1: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:01:11.680 ID:n9tyT5pA0
博士「フハハハハッ! ついに超生物が完成したぞ!」

超生物「……」

博士「これで俺を科学界から追放した連中を見返すことができる!」

超生物「ガア……」

博士「ゆけい! 世の中にお前の力を見せつけてやれ!」

超生物「……」ギロッ

博士「うおっ!」

超生物「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」

博士(あれ? これひょっとして俺死ぬやつじゃね?)

引用元: ・博士「フハハハハッ!超生物が完成したぞ!(あれ、これ俺死ぬやつじゃね?)」

3: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:04:08.496 ID:n9tyT5pA0
超生物「ガアッ!」

博士(あ、やっぱそうだ)

超生物「ガアアアアッ!」

博士(超生物の犠牲者第一号は俺だった!)

超生物「……」ズンズン

博士「え、どこ行くの?」

博士(キッチンに入っていった……)

5: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:06:07.675 ID:n9tyT5pA0
博士(なにするつもりだ……?)

超生物「……」トントントン

博士(えっ……料理!?)

超生物「……」ジャッジャッ

博士(野菜切って、卵と合わせて、炒めて……)

超生物「ガッ」

博士(うまそうな匂いが……)

7: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:08:21.969 ID:n9tyT5pA0
超生物「ガアッ!」コトッ

博士(料理が出てきた……)

博士「これを俺に食え、と?」

超生物「ガッ!」コクッ

博士「えぇと、じゃあ……いただきます」

モグモグ…

博士「うまい!」

超生物「ガアアアッ!」

博士(喜んでる……)

8: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:10:25.652 ID:n9tyT5pA0
超生物「ガアッ!」ジャブジャブ



超生物「ガアアッ!」サッサッ



超生物「ガアアアッ!」フキフキ



博士「洗濯に掃除に、家事をテキパキこなしてくれる……」

11: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:13:02.307 ID:n9tyT5pA0
博士「だけど俺が求めてたのはそういうのじゃないんだよなぁ~」

超生物「ガ?」

博士「あのさぁ、俺は元々戦闘用としてお前を作ったの」

博士「最強の超生物って触れ込みでさ。だから……力を見せつけてくんない?」

超生物「ガァ……」フルフル

博士「え、やなの?」

超生物「ガァ」コクッ

博士「じゃあいいや。無理強いはよくない」

12: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:15:24.785 ID:n9tyT5pA0
超生物「ガアアアアアアアッ!」

博士(しかし、ガアアだけじゃコミュニケーションが難しいな。言葉の勉強でもさせてみるか)



博士「というわけで、授業始めまーす」

超生物「ガアッ!」

博士「これが……“A”」

超生物「エー」

博士「これが……“B”」

超生物「ビー」

博士「二つ合わせると?」

超生物「エビ!」

博士「うん、その調子だ」

14: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:17:39.987 ID:n9tyT5pA0
数日後――

超生物「ハカ……セ……」

博士「早いな! もう喋れるのかよ! さすが超生物!」

超生物「ハカセトシャベレテ……ボク、ウレシイ……」

博士「一人称“ボク”なんだ!? ホラーゲームのラスボスでも違和感ないビジュアルなのに!」

超生物「ゴメン……ナサイ……」

博士「いや、謝らなくてもいいよ。こっちこそ今のは失言だった。ごめんなさい」

15: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:19:54.555 ID:n9tyT5pA0
超生物「ハカセ、ハ……ナゼボクヲツクッタノ?」

博士「何故、か。なかなか難しい質問だな」

博士「俺には科学者として野心があった。それは全く新しい生物を造ることだ」

博士「たとえば最強の生物を造り上げれば、あらゆる局面で役に立つからな」

博士「だが、俺の思想は異端視され、周囲から全く理解されなかった」

博士「それどころか陰口叩いて、嫌がらせしてきて……挙げ句の果てに科学界から追放だ!」

博士「いくらなんでも……ひどすぎる……」グスッ

超生物「オ酒飲ム?」

博士「おう、ありがとう」

17: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:22:29.891 ID:n9tyT5pA0
博士「ウイ~……酔っ払っちまった」

