610: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/23(土) 00:34:21.60 ID:PXEmEN16o


母性巫女 「えいっ」


キュロリン

母性巫女 の 気合い!
母性巫女の全状態異常 が消えた!


母性巫女 「ふう……。精霊さまの気配も希薄になっている」

母性巫女 「困ったわ。たいていの問題は切り抜けられると思っていたけれど」

母性巫女 「これじゃ、五千日程度しかもたない……」


幼女魔王N 「……ンー」


モゾ モゾ


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「ムニャ……スゥ、スゥ」


母性巫女 「だめね、私。この子のためなら、正しいことも悪いことも」

母性巫女 「この子以外のこと、どうでも良いと思えてしまう」

母性巫女 「子供をもったら危ない種類の人間だわ……」


幼女魔王N 「スゥ……スゥ……」



引用元: ・幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」淫魔法少女「皆死ね」

612: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/23(土) 01:37:55.70 ID:PXEmEN16o


…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ

ズルルル ボト バチャ 


ブニブニ卵


幼触手A~H 「ピキュイイ」


ビチビチ バシャバシャ


岩魔法少女 「かひゅ、ふひゅッ……」


泥魔法少女 「コヒュ……コヒュ……」


火魔法少女 「ぉあ゛……ぁ゛……」


ガク ビクン


真幼女魔王 「おめでとう。みんな無事出産できたようね」



613: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/23(土) 01:43:50.93 ID:PXEmEN16o


真幼女魔王 「さすが、棺持ちさんの選んだ苗床だわ」


淫魔幼女 「しかし、期待していたより質も量も悪い」

淫魔幼女 「兵としては使えず、辛うじて城の魔力源になるくらいでしょう」


真幼女魔王 「兵としては一級でも、雌としては駄目だったということね」

真幼女魔王 「使えるだけありがたい。と、いうことにしましょう」

真幼女魔王 「さて、こっちは」


星魔法少女 「ゴボ……ボギョ、グジョグジョ……」

星魔法少女 「ボビュベ……ブビュビュ」


ボコン ボコン

ブビュゥゥ ブシュウウ


真幼女魔王 「悪趣味な巨大オブジェね」

真幼女魔王 「上から下から、私たちの手足がはみだして」

真幼女魔王 「口もお腹もおっぱいも、最初の頃の何倍も膨れて歪んで」


淫魔幼女 「まだ息はありますが、他はすべて壊れました」

淫魔幼女 「口からは声ではなく、音が漏れているだけです」


真幼女魔王 「全身からいやらしい音を出しているけれどね」


淫魔幼女 「魔法少女としての彼女はもうどこにもいません」

淫魔幼女 「身も心も、ただの生きた肉の袋につくりかえられたのです」

淫魔幼女 「姫の血を体内に取り込んでしまったのが主な原因でしょう」


真幼女魔王 「ふうん。私の血って、ややこしいのね」





615: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/23(土) 23:21:49.78 ID:PXEmEN16o


真幼女魔王 「とりあえず、この子たちは攻略完了ということで良いのかしら」


淫魔幼女 「……よろしいかと」

淫魔幼女 「あとは城に帰り、防腐処理を施せば、通常より長く使える苗床になるでしょう」


真幼女魔王 「ふむふむ」

真幼女魔王 「良かったわ。苗床が二体以上も手に入っちゃった」


淫魔幼女 「お疲れさまでした」


真幼女魔王 「あなたのおかげよ、棺持ちさん」

真幼女魔王 「そんな可愛い姿になっちゃって大変かと思っていたけれど」

真幼女魔王 「今では以前より逞しく感じるわ」

真幼女魔王 「これからも、私を助けてね」


淫魔幼女 「……そのつもりです」


真幼女魔王 「ありがとう」

真幼女魔王 「嘘でも嬉しいわ」


淫魔幼女 「…………」



616: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/23(土) 23:57:23.79 ID:PXEmEN16o


真幼女魔王 「嘘をついているとき、あなた無表情で無口になるわ」

真幼女魔王 「体が変わってもそうなのね」


淫魔幼女 「口下手なのは生まれつきです」

淫魔幼女 「表情に乏しいのは、この体になったときからです」


真幼女魔王 「その姿になったときから、嘘をついているのね」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「女性の表情のつくりかたが分からないだけです」


真幼女魔王 「そう」

真幼女魔王 「……ねえ、棺持ちさん」


淫魔幼女 「はい」


真幼女魔王 「私、棺持ちさんのこと好きよ」

真幼女魔王 「でも、嘘をつかれるのは何より嫌い。嫌われるより嫌い」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「私、あなたを嫌いになりたくないわ。だから本当のことを話して」

真幼女魔王 「あなた、どうしてここにいるの」

真幼女魔王 「どうして生きているの」


淫魔幼女 「…………」



617: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 01:18:16.27 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「おれが忠誠を捧げるのは、もはやあなただけなのです」


真幼女魔王 「……もとのあなたって、そんな話し方だったっけ」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「そういえばあなたって、私が生まれる前から、私の両親と親交があったのよね」

真幼女魔王 「そう、たしかお母さまがお城にいたころから……」


淫魔幼女 「よしましょう」


真幼女魔王 「あら」


淫魔幼女 「昔のことです。もう終わったことです」

淫魔幼女 「もうどうしようもないことです」

淫魔幼女 「そんなことの話をしてもしかたがない」

淫魔幼女 「掘り出して黒い縁取りをしたところで、誰の得にもならない」


真幼女魔王 「そう」

真幼女魔王 「……あなたは今、誰のためにここにいるの」

真幼女魔王 「死んだ私の両親のため? 死んだあなたの妹のため? それとも」


淫魔幼女 「あなたのためです」

淫魔幼女 「あなたのために、私はここにいるのです。姫」


真幼女魔王 「…………」

真幼女魔王 「嘘つき」



618: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 01:28:46.46 ID:e0VJzRlio


??? 「…………」


カササ トス


真幼女魔王 「……?」

真幼女魔王 「何、誰か来……」


ジョキン


真幼女魔王 「…………」

真幼女魔王 「?」


??? 「…………」

鋏魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「あら、あなた……」



619: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 01:38:39.91 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「魔法少女がまだ残っていたのね」

真幼女魔王 「……あなた、どこかで会わなかった?」


鋏魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「良いわ。さっそく苗床にしてあげましょう」

真幼女魔王 「棺持ちさんのことはその後でね」

真幼女魔王 「おいで、しもべ触手」


シン


真幼女魔王 「……出てこない。どういうことかしら」

真幼女魔王 「しかたない。残っている私……」


バシャン


真幼女魔王 「?」


血溜り


真幼女魔王 「あれは……」


幼女魔王H 「…………」


パシャン


幼女魔王H 「…………」

肉塊H 「…………」


真幼女魔王 「私の呪いが、解けていく……」



620: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 01:57:38.40 ID:e0VJzRlio


パシャ バシャン


真幼女魔王 「…………」


ヘナヘナ ペタン


真幼女魔王 「力が抜けていく」

真幼女魔王 「何が起きているの……」


パシャ バチャン


淫魔幼女 「……やはりあなたは死んだのです、姫」


真幼女魔王 「棺持ちさん」


淫魔幼女 「棺持ちなど、もういません」

淫魔幼女 「ずっと昔に死んだのです」


真幼女魔王 「だったらあなたは何だというの」


淫魔幼女 「亡霊です」



621: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 02:49:37.11 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「妹の抜け殻を借りて歩く、残りカスです」

淫魔幼女 「そして、あなたも」


真幼女魔王 「何を言っているの」


淫魔幼女 「魂をばらばらにされて死んだあなたは」

淫魔幼女 「完全には死にきれていない」

淫魔幼女 「姫、今のあなたは、あなたの体に残っていたあなたの魂の残りカスを集めたものなのです」


真幼女魔王 「…………」


シュウウ

ボロ ボロ


真幼女魔王 「……体が崩れていく」


淫魔幼女 「本当なら、せめて心を壊される前のあなたとして、ちゃんと死なせてあげたかった」

淫魔幼女 「けれど、それは無理だった」

淫魔幼女 「申し訳ありません」


真幼女魔王 「何を言っているの。何をあやまっているの」


シュウウ ボロ ボロ


淫魔幼女 「最後の仕事です」

淫魔幼女 「私は棺持ち。天国だろうと地獄だろうと、ところかまわずお送りします」

淫魔幼女 「遅くなって申し訳ありません、姫」

淫魔幼女 「ご両親のもとで、いつまでも安らかに」


淫魔幼女 は 棺(子供用) を装備した


真幼女魔王 「…………」


ボロ ボロロ



622: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 03:08:18.53 ID:e0VJzRlio


真幼女魔王 「……可愛くないわ」

真幼女魔王 「兎さんの柄のやつはないの」


淫魔幼女 「ありません」


真幼女魔王 「そう」


シュウウ ボロロ


真幼女魔王 「私の体、灰か砂みたい。砂糖だったら良かったのに」

真幼女魔王 「……あなたは、私を殺すためにここにいるのね」


淫魔幼女 「はい」


真幼女魔王 「嘘つき」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「私の血にはいろんな呪いが詰まっているのよ。嘘ついたって、すぐに分かるんだから」

真幼女魔王 「私が邪魔なだけでしょ」

真幼女魔王 「私のお母さんみたいに」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「気持ち悪いわね、あなた」


シュウウ

ボロ ボロロ



624: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 03:18:00.76 ID:e0VJzRlio


ボロロ ボト


真幼女魔王 「…………」


鋏魔法少女 「……頭が、落ちた……」


淫魔幼女 「完全に崩れたら、棺に入れて送る」

淫魔幼女 「それで終わりだ」


鋏魔法少女 「……聞いていた、棺と違う」

鋏魔法少女 「あなたの武器の棺、大きくて、禍々しいって……ギルド長は、言っていたのに……」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「……信用できない?」

鋏魔法少女 「私は、あんなに頑張って……あなたに、協力したのに……」



625: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 03:34:39.90 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「クソみたいな、界駆魔法少女ギルドの仲間のふりして……」


淫魔幼女 「たまたまお前が潜入していただけで、今回のためじゃない」

淫魔幼女 「それに、おかげで上級魔法少女を含めてたくさん殺せただろう」


鋏魔法少女 「あんなの、クソ」

鋏魔法少女 「私たちのギルドじゃ、中級にもなれない」

鋏魔法少女 「どうせなら、出世してもっと大物を狩りたかったのに」

鋏魔法少女 「あなたのために……妥協してあげた」


淫魔幼女 「近づく前に殺されている。奴らを甘く見ないことだ」

淫魔幼女 「幹部級なら隊を組まずとも、単体で魔王を完封する」


鋏魔法少女 「魔王なんて、二秒で私のペットにできる。できた」

鋏魔法少女 「お尻たたいてあげたら、いろんな所からヨダレたらして喜んでた」


淫魔幼女 「あのクソピンクを魔王に数えるな」



626: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 03:48:23.00 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「そんな呼び方、だめ。幼女魔王Nちゃんは、お友だち……」

鋏魔法少女 「こっちの方が、クソピンク」


真幼女魔王 「…………」


鋏魔法少女 「私をミンチにしたばかりか、あのクソ魔法少女のクソの子宮に詰めた……本当にクソ」

鋏魔法少女 「しかもS、サディスト……絶対的Mを超越した幼女魔王Nちゃんの足元にも及ばないクソ」


淫魔幼女 「あのお前は偽者だ」


鋏魔法少女 「そう、それ」

鋏魔法少女 「かく乱のためにって、偽の死体になってあげた……」

鋏魔法少女 「あなたのために」


淫魔幼女 「違う。あれは人形だ」

淫魔幼女 「つくったのはおれだ。運んだのは、おれのつくった人形だ」


血涙人形 「……キキキ」


鋏魔法少女 「…………」



629: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 12:32:24.26 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「……あたしのニセモノ運んでいるところ、幼女魔王Nちゃんに見つかったくせに」

鋏魔法少女 「あのおっぱい魔人が騎士団施設に報告に来たとき、ひやひやした」


淫魔幼女 「魔人……? ああ、あのピンクのゴミを拾ったという奇特な奴か」

淫魔幼女 「この世界の魔王を封じたとかで、英雄扱いされている人間だったか」

淫魔幼女 「同じような存在の南の聖女とやらは、姫の触手で簡単に壊れたようだから」

淫魔幼女 「まあ、大したことはないのだろう」


鋏魔法少女 「そう。世界のことを何にも知らないくせに、余裕ぶる勘違い偽善者」

鋏魔法少女 「子どもを可愛がる私って可愛いでしょ、というのが透けて見えるクソ女」

鋏魔法少女 「でも、甘えさせてくれるから嫌いじゃない」


淫魔幼女 「…………ふむ」



631: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 13:27:26.16 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「また何か企んでる」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「あなたがころころ計画を変えるから」

鋏魔法少女 「みんな迷惑してる……」

鋏魔法少女 「最初は、幼女魔王Nちゃんを狐耳の管理から解放するだけのはずだったのに」

鋏魔法少女 「いつの間にか、幼女魔王Nちゃんの中に残っていたオリジナルの幼女魔王の消滅になってた」


淫魔幼女 「お前の上司からの依頼、お届けギルドからの依頼、その他状況の変化など鑑みつつ」

淫魔幼女 「なるべく面白くない行動をとっただけだ」

淫魔幼女 「自然科学、非魔法的量子論その他もろもろをあれやこれやして」


鋏魔法少女 「そんな、辺境世界の原始猿が生み出したご当地学問なんて、大きな世界じゃゴミ」

鋏魔法少女 「科学なんてその世界の周辺でしか役に立たない。答えを得るための万能の通貨にはなりえない」

鋏魔法少女 「大きな世界の一部を世界のすべてと思い込んでしまった哀れな生き物の夢にすぎない」

鋏魔法少女 「光が粒だとか、波だとか、どうでも良いのに」



632: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 13:46:23.47 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「知ではおよそ支配できない魔法の力を、知ある生き物の最下層は認めたがらない」

鋏魔法少女 「知らないことが怖い、知にとりつかれた知恵遅れども」

鋏魔法少女 「魔法という無限の可能性を恐れて否定して、自分達が理解できるものしか理解しようとしない」

鋏魔法少女 「自分の思い通りにならないと我慢できない猿ども」

鋏魔法少女 「自分の理解できないものを理解したふりして理由づけて、よってたかって見下して安心する、傲慢で臆病な猿山の猿ども」

鋏魔法少女 「被害者ぶって、正義ぶって、やっていることはガキのいじめ」

鋏魔法少女 「気持ち悪い生き物」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「界駆のクソ魔法少女どももそう」

鋏魔法少女 「魔物が怖いだけ」

鋏魔法少女 「たまたま食料が人間の魔物とか、人間を苗床にしないと繁殖できない魔物とかいるから……」

鋏魔法少女 「百歩譲ってそれは良い。種の存続のために戦うのは生き物として当然」

鋏魔法少女 「気に入らないのは、自分たちだけが正義だと大声でわめいていること」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「だから私たちはいる。正義は星の数ほどあることを思い知らせてやる」

鋏魔法少女 「世界を駆けて魔物を狩る魔法少女たちを狩る魔法少女のギルド」

鋏魔法少女 「私は鋏魔法少女」



633: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 13:57:42.68 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「……もう良い……終わった……」


淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「名乗り口上、また長くなったんじゃないか」


鋏魔法少女 「最近……追加された。噂によると、もっと長くしようとしているみたい……」

鋏魔法少女 「これ以上増えると、おぼえるの大変……」


淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「……おれに振り回されるのが嫌なら、無理に付き合うことはない」

淫魔幼女 「お前達の力を借りなくても、いずれ目的は達成できた」


鋏魔法少女 「あなたに協力するように、て。ギルド長のお願いだから、逆らわない」

鋏魔法少女 「なぜなら私は……」

鋏魔法少女 「辺境世界の原始猿が生み出したご当地学問なんて、大きな世界じゃ……」


淫魔幼女 「いい。もう名乗るな」


鋏魔法少女 「何度も言わないと忘れそう……」


淫魔幼女 「知るか」





634: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 14:12:27.89 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「……好き勝手するのは良いけど、忘れない方が身のため」

鋏魔法少女 「ギルド長がその気になったら、あなたなんて羽をもがれたハエみたいに潰される」


淫魔幼女 「そうか」


鋏魔法少女 「……気にいらない」

鋏魔法少女 「アメをあげても、ムチをあげても、あなたはいつも無表情」

鋏魔法少女 「幼女魔王Nちゃんは、いじめたら色んな顔してくれるというのに」


淫魔幼女 「悪かったな」


鋏魔法少女 「……あなた、本当に何のために動いているの」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「私、本当に頑張ったのに」

鋏魔法少女 「見て、今日のために魔力をこめた鋏」


シャキ

壊れた魂切り鋏


鋏魔法少女 「幼女魔王Nちゃんのオリジナル、すごくかたかった」

鋏魔法少女 「魂も、血の呪いも……」


淫魔幼女 「貴様が未熟というだけだ」


鋏魔法少女 「修理しても使えないかも。おばあちゃんから貰った宝物なのに」

鋏魔法少女 「私はこんなにあなたのために頑張ったのに、あなたは私の質問さえのらくらかわすだけ」


淫魔幼女 「…………」



635: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 14:31:52.54 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「……とくに話すことでもない」

淫魔幼女 「姫が完全に灰になるまでに終わる話だ」


鋏魔法少女 「聞かせて……」

鋏魔法少女 「……ギルドに拡散して笑いのタネにするから」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「姫の両親に世話になった。その義理を果たしただけだ」


鋏魔法少女 「うそ臭い」


淫魔幼女 「おれにも歴史というものがある」

淫魔幼女 「棺ひとつつくれない、ただの淫魔の子どもだったころ」

淫魔幼女 「父と母について棺持ちについて学んでいたころ、本当に世話になったのだ」


鋏魔法少女 「…………」


淫魔幼女 「……壊れた姫をもとにつくられた、姫とは程遠い幼女魔王を支えることが」

淫魔幼女 「亡き人への恩返しになると考えていたが」

淫魔幼女 「いまやその必要もなくなったか」


真幼女魔王 「…………」


バカ ボロロ シュウウ



636: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 14:56:36.15 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「……これで姫は完全に退場できる」

淫魔幼女 「姫と幼女魔王が、本当に別のものになれる」


鋏魔法少女 「肉体は、オリジナルのままなんでしょう」

鋏魔法少女 「私の鋏で命ごと切ったけれど、呪いもいくつかもとの肉体に帰るはず」


淫魔幼女 「いわば、どこからが晴れで、どこからが曇りかという問題だ」

淫魔幼女 「……おれにとってあれはもう、姫でないと言える」

淫魔幼女 「姫に似た乗り物に乗った、別の誰かだ」

淫魔幼女 「おれとも関係なくなった。あとは勝手にすれば良い」

淫魔幼女 「力はまあ、餞別で良いだろう」


鋏魔法少女 「いいかげん……」

鋏魔法少女 「……それに、あなたのお姫様のためというより……」

鋏魔法少女 「幼女魔王Nちゃんの邪魔になるから、残ったオリジナルの部分を取り除いたみたい」



637: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 15:10:06.20 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「複雑な……乙女心?」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「あなたって、その体になる前は、男と女、どっちだったの」


淫魔幼女 「いつまでも、関係ない過去に振り回されていては、始まることもできない」

淫魔幼女 「おれも終わった存在だ。姿を消してやるべきだろう」

淫魔幼女 「……使えそうな紋章も手に入れさせてやった。これで潰されるようなら、あとは知らん」

淫魔幼女 「他勢力の魔王の奴隷なり、兵士生産用の苗床になりなれば良い」


鋏魔法少女 「……へえ……」


淫魔幼女 「……そろそろ良いか」

淫魔幼女 「姫を棺にいれる」


鋏魔法少女 「手伝って……あげようか……」


淫魔幼女 「いらん。それより……」



??? 「……関係ない過去って、私たちのことかしら」


キイイン

ニョンニョンニョンニョン


淫魔幼女・鋏魔法少女 「?」



638: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 15:14:21.12 ID:e0VJzRlio


ニョンニョンニョンニョン


鋏魔法少女 「空気が渦巻いてる。空間系の魔法?」

鋏魔法少女 「……ここ、結界の中じゃないの……」


淫魔幼女 「この程度の結界などものともしないということだ」

淫魔幼女 「……甘く見ていたか。もう見つかるとは」


鋏魔法少女 「?」


ニョンニョンニョンニョン

ニョンニョンニョンニョン

バリン ガシャン


謎の学者 「あっはぁ~~ん!!」



謎の学者 が あらわれた!




639: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 15:27:07.70 ID:e0VJzRlio


モヤ モヤ


謎の学者 「見つけたわよう、淫魔幼女」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「…………」


謎の学者 「私たちの言いつけも守らずに、幼女魔王ちゃんをさらっちゃって」

謎の学者 「おかげで、幼女魔王ちゃん冬眠前異世界旅行計画もパーになっちゃったわ」

謎の学者 「みんな必死でかくし芸とか練習したのに!」

謎の学者 「私も、サプライズプレゼントの……盗撮記録石を仕込んだ媚薬たっぷりの子どもパンツを渡せなかったし!」


淫魔幼女 「……早い到着だ」


謎の学者 「……嬉しい偶然があったのよん」

謎の学者 「ねえ」


ニョンニョンニョン

ピョイン


謎の精霊使い 「よいしょ」



謎の精霊使い が 現れた!



鋏魔法少女 「お尻とかいろいろ丸出しの恥ずかしい服……」

鋏魔法少女 「この森の騎士団の戦士?」



640: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 17:47:46.39 ID:e0VJzRlio


謎の精霊使い 「おー、懐かしの森だ。すごく空気悪いけど」


謎の学者 「謎の精霊使い、ここの出身なのよね」

謎の学者 「この子がいなかったら、今でもあなたを見つけられていなかったと思うわ」


淫魔幼女 「…………」


謎の精霊使い 「いやあ、何だか急に里帰りしたくなってね」

謎の精霊使い 「無理に頼み込んで、来た甲斐があったね」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「びっくりしたわあ、淫魔幼女。ぜんぜん見つけられなくなるんだもの」

謎の学者 「……こんなすごい結界もつくれるなんて」

謎の学者 「良い協力者でも見つけたのかしら」

謎の学者 「……そこのあなたのしわざ」


鋏魔法少女 「…………」


謎の学者 「……じゃあ、なさそうね。んー」


淫魔幼女 「…………」


ゴソ……


??? 「動くんじゃねえ」


淫魔幼女 「……!」


ヒュン 

ザ バサ ガコン

棺(子ども用) が 壊れた……


??? 「ああっ、動きやがって」

謎のパンツ 「言うとおりにしてなきゃぶっ壊れなかっただろうに」



641: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 17:54:44.89 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「ウサギさんパンツをかぶった変態ハードボイルド少女……」


謎のパンツ 「違う。かぶる紙袋が間に合わなかったんだ」

謎のパンツ 「くっ……殺せ!」


鋏魔法少女 「?」


淫魔幼女 「関わるな」


鋏魔法少女 「……後ろにいたの、ぜんぜん気づかなかった」

鋏魔法少女 「なんなの……この謎っぽい変態たち……」

鋏魔法少女 「三流推理モノの犯人役のみなさん……?」


淫魔幼女 「違う」



642: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 18:07:07.81 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「……こんなところまで、仲良くお出ましとは」


ザ ザ ザ


??? 「それだけ奴が本気ということだ」

謎の馬頭 「淫魔のチビが、少々遊びすぎたな」


淫魔幼女 「……馬頭までもが」


謎の馬頭 「しかし、あの狐耳もまだまだガキだ」

謎の馬頭 「ガキのいたずらに本気になるとは」


鋏魔法少女 「馬の頭。ナイトメアの獣人……」

鋏魔法少女 「……淫妖ちゅ……」


淫魔幼女・謎の馬頭 「黙れ」



643: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 18:26:23.05 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「あまり刺激するな」


謎の学者 「そうよん。怖いのよお、この馬」

謎の学者 「上級夢魔で馬並みのくせにインポテンツで」

謎の学者 「性欲の分戦いの能力に全振りしたら、魔王とか鼻息で百回殺せるくらい強くなっちゃったのよ」


謎の馬頭 「おれはインポテンツじゃない」

謎の馬頭 「そういうものに興味がないだけだ」


謎の学者 「……みんな持て余しているのよ」

謎の学者 「きたる大世界の衝突を前に、幼女魔王ちゃんが楽しく冬眠に入れるよう、頑張って芸をみがいてきたのに」

謎の学者 「誰かさんが台無しにしちゃったから」


謎の精霊使い 「そうだそうだ、私、超怖い話を用意してたのに」


謎のパンツ 「オレは裸踊り」


謎の馬頭 「腹話術」


鋏魔法少女 「……ポンコツクソ芸人の集まりなの……?」


淫魔幼女 「深い魔王の軍勢だ」



644: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 18:34:34.46 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「おれは最初から反対していたはずだ」


謎の馬頭 「…………」


フンッ ビュ

ボコン

謎の馬頭 の 鼻息(微) こうげき!
淫魔幼女 に 52000 のダメージ!


淫魔幼女 「………ッ」


鋏魔法少女 「!」


謎の馬頭 「おれたちを敵に回そうという心意気はかってやろう」


謎のパンツ 「威力がいまいちだ。ケケッ、衰えたな、馬の旦那」


謎の精霊使い 「ああ、この森、いま花粉舞いすさぶ時期だから」


謎の学者 「鼻の穴のデカイ馬にはきついわよねん」

謎の学者 「馬並みインポで花粉症とか、どんだけ面白属性盛るのよ」


謎の馬頭 「吹っ飛ばすぞ」



645: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 18:55:45.86 ID:e0VJzRlio


鋏魔法少女 「深い魔王……」


淫魔幼女 「さきに滅んだ金狐の魔王の力を最も強く受け継いだ、九番目の子ども」

淫魔幼女 「勇者と魔王、歴戦の兵たちが散っていった戦いを生き抜き」

淫魔幼女 「自身も魔王の称号を得、わずかな時間で大世界の深層まで食い込んだ、若き狐耳」

淫魔幼女 「姫の遠い姉だ」


鋏魔法少女 「…………」


淫魔幼女 「……兄だったかな」


鋏魔法少女 「……そこ、大事なとこじゃないの……」



646: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 19:15:58.38 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「……狐耳のかわりに、おれを消しにきたか」


謎の学者 「あ、はん?」


淫魔幼女 「だが姫は死んだ」

淫魔幼女 「もう幼女魔王は姫でもなんでもない」

淫魔幼女 「お前達に監視され、管理される必要もない」


謎の学者 「あら、まだ死んでいないわよん」

謎の学者 「死にかけというだけでしょう」


キイイ パキン パキン


真幼女魔王 「…………」


鋏魔法少女 「色つきの壁が、クソ姫様を囲んでいく」

鋏魔法少女 「結界の魔法……?」


パキン パキン パキン



647: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 19:43:30.92 ID:e0VJzRlio


謎の学者 「観測されてはじめて、それはそれとして成り立つという考え方があるのよ」

謎の学者 「Aは誰かに見られることで、Aとして確定する」

謎の学者 「それまでは、AはAではなく、何ものでもない」


鋏魔法少女 「?? ?」


謎の学者 「この壁は、囲んだものを何ものでもなくしてしまう」

謎の学者 「いま囲んでいるのは幼女魔王ちゃんの生死」

謎の学者 「私たちがいくら見ても、幼女魔王ちゃんの生死は確定されない」

謎の学者 「つまり、幼女魔王ちゃんが死んでいくのを、食い止めることができるということ」

謎の学者 「……上位錬金術によって発明した擬似魔法よん」


淫魔幼女 「……………」


謎の学者 「二番煎じっぽくてぜったいカブっているだろうなあと思って、封印していた魔法だけど」

謎の学者 「使いどころがあって良かったわん」


パキン パキン


謎の人々 「…………」


謎のパンツ 「……おう」

謎のパンツ 「良かったぜ」


謎の精霊使い 「うん、良かった良かった」

謎の精霊使い 「観測で、確定なところが良いよね」


謎の馬頭 「命拾いしたな、淫魔幼女」

謎の馬頭 「……Bだったら、死んでいるところだ」


淫魔幼女 「……化物どもめ」


謎の学者 「無理しなくて良いわ」



648: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 20:04:24.59 ID:e0VJzRlio


謎の学者 「幼女魔王ちゃんの魂はこちらの手の内に移ったということよん」

謎の学者 「つまり、死なない」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「あなたを殺すつもりもないわ」

謎の学者 「だって、あなたなりに幼女魔王ちゃんを思って動いたのでしょう」

謎の学者 「えらいえらい。淫魔幼女ちゃん、えらい」

謎の学者 「雑魚のくせに、よく頑張りました」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「残念だったわね」

謎の学者 「思い通り殺すことができなくて」

謎の学者 「あなたがもう少しできる子だったら、結果は変わっていたかもしれないけれど」


淫魔幼女 「…………」



649: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 20:14:45.27 ID:e0VJzRlio


謎の学者 「次からは、頑張らなくてもこれ以上のことができるようになると良いわーね」

謎の学者 「私、応援しちゃう」


淫魔幼女 「…………」


謎のパンツ 「おい、淫魔幼女」

謎のパンツ 「あのフェドラ帽の詐欺な男はいないのか」

謎のパンツ 「返したい借りがあるんだがな」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「やめておけ。貴様では、まともに戦うこともできず返り討ちにあうだけだ」


謎のパンツ 「お前……!」


淫魔幼女 「さっさと帰れ、頓狂謎軍団」

淫魔幼女 「用がすんだのなら」


謎の学者 「そのつもりよん」

謎の学者 「その方が、あなたも都合が良いものね」


淫魔幼女 「…………ッ」


鋏魔法少女 「…………?」



650: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 20:39:46.90 ID:e0VJzRlio


謎の馬頭 「……行くぞ」


謎のパンツ 「……チッ」


謎の精霊使い 「残念だなあ」

謎の精霊使い 「知り合い……母性巫女くらいには会いたかったのに」

謎の精霊使い 「ねえねえ、あの子のおっぱい、私がいっぱい揉んで大きくしたんだよ」


謎の馬頭 「知るか」


ニョンニョンニョンニョンニョン


鋏魔法少女 「……また空間魔法」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「……あなたの頑張りに免じて、魂だけで勘弁してあげる」

謎の学者 「でも、もうちょっと頑張らないといけないかもしれないわよ」


淫魔幼女 「…………!」



651: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 20:46:48.71 ID:e0VJzRlio


…………


精霊の森 うろの休憩所(南)



パチ パチ


幼女魔王N 「…………スウ」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「……えへへ……ムニャ……スウ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……?」


ユラ ユラ

チカ チカ


母性巫女 「明かりが、弱くなる……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……!」


ビクン


母性巫女 「!」


幼女魔王N 「……ぅう。ぅううう……!」


ガクガクガクガク


母性巫女 「急に震えだした……!」

母性巫女 「N、N……!?」



652: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 21:17:03.77 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N 「……んぎっ、くひ……ひっ……!」

幼女魔王N 「母性巫女ッ、母性巫女……ッ」


ガタガタ ガクガクガク


母性巫女「はい。はい、ここに居ますからね……ッ」

母性巫女 「発作かしら。こんなこと今までなかったけれど……!」


ガクガクガク


幼女魔王N 「頭痛い! 痛い、痛い! 痛い痛い痛い痛い!」


ジタバタ


母性巫女 「N、N……!」


キイイイ パキ キイイイ

幼女魔王Nの紋章 が あやしく光る!


幼女魔王N 「きぃいいいいい!?」

幼女魔王N 「いだいいだいいだいいだいいだい!?」

幼女魔王N 「いだいよぉ! あたま痛いよぉ、母性巫女、母性巫女ぉ!」


母性巫女 「N、N……!」


幼女魔王N 「うえええ、うえーーーん!」

幼女魔王N 「痛いよお、痛いよお!!」


ジタバタ ゴロゴロ

ガシャン

ガクガクガク


母性巫女 「どうしよう、どうしよう……」


キイイ パキン パキン 



654: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 21:42:48.11 ID:e0VJzRlio


母性巫女 「く、薬、頭痛をおさえる薬があったはず……」


幼女魔王N 「ぎゃあああああああ! うぎゃああああ!」

幼女魔王N 「痛い痛い痛い! 頭いたいよ! ガンガンするよう!」

幼女魔王N 「怖いよお! 真っ暗だよう! どこにいるの、母性巫女、母性巫女!」


ガタガタ ガクガク

ジタバタ ガシャン


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですから。ちゃんと、なおりますから……」

母性巫女 「……目が見えてないの? いったいどうしたら……」


ポヨヨン ボヨヨ

キイイイ パキン


幼女魔王N 「母性巫女、怖いよ、母性巫女!」

幼女魔王N 「私が消えていくよう!」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女ぉ!」


キイイイイ バキ


幼女魔王N 「ぎゃああああ……ッ……ぉえ」

幼女魔王N 「うぶぇええ!」


ゴポ ビチャビチャ


母性巫女 「N、N……!」


幼女魔王N 「み゛こぉ、母性巫女ぉ……」

幼女魔王N 「……うぎッ、ぎいいいいい!」


ガクガク ゴロゴロ

バシャ ビチャビチャ 

ガクガクガク



655: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 21:52:35.51 ID:e0VJzRlio


キイイ キイイイ


幼女魔王N 「うぎゃあああああああ!?」

幼女魔王N 「いだい、いだいいだいいだい痛いぃいいい!!」

幼女魔王N 「まそっぷ」

幼女魔王N 「ふぎいいいいいいいい! ぎぎぎぎぎぎ!」

幼女魔王N 「いだいいだいいだい、頭いたいよぉお゛!」


ガタガタガタ バシャン 


母性巫女 「苦しみ方がひどくなった」

母性巫女 「落ち着いてください、N。いま薬を飲ませますから……」


ガシ


幼女魔王N 「うぐぐぐぐ、ふぐっ、ひっく、ふぐううう!」


母性巫女 「すごい力……ッ」

母性巫女 「さ、さあ、薬を飲んでください。きっと今より良くなるはず」

母性巫女 「ほら、口をあけて……」



656: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 21:57:21.39 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N 「……ッ……ッ」

幼女魔王N 「……母……」

幼女魔王N 「性巫女……」


母性巫女 「はい。私ですよ」

母性巫女 「怖くありませんよ。落ち着いて」


幼女魔王N 「……ヒック、グスン、グスン」


母性巫女 「良くなるお薬ですからね。さあ、口をあけて、水を飲んで……」


幼女魔王N 「…………」


ガパ


幼女魔王N の 呪いブレス攻撃!


