1: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:39:10.82 ID:oqGk6WLc0

※胸糞注意

    ◇三年前

父の指がわたしの乳房をなぞっていく。形が変わらないくらいの、柔らかな指の動きだった。

むずむずするような感触は、心の奥をちりちりと熱して、ロウソクが溶けるみたいに性器を濡らしていく。

わたしは太股をこすり合わせ、与えられる弱い快楽に悶えながら、父と唇を重ねていた。

ねぶるように動く父の舌は、わたしの口の中を全て暴こうとするように、いろんなところを駆け回っている。

わたしはそれに舌を絡ませることで応えた。柔らかな舌同士の触れあいは、唾液の甘い味と、浮かされるような熱っぽさを与えてくる。

キスにおぼれていたわたしをからかうように、父が乳首を指で爪弾いた。突然のことに腰が跳ねてしまう。

父はわたしの乳首を指で挟み、くにくにと弄んだ。まだ終わる気配のないディープキスの合間に、わたしは快楽の吐息をこぼす。

なすがままのわたしは、息を乱し、幼い体を性感で震わせながら、ただ愛されることを受け入れていた。

まだ生え揃っていない陰毛に父が触れる。軽く引っ張られ、痛さとくすぐったさの合間にあるような刺激が走った。

わたしの反応に満足した父は、愛液が十分にあふれていることを確認すると、ゴムをつけることなく男性器を挿入してきた。

嬢「っは……あ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420043950

引用元: ・お嬢様「父を殺したのは誰か?」【R-18】

2: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:40:18.05 ID:oqGk6WLc0

甘い声が自然と出てしまう。演技ではない。そうなるように体が覚え込まされている。

父がゆっくり腰を動かすと、ぞわぞわと気持ちよさがこみあげてくる。呼吸をするのに夢中で、飲み込めない唾液が口の端からこぼれていった。

そうしてあふれた唾液を、父は指先ですくい上げ、そして舐めた。それがどうしてかとても恥ずかしくて、わたしは顔を隠してしまう。

父の動きはどんどん早くなっていく。水のはじけるような音が大きくなり、父とわたしの呼吸音と混じりながら、いやらしい音楽を奏でている。

膨らみかけの乳房が揺れる。少し痛かった。

父は上体を丸め、わたしの首筋に舌を這わせていく。いつノドを食い破られるのかな、そう思った。

わたしは怖くなり、父の首に腕を巻き付けた。それが何か父の心を刺激したのか、腰の動きはもっと早くなる。

柔らかい部分を突き上げる固い陰茎は、大きく熱く脈打っている。射精が近いのだと、これまでの経験から悟った。

父「出すぞ……」

嬢「出して……っ。ください、奥に、お父様ぁ……」

嬉しくなり、声に熱がこもった。

求められたとおりの言葉を口にするわたしは、父が小刻みに腰を震わせたところで、絶頂に達した。



翌朝、起きてみると、体が生臭くなっていた。けどそんなことは気にならない。

わたしは笑う。気持ちのいいことは、どうしてこんなに早く時間が過ぎるのだろう。

3: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:41:19.16 ID:oqGk6WLc0

    ◇現在

執事「お嬢様、よろしかったのですか?」

嬢「よろしいもよろしくないもないわ。決めたのはわたし。あなたは黙って従いなさい」

執事「ですが……失礼ながら申し上げます。お嬢様が亡きお父上を殺した犯人を見つけるのは、難しいかと」

嬢「そうね。それが?」

執事「お父上の会社の役員を自ら調べるためとはいえ、役員の方に納得させるために、遺産のいくらかを支払ったのも問題です」

嬢「そうかしら?」

執事「これから生きていくのにお金は大事でしょう? もっと慎重に使っていかねば……」

嬢「あなたはお金の価値をわかってないわ」

嬢「いい? お金は交換物としてのみ価値を有するわ。わたしが求めるものを差し出させるのに必要だというなら、安い損失よ」

執事「……私の意見を、聞いてはくださらないのですね?」

嬢「そうね。あんたは名目上、後見人としてわたしの資産を管理しているけど、使い道を決めるのはわたしよ。誰にも文句は言わせないわ」

執事「わかっています。お嬢様に従いましょう」

執事「ですから小言くらいは許していただけませんか?」

嬢「許してあげるわ。あなたは有用だもの」

4: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:42:05.34 ID:oqGk6WLc0

執事「ところでお嬢様、質問してもいいでしょうか?」

嬢「好きにしなさい。答えていいことなら答えるわ」

執事「調べる役員を三人に限定したのはどうしてですか?」

嬢「父と懇意にしていたから、という理由では不満かしら?」

執事「――――ではつまり、お父上が殺された理由は怨恨である、と?」

嬢「……ふふ」

嬢「そうね、父が殺された理由は怨恨よ。それ以外の理由ではありえないわ」

執事「ありえない、ですか」

嬢「追々わかるわ。あなたは黙ってわたしについてくればいいの」

執事「……そうですか」

執事「かしこまりました、お嬢様」

5: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:43:31.55 ID:oqGk6WLc0

    ◇一人目

執事「役員A様、ですか」

嬢「歯切れの悪い返事は、乗り気じゃないという意味かしら?」

執事「いえ……そうではなく、彼がお嬢様の父上を殺したとは考えづらいもので」

嬢「執事はAのことをよく知っているの?」

執事「あくまで公の場で会ったことしかありませんが」

嬢「そんなことをするような人には見えない、という偏見ほど当てにならないものはないわ」

執事「お嬢様のおっしゃることはもっともですが、少し理由が異なります」

執事「……A様は潔癖に近い完璧主義者ですから」

嬢「融通の利かない無能、を綺麗に言えばそうなるかしらね」

執事「そのような形容はふさわしくありません。A様は不測の事態にも柔軟に対応し、仕事を完璧にこなしていたそうですから」

嬢「つまり、父の殺害も証拠を残さず完璧にこなしたのね」

執事「お嬢様……」

嬢「冗談よ。でもそうね、そういう人間なら化けの皮をはがしてやりたくなるわ」

6: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:44:25.11 ID:oqGk6WLc0

A「犯人探しに協力するのは構いませんが、具体的に私は何を求められていますか?」

嬢「そうね。これはどうでもいいのだけど、ひとまず、父の死亡時刻に何をしていたか聞こうかしら」

A「仕事が終わり、帰宅しようとしていたところです」

嬢「つまり会社にいたのね?」

A「ええ」

嬢「父が社内で死んだのは知っているわね?」

A「もちろんです。まさか、と耳を疑いました」

嬢「つまりあなたに犯行は可能だったと」

A「俗に言うアリバイはありません。ただ、それだけで疑われてはこの国が本当に法治国家なのかと不安になりますね」

嬢「安心して。最初に言ったけど、この質問はどうでもいいの。アリバイなんて偽装できるのだし、そんなものを重視する意味はないわ」

A「でしたら何を調べるおつもりで?」

嬢「あなたの人間性」

A「…………」

嬢「人格、悪癖、習慣、思想。あなたという人間を知るために、わたしはこの時間を設けているの」

嬢「だから暴くわ、あなたという人間を。心の裏側まで、知られたくないことまでつまびらかにしてみせる」

A「……なるほど」

A「失礼ですが、あなたをただの世間知らずなお嬢様だと思っていました」

嬢「構わないわ。実際、わたしは世間知らずでバカな女よ」

7: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:46:11.49 ID:oqGk6WLc0

執事(これで本当に、犯人を見つけられるのでしょうか。疑問ですね)

