15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/19(日) 00:31:14.32 ID:oc2ZP+bDO
第二話『勝手に手下にしてんじゃねーよ。』


クロ「紹介したい奴がいる?」


昨日の晩はそのまま、マミの家に泊まることになった。
何処かに行くあてもなければ、何かをやるあてもなかった。
特に、この目は夜道を歩くにはいささか頼りなかったからだ。


そして、そのまま目覚め。彼女の作ったベーコンエッグを朝食にしている。


マミ「そう、私の友達。キュウベエっていうのよ。」


クロ「お前の友達が、そのままオイラの友達になれるものなのか?」


第一、その『キュウベエ』とやらにそのまま自分を紹介しても大丈夫なのかと、クロは訝しげにマミを見つめている。


「大丈夫よ。あの子しゃべるし、サイズもあってるもの。」


妙にキラキラした目をこちらに向けているマミだが、クロは完全に呆れてしまっている。
これは、あれだ、たぶん九官鳥のキュウベエみたいな落ちだろう。


クロ「つまんねぇの連れてきたら喰っちまうぞ?」


一応、釘を刺す形でクロはマミに冗談めかした言葉をぶつける。


マミ「安心して、とっても素敵な。私の大切な友達なんだから。」


その様が、とても幸せそうで、その陶酔がどこか危なかっしく、クロは面倒そうにため息をついた。

引用元: ・クロ「魔法少女?」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/19(日) 11:06:22.24 ID:oc2ZP+bDO
マミ「あ、そうだわ。その前にお買い物に行かなくちゃ。そろそろ紅茶がきれそうなの。あなたも来る?」


行ってやる義理はないし、昨日今日で一緒に買い物に行くほど仲良くなったつもりはなかったが、しつこいようだが、クロはすることがなく。故に、返事はなし崩し的に『YES』となった。


───街


クロ「これが、見滝原か。」


一人と一匹は並んで歩いていた(クロは周囲に怪しまれないように四つ足で)。話には聴いていたが、随分と近未来的な雰囲気であふれている街である。
そこらじゅうのいたる所に人間的な美的感覚に溢れており、「いかにも」な造形物で溢れている。


クロ「スゲー、未来都市ってやつか。」


マミ「サイボーグのあなたが言うのも変な話よ。」


そっちの方がよっぽどオーバーテクノロジーじゃないとマミは苦笑する。彼女にはある程度の事情を伝えてある。喋れる理由と、何処から来たのか。
それを、あっさりと彼女は信じた。


「お前、何でそういうの簡単に受け入れてんだよ。不思議って言ったって、しゃべる猫だわサイボーグだわ、ここまでくりゃ不気味じゃねえのか?」


「不気味なんかじゃないわよ。とっても素敵なことだもの、それに私はそういうのには慣れて──」


「それでさぁ!またあの先生ふられたみたいよ!」


「マジで?もうそろそろヤバイんじゃない?てかもうアウトでしょ、アウト。あれはもう、化石になるだけよ。」


歩いていた道の途中、マミの言葉を遮るように、中学生くらいの制服を着た少女達が道端にあったゲームセンターから出てきた。
うるさいほどの笑い声、邪魔になるくらいの身振りを加えながら歩いている。


ありがちで、気に留める必要もない。ただの中学生がこちらに向かってる。
しかし、一人と一匹は動けずに


クロ「おい、どうした?」


正確には、動かないのマミであった。
立ち止まったまま、うつむいて、前を見ていない。


キャッ、キャッと騒ぎながら彼女達はクロ達をよけながら歩いていく。
マミは、立っているだけだった。ただ立っているだけだった。


クロ「なぁ、あれお前の着てた制服と同じだったな。」


マミ「・・・えぇ、同じよ。見滝原中学の・・・・・・同じクラスの子達よ。」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/19(日) 13:47:07.67 ID:oc2ZP+bDO
同じクラスで、あれか。
自分の中で知る、クラスメイトと言えば、カズマ達のような関係しか知らない。彼らは小学生で、マミは中学生、そんな違いを加味しても、うつむき、どこも見ようとしないの彼女の態度を見てみれば、何が起きてるのかは大体理解できて───。