超生物「ベッドへ運ブヨ」

博士「ありがとぉ~」

超生物「ボクニハ博士ガ正シイノカ、間違ッテルノカ、判断デキナイケド……」

超生物「ボクヲ造ッテクレタコト……アリガトウ」

博士「ぐぅ、ぐぅ、ぐぅ……」

超生物「……」

18: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:26:29.650 ID:n9tyT5pA0
博士「よう」

友人「おお~、久しぶりだな。我が友よ。相変わらずマッドサイエンティスってるか?」

博士「地震を完璧に予知する、なんて豪語してるお前ほどじゃないよ」

友人「今度完成した地震予報装置はすごいぜ! 精度90パーセント以上だ!」

博士「前みたいにマグニチュード10の地震が起こると世間を騒がせて、何も起きないのがオチだろ」

友人「たまにはそういうこともあるさ。お前の方の研究はどうだ?」

博士「順調だよ。おかげで二人目の友達ができた」

友人「へ?」

20: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:28:24.615 ID:n9tyT5pA0
超生物「博士……」

博士「なんだ?」

超生物「ボク、外ニ出タイ……」

博士「……」

博士(たしかにいつまでも研究所にいるのは退屈だろうな)

博士「分かった、二人で出かけよう」

超生物「ヤッタ!」

22: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:31:18.350 ID:n9tyT5pA0
店員「いらっしゃ……うわっ!」

博士「何か?」

超生物「……」ズン

店員「い、いえ……」

博士「買い物しよう」

超生物「ウン」

博士「お、この菓子買おうか」

超生物「無駄遣イ、ダメ」

博士「ごめん」

店員(あの博士が怪しげな研究してるのは知ってたけど、案外大人しそうな生き物だな……)

23: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:33:16.314 ID:n9tyT5pA0
博士「お、公園だ」

超生物「公園……」

博士「子供の遊び場だな。くたびれた大人もいるけど」



子供A「ワーイ! ボールもーらった!」タタタッ

子供B「待てよー!」タタタッ



博士「無邪気なもんだ。だが、いずれ現実を知り、薄汚い大人になっていくのだろう」

超生物「……」

博士「どうした?」

24: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:35:31.763 ID:n9tyT5pA0
超生物「博士、ボクモ遊ンデキテモイイ?」

博士「……!」

博士(いくら超生物といってもまだ生まれたばかりだ……遊びたいという気持ちもあるんだろう)

博士「いいぞ。ただし、くれぐれも怪我させるなよ」

超生物「アリガトウ、博士」

博士(果たして子供達に馴染めるだろうか――)

25: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:38:21.762 ID:n9tyT5pA0
子供A「お前、でけーな!」

子供B「怖いけどかっけえ!」

超生物「アハハ、アリガトウ!」



博士(馴染んでやがる)

博士(俺の超生物がすごいのか、子供達の順応性がすごいのか……)

博士(いや、こんなことを考えるのは野暮だな)

26: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:40:58.943 ID:n9tyT5pA0
超生物「博士、料理デキタヨ」

博士「お、今日も美味そうだ」

博士「さっきは楽しかったか?」

超生物「ウン……楽シカッタ」

博士「そうか」

超生物「……」

博士「明日も公園に行くか」

超生物「ウン!」

28: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:44:05.170 ID:n9tyT5pA0
超生物は瞬く間に――

超生物「ミンナ、遊ボウ!」

子供A「待ってたよ!」

子供B「今日は鬼ごっこしようぜ!」

ワイワイ… キャッキャッ…



博士(すっかり子供達のアイドルだな)

29: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:46:16.050 ID:n9tyT5pA0
すると――

男「ちょっとすみません」

博士「はい?」

男「子供達と遊んでるあの生き物はあなたが作ったんですか?」

博士「ええ、まあ」

男「でしたらぜひ、今度行われる≪科学技術展≫に出演してもらえませんか?」

博士(マジかよ、国内最高峰の科学展示会じゃないか!)