母性巫女 「!?」



657: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 22:03:48.53 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N 「…………」


ドカ ゲシ


母性巫女 「きゃっ……!」

母性巫女 「ケホッ、ケホッ……な、何を……」


幼女魔王N 「………ふひ」

幼女魔王N? 「ふはははははは!」


母性巫女 「N……?」


幼女魔王N? 「母性巫女……母性巫女!」

幼女魔王N? 「おぼえているぞ。勇者の仲間だ」

幼女魔王N? 「魔王たるこのわしに、屈辱を味わわせた!」


母性巫女 「…………!?」



658: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 22:17:32.87 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N? 「ここは、精霊の森か」

幼女魔王N? 「ここの女どもには手を焼かされたわ」

幼女魔王N? 「千年の無敗を誇る我が軍勢の将を、どれほど失ったか」

幼女魔王N? 「捕えて恥辱の限りを叩き込んでやりたかったが、殺すのみにとどまった……」


母性巫女 「……な、なぜ」


幼女魔王N? 「だがまあ良い」

幼女魔王N? 「勇者、南の聖女、北の魔女、石髭のドワーフ……」

幼女魔王N? 「もっとも復讐すべき勇者隊の一人がここにいる!」


母性巫女 「あなたは、私たちが封じたはずです……!」


幼女魔王N? 「そうだ。手足ともいえる我が将たちを失い、打たれた釘のように」

幼女魔王N? 「しかしこちら側へ戻ってきた!」

幼女魔王N? 「この体を器として!」


母性巫女 「……Nの体を、乗っ取ったというの……?」



659: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 22:22:26.97 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N? 「母性巫女。感謝をするぞ、母性巫女」


母性巫女 「……感謝?」


幼女魔王N? 「くふふ……やられ際の呪いなど、わしの魔王美学に反するが」

幼女魔王N? 「やっておくものだ」


母性巫女 「……!」


幼女魔王N? 「お前をむしばむ呪いとなって、わしの一部がお前の体に残っていた」

幼女魔王N? 「お前のおかげで、こうやって戻ってくることができたのだ!」

幼女魔王N? 「ふはははは」


ボヨヨーン ボヨヨーン


母性巫女 「そ、そんな……」



660: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 22:35:02.93 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N? 「感謝している。感謝しているぞ、母性巫女!」


ボガ


母性巫女 「きゃうっ……」


幼女魔王N? 「こんな乗っ取りやすい体まで用意してくれるとはな!」

幼女魔王N? 「ふはははは! 呪いをかけたのがお前で良かったわ!」


ドガ ドガ


母性巫女 「あうっ、ふぐっ……」


幼女魔王N? 「最終決戦に裸同然の格好でのぞんで」

幼女魔王N? 「目の前で飛び跳ねてポヨポヨポヨ揺らしおって」

幼女魔王N? 「気が散って戦いどころではなかったわ!」


ドゴ ドゴ


母性巫女 「ぐっ、きゃうっ……」


幼女魔王N? 「だいたい……」

幼女魔王N? 「おっとり童顔で爆乳とか、ドストライクすぎるであろうが!」


母性巫女 「し、知りません……!」


幼女魔王N? 「黙れ!」


ゲシ


母性巫女 「ああん……ッ」



661: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 22:49:48.95 ID:e0VJzRlio


ゲシ ゲシ ゲシ ゲシ


母性巫女 「ッ……ッッ……」


幼女魔王N? 「人間の子宮はここだったか」

幼女魔王N? 「安心しろ、ここだけは攻撃せずにいてやろう」

幼女魔王N? 「我が軍団再編のため」

幼女魔王N? 「強い兵を産んでもらわんといかんからな!」


ビリリ ビリ


母性巫女 「……ッ!」


幼女魔王N? 「恥じらいでもおぼえたか。布の多い服を着て」

幼女魔王N? 「ふはははは、光栄に思え。わしの復活に利用させてもらった礼だ」

幼女魔王N? 「残った我が軍の残党どもを集めて、貴様と交わらせよう」

幼女魔王N? 「人間相手では味わえないありとあらゆる快楽を与えてやる」

幼女魔王N? 「にっくき勇者隊の一員ゆえ、それこそ念入りになあ!」


ゲシ ゲシ


母性巫女 「ッッ……ッ……」

母性巫女 「……交わ……快楽……ッ?」


幼女魔王N? 「体を取り戻した暁には、わし自ら相手をしてやる」

幼女魔王N? 「貴様は我が配下を産み続ける……」

幼女魔王N? 「新生魔王軍の母となるのだ!」

幼女魔王N? 「ふはははははははは!」


ゲシ ゲシ



662: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 22:59:32.77 ID:e0VJzRlio


母性巫女 「……N、N……!」


幼女魔王N? 「うん?」

幼女魔王N? 「この体の持ち主の名前か」

幼女魔王N? 「何を思って魔族などを傍に置いていたか知らんが」

幼女魔王N? 「ふはははは、もうわしが食い尽くしてやったわ!」


母性巫女 「……!」


幼女魔王N? 「安心するがいい」

幼女魔王N? 「子どもなど、お前はこれから何千、何万と産むのだからなあ」

幼女魔王N? 「ふははははは!」

幼女魔王N? 「はっ……ゲホ、ゲホ。声帯が弱いな、この体は」

幼女魔王N? 「わし自慢の魔王笑いをひかえねば」


母性巫女 「…………N。N」


幼女魔王N? 「…………」


ガシ


母性巫女 「…………ッ」


幼女魔王N? 「散歩だ。外に出よ」


ズル ズル ズル



663: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 23:05:25.31 ID:e0VJzRlio


精霊の森(汚染)


モヤ モヤ


幼女魔王N? 「ふむ、良い空気だ。わしの帰還を祝福しておるようだ」

幼女魔王N? 「そら……」


ドサ


母性巫女 「……ッ」


幼女魔王N? 「くくく、ちょうど、わしと戦ったときのような服装だな」

幼女魔王N? 「裸にひんむいて犬のように散歩をさせてやろうと思っておったが」

幼女魔王N? 「このままの格好でやらせるのも屈辱的か」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N? 「さっさと立て。四つんばいでな」


ゲシ ゲシ


母性巫女 「…………」



664: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 23:10:26.37 ID:e0VJzRlio


母性巫女 「…………」


幼女魔王N? 「ふん。心が折れたか」

幼女魔王N? 「くふふ、無理もない」

幼女魔王N? 「勇者隊の一人といえど、単体でわしに挑むなど狂気のさたよ」

幼女魔王N? 「……む?」


ゾゾゾゾゾ

ヒュン ヒュン


幼女魔王N? 「!」


タンッ

ザザ


幼女魔王N? 「……黒い布のように見えたが」

幼女魔王N? 「このわしに攻撃をしかけたのか?」



665: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 23:18:17.86 ID:e0VJzRlio


ザ ザ ザ


??? 「…………」

淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N? 「……ほう」

幼女魔王N? 「淫魔、魔族のようだが、この体と同じく見ない顔だな」

幼女魔王N? 「珍しい外套をまとっている」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「遅かったか……!」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王N? 「……わしに挑むつもりか」

幼女魔王N? 「千年の無敗を誇る魔族を束ねる、魔王たるこのわしに」

幼女魔王N? 「ふはははは………」

幼女魔王N? 「貧乳風情が、片腹痛いわ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



666: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 23:40:13.90 ID:e0VJzRlio


淫魔幼女 「……まったく」

淫魔幼女 「どこまでも手のかかる……!」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王N? 「ふはははははは!」


ダダダダダ


幼女魔王N? 「死ねぇい……!」


ボガ

淫魔幼女 の 外套(手抜き)こうげき!
幼女魔王N?のHP が 1 になった!


幼女魔王N? 「!?」



667: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 23:46:47.48 ID:e0VJzRlio


幼女魔王N? 「……なぬ?」


ガクガク ベタン

ポヨヨーン


幼女魔王N? 「ば、馬鹿な……このわしが、一撃で……!?」


淫魔幼女 「詐欺商人から貰った最高級の紋章を、使いこなすどころか」

淫魔幼女 「体を乗っ取られるとは」

淫魔幼女 「どこまで貧弱なんだ……」


ザ ザ ザ


幼女魔王N? 「……ま、待て、仕切りなおし……これは何かの間違い……」


淫魔幼女 「……死ね」


ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王N? 「うおわああああ……!」


ガキン


淫魔幼女 「……!」


母性巫女 「…………」



669: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/24(日) 23:53:37.44 ID:e0VJzRlio


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「炎の紐……」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「貴様か。バカピンクバカゴキブリを拾った奇特な奴というのは」

淫魔幼女 「不愉快だ。真っ直ぐ光の流れる黒髪が、あの女に似ている」

淫魔幼女 「……何のつもりだ」


母性巫女 「それ以上やっては死んでしまいます」


淫魔幼女 「そのつもりだ」


母性巫女 「いけません」

母性巫女 「Nが死んでしまいます」


淫魔幼女 「…………」



670: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:00:10.16 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N? 「……ふは」

幼女魔王N? 「ふはははははは!」

幼女魔王N? 「そうだ、わしが回復するまでわしを守れ、母性巫女!」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「お前がNと呼ぶ奴は死んだ」

淫魔幼女 「……説明するのも面倒くさい。どけ」

淫魔幼女 「でなければ、もろとも死ね」


ゾ ゾ ゾ


母性巫女 「…………」


ヒュン ヒュン

ガキン


淫魔幼女 「……どうやら、人間にしてはやるようだ……」


ズゴン

母性巫女 の お母さんチョップ こうげき!
淫魔幼女 に 79000 のダメージ!


淫魔幼女 「な゛ッッ!」



671: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:11:13.54 ID:IK3hN9mzo


淫魔幼女 「……何だと」


ヘナヘナ ペタン


淫魔幼女 「ば、馬鹿な……このおれが、ただの人間の一撃で……?」


母性巫女 「駄目ですよ。そんな乱暴な言葉を使って」

母性巫女 「Nは死んでなんかいません。頭が痛くて、少しおかしくなっているだけです」


淫魔幼女 「馬鹿が、貴様……」


母性巫女 「一緒にお風呂に入って、一緒にご飯食べて、絵本を読んで寝かしつけてあげたら」

母性巫女 「ちゃんと元通りになるにきまっています」

母性巫女 「うふふ。魔動画だって、ちゃんとなおるんですから……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「お前は……」



672: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:17:37.82 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「……ふ、ふはは」

幼女魔王N 「この体の弱さは予想外だったが、何とかなりそうだ……」


ズズズズズ


幼女魔王N 「む?」

幼女魔王N 「何だ、わしの影が……」


ズズズ


??? 「…………」

美触手 「…………」


幼女魔王N 「何だ、この魔物は」

幼女魔王N 「わしの影から現れたのか?」


美触手 「…………」


ユラ ユラ


幼女魔王N 「……見事な」

幼女魔王N 「なんと、美しい」


美触手 「…………」

美触手 「……クュルル」


ズパン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王Nの首 「…………」



673: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:22:26.49 ID:IK3hN9mzo


母性巫女 「!!」


幼女魔王Nの首 「…………」


ヒュルル

ポト


首なし幼女魔王N 「…………」


ブシャ

ブシュウウ ビチャ ビチャ


母性巫女 「……いや」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「嫌ああああ!」


美触手 「…………」


ズ ズ ズ ズ ズ

トプン



674: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:31:16.95 ID:IK3hN9mzo


ザアアア バシャ バシャ


淫魔幼女 「……美触手」

淫魔幼女 「心を決めたか」


母性巫女 「……N。N……」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「違う。それはただの生首だ」


母性巫女 「ごめんなさい。ごめんなさい……」


淫魔幼女 「……貴様は、人間側の英雄だったのだろ」

淫魔幼女 「この森にいながら、何をしていたのか。何をしているのか」

淫魔幼女 「お前の仲間たちが大勢死んだぞ」


母性巫女 「N、N……」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「…………」



675: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:37:20.53 ID:IK3hN9mzo


母性巫女 「…………」

母性巫女 「あなたが、この森をこんな風にしたんですか」


淫魔幼女 「……ああ」

淫魔幼女 「だが、もうすぐそれも終わる」

淫魔幼女 「おれも消えさせてもらう」


母性巫女 「……この子のこと、知っているんですか」


幼女魔王Nの首 「…………」


淫魔幼女 「それなりに」

淫魔幼女 「今となっては関係ないが」


母性巫女 「そうですか……」



676: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:43:51.49 ID:IK3hN9mzo


モヤ モヤ モヤ

ギャア ギャア


淫魔幼女 「……統率する者がいなくなり」

淫魔幼女 「還ることのできなくなった触手たちが暴れだす」

淫魔幼女 「しかも、繁殖しか頭にないような連中だ」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「数日とせず、この森の結界は消える」

淫魔幼女 「貴様なら、それまで生き延びられるのだろうよ」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「好きにするが良いさ」

淫魔幼女 「ではな」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ

ザ ザ ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」



677: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:48:15.14 ID:IK3hN9mzo


…………


X時間後

精霊の森 聖域の森 深部



モヤ モヤ モヤ


毒ガス触手 「クリュクリュ」


バフー モワモワ


母性巫女 「…………ッ」


ヒュン ヒュン

ザク バシュ


毒ガス触手 「ギャッ」


触手たち 「グゲッ」


ボト ビチャン


母性巫女 「…………」



678: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:50:16.37 ID:IK3hN9mzo


母性巫女 「…………」


ザ ザ ザ ザ


精霊戦士の死体 「…………」


魔法少女Aの死体 「…………」


魔法少女Bの死体 「…………」


戦士見習いの死体 「…………」


母性巫女 「…………」


ザ ザ ザ ザ ザ



679: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 00:56:25.93 ID:IK3hN9mzo


…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ モヤ

グチュグチュグチュ


高熱触手たち 「グチュグチュグチュ」


爆弾卵触手たち 「グチュグチュ」


電撃触手たち 「グチュグチュ」


グニュルグニュル

ズポ ズポ


岩魔法少女 「…………」


泥魔法少女 「…………」


火魔法少女 「…………」


星魔法少女 「…………」


ドピュ ブビュルルル

ムリュリュ ボト ビシャ


幼高電熱触手 「プキャアア」


母性巫女 「…………ッ」


モヤ モヤ モヤ


??? 『……うふふ……うふふふふ……』


母性巫女 「…………」



680: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:06:43.71 ID:IK3hN9mzo


??? 『うふふふ……』

毛玉触手 『いらっ……しゃい、お姉ちゃん』


フヨ フヨ フヨ

ウネ ウネ

モヤ モヤ モヤ


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『……言葉、分かる』

毛玉触手 『うまれた。人間から』


母性巫女 「……あなたが、この霧を出しているんですか」


毛玉触手 『得意。そういうの、だから』

毛玉触手 『たくさん。ここ、材料も』

毛玉触手 『淫魔の女王も、簡単に、狂わせる』



681: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:14:36.85 ID:IK3hN9mzo



母性巫女 「…………」


毛玉触手 『つらそう、お姉ちゃん』

毛玉触手 『近づいたら、こんなに私に……人間、もろいから』


母性巫女 「霧を、止めていただけますか」


毛玉触手 『うふふふ……うふふふふ……』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『分かる。お姉ちゃん、立っているのも精一杯』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『私の霧、もっと強くなった。お姉ちゃん、吸いすぎた。浴びすぎた』

毛玉触手 『交尾……頭の中、もうそれだけ』


母性巫女 「…………」




682: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:22:27.40 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『女の子、人間の。私の霧に弱い、とくに、若い、戦う人たち』

毛玉触手 『交尾とか、そういうの、避けるから。汚いって』

毛玉触手 『だから、簡単。耐性、ないから』


母性巫女 「…………」


ヒュン ヒュ

シュウウ


毛玉触手 『無駄。お姉ちゃんも、使うから、精霊』

毛玉触手 『材料……霧の』

毛玉触手 『妖精たち』

毛玉触手 『いっぱい食べて、妖精、とかして、霧にする』

毛玉触手 『精霊も』


母性巫女 「……精霊さまを」


毛玉触手 『ここ、いっぱい。材料、精霊、食べ放題』

毛玉触手 『私、いっぱい強くなった』


母性巫女 「…………ッ」



683: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:31:47.09 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『女の子じゃ、私に、勝てない』

毛玉触手 『お姉ちゃんも、餌。転がり込んできた、間抜けな』


母性巫女 「…………」


クラ クラ

フラ フラ


毛玉触手 『うふふふふ……うふふふ』

毛玉触手 『いなくなった、幼女魔王ちゃん』


母性巫女 「……!」


毛玉触手 『可憐少女、連れて行ってくれるっていったのに』

毛玉触手 『誰だっけ。可憐少女、って……』


母性巫女 「…………」


ガクン ヘナヘナ


毛玉触手 『……私、増やす。この森で』

毛玉触手 『仲間、いっぱい、いっぱい』

毛玉触手 『苗床、つかって……』


ウネ ウネ スルルル


母性巫女 「…………」



…………




684: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:39:37.15 ID:IK3hN9mzo



シーンをスキップしますか

1.はい
2.いいえ

>>685


685: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:40:24.15 ID:IK3hN9mzo
1

689: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 01:57:59.18 ID:IK3hN9mzo


シュルル ヌルルル


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『うふふ……ふふふふ……』

毛玉触手 『捕まえた……』


母性巫女 「…………ッ」


毛玉触手 『もっと濃いの、霧になる前の』

毛玉触手 『お姉ちゃんの全身、いっぱい塗りこんであげる』


ニュルルル 


母性巫女 「………ッ」

母性巫女 「お願いします。森の霧、とめてください」


ヌルル ヌル……


毛玉触手 「…………」


グニュウウ


母性巫女 「ふあっ……!?」

母性巫女 「……ッ」


グニ グニ


母性巫女 「や、やめ……」


毛玉触手 『……うふふふ』

毛玉触手 『気持ちいい? お姉ちゃん、おっぱい』


グニュ グニュ

ムニュ ムニュ


母性巫女 「……ッ……ッッ」



690: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 02:07:00.59 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『もっと、なりたい、気持ちよく?』


ムニ ムニ


母性巫女 「……き、霧を、とめてください」


毛玉触手 「…………」


毛玉触手(腕)A 「…………」


ユラ ユラ グパ

トロロ


母性巫女 「…………きゃっ!?」

母性巫女 「な、なに、冷た……」


毛玉触手 『一番、強い原液、霧の』

毛玉触手 『一滴で、魔王も、勇者も、天使も悪魔も、女の子なら交尾の奴隷』


母性巫女 「……!」


トクン


母性巫女 「……ッ」


毛玉触手 『もう効いてきた』



691: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 02:15:21.74 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『…………』


サワ


母性巫女 「……!?」


ゾクゾクゾク


母性巫女 「……ん。ふ、くぅ……ん……」


ピク ピクン


毛玉触手 『お姉ちゃんの体、私に縛られている』

毛玉触手 『分かる。ピクン、ピクンって、可愛く跳ねてる』

毛玉触手 『気持ち、いい?』


母性巫女 「こんな、悪ふざけやめて……」

母性巫女 「……き、霧を、止めてくださ……」


毛玉触手 「…………」


毛玉触手(腕)たち 「…………」


ユラ ユラ ガパ

トロロロロ


母性巫女 「!?」


毛玉触手 『強さ、何十倍。この森中の、霧の』

毛玉触手 『皮膚から、脳みその芯まで』

毛玉触手 『お姉ちゃんの全部に、しみこませてあげる』




692: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 02:25:04.62 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『顔、お腹……おへそ……』


ニュルルル ヌルルルル


母性巫女 「……ッ。……ッッ」


毛玉触手 『太もも、お尻……』


ニュルル ペタペタ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「ふ……ぅう……ッ」


ビク ビクン


毛玉触手 『お姉ちゃん。お尻、敏感』

毛玉触手 『いっぱい、塗ってあげる……』

毛玉触手 『ほ……ーら……』


ウネ ウネ ウネ


母性巫女 「………ッ」


ニュルン


母性巫女 「ひゃん!?」


毛玉触手 『うふふふ……間違えて、指の股、しちゃった』


ニュルルン コシュコシュコシュ


母性巫女 「ひゃ、うぅ!? あふ、ぅうう……ッ」


毛玉触手 『指の股も、好きなの?』

毛玉触手 『全部、してあげる。手と、足』


ニュルルル ニュルルルル

ヌリュヌリュヌリュ


母性巫女 「……ッッ……~~ッ」



693: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 02:33:08.47 ID:IK3hN9mzo


ヌルヌルヌル

ニュルル

ニュルル


母性巫女 「……ッ。は、くぅ……」


ゾクゾクゾク

ピクン ビクン ビクン


毛玉触手 『……だいぶ、塗りこめた』


母性巫女 「ハア……ハア……ッ」


毛玉触手 『お姉ちゃん』

毛玉触手 『気持ちいい?』


母性巫女 「………き」

母性巫女 「霧を、止めてください……」

母性巫女 「私のこと、どうしても良いですから……」


毛玉触手 『……うふふふふ』

毛玉触手 『次は、ここ』


トロロロロ


母性巫女 「……!」


毛玉触手 「おっぱい、トロトロにしてあげる」



694: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 02:53:48.28 ID:IK3hN9mzo


トロロ ポタタ

ピチャ ドロロ


母性巫女 「……ッ」


毛玉触手 『お姉ちゃんは、ただのメス』

毛玉触手 『霧を止めるためじゃなくて』

毛玉触手 『交尾してもらいたくてここに来た、交尾狂いのメス』

毛玉触手 『だから、言わないの。霧を止めて、なんて』


母性巫女 「………! ……ッ」


トクン トクン

ゾク ゾク


毛玉触手 『お姉ちゃん、知ってる?』

毛玉触手 『お姉ちゃんのパンツから、トロトロ流れてる。私のじゃない、お汁』


母性巫女 「………ッ。はぅ、ん……ッ」


カアア


毛玉触手 『お願いして、お姉ちゃん』

毛玉触手 『毛玉触手さま、おっぱい、思いっきりもんで、気持ちよくして……って』


母性巫女 「……お、お願い……します」

母性巫女 「……霧を、止めてください……」


毛玉触手 「…………」



695: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 03:16:39.28 ID:IK3hN9mzo


母性巫女 「N、怖がりだから……こんな霧の中じゃ」

母性巫女 「安心して、眠ることが出来ないのです」


毛玉触手 『知らない』


ムニュウウ


母性巫女 「!!!」

母性巫女 「くぅうううん……!」


毛玉触手 『お姉ちゃんは、ただのメス』

毛玉触手 『交尾用の、肉の袋』


ムニュ ムニュ ムニュ ムニュ


母性巫女 「あっ、はふ……くふぅん………ッッ!」

母性巫女 「や、やめ……胸、もうやめ……」


ムニュ ムニュ

グニュウウウ


母性巫女 「!?」

母性巫女 「ッッッ!」

母性巫女 「ッッ! ~~ッ!! ~~~~ッ! ッ!!」


ガクガクガク ガクンッ

ビクン ビクン


毛玉触手 『……うふふふ』


母性巫女 「……っ。……は……ぁ……ッ」


毛玉触手 『イッちゃった』

毛玉触手 『お姉ちゃん、おっぱい揉まれて、イッちゃった』

毛玉触手 『うふふふふ……うふふふふ……』



696: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 03:48:27.84 ID:IK3hN9mzo


母性巫女 「……ッ」


毛玉触手 『気持ち良かった?』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『イッたくせに』

毛玉触手 『素直に答えるまで、交尾はしてあげない』

毛玉触手 『ずっと、原液、すりこんであげる』


トロロロ

ニュルル ニュルルル


母性巫女 「!! ……はひゅっ……ふきゅ……!?」

母性巫女 「う、うそ……ッ。体、こんな……はぅ……!?」


毛玉触手 『イッたら、もっと敏感になったでしょう』

毛玉触手 『もっと、敏感にしてあげる。中からも』

毛玉触手 『口あけて』


毛玉触手(腕) 「…………」


ヌッ グイ グイ


母性巫女 「……! ぅ……!」


毛玉触手 『開けない、頑固。気持ちよすぎて怖くなった、お姉ちゃん?』

毛玉触手 『でも、無駄』


毛玉触手(腕) 「…………」


グパ パク


母性巫女 「!?」


毛玉触手 『頭、全部おおってあげる』

毛玉触手 『吸い込み放題。鼻からも、口からも、耳からも』



697: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 03:50:22.85 ID:IK3hN9mzo


ブシュウウウ ブシュ ブシュ


母性巫女 「……! ……!!」

母性巫女 「むぐ、んー! んんんんーー!」


ガク ガク


毛玉触手 『暴れて発散なんてさせない。体、触手でがっちりかためてあげてるから』


グイ ペロ


毛玉触手 『……うふふふ、ぷっくり膨れてる。お姉ちゃんの、丸くて大きなおっぱいの……先っぽ』

毛玉触手 『いじってほしくてたまらないって、すぐ分かる』

毛玉触手 『でも、お姉ちゃんが素直になるまで、触ってあげない』

毛玉触手 『お預け。ずーっと、体、気持ちよくなって、おっぱいでイけないまま』


ニュルルルル ヌルル

ニュリュニュリュ シュコシュコ

ブシュウウ 


母性巫女 「んーー! ~~~ッッ!」


ビクン ビクン



698: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 03:58:37.84 ID:IK3hN9mzo


…………


精霊の森 うろの休憩所(南)



チカ チカ


幼女魔王N 「…………1」

幼女魔王N 「……って、言ったじゃん!」


ガバ


幼女魔王N 「……あれ?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「私のお城じゃ無い」

幼女魔王N 「ここ、どこ?」


チカ チカ

ユラ ユラ



701: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:05:27.12 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「いたたた……首、寝違えたかしら」

幼女魔王N 「…………えーっと」

幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「そうだわ。森に霧が出て……ここに避難して」

幼女魔王N 「母性巫女に寝かしつけてもらって……えへへへへ」

幼女魔王N 「へへへ……へへ……」


チカ チカ

ユラ ユラ


幼女魔王 「……母性巫女」

幼女魔王 「どこ?」



702: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:13:27.39 ID:IK3hN9mzo


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……見回りに出たのかしら」

幼女魔王 「私を残して?」

幼女魔王N 「どうせ私だし……」

幼女魔王 「母性巫女は優しいもん。そんなことしないわ」

幼女魔王N 「そうだと嬉しいわね……」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……ん?」

幼女魔王N 「私、誰かと話していた?」

幼女魔王N 「…………」


チカ チカ チカ

ユラ ユラ

シィン


幼女魔王N 「……まあ、良いわ」

幼女魔王N 「待っていましょう」

幼女魔王 「探しに行くべきじゃないかしら」

幼女魔王N 「怖いわ」

幼女魔王 「大丈夫よ。死んでもすごく痛いだけ」

幼女魔王N 「それもそうね」


ザ ザ ザ



703: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:17:20.27 ID:IK3hN9mzo


ザ ザ ザ

ガチャ

ガツン


幼女魔王N 「ぎょん!?」


ドサ


幼女魔王N 「い……痛い痛い痛い痛い!」

幼女魔王N 「頭うったあ!」

幼女魔王N 「どうして出られないのよ、うわああん!」


ゴロゴロゴロゴロ


幼女魔王N 「えーん……グス」

幼女魔王N 「入り口、見えない結界でもあるの?」



704: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:21:21.77 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「……参ったわ。出られない」

幼女魔王N 「出られないなら、ここで待つしかない」

幼女魔王N 「ぐうたらごろごろして待つしか道はない」

幼女魔王N 「大丈夫よね、母性巫女だもん」


コテン ゴロゴロ


幼女魔王N 「あーあ、寝返りうつたびにレベル」

幼女魔王N 「上がらないかなーっと」


ズンズン ゴロゴロ



705: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:26:31.43 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「これは違う気がするわね」


ズズズズ


幼女魔王N 「……私の影が、波打ち始めた」

幼女魔王N 「これって……」


ズズズズ


美触手 「…………」

美触手 「クュルル」


幼女魔王N 「美触手!」

幼女魔王N 「出てこなかったと思ったら、勝手に出てきて!」


美触手 「…………」


ペロ ペロ


幼女魔王N 「あはは、くすぐったい」

幼女魔王N 「久しぶりね……」


ナデ ナデ


美触手 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ああ、そうか」



706: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:33:18.62 ID:IK3hN9mzo


精霊の森(汚染)



キン キン キン

パリィン

ガシャン ガラガラガラ


幼女魔王N 「ふっ……空間など、触手の主たる私の前では無意味」

幼女魔王N 「よいしょ」


ピョン クイ


幼女魔王N 「きゃっ」

幼女魔王N 「スカートが割れた空間の尖った部分に引っかかった!」


ビリ


幼女魔王N 「スカートが破れた!」


ドタ


幼女魔王N 「こけた!」

幼女魔王N 「うわーん、母性巫女ーー!」


美触手 「…………」



707: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:37:05.35 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「母性巫女。やっぱり、いない」

幼女魔王N 「……ヒック、グスン」

幼女魔王N 「何よ、何よ。平気だもん、慣れてるもん……」


美触手 「…………」


幼女魔王N 「……母性巫女がいないというか」

幼女魔王N 「死んだように、森が静かね……」

幼女魔王N 「変な霧の中で、私たちしか生きていないみたい」

幼女魔王N 「いったい、何が起きているの」



708: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:46:57.09 ID:IK3hN9mzo


美触手 「…………」


幼女魔王N 「美触手、母性巫女のいる場所までの道をつくって」

幼女魔王N 「……て、知らないから無理よね」

幼女魔王N 「うーん……」


美触手 「…………」


幼女魔王N 「……そういえば」

幼女魔王N 「霧に紛れて、この森の別の場所に繋がる入り口が漂っているって」

幼女魔王N 「母性巫女が言っていたっけ」

幼女魔王N 「うまくいけば、母性巫女のもとまで行ける? ふむ…………」

幼女魔王N 「よし!」


美触手 「…………」


幼女魔王N 「慎重に行きましょう」

幼女魔王N 「臨戦態勢のラスボスの前に放り出されたら、たまったもんじゃないものね」


ザ ザ ザ

コケ


幼女魔王N 「ああっ、足が滑った!」


パキイ


幼女魔王N 「霧に紛れる何かに触れた!」


ウニョンウニョンウニョン


幼女魔王N 「何かワープっぽいのが始まった!」

幼女魔王N 「ちきしょう、巧妙な罠にはめられた!」


ニョンニョンニョン

バシュウウ



709: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 04:56:59.88 ID:IK3hN9mzo


…………



精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ モヤ

ニョンニョンニョン

ドサ


幼女魔王N 「もぷっ!」

幼女魔王N 「いたたたた」

幼女魔王N 「……む、ここは」


モヤ モヤ モヤ


幼女魔王N 「深く、それでいてひらけた場所。静寂」

幼女魔王N 「……まずいわね」

幼女魔王N 「ボスの部屋の前という感じだわ」

幼女魔王N 「変なオブジェもあるし」

幼女魔王N 「……オブジェなのかしら、あれ……」


ウニョウニョウニョウニョ


幼女魔王N 「うごめいてる」

幼女魔王N 「……ああ、駄目よ。気にしては駄目」

幼女魔王N 「調べたらぜったい後悔する。そんな気配をびんびん感じる」


テク テク テク


幼女魔王N 「と、言いながら調べに行ってしまう」

幼女魔王N 「村人全員に話しかけないと安心できない私……」


テク テク テク



710: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 05:04:58.34 ID:IK3hN9mzo


変なオブジェ?A~D 「ウニョウニョウニョウニョ」


幼女魔王N 「何なのかしら」

幼女魔王N 「磔台のように見えなくもない」


ザワワ


幼女魔王N 「あ、表面を覆っていた触手? ……が、割れていく」


変なオブジェ?B 「…………」

磔触手B 「…………」


泥魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「ぎゃっ」

幼女魔王N (気が狂ったような、しまりのない泣いているような笑っているような顔)

幼女魔王N 「……あれ、どっかで見たような」

幼女魔王N 「そうだわ。母性巫女の小屋に押しかけてきた、界駆の魔法少女」

幼女魔王N 「触手に捕まったのね……」



711: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 05:11:48.17 ID:IK3hN9mzo


泥魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「この人、こんなに太っていたかしら。胸もこんなに……」

幼女魔王N 「って、ああ、触手とかミルクが詰まっているのね」

幼女魔王N 「そうよね。魔法少女なんて、触手の苗床として最高」

幼女魔王N 「……と、淫魔幼女なら言うところかしら」


泥魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「ウヒヘヘって感じで白目を剥いて……あ、顔がかすかにひくついている」

幼女魔王N 「生きているのかしら」

幼女魔王N 「こんなになってまで。かわいそう……」


泥魔法少女 「…………」



712: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 06:05:43.91 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「……母性巫女のところに押しかけてきた魔法少女は」