嬢「それじゃあ始めましょうか。あなた、結婚は?」

A「二〇年前に一度。ですが離婚しています」

嬢「子供は?」

A「息子がいます。最近は会っていませんが」

嬢「そう。養育費とか、苦労しているかしら」

A「元妻は再婚したので、それを機に養育費の支払いは終えています。お気遣いなく」

嬢「あら、社交辞令だから気にしないで? あなたの苦労なんて興味ないわ」

A「……なるほど。食えない人ですね」

嬢「執事」

執事「なんでしょうか」

嬢「Aの個人情報を可能な限り集めたはずね? それを読み上げなさい」

執事「……ここで、ですか?」

嬢「何か問題があって?」

執事「身辺を探られていたとあっては、A様もいい気がしないでしょう」

A「それこそ今更では? むしろ、何が知られているのか把握しておきたい」

嬢「だそうよ? だから読み上げなさい」

8: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:47:18.46 ID:oqGk6WLc0

執事「……では、報告します」

執事「A、四七歳。△△県で次男として生まれる。精神の成熟が比較的早く、そのため小学生時にはイジメを受けています」

執事「中学に上がってからイジメは止まりますが、友人はおらず、スキー林間や修学旅行は欠席をしています」

執事「そのような九年間を過ごしたため、義務教育時に心はそれほど成長しなかったのですが、そのおかげで遠くの高校に通っていた時は人並みに友人が作れました」

A「…………」

嬢「あら、まぶたがけいれんしてるわよ? 大丈夫?」

A「問題ありません」

執事「……続けます」

執事「大学入学を機に上京、わずかな仕送りとアルバイト代で生活を送ります。また、お嬢様のお父上とは大学を通じて知り合いました」

執事「大学三年時、これまでのアルバイトを止めて家庭教師を始めます。この時に担当していた女生徒が、後の結婚相手になりますね」

嬢「あら。一八歳未満の女性に手を出したの? 犯罪者ね」

A「信じてもらえるかはわかりませんが、元妻と事に及んだのは彼女が大学に合格した後です」

嬢「そう。ところで、顔がこわばってるわよ?」

A「…………」

執事「……その後、大学を卒業し東証二部の会社に就職。しかし三年後、お嬢様のお父上に声をかけられたことから、退職しています」

執事「お嬢様が調べようとしている三人は、いずれも会社創設時に声をかけられた方のようですね」

執事「必然的に、お父上との交流も深くなります」

9: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:48:03.05 ID:oqGk6WLc0

嬢「なるほどね、よくわかったわ」

執事「ありがとうございます」

嬢「あら、頭を下げるにはまだ早いわ」

A「どういうことです?」

嬢「そんな上っ面の経歴だけを長々と聞いて、何になるの? そんなものでAの人間性が測れるかしら」

嬢「何の足しにもならない話だとわかった、わたしはそう言ったのよ」

A「……つまり、今の情報でさえまだ足りないと?」

嬢「ええ。あなたにとっては、色々と思うところのある過去みたいだけどね?」

A「…………」

嬢「執事。あなたの調査能力はその程度だったかしら」

執事「ですがお嬢様」

嬢「あなたはAの言葉を忘れた? どうせ知られたのなら、何を知られたのか把握したい。彼はそう言ったのよ」

嬢「今後、同じことを言わせないでちょうだい」

執事「……かしこまりました。追加の報告をします」

10: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:49:36.79 ID:oqGk6WLc0

執事「――――A様は極度の子供嫌いです」

執事「大学生時には、子供の声が騒がしいからと通報し、近隣の住民といさかいを起こしたこともあります」

執事「その際、お父上に仲介をされたことから親しいつきあいが始まったようです」

嬢「ふうん? ならわたしくらいの小娘も嫌いかしら?」

A「執事さんの調査が正しいなら、でしょう? 私は特にあなたが苦手じゃありません」

嬢「そう? ところでA、肩の力を抜いたら? 唇を舐める頻度も増えてるわよ」

A「…………」

執事「その、お嬢様。まだ続けるので?」

嬢「言うまでもないわ。続けなさい」

執事「……A様は結婚に際しても、子供は作らないつもりでした」

執事「当初は元妻も納得した素振りを見せていたようですが、わざと避妊に失敗することで懐妊しています」

嬢「騙し討ちされたのね。くす、可哀相な人」

A「…………」

執事「この際、離婚も話に上がりましたが、話し合いの末に夫婦の形は維持することになりました。ですがもう、外見を取り繕うので限界だったようです」

執事「出産後、A様が一度も子供を抱かないことに、元妻は不満を募らせます。子供ができれば考えも変わる、その目論みは崩れました」

執事「結局、子供が一二才、A様が四〇歳の時に離婚しました。一四年間の結婚生活はそこで終わっています」


11: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:51:04.21 ID:oqGk6WLc0

嬢「ご苦労様。今度こそ、よくわかったわ」

A「よく調べたものですね」

嬢「人の口に戸は立てられない。ことわざのとおりね」

嬢「ところで、奥さんが再婚したのはいつになるの?」

執事「今から三年前になります」

嬢「そう。つまり……息子さんが一六歳の時ね。会いたくはならないの?」

A「元妻が再婚した後、一度だけ会いました。向こうはそれほど会いたくなかったようですが」

嬢「ふーん。どういう心境の変化かしら」

A「……執事の彼が報告したでしょう? 私は子供が嫌いですが、あなたと同じくらいに成長していれば通常に接することができます」

嬢「――――ああ、なるほど。よくわかったわ」

嬢「つまりあなたは、自分をイジメたり認めたりしなかった、小学生や中学生、それ以下の子供を認められないのね?」

A「…………」

嬢「ふふ、狭量な男。それでよく父親になれたものよね?」

A「なりたくてなったわけじゃない」

嬢「そんなもの、世間に言い訳としてさえ通用しないわ」

嬢「それにしても、つまらない男ね。かれこれ三〇年以上も前のことを気に病んでるなんて」

A「…………っ」

嬢「あら、歯ぎしりが聞こえるわ。止めた方がいいわよ、もう年なんだもの、いつ歯が欠けてもおかしくないものね」

12: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:51:41.34 ID:oqGk6WLc0

    ◇一人目終了

執事「はあ……」

嬢「大きな溜息ね。そんなに疲れるほど執事は仕事をしたかしら」

執事「私はお嬢様のように神経が図太くできていませんので」

嬢「そう、残念ね。今からでも交換してきたら?」

執事「……それで、お嬢様から見てA様はどうだったのですか?」

嬢「どうということもないわ。自尊心が強く、年齢という枠で人をひとくくりにして個体差を認められない、くだらない男だわ」

執事「ずいぶんとこき下ろしますね……」

嬢「だってそうじゃない。Aをいじめた子と息子は別の人間よ。同一視するなんて個性への侮辱だわ」

嬢「だいたい、Aが会社を辞めてまで父についていったのも別の理由が想像できるわ」

執事「というと?」

13: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:52:15.59 ID:oqGk6WLc0

嬢「平社員という立場で自分より頭の悪い人間にこき使われるのが許せなかった」

執事「それは……」

嬢「そうね、Aの心の内まで正確にはわからない。でもあながち外れてはいないはずよ」

嬢「自信を持つだけの能力はあったようだし、実際に成果を出している。Aからすれば鼻が高いんじゃないかしら」

執事「お嬢様の推測はともかく、あそこまで挑発する必要はありましたか?」

嬢「悪い? 人間の本質を暴くにはあれが手っ取り早いもの」

執事「悪いというか……いえ、お嬢様の好きになさればいいと思います」

執事「……お父上を殺した可能性については?」

嬢「さあ。どうかしらね」

嬢「とりあえず、彼はわたしの求めるものを持っていない」

嬢「それだけよ」

14: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:52:55.92 ID:oqGk6WLc0

    ◆深夜

お嬢様はああ言ったが、私はまだAのことを調べ上げていた。

Aの自宅にあるパソコンに侵入する。それ自体はとても簡単だった。

私は指を鳴らし、袖をまくり上げると、ただひたすらに探し続けた。

自分が偏執的な人間だとはよくわかっている。だからこそ、ここまで夢中になることができたのだ。

何年も、何年も、私は探し求めている。

この目的のためだけに、クラッキングの技術を手に入れるくらいには。

努力を重ねた昔日を思い出しながら、Aのパソコンの中に残ったありとあらゆる情報を洗い出す。

結局、私は一枚の写真しか成果を得られなかった。

しかし、それでも十分だ。

可能性をようやく見つけることができたのだから。

見つけたのはお嬢様の写真だった。

どんな時に撮影したものだろうか。何かに恐怖しているような、泣き顔を浮かべていた。


15: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:55:20.10 ID:oqGk6WLc0

    ◇四年前

父の陰茎を舐めあげながら、わたしはふと、クラスの友人たちがアイドルやジャニーズに熱を上げていることを思い出した。

それ自体はどうでもいいことなので頭から追い出し、わたしは熱心にフェラチオを続ける。

陰茎の裏側、何か管が盛り上がっているように見えるそれは、裏筋と呼ぶらしい。父のそこにはホクロがあった。

わたしはホクロを中心に舌を張りつかせ、先端からあふれる少ない先走りを舐めあげていく。

まさかホクロに性感帯があるわけでもないけど、父はホクロを中心に舐められるのが感じるようだった。わたしの頭を押さえる手にも力がこもる。