博士「ぜ、ぜひ!」

男「名刺を渡しておきましょう。よろしくお願いします」

32: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:48:47.099 ID:n9tyT5pA0
博士「やったな!」

超生物「ウン!」

博士「≪科学技術展≫に出られるなんてのは、科学者にとっちゃ最大の名誉だ!」

博士「ついに俺の研究が認められたってことだ!」

超生物「博士ガ認メラレテボクモ嬉シイ!」

博士「当日の働き具合によっちゃ、俺も一気にトップ科学者にのし上がれるぞ!」

超生物「頑張ル!」

33: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:51:29.680 ID:n9tyT5pA0
博士「というわけだ。お前も是非遊びに来てくれよ」

友人「暇があればな。ところで、科学技術展はいつだっけ?」

博士「来月の十日だ」

友人「来月の十日……俺のマシンによると、大きな地震が来ることになっている。気をつけろよ」

博士「どうせ当たらないだろ……」

友人「いや、今度こそ当たる。間違いない」

博士「はいはい」



そして≪科学技術展≫当日――

34: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:54:48.106 ID:n9tyT5pA0
超生物「イラッシャイマセー、会場ハコチラデース」

超生物「風船デース」

博士「……なんだこれ」

博士「“出演させてくれる”って、入り口での風船配りかよ!」

超生物「マアマア、バイト代ハ出ルシ……」

博士「くそっ、こんなんじゃ見返すどころじゃないな……」

博士(といっても、前ほどそういう欲求もなくなってきてるけど)

35: 名無しさん 2021/07/19(月) 21:58:24.599 ID:n9tyT5pA0
科学者A「あれ?」

科学者B「誰かと思ったら、超生物を造るとかほざいてたクズじゃねえか」

博士「お前ら……」

科学者A「“最強の生物”とやらは完成したのか?」

博士「まあ、一応……」

科学者B「まさか、あの風船配ってる奴か? たしかに見た目はいかついけど……」

博士「ああ」

科学者A「ギャハハハハッ! とんだ最強だな!」

科学者B「お前にはお似合いのゴミ生物じゃねえか!」

博士「……」

36: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:00:35.335 ID:n9tyT5pA0
博士「お前らはなにか出展すんのか?」

科学者A「当然だろ? お前とは違うんだよ」

科学者B「ジャン! ガードロボだ!」

ガードロボ「……」

博士(うおっ、強そう……)

科学者A「要人の護衛から拠点防衛、なんと戦争にまで対応できるようになってる」

科学者B「なんなら余興でお前のゴミ生物と勝負させてやってもいいぞ?」

博士「いや……やめとくわ」

科学者A「それが賢明だな! せいぜい風船配ってろ!」

37: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:02:29.919 ID:n9tyT5pA0
超生物「ゴメン、博士……」

博士「いいんだ」

博士「それより、はりきって風船配るぞ! 来客の勢いが増してるしな!」

超生物「ウン!」

…………

……

38: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:05:19.174 ID:n9tyT5pA0
科学者A「我々が開発したガードロボをご紹介します!」

科学者B「護衛はもちろん、戦闘にも対応でき、真正面から戦車にも打ち勝つ性能……」

ガードロボ「……」

オオッ…



超生物「ハイ、風船」

少女「ありがとー!」

博士「だいぶ配れたな。そろそろ休憩にするか」

超生物「ソウダネ」

39: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:08:17.732 ID:n9tyT5pA0
ゴゴゴゴゴ…

超生物「ワッ!?」

博士「地震だ!」

ゴゴゴゴゴ…

博士「結構でかい!」

超生物「ミンナ、落チツイテ!」

博士(まさか……あいつの予報が当たった? まさかな……)

40: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:11:44.623 ID:n9tyT5pA0
シーン…

超生物「収マッタネ……」

博士「ああ……こんなでかいのは久しぶりだ。目立った被害はないみたいだが……」



キャーッ!

ウワァァァァ… ヒエェェェェ…



博士「ん」

超生物「会場デナニカアッタミタイ!」

42: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:14:17.061 ID:n9tyT5pA0
ガードロボ「戦闘開始」ウイーン

ドゴォンッ! ズガァンッ! バゴォンッ!



ワァァァ… キャァァァ…



科学者A「会場を破壊しまくってる! なぜ暴走を始めたんだ!?」

科学者B「きっと地震のせいで、戦争モードに入っちまったんだ! 爆発かなんかと誤認して……」

科学者A「なんとか止めろよ!」

科学者B「緊急スイッチも受け付けなくなってる!」カチッカチッ

43: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:16:18.315 ID:n9tyT5pA0
キャァァァ… ウワァァァァ…

「おい、あそこ!」 「子供がいる!」 「狙われるぞ!」

ガードロボ「標的確認」ピピッ

少女「ひっ!」

ガードロボ「消去開始」ウイーン

少女「いやぁぁぁぁ!」

ガシィッ!