クロ「マミ。」


マミ「えっ。」


クロ「ゲーセン行こうぜ。」


キョトンとした顔をマミはクロに向けた。
彼女はまだ知らない。要するに、理解できたら、ほっとけないのが彼なのだ。



───ゲームセンター


マミ「ちょ、ちょっとクロ!あなた勝手に入ったらダメよ!!」


初めて入る、ゲームセンターという場所と、ずんずん進んでいく黒猫に面食らいながら、マミは的外れなことを言いつつもゲームセンターの自動ドアをくぐった。


その瞬間


音が、光が弾けた。


マミ「・・・、すごい。」


勿論、知識としては知っているし、外から見たことはあった。
でも、実際に中に入ることはなく。ましてや遊んだことだってなかった。
そんなことより、彼女には優先すべきことがあったから。



色とりどりのランプや、電子音が散らかっていて、まるで花火のようだった。
そこにいる人々は、真剣な顔、笑顔、悔しそうな顔、様々な表情が見えて、どんな顔をしていても楽しそうだった。


クロ「おぉ、流石は近未来都市。そこそこ面白いゲームはそろってんな。」


足元から声が聞こえた。
大した感慨もなさそうな顔で見滝原のゲームセンターを褒めているクロだが、一応猫である彼がゲームセンターに入っても大丈夫なのだろうか。


クロ「で、何して遊ぶんだ?」


マミ「な、何って何が?」


クロ「何がって、お前・・・、あぁ、ったく、こーいう場所は初めてか?」


心底呆れ返ったような顔を向けられたマミだが、彼女にしてみればどうしてクロがこんな顔をしているのか分からず困惑しているようだった。



26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/19(日) 22:42:26.60 ID:oc2ZP+bDO
そこから、マミはクロにつれられ、おっかなびっくり、好奇心旺盛に遊び始めた。


ギターを模したゲームをした時は、マミがコードを押さえクロがギターにぶら下がりながらストロークを行った。そのさまは、周囲の人に「鬼だ、鬼がいる。」という言葉を紡がせるほど圧巻だった。


クレーンゲームでは、欲しいものが手に入らず業を煮やしたクロが直接ゲージに入ってとってきた。
途中、人が覗きこんできた時、人形のふりをするクロを見てマミは笑いを堪えるのに必死だった。


楽しいことが、当たり前に楽しいことをマミは思い出した。

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/19(日) 22:58:26.71 ID:oc2ZP+bDO
クロ「下手くそ。」


シューティングゲームで迫りくるゾンビにパニックに陥って足を引っ張り、ゲームオーバーに追い込んだマミに対しクロは辛辣だった。


マミ「・・・、ごめんなさい。」


口では謝ってはいるが、彼女は彼女で申し訳なさもあるが、若干納得のいかないような顔をしている。
プレイ中はやたらと「えぇ?なんで!?」とか「ウソよ!本当だったらここは」とか散々叫んでいた。


マミ「あ、そういえば。」


ハッと我にかえったようにマミはクロの方に向き直った。


マミ「クロ、これありがとう。」


そう言って見せてきたのは首にかかったネックレス。先程、クレーンゲームでクロがとってきたものだ。


クロ「お前の金だろ。オイラに礼はいらねーよ。」


ぶっきらぼうで、そっけない。それでも彼女は、クロがゲームセンターに自分を連れてきた理由が大体分かっていた。
だから、このお礼はネックレスだけじゃなく、気を遣ってくれたお礼でもあった。


ありがとう、今度は小さく口の中でお礼を言った。

マミ「じゃあ、今度こそお買い物に行きましょう───!?」


『タスケテ』


突然、マミの顔が真剣な顔に引き締まり、彼女の雰囲気もなにやら深刻めいた空気をにじみ出し始めた。
そして───

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 02:10:20.24 ID:ywPrGTLDO
クロ「おい!?マミ!!」