わたしは父の手に誘われるまま口を上に運び、少し黒ずんだ亀頭を口にくわえる。利き手では竿の部分をしごきながら、柔らかくつやつやした部分をそっと吸い上げた。

父の腰が軽く前後する。固く張りつめた竿を手で上下にこすりながら、アメ玉を舐めるように舌を忙しなく動かした。

口をすぼめるようにしてから吸い上げると、父が短くうめいた。気持ちいいみたいだ。わたしはやり方が正しいことに安心して、もっと強く吸い上げる。

亀頭への刺激はとても強いようで、父は腰をがくがくと震わせる。陰茎をしごく手にも、暴れるような動きが伝わってきた。

あごが疲れてきたので、一度口を離し、竿の部分を横からくわえる。唇ではむはむと甘噛みし、それから舌で裏筋をなぞった。

わたしの唾液にまみれていた亀頭は手で包み、こねるように手首を回す。

そうしていると唾液の甘いにおいがしてきて、自分が塗りたくったものなのに、とてもいやらしいものに思えてくる。

その間にも、口を根本の方まで滑らせていく。陰毛が顔にあたってこそばゆいけど、ここで嫌そうな顔をすることはできなかった。

そこから口を下に持って行き、ぶらさがっている袋にキスをする。父のそこはあまり毛が生えていなくて、すべすべとしていた。

袋の中には焼く前のコッペパンみたいな、少し横に伸びた丸いものが二つ入っている。

わたしは袋の半分をぱくりとくわえ、球の一つを口に含んでころころと転がした。


16: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:56:44.75 ID:oqGk6WLc0

二つともほおばると口の中がいっぱいになってしまうから、もう片方は指でこねくりまわす。

ここはあまり刺激すると良くないみたいだから、やんわりと愛撫した。

やがて満足できなくなったのか、父の手がわたしの頭をつかむ。それを合図に、わたしは父の陰茎を全て飲み込んだ。

太く長い陰茎は、ノドの奥にまで届いていた。慣れた感触だ。息苦しさだってもう心地よい。

唇で強く陰茎を挟みながら、わたしは頭を上下させる。口の中に唾液をためて、陰茎にまぶしながら、舌の上に乗せるように動かした。

やることのなかった手は父の腰に回し、しがみつくようにしながら、わたしは熱心に奉仕した。

父「おちんちんはおいしいか?」

突然の質問に、わたしは唾液で糸を引かせながら口を離す。

嬢「好き……おちんちん、好きぃ……」

父「いやらしい子だ……ほら、もうすぐだ。全て飲み込んでくれ」

わたしは言われるがままに、また陰茎を口で包んだ。ここで手を使うと父は怖い顔をするから、口だけでいっぱい刺激しなきゃいけない。

ときどき頬の内側に亀頭をぶつけたり、口の中の上側にあるざらざらした部分に押しつけたりして、父をあきさせないように緩急をつける。

そうしている内に、父の劣情はどんどん膨らんでいく。わたしの口の中いっぱいに広がったそれは、今にも破裂してしまいそうだった。

父「くっ……」

父が声をもらす。わたしはそれが嬉しくて、もっとがんばることにした。

「いっぱいだして」と、陰茎をくわえたまましゃべる。自分でもなんて言ったのかわからない声だったけど、父は興奮したようだった。


17: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:57:45.02 ID:oqGk6WLc0

頬をすぼめ、亀頭を吸い上げる。父が射精したのは、そのすぐ後だった。

熱い液体がだらりと口の中に広がる。ねばつくそれをしばらく味わいながら、父の陰茎が少し固さを失ったところで、ゆっくりと飲み始める。

精液を飲むにはこつがいる。唾液をいっぱい出して、少しでも薄くしながら、ちょっとずつノドを通らせるのだ。

いつものようにわたしが精液を飲んでいる間、口の中の動きが気持ちいいのか、父は今日も上機嫌だった。わたしは安心して、精液を少しずつ飲み干していく。

やがて飲み終わると、今度は父の陰茎についた唾液を吸い上げるようにしながら、亀頭に残った精液もしぼりとる。

父の快楽でノドを潤したわたしは、ようやく陰茎から口を離した。

父「全部、飲み込めたね?」

嬢「うん……」

口を開け、お手伝いが終わった後みたいな報告をする。父は「いい子だ」と言ってわたしの頭をなでた。

わたしはそれに笑顔で応えながら、また友人たちのことを思い出した。

テレビの中の男の人に熱を上げる、かわいらしい彼女たち。

けれど同い年であるわたしは、もう男の味を知っていた。

わたしはきっと、いやらしい子なのだ。父がいつも言うように。

そんなことを考えていたら、突然、父がわたしをベッドに押し倒し、おおいかぶさってきた。

嬢「…………」

今日はまだ、終わりじゃなかったみたいだ。

18: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:58:33.26 ID:oqGk6WLc0

    ◇現在

執事「こちらがS様の調査報告になります」

嬢「そう。ご苦労様」

執事「……今回は、S様の前で読み上げないのですか?」

嬢「必要ならそうするわ。ただ、Sには会ったこともあるし、そこまでして人間性を引っ張り出す必要もないわね」

執事「ああ……お嬢様はS様を嫌ってらっしゃいますからね」

嬢「悪い? だって目つきがいやらしいんだもの、あのハゲ」

執事「あの年齢になれば、毛髪が薄くなるのも致し方ないかと……」

嬢「知ったことじゃないわ。執事がもしハゲたりしたら、わたしは即刻、解雇するもの」

執事「それはまた……世知辛いお言葉ですね」

嬢「安心なさい。たぶん、そうなるまでわたしがあなたを雇っていることはないわ」

執事「……遠回しなクビの宣告でしょうか」

嬢「ある意味そうかしらね。何だったら、次の仕事を探しておくといいわ」

執事「肝に銘じておきます」


19: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 01:59:37.27 ID:oqGk6WLc0

執事「ところで、S様の調査結果はそれで十分でしょうか?」

嬢「そんなことを今聞いて何になるの? 足りないとして、これから取り調べをするって時に、追加の調査と報告をする自信があるということ?」

執事「いえ……申し訳ありません」

嬢「へりくだることに価値が出るのは、相手が実態のない尊敬を集めている時だけよ」

嬢「わたしは自分がどういう人間かを知り尽くしているから、あなたがどんな言動をしようが自分を見間違うことはないわ」

執事「はあ」

執事「失礼ですが、ではお嬢様は、どのような人間なのでしょうか」

嬢「あら、気になる?」

嬢「ふふ。そうね、簡単に言えば」

嬢「――――大人になったつもりでいるメスガキ、よ」

執事「そのようなことはないかと思いますが……」

嬢「あなたの意見なんて聞いてないわ。わたしの認識が全てだもの」

嬢「わたしは大人を知り尽くしたつもりでいる。もちろんそれが浅はかな考えだとはわかっているけど、そう思うのは止められないわ」

嬢「大人の、特に男の考えなんて、薄っぺらくてまじまじと見る必要もないほどわかりやすいじゃない」

執事「……その考えに、お嬢様が足をすくわれなければいいのですが」

嬢「あら、心配してくれるの?」

嬢「でもそうね。そうなった時、わたしはきっと死んでいるでしょうけど」

嬢「自分が失敗したことに、獣のような叫びを上げながら怒り狂うかしら」


20: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:00:40.49 ID:oqGk6WLc0

    ◇二人目

S「お嬢様。その、社長が亡くなられたことに、お悔やみを申し上げます」

嬢「その言葉は父の葬式で聞いているわ。あなた、自分の言ったことも覚えていないのかしら」

S「いえ……そういうわけでは」

嬢「で、わたしの目的はわかっているはずよね? あなたのその隠し事に向かない頭でも、覚えていられたでしょうし」

S「それは、まあ……」

嬢「ならいいわ、話を進める。いちおう聞いておくけど、父が死んだ時、あなたはどこにいたかしら」

S「娘と一緒におりました」

嬢「ああ。あなた、結婚していたものね」

嬢「でも知ってる? 家族の証言は証拠として完璧には成立しないのよ?」

S「はい……ですがそもそも、警察の方が私を調べに来ることもありませんでしたので……」

嬢「そう、警察も使えないわね。Sを叩けばいくらでもホコリが出るでしょうに」

S「いやはや……まったく、お嬢様はいつもながら、手厳しい」


21: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:02:29.18 ID:oqGk6WLc0

嬢「執事」

執事「なんでしょうか」

嬢「Sのパソコンやスマートフォンを調べなさい」

S「……は?」

嬢「あら、今はあなたに返事を求めてないわよ。黙っていてくれるかしら」

S「いや……どうしてそんな、急に?」

嬢「そうね。理由をこじつけるなら、父が亡くなった日に、あなたと口論した記録とか残っているかもしれないじゃない?」

S「そんなものがあれば、警察の方がとっくに……」

嬢「わたしは警察じゃないし、Sは少なくない金銭でわたしへの全面的な協力を約束したはずよ。Sに口を出す権利はないわ」

S「ですが、その……」

嬢「S、あなたは自分の情報をお金で売り払ったの。そこにどんな秘密があろうが、隠し立てしていい理屈はないわ」

嬢「Sがどんな薄汚れた人間であろうと、これ以上あなたを軽蔑することにはならないもの。だからさっさと諦めなさい」

S「しかし……」

嬢「はあ。煮え切らない男ね。あなたみたいなうじうじとした人間には、本当にヘドが出るわ」

S「…………っ」

嬢「そう、それとその目。わたし、そういう目に心当たりがあるの。わかったら、わたしの顔を見ないでくれる? 気持ち悪い」


22: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:03:19.17 ID:oqGk6WLc0

執事(お嬢様はどうしてこう、男性のプライドを踏みにじるんだか……)

執事(いつか、手痛いしっぺ返しを受けても知りませんからね)

執事「S様。どうかご協力を」

S「……わかり、ました」

執事(インターネットの閲覧履歴、保存ファイル、隠しフォルダーの確認……と)