超生物「ウググ……」ググッ…

ガードロボ「……」

博士「あのロボを押さえ込んだ! よくやった!」

44: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:19:22.434 ID:n9tyT5pA0
ガードロボ「高戦闘力検出」ピピッ

超生物「博士……命令シテ」

博士「!」

超生物「博士ガ命令シテクレレバ……ボク、戦エル!」

博士「分かった……。そのロボットを食い止めろ! いや……叩きのめせ!」

超生物「ウン!」

ガードロボ「消去開始」ウイーン

超生物「消去サレテタマルカ!」ググッ…

46: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:21:30.809 ID:n9tyT5pA0
ガードロボ「消去中、消去中、消去中」

ドゴォンッ! ドゴォンッ! ドゴォンッ!

超生物「グッ……!」

博士「なんてパワフルな……!」

ガードロボ「消去未完了、出力増強」ギュィィィィン

ボゴォンッ!

超生物「グアアッ!」

博士「ああっ!」

47: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:24:51.149 ID:n9tyT5pA0
博士「大丈夫か!?」

超生物「ダ、大丈夫……」ムクッ

博士「無理するな! 逃げろっ! 殺されちまうっ!」

超生物「逃ゲナイヨ……」

博士「なんでだ!」

超生物「ボクダッテ……博士ニ造ッテモラッタ超生物!」

超生物「コンナ奴ニ負ケナイッ!」ブオンッ

48: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:27:10.830 ID:n9tyT5pA0
ドゴンッ!

ガードロボ「装甲損傷」ミシ…

ガードロボ「反撃開始」

ドガァッ!

超生物「アグッ……!」

ドガァンッ! ドゴォンッ! ボゴォンッ!

ガードロボ「損傷……損傷……」

超生物「ウグゥ……。ボクハ……負ケナイッ!」

超生物「ウガアアアアアアアアアアアッ!!!」

49: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:30:14.458 ID:n9tyT5pA0
ボゴンッ!!!



ガードロボ「機能停止、機能停止……」プシュゥゥゥゥ…

超生物「ハァ、ハァ、ハァ……」

博士「よくやった……よくやったぞ!」

超生物「アリガトウ、博士……」

博士「お前は……俺の誇りだ……」ガシッ

50: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:33:51.403 ID:n9tyT5pA0
ザワザワ… ドヨドヨ… ガヤガヤ…

科学者A「くっ!」

科学者B「くそっ……」

博士「……」スタスタ

科学者A「おい、なんかいったらどうだ! 言いたいことはいくらでもあるだろ!」

博士「別に……なにもないよ。ただ、今後は今回の失敗を生かせとだけいっておく」

科学者A「ぐぐっ……!」

科学者B「うぐ……」

博士「帰ろう」

超生物「ウン!」

51: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:35:56.912 ID:n9tyT5pA0
賓客「待ってくれ!」

博士「!」

賓客「この生物、素晴らしい戦いぶりだった……」

賓客「ぜひ私のボディガードとして、雇わせて欲しい!」

「いや、私にだ!」 「ぜひ!」 「金は出す!」

ワイワイ… ガヤガヤ…

博士「……」

超生物「博士……」

52: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:37:51.714 ID:n9tyT5pA0
博士「いや、こいつを戦わせるつもりはありませんよ」

賓客「えっ……」

博士「こいつ、戦うのが嫌いなもんでね」

博士「行こう」

超生物「ウン!」

来客達「……」

53: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:41:38.498 ID:n9tyT5pA0
博士「ん」

友人「なんだよ、もう終わっちゃったのか~。間に合わなかったな」

博士「来てくれたのか」

友人「ああ、お前らの活躍を見にな」

博士「さっき予報通り、地震が起きたことに関する感想は?」

友人「別に……当然のことだし。なにも驚いてない」

博士「ったく、大した奴だ」

54: 名無しさん 2021/07/19(月) 22:45:21.630 ID:n9tyT5pA0
友人「そういうお前らは科学技術展でなにやってたんだ? 少しは活躍できたのか?」

博士「俺たち? ずっと風船配ってた。なぁ?」

超生物「ソウソウ! 楽シカッタ!」

友人「ハハ、なんだそりゃ」







おわり