こちらには目もくれず、声も耳に入らなかったかマミは駆け出してしまった。


クロ「チィ!待てってーのコラ!!」


そして、クロもまた駆けていった。




─────ショッピングモール・工事中の区画



ハァ、ハァ、ハッ、ハァ


息が途切れる、喉に薄い膜が張りついたような不快感に呼吸が途切れそうになる。しかし、それでも立ち止まる訳にはいかない。
この腕の中で苦しんでいる小さな命を守るために。


青髪の少女「何よあれ!コスプレ女で、動物虐待ってどうかしてんじゃないの!?」


吐き捨てるように言い放った少女が、青い髪を揺らしながら必死に走っている。鬼気迫るという言葉が今の自分たちにはおあつらえ向きだと、『鹿目まどか』は思った。


友人である『美樹さやか』について、このショッピングモールに訪れたが、そこで自分に助けを求める声を聴く。
その声のする方に向かうと、傷だらけの不思議な動物が、さらに、その動物を襲っていたの自分の学校に転校してきたクラスメイトで────。


説明してもしきれない、これ即ち、ピンチである。


さやか「ここまでくれば・・・大丈夫かな?」


息も絶え絶えにたどり着いた場所は薄暗い、まだ工事の済んでいない区画。
一体、あのショッピングモールのどのあたりなのかはさっぱり分からないが、今のところ人の気配はなく。あの転校生近づいている訳ではないらしい。

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 02:42:40.92 ID:ywPrGTLDO
まどか「さやか、ちゃん・・・。大丈夫?」


少しずつ息を整えながら、まどかは転校生に襲われた際に機転を利かせて自分を、いや自分達を助けてくれたさやかに感謝した。


さやか「ふぅ・・・、私より、その白ネコの方を心配してやりなよ。」


その言葉に、ハッとして腕の中を覗きこんでみると、その生き物は苦しそうではあるものの、少し落ち着いているのか大人しくまどかの腕の中にしっかりと抱き締められている。


さやか「しっかし、みょうちくりんな動物だなぁ。」


さやかの言葉通り、まどかはこの動物を見たこともなかった。
真っ白な身体に、長い耳、さっき見た時は真っ赤な瞳をしていた。
今は傷だらけだが、手当てをして身体もふいてあげれば随分と可愛らしい容姿になることだろう。


しかし、恐らくこの動物は可愛いだけではない。
助けを求める声は、直接自分の頭に響いた。
あれは、よく言うテレパシーというものではないか。もしかしたら、自分は、とてつもない神秘に触れようとしているのかもしれない。


さやか「な、何これ!?」


と、さやかの引きつったような声で今度は、腕の中から弾けるように顔を上げた。

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 10:38:32.37 ID:ywPrGTLDO
『空間が歪む。』そんな表現くらいは、彼女達も漫画や、小説くらいでは知っている。
そして、当然知っているだけだ、その凡庸なイメージではただユラユラと陽炎が揺れているだけのもの。
だから、彼女達は恐怖した。


分からない、理解できない。空気が逆流して、眼に見えない何かが捻れていく。今、ここにいながら全く訳の分からない場所に引きずり込まれていく。


その内に、景色すらも変化していく。書き換えられる。まるで、原色の絵の具を子供が適当に塗り込んでいくように世界は上塗りされて、色が完全に変わった。


さやか「何よ、今度なんなの!?」


奇妙奇天烈、珍妙なオブジェが、おもちゃ箱から飛び出したように散らかっていた。


そして


『───────!』


『────────!』


先程から、子供がはしゃいでいるような声があたり一面から聞こえてくる。
その言葉は『言葉』と読んでいいのかさえ分からないほどに理解不能で、ただただ、こちらの不安を煽るのみだ。


