪「お、おい……」
18: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:45:11.182 ID:kDRaRNVr0
「今話題の夫婦だぜ……」
「奥さんはピンクのワンピース、旦那はグレーのスーツで渋く決めてる……」
「何年持つのかねえ……」
ヒソヒソ… クスクス…
大富豪「どいつもこいつも……。我々をオモチャか何かだと思っている」
女「いいじゃない。外野には言わせておけばいーの」
「奥さんはピンクのワンピース、旦那はグレーのスーツで渋く決めてる……」
「何年持つのかねえ……」
ヒソヒソ… クスクス…
大富豪「どいつもこいつも……。我々をオモチャか何かだと思っている」
女「いいじゃない。外野には言わせておけばいーの」
19: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:48:15.793 ID:kDRaRNVr0
女「ねーねー、ショッピングしようよ!」
大富豪「何を買うんだ?」
女「お洋服買いたい!」
大富豪「そんなもの……買いたいものを好きなだけ買えばいい。金ならいくらでもある」
女「バッカねー、それじゃなんも面白くないじゃん!」
女「限られた予算で、いかにいい買い物ができるかが楽しいんだから!」
女「商売だってそういうもんでしょ?」
大富豪「むう……すまん」
大富豪「何を買うんだ?」
女「お洋服買いたい!」
大富豪「そんなもの……買いたいものを好きなだけ買えばいい。金ならいくらでもある」
女「バッカねー、それじゃなんも面白くないじゃん!」
女「限られた予算で、いかにいい買い物ができるかが楽しいんだから!」
女「商売だってそういうもんでしょ?」
大富豪「むう……すまん」
20: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:51:14.900 ID:kDRaRNVr0
女「ん~……」
女「この服いいなぁ……。こっちも捨てがたい……。う~ん……」
大富豪「長い。とっとと選べ」
女「女の買い物ってのは長いもんなの。文句いってたらモテないよ?」
大富豪「す、すまん……」
女「えーと、これにしよっと!」
大富豪(この女といると調子が狂う……)
女「この服いいなぁ……。こっちも捨てがたい……。う~ん……」
大富豪「長い。とっとと選べ」
女「女の買い物ってのは長いもんなの。文句いってたらモテないよ?」
大富豪「す、すまん……」
女「えーと、これにしよっと!」
大富豪(この女といると調子が狂う……)
22: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:54:10.900 ID:kDRaRNVr0
女「カーテン開けるよ~」
女「ジャン!」シャッ
大富豪「……」
女「どぉう?」
大富豪「よく……似合っているぞ」
女「ホント!? ありがと~!」ダキッ
大富豪「だから……抱きつくな」
女「ジャン!」シャッ
大富豪「……」
女「どぉう?」
大富豪「よく……似合っているぞ」
女「ホント!? ありがと~!」ダキッ
大富豪「だから……抱きつくな」
23: 名無しさん 2021/05/06(木) 18:57:11.153 ID:kDRaRNVr0
女「なかなか充実したデートができたね。付き合ってくれてありがとー!」
大富豪「……」
女「どしたの?」
大富豪「楽しい」
女「なにが?」
大富豪「お前と一緒にいると……楽しい」
女「やだもう。照れちゃうってば!」バシッバシッ
大富豪「肩を叩くな」
大富豪「……」
女「どしたの?」
大富豪「楽しい」
女「なにが?」
大富豪「お前と一緒にいると……楽しい」
女「やだもう。照れちゃうってば!」バシッバシッ
大富豪「肩を叩くな」
24: 名無しさん 2021/05/06(木) 19:00:24.773 ID:kDRaRNVr0
夜――
女「あ、な、た」
大富豪「なんだ」
女「あたしたちって夫婦だよね?」
大富豪「ああ、それがどうした?」
女「だったら……ちゃんとやることやらなきゃいけないと思わない?」
大富豪「……!」
女「あ、な、た」
大富豪「なんだ」
女「あたしたちって夫婦だよね?」
大富豪「ああ、それがどうした?」
女「だったら……ちゃんとやることやらなきゃいけないと思わない?」
大富豪「……!」
25: 名無しさん 2021/05/06(木) 19:02:20.362 ID:kDRaRNVr0
大富豪「私なんかが相手でよいのか?」
女「もっちろん! てか、そうでなきゃ結婚してないっしょ!」
大富豪「ではいいだろう……抱いてやる」
女「やったーっ!」
…………
……
女「もっちろん! てか、そうでなきゃ結婚してないっしょ!」
大富豪「ではいいだろう……抱いてやる」
女「やったーっ!」
…………
……
26: 名無しさん 2021/05/06(木) 19:05:13.418 ID:kDRaRNVr0
“すぐに化けの皮が剥がれる”はずだった。
にもかかわらず、二人の夫婦生活は――
一年……
二年……
三年……
順調に続いた。
にもかかわらず、二人の夫婦生活は――
一年……
二年……
三年……
順調に続いた。
27: 名無しさん 2021/05/06(木) 19:08:28.648 ID:kDRaRNVr0
しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。
病室にて――
女「あなた……」
大富豪「……」
大富豪「私は……お前に本当に感謝してる」
大富豪「独力で財を築き、金目当ての亡者ばかり見てきた私が……」
大富豪「真実の愛というものに、触れることができたのは……お前のおかげだ」
大富豪「本当に……ありがとう」
女「こっちこそ……楽しかったよ」
病室にて――
女「あなた……」
大富豪「……」
大富豪「私は……お前に本当に感謝してる」
大富豪「独力で財を築き、金目当ての亡者ばかり見てきた私が……」
大富豪「真実の愛というものに、触れることができたのは……お前のおかげだ」
大富豪「本当に……ありがとう」
女「こっちこそ……楽しかったよ」
29: 名無しさん 2021/05/06(木) 19:11:38.163 ID:kDRaRNVr0
女「うっ……」
大富豪「どうした?」
女「あなた……元気、でね……」
大富豪「おい、しっかりしろ!」
大富豪「おいっ! ――おいっ! 私を置いていくな!」
すがるように手を握る。
しかし、妻が再び目を覚ますことはなかった。
大富豪「……!」
大富豪「どうした?」
女「あなた……元気、でね……」
大富豪「おい、しっかりしろ!」
大富豪「おいっ! ――おいっ! 私を置いていくな!」
すがるように手を握る。
しかし、妻が再び目を覚ますことはなかった。
大富豪「……!」
31: 名無しさん 2021/05/06(木) 19:13:18.812 ID:kDRaRNVr0
医者「ご臨終です……」
医者「死因は……老衰でしょう。大往生でした……」
大富豪「ううっ……!」
まだ30代半ばの若き大富豪は、最愛の妻の死を大いに悲しんだ。
END
医者「死因は……老衰でしょう。大往生でした……」
大富豪「ううっ……!」
まだ30代半ばの若き大富豪は、最愛の妻の死を大いに悲しんだ。
END
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