嬢「ところでS。あなたの娘はいくつになったかしら」

S「今年で一八になりますが……」

嬢「そう、大きくなったものね。わたしより二つ上だってこと、忘れなければ今度は覚えておくわ」

嬢「で? 彼女はまだ引きこもりなの?」

S「ええ……夜、私が娘の部屋に行くまで、一日をぼーっと過ごしているようで……」

嬢「困ったものね」

S「いえ……娘は悪くありません」

嬢「あら、誤解しないで? 困ったもの、それはあなたのことだから」

S「は……?」

嬢「娘との正しい接し方ができなかったから、彼女はそうなった。わたしはずっとそう思っていたけれど?」

S「娘がひきこもったのは、私が原因、だと……?」

嬢「わたしの直感が正しければね。正しいかどうかは、そろそろ執事が教えてくれるんじゃないかしら」


23: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:04:02.35 ID:oqGk6WLc0

執事「お嬢様、一つ気になるところが」

嬢「何かしら」

執事「頻繁に閲覧しているホームページがありました」

嬢「へえ。どんな?」

執事「○○小学校のホームページになります」

S「娘の卒業した小学校、ですよ……」

嬢「卒業したの、六年も前のことじゃない。そんな風に見続ける理由はないわ」

S「いえ……その、表示してもらいたいページがあるのですが、執事さん、いいですか?」

執事「どこでしょうか」

S「そこの行事をクリックして……六年前の……ええ、それです」

執事「これが何か?」

S「右手前に笑顔ではしゃいでいる子がいるでしょう? ……娘、なんですよ。元気な頃の」

嬢「……つまりあなたはこう言いたいのね? 娘が引きこもりになった現実から目をそらすため、小さい頃の娘の写真を見て思い出に浸っていたと」

S「ひどい、言いようですが……そう思っていただいて、結構です……」


24: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:04:41.90 ID:oqGk6WLc0

嬢「なるほど、あなたの理屈はわかったわ」

執事「他に気になるところは見つかりませんでした。もう少し時間をかければわかることもあるかと思いますが……」

嬢「別にいいわ。知りたいことは知れたから」

S「はあ……知りたいこと、ですか」

嬢「あなたには関係ないことよ。それと、さっきも言ったけど、気持ち悪いからわたしの顔を見ないでくれる?」

S「努力はしますが……」

嬢「まったく。こんな男と結婚するなんて、物好きな女もいたものね」

嬢「まあでも? 物好きなりに理由があったのよね。執事、読み上げなさい」

執事「また、ですか?」

S「……また、とは?」

執事「A様から聞きませんでしたか?」

S「特には……」

嬢「なら好都合ね。どんなことが起こるのか、わくわくできるじゃない」

執事「お嬢様は、性格が悪い……」

嬢「知らなかったの? 執事ってずいぶんとのんびりした性格なのね」

嬢「……さ、雑談はもういいわ。略歴は飛ばして、Sの奥さんについてを読み上げなさい」

26: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:05:35.81 ID:oqGk6WLc0

執事「――――S様と奥様はお見合い結婚でした」

執事「お互いの結婚動機を客観的に見ると、ですが……S様は奥様の容姿を、奥様はS様の収入を目的としているようでした」

執事「S様は奥様の美しさを周囲に吹聴していましたし、奥様は羽振りの良さを金づるが見つかったのだと笑い飛ばしていました」

執事「お互いに愛はありません。ですから、その生活が破綻するのは早かったようです」

嬢「AといいSといい、結婚に失敗する人間が多いわね」

S「……私は別に、自分が失敗したとは思っていませんが」

嬢「そう? まあ外から見ただけじゃわからないこともあるわよね」

執事「……結婚してから三年後、娘さんが産まれました」

執事「ただ、妊娠・出産の時期にいろいろと我慢をした反動でしょうか。奥様の男遊びは以前より派手になりました」

執事「それは今も続いています。失礼ですが、その……」

嬢「同情する必要はないわ。言いなさい」

執事「……S様の収入だけでは足りず、つまり……春をひさいでいるようです」

嬢「遠回しね。体を売っていると言えばいいじゃない」

S「…………」

執事「……年齢的にも、そこまで高い収入を得られはしませんが、それでも普通に働くよりは収入がいいですからね」

執事「そうして稼いだお金も、若い男にちやほやされるために使われています」


27: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:06:34.75 ID:oqGk6WLc0

S「…………」

嬢「あら、言葉もないのかしら?」

S「……いえ。薄々はわかっていたことです」

嬢「落ち込まないのは、奥さんがとうに美しさを失ったから? だとしたらあなたもいい性格してるわよね」

執事「その、お嬢様。まだ続けますか?」

嬢「そうね。奥さんのことは面白い内容も残っていないし、次は娘さんをよろしく」

執事「……娘さんが部屋から出なくなったのは、一〇歳の時でした」

執事「奥様が遊び歩いていることが原因でしょう、奥様の帰りを待っているのですね」

執事「そのような事情もあり、民生委員の方が訪ねてくることもあったそうです」

執事「しかし民生委員はもともと抱えている案件が多く、長期化するに従って十分な対処は行えなくなりました」

執事「そうして、今に至ります」

嬢「奥さんの男遊びが引きこもりの原因だと考えられてるみたいね。Sはどう思っているの?」

S「一概には言えませんが……娘にも、その、複雑な思いがあるのかと」

嬢「複雑、ねえ……」

S「……何か?」

嬢「さあ? ただそうね、あなたに父親としての資質も資格もないんだろうとは想像できるわ」

S「…………」

嬢「ところでS、娘の写真は持っている?」

S「ありませんが……それが何か?」

嬢「なんでもないわ。あなたという人間の底がわかった、それだけの話よ」


28: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:08:16.46 ID:oqGk6WLc0

    ◇二人目終了

執事「お嬢様は、S様がお父上を殺したと思われますか?」

嬢「は? そんなわけないでしょ、あんなやつに大の男を殺せるわけがないわ」

嬢「Sにできるのは、そうね、力の弱い相手を支配するくらいのことだわ」

執事「……は?」

執事「その、お嬢様。A様やS様を調べているのは、彼らがお父上を殺した可能性があるから、なのでは?」

嬢「そんなもの建前よ。そういうわかりやすい理屈があれば、わたしの行動に納得しやすいでしょ」

執事「ではお嬢様は、なんのために彼らを調べ上げて……?」

嬢「そんなことより執事、あなたはSを徹底的に調べ上げなさい」

嬢「Sの自宅にあるパソコンにハッキング……ただしくはクラッキングだったかしら。とりあえずあいつのパソコンを調べなさい。なんだったら、盗撮盗聴をしてもいい。手段は問わないわ」