まどか・さやか「!?」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 11:40:24.94 ID:ywPrGTLDO
それは異様な光景だった。まるで、海外のカートゥーンに登場するような、ともすれば可愛らしく、しかし、それでも、脳が、感覚がれっきとした恐怖を伝えてくる。


異形の姿。


さやか「う、うそ。そんなこんなことって。」


まどか「あ、ああ。」


数は分からない、囲まれている。
しかし、実際にどれほどこの異形が存在しているのか知ったところで、彼女達にはどうすることもできない。
これは、紛れもない絶望の形であった。


さやか「夢だよね!こんなのただの悪い夢で。」


自らの言葉にすがりつくようにさやかは喚き散らすが、その言葉で決して夢から揺り起こされることはなく。ただ単に、『現実』を確認しただけに留まった。


まどか「た、すけて。」


少女は互いに身をよせあう。しかし、震えは止まらない。


まどか「誰か」


少女は腕の中の動物を抱き締めた。それは、守ろうとしたのか、ただ、何かに縋りたかっただけなのか。


まどか「誰か──!」


そして、その声は届く。


「んだよ、まだこんなにいたのか。」


絶望を砕く銃声が響いた。

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 12:52:26.82 ID:ywPrGTLDO
クロ「・・・ったく。マミは見つかんねーし、妙な所に迷い込んだと思ったら、妙な奴らに襲われるしよ。」


岩をドリルで砕くような音が響いた瞬間、土煙に辺りは包まれた。


さやか「今度はなによぉ。」


半泣きのような顔をしながらさやかは弱音を吐いた。そして、まどかは土煙が舞い上がる場所を呆然としながら見つめている。


そして、『それ』はフラリと姿を現した。


さやか「ねこ?」


二人は面食らった。この異様な世界に姿を現した新たな存在が黒猫で、しかも二本足で立ちながら、右腕には何か筒状のものを嵌めている。


そして、そのまま、此方に向かって歩いてきた。


クロ「おい。」


まどか「は、はい!」


思わず、まどかは敬語になる。そして、さやかは慌ててまどかを庇うように、まどかとクロの間に立ちふさがった。


さやか「な、何よ。」


今、自分たちを取り囲んでいる化け物とは違い、言葉を操る猫、恐怖はあったが、多少はとっつきやすかったのか震えながらではあるがさやかはクロを睨んでいた。


クロ「ふせろ!!」


その言葉に弾かれたようにまどかはさやかの身体を押さえつけ地面に伏せる。

そして、その瞬間、身体の上から、風圧が届く。
突然の発砲、身体を伏せながら後ろをそっと向けば、化け物が身体の破片をばらまきながら吹っ飛んでいき、やがては霧散する様を確認できた。


クロ「前は戦争だったが、今度はなんだ?ファンタジーか?」


軽口をたたくその口元には、ニヤリと笑みを浮かべながらクロは化け物の前に立っている。
臆することもなく、怖れることもなく。


クロ「いいぜ?相手してやる。そうこなきゃな、退屈しちまう。」


銃口を、前へ向けた。


そこから先は、まどかにとっては夢見ごこちのような感覚でよく覚えていない。しかし、確かなことは、その『救世主』は突如として現れ、化け物を鬼神のごとき強さで蹴散らし。
自分たちを救ったということだけだった。

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 21:50:54.35 ID:ywPrGTLDO
二人の少女はへたりこんだまま動けなかった。
夢のような恐怖と訪れた救い。
そして、今の静けさが信じられず。
しかし、未だ変わらぬ世界の光景に白昼夢であったなどという言い訳は通用しなかった。


さやか「あ、あ。」


さやかはどう言葉をはっせればいいのか分からず、それでも声帯を震わせなければ自分は二度と喋れなくなるのではないかという意味不明な恐怖から、ただうめき声ともとれる声を発していた。


信じれなかった。目の前の黒猫は、ガトリングのような武器を使い、あの化け物達を全滅させた。
考えなしのように攻撃しながら、しかし、自らは無傷で更にいえば自分達までケガひとつない。


