555: ◆/4adlfiarI 2022/04/23(土) 20:16:50.21 ID:E72VjbcHO


「えっ?カレンが中距離を?冗談でしょ、お兄ちゃん」

翌日、カレンにブリュスクマンの話をすると引きつった顔で返された。

「冗談じゃない。私も考えに考えた結果だ」

「でも、カレンは1400までしか走れないよ?マイルだとすぐバテちゃうし。
そもそも、キタちゃんとかじゃダメなの?同じ中等部1年だし」

「ブリュスクマンという子は、相当な猛者らしい。今年のダービーはもう決まりだと言われてる。何なら凱旋門賞も。
だから、一芸に秀でたタイプのウマ娘が、奇襲をかけて勝つしかない。瞬間の加速力ならお前は誰にも負けない。
中等部1年の時、去年卒業したあの『史上最強スプリンター』にも勝ってみせたじゃないか」

「あれはたまたまだし……それに、2400を走るなんて絶対に無理だよ」

カレンは困惑を隠せない様子だ。それはとてもよく分かる。だが、これが最適解である予感はあった。
私の速筋中心の瞬発力トレーニングに、誰かの持久力トレーニングを組み合わせれば……スプリンターも2000程度なら走れる可能性がある。

前例はある。かつて、私は一人のウマ娘を育て上げたことがある。私がトレーナーになりたての頃に担当した娘だ。
今は主婦となって一般人として生きていると聞くが、その栄光はいまだ色褪せない。


史上唯一、天皇賞春とスプリンターズステークスの両方を制したウマ娘。その名は……


01~85 何もなし
86~95 あっ、知ってます!
96~00 電話がかかってくる(オリキャラ登場注意)

引用元: ・【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ

557: ◆/4adlfiarI 2022/04/23(土) 20:36:05.14 ID:E72VjbcHO
※特になし

「そもそもどうやって2400を走らせるの?そんな無茶なこと言ってると、お兄ちゃんのことキライになっちゃうよ?」

私は腕を組んだ。かつて担当していた「彼女」は天才だった。そして、元がステイヤー寄りだったから速筋トレーニングが機能した。
カレンは違う。瞬発力は身内ながら目を見張るものがある。だが、「彼女」ほどの天賦の才はない。どちらかといえば、努力型なのだ。

だから、誰かに力を借りる必要がある。心当たりはもちろんあるが、さて……

1 三田村トレーナーを呼ぶ
2 塩田トレーナーを呼ぶ
3 アリームトレーナーを呼ぶ
4 その他(自由に書いてください)

>>3票先取
※なお「彼女」の連絡先は知らないものとします

558: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/04/23(土) 20:38:28.53 ID:bkYi74Xyo
上から
ライス
パーマー
マックイーン
の友情トレ相手選択か……
3で

559: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/04/23(土) 20:47:46.05 ID:XxHr+Rm1o
1

560: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/04/23(土) 20:47:50.97 ID:f6kAoegkO
3

562: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/04/23(土) 20:58:01.97 ID:GATcEozY0
コンマ奇数なら1偶数なら3

563: ◆/4adlfiarI 2022/04/23(土) 21:03:28.00 ID:E72VjbcHO
では1とします。少々お待ち下さい。

というか、八五潰れたのはショック……

567: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 21:56:18.67 ID:n1nbGtiAO


「えっ?私にカレンチャンのトレーニングを?」

三田村嬢は目を丸くした。後ろでストレッチをしていたライスシャワーやキタサンブラックも、驚きを隠せない様子だ。

「はい。無茶な話とは思ってます。ですが、あなたしか私には思いつかなかった」

私は芹沢さんとの約束と、ビュルスクマンに勝つためにカレンを鍛え直す話をした。
半年という短い期間で1から正攻法でやっても勝てる望みは薄いこと、
そのためには瞬発力という一芸で既に彼女を明らかに上回っているカレンを中距離仕様にすることが必要なことも話した。