幼女魔王N 「えーっと……」

幼女魔王N 「五人だったわね」

幼女魔王N 「他のオブジェにもこんな風に魔法少女が埋め込まれているとして」


磔触手B

変なオブジェ?A・C・D


幼女魔王N 「ひとつ足りないわ……」

幼女魔王N 「あの人たちが揃って捕まっているというのは」

幼女魔王N 「考えすぎかしら」


美触手 「…………」



713: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 06:20:14.88 ID:IK3hN9mzo


モヤ モヤ モヤ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ブルル……」

幼女魔王N 「深い霧の森って、やっぱり怖いわね」

幼女魔王N 「私のお城のある世界じゃ、霧なんて滅多になかったし」

幼女魔王N 「こんなんじゃ、夜は怖くて眠れな……あら、あれは」


壊れた魔王の日傘
触手姫の杖


幼女魔王N 「……なんか少し変わっているけど、間違いない」

幼女魔王N 「私の武器だわ」

幼女魔王N 「どうしてこんなところに……」



714: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 06:27:05.39 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「……ん? 武器の落ちていたところに」


うさぎさんパンツ


幼女魔王N 「いつかなくしたと思っていた、私のパンツ」

幼女魔王N 「どうしてこんなところに……」


美触手 「…………」

美触手 「……!」

美触手 「クュル……」


幼女魔王N 「美触手?」

幼女魔王N (霧の向こうを、じっと見つめている……)

幼女魔王N 「向こうに、何かあるの?」


ザ ザ ザ ザ



715: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 06:38:02.99 ID:IK3hN9mzo


聖域(汚染源)



ザ ザ ザ ザ

モヤ モヤ モヤ


幼女魔王N 「…………」


ザ ザ ザ コケ

ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「…………」


美触手 「…………」


モヤ モヤ モヤ

ウフフフ ウフフフフ……


幼女魔王N 「…………!」


ザ ザ ザ

モヤ モヤ モヤ

モヤ……


??? 『うふふふふ……うふふふふ』

毛玉触手 『ふふ……フフフフフ』


幼女魔王N 「…………」



716: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 06:44:54.81 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 が 現れた


モヤ モヤ

ゴウン ゴウン


毛玉触手 『フフフ……ウフフフフ』


幼女魔王N 「……触手よね」

幼女魔王N 「宙に浮かぶ巨大な毛玉から、太い触手が絡まりあって……」

幼女魔王N 「根っこみたいに地面に突き刺さっている……」

幼女魔王N 「美触手みたいな、大物ということね」


美触手 「…………」


毛玉触手 『…………いらっしゃい』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『……あなた、どこかで会ったかしら』


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「うわああああああぁあぁあ!?」

幼女魔王N 「しゃべったああああぁぁぁぁあぁあ!?」



717: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 07:02:01.73 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『まあ、どちらでも良いわ』

毛玉触手 『いらっしゃ……』


幼女魔王N 「逃げる逃げる逃げる!」

幼女魔王N 「美触手、逃げ道つくって! 私、触手の主とか言ってみたけど……」

幼女魔王N 「こんなん無理! 契約も使役も絶対無理!」


美触手 「…………」


ヒュン ヒュン ヒュン

パキ ピシ


幼女魔王N 「頑張って! 早く離脱、離脱……!」


毛玉触手 『そんなに怯えないで』

毛玉触手 『幸せにしてあげるから』

毛玉触手 『ほら……』


ミチュ グジュル グジュル


幼女魔王N 「ぎゃあああ!?」

幼女魔王N 「毛玉の下で絡まりあっていた触手が割れていく! 怖い!」

幼女魔王N 「と言いつつ肩越しに目を離せない私!」


グジュル ウネウネ

ヴァカ


磔触手E 「グジュル グジュル グジュル」


??? 「…………」

母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女」

幼女魔王N 「そんなところにいたの」



718: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 07:16:23.19 ID:IK3hN9mzo


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (泥魔法少女が埋め込まれていた磔台みたいなものに、同じように捕まってる)

幼女魔王N (腕輪を残して、裸で)

幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」


毛玉触手 『失神しているだけよ』


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「母性巫女に何を」

幼女魔王N 「した……ので、ございましょうか」


毛玉触手 『やっと素直になったから』

毛玉触手 『たくさん気持ちよくしてあげたの』


幼女魔王N 「……!」


毛玉触手 『いっぱいイカせて、失神したら、もっと気持ちよくして起こして』

毛玉触手 『それを繰り返したら、何も反応しなくなっちゃった』


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」


毛玉触手 『大丈夫。生きているわ』

毛玉触手 『これから、もしかしたら殺すところ』


グニュル グニュル


毛玉触手(腕)たち 「…………」


ユラ ユラ


幼女魔王N 「ひっ……」

幼女魔王N (いつの間にか囲まれてる……)



719: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 07:36:06.21 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「美、美触……うわっ」


ギュルル グルン


幼女魔王N (……あっさり捕まった)

幼女魔王N (しかも逆さ吊り。スパッツはいてて良かった……)


毛玉触手 『少ないお客さまだもの』

毛玉触手 『特等席で見せてあげる』


幼女魔王N 「……!」


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『……このお姉ちゃん』

毛玉触手 『最初は悲壮な顔で、自分をどうしても良いから、森の霧をとめろと言っていたの』

毛玉触手 『でも、そんなのは全部、嘘』

毛玉触手 『私が原液とマッサージでほぐしてあげたら』

毛玉触手 『森の霧なんてどうでも良いから、気持ちよくしてって』

毛玉触手 『おっぱいを突き出しながら、ヨダレだらだら垂らして懇願するようになったわ』


幼女魔王N 「……う、嘘」



721: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 07:45:23.44 ID:IK3hN9mzo
(じつはそんなに続けて書いてないから……)

724: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 07:57:24.04 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『すごかったわよ』

毛玉触手 『落ち着いたお姉ちゃんぶっていたのが』

毛玉触手 『余裕なくして、アヘアヘの笑顔で獣みたいな声を張り上げてイキまくって』

毛玉触手 『おっぱいイク、先っぽクニクニ気持ちいいッて、バカみたいに叫んで』


幼女魔王N 「……ふ、ふざけ……!」


毛玉触手 『…………』


幼女魔王N 「なさんなよ……あんた……さま」


毛玉触手 『ウフフフフ……フヒヒヒ』

毛玉触手 『お姉ちゃんとの交尾を見せてあげようと思ったけど』

毛玉触手 『先にあなたにしてあげようかしら』


幼女魔王N 「ひっ……」


ニュルルル シュルル


幼女魔王N 「い、いや、服の中……」


ニュルン


幼女魔王N 「きゃうんっ!?」

幼女魔王N 「そ、そこ、おへそぉ……」


シュルルル

ニュルン


幼女魔王N 「はにゅぅん……ッ!?」

幼女魔王N 「服の中……先っぽ、ヌルヌルでくすぐっちゃだめぇ……!」



725: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 08:00:05.04 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『ウフフフ。いやらしい女の子』

毛玉触手 『二つの先っぽ、もうこんなに張り詰めて……』

毛玉触手 『そおれ』


コリュコリュコリュ


幼女魔王N 「はふうぅ……!」

幼女魔王N 「はにゃ、ふきゅうぅ……」


グタ


毛玉触手 『あら、ぐったりしちゃった』

毛玉触手 『ウフフフフ……すごく敏感。ちょっといじめられただけで、こんなに可愛い顔でうっとりして』


ニュルル ナデ ナデ


幼女魔王N 「ふにゃあ」


毛玉触手 『ウフフ……それ』


ピコ


幼女魔王N 「ひぃんっ」


チロ チロ ニュリュ ピコ


幼女魔王N 「はわわ……やめ、はぅうん……やめてえ……」


毛玉触手 『ウフフフフフ』

毛玉触手 『原液すりこんだら、どうなるか楽しみ』


ニュルル



726: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 08:07:55.32 ID:IK3hN9mzo


ニュルルルル


幼女魔王N (駄目なのに……触手で身動きとれなくされて)

幼女魔王N (いじめられるのが、こんなに気持ちいいなんて……)

幼女魔王N 「あはああ……わらひ、らめへぇ、許ひへえ……」


毛玉触手 『ウフフフフ。いじめるとどんどん可愛くなるのね』

毛玉触手 『でも、やっぱりあなたはあとで』





幼女魔王N 「はぅ」

幼女魔王N 「…………ぁ」

幼女魔王N (…………あ)

幼女魔王N (危なかった。何とか持ちこたえたようね、私)

幼女魔王N (ナイス私)

幼女魔王N 「まずは、引き分けといったところね……」


毛玉触手 『?』




727: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 08:25:48.81 ID:IK3hN9mzo


幼女魔王N 「今の攻防で、私の手ごわさの片鱗は分かっていただけたと思うわ」


毛玉触手 『防はどこにあったの』


幼女魔王N 「私たちを解放なさい」

幼女魔王N 「でなければ、あなたも無事ではすまない」


毛玉触手 『……そろそろ、お姉ちゃんを起こしましょう』


ニュルルル


母性巫女 「………ッ」


ビクン


幼女魔王N 「……あ、あの、ちょっと?」

幼女魔王N 「聞いてる……ますか?」


毛玉触手 『ウフフフフ……まずは耳のを抜いて……』


幼女魔王N 「ど、どんなことをしても無駄なの!」

幼女魔王N 「解放して!」

幼女魔王N 「私たちは、エッチなことなんかに屈さな……」

幼女魔王N 「あひぃん!?」


ブラシ触手 「…………」


ニュルル

サワサワサワサワ


幼女魔王N 「ちょ、どこから、やめ……スパッツ入ってこないで……あふぅッ」

幼女魔王N 「そんな細いのいっぱいでお尻サワサワしたって無……いやあん!」


ピクン ヒクヒクヒク


幼女魔王N 「ふにゅ……も、許して」

幼女魔王N 「Nのお尻いじめないで……お尻、いじめ……」

幼女魔王N 「いじめて、くださあい……!」


クイ フリ フリ



728: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 08:32:53.92 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『ウフフフフ……』

毛玉触手 『休めたでしょ。起きて、お姉ちゃん』


ペチ ペチ ヌルル


母性巫女 「………ッ」

母性巫女 「………ぅう」


幼女魔王N 「……母性巫女」

幼女魔王N 「母性巫女!」


母性巫女 「…………母性、巫女……私……」


毛玉触手 『お姉ちゃん、お客さん』

毛玉触手 『お姉ちゃんの交尾を観に来てくれたんだよ』


母性巫女 「……交尾………」

母性巫女 「は……ぁあ……ッ」


ゾクゾク キュウン


幼女魔王N 「ぼ、母性巫女……?」



729: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/25(月) 08:57:51.60 ID:IK3hN9mzo


毛玉触手 『交尾したくてたまらないんだよね、お姉ちゃん』


ニュルルルル


母性巫女 「あ……ぁ、ぁ……あっ……」


毛玉触手 『グジュグジュで切ないアソコから』

毛玉触手 『霧の原液たっぷりの触手をズップリつっこまれて』


母性巫女 「……ッ、ハァ……ぁ、アハ……ハ……ッッ」


毛玉触手 『奥の奥まで征服されて、お腹の裏側、ゴリュゴリュって乱暴に蹂躙されて』

毛玉触手 『熱いミルクを中にドパドパ出されて、メチャクチャにされたいのよね』


母性巫女 「ぅ、くふ……ふぅう……ん……はぅ!」


モジ モジ

ビク ガク ガク


毛玉触手 『想像してたまらなくなっちゃったの?』

毛玉触手 『でも、そうだよね。エッチなお姉ちゃんは早く味わいたいもんね』

毛玉触手 『こうやっておっぱいで気持ちよくなるより、何倍も良いものだもんね』


毛玉触手(腕) 「…………」


グパ

ムニュ ギュウウウ


母性巫女 「!!」

母性巫女 「ッッ! ~~~ッッ」


ガクン ビク ビク ビク


毛玉触手 『塗りこみすぎちゃったかしら』

毛玉触手 『先っぽに触れなくても、首をさらして全身突っ張って、痙攣イキしちゃうんだもの』


幼女魔王N 「そんな、母性巫女……」



733: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 00:22:31.53 ID:hpi8+LlCo

※淫魔幼女のモンスターメモ


■磔触手(母性巫女)
no title


主に暗いダンジョンに生息(?)する、嫌がらせ系のモンスター。
いったん捕まると、脱出するのは難しい。
他の魔物に、獲物を捕えたり保管するために利用されることが多い。
育ってきた環境によって身につく能力が違う。
???「焼くより茹でた方がうまい」


734: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 00:24:52.32 ID:hpi8+LlCo

18歳以上の魔物以外
閲覧注意

735: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 00:48:16.70 ID:hpi8+LlCo


ギュウウウ


毛玉触手(腕) 「…………」


パッ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「ぷはァッ!」

母性巫女 「カヒューッ、コヒュッ、コヒューッ……」


ビクビク ガクガク 


毛玉触手 『だらしないわね、お姉ちゃん』

毛玉触手 『お客さんもいるのに、一人だけ』

毛玉触手 『のんびり絶頂の余韻にひたってちゃ駄目じゃない』


ペチン


母性巫女 「きゃふっ」

母性巫女 「ぉ……お尻、叩かないで、くださ……」


毛玉触手 『なに言っているの』

毛玉触手 『エッチなことしか頭にない人間失格のメスブタお姉ちゃんは』

毛玉触手 『しつけてあげなきゃいけないのよ』


バチン ベチン


母性巫女 「ッッ! はひィっ! ……くひんッ!」


毛玉触手 『生意気に口ごたえしたから、強く叩くからね』


バチン ベチン

ブルル プルン


母性巫女 「ひにゅっ……ふひぃッ!」

母性巫女 「だ……駄目、だめ…ぇえ……ッッ」


バシィン


母性巫女 「!!!」

母性巫女 「~~~~ッッ!!」


ビクン カク ガクガクガク……



736: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 01:30:34.41 ID:hpi8+LlCo


毛玉触手 『……あら』


母性巫女 「……ッ。……あふ……ぁ……」


毛玉触手 『お姉ちゃん、イッちゃったの?』


母性巫女 「ぁ……ぁは、あ……」


トロン

ピク ピク


幼女魔王N 「母性巫女……」

幼女魔王N (いつも優しくて包み込んでくれるようなのに)

幼女魔王N (いまは全部をゆだねたような蕩けた顔。私のことも見えてないみたい……)


母性巫女 「ぁ……はへ……」


毛玉触手 『うふふふ……脳みそトロトロって顔してる』

毛玉触手 『おしおきで気持ちよくなるなんて、本当にだめなお姉ちゃん』

毛玉触手 『もう触っただけでイクんじゃないの?』


ススス ピト


母性巫女 「ッッッ!」


ゾクゾクゾク


母性巫女 「ぁあッッ……ッ……ぁ、ぁおぉ゛……ッ!」

母性巫女 「そんっ、な……ぁ、ぉお……ぉほッ……ぉおお゛……!」


ガクン ピク ピクン


毛玉触手 『あはははぁ……! お腹触っただけで本当にイッちゃった』

毛玉触手 『もう全身性器になっちゃったのね、お姉ちゃん』

毛玉触手 『救いようのない変態ね』



737: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 02:10:22.05 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「…………び、美」

幼女魔王N 「美ひょ……触、手……」

幼女魔王N (こ、怖くて声が震える……)


美触手 「…………」


幼女魔王N 「お、お願い、母性巫女を……」


グジュルル


幼女魔王N 「たす……むぶッ!?」


毛玉触手(腕) 「ニチュニチュ」


幼女魔王N (口に触手を突っ込まれた……!)

幼女魔王N 「ん゛ーっ、んん゛ーーー!!」


毛玉触手 『変なことしたら、さっきよりひどいことするからね』


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「……ん゛……」


ズルル ニュポン


幼女魔王N 「ぷほぇッッ」

幼女魔王N 「ゲホ、ゲホッ……」

幼女魔王N (母性巫女、助けなきゃ……美触手にお願いして……)

幼女魔王N 「……………ッ。……ッ」

幼女魔王N (……こわい。逆らったらひどいことされる……でも、た、助けなきゃ……)

幼女魔王N (そ、そうよ、私は触手を使う魔王。この触手ともなんとか契約……)


毛玉触手 「…………」


幼女魔王N (……こわい。こわい……殺される)

幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『うふふふ……はい、言うことちゃんときけて、良い子ね』


幼女魔王N 「…………ッ」



738: バッドエンド分岐点Hくらい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 02:21:24.16 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『さあ、お姉ちゃん』


ニュルル


母性巫女 「…………ッ」


毛玉触手 『交尾の時間よ』


母性巫女 「……ッッ……ぁ、は……」


ゾク ゾク


毛玉触手 『うふふふ……たまらないって顔ね。上手におねだりできたらやってあげる』

毛玉触手 『でも、その前に』

毛玉触手 『せっかくお客さんがいるんだから……』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『ちゃんと自己紹介しなきゃね』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『小さい子にも分かるように、気持ちいいってどんなことか説明しながら……』


母性巫女 「………ッ」


毛玉触手 『できないと、交尾おねだりもさせてあげない』


母性巫女 「……ッ……ぁ」

母性巫女 「ぁ……わ、私……は……」



幼女魔王N 「……ひゃ」

幼女魔王N 「やめなひゃあい!!!」



739: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 02:38:15.13 ID:hpi8+LlCo


毛玉触手 『…………』


幼女魔王N 「……い、いますぐ、母性巫女を……グス……は」

幼女魔王N 「はなしなさい!」

幼女魔王N 「じゃないと、ゆ、許さないんだから……!」


毛玉触手 『……うふふふふ、震えてる。強がっちゃって、可愛い』

毛玉触手 『でも駄目じゃない。いまはあなたと遊ぶ時間じゃないって言ってるのに』


幼女魔王N 「……こ、こちとら」

幼女魔王N 「遊びでやってんじゃねえのよね!!」


キイィ


毛玉触手 『…………!』




740: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 02:51:06.06 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「……わ、私だって魔王なんだから」

幼女魔王N 「触手ある生き物を駆って世界を渡る、魔王なんだから」

幼女魔王N 「あなたも触手なら、私の言うことをききなさい!」


毛玉触手 『…………』


幼女魔王N 「いけ、美触……」


ズドン


幼女魔王N 「げえ゛ッッ!?」

幼女魔王N (……お、お腹、串刺しにされた……!?)

幼女魔王N 「ぞ、ぞぎゅ……が……ゴポ」


毛玉触手 『あーあ、ちょっと叩くつもりが、貫通しちゃった』

毛玉触手 『これじゃ遊べないわね。残念』


ギュルルル

ビチャ ブチャ


幼女魔王N 「ぴきぃいい!?」

幼女魔王N (お腹、貫通した触手が進んで……!)

幼女魔王N 「い゛だ……いだいいだいいだいいだい゛ぃ゛い゛!」

幼女魔王N 「お腹、わだじのおな゛がぁ゛ああ゛ッッ、めぎゅ、めぎゅれ゛る゛ぅぅうう゛う゛う!!」

幼女魔王N 「ぎゃががっ、ぎぎゅッッ……ぼひぇ、巫ご、ぉおおぉおぉお゛……!」


ギュルルルルル

メギュ バキョ


幼女魔王N 「ッ!!」


毛玉触手 『ふひひひ……顔面、串刺ししちゃったぁ』


幼女魔王N 「…………」


ビクン ビクン



741: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 03:01:26.01 ID:hpi8+LlCo


美触手 「…………」


幼女魔王N 「…………」


ドクドク

ビシャ バチャ バチャ


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『うふふふ……うふふふふ』

毛玉触手 『さあ、お姉ちゃん。お客さんいなくなっちゃったけど』

毛玉触手 『続けましょうか……』


母性巫女 「…………」

母性巫女 「………N」


毛玉触手 『お姉ちゃん?』


母性巫女 「……N。N」

母性巫女 「ああ、こぼれちゃう……集めなきゃ……私のN……」


毛玉触手 「…………」


ニュルル ズチュ


母性巫女 「きに゛ゅッ!? ……み、耳、ぃ……!?」


毛玉触手 『…………』


グチュグチュグチュ


母性巫女 「くきゅぅうううッッ!?」

母性巫女 「か……かきまわひひゃ……駄目……ッッ!!」

母性巫女 「脳みひょ……こわっ……壊れれ゛……」


毛玉触手 『なにを言っているの』

毛玉触手 『ここに来たときに、もう壊れていたくせに』



742: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 03:14:44.22 ID:hpi8+LlCo


毛玉触手 『中途半端だったから、心も体も私がちゃんと壊してあげるってのに』

毛玉触手 『妙なところで踏ん張っちゃって』

毛玉触手 『馬鹿みたい』


グチュグチュグチュグチュ

ブピュルルルル ピュルルル


母性巫女 「はがっ……!!」

母性巫女 「ま……た、頭の中……出しひぇ……」


ドロ トロロロ


毛玉触手 『うふふふ……耳から出した原液が、鼻と口から溢れてきちゃったわね』


母性巫女 「……はへ……ぇへ」

母性巫女 「ふひぇへへへへへへ……」

母性巫女 「えへええ、んひっ……ひへぇへへへへ……!」


毛玉触手 『やりすぎちゃったかしら。顔の筋肉がもうめちゃくちゃに動いてる』

毛玉触手 『壊すと言っても、話せる程度に調節するつもりだったけれど』



743: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 03:24:48.55 ID:hpi8+LlCo


毛玉触手 『ほら、自己紹介して。お姉ちゃん』


グチュ


母性巫女 「ふきぃっ……」

母性巫女 「……わ、わひゃ……私は……」


毛玉触手 『良かった。話せるわね』


母性巫女 「母性巫女……です」


毛玉触手 『ただの母性巫女じゃないでしょ。ちゃんと教えたのに』


クチュ


母性巫女 「んっひ……! ……は、はぃ、ごめ、ごめんなさい゛」

母性巫女 「毛玉……触手さま、の……交尾奴隷として、飼っていただいている……」

母性巫女 「変態卵袋の……母性、巫女ですぅ……!」


プシ トロロロ トクトク


毛玉触手 『うわぁ……自分のいやらしい言葉でアソコをビチャビチャにしてる』

毛玉触手 『お姉ちゃんって本当に変態なのね』


母性巫女 「あ、はぁあ……!」


ゾク ゾクン



744: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 03:34:32.16 ID:hpi8+LlCo


毛玉触手 『どのくらい変態なの?』


母性巫女 「……ぁ、う」

母性巫女 「む……胸、お、おっぱいを」


毛玉触手 『ただの?』


母性巫女 「お、おっぱい……はしたない、ぶくぶく太った下品なおっぱい」

母性巫女 「ぎゅーって掴まれただけて……体中の表面がゾワゾワして、キュンキュンして」

母性巫女 「脳みそがアクメ電気で痺れて……いっぱいイッてしまいます……ッ」


毛玉触手 『違うでしょう?』


サワサワ ツツツ


母性巫女 「はひゅぅううう!?」

母性巫女 「さ、さわられただけっ!」

母性巫女 「体のどこでもさわられただけで、イッてしまう変態女です……ッ」


毛玉触手 『うふふふ……まあまあね……』

毛玉触手 『じゃあ、交尾したい?』


母性巫女 「………は」

母性巫女 「はい……!」


毛玉触手 『……くふふふふ』



745: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 03:51:21.57 ID:hpi8+LlCo


毛玉触手 『じゃあ、おねだりしてみせて』


母性巫女 「こ、交尾……私と交尾、してください……!」


毛玉触手 『どういうふうに?』


母性巫女 「わ……私の、アソコに、毛玉触手さまの……」

母性巫女 「たくましい触手を出し入れして……」

母性巫女 「私のアソコ、子宮の奥までゴリュゴリュ削ってください!」


毛玉触手 『私の、あなたの腕より太いよこもあるから、お腹、ボコンボコンってなっちゃうわよ?』


母性巫女 「イイですっ……お腹めちゃくちゃにして……」

母性巫女 「毛玉触手さまの、せ、精液を、たっぷり出してください……ッ」


毛玉触手 『卵もたくさん出すわ。お腹、破れちゃうかも』


母性巫女 「くださいっ……卵もくださいっ」

母性巫女 「お腹やぶれても良いから、交尾してください……ッ」


毛玉触手 『お尻にも挿れるわ。口まで貫通したら、またお尻に入れるの』


母性巫女 「はいっ……」


毛玉触手 『おっぱいにも挿れたいなあ』


母性巫女 「挿れてくださいッ……母性巫女の全部の穴を使ってください……ッ」

母性巫女 「だから交尾……交尾ぃ……ッッ!」


プシュ ブシュ


毛玉触手 『……うふふふふ、うふふふふ!』

毛玉触手 『本当に、みっともない。処女のくせに交尾狂いの、臭くて汚い変態便器だわ』

毛玉触手 『でもおねだりできたから、交尾してあげる』

毛玉触手 『あなたがおねだりしたこと、みんなやってあげる……!』


ズ ズ ズ ズ


母性巫女 「……ぁ、あは……あは、ぁ……!!」


グネ グネ ニュヂュル

ニュルルル ジュプ……

ズプンッ


…………



746: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 04:02:25.81 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………ッ」


ビクン


毛玉触手 「……?」


幼女魔王N 「……ッ……ッ」


カチャ カチャ パキン

シュウウウ


幼女魔王N の 血の呪い! 
幼女魔王N に 刻まれた 力の記憶がよみがえる…… 


シュウウウ

ボロロ ボロロロ


毛玉触手 『………!』

毛玉触手 『私の腕が、崩れる……』 



747: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 04:10:21.21 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「…………」


カチャカチャ パキン


幼女魔王N の 血の呪い!
幼女魔王Nの魂と肉体 が 再生していく……


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………ッ」


シュウウウ ガチャン

幼女魔王N の 復活!
HP が 全回復した!
全状態異常 が 回復した!
幼女魔王Nの全ステータス が 激減した! 
幼女魔王Nの婚期 が すごく延びた!


幼女魔王N 「おふぇ!」

幼女魔王N 「げっほ、げほっ……!」

幼女魔王N 「な、なにが起きたの……」



748: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 04:18:47.80 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「ケホッ……え、ええと」

幼女魔王N 「母性巫女を探して……見つけて」

幼女魔王N 「捕まって、お腹ぶち抜かれて……」


毛玉触手 「…………」


幼女魔王N 「ぬふぉへっ!?」

幼女魔王N 「なんて大きな触手つき毛玉……」


毛玉触手 『生き返った……』

毛玉触手 『……死んでなかっただけ?』


幼女魔王N 「…………い」

幼女魔王N 「いやあああああーー!?」

幼女魔王N 「しゃべった! 触手がしゃべったぁああ!?」




749: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 04:40:58.80 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「……ん?」


母性巫女 「……はへっ……交尾、交尾ぃ……」


幼女魔王N 「ぼ、母性巫女……」

幼女魔王N (……そうよ、母性巫女)

幼女魔王N (はやく母性巫女を助けなきゃ)

幼女魔王N (母性巫女、母性巫女、母性巫女!)

幼女魔王N 「行け、美触手!!」


美触手 「キュロロロ……!」


ヒュン ヒュン

ズパッ


毛玉触手 『……! なぜ、体が、重い……!』


幼女魔王N 「やった、触手が切れた!」

幼女魔王N 「よおし、私も魔法で追い打ちを……」


毛玉触手 『こ、この……』


ブォン

ブチ


幼女魔王N 「ぎゃっ……!」

幼女魔王Nの生首 「…………」


ボト


美触手 「…………!」


ヒュン ヒュン

ズパン ズパン


毛玉触手 『……と、とまらないの?』

毛玉触手 『今まで石像みたいに動かなかったくせに……!』


幼女魔王Nの生首 「…………」

幼女魔王Nの生首 (いたい母性巫女いたいいたい母性巫女)

幼女魔王Nの生首 (母性巫女、母性巫女、母性巫女!)


カチャ カチャ ガチャン

幼女魔王N の 復活!
幼女魔王Nのスキル「料理」 が レベル激減した!
幼女魔王Nの婚期 がものすごく遅れた!



750: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 05:01:38.91 ID:hpi8+LlCo


美触手 「キュロロ!」


ヒュン ヒュン


幼女魔王Nの生首 「……母性巫女」

幼女魔王N 「母性巫女ぉお!」


ダ ダ ダ ダ


毛玉触手 『………!』


ブォン グシャ


幼女魔王N 「うがっ」

幼女魔王N (両脚が吹っ飛んだ!?)


毛玉触手(腕) 「…………」


ブォン ズドン


幼女魔王N 「げふーっ」

幼女魔王N (うつぶせで背中、串刺しにされた!)


毛玉触手 『殺さなくても、このまま地面に縫いとめてしまえば……!』


幼女魔王N (虫の標本みたいに、動けない……!)

幼女魔王N 「ぼ、母性巫女、ぼぜいみ゛っ……」


ブチ ズ ズ ズ


毛玉触手 『体を千切りながら……っ。それなら、もう一本……!』


幼女魔王N 「ゲポッ……美じょくじゅ!!」


美触手 「キュロロロ!」


ヒュン ズパン


幼女魔王N 「ぎゃっ」

幼女魔王Nの生首 「……くひっ、くひひひひ!」


毛玉触手 『自分から首を……!』


幼女魔王Nの生首 「母性巫女を助けられるんなら、死ぬ痛みなんてどうでも良いわ!」

幼女魔王Nの生首 「ノーリスク、ハイリターンよ!」


カチャ カチャ ガチャン

幼女魔王N の 復活!
幼女魔王Nの胸の将来性 が 絶望的になった!
幼女魔王Nの婚期 が 果てしなく遅れた!


751: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 05:19:43.08 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王Nの生首 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ!」


毛玉触手 『し、しまった、懐に……!』


キュイン

ポシュ ヘロ ヘロ 


幼女魔王N の 火魔法!
磔触手E に 1 のダメージ!


美触手 「キュロロロ」


ヒュン ヒュン ヒュン


美触手 の 触葬乱舞!
こうか は ばつぐんだ!
磔触手E に 6200 のダメージ!
磔触手E に 5700 のダメージ!


磔触手E 「ブジュル……」


バチャン


幼女魔王N 「やった、倒した!」

幼女魔王N 「私の魔法で!」



752: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 05:36:01.07 ID:hpi8+LlCo


ドサ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」

幼女魔王N 「しっかりして、母性巫女!」


毛玉触手 『よくも……!』


ギュルルル ギュルル


幼女魔王N 「母性巫……うわっ」

幼女魔王N (母性巫女ごと触手に捕まった……)


毛玉触手 『死んでもよみがえるなら、何度も出産死にさせてやる!』


幼女魔王N 「美触手……!」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………ッ」


ヒュン ヒュン

メラ メラ ゴオオオ


毛玉触手 『!』


幼女魔王N 「母性巫女……」

幼女魔王N (壊れかけの腕輪から、たくさんの炎の紐を伸ばしている……)


毛玉触手 『そんな……お姉ちゃん!』

毛玉触手 『もう戦う力なんて……!』


母性巫女 「……この、霧を……」

母性巫女 「止め、て……ください……!」


ヒュン ヒュン


毛玉触手 「…………!!」


ヒュン ヒュン ヒュン

メラメラ メラメラ

ゴオオオ



…………


754: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 05:46:52.31 ID:hpi8+LlCo


…………


精霊の森 聖域



パチ パチ

メラ メラ


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『……うふふふ、うふふ』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『……幼女魔王、ちゃん』

毛玉触手 『……連れ、て、いって……私……一緒……』

毛玉触手 『外の……世界……幼……ちゃん……』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 「…………」


幼女魔王N 「………か」


ザ


??? 「おいこら」

淫魔幼女 「何をボーッとしている」


幼女魔王N 「ひょえっ!?」



755: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 05:57:15.69 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「いいいい、淫魔幼女!」

幼女魔王N (殺される!)

幼女魔王N 「美触手!」


美触手 「キュロロ」


ヒュン ヒュン


淫魔幼女 「…………」


ゾルゾルゾル


淫魔幼女 の 外套こうげき!
美触手 に 2300 のダメージ!


美触手 「……!!」


ズズズズ


幼女魔王N 「ああっ、美触手!」


淫魔幼女 「余計な体力を使わせるな……」


ヨロ ヨロ


幼女魔王N (淫魔幼女、弱ってる……?)

幼女魔王N 「……くらえ大魔法、炎獄滅殺火球!」


キュイン ポシュ ヘロヘロ

幼女魔王N の 火魔法!
淫魔幼女 に 0 のダメージ!


淫魔幼女 「…………」


ボガッ


淫魔幼女 の 幼女パンチこうげき!
幼女魔王N に 120 のダメージ!


幼女魔王N 「素手ッ!?」



757: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 14:47:07.38 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N (何という重い拳であろうか)

幼女魔王N (7000ダメージはかたいわね。私でなければやられていた……)


淫魔幼女 「……はやくその毛玉触手と契約しろ、駄ピンクまな板」


幼女魔王N 「……契約」

幼女魔王N 「駄ピ……何だって?」


淫魔幼女 「ある世界では神格化されるほど強力な触手系の魔物だ」

淫魔幼女 「本来、貴様程度では使役できないレベルだが」

淫魔幼女 「触手に限りレベル差関係なく契約できる、貴様の力を使えば可能だろう」


幼女魔王N 「う、うん……」


淫魔幼女 「美触手級の戦力となるだろう」

淫魔幼女 「……契約のしかたを忘れたわけじゃないだろうな」


幼女魔王N 「お、おぼえているわよ。私の存在意義そのものよ」

幼女魔王N 「えーっと、触手ンボール。触手ンボールはどこだったかしら」

幼女魔王N 「スカートの中だっけ……」


ガサゴソ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「貴様……!!!」


ユラユラ ワナワナ


幼女魔王N (淫魔幼女のツインテ-ルが炎のように怒髪天……!)