執事「す、すみません、お嬢様、いきなり何です? 話が突飛すぎて、私にはどういうことか……」


嬢「あら、しらばっくれなくてもいいわ。あなたがわたしの家にしていることじゃない」


執事「…………」

嬢「あなたがうちに来てから五年になるけど、まさかバレてないと思ったの?」

執事「そのことを、お父上は……」

嬢「知らなかったでしょうね。父は脇の甘い人間だったから」

嬢「……あなたのしていることはどうでもいいの。それよりSのことよ」

執事「しかし、S様の何を調べるので?」


嬢「あいつは父と同じ、小児性愛者よ。その証拠をつかんで、なんとしても豚箱に放り込みなさいと言っているの」


29: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:09:19.59 ID:oqGk6WLc0

執事「ちょっと待ってくださいお嬢様。どうしてそうなるのですか?」

嬢「娘の元気な姿を見るために、どうしてわざわざ小学校のホームページを見るのよ。その写真を保存するなり、現像しておけば済む話だわ」

執事「ではどうして小学校のホームページを見たりなど……」

嬢「途中で理由がわかったわ。Sは始業式とかの行事の写真を見て、下着が写り込んでいないか確認しているのよ」

嬢「執事が最初に表示したページの写真、よく見たらスカートの中が見えている子がいたわ」

執事「ですが、それだけで性犯罪者扱いは……」

嬢「Sの娘」

執事「は?」

嬢「母親が家にいないことと、引きこもることにどういう因果関係があるかしら」

執事「それは……母親の帰りを待つため、などではないでしょうか」

嬢「いい線ね。でも甘いわ」

嬢「母親は男遊びが激しいだけで、別に帰らないわけじゃないでしょ? 執事の調査ではどうだったの?」

執事「確かにそうでしたが……実際、帰らない日の方が多いくらいですよ」

嬢「でも考えてみなさいよ。母親を待っているはずなのに、部屋に引きこもってどうするの?」

嬢「それじゃ母親と会えないじゃない」

執事「それは……」

嬢「子育てを放棄して自分の娯楽を優先する人間なら、娘が部屋にこもっていようが気にしないわ。声をかけるくらいならするかもしれないけど」

嬢「だいたい、母親に対する承認欲求が強いなら、家事を率先してこなそうとすることだってありえたはずよ」

嬢「少なくとも、ひきこもって心配してもらおうという魂胆が失敗したなら、余計にね」


30: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:10:12.08 ID:oqGk6WLc0

執事「……しかし、それにしたって憶測が過ぎるかと」

嬢「あら? 性的虐待をされた恐怖から家を逃げ出せず、部屋に閉じこもり、一日をぼーっと無気力に過ごしてしまう、では納得がいかない?」

執事「いえ、わからなくはないのですが……だからといって、性犯罪者扱いするだけの証拠がないかと」

嬢「証拠はこれからあなたが集めるのよ。それとも他に根拠を聞かなきゃ動けない?」

執事「いえ……お嬢様の命令とあれば動きますが」

嬢「そうね、従順な人間は好きだわ」

嬢「でもそれじゃ、あなたが心から満足して働けないでしょうね。だからわたしなりの根拠を教えてあげる」

嬢「――――小さい頃から、わたしを見るSの目は、わたしに欲情した父と同じ色をしていたわ。今だってそう。だからあいつは性犯罪者よ」

執事「……かしこまりました。お嬢様のご命令どおりに」

嬢「ところで執事。あなたの探しているものは、もう見つかったのかしら?」

執事「いえ……まだですね」

嬢「そう。早く見つかるといいわね。期待してるわ」

31: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:11:08.88 ID:oqGk6WLc0

    ◆深夜

お嬢様の言葉どおり、Sは娘に手を出していた。年齢ごと、日付ごとに保存された写真には、汚されたSの娘の姿がある。

私はSと違い小児性愛者ではないため、その幼い姿に興奮などしなかった。

か弱いものが犯される姿に、どう欲情しろというのだろう。私には理解できない。

弱者が虐げられるなど、普通に生きていればいくらでも目にする光景だ。そんなものに特別な価値を見いだせるだろうか。

あるいはそう、常に虐げられてきた者であれば、自分より弱い者がいることに安心し、また高揚を覚えるのかもしれない。

どちらにしろ、私には関係ない話だ。

Sの性犯罪の証拠は手に入れたため、調査を終わらせる。次はAのパソコンに侵入した。

しかし成果はない。Aは完璧主義なだけあって、他の画像は復元することができなかった。

大きくあくびをして、画面から視線を移し天井を見る。

お嬢様はいつから、私の行動に気づいていたのだろう。

わからない。感づかれるようなヘマをしたつもりはなかったが、どこかでボロが出たのだろう。

それにしたって、今日まで泳がされていた理由はわからないが。

……考えるのを諦めてから、私は時間を確認する。使用人は全て眠っているはずだ。

私は静かに部屋を出て、いつものように亡き主人の部屋を物色することにした。


32: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:12:10.77 ID:oqGk6WLc0

    ◇五年前

父「そうだ、ゆっくり腰を下ろして」

嬢「ん……っ、こう……?」

父の腰あたりをまたぎ、膨らんで上を向いた陰茎を割れ目にそっとあてがった。こすり合わせると、快感から太股の内側がびくりと震えてしまう。

どこに入れればいいのかはよくわかっていたけど、自分で入れるのにはまだ慣れていなかった。早く慣れないといけない。

くすぐったいような快感に息を荒くしながら、わたしはようやく場所を探し当てた。そのまま腰を落としていく。

根本まで入った父の陰茎は、まだまだわたしの体には大きくて、入れただけで動くことができなくなってしまう。

もちろん、本当に動かないわけにはいかない。最近の父は、わたしに腰使いを覚えさせるためにこうしているのだから。

まずは体を上下に動かす。がんばって腰を上げ、ずるずると抜けていく感触と、力が抜けて腰が落ち、一気に奥を叩いてくる痛さで、わたしの息はもう上がっていた。

それでも何度か繰り返す。わたしの中はもう父の陰茎の形になっていたから、そこまで苦しさはない。痛さだって悪いものじゃなかった。

のんびりした動きになってしまうけど、父は満足そうにわたしを見ている。

普段、父が腰を振っているときはもっと早いのだけど、これで満足できるのだろうか。

そんなことを質問するのは怖いので、わたしはつやっぽい声だけを父に聞かせていた。

腰を上下させるのに疲れてきて、今度は覚えたばかりの前後運動を始める。

こうしているとクリトリスが刺激されて、腰砕けになってしまうので、長い時間はできなかった。

父の陰茎はわたしの動きに合わせて、お腹の方や背中の方に動こうとする。亀頭はお腹の奥で、わたしの体の気持ちいいところを突っついている。


33: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:13:11.09 ID:oqGk6WLc0

快楽と疲労の間で板挟みになっていたわたしは、数分して、動くことができなくなっていた。腰が重い。お腹の奥がじんじんとする。

そんなわたしに父は手を伸ばしてきて、まだ膨らんでもいない乳房を撫で、それから乳首を爪でこする。

快楽でいっぱいになっていたわたしは、そんなささやかな刺激でさえ背中を弓のようにそらせて、甘い悲鳴を上げた。

情欲に溺れているわたしに満足したのか、父は優しく微笑むと、容赦なく腰を突き上げてきた。

わたしは体を起こしていることさえできなくなって、父の胸に向かって倒れ込んでしまう。それでも父の腰の動きは止まらなかった。

わたしの体を開こうとするみたいに、陰茎はわたしの奥を目指して進んでくる。もう行き止まりなのに、それでも柔らかな肉を裂こうとしていた。

嬢「ひぁ……あぁ……ああっ」

とろけきって形を失った言葉が、アイスみたいに地面に落ちる。そして父はアリのように、わたしの言葉に群がっていた。

薄いお尻の肉を強く揉まれる。それから力任せに、父は腰を打ち付けてきた。

おかしくなりそう。

そう思ってから、わたしの中にあるひとかけらだけ冷静な部分は、わらっていた。

わたしはとっくに、おかしくなっている。

陰茎の抽送が繰り返される。はしたなくこぼれる愛液は、わたしと父の性器をつややかに濡らしていた。

残っていた冷静さはすぐに崩れてしまって、わたしはもうセックスのことしか考えられなくなっていた。

父の胸とわたしの胸が触れ合う。汗をかいているから、気持ち悪い粘着感があった。

けど気持ち悪さだって、頭の中で気持ちいいに変わってしまう。


34: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:14:38.41 ID:oqGk6WLc0

ずっと腰を振っていたからだろう、父の息が荒くなりはじめた。

父が動くのを止めたところで、またわたしが動き始める。頭はくらくらしているけど、どうにか動くことはできた。

腰を浮かせる。亀頭のカリがわたしの中をこそいで、理性はあっという間に削られていく。

腰を落とす。閉じかけていたわたしの中が押し広げられて、甘い蜜をだらだらとこぼしながら、それでも父の陰茎を受け入れる。

またがっていた足を動かし、父のお腹あたりで膝を合わせる。こうすると締まりが良くなって、とても気持ちいいらしいのだ。

少し動きづらいけど、父が気持ちよくなるならそれで良かった。

わたしは後ろの方に手を置いて、しぼりとるように腰を上下させる。父の陰茎は、もう我慢ができないというように顔を真っ赤にしていた。

そろそろ射精するのかもしれない。

父は何も言わない。でも固さや震えから、それが近いことを肉肌で感じられた。

そんなことがわかるくらい、わたしはいやらしい子だ。

時々、父はわたしを淫乱だと言葉で責め立てる。

きっとそうなんだろう。父とお風呂に入って、体を洗われれば気持ちよくなってしまう。

父とセックスをして、自分から腰を振り、やっぱり気持ちよくなってしまうから。

嬢「ごめん、なさい……いやらしいこで、ふぁ、あぁ、ごめん、ぁさいっ」

言いながら快楽をむさぼっていたわたしは、お尻で父を潰そうとするように、ずっぷりと陰茎を飲み込んだ。

甘くただれた悲鳴を上げてしまう。そんなわたしの痴態に興奮が極まったのか、父はどくどくとわたしの中に射精した。

父の腰が小刻みに震えるのを感じながら、射精したことを嬉しく思っていた。


35: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:15:28.13 ID:oqGk6WLc0

    ◇現在

執事「お嬢様、聞きたいことがあります」

嬢「何かしら」

執事「私以外の使用人を全て解雇したのは、何のためでしょうか」

嬢「必要ないから。それじゃあ不満?」

執事「ただ解雇したのであれば、それで納得しました」

執事「再就職先を手配し、十分以上の退職金を与えるようなことをしていなければ、です」

嬢「彼らは家のためによく働いてくれたわ。褒賞として考えたら過分じゃないと思うけれど?」

執事「……理由を教えてはくださらないのですね?」

嬢「――――執事。あなた、何か勘違いをしちゃいないかしら」