一通り説明が終わると、「うーん……」と三田村嬢が唸った。

「……事情は分かりました。でも、何故私に?塩田さんの方が経験はあるでしょう」

「ライスを育て上げた実績を買いました。あなたのトレーナー歴で長距離G1を複数勝つのは並大抵じゃない。
無論、ライスにそれだけの才能があったのは知ってます。ただ、決してトッププロスペクトじゃなかった彼女の才能を開花させたのは、間違いなくあなたの手腕だ」

「……カレンチャンは何と?」

「正直、渋ってます。気持ちは分かるし、私の中にも迷いはある。……行けそうですか?」

※三田村トレーナーの反応
01~40 考えさせて下さい
41~80 手はあります
81~95 ライス、いい考えがあるよ
96~00 ……実は

568: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 21:56:46.17 ID:n1nbGtiAO
コンマ下です。

569: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 21:56:46.57 ID:78PruUIj0

570: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 22:11:39.33 ID:n1nbGtiAO

「……手はあります。ただ、自信があるわけじゃないですが」

「手、ですか」

「ええ。持久系のトレーニングは、天王寺トレーナーの速筋中心のトレーニングとは違います。重要なのは、リカバリーなんです。
地道な走り込みに酸素カプセルによる休養を組み合わせ、超回復を促す。野球選手がよく使っている手法を、私も採用してます」

後ろのライスシャワーが頷いた。

「うん、ライス、三田村さんのおかげで強くなったよ。息切れもしなくなったし」

「なるほど。ただ、自信がないとは」

「スプリンターの娘に同じ手法が通用するか分からないというのが一つです。私にとっても、初めての取り組みですから……。
もう一つは、ブリュスクマンという子が突き抜けた化け物かもしれないということ。それでもやるなら、是非とも協力させて下さい」

眼鏡の奥から、強い意志が見えた。私も首を縦に振る。

「ありがとうございます。後はカレンの意思ですね」

※カレンチャンの反応
01~35 ……三田村さん、かあ……別の人いないの?
36~70 うーん、やってみるかなあ
71~90 うん、分かった。いいよ
91~00 ふふふ~ん♪

571: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 22:16:30.20 ID:8Htbn4vPo

573: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 22:30:03.48 ID:n1nbGtiAO


三田村嬢と部屋に入ると、カレンの表情が曇った。

「何お兄ちゃん?三田村さんと一緒に」

「いや、例の中距離を走るって話だが……」

「だからカレンには無理!というかなんで三田村さんなの?別の人はいないの?」

私は三田村嬢と顔を見合わせた。こんな刺々しい対応をされるとは、予想外だ。

「……私なりに考えた結果なんだが」

「嫌なものは嫌なの!この話はおしまいっ!」

カレンはプイと立ち去ろうとする。……これは参った。


そこに、甲高い声が響いた。

「待つのです!」

「……バクちゃん?」

「学級委員長として、ちゃんと話は最後まで聞くべきだと思います!トレーナーさんにも考えがあるはずです!」

珍しく厳しい表情で言うバクシンオーの気迫に圧されたのか、カレンが席に戻った。

「……分かった。で、どういうことなの」

私は三田村嬢との共同トレーニングを説明し始めた。カレンは一応聞いているが、不満そうな気配は消えていない。

「……というわけだが」

「話は分かったよ、お兄ちゃん。でも、嫌なものは嫌。せめて、三田村さん以外に……」

>>3人の反応
01~30 特になし
31~75 三田村トレーナー、何かに気付く
76~95 天王寺も何かに気付く
96~00 ややっ、そういうことでしたか!

574: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 22:35:06.93 ID:78PruUIj0
えい

576: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 22:51:18.96 ID:n1nbGtiAO

「あっ」

三田村嬢が声を上げた。一瞬ちらりと私を見る。それでようやく私も理解した。


……なるほど、そういうことか。


「少し、席を外していいか?三田村トレーナーと相談したい」

「……!?いいけど」

トレーナー室を出て、空いていた実習室に入った。ここなら、誰にも聞かれない。

「カレンの件ですが」

「ええ。嫉妬、ですよね。彼女、天王寺トレーナーを『お兄ちゃん』と呼ぶほど慕ってますし……」

「いや、実は……実妹なんです。母を早いうちに亡くして、私が育てたという事情が」

「……!!そういうことでしたか、なおさら納得が行きました。……なるほど」

基本人には猫を被るカレンが、いきなり敵意剥き出しにするというのはとても珍しい。その時点で、私も気付くべきだった。
つまり、私を取られると思っているのだ。それは考えすぎなのだが。