幼女魔王N 「じょじょ、冗談よ。冗談だってば」



759: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 15:10:20.62 ID:hpi8+LlCo


フィヨフィヨフィヨ

キュイイイ ピロリン


毛玉触手 が しもべになった!
毛玉触手のHP が全回復した! 


毛玉触手 「…………」


フヨ フヨ


幼女魔王N 「……これで良し」

幼女魔王N (でも、複雑な気分だわ。母性巫女にあんなことしたし……)


淫魔幼女 「強さを確認しておくか」


淫魔幼女 は アクセサリレベル5 を装備した!


淫魔幼女 「どれどれ……」


■毛玉触手
 種族 :触手
 職業 :魔王のしもべ
 レベル:0180
 そうび:妖精殺しの腕
 わざ・とくしゅ :毒霧、妖精特攻、女性特攻、浮遊、指揮


淫魔幼女 「ふむ……まあまあか」

淫魔幼女 「弱体化はしかたあるまい」


幼女魔王N 「え、弱くなってるの?」


淫魔幼女 「というか、姫……もとの召喚者のレベルが高すぎたのだ」

淫魔幼女 「主によって、強さも多少は左右される。召喚系はそういうものだ」


幼女魔王N 「ふうん」

幼女魔王N 「もとの召喚者?」


淫魔幼女 「……お前には関係ない」



760: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 15:21:43.71 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「ちなみに、貴様のしもべになる前のレベルは」

淫魔幼女 「2000強だ」


幼女魔王N 「ふむ。今より20ほど高かったというところね」

幼女魔王N 「どっちの強さも確認してないけど」


淫魔幼女 「…………」


グシャ


幼女魔王N 「ああっ、どうしてアクセサリを壊したのよ!」

幼女魔王N 「私も見せてもらおうと思ったのに!」


淫魔幼女 「……あそこで横になっているあの女は?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あ、うん」

幼女魔王N 「毛玉触手を倒したあと、倒れちゃって」

幼女魔王N 「美触手に頼んで、平らな木陰に運んでもらったの」



761: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 15:27:44.42 ID:hpi8+LlCo


ザワワ サワサワサワ

ザ ザ ザ


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


キュイイイ キュロリン


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「よっぽど疲れたのね」

幼女魔王N 「回復魔法をかけても、眠ったまま」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「……で」

幼女魔王N 「どうしてあなたは、そんな離れたところに立っているの?」


淫魔幼女 「気にするな」



763: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 15:42:15.24 ID:hpi8+LlCo


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「人間の女が」

淫魔幼女 「淫魔の結界をはじめ、女性を無力化する罠をくぐりぬけ」

淫魔幼女 「天敵とも言える触手系……しかも上級のものを倒すとはな」


幼女魔王N 「ふん、だ。母性巫女はすごい女の子(?)なんだから。英雄なんだから」

幼女魔王N 「女の子を奴隷にして売り買いするようなあなたには、意外でしょうよ」


淫魔幼女 「……言っておくが、おれは女を尊敬している」

淫魔幼女 「奴隷として売り買いするのも」

淫魔幼女 「女の方が、男よりも優れた奴隷になると思うからだ」


幼女魔王N 「何よ、それ……」


淫魔幼女 「分からなくてかまわない。同じ種族でも、価値観は大きく違う」

淫魔幼女 「種族が違えば、なおさらだ」

淫魔幼女 「世界の理は過不足なく無情で」

淫魔幼女 「ただそれぞれの色眼鏡をかけた者たちが、そこにいるだけだ」



764: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 16:16:48.85 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「……ねえ」


淫魔幼女 「黙れ」


幼女魔王N 「………はい」


淫魔幼女 「冗談だ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ねえ」

幼女魔王N 「私って、何なの」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「今回のことで思い出したんだけれど」

幼女魔王N 「私、これまで何度も死んでいるわよね」

幼女魔王N 「さっきも、可憐少女ちゃんのときも、あなたが私の頭に……」


淫魔幼女 「町で偶然聞いたシャワー療法というものを実践し」

淫魔幼女 「たまたましもべにいたシャワー触手を胸や股間に猿のように当てまくりトロ顔で壊れたところを」

淫魔幼女 「見かねた美触手に殺されたり」

淫魔幼女 「すごく楽しいと聞いたデビルキュウリ遊びを実践しようとして」

淫魔幼女 「間違えて尻の方にデビルキュウリを突っ込んで死んだり」

淫魔幼女 「うつぶせで爆睡し枕で窒息死したこともあったな」


幼女魔王N 「冗談は良いから」


淫魔幼女 「…………」




765: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 16:40:59.43 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「……貴様の血には、貴様自身の紋章を通して多くの呪いが込められている」

淫魔幼女 「その一つが、不滅」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「完全に死ぬことはできるが、後に復活するという呪い」


幼女魔王N 「……無敵ということ?」

幼女魔王N 「ちょっとちょっと、大丈夫なの。私ったら一気に最強じゃない」


淫魔幼女 「うかれるな。ステータスはスライム以下だ」

淫魔幼女 「想像してみろ。何度踏み潰しても元通りになるトマト大福があったとして」

淫魔幼女 「何か困るか?」


幼女魔王N 「特には……」


淫魔幼女 「……魔王の肩書きと、何度死んでも蘇る体を持ち、しかも弱いなど」

淫魔幼女 「他勢力の魔王などからすれば恰好の標的だ」

淫魔幼女 「永遠に繋がれて致死級の実験を繰り返し施されたり」

淫魔幼女 「小山ほどある魔物を生み続けさせられたり……」

淫魔幼女 「その呪いのせいで、かえって危険な目に合う可能性もある」


幼女魔王N 「ぐっ……」



766: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 16:54:11.59 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「……貴様の世界は辺境にあり、何重もの結界で守られ」

淫魔幼女 「他の勢力からは見つかりにくいようになっている」

淫魔幼女 「しかし、過去、たまたま貴様の存在を知り」

淫魔幼女 「貴様を無理やり花嫁にしようとした魔王の勢力がなかったわけでもない」


幼女魔王N 「えっ」


キュンッ


淫魔幼女 「ときめくな、ピンクスイーツ」

淫魔幼女 「貴様の体目当てのろくでもない連中だ」


幼女魔王N 「私の肢体が必要とされている……!?」


ジュンッ


淫魔幼女 「駄目だこいつ」

淫魔幼女 「……まあ、奴らはことごとく謎の何かによって謎の壊滅をとげてしまったが」


幼女魔王N 「そ、そう……」


淫魔幼女 「…………」



768: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 17:23:57.57 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「血の呪いには厄介なものも多い」

淫魔幼女 「復活など自動で発動するもの以外、貴様では制御もできないだろうし」

淫魔幼女 「ランダムで何か良い効果が出るのを期待するくらいしかないだろう」


幼女魔王N 「そう……」

幼女魔王N 「私の血の呪いとやらは、魔王になったから身についたの?」


淫魔幼女 「違う」

淫魔幼女 「血の呪いは、貴様が生まれる前から貴様が持っていたものだ」

淫魔幼女 「触手を操る力とともに」


幼女魔王N 「生まれる前から?」


淫魔幼女 「……お前……貴様が思い出せる最も古い記憶」

淫魔幼女 「それが貴様の生まれたときだ」


幼女魔王N (古い記憶……)

幼女魔王N 「私、あなたに連れられていろんな世界を旅をしている頃しか」

幼女魔王N 「思い出せないわ」


淫魔幼女 「……だったら、そういうことだ」



769: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 17:30:18.96 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「待ってよ」

幼女魔王N 「そんなのおかしいわよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「だって、そのときもう私、クールな乙女だったわよ」


淫魔幼女 「お前は馬鹿な幼女だが」


幼女魔王N 「パパは、ママは!?」


淫魔幼女 「いない」

淫魔幼女 「お前にそんなものいない」


幼女魔王N 「……!」


淫魔幼女 「お前には、お前が知る過去以外の過去なんてない」



770: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 20:40:10.00 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「……もうない」

淫魔幼女 「もう、姫は戻ってこない」

淫魔幼女 「戻ってこさせない」


幼女魔王N 「淫魔幼女……?」


淫魔幼女 「……過去がなくても生きていける」

淫魔幼女 「理由がなくても、生きていける」

淫魔幼女 「お前は馬鹿で臆病だが、お前はお前だ」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「びくびくするな。おどおどするな」

淫魔幼女 「しっかりしろ。しっかりやれ」

淫魔幼女 「……とは言わん」

淫魔幼女 「ただ、お前だけはお前を手放すな」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「たとえ貴様が、馬鹿でマヌケで臆病でピンク髪で貧乳で」

淫魔幼女 「マゾで貧弱でぶははははははは」


幼女魔王N 「ちょっとはこらえなさいよ!」



771: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 20:48:12.62 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「……幼女魔王」


幼女魔王N 「……何よ」


淫魔幼女 「欲しいものは見つかったか」

淫魔幼女 「貴様の心の孤独を癒してくれるものは、見つかったか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (城を出る前に、淫魔幼女が言っていたこと)

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……ええ」

幼女魔王N 「何となく、そんな気がするわ」


淫魔幼女 「そうか……」

淫魔幼女 「そいつ、死んでるぞ」


幼女魔王N 「はぁあ゛ッッ!?」


母性巫女 「…………」



772: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 21:05:48.43 ID:hpi8+LlCo


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「なに言ってるの、死んでないわよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「回復魔法を続けていれば、目がさめるんだから」


淫魔幼女 「脈はあるか」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「心臓は動いているか。目は生きているか」

淫魔幼女 「息はしているか」

淫魔幼女 「もう、確認したんじゃないのか、お前は……」


幼女魔王N 「死んでないもん」

幼女魔王N 「母性巫女が、死ぬはずないもん」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」



773: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 21:41:13.87 ID:hpi8+LlCo


サアア ザワ ザワ


淫魔幼女 「…………」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……寝るとき、絵本、読んでくれるって言ったもん」


淫魔幼女 「…………」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「グスン……初めて、だったもん」

幼女魔王N 「そばにいると、怖いのも辛いのも、どうでも良いやって思えて……」

幼女魔王N 「それまで、嫌われるのが怖くてびくびくしてたのに」

幼女魔王N 「母性巫女の前だとわがまま言ったりして、怒られもして」

幼女魔王N 「でも、怖くなかった。怒った母性巫女は怖かったけど」

幼女魔王N 「怖くなかった。優しかった」

幼女魔王N 「私、安心して、いろんな気持ちになれた」


淫魔幼女 「…………」


ザ……


幼女魔王N 「どうしよう、淫魔幼女」

幼女魔王N 「やだよ」

幼女魔王N 「私、ぎゅって抱きしめてもらえないと、もう眠れないよ……」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女……」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……おい」

淫魔幼女 「こいつ、生きてるぞ」


幼女魔王N 「はぁ!?」



774: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 21:56:43.55 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「どういうことよ」

幼女魔王N 「あなた、さっき死んでるって言っていたじゃない!」


淫魔幼女 「遠目だったからな」


ズザザザザザザ


幼女魔王N 「だからどうして遠ざかるのよ!」

幼女魔王N 「しかもすごい速さ!」


淫魔幼女 「気にするな」

淫魔幼女 「……お前が欲しかったものは」


幼女魔王N 「……何よ」


淫魔幼女 「お前が欲しかったものは、そういうものだ。まずはそれだったんだ」

淫魔幼女 「親友とか、お前の力に集まってくる者とか、どうであれ他人ではなく」

淫魔幼女 「無条件にお前を愛し、そして何よりお前が無条件に愛して委ねられる、親のようなものなんだ」

淫魔幼女 「母親とか、父親とか、そういうものなんだ」


幼女魔王N 「…………」



775: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 22:14:51.55 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「まずはそこからなんだ、お前は」

淫魔幼女 「過不足なく無情な世界でおそらく初めに受けるであろう愛」

淫魔幼女 「親の愛」

淫魔幼女 「欠落したお前は無意識に、それだけを渇望していたんだ」

淫魔幼女 「それは血など身体的なものでなく、精神的なもので良かった」

淫魔幼女 「もっとも、不器用なお前は、友達やしもべで埋め合わせようとしていたが」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「幼い心の生まれるところ。与えずとも与えられる愛に包まれた場所」

淫魔幼女 「ただ享受するだけで良かった頃。心の故郷」

淫魔幼女 「……旅人として生まれたお前は、自分の世界と城を手に入れたが」

淫魔幼女 「お前の心は、ずっと行くあてのない帰郷を続けていたんだ」

淫魔幼女 「帰り方も知らないのに」

淫魔幼女 「その行く道のなんと寂しく辛いことか。本当に……」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「笑えるな。笑えるよ。馬鹿馬鹿しくて、まったく笑える」

淫魔幼女 「ふはははは……」


幼女魔王N 「あなた……ッ」

幼女魔王N 「………!!」


ザアアア ソヨ ソヨ


淫魔幼女 「……ははははは……ああ」

淫魔幼女 「笑えるなあ」

淫魔幼女 「笑えて、笑えて……」

淫魔幼女 「涙が出そうだ」


幼女魔王N 「……淫魔幼女」

幼女魔王N 「あなたは知っていたの?」

幼女魔王N 「それを」


淫魔幼女 「……どうだったかな」

淫魔幼女 「なにせ、いろいろな物を売り歩いてきたから」



776: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 22:21:50.71 ID:hpi8+LlCo


淫魔幼女 「思い出も、涙も、弱さと一緒に売り払っちまった」

淫魔幼女 「だが、皮肉にも最後まで残ったのは弱さだったよ」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「魔王。幼女魔王」


幼女魔王N 「……はい」


淫魔幼女 「良かったな」

淫魔幼女 「欲しいものが見つかって」


幼女魔王N 「……ええ」

幼女魔王N 「あなたにはいろいろと苦労させられたけれど」

幼女魔王N 「いちおうお礼を、言っておくわ」

幼女魔王N 「ありがとう」


淫魔幼女 「ふん……」


幼女魔王N 「ふふ……」


淫魔幼女 「……よし」

淫魔幼女 「じゃあ、その母性巫女とやらを殺せ」


幼女魔王N 「はあ!?」



777: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/27(水) 22:37:20.04 ID:hpi8+LlCo


幼女魔王N 「何を言っているの!?」

幼女魔王N 「なに言っとるのあんた!?」


淫魔幼女 「そいつが大切なんだろう」


幼女魔王N 「大切よ。それでなんでそうなるのよ!」


淫魔幼女 「しもべにするには、一度殺した方が都合が良い」


幼女魔王N 「そ、そうなの……?」

幼女魔王N 「て、別にしもべじゃなくても良いもん!」

幼女魔王N 「なんなら、城を捨てて、この世界で一緒に暮らしても……」


淫魔幼女 「子供らしい浅薄な考えだ」

淫魔幼女 「想像してみろ」

淫魔幼女 「いくら強力でも、ただの人間であるその雌が」

淫魔幼女 「あとどれだけの歳月、貴様と生をともにできると思う?」



779: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 00:34:13.56 ID:GNMGQw86o

※年齢高い順(換算なし、詐欺申告あり)


■美触手(初代)
■おっぱいの呪いの魔王

□屋久杉

■詐欺商人
■宿オーク、謎の馬頭、謎の学者
■謎の狐耳

■アヒルさん人形(ヒッキーくん)
■猫耳蛇娘
■道魔法少女
■星魔法少女隊の皆さん

■牧師
■魔貴族娘、猫耳職員
■淫魔幼女、死神メイド、シルフ娘
■母性巫女、短パン魔王
■可憐少女
■幼女魔王、鋏魔法少女

■美触手
■毛玉触手


780: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 00:50:47.05 ID:GNMGQw86o


幼女魔王N 「ぐっ……」


淫魔幼女 「……魔王や勇者の称号を持つものは、永遠を生きると言われている」

淫魔幼女 「言われているというのは、大世界開拓史上」

淫魔幼女 「永遠に生きているものが観測されていないからだ」

淫魔幼女 「なぜされていないかは、分かるな」


幼女魔王N 「ええ、プリュミエンスγ-119銀河団のアルトラーガ星系群に漂う非REAL010物質が……」


淫魔幼女 「そんなものに、たかだか数百年の寿命の人間がよりそえる時間は」

淫魔幼女 「塵芥に等しい」


幼女魔王N 「人間の寿命って数百年だっけ」


淫魔幼女 「そのくらいだろう。低く見積もって」


幼女魔王N 「ふうん」



782: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 00:59:16.25 ID:GNMGQw86o


淫魔幼女 「詐欺商人は長生きだから、もっと生きている」


幼女魔王N 「うーん」

幼女魔王N 「……で、でも」

幼女魔王N 「だからって、どうして殺しちゃうのよ!」


淫魔幼女 「お前の眷属にするためだ」


幼女魔王N 「?」


淫魔幼女 「お前がその女の命を支配し、使役する」

淫魔幼女 「つまり、しもべとするためだ」


幼女魔王N 「?」


淫魔幼女 「貴様……!」

淫魔幼女 「読んでいなかったのか」

淫魔幼女 「魔王マニュアルを!」


幼女魔王N 「お、怒らないでよ。そんなものの存在、初めて知ったわよ……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「それが、お前の魔王としての力なんだ」



784: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 01:15:20.09 ID:GNMGQw86o


淫魔幼女 「魔王など世界統治級の職業に就くと得られるものがある」

淫魔幼女 「不死に近い膨大な命。程度の違いはある」

淫魔幼女 「しもべを生み出す力。方法はそれぞれ」

淫魔幼女 「異世界へと渡る力。これも方法はそれぞれ」

淫魔幼女 「その他、魔王としての何か特殊な力ひとつ以上」

淫魔幼女 「……それぞれ珍しいものの他職業で得られない力でもない」

淫魔幼女 「しかし、一度に、しかも就いた時点で得られる職業はなかなかあるまい」


幼女魔王N 「ふむ……」

幼女魔王N 「……私の特殊な力って何かしら」

幼女魔王N 「触手を操る力……は、魔王になる前から持っていたし」


■ポンコツ魔王
全ステータス下降補正。
職業レベルが上がると成長力ダウンのスキルも習得。
処女を失うと消滅する。


淫魔幼女 「知るか」


幼女魔王N 「きっと良いものね」



785: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 01:26:55.74 ID:GNMGQw86o


淫魔幼女 「……ここ最近」

淫魔幼女 「触手を呼び出す力が弱まったことがなかったか」


幼女魔王N (美触手が来なかったときがあったっけ)

幼女魔王N 「ええ。今も本調子じゃないけれど」


淫魔幼女 「そのとき使えていた力が、お前本来の力だろう」

淫魔幼女 「何か無いか」


幼女魔王N 「鋏……同い年くらいの女の子にお尻を叩いてもらって」

幼女魔王N 「すごく気持ちよかった」


淫魔幼女 「それはお前の本来の性癖だ」


幼女魔王N 「ち、違うわよ。いじめられるのなんて、嫌だもん」


淫魔幼女 「まあ良い。いまはしもべを生み出す力だ」



786: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 01:42:15.28 ID:GNMGQw86o


幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、どうして私の力が弱まったこと知って……」


淫魔幼女 「殺してそのままというわけではない」

淫魔幼女 「しもべを生み出す儀式を行えば」

淫魔幼女 「すぐに魔王のしもべとして生まれ変わる」

淫魔幼女 「能力はそのままに、大幅に寿命がのびた状態で」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「それとも、わずかな時間をともにするだけで良いのか」

淫魔幼女 「その女がみるみるうちに老い、弱っていく姿を見たいか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「永遠に若い貴様を見て、自分よりも長く生きる者の傍にいて」

淫魔幼女 「その女は平気でいられると思うか」

淫魔幼女 「おさえきれない嫉妬に悩まされることが、ないと言い切れるか」

淫魔幼女 「もっとも信頼していた者の心が狂っていくのを見たいか」


幼女魔王N 「…………」



787: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 02:00:30.07 ID:GNMGQw86o


幼女魔王N 「……やっぱり、だめよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「殺すなんて……そんなの、駄目」


淫魔幼女 「何度も死ねるお前が、それを言うか」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「美触手とともにあっても、ぬぐえない孤独感に苛まれていたのはどのくらいだ?」

淫魔幼女 「永遠を生きるなら、孤独な時間はその女といられた時間をすぐに押しつぶす」

淫魔幼女 「死んで終わることもできないぞ。お前は復活してしまうのだから」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「そしてお前は、その女という唯一無二の存在を永遠に失う痛みも知る」

淫魔幼女 「さっきはお前とおれの勘違いという笑える結果となったが」

淫魔幼女 「いずれ本当に起こることだ」


幼女魔王N 「……!」


淫魔幼女 「お前は、永遠に続く孤独と喪失に耐えられるのか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……この、悪魔」


淫魔幼女 「何をいまさら」

淫魔幼女 「言っただろう。いろいろと売り払ったと」



788: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 02:25:57.34 ID:GNMGQw86o


幼女魔王N 「……どうして」

幼女魔王N 「どうして、母性巫女を私のしもべにさせたがるの」


淫魔幼女 「その理由をおれから知ってどうにかなるのか」

淫魔幼女 「たとえば、永遠に他勢力の奴隷として鎖に繋がれ」

淫魔幼女 「人としての形を保っていてはとうてい耐えきれないような、苦痛の限りを味わい続ける未来を」

淫魔幼女 「強い力を持ったしもべを傍に置いておけば回避できるかもしれない」

淫魔幼女 「とか、そういう話で背中を押してもらいたいのか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「……結界が消えるまで時間がある」

淫魔幼女 「儀式の方法は教えておいてやろう。よく考えるが良いさ」


幼女魔王N 「……! あなた、知っているの!?」


淫魔幼女 「…………」


ゾル ゾル ゾル

ズプン


幼女魔王N 「……き、消えた」

幼女魔王N 「……あれ、淫魔幼女のいたあたりに……」


ザ ザ ザ


門外不出魔王マニュアル(複製)


幼女魔王N 「…………」




790: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 02:35:42.24 ID:GNMGQw86o


…………


夕方

母性巫女の小屋 寝室



カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「…………」


幼女魔王 「…………」


母性巫女 「……ぅう」


モゾ


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女……!」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……N」


幼女魔王N 「母性巫女……!」

幼女魔王N 「うん! わ、私、私よ! 分かるのね!?」


母性巫女 「……え、ええ」




791: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 02:42:11.64 ID:GNMGQw86o


…………


カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「そうですか、Nが私をここまで運んで、介抱を……」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「ほとんど美触手に頼ったんだけど……」


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「美触手にも、お礼を言わなくちゃいけませんね」


幼女魔王N 「わ、私はいいの」

幼女魔王N 「だって、逃げているときずっと母性巫女の足を引っ張ってばかりだったから」


母性巫女 「そんなことありませんよ」

母性巫女 「Nがいたから、私は頑張れたんです」




792: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 02:47:50.36 ID:GNMGQw86o


母性巫女 「それに、こうやって生き延びることができたのだから」

母性巫女 「いまはそれを喜ばなくちゃ」

母性巫女 「それに……」

母性巫女 「……ッ」


ピョン


幼女魔王N 「だ、だめよ、まだベッドから降りちゃ」


母性巫女 「……ふふ」


幼女魔王N 「?」


母性巫女 「消えてしまいましたね」

母性巫女 「呪い……」


幼女魔王N 「あ……おっぱいの音が鳴る呪い……」

幼女魔王N 「う、うん……!」


ウフフ アハハ



793: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 03:14:46.20 ID:GNMGQw86o


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「……母性巫女の家、たくさん壊れちゃったわね」


母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「でも、ちょうど良かったのかもしれません」

母性巫女 「この森を離れるためには」


幼女魔王N 「森、出るの?」

幼女魔王N 「呪いはとけたのに」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「私は、もう騎士団にいる資格はありません」


幼女魔王N 「……私のせい?」


母性巫女 「いいえ、私のせい」


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あ、あの!」


母性巫女 「は、はい」


幼女魔王N 「私、頑張るから! 何でもいっぱい手伝うから!」

幼女魔王N 「一緒にいて良い? 一緒にいたい!」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「ええ、もちろん。でも……ふふっ」


幼女魔王N 「?」


母性巫女 「いけませんね。私、当たり前のように、Nと一緒に暮らすつもりで考えていました」

母性巫女 「Nの意見、まだ聞いていなかったのに」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「おっかさんっ!」


ダキ


母性巫女 「あらあら、もう、また……」


ナデ ナデ



794: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 03:18:52.22 ID:GNMGQw86o


母性巫女 「……ッ」


クラ ビクン


幼女魔王N 「……母性巫女?」


母性巫女 「……な、何でもありませんよ」

母性巫女 「大丈夫……ハァ、ハァ……ッ」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「ちょ、ちょっと、お風呂、入りますね……」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「背中、ながそうか?」


母性巫女 「駄目……!」


幼女魔王N 「!」


ビク


母性巫女 「い、いえ……ごめんなさい」

母性巫女 「ひとりで、大丈夫、ですから……」


ヨロ ヨロ


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「…………」



795: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 03:38:49.85 ID:GNMGQw86o


…………


ザバ ザアア


母性巫女 「…………!!」

母性巫女 (火照りをさまそうとしたのに)

母性巫女 (水が皮膚をうつだけで、体中が気持ちよくて、頭が甘く痺れる……ッ)

母性巫女 (Nを抱きとめたときも、私……)

母性巫女 「……私の体……どうして……ッ」


ビクン ビク


母性巫女 「ハァ……ハァ……」

母性巫女 「……………」


サワ


母性巫女 「…………ッ」


ムギュ


母性巫女 「ッッ!!」

母性巫女 「~~ッ!! ……ぷぁッ……は……ぁッ!」

母性巫女 「……ッ」

母性巫女 (わ、私、何をしているの)

母性巫女 (近くにNもいるのに、自分でこんな風に胸を掴んで……)

母性巫女 (今すぐ、やめなきゃ……)


ムギュウウウウ


母性巫女 「くひぃんッ!?」

母性巫女 (そんな……やめたいのに、手が勝手に……!)

母性巫女 「駄目。駄目、ぇ……!」


ムニュウウ

ガクン ビク ビク ビク



797: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 03:52:52.20 ID:GNMGQw86o


母性巫女 「ぁは……ッ、ぁあぁ……」


カクン カク クイ クイ 


母性巫女 (私……こんないやらしい姿勢で……)

母性巫女 (腰、カクカク動かして……)

母性巫女 「だ、駄目……こんなの続けたら……」


ドクン


母性巫女 「ッ!!」

母性巫女 (火照りが、ひどくなる……!)


トロロ


母性巫女 (おさめなきゃ……)

母性巫女 (一回……一回だけ……)

母性巫女 (アソコで気持ちよくなれば……)


ソロ ソロ

ススス


母性巫女 「…………」


クチュ……


母性巫女 「!!!」

母性巫女 「は……ぁ……ッッ!」


ニチュ クチュ クチュ…… 

クチュ クチュクチュ クチュヂュヂュ

グチュ グチュッグチュッグチュッグチュッ……


母性巫女 「ふくぅうう……! んふっ……ふぅうッッ……!」


ガク カクカクカク ビクン ビクン

グヂュグヂュグヂュグヂュ


母性巫女 (一回……一回だけ……!)


ニヂュ グヂュヂュ

ムギュ ムギュ

グチュグチュグチュグチュ



…………




799: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 04:10:31.96 ID:GNMGQw86o
>>796
ありがとうございます
>>798
Nさん「では、まずあなた様の種族と目的から……」

800: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 04:15:07.68 ID:GNMGQw86o


……………


母性巫女の小屋 



カチ コチ

カチャカチャ モグモグ


幼女魔王N (……ご飯、あんまりおいしくできなかった)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (母性巫女、どうしたのかしら)

幼女魔王N (お風呂から出てくるのもすごく遅かったし)

幼女魔王N (ボーッとする時間が増えてる……)

幼女魔王N 「母性巫女?」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「ご飯、おいしいですよ……」


カチャ カチャ モグ モグ


幼女魔王N 「そ、そう、良かった……」



801: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 04:24:58.53 ID:GNMGQw86o


モグ モグ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「~~~~ッッ!」


カタン


幼女魔王N (いきなり食器を落として、自分の体を抱きしめて縮こまった……)

幼女魔王N 「母性巫女!?」


母性巫女 「……ッ。……ッ」


モジ モジ


母性巫女 「だ、大丈夫……ッ」

母性巫女 「大丈夫……です…ッ」


幼女魔王N 「だって、こんなに震えて……」

幼女魔王N (毛玉触手にされたことの後遺症?)

幼女魔王N (変な液を塗られて全身ドロドロにされてたし……)


母性巫女 「す、すこし待てば、落ち着きます……から……」


幼女魔王N (あの液をつけた触手で触られただけで、私はおかしくなりそうだったもの)

幼女魔王N (きっと、つらいのね……)



802: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 04:37:25.61 ID:GNMGQw86o


…………




母性巫女の小屋 寝室



ホー ホー



母性巫女 「……こうして王子さまは、ロバ耳のお姫様と」

母性巫女 「いつまでも幸せに暮らしました」

母性巫女 「……おしまい」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (母性巫女、落ち着いてる)

幼女魔王N (もう良いのかしら)


母性巫女 「ふう……一冊、一気に読んでしまいましたね」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N (母性巫女のことが心配で集中できなかったけれど)

幼女魔王N (やっぱりこういうの、幸せ)

幼女魔王N 「でも、体、大丈夫なの?」


母性巫女 「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」


ナデ ナデ


幼女魔王N (優しくて、あったかい手)

幼女魔王N 「……えへへ」



803: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 04:45:58.08 ID:GNMGQw86o


ファサ モソ モソ


母性巫女 「……明日は別の絵本を読みましょうか」


幼女魔王N 「……私、ぜったい最後まで寝ない」

幼女魔王N 「途中で……寝ちゃったら、ベッドで母性巫女に」

幼女魔王N 「ぎゅーってしてもらえないもん」

幼女魔王N 「……ふあぁ」


母性巫女 「うふふ、可愛いあくび」

母性巫女 「じゃあ、次からはベッドの上で読みましょうね」


ギュ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N (幸せ……幸せ)

幼女魔王N (いつまでも続けば良いのに)



804: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/28(木) 04:54:59.11 ID:GNMGQw86o


幼女魔王N 「ねえ、母性巫女」


母性巫女 「何ですか」


幼女魔王N 「長生きしてね」


母性巫女 「うふふ……どうしたんですか、いきなり」

母性巫女 「そうですね。長生き、できたら良いですね」


幼女魔王N 「800歳くらい?」


母性巫女 「そんなには、無理でしょうかね」


幼女魔王N 「700歳?」


母性巫女 「100歳くらいまで生きられたら、すごい方でしょうか」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「そ、そうなんだ……」


ギュウウ




806: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 21:28:21.87 ID:Ko1OUvj7o


母性巫女 「……N?」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (いつか母性巫女がいなくなっちゃうなんて)

幼女魔王N (ううん、いなくなるだけじゃなくて、私より先に、ずっと早くに死んじゃうなんて)

幼女魔王N (もう二度と戻ってこなくなるなんて)


ギュウウ


母性巫女 「N、あの……」


幼女魔王N (やだな、怖いな)

幼女魔王N (……うん、想像しないようにしましょう)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (だ、駄目だわ。怖いこと考えたくないのに、そうしようとするほど)

幼女魔王N (頭の中でぐるぐるまわって、大きくなっていく)

幼女魔王N (……母性巫女、いなくなっちゃう。ぎゅーってしてもらえなくなる)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N 「………ぅぐ、グス」

幼女魔王N 「うええぇん………」


母性巫女 「N!?」



807: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 21:36:46.68 ID:Ko1OUvj7o


幼女魔王N 「ヒック、グス、グス……」

幼女魔王N 「ぶええええ……」


母性巫女 「ど、どうしたんですか、急に泣き出して……」


幼女魔王N 「母性巫女、私よりずっと早く死んじゃうの?」


母性巫女 「そ……そうですね。私の方がおか……お姉さんですから」


幼女魔王N 「やだ」


母性巫女 「ええっ」


幼女魔王N 「母性巫女いなくなるのやだ。私が先に死ぬ、一緒に死ぬ!」

幼女魔王N 「死のう!」


母性巫女 「駄目ですよ……!」

母性巫女 「Nに先に死なれたら、私は嫌です。悲しいなんてものじゃありませんよ」


幼女魔王N 「私だって母性巫女に先に死なれたら悲しいもん!」

幼女魔王N 「わがまま言っちゃ駄目!」


母性巫女 「ええー……」



808: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 21:47:44.29 ID:Ko1OUvj7o


幼女魔王N 「うぐっ……グス……」


母性巫女 「……だ、大丈夫ですよ」

母性巫女 「私が死んだら、幽霊になって化けて出ますから」


幼女魔王N 「……でも、ぎゅーってしてもらえないもん」


母性巫女 「……て、てきとうな体を見つけて」

母性巫女 「動く死体になりますから」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「腐るからやだ。ぎゅーってしたら壊れちゃう」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「……でも、N」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「先に生まれた人が先に死んじゃうのは」

母性巫女 「しかたないことなんですよ」


幼女魔王N 「…………」


ギュウ


幼女魔王N 「……やだもん」


母性巫女 「N……」


ナデ ナデ



809: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 22:04:16.83 ID:Ko1OUvj7o


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……そ、そうだ」

母性巫女 「友達をつくりましょう」

母性巫女 「同い年くらいの」


つうこん の いちげき!
幼女魔王NのHP が 1 になった!