と、そこまで考えたところでへたりこんだままの彼女達の目の前に黒猫が歩いてきた。


さやか「ひっ!?」


まどか「うぅ。」


敵か味方分からない、しかもかなりの強さをもった得体の知れない猫。もしや、こいつも化け物の一種かと身を強ばらせる二人にクロは声をかけた。


クロ「もらしたか?」


さやか・まどか「・・・・・・え?」


予想斜め上をゆくその言葉に、二人は思わず固まる。


クロ「怖けりゃとっと家に帰って母ちゃんに一緒に寝てもらうように頼むんだな。怪我しないうちに。」


その言葉に馬鹿にするような空気を感じたさやかは憤りを隠さずクロに詰め寄った。


さやか「な、乙女に向かってなんたる言い草なんだよ!そもそも、どうやってここから出ればいいのか分からないし、大体あんたはなんなのよ!?」


その言葉に含まれた若干の優しさを感じたまどかはクロに頭を下げた。


まどか「あ、あの!ありがとうございます。助けてくれたんですよね。え、えとお礼はかつおぶしがいいですか?」


そう畳み掛けるように同時に喋りだした二人に、面倒くさそうに耳をかきながら一瞥をくれていた。

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/20(月) 22:10:15.82 ID:ywPrGTLDO
クロ「詫びはいれねーし、礼もいらねーよ。そもそもそんな暇もねー。」


まどか「それってどういう?」


『────────!?』

『────────!!』


またもや、空気は一辺した。


さやか「ま、またこいつら!」


どこに隠れていたのか、先程全滅させたと思っていた化け物がまたどこからか集まっていた。


クロ「お前等、立って走れるか?」


その言葉に、二人は顔を似合わせて、足に力を入れるも、腰が抜けたのかまったく立ち上がることさえできない。


まどか「ど、ど、どうしよう?!」


クロは焦る二人を確認し、彼女達の前に立ちふさがる。


クロ「なら、そこにいろ。別に逃げなくてもいい。」


その言葉に、まず守られている二人が圧倒された。 先程の戦闘力が凄まじい説得力を持たせている。本当にここから動けなくとも、彼なら自分達を無傷で守りぬいてくれる気がし────


ガスっ!と弾の充填を促す空気の抜けたような音がガトリングから響いた。


クロ「やっぱ、走れねぇか?」


まどか・さやか「ええええええ!?」


一転、ピンチに陥った。


『──────!!』


その隙を逃さず化け物達が突っ込んでくる。


クロ「ちっくしょおがぁ!!拳骨でいったらぁ!!」


拳を握り込んだクロは二人を背に化け物達に突っ込んでいく。
そして────


そして、凄まじい閃光が化け物達の群れを貫いた。

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/21(火) 20:50:18.58 ID:Ztps6NuDO
クロ・まどか・さやか「・・・え?」


おそらくは銃声、強烈な破裂音の音源の方に慌てて振り向く。


「あなた達怪我はない!?もう大丈夫よ!!」


そこにいたのは、一人の少女だった。
黄色を基調とした、可憐らしい服装に、可憐な佇まい。その表情は凛々しく整っている。


二人には見知らぬ顔だった。
しかし、一匹にはよく知られた顔であり。


彼は行動に移った。


クロ「何が大丈夫よ!!だ。この馬鹿!!」


ゴチンという音が、マミの頭から響いた。
まどかとさやか、さらにはマミも目を白黒させている。
スルリと伸びた黒い腕、まさにクロの腕が拳骨の形でマミの頭に乗っかっていた。


マミ「え?え?」


クロ「どこほっつき歩いてたんだコラァ!急に走りだしやがって、どんだけ探したと思ってんだ?あぁ?」


まるで喧嘩を売っているような言葉使い。
ヤンキーがいちゃもんをつけているみたいだった。
おそらくは、きっと自分達を助けてくれたのは彼女であり、その命の恩人たる人物にたいしてはとてもじゃないが適切な態度ではなかった。