「ええ。だからちゃんと説明すれば……」

三田村嬢は難しい顔をしている。何を考えているのだろう。

※天王寺と三田村トレーナーの反応
01~75 何も起きない
76~95 ……あ
96~00 天王寺トレーナー、大事なお話が

577: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 22:53:22.85 ID:0Ii85YRsO

579: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 23:24:39.33 ID:n1nbGtiAO

一瞬、またちらりと三田村嬢が私を見た。眼鏡の奥に見えるその瞳が、わずかに熱を帯びているように見える。


……あ。


いや、そんなはずはない。この34年、女性とはほぼ無縁で生きてきたからだ。
だが、この向けられている感情は……覚えがないわけじゃない。


これは、恋愛感情だ。


大学時代に、一度だけだが交際経験はある。一応それなりのこともしたが、「堅物で面白くない」と半年で別れた。
だから、私に恋愛は向いていないと思っていたし、実際それっきりだった。そして、そういうものだろうとも思っていた。

ウマ娘のトレーナーになってからもそうだ。担当のウマ娘とは、常に一線を引くよう心掛けてきた。
トレーナーと結ばれるウマ娘は決して少なくはないが、私にはそういうのは合わない。あくまで一指導者として在るべきだと思うようにしていたし、それは正しかった。
公平に、そして的確に。それが今の私の地位を作り上げたのは、疑いない。


だから、きっとこのまま独りで生きていくのだろうと思っていた。それが嫌だというわけじゃないし、寂しいわけでもない。
だが、人に異性として好意を向けられることはあるとは……正直、想定の外にあった。


そして、三田村嬢の感情を理解した瞬間、カレンの心情も推察できた。


……カレンは、三田村嬢の私への感情を理解しているのではないか?
思えば、そういうフシはあった。豚星。に行った時も、牽制するようなことを確か言っていた気がする。


「……三田村トレーナー」

「えっ!?はいっ、な、何でしょう?」

自分の彼女に対する感情は、決して悪いものではない。ただ、恋愛感情かと言えばまだそうでもない。
そうである以上は、ここでカレンの感情を伝えることは、あまり望ましくないように思えた。


とすると……


「……一度、三田村トレーナーからカレンをご飯に誘ってみてくれませんか?」

「え?」

「私は抜きです。こういうのは、女性同士の方が上手くいく。あと、もちろんお礼もします」

「でも、どこに連れていけばいいか……」

私はニコリと笑った。


「もちろん、心当たりはあります」



580: ◆/4adlfiarI 2022/05/01(日) 23:33:41.29 ID:n1nbGtiAO
※今回のテーマを決めますが、今回は自由安価ではなく選択式です。
店の特徴だけ書いておきます。

1 じっくり話せる、夜は居酒屋バーのラーメン
2 六本木にある最先端スープのラーメン
3 ミシュラン掲載の都内トップレベルの名店

3票先取です。

581: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 23:50:06.77 ID:ipIKA6H3o
1

582: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 23:53:30.56 ID:0Ii85YRsO
2

583: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/01(日) 23:54:53.13 ID:78PruUIj0
1
後5分で決まらなかったら日付変わるし仕切り直した方が良さそうかな

584: ◆/4adlfiarI 2022/05/02(月) 00:00:32.74 ID:GEI2HZj9O
日付が変わったので仕切り直します。申し訳ありません。

585: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/02(月) 00:01:48.09 ID:nbPpD1sS0
改めて1

586: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/02(月) 00:05:26.22 ID:pvpmS4T2o
1

587: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/02(月) 00:10:17.94 ID:9/UVx3dt0
1

591: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 17:20:58.86 ID:0ktTnQHXO
更新始めますが、どちら視点か決めます。3票先取です。

1 カレンチャン視点
2 三田村視点

592: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/07(土) 17:31:58.75 ID:U8/9RbiK0

593: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/07(土) 17:49:00.82 ID:tXnwbPaI0
2