幼女魔王N 「ゲフーッ」


母性巫女 「!?」


幼女魔王N 「グスッ……ひ、ひどいわ、私にそんなこと言うなんて」

幼女魔王N 「オークをしゃぶしゃぶに誘うようなものなのに……!」


母性巫女 「ご、ごめんなさい……」



811: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 22:48:20.63 ID:Ko1OUvj7o


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ ナデ


幼女魔王N 「……グスン」


ウジウジ メソメソ


母性巫女 「……心配かけて、不安にさせてしまいましたね」

母性巫女 「Nをちゃんと守り抜くつもりだったのに」

母性巫女 「逆に、助けられてしまいました」


幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「う、ううん……」


母性巫女 「助けてくれて、ありがとうございます」


幼女魔王N 「…………う、うん」


母性巫女 「びっくりしましたよ」

母性巫女 「甘えんぼうのNに、そんな勇気があったなんて」


幼女魔王N 「あ、甘えんぼうなんかじゃ……」


ギュ


幼女魔王N 「……むぅ」


母性巫女 「……大丈夫。Nは大丈夫ですよ」

母性巫女 「私がいなくなっても、負けない子ですよ」


幼女魔王N 「……そんなこと、言わないで」



814: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 23:47:00.33 ID:Ko1OUvj7o


幼女魔王N 「私、大丈夫じゃないの。駄目な子なの」

幼女魔王N 「勇気なんか全然ないの」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ダメなの。本当にダメなの……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「そうですね。それも、Nのかわいいところですね」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「今は、それで良いですからね」

母性巫女 「いっぱい私に甘えてください」

母性巫女 「悔いがのこらないように、遠慮せずにたくさん甘えてください」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「そうしたら、きっと」

母性巫女 「誰かを甘えさせてあげられるようになれますからね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ずっと、甘えっぱなしでいいもん……」


ギュ


母性巫女 「あらあら」


ナデ ナデ



816: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/29(金) 23:58:20.59 ID:Ko1OUvj7o


母性巫女 「本当に甘えんぼうですね、Nは」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「甘えんぼうだもん」


母性巫女 「それなのに、危険になった森の奥まで行くなんて」

母性巫女 「頑張りましたね」


幼女魔王N 「あれは……夢中だったから」

幼女魔王N 「母性巫女、いなくなっちゃったから」


母性巫女 「そ、そうですか……」

母性巫女 「でも……本当にもう駄目かと思いましたよ」

母性巫女 「Nの首が落ちたときは」


幼女魔王N 「え?」


母性巫女 「ちゃんと、目が覚めて良かったです」


幼女魔王N 「母性巫女……?」

幼女魔王N (私の復活のこと、知っていたのかしら)



817: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 00:08:37.49 ID:xhkvwigDo


母性巫女 「なのに、あの子ったらNが死んだなんて言って」

母性巫女 「そんなわけありませんよね」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「首が落ちたくらいじゃ、Nは死にませんものね」


幼女魔王N 「……え?」


母性巫女 「でも、あまり首が落ちないようにしましょうね」

母性巫女 「きっと、とても痛いから……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「…………」



…………



819: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 00:30:47.31 ID:xhkvwigDo


…………



どこか 墓地



ガランゴロン ガラン…… 

シクシク グスグス


牧師 「……N」


幼女魔王N 「牧師さま……」


牧師 「さあ、お別れの挨拶をして」


幼女魔王N 「お別れ?」


石棺


幼女魔王N 「……棺?」


ガコ ガララ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (棺の中身は母性巫女だった)

幼女魔王N 「な、なんで……」


820: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 00:33:02.85 ID:xhkvwigDo


毛玉触手 「しかたないのよ」


幼女魔王N 「……!」


毛玉触手 「しかたないのよ」

可憐少女 「死んじゃったから」


大男 「頭と心、両方壊れていたからね」


幼女魔王N 「そんな……母性巫女……」


淫魔幼女 「では出棺です。さようなら」

淫魔幼女 「よいしょ」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「ま、待ってよ。母性巫女を持っていかないで、まだ……」


可憐少女 「さようなら」


大男 「さようなら」


波魔法少女 「さようなら」


牧師 「さようなら」


みんな 「さようなら」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「ま、待って。待って……!」


リインゴオン ガランカラン

カランカラン……


…………



821: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 00:37:56.32 ID:xhkvwigDo


…………



母性巫女の小屋 寝室



幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……夢?)


カチ コチ

ホー ホー


幼女魔王N (窓の外……まだ夜か)

幼女魔王N 「…………」


シイン


幼女魔王N 「……母性巫女、いない」



822: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 00:52:46.80 ID:xhkvwigDo


幼女魔王N (きっと、トイレね。すぐ戻ってくるわ)

幼女魔王N (……いやな夢だった。思い出せないけど、すごく怖い夢)

幼女魔王N (母性巫女、はやく戻ってこないかな)


カチ コチ


幼女魔王N (……いつか、母性巫女も死んじゃう)

幼女魔王N (私の魔王の力で儀式をして、しもべにすれば、母性巫女と長くいられる……)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (だ、だめよ。それでも、一回殺さなきゃいけないんだから)

幼女魔王N (母性巫女にそんなこと、しないもの。母性巫女だって嫌がるわよ……)


カチ コチ


幼女魔王N (……いっぱい甘えて良いって言ってくれた)

幼女魔王N (頼んだら、良いよって言ってくれるかも……)

幼女魔王N (だ、駄目よ。死ぬのって、すごく痛くて怖いもん)

幼女魔王N (いくら母性巫女が優しいからって、許してくれるのはおっぱい飲ませて、くらいまでよね)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (怖い夢だった……)


カチ コチ


幼女魔王N 「母性巫女、遅いな……」



823: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 01:01:41.86 ID:xhkvwigDo


母性巫女の小屋 浴室前



ト ト ト


幼女魔王N 「…………」


ト ト


幼女魔王N 「……?」


母性巫女 『……ッ。……ッッ』


幼女魔王N (……浴室から荒い息遣いが聞こえる)

幼女魔王N (母性巫女よね)

幼女魔王N (何してるのかしら。明かりもつけずに)


母性巫女 『……ッ……ッ』


クチュ ニヂュ グチュチュ……


母性巫女 『……ッ。ふ、くぅ……!』


幼女魔王N (うめき声!)

幼女魔王N (とても辛そう。まだ調子が悪いんだわ)

幼女魔王N (助けなきゃ!)



824: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 01:20:54.98 ID:xhkvwigDo


チッ チッ チッ チッ


選択肢

1.こっそり覗くように浴室の扉をあける
2.明かりをつけつつ勢いよく浴室の扉をあける


チッ チッ チッ チッ

チーン


幼女魔王N 「母性巫女!」


チカ バアン


母性巫女 「……!!!!!」


幼女魔王N 「だいじょう……」

幼女魔王N 「……!」


母性巫女 「……え、N」


幼女魔王N (母性巫女、ほとんど裸)

幼女魔王N (涙目で、息があらくて)

幼女魔王N (……そしてなんだか、いやらしい姿勢)

幼女魔王N 「ぼ、母性巫女……」


母性巫女 「ち、違うんです……これは……」

母性巫女 「きゃっ……!」


ヨロ


幼女魔王N (立ち上がろうとして失敗した。足に力が入らないみたい)

幼女魔王N 「だ、だいじょうぶ!? 立てないくらいつらいの!?」


母性巫女 「だいじょうぶ、だいじょうぶですから……ッ」


幼女魔王N 「声も弱々しいじゃない!」

幼女魔王N 「ほら、手を貸すから……」


母性巫女 「あ、さ、触っちゃ……ひゃあんッ」



825: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 01:35:13.54 ID:xhkvwigDo


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (か……かわいい!)

幼女魔王N (なに今の母性巫女の声。かわいい!)

幼女魔王N (……じゃないわよ!)

幼女魔王N 「そんなに辛いのね……!」


母性巫女 「ち、違いま……」


ゾクゾク ゾクン


母性巫女 「すぅ、んっ……ッ! ……ぅ、う……ッ」


幼女魔王N 「母性巫女……」

幼女魔王N (結界で閉じられた森に充満していた呪いと)

幼女魔王N (毛玉触手のせい……)


母性巫女 「だ、だいじょうぶ……心配いりません、から……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……出てきて」


キイイ キイイイ


母性巫女 「え、N……?」


キイイイ キイイ

ポワ


可憐な毛玉


フワ フワ


母性巫女 「?」


フワ フワ

ボワン


可憐な毛玉 「…………」

毛玉触手 「…………」

毛玉触手 『うふふふふ……ふふふふふ』


母性巫女 「!?」



826: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 02:00:20.72 ID:xhkvwigDo


毛玉触手 『うふふふふ……』


母性巫女 「そ、そのモンスターは……!」

母性巫女 「どうして……」


毛玉触手 『うふふふ……うふ』

毛玉触手 『ふ……うぶっ』



浴室 が 狭くて動けない!
地形効果!
毛玉触手の移動力 が低下した!



幼女魔王N 「……体、つらいんでしょ」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「それ、一生なおらないの」

幼女魔王N 「病気とかそういうものじゃなくて」

幼女魔王N 「体を別のものにつくりかえるものだから」


母性巫女 「な、なにを言っているんですか。はやく逃げ……!」


幼女魔王N 「ハンバーグをもとの動物に戻すの、すごく難しいでしょう」

幼女魔王N 「それよりも、難しいこと」

幼女魔王N 「だから、無理なの」

幼女魔王N 「母性巫女の体はもう人間じゃない」

幼女魔王N 「こ、こう……こ……」

幼女魔王N 「交尾狂いの、苗床にされちゃったの……!」


母性巫女 「…………!」



830: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 02:16:12.53 ID:xhkvwigDo


母性巫女 「ほ、本当に何を言っているんですか、N」

母性巫女 「私が、そんなもの……」


幼女魔王N 「…………」


チラ


門外不出魔王マニュアル(複製)
淫魔幼女のカンペ


幼女魔王N 「……毛玉触手の毒、いっぱい体に塗られたでしょ?」


母性巫女 「!」


幼女魔王N 「獲物を苗床にするために、そうするの」

幼女魔王N 「身も心も苗床になってしまえば、逃げ出さないから」

幼女魔王N 「苗床が増えても、管理しやすいから」


母性巫女 「……あ、あはは」

母性巫女 「N……どうしたんですか、そんな冗談……」

母性巫女 「首が落ちて、まだ調子が戻らないんですか?」


幼女魔王N 「………ッ」

幼女魔王N 「心だって! 心も! 母性巫女、我慢してるけど」

幼女魔王N 「母性巫女の心も、一部はもう苗床なんだから!」



831: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 02:30:41.63 ID:xhkvwigDo


母性巫女 「……!」


幼女魔王N 「…………」


チラ

淫魔幼女のカンペ


幼女魔王N 「……いきなり、どうしようもなくエッチな気持ちになるんでしょ?」

幼女魔王N 「いまだって、そうだったんでしょ。我慢できなくなったんでしょ」

幼女魔王N 「だから浴室で、この子の……毛玉触手の触手にされたこと思い出しながら……」


母性巫女 「……ッ。ち、ちが……」


幼女魔王N 「普通の女の子は、そんなにならないもん」

幼女魔王N 「母性巫女は、体全部と心の一部で……半分以上苗床なの!」


母性巫女 「……!!」

母性巫女 「やめてくださ……やめなさい、そんなこと言うの……っ!」


幼女魔王N 「ヒック……グス……じゃ、じゃあ!」

幼女魔王N 「この毛玉触手を見て、そんなこと言える!?」

幼女魔王N 「私がしもべにした、この子を見て……!」


母性巫女 「……しもべ」

母性巫女 「N……」



832: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 02:45:30.52 ID:xhkvwigDo


母性巫女 「なんで、N、どうして……」


幼女魔王N 「言ってみて! 触手と交尾なんかしたくないって!」

幼女魔王N 「母性巫女は苗床なんかじゃなくて母性巫女だって」

幼女魔王N 「し、しる……しょう、あか……証明して!」


母性巫女 「……っ」

母性巫女 「…………」


毛玉触手 『ぶふふ……ふご……ふぅ、ふぅ……』


ニジュル ウネ ウネ


母性巫女 「……私は」

母性巫女 「触手と……こ、交尾……」


ゾクン


母性巫女 「……ッ! 触手と交尾……ッ、なんて……」

母性巫女 「したくありませ……」


毛玉触手(腕) 「…………」


ヌッ


母性巫女 「ッッ!!!」



833: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 03:00:21.19 ID:xhkvwigDo


毛玉触手(腕) 「…………」


ユラ ユラ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「こ、交……尾、したく……な……」

母性巫女 「交…………だ、駄目……」

母性巫女 「触手と……交尾ッ、なんて……ッ!」


ヨロ ガク ガク


毛玉触手(腕) 「…………」


グパ グジュルル

グニュ ビク ビク

ニギュ ニギュ……


母性巫女 「……ぁ」

母性巫女 「ああ……ぁは……ぁ」

母性巫女 「交、尾……胸、あんな風に、握られながら……」

母性巫女 「お腹いっぱいに……こ、交尾……」


毛玉触手 「…………」


母性巫女 「毛玉触手……さま……ぁん……」

母性巫女 「……ッ……だ、だめ、我慢しなきゃ……がま、ぁ……!」

母性巫女 「毛玉触手さま……毛玉触手さまぁ……ッッ」


モジモジ クネクネ



834: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 03:12:30.68 ID:xhkvwigDo


幼女魔王N 「……ほら、駄目だったじゃない……っ!」


グス ポロポロ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……!」

母性巫女 「ち、ちが……N……」


幼女魔王N 「違わないもん!」


母性巫女 「!!」


幼女魔王N 「……そんなんで、どうやって暮らすつもりなの」

幼女魔王N 「これからずっとそうなのよ!」

幼女魔王N 「私みたいなゴミが一緒にいて、生きていけるの!?」


母性巫女 「N……それは……」


幼女魔王N 「でも……わ、わた、私なら」

幼女魔王N 「私なら、なおしてあげられる……」




835: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 04:33:44.00 ID:xhkvwigDo


母性巫女 「……N?」

母性巫女 「きゃっ」


毛玉触手 「…………」


グニュルルル ギュウウ


母性巫女 「や、やめ……はなしてくださ……」


幼女魔王N 「ただの回復魔法じゃだめ」

幼女魔王N 「苗床を回復しても、苗床のままだから」

幼女魔王N 「でも、私の力なら……私の儀式、特別だから……」

幼女魔王N 「魔王のしもべとして生まれ変われば、心も、体も、なおしてあげられる」


母性巫女 「魔王……生まれ変わる……?」


幼女魔王N 「私、本当に魔王なの。遠い小さな世界から」

幼女魔王N 「触手を駆って、この世界にやってきたのよ」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「魔王はね、選んだ人をしもべにすることができるの」

幼女魔王N 「魔王のしもべになった人は、魔王と一緒に、長い時間を生きられるようになるわ」


毛玉触手 「…………」


ギュウウウ ミシ


母性巫女 「うぁっ……!」


幼女魔王N 「だけど、そのためには」

幼女魔王N 「魔王のしもべに生まれ変わるために、いちど死ななきゃいけないの」


母性巫女 「何を、言ってるんですか。そんな滅茶苦茶なこと……!」


幼女魔王N 「信じられない?」

幼女魔王N 「やっぱりそうよね、母性巫女は優しいから、信じたふりしてくれてただけだもんね……!」

幼女魔王N 「でも、そうなの。世界は滅茶苦茶なことばかりなの」

幼女魔王N 「ごめんね、いっぱい説明したつもりだけど、私、話すの苦手だから……」

幼女魔王N 「でも、大丈夫、大丈夫だから……!」


毛玉触手 「…………」


ギュウウウ ミシ ミシ



836: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 05:01:48.70 ID:xhkvwigDo



母性巫女 「N……ッ」


幼女魔王N 「……大丈夫。大丈夫、大丈夫だから……!」

幼女魔王N 「魔王のしもべになれば長生きできるから、母性巫女もうれしいから……!」


ギチ ギチ ミシ ミシ


母性巫女 「……ッ。N……!」

母性巫女 「お願い、やめ……やめてくだ……ッ」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「言ったもん……」

幼女魔王N 「母性巫女、私に、いっぱい甘えて良いって言ったもん!」

幼女魔王N 「一緒にいてくれるって言ったもん!」

幼女魔王N 「だから、良いんだもん! 私のせいじゃないもん!」

幼女魔王N 「母性巫女のためだもん!」

幼女魔王N 「ずっと母性巫女に甘えるんだもん!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ずっと一緒。母性巫女は、いなくなったりしない……!」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」


毛玉触手 「…………」


ギリギリギリ ミシ ミシ


母性巫女 「ぁぐぅう……ッ!?」


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女、母性巫女……!!」



…………



837: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 06:15:34.98 ID:xhkvwigDo


…………


母性巫女の小屋



ギイイ

コツ コツ コツ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「どうやら、決断したようだな」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「……目が赤い」

淫魔幼女 「やれやれ、少しは魔王らしくなるかと思ったら」

淫魔幼女 「結膜炎とは」


幼女魔王N 「泣いてんのよ……!」


淫魔幼女 「この程度、魔王というか魔物側の存在なら普通だというのに……」

淫魔幼女 「先が思いやられることだ」


幼女魔王N 「……何をしにきたの、この鬼畜」


淫魔幼女 「八つ当たりか、ガキが」

淫魔幼女 「お前も鬼畜側に来ることを選んだじゃないか」

淫魔幼女 「……あらかじめ答えの書いてある二択テストで無得点を叩き出す貴様だ」

淫魔幼女 「マニュアルだけでは不足かと思ってな」


幼女魔王N 「ずいぶんと優しいことね」

幼女魔王N 「もう森は出られるの?」


淫魔幼女 「ああ。準備しろ」

淫魔幼女 「忘れ物のないようにな」


幼女魔王N 「……ええ」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」



…………


840: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/30(土) 17:21:31.56 ID:xhkvwigDo


…………



森の町 精霊区 騎士団施設



ガチャ


暗部戦士 「美老女さま」


美老女 「何じゃい。せっかく人が良い気持ちで眠っとるときに」


暗部戦士 「森を閉ざしていた未知の結界が消滅しました」

暗部戦士 「現在、騎士団で現地調査を行っております」


美老女 「無用心じゃな。南の聖女の件もあるというのに」


暗部戦士 「森のいたるところから、我が団の戦士たちと魔法少女(笑)、そして未知の魔物の死体が」

暗部戦士 「次々に発見されております」


美老女 「困ったもんじゃ。人手が足りんというのに」


暗部戦士 「また、母性巫女さまの姿はなく、小屋にあった私物もほぼすべてなくなっておりました」


美老女 「……そうかい」

美老女 「骸布娘、謎の精霊戦士、母性巫女……」

美老女 「魔王封印戦争の英雄。私らの森から出た三人の」

美老女 「最後の一人も消えてしまいおったか」


暗部戦士 「失礼ながら、まだ死んだとは……」


美老女 「……忘れられんよ。あやつが戦士になった日のことは」

美老女 「年端もいかん娘が、目の前で親を殺した外来の魔物を討ち取ったのだ」

美老女 「しかし、あやつは親の弔いよりも先に」

美老女 「その魔物の子供を保護するよう求めてきおった。怪我をしているからと」


暗部戦士 「…………」


美老女 「……本当に、気味の悪い女じゃったよ」

美老女 「あの魔法少女(笑)どもとともに消えてくれるとは」

美老女 「良いこと、良いこと……」



…………



842: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/31(日) 05:07:44.28 ID:vM4MMSCxo


幼女魔王Nの世界 野原 城前



ソヨ ソヨ ザアア

……パキン パリィン


幼女魔王N 「よっこいしょ」

幼女魔王N 「美触手、母性巫女を落とさないようにね」


美触手 「…………」


スルル スル


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……よ」

幼女魔王N 「ようこそ、母性巫女」

幼女魔王N 「こ、ここ、ここが、私の世界よ」

幼女魔王N 「私と母性巫女が、い……一緒、一緒に暮らしゅ……!」


淫魔幼女 「死体相手に気持ち悪い奴だな」


ドカ


幼女魔王N 「あいた!!」

幼女魔王N 「け、蹴らないでよ……」



843: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/31(日) 05:14:18.53 ID:vM4MMSCxo


淫魔幼女 「さっさと儀式を始める」

淫魔幼女 「玉座の間へ行くぞ」


幼女魔王N 「儀式ってそこでやるんだ……」


淫魔幼女 「儀式の間が作れるレベルではないからな」

淫魔幼女 「まあ、問題はないだろう」


幼女魔王N 「……う、うん」

幼女魔王N 「じゃあ、美触手。玉座の間まで、母性巫女をよろしくね」


母性巫女 「…………」


美触手 「クュ」


スルルル

ザ ザ ザ ザ



844: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/05/31(日) 05:31:24.13 ID:vM4MMSCxo


幼女魔王Nの城 玉座の間



…………

カリ カリ ギギギ


幼女魔王N 「えーっと、真っ直ぐひいて、最後に、ここをこう繋いで……」


淫魔幼女 「違う、それはこっちでやった。西と西にしてどうする」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「マニュアルにお手本があっても、魔法陣ってかくの難しいわね……」


淫魔幼女 「簡単な方だ。あくまで、魔王の力を支える補助的なものだからな」

淫魔幼女 「本格的な魔法陣は、芸術の域になる」

淫魔幼女 「貴様みたいにヘロヘロでガタガタな線しかひけない奴には」

淫魔幼女 「できないだろうよ」


幼女魔王N 「う、うるさいわね……」

幼女魔王N 「……よし、できた」

幼女魔王N 「次は……しもべを魔法陣の中心に置く」

幼女魔王N 「美触手、お願い」


美触手 「キュロロ」


スルルル

ソ トス


母性巫女 「…………」



848: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 01:45:41.69 ID:bqB4MxiIo


幼女魔王N 「……儀式を終えたら、母性巫女とずっと一緒にいられるのね」


淫魔幼女 「そうだな」

淫魔幼女 「お前は念願の人型しもべを手に入れ」

淫魔幼女 「その女は永遠に近い命を得られる」

淫魔幼女 「良いこと尽くしというわけだ」


幼女魔王N 「う、うん……」


淫魔幼女 「……悪いことをしているのではない。普通のことだ」

淫魔幼女 「考えようによっては」

淫魔幼女 「はじめから殺すためだけに、動物を檻の中で生まれさせ育てることの方が罪深い」

淫魔幼女 「己のものであれ押し付けられたものであれ、善悪というものを、決断のための絶対の基準とするな」

淫魔幼女 「してしまえば、どの道、後悔することになるのだから」


幼女魔王N 「…………」



849: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 01:59:17.08 ID:bqB4MxiIo


淫魔幼女 「善悪というものは、同じ種族の間で適用されるものだ」

淫魔幼女 「だから人は、人が人を食らうことを罪と考えるが、人が他種族を食らうことを罪と考えない」

淫魔幼女 「人食いの魔物は、人食いの魔物が人を食らうことを罪としない」


幼女魔王N (分かってる。頭では分かっているのよ……)


淫魔幼女 「……生きていなければならないのが生き物ならば」

淫魔幼女 「生きるために他の命を食らい利用しなければいけない生き物は」

淫魔幼女 「生きるために必要であることを罪と考えない」

淫魔幼女 「でなければ、生き物は生きられない」


幼女魔王N 「分かってるわよ、分かってるのよ……」

幼女魔王N 「でも、母性巫女は私と同じ、人型の……」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」


バイーン


幼女魔王N 「…………」


ツルテン


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「違うじゃん」


幼女魔王N 「じゃん、て……!!」



850: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 02:24:05.62 ID:bqB4MxiIo


淫魔幼女 「同じ種族でも、群れごとに善悪が異なることもある」

淫魔幼女 「豚を食らうことを罪としたり、牛を食らうことを罪としたり」

淫魔幼女 「ある群れでは許可されている薬草が、別の群れでは許可されていなかったり」

淫魔幼女 「……知性や自我の強さに比例して、その傾向は濃くなる」

淫魔幼女 「そして、究極、個という単位になる」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「大きな世界。生物の分水嶺は種族ではなく、個だ」

淫魔幼女 「自分が生きていくために、同じ種族の者も利用しろ」

淫魔幼女 「己が生きるために必要なことだと思うなら、ためらうな」

淫魔幼女 「まずは、そこからだ」



851: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 03:47:50.61 ID:bqB4MxiIo


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「魔王。幼女魔王」

淫魔幼女 「貴様の世界を統治するのは、ほかでもない貴様だろう」

淫魔幼女 「他の世界が……他人が決めた善悪に縛られるな」


幼女魔王N 「そのせいで、私はこのざまなのよ」


淫魔幼女 「違う」

淫魔幼女 「貴様は、他人の善悪で自分の善悪を決定しようとしているだけだ」

淫魔幼女 「たとえば自分の行いによって他人が怒ったら無意識的に、絶対に自分が悪いことをした、失敗したと思ってしまう」

淫魔幼女 「……今は笑顔を向けてくれる人に、いつかは怒られたり嫌われたりするかもしれない」

淫魔幼女 「それがたまらなく怖くはないか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「心当たりは……あるわね」

幼女魔王N (母性巫女とはじめて会ったころも、そう思う部分はあったし)


淫魔幼女 「……貴様が抱く、他人への恐怖は二つある」

淫魔幼女 「一つは、他人の善悪が分からないこと。他人の価値観で成り立つ貴様にとって、それは自分を見失うことを意味する」

淫魔幼女 「また一つは、他人の善悪を知るために、他人にとっての悪を知らなければならないこと。つまり失敗しなくてはならないこと」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「お前は、好意的に自分に接してくれる者にさえ恐怖を抱いてしまう」

淫魔幼女 「分からないからだ。いつか失敗して、その者が怒ったり悲しんだりすることを知らなければならないからだ」

淫魔幼女 「お前は他人といるとき、何をしても不安なのだ」

淫魔幼女 「他人のすべてを知ってはじめて安心できるが、それは果てしないことだ。何度も失敗しなくてはならない」


幼女魔王N 「…………」



852: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 03:53:45.43 ID:bqB4MxiIo


淫魔幼女 「さらに他人の善悪など、それこそ無数に存在する」

淫魔幼女 「他人の善悪で成り立つ貴様は」

淫魔幼女 「自分が接する者ごとに、自分の善悪のありかたを変えていかなくてはならなくなる」

淫魔幼女 「忙しいことこの上ない。いつか処理しきれなくなり混乱する、破綻する」

淫魔幼女 「リンゴが好きな者とリンゴが嫌いな者がいたとして」

淫魔幼女 「その二人の間で、お前は生き方を見失う」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「やがて貴様は、失敗から自分を守るために心を内側に閉ざしがちになる」

淫魔幼女 「他人がいないと自分でいられないのに、他人と関わることを避けるようになる」

淫魔幼女 「自分が何者なのかも分からないという、気が狂いそうな現実に打ちのめされ」

淫魔幼女 「いっそ死にたいと思いながら、ゴミのように生きる」

淫魔幼女 「仄かに、誰かに見つけられることを願いながら。それすらも浅ましいと自己嫌悪の種としながら」

淫魔幼女 「自己否定を重ね続ける」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「何故だか分かるか」






853: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 05:33:30.66 ID:bqB4MxiIo


淫魔幼女 「逆なのだ、順序が」

淫魔幼女 「まずは、拙くともお前という存在を確立しなくては」

淫魔幼女 「他人に合わせることも、他人と交わることもままならない」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「……殺すほどに必要だったのだろう、その女が」

淫魔幼女 「殺すほどに必要だったのだ。貴様には、その女が」

淫魔幼女 「その衝動を忘れるな」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「貴様の今の戸惑いは、すなわち、むき出しの心への戸惑いだ」

淫魔幼女 「……ああしなければならない、こうしなければならない」

淫魔幼女 「そんな他人の価値観で覆い隠してきた、本当の心のかたち」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「いつか確立する貴様の起源だ。未来の起源だ」

淫魔幼女 「どれほど醜く思えても、お前はそこから輝くしかないんだ」

淫魔幼女 「目を背けるな。手放すな。また覆い隠してしまうな」

淫魔幼女 「かえりみないほどの強い思いを、殺してしまうな」


幼女魔王N 「…………」



854: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 06:02:34.59 ID:bqB4MxiIo


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「そんなにたくさん言葉を使って、もったいないわ」

幼女魔王N 「知ってるでしょう。私が馬鹿だって」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「心配してくれてありがとう」

幼女魔王N 「ごめんなさい。たくさん迷惑をかけてしまって」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「いつまでも足踏みしてもらっては駄目よね」

幼女魔王N 「あなたがあなたの旅に戻れるように」

幼女魔王N 「私、頑張ってみるわ」


コツ コツ コツ


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


コツ コツ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」



キイイイ

幼女魔王N の しもべの儀式レベル1
魔法陣 が あやしく輝きだす……



フィヨ フィヨ フィヨ

キュイン キュイン




856: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 07:23:20.99 ID:bqB4MxiIo


キュイン キュイン キュイン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (次は、魔王のくちづけで、しもべに洗礼)

幼女魔王N (くちづけ……)


淫魔幼女 「嫌なら、触手で尻から口まで貫通する」


幼女魔王N 「く……くちづけるわよ!」

幼女魔王N 「平気だもん。女の子同士だもん。あいさつみたいなものだもん……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


モミ


淫魔幼女 「おい」


幼女魔王N 「……ハッ」

幼女魔王N 「しまった、つい……!」



857: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 07:41:39.73 ID:bqB4MxiIo


淫魔幼女 「さっきの今でそれか。もっと頑張れよ」


幼女魔王N 「頑張るわよ!」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (えっと、歯がぶつからないように焦らず……)

幼女魔王N (……こうして見ると、母性巫女ってどことなく幼い顔なのね)

幼女魔王N (…………)


……チュム


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……唇、やわらかい)

幼女魔王N (まずは、母性巫女の魂をゆっくり吸い出すように……)


チウ チウ チウ


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (あたたかいものが、私の中に入ってくる)

幼女魔王N (うぅ、酔っ払いそう)

幼女魔王N (でも、続けなきゃ……)


チウ チウ チウ



淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 は 記録石 を使った
記録石 が 世界の情景をうつしとる!


淫魔幼女 (若い魔王のしもべの儀式は、ひそかな人気がある。とくに幼女魔王くらいの年頃のものは貴重だ)

淫魔幼女 「タイトルは、幼女な魔王はキッスに夢中……とかで良いか」



859: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/01(月) 07:53:55.60 ID:bqB4MxiIo


チウ チウ チウ


幼女魔王N (……たっぷり吸い込んだ)

幼女魔王N (今度は、それを私の中で、私の魂と混ぜ合わせるイメージ……)

幼女魔王N (場所は、お腹の下の方)

幼女魔王N (背筋を伸ばして、天を仰いで……)

幼女魔王N 「…………」


キュン

トクン トクン


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「はぅ……ふっ……ぅん……」

幼女魔王N (下腹が熱い……)

幼女魔王N (そうなったら、次に)

幼女魔王N (吸い出したものを、しもべに戻すように……)

幼女魔王N 「…………」


チュ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


チュム チュム チュム


幼女魔王N (母性巫女……)

幼女魔王N (ずっと一緒……)


チュム チュム チュム

チュム モミ チュム チュム



863: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/02(火) 03:29:25.89 ID:bPI4vyAdo


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……!」


ピクン


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N (母性巫女が動いた)

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女……!」


母性巫女 「…………ぅ」

母性巫女 「う~ん……」


パチ ムクリ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (起き上がった。儀式、成功した……?)


母性巫女 「…………」

母性巫女 「おはようございます、魔王さま」


幼女魔王N 「……ぼ」

幼女魔王N 「母性巫女!」


ダキ


母性巫女 「うふふ……」


ナデ ナデ



864: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/02(火) 03:45:59.58 ID:bPI4vyAdo


幼女魔王N (母性巫女だ)

幼女魔王N (月明かりみたいに優しい顔。変わらない母性巫女だ)

幼女魔王N (もうずっと母性巫女と一緒にいられる!)

幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「うへへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N (あれ、何か変。どこからどう見ても母性巫女だけど、どこか変)

幼女魔王N 「……母性巫女?」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「……命令しなくては動かないぞ」

淫魔幼女 「生まれてすぐだからな」


幼女魔王N 「……へ?」



866: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/02(火) 04:13:21.55 ID:bPI4vyAdo


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……どういうこと」


淫魔幼女 「魔王のしもべとしてのありかたを、お前が色々と教えていくんだ」

淫魔幼女 「育て方は自由自在。あなた好みのしもべにしたてあげよう」

淫魔幼女 「レッツ、カスタム隷……」


幼女魔王N 「話が違うわよ!」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「能力はそのままだ。寿命ものびた」

淫魔幼女 「おれの言った通りのはずだが」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「だって……だって、これじゃ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「私の知ってる母性巫女じゃ無いじゃない……」



868: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/07(日) 20:41:28.44 ID:bVncMTVRo


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「近しい者が、懐かしい姿のまま別人となってしまう辛さを」

淫魔幼女 「理解できる頭はあるのか」


幼女魔王N 「……?」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「まあ、悲観することはない」

淫魔幼女 「うまくやれば、もとの通りに振舞わせることもできる」


幼女魔王N 「振舞わせるって……」


淫魔幼女 「それとも何か。もう昔のそいつではなくなったから、ボケた母親を捨てるみたいに破棄するか」

淫魔幼女 「おれが下取りしてやるぞ。どうぶつビスケット五枚くらいで」

淫魔幼女 「洗脳しなおすのは骨が折れるが、能力的にいろいろと需要があるだろう」


幼女魔王N 「いろいろ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「だ、だめ!」



869: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/07(日) 20:59:56.89 ID:bVncMTVRo


淫魔幼女 「そんなに悲観することでもないぞ」

淫魔幼女 「……貴様がそいつと共に暮らしだしてどのくらいだ」

淫魔幼女 「長くはないだろう」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「で、でも、それでも母性巫女は大事よ」

幼女魔王N 「一緒にいた時間が短くても、関係ないもん」


淫魔幼女 「だからこそだ」


幼女魔王N 「?」


淫魔幼女 「はじめのうちは、その人物の良いところばかりが見えがちだし、悪いところも好意的にとらえられても」

淫魔幼女 「いずれは悪いところばかりが目や鼻につくようになる」

淫魔幼女 「一緒にいた時間がほどよく短いからこそ、貴様はそいつに夢中でいられるんだ」


幼女魔王N 「そ、そんなこと……ない、もん」


淫魔幼女 「これからそいつの悪いところを見ずに済むじゃないか」

淫魔幼女 「もしうまくいかなくても、貴様の指示のしかたが悪いだけということにできる」


幼女魔王N 「…………」



870: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/07(日) 22:51:34.10 ID:bVncMTVRo


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女……」


淫魔幼女 「その母乳巫女という雌は……」


幼女魔王N 「母性巫女」


淫魔幼女 「苗床・発情という凶悪な状態異常を解除し、長い寿命を得るかわりに」

淫魔幼女 「ほんの少し感情やらの表現のしかたが変わってしまったが」

淫魔幼女 「本質的なところは変わっていない」


幼女魔王N 「……そ、そうなの?」


淫魔幼女 「そいつに抱きついて、頭を撫でられたとき、どうだった」

淫魔幼女 「そいつそのものだと思ったのではないか」

淫魔幼女 「くそ気持ち悪い締まりのない顔をしていたし」


幼女魔王N 「……う、うん」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「その感情は正しい」

淫魔幼女 「そいつは、しもべになる以前の、お前が必要としたそいつのままだ」

淫魔幼女 「少し貴様の調整……介護が必要なだけのこと」


幼女魔王N 「う、うーん……?」




873: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/08(月) 02:39:08.65 ID:XKf9Ea3po


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あの、母性巫女……?」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N (やわらかい表情)

幼女魔王N (やっぱり、見れば見るほどいつもの母性巫女のまま……)

幼女魔王N 「さ、さっきの、もう一回して……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「さっきみたいに、その、マ……お母さんみたいに、撫でてほしい……な……」

幼女魔王N (言葉にすると恥ずかしいものがある……!)


母性巫女 「はい」

母性巫女 「……いらっしゃい、魔王さま」


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N 「う、うん!」


ダキ


母性巫女 「うふふ……」


ナデ ナデ


幼女魔王N (ああ、母性巫女だ)

幼女魔王N (サラッとした甘いにおい、このなで方、私を受け止める手の置き方、母性巫女だわ)

幼女魔王N 「どぅふ、でへへ、えへへへ……」


スリ スリ


母性巫女 「うふふふ……」


幼女魔王N 「えへへ、母性巫女ぉ、えへへへ」

幼女魔王N 「きゃふ、うふふ、うふふふ」

幼女魔王N 「きゃは、あはははっ……」


キャッ キャッ

ナデ ナデ スリ スリ



淫魔幼女 「…………」



…………




874: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/08(月) 06:23:48.25 ID:XKf9Ea3po




幼女魔王の世界 幼女魔王Nの城

野原 飛行船発着場



ゴウン ゴウン


船員子鬼A 「五番綱、おろせー」


蒸気子鬼たち 「えっほ、えっほ……」


ガコン ブシュウウ

……コツ コツ コツ


??? 「…………あぁ~ら」

魔貴族娘 「ずいぶんと可愛らし……小さな世界ですこと」

魔貴族娘 「幼女魔王さんにふさわしい可憐……コホン……お似合いの貧乏世界ですわね」


魔執事 「お嬢様、この世界は日差しが強い。日傘を……」


魔貴族娘 「いりませんわ。日に焼けてこそ魔の乙女」


男装執事 「お嬢様、やはり私もついていきます」

男装執事 「今日は老執事さまがいらっしゃいません。もしものことがあれば……」


魔貴族娘 「いりませんわ」


男装執事 「しかし……」


天パ執事 「おいおい、やめとけよ。お前は執事四天王でも最弱……」


男装執事 「なんだと、貴様、私を愚弄するか!」


天パ執事 「何だよ、おれはひよっ子のお前のためを思って……!」


男装執事 「いらぬ世話だというのだ、わかめ!」


天パ執事 「ワカ……ッ。お前、元貴族騎士団だからって偉そうに!」


ドン フニ


男装執事 「あっ……!」


天パ執事 「……え?」

天パ執事 「お前、もしかして……」


ドキ ドキ ド……


魔貴族娘 「おやめなさい」

魔貴族娘 「ここでぶっ込まれると、いよいよ収拾つかなくなりますから」

魔貴族娘 「まじで」




875: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/08(月) 07:28:54.49 ID:XKf9Ea3po



幼女魔王Nの城Lv.3

城門前



魔貴族娘 「……あらあら、鐘つきどころか門番もいないとは」

魔貴族娘 「さすが、貧乏世界ですわねえ」

魔貴族娘 「お城もまるで廃墟。上の方は崩れているではありませんの」

魔貴族娘 「……夜は星明かりの降りるこの廃墟の、きっとかたい石の玉座の間で、幼女魔王さんは儚くたたずんでらっしゃるのね」

魔貴族娘 「…………」



ポワ ポワ ポワ



幼女魔王N 『……今日もみかんの皺のところの白いやつしか食べられなかった。ああ、ひもじいわ』

幼女魔王N 『ひもじくて死んでしまうわ。お願い……誰か、助けて……』


魔貴族娘 『……シュタッ、ビシッ』

魔貴族娘 『待たせましたわねッ』


幼女魔王N 『あなたは、魔貴族娘さま……!』


魔貴族娘 『話は分かっていましてよッ。さあ、これをお食べなさい。みかんのフルコースですわッ』

魔貴族娘 『私は貴族ですから、こんなディナーを容易するなど朝飯前ですわ!』


幼女魔王N 『すごい、本物のみかんの実だわ!』

幼女魔王N 『恋人にしてほしい!』


魔貴族娘 『よろしくてよ! ついでにこの廃墟同然のお城も』

魔貴族娘 『私のポケットマネーでエレガントにリフォームしてさしあげますわ!』


幼女魔王N 『でも、ああ、申し訳なくてしかたがないわ』

幼女魔王N 『私、魔貴族娘さまにあげられるようなものは何ひとつないのに……』


魔貴族娘 『……夫婦になってしまえば、問題ないじゃない……』


幼女魔王N 『えっ……?』


トクン



876: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/08(月) 07:30:42.09 ID:XKf9Ea3po



魔貴族娘 『……私の子供、産んでくださる?』


幼女魔王N 『魔貴族娘さま……』


魔貴族娘 『ご主人さま、で良いですわよ……』


幼女魔王N 『………!』

幼女魔王N 『うん……』

幼女王妃N 『ご主人さま……』


魔貴族娘 『よろしくてよ……。これからはかたい石の玉座ではなく、私の上にいなさい』

魔貴族娘 『狂おしいほどやわらかく、とろけるように熱く、ときに責め立てるように激しく、包み込んでさしあげますわ』


幼女王妃N 『はうん……ッ』

幼女王妃N 『はい、ご主人さま……ッ』



ポワ ポワ ポワ



魔貴族娘 「…………」

魔貴族娘 「よーっしゃあ、よ~~っしゃ!」

魔貴族娘 「いけますわ! いーっけまっすわあ~ッッ!」


ピョ-ン ピョ-ン



877: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/08(月) 07:47:06.26 ID:XKf9Ea3po


魔貴族娘 「……コホン」

魔貴族娘 「さて、ええと……」


魔法のブザー・中古


魔貴族娘 「これかしら」


ポチ


魔法のブザー 『ピンポロン、ピンポロン、ピンポロン……』

魔法のブザー 『…………ガチャ』

魔法のブザー 『……ひゃっ……コホン』

魔法のブザー 『はい、何でしょ……何かしら』


魔貴族娘 「……これは、幼女魔王さんのお声!」

魔貴族娘 「い、いけませんわ。久しぶりに耳にすると想定以上に甘く愛らしくいじめたくなるお声……!」

魔貴族娘 「これでは鼻血が……」

魔貴族娘 「ブーーーッ」


ダバ ダバダバ


魔法のブザー 『!?』



881: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/08(月) 16:47:51.41 ID:XKf9Ea3po


ガコン ゴゴゴ


幼女魔王N 「……ど、どうしたの。物騒な音がしたけど……」


魔貴族娘 「! ……何でもありませんわ。お気になさらず」


幼女魔王N 「そ、そう」

幼女魔王N (魔貴族娘さん……だったかしら。私の世界が属している大世界の東界域……の、偉い人……)

幼女魔王N (……の、娘。こんなところに一人で来たのかしら)

幼女魔王N 「いきなり、どうしたの」


魔貴族娘 「ええ、大した用事ではございませんわ」

魔貴族娘 「ですので、この場で結構」

魔貴族娘 「それに、おほほ……こんなみすぼらしい廃墟……失礼、お城なんて入りたくもありませんし」


幼女魔王N 「……わ、分かったわよ」

幼女魔王N (相変わらず近寄りがたい人だわ)

幼女魔王N (きっと価値観が違うのね。この人は生まれながらの貴族で、こっちはただの元旅人だし)


魔貴族娘 「本当に何ですの、ここは。小さくて地味すぎて、見つけるのに苦労しましたわ」

魔貴族娘 「飛行船をとめる場所もガタガタで……」


幼女魔王N 「し、しかたないでしょ。レベル低いし、人手も足りないんだから……」


魔貴族娘 「をほほほ、そうでしたわね。弱小世界は大変ですわねえ。をほほ、をほほ、をほほほほ」


幼女魔王N (この人と話すと、自分の教養のなさに泣けてくるのよね)

幼女魔王N (そんなことも知らないのって笑われるのが怖くて、ちょっと疑問に思ったことも尋ねられない)

幼女魔王N (そのせいで、名前もうろ覚えのまま確認できていないし……)

幼女魔王N 「……何なのよ、用事って」



884: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/10(水) 04:53:21.00 ID:nzW7LBcGo


魔貴族娘 「何の用事……」

魔貴族娘 「何の用事!?」


幼女魔王N (あ、しまった……)


魔貴族娘 「あぁ~ららぁ! 幼女魔王さんってばあいも変わらず察しが悪いんですのねーえ!」

魔貴族娘 「この御時勢……」

魔貴族娘 「第三大世界同盟の幹部を父に持ち、由緒正しき召喚師家はじまって以来の天才召喚師たる兄を持ち」

魔貴族娘 「自称ジュブナイル小説家の無職の姉を持つこの私が」

魔貴族娘 「わざわざ出向くほどの用事といえば、ひとつしかないでしょうに!」

魔貴族娘 「まーったく、魔動画も見ないんですかしら、このピンクのへそ出しちゃんは」


幼女魔王N 「……ぐぬぬ」

幼女魔王N (用事をきいただけでこの有様……!)


魔貴族娘 「あぁっ、ごめんあそばせ」

魔貴族娘 「魔動画を見るお金も無いんでしたかしら」

魔貴族娘 「しもべひとり雇えない貧乏魔王かと思ったら、魔動画ひとつ買えない極貧魔王でしたのね!」

魔貴族娘 「をほほほ、をほ、をほほほほほほ……!」


幼女魔王N 「……………」



885: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/10(水) 06:02:48.55 ID:nzW7LBcGo


魔貴族娘 「をほほ……」

魔貴族娘 「ですが、まあ? あんまりかわいそうですし?」

魔貴族娘 「こ、この私が? 救世的に? あわれな幼女魔王さんの面倒見てあげてもよろし……」


幼女魔王N 「あー、あー、コホンコホン」


魔貴族娘 「?」


幼女魔王N 「あー、そういえば、飲み物ひとつ出さないのも失礼よね」

幼女魔王N 「待ってて、いまお水もってこさせるから」


魔貴族娘 「もってこさせる……?」


幼女魔王N 「……マイしもべ」

幼女魔王N 「キャムヒア!」


幼女魔王N の 指パッチン!
ミス! 音が鳴らなかった!
ミス! 音が鳴らなかった!
ミス! 中指に 1 のダメージ!


幼女魔王N 「…………」


ペチョッ ペチッ



幼女魔王N の 手拍子!
情けない音 が 城の闇にとけていく……



幼女魔王N 「……………」


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女ー……」



886: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/10(水) 06:54:52.46 ID:nzW7LBcGo


母性巫女 「……はーい」


ヒョコ


魔貴族娘 「!?」


母性巫女 「何かごようですか、魔王さま」


幼女魔王N 「お客さまが来たから、飲み物入れてきて。水で良いから」


母性巫女 「はい」


テク テク テク


魔貴族娘 「…………」

魔貴族娘 「ちょ、ちょっと、幼女魔王さん!」


幼女魔王N (……むふっ。驚いてる驚いてる)

幼女魔王N 「にゃ……コホン。あら、どうかしたのかしら?」


魔貴族娘 「な、なな、何ですのあの……破れた服を着た凄まじい胸のかたは!」


幼女魔王N 「何って……あー、コホンコホン……ただの、しもべだけど?」


魔貴族娘 「……な、何ですって」

魔貴族娘 「冒険者ギルドから入手した情報では、人型のしもべはいなかったはず……!」


幼女魔王N 「ああ、まあ、つい最近ちょっと手に入って……」

幼女魔王N 「いやね、私もどうしても人型が良いってわけじゃなかったけど」

幼女魔王N 「たまたま私にふさわしい優秀なしもべがあの人だったってだけで」

幼女魔王N 「いや本当、どうしても人型が良いってわけじゃなかったけど」


魔貴族娘 「二人ですのッッ!?!?!?」


幼女魔王N 「ひっ!?」


魔貴族娘 「このお城にいるのは、あなたと、あのかたの、二人っきりなんですの!?」


幼女魔王N 「え、ええ、そうだけど……」

幼女魔王N (しまった。何百人もしもべがいる魔ナントカ娘さんにとって)

幼女魔王N (私のしもべの少なさは、嘲笑の的でしかないわ。触手も常時出していることにしていれば……)


魔貴族娘 「そ、そんな……私の幼女魔王さんが……どこぞの女と二人暮らし……」

魔貴族娘 「……はへ」


フラ ヨロヨロ

パタン


幼女魔王N 「倒れた……!?」




887: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/10(水) 07:51:28.53 ID:nzW7LBcGo


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、大丈夫……!?」

幼女魔王N 「……完全にのびてる。どうしよう」


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「……お風呂の残り湯でもかけようかしら」


魔貴族娘 「樽でいただきますわ!」


ガバ 


幼女魔王N 「きゃっ」

幼女魔王N 「何なのよ、いきなり倒れたと思ったらいきなり立ち上がって……!」


魔貴族娘 「んなこたぁどうでも良いですわ! いったいどういうことですの!?」

魔貴族娘 「私というものがありながら……!」


幼女魔王N 「???」

幼女魔王N 「悪いけど、貴族以外にも分かるように話してくれないかしら……」




889: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/11(木) 21:42:01.12 ID:BYqzKf02o


魔貴族娘 「ぐぬぬぬ……こうなってはしかたありませんわ」

魔貴族娘 「別荘の倉庫で見つけたフタナールの秘法をつかって、無理やりにでも既成事実を……」


ブツブツ


幼女魔王N (今度は独り言。なんかお腹の底に寒気が……)

幼女魔王N 「ねえ、ちょっと、本当に大丈夫……?」


魔貴族娘 「幼女魔王さん!!」


幼女魔王N 「ひっ。……な、なによ」

幼女魔王N (心臓に悪いわ、この人)


魔貴族娘 「スパッツをお脱ぎになって!」


幼女魔王N 「へっ?」


魔貴族娘 「良いから、はやく!」


幼女魔王N 「あ、は、はい……」


スルル……


母性巫女 「魔王さま、水を持ってきました」


幼女魔王N 「! 母性巫女」


グイ 


魔貴族娘 「ちぃっ!!」



890: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/11(木) 22:05:41.64 ID:BYqzKf02o


幼女魔王N 「ほら、水でも飲んで落ち着いて」

幼女魔王N 「人にいきなりスパッツ脱げなんて、普通じゃないわ」


魔貴族娘 「……いただきますわ」

魔貴族娘 「…………って」

魔貴族娘 「何ですの、これは……」


ワナ ワナ 


幼女魔王N 「?」


魔貴族娘 「ただの水ではありませんの!」


幼女魔王N 「ひっ!?」

幼女魔王N (怒らせた!? やっぱり貴族は水も高級なものしか飲まないのかしら)


魔貴族娘 「残り湯は……幼女魔王さんの桃色エキスたっぷりの、お風呂の残り湯は!?」


幼女魔王N 「はえ゛……っ?」

幼女魔王N 「お、お風呂って……いくらうちでも、お客さんにそんなもの出すわけないじゃない……!」


魔貴族娘 「かぁ~~~~!!」

魔貴族娘 「ペッ!!」


幼女魔王N 「ちょっ……何やってんのよ人んちの前で!」


魔貴族娘 「なっとりませんわ!」

魔貴族娘 「お客にはまずお風呂の残り湯を出して、自らの人となりを伝える」

魔貴族娘 「それが礼儀というものでしょう!」


幼女魔王N 「……え、そうなの?」


母性巫女 「知りません」


魔貴族娘 「そうなのですわ!」


幼女魔王N 「そ、そうなんだ……」


魔貴族娘 「そうなのですわよ!」

魔貴族娘 (幼女魔王さん限定で!)



893: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 01:32:30.06 ID:/cBxtugzo


幼女魔王N 「たしかに、風呂の残り湯を出すということは」

幼女魔王N 「ありのままの自分をさらけ出し、相手への信頼を表すことにつながるような気がするわ」

幼女魔王N 「ごめんなさい、気がきかなくて……」


魔貴族娘 「コホン……ま、まあ、分かれば良いんですのよ、分かれば」

魔貴族娘 「本来なら生きたまま産卵期のジャイアント洞窟ミミズの巣に放り込むところですが、今回は大目に見てさしあげますわ」

魔貴族娘 「なにせ、無教養の田舎者のしたこと。貴族的な心のひろさで許してあげましょう」


幼女魔王N 「あ、ありがとう」

幼女魔王N (許してくれるなんて、なんと心がひろいのかしら。私、この人のことを誤解ていたみたい)


キュン


魔貴族娘 「ま、まあ、この話はここまでにしましょう」

魔貴族娘 「こんなことをするために、こんな浮遊大陸の欠片みたいな田舎世界に来たのでは無かったのですわ」


幼女魔王N 「はい」


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「……?」


母性巫女 「…………」


魔貴族娘 「お二人は、恋人同士ではないのですわよね?」


幼女魔王N 「当たり前でしょう。女の子同士なのに……」


魔貴族娘 「……よっしゃあ!」


幼女魔王N 「……ッ」


魔貴族娘 「ま、まあ、分かっておりましたけどね!」

魔貴族娘 「をほほ、をほほほほ……!」


幼女魔王N (……もしかして、場を和ませるための小粋な貴族ジョークだったのかしら)

幼女魔王N (きっとそうね。笑っておかないと失礼だわ)

幼女魔王N 「……お、おほほほ」

幼女魔王N 「魔にゃららゴニョゴニョ……さんったらぁ。おほほほ……」


魔貴族娘 「をほ、をほほほほほ……!」


オホホホホ


母性巫女 「…………」




894: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 02:15:39.03 ID:/cBxtugzo


ピヨ ピヨ チチチ

ザワワ サアア


魔貴族娘 「幼女魔王さん、あなた」

魔貴族娘 「このところ、というかずっと」

魔貴族娘 「優雅なる第三大世界東方界域貴族会議例大祭カーニバルフェスタフォレスト超にっこにこ」

魔貴族娘 「……を、欠席なさっていますわよね?」


幼女魔王N 「え゛……あ、うん」

幼女魔王N (優雅なる第三大世界東方界域貴族会議例大祭カーニバルフェスタフォレスト超にっこにこ……)

幼女魔王N (正式名称、第三貴族茶会)

幼女魔王N (いやなものを聞いてしまったわ……)


魔貴族娘 「第三大世界同盟に加盟している支配者級の者はなるべく参加するようにと」

魔貴族娘 「呼びかけがおこなわれているにも関わらず」

魔貴族娘 「いったい、どういうつもりですの?」


幼女魔王N 「どういうつもりって……」

幼女魔王N (はじめて出席したとき、誰とも話せず、ひたすら飲み物を飲むことしかできなかった)

幼女魔王N (あれほど時間がはやく過ぎるのを願ったことはなかった。地獄だったわ……)



895: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 02:39:22.94 ID:/cBxtugzo


幼女魔王N 「飛行船で行くと遠いし……」


魔貴族娘 「能力による世界渡りは許可されているはずですが」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (だめだわ。とっておきの完璧な言い訳を潰されてしまった)

幼女魔王N (もう言い訳の余地がない)


魔貴族娘 「……むふ。分かってますわよ」


幼女魔王N 「……!!」


魔貴族娘 「服が……ないんですわよね」


幼女魔王N 「……ほえ?」


魔貴族娘 「そうですわよねーえ!」

魔貴族娘 「以前出席なされたときの服、穴をあけたゴミ袋みたいでしたものね」

魔貴族娘 「あんなんじゃ、とても外に出られませんもの」

魔貴族娘 「ましてや貴き人々の会合になど……をほほほほ!」


幼女魔王N (精一杯のおしゃれのつもりだったのだけど)

幼女魔王N (でも、そうね、なかなか良い着眼点だわ。今度の言い訳に使わせてもらおう)


魔貴族娘 「ですが心配ご無用!」

魔貴族娘 「そんな服ひとつ買えない幼女魔王さんに」

魔貴族娘 「私がスッペッッッサルなプレゼントを、用意してあげましたわ!」


幼女魔王N 「……?」



896: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 03:07:03.84 ID:/cBxtugzo


幼女魔王N 「服と酸っぱい猿と、何の関係があるの?」


魔貴族娘 「我が召喚師家おかかえのテーラーに仕立てさせた」

魔貴族娘 「超高級な服一式をさしあげますわ!」

魔貴族娘 「それさえあれば、どんな貧乏人もセッレェブの仲間入り」

魔貴族娘 「しかも、生命を宿し私の命令に従うように調整された魔法の布を使うことによって」

魔貴族娘 「幼女魔王さんの滑らかでやわらかくミルクのように香りたつ肢体を、好きなときにまさぐり放題のムフフなしかけつき!」


幼女魔王N 「……へえ」

幼女魔王N 「貴族のおかかえなんだぁ……」

幼女魔王N 「あ、でも、申し訳ないわ」

幼女魔王N 「そんなもの貰っても、お返しできるようなものは何ひとつないのに……」


魔貴族娘 「……フッ。良いのですわよ」

魔貴族娘 「あわれな貧乏人を助けるのも、貴族のつとめ」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (かっこいい……!)


キュン


魔貴族娘 「では、受け取りあそばせ!」


幼女魔王N 「あそばせって、そんなのどこにも見当たらないけど……?」

幼女魔王N (あ、飛行船が泊まってる。見たことない型だわ)

幼女魔王N (高貴そうだし、きっと魔ナントカさんの物ね)

幼女魔王N (個人で飛行船を所有するとは、さすが貴族……)


魔貴族娘 「むふふ……お忘れになって?」

魔貴族娘 「私が高貴なる召喚師の血をひく者であることを」

魔貴族娘 「すなわち、異世界より服を召喚するなどへのカッパ!」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (……この人、召喚師だったんだ)



897: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 03:53:29.48 ID:/cBxtugzo


魔貴族娘 は 扇 を装備した!
魔貴族娘 の 召喚魔法Lv.1!
魔貴族娘 は 呪文を詠唱している……



魔貴族娘 「……我、大界の魂名を統べるもの。両の手は漏刻をすくう聖杯なり」

魔貴族娘 「なれば汝、理を穿つ我が言の葉の、汝を呼ばわるを至上の言祝ぎとすべし……!」


キィン キイィン


幼女魔王N 「…………ゴクリ」


魔貴族娘 (むふふ、見てますわ見てますわ……)

魔貴族娘 (幼女魔王さんが幼い瞳を輝かせて、この私を……!)

魔貴族娘 (ここは優雅にきめて、一気に心をゲッチュウですわ!)

魔貴族娘 「出でませ……」

魔貴族娘 「服!」


バッ


幼女魔王N 「…………!」


母性巫女 「…………」


シィン


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「…………?」


魔貴族娘 「……コホン」

魔貴族娘 「おかしいですわね……」



898: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 04:15:10.99 ID:/cBxtugzo


幼女魔王N 「失敗したの?」


魔貴族娘 「とにかく」

魔貴族娘 「未確認の大世界が接近しつつある今」

魔貴族娘 「我々は交流を密にし、来たる衝突の日に備えねばなりません」


幼女魔王N 「ねえ、今の……」


魔貴族娘 「ですので!」

魔貴族娘 「今度の第三貴族茶会には出席なさるように」


幼女魔王N 「召喚、失敗……」


魔貴族娘 「絶対に!」

魔貴族娘 「出席なさいますように!」


幼女魔王N 「服がない予定があるから欠席するわ」


魔貴族娘 「堂々となに言ってますの!?」


母性巫女 「…………」



899: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 04:23:44.51 ID:/cBxtugzo


幼女魔王Nの城 食堂



幼女魔王N 「お茶会のお知らせ……」


ピラ


幼女魔王N 「今度のお茶会は……結構遠い世界でやるのね。あら、隣の世界でお祭りがある日だわ」

幼女魔王N 「……面白い一発芸を披露すること(しもべにやらせても可)」

幼女魔王N 「一発芸?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「困ったわね。私、面白い要素なんて何一つ持っていないわ」



900: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 04:49:25.08 ID:/cBxtugzo


幼女魔王N 「……ね、ねえ、母性巫女」

幼女魔王N 「何か面白い一発芸をしてみてくれない?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「…………」


ガサ ゴソ ガサ ゴソ


母性巫女 は 髪留め を装備した!



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (黒髪ツインテール……)


母性巫女 「…………」

母性巫女 「巫ッ女巫女にしてあげる」


幼女魔王N 「……!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「困ったわね……」



902: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 05:11:42.65 ID:/cBxtugzo


幼女魔王Nの城 大浴場



カポーン

ザバ ゴシゴシ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「えへへ、母性巫女のシャンプーきもちいい」


母性巫女 「ありがとうございます、魔王さま」


シャコ シャコ シャコ


幼女魔王N (……本当にほとんど母性巫女のままなのね)

幼女魔王N (料理の味付けも、洗濯物の干し方もそうだったし)

幼女魔王N (ただ、指示が必要ってだけで、それ以外はもとの母性巫女のまま……)


母性巫女 「…………」

母性巫女 「魔王さま、いちど流しますよ。しっかり目をつぶってくださいね」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (一度指示したらおぼえてくれるし、すごく優秀なしもべだわ)


ザパ 


幼女魔王N (……でも、困ったわね)

幼女魔王N (お茶会、偉い人にあそこまで言われたら出ないわけにもいかないし……)


母性巫女 「…………」


ザパ チャプン


…………



903: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 06:57:52.71 ID:/cBxtugzo


幼女魔王Nの城 寝室



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……明日は、一緒に中立の町へ買い物に行こうね」

幼女魔王N 「母性巫女の洋服とか買わないと」

幼女魔王N 「いつまでも破れた服じゃいけないものね……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「はぐれないように、手をつないで歩くからね」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「それから……くぁ……ふあァ」

幼女魔王N 「……もう、眠たくなっちゃった……」


母性巫女 「絵本、読みますか?」


幼女魔王N 「……絵本はいいわ」

幼女魔王N 「怖くないように、ぎゅっと抱きしめて」

幼女魔王N 「お母さんが抱きしめるように」


母性巫女 「はい」




904: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 07:10:50.60 ID:/cBxtugzo


ギュ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「痛くありませんか、魔王さま」


幼女魔王N 「………ん」

幼女魔王N (母性巫女、しもべになる前と同じ抱きしめかた)

幼女魔王N (私のことを本当に大切にしてくれていたのね)

幼女魔王N 「うれしいわ、とても……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「魔王さま」


幼女魔王N 「……なあに」


母性巫女 「泣いているのですか」


幼女魔王N 「……いいえ。そんなわけ、ないじゃない」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「…………」



905: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 07:17:09.99 ID:/cBxtugzo


…………



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……ムニャ」

幼女魔王N 「………スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


ナデ ナデ



…………



907: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/12(金) 08:00:59.61 ID:/cBxtugzo


…………


謎の空中城 玉座の間



ゴオオ パチ パチ


謎の狐耳 「今日はあついね」

謎の狐耳 「もっとも、影の動かないこの城で」

謎の狐耳 「そんなことはありえないが」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「来てくれてうれしいよ、棺持ち」

謎の狐耳 「ここまでたどり着くお客は少ないから」


淫魔幼女 「……姫の魂はどこに」


謎の狐耳 「かけらだ」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「あれはかけらであって、あの子そのものじゃあ無いのだよ」

謎の狐耳 「あの子はもうどこにもいないのだよ」

謎の狐耳 「君も分かっただろう」




908: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/06/13(土) 02:58:44.67 ID:t7ohd4P2o


淫魔幼女 「……ちゃんと殺してやるべきだ」


謎の狐耳 「だから死んでいるじゃないか」

謎の狐耳 「ある世界には、死者の体の一部をお守り代わりに持つという風習があるのだけど」

謎の狐耳 「魂のかけらをそうしても、何の問題もないだろう?」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……まあ、君にとっては問題なのだろうね」

謎の狐耳 「ある人は心臓が止まったらそうだと考えるように、またある人は万物の記憶から消えたときがそうだと考えるように」

謎の狐耳 「君は、魂が完全に消滅することが死ぬことだと考えている」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「死人にくちなしとは言ったものさ」

謎の狐耳 「周りの人々が、勝手にその人の死を決めるんだもの」



913: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/10(金) 03:25:32.14 ID:BTxaDkWCo


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……うん。このことについて、僕たちの意見は交わらないのだろう」

謎の狐耳 「ぐだぐだと話してもしかたがない」

謎の狐耳 「それに僕は、言葉で説得するというのは得意ではない」

謎の狐耳 「とにかく、今、真幼女魔王は僕の掌中にある」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「つまり、君は僕の許しを得るか、僕を殺しでもしないと」

謎の狐耳 「真幼女魔王に手出しはできないということだ」

謎の狐耳 「僕は真幼女魔王を殺そうとする君に許しは出さないし」

謎の狐耳 「僕が食中毒と口内炎とおたふく風邪とうつ病と水虫を併発していたとしても」

謎の狐耳 「君が僕を殺すことは絶対にできない」


淫魔幼女 「…………」



915: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/10(金) 03:57:01.00 ID:BTxaDkWCo


淫魔幼女 「……姫の魂をどうするつもりか」


謎の狐耳 「大事にするさ」

謎の狐耳 「今となっては数少ない肉親の形見だから」

謎の狐耳 「悲しいことだ。深い世界に名を轟かせた大魔王の血族が、今ではこれっぽっちさ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「では、あのクズピンクは」

淫魔幼女 「予定通り、世界ごと封印するつもりか」


謎の狐耳 「こだわるね」

謎の狐耳 「それとも、魂なんかより見た目の方が大事かい」

謎の狐耳 「あの男の面影を濃く残す、髪と瞳の色が」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「気持ちの悪い話さ」

謎の狐耳 「……封印した方があの子のためだよ」

謎の狐耳 「どうやら、世界の衝突は避けられない」


淫魔幼女 「姫の魂を失ったあいつはもう姫ではない」

淫魔幼女 「あの子には、あなたが受け継いだ深い魔王の力は残っていない」

淫魔幼女 「あの子が母と父から受け継いだものはとうの昔に壊された」

淫魔幼女 「あなたとは関係のない存在だ」

淫魔幼女 「あなたが管理する権利はないはずだ」


謎の狐耳 「……なるほど」

謎の狐耳 「そう言うか」

謎の狐耳 「真面目すぎる子どもが、柔軟になったじゃないか]

謎の狐耳 「棺持ちのお嬢さん」


淫魔幼女 「…………ッ」


謎の狐耳 「おお、怖い目をするね」

謎の狐耳 「懐かしいなあ。あのときも君は、僕が城で同じことを言ったらそんな目をした」



917: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/10(金) 04:39:19.38 ID:BTxaDkWCo


謎の狐耳 「……君の一番の願いは結局、君の言うところの姫の完全な死などではなく」

謎の狐耳 「どうにかして幼女魔王と僕を切り離すことだったのだろうね」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「姫のかけら……真幼女魔王についても」

謎の狐耳 「殺すほかに、僕に幼女魔王から手を引かせる餌にするという案も、君の中にあったんじゃないかな」

謎の狐耳 「……どうだったとしても、謎の学者によって阻まれたわけだけれど」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……死者は去るべきだ。過去は去るべきだ」

淫魔幼女 「永遠に失われたあの子の過去を知る我々が、あの子にかかわっていては」

淫魔幼女 「どちらも苦しむだけだ」

淫魔幼女 「我々はあの子の人生から去るべきなのです、王子」


謎の狐耳 「……そうか」

謎の狐耳 「姫のためでも、幼女魔王のためでも、君は誰のためでもなく」

謎の狐耳 「君自身のために動いていたのだね」



919: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/10(金) 15:09:40.21 ID:BTxaDkWCo


謎の狐耳 「そしてそれは、君の体の、もとの持ち主のためでもある」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「幼女魔王と君は似たようなものだ」

謎の狐耳 「幼女魔王は姫の肉体と魂からつくられた存在であり」

謎の狐耳 「淫魔幼女は、その体を器として、その体の元の持ち主の魂を生贄に呼び戻された存在」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「君は幼女魔王を肯定しなければならなかった。君という存在を肯定するために」

謎の狐耳 「君という存在を作り出した、その体の元の持ち主の行いを肯定するために」

謎の狐耳 「幼女魔王から姫であった痕跡を消そうとするのも」

謎の狐耳 「君が、棺持ちでも体の元の持ち主でもない、淫魔幼女として生きなければならない苦悩からくるものだ」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「そう、苦悩している。君はいっぽうで自身の存在に否定的だからだ」

謎の狐耳 「そこに感情がどれほど複雑に絡んでいるのかは知らないが」


淫魔幼女 「……よくもそこまで、他人について考えるものだ」


謎の狐耳 「職業柄やることがなくてね。しかし良い経験さ」

謎の狐耳 「弱すぎる者の心についてなんて、考えることがなかったから」


淫魔幼女 「…………」



920: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/10(金) 16:00:55.45 ID:BTxaDkWCo


謎の狐耳 「……魂が僕のもとにあることは良いことだと思うよ」

謎の狐耳 「なにせ、あの子の髪と瞳の色はあの子の父に似て、魂はあの子の母に似ている」

謎の狐耳 「これから君は、あの子に関わるとき、大好きな勇者さまを君から奪ったお姉さま……女性の影を」

謎の狐耳 「見なくてすむのだから」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……気持ちの悪い話さ」

謎の狐耳 「ねえ、棺持ちのお嬢さん」


淫魔幼女 「…………!」


ズ ズ ズ ズ



淫魔幼女 は怒りをためている
淫魔幼女の外套 が あやしく波打つ……



謎の狐耳 「ありし日の城で、君があの男を見るときの目は、恋する少女そのものだったよ」

謎の狐耳 「あの男がお姉さまと一緒にいるときの目も」


淫魔幼女 「黙れ。私は、おれは男だ……!」


ズ ズ ズ ズ


謎の狐耳 「そこが君の矛盾なのだよ」

謎の狐耳 「もっと喜ぶべきだ。良かったじゃないか」

謎の狐耳 「今の体は君にぴったりさ」

謎の狐耳 「おかげで、後ろめたさを感じることなく」

謎の狐耳 「幼女魔王を見ながら、あの男との思い出にひたることが出来るだろう」

謎の狐耳 「その体をくれた君の妹に感謝しなよ」


淫魔幼女 「そんな汚らわしいことのために、あの子は魂を差し出したんじゃない……!」


謎の狐耳 「おやおや……!」

謎の狐耳 「自分をそんなに卑下するものじゃないよ」

謎の狐耳 「淫魔族のお嬢さん」


淫魔幼女 「…………!」


ズ ズ ズ ズ


921: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 00:36:10.81 ID:f2dKfsjwo


淫魔幼女 の こうげき!
謎の狐耳 の 後の先!
謎の狐耳 の ウインクLv.0!
淫魔幼女 に **ミ゛$ペペ のダメージ!
淫魔幼女の武器 が 壊れた!
淫魔幼女の防具 が 壊れた!
淫魔幼女の特殊能力 が 封印された!
淫魔幼女の婚期 が 時空(とき)のかなたに消え去った!