嬢「あなたをまだ手元に残しているのは、そうするだけの理由と価値があるからよ」

嬢「あなたはわたしにとって特別な他人ではないし、あなたがわたしにどんな気持ちを持っていようが、わたしには一片たりとも関係がない」

嬢「わたしの真意なんて知る必要がないわ」

執事「……心得ております、お嬢様」

嬢「ならいいわ。くだらないことなんて気にせず、あなたはあなたの仕事をなさい」


36: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:16:23.69 ID:oqGk6WLc0

執事「最後の取り調べはC様、ですか」

嬢「ええ。ま、彼が父を殺した可能性は、これまでの誰より低いけど」

執事「それをわかっていて調べるのですか?」

嬢「彼は父の親友だもの。その人格については承知しているつもりだけど、調べない理屈がないわ」

執事「お嬢様の考えに水を差すつもりはありませんが……」

嬢「そうね。それが賢明だわ」

嬢「ところで執事。彼がどうして父の起業に協力したか、わかっているわね?」

執事「それはもちろん。ですが、これまでの方と違って人情によるものですが」

嬢「自分の能力を周囲に認めさせたかったA。上司に嫌われて社内に行き場のなかったS。さて、じゃあCは何かしら」

執事「お父上の親友だから、ですね。友誼を重んじる方なのでしょう」

嬢「ええ。だからこそ、わたしはCを信用できないわ」

嬢「そんなCであれば、父の罪にさえ口を閉ざしそうだもの」

37: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:17:36.60 ID:oqGk6WLc0

    ◇三人目

C「よう嬢ちゃん、待ってたぞ」

嬢「父の葬儀以来ね。相変わらず元気そうでうんざりするわ」

C「毒舌なのは変わらないか……まったく、誰に似たんだか」

嬢「悪いけど、雑談をするために来たわけじゃないの。またいつか、暇で死にそうな時にでもお願いするわ」

C「……わかっちゃいるがな。だが、こんなことして何になるって言うんだ?」

C「父のやつは死んだ。警察が犯人を探している。嬢ちゃんがこんなことする理由はねえだろ」

C「第一発見者だからって、あまり自分を追い込むもんじゃない」

嬢「わたしがそんな正論に耳を貸すほどお利口な人間だと思う?」

C「……ったく。その頑固さもそうだが、ほんと、誰に似たんだろうな」

嬢「誰か、になんて関心はないわ。わたしはわたしよ。素直に影響を受けられるほどまっすぐな性格じゃないわ」

C「父のやつの苦労を偲びたくなるな……」

C「で? 俺は何を話せばいいんだ?」

嬢「そうね。まずは慣例としてアリバイを聞こうかしら」

C「あいつが死んだ日、俺は九州に出張だよ。こっちにはいなかった」

嬢「そう。つまりCが父を殺していた場合、自分の手は汚さず、他の人間を使ったということね」

C「――――嬢ちゃんのことはよく知っちゃいるがな、あまり大人をからかわない方がいいぞ。俺だって、そこまで心は広くないんだ」

嬢「その忠告は死ぬ間際にでも思い出してあげるわ」


38: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:18:48.21 ID:oqGk6WLc0

C「やっぱり、こんなことを許すんじゃなかったな」

嬢「お金に目が眩んだんだもの、しょうがないんじゃなくて?」

C「金なんてどうでもいいんだよ。どうせこの後、全部返すつもりだったさ」

C「……父を亡くしたショックで、こんなおままごとでもしなきゃやりきれないのかと思ってな。見てられなかったんだよ」

嬢「Cに心配されるほど、わたしの顔色には何かが見つけられた?」

C「いや、何も。だが行動が突飛すぎただろ? 不安にはなる」

嬢「なら言ってあげる。余計な気を回さなくていいわ」

嬢「わたしは最初から最後まで、自分のために行動している。父のためでもないし、犯人のせいでもないわ」

嬢「……いえ。犯人のせいじゃないは言い過ぎだけどね」

C「そこまでして、怪しいやつは見つけられたのか?」

嬢「さあ? まだCを調べてないもの。なんとも言えないわ」

C「はあ……で? 俺に何を聞きたいって言うんだ?」

39: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:20:27.56 ID:oqGk6WLc0

嬢「まずは軽い質問にしましょうか。C、あなたオナニーはしてる? してるとしたらオカズは何?」

C「あ?」

嬢「それともあなたくらいになると、ヘルスやソープといったところに通うのかしら。お金には苦労してないものね」

C「おい、待て……」

嬢「独身だもの、家に帰ればセックスのパートナーがいるというわけでもないでしょう? それとも、もう枯れちゃったかしら?」

C「待てと言っている!」

嬢「何よ。Cに質問を拒む権利があって?」

C「その質問と、父が殺されたことがどう関わるっていうんだ? ふざけるのもいい加減にしろ!」

嬢「Cこそふざけないでくれる?」

嬢「わたしが意味もなくこんな質問をしていると思われるのは心外だわ」

嬢「あなたの性事情を質問しているのは、わたしなりに意味があってのことよ。あなたにセクハラをするほど、わたしが暇そうに見える?」

C「……なら言ってみろ。父が死んだことと、俺が夜をどう過ごすかが、どう関係する?」

嬢「父の死と直接の関係はないわ。当たり前でしょ? ただし場合によっては、あなたが黙っていたことで父の死につながったと言えるわね」

C「くそ……そういう店にはもう通ってねえよ。そりゃ若い頃には何度か世話になったが、それだって三〇代の話だ」

嬢「なら自分でするということよね。オカズは?」

C「AVだよ。……ちっ、死にたくなってくる」

40: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:21:38.92 ID:oqGk6WLc0

嬢「ふーん、そう」

C「満足か? ならもういいだろ」

嬢「その前に一つ質問したいのだけど」

嬢「Cはわたしが父に陵辱された映像を持ってはいないの?」

C「――――」

C「…………は? おい、なんだそれは、何を言っている?」

嬢「わからない部分があったかしら。ならもっと詳しく言ってあげる」

嬢「わたしが一〇歳の頃、父に襲われて、処女を失った時の映像を持っていないかって聞いてるのよ」

C「待て……待てよ! あの父が……だって? そんなはずあるか!」

嬢「あら、本当に知らないの? てっきりあなただと思っていたのに」

嬢「あのクズはね、生前にわたしを犯した後、信じられないことを言ったわ」

嬢「わたしを初めて汚した時の映像を、信頼できる人に見せたんですって」

嬢「……信じられないわ。というよりありえない。自分の犯罪を言いふらすようなものよ。脇が甘い人だとは思っていたけど、予想以上だった」

C「そんな……バカ、な」

嬢「ええ、バカね。救いようのないくらい」

C「だって、だってあいつは! 死んだ奥さんのぶんも、嬢ちゃんをがんばって育てていたはずだろ!?」

41: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:22:33.71 ID:oqGk6WLc0

嬢「ご愁傷様。Cの親友であるわたしの父は、そんな真っ当な人間じゃないわ」

嬢「……それにしても、本当にちっとも気づいてないなんてね。父は頭のいいバカだったけど、仮面を作るのだけは上手だったみたい」

C「…………」

嬢「言葉もないかしら。わたしをはげますこともできないほど? 豪快な人間を装っているわりに、ずいぶんもろい心をお持ちね」

C「なあ、嘘だろ? あいつが、そんなことするはず……」

C「だいたい、嬢ちゃんはずっと、誰の前でも気丈に振る舞ってきたじゃねえか。そんな嬢ちゃんが、虐待、されてたなんて……」

嬢「――――ねえC。あなたまさか、わたしが平気だったとでも思うの?」

嬢「これでようやく終わるんだと、犯されるたび、父が射精することを嬉しく思うわたしが?」

嬢「男が全部くだらなく見えて、自然と挑発や罵倒を繰り返すわたしが?」

嬢「髪の毛一本にいたるまでどこもかしこも汚されたわたしが。このわたしが! どこが壊れてないって言えるわけ?」

C「…………」

嬢「もういいわ、これ以上は必要ない。執事、読み上げなさい」

執事「……かしこまりました、お嬢様」


42: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:23:47.63 ID:oqGk6WLc0

執事「――――C様はお嬢様の母上に好意を寄せておられました」

執事「だからこそでしょう。母上に生き写しのようなお嬢様に対して、親身になったのは」

執事「お嬢様を産む代わりに母上が亡くなられた時も、親友である父上を慰めた後、一人、母上のために泣きむせぶ姿も見られました」

C「…………」

執事「C様はついぞ、母上に好意を明かすことはありませんでした。母上が父上のことを好いていたからです」

嬢「悲劇の主人公気取りかしら。それとも、主人公を支える相棒役? どちらにしろ、Cの選択はわたしと母の運命を狂わせたわ」

C「……どう、いう?」

嬢「だって父は、母に愛情なんてこれっぽっちも持っていなかったもの」

C「なっ!?」

嬢「病弱な母に、父は子供が欲しいことを言外に匂わせた。ただほのめかしただけのようだけど、それでも母は、父の欲望に応えようとした」

嬢「自分の命を捨ててまでね」

執事「補足しますが……母上もやはり、愛する父上との子供が欲しかった。それゆえの決断だったようです」

嬢「でも父は人間として腐っていたから、目的は子供だけだった」

嬢「男の子なら跡取りにすればいい。女の子なら、自分の歪んだ性欲のはけ口にすればいい」

嬢「そして父の企みどおり、母は『残念ながら』亡くなった」

嬢「ねえどう? 大好きな人を道具にされた気持ちは」

嬢「大好きな人の娘が、心ない親友によって汚されていた感想は」

C「…………」

C「………………」


43: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:25:18.61 ID:oqGk6WLc0

執事「お嬢様。これ以上は……」

嬢「黙りなさい」

執事「…………」

嬢「でもそうね、あなたが気にすることはないわ」

嬢「だって何も知らなかったんだもの」

嬢「いつだってこの世界はそうでしょう? 知らなかった、知ろうとしなかったで許されることはたくさんある」

嬢「今だってそうよ。あなたはまだ、とっても大事なことを知らないでいる」

C「それ、は?」

嬢「考えてもみなさいよ。父に汚されていたわたし。第一発見者のわたし。それだけで答えが出るんじゃなくて?」

C「まさ、か……」

嬢「父を殺したのは誰か」


嬢「――――そんなの決まってるわ。父を心から憎んでいた、わたしが殺してやったのよ」


C「うあ……ああ……!」

嬢「ふうん、泣くのね。でもC、それは誰のための涙なの?」

嬢「わたしのため? 父のため? 母のため? それとも自分のため?」

嬢「……そのどれであってもくだらないわ。あなたの涙なんて、よくできた作り物のお話を読んで泣いているのと何も変わらない」

執事「お嬢様……」

嬢「C。もしあなたがわたしに同情していると言うなら、警察に連絡するのはもうちょっと待ちなさい」

嬢「どうせ、もうすぐ終わるわ」