594: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/07(土) 17:50:06.08 ID:ookNP2sDO
2

595: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 18:13:32.74 ID:DL8oELkfO



第12R 「神田とりそば なな蓮」




596: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 18:30:27.28 ID:DL8oELkfO


「天王寺トレーナー、遅くなるって」

そう告げると、カレンチャンの表情が明らかに不機嫌そうになった。

「……どのくらいですか?」

「分からないわ、急用が入ったって」

「……そうですか」

分かりやすく塩対応だ。そもそもここに来るまでも、彼女は終始無言でスマホを弄るだけだった。
それはそうだろう。彼女にとって私は天王寺トレーナーを奪う「敵」なのだ。
3人で食事という体で(もちろん天王寺トレーナーの協力も得て)彼女を誘ったのだけど、「どうしてもというなら」と反応は極めて芳しくないものだった。


……本当に上手く行くのかしら……


もちろん、天王寺トレーナーに急用が入ったというのは嘘だ。あくまで私たち2人で話し合うのが狙いだ。
確かに、腹を割って話した方が上手くいくかもしれない。だけど、失敗したら……

私は一度胸に手を当て、大きく深呼吸した。

なぜ天王寺トレーナーが、こんな提案をしたのか。それは私を信頼してくれているからに他ならない。
……でも、何を言えばいいんだろう。「お兄さんのために協力して」?それとも、芹沢トレーナーのことを、洗いざらい話す?

どちらも、多分上手くはいかない。カレンチャンは頭がいいだけじゃなく、我も強い子だ。あまりそうは見せないだけで。
取り繕った言葉はすぐに見透かされる。綺麗事を言っても、きっと「カレンには関係ない」と一蹴されるだろう。


……とすると。


「三田村さん?」

カレンチャンが訝しげに訊いてきた。そう、これしかない。

「いえ、何でも。予約していたお店に、先に行きましょうか」

597: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 19:32:18.81 ID:DL8oELkfO


「……まさか、居酒屋ですか?」

「ラーメン屋って聞いてたけど……」

店構えは少し渋めの居酒屋バーに近い感じだ。店選びは天王寺トレーナーがしてくれたわけだけど……大丈夫かしら。

店内に入ると、炭火焼鳥の香ばしい香りが広がっていた。ジャズが流れていて、小洒落た雰囲気ではある。

「予約していた天王寺ですが……」

「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」

小上がりに通され、カレンチャンと向かい合う。彼女はいよいよ機嫌が悪い。

「本当にお兄ちゃん来るんですよね?来ないなら帰りますよ」

「ちょっと待って。……とりあえず、軽く注文だけしましょうか」

なるほど、ちゃんとラーメンもある。しかも、麺は国産ブランド粉と本格的だ。
ただ、いきなりラーメンというのも変だろう。ここはちゃんと頼んでおこう。

「ご注文は?」

「えっと……皮にねぎま、それにトマトを。あと……この『ちゃざく』というのもお願いします。飲み物は……ウーロン茶をふた……」

……ノンアルで、素面のままでやれるのだろうかと、ふと思った。未成年者の前でお酒は教育者としてマズい。


でも、本音をぶちまけるには、これだ。


「ウーロン茶と、『黒龍』をお願いします」

「かしこまりました」

店員が厨房に入っていくなり、カレンチャンが私を睨んだ。

「今頼んだの、まさかお酒ですか?」

「ええ。お兄さんが来る前で悪いけど」

「……信じられない。そんな常識のない人だとは思いませんでした」

「そうね、でも常識を超えないと、仕方のないこともあるわ」

やがて、お通しとウーロン茶、そして日本酒の入ったグラスと枡がテーブルに運ばれてきた。

私はそれを、一気に飲み干す。

「えっ??」

喉を熱い液体が流れていく。芳醇な香りと甘みが口の中に広がり、体温が一気に上がっていった。

「……ぷは」

「ちょっと……」

「ごめんなさい~、今のと同じの、もう一つで」

カレンチャンが、唖然とした様子で私を見ている。そんな彼女に、私は微笑んだ。

「ふふ。ちょっとテンション、上がっちゃった。ごめんなさいね、お酒の力を借りたかったの」

「……は?」

「知ってるの。あなたと天王寺トレーナーが、実の兄妹ということ。知ったのは、ここ最近だけど」

「まさか、お兄ちゃんが?」

「ええ。それで色々納得が行ったの。なんで私のことを、あなたが拒否したのか。
私はあなたにとって『泥棒猫』。そうじゃない?」

598: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 19:33:09.45 ID:DL8oELkfO