バサ ドシャ


淫魔幼女 「…………ッ」


謎の狐耳 「……あつくなりやすいのは、君の良い点であり、悪い点だよ」



ジュー ジュー



謎の悪魔 「モグモグ……ひゅー、生きてやがるぜ、あの淫魔のガキ」


謎の石像 「ムシャムシャ……子どもにしちゃあやるじゃないか」


謎の鎧 「ちょっとあんたら、食べかた汚いわよ」


謎の学者 「さあ、どんどん焼くわよお」


謎の学者 は 竜の肉 を焼いている!
謎の学者 は ニンジン を焼いている!
謎の学者 は 謎の肉 を焼いている!


謎の馬頭 「おい、にんじんはやめろ」


謎の精霊戦士 「変なのも混じってるんですけど」


ジュージュー



淫魔幼女 「…………」


ヨロ


淫魔幼女 「あと、少しだけだ」


謎の狐耳 「…………」


淫魔幼女 「それ以後は、もうあのバカピンクに関わるつもりはない」


謎の狐耳 「…………」


淫魔幼女 「あなたも、あの子を手放してやるべきだ」



922: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 01:06:00.55 ID:f2dKfsjwo


謎の狐耳 「……言っておくが」

謎の狐耳 「あの子から過去を切り離したことで、僕があの子への興味をなくすことを期待しても、無駄だよ」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「正直、僕は君のような弱い生き物の顔は見分けもつかなかったし、守ってやるのも嫌だったが」

謎の狐耳 「お姉さまの忘れ形見ということでしかたなく守ることにしたあの子のおかげで、考えは変わった」

謎の狐耳 「あの子は突き抜けて弱く、ちっぽけな生き物だった」

謎の狐耳 「はじめは鼻で笑っていた僕だったが、みじめに生きる彼女をしだいに愛おしく思えるようになった」

謎の狐耳 「新鮮だったのだろうね。僕はあの子の間逆に立つ生き物だから」

謎の狐耳 「つまり、手放す気はない」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……現状でもかなり距離をとっていると思うけどなあ。あの子は僕のことを知らないはずだ」

謎の狐耳 「僕に見守られていることも、僕の結界にあの子の世界が守られていることも」


淫魔幼女 「そのせいで、あの子は歪んでしまったと言っている」

淫魔幼女 「莫大な金に外敵を遠ざける結界。何の努力もなしに最低限生きていける環境をあなたが与え続けるから」

淫魔幼女 「他人とまともに話すことすら出来ないことをはじめ、一個の生き物として欠陥が多くなってしまった」


謎の狐耳 「心外だね」


淫魔幼女 「分厚い殻の中で成長しすぎた雛なのだ」

淫魔幼女 「餌のとりかたはおろか、鳴きかたも知らず、羽根は錆びた針金のように醜く折れ曲がってしまった」

淫魔幼女 「守られていれば安全だろう。しかし、いつまでもそれでは駄目だ」


謎の狐耳 「…………」

謎の狐耳 「それの何がいけないんだい?」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「ひとりでふらふら飛んでいくことがない。管理しやすいじゃないか」

謎の狐耳 「前も言っただろう。あの子が生きていることが大事なんだ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「強い生き物だと。ふざけるな」

淫魔幼女 「だったらあなたこそ、弱者ではないか」



923: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 02:02:53.27 ID:f2dKfsjwo


謎の狐耳 「……ふうん?」


淫魔幼女 「良いことも悪いことも起きる世界」

淫魔幼女 「そこから逃げ出すことは、そこで生きていくよりは簡単だ」

淫魔幼女 「そしてあなたは、あの子に逃げ出す道を歩ませた」

淫魔幼女 「つまり、そうさせることでしかあなたはあの子を守れないと思い」

淫魔幼女 「易きに流れ逃げたのだ」


謎の狐耳 「……言うじゃないか」


淫魔幼女 「あの子に必要なのは、金や保障ではない」

淫魔幼女 「泣かずに済む環境ではない」

淫魔幼女 「泣いているときに、許し慰めてくれる者だ」


謎の狐耳 「…………」


淫魔幼女 「……ただ傍に行って優しく抱きしめてやれば良かった」

淫魔幼女 「しかしあなたはしなかった。できなかった。臆病者のように遠くから見守り、金をよこすだけだった」

淫魔幼女 「偉そうに言っても、あなたはあの子と向き合うのが怖かっただけなのだ」


謎の狐耳 「…………」




924: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 02:17:50.50 ID:f2dKfsjwo


謎の狐耳 「……勇敢なことだ、棺持ち」

謎の狐耳 「その言葉が君にも刺さることを恐れずに」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「言いたいことはそれだけかい?」


淫魔幼女 「……あなたが」


謎の狐耳 「うん?」


淫魔幼女 「本当にあなたが強いのなら」

淫魔幼女 「大世界同士の衝突にそなえて、あの子の世界をさらに閉ざすのではなく……」

淫魔幼女 「衝突そのものを防いでみせろ」


謎の狐耳 「…………」

謎の狐耳 「へえ」

謎の狐耳 「そう来るか」


淫魔幼女 「できないのか」


謎の狐耳 「大きな世界同士の衝突を止めるなんて」

謎の狐耳 「雲より高い山の頂から転がり落ちてきた巨大な岩を、足のもげた蟻が押し返そうとするものだ」


淫魔幼女 「つまり、あなたは世界に対して、足のもげた蟻ほどでしかない弱者というわけだ」

淫魔幼女 「それでよく強者を自称できたものだ」

淫魔幼女 「ペッ」


謎の狐耳 「…………」

謎の狐耳 「はっはっはっはっは!」




925: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 02:38:15.56 ID:f2dKfsjwo


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「無茶苦茶を言うなあ」

謎の狐耳 「そんなに、あの子を僕から解放したいのかい」

謎の狐耳 「僕の加護がなくなれば、あの子は生きるどころじゃなくなるとしても」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「生きている屍みたいな今よりはましだ」


謎の狐耳 「違うね」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「君は君の理想とする結界であの子の世界を守るつもりだ」

謎の狐耳 「どこにも行けない殻ではなく、扉のある家みたいな」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「君は例の魔法少女ギルドとつながりを持っているね」

謎の狐耳 「界駆でも、界架でもない」

謎の狐耳 「……有能な結界術士とも知り合ったのかな」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「例の森での結界からして、そうなのだろうね」

謎の狐耳 「……もしかして君は、彼女らと何か約束したんじゃないかな」

謎の狐耳 「例えば」

謎の狐耳 「界駆の魔法少女と敵対する彼女らを支援するかわりに」

謎の狐耳 「彼女らには、幼女魔王の世界を守ってもらう……とか」


淫魔幼女 「…………」



926: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 03:01:09.04 ID:f2dKfsjwo


淫魔幼女 「……そんな都合の良い約束が」

淫魔幼女 「組織と商人一匹の間で結ばれるものか……」


謎の狐耳 「さあね。しかし、あの子を僕から離していきなり独り立ちさせるなんて」

謎の狐耳 「お節介な君がするとも思えない」

謎の狐耳 「うちには妙な情報が入ることも多いしね」



ジュー ジュー


謎の悪魔 「おお、何だこの謎の肉。謎だけどおいしブクブクブク……」


謎の石像 「おい、どうしブクブクブク……」


謎の胃痛 「ああ、二人が謎の肉を食べたとたん泡をふいて倒れた」

謎の胃痛 「顔色がすごいことに!」


謎の双子 「お医者ー、お医者ー!」


謎の馬頭 「おい、何を焼いたんだ学者……ッ」


謎の学者 「さあ、まだまだ焼くわよおん!」

謎の学者 「むほほ、むほ、むほほほほ!」


謎の南瓜頭 「くそ、やめろ!」


ジュー ジュー

ワイワイ



淫魔幼女 「…………ッ」


謎の狐耳 「……だが」

謎の狐耳 「なるほど。世界そのものを相手に……思えば、なぜそう考えることができなかったのだろう」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……よし」

謎の狐耳 「挑発にのってあげようじゃないか、淫魔幼女」


淫魔幼女 「……?」


謎の狐耳 「大世界の衝突を食い止める」

謎の狐耳 「それができなかったら、僕は彼女から手をひこう」


淫魔幼女 「…………な」



927: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 03:26:15.86 ID:f2dKfsjwo


…………




幼女魔王Nの城



魔動画 『……ええ、不思議なのです』

魔動画 『……不思議とは、いったいどういうことでしょうか、不細工な天文鬼さん』

魔動画 『……大世界同士の接近が、このところ緩やかになってきているのです』

魔動画 『ええ、衝突は確実なはずなのですが、まるで目に見えない巨人が大世界を押し返しているような』

魔動画 『……たとえは下手くそですが、不思議なことですね』



母性巫女 「…………」


幼女魔王N (夕飯のあと、母性巫女の膝枕でまったりする)

幼女魔王N (私の至福の時間……)

幼女魔王N 「えへへ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N (城に来る前からの母性巫女の笑顔だわ)

幼女魔王N (……はじめは人形みたいだった母性巫女も)

幼女魔王N (どんどん学習して)

幼女魔王N (すっかり、もとの母性巫女みたいになった)





















928: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 03:47:17.89 ID:f2dKfsjwo


魔動画 『……ええ、ありえないことです。現在透明な巨人は発見されていませんし』

魔動画 『それに、小世界をどうにかするにも莫大な魔法エネルギーが必要というのに』

魔動画 『その小世界の集まりである大世界に影響を与えるなど。そもそも、我々学者の常識では、引き合う大世界というものは……』

魔動画 『……以上、天文鬼さんのつまらないお話でした』




幼女魔王N (母性巫女を連れて歩くようになってから、いろいろ変わった)

幼女魔王N (おとなりの世界の町に行っても……)



以前の他人A 『ちょっと、なにあの子。このあたりじゃ見ないタイプだわ』


以前の他人B 『みすぼらしいピンク髪ね。きっと下水溜まりみたいな世界から来たのよ』


以前の他人C 『おら、邪魔だよ、どけクソガキ』


以前の他人D 『いらっしゃいませ一名さまですね空いた席かその辺の床にお座りください』



幼女魔王N (……だったのが)



他人A 「ちょっと、なにあの人。このあたりじゃ見ないタイプだわ」


他人B 「黒い髪が素敵。どこかのお姫様かしら」


他人C 「へへへ、綺麗なお母さん、クソ……可愛いお嬢ちゃん、風船はいかが」


他人D 「いらっしゃいませ、二名様ですね。お席へ案内いたします」



幼女魔王N (……だもの)

幼女魔王N 「えへへへへ……」




929: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 03:59:11.61 ID:f2dKfsjwo


母性巫女 「……魔王さま、あとでちゃんと歯を磨きましょうね」


幼女魔王N 「うん」


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N (いつもの優しい笑顔)

幼女魔王N 「えへへ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (そういえば、夕食後はこの歯磨きのやりとりばかりだわ)

幼女魔王N (新しいのも混ぜましょう)

幼女魔王N (ええと……夕食後のひととき、母性巫女はほかにどんなことを言ったかしら)

幼女魔王N (……そうだわ)

幼女魔王N 「ねえねえ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」



930: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 04:05:22.03 ID:f2dKfsjwo


幼女魔王N 「こうしているときね、ときどき、母性巫女が」

幼女魔王N 「明日の夕ご飯、どうしましょうか」

幼女魔王N 「って、聞くの」

幼女魔王N 「そうしたら私が」

幼女魔王N 「いっぱい食べたのに、明日の夕ご飯のことことなんて考えられないわ」

幼女魔王N 「って、答えるの」

幼女魔王N 「そうしたら、母性巫女はいつもみたいにうふふって優しく笑うの」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「そういうことが、前にあったの」

幼女魔王N 「……おぼえているでしょ?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……だから、今度から、歯磨きじゃなくて、そういうやり取りの日も混ぜてね」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ



931: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 04:16:52.58 ID:f2dKfsjwo


母性巫女 「魔王さま」

母性巫女 「明日の夕ご飯、どうしましょうか」


幼女魔王N 「お腹いっぱいなのに、明日の夕ご飯なんて考えられないわ」


母性巫女 「うふふ……」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「い、良い感じ!」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N (母性巫女の優しい手、笑顔)

幼女魔王N (……幸せ)

幼女魔王N 「……母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「絵本……」

幼女魔王N 「……ううん、何でもない」


母性巫女 「はい」


ナデ ナデ ナデ


幼女魔王N (……幸せ)

幼女魔王N (幸せだわ。私は幸せなのよ)

幼女魔王N (……幸せなのよね?)


母性巫女 「…………」



932: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 04:38:02.92 ID:f2dKfsjwo


…………




幼女魔王Nの世界 城の見える草原



幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「……星が綺麗ね」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「風が良い気持ち」

幼女魔王N 「みずみずしい草のにおい。もうすぐ暑くなるわ」


母性巫女 「はい、魔王さま」


幼女魔王N 「母性巫女に膝枕してもらいながら、一緒にこの星空を見られて」

幼女魔王N 「私はとっても幸せ」


母性巫女 「うふふ、そうですね」


ニコ


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (何か、物足りない)


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「そうだわ!」


ガバ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あははは、そうよ、そうだったのよ」

幼女魔王N 「母性巫女は、私のことを怒ることもあるのよ!」



933: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 05:46:16.10 ID:f2dKfsjwo


幼女魔王N 「そう、そう、そうよ!」

幼女魔王N 「私が悪いことすると、母性巫女は私を怒るの」

幼女魔王N 「でも、優しいの」

幼女魔王N 「怒っても、私のことを捨てないの!」


母性巫女 「あらあら」


幼女魔王N 「そうよ……うふふ、なあんだ、物足りないのはそういうことだったんだわ」

幼女魔王N 「ええと、母性巫女はどうやって怒るんだったっけ……」

幼女魔王N (お尻スペンスペン……お母さんチョップ……めっ……)

幼女魔王N (そういえば、頬っぺたペチッ……もあったわ)

幼女魔王N (私を励ますときにもしてくれるやつ)

幼女魔王N 「まずはこれにしましょう……」

幼女魔王N「ねえ、母性巫女」


母性巫女 「はい、何ですか、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「私がこれからいたずらするから、母性巫女は私を怒ってね」

幼女魔王N 「もう、駄目ですよ……って、私のこっちの頬っぺたを手でペチッて叩くの」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「あ、ううん、叩くっていっても、優しくよ」

幼女魔王N 「ええと……」

幼女魔王N (母性巫女は美触手も軽く退けるから……)

幼女魔王N 「一割! 一割くらいの力で!」


母性巫女 「はい」


ニコ



934: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 06:00:06.09 ID:f2dKfsjwo


幼女魔王N 「じゃ、じゃあ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「えいっ」


スルスル トサ


幼女魔王N 「……あははは、外でパンツを脱いでやったわ!」

幼女魔王N(ノーパン) 「しかもそのまま、これから、太ももさえ隠せないスカートをバサバサいわせてこの草原を駆け回ってやるわ!」


母性巫女 「…………」


スク


母性巫女 「……もうっ」

母性巫女 「駄目ですよ、魔王さま」


幼女魔王N (来る、来るわ)

幼女魔王N 「うふふふ……」


母性巫女 「…………」


ヒュン ゴオオオオ


幼女魔王N 「ふふ……」

幼女魔王N 「え?」


スパアン


母性巫女 の ビンタこうげき!
幼女魔王N に 99999 のダメージ!


グルグルグルグル


幼女魔王N (……わあ)

幼女魔王N (景色がぐるぐるまわってる)


グルグルグルグル

グルグルグルグル

ブチ

スポーン

ドサ



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王Nの頭 (一割でも強すぎたのね)

幼女魔王Nの頭 (頭、吹っ飛んじゃった)



935: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 08:24:52.24 ID:f2dKfsjwo



ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N (足音。母性巫女かしら)


ザ ザ……


??? 「…………」

死神メイド 「…………」

死神メイド 「良い夜ね」


幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (誰だっけ、この白い人)

幼女魔王N (……ああ、そうだわ、確か商人の町の宿にいた)

幼女魔王N (私のお腹をグーで思い切り殴り抜いてくれる人)

幼女魔王N (名前は……駄目だわ、意識が遠くなってきた)


死神メイド 「…………うん」

死神メイド 「元気そうね」


幼女魔王N 「まさに死にかけてるんだけど」


937: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 08:46:13.74 ID:f2dKfsjwo


キュイイイ カチャカチャカチャ

ゾルゾルゾル

キュロリン


幼女魔王N 「…………」


ムク


幼女魔王N 「……ふう。死ぬかと思った」

幼女魔王N 「死んだけど」


死神メイド 「……幼女魔王N。あなた、いったい何をしていたの」

死神メイド 「満天の星の下、草原でパンツを下ろして頭がもげているなんて、普通の神経じゃないわ」

死神メイド 「一度死ぬべきよ」


幼女魔王N 「死んだのよ」


死神メイド 「そう」


幼女魔王N 「あなたこそ、こんなとこで何をしているのよ」


死神メイド 「あなた、じゃないわ幼女魔王N」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「私たち、友達じゃない、幼女魔王N」

死神メイド 「友達のことくらい名前で呼びなさい、幼女魔王N」


幼女魔王N (狙いすましたかのように……)

幼女魔王N (でも、私のことを友達って言ってくれた)


キュン


幼女魔王N (嫌われたくないわ。何とか思い出さなくちゃ)

幼女魔王N 「えーっと、んーっと……んーっと……」


死神メイド 「大丈夫、わかっているわ」


幼女魔王N 「?」


死神メイド 「あなた、馬鹿だもの、幼女魔王N」

死神メイド 「私の名前をおぼえていられるわけ、ないものね」

死神メイド 「馬鹿だから」


幼女魔王N 「友達……?」



938: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/11(土) 08:59:36.17 ID:f2dKfsjwo


死神メイド 「私は商人の町(仮称)、黒オークの宿で働く死神もやし」

死神メイド 「あなたのお母さんよ」


幼女魔王N 「嘘よね」


死神メイド 「ええ」

死神メイド 「私は死神メイド」

死神メイド 「あなたの娘よ」


幼女魔王N 「ふざけないで」

幼女魔王N 「だったら私は勇者と魔王の娘よ」


死神メイド 「……ふざけないでもらえるかしら」

死神メイド 「人が自己紹介をしているのに」

死神メイド 「そんなんだからお漏らし癖もなおらないのよ」


幼女魔王N 「なっ……ふざっ……!」


死神メイド 「という冗談なのだけど」


幼女魔王N 「……じょ……?」


死神メイド 「どうかしら」

死神メイド 「面白かった?」


幼女魔王N 「……はらはらした」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「よかったわ」



940: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 06:20:43.93 ID:1bAo2gRjo


幼女魔王N 「それで、何のご用?」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「あの……」


死神メイド 「……傷つくわ」


幼女魔王N 「え?」


死神メイド 「……友達」


幼女魔王N 「……!」


死神メイド 「友達の家に遊びに行くのに、理由が必要なの?」


幼女魔王N 「……!」


キュゥン


幼女魔王N (この人、そこまで私のことを……!)

幼女魔王N 「……な」

幼女魔王N 「ない。ぜんぜん必要ない! いつでも来て、毎日来て、どんどん来て、!」

幼女魔王N 「私、歓迎する。何でもする!」


死神メイド 「冗談よ」


幼女魔王N 「ごっ……」


死神メイド 「重たすぎるわ」

死神メイド 「正直、あなたと毎日あうのは苦行だと思う」

死神メイド 「半年に一回くらい近況を手紙でうかがう……そのくらいの友達でちょうど良いと思うの」


幼女魔王N 「ど………」


死神メイド 「私、次のヒロインに決まったから、お使いのついでに引き継ぎの挨拶に来ただけよ」


幼女魔王N 「ひろ…………?」

幼女魔王N 「………はあ」

幼女魔王N 「お願いだから、呼吸するように嘘をつかないで……」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「図々しいお願いだけど、水をいただけるかしら」

死神メイド 「少し喉がかわいているの。もう暑い季節なのね」



941: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 06:38:36.99 ID:1bAo2gRjo


幼女魔王Nの城 食堂




魔動画 『シリーズ史上初』

魔動画 『淀みネットワークで構築された魔法のオープンワールドで、素敵な出会いを探しに行こう!』

魔動画 『ゼクシィビーチ・プレミアムリゾート。近日発売!』


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「…………」



コツ コツ コツ


母性巫女 「……お待たせしました」

母性巫女 「水と芋パンです」


死神メイド 「ありがとう」


母性巫女 「はい」


ニコ

コツ コツ コツ


死神メイド 「…………」

死神メイド 「悪いわね。安物のパンまで出させて」

死神メイド 「舌を鞭打っておいしくいただくわ」


幼女魔王N 「あなた、よくそれで宿で働けるわね……」



942: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 06:57:07.02 ID:1bAo2gRjo


魔動画 『もうミミックなんか怖くない!?』

魔動画 『ダンジョン用ウソ発見器に、新型が出ました!』


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (会話がまったくない。空気が重たい)

幼女魔王N (この人、ぜんぜん話さないで見つめてくるだけだし、私も何を話したら良いかわからないし)

幼女魔王N (……私の家に招いているのだから、私が話題を提供するのが礼儀なのかしら)

幼女魔王N 「……こ、この前ね」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「お風呂で体を洗っていたら、石鹸を落としちゃって」

幼女魔王N 「それが椅子の上で、拾おうとしたら手が滑って、石鹸が股の間に入って」

幼女魔王N 「それでもなんとか拾おうと、座ったまま手を動かすけど、石鹸はつるつる滑るばかりで」

幼女魔王N 「指で弾くたびに股の間をぬるぬる擦って、そしたら、なんだか胸の奥が甘酸っぱいような、切ない感じになって」

幼女魔王N 「気がついたら二時間ほどそうしていたわ」

幼女魔王N 「おかげで、見たかった魔動画を見逃してしまったの」

幼女魔王N 「股の間を石鹸でぬるぬる擦ると、時間があっという間に過ぎるのね」

幼女魔王N 「あなたも、気をつけた方が良いわよ?」


死神メイド 「あなた、何を言っているの」


943: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/15(水) 07:27:35.37 ID:1bAo2gRjo


死神メイド 「私、いま初めてあなたに恐れを抱いているわ」

死神メイド 「この痴幼女はここで殺しておかねばと、私の魂が警告しているわ」


幼女魔王N 「ひっ……!?」

幼女魔王N 「だ……だって、何か面白い話をしなきゃと思って……」


死神メイド 「冗談よ。そんなに怯えないで」

死神メイド 「あと、お腹をかばっても無駄よ」

死神メイド 「私、やるときはお腹じゃなくて脳を狙うから」

死神メイド 「目と耳と口と鼻と毛穴をかばうべきね」


幼女魔王N 「……ご、ごめんなさい、もう面白い話、しません……」


死神メイド 「……ごめんなさい、やりすぎたようね。冗談をおぼえたばかりで、はしゃいでいたみたい」

死神メイド 「でも、そんなに怯えなくても良いじゃない」

死神メイド 「あなた、死んだって行き返るんでしょ」


幼女魔王N 「痛いものは痛いし、怖いものは怖いわよ……」


死神メイド 「……そうだったわね」

死神メイド 「忘れていたわ」



944: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 07:48:30.28 ID:1bAo2gRjo


母性巫女 「…………」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「……しもべ」


幼女魔王N 「…………ッ」


死神メイド 「手に、入れたのね」


幼女魔王N 「う、うん」


死神メイド 「良かったわね」


幼女魔王N 「……うん」


死神メイド 「うそ」


幼女魔王N 「…………」



946: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 08:03:08.99 ID:1bAo2gRjo


>>943 訂正ごめんなさい

誤:死神メイド 「あなた、死んだって行き返るんでしょ」
正:死神メイド 「あなた、死んだって生き返るんでしょ」



947: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 08:07:18.04 ID:1bAo2gRjo


母性巫女 「…………」


死神メイド 「あなた、しもべの儀式をしたでしょ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「無理やり人を従わせて」

死神メイド 「その業に耐えられるような強い心は持っていないのに」

死神メイド 「あなた、不幸せな顔をしているわ」

死神メイド 「会ったときよりも、空っぽな顔をしているわ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「……淫魔幼女、そういうところあるから」

死神メイド 「幸せとかそういうの、忘れてしまったから」

死神メイド 「彼、もう壊れて久しいから」


幼女魔王N 「…………」



948: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 08:18:42.12 ID:1bAo2gRjo


死神メイド 「でも、恨まないであげてね」

死神メイド 「とても頑張ったのよ、彼」

死神メイド 「あなたのために」

死神メイド 「大嫌いで、大嫌いで、大切なあなたのために」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「恨まないであげてね」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「やりたくなくて、やらなくて良いのに、やらなきゃいけないこと」

死神メイド 「そういうことをやるのは、とても大変なのよ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「淫魔幼女のこと、大切なのね」


死神メイド 「ええ、大切」

死神メイド 「私は彼のおかげで生きているの」

死神メイド 「あなたは友達だけど、淫魔幼女のためならどうでも良いわ」

死神メイド 「殺すのだって、悲しいけれどためらわないわ」


幼女魔王N 「……そう」



949: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 08:31:42.13 ID:1bAo2gRjo


死神メイド 「……しもべの儀式」

死神メイド 「やったこと、後悔してる?」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「しもべの儀式をすると、生きた人形になってしまうものね」

死神メイド 「もとの彼女のまま、しもべにしたかったのでしょう」


幼女魔王N 「……母性巫女だもん」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「私に、ちゃんと優しく笑いかけてくれるもん」

幼女魔王N 「一緒に寝るとき、ちゃんとふんわり抱きしめてくれるもん」

幼女魔王N 「……ちゃんと教えていけば、ちゃんと母性巫女になるわ」


死神メイド 「その言葉がどれほど虚しいものか、あなたは分かっているの」


幼女魔王N 「…………」



950: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 08:46:31.59 ID:1bAo2gRjo


幼女魔王N 「幸せよ。私、幸せ……」


死神メイド 「あなたは気づいているわ」

死神メイド 「漠然と、これは違うんだって」


幼女魔王N 「幸せだもん」


死神メイド 「彼女があなたの知る彼女に近づくほど」

死神メイド 「あなたは辛い思いをするのよ。しているはずよ」

死神メイド 「嫌なことを忘れようと無理やりお酒に酔うように、目をそらして幸せだけを見るようにしているけれど」

死神メイド 「そのうち、耐えきれなくなるわ」


幼女魔王N 「やめて」


死神メイド 「だってあなたは知っているもの」

死神メイド 「どんなに彼女らしくなっても、本当は違うということを」

死神メイド 「よりにもよって、あなたが一番、知ってしまっているんですもの」


幼女魔王N 「やめなさい!」


死神メイド 「せめて、別の人がやってくれたら」

死神メイド 「あなたが事実を知らなければ、良かったのに」



952: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 21:21:53.97 ID:1bAo2gRjo


幼女魔王N 「…………や」

幼女魔王N 「やめてよ……」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「何よ、何よ、いきなり来て、そんなこと言って」

幼女魔王N 「これで良いの。これが一番良い方法なの。この母性巫女が一番良いの」

幼女魔王N 「な、何も……なにも知らないくせに……!」

幼女魔王N 「失礼よ……!」


死神メイド 「……ごめんなさい」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……彼女」

死神メイド 「もとに戻したい?」


幼女魔王N 「……!」



953: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/15(水) 22:05:01.76 ID:1bAo2gRjo


幼女魔王N 「で、できるの、そんなこと?」


死神メイド 「絶対とは言えないけれど」

死神メイド 「……戻したい?」

死神メイド 「今の彼女が一番良いそうだけれど」


幼女魔王N 「…………っ」

幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「私も、昔は儀式で縛られたしもべだったわ」

死神メイド 「淫魔幼女に助けてもらうまで」


幼女魔王N 「ふざけないで。こんなときまで冗談を言って……!」

幼女魔王N 「淫魔幼女が人助けなんて、雪ダルマがサウナに行くようなものじゃない!」


死神メイド 「ふざけないで」

死神メイド 「……あなたは、死神と呼ばれる種族がどういうものか、知ってる?」


幼女魔王N 「……神様の何かじゃないの?」


死神メイド 「知らないのね」

死神メイド 「……死神と呼ばれているけれど、私たちは本当に死神というわけではないわ」

死神メイド 「死神のようなことをするけれど」

死神メイド 「死を司っているわけではなく、むしろ、死の子どもでありしもべなのよ」

死神メイド 「詳しい説明は面倒くさいので省くけれど」

死神メイド 「ただ、流れに従って死者を連れて行くだけの存在。それが私たち」

死神メイド 「私たちは、生まれながらにしもべの儀式の虜にされているようなもの」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「……だった。私は、そうだった」

死神メイド 「けれど、しもべとして生まれた私は今、自分の意志で黒オークの宿で働いている」



954: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 00:13:05.98 ID:N8Ogoeymo


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「しもべだった者が自我を持つ方法は、あるのよ」


幼女魔王N 「……ほ、本当?」

幼女魔王N (この人って、危ないくらい淫魔幼女を崇拝しているのよね)

幼女魔王N (ただ助けられただけじゃ、こうはならないはず)

幼女魔王N (本当なのかしら……)


死神メイド 「もっとも、私の場合」

死神メイド 「もともとほぼ自我のない状態からの話だったから」

死神メイド 「同じ方法をとり成功したとして、彼女が」

死神メイド 「もとの彼女としての自我を持つのかは分からないけれど」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「それに、彼女がしもべの儀式から解放されて、もとの自我を取り戻したとして」

死神メイド 「あなたにどんな感情を抱くのかも、分からない」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「……方法、聞いておく?」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「……教えて」


死神メイド 「……そう」

死神メイド 「教えるわ」

死神メイド 「主人が死ねば良いのよ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「あなたが、死ねば良いのよ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「ごちそうさま」

死神メイド 「またね」



…………



955: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 00:54:26.52 ID:N8Ogoeymo


…………




幼女魔王Nの城 玉座の間



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……これで良いのよ)

幼女魔王N (元に戻ったら、今度こそ嫌われるわ)

幼女魔王N (いえ、嫌われるなんてものじゃない)

幼女魔王N (だって、しもべにするために、私、母性巫女を)

幼女魔王N (こ、殺し……ころ……)


カタカタ


幼女魔王N 「……ぅ」

幼女魔王N 「ぉえ……ぇっ……ぇ゛っ……ッ!」



956: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 00:55:00.68 ID:N8Ogoeymo


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……! 魔王さま」

母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま!」


幼女魔王N 「だ、だいじょ……ぅぷ」

幼女魔王N 「ありがとう。大丈夫……だから……!」


母性巫女 「魔王さま……」


ナデ ナデ サス サス


幼女魔王N 「……え、えへへ」

幼女魔王N (母性巫女。優しい母性巫女だわ)

幼女魔王N (私の指示した通り)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ぼ、母性巫女」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「私、母性巫女がいてくれて幸せ」

幼女魔王N 「すごく幸せ……」


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「私も、魔王さまといられて幸せですよ」


ギュ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「えへ、えへへへ」

幼女魔王N 「幸せ、幸せよ……」

幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「うふふふ……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「えへ、えへへへへ……」



…………

…………



959: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 01:29:04.41 ID:N8Ogoeymo


?日後

幼女魔王Nの城 天上のない廊下



シト シト

ピカ ゴロゴロ……

シト シト シト


魔動画の音 『一時停滞していた大世界の接近ですが』

魔動画の音 『ここのところ、徐々に速度を増しており……』



フヨン フヨン


??? 「…………」

淫魔幼女 「…………」


フヨン フヨン フヨン


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王Nの頭A 「…………」


淫魔幼女 「…………」


シト シト



魔動画の声 『魔天観測所と星天観測所の見解によれば……』



淫魔幼女 「…………」


幼女魔王Nの頭B 「…………」


幼女魔王Nの頭C 「…………」


幼女魔王Nの頭たち 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……!」


ひよこさんパンツ


淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 は ひよこさんパンツ を手に入れた!