44: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:27:11.14 ID:oqGk6WLc0

    ◇三人目終了

執事「これで全員を調べ終えましたが、あれだけ侮辱すれば満足されましたか?」

嬢「執事、あなたはずいぶんと見当違いなことを言うのね」

嬢「必要なことだから三人の心を踏みにじっただけよ。こんなことで快感を得られるほど壊れちゃいないわ」

執事「お嬢様の目的、というのは……」

嬢「言うまでもないと思うけど?」

執事「さきほどC様に語られた、映像、ですよね?」

嬢「ええ。そんなものが他人の手にあるとしたら生きた気がしないわ。存在するのなら消さなきゃいけない」

嬢「……ま、結局、父も映像自体を渡すほど愚かではなかったんでしょうね」

嬢「父が私を犯した後、一定以上の交流がある人間は会社の人間にほとんどしぼられるわ」

嬢「もちろんわたしの与り知らない部分もあるでしょうけど、父の携帯やパソコンのメールを見る限り、そこまで親しい交際ではなかったはずよ」

執事「結果的に可能性を疑ったのが、A様、S様、C様の三人、ですか」

嬢「ええ。ここまで一緒にいたあなたにも、答えは出てるわよね」

嬢「中学生以下の子供を嫌悪しているAと、父を殺したわたしをとがめられないCの二人は可能性から除外されるわ」

執事「残るはS様、ですね」

嬢「小児性愛者同士、思うところでもあったんじゃないかしら」

嬢「……ほんと、ロリコンなんて死ねばいいわ。あいつらはその存在自体が害悪よ」


45: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:28:18.54 ID:oqGk6WLc0

執事「この後はどうされるのでしょうか」

嬢「執事はひとまず、Sの情報を警察や報道関係者、人の目が集まる掲示板の至るところにばらまきなさい」

嬢「Sの娘に関しては……名前が明かされることは避けられないでしょうけど、可能な限り便宜を図って」

嬢「実父に汚された画像が出回るなんていうのは論外。わかるわね?」

執事「かしこまりました」

嬢「それと、Cのパソコンも念のため調べてちょうだい」

執事「……疑いは晴れたのでは?」

嬢「それとこれとは別問題よ。感情がどうだろうと、可能性があるなら潰すわ」

執事「かしこまりました。調べます」

嬢「――――あなたはよくやってくれたわ、執事」

嬢「だからこの仕事が終われば、あなたを解雇する。まともな主人を探しておくわ、仕事のことは安心して」

嬢「わたしが逮捕されるのも時間の問題でしょう。警察もそこまで無能じゃない。だから早くわたしの側から離れた方がいいもの」

嬢「今までありがとうね、執事」

46: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:29:30.28 ID:oqGk6WLc0

    ◆深夜

冗談ではない。私は苛立ちながら、多少の物音は気にせず、亡き主人の部屋の家捜しを続ける。

この家にいる理由がなくなってしまう。まだ欲しいものを手に入れていないのに、ここを去るわけにはいかない。

もうほとんど時間は残っていないだろう。明日か、明後日か。その後のお嬢様の行動など、わかりきっている。

家に火をつけて、どこに隠れているかもわからない映像を燃やし尽くすのだ。

これでも五年間、私はお嬢様の世話をしてきた。

だからこそわかる。お嬢様は、絶対にそうする。

念のため調べたCのパソコンからも見つからなかったし、もう希望はここにしか残っていない。

どこかにあるはずだ。ビデオテープのような旧時代のものじゃなく、そう、せめてDVDのような媒体で保存されているはずだ。

お嬢様の父はパソコン関係に疎くなかった。だから、きっと。

がむしゃらに、棚に収まっていた本を片っ端からひっくり返す。

……と、厚さのわりにありえないほど軽い本が見つかった。もしかして、と心がおどる。

そこにはやはり、DVDのケースが隠されている。

私は歓喜した。

47: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:30:29.30 ID:oqGk6WLc0

    ◇六年前

パジャマのボタンが一つ、また一つと外されていくのが嫌で、わたしは必死に抵抗した。

泣き叫ぶ。父の腕を叩く。

でも父はわたしが暴れるのなんてものともせず、ついにはパジャマのボタンを外し終えた。

裸を見られるのなんて何ともないはずなのに、今だけは嫌悪感が背筋を這い上がっている。

父の顔は怖かった。今まで見たこともないくらいで、いつかテレビで見た、飢えた動物のようだった。

父がわたしの乳首を舐める。肩が大きく震えた。

どうしてこんなことをされるのかわからなくて、涙が止まらなくなってしまう。

わたしがわがままばかり言ったから? 泣きじゃくりながら父に問いかける。けれど、答えは返ってこない。

父の顔を乳首から離そうと、頭をつかんで押しのけようとする。けれどわたしの弱々しい腕じゃ、びくともしなかった。

そんなことをしているうちに、父はわたしのズボンをパンツごと下ろしていく。

ひんやりとした夜の空気と、服を脱がされた恥ずかしさとで、お腹の奥が縮こまるようだった。

父がわたしの胸から遠ざかる。ようやく願いが叶ってほっとしたけど、今度はもっと信じられないことを始めた。

父が、わたしの性器を舐めたのだ。

48: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:32:01.13 ID:oqGk6WLc0

信じられない、という思いでイヤイヤをするように首を横に振る。

父はわたしの性器を熱心に舐め回し、唾液で濡らしながら、指先をわたしの中に差し込んできた。

初めての異物感に、体が引きつけを起こしたように跳ねた。

それでも父は指と舌を休めない。まるで犬みたいに、わたしの汚れた部分を味わっている。

指は少しずつ奥に入ってきて、内側のざらついた壁をこするたび、嫌悪感がそばだっていく。

なんのためにこんなことをしているのか、わたしにはまるでわからなかった。痛くて、気持ち悪くて、悪い夢ならすぐに覚めて欲しかった。

父の荒い息が、開かれた性器にぶつかる。悲鳴を上げすぎて、わたしのノドは枯れそうになっていた。

指を奥まで入れた父は、あっという間に指を抜き取ると、唾液を塗りたくり、またわたしの中に差し込んでくる。

ゆっくりと、時間をかけて、わたしの中のやわらかい部分を押し入ってくる。

入れて、抜いてを何度も繰り返される。頭がおかしくなりそうだった。

悲鳴を上げるのにも疲れ、息も絶え絶えに体を投げ出していると、父がのそりと立ち上がった。

そのままズボンを下ろす。見たことのない、固く張りつめた大きなものが父の股間にあった。

怖い、と思うわたしの前に肉の棒が差し出される。

父「なめなさい」

いつものわたしならイヤだと言えた。拒絶できた。

でも今日の父は得体が知れないほど怖くて、わたしは涙で瞳を濡らしながらも、従うことしかできなかった。


49: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:33:17.16 ID:oqGk6WLc0

怖ず怖ずと舌を伸ばす。顔を近づければ、むっといやなニオイが強くなる。

父の耳の裏から出ている、あのいやなニオイとそっくりだった。

どんな恐ろしい味がするのかと不安だったけど、舐めてみたら特に味はしなかった。良かったと安心する。

わたしが舐めているのがおしっこをするところだとはわかっていたけど、でもそれくらいなら我慢できた。怖くなかった。

ぺろぺろと舐めてみる。こんな感じでいいのだろうか。こうしていれば、父はわたしを許してくれるだろうか。

先端や、裏側、とりあえず舐めやすいところを舐めていたのだけど、父はわたしに口を大きく開けるよう命令した。

なんだろう、そう思いながら歯医者さんでするように口を開くと、そこに肉の棒が入れられた

口いっぱいの大きな棒に、目を白黒とさせてしまう。でもそれだけじゃなく、父はそれを出し入れしてきた。

父「どうだ? おちんちんはおいしいか?」

おちんちん……もちろん言葉は知っている。男子についている、あれだ。ズボンと一緒にパンツも下ろされた子がいて、その時に見たことだってある。

でも、あの時に見たものとは何もかもが違っていた。こんなに大きくなかったし、上を向いてもいなかった。

父は仕事が忙しくて、一緒にお風呂に入ったこともなかったけど、ずっとこんなものを服の中にしまっていたのだろうか。

嬢「…………」

わたしはおいしいとも、おいしくないとも言えなかった。

返事をしないわたしに呆れたように、父はまたおちんちんの出し入れを始める。舌の上を、ノドの奥を行き来するおちんちんは、熱くて固くて、そして大きかった。

何度もむせてしまいそうになる。けれどおちんちんが口いっぱいにあるせいで、そうすることもできない。

わたしはぽろぽろと涙をこぼしながら、ごめんなさいと声に出せないまま謝っていた。

わたしが悪い子だから、こんな風におしおきをされている。わたしがわがままばかり言ったから。


50: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:34:16.09 ID:oqGk6WLc0

父は呼吸を荒くしながら、わたしの口の中でおちんちんを暴れさせていた。唾液があふれ、口の端からこぼれていくけど、それでもまだ口は唾液で満ちていた。

父のおちんちんを、わたしの唾液で汚してしまった。怒られないかと、それだけが不安だった。

怯えるわたしの頭を、父が両手でつかむ。それからこれまでよりも早く、おちんちんの出し入れをしてきた。

これまでだって息が上手にできなかったのに、もう吸うことも吐くこともできなかった。

息苦しさを覚えながら、早く終わってと願う。いい子になるから、お願いだからと無心で繰り返す。

父「出すぞ……飲むんだ……!」

そんな言葉の後、口の中に熱くてねばねばとした液体が広がった。ノドの奥にべったりと張りついたそれのせいで吐き気がして、意識がなくなりそうになる。

父がおちんちんを口から引き抜くと、わたしは口の中のどろりとした何かを急いで吐き出した。

初めて見るそれは白かった。量はそんなに多くないのに、今も口の中に残っているみたいだ。苦くて、それに臭くて、その全てが信じられなかった。

手で口を拭っていると、父がわたしを組み敷いてきた。

父「飲めなかったな? じゃあおしおきだ」

そう言われるまで、わたしは飲めって言われたことを忘れていた。

だってあんなの、飲めるわけない。どんなに頑張ったって、できないことはある。

あんなのを飲むくらいなら、死んだ方がマシだ。

51: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:35:37.42 ID:oqGk6WLc0

でも父は、わたしの「だって」や「無理だよ」という言葉を聞いてはくれなかった。

わたしの足を大きく開かせる。また性器を舐めてくるけど、今回はあっという間に終わった。

良かった、お仕置きが終わった。そう胸をなで下ろしたわたしだったけど、父がおちんちんをわたしの性器に押し当てたところで、血の気が引いた。

何をするのか、直感的にわかった。さっきは指を入れてきたけど、今度はおちんちんんを入れるのだ。

指なんかよりずっと太くて、大きい、おちんちんを。