「……呆れた。そんなの、意識しすぎ……」

「でもないわ。確かに、私は天王寺さんが好き。だから、あなたが私を敵視するのも正しい」

カレンチャンは黙って私を見ていた。そして、絞り出すように呟く。

「……まさか、もうお兄ちゃんと」

「いいえ。今は完全な片想い。あなたが心配することは、何にもないわ」

運ばれてきたお酒を、一口口にする。

「でも、片想いのままいるつもりもない。だからこれは、一種の『宣戦布告』ってわけ」

彼女が歪んだ笑みを浮かべた。

「思ったより全然いい性格してますね。優等生キャラだと思ってました」

「あなたもね。『カワイイカレンチャン』は、あくまで余所行きの演技。そっちの辛辣な方が素でしょ?」

「お兄ちゃんから聞いたんですか」

「いいえ、単なる推察」

焼き鳥を口にすると、炭火の香りとともに豊かな肉汁が溢れた。ラーメン屋のレベルじゃない、本格的な地鶏の焼き鳥だ。

「……猫を被るのが上手いあなたには、こうやって本音で話した方がいいと思ったの。そうじゃないと、きっと信用してもらえない」

「本音を言ったところで、信用するとでも思いました?」

「いえ、思わないわ。でも、私にはこれしか思い付かなかった」

600: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 20:00:36.81 ID:DL8oELkfO

「なら話はこれでおしまい、ですね」

「そうね。でも、お兄さんはどうするの?」

「勝手に2人で仲良くやってて」

カレンチャンが立ち上がった。


……ダメだったか。賭けは失敗、か……


その刹那、彼女の顔が青くなった。


「……ってまさか、お兄ちゃんはあなたの気持ちを?」

「……分からない。嫌われてはないと思うけど、ただの同僚にしか思われてないかも」

カレンチャンは立ち上がったまま、身動き一つしない。どういうことだろう?

10秒ぐらいして大きな溜め息をつくと、彼女は再び座った。

「……参ったなあ。お兄ちゃんに一本取られちゃった」

「え?」

「とぼけないで。お兄ちゃん、来ないんでしょ?初めからお兄ちゃんの掌の上だった、そういうこと」

「……どういうこと?」

「お兄ちゃんの性格、知ってるでしょ?真面目な堅物で、ボディービルとトレーナー業、それとラーメンをはじめとしたグルメ以外に興味なし。
自分のプライベートのことなんて、絶対に話さない。もちろん、カレンが本当の妹なんて、多分同僚の誰も知らない」

彼女は串焼きのトマトを口にする。

「そんなお兄ちゃんが、カレンのことを話したということは……少なくとも、お兄ちゃんはあなたにはそれだけ心を許してる。恋愛的な好きかどうかは分からないけど。
多分、三田村さんがお兄ちゃんを好きだというのも、察してると思う」

顔が一気に熱くなった。これは多分、酔いのせいじゃない。

「えっ?ちょっと……」

「わっかりやすいなあ。カレンぐらいの年齢でもそんなウブな反応しないよ?
とにかく、お兄ちゃんがお膳立てをしたというのは、こうなることも予想済みってこと。
どうなるか分からないけど、三田村さんとはそれなりに長い付き合いになるかもだし。
嫌でも付き合わないといけないなら、ここでゴネててもしょうがないでしょ」

天王寺トレーナーが私を?いや、まだそういう関係になるとは分からない。
でも、そこまで好意がバレバレだったなんて……どういう顔で会えばいいんだろう。

ヤレヤレと彼女が苦笑した。

「言っとくけどお兄ちゃんはカレンのだからね?そこだけは譲らないから、覚えておいて。
というか、結構ウマスタ映えするお店だなあ。どんどん頼んじゃお♪三田村さんのおごりでしょ?」