マミ「ご、ごめんなさい・・・。」


頭をさすりながらマミはクロに謝ったが、クロはプイと顔を背けた。


クロ「・・・別に謝ることじゃねーよ。」


クロからすれば、いなくなったマミを追いかけたが、見失い。迷い込んでしまった場所が急に姿をかえたかと思えば現れたのは化け物。
彼は彼で、あの時焦っていたのだ。



42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/21(火) 22:12:40.22 ID:Ztps6NuDO
まどか「あ、あの!」


急に張り上げた声は彼女自身からしても驚くほど大きく響いた。
その場にいた全員からの視線を向けられ、まどかは萎縮してしまう。


まどか「え、えと・・・。」


マミ「あなた、その子・・・。」


指摘されて、思い出した。か、改めて実感したか。彼女はなんとか、腕の中にいる動物について知らせようとした。


まどか「こ、この子が、さっきから怪我してて!苦しんでるんです!は、早く病院につれいってあげなきゃ!!」


マミ「大丈夫よ。」


まどか「で、ででも、もしかしたら、見たことない動物だから、大きな病院つれていかなきゃ!」


そんな様子に苦笑しながら、もう一度マミは大丈夫だと言った。


マミ「その子をちょっと預けてもらえるかしら?」


え?と驚きながらもまどかはそっと白い動物を彼女に手渡した。
そして、彼女は慈しむように、優しく抱き締めた。 すると、光が溢れた。目を焼くような閃光ではなく温かさを感じる灯りのような。


そして、光が治まった瞬間。


「ふぅ、助かったよ。ありがとうマミ!」


さやか「え!?しゃべった!!」


まどか「す、すごい、やっぱりさっきのは・・・。」


「まどかも、ありがとう。さっきは本当に危なかったんだ。」


突然の事に二人は言葉をなくしていた。傷もなくなり、綺麗な体をした白い動物は唖然と黙る二人を尻目に喋りだした。


マミ「無理もないわね。自己紹介にいきましょう。私は巴マミ。魔法少女よ。」


さやか「・・・魔法。」


まどか「少女・・・?」


そして、さやかはチラチラとクロの方を気にしだした。


さやか「魔法少女ってことは、この黒猫は使い魔とかそういうものなんですか!?名前はあのジ○的な!?」


マミ「えぇ、みたいなものよ。」



43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/21(火) 22:45:00.08 ID:Ztps6NuDO
クロ「誰がみたいなものだ。勝手に手下にするんじゃねーよ。」


と冷静に突っ込みを返されたマミは、ほんの少しだけクロを睨んだ。


まどか「あの、すみません。助けくれてありがとうございます!え、えーと。」

クロ「クロだ。」


まどか「ありがとう!クロちゃん!!」


そりゃ、どうもと適当に返しながら片手をあげるクロに、まどかは緊張をほぐされた気分になった。


しかし、さやかは警戒心を抱いてしまっているのか、先程からクロに近づこうとはしない。
クロもクロで気にしていないようだった。


「そして、ボクはキュウべえ!」


成長期に入る前の少年のような中性的な声が聞こえた。
そして、その方向には、その声のイメージにそぐわぬ、白い、小さな身体をした動物は人懐こそうな顔をしている。


キュウべえ「実は君たちにお願いがあるんだ!」


お願い?と少女達は首をかしげた。


マミは、にこやかに笑っていた。


キュウべえ「ボクと契約して、魔法少女になってほしいんだ!」


そしてクロは、つまらないテレビを見ているような顔で耳をほじっていた。



44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/21(火) 22:46:31.03 ID:Ztps6NuDO






声が聞こえた。


「始まってしまった。」


哀しそうに。


「できることなら、最初の時点で止めたかったのだけど。」


悔しそうに。


「・・・彼が来ている。」


少しだけ、穏やかに。


「今度こそ、変えてみせる。」


「まどか・・・。」


悲壮に。






「・・・キッド。」



第一話 終了