淫魔幼女 「…………」


フヨン フヨン フヨン



960: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 01:38:53.11 ID:N8Ogoeymo


幼女魔王Nの城

天上のない廊下 天守玉座前



ガコン

ゴ ゴ ゴ ゴ


淫魔幼女 「…………」


フヨ フヨ フヨ


淫魔幼女 「……暗い」


??? 「……今日は星が無いもの」


淫魔幼女 「…………」


シト シト シト

ピカ


??? 「…………」

幼女魔王N 「…………」


ゴロゴロゴロ……

シト シト シト シト


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「……よく来たわね」

幼女魔王N 「淫魔幼女」



961: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 01:52:16.84 ID:N8Ogoeymo


幼女魔王N 「遠くからごめんなさいね」

幼女魔王N 「ちょっと今、頭がとれてるから動けなくて」


淫魔幼女 「……かまわない」

淫魔幼女 「王は玉座にあるものだ」


フヨ フヨ フヨ


幼女魔王N 「…………」


キイイ

カチャ カチャ カチャ


幼女魔王N の 復活!


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「何をしに来たの」


淫魔幼女 「近くの世界で雨に降られて、立ち寄っただけだ」

淫魔幼女 「傘がなかったので」


幼女魔王N 「そう」

幼女魔王N 「悪いわね。うちの世界も雨の上、天井もなくて」

幼女魔王N 「傘も、日傘しかないわ」


淫魔幼女 「……構わない」


幼女魔王N 「今日はずいぶんと優しいのね」


淫魔幼女 「…………」



962: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 01:58:50.87 ID:N8Ogoeymo


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


母性巫女 「……!」

母性巫女 「魔王さま、服に血が」


幼女魔王N 「撫でるのをやめないで、母性巫女」

幼女魔王N 「私が悲しいとき、母性巫女は優しく撫でてくれるの」

幼女魔王N 「だから、撫でるのをやめないで」


母性巫女 「……はい、魔王さま」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「きっと、もうすぐ良くなるわ……」


淫魔幼女 「…………」



963: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 02:10:08.65 ID:N8Ogoeymo


淫魔幼女 「……ここにいるのは、貴様たち二人だけか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ええ」

幼女魔王N 「もう私ひとりじゃないの」


淫魔幼女 「本当か」


幼女魔王N 「ええ」

幼女魔王N 「ねえ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「……そうか」

淫魔幼女 「ここに来るまでに、貴様の死体をいくつか見たが」


幼女魔王N 「死体でしょう」

幼女魔王N 「まあ、いつか消えるわよ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「以前よりも荒廃して見えるのは、雨のせいか」


幼女魔王N 「私、いそがしいの」

幼女魔王N 「悪いけれど、雨がやんだら出て行ってくれるかしら」



964: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 02:25:47.28 ID:N8Ogoeymo


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「ごめんなさいね。あなたには感謝しているわ」

幼女魔王N 「あなたのおかげで、母性巫女を手に入れられたもの」

幼女魔王N 「ねえ、母性巫女」

幼女魔王N 「私、幸せよね」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

ナデ ナデ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「主人が死ねば、しもべが解放されることもある」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「死んだのか。すぐに生き返るのに」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「……儀式をしたこと、後悔しているのか」


幼女魔王N 「そんなわけないわ」

幼女魔王N 「それに、あれしか方法はなかったんでしょう」


淫魔幼女 「……英雄であろうとその女が人間である限り、あの状態で普通の生活を送るのは無理だった」

淫魔幼女 「そう経たないうちに、身も心も苗床として生きることしかできなくなっただろう」


幼女魔王N 「……だったら良いのよ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「お前は、幸せなのか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「幸せよ」



965: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/16(木) 05:19:13.13 ID:N8Ogoeymo


シト シト シト


淫魔幼女 「……そうか」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「うらやましいよ」

淫魔幼女 「おれは幸せというものを、知識でしかおぼえていないから」


幼女魔王N 「……そう」

幼女魔王N 「そうよ、幸せよ」

幼女魔王N 「私は、幸せなのよ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「幸せとは」

淫魔幼女 「自分で言い聞かさなければ、感じられないものなのか?」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「ひどく面倒なものなのだな」


967: シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 01:40:46.39 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「おれには、お前が苦しんでいるように見えるが」

淫魔幼女 「不幸せな現実をねじまげて、無理に幸せに見ようとしているように見えるが」


幼女魔王N 「……違う」


淫魔幼女 「かさを増す不幸せで心が溺れそうになりながら、それでも沈んでいく底から足を離せない」

淫魔幼女 「哀れな遭難者のように見えるが」

淫魔幼女 「幸せとはそういうものなのか」


幼女魔王N 「うるさい」


淫魔幼女 「…………」


シト シト シト シト

ピチャン チョポン


淫魔幼女 「お前が欲しかった幸せとはこんなものなのか」

淫魔幼女 「想像もできなかったよ」


幼女魔王N 「うるさい!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「うるさい! うるさい! うるさい!」



970: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 02:03:48.42 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「あんたが教えたくせに!」

幼女魔王N 「あんたが! あんたが!!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「あ、あんたのせいよ……」

幼女魔王N 「全部あんたのせいよ!!」

幼女魔王N 「ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ」

幼女魔王N 「ぜんぶ……!!」


ズ ズ ズ ズ


美触手 「…………」


美触手 の こうげき!


ヒュン

ドゴ


淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 に 20 のダメージ!


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「ぜんぶ……グスッ……ぜんぶ! ぜんぶッッ!」

幼女魔王N 「ぜんぶあんたが!!」


美触手 「…………」


ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ……


淫魔幼女 に 20 のダメージ!
淫魔幼女 に 20 のダメージ!
淫魔幼女 に 20 のダメージ!
…………


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「ふグっ……うぅ……ぅううぅう゛ッ」

幼女魔王N 「ぅううう゛う゛……ッ!!」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……そうだな」



971: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 02:49:57.76 ID:Zt6a9Z8ro


淫魔幼女 「お前がいま不幸せなのだとしたら、おれのせいなのだろうな」


幼女魔王N 「…………ッ」


ズ ズ ズ ズ


母性巫女 「魔王さま、落ち着いてくださ……」


幼女魔王N 「もうやめて!」


母性巫女 「…………!」


幼女魔王N 「あなたは母性巫女になれないの」

幼女魔王N 「母性巫女と同じ材料でできでいるだけなの」

幼女魔王N 「母性巫女じゃないの……!」

幼女魔王N 「どんなに近づいても、真似しても、その分悲しいだけなの!」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「………ッ」

幼女魔王N 「……幸せ。幸せだった……」

幼女魔王N 「母性巫女と一緒に暮らせて、私、幸せだったのよ」

幼女魔王N 「幸せだったのに……!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「本当の母性巫女が、幸せだったのがもう戻ってこないって思ったら……」

幼女魔王N 「どうしてこんなに悲しいのよ!! 苦しいのよ!」

幼女魔王N 「ひとりだったときより辛いのよ……胸が苦しい……苦しい、苦しい、苦しい!」


ギュウウ

ギリ ギリ


幼女魔王N 「私は幸せだったのに!!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「苦しいのよ、悲しいのよ……」

幼女魔王N 「こんなんなら、母性巫女に会わなければ良かった。幸せなんて知るんじゃなかった」

幼女魔王N 「ずっとひとりの方が良かった」

幼女魔王N 「外の世界になんて出なければ良かった!!」


淫魔幼女 「…………」



972: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/22(水) 05:05:50.98 ID:Zt6a9Z8ro


淫魔幼女 「……失うことが怖いなら、得なければ良いということか」

淫魔幼女 「しかし、この世に生を得てしまった以上、それは無理というものだ」

淫魔幼女 「不滅の命を持つお前でも、同じようだな」


幼女魔王N 「…………ッ」

幼女魔王N 「あなたはいつも、いつも……!」


ズ ズ ズ ズ


幼女魔王N の 命がけ召喚!
命と引き換えに すべてのしもべ触手 を 召喚した!


美触手 「…………」


毛玉触手 「…………」


ヒュン ブォン

ドゴ バコン ポケ ドゴ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「不滅の命は死を遠ざけるが、生もまた遠ざけてしまうのだろう」

淫魔幼女 「本来、人が最も大切にするであろう自身の命」

淫魔幼女 「自身の不死性を本能的に知っていたお前は、それを軽くしか感じられなかった」

淫魔幼女 「否定的ですらあった」


ドゴ バキャ ドゴ


淫魔幼女 「……だから、自分の外側に求めようとしたのだろう。自分の命に代わるものを」

淫魔幼女 「お前の生を実感させてくれるものを」

淫魔幼女 「しかし、自身すら肯定できない者が、そう外側を向けるものではない」

淫魔幼女 「結果お前は、お前の世界という殻に逃げ込み」

淫魔幼女 「生きているのか死んでいるのか自覚もあやふやなまま生きることになった」


幼女魔王N 「うるさい! うるさいうるさいうるさい……!」


ダ ダ ダ

ヨロ コケ ズテン


幼女魔王N 「……うるさい、うるさい!!」


ダ ダ ダ


幼女魔王N 「うるさいぃ!」


ブオン バキャ


幼女魔王N の ヘロヘロパンチ!
淫魔幼女 に 0 のダメージ!
幼女魔王N に 800 の反動ダメージ!


淫魔幼女 「…………ッ」



973: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 06:04:36.39 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「あああ゛! あああ゛あ゛! うあああ゛あ゛!」


ポカ ポカ ポカ


淫魔幼女 「……雛だったのだ」

淫魔幼女 「殻の中で大きくなりすぎてしまった」

淫魔幼女 「生まれてもいない雛鳥だったのだ、お前は」


ポカ ポカ ポカ


淫魔幼女 「その女と会って、お前は初めて自身の命にかわるものを得た」

淫魔幼女 「幼女魔王として、やっと生まれることができた」

淫魔幼女 「雛が自身で殻を破るように。母親から生まれるように」

淫魔幼女 「……そして、得るとともに失ってしまった」


幼女魔王N 「…………!」


淫魔幼女 「狂うほどのその辛さを、むなしさを」

淫魔幼女 「お前のその姿を見た今なら、理解できるつもりだ」

淫魔幼女 「……かわいそうに」


幼女魔王N 「ッッッ!! ッ……~~~~!!!」

幼女魔王N 「あなたが……あんたが!」

幼女魔王N 「あんたがそれを言うなぁあ゛!!」


ボカ バキョ


淫魔幼女 に 10 のダメージ!
幼女魔王N に 200 の反動ダメージ!
部位破損!
幼女魔王Nの右拳 が 砕けた!
素材アイテム を手に入れた!


幼女魔王N 「あんたのせいだ! あんたのせいだ!」


ボカ ボカ ボカ ボカ

バキョ


幼女魔王Nの左拳 が砕けた!


幼女魔王N 「あんたの! あんたの! あんたの、あんたの……!」


ポカ ベチャ ポカ ベチャ


淫魔幼女 「…………」



974: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 06:15:42.38 ID:Zt6a9Z8ro


シト シト シト

ザアア


幼女魔王N 「ヒグッ……グスッ……!!」


ベチョ ポカ ベチョ ポカ……


淫魔幼女 「…………」


ガシ


幼女魔王N 「…………っ」


淫魔幼女 「……おれなどを殴るために、自分の手を痛めつけるな」

淫魔幼女 「これ以上は、死ななければ治らなくなる」


幼女魔王N 「……ッ」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「どうしてよ……」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「近くにいたくせに……」

幼女魔王N 「どうして……なんであなたはいつも……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「おれでは無理だからだ」


幼女魔王N 「そんなの、そんなこと……!」


淫魔幼女 「……おれの命は、ひとつだけだった」

淫魔幼女 「そしておれは、その命を一度うしなった」

淫魔幼女 「終わった存在なんだよ、おれは」



976: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 07:59:16.26 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「……なによ」

幼女魔王N 「何を言って……」


淫魔幼女 「どうでも良い」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「どうでも良い。どうでも良いんだ」

淫魔幼女 「おれのしたことで、誰が喜ぼうと、悲しもうと」

淫魔幼女 「お前が幸せになろうと、不幸せになろうと」

淫魔幼女 「魔法少女ギルドの連中がどうなろうと」

淫魔幼女 「その実、おれにとってはどうでも良いんだ」

淫魔幼女 「……どうでも良くなってしまたんだ」

淫魔幼女 「そういう存在になってしまったんだ」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「復讐とか、忠誠とか、心を燃料とするものでおれは動けない」

淫魔幼女 「おれを動かしているものは記憶だ」

淫魔幼女 「感情の記憶にすがりついて、それらしく動いているだけだ」


幼女魔王N 「そんな……」


淫魔幼女 「ほとんど空っぽなんだよ、おれの心は」

淫魔幼女 「お前の心の空虚を埋められるものなんざ、持っていやしないんだよ」

淫魔幼女 「おれはお前を好きでもないし、嫌いでもない」

淫魔幼女 「好きにもなれないし、嫌いにもなれない」

淫魔幼女 「おれの心に残っているとすれば、それは、そうなってしまったことの空しさだけだろう」


幼女魔王N 「…………」


ザアア シト シト シト


淫魔幼女 「……ああ、そうか」

淫魔幼女 「そうだ。すべておれのせいだ」

淫魔幼女 「世界は無情と説きながら、馬鹿なことをしてしまった」

淫魔幼女 「まったく、殻を破れない雛鳥を助けようなどと、間違ってもするものではない」



977: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 08:11:59.72 ID:Zt6a9Z8ro

…………



幼女魔王Nの城 夜

母性巫女の部屋



カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


ホー ホー


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


キイイ


母性巫女 「……ッ」


キイン キイン

フィヨフィヨフィヨフィヨ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………ぅ」


ヨロ ガク


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……ここは?」



978: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 08:23:43.81 ID:Zt6a9Z8ro


ホー ホー


母性巫女 「私の部屋じゃない。森でもないみたい……」


クラ


母性巫女 「うぅ、頭に鈍い痛みが」

母性巫女 「……とにかく、ここから出ましょう」


コツ コツ コツ


母性巫女 「……あら」


大きな鏡


母性巫女 「私、知らない服を着ているわ」

母性巫女 「肌がほとんど隠れてる。頭が痛むのはこのせいかしら」

母性巫女 「……やわらかくて気持ちがいい」



980: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 09:21:55.42 ID:Zt6a9Z8ro



幼女魔王Nの城 廊下



コ カ コ カ


母性巫女 (靴音の響く場所だから、気をつけて歩かないと)

母性巫女 (布をあてているとはいえ)


コ カ コ カ


母性巫女 「……大きな家」

母性巫女 「というより、お城みたい」

母性巫女 「本当にどこかしら、ここ」

母性巫女 「勇者さまについて旅していたときも、こんなお城は見たことがないし」

母性巫女 「それに、すごく荒れている」

母性巫女 「敷き物も、壁の明かりも、窓も、置物があったような台もボロボロ」

母性巫女 「……掃除したい」


コ カ コ


母性巫女 「……いけない、いけない」

母性巫女 「今はとにかく現状を把握しないと」


コ カ コ カ



981: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 09:36:19.99 ID:Zt6a9Z8ro


母性巫女 「…………」


コ カ コ カ


母性巫女 (星明かりがたよりになるとはいっても)

母性巫女 (荒れた廊下では暗いところが多い)

母性巫女 「……崩れた天井に囲まれて、星が降ってくるような、吸い込まれるような」

母性巫女 「夜なのに明るくて、にぎやかで、でも静か」

母性巫女 「こんな星空、はじめて」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「と、駄目。だからこんなことをしている場合じゃ……」


ズル ズル


母性巫女 「!!」


ズル ズル


母性巫女 (……引きずるような、足音かしら? 近づいてくる)

母性巫女 (蛇型のモンスターが、こんな足音だったような気がする)

母性巫女 (まずいわ。武器が無いし……)

母性巫女 「…………」

母性巫女 (精霊さまとの感応も調子が悪いみたい)

母性巫女 (ここは隠れてやりすごしましょう)


コソ コソ


母性巫女 「…………」


ズル ズル


母性巫女 「…………」

母性巫女 (いよいよ近づいてきた。姿が見えてくるかしら)


ズル ズル

ズル……


??? 「…………」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……N?」


ズキン


母性巫女 「うぅ……!?」

母性巫女 「頭が……また……」



982: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 09:49:06.60 ID:Zt6a9Z8ro


ズキ ズキ


母性巫女 「…………そ、そうだわ」

母性巫女 「私、森で、大きな毛玉のモンスターに……それで……」

母性巫女 「N……Nが……そのモンスターを……」


ズキン ズキン


幼女魔王N 「……………」


ズル ズル


母性巫女 「Nが操るモンスターに……私、こ……殺されて……!」


ガタガタ


母性巫女 (体が震える。お、おさえなきゃ……)


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ……」


ズル ズル


母性巫女 「……!」


幼女魔王N 「母性巫女……母性巫女ぉ……」


ズル ズル


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 (……ど、どうしよう。どうしたら良いの)


幼女魔王N 「母性巫女ぉ……母性巫女ぉ……」

幼女魔王N 「どこぉ……」

幼女魔王N 「ムニャ……グゥ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「ね、眠りながら歩いている……?」


幼女魔王N 「ムニャ……ムニャ……母性巫女ぉ…グスン……」

幼女魔王N 「さみしいよう……母性巫女、絵本よんでよう……」


ズル ズル ズル


母性巫女 「……………」



983: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 10:01:37.89 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「母性巫女、どこぉ……」

幼女魔王N 「いじわるしないで、出てきてよう……」


ズル ズル


母性巫女 「…………」

母性巫女 (森を荒らしていたモンスターを、Nは操っていた)

母性巫女 (でも、あの怯えかたは嘘じゃなかったと思うし……)

母性巫女 (それに、私も死の記憶はあるのに、こうしてここにいる)

母性巫女 (いったい、何がどうなっているのかしら)


幼女魔王N 「母性巫女、母性み……」


フミャ ズテン


母性巫女 「!?」

母性巫女 (パジャマの裾を踏んづけて顔から転んだ!)


幼女魔王N 「…………」


ムク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………う」

幼女魔王N 「うえええええん! うあああん!」

幼女魔王N 「痛いよう、母性巫女ぉ。ふええええん……ムニャ、びええええん!」


母性巫女 (……ね、眠りながら泣いてる)


幼女魔王N 「グスッ……ヒック、グス、グス……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」



984: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 10:15:25.41 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「母性巫女ぉ……どこぉ……グスッ、グジュ……」


コ カ コ カ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……まったく、もう」


ギュ フワ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……母性巫女」


母性巫女 「はい、はい……ここですよ」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………ふへ」

幼女魔王N 「ふへへへへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「ムニャ……グウ……」


母性巫女 「…………」


ズキン 


母性巫女 「……ぅう」

母性巫女 (頭に、靄がかかっていく……)


キイイイ キイン

フィヨ フィヨ フィヨ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (私、この子に殺されてしまったのに……)

母性巫女 「……可愛い、寝顔」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………ムニャ」


母性巫女 「…………」


フィヨ フィヨ フィヨ

キイン キイン


…………



985: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 10:33:05.84 ID:Zt6a9Z8ro




幼女魔王Nの城 寝室



幼女魔王N 「……クウ、スウ」

幼女魔王N 「……フニャ?」

幼女魔王N 「…………」


ムク


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N (私の部屋……ベッド)

幼女魔王N (私、こんなところで寝ていたかしら)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「気持ちの良い朝だわ」





幼女魔王N 「なんだか、どこか気分が晴れやかな気がする」

幼女魔王N 「こんなに爽やかに目をさました朝は、いつ以来かしら」





幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「きっと良い夢を見ていたのね」

幼女魔王N 「ずっと寝ていられたらよかったのに」

幼女魔王N 「起きていても、楽しいことなんて何ひとつ無いもの」



986: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 10:42:38.89 ID:Zt6a9Z8ro


玉座の間



コツ コツ コツ

コケ ドシャ

コツ コツ コツ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……なんだか、廊下が片付いていた気がする)

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「おはようございます、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「……おはよう」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女……?」


母性巫女 「はい、魔王さま」

母性巫女 「今日は遅かったですね」


幼女魔王N (いつもと違うような気もしたけど、そんなわけないか)

幼女魔王N 「だったら起こしてくれたら良いのに」


母性巫女 「ごめんなさい」


幼女魔王N 「いいわ……」

幼女魔王N (私が起こさなくて良いと言ったのだし)


玉座レベル1


幼女魔王N 「よいしょっ、と」


チョコン


幼女魔王N 「……はあ」



987: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:00:14.62 ID:Zt6a9Z8ro

※理由は見当もつかないけれど
 残りレス数ではぎりぎり終われそうにないため、
 新しいスレッドへ移ります。ごめんなさい


988: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:00:46.66 ID:Zt6a9Z8ro


以下、死神メイド劇場



989: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:08:39.69 ID:Zt6a9Z8ro


商人の町 第一層 魔物区

黒オークの宿



ザワザワ

ガチャ


死神メイド 「……買い出しに言ってきたわ、黒オーク」


黒オーク 「おう、おかえり。すまんかったな、今日は休みだっちゅうに」

黒オーク 「どうにも、お客さんが多くて。いや、良いことだけんども」


死神メイド 「良いのよ。いつもお世話になっているもの」

死神メイド 「はい、どうぞ」


ガサ ガサ


豚肉


黒オーク 「……おれが頼んだのぁ、野菜だったと思うんだが」


死神メイド 「そう」



990: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:19:54.42 ID:Zt6a9Z8ro


黒オーク 「もしかして、怒っとるかい?」


死神メイド 「そんなこと、あるはず無いわ」

死神メイド 「友だちと遊びに行く予定が、ちょっと狂っただけだもの」


黒オーク 「いや、ほんとにすまんこって」


死神メイド 「良いのよ」

死神メイド 「あなたが豚肉をおいしく調理してくれたら」


高級黒豚肉


黒オーク 「いやあ、さすがのおれでも、これは包丁がにぶるっちゅうか……」


死神メイド 「好き嫌いは良くないわ」


黒オーク 「そういう問題でなくて」


死神メイド 「では見せて」

死神メイド 「同系種族の肉を切り刻んで調理する最低なところを、私に見せて」


黒オーク 「分かってやっとるね」



991: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:27:44.62 ID:Zt6a9Z8ro


黒オーク 「うーん、どうすっかなあ、野菜」


死神メイド 「……私」

死神メイド 「友だちと遊ぶためのお金を崩して、この豚肉を買ってきたの」


黒オーク 「嘘だろう」


死神メイド 「ええ」


黒オーク 「うーん……」


ガチャ


??? 「おーい」

女郎蜘蛛 「いつまで待たせんのよ」


死神メイド 「……友だちが来たわ」


黒オーク 「おう」


死神メイド 「(一緒に遊びに)行くはずの友達が、(呼んでもいないのにノコノコと)来てしまったわ」

死神メイド 「不思議なことね」


女郎蜘蛛 「あんた、サブテキストに変なモノ混ぜてねえ?」


黒オーク 「いや、すまんこって」



992: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:38:34.85 ID:Zt6a9Z8ro


女郎蜘蛛 「ちょっと遅れるって言うから、待ってたけどさ」

女郎蜘蛛 「あたし、待つのって考えることと同じくらい嫌いなわけ」

女郎蜘蛛 「で、待ってると変なこと考えちゃったりしちゃうわけ」

女郎蜘蛛 「つまり、待つのは考えるより嫌いなわけ」

女郎蜘蛛 「わかる?」


黒オーク 「いや、申し訳ないこって」


死神メイド 「口の減らない蜘蛛女ね」

死神メイド 「手足もげれば良いのに」


女郎蜘蛛 「ぅをい」


死神メイド 「ごめんなさい」


女郎蜘蛛 「もう、早くしてよ」

女郎蜘蛛 「桃尻淫魔なんて待ちすぎて男が寄ってきて大変なんだからさ」

女郎蜘蛛 「いまごろきっと涙目だよ」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「これは陰口だけれど、彼女って淫魔に向いていないと思うのよね、私」


女郎蜘蛛 「堂々と陰口たたいてんじゃねーよ」


死神メイド 「彼女のためを思って言っているのよ」


女郎蜘蛛 「本人に言ってやれよ!」


黒オーク 「すまんけど、野菜買ってきてくれんかね?」


女郎蜘蛛 「分かったよ!」



993: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 11:52:13.94 ID:Zt6a9Z8ro


ガチャ

バタン


死神メイド 「……行ったわね、あのクソ女……あの蜘蛛女」

死神メイド 「頼もしい、私の友だちだわ」


黒オーク 「うーん……」


死神メイド 「待っているあいだ、退屈だわ」

死神メイド 「テーブルトークRPGでもして待っていましょうか」


黒オーク 「一日つぶす気かい」

黒オーク 「……地下の隠し部屋から卵をとってきといておくれ」


死神メイド 「淫魔幼女の保管庫ね」


黒オーク 「旦那の許可はとってあるから」


死神メイド 「かしこまりまする、ご主人さま」


黒オーク 「…………?」


死神メイド 「この前、偶然立ち寄った世界のとある町で習得したの」

死神メイド 「ねじとか、オーディンの缶詰とかで有名な町らしいわ」


黒オーク 「ふうん」


死神メイド 「また行くわ、私。あそこに新しい友だちの波動を感じるの」


黒オーク 「……ふうん」

黒オーク 「よく分からんが、死神ってのはすげえなあ」


死神メイド 「卵をとってくるわ」



994: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 12:13:01.37 ID:Zt6a9Z8ro


地下 隠し部屋

淫魔幼女の保管庫



コツ コツ コツ


死神メイド 「…………」

死神メイド 「……あら」


グジュル グジュル


??? 「むぐぉおお゛! んむぉおお゛おお」

魔法少女 「ふうう゛、うぅ゛ううう゛……む゛ひぃいいい゛い゛!」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「元気そうで良かったわ」

死神メイド 「拘束具で表情は見えないけれど」


魔法少女 「ふむぅんんん゛!」

魔法少女 「はひゅふぇへ! 許ひひぇぇえ!」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「卵を産んでくれるのね」

死神メイド 「助かるわ。貴重な種族の卵だもの」

死神メイド 「普通は、一度卵を産んだだけで死んでしまうから」

死神メイド 「あなたみたいに丈夫な体のヒトがうちに来てくれて良かったわ」


魔法少女 「ひひゃ……ひひゃぅうう!」

魔法少女 「ほほはんぁ出ひ……」


ギュルルル モコ モコ モコ


魔法少女 「ふぎぃいいい!?」


ムリュリュ ミチ ミチチ……

プリュンッ 


魔法少女 「ふひゅっ!?」


ポコ ポコ ポコ


魔法少女 「ふひゅッッひぃ゛いいいぃいぃい……~~~ッッ!」


ブヨン ポト コロコロ


魔法少女 は ぶよぶよ卵A を産んだ!
魔法少女 は ぶよぶよ卵B を産んだ!
魔法少女 は ぶよぶよ卵C~F を産んだ!
魔法少女 は 
………





995: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 12:24:01.40 ID:Zt6a9Z8ro


ポト コロ

ポト コロ


石鶏 「コケー……」


死神メイド 「ありがとう。助かるわ」

死神メイド 「鳥型のガーゴイルの卵なんて、なかなか手に入らないものね」


石鶏 「コケー」


死神メイド 「じゃあ、引き続き、淫魔幼女の保管庫1の見張り、頑張ってね」

死神メイド 「外に出たくなったら、いつでも言ってちょうだい」


石鶏 「コケッ」


フギィイイイ ム゙ヒィイイイ


死神メイド 「……なんだか、壁の向こうが騒がしい」

死神メイド 「新しい幽霊でも住み着いたのね。ここは未知の隠し部屋が多いから」

死神メイド 「鳴き声からして、きっと豚の幽霊ね」


石鶏 「クルッポー」


死神メイド 「……さて、少し掃除でもしましょうか」


チリリリリリ チリリリリリ


死神メイド 「……魔法の呼び鈴が鳴っている」

死神メイド 「黒オークが呼んでいるわ」



996: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 12:35:17.10 ID:Zt6a9Z8ro


黒オークの宿 一階



ト ト ト 


死神メイド 「何かしら、黒オーク」


黒オーク 「おう……」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「久しぶりだな、死神メイド」

淫魔幼女 「調子はどうだ」


死神メイド 「良いわ」

死神メイド 「おかえりなさい。部屋の準備をしてくるわ」

死神メイド 「今日は暇なの」


黒オーク 「うーん……?」


淫魔幼女 「……糸巻き棒を買いたい」


死神メイド 「駄目よ。あなた、死ぬ気なの」


淫魔幼女 「おれ用ではない。少し、必要になった」


死神メイド 「あの、桃色の彼女のため?」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「ついていくわ」


淫魔幼女 「助かる」


黒オーク 「すまんこって。おれは、手がはなせんくて」


死神メイド 「良いわ。行きましょう」

死神メイド 「黒オーク、保管庫の掃除、お願いね」


ト ト ト ト


黒オーク 「へえっ? だからおれは……」


バタン


黒オーク 「……行っちまった」



997: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 12:44:15.45 ID:Zt6a9Z8ro


ガチャ バタン


女郎蜘蛛 「買ってきたわよー」

女郎蜘蛛 「ほれ」


黒オーク 「おう、早かったなあ」


ガサ ゴソ


新鮮野菜一式


黒オーク 「こりゃすげえ。いいもんばっかりだ」

黒オーク 「短い時間で、よくやってくれたもんだ」


女郎蜘蛛 「勘よ、勘。小難しいことは分からんもの」

女郎蜘蛛 「……って、おたくの死神メイドは?」


黒オーク 「出かけた」


女郎蜘蛛 「はあ!?」


黒オーク 「誰にも止められん」

黒オーク 「そんな用事でがす」


女郎蜘蛛 「何じゃそりゃ」


黒オーク 「地下の隠し部屋の掃除、してきてくれん?」


女郎蜘蛛 「はあ!?」


黒オーク 「いや、手がはなせんもんで」


女郎蜘蛛 「ああ、もう、いつになったら遊びに行けるんだよ!」


黒オーク 「いや、すまんこって」


女郎蜘蛛 「掃除道具、どこだっけ!?」


黒オーク 「やってくれるんかね」



998: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 13:23:49.44 ID:Zt6a9Z8ro


商人の町 第一層 通り



ザワザワ

コツ コツ コツ


淫魔幼女 「……すまない、貴重な休暇を」


死神メイド 「あなたのためなら、どうでも良いわ」

死神メイド 「恩人だもの。私の命は、あなたのものだもの」


淫魔幼女 「……昔のことだ。忘れて良い」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「傷つくわ」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「小指の糸を指ごと削ぎ落とされたみたい」

死神メイド 「……あなたと出会ったのも、そう、こんな日の……」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「ごめんなさい」

死神メイド 「過去編とか、嫌いだったわね」


淫魔幼女 「……いや」

淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「死神メイド」


死神メイド 「なにかしら」


淫魔幼女 「お前はいま、幸せでいるのか」


死神メイド 「明日よりは幸せかもしれないし、そうでないかもしれないけれど」

死神メイド 「幸せを数えたり比べたりなんて、寂しいこと、したくないわ」


淫魔幼女 「……そうか」


カツ カツ カツ カツ



999: ◆tHMiOqNMgmiR 2015/07/22(水) 13:35:39.94 ID:Zt6a9Z8ro


…………


商人の町 広場



ワイワイ ガヤガヤ



紳士 「やあ、お嬢さん、良い店を見つけたんです。一緒に行ったあと宿屋に行きませんか」


ゴブリン 「へい、淫魔の彼女。おれと遊んだあと宿屋に行かないかい」


ケンタウロス 「私の背に乗って、宿屋に行きませんか」


ワラワラ ガヤガヤ


桃尻淫魔 「ひ、ひえええん……」

桃尻淫魔 「死神メイド、女郎蜘蛛、みんなどこに行ったのぉ……」


ワラワラ ガヤガヤ

ザワザワ

…………

…………





おまけおわり