601: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 20:12:38.74 ID:DL8oELkfO


それからカレンチャンとは色々なことを話した。ウマスタ映えする写真のコツや、題材の選び方。どこがいいお店なのかを見分けるポイントも教えてもらった。
ライスたちがよくカフェに行っているのも思い出した。あまり休日を一緒に過ごすことはないのだけど、一度誘ってみるのもいいかもしれない。

そうしているうちに結構な時間になった。ウマ娘としては少食と聞いていたけど、それでもカレンチャンの前には焼鳥の皿がうず高く積まれていた。……お金、大丈夫かな。

「じゃあ、そろそろ締めにしよ♪やっぱりラーメンだよねえ」

「え、まだ入るんだ……」

「ラーメンは別腹♪ってね。三田村さんもお酒強いね」

「ははは……そうかしら」

メニューには塩そばと醤油そば、それに新潟風煮干しそばもあるらしい。つけ麺まで含めると結構種類があるけど……

※コンマ下
6の倍数 塩そば
6の倍数+1 醤油そば
6の倍数+2 塩つけそば
6の倍数+3 醤油つけそば
6の倍数+4 鴨そば
6の倍数+5 新潟風煮干しそば

602: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/07(土) 20:14:09.59 ID:KSUDeVO2o

603: ◆/4adlfiarI 2022/05/07(土) 20:15:26.49 ID:DL8oELkfO
新潟風煮干しそばで決定しました。少々お待ち下さい。

606: ◆/4adlfiarI 2022/05/08(日) 20:19:49.81 ID:SAgt1fn3O

「じゃあこの『新潟風煮干しそば』にしようかな。新潟風ってよく分からないけど」

天王寺トレーナーなら知ってるのだろうか。そもそも新潟ってそんなにラーメンがあるところだっけ。

「あ、じゃあカレンもそれで。東京で新潟ラーメンって、そこそこ珍しいよね♪どれかなー」

「新潟ラーメンっていうのがあるんだ」

フフン、と得意そうにカレンチャンが鼻を鳴らした。

「新潟って御当地ラーメンがいくつもあるんですよ~。まず、新潟市中心のあっさり煮干しラーメン。青森のとは違って昔ながらの中華そばみたいな感じです。
新潟市には味噌ラーメンもあって、割りスープがついてくるのが特徴ですね。
で、長岡市のが生姜醤油ラーメン。これは秋葉原の『青島食堂』が代表格で、かなり濃い醤油味。
そして、多分一番メジャーなのが、燕市や三条市の『燕三条ラーメン』ですかね」

「さすが天王寺トレーナーの妹さんだけあって、詳しいのね……」

「全部お兄ちゃんからの受け売りですけど。実際に食べたのは、青島食堂と燕三条ラーメンの『潤』ぐらいですね。
ここのはどれなんだろ、煮干しってあるから燕三条かな?」

「どういうのなの、それ」

「見てのお楽しみ♪ウマスタ映えするかなー」

どういうラーメンなんだろう。ウマスタに載せるとなると、インパクトがあるんだろうか。

しばらくすると、店員が丼を持ってきた。……これって。

「スープの上に大量の脂??」

「あ、やっぱり燕三条系だ」

そう言うなり、カレンチャンは器用にラーメンと自分とが両方入るポジションを確保し、パシャリと自撮り写真を撮った。

「ん~、ちゃんとカワイク撮れてるね♪後でアップしよ」

「え、これって脂っこくはないの?」

「食べてみれば分かりますよー。というか、本家に比べるとビジュアルは大分上品かも。とにかく、いただきまーす」

疑心暗鬼で麺を箸で持ち上げる。少し太目で楕円っぽい変わった麺だけど……


……ズズッ


……!!