嬢「やだ……やだやだ! そんなの無理、ぜったい痛いよ! おとうさん、やめてっ!」

でも父はやめてくれなかった。

無理矢理、わたしの中をおちんちんが突き進んでくる。指とは比べものにならない痛さが走って、頭がおかしくなりそうだった。

悲鳴を上げる。自分でも何を言ったかはわからない。

わかっていたのは、わたしが悪い子だからこんなに痛いオシオキをされたということだけだ。

テレビでやっていた。親の言うことを聞かない悪い子が、悪い人間に改造されて、化け物に変えられてしまうのだ。

きっとわたしも今、父の手で化け物に変えられている。

わたしが、悪い子だったから。

ごめんなさい、とようやく言えた。一度言えたら、そこからはもうすらすらと口にできた。

嬢「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ゆるして……いたいの、やぁ……!」

でもやっぱり、父はやめてくれなかった。

52: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:36:54.52 ID:oqGk6WLc0

おちんちんがわたしの中で動く。膨れ上がったおちんちんは、狭いわたしの中を泳ぎ回るように、柔らかい肉をかきわけてくる。

おちんちんがお腹の奥にぶつかるたび、衝撃で体が揺すられて、どうにかなってしまいそうだった。

痛い。痛い。

父「きもちいいだろう?」

気持ちよくなんてない。こんなのが気持ちいいとしたら、そんなの、頭がおかしい子だ。

父「いやらしい子だ」

いやらしい……えっちな子だって意味だと知っている。

よくわからないけど、今のわたしみたいな反応をする子は、エッチなんだろうか。

……わたしって、えっちだったんだ

嬢「ひっく、ぅぐ……ぅぁ……ぁぁ……っ!」

父のおちんちんが出入りするわたしの性器から、じゅぷじゅぷと水の音が聞こえてきた。そうすると少しだけ痛みが和らいで、わたしは救われた気持ちになる。

ただ、同時に父が動きやすくなったみたいだ。おちんちんがわたしの中を自由に動き回る。えぐられるような刺激に、何度か意識が飛んでしまった。

父が必死の形相で腰を振っている。わたしは泣き顔を手で押さえ、この時間が早く終わることを願った。

それから父が大きく腰を打ちつける。少し時間を置いて、また打ちつける。

父はわたしを抱きしめようとするように上体を倒し、それから耳元でささやいた。

父「こんなに濡らして。気持ちよかったんだろう?」

わからない。でも、わからないとも気持ちよくないとも言えなかった。

だって父はきっと、気持ちよかったって言うことを求めている。

わたしは泣きながら言った。

嬢「きもち、よかったです……」


翌朝、血に汚れたシーツと性器を見たわたしは、やっぱり自分が改造されたんだと静かに泣いた。


53: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:37:38.74 ID:oqGk6WLc0

    ◇現在

嬢「へえ。そんなところにあったのね」

執事「!?」

嬢「ご苦労様、執事。あなたの働きには、本当に感謝しているわ」

嬢『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ゆるして……いたいの、やぁ……!』

嬢「――――止めてくれる? じゃないと、今すぐ執事を殺してしまいそう」

執事「……これで、よろしいですか」

嬢「ありがとう。……それにしてもあの変態、本当に残しているなんてね。わたしを脅すための狂言であることを願っていたのに」

執事「……お嬢様。どうして私がこれを探していると、思ったのですか?」

嬢「あなたの目つきが、父やSと同じだったから」

嬢「まさかあなたまで小児性愛者だとは思わなかったわ」

執事「訂正させてください。私をそんなくだらないものと一緒にされては困ります」

嬢「へえ? 何が違うのかしら」

執事「か弱い者が汚される姿に、どうして興奮できるのです?」

執事「気高き者が汚されてこそ、たぎるような興奮があるのです」

嬢「……なるほどね。あなたはあなたで歪んでいるみたい」

執事「否定はしませんが、であれば人間はみな歪んでいるのでしょう。その歪み方が、受け入れられるかどうかの違いがあるだけです」


54: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:38:43.84 ID:oqGk6WLc0

嬢「で? わたしが初めて汚される姿は、執事のお気に召したのかしら?」

執事「…………恥ずかしながら言えば、最高でした」

執事「私がこの家に来た五年前。あなたは確かに気高く、誇りを持ち、鋭いトゲをまとっていました」

執事「ですがよく見れば、気高さには陰があり、トゲのいくつかが折れていた」

執事「なんてもったいない、そう思いました」

執事「手折るなら、もっと完全に折らねばなりません。いたずらに痛めつけるなど、子供でもできる。それではちっとも美しくありません」

嬢「そんなわたしにどうして興味を持ったのよ?」

執事「私の考えが間違いだと気づいたからです」

執事「お嬢様はいたずらに傷つけられたわけじゃない。完全に心を折られているはずなのに、それでも上を向いてみせた、真に気高き花だったのです」

嬢「褒められている気がしないわ」

執事「でしょうね。この価値は私の中でしか生きられません」

執事「……お嬢様がお父上に汚されているのは知っていました。ですが私は、そんな映像を見ても満足できなかった」

執事「泥水をすすってでも生きる花を見るだけでは、満足できなかったのです」

嬢「だからわたしが初めて汚された時の映像を探したって言うわけ?」

執事「ええ。お父上が最初の陵辱を撮影したのだと盗聴器から知った時、私は歓喜しました。よくやったと、激賞したかったくらいです」


55: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:39:51.39 ID:oqGk6WLc0

嬢「ま、いいわ。執事の欲望なんてどうでもいい」

嬢「……こんなところを見つかったんだもの。ただで済むとは思っていないわね?」

執事「もちろん。ですが、お嬢様に何ができるというのです?」

執事「見たところ凶器を手にしているわけでもありません。あるいは催涙スプレーのようなものを隠し持っているのでしょうかね」

嬢「あいにく、わたしは手ぶらでここにいるわ」

嬢「執事、知ってる? 素人が武器を持って応戦しようとすると、それを奪われて余計に危険が増すそうよ?」

執事「耳にしたことなら。……ですがお嬢様。でしたらどうやって、私を取り押さえるおつもりで?」

執事「この映像は渡しません。あなたの心が折られた、けれど立ち上がってみせた、記念すべき一時です」

嬢「取り押さえるまでもないわ。どちらにしろ、その映像も、それを見たあなたも、生かしておく理由がない」

嬢「…………いいえ。もっと言えば、そんな映像を残されてしまったわたしこそ、生きながらえる理屈がない」

執事「は?」

嬢「その映像を見たSは、これから社会に殺されるわ。あとはあなたと映像、そしてわたし、この三つを処分するだけでいい」

嬢「さあ執事、踊りましょう? もうすぐこの家は焼け落ちる。どこにも逃げ場などないわ」

嬢「あなたもわたしもその映像も、全てが全て、灰になるのよ」

執事「くっ……!」

嬢「あら、窓から飛び降りる? ここは四階よ、助かるかしら?」

執事「こ、のっ! こんなところで死んでたまるか!?」

嬢「……無様ね。本当に、無様」

56: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:40:56.63 ID:oqGk6WLc0

嬢「気高き者が汚される様に興奮するから自分はロリコンじゃないですって?」

嬢「そんなのただの詭弁よ。一〇歳のわたしが犯されるのを見て、粗末なそれを頑張らせてるあなたに、何一つ崇高さなんてものはないわ」

嬢「しょせん執事も、数いる性犯罪者の一人なのよ」

執事「どけぇ!」

嬢「……暴力に訴えようとする。本当につまらない男」

執事「っが……あ?」

嬢「手ぶらで来た、と言ったわね? ――あれは嘘よ」

嬢「万が一あなたに逃げられたらまずいもの。ナイフの一つくらい、準備しておくわ」

嬢「いつも言っているでしょう? 可能性は潰さなきゃいけないの」

執事「かは……」

嬢「ほら、もうここまで火の手が回ってきたわ。わたしたちの汚れが、ちっぽけな炎で焼ききれるとも思えないけど、せめて形には残らないことを祈りましょ?」

執事「…………くく」

執事「はは、はははっ」

嬢「何がおかしいの? たかがこれだけのことで、頭がおかしくなった?」


57: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:41:31.84 ID:oqGk6WLc0

執事(お嬢様はわかっていないのだろう)

執事(自分が一つ、可能性を見落としてしまったことを)

執事(潰しきれなかった可能性のことを、私は最後に、教えることにした)

執事「お父上が映像を見せたのは、Sじゃない」

嬢「……なんですって?」

執事「Aだ」

嬢「――――!」

執事「ははっ! 無駄だ、今さら逃げられなどしない! お前はここで焼け死ぬんだろう? ……自分が陵辱された映像をこの世に残して!」

嬢「ふざけないで……ふざけるんじゃないわよ! 違う、認めない! わたしは、わたしは――――!」


58: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:42:42.38 ID:oqGk6WLc0

    ◆ある永遠

他人の全てを見抜いたつもりでいる嬢と、その嬢に不気味に付き従っていた執事が焼死体で見つかってから、いくらかの月日が流れた。

収入は下がったものの転職を終えていたAは、数々の事件と噂に見舞われた以前の勤め先が潰れたことを知り、嘆息をこぼしていた。

社長である嬢の父に、Aはとても世話になっていた。なにより、その高尚な趣味はAの忌まわしい過去を癒す救いでもあったのだ。

思いだしがてら、Aはその映像を見ることに気が向いた。

インターネットに繋いでいないパソコンを起動し、動画ファイルを再生する。

それは嬢が父親の手で初めて汚される内容だった。

Aは小児性愛者ではないが、泣き叫ぶ嬢の姿には興奮を覚えた。

当然だ。幼少期の自分を苦しめたのと同じ年頃の、いけ好かない少女が残酷な仕打ちを受けているのだ。興奮しないわけがない。

久々の自慰行為にはげんだAは、動画を停止しようとして、ふと悪魔のような考えが浮かんだ。

これをインターネット上にアップロードしたらどうだろう。

Aは自尊心が強い。匿名とはいえ、どんなに安っぽくとも神様のように扱われるのは悪い気分じゃなかった。

何より、自分を苦しめてきた少女が多くの人間の慰み者になると思えば、射精したばかりのペニスが再び起きあがるくらいの高揚があった。

絶対に自分だとばれないよう、細心の注意を払い、いくつかの偽装を施していく。

Aの卑小な欲望は止まらない。

一〇歳の嬢が辱められる姿を、これから何人のクズが目にするのか、もはやAにもわからなかった。

59: ◆AYcToR0oTg 2015/01/01(木) 02:43:28.04 ID:oqGk6WLc0
以上です。
性犯罪者なんて、死んでしまえばいいのにね。