「美味しいっ……!!思ってたよりずっと上品で、煮干しの味もしっかり出てる……!」

「ですね♪本家燕三条のをもっと洗練させて、キレを良くした感じ。
荒々しさを抑えてる分より煮干しが強調されてて、これはこれでアリですね♪」

タマネギや三つ葉の味がアクセントになっていて、しつこさはまるで感じない。むしろマイルドで、飲みやすくすらある。
2種類のチャーシューも、柔らかくて美味しい。特に炭火で焼いた方のは、相当ハイレベルなのが私でも分かった。

「それにこの麺……とてもスープと絡む。スープも煮干しだけじゃないのかしら」

「多分。鶏のスープが混じってるのかな?だから濃厚だけど飲みやすいですね」

アルコールを入れた胃には、とても優しい味だ。カレンチャンにつられてそこそこ焼鳥も食べたけど、すんなり完食できてしまった。

607: ◆/4adlfiarI 2022/05/08(日) 20:34:53.96 ID:SAgt1fn3O


「ふー、お腹いっぱい♪ごちそうさまでしたー」

「はは……こちらこそ」

出費はまあまあな値段になった。食べている最中に天王寺トレーナーから連絡が入り、「今日のは私が後で建て替えます」とあったけど、それはそれで申し訳なく思った。
あるいはそれも織り込んでて、カレンチャンはあれだけ食べたのかもしれない。

「……で、トレーニングの件。受けてくれるかしら?」

店を出て切り出すと、カレンチャンはうーんと唸った。

「……正直、自信はないです。1400までしか持たないのは、自覚してますし。
三田村さんのことがなくても、多分悩んでたと思います。……策、本当にあるんですよね?」

「一応。基礎的なスタミナを付けさせるために、うちでは酸素カプセルを使った超回復法を導入してるの。それである程度は距離がもつようになると思う。
問題は、それだけじゃ多分足りないということ。距離をもたせるためには、あなた一人じゃ足りない」

「それってどういう」


「『ラビット』を使ったペース破壊。それで2400mを1800に『短縮』するの」



608: ◆/4adlfiarI 2022/05/08(日) 20:41:40.07 ID:SAgt1fn3O

そう、逃げウマ娘を使ってペースをかき乱してもらう。超スローで走るなら、カレンチャンが使う本気の脚は短くて済むからだ。


だけど、問題は2つある。まず、ラビットが最初からスローで逃げても、それはたちまちブリュスクマンをはじめとした他のウマ娘に看破される。あっさり抜かれ、普通のペースにされるのがオチだ。
余程絶妙なペースで逃げないと、本質的にスローだと分かっているカレンチャンは、脚を温存できない。

そしてもう一つ。誰にラビット役を任せるか、だ。恐らく、ラビット役がブリュスクマンに勝ち切ることはない。負けるために走るのを、誰が快く受け入れてくれるのだろうか。


……その時、あるウマ娘の顔が浮かんだ。それは……



第12話 完

609: ◆/4adlfiarI 2022/05/08(日) 20:42:48.46 ID:SAgt1fn3O
次回登場ウマ娘を決めます。3票先取です。

1 キタサンブラック
2 セイウンスカイ
3 ツインターボ
4 マヤノトップガン

610: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 20:44:40.72 ID:zGER7aVFo
3

611: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 20:45:25.49 ID:WlsFkp+20
4

612: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 20:48:28.91 ID:5CENdabx0
2

613: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 20:48:55.44 ID:paxhXFZ6o
3

614: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 20:51:20.98 ID:aFD1m/DDO
2

615: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 20:53:04.88 ID:VCctxTh3O
2

616: ◆/4adlfiarI 2022/05/08(日) 20:54:55.39 ID:SAgt1fn3O
セイウンスカイで決定します。続いてジャンルを決めます。
安価下1~5で、コンマが最も大きいものとします。

617: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 21:07:31.19 ID:paxhXFZ6o
冷やしラーメン

618: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 21:08:55.10 ID:WlsFkp+20
チャーシューメン

619: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 21:11:17.05 ID:9Emq1voXO
鶏白湯

620: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 21:12:28.90 ID:cC4AmMHcO
本格派豚骨ラーメン

621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/05/08(日) 21:35:21.17 ID:kOEzcYYW0
二郎系

622: ◆/4adlfiarI 2022/05/08(日) 21:56:32.15 ID:SAgt1fn3O
豚骨ラーメンで決定します。少しリサーチに時間がかかるかもしれません。